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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】硬貨処理装置および硬貨処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20220816BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G07D11/00
G07D3/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018122662
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020004071
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】本村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】東川 誠久
(72)【発明者】
【氏名】河原 恒
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝和
(72)【発明者】
【氏名】北村 洋輔
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228021(JP,A)
【文献】特開2015-018304(JP,A)
【文献】特開平05-282528(JP,A)
【文献】特開平04-290191(JP,A)
【文献】特開2010-287073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00 - 3/16
G07D 9/00 - 13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定種類の複数の硬貨を載置するための第1載置領域と、
所定種類の複数の硬貨を載置するための第2載置領域と、
前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を撮像する撮像部と、
前記第1載置領域に載置された硬貨を収納する第1収納部と、
前記第2載置領域に載置された硬貨を収納する第2収納部と、
前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を前記第1収納部および前記第2収納部に導く収納機構と、を備える、
ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記第1載置領域と前記第2載置領域は、水平方向に並んで配置され、
前記撮像部は、前記第1載置領域および前記第2載置領域にそれぞれ載置された全ての硬貨を同時に撮像する、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記第1載置領域と前記第2載置領域とは、装置の外郭を形成する筐体に対し引き出し可能に設けられ、
前記撮像部は、前記第1載置領域と前記第2載置領域とが前記筐体の内部へ引き込まれるに伴い、前記第1載置領域と前記第2載置領域とに載置された硬貨が撮像領域を通過するように配置されている、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記第1載置領域および前記第2載置領域に対する硬貨の入出操作を規制するための規制機構を備え、
前記撮像部は、前記規制機構により前記第1載置領域および前記第2載置領域に対する硬貨の入出操作が規制された状態で、前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を撮像する、請求項1ないし3の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
処理対象の硬貨に対する処理を制御する制御部を備える、請求項1ないしの何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、設定操作に応じて、処理対象の硬貨の種類を設定する、請求項に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像に基づいて、各硬貨の種類を判定する、請求項またはに記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された硬貨の画像に基づいて、処理すべきでない硬貨を検出した場合、検出結果を報知するための処理を行う、請求項ないしに記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、処理対象の硬貨を収納すべきでない硬貨であると判定した場合、操作者により当該硬貨を取り出すための処理を行う、請求項ないしの何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された硬貨の表面の画像を表示させるための処理を行う、請求項ないしの何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
処理対象の硬貨の種類は、損貨および記念貨の少なくとも1つを含む、請求項1ないし10の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の硬貨処理装置と、
前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える、ことを特徴とする硬貨処理システム。
【請求項13】
請求項1ないしの何れか一項に記載の硬貨処理装置と、
処理対象の硬貨に対する処理を制御する制御部と、
前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える、ことを特徴とする硬貨処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置および硬貨処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)や記念貨、旧貨等の、市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う硬貨処理装置が知られている。たとえば、このような硬貨処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨処理装置では、入金口を介して筐体内部にある入金位置に一枚の硬貨が載置される。載置された硬貨は、入金位置においてカメラで撮像される。この画像は、硬貨の種類および金種に関する候補とともに表示部に表示される。操作者は、硬貨の画像を見ながら、その硬貨の種類および金種を複数の候補の中から選択する。硬貨の種類および金種が選択されると、これら情報が画像に紐付けられて記憶部に記憶される。その後、硬貨は、損貨であるか記念貨であるかに応じて、損貨箱または記念貨箱に振り分けて収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-018304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の硬貨処理装置では、入金対象の硬貨が複数枚ある場合に、1枚ずつ上記の操作が繰り返される。このため、ユーザにとって、入金操作が面倒であり、入金時間も長く掛かりやすい。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することが可能な硬貨処理装置および硬貨処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、所定種類の複数の硬貨を載置するための第1載置領域と、所定種類の複数の硬貨を載置するための第2載置領域と、前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を撮像する撮像部と、前記第1載置領域に載置された硬貨を収納する第1収納部と、前記第2載置領域に載置された硬貨を収納する第2収納部と、前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を前記第1収納部および前記第2収納部に導く収納機構と、を備える。
【0008】
この構成によれば、操作者は、第1載置領域および第2載置領域に、対応する種類の硬貨を纏めて載置することにより、各種類の硬貨を一括して処理できる。よって、第1載置領域および第2載置領域に載置された硬貨を極めて簡便かつ迅速に処理できる。また、第1載置領域および第2載置領域に載置された硬貨は、それぞれ、第1載置領域および第2載置領域に対応付けられた第1収納部および第2収納部に収納される。よって、各種類の硬貨を、種類ごとに第1収納部および第2収納部に分別して収納でき、硬貨に対するその後の処理を円滑に進めることができる。
【0009】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記第1載置領域と前記第2載置領域は、水平方向に並んで配置され、前記撮像部は、前記第1載置領域および前記第2載置領域にそれぞれ載置された全ての硬貨を同時に撮像するよう構成され得る。
【0010】
この構成によれば、第1載置領域および第2載置領域に対して1つの撮像部が割り当てられるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0011】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記第1載置領域と前記第2載置領域とは、装置の外郭を形成する筐体に対し引き出し可能に設けられ、前記撮像部は、前記第1載置領域と前記第2載置領域とが前記筐体の内部へ引き込まれるに伴い、前記第1載置領域と前記第2載置領域とに載置された硬貨が撮像領域を通過するように配置されるよう構成され得る。
【0012】
上記の構成によれば、第1載置領域と第2載置領域とが筐体内部に引き込まれる間に、同時に、硬貨の撮像を行い得るため、入金処理を円滑且つ迅速に進めることができる。
【0013】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記第1載置領域および前記第2載置領域に対する硬貨の入出操作を規制するための規制機構を備え、前記撮像部は、前記規制機構により前記第1載置領域および前記第2載置領域に対する硬貨の入出操作が規制された状態で、前記第1載置領域および前記第2載置領域に載置された硬貨を撮像するよう構成され得る。
【0014】
上記の構成によれば、硬貨の入出を行い得ない状態で撮像が行われるため、撮像後の硬貨の取り出しや、撮像後の硬貨の載置によって違算が生じることを抑制できる。
【0019】
本態様に係る硬貨処理装置は、処理対象の硬貨に対する処理を制御する制御部を備えるよう構成され得る。
【0020】
この場合、前記制御部は、たとえば、設定操作に応じて、処理対象の硬貨の種類を設定するよう構成され得る。
【0021】
上記の構成によれば、載置領域に載置される硬貨の種類を適宜設定することができる。よって、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
また、前記制御部は、前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像に基づいて、各硬貨の種類を判定するよう構成され得る。
【0023】
この構成によれば、硬貨の種類の判定結果に基づいて、制御部により、所定の制御を行うことができる。
【0024】
この場合、前記制御部は、前記撮像部により撮像された硬貨の画像に基づいて、処理すべきでない硬貨を検出した場合、検出結果を報知するための処理を行うよう構成され得る。
【0025】
この構成によれば、操作者は、誤った種類の硬貨が載置領域に載置されたことを知ることができる。これにより、操作者は、誤った種類の硬貨を正しい硬貨に置き直す等の操作を行い得る。よって、硬貨を正確に入金し、処理することができる。
【0026】
上記構成において、前記制御部は、処理対象の硬貨を収納すべきでない硬貨であると判定した場合、操作者により当該硬貨を取り出すための処理を行うよう構成され得る。
【0027】
この構成によれば、操作者は、たとえば、ケース入りの硬貨等、収納部に収納せずに個別に保管すべき硬貨について、画像の撮像後に、円滑に、装置から取り出して保管することができる。
【0028】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記制御部は、前記撮像部により撮像された硬貨の表面の画像を表示させるための処理を行うよう構成され得る。
【0029】
この構成によれば、操作者は、表示された硬貨の表面画像を直接目視で確認して、載置領域に載置された各硬貨の種類を確認できる。よって、硬貨を正確に入金し、処理することができる。
【0030】
本態様に係る硬貨処理装置において、処理対象の硬貨の種類は、損貨および記念貨の少なくとも1つを含むよう構成され得る。
【0031】
この構成によれば、ユーザは、複数の損貨または記念貨を一括して処理できる。よって、損貨または記念貨を迅速かつ円滑に処理できる。
【0032】
本発明の第3の態様は、硬貨処理システムに関する。この態様に係る硬貨処理システムは、第1または第2の態様に係る硬貨処理装置と、前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える。
【0033】
この構成によれば、第1の態様あるいは第2の態様と同様の効果が奏され得る。
【0034】
本発明の第4の態様は、硬貨処理システムに関する。この態様に係る硬貨処理システムは、第1または第2の態様に係る硬貨処理装置と、処理対象の硬貨に対する処理を制御する制御部と、前記撮像部により撮像された処理対象の硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える。
【0035】
この構成によれば、第1あるいは第2の態様と同様の効果が奏され得る。
【0036】
なお、第1および第2の態様に係る硬貨処理装置が表示部を備える構成であってもよい。この場合、硬貨処理装置は、撮像部により撮像された硬貨の画像等を表示部に表示させるよう構成され得る。
【0037】
また、第1および第2の態様に係る硬貨処理装置の制御部の処理が、第3および第4の態様に係る硬貨処理システムを構成する他の制御部によって行われてもよい。
【発明の効果】
【0038】
上記のように、本発明によれば、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することが可能な硬貨処理装置および硬貨処理システムを提供することができる。
【0039】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、実施形態に係る貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
図2図2(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図3図3(a)~(d)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の第1載置領域および第2載置領域に対する硬貨の種類の設定方法と、各設定方法において第1載置領域および第2載置領域により処理可能な硬貨の枚数を示す図である。
図4図4(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成および動作を模式的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図7図7(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図8図8(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨の画像に対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態に係る、詳細画面を示す図である。
図10図10は、変更例1に係る特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図11図11(a)~(d)は、それぞれ、変更例1に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図12図12は、変更例2に係る特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図13図13(a)、(b)は、変更例2に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
図14図14(a)、(b)は、変更例3に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
図15図15(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
図16図16(a)~(c)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
図17図17(a)、(b)は、変更例5に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
図18図18は、他の変更例に係る特殊硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0042】
本実施形態において、特殊硬貨処理装置7が、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応し、特殊硬貨処理装置7と操作端末8(操作表示部301)との組み合わせが、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理システム」に対応する。操作端末8(操作表示部301)は、特許請求の範囲に記載の「表示装置」に対応する。また、カメラ51が、特許請求の範囲に記載の「撮像部」に対応する。枠部材24と載置部材25とが、特許請求の範囲に記載の「収納機構」に対応する。
【0043】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0044】
図1は、本実施形態に係る、貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0045】
貨幣処理システム1は、バラ紙幣処理装置2と、束紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8と、貨幣保管装置9と、を備える。
【0046】
バラ紙幣処理装置2は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置3は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。束紙幣処理装置3は、バラ紙幣処理装置2と接続されており、バラ紙幣処理装置2から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0047】
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨に生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を包装硬貨収納部に収納する。
【0048】
有価媒体処理装置6は、バラ紙幣処理装置2および束紙幣処理装置3で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによってバラ紙幣処理装置2で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0049】
特殊硬貨処理装置7は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨、旧貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、バラ硬貨処理装置4では、取り扱うことができない。
【0050】
操作端末8は、操作表示部301と、プリンタ302とを備える。ユーザは、操作端末8を用いて、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
【0051】
貨幣保管装置9は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨、旧貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。
【0052】
図2(a)(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0053】
特殊硬貨処理装置7は、直方体形状の筐体10により、外郭が形成される。筐体10の上部前側に開口11が形成されている。この開口11が、シャッター12により開閉される。図2(a)には、開口11がシャッター12により閉じられた状態が示され、図2(b)には、開口11が開放された状態が示されている。シャッター12は、筐体10の左右の内側面に形成されたガイド溝13に沿って、前後方向に移動可能に筐体10に支持されている。
【0054】
シャッター12が開放されると、左右に並ぶ第1載置領域21と第2載置領域22とが、外部に露出する。第1載置領域21と第2載置領域22とは、仕切り23によって仕切られている。第1載置領域21の直下に、第1載置領域21に載置された硬貨を収納するための第1収納部31が前方に引き出し可能に設置されている。また、第2載置領域22の直下に、第2載置領域22に載置された硬貨を収納するための第2収納部32が前方に引き出し可能に設置されている。すなわち、第1載置領域21と第2載置領域22とにそれぞれ対応付けられて、第1収納部31と第2収納部32とが設けられている。
【0055】
第1載置領域21および第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類は、任意に設定可能である。各載置領域に載置されるべき硬貨の種類は、たとえば、所定の設定画面を用いて設定される。設定された各載置領域の硬貨の種類は、操作端末8内の記憶部に記憶される。ラベル33、34は設定に応じて付設される。
【0056】
第1載置領域21および第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類の設定に関して、図3(a)~(d)を参照して説明する。
【0057】
図3(a)~(d)は、それぞれ、第1載置領域21および第2載置領域22に対する硬貨の種類の設定方法と、各設定方法において、第1載置領域21および第2載置領域22により処理可能な硬貨の枚数を示す図である。図3(a)~(d)において、左側には、第1載置領域21および第2載置領域22に硬貨が載置された状態が示され、右側には、第1載置領域21および第2載置領域22に載置可能な硬貨の最大数と第1収納部31および第2収納部32に収納可能な硬貨の最大数が示されている。なお、右側の表に示された枚数は一例であり、特殊硬貨処理装置7のサイズ、硬貨の種類等で適切に設定される。
【0058】
図3(a)には、標準的な硬貨の種類の設定パターン(標準パターン)が示されている。この設定パターンは、たとえば、操作端末8にデフォルトで設定される。標準パターンでは、第1載置領域21が損貨の載置領域に設定され、第2載置領域22が記念貨の載置領域に設定される。したがって、第1収納部31には損貨が収納され、第2収納部32には記念貨が収納される。第1収納部31と第2収納部32の真上の位置に、それぞれ、第1載置領域21と第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類を示すラベル33、34が付設される。操作者は、これらのラベル33、34を参照することにより、第1載置領域21と第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類を把握できる。
【0059】
図3(a)の表に示すように、標準パターンでは、たとえば、第1載置領域21に最大12枚の損貨が載置可能であり、第2載置領域22には最大4枚の記念貨が載置可能である。また、標準パターンでは、第1収納部31に、120枚まで損貨が収納可能である。一方、第2収納部32には、40枚まで記念貨が収納可能である。
【0060】
図3(b)には、第1載置領域21に載置される硬貨の種類と第2載置領域22に載置される硬貨の種類とが、標準パターンに対して入れ替えられた設定パターン(入替パターン)が示されている。入替パターンでは、第1載置領域21が記念貨の載置領域に設定され、第2載置領域22が損貨の載置領域に設定される。したがって、第1収納部31には記念貨が収納され、第2収納部32には損貨が収納される。硬貨の種類の入替に応じて、ラベル33、34の表記が変更される。
【0061】
図3(b)の表に示すように、入替パターンでは、第1載置領域21に最大4枚の記念貨が載置可能であり、第2載置領域22には最大12枚の損貨が載置可能である。また、第1収納部31に、40枚まで記念貨が収納可能である。一方、第2収納部32に、120枚まで損貨が収納可能である。
【0062】
図3(c)には、第1載置領域21と第2載置領域22との何れにも、損貨が載置される領域に設定された設定パターン(損貨パターン)が示されている。また、図3(d)には、第1載置領域21と第2載置領域22との何れにも、記念貨が載置される領域に設定された設定パターン(損貨パターン)が示されている。
【0063】
図3(c)の損貨パターンでは、第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、12枚ずつ損貨が載置可能である。したがって、損貨パターンでは、合計24枚の損貨を一度に第1載置領域21および第2載置領域22に載置して処理できる。この場合、第1収納部31および第2収納部32に合計240枚の損貨を収納可能である。
【0064】
図3(d)の記念貨パターンでは、第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、4枚ずつ記念貨が載置可能である。したがって、記念貨パターンでは、合計8枚の記念貨を一度に第1載置領域21および第2載置領域22に載置して処理できる。この場合、第1収納部31および第2収納部32に合わせて80枚の記念貨を収納可能である。
【0065】
このように、本実施形態では、第1載置領域21と第2載置領域22とに載置されるべき硬貨の種類および枚数を、適宜、設定可能である。各設定パターンは、所定の設定画面を介して、操作端末8の制御部305(図5参照)により受け付けられ、操作端末8の記憶部(図5参照)に記憶される。
【0066】
図4(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成および動作を模式的に示す断面図である。図4(a)、(b)には、それぞれ、図2(a)のA-A’断面図が示されている。図4(a)は、第1載置領域21と第2載置領域22に対象の硬貨が載置された後、シャッター12が閉じられた直後の状態が示され、図4(b)には、その後、収納動作が開始された状態が示されている。
【0067】
図4(a)、(b)に示すように、第1載置領域21は、枠部材24と載置部材25とで構成されている。枠部材24の内側面は、仕切り23の側面とともに、第1載置領域21の内側面を構成し、載置部材25の上面は、第1載置領域21の底面、すなわち、第1載置領域21における硬貨の載置面を構成する。枠部材24は、筐体10内部に固定され、載置部材25は、前後に移動可能に、支持フレーム41に支持されている。支持フレーム41には、枠部材24の内側面と第1収納部31とを連通させる開口41aが設けられている。第2載置領域22も、図4(a)、(b)と同様の構成である。
【0068】
なお、枠部材24は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に共通な1つの部材であってもよく、第1載置領域21および第2載置領域22ごとに個別に設けられてもよい。また、載置部材25は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方に共通な1つの部材であってもよく、第1載置領域21および第2載置領域22ごとに個別に設けられてもよい。
【0069】
シャッター12の上部内側面には、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を画角に含むカメラ51が設置されている。すなわち、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨は、全て、1つのカメラ51で同時に撮像される。この他、筐体10の内部には、第1載置領域21および第2載置領域22を照明するための発光ユニット(図示せず)が設置されている。
【0070】
図4(a)の状態から、載置部材25が図示しない駆動機構により後方に移動されると、第1載置領域21の底面が徐々に開放される。これにより、図4(b)に示すように、硬貨C1が、開放された底面から開口41aを介して第1収納部31の内部に落下する。載置部材25は、前端が枠部材24の後端側の内側面の位置まで移動する。これにより、第1載置領域21に載置された全ての硬貨C1が、第1収納部31の内部に落下して、第1収納部31に収納される。第2載置領域22に載置された硬貨も、同様の動作により、第2収納部32に収納される。
【0071】
載置部材25の駆動機構は、モータとギアにより構成される。たとえば、載置部材25に前後に延びるラックギアが設けられ、このラックギアに、モータにより駆動されるギアが噛み合わされる。モータが駆動されると、ギアとラックギアを介してモータの駆動力が載置部材25に付与される。これにより、載置部材25が前後に移送される。
【0072】
図4(b)に示した硬貨の収納動作は、図4(a)の状態において、カメラ51で撮像された各硬貨の撮像画像に対し、操作者が、所定の金種を割り当てた後、確定操作を行うことにより実行される。ここで、各硬貨の撮像画像は、硬貨ごとに切出されて、操作端末8に表示される。操作者は、操作端末8に表示された各硬貨の撮像画像を目視で確認しつつ、各撮像画像に当該硬貨の金種を設定する。その後、操作者が、操作端末8に対して確定操作を入力することにより、各撮像画像に金種が紐づけられて、操作端末8の記憶部に記憶される。こうして、各硬貨が管理される。
【0073】
図5は、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0074】
特殊硬貨処理装置7は、撮像処理部201と、シャッター駆動部202と、ユニット駆動部203と、通信部204と、制御部205と、記憶部206と、を備える。
【0075】
撮像処理部201は、制御部205からの制御によりカメラ51を駆動するとともに、カメラ51からの画像データを処理して制御部205に送信する。シャッター駆動部202は、シャッター12を駆動するためのモータおよび駆動回路を備え、制御部205からの制御により、シャッター12を開閉する。ユニット駆動部203は、図4(a)、(b)に示した載置部材25を駆動するモータとその駆動回路を備え、制御部205からの制御により、載置部材25を駆動する。通信部204は、制御部205からの制御により、操作端末8の通信部304との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0076】
制御部205は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部206に記憶されたプログラムに従って、撮像処理部201、シャッター駆動部202、ユニット駆動部203および通信部204を制御する。記憶部206は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部205の制御プログラムを記憶し、また、制御部205の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0077】
操作端末8は、上述した操作表示部301およびプリンタ302の他、カードリーダ303、通信部304、制御部305および記憶部306を備える。
【0078】
操作表示部301は、ディスプレイ301aとタッチセンサ301bとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイ301aは、各種情報を表示する。タッチセンサ301bは、ディスプレイ301aに対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ302は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0079】
カードリーダ303は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを制御部305に出力する。通信部304は、特殊硬貨処理装置7の通信部204との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部304は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6および貨幣保管装置9の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0080】
制御部305は、CPU等の演算回路を備え、記憶部306に記憶されたプログラムに従って、操作表示部301、プリンタ302、カードリーダ303、通信部304を制御する。さらに、制御部305は、通信部304を介して、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら装置の動作を制御する。
【0081】
記憶部306は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部305の制御プログラムを記憶し、また、制御部305の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、記憶部306は、損貨および記念貨の参照画像と金種とを対応付けた硬貨画像データベース306aを保持している。硬貨画像データベース306aは、硬貨の種類(損貨/記念貨)ごとに準備されている。硬貨画像データベース306aは、カメラ51により撮像された硬貨の画像の金種を判定する際に、制御部305により参照される。
【0082】
次に、特殊硬貨処理装置7へ特殊な硬貨である損貨および記念貨を入金するための処理について説明する。なお、ここでは、第1載置領域21および第2載置領域22に載置される硬貨の種類の設定パターンとして、図3(a)に示した標準パターンが設定されている。
【0083】
図6は、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。図7(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。図6のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0084】
特殊硬貨の入金処理において、操作者は、まず、図7(a)に示すメニュー画面410を操作する。メニュー画面410には、処理項目の選択候補を表示する領域411が含まれている。操作者は、領域411中の“特殊硬貨”の処理項目を選択する。これにより、領域412に含まれた貨幣の種類のうち、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示される。さらに、領域413に、当該硬貨の入金を行うための特殊硬貨処理装置7の画像413aが表示される。操作者は、画像413aを参照することにより、どの装置に対して入金を行えばよいかを円滑に把握できる。その後、操作者は、ボタン414を操作する。これにより、図6に示す処理が開始される。
【0085】
制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S101)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。また、制御部305は、操作表示部301にセット要求画面420を表示させる。これにより、操作表示部301の画面が、図7(a)のメニュー画面410から図7(b)のセット要求画面420に切り替わる。
【0086】
図7(b)を参照して、領域421には、図7(a)の領域411と同様の画像が含まれる。領域422には、特殊硬貨処理装置7の硬貨載置領域における硬貨の種類の割り当て形態を示す画像422aが表示される。ここでは、上記のように、標準パターンが設定されているため、左側の硬貨載置領域(第1載置領域21)が損貨を載置するための領域に割り当てられ、右側の硬貨載置領域(第2載置領域22)が記念貨を載置するための領域に割り当てられている。操作者は、画像422aを参照することにより、各載置領域に載置すべき硬貨の種類を的確に把握できる。
【0087】
領域423には、特殊硬貨処理装置7に処理対象の硬貨をセットすること、および、セット完了後にボタン424を操作することを促すメッセージ423aが含まれる。操作者は、メッセージ423aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、処理対象の損貨および記念貨を載置する。処理対象の全ての損貨および記念貨をセットすると、操作者は、ボタン424を操作する。これにより、図6のステップS103の判定がYESとなる。
【0088】
こうして、ステップS103の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S104)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。さらに、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、硬貨を撮像させる指示を送信する(S105)。これにより、特殊硬貨処理装置7において、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、カメラ51により撮像される。こうして撮像された画像のデータが、通信部204、304を介して、特殊硬貨処理装置7から操作端末8に送信される。制御部305は、受信したデータを、記憶部306に記憶させる。
【0089】
次に、制御部305は、受信した画像のデータを処理して、当該画像に含まれる各硬貨の画像を切り出す(S106)。このとき、制御部305は、切り出した各硬貨の画像に対して歪み補正を行い、真円に近い各硬貨の画像を取得する。そして、制御部305は、歪み補正後の各硬貨の画像と、硬貨画像データベース306aに保持された基準画像とを照合して、各硬貨の画像の金種を識別する(S107)。
【0090】
具体的には、制御部305は、各硬貨の画像について、マッチング度合いが所定の閾値以上で且つ最高の基準画像を硬貨画像データベース306aから抽出し、この基準画像に対応付けられた金種を、当該硬貨の画像に割り当てる。このとき、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた基準画像が、損貨と記念貨の何れの種類に属するかを示す区分を、各硬貨の画像にさらに割り当てる。また、マッチング度合いが閾値以上の基準画像がない硬貨の画像については、金種が不明との識別結果が割り当てられる。
【0091】
こうして各硬貨の画像について金種を識別した後、制御部305は、第1載置領域21および第2載置領域22に対して、対応する種類(損貨/記念貨)の硬貨が適正にセットされたか否かを判定する(S108)。すなわち、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた硬貨の種類の区分を参照し、損貨が載置されるべき第1載置領域21から取得された各硬貨の画像の何れかに記念貨の区分が割り当てられた場合、および、記念貨が載置されるべき第2載置領域22から取得された各硬貨の画像の何れかに損貨の区分が割り当てられた場合に、第1載置領域21および第2載置領域22に対して硬貨の置き間違いが生じたと判定する。
【0092】
硬貨の置き間違いが生じた場合(S108:YES)、制御部305は、図7(c)に示す確認要求画面430を操作表示部301に表示させる(S109)。確認要求画面430では、図7(b)に示したセット要求画面420に領域431の画像が重ねて表示される。領域431には、硬貨の置き間違いがあること、および、硬貨の再セットを行うことを促すメッセージ431aと、ボタン432が含まれる。操作者は、メッセージ431aを参照して、硬貨の置き間違いを把握した後、ボタン432を操作する。これにより、図6のステップS110の判定がYESとなる。
【0093】
これに応じて、制御部305は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を再度実行する。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放されて、硬貨の置き直しが可能となる。操作者は、ステップS102で表示されるセット要求画面420等を参照しながら、適正な載置領域に硬貨を置き直す。その後、操作者は、上記と同様の操作を行う。
【0094】
硬貨の置き間違いがない場合(S108:NO)、制御部305は、図7(d)に示す入金処理画面440を、操作表示部301に表示させる(S111)。
【0095】
図7(d)を参照して、入金処理画面440は、領域441、442と、ボタン443~445とを含んでいる。領域441には、硬貨の入金結果441a、441bが金種ごとに表示される。領域442には、撮像画像から切り出された各硬貨の画像442cが表示される。表示される各硬貨の画像442cは、上述の歪み補正後の画像である。領域442は、損貨の画像を表示させるためのタブ442aと、記念貨の画像を表示させるためのタブ442bとを備えている。すなわち、第1載置領域21および第2載置領域22に対して、それぞれ、タブ442aおよびタブ442bが割り当てられている。タブ442aが選択されると、第1載置領域21にセットされた損貨の各画像が表示され、タブ442bが選択されると、第2載置領域22にセットされた記念貨の各画像が表示される。
【0096】
硬貨の各画像442cの直下の位置に、各画像の金種を示す項目442dが表示される。入金処理画面440の表示開始時には、図6のステップS107で識別された各硬貨の画像442cの金種が項目442dに表示される。ステップS107で金種が不明と判定された硬貨の画像442cには、“?”の記号が項目442dに表示される。“?”の記号が付された画像442c以外の画像442cについて、金種ごとに枚数が計数され、計数結果が、入金結果441a、441bとして、領域441に表示される。領域442には、画像442cをスクロールさせるためのスクロールバー442eが設けられている。
【0097】
なお、金種を示す項目442dは、必ずしも、各画像442cの直下に配置されなくてもよく、画像442cに対応付けられた形態であれば、他の位置に配置されてもよい。たとえば、画像442cの一部に重なるように項目442dが配置されてもよい。
【0098】
操作者は、項目442dに対する操作により、各硬貨の画像442cの金種を設定できる。
【0099】
図8(a)、(b)は、硬貨の画像442cに対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【0100】
たとえば、金種が不明と識別された画像442cに対して金種を設定する場合、操作者は、まず、当該画像442cを参照して、当該画像442cの硬貨の金種を目視により確認する。次に、操作者は、図8(a)に示すように、当該画像442cに対応付けられた項目442dに指でタッチし、そのまま指を下方にドラッグさせる。これにより、ドラッグの距離に応じて項目442dに表示される金種が変化する。
【0101】
たとえば、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が1円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が5円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442dの金種が、10円、50円、…と変化する。指を逆方向(上方)にドラッグさせると、金種の変化が反転する。
【0102】
こうして、操作者は、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されるまで、指をドラッグさせる。そして、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されると、操作者は、指を画面から離す。これにより、図8(b)のように、項目442dに金種が設定される。このとき、操作者により金種が設定された項目442dは、図6のステップS107で金種が識別された項目442dと区別可能な形態で表示される。たとえば、操作者により金種が設定された項目442dは、他の項目442dとは異なる色が付されて表示される。
【0103】
操作者は、金種が不明と識別された他の画像442cについても、同様の操作により金種を設定する。また、操作者は、図6のステップS107で金種が識別された項目442dについても、適宜、上記と同様の操作により、金種を修正する。こうして、各画像442cの金種が操作者により設定されると、これに応じて、領域441に表示される各金種の入金結果441a、441bが更新される。
【0104】
なお、図8(a)、(b)に示した例では、指をドラッグさせることにより金種の候補が変更されたが、金種の候補を変化させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、項目442dをタップするごとに金種の候補が変化する構成であってもよい。
【0105】
図7(d)に戻り、ボタン443は、カメラ51により撮像された画像を表示させるためのボタンである。ボタン443が操作されると、操作表示部301のディスプレイ301a全体に、図9に示す詳細画面450が表示される。
【0106】
詳細画面450には、カメラ51の撮像画像の全体が表示される。領域451a、451bには、それぞれ、第1載置領域21および第2載置領域22を上方から撮像した画像が表示される。領域451cに撮像された画像は、第1載置領域21と第2載置領域22との間を仕切る仕切り23である。
【0107】
領域451a、451bに表示される画像は、ディスプレイ301aの表示領域の略全体に表示されるため、各硬貨の表面画像が大きく表示される。操作者は、領域442に対する金種の設定操作の際に、適宜、ボタン443を操作して、詳細画面450を表示させる。これにより、操作者は、各画像の金種をより円滑に目視により確認することができる。確認の後、操作者は、ボタン452を操作する。これにより、画面が、図7(d)の入金処理画面440に戻る。
【0108】
図6に戻り、制御部305は、入金処理画面440を表示させた後(S111)、金種受付処理(S112)および詳細確認受付処理(S113)を実行する。金種受付処理(S112)において、制御部305は、図8(a)、(b)に示した操作を受け付け、操作者により当該操作がなされた場合に、上記のように、項目442dの金種を変更する。また、詳細確認受付処理(S113)において、制御部305は、図7(d)のボタン443に対する操作を受け付け、ボタン443に対する操作がなされた場合に、図9に示した詳細画面450を表示させる。
【0109】
ステップS112、S113の処理とともに、制御部305は、入金処理画面440に対して、操作者により、やりなおし操作がなされたか否かを判定する(S114)。具体的には、制御部305は、入金処理画面440中のボタン444が操作者により操作されたか否かを判定する。
【0110】
操作者は、処理対象の硬貨の一部を第1載置領域21または第2載置領域22にセットし忘れた場合等、入金処理をやり直す必要性を確認した場合、ボタン445を操作する。これにより、制御部305は、ステップS114の判定をYESとして、処理をステップS101に戻す。これに応じて、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。これにより、操作者は、第1載置領域21または第2載置領域22にアクセスして、硬貨入金のための操作をやり直す。
【0111】
やりなおし操作および重なり確認操作の何れも行われることなく(S114:NO)、図7(d)の入金処理画面440において、操作者により、全ての硬貨の画像442cに対して金種が設定され、その後、処理を確定させるボタン445が操作されると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を実行する(S116)。入金確定処理において、制御部305は、各硬貨の画像442cと項目442dに設定された金種とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき同時に、制御部305は、領域441に示された入金結果441a、441bを記憶部306に記憶させる。
【0112】
こうして、入金確定処理を完了すると、制御部305は、通信部304を介して、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7に送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部205は、ユニット駆動部203を制御して、載置部材25を最後方位置へと移送させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納部31および第2収納部32に落下して収納される。その後、制御部205は、載置部材25を最前方位置(初期位置)へと移送させる。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
【0113】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0114】
操作者は、第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、対応する種類の硬貨(損貨、記念貨)を纏めて載置することにより、各種類の硬貨を一括して処理できる。よって、対象硬貨を極めて簡便かつ迅速に処理できる。また、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨は、それぞれ、第1載置領域21および第2載置領域22に対応付けられた第1収納部31および第2収納部32に収納される。よって、各種類の硬貨を、種類ごとに第1収納部31および第2収納部32に分別して収納できる。これにより、操作者は、各種類の硬貨に対するその後の処理を円滑に進めることができる。
【0115】
図2(b)に示したように、第1載置領域21と第2載置領域22は、水平方向に並んで配置され、カメラ51(撮像部)は、第1載置領域21および第2載置領域22にそれぞれ載置された全ての硬貨を同時に撮像するよう画角が設定されている。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に対して1つのカメラ(撮像部)が割り当てられるため、構成の簡素化を図ることができる。
【0116】
図4(a)に示したように、カメラ51(撮像部)は、シャッター12(規制機構)により第1載置領域21および第2載置領域22に対する硬貨の入出操作が規制された状態で、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を撮像する。このように、硬貨の入出を行い得ない状態で撮像が行われるため、撮像後の硬貨の取り出しや、撮像後の硬貨の載置によって違算が生じることを抑制できる。
【0117】
図4(a)に示したように、第1収納部31および第2収納部32は、それぞれ、上面が開放されるとともに、第1載置領域21とおよび第2載置領域22の下方に配置され、枠部材24および載置部材25(収納機構)は、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を、それぞれ、第1収納部31および第2収納部32に落下させるよう構成されている。より詳細には、枠部材24と載置部材25とが水平方向に相対的に移動することにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納部31および第2収納部32に落下する。これにより、枠部材24と載置部材25とを水平方向に相対移動させるだけで、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を、それぞれ、第1収納部31および第2収納部32に収納させることができる。よって、収納機構の構成を簡素にでき、硬貨収納のための制御を簡易に行い得る。
【0118】
図3(a)~(d)を参照して説明したとおり、制御部305は、設定操作に応じて、第1載置領域21および第2載置領域22のそれぞれに載置される硬貨の種類を設定する。これにより、ユーザの利便性を高めることができる。たとえば、記念貨の入金が多くなることが見込まれる場合、記念貨を載置する領域を、第1載置領域21および第2載置領域22のうち操作者にとって便利な領域に設定することができ、あるいは、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を記念貨を載置する領域に設定することもできる。これにより、操作者の利便性を高めることができる。
【0119】
図6のステップS107において、制御部305は、カメラ51(撮像部)により撮像された硬貨の画像に基づいて、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された各硬貨の種類を判定する。これにより、制御部305は、硬貨の種類の判定結果に基づいて、所定の制御を行うことができる。
【0120】
たとえば、制御部305は、第1載置領域21および第2載置領域22の硬貨の種類に対応しない硬貨が第1載置領域21および第2載置領域22の少なくとも一方に載置されたこと(置き間違い)を検出した場合、検出結果を報知するための処理、すなわち、図7(c)に示した確認要求画面430の表示を行う。これにより、操作者は、第1載置領域21または第2載置領域22に対する硬貨の置き間違いを把握でき、硬貨を置き直す等の操作を行い得る。その結果、操作者は、正確な入金処理を実行することができる。
【0121】
図9に示したように、制御部305は、カメラ51(撮像部)により撮像された硬貨の表面の画像を表示させるための処理を行う。これにより、操作者は、表示された硬貨の表面画像を直接目視で確認して、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された各硬貨の種類を確認できる。よって、硬貨を正確に入金し、処理することができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0123】
<変更例1>
変更例1では、制御部305が、第1載置領域21および第2載置領域22の少なくとも一方に、第1収納部31および第2収納部32に収納すべきでない硬貨が載置されたと判定した場合に、当該硬貨を取り出すための処理が行われる。具体的には、制御部305は、化粧箱等のケースに収納されていた記念貨がケースから取り出されて第1載置領域21または第2載置領域22に載置された場合に、この記念貨をカメラ51で撮像した後、この記念貨を第1収納部31または第2収納部32に収納させずに、シャッター12を開放して、この記念貨を取り出し可能な状態に設定する。
【0124】
なお、変更例1では、図7(a)に示したメニュー画面410が、図11(a)のように変更される。すなわち、領域411において、操作者が“特殊硬貨”の処理項目を選択すると、領域412に、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示されるとともに、その項目の下に、“*ケース入り”の選択項目412aが表示される。操作者は、処理対象の硬貨がケース入りの記念貨である場合に、選択項目412aを選択する。これに応じて、制御部305は、処理対象の硬貨がケース入りの記念貨であることを示すフラグを設定する。
【0125】
また、変更例1では、操作者により選択項目412aが選択された場合は、ケース入りの記念貨のみを対象とした入金処理が実行される。すなわち、制御部305は、第1載置領域21および第2載置領域22のうち記念貨を載置すべき載置領域のみを有効な載置領域として設定する。この載置領域以外に硬貨が載置された場合、制御部305は、図6のステップS108における判定をYESとする。
【0126】
化粧箱等のケースに収納されている記念貨を処理する場合、操作者は、図11(a)のメニュー画面410において、領域411中の“特殊硬貨”の処理項目を選択し、さらに、領域412に表示される選択項目412aを選択して、ボタン414を操作する。これにより、図6に示す処理が開始される。
【0127】
この場合、図6のステップS102において、図7(b)に代えて、図11(b)のセット要求画面420が表示される。ここでは、領域423に、特殊硬貨処理装置7に処理対象の記念硬貨をケースから取り出してセットすること、および、セット完了後にボタン424を操作することを促すメッセージ423bが含まれる。また、上記のとおり、制御部305は、記念貨を載置すべき載置領域のみを有効な載置領域として設定する。このため、図11(b)に示すように、領域422に、特殊硬貨処理装置7の硬貨載置領域のうち、右側の硬貨載置領域(第2載置領域22)に記念貨が割り当てられた画像422bが表示される。
【0128】
操作者は、メッセージ423bを参照して、ケースから記念貨を取りだし、取り出した記念貨を、記念貨用の第2載置領域22に載置する。処理対象の記念貨をセットすると、操作者は、ボタン424を操作する。これにより、図6のステップS103の判定がYESとなって、ステップS104以降の処理が行われる。第2載置領域22には、ケース入りの記念貨を複数載置可能である。
【0129】
なお、図6のステップS108においては、第2載置領域22に記念貨以外の硬貨が載置された場合の他、有効な載置領域ではない第1載置領域21に何らかの硬貨が載置された場合も、判定がYESとされる。上記実施形態と同様、操作者は、ステップS111において表示される入金処理画面440(図7(d)参照)を操作して、処理対象の記念貨の各画像に対して金種を設定する。操作者により、全ての記念貨の画像442cに対して金種が設定され、その後、処理を確定させるボタン445が操作されると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を実行する(S116)。
【0130】
ここで、上記実施形態では、入金確定処理(S116)において、領域441に示された入金結果441a、441bが記憶部306に記憶された後、損貨および記念貨がそれぞれ第1収納部31および第2収納部32に収納された。これに対し、変更例1では、処理対象の硬貨がケース入りの記念貨である場合に、入金確定処理(S116)において、図10に示す処理が実行される。
【0131】
すなわち、図10のステップS121において、制御部305は、各記念貨の画像442cと項目442dに設定された金種とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき同時に、制御部305は、領域441に示された入金結果441bを記憶部306に記憶させる。
【0132】
次に、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S122)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。そして、制御部305は、操作表示部301の画面を、図11(c)に示す取出要求画面460に切り替える(S123)。
【0133】
取出要求画面460の領域461には、第2載置領域22から記念貨を全て取り出すこと、および、取り出した記念貨をケースに戻すことを促すメッセージ461aが表示される。操作者は、メッセージ461aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第2載置領域22から記念貨を取り出して、ボタン462を操作する。これにより、図10のステップS124の判定がYESとなる。なお、ボタン462が操作された後、制御部305は、カメラ51により第2載置領域22の画像を取得して、第2載置領域22に記念貨が残っていないかを確認してもよい。この場合、制御部305は、第2載置領域22に記念貨が残っていないことを確認したことにより、ステップS124の判定をYESとする。
【0134】
こうして、ステップS124の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S125)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。シャッター12が閉塞されると、制御部305は、図11(d)に示す画面470を操作表示部301に表示させる。画面470の領域471には、特殊硬貨処理装置7からケースに収納した記念貨を貨幣保管装置9に保管することを促す画像471aが表示され、さらに、領域472に、記念貨を貨幣保管装置9に保管するよう促すメッセージ472aが表示される。
【0135】
操作者は、画像471aおよびメッセージ472aを参照して、ケースに収納された記念貨をケースごと貨幣保管装置9に保管し、ボタン473を操作する。これにより、図10のステップS126の判定がYESとなる。これにより、ケース入り記念貨の入金処理が終了する。
【0136】
このように、変更例1の構成によれば、ケース入りの記念貨は、第2収納部32には収納されずに、第2載置領域22から取り出し可能な状態に設定される。これにより、操作者は、第2収納部32に収納せずに個別に保管すべきケース入りの硬貨を、画像の撮像後に、円滑に、特殊硬貨処理装置7から取り出して保管することができる。
【0137】
なお、ここでは、第2載置領域22が記念貨の載置領域に設定されている場合(標準パターン)を例に挙げたが、第1載置領域21が記念貨の載置領域に設定されている場合(入替パターン)や、第1載置領域21と第2載置領域22の両方が記念貨の載置領域に設定されている場合(記念貨パターン)も、同様の制御が行われる。
【0138】
また、ケース入りの硬貨が処理されるか否かが、選択項目412aの選択の有無によって識別されたが、識別の方法は、これに限られるものではなく、たとえば、撮像画像に基づいて、ケース入りの硬貨が処理されるか否かが識別されてもよい。なお、ケースが透明な場合は、ケースごとに記念貨が対応する載置領域に載置されてもよい。
【0139】
また、変更例1では、ケース入りの記念貨が処理される場合は、当該記念貨のみが処理対象とされたが、記念貨とともに損貨の処理が並行して行われてもよい。この場合、第1載置領域21は、上記実施形態と同様、損貨の載置領域に設定され、損貨に対しては、上記実施形態と同様の処理が実行される。
【0140】
さらに、第1収納部31および第2収納部32に収納すべきでない硬貨として、ケースに収納された記念貨が例示されたが、第1収納部31および第2収納部32に収納すべきでない硬貨はこれに限られるものではない。
【0141】
<変更例2>
上記実施形態では、入金処理において、硬貨の一方の表面画像のみが取得されたが、変更例2では、硬貨の両方の表面画像が取得される。変更例2では、取得された両方の表面画像と金種とが紐付けられて、記憶部306に記憶される。
【0142】
図12は、変更例2に係る損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。便宜上、図12では、図6のステップS101~S115が省略されている。変更例2においても、図6のステップS101~S115が同様に実行される。図13(a)、(b)は、それぞれ、変更例2に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。
【0143】
図6のステップS115の判定がYESの場合、制御部305は、各硬貨の表面の画像442cと項目442dに設定された金種とを対応付けて、記憶部306に一時記憶させる(S131)。このとき同時に、制御部305は、各硬貨が第1載置領域21または第2載置領域22に載置されている位置と金種との組み合わせも記憶部306に記憶させる。また、制御部305は、領域441に示された入金結果441a、441bを記憶部306に記憶させる。
【0144】
次に、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S132)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。そして、制御部305は、操作表示部301に、図13(a)に示す反転要求画面480を表示させる(S133)。反転要求画面480の領域481には、各硬貨が載置されていた場所から各硬貨を動かさないように全て裏返すこと、および、裏返した後にボタン482を操作することを促すメッセージ481aが表示される。操作者は、メッセージ481aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第1載置領域21および第2載置領域22に載置されていた各硬貨を裏返して、ボタン482を操作する。これにより、図12のステップS134の判定がYESとなる。
【0145】
こうして、ステップS134の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S135)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。シャッター12が閉塞されると、ステップS136~S138の処理が行われる。ステップS136~S138の処理は、上記実施形態の図6におけるステップS105~S107の処理と同様である。ただし、ステップS138において、制御部305は、各硬貨が第1載置領域21または第2載置領域22に載置されている位置と金種との組み合わせも記憶部306に記憶させる。
【0146】
こうして各硬貨の裏面の画像について金種を識別した後、制御部305は、紐付処理を行う(S139)。紐付処理において、制御部305は、ステップS131において記憶部306に記憶させた各硬貨の位置と金種との組み合わせと、ステップS138において記憶部306に記憶させた各硬貨の位置と金種との組み合わせを抽出する。そして、位置が同じか、極めて近い位置に位置付けられ、且つ、金種が一致している硬貨どうしを紐付ける。そして、制御部305は、紐付けた硬貨の表面の画像および裏面の画像を紐付処理画面490に表示させる。
【0147】
具体的には、図13(b)に示すように、紐付処理画面490の領域491には、損貨の画像を表示させるためのタブ491aと、記念貨の画像を表示させるためのタブ491bとを備えている。タブ491aが選択されると、第1載置領域21にセットされた損貨の各画像が表示され、タブ491bが選択されると、第2載置領域22にセットされた記念貨の各画像が表示される。これらの各画像は、紐付に成功した硬貨の画像491cと紐付に失敗した硬貨の画像491dが含まれる。また、領域491には、画像491cおよび画像491dをスクロールさせるためのスクロールバー492eが設けられている。なお、領域491において、上段は各硬貨の表面の画像であり、下段は各硬貨の裏面の画像である。ここで、「紐付に成功した」とは、制御部305により硬貨の表面と裏面との位置が同じか極めて近いと判断され、両者の金種が一致したと判断された場合である。「紐付に失敗した」とは、制御部305により硬貨の表面と裏面との位置が異なると判断された場合、および、硬貨の表面と裏面との位置が同じか極めて近いと判断されたが、両者の金種が一致しないと判断された場合、または裏返し忘れたために同じ画像が取得された場合である。
【0148】
紐付に成功した硬貨の画像491cは、図13(b)に示すように、実線で結ばれるように表示される。また、実線の横には、金種が表示される。
【0149】
ステップS139の処理において、制御部305は、操作者による紐付け操作を受け付ける。具体的には、制御部305は、操作者が、上段の硬貨の画像(表面画像)と下段の硬貨の画像(裏面画像)が操作者により連続的にタップされた場合に、これら2つの画像を同一の硬貨の画像として紐付ける。操作者は、実線で結ばれていない上段と下段の画像を目視により確認し、同じ硬貨の画像と判断される2つの画像を紐付けのために連続してタップする。この場合、操作者は、適宜、ボタン492をタッチして、第1載置領域21と第2載置領域22の画像の全体を、表面画像の撮像時と裏面画像の撮像時とで並べて表示させる。なお、これらの全体画像により、操作者による紐付け操作を行ってもよい。操作者は、適宜、紐付けに成功した硬貨の画像も、紐付け操作の対象に含めて、紐付け操作を行う。
【0150】
こうして、紐付け操作を行った後、操作者は、処理を確定させるボタン493を操作する。これにより、制御部305は、処理が確定したとして(S140:YES)、入金確定処理を実行する(S116)。入金確定処理において、制御部305は、紐付けされた各硬貨の表裏両面の画像と、ステップS131で一時記憶した各表面画像の金種とを紐づけて記憶部306に記憶させる。このとき、同時に、ステップS131で記憶させていた入金結果を記憶部306に記憶させる。
【0151】
こうして、入金確定処理を完了すると、制御部305は、通信部304を介して、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7に送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部205は、ユニット駆動部203を制御して、載置部材25を最後方位置へと移送させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納部31および第2収納部32に落下して収納される。その後、制御部205は、載置部材25を最前方位置(初期位置)へと移送させる。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
【0152】
このように、変更例2では、各硬貨の表面と裏面の画像が金種と紐付けて管理される。これにより、各硬貨の画像をより正確に管理することができる。
【0153】
<変更例3>
図14(a)、(b)は、変更例3に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図である。
【0154】
上記実施形態では、図4(a)、(b)を参照して説明したように、載置部材25を後方に移動させることにより、載置部材25に載置された硬貨が第1収納部31に収納された。これに対し、変更例3では、図14(a)、(b)に示すように、枠部材24を後方に移動させることにより、載置部材25に載置された硬貨が第1収納部31に収納される。すなわち、変更例3では、載置部材25が固定され、枠部材24が前後に移動可能に配置されている。また、第1収納部31の開口が後方に広げられている。
【0155】
図14(a)の状態から、枠部材24が後方に移送されると、枠部材24の開口が、後ろ側から徐々に載置部材25から外れていく。これにより、第1載置領域21において、後ろ側から無底の範囲が広がっていく。この無底の範囲により、第1載置領域21に載置された硬貨が落下し、第1収納部31に収納される。こうして、枠部材24が後端位置まで移動すると、第1載置領域21に載置された全ての硬貨が第1収納部31に落下して収納される。第2載置領域22にも同様の構成が適用される。
【0156】
変更例3の構成によっても、上記実施形態と同様、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を、円滑に、第1収納部31および第2収納部32に収納させることができる。ただし、変更例3の構成では、上記実施形態に比べて、第1収納部31および第2収納部32の形状が前後方向に長くする必要がある。
【0157】
<変更例4>
図15(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図である。図16(a)~(c)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す平面図である。図15(a)、(b)には、トレイ61およびその駆動機構が平面図により示され、さらに、トレイ61付近の筐体10の部分が示されている。便宜上、図16(a)、(b)では、筐体10の部分にハッチングが付されている。また、トレイ61が特許請求の範囲に記載の「規制機構」に対応する。
【0158】
変更例4では、上記実施形態1に比べて、シャッター12が省略され、トレイ61により、第1載置領域21および第2載置領域22が、筐体10の外部に突出した位置と筐体10の内部に収容される位置との間で移送される。トレイ61は、支持ローラ62によって、前後方向に移動可能に支持されている。トレイ61の右側面には、ギア61cが設けられ、このギア61cにギア63が噛み合っている。ギア63は、図示しないモータによって駆動される。ギア63が駆動されることにより、トレイ61が、筐体10の開口14を介して、前後に移送される。トレイ61が最後方位置に位置付けられると、トレイ61前端の蓋部61bによって、開口14が閉塞される。
【0159】
トレイ61は、上面および後面が開放された箱形の形状である。トレイ61の底面には、前側の領域に開口61aが形成されている。トレイ61に枠部材24が固定されている。トレイ61に支持板27が前後に移動可能に嵌め込まれ、この支持板27の上面前部に載置部材25、26が設置されている。支持板27は、ガイドによって前後に移動可能に支持されてもよい。載置部材25、26の上面には、上記実施形態と同様、所定の段差で複数の載置面が形成されている。
【0160】
支持板27の後部には、前後に延びるようにラックギア28が設置されている。支持板27には開口27aが形成され、この開口27aを介してトレイ61にモータ71が設置されている。モータ71の駆動軸に設置されたギア72が、ラックギア28に噛み合っている。モータ71を駆動することにより、ラックギア28が前後に送られる。これにより、支持板27がトレイ61に対して前後方向に相対的に移動する。
【0161】
変更例4では、図5のブロック図中のシャッター駆動部202が、トレイ61を駆動するためのトレイ駆動部に変更される。また、ユニット駆動部203は、ギア63を駆動するためのモータを駆動して、支持板27とともに載置部材25、26を移送する。また、変更例4では、図6のフローチャートにおいて、シャッター12の開閉に代えて、トレイ61の突出および引込みが行われる。
【0162】
特殊硬貨の入金処理時において、制御部205は、操作端末8からの指示に応じて、図15(a)および図16(a)に示すように、トレイ61を筐体10の外部に突出する位置に移送する。この状態において、操作者は、第1載置領域21および第2載置領域22の載置面に、それぞれ、対応する硬貨C1、C2を載置する。その後、制御部205は、操作端末8に対する操作者からの操作に応じて、図16(b)に示すように、トレイ61を筐体10の内部に収容する位置に移送させる。
【0163】
トレイ61の移動が完了すると、制御部205は、カメラ51により、第1載置領域21および第2載置領域22を撮像する。これにより、上記実施形態と同様、硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得される。撮像画像は、操作端末8に送信される。
【0164】
その後、操作者が操作端末8に処理を確定させる操作を行うと、その旨を示す通知が操作端末8から制御部205に送信される。これに応じて、制御部205は、図15(b)に示すように、支持板27を後方に移動させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨C1、C2が、開口61aを介して、第1収納部31および第2収納部32に落下する。
【0165】
図16(c)に示すように、支持板27は、最後方位置まで移送される。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された全ての硬貨C1、C2が第1収納部31および第2収納部32に落下して収納される。その後、制御部205は、支持板27を、図16(b)に示す初期位置に移送する。これにより、入金処理時の動作が終了する。
【0166】
変更例4においても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0167】
<変更例5>
図17(a)、(b)は、変更例5に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
【0168】
変更例5では、変更例4に比べて、カメラ51がラインセンサ54に置き換えられている。その他の構成は、変更例4と同様である。ラインセンサ54は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を横断するように配置されている。
【0169】
変更例5では、ラインセンサ54が特許請求の範囲に記載の「撮像部」を構成する。
【0170】
変更例5では、トレイ61を突出位置から収納位置に移動する間に、ラインセンサ54によって、第1載置領域21および第2載置領域22と、仕切り23の範囲が撮像される。これにより、硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得される。入金処理時のその他の動作は、変更例4と同様である。
【0171】
変更例5においても、上記実施形態および変更例4と同様の効果が奏され得る。加えて、変更例5では、トレイ61の引込み動作時に硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得されるため、上記実施形態および変更例4に比べて、入金処理をより円滑かつ迅速に進めることができる。
【0172】
<変更例6>
上記実施形態では、操作者は、入金処理をやり直したい場合、図7(d)に示されているボタン444を操作する。制御部305は、図6のステップS114の判定をYESとして、処理を図6のステップS101に戻す。これにより、操作者は、第1載置領域21または第2載置領域22にアクセスして、硬貨入金のための操作をやり直すことができる。変更例6では、再度、入金処理がやり直された場合、制御部305は、今回の入金処理時に撮像された各硬貨の画像442cのうち、前回の入金処理の際に撮像された各硬貨の画像442cとのマッチングを行う。
【0173】
制御部305は、前回の入金処理の際に撮像された各硬貨の画像442cとマッチングする画像については、前回の入金処理時の操作により選択された金種をそのまま維持して、各硬貨の画像442cにその金種を対応付け、操作表示部301に表示させる。また、制御部305は、その他の硬貨の画像442cに対して、新たに金種の判定結果を行って、その判定結果を各硬貨の画像442cに対応付け、操作表示部301に表示させる。
【0174】
このように、前回の入金処理時における操作者の金種選択が維持されることにより、操作者は、再度、全ての硬貨の画像442cに対して金種の選択操作を行わなくてよい。よって、操作者の負担を軽減でき、装置の利便性を高めることができる。
【0175】
<その他の変更例>
上記実施形態および変更例1~6では、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7と別体であったが、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7に一体的に設けられてもよい。この構成においては、さらに、図6図10、および図12の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205によって行われてもよい。
【0176】
この場合、特殊硬貨処理装置7は、たとえば、図18のように構成される。特殊硬貨処理装置7は、ディスプレイ207aおよびタッチセンサ207bからなる操作表示部207を備える。記憶部206は、図5に示した硬貨画像データベース306aと同様の硬貨画像データベース206aを保持する。
【0177】
制御部205は、図7(a)~(d)および図8の画面を操作表示部207に表示させながら、図6の処理を実行する。処理結果に基づく情報は、記憶部206に記憶されてもよく、あるいは、操作端末8側に送信されて、操作端末8側の記憶部306に記憶されてもよい。変更例1、2における図10および図12の処理も、制御部205により実行され、図11(a)~(d)および図13(a)、(b)の画面も操作表示部207に表示される。
【0178】
また、上記実施形態の構成において、硬貨の置き間違いが生じた場合、制御部305は、確認要求画面430を操作表示部301に表示させることとしたが、硬貨の置き間違いが生じた場合、ボタン432の操作によらず、シャッター12を開放させることとしてもよく、あるいは音声等による報知を行うこととしてもよい。これにより、操作者は迅速に置き間違いに気付くことができる。
【0179】
また、上記実施形態および変更例1~6の構成において、図6図10、および図12の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205によって行われてもよい。この場合、操作端末8の操作表示部301は、単に、画面の表示および操作入力の受け付けのために用いられる。この場合も、特殊硬貨処理装置7の記憶部206には、図18の場合と同様、硬貨画像データベース206aが保持される。この他、図6図10、および図12の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205と操作端末8側の制御部305との共同動作により行われてもよい。
【0180】
また、載置領域の数は、必ずしも2つに限られるものではなく、1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0181】
また、特殊硬貨処理装置7が、タブレット端末やスマートフォンとの通信機能を有し、タブレット端末等の表示機能、操作機能を用いて、特殊硬貨処理装置7への特殊な硬貨の入金処理が行われてもよい。
【0182】
さらに、上記実施形態において、特殊硬貨処理装置7に、特殊な硬貨として、外国硬貨および旧貨を入金できてもよい。また、特殊硬貨に限らず、通常の硬貨を処理する硬貨処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0183】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0184】
7 特殊硬貨処理ユニット
8 操作端末
21 第1載置領域
22 第2載置領域
24 枠部材(収納機構)
25 載置部材(収納機構)
31 第1収納部
32 第2収納部
51 カメラ
54 ラインセンサ
61 トレイ(規制機構)
205、305 制御部
207、301 操作表示部
図1
図2
図3
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図5
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