(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】作業機械、および作業機械を含むシステム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220816BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220816BHJP
G07C 5/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/26 B
G07C5/02
(21)【出願番号】P 2018055079
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大門 正樹
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-132581(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114782(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191245(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0078340(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
G07C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に取り付けられた作業機と、
前記作業機による個々の掘削作業の作業内容を判別するコントローラとを備え、前記個々の掘削作業の作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含み、
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の開始から終了までの各時刻における前記作業内容をリアルタイムに判別し、
前記個々の掘削作業の終了時の作業内容の判別結果に基づいて、
前記個々の掘削作業の開始から終了までの各時刻における前記リアルタイムに判別した前記作業内容を更新する、作業機械。
【請求項2】
車体と、
前記車体に取り付けられた作業機と、
前記作業機による個々の掘削作業の作業内容を判別するコントローラとを備え、前記個々の掘削作業の作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含み、
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の終了時に前記作業内容を判別し、前記個々の掘削作業の終了時に判別された前記作業内容を、前記個々の掘削作業の開始から終了までの前記作業内容として特定する、作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の開始から終了までの前記作業内容を、前記個々の掘削作業の終了時に判別された前記作業内容に更新する、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記作業機械は、前記作業機械の状態を検出する少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記コントローラは、前記センサの信号に基づき前記作業機械が前記個々の掘削作業を実行していることを判定する、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項5】
前記コントローラは、特定された前記作業内容毎の作業結果を出力する、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記コントローラは、複数のオペレータによる前記作業結果をオペレータ毎に出力する、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記コントローラは、特定された前記作業内容から、特定の前記作業内容を抽出する、請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
前記コントローラは、抽出する対象の前記作業内容を選択する選択部をさらに有する、請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
前記コントローラは、抽出された特定の前記作業内容における前記作業機の動作軌跡を出力する、請求項7または8に記載の作業機械。
【請求項10】
前記作業機械は、前記作業機械を操作する操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、抽出された特定の前記作業内容における前記操作装置の操作履歴を出力する、請求項7または8に記載の作業機械。
【請求項11】
前記作業機械は、前記作業機の角度を検出する作業機角度検出装置をさらに備え、
前記コントローラは、抽出された特定の前記作業内容における前記作業機の角度の履歴を出力する、請求項7または8に記載の作業機械。
【請求項12】
前記作業機は、バケットを有し、
前記コントローラは、前記バケットの軌跡に基づいて前記作業内容を判別する、請求項1~11のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項13】
前記作業機は、ブームと、バケットとを有し、
前記コントローラは、前記車体に対する前記ブームの角度と前記ブームに対する前記バケットの角度との比に基づいて、前記作業内容を判別する、請求項1~11のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項14】
前記作業機械の前進および後進の切換のために操作される前後進切換装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記前後進切換装置の操作結果に基づいて、前記作業内容を判別する、請求項1~11のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項15】
前記作業機は、バケットを有し、
前記作業機械は、前記バケットの動作のために操作されるバケット操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記バケット操作装置の操作結果に基づいて、前記作業内容を判別する、請求項1~11のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項16】
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の終了時よりも前に判別された前記作業内容が掘削積込であり、前記個々の掘削作業の終了時に判別された前記作業内容がかき上げである場合、前記個々の掘削作業の開始から終了までの前記作業内容をかき上げと特定する、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項17】
車体と前記車体に取り付けられた作業機とを有する作業機械を含むシステムであって、
前記作業機による個々の掘削作業の作業内容を判別するコントローラを備え、前記個々の掘削作業の作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含み、
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の開始から終了までの各時刻における前記作業内容をリアルタイムに判別し、
前記個々の掘削作業の終了時の作業内容の判別結果に基づいて、
前記個々の掘削作業の開始から終了までの各時刻における前記リアルタイムに判別した前記作業内容を更新する、システム。
【請求項18】
車体と前記車体に取り付けられた作業機とを有する作業機械を含むシステムであって、
前記作業機による個々の掘削作業の作業内容を判別するコントローラを備え、前記個々の掘削作業の作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含み、
前記コントローラは、前記個々の掘削作業の終了時に前記作業内容を判別し、前記個々の掘削作業の終了時に判別された前記作業内容を、前記個々の掘削作業の開始から終了までの前記作業内容として特定する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械、および作業機械を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダに関し、ホイールローダ本体に設けられた検出装置の検出信号により直接作業、間接作業および待ち作業を判別する技術が、たとえば特開平2-132581号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホイールローダによる作業のうち、車両を前進させるとともにブームを上昇させてバケットに土砂を掬い込み、掬い込んだ土砂をダンプトラックの荷台上などに積み込む掘削積込作業は、燃料を多く消費する作業の1つである。掘削積込作業により得られる土砂の荷重値(ペイロード重量)は、ホイールローダの生産性に関係する要素である。そのため、掘削積込作業は、燃費および生産性面で重要な作業である。
【0005】
一方で、ホイールローダは、掘削積込と同様にブームを上昇させる動作をするが積込をしない作業として、バケットに掬い込んだ土砂をその場で排土して積み上げる、かき上げ作業を行なう場合がある。かき上げ作業は、土砂の山の形状を整え、掘削積込作業を行ないやすくするための作業であるが、直接的にホイールローダの生産量に関係しない。
【0006】
単位燃料消費量当たりのペイロード重量を正確に計測するために、掘削積込作業とかき上げ作業とを正確に判別することが求められている。また、オペレータに対して適切な運転指導を行なうために、掘削積込作業とかき上げ作業とを正確に判別し、掘削積込作業の運転データを抽出して、抽出データを基に運転指導を行ないたいという要求がある。
【0007】
本開示では、作業機による作業内容をより正確に判別できる、作業機械および作業機械を含むシステムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一の局面に従うと、車体と、車体に取り付けられた作業機と、作業機による作業内容を判別するコントローラとを備える、作業機械が提供される。作業機による作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含む。コントローラは、作業開始から作業終了までの作業履歴における時間的に離れた2以上の作業内容の判別結果に基づいて、作業開始から作業終了までの作業内容を特定する。
【0009】
本開示の一の局面に従うと、車体と、車体に取り付けられた作業機と、作業機による作業内容を判別するコントローラとを備える、作業機械が提供される。作業機による作業内容は、ドージング、かき上げおよび掘削積込のうち少なくとも2つを含む。コントローラは、作業終了時に作業内容を判別し、作業終了時に判別された作業内容を、作業開始から作業終了までの作業内容として特定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従えば、作業機による作業内容をより正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に基づくホイールローダの側面図である。
【
図3】実施形態に基づくホイールローダによる掘削作業を説明する図である。
【
図4】ホイールローダの掘削動作および積込動作を構成する一連の作業工程の例を示す模式図である。
【
図5】ホイールローダの掘削動作および積込動作を構成する一連の作業工程の判定方法を示すテーブルである。
【
図6】実施形態に基づくホイールローダによるかき上げ作業を説明する図である。
【
図7】実施形態に基づくホイールローダによるドージング作業を説明する図である。
【
図8】第1処理装置内の掘削分類処理を示すフローチャートである。
【
図9】ホイールローダによる作業内容を判別するためのテーブルである。
【
図10】ホイールローダによる作業中の、バケットの刃先の軌跡を示すグラフである。
【
図12】掘削分類毎の時間割合を示す模式図である。
【
図13】掘削積込作業を抽出した場合の作業機の動作軌跡を示す模式図である。
【
図14】作業内容の判別前および判別後における単位燃料消費量当たりの掘削積込重量の比較を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<全体構成>
実施形態においては、作業機械の一例としてホイールローダ1について説明する。
図1は、実施形態に基づくホイールローダ1の側面図である。
【0014】
図1に示すように、ホイールローダ1は、車体フレーム2と、作業機3と、走行装置4と、キャブ5とを備えている。走行装置4は、走行輪4a,4bを含んでいる。ホイールローダ1は、走行輪4a,4bが回転駆動されることにより自走可能であり、作業機3を用いて所望の作業を行うことができる。
【0015】
車体フレーム2は、前フレーム11と後フレーム12とを含んでいる。前フレーム11と後フレーム12とは、互いに左右方向に揺動可能に取り付けられている。前フレーム11と後フレーム12とには、ステアリングシリンダ13が取り付けられている。ステアリングシリンダ13は、油圧シリンダである。ステアリングシリンダ13がステアリングポンプ(図示せず)からの作動油によって伸縮することによって、ホイールローダ1の進行方向が左右に変更される。
【0016】
本明細書中において、ホイールローダ1が直進走行する方向を、ホイールローダ1の前後方向という。ホイールローダ1の前後方向において、車体フレーム2に対して作業機3が配置されている側を前方向とし、前方向と反対側を後方向とする。ホイールローダ1の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向である。前方向を見て左右方向の右側、左側が、それぞれ右方向、左方向である。ホイールローダ1の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0017】
前後方向とは、キャブ5内の運転席に着座した作業者の前後方向である。左右方向とは、運転席に着座した作業者の左右方向である。左右方向とは、ホイールローダ1の車幅方向である。上下方向とは、運転席に着座した作業者の上下方向である。運転席に着座した作業者に正対する方向が前方向であり、運転席に着座した作業者の背後方向が後方向である。運転席に着座した作業者が正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。運転席に着座した作業者の足元側が下側、頭上側が上側である。
【0018】
前フレーム11には、作業機3および走行輪4aが取り付けられている。作業機3は、ブーム14と、バケット6とを含んでいる。ブーム14の基端部は、ブームピン10によって前フレーム11に回転自在に取付けられている。バケット6は、ブーム14の先端に位置するバケットピン17によって、回転自在にブーム14に取付けられている。前フレーム11とブーム14とは、ブームシリンダ16により連結されている。ブームシリンダ16は、油圧シリンダである。ブームシリンダ16が作業機ポンプ25(
図2参照)からの作動油によって伸縮することによって、ブーム14が昇降する。ブームシリンダ16は、ブーム14を駆動する。
【0019】
作業機3は、ベルクランク18と、チルトシリンダ19と、チルトロッド15とをさらに含んでいる。ベルクランク18は、ブーム14のほぼ中央に位置する支持ピン18aによって、ブーム14に回転自在に支持されている。チルトシリンダ19は、ベルクランク18の基端部と前フレーム11とを連結している。チルトロッド15は、ベルクランク18の先端部とバケット6とを連結している。チルトシリンダ19は、油圧シリンダである。チルトシリンダ19が作業機ポンプ25(
図2参照)からの作動油によって伸縮することによって、バケット6が上下に回動する。チルトシリンダ19は、バケット6を駆動する。
【0020】
後フレーム12には、キャブ5および走行輪4bが取り付けられている。キャブ5は、ブーム14の後方に配置されている。キャブ5は、車体フレーム2上に載置されている。キャブ5内には、オペレータが着座するシートおよび操作装置などが配置されている。
【0021】
図2は、ホイールローダ1の構成を示す概略ブロック図である。ホイールローダ1は、エンジン20、動力取り出し部22、動力伝達機構23、シリンダ駆動部24、第1角度検出器29、第2角度検出器48、および第1処理装置30を備えている。
【0022】
エンジン20は、たとえばディーゼルエンジンである。エンジン20の出力は、エンジン20のシリンダ内に噴射する燃料量を調整することにより制御される。
【0023】
動力取り出し部22は、エンジン20の出力を、動力伝達機構23とシリンダ駆動部24とに振り分ける装置である。
【0024】
動力伝達機構23は、エンジン20からの駆動力を前輪4aおよび後輪4bに伝達する機構である。動力伝達機構23は、入力軸21の回転を変速して出力軸23aに出力する。
【0025】
動力伝達機構23の出力軸23aには、ホイールローダ1の車速を検出するための車速検出器27が取り付けられている。ホイールローダ1は、車速検出器27を含んでいる。車速検出器27は、出力軸23aの回転速度を検出することにより、走行装置4によるホイールローダ1の移動速度を検出する。車速検出器27は、出力軸23aの回転速度を検出するための回転センサとして機能する。車速検出器27は、走行装置4による移動を検出する移動検出器として機能する。車速検出器27は、ホイールローダ1の車速を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0026】
シリンダ駆動部24は、作業機ポンプ25および制御弁26を有している。エンジン20の出力は、動力取り出し部22を介して、作業機ポンプ25に伝達される。作業機ポンプ25から吐出された作動油は、制御弁26を介して、ブームシリンダ16およびチルトシリンダ19に供給される。
【0027】
ブームシリンダ16には、ブームシリンダ16の油室内の油圧を検出するための第1油圧検出器28a,28bが取り付けられている。ホイールローダ1は、第1油圧検出器28a,28bを含んでいる。第1油圧検出器28a,28bは、たとえばヘッド圧検出用の圧力センサ28aと、ボトム圧検出用の圧力センサ28bとを有している。
【0028】
圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のヘッド側に取り付けられている。圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のシリンダヘッド側油室内の作動油の圧力(ヘッド圧)を検出することができる。圧力センサ28aは、ブームシリンダ16のヘッド圧を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0029】
圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のボトム側に取り付けられている。圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のシリンダボトム側油室内の作動油の圧力(ボトム圧)を検出することができる。圧力センサ28bは、ブームシリンダ16のボトム圧を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0030】
第1角度検出器29は、たとえば、ブームピン10に取り付けられたポテンショメータである。第1角度検出器29は、ブーム14の持ち上がり角度(チルト角度)を表すブーム角度を検出する。第1角度検出器29は、ブーム角度を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0031】
具体的には、
図1に示すように、ブーム角度θは、ブームピン10の中心から前方に延びる水平線LHに対する、ブームピン10の中心からバケットピン17の中心に向かう方向に延びる直線LBの角度である。直線LBが水平である場合をブーム角度θ=0°と定義する。直線LBが水平線LHよりも上方にある場合にブーム角度θを正とする。直線LBが水平線LHよりも下方にある場合にブーム角度θを負とする。
【0032】
第1角度検出器29は、ブームシリンダ16に配置されたストロークセンサであってもよい。
【0033】
第2角度検出器48は、たとえば、支持ピン18aに取り付けられたポテンショメータである。第2角度検出器48は、ブーム14に対するベルクランク18の角度(ベルクランク角度)を検出することにより、ブーム14に対するバケット6のチルト角度を表すバケット角度を検出する。第2角度検出器48は、バケット角度を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。バケット角度はたとえば、直線LBと、バケットピン17の中心とバケット6の刃先6aとを結ぶ直線との成す角度である。バケット6の刃先6aが直線LBよりも上方にある場合にバケット角度を正とする。
【0034】
第2角度検出器48は、チルトシリンダ19に配置されたストロークセンサであってもよい。
【0035】
ホイールローダ1は、キャブ5内に、オペレータによって操作される操作装置を備えている。操作装置は、前後進切換装置49、アクセル操作装置51、ブーム操作装置52、バケット操作装置54、およびブレーキ操作装置58を含んでいる。
【0036】
前後進切換装置49は、操作部材49aと、部材位置検出センサ49bとを含んでいる。操作部材49aは、車両の前進および後進の切換を指示するためにオペレータによって操作される。操作部材49aは、前進(F)、中立(N)、および後進(R)の各位置に切り換えられることができる。部材位置検出センサ49bは、操作部材49aの位置を検出する。部材位置検出センサ49bは、操作部材49aの位置によって表される前後進指令の検出信号(前進、中立、後進)を第1処理装置30に出力する。
【0037】
アクセル操作装置51は、アクセル操作部材51aと、アクセル操作検出部51bとを含んでいる。アクセル操作部材51aは、エンジン20の目標回転速度を設定するためにオペレータによって操作される。アクセル操作検出部51bは、アクセル操作部材51aの操作量(アクセル操作量)を検出する。アクセル操作検出部51bは、アクセル操作量を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。
【0038】
ブレーキ操作装置58は、ブレーキ操作部材58aと、ブレーキ操作検出部58bとを含んでいる。ブレーキ操作部材58aは、ホイールローダ1の減速力を操作するために、オペレータによって操作される。ブレーキ操作検出部58bは、ブレーキ操作部材58aの操作量(ブレーキ操作量)を検出する。ブレーキ操作検出部58bは、ブレーキ操作量を示す検出信号を第1処理装置30に出力する。ブレーキ操作量としてブレーキオイルの圧力が用いられてもよい。
【0039】
ブーム操作装置52は、ブーム操作部材52aと、ブーム操作検出部52bとを含んでいる。ブーム操作部材52aは、ブーム14を上げ動作または下げ動作させるためにオペレータによって操作される。ブーム操作検出部52bは、ブーム操作部材52aの位置を検出する。ブーム操作検出部52bは、ブーム操作部材52aの位置によって表されるブーム14の上げ指令または下げ指令の検出信号を、第1処理装置30に出力する。
【0040】
バケット操作装置54は、バケット操作部材54aと、バケット操作検出部54bとを含んでいる。バケット操作部材54aは、バケット6を掘削動作またはダンプ動作させるためにオペレータによって操作される。バケット操作検出部54bは、バケット操作部材54aの位置を検出する。バケット操作検出部54bは、バケット操作部材54aの位置によって表されるバケット6の掘削方向またはダンプ方向への動作指令の検出信号を、第1処理装置30に出力する。
【0041】
第1角度検出器29、第2角度検出器48、第1油圧検出器28a,28b、ブーム操作検出部52bおよびバケット操作検出部54bは、作業機センサに含まれる。作業機センサは、作業機3の状態を検知するものである。また作業機センサの検出値から、バケット6内の積載重量を算出することができる。この作業機センサは、圧力センサまたはひずみセンサの少なくとも一方を含む。作業機センサは作業機位置センサを含む。作業機位置センサは、たとえば第1角度検出器29、第2角度検出器48、ブーム操作検出部52bおよびバケット操作検出部54bである。
【0042】
第1処理装置30は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置と、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含むマイクロコンピュータで構成されている。第1処理装置30は、エンジン20、作業機3、動力伝達機構23等の動作を制御する、ホイールローダ1のコントローラの機能の一部として実現されてもよい。第1処理装置30には、車速検出器27によって検出されるホイールローダ1の車速の信号と、第1角度検出器29によって検出されるブーム角度の信号と、圧力センサ28bによって検出されるブームシリンダ16のボトム圧の信号と、前後進切換装置49によって検出される前後進指令の信号とが入力される。第1処理装置30は、入力された以上の信号に基づいて、バケット6の荷の運搬作業情報を積算する。
【0043】
運搬作業情報とは、たとえば、運搬作業回数、総運搬重量、総運搬距離、総仕事量である。運搬作業回数とは、当該積算を開始してから終了するまでにVシェープなどの所定の運搬作業を行った回数を表す。当該積算を開始して終了するまでの期間とは、たとえば、1日などの所定の時間内においてオペレータがホイールローダ1を運転している期間を意味する。当該期間は、オペレータごとに分けて管理されるとよい。また、当該期間は、オペレータによって手動で設定されてもよい。総運搬重量とは、当該積算を開始してから終了するまでにバケット6が運搬した荷の総重量である。総運搬距離とは、当該積算を開始してから終了するまでに、バケット6に荷を積んだ状態でホイールローダ1が移動した総距離である。総仕事量とは、当該積算を開始してから終了するまでの、総運搬重量と総運搬距離との積である。
【0044】
第1処理装置30には、第2角度検出器48によって検出されるバケット角度の信号が入力される。第1処理装置30は、ホイールローダ1の車速の信号と、ブーム角度の信号と、バケット角度の信号とに基づいて、バケット6の刃先6aの現在位置を算出する。
【0045】
ホイールローダ1は、表示部40および出力部45をさらに備えている。表示部40は、キャブ5に配置された、オペレータが視認するモニタである。表示部40は、第1処理装置30によって計数された運搬作業情報を表示する。
【0046】
出力部45は、ホイールローダ1の外部に設置されたサーバ(第2処理装置70)に、運搬作業情報を出力する。出力部45は、たとえば、無線通信などの通信機能を有し、第2処理装置70の入力部71と通信してもよい。または、出力部45は、たとえば、第2処理装置70の入力部71がアクセス可能な携帯記憶装置(メモリカードなど)のインタフェースであってもよい。第2処理装置70は、モニタ機能にあたる表示部75を有しており、出力部45から出力された運搬作業情報を表示することができる。
【0047】
<掘削作業>
本実施形態のホイールローダ1は、土砂などの掘削対象物を掬い取る掘削作業を実行する。
図3は、実施形態に基づくホイールローダ1による掘削作業を説明する図である。
【0048】
図3に示されるように、ホイールローダ1は、バケット6の刃先6aを掘削対象物100に食い込ませた後に、
図3中の曲線矢印のように、バケット軌跡Lに沿ってバケット6を上昇させる。これにより、掘削対象物100を掬い取る掘削作業が実行される。
【0049】
本実施形態のホイールローダ1は、掘削対象物100をバケット6に掬い取る掘削動作と、バケット6内の荷(掘削対象物100)をダンプトラック200などの運搬機械に積み込む積込動作とを実行する。
図4は、実施形態に基づくホイールローダ1の掘削動作および積込動作を構成する一連の作業工程の例を示す模式図である。ホイールローダ1は、次のような複数の作業工程を順次に行うことを繰り返して、掘削対象物100を掘削し、ダンプトラック200などの運搬機械に掘削対象物100を積み込んでいる。
【0050】
図4(A)に示されるように、ホイールローダ1は、掘削対象物100に向かって前進する。この空荷前進工程において、オペレータは、ブームシリンダ16およびチルトシリンダ19を操作して、作業機3をブーム14の先端が低い位置にありバケット6が水平を向いた掘削姿勢にして、ホイールローダ1を掘削対象物100に向けて前進させる。
【0051】
図4(B)に示されるように、バケット6の刃先6aが掘削対象物100に食い込むまで、オペレータはホイールローダ1を前進させる。この掘削(突込み)工程において、バケット6の刃先6aが掘削対象物100に食い込む。
【0052】
図4(C)に示されるように、その後オペレータは、ブームシリンダ16を操作してバケット6を上昇させるとともに、チルトシリンダ19を操作してバケット6をチルトバックさせる。この掘削(掬込み)工程により、図中の矢印のようにバケット軌跡Lに沿ってバケット6が上昇し、バケット6内に掘削対象物100が掬い込まれる。これにより、掘削対象物100を掬い取る掘削作業が実行される。
【0053】
掘削対象物100の種類によって、バケット6を1回チルトバックさせるだけで掬込み工程が完了する場合がある。または、掬込み工程において、バケット6をチルトバックさせ、中立にし、再びチルトバックさせるという動作を繰り返す場合もある。
【0054】
図4(D)に示されるように、バケット6に掘削対象物100が掬い込まれた後、オペレータは、積荷後進工程にて、ホイールローダ1を後進させる。オペレータは、後退しながらブーム上げをしてもよく、
図4(E)にて前進しながらブーム上げをしてもよい。
【0055】
図4(E)に示されるように、オペレータは、バケット6を上昇させた状態を維持しながら、またはバケット6を上昇させながら、ホイールローダ1を前進させてダンプトラック200に接近させる。この積荷前進工程により、バケット6はダンプトラック200の荷台のほぼ真上に位置する。
【0056】
図4(F)に示されるように、オペレータは、所定位置でバケット6をダンプして、バケット6内の荷(掘削対象物)をダンプトラック200の荷台上に積み込む。この工程は、いわゆる排土工程である。この後、オペレータは、ホイールローダ1を後進させながらブーム14を下げ、バケット6を掘削姿勢に戻す。
【0057】
以上が、掘削積込作業の1サイクルをなす典型的な作業工程である。
図5は、ホイールローダ1の掘削動作および積込動作を構成する一連の作業工程の判定方法を示すテーブルである。
【0058】
図5に示したテーブルにおいて、一番上の「作業工程」の行には、
図4(A)~
図4(F)に示した作業工程の名称が示されている。その下の「前後進切換レバー」、「作業機操作」および「作業機シリンダ圧力」の行には、現在の作業工程がどの工程であるかを判定するために第1処理装置30(
図2)が使用する、各種の判定条件が示されている。
【0059】
より詳細には、「前後進切換レバー」の行には、前後進切換レバー(操作部材49a)に対するオペレータの操作についての判定条件が丸印で示されている。
【0060】
「作業機操作」の行には、作業機3に対するオペレータの操作についての判定条件が丸印で示されている。より詳細には、「ブーム」の行にはブーム14に対する操作に関する判定条件が示されており、「バケット」の行にはバケット6に対する操作に関する判定条件が示されている。
【0061】
「作業機シリンダ圧力」の行には、作業機3のシリンダの現在の油圧、たとえばブームシリンダ16のシリンダボトム室の油圧、についての判定条件が示されている。ここで、油圧に関して、4つの基準値A,B,C,Pが予め設定され、これら基準値A,B,C,Pによって複数の圧力範囲(基準値P未満の範囲、基準値AからCの範囲、基準値BからPの範囲、基準値C未満の範囲)が定義され、これらの圧力範囲が上記判定条件として設定されている。4つの基準値A,B,C,Pの大きさは、A>B>C>Pとなっている。
【0062】
以上のような各作業工程ごとの「前後進切換レバー」、「ブーム」、「バケット」および「作業機シリンダ圧力」の判定条件の組み合わせを用いることにより、第1処理装置30は、現在行われている作業がどの作業工程にあるのかを判定可能である。
【0063】
図5に示した制御を行う場合の第1処理装置30の具体的動作を以下に説明する。
図5に示した各作業工程に対応する「前後進切換レバー」、「ブーム」、「バケット」および「作業機シリンダ圧力」の判定条件の組み合わせが、記憶部30j(
図2)に予め格納されている。第1処理装置30は、前後進切換装置49からの信号に基づいて、前後進切換レバーに対する現在の操作の種類(F,N,R)を把握する。第1処理装置30は、ブーム操作検出部52bからの信号に基づいて、ブーム14に対する現在の操作の種類(下げ、中立または上げ)を把握する。第1処理装置30は、バケット操作検出部54bからの信号に基づいて、バケット6に対する現在の操作の種類(ダンプ、中立またはチルトバック)を把握する。さらに、第1処理装置30は、
図2に示した圧力センサ28bからの信号に基づいて、ブームシリンダ16のシリンダボトム室の現在の油圧を把握する。
【0064】
第1処理装置30は、把握された現在の前後進切換レバー操作種類、ブーム操作種類、バケット操作種類およびブームシリンダ油圧の組み合わせ(つまり現在の作業状態)を、予め記憶してある各作業工程に対応する「前後進切換レバー」、「ブーム」、「バケット」および「作業機シリンダ圧力」の判定条件の組み合わせと対照する。この対照する処理の結果として、第1処理装置30は、現在の作業状態に最も良く一致する判定条件の組み合わせがどの作業工程に対応するのかを判定する。
【0065】
ここで、
図5に示す掘削積込動作を構成する各作業工程に対応する判定条件の組み合わせは、具体的には次のとおりである。
【0066】
空荷前進工程においては、前後進切換レバーがFであり、ブーム操作とバケット操作とがともに中立であり、作業機シリンダ圧力が基準値P未満である。
【0067】
掘削(突込み)工程においては、前後進切換レバーがF、ブーム操作とバケット操作とが共に中立、作業機シリンダ圧力が基準値AからCの範囲である。
【0068】
掘削(掬込み)工程においては、前後進切換レバーがFまたはR、ブーム操作が上げまたは中立、バケット操作がチルトバック、作業機シリンダ圧力が基準値AからCの範囲である。バケット操作については、チルトバックと中立とが交互に繰り返される判定条件をさらに追加してもよい。掘削対象物100の状態によっては、バケット6をチルトバックさせ、中立にし、再びチルトバックさせるという動作を繰り返す場合があるからである。
【0069】
積荷後進工程においては、前後進切換レバーがR、ブーム操作が中立または上げ、バケット操作が中立、作業機シリンダ圧力が基準値BからPの範囲である。
【0070】
積荷前進工程においては、前後進切換レバーがF、ブーム操作が上げまたは中立、バケット操作が中立、作業機シリンダ圧力が基準値BからPの範囲である。
【0071】
排土工程においては、前後進切換レバーがF、ブーム操作が上げまたは中立、バケット操作がダンプ、作業機シリンダ圧力が基準値BからPの範囲である。
【0072】
後進・ブーム下げ工程においては、前後進切換レバーがR、ブーム操作が下げ、バケット操作がチルトバック、作業機シリンダ圧力が基準値P未満である。
【0073】
さらに、
図5には、ホイールローダ1が単純に走行する単純走行工程が示されている。単純走行工程では、オペレータはブーム14を低い位置にしてホイールローダ1を前進させる。バケット6に荷を積んで荷を運搬する場合もあるし、バケット6に荷を積まずに走行する場合もある。単純走行工程においては、前後進切換レバーがF(前進時。後進時にはR)、ブーム操作が中立、バケット操作が中立、作業機シリンダ圧力が基準値C未満である。
【0074】
<かき上げ作業>
本実施形態のホイールローダ1は、バケット6に掬い込んだ土砂などの掘削対象物100をその場で排土して積み上げるかき上げ作業を実行する。
図6は、実施形態に基づくホイールローダ1によるかき上げ作業を説明する図である。
【0075】
図6に示されるように、ホイールローダ1は、バケット6の刃先6aを掘削対象物100に食い込ませた後に、
図6中の曲線矢印のように、バケット軌跡Lに沿ってバケット6を上昇させる。ホイールローダ1はさらに、バケット6をダンプ動作させる。これにより、バケット6に掬い込んだ掘削対象物100をその場で排土して積み上げるかき上げ作業が実行される。
【0076】
かき上げ作業では、バケット6のダンプ動作が作業の終了時に行なわれるため、作業終了時のブーム14の位置が掘削積込作業よりも高くなることが多い。かき上げ作業を行なう場合には、バケット6に掬い込んだ掘削対象物100をより高い位置で排土できるように、ホイールローダ1が掘削対象物100の山を中腹まで登るように走行することもある。
【0077】
<ドージング作業>
本実施形態のホイールローダ1は、バケット6の刃先6aを地面付近に位置させて走行することで地面を均すドージング(整地)作業を実行する。
図7は、実施形態に基づくホイールローダ1によるドージング作業を説明する図である。
【0078】
図7に示されるように、ホイールローダ1は、刃先6aが地面付近に位置するようにバケット6を配置した後に、
図7中の矢印のように、前進走行する。これにより、バケット6の刃先6aによって地面が均されて整地されるドージング作業が実行される。ドージング作業の終了時には、バケット6内に入り込んだ土砂を排土するために、バケット6をダンプ動作させることがある。
【0079】
<作業内容判別方法>
本実施形態のホイールローダ1において、第1処理装置30は、作業機3による作業内容がドージング、かき上げおよび掘削積込のいずれの作業であるかを判別する。この作業内容の判別を、掘削分類と定義する。
図8は、第1処理装置30内の掘削分類処理を示すフローチャートである。
【0080】
図8に示されるように、まずステップS11において、作業工程が掘削であるか否かが判定される。第1処理装置30は、
図4,5を参照して説明した通り、現在の前後進切替レバー操作種類、ブーム操作種類、バケット操作種類およびブームシリンダ油圧の組み合わせ(つまり現在の作業状態)を、予め記憶してある各作業工程に対応する「前後進切替レバー」、「ブーム」、「バケット」および「作業機シリンダ圧力」の判定条件の組み合わせと対照して、現在の作業工程が掘削であるかを判定する。
【0081】
作業工程が掘削であると判定された場合(ステップS11においてYES)、ステップS12,S14,S16において掘削作業の分類を行なう。すなわち、掘削作業について、ドージング、かき上げおよび掘削積込のいずれの作業であるかを判別する。ステップS12,S14,S16の処理は、第1処理装置30のサンプリング周期毎、すなわちリアルタイムに実行される。
【0082】
ステップS12において、掘削と判定された作業工程において、ドージング作業が行なわれているか否かを最初に判別する。
図9は、ホイールローダ1による作業内容を判別するためのテーブルである。
図10は、ホイールローダ1による作業中の、バケット6の刃先6aの軌跡を示すグラフである。
図10(1)の横軸は、水平方向のバケット6の刃先6aの軌跡(刃先軌跡X、単位:m)を示し、
図10(1)の縦軸は、垂直方向のバケット6の刃先6aの軌跡(刃先軌跡Y、単位:m)を示す。
図10(2)の横軸は、
図10(1)と同様の刃先軌跡Xを示し、
図10(2)の縦軸は、
図1,2を参照して説明したバケット角度(単位:°)を示す。
【0083】
図9(A)に、ホイールローダ1の作業内容がドージング作業であるか否かを判別するためのテーブルを示す。
図10(1)のカーブ(A)に、ドージング作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、垂直方向の刃先軌跡Yとの関係の一例を示す。
図10(2)のカーブ(A)に、ドージング作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、バケット角度との関係の一例を示す。
【0084】
図7を参照して説明した通り、ホイールローダ1は、ドージング作業を実行するとき、バケット6の刃先6aを地面付近に配置した状態で前進走行する。ドージング作業中に刃先6aが垂直方向に上方へ移動する高さは、ホイールローダ1の走行に伴って刃先6aが水平方向に移動する長さに比べて、相当に小さい。
図11(1)のカーブ(A)に示されるとおり、ドージング作業では、後述するかき上げ作業や掘削積込作業に比べると、刃先軌跡Yに対して刃先軌跡Xが長くなっていることがわかる。
【0085】
そこで、刃先軌跡Xと刃先軌跡Yに基づいて、作業内容がドージング作業であるか否かを判別する。具体的には、作業終了時のバケット6の刃先6aの位置における刃先軌跡Xおよび刃先軌跡Yの座標を、刃先軌跡Xと刃先軌跡Yとの関係を記憶したテーブルと対照し、ドージング作業であるか否かを判別する。
【0086】
より詳しくは、作業終了時のバケット6の刃先6aの位置における刃先軌跡Xおよび刃先軌跡Yの座標が、上記テーブルにおいてドージング作業であると判別される範囲に含まれていれば、ドージング作業であると判別される。たとえば、ホイールローダ1の走行距離に対してバケット6の刃先6aの位置が地面に近く、ブーム14を上昇させる動作が行われていないかまたはブーム14の上昇動作は行われているがその上昇移動量が小さい場合、作業内容がドージング作業であると判別される。
【0087】
代替的には、刃先軌跡Yを用いずに、単に刃先軌跡Xを所定値と比較することで、作業内容がドージング作業であるか否かを判別することもできる。たとえば、作業終了時のバケット6の刃先6aの位置における刃先軌跡Xの座標の値が所定値以上であれば、作業終了時までのホイールローダ1の走行距離が大きく、この場合作業内容がドージング作業であると判別される。
【0088】
ドージング作業の終了時に排土を行なうためには、
図9(A)に示されるように、一度ブーム14を上げた後にバケット6をダンプ操作する。さらに、前後進切替レバー操作の変化、ブーム操作の変化、バケット操作の変化、刃先軌跡Xの変化、刃先軌跡Yの変化、バケット角度の変化、またはこれらの組合せに基づいて、ドージング作業であるか否かを判別してもよい。
【0089】
図8のステップS12において、作業内容がドージングであると判別された場合は、ステップS13に進み、掘削分類をドージングとして記憶する。
【0090】
一方、ステップS12において、作業内容がドージングではないと判別された場合には、ステップS14に進み、掘削積込作業が行なわれているか否かの判別を行なう。
図9(B)に、ホイールローダ1の作業内容が掘削積込作業であるか否かを判別するためのテーブルを示す。
図10(1)のカーブ(B)に、掘削積込作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、垂直方向の刃先軌跡Yとの関係の一例を示す。
図10(2)のカーブ(B)に、掘削積込作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、バケット角度との関係の一例を示す。
【0091】
図3に示す掘削積込を実施する場合、土砂を掬いこむため、
図9(B)のテーブルに示すように、掘削中にチルトバック操作を行う。これにより、
図10(2)のカーブBに示すように、掘削終了近辺において、バケット角度が、かき上げ作業やドージング作業に比べて、大きくなる。
【0092】
そこで、バケット角度に基づいて、掘削積込作業であるか否かを判別する。具体的には、バケット角度を所定値と比較することで、掘削積込作業であるか否かを判別する。より詳しくは、作業終了時のバケット角度が所定値よりも大きければ、掘削積込作業であると判別される。さらに、前後進レバー操作の変化、ブーム角度の変化、バケット角度の変化、刃先軌跡の変化、またはこれらの組合せに基づいて、掘削積込作業であるか否かを判別してもよい。
【0093】
図8のステップS14において、作業内容が掘削積込であると判別された場合は、ステップS15に進み、掘削分類を掘削積込として記憶する。
【0094】
一方、ステップS14において、作業内容が掘削積込ではないと判別された場合には、ステップS16に進み、かき上げ作業が行なわれているか否かの判別を行う。
図9(C)に、ホイールローダ1の作業内容がかき上げ作業であるか否かを判別するためのテーブルを示す。
図10(1)のカーブ(C)に、かき上げ作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、垂直方向の刃先軌跡Yとの関係の一例を示す。
図10(2)のカーブ(C)に、かき上げ作業時の、水平方向の刃先軌跡Xと、バケット角度との関係の一例を示す。
【0095】
かき上げの場合、
図9(C)のテーブルに示されるように、掘削終了近辺で、バケット6内の土砂を排土するため、ダンプ操作を行う。そこで、掘削中に、バケット6のダンプ操作が行われたことに基づき、かき上げ作業であるか否かを判別する。
【0096】
また、掘削終了近辺でダンプ操作を行うため、
図10(1)のカーブ(C)に示すように、刃先軌跡Yは、上昇から下降に転じる。よって、刃先軌跡Yに基づいて、かき上げ作業であるか否かを判別してもよい。
【0097】
また、
図10(2)のカーブ(C)に示すように、掘削積込に比べ、バケット角度の値が小さくなっている。よって、バケット角度に基づいて、かき上げ作業であるか否かを判別してもよい。
【0098】
図9のステップS16において、作業内容がかき上げであると判別された場合は、ステップS17に進み、掘削分類をかき上げとして記憶する。
【0099】
一方、ステップS16で作業内容がかき上げではないと判別された場合には、ステップS18に進み、掘削分類を不明として記憶する。
【0100】
掘削分類が不明となる類型として、掘削開始直後があげられる。
図9(A)~(C)、および、
図10のカーブ(A)~(C)に示されるとおり、掘削開始時点では、掘削積込、かき上げ、ドージングで作業機の動作に大きな差はないため、掘削分類は不明と判別される場合がある。
【0101】
図9,
図10に示されるとおり、掘削終了近辺で、ドージング、掘削積込、かき上げの差が顕著に現れる。このため、掘削終盤であることを認識する条件として、前後進切替レバーの操作を、判別条件に加えてもよい。
【0102】
図8のステップS12~S18においてリアルタイムに計算した掘削分類の判別データを基に、ステップS19において、時刻、作業工程、および掘削分類を累積的に記録する。すなわち、後述する
図11に示すテーブルの基となるデータを記録する。
【0103】
作業工程が掘削でないと判定された場合(ステップS11においてNO)、ステップS20において、直前の作業工程が掘削か否かを判定する。すなわち、ステップS20では、作業工程が掘削から掘削以外に進んだ(掘削が終了した)か否かを判定する。
【0104】
ステップS20で直前の作業工程が掘削であると判定された場合(ステップS20においてYES)、ステップS21において、作業工程が掘削以外から掘削に移行してから作業工程が掘削から掘削以外に移行するまで、すなわち掘削が開始されてから掘削が終了するまでの、掘削分類を更新する。
【0105】
このようにして、作業機3による作業内容がドージング、かき上げおよび掘削積込のいずれの作業であるかの判別が行なわれる(
図8のエンド)。
【0106】
図11は、作業履歴を示すテーブルの一例である。
図11には、時刻0から時刻24までの各時点における、作業工程と、掘削工程における作業内容と、掘削工程における作業開始時点から作業終了時点までの作業の内容を示す掘削分類とが、示されている。
【0107】
時刻0~5の間は、作業工程が空荷前進である。時刻6~21の間は、作業工程が掘削である。時刻22~24の間は、作業工程が積荷後進である。時刻0~5および時刻22~24の間は、作業工程が掘削工程ではないため、
図8に示す処理の流れに従って、作業内容の判別はされない。
【0108】
たとえば時刻13でオペレータが前後進切換装置49を操作して後進指令が出されることにより、
図8に示す処理の流れに従って、作業内容が掘削積込と判別される。
【0109】
たとえば時刻18でオペレータがバケット操作装置54を操作してバケットダンプ指令が出されることにより、
図8に示す処理の流れに従って、作業内容がかき上げと判別される。
【0110】
第1処理装置30は、掘削が終了した後、掘削工程での作業開始(時刻6)から作業終了(時刻21)までの作業内容を、時刻21の作業終了時に判別された作業内容、すなわちかき上げとして更新する。更新された時刻6~21までの作業内容が、
図11のテーブルの掘削分類(更新後)の列に示されている。
【0111】
第1処理装置30は、時刻6~21の各時刻でリアルタイムにドージング、かき上げおよび掘削積込を判別するが、毎時刻ごとに判別された作業内容を直ちに各時刻における作業内容として特定するのではなく、作業開始から作業終了までの作業履歴における時間的に離れた2以上の作業内容の判別結果に基づいて、作業開始から作業終了までの作業内容を特定する。
図11に示されるように、たとえば時刻13では作業内容が掘削積込と判別されるが、後の時刻21で判別された作業内容がかき上げであることに基づいて、時刻13においても作業内容はかき上げであると特定される。
【0112】
図11に示す例では、作業開始から作業終了までの作業内容がかき上げであると特定され、作業開始から作業終了までの作業内容をかき上げに更新する例について説明した。同様に、作業開始から作業終了までの作業履歴における時間的に離れた2以上の作業内容の判別結果に基づいて、作業内容が掘削積込であると特定して、作業開始から作業終了までの作業内容を掘削積込に更新することができる。また同様に、作業内容がドージングであると特定して、作業開始から作業終了までの作業内容をドージングに更新することができる。
【0113】
たとえば、
図11に示す時刻18で仮にバケット操作装置54が操作されずバケットダンプ指令が出されなければ、時刻21において作業内容は掘削積込と判別される。その場合、作業開始から作業終了までの作業内容を掘削積込に更新することができる。
【0114】
図2に示す第1処理装置30は、開始から終了までの作業内容として特定されたドージング、かき上げおよび掘削積込の各々の掘削分類毎の、累積作業回数、累積作業時間および累積燃料消費量などの作業結果を出力することができる。
図12は、掘削分類毎の時間割合を示す模式図である。
図12には、オペレータAが行なった作業内容の約70%が掘削積込であり、オペレータBが行なった作業内容の約55%が掘削積込であり、オペレータAはオペレータBよりも生産性に寄与する作業を多く行なっており、したがってオペレータAの作業に係る燃費(単位燃料消費量当たりの掘削積込量)はオペレータBの作業に係る燃費を上回っていることが、表示部40に表示されている例が示されている。
【0115】
第1処理装置30は、ドージング、かき上げおよび掘削積込の各々の作業内容から、特定の作業内容を抽出することができる。また第1処理装置30は、抽出した特定の作業内容における作業機3の動作軌跡を出力することができる。
図13は、掘削積込作業を抽出した場合の作業機3の動作軌跡を示す模式図である。
図13には、刃先軌跡Xを横軸とし刃先軌跡Yを縦軸としたグラフに、オペレータAとオペレータBとによる作業の開始から終了までのバケット6の刃先6aの動作軌跡が表示されている例が示されている。
【0116】
図13にはまた、抽出選択部が表示部40に表示されている例が示されている。
図13には、抽出する対象として掘削積込が選択されており、各オペレータが掘削積込を行なうときのバケット6の刃先6aの動作軌跡が表示されている例が示されている。熟練オペレータが掘削積込を行なうときの刃先6aの動作軌跡を抽出して、経験の少ないオペレータの運転指導に活用することで、効率的に運転指導を行なうことが可能になる。
【0117】
表示部40がタッチパネルである場合、オペレータは、
図13に示す抽出選択部に対してタッチ操作を行なうことにより、抽出する対象の作業内容を選択することができる。または、
図13に示す抽出選択部は単なる表示であって、スイッチまたはボタンなどの図示しない選択操作部をオペレータが操作することで抽出する対象の作業内容を選択してもよい。
【0118】
図13に示すバケット6の刃先6aの動作軌跡に加えて、前後進切換装置49、アクセル操作装置51、ブーム操作装置52、バケット操作装置54およびブレーキ操作装置58の操作、ならびにバケット角度を、表示部40に併せて表示することで、さらに有効な運転指導を行なうことが可能である。
【0119】
第1処理装置30は、ブームを上昇させる作業、すなわちかき上げおよび掘削積込から、掘削積込を抽出して、掘削積込のための単位燃料消費量当たりの掘削積込量を算出することができる。
図14は、作業内容の判別前および判別後における単位燃料消費量当たりの掘削積込重量の比較を示す模式図である。
図14には、オペレータAとオペレータBとの、かき上げおよび掘削積込を区別しない「判別前」と、掘削積込のみを抽出した「判別後」とにおける、単位燃料消費量当たりの掘削対象物100の積込量(
図14の縦軸に示す「作業効率」、単位:Ton/L)の比較が示されている。
【0120】
掘削積込のみを抽出して単位燃料消費量当たりの積込量を算出することで、オペレータの正味の作業効率を評価することができる。
【0121】
たとえば、
図14ではオペレータAとオペレータBとの作業効率を比較している。ここで、オペレータAは、オペレータBに比べ、掘削積込を多く行っているが、かき上げやドージングは少ない。すなわち、オペレータAはオペレータBに対して、より生産性に寄与する作業を多く行っており、オペレータAの作業が望ましい。
【0122】
掘削積込を抽出せずに評価した場合、オペレータAの作業効率は、オペレータBの作業効率を下回っている。そのため、掘削積込を抽出せずに、オペレータAの作業を評価した場合、オペレータBに劣るとの誤った評価を行うこととなる。
【0123】
これに対し、掘削積込を抽出して評価した場合、オペレータAの作業効率は、オペレータBの作業効率を上回っている。ゆえに、オペレータAの作業効率をより適正に評価することができる。
【0124】
<作用および効果>
次に、上述した実施形態の作用および効果について説明する。
【0125】
実施形態においては、コントローラとしての第1処理装置30は、
図11に示すように、作業開始から作業終了までの作業履歴における時間的に離れた2以上の作業内容の判別結果に基づいて、作業開始から作業終了までの作業内容を特定する。毎時刻ごとの作業内容の判別結果を直ちに各時刻における作業内容として特定するのではなく、時間的に離れた2以上の時刻における作業内容の判別結果に基づいて作業開始から作業終了までの作業内容が特定されるので、作業内容をより正確に判別することができる。
【0126】
また
図11に示すように、コントローラとしての第1処理装置30は、作業終了時に作業内容を判別し、作業終了時に判別された作業内容を、作業開始から作業終了までの作業内容として特定する。作業開始から作業終了までの作業内容を、作業終了時に判別された作業内容に更新してもよい。毎時刻ごとの作業内容の判別結果を直ちに各時刻における作業内容として特定するのではなく、作業終了時に判別された作業内容を過去に遡って置き換えて更新する構成にすることで、作業内容をより正確に判別することができる。
【0127】
また
図8~10に示すように、第1処理装置30は、ホイールローダ1の状態を検出するセンサの信号に基づき、ホイールローダ1の作業工程を判定する。
図8,11に示すように、第1処理装置30は、作業工程が掘削工程にある場合に、作業開始から作業終了までの作業内容を判別する。作業工程が掘削ではない場合には作業内容の判別を行なわず、作業工程が掘削の場合に作業内容の判別を行なう構成にすることで、作業内容をより正確に判別することができる。
【0128】
また
図12に示すように、表示部40に、作業内容毎の作業結果が出力されてもよい。このようにすれば、作業機による全ての作業内容のうちどの程度の割合で掘削積込作業が行なわれているのかを、オペレータまたは管理者が容易に認識でき、生産性評価を正確にすることができる。
【0129】
また、表示部40には、複数のオペレータによる作業内容毎の作業結果が合わせて出力されてもよい。これにより、複数のオペレータの生産性評価の比較が容易になるため、オペレータに対して、生産性を向上させるよう促すことができる。
【0130】
図14に示すように、表示部40には、掘削積込を抽出し算出した、燃料消費量が出力されてもよい。また、ほかのオペレータの燃料消費量と合わせて出力されてもよい。
【0131】
また
図13に示すように、ドージング、かき上げおよび掘削積込の各々の作業内容から、特定の作業内容、たとえば掘削積込が抽出されてもよい。特定の作業内容を抽出することで、当該作業内容を行なっている間の燃料消費量、掘削積込作業の結果ダンプトラックに積載された掘削対象物100の重量などを、正確に算出することができる。
【0132】
また
図13に示すように、上述の作業内容のうち抽出する対象の作業内容を選択する、抽出選択部を備えてもよい。抽出の態様として、
図13に示すような表示画面上に抽出選択部を設けてもよい。
【0133】
図13において、刃先軌跡のデータが表示されているが、表示データはこれに限らない。ブーム操作装置、バケット操作装置、アクセル操作装置、ブレーキ操作装置などの操作装置の操作履歴、または、バケット角度もしくはブーム角度の履歴が表示されてもよい。
【0134】
また
図13に示すように、表示部40に、抽出された特定の作業内容における作業機3の動作軌跡が出力されてもよい。たとえば熟練オペレータによる掘削積込作業中の動作軌跡を出力して、経験の少ないオペレータにその出力された動作軌跡に沿って作業機3を動作させるように指導することができ、このようにすれば効率的に運転指導を行なうことができる。
【0135】
作業結果、および作業機3の動作軌跡は、表示部40に出力される例のほか、たとえば
図2に示す出力部45を経由して第2処理装置70に通信されて、第2処理装置70の表示部75に出力されてもよい。または第2処理装置70に接続されている図示しないプリンタに、作業日報として出力されてもよい。
【0136】
また
図9,10に示すように、第1処理装置30は、バケット6の軌跡に基づいて作業内容を判別してもよい。第1処理装置30は、第1角度検出器29および第2角度検出器48から入力された検出信号に基づいてブーム角度およびバケット角度を求め、また車速検出器27から入力された検出信号に基づいてホイールローダ1の車速を求め、これらに基づいてバケット6の刃先6aの位置を求めることができる。第1処理装置30は、作業開始時の刃先6aの位置と作業終了時の刃先6aの位置とをつなぐバケット6の動作軌跡に基づいて、作業内容がドージングであることを判別することができる。
【0137】
第1処理装置30は、車体に対するブーム14の角度とブーム14に対するバケット6の角度との比に基づいて、作業内容を判別してもよい。第1処理装置30は、ブーム角度とバケット角度とに基づいて、作業内容が掘削積込であることを判別することができる。
【0138】
また
図9に示すように、第1処理装置30は、前後進切換装置49の操作結果に基づいて、作業内容を判別してもよい。第1処理装置30は、後進指令がされたことに基づいて、作業内容が掘削積込であることを判別することができる。
【0139】
また
図9に示すように、第1処理装置30は、バケット操作装置54の操作結果に基づいて、作業内容を判別してもよい。第1処理装置30は、バケット6のダンプ指令がされたことに基づいて、作業内容がかき上げであることを判別することができる。
【0140】
図11において、第1処理装置30は、掘削が終了した後、掘削工程での作業開始(時刻6)から作業終了(時刻21)までの作業内容を、時刻21の作業終了時に判別された作業内容、すなわちかき上げとして更新することに変えて、時刻6~21までの作業内容を、テーブルの他の列に記録してもよい。
【0141】
上記実施形態の説明では、作業機械であるホイールローダ1が第1処理装置30を備えており、ホイールローダ1に搭載されている第1処理装置30が作業内容を判別する例について説明した。作業内容を判別するコントローラは、必ずしもホイールローダ1に搭載されていなくてもよい。ホイールローダ1の第1処理装置30は各種のセンサから入力された検出信号を外部のコントローラへ送信する処理を行ない、検出信号を受信した外部のコントローラが作業内容を判別するシステムを構成してもよい。
【0142】
上記実施形態の説明では、ドージング、かき上げおよび掘削積込を含む作業を行なう作業機械がホイールローダ1である例について説明した。作業機械はホイールローダ1に限られず、たとえば履帯式ローダ、バックホウローダなどであってもよい。
【0143】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0144】
1 ホイールローダ、3 作業機、6 バケット、6a 刃先、14 ブーム、16 ブームシリンダ、19 チルトシリンダ、20 エンジン、23 動力伝達機構、27 車速検出器、28a,28b 第1油圧検出器、29 第1角度検出器、30 第1処理装置、40,75 表示部、48 第2角度検出器、49 前後進切換装置、49a 操作部材、49b 部材位置検出センサ、51 アクセル操作装置、51a アクセル操作部材、51b アクセル操作検出部、52 ブーム操作装置、52a ブーム操作部材、52b ブーム操作検出部、54 バケット操作装置、54a バケット操作部材、54b バケット操作検出部、58 ブレーキ操作装置、58a ブレーキ操作部材、58b ブレーキ操作検出部、70 第2処理装置、100 掘削対象物、200 ダンプトラック。