(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】生体データ測定システム及び生体データ測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61B5/02 310V
A61B5/02 ZDM
(21)【出願番号】P 2018137109
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】川端 康大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健司
(72)【発明者】
【氏名】松村 直美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 麗二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃人
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-108141(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033942(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/024476(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0009875(US,A1)
【文献】特許第6202510(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の生体データを測定する測定部と、
前記第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する設定部と、
前記第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する送信部と、
を備える送信装置と、
第2の生体データを測定する測定部と、
前記第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する設定部と、
前記第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、前記信号を待ち受ける状態を維持する受信部と、
を備える受信装置と、
を備える生体データ測定システム。
【請求項2】
前記受信装置は、前記第2の基準時刻から前記信号の受信時刻までの第4の期間を算出し、前記第1の期間と前記第4の期間との時間差に基づいてPTTを算出する算出部をさらに備える、請求項1に記載の生体データ測定システム。
【請求項3】
前記受信装置は、所定の回数連続する前記第3の期間内における前記信号の未受信に基づいて、前記第2の期間の長さ及び前記第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する調整部をさらに備える、請求項1に記載の生体データ測定システム。
【請求項4】
前記受信装置は、前記信号の受信時刻が前記第3の期間内における所定時刻ではない場合、前記信号の受信時刻が前記第3の期間内における前記所定時刻に近づくように前記第2の期間の長さを調整する調整部をさらに備える、請求項1に記載の生体データ測定システム。
【請求項5】
前記受信装置は、前記第2の基準時刻から前記信号の受信時刻までの第4の期間を算出する算出部と、前記第4の期間の算出毎に前記第2の期間の長さ及び前記第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する調整部とをさらに備える、請求項1に記載の生体データ測定システム。
【請求項6】
前記第1の生体データはECGであり、
前記第2の生体データは脈波である、
請求項1に記載の生体データ測定システム。
【請求項7】
送信装置において、第1の生体データを測定する過程と、
前記送信装置において、前記第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する過程と、
前記送信装置において、前記第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する過程と、
受信装置において、第2の生体データを測定する過程と、
前記受信装置において、前記第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する過程と、
前記受信装置において、前記第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、前記信号を待ち受ける状態を維持する過程と、
を備える生体データ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体データ測定システム及び生体データ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PTT(Pulse Transit Time:脈波伝播時間)が血圧と相関することは以前から知られている。そのため、血圧はPTTに基づいて推定可能である。
【0003】
また、ECG(Electrocardiogram:心電図)及び脈波に基づいてPTTを測定する技術が知られている。例えば、PTTに基づいて血圧を推定するシステムは、ECGを測定する装置と脈波を測定する装置とで構成されている。
【0004】
ECGを測定する装置と脈波を測定する装置が有線で接続されていると、2つの装置を人体に装着するには手間がかかる。2つの装置を人体に簡単に装着するために、特許文献1には、2つの装置を無線で接続した生体情報センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された生体情報センサでは、脈波センサ装置で測定した脈波波形のデータを信号処理部にそのまま無線で送信していた。この場合、両方の装置は、常時、通信状態を確保する必要がある。そのため、送信装置及び受信装置の消費電力は大きくなっていた。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に着目してなされたもので、人体への装着が容易で消費電力の少ない生体データ測定システム及び生体データ測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、生体データ測定システムにおいて、第1の生体データを測定する測定部と、前記第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する設定部と、前記第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する送信部とを備える送信装置と、第2の生体データを測定する測定部と、前記第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する設定部と、前記第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、前記信号を待ち受ける状態を維持する受信部とを備える受信装置と、を備えるものである。
【0009】
第1の態様によれば、送信装置による信号の送信タイミングは、第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻に基づいて決まる。送信装置は、最低限、第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に信号を送信すればよい。送信装置は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、送信装置は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
さらに、信号を待ち受けるための第3の期間は、第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻に基づいて決まる。受信装置は、最低限、第3の期間に信号を待ち受けていれば、送信装置との通信を成功させることができる。受信装置は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、受信装置は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
したがって、生体データ測定システムは、人体への装着が容易であるだけでなく、消費電力を少なくすることができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記受信装置が、前記第2の基準時刻から前記信号の受信時刻までの第4の期間を算出し、前記第1の期間と前記第4の期間との時間差に基づいてPTTを算出する算出部をさらに備えるようにしたものである。
【0011】
送信装置が信号を送信するタイミングは第1の基準時刻に基づいているため、受信装置は、第1の期間と前記第4の期間との時間差を計算するだけでPTTを算出することができる。受信装置は、送信装置と常時通信することなくPTTを算出することができるので、通信に要する消費電力を抑えることができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、前記受信装置が、所定の回数連続する前記第3の期間内における前記信号の未受信に基づいて、前記第2の期間の長さ及び前記第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する調整部をさらに備えるようにしたものである。
【0013】
血圧の変動によるPTTの変化により、第2の基準時刻から受信装置に信号が到達する時刻までの期間は変化する。受信装置は、受信装置に到達する信号を受信できない状態が続くことを解消することができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第1の態様において、前記受信装置が、前記信号の受信時刻が前記第3の期間内における所定時刻ではない場合、前記信号の受信時刻が前記第3の期間内における前記所定時刻に近づくように前記第2の期間の長さを調整する調整部をさらに備えるようにしたものである。
【0015】
血圧の変動によるPTTの変化により、第2の基準時刻から受信装置に信号が到達する時刻までの期間は、短くなることもあるし、長くなることもある。受信装置は、第2の期間の長さを調整することで、PTTの変化によって第2の基準時刻から受信装置に信号が到達する時刻までの期間が変化したとしても、信号を受信できなくなる可能性を減らすことができる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第1の態様において、前記受信装置が、前記第2の基準時刻から前記信号の受信時刻までの第4の期間を算出する算出部と、前記第4の期間の算出毎に前記第2の期間の長さ及び前記第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する調整部とをさらに備えるようにしたものである。
【0017】
受信装置は、ユーザ毎に最適な第2の期間及び第3の期間を設定することができる。さらに、受信装置は、第3の期間を必要最低限の長さまで短縮することができるので、消費電力を抑えることができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、第1の態様において、前記第1の生体データがECG波であり、前記第2の生体データが脈波であるようにしたものである。
【0019】
電力量は電力と時間の積で求まる。電流値は、送信装置の方が受信装置よりも大きい。他方、受信装置が信号を待ち受ける第3の期間は、送信装置が信号を送信する期間よりも長い。そのため、消費電力量は、送信装置よりも受信装置の方が大きくなる。ここで、脈波波形の品質は、ECG波形の品質よりも悪くなる可能性がある。受信装置は、脈波の第2の特徴量を検出しなければ、受信不可状態から受信待機状態へ移行することはない。そのため、受信装置は、不必要に受信不可状態から受信待機状態へ移行することはないので、より消費電力を抑えることできる。
【0020】
本開示の第7の態様は、送信装置において、第1の生体データを測定する過程と、前記送信装置において、前記第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する過程と、前記送信装置において、前記第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する過程と、受信装置において、第2の生体データを測定する過程と、前記受信装置において、前記第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する過程と、前記受信装置において、前記第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、前記信号を待ち受ける状態を維持する過程と、を備える生体データ測定方法である。
【0021】
第7の態様によれば、生体データ測定方法は、上述の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人体への装着が容易で通信に要する消費電力の少ない生体データ測定システム及び生体データ測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る生体データ測定システムの概要を模式的に示す図。
【
図2】本実施形態に係る生体データ測定システムの構成を例示する図。
【
図3】本実施形態に係るECG測定装置のハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図4】本実施形態に係るECG測定装置のソフトウェア構成を例示するブロック図。
【
図5】本実施形態に係る脈波測定装置のハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図6】本実施形態に係る脈波測定装置のソフトウェア構成を例示するブロック図。
【
図7】本実施形態に係る生体データ測定システムにおける信号の送信及び受信タイミングを例示する図。
【
図8】本実施形態に係るECG測定装置における信号の送信処理を例示するフローチャート。
【
図9】本実施形態に係る脈波測定装置における信号の受信処理を例示するフローチャート。
【
図10】本実施形態に係る脈波測定装置における調整処理の一例を示すフローチャート。
【
図11】本実施形態に係る脈波測定装置における調整処理の別の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において例示に過ぎない。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。なお、本実施形態において登場するデータは、自然言語により説明されるが、より具体的には、疑似言語、コマンド、パラメータ、マシン語などで指定される。
【0025】
§1 概要
本実施形態は、生体データを測定する送信装置と受信装置との間を無線化した生体データ測定システムに関するものである。受信装置は、送信装置から所定のタイミングに送信される信号の受信に基づいてPTTを算出する。受信装置は、PTTに基づいて血圧を推定する。送信装置と受信装置における信号の送受信のタイミングは、生体データの周期と一致または略一致するように設定されている。
図1は、生体データ測定システム1の概要を模式的に示す図である。
生体データ測定システム1は、ECG測定装置10及び脈波測定装置20を備える。生体データ測定システム1は、ECG測定装置10と脈波測定装置20との間で、ECGのピークの発生時刻及び脈波のピークの発生時刻などの時刻を示す情報を共有することなく、PTTを算出するシステムである。
【0026】
ECG測定装置10は、ECGを測定する装置である。ECG測定装置10は、2つの電極が人体の心臓を挟むように配置される。ECG測定装置10は、ECGのピークを検出する。ECG測定装置10は、ECGのピークの検出に基づいて、ECGのピークの発生時刻を検出する。ECG測定装置10は、ECGのピークの発生時刻に対応する第1の基準時刻t1を設定する。ECG測定装置10は、第1の基準時刻t1から予め決められた第1の期間T1経過後の時刻t4に信号を脈波測定装置20へ送信する。
【0027】
脈波測定装置20は、脈波を測定する装置である。脈波測定装置20は、人体の所定の位置に配置される。脈波測定装置20は、脈波のピークを検出する。脈波測定装置20は、脈波のピークの検出に基づいて、脈波のピークの発生時刻を検出する。脈波測定装置20は、脈波のピークの発生時刻に対応する第2の基準時刻t2を設定する。脈波測定装置20は、第2の基準時刻t2から第2の期間T2経過後の時刻t3からの第3の期間T3の間、信号を待ち受ける状態を維持する。第4の期間T4は、第2の基準時刻t2から信号の受信時刻である時刻t4までの期間である。第1の期間T1と第4の期間T4との時間差は、第1の基準時刻t1と第2の基準時刻t2との間隔に相当する。脈波測定装置20は、第1の期間T1と第4の期間T4との時間差に基づいてPTTを算出する。このように、脈波測定装置20は、ECG測定装置10と脈波測定装置20との間で第1の基準時刻t1を示す情報を共有しなくても、予め決められた第1の期間T1及び脈波測定装置20で測定される第4の期間T4に基づいてPTTを算出することができる。
脈波測定装置20は、PTTに基づいて血圧を推定する。
【0028】
このように、ECG測定装置10による信号の送信タイミングは、ECGのピークの発生時刻に対応する第1の基準時刻t1に基づいて決まる。ECG測定装置10は、最低限、第1の基準時刻t1から第1の期間T1経過後の時刻t4に信号を送信すればよい。ECG測定装置10は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、ECG測定装置10は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
【0029】
さらに、信号を待ち受けるための第3の期間T3は、脈波のピークの発生時刻に対応する第2の基準時刻t2に基づいて決まる。脈波測定装置20は、最低限、第3の期間T3に信号を待ち受けていれば、ECG測定装置10との通信を成功させることができる。脈波測定装置20は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、脈波測定装置20は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
【0030】
したがって、生体データ測定システム1は、人体への装着が容易であるだけでなく、消費電力を少なくすることができる。
【0031】
§2 構成例
<生体データ測定システム>
図2は、生体データ測定システム1の構成を例示する図である。
生体データ測定システム1は、ECG測定装置10及び脈波測定装置20を備える。ECG測定装置10及び脈波測定装置20は、無線で通信する。ECG測定装置10が脈波測定装置20へ信号を送信する例を説明するので、ECG測定装置10は送信装置の一例であり、脈波測定装置20は受信装置の一例である。なお、送信は、発信ということもある。生体データ測定システム1は、ECG測定装置10と脈波測定装置20との間で、以下に例示する時刻を示す情報を共有することなく、PTTを算出するシステムである。ECG測定装置10は、ECGの測定に基づいて、後述するようにECGの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定するが、脈波測定装置20へ第1の基準時刻を示す情報を送信することはない。そのため、ECG測定装置10及び脈波測定装置20は、第1の基準時刻を示す情報を共有しない。また、脈波測定装置20は、脈波の測定に基づいて、後述するように脈波の第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定するが、ECG測定装置10へ第2の基準時刻を示す情報を送信することはない。そのため、ECG測定装置10及び脈波測定装置20は、第2の基準時刻を示す情報を共有しない。
【0032】
ECG測定装置10は、ECGを測定する装置である。ECG測定装置10は、2つの電極103が人体の心臓を挟むように配置される。なお、ECG測定装置10が配置される位置は、人体の上腕であってもよく、限定されない。ECG測定装置10の構成については後述する。ECG波形のデータは、生体データの一例である。ECG波形のデータは、単に、ECGということもある。ECG波形のデータは、第1の生体データともいう。
【0033】
脈波測定装置20は、脈波を測定する装置である。脈波測定装置20は、人体の所定の位置に配置される。脈波測定装置20が配置される位置は、人体の手首近傍であってもよく、限定されない。脈波測定装置20の構成については後述する。脈波波形のデータは、生体データの一例である。脈波波形のデータは、単に、脈波ということもある。脈波波形のデータは、第2の生体データともいう。
【0034】
<ECG測定装置>
[ハードウェア構成]
図3は、ECG測定装置10のハードウェア構成を例示するブロック図である。
ECG測定装置10は、MPU(Micro Processing Unit)101と、メモリ102と、複数の電極103と、ECG測定部104と、バッテリ105と、無線通信部106と、アンテナ107とを備える。
【0035】
MPU101は、ECG測定装置10の各要素の制御及び各種処理を実行する。MPU101は、プロセッサの一例である。MPU101は、後述するメモリ102に格納されているECG測定装置10を実行させるためのプログラムを展開する。MPU101は、展開されたプログラムを解釈及び実行することで、ソフトウェア構成の項目において説明される各部を実行可能である。
【0036】
メモリ102は、プログラム及び各種データを記憶する要素である。例えば、メモリ102は、半導体メモリである。メモリ102は、MPU101で実行されるプログラムを記憶する。プログラムは、ソフトウェア構成の項目において説明される各部としてECG測定装置10を実行させるものである。なお、プログラムは、予めメモリ102に記憶されていてもよい。プログラムは、ネットワークを介してECG測定装置10にダウンロードされてもよい。
【0037】
複数の電極103は、ECG測定用の電極である。例えば、複数の電極103は、2つの電極を備える。複数の電極103は、人体の所定の位置に貼り付けて用いられる。複数の電極103は、人体の心臓を挟み込む位置に配置されることが望ましいが、人体の上腕に配置されてもよく、限定されない。
【0038】
ECG測定部104は、複数の電極103間に発生する電位差を測定することで、ECGを測定する要素である。例えば、ECG測定部104は、アンプ及びフィルタなどを備える。
【0039】
バッテリ105は、電気エネルギーを蓄え、ECG測定装置10の各要素に電力を供給する要素である。例えば、バッテリ105は、充電可能なバッテリである。バッテリ105からECG測定装置10の各要素への電力供給は、MPU101によって制御される。
【0040】
無線通信部106は、アンテナ107を介して脈波測定装置20へ信号を送信する要素である。無線通信部106は、送信部の一例である。例えば、無線通信部106は、無線通信のためのインタフェースを含む。無線通信部106は、MPU101からの指示に基づいて信号を送信する。無線通信部106は、MPU101の制御により、電力供給される状態または電力供給されない状態の何れかの状態にある。これに代えて、無線通信部106は、MPU101の制御により、高い電力が供給される状態または低い電力が供給される状態の何れかの状態にあってもよい。信号は、固体識別番号を含む。固体識別番号は、ECG測定装置10を識別する情報である。無線通信の規格は任意の規格であってよく、限定されない。
【0041】
なお、ECG測定装置10の具体的なハードウェア構成に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。
【0042】
[ソフトウェア構成]
図4は、ECG測定装置10のソフトウェア構成を例示するブロック図である。
MPU101は、取得部1011と、設定部1012と、指示部1013とを実装する。なお、各部は、MPU101以外のECG測定装置10を構成する他の要素に実装されてもよい。
【0043】
取得部1011について説明する。
取得部1011は、ECG測定部104からECG波形のデータをリアルタイムに取得する。取得部1011は、ECG波形のデータを設定部1012へ出力する。
【0044】
設定部1012について説明する。
設定部1012は、以下に例示するように、ECGの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する。第1の特徴量は、ECGの特徴的な状態である。例えば、第1の特徴量は、ECGのピークまたは立ち上がりであるが、これらに限定されない。例えば、発生時刻は、ECGのピークの発生時刻または立ち上がりの発生時刻であるが、これらに限定されない。設定部1012は、ECGの時間経過に伴う変化を観察し、事後的に第1の特徴量を検出する。設定部1012は、第1の特徴量の検出に基づいて、第1の特徴量の発生時刻を検出する。設定部1012は、第1の特徴量の発生時刻の検出に基づいて、第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する。設定部1012は、第1の基準時刻の設定を示す情報及び第1の基準時刻を示す情報を含む設定結果を指示部1013へ出力する。
【0045】
指示部1013について説明する。
指示部1013は、設定部1012からの設定結果に基づいて、第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に無線通信部106から信号を送信させるための指示を無線通信部106へ出力する。これにより、無線通信部106は、第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信することができる。
【0046】
ここで、第1の期間について説明する。第1の期間は、第1の基準時刻から信号が送信されるまでの遅延時間である。第1の基準時刻から第1の期間遅延させて信号を送信するのは、設定部1012が第1の特徴量を事後的にしか検出できないからである。第1の期間は、第1の特徴量を検出するための期間ともいえる。第1の期間は、固定期間である。第1の期間の長さは、ECGの一拍以内であっても、一拍以上であってもよい。なお、第1の期間の長さが一拍以上であれば、第1の特徴量を検出するための期間は長くなる。そのため、設定部1012は、第1の特徴量を精度よく検出することができる。
【0047】
指示部1013は、無線通信部106が信号を送信する時刻の直前に、無線通信部106を送信不可状態から送信可能状態へ移行させるように制御してもよい。指示部1013は、無線通信部106が信号を送信する時刻の直後に、無線通信部106を送信可能状態から送信不可状態へ移行させるように制御してもよい。送信不可状態は、無線通信部106から信号を送信できない状態である。送信可能状態は、無線通信部106から信号を送信可能な状態である。例えば、送信不可状態は、無線通信部106に電力が供給されない状態であり、送信可能状態は、無線通信部106に電力が供給される状態である。あるいは、例えば、送信不可状態は、無線通信部106に低い電力が供給される状態であり、送信可能状態は、無線通信部106に高い電力が供給される状態であってもよい。無線通信部106は、送信可能状態において、信号を送信することができる。他方、無線通信部106は、送信不可状態において信号を送信する必要がないため、電力が供給されない、または、低い電力が供給される。これにより、ECG測定装置10は、信号の送信時以外の期間における消費電力を抑えることができる。
【0048】
<脈波測定装置>
[ハードウェア構成]
図5は、脈波測定装置20のハードウェア構成を例示するブロック図である。
脈波測定装置20は、ECG測定装置10がECGの第1の特徴量に対応する第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に送信する信号を受信する装置である。また、脈波測定装置20は、ECG測定装置10からの信号の受信に基づいてPTTを算出し、PTTに基づいて血圧を推定する装置である。
脈波測定装置20は、MPU201と、メモリ202と、バッテリ203と、脈波センサ204と、アンテナ205と、無線通信部206と、カフ207と、ポンプ208と、血圧計制御部209と、表示部210とを備える。
【0049】
MPU201は、脈波測定装置20の各要素の制御及び各種処理を実行する。MPU201は、プロセッサの一例である。MPU201は、後述するメモリ202に格納されている脈波測定装置20を実行させるためのプログラムを展開する。MPU201は、展開されたプログラムを解釈及び実行することで、ソフトウェア構成の項目において説明される各部を実行可能である。
【0050】
メモリ202は、プログラム及び各種データを記憶する要素である。例えば、メモリ202は、半導体メモリである。メモリ202は、MPU201で実行されるプログラムを記憶する。プログラムは、ソフトウェア構成の項目において説明される各部として脈波測定装置20を実行させるものである。なお、プログラムは、予めメモリ202に記憶されていてもよい。プログラムは、ネットワークを介して脈波測定装置20にダウンロードされてもよい。
【0051】
バッテリ203は、電気エネルギーを蓄え、脈波測定装置20の各要素に電力を供給する要素である。例えば、バッテリ203は、充電可能なバッテリである。バッテリ203から脈波測定装置20の各要素への電力供給は、MPU201によって制御される。
【0052】
脈波センサ204は、脈波を測定するセンサである。脈波センサ204は、人体の所定の位置に配置される。脈波センサ204が配置される位置は、人体の手首近傍であってもよく、限定されない。脈波センサ204は、測定部の一例である。
【0053】
アンテナ205は、ECG測定装置10から信号を受け取り、無線通信部206へ受け渡す。
無線通信部206は、アンテナ205を介して、ECG測定装置10から信号を受信する要素である。無線通信部206は、受信部の一例である。例えば、無線通信部206は、無線通信のためのインタフェースを含む。無線通信部206は、ECG測定装置10からの信号の受信に基づいて、信号の受信時刻を検出する。無線通信部206は、信号を受信したこと及び信号の受信時刻を示す受信結果をMPU201へ出力する。
【0054】
無線通信部206は、MPU201の制御により、電力供給される状態または電力供給されない状態の何れかの状態にある。これに代えて、無線通信部206は、MPU201の制御により、高い電力が供給される状態または低い電力が供給される状態の何れかの状態にあってもよい。
【0055】
カフ207は、血圧測定時に人体の被測定部位を圧迫可能に構成されている。
ポンプ208は、カフ207に流体を供給する。
血圧計制御部209は、ポンプ208を制御し、血圧測定を実行する処理回路である。血圧計制御部209は、MPU201からの血圧測定指示に基づいて血圧測定を開始する。
【0056】
表示部210は、情報を表示する要素である。例えば、表示部210は、液晶ディスプレイである。
【0057】
なお、脈波測定装置20の具体的なハードウェア構成に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。
【0058】
[ソフトウェア構成]
図6は、脈波測定装置20のソフトウェア構成を例示するブロック図である。
MPU201は、取得部2011と、設定部2012と、切替部2013と、判断部2014と、算出部2015と、調整部2016と、測定処理部2017とを実装する。なお、各部は、MPU201以外の脈波測定装置20を構成する他の要素に実装されてもよい。
【0059】
取得部2011について説明する。
取得部2011は、脈波センサ204から脈波波形のデータをリアルタイムに取得する。取得部2011は、脈波波形のデータを設定部2012へ出力する。
【0060】
設定部2012について説明する。
設定部2012は、以下に例示するように、脈波の第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する。第2の特徴量は、脈波の特徴的な状態である。例えば、第2の特徴量は、脈波のピークまたは立ち上がりであるが、これらに限定されない。なお、第2の特徴量は、第1の特徴量と同種の特徴量である。そのため、第1の特徴量がECGのピークである場合、第2の特徴量は脈波のピークである。第1の特徴量がECGの立ち上がりである場合、第2の特徴量は脈波の立ち上がりである。例えば、発生時刻は、脈波のピークの発生時刻または立ち上がりの発生時刻であるが、これらに限定されない。なお、ピークよりも立ち上がりの検出精度が高いため、第1の特徴量及び第2の特徴量は、ピークよりも立ち上がりの方が好ましい。設定部2012は、脈波の時間経過に伴う変化を観察し、事後的に第2の特徴量を検出する。設定部2012は、第2の特徴量の検出に基づいて、第2の特徴量の発生時刻を検出する。設定部2012は、第2の特徴量の発生時刻の検出に基づいて、第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する。設定部2012は、第2の基準時刻の設定を示す情報及び第2の基準時刻を示す情報を含む設定結果を切替部2013、判断部2014及び算出部2015へ出力する。
【0061】
切替部2013について説明する。
切替部2013は、設定部2012からの設定結果に基づいて、以下に例示するように、無線通信部206を制御する。切替部2013は、設定部2012からの設定結果に含まれる第2の基準時刻を示す情報を参照する。切替部2013は、第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻に、受信不可状態から受信待機状態へ無線通信部206を移行させる。受信不可状態は、信号の受信を停止する状態である。受信待機状態は、信号を待ち受ける状態である。切替部2013は、第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、受信待機状態で無線通信部206を維持させる。切替部2013は、第3の期間経過後の時刻に、無線通信部206を受信待機状態から受信不可状態へ移行させる。
【0062】
第2の期間及び第3の期間について説明する。第2の期間は、第3の期間の始まり時刻を設定するための期間である。第3の期間は、信号を待ち受けるための期間である。第3の期間の長さは、ある程度の余裕を持った所定期間以上の長さに設定される。その理由は、血圧の変動によるPTTの変化により、第2の基準時刻から脈波測定装置20における信号の受信時刻までの期間が変化するからである。なお、第2の期間及び第3の期間は変更可能な期間である。第2の期間及び第3の期間の長さは、ECG測定装置10からの信号が第3の期間に到達するように、後述する調整部2016によって適宜調整される。第2の期間の長さを示す情報及び第3の期間の長さを示す情報は、メモリ202に記憶されている。
【0063】
受信不可状態及び受信待機状態について説明する。例えば、受信不可状態は、無線通信部206に電力が供給されない状態であり、受信待機状態は、無線通信部206に電力が供給される状態である。あるいは、例えば、受信不可状態は、無線通信部206に低い電力が供給される状態であり、受信待機状態は、無線通信部206に高い電力が供給される状態であってもよい。ECG測定装置10からの信号は第3の期間に到達する可能性が高いため、無線通信部206は、起動している必要がある。そのため、無線通信部206は、第3の期間には受信待機状態である。無線通信部206は、第3の期間において、信号を受信することができる。他方、ECG測定装置10からの信号は第3の期間以外の期間に到達する可能性が低い。無線通信部206は、第3の期間以外の期間において、ECG測定装置10からの信号を待ち受ける必要がない。そのため、無線通信部206は、第3の期間以外の期間には受信不可状態である。無線通信部206は、第3の期間以外の期間において、電力が供給されない、または、低い電力が供給される。これにより、脈波測定装置20は、第3の期間以外の期間における消費電力を抑えることができる。
【0064】
判断部2014について説明する。
判断部2014は、以下に例示するように、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信したか否かを判断する。判断部2014は、設定部2012から設定結果、メモリ202から第2の期間を示す情報及び第3の期間を示す情報を取得する。判断部2014は、これらの情報を参照して、第3の期間をカウントする。判断部2014は、無線通信部206から受信結果を取得する。判断部2014は、第3の期間のカウント中に無線通信部206から受信結果を取得したか否かに応じて、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信したか否かを判断してもよい。判断部2014は、第3の期間のカウント中に無線通信部206から受信結果を取得した場合、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信したと判断する。他方、判断部2014は、第3の期間のカウント中に無線通信部206から受信結果を取得しない場合、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信していないと判断する。
【0065】
さらに、判断部2014は、以下に例示するように、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻か否かを判断する。判断部2014は、第3の期間の始まり時刻から終わり時刻までカウントする。判断部2014は、第3の期間と無線通信部206からの受信結果に含まれる信号の受信時刻とを比較する。これにより、判断部2014は、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻か否かを判断する。例えば、所定時刻は、第3の期間の中心時刻であるが、これに限定されない。所定時刻は、第3の期間の中心時刻を含む所定範囲に含まれる何れかの時刻であってもよい。
【0066】
判断部2014は、判断結果を調整部2016へ出力する。判断結果は、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信したか否かを示す情報を含む。判断結果は、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻か否かを示す情報を含む。
【0067】
算出部2015について説明する。
算出部2015は、以下に例示する処理を実行する。
算出部2015は、第2の基準時刻から信号の受信時刻までの第4の期間を算出する。ここでは、算出部2015は、無線通信部206からの受信結果に含まれる信号の受信時刻を示す情報及び設定部2012からの設定結果に含まれる第2の基準時刻を示す情報を参照する。算出部2015は、第4の期間の長さを示す情報を調整部2016へ出力する。
【0068】
さらに、算出部2015は、第1の期間と第4の期間との時間差に基づいてPTTを算出する。PTTは、第1の基準時刻と第2の基準時刻との間隔に基づいているが、第1の期間と第4の期間との時間差は、第1の基準時刻と第2の基準時刻との間隔に相当する。なお、第1の期間の長さを示す情報は、メモリ202に予め記憶されていてもよい。これに代えて、第1の期間の長さを示す情報は、無線通信部206からの信号に含まれていてもよい。このように、算出部2015は、ECG測定装置10と脈波測定装置20との間で第1の基準時刻を示す情報を共有しなくても、予め決められた第1の期間及び脈波測定装置20で測定される第4の期間に基づいてPTTを算出することができる。
【0069】
算出部2015は、PTTに基づいて血圧を推定する。算出部2015は、PTTに基づいて推定した血圧が所定期間内に定められた値だけ変動した場合、測定処理部2017へ血圧測定指示を出力する。
【0070】
調整部2016について説明する。
調整部2016は、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する。調整部2016は、メモリ202からの第2の期間の長さを示す情報及び第3の期間の長さを示す情報、判断部2014からの判断結果及び算出部2015からの第4の期間の長さを示す情報を参照する。調整部2016による調整処理の典型例については後述する。
【0071】
測定処理部2017について説明する。
測定処理部2017は、算出部2015から血圧測定指示を受け取り、血圧測定指示を血圧計制御部209へ出力する。測定処理部2017は、算出部2015からの血圧測定指示に基づいて、表示部210にアラートを表示してもよい。アラートは、脈波測定装置20が血圧測定を開始することをユーザに知らせることができればよい。測定処理部2017は、算出部2015からの血圧測定指示に基づいて、図示しないスピーカまたは振動体を用いて、アラートを出力してもよい。測定処理部2017は、算出部2015からの血圧測定指示に基づいて、無線通信部206を介して、図示しないスマートフォンなどの種々のデバイスにアラートの画面データを出力してもよい。
【0072】
[送受信タイミング]
生体データ測定システム1における信号の送信及び受信タイミングについて説明する。
図7は、生体データ測定システム1における信号の送信及び受信タイミングを例示する図である。上段には、ECG測定装置10が測定するECGのデータを示す。下段には、脈波測定装置20が測定する脈波波形のデータを示す。ここでは、第1の特徴量はR波のピークであり、第2の特徴量は脈波のピークである。ECG測定装置10と脈波測定装置20における信号の送受信のタイミングは、脈波の周期と一致または略一致するように設定されている。
【0073】
第1の基準時刻t1-1は、R波のピークの発生時刻に対応する。ECG測定装置10は、第1の基準時刻t1-1から第1の期間T1-1経過後の時刻t4-1に信号を送信する。無線通信部106は、MPU101の制御により、時刻t4-1の直前に送信不可状態から送信可能状態へ移行してもよい。無線通信部106は、MPU101の制御により、時刻t4-1の直後に送信可能状態から送信不可状態へ移行してもよい。第2の基準時刻t2-1は、脈波のピークの発生時刻に対応する。無線通信部206は、MPU101の制御により、第2の基準時刻t2-1から第2の期間T2-1経過後の時刻t3-1に、受信不可状態から受信待機状態へ移行する。無線通信部206は、MPU101の制御により、第2の基準時刻t2-1から第2の期間T2-1経過後の時刻t3-1からの第3の期間T3-1の間、受信待機状態を維持する。無線通信部206は、時刻t4-1に信号を受信する。無線通信部206は、MPU201の制御により、第3の期間T3-1経過後の時刻t5-1に、受信待機状態から受信不可状態へ移行する。第4の期間T4-1は、第2の基準時刻t2-1から信号の受信時刻である時刻t4-1までの期間である。第1の期間T1-1と第4の期間T4-1との時間差は、第1の基準時刻t1-1と第2の基準時刻t2-1との間隔であるPTTに相当する。
【0074】
§3 動作例
<ECG測定装置>
[送信処理]
ECG測定装置10による信号の送信処理について説明する。
図8は、ECG測定装置10における信号の送信処理を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順については、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0075】
ECG測定部104は、ECGを測定する(Step101)。Step101では、ECG測定部104は、上述のようにECGを測定する。
設定部1012は、第1の基準時刻を設定する(Step102)。Step102では、設定部1012は、ECGの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する。
無線通信部106は、第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する(Step103)。Step103では、無線通信部106は、指示部1013の指示に基づいて、信号を送信する。
【0076】
このように、ECG測定装置10は、第1の特徴量を検出する毎に第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に信号を繰り返し送信する。他方、ECG測定装置10は、第1の特徴量を検出することができない場合、信号の送信を無効にする。ECG測定装置10は、不確実な第1の特徴量の検出に基づく信号の送信を無効することで、脈波測定装置20におけるPTTの測定精度の低下を防止することができる。さらに、無線通信部106は不必要に信号を脈波測定装置20へ送信しないので、ECG測定装置10は、消費電力を抑えることができる。
【0077】
なお、Step102において、設定部1012は、第1の特徴量を予め設定された基準と比較してもよい。基準は、第1の特徴量の検出確度に基づいている。基準は、第1の特徴量の所望の検出確度に応じて任意に設定可能である。基準を構成する指標は、特に限定されない。第1の特徴量が基準を満たす場合、設定部1012は、第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する。他方、第1の特徴量が基準を満たさない場合、設定部1012は、第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定しない。これにより、第1の特徴量が基準を満たさない場合、ECG測定装置10は、信号の送信を無効にすることができる。ECG測定装置10は、基準を満たさない第1の特徴量の検出に基づく信号の送信を無効にすることで、脈波測定装置20におけるPTTの測定精度の低下を防止することができる。さらに、無線通信部106は不必要に信号を脈波測定装置20へ送信しないので、ECG測定装置10は、消費電力を抑えることができる。
<脈波測定装置>
[受信処理]
脈波測定装置20による信号の受信処理について説明する。
図9は、脈波測定装置20における信号の受信処理を例示するフローチャートである。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順については、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0078】
脈波センサ204は、脈波を測定する(Step201)。設定部2012は、第2の基準時刻を設定する(Step202)。Step202では、設定部2012は、脈波の第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する。設定部2012が第2の基準時刻を設定した場合(Step202、Yes)、切替部2013は、無線通信部206を制御する(Step203)。Step203では、切替部2013は、第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、受信待機状態で無線通信部206を維持させる。これにより、無線通信部206は、第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、受信待機状態を維持し、信号を待ち受ける。設定部2012が第2の基準時刻を設定しない場合(Step202、No)、設定部2012は、第2の基準時刻を設定するまでStep202を繰り返し処理する。設定部2012が第2の基準時刻を設定するまで、無線通信部206は、受信不可状態を維持する。
【0079】
切替部2013は、第3の期間経過後の時刻に、無線通信部206を受信待機状態から受信不可状態へ移行させる(Step204)。これにより、無線通信部206は、第3の期間経過後の時刻に、受信待機状態から受信不可状態へ移行する。
【0080】
判断部2014は、第3の期間内に無線通信部206で信号を受信したか否かを判断する(Step205)。判断部2014が第3の期間内に信号を受信したと判断した場合(Step205、Yes)、算出部2015は、PTTを算出する(Step206)。Step206では、算出部2015は、第1の期間と第4の期間との時間差に基づいてPTTを算出する。判断部2014は、第3の期間内に信号を受信していないと判断した場合(Step205、No)、第3の期間内の信号の未受信が所定回数連続しているか否かを判断する(Step207)。なお、所定回数は、任意に設定可能である。
【0081】
第3の期間内の信号の未受信が所定回数連続していない場合(Step207、No)、設定部2012は、Step202を処理する。第3の期間内の信号の未受信が所定回数連続している場合(Step207、Yes)、調整部2016は、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する(Step208)。Step208では、調整部2016は、所定の回数連続する第3の期間内における信号の未受信に基づいて、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する。調整部2016は、第2の期間の長さの調整に基づいて、メモリ202に記憶されている第2の期間の長さを示す情報を更新する。同様に、調整部2016は、第3の期間の長さの調整に基づいて、メモリ202に記憶されている第3の期間の長さを示す情報を更新する。
【0082】
Step202で説明したように、設定部2012が第2の基準時刻を設定するまで、無線通信部206は、受信不可状態を維持する。つまり、設定部2012が第2の基準時刻を設定しなければ、無線通信部206は、受信不可状態から受信待機状態へ移行することはない。脈波測定装置20は、不確実な第2の特徴量の検出に基づく受信不可状態から受信待機状態への移行を無効にすることができる。これにより、脈波測定装置20は、ECG測定装置10からの信号の受信を回避し、PTTの測定精度の低下を防止することができる。さらに、無線通信部206は不必要に受信不可状態から受信待機状態へ移行しないので、脈波測定装置20は、消費電力を抑えることができる。
【0083】
なお、Step202において、設定部2012は、第2の特徴量を予め設定された基準と比較してもよい。基準は、第2の特徴量の検出確度に基づいている。基準は、第2の特徴量の所望の検出確度に応じて任意に設定可能である。基準を構成する指標は、特に限定されない。第2の特徴量が基準を満たす場合、設定部2012は、第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する。他方、第2の特徴量が基準を満たさない場合、設定部2012は、第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定しない。これにより、第2の特徴量が基準を満たさない場合、無線通信部206は、受信不可状態から受信待機状態へ移行することはない。脈波測定装置20は、ECG測定装置10からの信号の受信を回避し、PTTの測定精度の低下を防止することができる。さらに、無線通信部206は不必要に受信不可状態から受信待機状態へ移行しないので、脈波測定装置20は、消費電力を抑えることができる。
【0084】
なお、Step207において、調整部2016は、以下のように、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整してもよい。調整部2016は、第2の期間の長さを維持した状態で、第3の期間の長さを変化させてもよい。調整部2016は、第3の期間の長さを維持した状態で、第2の期間の長さを変化させてもよい。調整部2016は、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さの両方を変化させてもよい。なお、調整部2016は、少なくとも第3の期間の長さを長くするように調整する方が好ましい。第3の期間は長くなるが、無線通信部206は、PTTの変化が想定よりも大きかった場合であっても、確実に信号を受信することができるようになる。
【0085】
[調整処理]
脈波測定装置20による調整処理の一例について説明する。
図10は、脈波測定装置20における調整処理の一例を示すフローチャートである。脈波測定装置20は、
図10に例示する調整処理により、信号を受信する毎に最適な第2の期間を設定する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順については、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0086】
無線通信部206は、ECG測定装置10から信号を受信する(Step301)。調整部2016は、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻か否かを判断する(Step302)。Step302では、調整部2016は、判断部2014からの判断結果に含まれる信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻か否かを示す情報を参照する。信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻である場合(Step302、Yes)、脈波測定装置20は調整処理を終了する。
【0087】
信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻ではない場合(Step302、No)、調整部2016は、第2の期間の長さを調整する(Step303)。Step303では、調整部2016は、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻(例えば中心時刻)に近づくように第2の期間の長さを調整する。調整部2016は、直近の第4の期間の長さを参照することができる。調整部2016は、過去の複数の第4の期間の平均の長さを参照してもよい。調整部2016は、信号の受信時刻に相当する第4の期間の終わり時刻が第3の期間内における所定時刻に一致または略一致するように第2の期間の長さを調整することができる。調整部2016は、第2の期間の長さの調整に基づいて、メモリ202に記憶されている第2の期間の長さを示す情報を更新する。
【0088】
調整処理の別の例について説明する。
図11は、脈波測定装置20における調整処理の別の例を示すフローチャートである。脈波測定装置20は、
図11に例示する調整処理により、ユーザ毎の第4の期間を学習し、ユーザ毎の最適な第2の期間及び第3の期間を設定する。例えば、脈波測定装置20は、初期設定時またはリセット時に
図11に例示する調整処理を実行する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順については、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0089】
無線通信部206は、ECG測定装置10から信号を受信する(Step401)。算出部2015は、第4の期間を算出する(Step402)。Step402では、算出部2015は、第2の基準時刻を示す情報及び信号の受信時刻を示す情報に基づいて、第4の期間を算出する。
【0090】
調整部2016は、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する(Step403)。Step403では、例えば、調整部2016は、Step303と同様に、信号の受信時刻に相当する第4の期間の終わり時刻が第3の期間内における所定時刻に近づくように第2の期間の長さを調整する。調整部2016は、第2の期間の長さの調整に基づいて、メモリ202に記憶されている第2の期間の長さを示す情報を更新する。Step403では、例えば、調整部2016は、第3の期間の長さを短くするように第3の期間の長さを調整する。調整部2016は、第3の期間の長さを所定割合短くしても、第3の期間の長さを所定長さ短くしてもよい。調整部2016は、第3の期間の長さの調整に基づいて、メモリ202に記憶されている第3の期間の長さを示す情報を更新する。
【0091】
調整部2016は、第3の期間の長さが所定期間の長さに等しいか否かを判断する(Step404)。Step404では、調整部2016は、第3の期間が所定期間の長さに等しくなるまで短くなったか否かを判断する。第3の期間の長さが所定期間の長さに等しい場合(Step404、Yes)、脈波測定装置20は、調整処理を終了する。第3の期間の長さが所定期間の長さに等しくない場合(Step404、No)、脈波測定装置20は、Step401からStep404までの処理を繰り返す。第3の期間の長さが所定期間の長さに等しくない場合は、第3の期間の長さが所定期間の長さよりも長い場合に相当する。
【0092】
このように、調整部2016は、第4の期間の算出毎に第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する。例えば、調整部2016は、第4の期間の算出毎に第2の期間の長さを調整し、第3の期間の始まり時刻及び終わり時刻を調整する。例えば、調整部2016は、第3の期間の長さが所定期間の長さに等しくなるまで、第4の期間の算出毎に第3の期間の長さを段階的に短くする。例えば、初期設定時またはリセット時には、無線通信部206は全期間を受信待機状態で維持し、調整部2016は、第4の期間の算出毎に受信待機状態に相当する第3の期間の長さを段階的に短くするようにしてもよい。
【0093】
§4 作用・効果
以上説明したように、本実施形態では、生体データ測定システム1は、第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に信号を送信する無線通信部106を備えるECG測定装置10と、第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、受信待機状態を維持する無線通信部206を備える脈波測定装置20とを備える。
このように、ECG測定装置10による信号の送信タイミングは、ECGの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻に基づいて決まる。ECG測定装置10は、最低限、第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に信号を送信すればよい。ECG測定装置10は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、ECG測定装置10は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
さらに、信号を待ち受けるための第3の期間は、脈波の第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻に基づいて決まる。脈波測定装置20は、最低限、第3の期間に信号を待ち受けていれば、ECG測定装置10との通信を成功させることができる。脈波測定装置20は、常時、通信状態を確保する必要はない。そのため、脈波測定装置20は、通信に要する消費電力を抑えることができる。
したがって、生体データ測定システム1は、人体への装着が容易であるだけでなく、消費電力を少なくすることができる。
さらに、ECG測定装置10及び脈波測定装置20は生体データの測定精度を担保した上で無線で通信することができる。そのため、ユーザは、ECG測定装置10及び脈波測定装置20を容易に装着することができる。
さらに、ECG測定装置10及び脈波測定装置20は、パッシブな動作で通信する。そのため、ECG測定装置10及び脈波測定装置20は、消費電力を抑えることができるので、充電の手間を減らすことができる。さらに、ECG測定装置10及び脈波測定装置20のバッテリサイズは小さくなるため、バッテリコストは抑えられる。バッテリサイズが小さくなることに伴い、ECG測定装置10及び脈波測定装置20自体のサイズも小さくなる。
さらに、ECG測定装置10及び脈波測定装置20が既存の方式で通信するように構成することもできるので、デバイスコストは抑えられる。
【0094】
本実施形態では、脈波測定装置20は、第1の期間と前記第4の期間との時間差に基づいてPTTを算出する。
ECG測定装置10が信号を送信するタイミングは第1の基準時刻に基づいているため、脈波測定装置20は、第1の期間と前記第4の期間との時間差を計算するだけでPTTを算出することができる。脈波測定装置20は、ECG測定装置10と常時通信することなくPTTを算出することができるので、通信に要する消費電力を抑えることができる。
【0095】
本実施形態では、脈波測定装置20は、所定の回数連続する第3の期間内における信号の未受信に基づいて、第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する。
血圧の変動によるPTTの変化により、第2の基準時刻から脈波測定装置20に信号が到達する時刻までの期間は変化する。脈波測定装置20は、脈波測定装置20に到達する信号を受信できない状態が続くことを解消することができる。
【0096】
本実施形態では、脈波測定装置20は、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻ではない場合、信号の受信時刻が第3の期間内における所定時刻に近づくように第2の期間の長さを調整する。
血圧の変動によるPTTの変化により、第2の基準時刻から脈波測定装置20に信号が到達する時刻までの期間は、短くなることもあるし、長くなることもある。脈波測定装置20は、第2の期間の長さを調整することで、PTTの変化によって第2の基準時刻から脈波測定装置20に信号が到達する時刻までの期間が変化したとしても、信号を受信できなくなる可能性を減らすことができる。
【0097】
本実施形態では、脈波測定装置20は、第4の期間の算出毎に第2の期間の長さ及び第3の期間の長さのうちの少なくとも何れか一方を調整する。
これにより、脈波測定装置20は、ユーザ毎に最適な第2の期間及び第3の期間を設定することができる。さらに、脈波測定装置20は、第3の期間を必要最低限の長さまで短縮することができるので、消費電力を抑えることができる。
【0098】
本実施形態では、送信装置はECGを測定するECG測定装置10であり、受信装置は脈波を測定する脈波測定装置20である。
電力量は電力と時間の積で求まる。電流値は、信号を送信するECG測定装置10の方が信号を受信する脈波測定装置20よりも大きい。他方、脈波測定装置20が信号を待ち受ける第3の期間は、ECG測定装置10が信号を送信する期間よりも長い。そのため、消費電力量は、ECG測定装置10よりも脈波測定装置20の方が大きくなる。ここで、脈波波形の品質は、ECG波形の品質よりも悪くなる可能性がある。脈波測定装置20は、脈波の第2の特徴量を検出しなければ、受信不可状態から受信待機状態へ移行することはない。そのため、脈波測定装置20は、不必要に受信不可状態から受信待機状態へ移行することはないので、より消費電力を抑えることできる。
【0099】
§5 変形例
5-1 変形例1
上述の本実施形態では、ECG測定装置10が脈波測定装置20に対して信号を送信する例を説明したが、これに限定されない。脈波測定装置20が信号を送信する送信装置であり、ECG測定装置10が信号を受信する受信装置であってもよい。なお、PTTを測定する生体データ測定システム1は、ECG測定装置10と1つの脈波測定装置に代えて、2つの脈波測定装置で構成されていてもよい。この場合、一方の脈波測定装置が信号を送信する送信装置であり、他方の脈波測定装置が信号を受信する受信装置である。
【0100】
5-2 変形例2
ECG測定装置10から脈波測定装置20へ送信する信号は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などにおけるアドバタイズ信号やビーコン信号などの方式を用いてもよい。なお、脈波測定装置20は、信号の受信に基づいてECG測定装置10が第1の基準時刻から第1の期間経過後の時刻に信号を送信したことを認識することができればよい。そのため、無線通信するための信号の方式や規格は特に限定されない。生体データ測定システム1は、既存の方式で通信するように構成することもできるので、開発時間の低減が可能となる。
【0101】
5-3 変形例3
要するにこの発明は、本実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、本実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0102】
§6 付記
本実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限定されない。
(付記1)
第1の生体データを測定する測定部(104)と、
前記第1の生体データの第1の特徴量の発生時刻に対応する第1の基準時刻を設定する設定部(1012)と、
前記第1の基準時刻から予め決められた第1の期間経過後の時刻に信号を送信する送信部(106)と、
を備える送信装置(10)と、
第2の生体データを測定する測定部(204)と、
前記第2の生体データの第2の特徴量の発生時刻に対応する第2の基準時刻を設定する設定部(2012)と、
前記第2の基準時刻から第2の期間経過後の時刻からの第3の期間の間、前記信号を待ち受ける状態を維持する受信部(206)と、
を備える受信装置(20)と、
を備える生体データ測定システム(1)。
【符号の説明】
【0103】
1…生体データ測定システム
10…ECG測定装置
20…脈波測定装置
101…MPU
102…メモリ
103…複数の電極
104…ECG測定部
105…バッテリ
106…無線通信部
107…アンテナ
201…MPU
202…メモリ
203…バッテリ
204…脈波センサ
205…アンテナ
206…無線通信部
207…カフ
208…ポンプ
209…血圧計制御部
210…表示部
1011…取得部
1012…設定部
1013…指示部
2011…取得部
2012…設定部
2013…切替部
2014…判断部
2015…算出部
2016…調整部
2017…測定処理部