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▶ クク エレクトロニクス カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A47J27/00 103E
A47J27/00 103N
A47J27/00 109G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018052279
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2018175853
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0048686
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518096010
【氏名又は名称】クク エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ス ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ユン
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-349188(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0452540(KR,Y1)
【文献】特開2015-171586(JP,A)
【文献】実開平02-032732(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理材料をいれる内釜が収容される本体と、
前記本体の上部に結合されて開閉し、貫通部が形成された蓋部と、
前記貫通部に連通し、前記内釜内の蒸気を排出するための選択的な開閉状態が維持される圧力転換手段と、
前記貫通部に連通し、前記圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて前記内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段と、を備え、
前記圧力転換手段は、
前記蓋部の下面を貫通するように配置され、下端が前記内釜の内部に連通する中空型のシリンダーと、
前記シリンダーの上部に設けられ、前記シリンダーの上端を開閉するように乗降する乗降蓋部とを含み、
前記圧力対応作動手段および前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するように前記蓋部に着脱し、内部に前記圧力転換手段に連通する案内空間が形成され、上面に前記案内空間に連通する排出孔が形成されたスチームキャップをさらに含み、
前記スチームキャップの上面には前記シリンダー及び前記案内空間が選択的に連通するように、前記シリンダーの上端から離隔配置され、内部に前記乗降蓋部が乗降するように回転締結される蓋結合部が備えられる
ことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
前記蓋部の上面の一側には、前記スチームキャップが挿入されるように陥没した装着溝が形成される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項3】
前記スチームキャップの一端には、前記装着溝の一側の縁部に拘束する結合リブが突設し、
前記スチームキャップの両端には、前記装着溝の両側の縁部にフック結合するように外面の下端に結合フック突起が突設した結合弾性片が備えられる
請求項2に記載の電気炊飯器。
【請求項4】
前記スチームキャップは、
底部に各々の貫通部に対応する蒸気流動孔が形成され、前記底部の縁部に沿って隔壁部が突設される下部胴部と、
前記隔壁部に対応する下面に沿って密閉部材が設けられるパッキング溝が形成されて前記隔壁部の上端に安着し、上面の一側に貫通孔が形成された上部胴部と、
前記貫通孔に対応するように前記排出孔が形成されて前記上部胴部をカバーし、前記下部胴部に結合されるカバー部と、を含む
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項5】
前記下部胴部の上面及び前記上部胴部の下面には、前記案内空間に収容されている蒸気の流速が低下するように複数の流速制御リブが突設される
請求項4に記載の電気炊飯器。
【請求項6】
前記乗降蓋部の外周には螺旋型結合突起が突設され、
前記蓋結合部の内周には前記結合突起に対応する螺旋型結合溝部が形成される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項7】
前記乗降蓋部の外周には、密閉部材が取り付けられるように半径方向の内側に陥没したリング型密封溝部が形成される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項8】
前記シリンダーの下端には、複数の蒸気貫通孔が形成されたシリンダーキャップが着脱される
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項9】
前記蓋部の下面には前記内釜の上端に突設した複数の拘束突起に対応するように内周に沿ってロック突起が突設して回転角度によって前記拘束突起を選択的に拘束するロッキングリングが回転可能に結合し、
前記蓋部の上面の他側には前記ロッキングリングに連通して回転するハンドルが備えられる
請求項1に記載の電気炊飯器。
【請求項10】
前記蓋部の上面には前記圧力対応作動手段および前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するスチームキャップが着脱し、
前記スチームキャップの他端には前記ロッキングリングのロック回転時に前記ハンドルの下端に係止するように分離防止リブが突設される
請求項9に記載の電気炊飯器。
【請求項11】
記乗降蓋部の上端には前記スチームキャップの上側に露出して回転操作されるように操作キャップが結合され、
前記操作キャップの外周には前記ロッキングリングのロック回転時に回転が制限されるように前記ハンドルの端部の回転軌跡に対応して半径方向の内側に陥没したハンドル型合部が形成される
請求項9に記載の電気炊飯器。
【請求項12】
前記圧力対応作動手段は、
前記案内空間に蒸気を排出するように前記スチームキャップにり上端がカバーされ、電気信号に基づいて開閉するソレノイドバルブと、
前記スチームキャップの上面を貫通するように設けられ、前記内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブとを含む
請求項1に記載の電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気炊飯器に関し、より詳しくは、内釜内の圧力状態及び非圧力状態において、各々調理可能であり、調理の品質および使用便宜性が向上した電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気炊飯器とは、営業所および家庭で炊事時に使用する電気釜、電気圧力炊飯器などを意味し、発熱部が備えられた本体と、該本体の上部を覆う蓋部とからなる。
【0003】
本体には調理材料をいれる内釜が収容され、蓋部は本体の一側にヒンジ結合されて開閉し、下部には内釜の上部開口を密閉するための内釜カバーが備えられる。内釜カバーの一側には内釜に連通する流動孔が形成され、内釜内の蒸気が流動孔を介して蓋部に設けられた圧力調節手段に流動する。
【0004】
詳しくは、圧力調節手段は、内釜の内部と炊飯器の外部を連結する蒸気排出流路が開閉するように電気的に駆動するソレノイドバルブ、内釜内の圧力を一定に維持するための圧力錘バルブなどを備える。すなわち、調理が始まると、ソレノイドバルブによって蒸気排出流路が閉鎖されて内釜内の圧力が上昇し、圧力錘バルブによって内釜内の圧力が一定に維持される。
【0005】
しかし、従来の電気炊飯器では、圧力錘の重量圧と蒸気圧の相互作用によって内釜内の圧力が所定値に維持されるので、ユーザの好みや料理の種類に合わせた調理方法を適用/選択できず、調理の品質が低下する問題があった。すなわち、圧力が不要な調理材料の場合、高圧のため食感が脆くなる。またもちもちしっとりとした食感の圧力釜のご飯より柔らかい食感の非圧力釜のご飯の方が好きな人は、非圧力電気釜を別途に購入したり鍋炊きをしたりする必要がある。
【0006】
よって、炊事中にソレノイドバルブを一定時間・周期でさらに開いて火力を下げるか、或いは水に浸しておく時間を長くするなどにより柔らかい食感を提供しているが、非圧力電気釜の食感には及ばない。
【0007】
一方、調理中に内釜内に圧力が存在する場合、内釜の高圧状態では蓋部の開放を遮断する圧力安全装置があるため、調理状態の確認や材料の追加投入のための蓋部の開閉が不可能であり不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は内釜内の圧力状態及び非圧力状態において、各々調理可能であり、調理の品質および使用便宜性が向上した電気炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明は、調理材料をいれる内釜が収容される本体と、本体の上部に結合されて開閉し、貫通部が形成された蓋部と、貫通部に連通し、内釜内の蒸気を排出するための選択的な開閉状態が維持される圧力転換手段と、貫通部に連通し、圧力転換手段が閉鎖された圧力調理モードにおいて内釜内の圧力によって選択的に開閉される圧力対応作動手段とを含む電気炊飯器を提供する。
【0010】
ここで、前記圧力転換手段は、前記蓋部の下面を貫通するように配置され、下端が前記内釜の内部に連通する中空型シリンダーと、前記シリンダーの上部に設けられ、前記シリンダーの上端を開閉するように乗降する乗降蓋部とを含んでもよい。
【0011】
前記圧力対応作動手段および前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するように前記蓋部に着脱し、内部に前記圧力転換手段に連通する案内空間が形成され、上面に前記案内空間に連通する排出孔が形成されたスチームキャップをさらに含み、前記スチームキャップの上面には前記シリンダー及び前記案内空間が選択的に連通するように、前記シリンダーの上端から離隔配置され、内部に前記乗降蓋部が乗降するように回転締結される蓋結合部が備えられてもよい。
【0012】
前記蓋部の上面の一側には、前記スチームキャップが挿入されるように陥没した装着溝が形成されてもよい。
【0013】
前記スチームキャップの一端には、前記装着溝の一側の縁部に拘束する結合リブが突設し、前記スチームキャップの両端には、前記装着溝の両側の縁部にフック結合するように外面の下端に結合フック突起が突設した結合弾性片が備えられてもよい。
【0014】
前記スチームキャップは、底部に各々の貫通部に対応する蒸気流動孔が形成され、前記底部の縁部に沿って隔壁部が突設される下部胴部と、前記隔壁部に対応する下面に沿って密閉部材が設けられるパッキング溝が形成されて前記隔壁部の上端に安着し、上面の一側に貫通孔が形成された上部胴部と、前記貫通孔に対応するように前記排出孔が形成されて前記上部胴部をカバーし、前記下部胴部に結合されるカバー部と、を含んでもよい。
【0015】
前記下部胴部の上面及び前記上部胴部の下面には、前記案内空間に収容されている蒸気の流速が低下するように複数の流速制御リブが突設されてもよい。
【0016】
前記乗降蓋部の外周には螺旋型結合突起が突設され、前記蓋結合部の内周には前記結合突起に対応する螺旋型結合溝部が形成されてもよい。
【0017】
前記乗降蓋部の外周には、密閉部材が取り付けられるように半径方向の内側に陥没したリング型密封溝部が形成されてもよい。
【0018】
前記シリンダーの下端には、複数の蒸気貫通孔が形成されたシリンダーキャップが着脱されてもよい。
【0019】
前記蓋部の下面には前記内釜の上端に突設した複数の拘束突起に対応するように内周に沿ってロック突起が突設して回転角度によって前記拘束突起を選択的に拘束するロッキングリングが回転可能に結合し、前記蓋部の上面の他側には前記ロッキングリングに連通して回転するハンドルが備えられてもよい。
【0020】
前記蓋部の上面には前記圧力対応作動手段および前記圧力転換手段の蒸気排出を案内するスチームキャップが着脱し、前記スチームキャップの他端には前記ロッキングリングのロック回転時に前記ハンドルの下端に係止するように分離防止リブが突設されてもよい。
【0021】
前記圧力転換手段は前記蓋部を貫通するように配置された中空型シリンダーと、前記シリンダーの上部を開閉するように乗降する乗降蓋部とを含み、前記乗降蓋部の上端には前記スチームキャップの上側に露出して回転操作されるように操作キャップが結合され、前記操作キャップの外周には前記ロッキングリングのロック回転時に回転が制限されるように前記ハンドルの端部の回転軌跡に対応して半径方向の内側に陥没したハンドル型合部が形成されてもよい。
【0022】
前記圧力対応作動手段は、前記案内空間に蒸気を排出するように前記スチームキャップにり上端がカバーされ、電気信号に基づいて開閉するソレノイドバルブと、前記スチームキャップの上面を貫通するように設けられ、前記内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘を備える圧力錘バルブとを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す平面図
図2A】本発明の一実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開閉状態を示す断面図
図2B】本発明の一実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開閉状態を示す断面図
図3】本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す斜視図
図4A】本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す分解斜視図
図4B】本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す分解斜視図
図4C】本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す分解斜視図
図5A】本発明の一実施形態による電気炊飯器の圧力転換手段を示す分解斜視図
図5B】本発明の一実施形態による電気炊飯器の圧力転換手段を示す分解斜視図
図5C】本発明の一実施形態による電気炊飯器の圧力転換手段を示す分解斜視図
図6図1におけるA-B断面を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態による電気炊飯器について詳細に説明する。実施形態の説明において、同じ構成要素には同じ名称および符号を付し、説明は省略する
【0025】
図1は本発明の一実施形態による電気炊飯器の蓋部を示す平面図であり、図2Aおよび図2Bは本発明の一実施形態による電気炊飯器において圧力転換手段の開閉状態を示す断面図である。図3は本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す斜視図であり、図4A乃至図4Cは本発明の一実施形態による電気炊飯器のスチームキャップを示す分解斜視図である。図5A乃至図5Cは本発明の一実施形態による電気炊飯器の圧力転換手段を示す分解斜視図であり、図6図1におけるA-B断面を示す断面図である。
【0026】
図1ないし図6に示したように、本発明による電気炊飯器100は、本体(図示せず)、蓋部10、圧力対応作動手段40,50および圧力転換手段30からなる。
【0027】
本体内には、熱板ヒータ或いは誘導加熱装置などの加熱手段を備える装着空間が形成され、装着空間内には調理材料をいれる内釜(図示せず)が収容される。この時、内釜の上縁部には半径方向の外側に突設した複数の拘束突起が互いに離隔して形成されている。
【0028】
図1および図2Aに示すように、蓋部10は、本体(図示せず)の上部に結合して開閉され、各種電子部品および配線が設けられる内部蓋部10bと、該内部蓋部10bをカバーする外部蓋部10aとからなる。内部蓋部10bの下面にはロッキングリング13が回転自在に結合され、該ロッキングリング13の内周には拘束突起に対応して半径方向の内側に突設した複数のロック突起13aが設けられる。
【0029】
外部蓋部10aの上面にはハンドル11が設けられ、ハンドル11は回転開閉手段19を介してロッキングリング13に連結されて連動回転する。この時、回転開閉手段19は一側或いは他側が圧力安全装置に連結されて、内釜内に残留圧力が存在する場合、蓋部10が開放されないようにハンドル11またはロッキングリング13の回転を制限する。
【0030】
ここで、ハンドル11は遠距離でも回転状態を容易に視認できるように、回転中心から一方に偏向して延びることが好ましい。また偏向して延びた部分の端部11aは、ハンドル11の回転操作時に回転軌跡に対応する円弧状にラウンドして形成されることが好ましい。
【0031】
一方、ハンドル11の端部11aが蓋部10の側面を向くように配置されたロック解除回転角度では、ロック突起13aが拘束突起(図示せず)の間に配置される。これにより、ロッキングリング13および内釜(図示せず)がロック解除されて蓋部10を開閉できる。また、ハンドル11の端部11aが蓋部10の一端部を向くように配置されたロック回転角度では、ロック突起13aが拘束突起(図示せず)の下端に係合してロッキングリング13と内釜が互いにロックされる。
【0032】
内部蓋部10bの下面にリードプレート14が結合され、リードプレート14の下方には内釜(図示せず)の上部開口を密閉する内釜カバー(図示せず)が設けられる。内釜カバーの一側には内釜内の蒸気を排出するための複数の蒸気流動孔が貫通形成される。またリードプレート14には蒸気流動孔に対面する一側に複数の連通孔14a,14b,14cが貫通形成される。
【0033】
リードプレート14の上方には各々の連通孔14a,14b,14cを一体にカバーし、各々の連通孔14a,14b,14cに対応する装着孔15a,15b,15cが貫通形成された制御板15が設けられる。制御板15には各々の装着孔15a,15b,15cの縁部に沿って装着部15d,15e,15fが延長形成される。装着部15d,15e,15fにより圧力対応作動手段40,50および圧力転換手段30が一つの部品に纏められて固定および支持される。勿論、制御板15およびリードプレート14が一体に形成されることも可能である。
【0034】
外部蓋部10aの上面の一側にはスチームキャップ20の下端が挿入されるように陥没した装着溝12が形成される。装着溝12の底面には制御板15の装着部15d,15e,15fに対向して配置されるように貫通部16a,16b,16cが形成されることが好ましい。貫通部16a,16b,16cは互いに一体に連通するように形成できるが、複数個を個別に形成することが好ましい。以下、複数の貫通部16a,16b,16cが各々個別に形成されて配置されたことを例として説明する。
【0035】
圧力転換手段30は、貫通部16a,16b,16cのうち蓋部10の他側に隣接した貫通部16aに連通して、内釜内の蒸気を排出するための選択的な開閉状態を維持するために備えられる。すなわち、圧力転換手段30は、開放および閉鎖のうちいずれか一方が調理過程中に持続的に維持されるようにする。
【0036】
圧力対応作動手段40,50は、圧力転換手段30が連通した一つの貫通部16aを除いた他の貫通部16b,16cに連通する。この時、圧力対応作動手段40,50は、圧力転換手段30が閉鎖された圧力調理モードにおいて、内釜内の圧力によって選択的に開閉する。
【0037】
圧力対応作動手段40,50は、電気信号に基づいて開閉するソレノイドバルブ50と、内釜内の蒸気圧力によって乗降する重量錘41を備える圧力錘バルブ40とを含む。この時、圧力対応作動手段40,50は、貫通部16a,16b,16cのうち、蓋部10の一側に隣接した2つの貫通部16b,16cに夫々配置される。詳しくは、圧力転換手段30が開放されると、調理時に内釜内の蒸気が持続的に排出される非圧力調理モードで調理が行われる。一方、圧力転換手段30が閉鎖されると、圧力対応作動手段40,50により内釜内の圧力が一定水準に維持される圧力調理モードで調理が行われる。
【0038】
一方、図1ないし図3に示すように、スチームキャップ20は圧力対応作動手段40,50および圧力転換手段30が設けられる貫通部16a,16b,16cをカバーする大きさに形成されて装着溝12に着脱する。スチームキャップ20は、蓋部10の一側の上面に沿ってハンドル11に隣接して配置され、他側の端部がハンドル11の回転操作時に端部11aの回転軌跡11bに重ならないようにラウンド状に形成されることが好ましい。詳しくは、スチームキャップ20は上部胴部220と下部胴部230とからなり、さらに上部胴部220の上部の外観を形成するカバー部210を含むこともできる。
【0039】
図2Aないし図4Aに示すように、下部胴部230の底部には貫通部16a,16b,16cに対応する蒸気流動孔231a,231b,231cが貫通して形成され、底部の縁部に沿って隔壁部232が突設される。
【0040】
下部胴部230の一端には組立リブ233および結合リブ237が上下方向に互いに離隔して突設されることが好ましい。下部胴部230の両端部には、外面の上端に組立フック突起236aが突設した組立弾性片236を備えることが好ましい。詳しくは、下部胴部230は、結合リブ237が装着溝12の一側の縁部に突設した拘束段差12aの下側に拘束されるように装着溝12に挿入される。この時、貫通部16a,16b,16cおよび各々の蒸気流動孔231a,231b,231cが互いに整列配置される。
【0041】
また装着溝12の他側に備えられた第1貫通部16aおよび第2貫通部16bには管型パックング17a,17bが設けられる。管型パッキング17a,17bの上端は下部胴部230の第1蒸気流動孔231aおよび第2蒸気流動孔231bの内周に挿入される。これにより、貫通部16a,16bと蒸気流動孔231a,231bの間を密閉できる。また下部胴部230の底部の一側に備えられた第3蒸気流動孔231cの縁部には補助隔壁部238が突設される。
【0042】
図1ないし図4Bに示すように、上部胴部220は隔壁部232に対応する下面の外郭部に密閉部材222aが設けられるようにパッキング溝222が形成される。上部胴部220は隔壁部232の上端がパッキング溝222に挿入されるように下部胴部230上に安着され、密閉部材222aによりパッキング溝222および隔壁部232の間が密閉される。この時、隔壁部232により上部胴部220の下面と下部胴部230の底部の間が互いに離隔配置される。また補助隔壁部238が上部胴部220の一側に貫通形成された圧力錘貫通孔227の下縁部に密着されることにより補助隔壁部238の外面と隔壁部232の内面の間に案内空間kが形成される。
【0043】
上部胴部220の上面には、圧力錘貫通孔227の一側に案内空間kに連通する複数の貫通孔221が形成される。
【0044】
図3ないし図4Cに示すように、カバー部210は上部胴部220の上面をカバーし、上面の一側には圧力錘貫通孔227に対応する圧力錘露出孔228と、貫通孔221に対応する排出孔211とが形成される。
【0045】
またカバー部210の一端には下部胴部230の一端に突設した組立リブ233が挿入されるリブ挿入孔214が形成され、カバー部210の両側の内面には組立フック突起236aが係止するフック係止溝216が形成される。この時、下部胴部230の上部に上部胴部220が載置される。
【0046】
リブ挿入孔214に組立リブ233が挿入されるようにカバー部210が上部胴部220の上部をカバーした状態でフック係止溝216に組立フック突起236aが弾発挿入される。これにより、下部胴部230、上部胴部220およびカバー部210が一体に結合する。
【0047】
上部胴部220の両側の端部には外面下端に結合フック突起225aが突設した結合弾性片225が備えられる。詳しくは、下部胴部230、上部胴部220およびカバー部210が一体に組み立てられると、下部胴部230の結合リブ237を装着溝12の拘束段差12aの下部に挿入した後、カバー部210を装着溝12側に加圧する。
【0048】
図6に示したように、結合フック突起225aが装着溝12の両側の縁部に突設した結合段差12bに係合し、スチームキャップ20が装着溝12に取り付けられる。
【0049】
ここで、結合フック突起225aが結合段差12bの下端にフック結合すると、結合フック突起225a上に設けられた加圧突起225bが結合段差12b上に載置されて外部に露出される。加圧突起225bを内側に加圧して結合フック突起225aが結合段差12bの下端から離脱すると、スチームキャップ20を分離することができる。
【0050】
上部胴部220の他端には分離防止リブ224が突設される。この時、分離防止リブ224は、ハンドル11の端部11aが蓋部10の一端を向いているロック回転角度において、ハンドル11の下端11cに重なる長さを有する。
【0051】
これにより、蓋部10がロックされるハンドル11のロック回転角度では、分離防止リブ224がハンドル11の下端11cに係止されてスチームキャップ20の分離が防止される。ハンドル11がロック解除回転角度に回転して分離防止リブ224の上側から離脱すると、スチームキャップ20が分離される。
【0052】
なお、第2貫通部16bにはソレノイドバルブ50が設けられ、ソレノイドバルブ50は管型パッキング部材17bの内部に沿って第2蒸気流動孔231bに設けられる。この時、ソレノイドバルブ50は上部胴部220により上部がカバーされ、ソレノイドバルブ50から排出した蒸気は案内空間kに流動する。
【0053】
下部胴部230の底部の上面および上部胴部220の下面には、複数の流速制御リブ235,226が突設される。案内空間kに流動した蒸気は、流速制御リブ235,226と衝突して流速が低下した状態で貫通孔221および排出孔211を経てスチームキャップ20の外側に排出される。
【0054】
第3貫通部16cには圧力錘バルブ40が備えられ、圧力錘バルブ40は第3蒸気流動孔231cおよび圧力錘貫通孔227の内部に沿ってスチームキャップ20を貫通するように設けられる。
【0055】
この時、圧力錘バルブ40に流動した蒸気は、重量錘41の下部を介して排出されて補助隔壁部238の内面に衝突し、流速が低下した状態で圧力錘貫通孔227および圧力錘バルブ40の間の空間を介して外部に排出される。
【0056】
図2Aないし図5Aに示すように、圧力転換手段30は蓋部10の下面を貫通するように配置され、下端が内釜の内部に連通する。圧力転換手段30は上端が案内空間kに連通する中空型シリンダー330を含む。圧力転換手段30はシリンダー330の上部に配置されるようにスチームキャップ20に着脱し、シリンダー330の上部を開閉するように乗降する乗降蓋部320を含む。
【0057】
詳しくは、中空型シリンダー330は制御板15の装着部15dに固定した状態で下端331がリードプレート14の連通孔14aを貫通する。ここで、図2Aないし図5Cに示したように、リードプレート14の下部に露出した中空型シリンダー330の下端331には、複数の蒸気貫通孔341が形成されたシリンダーキャップ340が結合されることが好ましい。
【0058】
シリンダーキャップ340内周の上端には密封部材342aを備えたパッキング段差342が形成される。シリンダーキャップ340の内周およびシリンダー330の下端331の外周には互いに対応するネジ山が形成されている。シリンダーキャップ340がシリンダー330の下端331に回転締結されると、シリンダー330下部の外周の支持段差333とシリンダーキャップ340のパッキング段差342との間で連通孔14aの縁部に密封部材342aが圧着される。これにより、連通孔14aおよびシリンダー330の間を密閉できる。
【0059】
シリンダーキャップ340は、内釜カバー(図示せず)の蒸気流動孔に対向配置され、内釜内の蒸気は蒸気流動孔および蒸気貫通孔341を介してシリンダー330の中空に流動する。この時、シリンダー330の中空は、調理時に発生した蒸気が全部排出されて内釜内に圧力を発生させない大きさの断面積を有することが好ましい。
【0060】
シリンダー330の上端は第1貫通部16aを介して案内空間k内に配置され、管型パッキング17aの内部に沿って第1蒸気流動孔231aに設けられる。この時、シリンダー330の上端の外周には、管型パッキング17aの内周に突設した密封突起17cが挿入されるように陥没したリング型密閉溝部332が形成されることが好ましい。
【0061】
図2Aないし図5Bに示すように、上部胴部220には第1蒸気流動孔231aに対向する部分に蓋結合部223が備えられる。蓋結合部223は第1蒸気流動孔231aに結合したシリンダー330の上端から離隔配置される上部胴部220上部の他側に乗降蓋部320の断面積に対応するサイズで貫通形成される。この時、蓋結合部223には乗降蓋部320が組み立てられ、スチームキャップ20が蓋部10に組み立てられると、乗降蓋部320がシリンダー330の上端部に対向配置される。
【0062】
乗降蓋部320の外周には螺旋型結合突起321が突設され、蓋結合部223の内周には結合突起321に対応する螺旋型結合溝部223aが形成される。これにより、乗降蓋部320が蓋結合部223に回転締結されて着脱し、蓋結合部223の内部において上下方向に乗降する。
【0063】
乗降蓋部320はシリンダー330の中空の内径に対応する外径を有し、乗降蓋部320の外周の下端には密閉部材323が取り付けられるように半径方向の内側に陥没したリング型密封溝部322が形成される。図2Aに示したように、乗降蓋部320が下降すると、乗降蓋部320の下端がシリンダー330の中空内に挿入される。ここで、乗降蓋部320が下降すると、シリンダー330および乗降蓋部320の間が密閉部材323により密閉される。
【0064】
図2Bにおいて、乗降蓋部320が上昇すると、シリンダー330の上部が開放され、シリンダー330の上端および蓋結合部223の間の空間を介してシリンダー330の中空と案内空間kが互いに連通する。この時、内釜からシリンダー330の中空を介して流動した蒸気は、案内空間kおよび排出孔211を介して外部に排出される。
【0065】
ここで、シリンダー330の上端が閉鎖されると、内釜内の蒸気圧力がソレノイドバルブ50および圧力錘バルブ40の開閉により制御される圧力調理モードに転換される。またシリンダー330の上端が開放されると、内釜内の蒸気が案内空間kを介して持続的に排出される非圧力調理モードに転換される。
【0066】
非圧力調理モードでは、シリンダー330の中空を介して流動する蒸気が案内空間kを介して減速した状態で排出される。これにより、高温の蒸気が急速排出して発生し得る火傷などの安全事故を予防できるとともに、蒸気排出時の騒音が減少して、製品の安全性および使用便宜性が向上する。また調理過程において、シリンダー330の中空を介して飛散したり溢れたりする調理材料が案内空間kに集まって電気炊飯器の外部に流出しないので、より衛星的に使用できる。
【0067】
図2Bないし図6に示すように、スチームキャップ20が結合フック突起225aを用いたフック結合方式で蓋部10に容易に着脱できるので、洗浄などの維持管理が容易である。またフック結合時に拘束段差12aに拘束される結合リブ237およびハンドル11をロックする時にハンドル11の下端11cに拘束される分離防止リブ224を有することにより、より安定して固定できる。
【0068】
圧力調理モードにおいて、内釜内の圧力により乗降蓋部320が加圧されてスチームキャップ20が蓋部10から分離され、乗降蓋部320により密閉されたシリンダー330が開放される。これにより、高温の蒸気が噴出されたり内部の調理材料が飛散して排出されるなどの安全事故の危険を最小化することができる。
【0069】
一方、下部胴部230の底部は一側に行くほど下向傾斜し、底部の一側に補助隔壁部238を貫通するように陥没した排出溝部234が形成されることが好ましい。この時、排出溝部234は底部の一端から補助隔壁部238に向かって下向傾斜し、補助隔壁部238に連結された他端に開口孔234aが形成されて第3蒸気流動孔231cと連通する。
【0070】
詳しくは、非圧力調理モードにおいて、シリンダー330の中空を介して蒸気と一緒に排出される飯炊き時の水或いは異物などが底部の下向傾斜により排出溝部234側に集まる。また飯炊き時の水或いは異物などは、排出溝部234の下向傾斜により開口孔234aを介して第3蒸気流動孔231cから排出される。
【0071】
これにより、流速制御リブ226,235の間の狭い間隙或いは排出孔211などが異物により詰まることを防止でき、蒸気の減速排出性能を安定して維持できる。また排出孔211以外の個所から蒸気が排出されることを防止できるので、製品の安全性が向上する。
【0072】
図2Aないし図3に示すように、乗降蓋部320の上端にはDカット突起324が突設され、Dカット突起324には上部胴部220の上部に露出するように操作キャップ310が設けられる。ここで、操作キャップ310の中央部には陥没部315が形成され、陥没部315内にDカット突起324に対応する形状のDカット結合孔313が貫通形成される。
【0073】
なお、Dカット結合孔313を通過したDカット突起324の上部にDカット結合孔313の断面積より大きいヘッド面積を有するネジ部材が締結されることにより、操作キャップ310と乗降蓋部320が結合する。また陥没部315の上端はDカット結合孔313およびネジ部材の上部が外部に露出されないように仕上げ部材314によりカバーされることが好ましい。この時、操作キャップ310を回転操作することにより乗降蓋部320が連動回転して蓋結合部223の内周を乗降する。
【0074】
図1ないし図2Aに示したように、操作キャップ310は互いに対向する外周の他側および一側にハンドル型合部311a,311bを備える。ここで、操作キャップ310はハンドル11のロック回転時に端部11aに隣接して配置される。また他側のハンドル型合部311aがハンドル11のロック回転時に端部11aに対向する基準角度に回転すると、シリンダー330の上端が閉鎖されて圧力調理モードに転換される。また一側のハンドル型合部311bが基準角度に回転すると、シリンダー330の上端が開放されて非圧力調理モードに転換される。
【0075】
この時、ハンドル型合部311a,311bはハンドル11の端部11aの回転軌跡11bに対応するように半径方向の内側に陥没形成されてハンドル11のラウンドした端部11aに型合する形状を有する。
【0076】
ハンドル型合部311a,311bを除いた操作キャップ310のその他の外周部316は、ハンドル11の端部11aの回転軌跡11bと重なるように形成することが好ましい。ここで、操作キャップ310はシリンダー330の開閉過程において乗降蓋部320と一緒に乗降する。したがって、ハンドル型合部311a,311bは調理モードの転換のための操作キャップ310の乗降時にハンドル11の端部11aが位置する高さ範囲を完全に離脱しないように上下方向の厚さが設定される。
【0077】
これにより、ハンドル11がロック解除回転角度に回転して操作キャップ310から離隔配置されると、操作キャップ310が自由回転する。またハンドル型合部311a,311bのうちのいずれか一方を基準角度に回転して、圧力調理モードまたは非圧力調理モードを選択することができる。
【0078】
調理モードの選択後、ハンドル11がロック回転角度に回転すると、ハンドル11の端部11aが基準角度に位置するハンドル型合部311a,311bに型合う。またハンドル11がロック回転角度に回転すると、操作キャップ310のその他の外周部316がハンドル11の端部11aに係止して操作キャップ310の回転が制限される。即ち、ハンドル11のロック解除時にのみ操作キャップ310の回転およびそれによる調理モードの転換に可能であり、ハンドル11のロック時には調理モードの転換が不可能である。
【0079】
これにより、圧力調理モードにおいて、ユーザの誤操作による操作キャップ310の回転およびそれによる圧力転換手段30の開放を防止できる。したがって、内釜内の高圧蒸気がシリンダー330から排出されて発生し得る安全事故または調理品質の低下を予防できる。
【0080】
ハンドル11のロック解除状態では、操作キャップ310を回転することにより、圧力が不要な料理のための非圧力調理モードと、圧力炊事など高圧が必要な料理のための圧力調理モードとを容易に転換できる。
【0081】
これにより、一つの装置で様々な調理方法を自由に使用でき、圧力炊事時の粘つく食感と非圧力炊事時の柔らかい食感などユーザの好みに合わせた炊事が可能であり、製品の互換性および炊事品質が向上する。さらに非圧力調理モードでは圧力安全装置が駆動しないため蓋部10の自由開閉が可能であり、調理中に材料の追加投入や調理状態の確認が容易であるため、製品の使用便宜性が向上する。
【0082】
またシリンダー330の上端が開放または閉鎖されるように操作キャップ310が正確に回転していない場合は、ハンドル11の端部11aが操作キャップ310のその他の外周部316に係止してハンドル11のロック回転が不可能になる。したがってユーザが圧力調理モードおよび非圧力調理モードのうちいずれか一方が選択されていない状態を容易に認知でき、製品の安全性および使用便宜性が向上する。
【0083】
ここで、両側のハンドル型合部311a,311bの間には操作キャップ310の回転操作時の便宜のためにグリップ溝部312a,312bが設けられる。グリップ溝部312a,312bは、操作キャップ310の外周の下部に沿ってハンドル11の端部11aの回転軌跡11bと重なる部分316が維持されるように、操作キャップ310の外周のうち上側の一部が半径方向の内側に陥没して形成されることが好ましい。
【0084】
以上、本発明は、限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であればこのような記載から多様な修正および変形が可能である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものによって定められる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6