(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ケーブルドラム搬送機
(51)【国際特許分類】
B62B 3/10 20060101AFI20220816BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20220816BHJP
B65H 19/12 20060101ALI20220816BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B62B3/10 A
B62B3/04 Z
B65H19/12 A
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2018096986
(22)【出願日】2018-05-21
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】赤崎 宇大
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-292618(JP,A)
【文献】特開2008-120580(JP,A)
【文献】実開平04-077589(JP,U)
【文献】特開2011-225167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/10
B62B 3/04
B65H 19/12
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルドラムが回転可能な間隔をあけて当該ケーブルドラムのドラム側面に平行に配置された一対の台車フレーム部材と、
前記一対の台車フレーム部材それぞれの一端と他端とに設けられ、当該一対の台車フレーム部材を共に床面上で移動可能にする複数の車輪と、
前記一対の台車フレーム部材それぞれの上面に立設され、前記ケーブルドラムの回転中心孔に通した主軸を、前記ケーブルドラムのドラム側面のフランジ部が前記床面に接地する状態で、当該主軸の両端において回転可能に支持する一対の主軸支持部と、
前記主軸支持部に設けられ、電動回転工具を装着するための工具装着部と、
前記工具装着部に装着された電動回転工具の回転動力を、前記ケーブルドラムを回転させる動力として
前記主軸支持部に支持された前記主軸に伝達させる動力伝達機構と、
を備え
、前記ケーブルドラムを前記ケーブルドラムのフランジ部が前記床面に設置している状態で搬送することを特徴とするケーブルドラム搬送機。
【請求項2】
前記一対の主軸支持部は、前記ケーブルドラムの回転中心孔に通した主軸を、前記ケーブルドラムのドラム側面のフランジ部が、前記床面に接地する状態と前記床面から離間した状態とで伸縮可能に支持する、
請求項1に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項3】
前記動力伝達機構は、前記工具装着部に電動回転工具を装着した際に当該電動回転工具の回転部に嵌合して回転する嵌合部と、前記嵌合部と共に回転する第1の歯車と、前記第1の歯車に噛み合って回転し当該第1の歯車より大径の第2の歯車と、前記第2の歯車と共に回転し前記ケーブルドラムのドラム側面に対し当該ケーブルドラムの回転中心孔に通した主軸を中心にして取り付けられる動力伝達プレートと、を有する、
請求項1または請求項2に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項4】
前記動力伝達機構の嵌合部と、第1の歯車と、第2の歯車は、前記主軸支持部に設けられた箱体の内部に構成され、
前記工具装着部は、前記箱体の側面に設けられる、
請求項3に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項5】
前記第1の歯車はかさ歯車であり、当該第1の歯車は前記第2の歯車に対して直交する方向に回転を伝達し、前記工具装着部は前記台車フレーム部材の一端側に対応する前記箱体の側面に設けられる、
請求項4に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項6】
前記一対の台車フレーム部材それぞれの一端側の相互間に立設されたハンドル部を備え、前記一対の台車フレーム部材それぞれの一端に設けられた車輪は、進行方向に応じて方向転換するよう回動する、
請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項7】
前記車輪に設けられ、当該車輪の回転をユーザ操作に応じて強制的に止めておく車輪ストッパを備えた、
請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載のケーブルドラム搬送機。
【請求項8】
前記一対の台車フレーム部材のうち何れか一方の台車フレーム部材の上面に立設され、ユーザ操作に応じて前記ケーブルドラムのフランジ部に接触し当該ケーブルドラムの回転を制動するドラムストッパを備えた、
請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載のケーブルドラム搬送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、電力用のケーブルを巻装したケーブルドラムを搬送するためのケーブルドラム搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電力用のケーブルを延線する工事現場において、作業員が、当該ケーブルを券装したケーブルドラムを目的とする場所まで搬送する際には、ケーブルドラムの円盤状のドラム側面のフランジ部を現場の床面に置いて、作業員の力で転がすことにより搬送している。
【0003】
一般に電力用のケーブルは、他のケーブルに比較してケーブルそれ自体が比較的太く、重さがあり、ケーブルドラムも相当の大きさ、重量になるため、当該ケーブルドラムを搬送する機会が多くその距離が長くなる場合、搬送経路に上り傾斜がある場合など、作業員の体力面や安全面において負担が大きい。
【0004】
従来、ケーブルドラムを、キャスタ付きの台車に床面から完全に浮かせた状態で載せて搬送する装置などが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平02-132048号公報
【文献】特開2008-143241号公報
【文献】特開平09-267972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のように、ケーブルドラムを、キャスタ付きの台車に床面から完全に浮かせた状態で載せて搬送する装置を使用した場合であっても、ケーブルドラムに相当の重量があることに変わりなく、搬送距離が長い場合や搬送経路に上り傾斜がある場合などは、やはり作業員の負担が大きい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、ケーブルドラムの搬送に関わる作業員の負担を容易に軽減することが可能になるケーブドラム搬送機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のケーブルドラム搬送機は、
ケーブルドラムが回転可能な間隔をあけて当該ケーブルドラムのドラム側面に平行に配置された一対の台車フレーム部材と、
前記一対の台車フレーム部材それぞれの一端と他端とに設けられ、当該一対の台車フレーム部材を共に床面上で移動可能にする複数の車輪と、
前記一対の台車フレーム部材それぞれの上面に立設され、前記ケーブルドラムの回転中心孔に通した主軸を、前記ケーブルドラムのドラム側面のフランジ部が前記床面に接地する状態で、当該主軸の両端において回転可能に支持する一対の主軸支持部と、
前記主軸支持部に設けられ、電動回転工具を装着するための工具装着部と、
前記工具装着部に装着された電動回転工具の回転動力を、前記ケーブルドラムを回転させる動力として前記主軸支持部に支持された前記主軸に伝達させる動力伝達機構と、
を備え、前記ケーブルドラムを前記ケーブルドラムのフランジ部が前記床面に設置している状態で搬送することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のケーブルドラム搬送機10の外観構成を示す斜視図。
【
図2】前記ケーブルドラム搬送機10のギアボックス22の内部構成とケーブルドラムCDとの関係を示す図。
【
図3】前記ケーブルドラム搬送機10の主軸21に対して取り付けられるドラム固定部36の他の実施形態を示す図。
【
図4】前記ケーブルドラム搬送機10を使用したケーブルドラムCDの搬送作業を説明する図。
【
図5】前記ケーブルドラム搬送機10を使用したケーブルドラムCDからのケーブル繰り出し作業を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態のケーブルドラム搬送機について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、実施形態のケーブルドラム搬送機10の外観構成を示す斜視図である。
【0012】
このケーブルドラム搬送機10は、搬送対象となるケーブルドラムCD(
図2参照)の回転可能な間隔で、左右一対の棒状の台車フレーム部材11a,11bを備える。この台車フレーム部材11a,11bは、前記ケーブルドラムCDの回転方向(Y)に直交する幅方向の両端を構成する一対の円盤状のドラム側面27a(27a)に沿うようにして平行に配置される。
【0013】
前記台車フレーム部材11a,11bの図示手前側の一端には、下方向への支軸12a,12bを介して、舵きり機構13を有する後部補助輪(右)14a,(左)14bが設けられる。
【0014】
前記舵きり機構13は、左右の後部補助輪14a,14bを、矢印Tに示す左右の方向に同時に同舵角で舵をきるための機構であり、左右の前記支軸12a,12bをそれぞれ中心に水平方向に回転可能に取り付けられた一定長さの舵きり板13c,13dと、当該舵きり板13c,13dの長さに対応する幅で平行に、同舵きり板13c,13dの相互を接続するように設けられた舵きりフレーム13a,13bとからなる。
【0015】
例えば、一方の舵きりフレーム13aが右方向Rにスライドすると同時に、同じスライド長さで、他方の舵きりフレーム13bが左方向Lにスライドし、左右の前記舵きり板13c,13dを同舵角で回転させることで、各対応する後部補助輪14a,14bを前記同舵角で回動させる。
【0016】
前記後部補助輪14a,14bは、例えば、ユーザ操作に応じて当該補助輪14a,14bの表面に当接させて同補助輪14a,14bの回転を強制的に止めておくための補助輪ストッパ15a,15bを有する。
【0017】
なお、前記舵きりフレーム13a,13bは、何れも、その長さ方向に伸縮可能に繋がれる、第1中空フレーム13a1,13b1と、当該第1中空フレーム13a1,13b1より断面小径の第2中空フレーム13a2,13b2とからなる。第1中空フレーム13a1,13b1の先端に第2中空フレーム13a2,13b2を挿入して繋ぎ、当該第1中空フレーム13a1,13b1の先端近くに形成した何れかのピン孔H1,H2を選択してねじ式ピンP1,P2を挿入し、第1中空フレーム13a1,13b1と第2中空フレーム13a2,13b2とをねじ止め固定する。これにより、前記ケーブルドラムCDの幅に対応させて舵きり機構13における舵きりフレーム13a,13bの長さを調節できる。
【0018】
なお、前記後部補助輪14a,14bは、前記舵きり機構13を有することなく、左右の後部補助輪14a,14bがそれぞれ独立して、その進行方向に応じて自在に回動して方向転換する構成としてもよい。この場合、前記舵きり機構13に代えて、前記左右の台車フレーム部材11a,11bの後端部同士を接続する別の台車フレーム部材を設けて構成する。
【0019】
前記台車フレーム部材11a,11bの図示奥側となる他端には、舵きり機構を持たない前部補助輪(右)16a,(左)16bが設けられる。なお、この前部補助輪16a,16bも、前記後部補助輪14a,14bと同様に、ユーザ操作に応じてその回転を強制的に止めておくための補助輪ストッパ17a,17bを有する。
【0020】
ここで、前記左右の台車フレーム部材11a,11bと、当該台車フレーム部材11a,11bの一端を相互に接続する後部補助輪14a,14bの舵きり機構13とにより、平面から見て図示奥側の前方を開放端とするU字型の台車が構成される。
【0021】
前記左右の台車フレーム部材11a,11bそれぞれの中央部の上面には、前記ケーブルドラムCD(
図2参照)のフランジ部28aを床面Fに置いた接地状態か(
図4参照)又は浮かせた離間状態か(
図5参照)の何れかの状態で支持するための左右一対の主軸支持部18a,18bが垂直に立設される。
【0022】
前記主軸支持部18a,18bは、何れも、矢印Eに示すように、長さ方向に伸縮可能に繋がれる上部中空支持部材18a1,18b1と、当該上部中空支持部材18a1,18b1より断面小径の下部中空支持部材18a2,18b2とからなる。上部中空支持部材18a1,18b1の下端に下部中空支持部材18a2,18b2を挿入して繋ぎ、当該上部中空支持部材18a1,18b1の下端近くに形成した何れかのピン孔H3,H4を選択してねじ式ピンP3,P4を挿入し、上部中空支持部材18a1,18b1と下部中空支持部材18a2,18b2とをねじ止め固定する。これにより、前記ケーブルドラムCDのドラム側面27aの直径に応じて、当該ケーブルドラムCDを床面Fに置いた接地状態(
図4参照)又は浮かせた離間状態(
図5参照)の何れの状態にも設定できる。
【0023】
なお、前記主軸支持部18a,18bには、例えば、油圧式のジャッキアップ機構を設け、主軸支持部18a,18bを長さ方向に伸ばす際に、当該ジャッキアップ機構により、上部中空支持部材18a1,18b1を上昇させる構成としてもよい。
【0024】
すなわち、前記主軸支持部18a,18bは、ケーブルドラムCDの回転中心孔に通した主軸21を当該ケーブルドラムCDの左右にて支持するもので、右側の主軸支持部18aの上部には、前記主軸21を通したケーブルドラムCDのドラム側面27aに回転動力を伝達させるためのギアボックス22が設けられ、左側の主軸支持部18bの上部には、前記主軸21を回転自在に支持するための軸受け部23が設けられる。
【0025】
前記主軸21は、ギアボックス22(箱体)内部の動力伝達機構に直結されて回転される基端軸19と、当該基端軸19の先端に形成した小径部19bを挿し込んで、同基端軸19の長さを延長するための延長軸20からなる。前記基端軸19の基部19aの外径と、前記延長軸20の外径とは同径とされ、前記主軸21としてその長さを変更可能にして一体化される。
【0026】
なお、前記主軸21の延長軸20は、大きさの異なるケーブルドラムCDの幅に対応させるため、予め長さの異なる複数種類の延長軸20が用意される。
【0027】
前記ギアボックス22(箱体)の図示手前側(後部側)の側面には、ユーザが、例えば市販の充電式インパクトドライバ30(電動回転工具)を、そのドライバ先端(回転部先端)から挿入して着脱可能に装着するための工具装着部29が設けられる。
【0028】
図2は、前記ケーブルドラム搬送機10のギアボックス22(箱体)の内部構成とケーブルドラムCDとの関係を示す図である。
【0029】
前記ギアボックス22(箱体)の内部には、例えば、すぐばかさ歯車を用いた小径かさ歯車24a(第1の歯車)と、当該小径かさ歯車24a(第1の歯車)に噛み合わせてその回転方向を直交する方向に変換させると共に大きな回転トルクを得るための大径歯車24b(第2の歯車)とを有する動力伝達機構が設けられる。
【0030】
前記小径かさ歯車24a(第1の歯車)の回転駆動軸25の先端には、前記充電式インパクトドライバ30を前記ギアボックス22(箱体)の工具装着部29に装着した状態で、当該インパクトドライバ30の回転部先端に取り付けた、例えば、6角のソケットレンチに嵌合される6角ピン25a(嵌合部)が突出して設けられる。前記充電式インパクトドライバ30の回転部を正転させた場合、前記回転駆動軸25が矢印Xに示す方向に駆動され回転される。
【0031】
前記主軸21の基端軸19は、前記大径歯車24b(第2の歯車)の回転中心部に貫通して固着され、また、前記大径歯車24b(第2の歯車)の左側面には、その半径方向の、例えば3方向に、放射状にして延びる3枚のプレート26a,26b,26cを一体にした動力伝達プレート26が固着される。
【0032】
この動力伝達プレート26は、前記ケーブルドラムCDの回転中心孔に、前記主軸21をその基端軸19から延長軸20を通して前記軸受け部23に取り付けた後、取り付けボルトB1,B2,B3を使用してケーブルドラムCDのドラム側面27aに固定される。
【0033】
これにより、ユーザは、前記ギアボックス22(箱体)の後方側面に設けた工具装着部29に、前記充電式インパクトドライバ30を挿入し装着して回転動作させることで、当該充電式インパクトドライバ30の回転動力を、前記ギアボックス22に構成した動力伝達機構を介して、前記ケーブルドラムCDを矢印Yに示すように回転させる補助動力として伝達できる。
【0034】
この際、前記ギアボックス22は、電動回転工具30を装着する機能のみならず、前記動力伝達機構である歯車24a,24b等の機械的動作から作業員Mを保護する機能も合わせ持つ。
【0035】
なお、前記ケーブルドラムCDの前記主軸21に対する幅方向の位置は、前記動力伝達プレート26を当該ケーブルドラムCDの一方のドラム側面27aに固定することで遊びなく定められるが、前記主軸21の延長軸20に対して、その軸方向にスライド可能に取り付けられる環状のドラム固定部36により、前記ケーブルドラムCDの他方のドラム側面27aを抑えて固定することで、さらに確実に遊びなく定められる。
【0036】
前記ドラム固定部36は、延長軸20に通される環状部材36aと、当該環状部材36aをその外周面から貫通してねじ込まれる固定ボルト36bとからなり、当該固定ボルト36bをねじ込んでその先端を延長軸20に当接させることで、当該延長軸20の軸方向の位置を定めて固定できる。
【0037】
図3は、前記ケーブルドラム搬送機10の主軸21に対して取り付けられるドラム固定部36の他の実施形態を示す図である。
【0038】
他の実施形態のドラム固定部36は、前記主軸21の延長軸20に通される、内径が前記延長軸20の外径に対応する平板状の矩形環状部材37aと、当該矩形環状部材37aの内径側の角部37a´に生じる前記延長軸20の外周面との隙間に嵌め込まれるくさび部材37bとからなる。くさび部材37bは、前記矩形環状部材37aと延長軸20との隙間に嵌め込んだ状態で、当該矩形環状部材37aの内径側と延長軸20の外周面とに多点で接触して双方の位置ずれを防止するねじ切り加工部37b´を有する。
【0039】
これにより、前記
図1で示したドラム固定部36と同様に、当該
図3で示した他の実施形態のドラム固定部36についても、延長軸20の軸方向の位置を定めて固定でき、前記ケーブルドラムCDの主軸21に対する幅方向の位置を、確実に遊びなく定めることができる。
【0040】
また、前記
図1において、右の台車フレーム部材11aの前記主軸支持部18aより後部側の上面には、ストッパ支持部32が設けられ、当該ストッパ支持部32を支点にして、前記台車フレーム部材11aの内側に沿った前方に傾倒可能なストッパレバー33が立設される。
【0041】
前記ストッパレバー33において、前記主軸支持部18a,18bと略同じ高さに対応する前方側のレバー側面には、前記ケーブルドラムCDのドラム側面27aのフランジ部28aに当接させて当該ケーブルドラムCDの回転(Y)を制動するためのドラムストッパ34が取り付けられる。
【0042】
前記ストッパレバー33のストッパ支持部32は、前記台車フレーム部材11aの上面にその前後方向に一定の範囲で形成した複数の位置決め孔H5…を選択的に使用して取り付けることで、矢印Sに示すように、前後方向にその位置を調整して設けることができる。これにより、前記ストッパ支持部32を介して立設されるストッパレバー33の立設位置は、前記主軸支持部18a,18bで支持するケーブルドラムCDのドラム側面27aの直径に対応させて、ケーブルドラムCDの回転の制動/非制動を適切に操作可能な位置に調整される。
【0043】
また、前記後部補助輪14a,14b間に設けた舵きり機構13には、当該舵きり機構13の長さの伸縮に対応して同様に伸縮可能なハンドル部35が立設される。
【0044】
このハンドル部35には、前記ギアボックス22に装着した充電式インパクトドライバ30の操作信号線30aを接続したスイッチボックス31が取り付けられる。このスイッチボックス31には、例えば、前記インパクトドライバ30の回転のオンオフを切り替えるためのオンオフスイッチ31a、回転方向の正転と逆転を切り替えるための正逆スイッチ31bが設けられる。
【0045】
なお、前記インパクトドライバ30を駆動するための充電式の電源(バッテリ)は、前記スイッチボックス31に収納し電源を供給する構成としてもよい。また、前記操作信号線30aおよびスイッチボックス31は設けずに、前記ギアボックス22に装着した充電式インパクトドライバ30のスイッチ等をユーザが直接操作する構成としてもよい。
【0046】
このように構成されたケーブルドラム搬送機10の左右の台車フレーム部材11a,11b間の幅Wは、前記舵きり機構13における舵きりフレーム13a,13bの伸縮により後部補助輪14a,14b間の長さを調整するのと共に、前記左右の主軸支持部18a,18b間で支持する主軸21における延長軸20の長さを選択することで、当該ケーブルドラム搬送機10で搬送対象とするケーブルドラムCDの幅に丁度良く対応させることができる。
【0047】
次に、前記構成のケーブルドラム搬送機10の動作について説明する。
【0048】
(ケーブルドラムCDの搬送)
図4は、前記ケーブルドラム搬送機10を使用したケーブルドラムCDの搬送作業を説明する図である。
【0049】
前記ケーブルドラム搬送機10を使用してケーブルドラムCDを搬送する場合、左右の主軸支持部18a,18bの長さを、矢印E1に示すように短縮調整し、ケーブルドラムCDにおけるドラム側面27aのフランジ部28aが、床面Fに乗って接地している状態とする。
【0050】
また、例えば、作業員Mが普段使用している、充電式インパクトドライバ30(電動回転工具)をギアボックス22に装着し、スイッチボックス31を操作するか、当該インパクトドライバ30のスイッチ等を直接操作して、同インパクトドライバ30の回転部を回転(正転)させる。
【0051】
すると、前記インパクトドライバ30の回転部およびその先端に取り付けた6角ソケットレンチから、前記
図2で示したようにギアボックス22に構成した動力伝達機構を介して、ケーブルドラムCDに対し、当該ケーブルドラムCDを矢印Yで示す前方(進行方向D)に回転させる補助動力が伝達される。
【0052】
これにより、作業員Mは、ケーブルドラム搬送機10のハンドル部35に手を添えて軽い力で押すだけで、ケーブルドラムCD自体が前記インパクトドライバ30から補助動力を得て進行方向Dに転がり始めるのと共に、前後部補助輪14a,14b,16a,16bも矢印yに示すように進行方向Dに回転し、ケーブルドラムCDが搬送される。
【0053】
なお、前記充電式インパクトドライバ30の正転/逆転を切り替えることで、前記ケーブルドラムCDを前方に回転(前進)させて搬送するのと同様に、後方にも回転(後退)させて搬送することができる。
【0054】
この後、前記ケーブルドラムCDの搬送を停止させるときには、前記インパクトドライバ30の回転を停止させると共に、必要に応じてストッパレバー33を前傾させ、ドラムストッパ34をケーブルドラムCDのフランジ部28aに当接させて制動力を加えることで、当該ケーブルドラムCDを目的の場所に停止させることができる。
【0055】
そして、前後部補助輪14a,14b,16a,16bの補助輪ストッパ15a,15b,17a,17bを操作することで、当該前後部補助輪14a,14b,16a,16bの回転を強制的に止め、前記ケーブルドラムCDをその停止位置において維持することができる。
【0056】
したがって、前記構成のケーブルドラム搬送機10によれば、ケーブルドラムCDの搬送距離が長い場合や搬送経路に上り傾斜がある場合であっても、例えば、作業員Mが現場にて常日頃使用している充電式インパクトドライバ30を利用して、当該ケーブルドラムCD自身に自転するための補助動力を与えることができ、同ケーブルドラムCDの搬送に関わる作業員Mの負担を、容易に且つ大幅に軽減することが可能になる。
【0057】
前記構成のケーブルドラム搬送機10は、前述したように、ケーブルドラムCDを目的の場所に搬送して停止させたその場において、以下の
図5を参照して説明するように、作業員Mの大きな負担なく、当該ケーブルドラムCDからのケーブルCAの繰り出し、ケーブルCAの巻き戻しを行なうことができる。
【0058】
(ケーブルCAの繰り出し/巻き戻し)
図5は、前記ケーブルドラム搬送機10を使用したケーブルドラムCDからのケーブル繰り出し作業を説明する図である。
【0059】
例えば、前記
図4で示したように、ケーブルドラム搬送機10を使用して目的の場所まで搬送したケーブルドラムCDからケーブルCAを繰り出す場合、左右の主軸支持部18a,18bの長さを、矢印E2に示すように伸長調整し、ケーブルドラムCDにおけるドラム側面27aのフランジ部28aが、床面Fから浮いて離間した状態とする。
【0060】
また、スイッチボックス31を操作するか、当該インパクトドライバ30のスイッチ等を直接操作して、同インパクトドライバ30の回転部を回転(正転)させる。
【0061】
すると、前記同様に、インパクトドライバ30の回転部およびその先端に取り付けた6角ソケットレンチから、前記
図2で示したようにギアボックス22に構成した動力伝達機構を介して、ケーブルドラムCDに対し、当該ケーブルドラムCDを矢印Yで示す方向、すなわちケーブルCAを繰り出す方向Rに回転させる補助動力が伝達される。
【0062】
これにより、ケーブルドラムCD自体が前記インパクトドライバ30から補助動力を得てケーブルCAを繰り出す方向Rに回転し始め、作業員Mは、例えば、前記ケーブルドラムCDから繰り出されるケーブルCAに手を添えて当該ケーブルCAの繰り出し先を調節するだけでよい。
【0063】
なお、前記充電式インパクトドライバ30の正転/逆転を切り替えることで、前記ケーブルドラムCDに対し、同ケーブルドラムCDを矢印Yで示す方向と逆方向に回転させる補助動力を伝達することができ、前記ケーブルCAの繰り出しと同様に、当該ケーブルCAの巻き戻しも行なうことができる。
【0064】
そして、前記ケーブルドラムCDの回転を停止させ、ケーブルCAの繰り出し(又は巻き戻し)を止めるときには、前記インパクトドライバ30の回転を停止させると共に、必要に応じてストッパレバー33を前傾させ、ドラムストッパ34をケーブルドラムCDのフランジ部28aに当接させて制動力を加えることで、前記ケーブルCAの繰り出し(又は巻き戻し)を止めることができる。
【0065】
したがって、前記構成のケーブルドラム搬送機10によれば、例えば、作業員Mが現場にて常日頃使用している充電式インパクトドライバ30を利用して、当該ケーブルドラムCD自身に自転するための補助動力を与え、同ケーブルドラムCDの搬送に関わる作業員Mの負担を、容易に且つ大幅に軽減することが可能になるばかりでなく、ケーブル繰り出し専用のケーブル繰り出し機へのケーブルドラムCDの積み替えなどをする必要なく、前記ケーブルドラムCDの搬送作業から連続的にケーブルCAの繰り出し作業および巻き戻し作業も行なうことができ、当該ケーブルCAの繰り出しおよび巻き戻しに関わる作業員Mの負担をも、容易に且つ大幅に軽減することが可能になる。
【0066】
なお、各実施形態において、前記ケーブルドラムCDに自転のための補助動力を与える電動回転工具は、前記充電式インパクトドライバ30に限定されるものではなく、電動ドラバや電動ドリル等も考えられるが、その中でも比較的大きな回転トルクを有するものが望ましい。
【0067】
本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0068】
10…ケーブルドラム搬送機、11a,11b…台車フレーム部材、
13…舵きり機構、14a,14b…後部補助輪、15a,15b…補助輪ストッパ、
16a,16b…前部補助輪、17a,17b…補助輪ストッパ、
18a,18b…主軸支持部、19…基端軸、20…延長軸、21…主軸、
22…ギアボックス((箱体)動力伝達機構)、23…軸受け部、
24a…小径かさ歯車(第1の歯車)、24b…大径歯車(第2の歯車)、
25…回転駆動軸、25a…6角ピン(嵌合部)、26…動力伝達プレート、
CD…ケーブルドラム、27a…ドラム側面、28a…フランジ部、
29…工具装着部、30…充電式インパクトドライバ(電動回転工具)、
31…スイッチボックス、33…ストッパレバー、34…ドラムストッパ、
35…ハンドル部、36…ドラム固定部。