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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
G02F1/13357
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018161584
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034747
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 隆
(72)【発明者】
【氏名】永岡 一孝
(72)【発明者】
【氏名】柴田 倫秀
(72)【発明者】
【氏名】矢島 利浩
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/022887(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0043493(KR,A)
【文献】国際公開第2018/083817(WO,A1)
【文献】特開平09-200135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090099(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
F21S 2/00
F21V 8/00
G09F 9/00
G02B 6/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
前記液晶パネルを照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、
第1側面と、前記第1側面の反対側の第2側面と、前記液晶パネルに対向する主面と、口部と、を有する導光板と、
前記第1側面に対向する第1光源と、
前記第1光源より前記開口部に近接した第2光源と、
を備え
前記開口部は、貫通孔であり、前記第1側面と前記第2側面との間に位置し、
前記第2光源は、前記第2側面に対向している、電子機器。
【請求項2】
前記第2光源は、前記第1光源より小さい、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
さらに、前記液晶パネルに重畳し、前記液晶パネルを介して受光するカメラを備え、
前記カメラは、前記開口部に設けられている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
さらに、前記液晶パネルに重畳し、前記液晶パネルを介してセンシングするセンサを備え、
前記センサは、前記開口部に設けられている、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
さらに、配線基板を備え、
前記カメラ及び前記センサの少なくとも一方、及び、前記第2光源は、前記配線基板と電気的に接続されている、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
さらに、前記導光板を収容するケースを備え、
前記ケースは、前記第2側面に対向する第1側壁及び第2側壁を有し、
前記第2光源は、前記第1側壁と前記第2側壁との間に設けられている、請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
液晶パネルと、
前記液晶パネルを照明する照明装置と、を備え、
前記照明装置は、
第1側面と、前記液晶パネルに対向する主面と、開口部と、を有する導光板と、
前記第1側面に対向する第1光源と、
前記第1光源より前記開口部に近接した第2光源と、
を備え、
前記開口部は、ノッチであり、
前記第2光源は、前記開口部に設けられている、子機器。
【請求項8】
さらに、前記液晶パネルに重畳し、前記液晶パネルを介して受光するカメラを備え、
前記カメラは、前記開口部に設けられ、
前記第2光源は、前記液晶パネルに対向する発光面を有し、
前記発光面の法線は、前記液晶パネルのうち、前記カメラの直上の領域を交差するように傾斜している、請求項に記載の電子機器。
【請求項9】
さらに、前記液晶パネルと前記第2光源との間に位置する散乱制御素子を備え、
前記散乱制御素子は、透明状態と散乱状態とを切り替え可能に構成されている、請求項またはに記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2光源は、前記カメラの内部に設けられている、請求項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第2光源は、前記カメラと前記液晶パネルとの間に設けられている、請求項に記載の電子機器。
【請求項12】
さらに、前記第2光源と前記液晶パネルとの間に位置する波長変換素子を備え、
前記波長変換素子は、前記第2光源からの光の波長を他の波長に変換する、請求項11に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部及びカメラを同一面側に備えたスマートフォン等の電子機器が広く実用化されている。このような電子機器では、カメラ等が表示部の外側に設けられており、カメラ等を設置するためのスペースを確保する一方で、表示部の外側の額縁幅を縮小する要望が高まっている。また、このような表示部を照明する照明装置(バックライトユニット)においては、照明光の輝度の均一化が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-40908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、照明光の輝度の不均一性を緩和することが可能な照明装置を組み込んだ電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
液晶パネルと、前記液晶パネルを照明する照明装置と、を備え、前記照明装置は、第1側面と、前記液晶パネルに対向する主面と、ノッチまたは貫通孔からなる開口部と、を有する導光板と、前記第1側面に対向する第1光源と、前記第1光源より前記開口部に近接した第2光源と、を備えた電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の照明装置ILを備えた電子機器100の一構成例を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示した電子機器100の平面図である。
図3図3は、図2に示したA-B線に沿った電子機器100の断面図である。
図4図4は、図3に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。
図5図5は、図4に示した画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。
図6図6は、図4に示した画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。
図7図7は、電子機器100の他の構成例を示す平面図である。
図8図8は、電子機器100の他の構成例を示す分解斜視図である。
図9図9は、図8に示した電子機器100の平面図である。
図10図10は、図9に示したC-D線に沿った電子機器100の断面図である。
図11図11は、電子機器100の他の構成例を示す平面図である。
図12図12は、図11に示したE-F線に沿った電子機器100の断面図である。
図13図13は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。
図14図14は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。
図15図15は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の照明装置ILを備えた電子機器100の一構成例を示す分解斜視図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。
【0009】
照明装置ILは、導光板LGと、光源EMAと、光源EMBと、ケースCSと、を備えている。照明装置ILは、さらに複数の光学シートOS及び反射シートRSを備えているが、ここでの図示を省略している。このような照明装置ILは、例えば、図1において点線で簡略化して示す液晶パネルPNLを照明するものである。
【0010】
導光板LGは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面と平行な平板状に形成されている。導光板LGは、側面S1乃至S4と、主面MSと、開口部OP1と、を有している。側面S2は側面S1の反対側に位置し、側面S1及びS2はそれぞれ第1方向Xに沿って延出している。側面S4は側面S3の反対側に位置し、側面S3及びS4はそれぞれ第2方向Yに沿って延出している。主面MSは、X-Y平面と平行な面である。例えば、側面S1及びS2は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面と平行な面である。また、側面S3及びS4は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面と平行な面である。開口部OP1は、導光板LGを第3方向Zに沿って貫通した貫通孔である。開口部OP1は、第2方向Yにおいて、側面S1及び側面S2の間に位置し、側面S1よりも側面S2に近接している。
【0011】
複数の光源EMAは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。光源EMAの各々は、配線基板F1と電気的に接続されている。
光源EMBは、配線基板F2と電気的に接続されている。なお、図1では、1個の光源EMBのみが図示されているが、複数の光源EMBが間隔をおいて並んでいてもよい。
光源EMA及びEMBは、例えば、発光ダイオード(LED)であり、白色の照明光を出射する。なお、赤、緑、青等の異なる色の光を出射する発光ダイオード(LED)を並置して用いてもよい。この場合、各色の発光ダイオード(LED)を順次発光させ、これに合わせて各色表示を順次切り替えることで、カラー表示を実現する、所謂フィールドシーケンシャル方式を用いることができる。
【0012】
ケースCSは、導光板LG及び光源EMAを収容している。ケースCSは、側壁W1乃至W5と、底板BPと、開口部OP2及びOP3と、突部PPと、を有している。側壁W1及びW2は、第1方向Xに沿って延出し、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。つまり、側壁W1と側壁W2との間には、側壁が存在しない開口部OP2が形成される。側壁W3及びW4は、第2方向Yに沿って延出し、互いに対向している。側壁W5は、第1方向Xに沿って延出し、側壁W1及びW2に対向している。側壁W3は側壁W1に繋がり、側壁W4は側壁W2に繋がり、側壁W5は側壁W3及びW4に繋がっている。開口部OP3は、底板BPを第3方向Zに沿って貫通した貫通孔である。開口部OP3は、第3方向Zにおいて、開口部OP1に重畳している。突部PPは、底板BPから第3方向Zに突出し、開口部OP3を囲むように設けられている。
【0013】
このような照明装置ILを組み込んだ電子機器100は、カメラ1A及びセンサ1Bを備えている。図示した例では、カメラ1A及びセンサ1Bは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並び、第3方向Zにおいて開口部OP3に重畳するように設けられている。カメラ1A及びセンサ1Bの少なくとも一方は、光源EMBと共通の配線基板F2と電気的に接続されている。なお、カメラ1A及びセンサ1Bのうちの一方が光源EMBとともに配線基板F2と電気的に接続され、カメラ1A及びセンサ1Bのうちの他方が光源EMBとは別の配線基板と電気的に接続されていてもよい。
【0014】
カメラ1Aは、例えば、可視光を受光するものであるが、これに限らず、赤外線を検出するものであってもよい。センサ1Bは、例えば、検出対象物の近接をセンシングする近接センサであるが、これに限らず、検出対象物に向けて赤外線を投射する投射素子と、検出対象物から反射された赤外線を検出する検出素子とを備えたものである。カメラ1Aは可視光用のカメラであり、センサ1Bは近接センサである場合、別途、複数のドット状のパターンを形成するように検出対象物に向けて赤外線を投射する投射素子と、検出対象物から反射された赤外線のドットパターンを検出する赤外線用のカメラと、を設けてもよい。
【0015】
図2は、図1に示した電子機器100の平面図である。光源EMAは、導光板LGの側面S1とケースCSの側壁W5との間に配置され、側面S1に対向している。なお、図1に示した配線基板F1の図示を省略している。側壁W1及びW2は側面S2に対向し、側壁W3は側面S3に対向し、側壁W4は側面S4に対向している。ケースCSの突部PPは、導光板LGの開口部OP1の内側に位置している。カメラ1A及びセンサ1Bは、ケースCSの開口部OP3の内側に設けられている。光源EMBは、側壁W1及びW2の間に設けられている。つまり、光源EMBは、ケースCSの開口部OP2に位置し、導光板LGの側面S2に対向している。
光源EMBは、光源EMAよりも開口部OP1に近接している。すなわち、光源EMBと開口部OP1との間の第2方向Yに沿った距離YBは、光源EMAと開口部OP1との間の第2方向Yに沿った距離YAよりも短い。
【0016】
光源EMBは、光源EMAより小さい。すなわち、光源EMAは、第1方向Xに沿った長さAXと、第2方向Yに沿った長さAYと、を有している。光源EMBは、第1方向Xに沿った長さBXと、第2方向Yに沿った長さBYと、を有している。長さBXは長さAXより小さく、長さBYは長さAYより小さい。
【0017】
開口部OP3は、開口部OP1の内側に位置している。図示した例では、開口部OP1及びOP3は、いずれも平面視で長円形状であるが、円形や多角形などの他の形状であってもよい。
【0018】
光源EMAから出射された照明光L1は、側面S1から入射し、導光板LGの内部を第2方向Yに沿って側面S1から側面S2に向かって進行する。これにより、照明光L1は、側面S1と側面S2との間の領域、及び、側面S1と開口部OP1との間の領域に伝播される。しかしながら、照明光L1は、開口部OP1と側面S2との間の領域には伝播しにくい。
光源EMBから出射された照明光L2は、側面S2から入射し、開口部OP1に向かって進行する。つまり、照明光L2は、開口部OP1と側面S2との間の領域に伝播される。したがって、本実施形態によれば、照明装置ILにおいて、導光板LGに開口部OP1を設けたことに起因する照明光の輝度の不均一性を緩和することが可能となる。
【0019】
また、光源EMBは、光源EMAより小さく、しかも、ケースCSの側壁W1及びW2の間の開口部OP2に配置されている。このため、光源EMBを配置したことによる額縁幅の拡大を抑制することができる。
【0020】
また、カメラ1A、センサ1B、及び、光源EMBが同一の配線基板F2に接続されているため、コネクタの個数を削減するでき、配線基板を設けるスペースを縮小することができる。また、部品点数を削減することができ、製造コストの削減及び製造工程の簡素化が可能となる。
【0021】
本実施形態において、光源EMAは第1光源に相当し、光源EMBは第2光源に相当し、側面S1は第1側面に相当し、側面S2は第2側面に相当する。
【0022】
図3は、図2に示したA-B線に沿った電子機器100の断面図である。ここでは、液晶パネルPNL、カメラ1A、光源EMA及びEMB等を含む第2方向Yに沿った電子機器100の断面を示している。電子機器100は、カメラ1A及びセンサ1B等の他にさらに、第1偏光板PL1と、液晶パネルPNLと、第2偏光板PL2と、光学シートOSと、反射シートRSと、を備えている。
【0023】
反射シートRS、導光板LG、及び、光学シートOSは、第3方向Zに沿ってこの順に配置され、ケースCSに収容されている。ケースCSは、金属製のケースCS1と、樹脂製のケースCS2とを備えている。光学シートOSは、例えば、プリズムシートや拡散シートである。光学シートOSの各々は、開口部OP1に重畳する開口部OP4を有している。反射シートRSは、開口部OP1に重畳する開口部OP5を有している。ケースCSの突部PPは、開口部OP1、OP4、OP5の内側に位置している。
【0024】
光学シートOSと突部PPとの隙間は、遮光テープTPによって遮光されている。これにより、導光板LGを進行する照明光が突部PPの近傍において散乱したとしても、その散乱光の漏れが抑制される。また、光学シートOSと突部PPとの隙間への異物の進入が抑制される。
配線基板F1と光学シートOSとの隙間、及び、光学シートOSと光源EMBとの隙間も同様に、遮光テープTPによって遮光されている。光源EMAは、側面S1に対向した発光面AFを有している。光源EMBは、側面S2に対向した発光面BFを有している。
【0025】
第1偏光板PL1、液晶パネルPNL、及び、第2偏光板PL2は、第3方向Zに沿ってこの順に配置され、第3方向Zに沿って進行する光に対して、光学的なスイッチ機能を備えた液晶素子LCDを構成している。遮光テープTPは、例えば両面接着テープであり、第1偏光板PL1とケースCS、または、第1偏光板PL1と光学シートOSとを接着している。
【0026】
液晶パネルPNLは、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、X-Y平面に平行な面である。
【0027】
液晶パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAの囲む非表示部NDAと、を備えている。液晶パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。シールSEは、非表示部NDAに位置し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着するとともに、液晶層LCを封止している。
【0028】
以下、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の主要部について説明する。第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と、配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と、カラーフィルタ層CFと、遮光層BMAと、透明層OCと、配向膜AL2と、を備えている。
第1絶縁基板10及び第2絶縁基板20は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。配向膜AL1及びAL2は、液晶層LCに接している。
カラーフィルタ層CF、遮光層BMA、及び、透明層OCは、第2絶縁基板20と液晶層LCとの間に位置している。なお、図示した例では、カラーフィルタ層CFは、第2基板SUB2に設けられたが、第1基板SUB1に設けられてもよい。
遮光層BMAは、非表示部NDAに位置している。表示部DAと非表示部NDAとの境界Bは、例えば、遮光層BMAの内端(表示部DA側の端部)によって規定される。シールSEは、遮光層BMAと重畳する位置に設けられている。
カラーフィルタ層CFの詳細については、ここでは省略するが、カラーフィルタ層CFは、例えば、赤画素に配置される赤カラーフィルタ、緑画素に配置される緑カラーフィルタ、及び、青画素に配置される青カラーフィルタを備えている。また、カラーフィルタ層CFは、白画素に配置される透明樹脂層を備えている場合もある。透明層OCは、カラーフィルタ層CF及び遮光層BMAを覆っている。透明層OCは、例えば、透明な有機絶縁膜である。
【0029】
表示部DAは、カラーフィルタ層CFが配置された領域A1と、カラーフィルタ層CFが配置されていない領域A2と、を有している。透明層OCは、領域A1及び領域A2に亘って配置され、領域A1においてはカラーフィルタ層CFに接し、領域A2においては第2絶縁基板20に接している。配向膜AL1と配向膜AL2とは、領域A1及び領域A2に亘って設けられている。
【0030】
カメラ1Aは、ケースCSの開口部OP3に重畳するように設けられ、突部PPで囲まれた内側に位置している。また、図2に示したセンサ1Bも同様に、開口部OP3に重畳するように設けられている。カメラ1A及びセンサ1Bは、第3方向Zにおいて、液晶パネルPNL、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2に重畳している。尚、カメラ1A及びセンサ1Bのうち、一部、或いは、全ては、第3方向Zにおいて、液晶パネルPNLの表示部DAと重畳している。つまり、液晶パネルPNLとカメラ1Aとを有する電子機器100において、電子機器100の使用者からみて、カメラ1Aが液晶パネルPNLの奥に設けられていればよい。
【0031】
図示したカメラ1Aと表示部DAとの位置関係に着目すると、カメラ1Aは、領域A2に重畳している。つまり、カラーフィルタ層CFは、カメラ1Aに重畳していない。また、センサ1Bも、カメラ1Aと同様に、領域A2に重畳しており、カラーフィルタ層CFに重畳していない。
【0032】
カメラ1Aは、例えば、少なくとも一つのレンズを含む光学系2と、イメージセンサ(撮像素子)3と、ケース4と、を備えている。ケース4は、光学系2及びイメージセンサ3を収容している。光学系2は、液晶パネルPNLとイメージセンサ3との間に位置している。イメージセンサ3は、液晶パネルPNL、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を介して受光する。例えば、カメラ1Aは、表示部DA、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を介して透過した可視光(例えば、400nm~700nmの範囲の光)を受光する。第1偏光板PL1の吸収軸及び第2偏光板PL2の吸収軸が互いに直交している場合、液晶素子LCDの液晶層LCを透過する光の波長をλとした時、液晶層LCのリタデーションがほぼゼロまたはλに相当する場合、液晶素子LCDの透過率が最小となる。このため、カメラ1Aで撮影する際には、液晶層LCのリタデーションは、ゼロより大きくλより小さく設定される。リタデーションが約λ/2の場合には、液晶素子LCDの透過率は最大となる。
【0033】
第1偏光板PL1は、第1絶縁基板10に接着されている。第2偏光板PL2は、第2絶縁基板20に接着されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、領域A1及びA2に亘って配置されている。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
【0034】
図示したように、液晶層LCが外部からの電界等の影響を受けないようにするため、第2偏光板PL2と第2絶縁基板20との間に透明導電膜ITを設ける場合がある。透明導電膜ITは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等の透明な酸化物導電体からなる。透明導電膜ITが赤外線の透過率の低下を招く場合には、センサ1Bと重畳する領域A2に透明導電膜ITの不形成領域を設けることで、可視光の透過率の低減を抑制することが可能となる。透明導電膜ITの不形成領域を領域A2よりも広くすることも可能である。赤外線の低透過率が問題とならない可視光用のカメラ1Aと重畳する箇所では、透明導電膜ITを形成してもよい。酸化物導電体よりも赤外線の透過率の高い導電性樹脂を透明導電膜ITとして用いる場合は、カメラ1A及びセンサ1Bと重畳する領域に透明導電膜ITを設けることが可能である。
【0035】
また、例えば、第1偏光板PL1または第2偏光板PL2に、超複屈折フィルムを備えることも可能である。超複屈折フィルムは、直線偏光が入射したときに透過光を非偏光化(自然光化)することが知られており、被写体に偏光を発するものが含まれていても違和感なく撮影が可能となる。例えば、カメラ1Aの被写体に液晶表示装置等が映り込んだ場合に、液晶表示装置からは直線偏光が出射されているので、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、被写体となっている液晶表示装置の偏光板との角度との関係で、カメラ1Aに入射する被写体の液晶表示装置の明るさが変化し、撮影時に違和感を生ずるおそれがある。しかしながら、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2に超複屈折フィルムを備えることで、違和感を生じさせる明るさの変化を抑えることが可能である。
超複屈折性を示すフィルムとしては、例えば東洋紡(株)のコスモシャイン(登録商標)などが好適に用いられる。ここで超複屈折性とは、可視域、例えば500nmの光に対する面内方向のリタデーションが800nm以上のものを言う。
【0036】
また、第1偏光板PL1は、照明装置ILからの照明光のうち、第1偏光板PL1の吸収軸と平行な偏光成分を照明装置ILに向けて反射する反射層を備えている場合がある。このような第1偏光板PL1を適用した場合には、センサ1Bの赤外線投射素子から投射された赤外線の一部が反射層で反射されることとなり、光の利用効率が低下する。更に、反射層で反射された反射光がセンサ1Bに入射して悪影響を及ぼす恐れがある。このため、カメラ1A及びセンサ1Bと重畳する領域では、第1偏光板PL1から反射層が除去されることが望ましい。
尚、センサ1Bの赤外線投射素子から出射され、反射層で反射された光を再利用するため、センサ1Bの内部や周辺に、到達した光を反射させる反射層を設けてもよい。
【0037】
図4は、図3に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。図3において、液晶層LC及びシールSEは、異なる斜線で示している。カメラ1A及びセンサ1Bの外形を点線で示している。表示部DAは、ノッチを含まない略四角形の領域であるが、4つの角が丸みを有していてもよく、四角形以外の多角形や円形であってもよい。表示部DAは、シールSEで囲まれた内側に位置している。
【0038】
液晶パネルPNLは、表示部DAにおいて、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。表示部DAにおける各画素PXは、同一の回路構成を有している。図3において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gには、スイッチング素子SWを制御するための制御信号が供給される。信号線Sには、制御信号とは異なる信号として、映像信号が供給される。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。容量CPは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0039】
配線基板6は、第1基板SUB1の延出部Exに電気的に接続されている。ICチップ7は、配線基板6に電気的に接続されている。なお、ICチップ7は、延出部Exに電気的に接続されていてもよい。ICチップ7は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板6は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。
【0040】
表示部DAにおいて、カメラ1A及びセンサ1Bに重畳しない画素PX1は、図3に示した領域A1の画素に相当し、カラーフィルタ層CFを備えている。つまり、画素PX1は、赤、緑、青のいずれかの色を表示することができる。また、画素PX1が白画素である場合には、画素PX1は、白(または透明)、グレー、黒のいずれかを表示することができる。画素PX1は、表示部DAにおいて、導光板LGと重畳する領域の全体に亘って配置されている。また、画素PX1は、領域A2のうち、カメラ1A等と重畳しない領域に配置されてもよい。
【0041】
表示部DAにおいて、カメラ1A及びセンサ1Bに重畳する画素PX2は、図3に示した領域A2の画素に相当し、カラーフィルタ層CFを備えていない。つまり、画素PX2は、モノクロ表示画素であり、白(または透明)、グレー、黒のいずれかを表示することができる。なお、図4において、カメラ1A及びセンサ1Bの外形を点線で示し、カメラ1A及びセンサ1Bに重畳する画素PX2を示している。理想的には、画素PX2は、カメラ1A等のレンズを含む光学系2と、平面視で重なるものであるが、カメラ1A等のケース4と重なっていてもよい。
また、カメラ1A及びセンサ1Bは、液晶パネルPNLに重畳している。さらに、カメラ1A及びセンサ1Bは、液晶パネルPNLの表示部DAに重畳している。したがって、表示部DAを拡大することができる。また、非表示部NDAにカメラ1A等を設置するためのスペースを設ける必要がないため、非表示部NDAの額縁幅を縮小することができる。
【0042】
図5は、図4に示した画素PX1を含む液晶素子LCDの断面図である。ここでは、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に、横電界を利用する表示モードに対応した液晶パネルPNLを備えた液晶素子LCDについて説明する。
【0043】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と配向膜AL1との間に、絶縁膜11及び12と、共通電極CEと、画素電極PEと、を備えている。なお、図4に示した走査線、信号線、及び、スイッチング素子は、例えば、第1絶縁基板10と共通電極CEとの間に位置している。共通電極CEは、絶縁膜11の上に位置し、絶縁膜12によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12の上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12を介して、共通電極CEと対向している。共通電極CE及び画素電極PEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。画素電極PEは、線状電極であり、共通電極CEは、複数の画素PX1に亘って共通に設けられた平板状の電極である。尚、画素電極PEを平板状の電極とし、画素電極PEと液晶層LCとの間に線状の共通電極を設ける構造であってもよい。絶縁膜11は、詳述しないが、無機絶縁膜及び有機絶縁膜を含んでいる。絶縁膜12は、例えば、シリコン窒化物等の無機絶縁膜である。
【0044】
第2基板SUB2において、遮光層BMBは、図2に示した非表示部NDAの遮光層BMAと一体的に形成されている。カラーフィルタ層CFは、赤カラーフィルタCFR、緑カラーフィルタCFG、及び、青カラーフィルタCFBを含んでいる。緑カラーフィルタCFGは、画素電極PEと対向している。赤カラーフィルタCFR及び青カラーフィルタCFBも、それぞれ図示しない他の画素電極PEと対向している。
【0045】
液晶素子LCDを駆動する駆動部DR1は、例えば、図4に示した走査線Gと電気的に接続された走査線駆動回路、及び、信号線Sと電気的に接続された信号線駆動回路を含んでいる。駆動部DR1は、表示部DAの各画素PXに対して、画像表示に必要な信号を出力し、液晶素子LCDの透過率を制御する。液晶素子LCDの透過率は、液晶層LCに印加される電圧の大きさに応じて制御される。
例えば、画素PX1において、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態では、液晶層LCに含まれる液晶分子LMは、配向膜AL1及びAL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、図1に示した光源EMAから画素PX1に導光された光は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2によって吸収される。このため、液晶素子LCDは、オフ状態の画素PX1において、黒を表示する。
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、液晶分子LMは、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成された電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、画素PX1に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。このため、液晶素子LCDは、オン状態の画素PX1において、カラーフィルタ層CFに応じた色を表示する。
上記の例は、オフ状態で黒を表示する所謂ノーマリーブラックモードに相当するが、オン状態で黒を表示する(オフ状態で白を表示する)ノーマリーホワイトモードが適用されてもよい。
【0046】
図6は、図4に示した画素PX2を含む液晶素子LCDの断面図である。画素PX2は、図5に示した画素PX1と比較して、第2基板SUB2がカラーフィルタ層CF及び遮光層BMBを備えていない点で相違している。すなわち、透明層OCは、画素電極PEの直上において、第2絶縁基板20に接している。尚、透明層OCの厚みを調整するため、透明層OCと第2絶縁基板20との間に、透明樹脂層を設けてもよい。
【0047】
液晶素子LCDの画素PX2における透過率は、画素PX1と同様に、駆動部DR1により制御される。すなわち、液晶素子LCDは、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態の画素PX2において、画素PX1と同様に、最小透過率となり、黒を表示する。
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、画素PX2に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。液晶素子LCDは、オン状態の画素PX2において、最大透過率の場合に、白を表示する、あるいは、透明状態となる。また、上記の通り、液晶素子LCDは、最小透過率と最大透過率との間の中間透過率となるように制御され、グレーを表示する場合もありうる。尚、図6では、共通電極CEが平板状に形成されているが、画素PX2については、共通電極CEに開口を設ける構成であってもよい。また、画素電極PEを共通電極CEよりも絶縁基板側に設ける構成の場合は、画素電極PEに開口を設けてもよい。更には、画素電極PEと共通電極CEとを線状電極としてもよい。この場合、線状の画素電極PEと線状の共通電極CEとを同一の層に設けることも可能である。また、画素電極PEと共通電極CEとを絶縁膜を介して別層に設けることも可能である。液晶層LCを用いて液晶レンズを形成する場合、平板状の電極と線状の電極とでレンズを形成するよりも、線状の画素電極PEと線状の共通電極CEとレンズを形成した場合の方がレンズ特性の自由度を高めることが可能となる。
【0048】
図7は、電子機器100の他の構成例を示す平面図である。図6に示した構成例は、図1に示した構成例と比較して、センサ1Bを省略し、カメラ1AがケースCSの側壁W3または側壁W4に近接している点で相違している。図示した例において、カメラ1Aは、側壁W3に近接している。導光板LGの開口部OP1は、側面S3及びS4の間において、側面S3に近接している。ケースCSの開口部OP3及び突部PPは、側壁W3及びW4の間において、側壁W3に近接している。カメラ1Aは、突部PPの内側に位置している。なお、開口部OP1及びOP2は円形に形成されているが、これに限らず、楕円形などの他の形状であってもよい。光源EMBは、側面S2に対向し、側壁W1と側壁W2との間に位置している。側壁W1の第1方向Xに沿った長さは、側壁W2の長さより短い。カメラ1A及び光源EMBは、突部PPを挟んで第2方向Yに並んでいる。
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0049】
図8は、電子機器100の他の構成例を示す分解斜視図である。図8に示した構成例は、図1に示した構成例と比較して、導光板LGの開口部OP1が側面S2から側面S1に向かって窪んだ凹部あるいはノッチである点で相違している。
【0050】
ケースCSにおいて、開口部OP3は、第3方向Zにおいて、開口部OP1に重畳している。図示した例では、開口部OP3は、底板BPを貫通した貫通孔である。突部PPは、開口部OP3を囲むように設けられ、側壁W1及びW2に繋がっている。また、図示した例では、突部PPとともに開口部OP3を囲む側壁W6が設けられている。なお、側壁W6が省略されてもよく、この場合には、開口部OP3は、開口部OP1と同様の凹部あるいはノッチとして形成される。
【0051】
光源EM1、カメラ1A、センサ1B、及び、光源EM2は、第1方向Xに沿って間隔をおいて並び、第3方向Zにおいて開口部OP3に重畳するように設けられている。光源EM1、カメラ1A、センサ1B、及び、光源EM2は、配線基板F2と電気的に接続されている。なお、カメラ1A及びセンサ1Bがそれぞれ異なる配線基板と電気的に接続され、カメラ1A及び光源EM1が同一の配線基板に接続され、センサ1B及び光源EM2が同一の配線基板に接続されてもよい。
【0052】
なお、液晶パネルPNLは、導光板LGに重畳するとともに、開口部OP1においてカメラ1A、センサ1B、光源EM1及びEM2にも重畳している。
【0053】
図8に示した構成例において、光源EMAは第1光源に相当し、光源EM1及びEM2は第2光源に相当する。
【0054】
図9は、図8に示した電子機器100の平面図である。ケースCSの突部PP及び開口部OP3は、導光板LGの開口部OP1の内側に位置している。カメラ1A、センサ1B、光源EM1及びEM2は、ケースCSの開口部OP3の内側に設けられている。光源EM1及びEM2は、光源EMAよりも開口部OP1に近接している。すなわち、本構成例においては、光源EMAが側面S1と側壁W5との間に設けられ、光源EM1及びEM2が開口部OP1に設けられている。また、光源EM1及びEM2は、光源EMAより小さい。
なお、図示した例において、2個の光源EM1及びEM2が開口部OP1に設けられているが、さらに多くの光源が開口部OP1に設けられてもよい。
【0055】
図10は、図9に示したC-D線に沿った電子機器100の断面図である。電子機器100は、さらに、散乱制御素子STを備えている。散乱制御素子STは、透明状態と散乱状態とを切り替え可能に構成されている。散乱制御素子STは、液晶パネルPNLと光源EM1及びEM2との間、及び、液晶パネルPNLとカメラ1A及びセンサ1Bとの間に位置している。図示した例では、散乱制御素子STは、ケースCSの突部PPと第1偏光板PL1との間に固定されているが、第1偏光板PL1に接着されることで固定されていてもよい。また、散乱制御素子STは、開口部OP3を覆うように配置されていてもよい。
【0056】
ここで、散乱制御素子STの一構成例について説明する。散乱制御素子STは、ポリマーに液晶分子が分散された高分子分散型液晶を備えた液晶パネルである。ポリマー及び液晶分子の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。一例では、ポリマーの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子の配向方向は、しきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸が互いに平行な状態では、散乱制御素子STに入射した光は、ほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸が互いに交差した状態では、散乱制御素子STに入射した光は、散乱される(散乱状態)。
このような散乱制御素子STは、駆動部DR2によって制御される。駆動部DR2は、散乱制御素子STに印加する電圧を制御することで、透明状態と散乱状態とを切り替える。
【0057】
カメラ1A及びセンサ1Bは、発光素子EM1及びEM2の間に位置している。光源EM1は液晶パネルPNLに対向する発光面1Fを有し、光源EM2は液晶パネルPNLに対向する発光面2Fを有している。発光面1F及び2Fは、それぞれカメラ1A及びセンサ1Bに向かって傾斜している。より具体的には、発光面1Fの法線は、液晶パネルPNLのうち、カメラ1Aの直上の領域を交差するように傾斜している。発光面2Fの法線は、液晶パネルPNLのうち、センサ1Bの直上の領域を交差するように傾斜している。発光面1F及び2Fの傾きは、例えば、発光素子が傾斜した状態でケースに保持されることで実現できる。あるいは、発光素子の前面に光学系を設け、発光素子からの光を屈折させてもよい。
これらのカメラ1A、センサ1B、発光素子EM1及びEM2は、駆動部DR3によって制御される。
【0058】
次に、駆動部DR1乃至DR3による制御例について説明する。
カメラ1A及びセンサ1Bの少なくとも一方を使用する際には、駆動部DR1は、液晶素子LCDにおいて少なくとも領域A2が透明状態となるように制御する。望ましくは、液晶層LCのリタデーションが約λ/2に設定され、液晶素子LCDの透過率が最大となるように制御される。
駆動部DR2は、散乱制御素子STが透明状態となるように制御する。
駆動部DR3は、光源EM1及びEM2を消灯するように制御する。そして、駆動部DR3は、カメラ1Aを制御して液晶素子LCDを介して撮影する。あるいは、駆動部DR3は、センサ1Bを制御して、液晶素子LCDを介してセンシングする。このような制御により、カメラ1Aによる撮影、あるいは、センサ1Bによるセンシングに際して、光源EM1及びEM2からの照明光の影響を受けることはない。
【0059】
カメラ1A及びセンサ1Bを使用しない時には、領域A2において画像を表示することが可能となる。すなわち、駆動部DR3は、光源EM1及びEM2を点灯するように制御する。また、駆動部DR2は、散乱制御素子STが散乱状態となるように制御する。これにより、光源EM1及びEM2から出射された照明光は、散乱状態の散乱制御素子STによって拡散される。
図8等を参照しながら説明したように、導光板LGに開口部OP1が設けられた照明装置ILにおいては、光源EMAからの照明光が開口部OP1の内側には到達せず、液晶パネルPNLのうち、開口部OP1に重畳する領域A2を十分に照明することができない。本構成例においては、領域A2は、その直下に配置された光源EM1及びEM2からの照明光によって照明される。このため、導光板LGに開口部OP1を設けたことに起因する照明光の輝度の不均一性を緩和することが可能となる。また、駆動部DR1が領域A2の画素PX2を制御することにより、領域A2に画像を表示することができる。
【0060】
図11は、電子機器100の他の構成例を示す平面図である。図11に示した構成例は、図9に示した構成例と比較して、開口部OP3に多くの光源EM3を備えている点で相違している。図示した例において、光源EM3は、カメラ1A及びセンサ1Bの周囲に設けられている。
【0061】
図12は、図11に示したE-F線に沿った電子機器100の断面図である。光源EM3は、液晶素子LCDに対向する発光面3Fを有している。光源EM3は、図9に示した光源EM1及びEM2と同様に、光源EMAより小さく、さらには、光源EM1及びEM2よりもさらに小さい。このような構成例の電子機器100において、説明を省略するが、図10を参照して説明した制御例が適用される。
【0062】
図11及び図12に示した構成例においても、図10に示した構成例と同様の効果が得られる。また、複数の光源EM3がカメラ1Aの周囲及びセンサ1Bの周囲に配置されたことにより、光源EM3の発光面3Fを傾斜させることなく、開口部OP3の重畳する領域を照明することができ、しかも、照明光の輝度の不均一性を緩和することができる。
このような構成例において、光源EM3が第2光源に相当する。
【0063】
図13は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。図13に示した構成例は、図12に示した構成例と比較して、光源EM3がカメラ1A及びセンサ1Bの周囲のみならず、カメラ1A及びセンサ1Bの内部に設けられている点で相違している。このため、図12に示した構成例よりも、開口部OP3の内部において、より多くの光源EM3を均一に配置することができる。
図13に示した構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。加えて、光源EM3がカメラ1A及びセンサ1Bの内部に設けられているため、散乱制御素子STが配置されなくとも、開口部OP3においてほぼ均一な輝度の照明光を生成することができる。また、散乱制御素子STを省略することで、部品点数を削減することができ、また、制御を簡素化することができる。
【0064】
図14は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。図14に示した構成例は、上記構成例と比較して、第2光源として光源EM4がカメラ1及びセンサ1Bと液晶パネルPNLとの間に設けられ、また、波長変換素子TSが光源EM4と液晶パネルPNLとの間に設けられた点で相違している。複数の光源EM4は、透明な支持基板SUB3に設けられている。光源EM4は、カメラ1A及びセンサ1Bと重畳する領域においては、カメラ1A及びセンサ1Bの周囲よりも疎らに配置されていることが望ましい。波長変換素子TSは、カメラ1A及びセンサ1Bと重畳するため、無着色であることが望ましい。
【0065】
例えば、光源EM4は青色光や紫外光を出射するものであり、波長変換素子TSは光源EM4からの光を吸収して吸収した光の波長よりも長波長の光を発光するものである。波長変換素子TSは、発光材料として、例えば量子ドットを含むが、これに限らず、蛍光や燐光を発するものを含んでいてもよい。
【0066】
一例では、光源EM4は、紫外線波長の光(励起光)を出射する。波長変換素子TSは、励起光を吸収して、青色、緑色、及び、赤色にそれぞれ発光し、白色の照明光を生成する。
他の例では、光源EM4は、青色波長の光(励起光)を出射する。波長変換素子TSは、励起光を吸収して黄色に発光する。したがって、変換光である黄色光と、無変換光である青色光とが混合された白色の照明光が生成される。
なお、ここでは、照明光として白色光を出射する場合について説明したが、これに限らず、他の色の照明光を出射してもよい。
【0067】
図15は、電子機器100の他の構成例を示す断面図である。図15に示した構成例は、図14に示した構成例と比較して、第2光源として赤色の光源EMr、緑色の光源EMg、及び、青色の光源EMbを備えている点で相違している。これらの光源EMr、EMg、EMbは、透明な支持基板SUB3に設けられている。光源EMr、EMg、EMbは、カメラ1A及びセンサ1Bに重畳する領域において、疎らに配置されることが望ましい。また、光源EMr、EMg、EMbが液晶素子LCDの画素と同等のサイズである場合には、液晶素子LCDにおいて、開口部OP3に重畳する開口部(ノッチまたは貫通孔)を形成してもよく、開口部OP3に重畳する領域では、光源EMr、EMg、EMbの輝度を制御することでカラー画像を表示することができる。
また、図1等を参照して説明した構成例において、図8乃至図15を参照して説明したそれぞれの構成例のように導光板LGの開口部OP1内に光源EMを設けることで、開口部OP1に重畳する領域を照明することができ、領域A2に画像を表示することができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態によれば、照明光の輝度の不均一性を緩和することが可能な照明装置、及び、それを組み込んだ電子機器を提供することができる。
【0069】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
IL…照明装置 1A…カメラ 1B…センサ LG…導光板 EM…光源 OP…開口部 PNL…液晶パネル ST…散乱制御素子 TS…波長変換素子 F1、F2…配線基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15