(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】無人飛行体
(51)【国際特許分類】
G10K 11/178 20060101AFI20220816BHJP
B64D 33/00 20060101ALI20220816BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220816BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220816BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20220816BHJP
B64C 1/40 20060101ALN20220816BHJP
【FI】
G10K11/178 100
B64D33/00 B
B64C39/02
B64C27/08
H04R3/00 320
B64C1/40
(21)【出願番号】P 2018103915
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小西 一暢
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ステファン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】浅井 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 耕
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0200027(US,A1)
【文献】特開2013-137192(JP,A)
【文献】特開平02-202200(JP,A)
【文献】特表2017-502568(JP,A)
【文献】国際公開第2016/048897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
B64D 33/00
B64C 39/02
B64C 27/08
B64C 1/40
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体であって、
前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、
1つ以上のダクトと、
1つ以上のマイクロフォンと、
1つ以上のスピーカと、
前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、
前記1つ以上のダクトの各々は、前記1つ以上のダクトの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々をそれぞれ覆い、前記1つ以上の発生器の各々が前記気流を出す方向である気流方向に前記気流をそれぞれ通し、前記1つ以上のダクトの各々の内部側面と外部側面との間に、前記1つ以上のダクトの各々の前記気流方向の端において開口している空間をそれぞれ有し、
前記1つ以上のダクトの各々の前記内部側面の形状は、それぞれ前記気流方向に応じたテーパー形状であり、
前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間にそれぞれ
内包され、
前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のマイクロフォンの各々よりも前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々の近くにそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力する
無人飛行体。
【請求項2】
前記1つ以上のマイクロフォンの各々の位置は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間における前記気流方向の端の位置にそれぞれ対応する
請求項1に記載の無人飛行体。
【請求項3】
前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間において前記内部側面に対する距離よりも前記外部側面に対する距離が短い領域にそれぞれ位置する
請求項1又は2に記載の無人飛行体。
【請求項4】
前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記内部側面及び前記外部側面のうち少なくとも一方と接続物を介して固定される
請求項1~3のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【請求項5】
前記接続物は、弾性体である
請求項4に記載の無人飛行体。
【請求項6】
前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの前記外部側面に固定される
請求項1~5のいずれか1項に記載の無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、消音効果が得られる送風装置が提案されている。特許文献1の送風装置は能動消音装置を備え、能動消音装置はマイク(マイクロフォン)及びスピーカを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示される発明では、ノイズの低減に用いられるマイク及びスピーカを含む装置の全体サイズは増加する可能性がある。例えば、無人飛行体がこのようなマイク及びスピーカを含む場合、無人飛行体の全体サイズが増加する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、ノイズを低減させるための構成を有しつつ全体サイズの増加を抑制することができる無人飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る無人飛行体は、前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、1つ以上のダクトと、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のスピーカと、前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、前記1つ以上のダクトの各々は、前記1つ以上のダクトの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々をそれぞれ覆い、前記1つ以上の発生器の各々が前記気流を出す方向である気流方向に前記気流をそれぞれ通し、前記1つ以上のダクトの各々の内部側面と外部側面との間に、前記1つ以上のダクトの各々の前記気流方向の端において開口している空間をそれぞれ有し、前記1つ以上のダクトの各々の前記内部側面の形状は、それぞれ前記気流方向に応じたテーパー形状であり、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間にそれぞれ内包され、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のマイクロフォンの各々よりも前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々の近くにそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力する。
【0007】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る無人飛行体は、ノイズを低減させるための構成を有しつつ全体サイズの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態における無人飛行体の外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における無人飛行体を部分的に透過させて示す構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における無人飛行体の断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態におけるマイク及びスピーカ等の配置をダクトの断面で示す構成図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における無人飛行体の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1変形例における無人飛行体を部分的に透過させて示す構成図である。
【
図7】
図7は、第1変形例におけるダクトとマイクとの接続態様をダクトの断面で示す構成図である。
【
図8】
図8は、第1変形例におけるダクトとマイクとの接続態様をダクトの別の断面で示す構成図である。
【
図9】
図9は、第2変形例における無人飛行体を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
近年、ドローン、無人航空機又はUAV(Unmanned Aerial Vehicle)とも表現される無人飛行体が、様々な分野に利用され始めている。例えば、無人飛行体は、撮影、荷物の配送、行方不明者等の捜索、及び、薬剤の散布等に有効であると想定される。
【0011】
一方で、無人飛行体が飛行時に発生する騒音は大きい。例えば、無人飛行体に搭載されたプロペラが回転することにより、騒音が発生する。具体的には、プロペラが回転することにより、プロペラを構成する1つのブレードから翼端渦が発生する。この翼端渦がプロペラを構成する他のブレードに当たることにより、騒音が発生する。
【0012】
そのため、大きい騒音を発生する無人飛行体の利用が制限される可能性がある。例えば、病院及び図書館等のような静かな環境、夜間などの静かな時間帯、及び、人に近い範囲等では、無人飛行体の利用が制限される可能性がある。
【0013】
そこで、例えば、アクティブノイズキャンセリングによって無人飛行体の騒音を抑制することが有効であると想定される。アクティブノイズキャンセリングは、騒音等のノイズを能動的に逆位相音で抑制する技術である。ノイズの逆位相音とは、ノイズの位相に対して逆位相を有する音であり、ノイズの波形が反転された波形を有する音である。
【0014】
具体的には、ノイズがマイクによって取得され、ノイズの逆位相音がスピーカによって出力される。ノイズの逆位相音がスピーカによって出力されることにより、ノイズが打ち消される。このようなアクティブノイズキャンセリングを適用するため、マイク及びスピーカが無人飛行体に搭載され得る。
【0015】
しかしながら、プロペラによって発生する風がマイクに当たることで、風雑音がマイクに入る可能性がある。すなわち、アクティブノイズキャンセリングによる抑制の対象となるノイズとは異なるノイズがマイクに入る可能性があり、プロペラによって発生するノイズが適切に取得されない可能性がある。そのため、抑制の対象となるノイズが適切に抑制されない可能性がある。
【0016】
これに関し、例えば、プロペラによって発生する風がマイクに当たらないように、ダクトでプロペラを覆い、ダクトの外側にマイクを配置することが想定され得る。しかし、従来技術を無人飛行体に適用すると、無人飛行体がマイクの配置領域をダクトの外側に追加的に有することになり、無人飛行体の全体サイズが増加する。そして、無人飛行体の全体サイズの増加に伴って、無人飛行体の重量が増加する。また、ダクトの外側にマイクの配置領域を備えると空気抵抗が増大する。
【0017】
無人飛行体が重い場合、円滑な飛行が妨げられるし、飛行時に消費されるエネルギーも大きい。無人飛行体は、飛行中に飛行のためのエネルギーを外部から取得することが困難である。したがって、無人飛行体が重い場合、長時間の飛行が妨げられる。また、空気抵抗が増大すると、飛行性能が低下する。
【0018】
そこで、本開示の一態様に係る無人飛行体は、前記無人飛行体を飛行させる力を発生させる1つ以上の発生器であって、それぞれ気流を発生させる1つ以上の発生器と、1つ以上のダクトと、1つ以上のマイクロフォンと、1つ以上のスピーカと、前記1つ以上のマイクロフォンから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成するプロセッサとを備え、前記1つ以上のダクトの各々は、前記1つ以上のダクトの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々をそれぞれ覆い、前記1つ以上の発生器の各々が前記気流を出す方向である気流方向に前記気流をそれぞれ通し、前記1つ以上のダクトの各々の内部側面と外部側面との間に、前記1つ以上のダクトの各々の前記気流方向の端において開口している空間をそれぞれ有し、前記1つ以上のダクトの各々の前記内部側面の形状は、それぞれ前記気流方向に応じたテーパー形状であり、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間にそれぞれ位置し、前記1つ以上のスピーカの各々は、前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のマイクロフォンの各々よりも前記1つ以上のスピーカの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上の発生器の各々の近くにそれぞれ位置し、前記第2信号に従ってそれぞれ音を出力する。
【0019】
これにより、風雑音が入りにくい位置にマイクが配置される。また、マイクの配置領域がダクトの外側になくてもよい。したがって、無人飛行体は、ノイズを低減させるための構成を有しつつ全体サイズの増加を抑制することができる。
【0020】
例えば、前記1つ以上のマイクロフォンの各々の位置は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間における前記気流方向の端の位置にそれぞれ対応してもよい。
【0021】
これにより、ノイズが届きやすく、かつ、風雑音が入りにくい位置にマイクが配置される。したがって、無人飛行体は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0022】
また、例えば、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記空間において前記内部側面に対する距離よりも前記外部側面に対する距離が短い領域にそれぞれ位置してもよい。
【0023】
これにより、ダクトの内部側面から遠い位置にマイクが配置される。ダクトの内部側面は、気流によって振動しやすい。したがって、ダクトの内部側面に近い位置にマイクが配置された場合、マイクに振動音が入る可能性があり、抑制の対象のノイズと振動音とが混在する可能性がある。無人飛行体は、ダクトの内部側面から遠い位置にマイクが配置されることにより、上記振動音がマイクで収音されることを抑制することができ、抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0024】
また、例えば、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの各々の前記内部側面及び前記外部側面のうち少なくとも一方と接続物を介して固定されてもよい。
【0025】
これにより、ダクトの振動がマイクに伝達されにくくなり、ダクトの振動音がマイクに入ることが抑制される。したがって、無人飛行体は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0026】
また、例えば、前記接続物は、弾性体でもよい。
【0027】
これにより、ダクトの振動がマイクに伝達されることがより抑制され、ダクトの振動音がマイクに入ることが、より抑制される。したがって、無人飛行体は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0028】
また、例えば、前記1つ以上のマイクロフォンの各々は、前記1つ以上のマイクロフォンの各々にそれぞれ対応する前記1つ以上のダクトの前記外部側面に固定されてもよい。
【0029】
これにより、内部側面よりも振動しにくい外部側面にマイクが固定される。したがって、無人飛行体は、振動音がマイクに入ることを抑制することができ、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0030】
さらに、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0031】
以下、実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0032】
また、以下の説明に用いられる各図は、模式図であり、必ずしも厳密に構成要素の配置及び大きさ等を図示していない。
【0033】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における無人飛行体の外観図である。
図1において、無人飛行体100は、発生器111~114、ダクト121~124、スピーカ151~154、及び、筐体180を備えている。
【0034】
図2は、
図1に示された無人飛行体100を部分的に透過させて示す構成図である。
図2には、
図1に示されていない構成要素が示されている。具体的には、無人飛行体100は、さらに、マイク(マイクロフォン)131~134及び141~144、スピーカ161~164、並びに、プロセッサ170を備えている。無人飛行体100は、さらに、撮像装置を備えてもよい。
【0035】
無人飛行体100が備える発生器111~114、ダクト121~124及び筐体180等は、1つ以上の支持構造物を介して連結され、相対的な配置が維持されるように1つ以上の支持構造物によって物理的に支持される。
【0036】
発生器111~114は、無人飛行体100を飛行させる力を発生させる。例えば、発生器111~114の各々は、アクチュエータ及び構造物等で構成される機械であって、1つ以上の回転翼である。また、発生器111~114の各々は、モータ等の動力源を含んでいてもよい。
【0037】
具体的には、発生器111~114の各々が、個別に力を発生させる。無人飛行体100を飛行させる力は、発生器111~114で個別に発生する複数の力を含む。また、無人飛行体100を飛行させる力は、発生器111~114で個別に発生する複数の力が発生器111~114の全体で合成された力とも表現される。これらの力は、例えば無人飛行体100を垂直方向に移動すなわち上昇させる揚力、又は、無人飛行体100を水平方向に移動すなわち前後左右に移動させる推力とも表現され得る。
【0038】
また、発生器111~114の各々は、個別に発生する力の方向とは反対方向に気流を発生させる。発生器111~114の各々が気流を出す方向は、気流方向とも表現され得る。
【0039】
発生器111~114で個別に発生する力の方向は、発生器111~114の間で異なっていてもよい。そして、これにより、気流方向は、発生器111~114の間で異なっていてもよい。また、発生器111~114で個別に発生する力は、無人飛行体100を飛行させる力の成分とも表現され得る。すなわち、発生器111~114の各々は、無人飛行体100を飛行させる力の成分を気流方向とは反対方向に発生させる。
【0040】
ここで、気流方向は、気流の中心的な1つの方向であって、上流側から下流側へ向かう方向である。例えば、発生器111~114の各々は、無人飛行体100の飛行時において、無人飛行体100の上側の方向へ力を発生させ、無人飛行体100の下側の方向へ気流を発生させる。上側の方向は、必ずしも真上の方向でなくてもよい。また、下側の方向は、必ずしも真下の方向でなくてもよい。
【0041】
より具体的には、無人飛行体100は、発生器111~114の各々が1つ以上の回転翼で構成される場合、各回転翼が回転することにより、上側に揚力を発生させ、下側に気流を発生させる。ここで、回転翼で発生する気流の方向及び力の方向は、回転翼の軸に沿う互いに反対の方向である。
【0042】
そして、無人飛行体100は、上側に発生する揚力によって、上側に揚がる。また、無人飛行体100は、発生器111~114のうちの少なくとも1つの回転翼を他の発生器の回転翼と異なる回転数で回転させることにより、前後左右のいずれかに推力を発生させる。その際、各回転翼において、回転に伴うノイズが発生する。
【0043】
なお、発生器111~114の各々は、力発生器、気流発生器又は推進器とも表現され得る。
【0044】
ダクト121~124の各々は、空気が通る風道を有する構造物である。ダクト121~124の各々は、管、筒、環状構造物又は筒状構造物とも表現され得る。例えば、ダクト121~124の各々は、直管、つまり、まっすぐな管である。また、ダクト121~124の各々は、円形の断面形状を有する円管であってもよいし、四角形の断面形状を有する角管であってもよい。また、断面形状は、三角形であってもよいし、六角形であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0045】
また、
図1及び
図2においてダクト121~124は同じ形状を有しているが、ダクト121~124は互いに異なる形状を有していてもよい。また、ダクト121~124の各々には、任意の素材が用いられ得る。より具体的には、金属が用いられてもよいし、樹脂が用いられてもよいし、木材が用いられてもよいし、その他の素材が用いられてもよい。また、遮音材が用いられてもよいし、吸音材が用いられてもよいし、それらの組み合わせが用いられてもよい。
【0046】
また、ダクト121~124の各々は、それぞれ、発生器111~114の各々に対応している。つまり、ダクト121~124の各々に対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。例えば、ダクト121~124は、発生器111~114に一対一に対応していてもよい。ここでは、ダクト121が発生器111に対応し、ダクト122が発生器112に対応し、ダクト123が発生器113に対応し、ダクト124が発生器114に対応している。
【0047】
そして、ダクト121は、発生器111を覆い、発生器111が気流を出す気流方向に沿って気流を通す。すなわち、ダクト121は、ダクト121の風道に発生器111を含み、ダクト121の風道は、発生器111が気流を出す気流方向に沿っている。また、アクティブノイズキャンセリングの効率的な適用、及び、ダクト121の軽量化のため、ダクト121は、発生器111の下流側に対応する部分が発生器111の上流側に対応する部分よりも長くなるように構成される。
【0048】
また、ダクト121は、例えばダクト121の幅の1/3から2倍までの長さを有していてもよい。この範囲は例であって、ダクト121の長さはこの範囲に制限されなくてもよい。また、ダクト121の長さは、気流方向に対するダクト121の長さであり、ダクト121の幅は、気流方向に対して垂直な方向に対するダクト121の幅である。
【0049】
また、ダクト121の内部側面の形状は、気流方向に応じたテーパー形状である。つまり、ダクト121の内部側面によって覆われる風道が、気流方向に向かって細くなっている。言い換えれば、ダクト121の内部側面によって覆われる風道の断面は、ダクト121の下流側の端に近いほど、より小さい。さらに言い換えれば、ダクト121の内径は、ダクト121の下流側の端に近いほど、より小さい。
【0050】
また、ダクト121は、ダクト121の内部側面と外部側面との間に空間を有する。この空間は、ダクト121の気流方向の端において開口している。言い換えれば、この空間は、ダクト121の下流側の端において、閉じられておらず、開いている。
【0051】
また、この空間は、ダクト121の下流側の端において、全体的に開口していてもよいし、部分的に開口していてもよい。例えば、ダクト121の下流側の端において、ダクト121の外部から、この空間に通じる孔又はスリット等が存在してもよい。また、この空間は、ダクト121の内部側面と外部側面と間の全体に存在しなくてもよく、これらの間の一部に存在してもよい。例えば、この空間は、ダクト121の上流側の端よりもダクト121の下流側の端の近くに存在してもよい。
【0052】
同様に、ダクト122は、発生器112を覆い、発生器112が気流を出す気流方向に気流を通す。また、ダクト122の内部側面の形状はテーパー形状であり、ダクト122の内部側面と外部側面との間に空間が存在する。
【0053】
同様に、ダクト123は、発生器113を覆い、発生器113が気流を出す気流方向に気流を通す。また、ダクト123の内部側面の形状はテーパー形状であり、ダクト123の内部側面と外部側面との間に空間が存在する。
【0054】
同様に、ダクト124は、発生器114を覆い、発生器114が気流を出す気流方向に気流を通す。また、ダクト124の内部側面の形状はテーパー形状であり、ダクト124の内部側面と外部側面との間に空間が存在する。
【0055】
マイク131~134及び141~144の各々は、音を取得し、取得された音を信号に変換し、信号を出力する装置である。つまり、マイク131~134及び141~144の各々は、音を取得し、取得された音を示す信号を出力する。
【0056】
また、マイク131~134及び141~144の各々は、それぞれ、発生器111~114の各々に対応している。つまり、マイク131~134及び141~144の各々に対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。ここでは、マイク131及び141が発生器111に対応し、マイク132及び142が発生器112に対応し、マイク133及び143が発生器113に対応し、マイク134及び144が発生器114に対応している。
【0057】
そして、マイク131及び141は、発生器111に対応して配置される。同様に、マイク132及び142は、発生器112に対応して配置され、マイク133及び143は、発生器113に対応して配置され、マイク134及び144は、発生器114に対応して配置される。
【0058】
具体的には、マイク131及び141は、発生器111に対応するダクト121の内部側面と外部側面との間に配置される。同様に、マイク132及び142は、発生器112に対応するダクト122の内部側面と外部側面との間に配置される。また、マイク133及び143は、発生器113に対応するダクト123の内部側面と外部側面との間に配置される。同様に、マイク134及び144は、発生器114に対応するダクト124の内部側面と外部側面との間に配置される。
【0059】
また、マイク131及び141は、スピーカ151及び161から出力される音によって低減されたノイズを音として取得する。そのため、マイク131及び141の各々は、誤差マイクとも表現され得る。その他のマイク132~134及び142~144も同様である。
【0060】
スピーカ151~154及び161~164の各々は、信号を取得し、取得された信号を音に変換し、音を出力する装置である。つまり、スピーカ151~154及び161~164の各々は、信号を取得し、取得された信号によって示される音を出力する。
【0061】
また、スピーカ151~154及び161~164の各々は、それぞれ、発生器111~114の各々に対応している。つまり、スピーカ151~154及び161~164の各々に対して、発生器111~114の少なくとも1つが定められる。ここでは、スピーカ151及び161が発生器111に対応し、スピーカ152及び162が発生器112に対応し、スピーカ153及び163が発生器113に対応し、スピーカ154及び164が発生器114に対応している。
【0062】
そして、スピーカ151及び161は、発生器111に対応して配置される。同様に、スピーカ152及び162は、発生器112に対応して配置され、スピーカ153及び163は、発生器113に対応して配置され、スピーカ154及び164は、発生器114に対応して配置される。
【0063】
具体的には、スピーカ151及び161は、発生器111に対応するマイク131及び141よりも発生器111の近くに配置される。つまり、発生器111からスピーカ151及び161までの距離は、発生器111からマイク131及び141までの距離よりも短い。
【0064】
同様に、スピーカ152及び162は、発生器112に対応するマイク132及び142よりも発生器112の近くに配置される。また、スピーカ153及び163は、発生器113に対応するマイク133及び143よりも発生器113の近くに配置される。また、スピーカ154及び164は、発生器114に対応するマイク134及び144よりも発生器114の近くに配置される。
【0065】
また、スピーカ151及び161は、発生器111に対応するダクト121の風道の内部に配置されてもよいし、風道の外部に配置されてもよい。
【0066】
同様に、スピーカ152及び162は、発生器112に対応するダクト122の風道の内部に配置されてもよいし、風道の外部に配置されてもよい。スピーカ153及び163は、発生器113に対応するダクト123の風道の内部に配置されてもよいし、風道の外部に配置されてもよい。スピーカ154及び164は、発生器114に対応するダクト124の風道の内部に配置されてもよいし、風道の外部に配置されてもよい。
【0067】
ここでは、スピーカ151及び161は、ダクト121の風道の内部に配置されており、ダクト121の内部側面に固定されている。同様に、スピーカ152及び162は、ダクト122の風道の内部に配置されており、ダクト122の内部側面に固定されている。スピーカ153及び163は、ダクト123の風道の内部に配置されており、ダクト123の内部側面に固定されている。スピーカ154及び164は、ダクト124の風道の内部に配置されており、ダクト124の内部側面に固定されている。
【0068】
プロセッサ170は、情報処理を行う電気回路である。具体的には、プロセッサ170は、マイク131~134及び141~144の各々から出力された第1信号に従って、第2信号を生成する。例えば、プロセッサ170は、有線又は無線の通信によって、マイク131~134及び141~144の各々から出力される第1信号を取得する。有線の通信のための通信線が、ダクト121~124の側壁及び支持構造物等に含まれていてもよい。
【0069】
また、プロセッサ170は、マイク131~134及び141~144の各々から取得された第1信号に従って、第1信号によって示される音を抑制するための音を示す第2信号を生成する。例えば、プロセッサ170は、第1信号に従って、ノイズの逆位相音を示す第2信号を生成する。例えば、ノイズの逆位相音は、ノイズの位相に対して逆の位相を有する音であり、ノイズの波形が反転された波形を有する音である。
【0070】
また、プロセッサ170は、スピーカ151~154及び161~164の各々へ第2信号を出力する。例えば、プロセッサ170は、有線又は無線の通信によって、スピーカ151~154及び161~164の各々へ第2信号を送信することにより、第2信号を出力する。
【0071】
例えば、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ151へ出力し、マイク141から取得された第1信号に従って生成された第2信号をスピーカ161へ出力する。そして、スピーカ151は、マイク131から取得された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力し、スピーカ161は、マイク141から取得された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力する。
【0072】
より具体的には、例えば、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って、発生器111が発生するノイズを予測する。具体的には、プロセッサ170は、ノイズの大きさ、周波数及び位相等を予測する。また、発生器111が回転翼である場合、プロセッサ170は、ノイズの予測に、回転翼の回転数等を用いてもよい。
【0073】
そして、プロセッサ170は、予測されたノイズの逆位相音を示す第2信号をスピーカ151へ出力する。そして、発生器111が発生するノイズと、スピーカ151が出力する音との合成音が、マイク131で取得される。
【0074】
そして、プロセッサ170は、上記の合成音を示す第1信号をマイク131から取得し、第1信号に従って、発生器111が発生するノイズを予測する。この合成音は、予測誤差に対応する。プロセッサ170は、予測誤差が小さくなるように、ノイズを予測する。例えば、プロセッサ170は、回転翼の回転数等の情報からノイズを予測するためのパラメータを予測誤差に従って変更し、変更されたパラメータに従ってノイズを予測してもよい。
【0075】
そして、プロセッサ170は、予測されたノイズの逆位相音を示す第2信号をスピーカ151へ出力する。プロセッサ170は、このような処理を繰り返して行う。
【0076】
また、プロセッサ170は、スピーカ161へ出力される第2信号の生成に、マイク131から取得された第1信号を反映させてもよいし、スピーカ151へ出力される第2信号の生成に、マイク141から取得された第1信号を反映させてもよい。例えば、マイク131及びマイク141から取得される2つの第1信号の平均化処理が行われてもよい。
【0077】
そして、スピーカ151及び161は、マイク131から取得された第1信号、及び、マイク141から取得された第1信号に従って生成された第2信号に従って音を出力してもよい。
【0078】
同様の処理が、他のマイク132~134及び142~144、並びに、他のスピーカ152~154及び162~164に関して行われる。これにより、スピーカ151~154及び161~164の各々は、プロセッサ170から出力された第2信号を取得し、第2信号によって示される音を出力する。したがって、発生器111~114で発生するノイズが抑制される。
【0079】
上記のようにノイズを能動的に逆位相音で抑制する技術は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)とも呼ばれる。そして、第1信号は、誤差信号と表現される場合があり、第2信号は、制御信号と表現される場合がある。
【0080】
また、アクティブノイズキャンセリングで利用されるノイズを取得するためのノイズマイクが、マイク131~134及び141~144とは別に、配置されてもよい。例えば、ノイズマイクは、スピーカ151~154及び161~164よりも発生器111~114に近い位置に配置される。そして、プロセッサ170は、ノイズマイクから得られる信号を参照信号として参照して、ノイズを予測してもよい。あるいは、プロセッサ170は、ノイズマイクによらず、上記のように回転数等を用いてノイズを予測してもよい。
【0081】
また、プロセッサ170は、マイク131~134及び141~144から取得される複数の第1信号のうち2つ以上を用いて1つの第2信号を生成してもよい。複数の第1信号のうち2つ以上の平均化処理が行われてもよい。そして、スピーカ151~154及び161~164の各々は、複数の第1信号のうち2つ以上を用いて生成された1つの第2信号に従って音を出力してもよい。
【0082】
また、無人飛行体100は通信装置を備え、プロセッサ170は、無人飛行体100の外部に位置する外部装置と通信装置を介して無線で通信を行ってもよい。そして、プロセッサ170は、通信装置を介して、無人飛行体100に対する操作信号を受信してもよい。そして、プロセッサ170は、操作信号に従って、発生器111~114等を動作させ、無人飛行体100を飛行させてもよい。
【0083】
筐体180は、プロセッサ170を物理的に収容するための構造物である。筐体180には、さらに、メモリ等が物理的に収容されてもよい。なお、プロセッサ170は、筐体180とは異なる構成要素に収容されていてもよい。例えば、ダクト121~124、マイク131~134及び141~144、並びに、スピーカ151~154及び161~164のいずれかに収容されていてもよい。そして、無人飛行体100は、筐体180を備えていなくてもよい。
【0084】
図3は、
図2に示された無人飛行体100の断面図である。具体的には、
図3は、
図2に示された無人飛行体100の発生器111及び114に対する鉛直面の断面を概念的に示す。発生器112及び113に対する断面は、発生器111及び114に対する断面と基本的に同じであるため、発生器112及び113に対する断面の図示を省略する。
【0085】
図3に示されているように、ダクト121の内部側面の形状は、テーパー形状である。つまり、ダクト121の内径は、ダクト121の下流側の端に近いほど、より小さい。
【0086】
例えば、無人飛行体100を飛行させる力の成分が適切に得られる程度に、ダクト121の内径が小さく絞られる。具体的には、発生器111が出す気流の幅の90%程度までダクト121の内径が小さく絞られた場合でも、ダクト121の内径が絞られなかった場合と同等以上の力が得られると想定される。そこで、発生器111が出す気流の幅の90%~95%程度までダクト121の内径が小さく絞られてもよい。
【0087】
一方、ダクト121の外部側面は、基本的に一定に維持される。つまり、ダクト121の外径は、ダクト121の下流側の端に対する近さによらず、基本的に一定に維持される。
【0088】
ダクト121は、上記のような形状に従って、ダクト121の内部側面と外部側面との間に空間を有し得る。この空間は、ダクト121の下流側の端において開口している。ダクト122~124も、ダクト121と同様の形状を有する。
【0089】
図4は、
図2に示された無人飛行体100におけるマイク131及びスピーカ151等の配置をダクト121の断面で示す構成図である。具体的には、
図4は、
図2に示された無人飛行体100のダクト121に対する鉛直面の断面であって、マイク131及び141、並びに、スピーカ151及び161を含む断面を概念的に示す。
図4に示されているように、マイク131及び141は、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に配置される。
【0090】
内部側面は、内部側面に気流が当たることにより振動する。このような振動に伴う振動音が、マイク131及び141に入る可能性がある。マイク131及び141に振動音が入った場合、発生器111のノイズが適切に取得されない。したがって、マイク131及び141は、内部側面よりも振動が少ない外部側面の近くに配置される。具体的には、マイク131及び141は、内部側面に対する距離よりも外部側面に対する距離が短い領域に配置される。
【0091】
図4の例では、マイク131及び141は、外部側面に固定されている。すなわち、マイク131及び141は、ダクト121の外部側面の側壁に対して物理的に接続される。マイク131及び141は、接続物を介して外部側面に固定されてもよい。
【0092】
一方、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に回り込む音がより適切に取得されるように、マイク131及び141が外部側面よりも内部側面の近くに配置されてもよい。具体的には、マイク131及び141は、外部側面に対する距離よりも内部側面に対する距離が短い領域に配置されてもよい。例えば、マイク131及び141は、内部側面に固定されてもよい。マイク131及び141は、接続物を介して内部側面に固定されてもよい。
【0093】
また、マイク131及び141は、ダクト121の風道を通る気流、及び、無人飛行体100の移動に伴って相対的に受ける風等の影響を抑制するため、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に配置される。
【0094】
例えば、マイク131及び141が、ダクト121の風道内、又は、ダクト121の外部側面の外側に配置された場合、ダクト121の風道を通る気流、又は、無人飛行体100の移動に伴って相対的に受ける風等の影響を受ける。これにより、マイク131及び141に風雑音が入る可能性がある。マイク131及び141に風雑音が入った場合、発生器111で発生するノイズが適切に取得されない。
【0095】
そのため、マイク131及び141は、上記の通り、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に配置される。
【0096】
また、例えば、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に回り込む音がより適切に取得されるように、マイク131及び141が、この空間において下流側の端に対応する位置に配置される。具体的には、マイク131及び141は、ダクト121の下流側の端から所定範囲に配置されてもよい。この所定範囲は、ダクト121の長さの例えば10%程度であってもよい。
【0097】
また、スピーカ151及び161は、マイク131及び141よりも発生器111の近くに配置される。また、例えば、スピーカ151及び161は、ダクト121の内部側面に固定して配置される。スピーカ151及び161は、ダクト121の内部側面に接続物を介して固定されてもよい。また、スピーカ151及び161は、発生器111に接続された支持構造物に固定されてもよい。また、スピーカ151及び161は、発生器111に連結された支持構造物に接続物を介して固定されてもよい。
【0098】
発生器111で発生するノイズは、気流の下流側においてダクト121によって気流方向へまとめられる。そして、スピーカ151及び161は、気流方向へまとめられたノイズの逆位相音を出力することにより、ノイズを適切に打ち消すことができる。また、ダクト121の内径が気流方向に向かって小さくなっているため、ノイズが点音源に近づけられる。したがって、ノイズの逆位相音によって、ノイズが適切に打ち消され得る。
【0099】
また、スピーカ151及び161は、気流方向に向かって音を出力してもよい。例えば、スピーカ151及び161は、指向性を有し、音を出力する場合に音の強度が大きい方向を音の出力方向として有する。スピーカ151及び161は、この出力方向が気流方向に一致するように配置されてもよい。これにより、スピーカ151及び161は、気流方向にまとめられたノイズをより適切に打ち消すことができる。
【0100】
また、基本的に、発生器111は、無人飛行体100を飛行させるため、無人飛行体100の上側の方向に力を発生させ、無人飛行体100の下側の方向に気流を発生させる。そして、無人飛行体100の飛行時において、無人飛行体100の上側よりも下側に対してノイズの影響が大きいと想定される。すなわち、無人飛行体100の上流側よりも下流側に対してノイズの影響が大きいと想定される。
【0101】
スピーカ151及び161は、気流の下流側においてダクト121によって気流方向へまとめられたノイズを打ち消すことにより、影響が大きいと想定されるノイズを打ち消すことができる。
【0102】
さらに、この例では、ダクト121は、発生器111の下流側に対応する部分が発生器111の上流側に対応する部分よりも長くなるように構成される。逆に、ダクト121は、発生器111の上流側に対応する部分が発生器111の下流側に対応する部分よりも短くなるように構成される。したがって、重量の増加が抑制される。
【0103】
なお、スピーカ151及び161は、1つのスピーカに統一されていてもよい。例えば、発生器111が回転翼である場合、1つのスピーカがダクト121の風道において回転翼の回転軸の延長線上に配置されてもよい。このような位置は、気流が弱いと想定される。したがって、気流がスピーカに当たることによって発生する弊害が軽減される。
【0104】
また、マイク131及び141も、1つのマイクに統一されていてもよい。例えば、プロセッサ170は、1つのマイクから取得される第1信号に従って第2信号を生成し、スピーカ151及び161が、生成された第2信号に従って音を出力してもよい。
【0105】
上記において、発生器111、ダクト121、マイク131及び141、並びに、スピーカ151及び161の構成が説明されている。発生器112~114、ダクト122~124、マイク132~134及び142~144、並びに、スピーカ152~154及び162~164の構成も上記において説明された構成と同様である。
【0106】
図5は、
図2に示された無人飛行体100の動作を示すフローチャートである。無人飛行体100の複数の構成要素によって、
図5に示された動作が行われる。
【0107】
まず、無人飛行体100のマイク131~134及び141~144の各々は、音を取得し、取得された音を示す第1信号を出力する(S101)。例えば、マイク131~134及び141~144の各々は、第1信号をプロセッサ170へ送信することにより、第1信号を出力する。
【0108】
次に、無人飛行体100のプロセッサ170は、マイク131~134及び141~144の各々から、第1信号を取得する(S102)。例えば、プロセッサ170は、マイク131~134及び141~144の各々から第1信号を受信することにより、第1信号を取得する。
【0109】
次に、プロセッサ170は、マイク131~134及び141~144の各々から取得された第1信号に従って、第2信号を生成する(S103)。
【0110】
例えば、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って、マイク131で取得される音を抑制するための音を示す第2信号を生成する。具体的には、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って、発生器111で発生するノイズを予測する。そして、プロセッサ170は、予測されたノイズの逆位相音をマイク131で取得される音を抑制するための音として示す第2信号を生成する。
【0111】
プロセッサ170は、このような処理をマイク132~134及び141~144の各々に対しても行う。
【0112】
次に、プロセッサ170は、スピーカ151~154及び161~164の各々へ、第2信号を出力する(S104)。例えば、プロセッサ170は、スピーカ151~154及び161~164の各々へ第2信号を送信することにより、第2信号を出力する。
【0113】
具体的には、プロセッサ170は、マイク131から取得された第1信号に従って生成された第2信号をマイク131に対応するスピーカ151へ出力する。プロセッサ170は、このような処理をマイク132~134及び141~144の各々にそれぞれ対応するスピーカ152~154及び161~164の各々に対しても行う。
【0114】
次に、無人飛行体100のスピーカ151~154及び161~164の各々は、プロセッサ170から第2信号を取得し、第2信号で示される音を出力する(S105)。例えば、スピーカ151~154及び161~164の各々は、プロセッサ170から第2信号を受信することにより、第2信号を取得し、第2信号で示される音を出力する。
【0115】
具体的には、スピーカ151は、プロセッサ170からスピーカ151へ出力された第2信号を取得し、第2信号で示される音を出力する。スピーカ152~154及び161~164の各々も、このような処理を行う。
【0116】
無人飛行体100は、上記の処理(S101~S105)を繰り返す。例えば、無人飛行体100のプロセッサ170は、第1信号に従って、ノイズの予測誤差を取得する。そして、プロセッサ170は、予測誤差が小さくなるように、ノイズを予測する。そして、プロセッサ170は、予測誤差が小さくなるように予測されたノイズの逆位相音を示す第2信号を出力する。これにより、無人飛行体100は、ノイズを低減させることができる。
【0117】
なお、
図1等において、4つの発生器111~114の各々として、1つの回転面及び1つの回転軸を有する1つの回転翼が示されている。しかしながら、1つの発生器が、複数の回転翼で構成されていてもよい。複数の回転翼は、互いに異なる複数の回転面を有していてもよいし、互いに異なる複数の回転軸を有していてもよい。
【0118】
ここで、回転翼は、1つ以上の翼を有し、回転することによって、回転軸に沿う方向に力を発生させ、力の発生方向とは反対方向に向かう気流を発生させる。この1つ以上の翼の各々が、回転翼と解釈されてもよい。回転翼は、ブレード、ローター又はプロペラとも呼ばれる。また、1つ以上の回転翼は、回転翼セットとも表現され得る。
【0119】
また、発生器111~114の各々は、回転翼でなくてもよく、ジェットエンジン又はロケットエンジン等であってもよい。
【0120】
また、無人飛行体100は、上述した例において4つの発生器111~114を備えているが、3つ以下の発生器を備えていてもよいし、5つ以上の発生器を備えていてもよい。同様に、無人飛行体100は、上述した例において4つのダクト121~124を備えているが、3つ以下のダクトを備えていてもよいし、5つ以上のダクトを備えていてもよい。
【0121】
同様に、無人飛行体100は、上述した例において8つのマイク131~134及び141~144を備えているが、7つ以下のマイクを備えていてもよいし、9つ以上のマイクを備えていてもよい。同様に、無人飛行体100は、上述した例において8つのスピーカ151~154及び161~164を備えているが、7つ以下のスピーカを備えていてもよいし、9つ以上のスピーカを備えていてもよい。
【0122】
また、プロセッサ170は、複数のサブプロセッサで構成されていてもよい。つまり、プロセッサ170として、複数のプロセッサが用いられてもよい。また、プロセッサ170は、マルチプロセッサであってもよい。
【0123】
また、無人飛行体100は、無線の通信のためのアンテナを備えていてもよいし、無線通信回路を備えていてもよい。プロセッサ170が、無線の通信のための無線通信回路の役割を果たしてもよい。また、無人飛行体100は、各構成要素を動作させるための電源などのエネルギー源を備えていてもよく、外部の電源と接続されていてもよい。例えば、無人飛行体100の飛行時においても、無人飛行体100と地上の電源とがケーブルを介して接続されていてもよい。そして、ケーブルを介して電力が供給されてもよい。
【0124】
また、スピーカ151~154及び161~164の各々について、音の出力方向は、気流方向に一致していなくてもよい。スピーカ151~154及び161~164の各々は、気流方向とは異なる方向に向かって、音を出力してもよい。これにより、音の出力方向においてノイズが抑制され得る。また、出力された音が拡散することによって、気流方向においても、ノイズが抑制され得る。
【0125】
また、例えば、無指向性とも呼ばれる全指向性のスピーカがスピーカ151~154及び161~164の各々として配置されてもよい。
【0126】
また、無人飛行体100は、上述した例において4つの発生器111~114に一対一に対応する4つのダクト121~124を備えているが、複数の発生器に対応する1つのダクトを備えていてもよい。また、無人飛行体100は、複数の発生器に対応する1つのダクト、1つのマイク及び1つのスピーカを備えていてもよい。
【0127】
また、無人飛行体100は、各発生器又は各ダクトに対応する1つのマイク及び1つのスピーカを備えていてもよい。あるいは、無人飛行体100は、各発生器又は各ダクトに対応する3つ以上のマイク及び3つ以上のスピーカを備えていてもよい。例えば、3つ以上のマイク及び3つ以上のスピーカが気流を囲むように配置されてもよい。
【0128】
また、上述した例において、発生器111、ダクト121、マイク131及び141、並びに、スピーカ151及び161は、互いに関連し、互いに対応するとみなされ得る。
【0129】
同様に、発生器112、ダクト122、マイク132及び142、並びに、スピーカ152及び162が、互いに対応するとみなされ得る。また、発生器113、ダクト123、マイク133及び143、並びに、スピーカ153及び163が、互いに対応するとみなされ得る。また、発生器114、ダクト124、マイク134及び144、並びに、スピーカ154及び164が、互いに対応するとみなされ得る。
【0130】
上記のような互いに対応するとみなされ得る複数の構成要素は、1つのセットと表現されてもよい。
【0131】
また、無人飛行体100は、ノイズに従って、ノイズの逆位相音を出力することに限らず、ノイズに従って、ノイズを目立たなくする音を出力してもよい。例えば、無人飛行体100は、ノイズと同程度の音量で音楽等の音を出力してもよい。
【0132】
また、上記のダクト121~124の各々について、風道が気流方向に向かって同心円状に細くなっている。しかしながら、風道が同心円状に細くならなくてもよい。例えば、マイク131~134及び141~144が配置される部分について、部分的に風道が細くなっていてもよい。
【0133】
また、無人飛行体100は、対称性を有していなくてもよい。例えば、無人飛行体100において前方と後方とが定められていてもよい。そして、無人飛行体100は、前方から受ける風に伴う振動等の影響を抑制するため、後方のみにマイク131~134又は141~144を備えていてもよい。
【0134】
以下、上記の実施の形態の複数の変形例を示す。各変形例において、上記の実施の形態と実質的に同一の構成に対する説明を省略する場合がある。
【0135】
(第1変形例)
本変形例における無人飛行体において、ダクトの内部側面と外部側面との間に位置するマイクが接続物を介してダクトに固定される。
【0136】
図6は、本変形例における無人飛行体を部分的に透過させて示す構成図である。本変形例における無人飛行体200は、上記の実施の形態における無人飛行体100と同じ構成要素を備える。すなわち、無人飛行体200は、発生器111~114、ダクト121~124、マイク131~134及び141~144、スピーカ151~154及び161~164、プロセッサ170、及び、筐体180を備える。
【0137】
図7は、
図6に示された無人飛行体200におけるマイク131等の接続態様をダクト121の断面で示す構成図である。具体的には、
図7は、
図6に示された無人飛行体200のダクト121に対する鉛直面の断面であって、マイク131及び141、並びに、スピーカ151及び161を含む断面を概念的に示す。
図7に示されているように、マイク131及び141は、ダクト121の内部側面と外部側面との間の空間に配置される。
【0138】
ダクト121は、風道の気流及び外部の風等によって振動すると想定される。このような振動に伴う振動音が、マイク131及び141に入る可能性がある。マイク131及び141に振動音が入った場合、発生器111で発生するノイズが適切に取得されない。そこで、本変形例では、ダクト121の振動の影響が抑制されるように、マイク131及び141は、ダクト121の外部側面又は内部側面に直接固定されず、ダクト121の外部側面又は内部側面に接続物を介して固定される。
【0139】
これにより、マイク131及び141は、ダクト121の外部側面と内部側面との間の空間に浮くように配置される。したがって、マイク131及び141に対するダクト121の振動の影響が抑制される。
【0140】
マイク131及び141は、ダクト121の外部側面及び内部側面のうち一方に接続物を介して固定されてもよいし、ダクト121の外部側面及び内部側面の各々に接続物を介して固定されてもよい。つまり、マイク131及び141は、ダクト121の外部側面及び内部側面のうち少なくとも一方の側壁に接続物を介して物理的に接続される。
図7の例では、マイク131及び141は、外部側面及び内部側面の両方に複数の接続物を介して固定されている。
【0141】
上記の接続物は、ダンパーであってもよい。すなわち、上記の接続物は、弾性体であってもよい。これにより、マイク131及び141に対するダクト121の振動の影響がより適切に抑制される。より具体的には、ばね又はゴムが弾性体として接続物に用いられてもよい。また、弾力を有する繊維が、弾性体として接続物に用いられてもよい。なお、接続物が弾性体でない場合であっても、接続物が用いられることにより、ダクト121の振動の直接的な影響が抑制される可能性がある。
【0142】
図8は、
図6に示された無人飛行体200におけるマイク131等の接続態様をダクト121の別の断面で示す構成図である。具体的には、
図8は、
図6に示された無人飛行体200のダクト121に対する水平面の断面であって、マイク131及び141を含む断面を概念的に示す。
【0143】
図8に示されているように、本変形例では、マイク131が3箇所で固定される。具体的には、マイク131は、外部側面の2箇所、及び、内部側面の1箇所に、3つの接続物を介して固定される。この接続態様は、一例であって、マイク131は、1箇所で固定されてもよいし、2箇所で固定されてもよいし、4箇所以上で固定されてもよい。マイク141に関する接続態様もマイク131に関する接続態様と同様である。
【0144】
また、マイク132~134及び142~144に関する接続態様も、マイク131及びマイク141に関する接続態様と同様である。
【0145】
(第2変形例)
本変形例における無人飛行体は、1つの発生器、1つのダクト、1つのマイク、及び、1つのスピーカを備える。
【0146】
図9は、本変形例における無人飛行体を示す構成図である。具体的には、
図9において、本変形例における無人飛行体300の構成が、無人飛行体300に対する鉛直面の断面で概念的に示されている。
図9のように、本変形例における無人飛行体300は、発生器310、ダクト320、マイク330、スピーカ350、及び、プロセッサ370を備える。
【0147】
本変形例における無人飛行体300の複数の構成要素の各々は、上記の実施の形態における無人飛行体100の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素に対応する。そして、無人飛行体300の複数の構成要素の各々は、無人飛行体300において対応する少なくとも1つの構成要素と基本的に同じ特徴を有する。
【0148】
具体的には、発生器310は、発生器111~114に対応し、ダクト320は、ダクト121~124に対応し、マイク330は、マイク131~134及び141~144に対応し、スピーカ350は、スピーカ151~154及び161~164に対応する。また、プロセッサ370は、プロセッサ170に対応する。
【0149】
本変形例において、ダクト320が発生器310を覆う。ダクト320の風道に、発生器310及びスピーカ350が含まれる。ダクト320の内部側面と外部側面との間の空間に、マイク330及びプロセッサ370が含まれる。そして、プロセッサ370は、マイク330で取得された音に従って、予測されるノイズの逆位相音をスピーカ350から出力させる。
【0150】
これにより、本変形例における無人飛行体300は、ノイズを適切に取得することができ、ノイズを適切に抑制することができる。また、無人飛行体300では、部品数が削減され、資源の浪費が削減される。
【0151】
なお、上記の実施の形態における無人飛行体100の発生器111~114の各々は、無人飛行体100を飛行させる力の成分を発生させる。本変形例における無人飛行体300の発生器310も、無人飛行体300を飛行させる力の成分を発生させるが、この成分は、無人飛行体300を飛行させる力自体とみなされ得る。
【0152】
また、第1変形例と第2変形例とが組み合わされてもよい。具体的には、第2変形例におけるマイク330が、第1変形例のように、ダクト320の内部側面及び外部側面のうち少なくとも一方に接続物を介して固定されてもよい。
【0153】
以上、複数の変形例を含む上記の実施の形態等に基づいて無人飛行体の態様を説明したが、無人飛行体の態様は、上記の実施の形態等に限定されない。上記の実施の形態等に対して当業者が思いつく変形が施されてもよいし、上記の実施の形態等における複数の構成要素が任意に組み合わされてもよい。
【0154】
例えば、上記の実施の形態等において特定の構成要素によって実行される処理を特定の構成要素の代わりに別の構成要素が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0155】
また、説明に用いられた第1及び第2等の序数は、適宜、付け替えられてもよい。また、構成要素などに対して、序数が新たに与えられてもよいし、取り除かれてもよい。
【0156】
上記において各構造物には、純物質が用いられてもよいし、混合物が用いられてもよい。例えば、金属が用いられてもよいし、樹脂が用いられてもよいし、木材が用いられてもよいし、その他の素材が用いられてもよい。また、各構成要素の位置は、その構成要素の中心の位置であってもよいし、その構成要素の主要な位置であってもよい。
【0157】
また、上流側は、気流方向とは反対方向の側に対応し、下流側は、気流方向の側に対応している。例えば、気流方向が下方向である場合、上流側は上側であり、下流側は下側である。また、気流方向の端は、気流方向の終端を意味する。例えば、ダクトの気流方向の端は、ダクトの気流方向の終端を意味する。
【0158】
また、上記の実施の形態では、スピーカがダクトの風道内に配置される例を説明したが、スピーカはダクトの外部側面の外側に配置されてもよい。例えば、スピーカは、ダクトの外部側面又はダクトの気流方向の端に配置されてもよい。
【0159】
以下、本開示の一態様における無人飛行体の基本的な構成及び代表的な変形例等を示す。これらは、互いに組み合わされてもよいし、上記の実施の形態等の一部と組み合わされてもよい。
【0160】
(1)本開示の一態様における無人飛行体(100、200、300)は、1つ以上の発生器(111~114、310)と、1つ以上のダクト(121~124、320)と、1つ以上のマイク(131~134、141~144、330)と、1つ以上のスピーカ(151~154、161~164、350)と、プロセッサ(170、370)とを備える。
【0161】
1つ以上の発生器(111~114、310)は、無人飛行体を飛行させる力を発生させ、それぞれ気流を発生させる。プロセッサ(170、370)は、1つ以上のマイクから出力されたそれぞれの第1信号に従って、第2信号を生成する。
【0162】
各ダクト(121~124、320)は、各ダクトにそれぞれ対応する各発生器をそれぞれ覆い、各発生器が気流を出す方向である気流方向に気流をそれぞれ通す。また、各ダクト(121~124、320)は、各ダクトの内部側面と外部側面との間に、各ダクトの気流方向の端において開口している空間をそれぞれ有する。また、各ダクト(121~124、320)の内部側面の形状は、それぞれ気流方向に応じたテーパー形状である。
【0163】
各マイク(131~134、141~144、330)は、各マイクにそれぞれ対応する各ダクトの内部側面と外部側面との間の空間にそれぞれ位置する。各スピーカ(151~154、161~164、350)は、各スピーカにそれぞれ対応する各マイクよりも各スピーカにそれぞれ対応する各発生器の近くにそれぞれ位置し、第2信号に従ってそれぞれ音を出力する。
【0164】
これにより、無人飛行体(100、200、300)において、風雑音が入りにくい位置にマイクが配置される。また、マイクの配置領域がダクトの外側になくてもよい。したがって、無人飛行体(100、200、300)は、ノイズを低減させるための構成を有しつつ、全体サイズの増加を抑制することができる。
【0165】
(2)例えば、無人飛行体(100、200、300)において、各マイク(131~134、141~144、330)の位置は、各マイクにそれぞれ対応する各ダクトの内部側面と外部側面との間の空間における気流方向の端の位置にそれぞれ対応する。
【0166】
これにより、無人飛行体(100、200、300)において、ノイズが届きやすく、かつ、風雑音が入りにくい位置にマイクが配置される。したがって、無人飛行体(100、200、300)は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0167】
(3)例えば、無人飛行体(100、200、300)において、各マイク(131~134、141~144、330)は、各マイクにそれぞれ対応する各ダクトの内部側面と外部側面との間の空間において内部側面に対する距離よりも外部側面に対する距離が短い領域にそれぞれ位置する。
【0168】
これにより、無人飛行体(100、200、300)において、ダクトの内部側面から遠い位置にマイクが配置される。ダクトの内部側面は、気流によって振動しやすい。したがって、ダクトの内部側面に近い位置にマイクが配置された場合、マイクに振動音が入る可能性があり、抑制の対称のノイズと振動音とが混在する可能性がある。無人飛行体(100、200、300)は、ダクトの内部側面から遠い位置にマイクが配置されることにより、上記振動音がマイクで収音されることを抑制することができ、抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0169】
(4)例えば、無人飛行体(100、200、300)において、各マイク(131~134、141~144、330)は、各マイクにそれぞれ対応する各ダクトの内部側面及び外部側面のうち少なくとも一方と接続物を介して固定される。
【0170】
これにより、無人飛行体(100、200、300)において、ダクトの振動がマイクに伝達されにくくなり、ダクトの振動音がマイクに入ることが抑制される。したがって、無人飛行体(100、200、300)は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0171】
(5)例えば、無人飛行体(100、200、300)において、接続物は、弾性体である。これにより、無人飛行体(100、200、300)において、ダクトの振動がマイクに伝達されることがより抑制され、ダクトの振動音がマイクに入ることが、より抑制される。したがって、無人飛行体(100、200、300)は、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【0172】
(6)例えば、無人飛行体(100、200、300)において、各マイク(131~134、141~144、330)は、各マイクにそれぞれ対応する各ダクトの外部側面に固定される。これにより、無人飛行体(100、200、300)において、内部側面よりも振動しにくい外部側面にマイクが固定される。したがって、無人飛行体(100、200、300)は、振動音がマイクに入ることを抑制することができ、アクティブノイズキャンセリングを用いて抑制する対象のノイズをよりクリアに取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本開示は、無人飛行体のノイズの抑制、及び、無人飛行体の軽量化に利用可能であり、静かな環境を飛行する無人飛行体等に適用可能である。
【符号の説明】
【0174】
100、200、300 無人飛行体
111、112、113、114、310 発生器
121、122、123、124、320 ダクト
131、132、133、134、141、142、143、144、330 マイク(マイクロフォン)
151、152、153、154、161、162、163、164、350 スピーカ
170、370 プロセッサ
180 筐体