(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20220816BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G08G1/09 Q
G08G1/09 H
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2018192524
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2018037332
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 栄一
(72)【発明者】
【氏名】青島 武伸
(72)【発明者】
【氏名】久原 俊介
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005386(JP,A)
【文献】特開2016-143137(JP,A)
【文献】特開2004-245610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両に搭載される情報処理装置であって、
前記第1車両に対する第2車両の
所定時間後の対向を検出する検出部と、
前記第1車両と前記第2車両との
前記所定時間後の対向場所が、車両がすれ違うことができる区間
である離合可能区間内にあるかを判定する判定部と、
車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向の手前側の区間である第1区間
内の前記第1車両から
、前記第1車両の進行方向に向かって前記
第1区間が終了する地点までの第1距離を算出する算出部と、
前記所定時間後の前記対向場所が前記
離合可能区間内にないと判定された場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向
の手前
側の区間である第2区間
内の前記第2車両から
、前記第2車両の進行方向に向かって前記
第2区間が終了する地点までの第2距離を、前記第2車両から受信する通信部と、
前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は
停止させるための
制御情報を前記第1車両の走行を制御するための走行制御情報
として生成する生成部と、
前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記検出部はさらに、前記第1車両に対する前記第2車両の現時点の対向を検出し、
前記判定部はさらに、前記第1車両と前記第2車両との前記現時点の前記対向場所が前記離合可能区間内にあるかを判定し、
前記算出部はさらに、前記第1区間の長さである第1区間長を算出し、
前記通信部はさらに、
前記現時点の前記対向場所が前記
離合可能区間内にないと判定された場合、前記第1区間長を前記第2車両に送信し、
前記第2区間の長さである第2区間長を前記第2車両から受信し、
前記生成部はさらに、前記第1区間長と前記第2区間長とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための
制御情報を前記走行制御情報
として生成する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
少なくとも前記第2車両への情報の提示を制御する提示制御部をさらに備え、
前記提示制御部は、前記通信部が前記第2車両と通信できない場合、前記走行制御情報に対応する情報を提示装置に提示させる、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
第1車両に対する第2車両の
所定時間後の対向を検出し、
前記第1車両と前記第2車両との
前記所定時間後の対向場所が、車両がすれ違うことができる区間
である離合可能区間内にあるかを判定し、
車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向の手前側の区間である第1区間内の前記第1車両から、前記第1車両の進行方向に向かって前記第1区間が終了する地点までの第1距離を算出し、
前記所定時間後の前記対向場所が前記
離合可能区間内にない
と判定された場合
、前記第1距離を前記第2車両に
送信し
、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向
の手前
側の区間である第2区間
内の前記第2車両から
、前記第2車両の進行方向に向かって前記
第2区間が終了する地点までの第2距離を、前記第2車両から
受信し、
前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は
停止させるための
制御情報を前記第1車両の走行を制御するための走行制御情報
として生成し、
前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する
ことをコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行を支援する技術が検討されている。例えば、特許文献1は、片側交互通行区間を通過する車両の走行を支援する走行支援装置を開示している。この走行支援装置では、車両に搭載された対峙車両検知部は、片側交互通行区間に上流側進入口及び下流側進入口から進入する車両の対峙状態を検出する。車両とは別の移動信号装置に搭載された対峙調停部は、片側相互通行区間において2つの車両の対峙状態が検出された場合に、当該2つの車両に対する対峙調停を行う。具体的には、片側相互通行区間に遅く進入した又は信号の規則を無視して進入した車両を後退させるように、対峙調停が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の走行支援装置における対峙調停では、対峙状態を解消するまでに要する時間が長くなる又は車両の移動距離が大きくなることがあり、効率的とはいえない場合があった。
【0005】
本開示は、車両の対峙状態の解消を効率的にする情報処理装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、第1車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1車両に対する第2車両の所定時間後の対向を検出する検出部と、前記第1車両と前記第2車両との前記所定時間後の対向場所が、車両がすれ違うことができる区間である離合可能区間内にあるかを判定する判定部と、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向の手前側の区間である第1区間内の前記第1車両から、前記第1車両の進行方向に向かって前記第1区間が終了する地点までの第1距離を算出する算出部と、前記所定時間後の前記対向場所が前記離合可能区間内にないと判定された場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向の手前側の区間である第2区間内の前記第2車両から、前記第2車両の進行方向に向かって前記第2区間が終了する地点までの第2距離を、前記第2車両から受信する通信部と、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための制御情報を前記第1車両の走行を制御するための走行制御情報として生成する生成部と、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、第1車両に対する第2車両の所定時間後の対向を検出し、前記第1車両と前記第2車両との前記所定時間後の対向場所が、車両がすれ違うことができる区間である離合可能区間内にあるかを判定し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向の手前側の区間である第1区間内の前記第1車両から、前記第1車両の進行方向に向かって前記第1区間が終了する地点までの第1距離を算出し、前記所定時間後の前記対向場所が前記離合可能区間内にないと判定された場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向の手前側の区間である第2区間内の前記第2車両から、前記第2車両の進行方向に向かって前記第2区間が終了する地点までの第2距離を、前記第2車両から受信し、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための制御情報を前記第1車両の走行を制御するための走行制御情報として生成し、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力することをコンピュータに実行させる。
【0010】
なお、上記の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読取可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の情報処理装置等によれば、車両の対峙状態の解消を効率的にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態1に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態1に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態2に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態2に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態2に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態2に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る後続車両の情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、実施の形態3に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9B】
図9Bは、実施の形態3に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、実施の形態3に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
【
図10B】
図10Bは、実施の形態3に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図11】
図11は、実施の形態4に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図12A】
図12Aは、実施の形態4に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12B】
図12Bは、実施の形態4に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13A】
図13Aは、実施の形態4に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
【
図13B】
図13Bは、実施の形態4に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図14】
図14は、実施の形態4に係る後続車両の情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態5に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、実施の形態5に係る情報処理装置500の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17A】
図17Aは、実施の形態5に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
【
図17B】
図17Bは、実施の形態5に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図18】
図18は、実施の形態5に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】
図19は、実施の形態6に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図20A】
図20Aは、実施の形態6に係る車両が対峙する前の状態の一例を示す概略図である。
【
図20B】
図20Bは、実施の形態6に係る対峙を防ぐための車両の動作の一例を示す概略図である。
【
図21】
図21は、実施の形態7に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図23A】
図23Aは、実施の形態7に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図23B】
図23Bは、実施の形態7に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図23C】
図23Cは、実施の形態7に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図23D】
図23Dは、実施の形態7に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、前部提示装置及び後部提示装置の表示例を示す図である。
【
図25】
図25は、他車両の端末装置への表示例を示す図である。
【
図26】
図26は、変形例1に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図27】
図27は、変形例1に係る入出力装置への表示例を示す図である。
【
図28】
図28は、変形例1に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図29】
図29は、変形例2に係る発信機の一例を示す概略図である。
【
図30】
図30は、変形例2に係る情報処理装置を備える車両の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図31】
図31は、変形例2に係る情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
近年、道路を走行する自動車等の車両の運転を自動化する技術が検討されている。本発明者らは、上記のような車両、つまり自律走行車について、離合困難な狭隘道路において、対峙する車両を離合させる技術を検討した。例えば、「背景技術」の欄で挙げた特許文献1の技術は、離合困難な区間である片側相互通行区間における対峙状態の2つ車両に対して、当該区間に遅く進入した又は当該区間の進入口の信号の規則を無視して進入した車両を後退させるように、対峙調停する。このような対峙調停では、車両から片側相互通行区間の進入口までの距離が大きい方の車両が、後退する指示を受ける場合がある。この場合、車両の対峙状態が解消され離合可能な状態になるまでの間において、車両の後退距離が大きくなり、必要な時間も長くなる。また、特許文献1では、対峙調停部は、車両とは別の移動信号装置に搭載される。しかしながら、対峙を調停する装置を車両が対峙し得る全ての場所に配置することは難しい。
【0014】
このため、本発明者らは、車両に搭載された装置が、車々間通信を介して、効率的に対峙を解消するための技術を、下記のように創案した。
【0015】
例えば、本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、第1車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1車両に対する第2車両の対向を検出する検出部と、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定する判定部と、前記第1区間から前記対向場所までの第1距離を算出する算出部と、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間から前記対向場所までの第2距離を、前記第2車両から受信する通信部と、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する生成部と、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、を備える。
【0016】
上記態様によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両の対向状態が発生した(すなわち対峙状態が発生した)場合、2つの車両における車両がすれ違うことができる区間と対向場所との距離に応じて、第1車両の走行が制御される。このように、従来技術と異なり、実際の移動距離に応じて対峙状態の車両それぞれの前進又は後退が決定される。これにより、車両の対峙状態を解消するために車両が移動する距離を適正化できる。よって、車両の対峙状態の解消を効率的にすることが可能になる。また、対峙状態を解消するための制御も簡易である。さらに、対峙状態の解消は、車々間通信を介して行われるが、対峙状態の発生時、2つの車両が車々間通信エリア内に存在するため、スムーズな対峙状態の解消が可能である。
【0017】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記第1車両の後続車両から取得される情報を用いて前記第1車両の後続車両の数を算出し、前記通信部はさらに、前記第1車両の後続車両と通信し前記第1車両の後続車両から情報を取得し、前記第1車両の後続車両の数を前記第2車両へ送信し、前記第2車両の後続車両の数を前記第2車両から受信し、前記生成部はさらに、前記第1距離、前記第1車両の後続車両の数、前記第2距離及び前記第2車両の後続車両の数に基づく比較をし、比較結果に応じて前記走行制御情報を生成してもよい。
【0018】
上記態様によると、車両の移動距離だけでなく、移動させられる車両の数に応じて、第1車両の走行が制御される。これにより、車両の対峙状態を解消するために移動する車両の数を適正化できる。言い換えると、後続車両の状況を考慮した対峙状態の解消が可能になる。また、対峙状態の解消のために考慮する要素が増えるため、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0019】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置において、前記生成部は、前記第1距離、前記第1車両の後続車両の数、前記第2距離及び前記第2車両の後続車両の数に基づく比較として、前記第1距離及び前記第1車両の後続車両の数の積と前記第2距離及び前記第2車両の後続車両の数の積とを比較し、比較結果に応じて前記走行制御情報を生成してもよい。
【0020】
上記態様によると、移動させられる車両群の疑似的な移動量に応じて、第1車両の走行が制御される。これにより、車両の対峙状態を解消するための車両の移動量をある程度適正化できる。言い換えると、対峙状態の解消のための移動距離と後続車両の状況とを考慮した対峙状態の解消が可能になる。また、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0021】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記通信部により前記第1車両の後続車両から取得される情報を用いて前記第1車両の後続車両から前記第1区間までの第3距離を算出し、前記通信部はさらに、前記第3距離を前記第2車両へ送信し、前記第2車両の後続車両から前記第2区間までの第4距離を前記第2車両から受信し、前記生成部はさらに、前記第1距離及び前記第3距離の和と前記第2距離及び前記第4距離の和とを比較し、比較結果に応じて前記走行制御情報を生成してもよい。
【0022】
上記態様によると、移動させられる車両群の正確な移動量に応じて、第1車両の走行が制御される。これにより、車両の対峙状態を解消するための車両の移動量をより適正化できる。言い換えると、距離の和を用いることによって、後続車両の車間距離が不均一であっても、効率的な対峙状態の解消が可能である。また、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0023】
また、本開示の第二の態様に係る情報処理装置は、第1車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1車両に対する第2車両の対向を検出する検出部と、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定する判定部と、前記第1車両の後続車両から取得される情報を用いて前記第1車両の後続車両の数を算出する算出部と、前記第2車両及び前記後続車両と通信する通信部であって、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第1車両の後続車両と通信し前記第1車両の後続車両から情報を取得し、前記第1車両の後続車両の数を前記第2車両に送信し、前記第2車両の後続車両の数を前記第2車両から受信する通信部と、前記第1車両の後続車両の数と前記第2車両の後続車両の数とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する生成部と、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、を備える。
【0024】
上記態様によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両の対向状態が発生した場合、2つの車両の後続車両の数量に応じて、第1車両の走行が制御される。このように、従来技術と異なり、実際に移動させられることになる車両の数に応じて対峙状態の車両それぞれの前進又は後退が決定される。これにより、車両の対峙状態を解消するために移動させられる車両の数を適正化できる。よって、車両の対峙状態の解消を効率的にすることが可能になる。
【0025】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記第1区間から前記対向場所までの第1距離を算出し、前記通信部はさらに、前記比較結果が前記第1車両の後続車両の数と前記第2車両の後続車両の数とが同じであることを示す場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間から前記対向場所までの第2距離を、前記第2車両から受信し、前記生成部は、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成してもよい。
【0026】
上記態様によると、移動させられる車両の数が同数である場合であっても、第1車両の前進又は後退を決定することができる。
【0027】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記第1区間の長さである第1区間長を算出し、前記通信部はさらに、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第1区間長を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の長さである第2区間長を前記第2車両から受信し、前記生成部はさらに、前記第1区間長と前記第2区間長とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成してもよい。
【0028】
上記態様によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両の対向状態が発生した場合、車両がすれ違うことができる区間の長さに応じて、第1車両の走行が制御される。これにより、後続車両が存在する場合に、車両がすれ違うことができる区間が長いほど、後続車両を含む車両群が全てすれ違うことができる可能性を高くすることができる。
【0029】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記第1区間から前記対向場所までの第1距離を算出し、前記通信部はさらに、前記比較結果が前記第1区間長と前記第2区間長とが同じであることを示す場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、前記第2区間から前記対向場所までの第2距離を前記第2車両から受信し、前記生成部は、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成してもよい。
【0030】
上記態様によると、車両がすれ違うことができる区間の長さが同一である場合であっても、第1車両の前進又は後退を決定することができる。また、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0031】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置において、前記検出部は、前記第1車両に対する前記第2車両の所定時間後の対向を検出し、前記対向場所は、前記所定時間後の対向場所を含み、前記算出部はさらに、前記第1車両から前記第1区間の終了地点までの第5距離を算出し、前記通信部はさらに、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第5距離を前記第2車両に送信し、前記第2車両から、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の終了地点までの第6距離を、前記第2車両から受信し、前記生成部はさらに、前記第5距離と前記第6距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための走行制御情報を生成してもよい。
【0032】
上記態様によると、対峙状態の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0033】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置において、前記算出部はさらに、前記第1区間から前記対向場所までの第1距離を算出し、前記通信部はさらに、前記比較結果が前記第5距離と前記第6距離とが同じであることを示す場合、前記第1距離を前記第2車両に送信し、前記第2区間から前記対向場所までの第2距離を前記第2車両から受信し、前記生成部は、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための走行制御情報を生成してもよい。
【0034】
上記態様によると、車両の対峙状態が発生したとしても効率的に対峙状態を解消することができる。
【0035】
本開示の第一及び第二の態様に係る情報処理装置は、少なくとも前記第2車両への情報の提示を制御する提示制御部をさらに備え、前記提示制御部は、前記通信部が前記第2車両と通信できない場合、前記走行制御情報に対応する情報を提示装置に提示させてもよい。
【0036】
上記態様によると、車々間通信を確立できない車両に対しても、対峙状態の円滑な解消が可能になる。
【0037】
本開示の第一の態様に係るプログラムは、第1車両に対する第2車両の対向を検出し、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定し、前記対向場所が前記第1区間内にない場合、前記第1区間から前記対向場所までの第1距離を算出し、前記第1距離を前記第2車両に出力し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間から前記対向場所までの第2距離を、前記第2車両から取得し、前記第1距離と前記第2距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成し、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力することをコンピュータに実行させる。上記態様によると、本開示の第一の態様に係る情報処理装置と同様の効果が得られる。
【0038】
本開示の第二の態様に係るプログラムは、第1車両に対する第2車両の対向を検出し、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定し、前記対向場所が前記第1区間内にない場合、前記第1車両の後続車両から前記第1車両の後続車両の情報を取得し、前記情報を用いて前記第1車両の後続車両の数を算出し、前記第1車両の後続車両の数を前記第2車両に出力し、前記第2車両の後続車両の数を前記第2車両から取得し、前記第1車両の後続車両の数と前記第2車両の後続車両の数とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成し、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力することをコンピュータに実行させる。上記態様によると、本開示の第一の態様に係る情報処理装置と同様の効果が得られる。
【0039】
本開示の第三の態様に係る情報処理装置は、第1車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1車両に対する第2車両の対向を検出する検出部と、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定する判定部と、前記第1区間の長さである第1区間長を算出する算出部と、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第1区間長を前記第2車両に送信し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上において前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の長さである第2区間長を前記第2車両から受信する通信部と、前記第1区間長と前記第2区間長とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する生成部と、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、を備える。
【0040】
上記態様によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両の対向状態が発生した場合、車両がすれ違うことができる区間の長さに応じて、第1車両の走行が制御される。これにより、後続車両が存在する場合に、車両がすれ違うことができる区間が長い方の車両側が後退することができる。したがって、後続車両を含む車両群が全てすれ違うことができる可能性を高くすることができる。
【0041】
本開示の第四の態様に係る情報処理装置は、第1車両に搭載される情報処理装置であって、前記第1車両に対する第2車両の対向を検出する検出部と、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定する判定部と、前記第1車両から前記第1区間の終了地点までの第5距離を算出する算出部と、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第5距離を前記第2車両に送信し、前記第2車両から、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の終了地点までの第6距離を、前記第2車両から受信する通信部と、前記第5距離と前記第6距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための走行制御情報を生成する生成部と、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力する出力部と、を備え、前記検出部は、前記第1車両に対する前記第2車両の所定時間後の対向を検出し、前記対向場所は、前記所定時間後の対向場所を含む。
【0042】
上記態様によると、車両の対峙状態の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0043】
本開示の第三の態様に係るプログラムは、第1車両に対する第2車両の対向を検出し、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定し、前記対向場所が前記第1区間内にない場合、前記第1区間の長さである第1区間長を算出し、前記第1区間長を前記第2車両に出力し、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の長さである第2区間長を、前記第2車両から取得し、前記第1区間長と前記第2区間長とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は後退させるための走行制御情報を生成し、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力することをコンピュータに実行させる。上記態様によると、本開示の第三の態様に係る情報処理装置と同様の効果が得られる。
【0044】
本開示の第四の態様に係るプログラムは、第1車両に対する第2車両の対向を検出し、前記第1車両と前記第2車両との対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって前記第1車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第1車両の進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定し、前記対向場所が前記第1区間内にないと判定された場合、前記第1車両から前記第1区間の終了地点までの第5距離を算出し、前記第5距離を前記第2車両に出力し、前記第2車両から、車両がすれ違うことができる区間であって前記第2車両の走行経路上における前記対向場所に対して前記第2車両の進行方向手前の区間である第2区間の終了地点までの第6距離を、前記第2車両から取得し、前記第5距離と前記第6距離とを比較し、比較結果に応じて前記第1車両を前進又は停止させるための走行制御情報を生成し、前記走行制御情報を前記第1車両の走行制御部へ出力し、前記第1車両に対する前記第2車両の対向の検出では、前記第1車両に対する前記第2車両の所定時間後の対向を検出し、前記対向場所は、前記所定時間後の対向場所を含むことをコンピュータに実行させる。
【0045】
上記態様によると、本開示の第四の態様に係る情報処理装置と同様の効果が得られる。
【0046】
なお、上記の包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読取可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM等の不揮発性の記録媒体を含む。また、装置は、1つ以上の装置で構成されてもよい。装置が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されもよく、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されてもよい。本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0047】
以下、本開示に係る情報処理装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0048】
[実施の形態1]
実施の形態1に係る情報処理装置100を説明する。以下の実施の形態では、情報処理装置は、運転が自動化された自律走行可能な車両に搭載され、当該車両の走行を制御する走行制御装置に、走行制御情報を出力するとして、説明する。情報処理装置は、ECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)等の装置を単独で構成してもよく、走行制御装置を構成するECU等の装置に、制御回路等として組み込まれてもよい。
【0049】
[1-1.情報処理装置の構成]
実施の形態1に係る情報処理装置100及びその周辺の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係る情報処理装置100を備える車両Aの機能的な構成の一例のブロック図を示す。車両Aは、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地図データベース(以下、「地
図DB」とも呼ぶ)3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置100とを備える。
【0050】
車々間通信装置1は、無線で、車両Aの他車両と通信する。車々間通信装置1は、上記通信のためのインタフェースであり、例えば無線通信回路である。車々間通信装置1は、他車両と直接的に通信してもよく、無線網を介して通信してもよい。車々間通信装置1は、無線情報を複数の車両に同報する、つまり、ブロードバンド通信を行う。無線網は、いかなる無線網であってもよいが、無線網の例は、無線LANである。例えば、無線網は、通信ライセンスが不要な無線LAN(Local Area Network)であってもよく、例えば、国際標準規格であるIEEE802.11系の規格を使用するWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)であってもよい。無線網は、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信であってもよい。
【0051】
対峙情報取得装置2は、車両Aと対峙する車両を検出するための情報である対峙情報を取得する。なお、ここでは、「対峙」とは、車両Aと対向する車両とが離合できない、つまり、すれ違うことができない状態のことである。対峙情報の例は、車両Aに搭載され且つ進行方向の画像を取得する図示しないカメラの画像等であり、他車両から取得されてもよい。対峙情報が車両Aのカメラから取得される場合、対峙情報取得装置2は、車両Aのカメラで構成されてもよい。対峙情報が他車両から取得される場合、対峙情報取得装置2は、車々間通信装置1で構成されてもよい。他車両から取得される対峙情報の例は、他車両の進行方向を写す画像、対峙の有無を報知する情報等である。対峙情報取得装置2は、車両Aの走行中又は停止中に、対峙情報を、所定の時間間隔で取得する。
【0052】
地
図DB3は、地図情報を格納する。地図の例は、道路地図等の地球表面の状況を示す地図である。地
図DB3は、種々の情報の格納及び取り出しを可能にする。地
図DB3は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、ハードディスクドライブ、又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって実現される。地
図DB3は、車両Aに搭載されず、車両Aから離れた位置にある図示しないサーバ装置に備えられてもよい。この場合。車両Aは、図示しない通信装置を介して、サーバ装置と無線通信し、必要な地図情報を取得してもよい。無線通信は、インターネット等の通信網を介した無線LANであってもよい。
【0053】
道路情報取得装置4は、車両Aが通行する道路の情報、具体的には当該道路の幅に関する情報を取得する。道路の幅の情報は、車両Aに搭載され且つ周囲の画像を取得する図示しないカメラ(例えば、イメージセンサ)の画像、車両Aの周囲の物体の方向及び距離を検出するカメラ以外の他のセンサの検知信号、車両Aが通行する道路の地図情報等である。対峙情報が車両Aのカメラの画像である場合、道路情報取得装置4は、車両Aのカメラで構成されてもよい。対峙情報が上記他のセンサの検知信号である場合、道路情報取得装置4は当該他のセンサで構成されてもよい。センサの例は、レーザ光センサLIDAR(Light Detection and Ranging)、磁気センサ及び超音波センサ等である。レーザ光センサLIDARは、パルス状に発光するレーザ照射に対する散乱光を測定し、周囲の物体の方向及び距離を検出することによって、道路の路肩及び道路上の障害物を検出する。磁気センサは、道路に埋め込まれた磁石の磁気を検知することによって、道路を検出する。超音波センサは、車両Aから周囲の物体の方向及び距離を超音波で検出することによって、道路の路肩及び道路上の障害物等を検出する。対峙情報が地図情報である場合、道路情報取得装置4は地
図DB3で構成されてもよい。道路情報取得装置4は、車両Aの走行中及び停止中、道路情報を、所定の時間間隔で取得する。
【0054】
自車位置計測装置5は、車両Aの地球上での位置を検出する、又は、上記位置に関する情報を計測する。自車位置計測装置5は、車両Aの進行方向を検出してもよい。自車位置計測装置5は、車両Aに搭載される図示しないGPS(Global Positioning System)受信機、慣性計測装置等で構成される。GPS受信機は、人工衛星から取得する信号に基づき、地球上での車両Aの位置及び進行方向を検出することができる。GPS受信機は、例えば、通信回路で構成され得る。慣性計測装置は、加速度センサ及び角速度センサ(「ジャイロセンサ」とも呼ばれる)を備え、車両Aの加速度及び角速度を計測する。慣性計測装置によって計測される加速度及び角速度に基づき、車両Aの進行方向及び速度の算出が可能であり、車両Aの進行方向及び速度に基づき、車両Aの位置の算出が可能である。自車位置計測装置5は、車両Aの走行中又は停止中に、車両Aの位置を、所定の時間間隔で取得する。
【0055】
自律走行制御装置6は、車両Aの自動運転を制御する。自律走行制御装置6は、地
図DB3の地図情報を用いて、目的地までの走行経路に従って、車両Aを自動で走行させる。自律走行制御装置6は、ECU等のコンピュータで構成される。
【0056】
また、情報処理装置100は、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、離合可能地点取得部106と、判定部107と、後退距離取得部108と、生成部109と、出力部110と、記憶部111とを含む。
【0057】
管理部101は、通信部102、対向車検出部103、道幅取得部104、自車位置取得部105、離合可能地点取得部106、判定部107、後退距離取得部108、生成部109及び出力部110の動作を関連付けてこれら制御しつつ、情報処理装置100全体の動作を制御する。また、管理部101は、車両Aと他車両との対峙が検出された場合、車両Aに関する情報を他車両に出力し、他車両の情報を他車両に要求する。また、地
図DB3がサーバ装置に備えられる場合、管理部101は、サーバ装置に地
図DB3の地図情報を要求する。
【0058】
通信部102は、情報処理装置100の構成要素と車両Aの外部との通信を仲介する。通信部102は、情報処理装置100の構成要素から出力される情報及び指令を、車々間通信装置1を用いて、他車両に送信する。また、通信部102は、他車両から車両Aに送られる情報及び指令を、車々間通信装置1を用いて取得する。
【0059】
対向車検出部103は、車両Aに対向する他車両を検出する。具体的には、対向車検出部103は、対峙情報取得装置2から対峙情報を取得し、対峙情報から車両Aに対向する他車両(つまり、対向車)の有無を検出する。対向車検出部103は、車両Aの走行中又は停止中に、対峙情報を、例えば、所定の時間間隔で取得し、対向車の有無を検出する。対向車検出部103は、取得した対峙情報を記憶部111に記憶させる。なお、対向車検出部103は、対峙情報を用いて、検出された対向車である他車両と車両Aとの距離を検出してもよい。ここで、対向車検出部103は、検出部の一部の一例である。
【0060】
本実施の形態では、対向車検出部103及び判定部107により、車両Aと対向する他車両とが所定の距離内に位置し、互いにすれ違うことができない状態すなわち対峙状態であるかが検出される。具体的には、車両Aが走行中又は停止中に、対向する他車両と所定の距離以内に近づいたときに、車両Aの幅と他車両の幅との合計が、道幅取得部104が取得した道路幅に対して所定の余裕幅未満であった場合に、対峙状態であると判定される。
【0061】
対峙情報が他車両から取得される場合、対向車検出部103は、取得される対峙情報を用いて、車両Aの対向車の有無を判定してもよい。対向車検出部103は、検出結果を、判定部107に出力する。なお、取得される対峙情報が対峙の有無を報知する情報である場合は、判定部107のみで対峙状態の検出が行われてもよい。
【0062】
道幅取得部104は、道路情報取得装置4から道路情報を取得し、道路情報から車両Aが走行する道路の幅を検出する。道幅取得部104は、車両Aの走行中又は停止中に、道路情報を、所定の時間間隔で取得し、道路の幅を検出する。車両Aが走行する道路は、車両Aが既に通過した道路であるが、車両Aがこれから通過する予定の道路、つまり、車両Aの進行方向前方の道路も含んでもよい。
【0063】
道路情報が車両Aのカメラの画像である場合、道幅取得部104は、画像内において、道路の領域を抽出し、画像内における道路の領域から道路の幅を算出してもよい。道路情報がカメラ以外のセンサの検知信号である場合、道幅取得部104は、検知信号から車両Aに対する道路の位置及び道路の形状等を特定することによって、道路の幅を検出してもよい。道路情報が地
図DB3の地図情報である場合、道幅取得部104は、車両Aの位置と地図情報とから、道路の幅を検出してもよい。道幅取得部104は、上記のような様々な道路情報を組み合わせて用いることによって、道路の幅を検出してもよい。道幅取得部104は、経時的に検出する道路幅を、道路幅を検出したときの車両Aの位置、地図上での位置又は時刻と対応付けて、記憶部111に格納する。道幅取得部104は、経時的に検出する道路幅を離合可能地点取得部106に出力してもよい。なお、道幅取得部104は、車両Aの位置を、後述する自車位置取得部105から取得してもよく、自車位置計測装置5から取得してもよい。道幅取得部104は、道路幅に対応する地図上の位置を、車両Aの位置及び向き等から特定してもよい。
【0064】
自車位置取得部105は、自車位置計測装置5から、自車位置計測装置5によって計測された車両Aの位置を取得する。自車位置取得部105は、車両Aの走行中又は停止中に、車両Aの位置を、所定の時間間隔で取得する。車両Aの位置の例は、地図上の座標、地図上の識別情報等である。識別情報は、例えば、地図上の各地点に設定されたID等の地図上の位置の特定を可能にする情報である。自車位置取得部105は、車両Aの位置を、当該位置に車両Aが存在するときの時刻と対応付けて、記憶部111に格納してもよく、道幅取得部104に出力してもよく、離合可能地点取得部106に出力してもよい。
【0065】
離合可能地点取得部106は、道幅取得部104又は記憶部111から取得する道路幅の情報を用いて、車両Aが走行した道路及び/又は車両Aがこれから走行する道路、つまり、車両Aの走行経路の道路が、車両A及び他車両が離合可能であるか否かを判定する。離合可能地点取得部106は、車両Aの走行中又は停止中に、道路幅の情報を、所定の時間間隔で取得する。離合可能地点取得部106は、走行経路の道路幅が予め設定された離合可能な幅未満である場合、離合不可能であり、走行経路の道路幅が予め設定された離合可能な幅以上である場合、離合可能であると判定する。また、離合可能地点取得部106は、地
図DB3の地図情報を用いて、車両Aの走行経路の道路幅が離合可能な幅であるか否かを判定してもよい。地
図DB3の地図情報において、各地点における離合の可否の情報が含まれていてもよく、離合可能地点取得部106が、地図情報の道路幅から離合の可否を判定してもよい。離合可能地点取得部106は、判定結果に基づき、離合可能な状態から離合不可能な状態に変化する地点である離合可能区間の終点の位置と、離合不可能な状態から離合可能な状態に変化する地点である離合可能区間の始点の位置とを検出し、記憶部111に格納する。離合可能区間は、その始点から終点までの間で対向する車両が離合可能である区間である。始点及び終点の位置の例は、地図上の座標、地図上の識別情報等である。
【0066】
判定部107は、車両Aが他車両と対向している場合、車両Aと他車両とが対峙しているかすなわち車両Aと他車両とが対峙状態であるかを判定する。具体的には、判定部107は、対向車検出部103により車両Aの対向車が存在すると検出された場合、車両Aの位置が、車両がすれ違うことができる離合可能区間内にあるか否かを判定する。上記離合可能区間は、車両Aの走行経路上において、対向場所に対して車両Aの進行方向手前の離合可能区間である。つまり、上記離合可能区間は、車両Aがこれまで走行した経路上において、車両Aの現在位置から、当該現在位置に最も近い直近の離合可能区間である。また、対向場所は、互いに対向する車両Aと他車両との間の場所であってもよく、車両Aの位置であってもよい。判定部107は、対向車検出部103により他車両との対向が検出されると、記憶部111から車両Aの対峙情報を取得し、対向車検出部103から車両Aから他車両までの距離を取得し、自車位置取得部105から車両Aの位置を取得し、記憶部111から、車両Aの位置に最も近い離合可能区間の始点位置及び終点位置を取得する。判定部107は、取得した距離と車両Aの位置から対向場所を特定する。判定部107は、特定した対向場所が上記離合可能区間の始点位置と終点位置の間にあるか否かを判定する。ここで、判定部107は、検出部の一部の一例である。
【0067】
後退距離取得部108は、対向場所から離合可能区間の終点までの後退距離を取得する。本実施の形態では、後退距離は、物理的な距離である。後退距離取得部108は、車両Aの走行中又は停止中に、所定の時間間隔で後退距離を取得してもよい。また、後退距離取得部108は、車両Aの他車両から、通信部102及び車々間通信装置1を介して、当該他車両の後退距離を取得する。なお、後退距離は、後退に要する時間等の時間的な距離であってもよい。ここで、後退距離取得部108は、算出部の一例である。
【0068】
後退距離取得部108は、車両Aが走行した経路上において、対向場所から、当該現在位置に最も近い直近の離合可能区間の終点までの道程距離を取得する。例えば、道程距離は、車両Aが、車両Aの現在位置から直近の離合可能区間の終点まで後退する道程距離である。後退距離取得部108は、離合可能地点取得部106又は記憶部111から、直近の離合可能区間の終点の位置を取得し、当該終点の位置から車両Aの現在位置までの道程距離を算出する。例えば、後退距離取得部108は、車両Aのオドメータ(「走行距離計」とも呼ばれる)から、直近の離合可能区間の終点から車両Aの現在位置までの計測距離を取得し、当該計測距離を道程距離に決定してもよい。又は、後退距離取得部108は、地
図DE3から地図情報を取得し、地図上において、直近の離合可能区間の終点から車両Aの現在位置までの道程距離を算出してもよい。後退距離取得部108は、車両A及び他車両の後退距離を生成部109に出力する。なお、他車両の後退距離は、当該車両が走行した経路上において、当該車両の現在位置から、現在位置に最も近い直近の離合可能区間の終点までの道程距離である。
【0069】
生成部109は、後退距離取得部108から車両A及び他車両の後退距離を取得する。そして、生成部109は、車両Aの後退距離と他車両の後退距離とを比較し、比較結果に応じて、車両Aを前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部109は、車両Aの後退距離がより小さい場合、車両Aを後退させる走行制御情報を生成し、そうでない場合、車両Aを前進させる走行制御情報を生成する。生成部109は、走行制御情報を出力部110に出力する。
【0070】
出力部110は、生成部109から取得した走行制御情報を自律走行制御装置6に出力する。ここで、自律走行制御装置6は、走行制御部の一例である。
【0071】
ここで、情報処理装置100における管理部101、通信部102、対向車検出部103、道幅取得部104、自車位置取得部105、離合可能地点取得部106、判定部107、後退距離取得部108、生成部109及び出力部110等の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、並びに、RAM及びROM等のメモリなどからなるコンピュータシステム(図示せず)により構成されてもよい。各構成要素の一部又は全部の機能は、CPU又はDSPがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって達成されてもよい。また、各構成要素の一部又は全部の機能は、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路によって達成されてもよい。各構成要素の一部又は全部の機能は、上記のソフトウェア機能とハードウェア回路との組み合わせによって構成されてもよい。プログラムは、アプリケーションとして、インターネット等の通信網を介した通信、モバイル通信規格による通信、その他の無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は放送等で提供されるものであってもよい。
【0072】
記憶部111は、種々の情報の格納及び取り出しを可能にする。記憶部111及び地
図DB3は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、ハードディスクドライブ、又はSSD等の記憶装置によって実現される。
【0073】
[1-2.情報処理装置の動作]
実施の形態1に係る情報処理装置100の動作を、
図2を参照しつつ説明する。
図2は、実施の形態1に係る情報処理装置100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。また、以下において、車両Aと対向する他車両も、自律走行可能であり、車両Aと同様の情報処理装置を搭載するとして、
図3A及び
図3Bの例を用いつつ説明する。なお、
図3Aは、実施の形態1に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
図3Bは、実施の形態1に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0074】
図2に示すように、ステップS101において、車両Aの自律走行制御装置6は、車両Aの走行を制御し、車両Aの運転者等のユーザによって入力された目的地までの走行経路に従って、車両Aを自動で前進走行させる、つまり、車両Aを自律走行させる。走行経路は、自律走行制御装置6によって決定されてもよく、車両Aに搭載される図示しないナビゲーション装置によって決定されてもよい。
【0075】
次いで、ステップS102において、自律走行制御装置6は、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合(ステップS102でYes)、自律走行制御装置6は、ステップS103に進み、車両Aの自律走行を終了する。目的地に到着していない場合(ステップS102でNo)、ステップS104に進む。
【0076】
次いで、ステップS104において、情報処理装置100の道幅取得部104は、車両Aの道路情報取得装置4から取得する道路情報を使用して、車両Aが走行する道路の幅を検出する。なお、道幅取得部104は、道路情報を、道路情報取得装置4から所定の時間間隔で取得する。さらに、道幅取得部104は、自車位置取得部105から車両Aの位置を取得し、道路幅を、道路幅検出時の車両Aの位置と対応付けて記憶部111に格納する。道幅取得部104は、道路幅及び車両Aの位置を離合可能地点取得部106に出力してもよい。なお、自車位置取得部105は、車両Aの位置を、自車位置計測装置5から所定の時間間隔で取得する。
【0077】
次いで、ステップS105において、情報処理装置100の離合可能地点取得部106は、道幅取得部104又は記憶部111から取得される道路幅が、車両Aが他車両とすれ違うことができる、つまり離合可能な幅であるか否かを判定する。離合可能地点取得部106は、離合可能な幅である場合(ステップS105でYes)、ステップS106に進み、離合可能な幅でない場合(ステップS105でNo)、ステップS107に進む。
【0078】
ステップS106において、離合可能地点取得部106は、判定対象の道路幅に対応する車両Aの位置を、離合可能地点であると決定する。さらに、離合可能地点取得部106は、決定結果を付与することで当該道路幅及び車両Aの位置の情報を更新し、記憶部111に格納する。また、離合可能地点取得部106は、ステップS105での判定結果に基づき、離合不可能な状態から離合可能な状態に変化する地点を始点とし、離合可能な状態から離合不可能な状態に変化する地点を終点とする離合可能区間を決定し、記憶部111に格納する。
【0079】
次いで、ステップS107において、情報処理装置100の対向車検出部103は、対峙情報取得装置2から取得される対峙情報を用いて、車両Aが、他車両と対向しているか否かを判定する。つまり、対向車検出部103は、車両Aが他車両と対向状態にあるか否かを判定する。このとき、対向車検出部103は、対峙情報から、車両Aと他車両との対向の有無を検出し、検出結果を判定部107に出力する。
【0080】
さらに、判定部107は、車両Aと他車両とが対向していると検出された場合、車両Aと他車両とが離合可能であるか否かを判定する。具体的には、判定部107は、自車位置取得部105から車両Aの位置を取得し、且つ記憶部111の離合可能区間の情報を参照することによって、車両A及び他車両の対向場所が、車両Aの走行経路上において、当該対向場所に対して車両Aの進行方向手前の離合可能区間内にあるか否かを判定する。なお、本実施の形態では、判定部107は、車両Aの位置を対向場所として用いるが、上述したようにこれに限定されない。判定部107は、対向場所が離合可能区間に含まれない場合、車両Aと他車両とが対峙状態であると判定する。また、判定部107は、対向場所が離合可能区間に含まれる場合、車両Aと他車両とが離合可能である状態である、つまり、対峙状態でないと判定する。また、判定部107は、他車両との対向がない場合も、対峙状態でないと判定する。判定部107は、対峙状態でない場合(ステップS107でNo)、ステップS101に戻り、対峙状態である場合(ステップS107でYes)、ステップS108に進み、判定結果を後退距離取得部108に出力する。
【0081】
ステップS108において、後退距離取得部108は、記憶部111の離合可能区間の情報を参照することによって、他車両と対峙する車両Aから最も近い離合可能区間を特定する。当該離合可能区間は、車両Aの走行経路上において、対向場所に対して車両Aの進行方向手前に位置する離合可能区間のうちで、車両Aから最も近い離合可能区間である。さらに、後退距離取得部108は、特定された離合可能区間の終点位置を検出する。
図3Aの例に示すように、後退距離取得部108は、車両Aに最も近い離合可能区間の終点位置PAを検出する。終点位置PAは、車両Aの進行方向において、車両Aに最も近い離合可能区間が終了する地点である。
【0082】
後退距離取得部108は、他車両である車両Bと対峙している車両Aから離合可能区間の終点位置PAまでの距離DAを、車両Aの後退距離として算出する。距離DAは、車両A及びBの対向場所から終点位置PAまでの距離でもある。つまり、後退距離取得部108は、離合可能区間から対向場所までの距離を、後退距離として算出する。後退距離取得部108は、車両Aの後退距離DAを、通信部102及び車々間通信装置1を介して車両Bに送信する。また、後退距離取得部108は、車両Bから、通信部102及び車々間通信装置1を介して車両Bの後退距離DBを取得する。車両Bの後退距離DBは、車両Aと対峙している車両Bから直近の離合可能区間の終点位置PBまでの距離である。直近の離合可能区間は、車両Bの走行経路上において、車両Aとの対向場所に対して車両Bの進行方向手前に位置する離合可能区間のうちで、車両Bから最も近い離合可能区間である。このような後退距離DBは、車両Bの走行経路上において対向場所に対して車両Bの進行方向手前の離合可能区間から対向場所までの距離である。なお、車両Bの情報処理装置は、車両Bに対する車両Aの対峙状態を検出すると、後退距離DBを車両Aに送信してもよく、車両Aの後退距離取得部108からの車両Bの後退距離の要求に応じて、後退距離DBを車両Aに送信してもよい。このように、後退距離取得部108は、対向車である車両Bと、それぞれの後退距離を送受信する。後退距離取得部108は、車両Aの後退距離DA及び車両Bの後退距離DBを生成部109に出力する。ここで、車両Aの後退距離DAは、第1距離の一例であり、車両Bの後退距離DBは、第2距離の一例である。
【0083】
次いで、ステップS109において、生成部109は、車両Aの後退距離DA及び車両Bの後退距離DBを比較する。生成部109は、後退距離DAが後退距離DBよりも短い場合(ステップS110でYes)、ステップS111に進み、そうでない場合(ステップS110でNo)、ステップS112に進む。
【0084】
ステップS111において、生成部109は、ステップS110の判定結果に基づき、車両Aを後退させるための走行制御情報を生成し、出力部110に出力する。出力部110は、当該走行制御情報を、自律走行制御装置6に出力し、ステップS113に進む。自律走行制御装置6は、走行制御情報に応じて、車両Aを後退させる。なお、生成部109によって生成される走行制御情報は、後退後に車両Aが停止する位置の情報も含む。後退後の車両Aの停止位置は、終点位置PAを含む離合可能区間内の位置である。本実施の形態では、当該離合可能区間内の終点位置PAの近傍であるが、これに限定されない。また、生成部109は、車両Bを前進させるための走行制御情報を含む指令を生成してもよい。当該走行制御情報には、後退する車両Aに対して、前進する車両Bが維持する車間距離Dsの情報が含まれる。生成部109は、生成した指令を、通信部102及び車々間通信装置1を介して車両Bに送信する。これにより、
図3Bの例に示すように、車両Aは後退し、車両Bは、後退する車両Aに対して車間距離Dsを維持しつつ前進する。また、車両Bは、車両Aから指令を取得せず、自己の判断に基づき、ステップS111~S114の処理を行ってもよい。
【0085】
ステップS112において、生成部109は、ステップS110の判定結果に基づき、車両Aを前進させるための走行制御情報を生成し、出力部110に出力する。出力部110は、当該走行制御情報を、自律走行制御装置6に出力し、ステップS101に戻る。上記走行制御情報には、後退する車両Bに対して、前進する車両Aが維持する車間距離Dsの情報が含まれる。自律走行制御装置6は、走行制御情報に応じて、車両Aを前進走行させる。なお、生成部109は、車両Aを前進させるための走行制御情報に加えて、車両Bを後退させるための走行制御情報を含む指令を生成してもよい。生成部109は、生成した指令を、通信部102及び車々間通信装置1を介して車両Bに送信する。これにより、車両Bは、受信された指令に従って後退し、車両Aは、後退する車両Bに対して車間距離Dsを維持しつつ前進する。自律走行制御装置6は、車両Aのカメラの画像、車両Aの前方の物体を検知する図示しない他のセンサ、車両Bから受信する車両Bの位置等から、車両A及びBの車間距離を検出してもよい。また、自律走行制御装置6は、車両Bから、車両A及びBの車間距離Dsの情報を取得してもよい。
【0086】
ステップS113において、情報処理装置100は、車両A及び車両Bの移動によって、車両A及びBの対峙状態が解消されたか否かを判定する。つまり、情報処理装置100は、車両A及びBの離合が完了したか否かを判定する。車両A及びBの対峙状態が解消されたとは、対向場所が終点位置PA以降の離合可能区間内に位置し、又は車両A及びBが対向していないことである。具体的には、ステップS107のように、対向車検出部103は、車両Aに対する車両Bの対向の有無を検出し、判定部107は、離合可能区間に対する対向場所を判定する。
【0087】
対向車検出部103は、離合が完了している場合(ステップS113でYes)、ステップS101に戻り、離合が完了していない場合(ステップS113でNo)、ステップS114に進む。
【0088】
ステップS114において、自律走行制御装置6は、車両Aを停止状態で待機させ、ステップS113に戻る。すなわち、後退した車両は、後退が完了すると、離合が完了するまで待機する。
【0089】
[1-3.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態1に係る情報処理装置100は、当該2つの車両の対峙状態を検出すると、後退方向で車両の直近の離合可能区間から対向場所までの距離がより小さい車両を後退させ、当該距離がより大きい車両を前進させ、離合可能区間において当該2つの車両を離合させる。つまり、情報処理装置100は、当該2つの車両のうちの離合可能区間により近い車両を後退させる。
【0090】
また、実施の形態1に係る情報処理装置100は、例えば、第1車両としての車両Aに搭載される。このような情報処理装置100の検出部としての対向車検出部103及び判定部107は、車両Aに対する第2車両としての車両Bの対向を検出する。判定部107は、車両Aと車両Bとの対向場所が、車両がすれ違うことができる区間であって車両Aの走行経路上における対向場所に対して車両Aの進行方向手前の区間である第1区間内にあるかを判定する。さらに、算出部としての後退距離取得部108は、第1区間から対向場所までの第1距離を算出する。通信部102は、対向場所が第1区間内にないと判定された場合、第1距離を車両Bに送信し、車両がすれ違うことができる区間であって車両Bの走行経路上における対向場所に対して車両Bの進行方向手前の区間である第2区間から対向場所までの第2距離を、車両Bから、受信する。生成部109は、第1距離と第2距離とを比較し、比較結果に応じて車両Aを前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。出力部は、走行制御情報を車両Aの走行制御部へ出力する。
【0091】
上記構成によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両A及びBの対向状態(すなわち対峙状態)が発生した場合、2つの車両A及びBにおける車両がすれ違うことができる区間と対向場所との距離に応じて、車両Aの走行が制御される。このように、従来技術と異なり、実際の移動距離に応じて対峙状態の車両A及びBそれぞれの前進又は後退が決定される。これにより、対峙状態を解消するために車両A又はBが移動する距離を適正化できる。よって、車両A及びBの対峙状態の解消を効率的にすることが可能になる。また、対峙状態を解消するための制御も簡易である。なお、対峙状態の解消は、車々間通信を介して行われるが、対峙状態の発生時、2つの車両A及びBが車々間通信エリア内に存在するため、スムーズな対峙状態の解消が可能である。
【0092】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る情報処理装置200を説明する。実施の形態1に係る情報処理装置100は、対峙状態の2つの車両から直近の離合可能区間までの後退距離に基づき、後退する車両を決定した。実施の形態2に係る情報処理装置200は、対峙状態の2つの車両の後続車両の数量に基づき、後退する車両を決定する。以下において、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0093】
[2-1.情報処理装置の構成]
実施の形態2に係る情報処理装置200及びその周辺の構成を説明する。
図4は、実施の形態2に係る情報処理装置200を備える車両A1の機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図4に示すように、車両A1は、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置200とを備える。情報処理装置200は、実施の形態1と同様に、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、離合可能地点取得部106と、判定部107と、後退距離取得部108と、出力部110と、記憶部111とを含む。さらに、情報処理装置200は、生成部209と、後退台数取得部212とを含む。
【0094】
後退台数取得部212は、車両A1の後続車両の数量を取得する。後退台数取得部212は、判定部107から、車両A1と他車両との対峙状態の判定結果を取得した場合、及び、車両A1と対向する他車両から後続車両の数量の要求を受けたとき、車両A1の後続車両の数量を算出する。具体的には、後退台数取得部212は、通信部102及び車々間通信装置1を介して、車々間通信装置1の通信エリア内の車両と通信し、当該車両の後続車両の数量と当該車両の位置とを取得する。後退台数取得部212は、車両との通信を試行し、車両から返信がある場合、当該車両に、当該車両の後続車両の数量と当該車両の位置とを要求し取得する。後退台数取得部212は、車々間通信エリア内の各車両から取得される当該車両の後続車両の数量と当該車両の位置とから、車両A1に後続する車両の数量を算出する。本実施の形態では、各車両から送られる後続車両の数量は、当該車両を含む数量であるが、これに限定されない。ここで、後退台数取得部212は、算出部の一例である。
【0095】
例えば、車両A1の車々間通信エリア内には、車両Bのみが存在し、車両Bの車々間通信エリア内には、車両A1及びCのみが存在し、車両Cの車々間通信エリア内には、車両B及びDのみが存在し、車両Dの車々間通信エリア内には、車両C及びEのみが存在するとする。この場合、車両Dは、車両Eから後続車両の数量「1」を取得する。車両Cは、車両Dから後続車両の数量「2」を取得する。さらに、車両Bは、車両Cから後続車両の数量「3」を取得する。そして、車両A1の後退台数取得部212は、車両Bから後続車両の数量「4」を取得する。このように、車両間において車々間通信を順次行うことによって、車両A1の後続車両の数量の検出が可能である。
【0096】
生成部209は、後退台数取得部212から車両A1の後続車両の数量を取得する。さらに、生成部209は、車両A1に対向する他車両からその後続車両の数量を取得する。そして、生成部209は、車両A1の後続車両の数量と他車両の後続車両の数量とを比較し、比較結果に応じて、車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部209は、車両A1の後続車両の数量がより小さい場合、車両A1を後退させる走行制御情報を生成する。生成部209は、車両A1の後続車両の数量がより大きい場合、車両A1を前進させる走行制御情報を生成する。生成部209は、車両A1及び他車両の後続車両の数量が同じである場合、実施の形態1と同様に、後退距離に基づく走行制御情報を生成する。生成部109は、走行制御情報を出力部110に出力する。
【0097】
また、車両A1及び情報処理装置200のその他の構成要素の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0098】
[2-2.情報処理装置の動作]
実施の形態2に係る情報処理装置200の動作を、
図5A及び
図5Bを参照しつつ説明する。また、以下において、車両A1の後続車両、車両A1と対向する他車両及びその後続車両も、自律走行可能であり、車両A1と同様の情報処理装置を搭載するとして、
図6A及び
図6Bの例を用いつつ説明する。なお、
図5A及び
図5Bは、実施の形態2に係る情報処理装置200の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図6Aは、実施の形態2に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
図6Bは、実施の形態2に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0099】
図5A及び
図5Bに示すように、車両A1の自律走行制御装置6及び情報処理装置200は、実施の形態1に係る情報処理装置100と同様に、ステップS101~S107の処理を行う。ステップS107では、判定部107は、車両A1と他車両とが対峙状態でない場合(ステップS107でNo)、ステップS101に戻り、対峙状態である場合(ステップS107でYes)、判定結果を後退台数取得部212に出力し、ステップS201に進む。
【0100】
ステップS201において、後退台数取得部212は、車両A1の周囲の車両を検知する。具体的には、後退台数取得部212は、通信部102及び車々間通信装置1を介して、車々間通信エリア内の車両との通信を試行する。
【0101】
次いで、ステップS202において、後退台数取得部212は、車両からの返信がある場合、周囲に車両があると判定し、ステップS203に進む(ステップS202でYes)。後退台数取得部212は、車両からの返信がない場合、周囲に車両がないと判定し、ステップS205に進む(ステップS202でNo)。
【0102】
ステップS203において、後退台数取得部212は、車両A1の周囲の車両に対して、当該車両の後続車両の数量と当該車両の位置とを、車々間通信装置1等を介して要求する。周囲の車両は、ステップS201~S204の処理と同様の処理を行うことによって、後続車両の数量を取得してもよい。
【0103】
次いで、ステップS204において、後退台数取得部212は、車両A1の後続車両の数量を算出する。具体的には、後退台数取得部212は、周囲の各車両から取得された当該車両の位置に基づき、車両A1の進行方向において車両A1に後続する車両を特定する。さらに、後退台数取得部212は、特定された車両の後続車両の数量から、車両A1の後続車両の数量を算出する。周囲の車両は、後退台数取得部212に対して、当該車両の後続車両の数量を送信するが、各後続車両の位置も送信してもよい。
【0104】
後退台数取得部212は、特定された全ての車両の後続車両を車両A1の後続車両としてもよく、特定された車両のうちの車両A1から第一所定距離内にある全ての車両から取得される後続車両を車両A1の後続車両としてもよく、特定された全ての車両の後続車両のうちの車両A1から第二所定距離内にある全ての後続車両を車両A1の後続車両としてもよい。
【0105】
なお、後続車両は、車両に後続して停止している車両を対象としてもよく、車両に後続して走行している車両を対象としてもよく、両方の車両を対象としてもよい。車両に後続して走行している車両を後続車両の対象とする場合、第一所定距離及び第二所定距離は、後続車両の速度に応じて変えられてもよい。例えば、後続車両の速度が高い程、第一所定距離及び第二所定距離は大きくされてもよい。後続車両の速度は、後続車両の数量と一緒に取得されてもよい。また、対峙状態を解消するために車両A1が後退する場合、後退台数取得部212は、特定された全ての車両の後続車両のうち、車両A1の後退が完了するまでに車両A1の後続車両の列、つまり後続車両群に加わって停止する車両を予測し、予測される車両を車両A1の後続車両に決定してもよい。
【0106】
次いで、ステップS205において、後退台数取得部212は、
図6Aの例に示すように、車両A1と対峙する車両B1に対して、車両A1の後続車両の数量を、車々間通信装置1等を介して送信する。さらに、後退台数取得部212は、車両B1に対して、車両B1の後続車両の数量を、車々間通信装置1等を介して要求する。例えば、後退台数取得部212は、車両B1に対して、車両A1の後続車両の数量「M」を送信し、車両B1から、車両B1の後続車両の数量「N」を受信する。数量「M」は、車両A1を含む数量であり、
図6Aでは、車両A1のみからなる数量「1」である。数量「N」は、車両B1を含む数量であり、
図6Bでは、車両B1及び後続車両B2からなる数量「2」である。
【0107】
次いで、ステップS206において、生成部109は、後退台数取得部212から車両A1及びB1の後続車両の数量を取得し、これらを比較する。さらに、ステップS207において、生成部109は、車両A1の後続車両の数量よりも、対向車である車両B1の後続車両の数量が少ない場合、ステップS208に進み、車両A1の後続車両の数量よりも車両B1の後続車両の数量が多い場合、ステップS209に進み、車両A1及びB1の後続車両の数量が同じである場合、ステップS210に進む。
【0108】
ステップS208において、実施の形態1におけるステップS112と同様に、生成部109は、車両A1を前進させるための走行制御情報を生成し、出力部110に出力し、出力部110は、当該走行制御情報を、自律走行制御装置6に出力し、ステップS101に戻る。当該走行制御情報は、車両A1及びB1の車間距離Dsの情報を含む。さらに、生成部109は、車両A1と同様に車両A1の後続車両を前進させるための走行制御情報を含む指令を生成し、車両A1の後続車両に送信する。また、生成部109は、車両B1を後退させるための走行制御情報を含む指令を生成し、車両B1に送信してもよい。これにより、車両B1及びその後続車両は一緒に後退し、車両A1及びその後続車両は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0109】
ステップS209において、実施の形態1におけるステップS111と同様に、生成部109は、車両A1を後退させるための走行制御情報を生成し、出力部110に出力し、出力部110は、当該走行制御情報を、自律走行制御装置6に出力し、ステップS211に進む。さらに、生成部109は、車両A1と同様に車両A1の後続車両を後退させるための走行制御情報を含む指令を生成し、車両A1の後続車両に送信する。また、生成部109は、車両B1を前進させるための走行制御情報を含む指令を生成してもよい。当該走行制御情報は、車両A1及びB1の車間距離Dsの情報を含む。これにより、
図6Bの例に示すように、車両A1及びその後続車両は一緒に後退し、車両B1及びその後続車両は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。車両B1は、車両A1から指令を取得せず、自己の判断に基づき、前進の処理を行ってもよい。
【0110】
次いで、ステップS211において、実施の形態1におけるステップS113と同様に、情報処理装置200は、車両A1及びB1の離合が完了したか否かを判定する。車両A1及びB1の離合が完了したとは、対向場所が終点位置PA以降の離合可能区間内に位置すること、車両A1及びB1が対向していないこと、又は、車両A1及びその後続車両並びに車両B1及びその後続車両が上記離合可能区間内に位置することである。
【0111】
次いで、ステップS212において、実施の形態1におけるステップS114と同様に、自律走行制御装置6は、車両A1及びその後続車両を停止状態で待機させ、ステップS117に戻る。すなわち、後退した車両A1及びその後続車両は、後退が完了すると、離合が完了するまで待機する。
【0112】
また、ステップS210において、実施の形態1におけるステップS108と同様に、後退距離取得部108は、記憶部111の離合可能区間の情報を参照することによって、車両A1から最も近い離合可能区間を特定する。さらに、後退距離取得部108は、車両A1から離合可能区間の終点位置までの距離である車両A1の後退距離を算出し、車両B1に送信する。さらに、後退距離取得部108は、車両B1から、車両B1の後退距離を受信する。
【0113】
その後のステップS213~S218の処理はそれぞれ、実施の形態1におけるステップS109~S114の処理と同様である。
【0114】
[2-3.後続車両の動作]
車両A1及びB1の後続車両の情報処理装置の動作を、
図7を参照しつつ説明する。
図7は、実施の形態2に係る後続車両の情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下において、車両A1の後続車両Ak(k=2,・・・・,M)の処理例を説明するが、車両B1の後続車両の処理は、後続車両Akと同様であるため、その説明を省略する。
図7に示すように、後続車両Akの情報処理装置は、ステップS2201~S2203それぞれの処理を、実施の形態1に係る情報処理装置100のステップS101~S103と同様に行う。
【0115】
ステップS2204において、後続車両Akの情報処理装置は、車々間通信エリア内の周囲の車両からの車々間通信を受信する。次いで、ステップS2205において、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の車両から、後続車両Akの後続車両の数量の要求を受けているか否かを判定する。上記情報処理装置は、要求を受けている場合(ステップS2205でYes)、ステップS2206に進み、要求を受けていない場合(ステップS2205でNo)、ステップS2201に戻る。
【0116】
ステップS2206において、実施の形態2におけるステップS201と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akの周囲の車両を検知する。具体的には、上記情報処理装置は、車々間通信エリア内の車両との車々間通信を試行する。さらに、ステップS2207において、実施の形態2におけるステップS202と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、車両からの返信がある場合、周囲に車両があると判定し、ステップS2208に進む(ステップS2207でYes)。上記情報処理装置は、車両からの返信がない場合、周囲に車両がないと判定し、ステップS2210に進む(ステップS2207でNo)。
【0117】
ステップS2208において、実施の形態2におけるステップS203と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の車両に対して、当該車両の後続車両の数量と当該車両の位置とを、車々間通信を介して要求する。
【0118】
次いで、ステップS2209において、実施の形態2におけるステップS204と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akの数量を算出する。具体的には、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の各車両から取得された当該車両の位置に基づき、後続車両Akに後続する車両を特定し、特定された車両の後続車両の数量から、後続車両Akに後続する車両の数量を算出する。
【0119】
次いで、ステップS2210において、実施の形態2におけるステップS205と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akの先行車両を含む周囲の車両に、車々間通信を介して、後続車両の数量を送信する。
【0120】
[2-4.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態2に係る情報処理装置200は、当該2つの車両の対峙状態を検出すると、後続する車両がより少ない車両を後退させ、後続する車両がより多い車両を前進させ、離合可能区間において当該2つの車両及びそれらの後続車両を離合させる。さらに、当該2つの車両の後続車両の数量が同じである場合、情報処理装置200は、離合可能区間により近い車両を後退させる実施の形態1と同様の処理を行うことによって、離合可能区間において当該2つの車両及びそれらの後続車両を離合させる。
【0121】
また、実施の形態2に係る情報処理装置200は、例えば、第1車両としての車両A1に搭載される。このような情報処理装置200において、生成部209は、車両A1の後続車両の数と車両B1の後続車両の数とを比較し、比較結果に応じて車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。上記構成によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両A1及びB1の対向状態(つまり対峙状態)が発生した場合、2つの車両A1及びB1の後続車両の数量に応じて、車両A1の走行が制御される。このように、従来技術と異なり、実際に移動させられることになる車両の数に応じて対峙状態の車両A1及びB1それぞれの前進又は後退が決定される。これにより、車両A1及びB1の対峙状態を解消するために移動させられる車両の数を適正化できる。よって、車両A1及びB1の対峙状態の解消を効率的にすることが可能になる。
【0122】
また、実施の形態2に係る情報処理装置200において、生成部209は、車両A1の後続車両の数と車両B1の後続車両の数とが同じであることを示す場合、第1距離と第2距離とを比較し、比較結果に応じて車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。なお、第1距離は、対向場所に対して車両A1の進行方向手前にある離合可能区間から対向場所までの距離であり、第2距離は、対向場所に対して車両B1の進行方向手前にある離合可能区間から対向場所までの距離である。上記構成によると、移動させられる車両の数が同数である場合であっても、車両A1の前進又は後退を決定することができる。
【0123】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る情報処理装置300を説明する。実施の形態2に係る情報処理装置200は、対峙状態の2つの車両の後続車両の数量に基づき、後退する車両を決定した。実施の形態3に係る情報処理装置300は、対峙状態の2つの車両から直近の離合可能区間までの後退距離と後続車両の数量とに基づき、後退する車両を決定する。以下において、実施の形態3について、実施の形態1及び2と異なる点を中心に説明する。
【0124】
[3-1.情報処理装置の構成]
実施の形態3に係る情報処理装置300及びその周辺の構成を説明する。
図8は、実施の形態3に係る情報処理装置300を備える車両A1の機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図8に示すように、車両A1は、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置300とを備える。情報処理装置300は、実施の形態2と同様に、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、離合可能地点取得部106と、判定部107と、後退距離取得部108と、出力部110と、記憶部111と、後退台数取得部212とを含む。さらに、情報処理装置300は、生成部309を含む。
【0125】
生成部309は、後退距離取得部108から車両A1の後退距離を取得し、車両A1に対峙する他車両から後退距離を取得する。さらに、生成部309は、後退台数取得部212から車両A1の後続車両の数量を取得し、車両A1に対峙する他車両からその後続車両の数量を取得する。そして、生成部309は、車両A1の後退距離と、他車両の後退距離と、車両A1の後続車両の数量と、他車両の後続車両の数量とに基づく比較をし、比較結果に応じて、車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部109は、上記比較として、車両A1の後退距離及び車両A1の後続車両の数量の積である第一の積と、他車両の後退距離及び他車両の後続車両の数量の積である第二の積との比較を用いる。生成部309は、第一の積が第二の積よりも小さい場合、車両A1を後退させる走行制御情報を生成する。生成部309は、第一の積が第二の積よりも大きい場合、車両A1を前進させる走行制御情報を生成する。生成部309は、第一の積及び第二の積が同じである場合、実施の形態1と同様に、後退距離に基づく走行制御情報を生成する。生成部309は、走行制御情報を出力部110に出力する。
【0126】
また、車両A1及び情報処理装置300のその他の構成要素の構成は、実施の形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0127】
[3-2.情報処理装置の動作]
実施の形態3に係る情報処理装置300の動作を、
図9A及び
図9Bを参照しつつ説明する。また、以下において、車両A1の後続車両、車両A1と対向する他車両及びその後続車両も、自律走行可能であり、車両A1と同様の情報処理装置を搭載するとして、
図10A及び
図10Bの例を用いつつ説明する。なお、
図9A及び
図9Bは、実施の形態3に係る情報処理装置300の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図10Aは、実施の形態3に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
図10Bは、実施の形態3に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0128】
図9A及び
図9Bに示すように、車両A1の自律走行制御装置6及び情報処理装置300は、実施の形態1に係る情報処理装置100と同様に、ステップS101~S107の処理を行う。ステップS107では、判定部107は、車両A1と他車両とが対峙状態でない場合(ステップS107でNo)、ステップS101に戻り、対峙状態である場合(ステップS107でYes)、判定結果を後退距離取得部108及び後退台数取得部212に出力し、ステップS301に進む。
【0129】
ステップS301において、実施の形態1におけるステップS108と同様に、後退距離取得部108は、記憶部111の離合可能区間の情報を参照することによって、
図10Aの例に示すように、車両B1と対峙している車両A1から最も近い離合可能区間を特定する。さらに、後退距離取得部108は、特定された離合可能区間の終点位置PAを検出する。さらにまた、後退距離取得部108は、車両A1から離合可能区間の終点位置PAまでの距離DAを、車両A1の後退距離として算出し生成部309に出力する。距離DAは、車両A1及びB1の対向場所から終点位置PAまでの距離でもある。
【0130】
次いで、ステップS302~S305それぞれにおいて、後退台数取得部212は、実施の形態2におけるステップS201~S204と同様の処理を行う。これにより、後退台数取得部212は、車両A1の後続車両の数量を算出し生成部309に出力する。例えば、
図10Aの例に示すように、後退台数取得部212は、車両A1の後続車両A1~A4の数量「M(M=4)」を出力する。
【0131】
次いで、ステップS306において、生成部309は、車両A1の後退距離と車両A1の後続車両の数量との積である第一の積を算出する。そして、生成部309は、車両A1と対峙する車両B1に対して、第一の積を、車々間通信装置1等を介して送信する。さらに、生成部309は、車両B1に対して、車両B1の後退距離と車両B1の後続車両の数量との積である第二の積を、車々間通信装置1等を介して要求する。例えば、
図10Aの例に示すように、生成部309は、車両B1に対して、第一の積「DA×M」を送信し、車両B1から、第二の積「DB×N」を受信する。「DB」は、車両B1の後退距離であり、「N」は、車両B1の後続車両B1~B3の数量である。
【0132】
次いで、ステップS307において、生成部309は、第一の積と第二の積とを比較する。さらに、ステップS308において、生成部309は、車両A1の第一の積よりも対向車である車両B1の第二の積が小さい場合、ステップS309に進む。生成部309は、第一の積よりも第二の積が大きい場合、ステップS310に進む。生成部309は、第一の積と第二の積とが同じである場合、ステップS311に進む。
【0133】
ステップS309において、生成部309は、実施の形態2におけるステップS208と同様の処理を行う。これにより、
図10Bの例に示すように、車両B1~B3は一緒に後退し、車両A1~A4は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0134】
ステップS310、S312及びS313それぞれにおいて、生成部309は、実施の形態2におけるステップS209、S211及びS212と同様の処理を行う。ステップS310では、車両A1~A4は一緒に後退し、車両B1~B3は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0135】
また、ステップS311において、実施の形態2におけるステップS213と同様に、生成部309は、車両A1の後退距離DA及び車両B1の後退距離DBを比較する。生成部309は、車両A1の後退距離DAが車両B1の後退距離DBよりも短いと判定した場合(ステップS314でYes)、ステップS316に進み、そうでないと判定した場合(ステップS314でNo)、ステップS315に進む。
【0136】
ステップS315~S318それぞれにおいて、生成部309は、実施の形態2におけるステップS215~S218と同様の処理を行う。
【0137】
[3-3.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態3に係る情報処理装置300は、車両A1と車両B1との対峙状態を検出すると、直近の離合可能区間までの後退距離と後続する車両の数量との積がより小さい車両を後退させ、上記積がより大きい車両を前進させ、離合可能区間において2つの車両A1及びB1並びにそれらの後続車両を離合させる。さらに、上記の積が同じである場合、情報処理装置300は、離合可能区間により近い車両を後退させる実施の形態1と同様の処理を行うことによって、離合可能区間において2つの車両A1及B1並びにそれらの後続車両を離合させる。なお、実施の形態3における後続車両の動作は、実施の形態2と同様である。
【0138】
また、実施の形態3に係る情報処理装置300は、例えば、第1車両としての車両A1に搭載される。このような情報処理装置300において、生成部309は、第1距離、車両A1の後続車両の数、第2距離及び車両B1の後続車両の数に基づく比較をし、比較結果に応じて走行制御情報を生成する。なお、第1距離は、対向場所に対して車両A1の進行方向手前にある離合可能区間から対向場所までの距離であり、第2距離は、対向場所に対して車両B1の進行方向手前にある離合可能区間から対向場所までの距離である。
【0139】
上記構成によると、車両の移動距離だけでなく、移動させられる車両の数に応じて、車両A1の走行が制御される。これにより、車両A1及びB1の対峙状態を解消するために移動する車両の数を適正化できる。言い換えると、後続車両の状況を考慮した対峙状態の解消が可能になる。また、対峙状態の解消のために考慮する要素が増えるため、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0140】
また、実施の形態3に係る情報処理装置300において、生成部309は、第1距離及び車両A1の後続車両の数の積と第2距離及び車両B1の後続車両の数の積とを比較し、比較結果に応じて走行制御情報を生成する。上記構成によると、移動させられる車両群の疑似的な移動量に応じて、車両A1の走行が制御される。これにより、車両A1及びB1の対峙状態を解消するための車両の移動量をある程度適正化できる。言い換えると、対峙状態の解消のための移動距離と後続車両の状況とを考慮した対峙状態の解消が可能になる。また、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0141】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る情報処理装置400を説明する。実施の形態3に係る情報処理装置300は、対峙状態の2つの車両から直近の離合可能区間までの後退距離と後続車両の数量とに基づき、後退する車両を決定した。実施の形態4に係る情報処理装置400は、対峙状態の第一車両及び第二車両について、第一車両及びその後続車両それぞれから直近の離合可能区間までの後退距離の和と、第二車両及びその後続車両それぞれから直近の離合可能区間までの後退距離の和とに基づき、後退する車両を決定する。以下において、実施の形態4について、実施の形態1~3と異なる点を中心に説明する。
【0142】
[4-1.情報処理装置の構成]
実施の形態4に係る情報処理装置400及びその周辺の構成を説明する。
図11は、実施の形態4に係る情報処理装置400を備える車両A1の機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図11に示すように、車両A1は、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置400とを備える。情報処理装置400は、実施の形態3と同様に、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、離合可能地点取得部106と、判定部107と、後退距離取得部108と、出力部110と、記憶部111とを含む。さらに、情報処理装置300は、生成部409と、後退距離和算出部413とを含む。
【0143】
後退距離和算出部413は、車両A1が走行した経路上において車両A1の現在位置から直近の離合可能区間と車両A1及びその後続車両それぞれとの距離の和、つまり、車両A1の後退距離和を算出する。本実施の形態では、上記距離は、車両から離合可能区間までの道程距離等の物理的な距離である。後退距離和算出部413は、判定部107から、車両A1と他車両との対峙状態の判定結果を取得した場合、及び、車両A1と対峙する他車両から後退距離和の要求を受けたとき、車両A1の後退距離和を算出する。ここで、後退距離和算出部413は、算出部の一例である。
【0144】
具体的には、後退距離和算出部413は、記憶部111から、車両A1が走行した経路上において、車両A1の位置に最も近い離合可能区間の終点位置を取得する。後退距離和算出部413は、車々間通信エリア内の車両と通信し、車両から返信がある場合、当該車両に、上記終点位置を送信する。さらに、後退距離和算出部413は、当該車両に、当該車両及びその後続車両それぞれと上記終点位置との距離の和である後退距離和と、当該車両の位置とを要求し取得する。後退距離和算出部413は、車々間通信エリア内の各車両から取得される当該車両の位置から、車両A1に後続する車両とその後退距離和とを特定する。後退距離和算出部413は、後続車両の後退距離和に、車両A1と上記終点位置との距離である後退距離を加算することによって、車両A1の後退距離和を算出する。
【0145】
なお、上記構成では、車両A1の後続車両が、その後退距離和を算出し、車両A1に送信していたが、車両A1の後退距離和算出部413が、車両A1の各後続車両と上記終点位置との距離を算出しその和を算出することによって、後続車両の後退距離和を取得してもよい。この場合、後退距離和算出部413は、車々間通信エリア内の車両から、当該車両及び当該車両の後続車両の位置を取得する。さらに、後退距離和算出部413は、当該車両及びその後続車両の位置から、車両A1に後続する車両及びその位置を特定する。そして、後退距離和算出部413は、車両A1及びその後続車両それぞれの位置と離合可能区間の終点位置との距離を算出し、当該距離の和を後退距離和として算出する。
【0146】
また、上記構成では、後退距離和は、車両A1及びその後続車両それぞれの位置と離合可能区間の終点位置との距離の和であったが、これに限定されない。例えば、後退距離和は、対峙状態を解消するために車両A1及びその後続車両それぞれが離合可能区間内に実際に後退する距離の和であってもよい。この場合、各車両は、車々間通信を介して、当該車両の全長を他車両に送信する。車両A1及びその後続車両は、車両と上記終点位置との距離に、当該車両に先行する各車両の全長を加算することによって、車両が離合可能区間内に実際に後退する距離を算出してもよい。
【0147】
生成部409は、後退距離和算出部413から車両A1の後退距離和を取得する。さらに、生成部409は、車両A1に対峙する他車両から、当該車両の後退距離和を、車々間通信を介して取得する。そして、生成部409は、車両A1の後退距離和と他車両の後退距離和とを比較し、比較結果に応じて、車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部409は、車両A1の後退距離和がより小さい場合、車両A1を後退させる走行制御情報を生成する。生成部409は、車両A1の後退距離和がより大きい場合、車両A1を前進させる走行制御情報を生成する。生成部409は、車両A1及び他車両の後退距離和が同じである場合、実施の形態1と同様に、車両A1及び他車両の後退距離に基づく走行制御情報を生成する。生成部409は、走行制御情報を出力部110に出力する。
【0148】
また、車両A1及び情報処理装置400のその他の構成要素の構成は、実施の形態3と同様であるため、その説明を省略する。
【0149】
[4-2.情報処理装置の動作]
実施の形態4に係る情報処理装置400の動作を、
図12A及び
図12Bを参照しつつ説明する。また、以下において、車両A1の後続車両、車両A1と対向する他車両及びその後続車両も、自律走行可能であり、車両A1と同様の情報処理装置を搭載するとして、
図13A及び
図13Bの例を用いつつ説明する。なお、
図12A及び
図12Bは、実施の形態4に係る情報処理装置400の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図13Aは、実施の形態4に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
図13Bは、実施の形態4に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0150】
図12A及び
図12Bに示すように、車両A1の自律走行制御装置6及び情報処理装置400は、実施の形態1に係る情報処理装置100と同様に、ステップS101~S107の処理を行う。ステップS107では、判定部107は、車両A1と他車両とが対峙状態でない場合(ステップS107でNo)、ステップS101に戻り、対峙状態である場合(ステップS107でYes)、判定結果を後退距離和算出部413に出力し、ステップS401に進む。
【0151】
ステップS401において、実施の形態1におけるステップS108と同様に、後退距離取得部108は、
図13Aの例に示すように、車両B1と対峙している車両A1から最も近い離合可能区間の終点位置PAと車両A1との距離を、車両A1の後退距離として算出し後退距離和算出部413に出力する。この距離は、車両A1及びB1の対向場所から終点位置PAまでの距離でもある。
【0152】
ステップS402において、実施の形態2におけるステップS201と同様に、後退距離和算出部413は、車々間通信を介して、車両A1の周囲の車両を検知する。次いで、ステップS403において、後退距離和算出部413は、実施の形態2におけるステップS202と同様に、車両からの返信がある場合(ステップS403でYes)、ステップS404に進み、車両からの返信がない場合(ステップS403でNo)、ステップS406に進む。
【0153】
ステップS404において、後退距離和算出部413は、車両A1の周囲の車両に対して、当該車両の後退距離和を、車々間通信を介して要求する。具体的には、後退距離和算出部413は、車両A1の周囲の車両に対して、車両A1から最も近い離合可能区間の終点位置PAを送信し、その後、当該車両の後退距離和及び当該車両の位置を要求する。周囲の車両は、ステップS401~S405の処理と同様の処理を行うことによって、当該車両の後退距離和を算出してもよい。
【0154】
次いで、ステップS405において、後退距離和算出部413は、車々間通信エリア内の車両から、当該車両の後退距離和及び当該車両の位置を取得する。さらに、後退距離和算出部413は、取得された各車両の位置に基づき、車両Aに後続する車両を特定する。後退距離和算出部413は、特定された車両の後退距離和から、車両A1の後続車両の後退距離和を算出する。例えば、
図13Aの例に示すように、後退距離和算出部413は、車両A1の後続車両A2~A4の後退距離和を算出する。
【0155】
次いで、ステップS406において、後退距離和算出部413は、ステップS401で取得された車両A1の後退距離を、後続車両A2~A4の後退距離和に加算することによって、車両A1の後退距離和を算出する。なお、ステップS403において車両からの返信がない等の車両A1の後続車両が検出されない場合、車両A1の後退距離和は、車両A1の後退距離である。
【0156】
次いで、ステップS407において、後退距離和算出部413は、車両A1と対峙する車両B1に対して、車両A1の後退距離和を、車々間通信を介して送信する。さらに、後退距離和算出部413は、車両B1に対して、車両B1の後退距離和を、車々間通信を介して要求する。
図13Aの例に示すように、後退距離和算出部413は、車両B1に対して、車両A1~A4の後退距離の和を送信し、車両B1から、車両B1~B3の後退距離の和を受信する。後退距離和算出部413は、車両A1及びB1それぞれの後退距離和を生成部409に出力する。
【0157】
次いで、ステップS408において、生成部409は、車両A1及びB1の後退距離和を比較する。さらに、ステップS409において、生成部409は、車両A1の後退距離の和よりも、対向車である車両B1の後退距離和が小さい場合、ステップS410に進む。生成部409は、車両A1の後退距離和よりも車両B1の後退距離和が大きい場合、ステップS411に進む。生成部409は、車両A1及びB1の後退距離和が同じである場合、ステップS412に進む。
【0158】
ステップS410において、生成部409は、実施の形態2におけるステップS208と同様の処理を行う。これにより、
図13Bの例に示すように、車両B1~B3は一緒に後退し、車両A1~A4は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0159】
ステップS411、S413及びS414それぞれにおいて、生成部409は、実施の形態2におけるステップS209、S211及びS212と同様の処理を行う。ステップS411では、車両A1~A4は一緒に後退し、車両B1~B3は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0160】
また、ステップS412において、実施の形態2におけるステップS210と同様に、生成部409は、車両A1の後退距離及び車両B1の後退距離を取得する。さらに、生成部409は、ステップS415~S420において、実施の形態2におけるステップS213~S218と同様の処理を行う。
【0161】
[4-3.後続車両の動作]
車両A1及びB1の後続車両の情報処理装置の動作を、
図14を参照しつつ説明する。
図14は、実施の形態4に係る後続車両の情報処理装置の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下において、車両A1の後続車両Ak(k=2,・・・・,M)の処理例を説明するが、車両B1の後続車両の処理は、後続車両Akと同様であるため、その説明を省略する。
図14に示すように、後続車両Akの情報処理装置は、ステップS4201~S4203それぞれの処理を、実施の形態2に係る後続車両Akの情報処理装置のステップS2201~S2013と同様に行う。
【0162】
ステップS4204において、後続車両Akの情報処理装置は、車々間通信エリア内の周囲の車両からの車々間通信を受信する。次いで、ステップS4205において、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の車両から、後続車両Akの後退距離和の要求を受けているか否かを判定する。上記情報処理装置は、要求を受けている場合(ステップS4205でYes)、ステップS4206に進む。この場合、上記情報処理装置は、車両の後退距離を求める目的地である離合可能区間の終点位置を、ステップS4202において取得している。上記情報処理装置は、要求を受けていない場合(ステップS4205でNo)、ステップS4201に戻る。
【0163】
ステップS4206において、実施の形態2におけるステップS2206と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akの周囲の車両を検知する。さらに、ステップS4207において、実施の形態2におけるステップS2202と同様に、上記情報処理装置は、車両からの返信がある場合、周囲に車両があると判定し、ステップS4208に進む(ステップS4207でYes)。上記情報処理装置は、車両からの返信がない場合、周囲に車両がないと判定し、ステップS4210に進む(ステップS4207でNo)。
【0164】
ステップS4208において、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の車両に対して、上記終点位置に対する当該車両の後退距離和と当該車両の位置とを、車々間通信を介して要求する。次いで、ステップS4209において、実施の形態4におけるステップS405と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、周囲の車両の後退距離和と当該車両の位置とを取得し、各車両の後退距離和及び位置に基づき、後続車両Akに後続する車両の後退距離和を算出する。
【0165】
次いで、ステップS4210において、実施の形態4におけるステップS401と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akと上記終点位置との距離である後続車両Akの後退位置を算出する。
【0166】
次いで、ステップS4211において、実施の形態4におけるステップS406と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akに後続する車両の後退距離和に、後続車両Akの後退位置を加算することによって、後続車両Akの後退距離和を算出する。さらに、実施の形態2におけるステップS2210と同様に、後続車両Akの情報処理装置は、後続車両Akの先行車両を含む周囲の車両に、車々間通信を介して、後続車両Akの後退距離和を送信する。
【0167】
[4-4.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態4に係る情報処理装置400は、車両A1と車両B1との対峙状態を検出すると、直近の離合可能区間までの車両及びその後続車両の後退距離の和がより小さい車両を後退させ、上記後退距離の和がより大きい車両を前進させ、離合可能区間において2つの車両A1及びB1並びにそれらの後続車両を離合させる。さらに、上記後退距離の和が同じである場合、情報処理装置400は、離合可能区間により近い車両を後退させる実施の形態1と同様の処理を行うことによって、離合可能区間において2つの車両A1及びB1並びにそれらの後続車両を離合させる。
【0168】
また、実施の形態4に係る情報処理装置400は、例えば、第1車両としての車両A1に搭載される。このような情報処理装置400において、後退距離和算出部413は、車両A1の後続車両から取得される情報を用いて車両A1の後続車両から第1区間までの第3距離を算出する。通信部102は、第3距離を、車両Aに対向する車両B1へ送信し、車両B1の後続車両から第2区間までの第4距離を車両B1から受信する。生成部409は、第1距離及び第3距離の和と第2距離及び第4距離の和とを比較し、比較結果に応じて走行制御情報を生成する。なお、第1距離は、対向場所に対して車両A1の進行方向手前にある離合可能な第1区間から対向場所までの距離であり、第2距離は、対向場所に対して車両B1の進行方向手前にある離合可能な第2区間から対向場所までの距離である。
【0169】
上記構成によると、移動させられる車両群の正確な移動量に応じて、車両A1の走行が制御される。これにより、車両A1及びB1の対峙状態を解消するための車両の移動量をより適正化できる。言い換えると、距離の和を用いることによって、後続車両の車間距離が不均一であっても、効率的な対峙状態の解消が可能である。また、効率的に対応可能な対峙状態を増やすことができる。
【0170】
[実施の形態5]
実施の形態5に係る情報処理装置500を説明する。実施の形態2に係る情報処理装置200は、対峙状態の2つの車両の後続車両の数量に基づき、後退する車両を決定した。実施の形態5に係る情報処理装置500は、対峙状態の2つの車両それぞれから直近の離合可能区間の長さに基づき、後退する車両を決定する。以下において、実施の形態5について、実施の形態1~4と異なる点を中心に説明する。
【0171】
[5-1.情報処理装置の構成]
実施の形態5に係る情報処理装置500及びその周辺の構成を説明する。
図15は、実施の形態5に係る情報処理装置500を備える車両A1の機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図15に示すように、車両A1は、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置500とを備える。情報処理装置500は、実施の形態2と同様に、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、判定部107と、出力部110と、記憶部111とを含む。さらに、情報処理装置500は、生成部509と、離合可能区間取得部514と、区間距離取得部515とを含む。
【0172】
離合可能区間取得部514は、実施の形態1における離合可能地点取得部106と類似する。離合可能区間取得部514は、道幅取得部104又は記憶部111から取得する道路幅の情報を用いて、車両A1が走行した道路である走行経路のうちから、離合可能区間を取得する。離合可能区間取得部514は、車両A1の走行中又は停止中に所定の時間間隔で取得される道路幅と、予め設定された離合可能な幅とを比較する。そして、離合可能区間取得部514は、道路幅が離合可能な幅から離合不可能な幅に変化する地点である終点の位置と、道路幅が離合不可能な幅から離合可能な幅に変化する地点である始点の位置とを検出し、始点から終点にわたる区間を離合可能区間に決定する。なお、離合可能区間取得部514は、地
図DB3の地図情報を用いて、車両A1の走行経路の道路幅と離合可能な幅とを比較してもよい。離合可能区間取得部514は、離合可能区間の始点位置及び終点位置を記憶部111に格納する。
【0173】
さらに、離合可能区間取得部514は、判定部107から車両A1の対峙状態の情報を取得すると、自車位置取得部105から車両A1の現在位置を取得する。そして、離合可能区間取得部514は、車両A1が走行した経路上において、車両A1の現在位置から直近の離合可能区間を、記憶部111から抽出し、当該離合可能区間の始点位置及び終点位置を区間距離取得部515に出力する。
【0174】
区間距離取得部515は、離合可能区間の始点位置及び終点位置から、始点位置と終点位置との間の距離、つまり、当該離合可能区間の長さを算出する。区間距離取得部515は、始点位置と終点位置との間における車両A1の道程距離を算出してもよい。例えば、区間距離取得部515は、車両A1のオドメータ、地
図DE3の地図情報等の情報を用いて、上記道程距離を算出してもよい。なお、区間距離取得部515は、離合可能区間の長さが所定の長さ以下である場合、離合可能区間から除外されることを示す情報を付与することによって、記憶部111の当該離合可能区間の情報を更新してもよい。また、区間距離取得部515は、車両A1の他車両から、通信部102及び車々間通信装置1を介して、当該他車両から直近の離合可能区間の長さを取得する。他車両から直近の離合可能区間は、他車両が走行した経路上において、当該他車両の現在位置から直近の離合可能区間である。区間距離取得部515は、車両A1及び他車両の離合可能区間の長さを生成部509に出力する。ここで、区間距離取得部515は、算出部の一例である。
【0175】
生成部509は、車両A1の離合可能区間の長さと他車両の離合可能区間の長さとを比較し、比較結果に応じて、車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部509は、車両A1の離合可能区間の長さがより大きい場合、車両A1を後退させる走行制御情報を生成し、そうでない場合、車両A1を前進させる走行制御情報を生成する。生成部509は、走行制御情報を出力部110に出力する。
【0176】
また、車両A1及び情報処理装置500のその他の構成要素の構成は、実施の形態2と同様であるため、その説明を省略する。
【0177】
[5-2.情報処理装置の動作]
実施の形態5に係る情報処理装置500の動作を、
図16を参照しつつ説明する。また、以下において、車両A1の後続車両、車両A1と対向する他車両及びその後続車両も、自律走行可能であり、車両A1と同様の情報処理装置を搭載するとして、
図17A及び
図17Bの例を用いつつ説明する。なお、
図16は、実施の形態5に係る情報処理装置500の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図17Aは、実施の形態5に係る車両の対峙状態の一例を示す概略図である。
図17Bは、実施の形態5に係る対峙状態の解消のための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0178】
図16に示すように、車両A1の自律走行制御装置6及び情報処理装置500は、実施の形態1と同様のステップS101~S104の処理を行う。
【0179】
次いで、ステップS501において、離合可能区間取得部514は、道幅取得部104又は記憶部111から取得される道路幅が、離合可能な幅から離合不可能な幅へ変化したか、又は、離合不可能な幅から離合可能な幅へ変化したかを判定する。離合可能区間取得部514は、道路幅が離合可能な幅から離合不可能な幅に変化した場合、ステップS502へ進む。離合可能区間取得部514は、道路幅が離合不可能な幅から離合可能な幅に変化した場合、ステップS503へ進む。離合可能区間取得部514は、道路幅が上記のいずれの変化もしない場合、ステップS504へ進む。
【0180】
ステップS502において、離合可能区間取得部514は、道路幅が離合可能な幅から離合不可能な幅に変化した時点の車両A1の位置を、自車位置取得部105から取得し、離合不可地点、つまり、離合可能区間の終点位置として、記憶部111に格納する。離合可能区間取得部514は、ステップS504へ進む。
【0181】
ステップS503において、離合可能区間取得部514は、道路幅が離合不可能な幅から離合可能な幅に変化した時点の車両A1の位置を、自車位置取得部105から取得し、離合可能地点、つまり、離合可能区間の始点位置として、記憶部111に格納する。離合可能区間取得部514は、ステップS504へ進む。
【0182】
ステップS504において、対向車検出部103及び判定部107は、実施の形態1のステップS107と同様に、車両A1が、他車両と対峙状態にあるか否かを判定する。
図17Aの例では、対向車検出部103及び判定部107は、車両A1が車両B1と対峙していると判定する。判定部107は、対峙状態である場合(ステップS504でYes)、ステップS505に進み、対峙状態でない場合(ステップS504でNo)、ステップS101に戻る。
【0183】
ステップS505において、離合可能区間取得部514は、自車位置取得部105から車両A1の現在位置を取得し、車両A1が走行した経路において、車両A1の現在位置に最も近い離合可能区間の始点位置及び終点位置を、記憶部111から抽出する。区間距離取得部515は、上記始点位置及び終点位置を用いて、上記離合可能区間の長さを算出する。また、区間距離取得部515は、車両A1に対峙する車両から、車々間通信を介して、当該車両から直近の離合可能区間の長さを取得する。
図17Aの例に示すように、区間距離取得部515は、始点位置PA1及び終点位置PA2を用いて、車両A1から直近の離合可能区間の長さDpaを算出する。区間距離取得部515は、車両B1から、始点位置PB1及び終点位置PB2を有する離合可能区間の長さDpbを取得する。区間距離取得部515は、2つの離合可能区間の長さDpa及びDpbを生成部509に出力する。
【0184】
ステップS506において、生成部509は、2つの離合可能区間の長さDpa及びDpbを比較する。生成部509は、車両A1から直近の離合可能区間の長さDpaが車両B1から直近の離合可能区間の長さDpbよりも大きい場合(ステップS507でYes)、ステップS508に進み、そうでない場合(ステップS507でNo)、ステップS509に進む。
【0185】
ステップS508において、生成部509は、実施の形態2におけるステップS208と同様の処理を行う。これにより、
図17Bの例に示すように、車両B1並びにその後続車両B2及びB3は一緒に後退し、車両A1及びその後続車両A2~A4は、車両A1及びB1の車間距離Dsを維持しつつ一緒に前進する。
【0186】
[5-3.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態5に係る情報処理装置500は、車両A1と車両B1との対峙状態を検出すると、直近の離合可能区間の長さがより大きい車両を後退させ、直近の離合可能区間の長さがより小さい車両を前進させ、離合可能区間において2つの車両A1及びB1並びにそれらの後続車両を離合させる。なお、本実施の形態では、直近の離合可能区間の長さが同じである場合、車両B1が後退したが、車両A1及びB1のいずれが後退してもよい。
【0187】
また、実施の形態5に係る情報処理装置500は、例えば、第1車両としての車両A1に搭載される。このような情報処理装置500において、生成部509は、第1区間の長さである第1区間長と第2区間の長さである第2区間長とを比較し、比較結果に応じて車両A1を前進又は後退させるための走行制御情報を生成する。なお、なお、第1区間は、対向場所に対して車両A1の進行方向手前にある離合可能な区間であり、第2区間は、対向場所に対して車両B1の進行方向手前にある離合可能な区間である。上記構成によると、車両がすれ違うことができる区間以外で2つの車両A1及びB1の対向状態(すなわち対峙状態)が発生した場合、車両がすれ違うことができる区間の長さに応じて、車両A1の走行が制御される。これにより、後続車両が存在する場合に、車両がすれ違うことができる区間が長いほど、後続車両を含む車両群が全てすれ違うことができる可能性を高くすることができる。
【0188】
[実施の形態6]
実施の形態6に係る情報処理装置600を説明する。実施の形態1~5に係る情報処理装置は、対向車両と対峙状態にある車両に対して、対峙状態を解消する処理を行った。実施の形態6に係る情報処理装置600は、車両が対向車両と対峙する前に、対峙状態の発生を防ぐように処理を行う。以下において、実施の形態6について、実施の形態1~5と異なる点を中心に説明する。
【0189】
[6-1.情報処理装置の構成]
実施の形態6に係る情報処理装置600及びその周辺の構成を説明する。
図18は、実施の形態6に係る情報処理装置600を備える車両Aの機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図18に示すように、車両Aは、車々間通信装置1と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置600とを備える。情報処理装置600は、実施の形態1と同様に、管理部101と、通信部102と、自車位置取得部105と、出力部110と、記憶部111とを含む。さらに、情報処理装置600は、前方道幅取得部604と、判定部607と、生成部609と、狭隘区間特定部616とを含む。
【0190】
前方道幅取得部604は、実施の形態1における道幅取得部104と類似する。前方道幅取得部604は、道路情報取得装置4から道路情報を取得し、道路情報から車両Aの進行方向の前方の道路の幅を検出する。前方道幅取得部604は、車両Aの走行中又は停止中に、道路情報を所定の時間間隔で取得し、前方の道路の幅を推定することによって検出する。前方道幅取得部604は、道路幅を、道路幅を検出したときの車両Aの位置、地図上での位置又は時刻と対応付けて、記憶部111に格納する。前方道幅取得部604は、道路情報として、前方の画像を取得するカメラの画像、前方の物体の方向及び距離を検出するセンサの計測結果、地
図DBの地図情報等を用いる。
【0191】
狭隘区間特定部616は、所定の時間間隔で取得される車両Aの前方の道路幅の情報から、道路幅が狭くなる区間である狭隘区間を検出する。具体的には、狭隘区間特定部616は、狭隘区間の始点位置及び領域を検出する。本実施の形態では、車両が離合不可能な区間にある場合で説明しているが、車両が離合可能区間にある場合であっても本実施の形態は適用できる。さらに、狭隘区間特定部616は、自車位置取得部105から車両Aの位置を取得し、車両Aの位置と狭隘区間の始点位置との距離、つまり、車両Aと狭隘区間との距離を算出する。本実施の形態では、上記距離は、車両Aから狭隘区間までの道程距離等の物理的な距離であってもよく、車両Aが狭隘区間に到達するまでに要する時間等の時間的な距離であってもよい。後者の場合、狭隘区間特定部616は、自車位置取得部105から所定の時間間隔で取得される車両Aの位置から、車両Aの速度を算出し、車両Aの速度、車両Aの位置及び狭隘区間の始点位置に基づき、時間的な距離を算出してもよい。なお、狭隘区間特定部616は、自車位置計測装置5から車両Aの速度を取得してもよい。
【0192】
また、狭隘区間特定部616は、車々間通信装置1の通信エリア内の他車両から、車々間通信を介して、当該他車両と狭隘区間との距離を取得する。このとき、狭隘区間特定部616は、他車両へ狭隘区間の情報を送信することで、狭隘区間を共通化してもよい。また、狭隘区間特定部616は、車両と狭隘区間との距離に加えて、車両の位置、速度、走行経路、狭隘区間への到達時刻等の情報を、他車両に送信してもよく、他車両から取得してもよい。狭隘区間特定部616は、取得された情報を用いて、同じ狭隘区間に進入している又は進入する予定の対向車両を特定することによって、当該対向車両と狭隘区間との距離を特定する。狭隘区間特定部616は、車両A及び対向車両と狭隘区間との距離を判定部607及び生成部609に出力する。
【0193】
判定部607は、車両Aに対して他車両が所定時間経過後までに対峙するか否かを判定する。具体的には、判定部607は、所定の時間間隔で、車両A及び対向車両の位置、速度及び走行予定の経路の少なくとも1つを取得し、車両Aに対して対向車両が所定時間経過後までに所定の距離内に位置するか否かを判定する。例えば、判定部607は、車両Aと狭隘区間との距離、及び対向車両と狭隘区間との距離に基づいて、車両Aと対向車両との対向が発生する所定時間後の対向場所を推定する。そして、判定部607は、推定された対向場所が狭隘区間内であるか否かを判定する。
【0194】
生成部609は、車両A及び狭隘区間の距離と、対向車両及び狭隘区間の距離とを比較し、比較結果に応じて、車両Aを前進又は停止させるための走行制御情報を生成する。具体的には、生成部609は、車両A及び狭隘区間の距離が対向車両及び狭隘区間の距離よりも小さい又は車両Aが狭隘区間に進入済みである場合、車両Aを前進させ且つ対向車両を停止させる走行制御情報を生成し、そうでない場合、車両Aを停止させ且つ対向車両を前進させる走行制御情報を生成する。生成部609は、走行制御情報を出力部110及び対向車両に出力する。
【0195】
また、車両A及び情報処理装置600のその他の構成要素の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0196】
[6-2.情報処理装置の動作]
実施の形態6に係る情報処理装置600の動作を、
図19を参照しつつ説明する。また、以下において、車両Aの後続車両、車両Aと対向する他車両及びその後続車両も、自律走行可能であり、車両Aと同様の情報処理装置を搭載するとして、
図20A及び
図20Bの例を用いつつ説明する。なお、
図19は、実施の形態6に係る情報処理装置600の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図20Aは、実施の形態6に係る車両が対峙する前の状態の一例を示す概略図である。
図20Bは、実施の形態6に係る対峙を防ぐための車両の動作の一例を示す概略図である。
【0197】
図19に示すように、車両Aの自律走行制御装置6及び情報処理装置600は、実施の形態1と同様のステップS101~S103の処理を行う。次いで、ステップS601において、前方道幅取得部604は、道路情報取得装置4から所定の時間間隔で取得される道路情報を使用して、車両Aの前方の道路の幅を所定の時間間隔で検出し、道路幅検出時の車両Aの位置と対応付けて記憶部111に格納する。
【0198】
次いで、ステップS602において、狭隘区間特定部616は、道幅取得部104又は記憶部111から取得される道路幅が、離合可能な幅であるか否かを判定する。狭隘区間特定部616は、離合可能な幅である場合(ステップS602でYes)、ステップS101に戻る。離合不可能な幅である場合(ステップS602でNo)、狭隘区間特定部616は、道路幅に対応する車両Aの位置から、狭隘区間の始点位置及び領域を検出する。そして、狭隘区間特定部616は、ステップS603に進む。
【0199】
ステップS603において、狭隘区間特定部616は、車々間通信を介して、車々間通信エリア内の車両との通信を試行する。このとき、狭隘区間特定部616は、ステップS602で検出された狭隘区間の始点位置及び領域の情報を送信し、当該車両の位置、速度及び走行経路等の情報を要求する。
【0200】
次いで、ステップS604において、狭隘区間特定部616は、車両からの返信がある場合(ステップS604でYes)、ステップS605に進み、車両からの返信がない場合(ステップS604でNo)、ステップS101に戻る。
【0201】
次いで、ステップS605において、判定部607は、返信を受けた車両から取得された情報を用いて、車両Aの対向車両を特定し、当該対向車両の位置と狭隘区間の情報とに基づき、当該対向車両の狭隘区間への進入を判定する。つまり、判定部607は、車両Aに対して対向車両が所定時間経過後までに対峙するか否かを判定する。判定部607は、当該対向車両が進入する予定にない場合、ステップS101に戻り、当該対向車両が進入する予定である場合、ステップS606に進み、当該対向車両が進入済みである場合、ステップS609に進む。例えば、対向車両が進入する予定であるとは、対向車両の進行方向が狭隘区間に向かう又は対向車両の走行予定経路が狭隘区間を通ることである。
【0202】
次いで、ステップS606において、狭隘区間特定部616は、車々間通信を介して、車両Aと狭隘区間との距離を対向車両に送信する。さらに、狭隘区間特定部616は、対向車両と狭隘区間との距離を対向車両に要求し取得する。つまり、狭隘区間特定部616は、狭隘区間までの距離を送受信する。狭隘区間特定部616は、車両Aと狭隘区間との距離、及び、対向車両と狭隘区間との距離を、生成部609に出力する。
図20Aの例に示すように、狭隘区間特定部616は、車両Aと車両Aにとっての狭隘区間の始点位置PAとの距離DApa、及び、対向車両Bと対向車両Bにとっての狭隘区間の始点位置PBとの距離DBpbを出力する。
【0203】
次いで、ステップS607において、生成部609は、車両Aと狭隘区間との距離DApa、及び、対向車両Bと狭隘区間との距離DBpbを比較する。生成部609は、距離DApaが距離DBpbよりも小さい場合(ステップS608でYes)、ステップS101に戻り、車両Aは前進の自律走行を継続する。なお、車両が狭隘区間内に位置する場合、車両と狭隘区間との距離は、0又は負の値とされてもよい。さらに、生成部609は、狭隘区間の外側の近傍位置で車両Bを停車させるための走行制御情報を生成し、車々間通信を介して、当該走行制御情報を含む指令を対向車両Bに送信する。これにより、対向車両Bは、車両Aとの離合が完了するまで、離合可能な場所で停車する。また、生成部609は、距離DApaが距離DBpb以上である場合(ステップS608でNo)、ステップS609に進む。
【0204】
ステップS609において、生成部609は、自車位置取得部105から車両Aの位置を取得し、車両Aが狭隘区間の近傍位置に到着したか否かを判定する。狭隘区間の近傍位置は、狭隘区間の始点位置PAであってもよく、狭隘区間の外側の始点位置PAから離れた位置であってもよい。近傍位置は、車両Aが近傍位置で停車しているとき、対向車両Bが車両Aと離合できるような位置であってよい。なお、離合場所は、離合可能な区間であれば狭隘区間の近傍でなくてもよい。生成部609は、到着している場合(ステップS609でYes)、ステップS610に進み、到着していない場合(ステップS609でNo)、ステップS101に戻り、車両Aは前進の自律走行を継続する。
【0205】
ステップS610において、生成部609は、車両Aを狭隘区間の近傍位置で停車させるための車両制御情報を生成し出力部110に出力する。出力部110は、当該走行制御情報を、自律走行制御装置6に出力する。これにより、自律走行制御装置6は、走行制御情報に応じて、車両Aを狭隘区間の近傍位置で停車させる。
【0206】
次いで、ステップS611において、生成部609は、車両A及びBの離合が完了したか否かを判定する。生成部609は、車両A及びBの位置関係に基づき、離合の完了を判定する。このとき、生成部609は、車々間通信を介して、車両Bから車両Bの位置を取得してもよく、車両Aのカメラ又は他のセンサ等により方向及び距離を検出することにより、車両Bの位置を取得してもよい。生成部609は、完了している場合(ステップS611でYes)、ステップS101に戻り、車両Aは前進の自律走行を再開する。生成部609は、完了していない場合(ステップS611でNo)、ステップS610に戻り、車両Aは停車を継続する。
【0207】
[6-3.効果]
上述したように、2つの車両のうちの少なくとも一方に搭載される実施の形態6に係る情報処理装置600は、車両Aと車両Bとが狭隘区間内で対峙する前に、狭隘区間と車両との距離がより小さい車両を前進させ、当該距離が他方の車両以上である車両を停止させ、離合可能な場所において2つの車両を離合させる。なお、本実施の形態では、狭隘区間と車両との距離が同じである場合、車両Aが停止したが、車両A及びBのいずれが停止してもよい。又は、2つの車両の間で狭隘区間と車両との距離が同じである場合、実施の形態2における2つの車両の間の後続車両の数量が同じである場合の処理と同様の処理が行われてもよい。
【0208】
また、実施の形態6に係る情報処理装置600は、例えば、第1車両としての車両Aに搭載される。このような情報処理装置600において、検出部としての判定部607は、車両Aに対する第2車両としての車両Bの所定時間後の対向を検出する。算出部としての狭隘区間特定部616は、車両Aから第1区間の終了地点までの第5距離を算出する。通信部102は、上記所定時間後の対向場所が第1区間内にないと判定された場合、第5距離を車両Bに送信し、車両Bから、上記対向場所に対して車両Bの進行方向手前の離合可能な第2区間の終了地点までの第6距離を、車両Bから受信する。生成部609は、第5距離と第6距離とを比較し、比較結果に応じて車両Aを前進又は停止させるための走行制御情報を生成する。なお、第1区間は、所定時間後の対向場所に対して車両Aの進行方向手前の離合可能な区間である。上記構成によると、車両の対峙状態の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0209】
[実施の形態7]
実施の形態7に係る情報処理装置700を説明する。実施の形態1~6では、対向する車両のいずれもが、情報処理装置を備えていた。実施の形態7では、情報処理装置700を備える車両Aの対向車両は、情報処理装置を備えない。さらに、実施の形態7では、対向車両は、自律走行可能であっても不可能であってもよい。以下において、実施の形態7について、実施の形態1~5と異なる点を中心に説明する。
【0210】
[7-1.情報処理装置の構成]
実施の形態7に係る情報処理装置700及びその周辺の構成を説明する。
図21は、実施の形態7に係る情報処理装置700を備える車両Aの機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図21に示すように、車両Aは、車々間通信装置1と、対峙情報取得装置2と、地
図DB3と、道路情報取得装置4と、自車位置計測装置5と、自律走行制御装置6と、情報処理装置700とを備える。さらに、車両Aは、前部提示装置7及び後部提示装置8を備える。情報処理装置700は、実施の形態1と同様に、管理部101と、通信部102と、対向車検出部103と、道幅取得部104と、自車位置取得部105と、離合可能地点取得部106と、判定部107と、後退距離取得部108と、出力部110と、記憶部111とを含む。さらに、情報処理装置700は、生成部709と、他車後退距離推定部717と、提示制御部718とを含む。
【0211】
前部提示装置7及び後部提示装置8は、情報処理装置700の出力情報を提示し、具体的には少なくとも視覚的に表示する。前部提示装置7及び後部提示装置8は、上記出力内容を、聴覚的に表示してもよい。前部提示装置7及び後部提示装置8は、ディスプレイ及びスピーカのうちの少なくともディスプレイを備える。ディスプレイの例は、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)、及び、有機又は無機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
図22Aに示すように、前部提示装置7は、車両Aの前部に配置され、車両Aの前方の対向車両等の対象物に表示する。
図22Bに示すように、後部提示装置8は、車両Aの後部に配置され、車両Aの後方の後続車両等の対象物に表示する。なお、
図22Aは、車両Aへの前部提示装置7の配置例を示す正面図である。
図22Bは、車両Aへの後部提示装置8の配置例を示す後面図である。
【0212】
他車後退距離推定部717は、車両Aと他車両とが対峙状態になったとき、対峙状態を解消するために、当該他車両が後退する距離を、地
図DB3の地図情報に基づき、推定する。他車後退距離推定部717は、車両Aのカメラ又は他のセンサ等により方向及び距離を検出することにより、他車両の位置を取得し、他車両の位置を推定に用いてもよい。
【0213】
提示制御部718は、情報処理装置700が出力する情報を、前部提示装置7及び後部提示装置8に振り分け、前部提示装置7及び後部提示装置8それぞれに適した提示、つまり表示を行う。
【0214】
生成部709は、車両Aと他車両とが対峙状態になったとき、対峙状態を解消するために情報処理装置700において決定された結果に従って、車両Aの走行制御情報を生成する。
【0215】
また、車両A及び情報処理装置700のその他の構成要素の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0216】
[7-2.情報処理装置の動作]
実施の形態7に係る情報処理装置700の動作を、
図23A~
図23Cを参照しつつ説明する。また、以下において、車両Aと対向する他車両は、車両Aと同様の情報処理装置を搭載せず、実施の形態1~6のように車両Aによる対峙離合不可を回避するための調停を受け付けないとして、説明する。なお、
図23A~
図23Cは、実施の形態7に係る情報処理装置700の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0217】
図23A~
図23Cに示すように、車両Aの自律走行制御装置6及び情報処理装置700は、実施の形態1と同様のステップS101~S107の処理を行う。
【0218】
次いで、ステップS701において、後退距離取得部108は、実施の形態1におけるステップS108と同様に、車両Aから直近の離合可能区間までの後退距離を算出する。さらに、後退距離取得部108は、対向車両である他車両に対して、車々間通信を介して、他車両の後退距離を要求し、且つ、車両Aの後退距離を送信する。つまり、後退距離取得部108は、他車両と後退距離の送受信を試みる。後退距離取得部108は、後退距離の送受信が成功した場合(ステップS702でYes)、判定結果等を生成部709に出力し、ステップS703に進む。後退距離取得部108は、後退距離の送受信が失敗した場合(ステップS702でNo)、判定結果等を他車後退距離推定部717に出力し、ステップS709に進む。後退距離の送受信が成功するとは、後退距離取得部108が他車両から後退距離を受信することであり、後退距離の送受信が失敗するとは、後退距離取得部108が他車両から後退距離を受信できないことである。
【0219】
ステップS703~S708の処理は、実施の形態1におけるステップS109~S114と同様であるため、その説明を省略する。
【0220】
ステップS709において、他車後退距離推定部717は、他車両が直近の離合可能区間にまで後退する場合の後退距離を推定する。例えば、他車後退距離推定部717は、車両Aの位置から他車両の位置を推定し、他車両の位置と地
図DB3の地図情報とを用いて、後退距離を推定する。又は、他車後退距離推定部717は、車両Aのカメラ又は他のセンサ等を用いて他車両の位置を検出してもよい。
【0221】
他車後退距離推定部717は、他車両の後退距離を推定できた場合(ステップS710でYes)、推定後退距離を生成部709に出力し、ステップS712に進む。他車後退距離推定部717は、他車両の後退距離を推定できなかった場合(ステップS710でNo)、ステップS723に進む。
【0222】
ステップS712において、生成部709は、ステップS703と同様に、車両Aの後退距離と、他車両の推定後退距離とを比較する。そして、生成部709は、車両Aの後退距離が他車両の推定後退距離よりも短い場合(ステップS713でYes)、車両Aの後退を決定し、ステップS714に進む。また、生成部709は、車両Aの後退距離が他車両の推定後退距離以上の場合(ステップS713でNo)、他車両の後退を決定し、ステップS718に進む。
【0223】
ステップS714において、生成部709は、車両Aの後退の意思を他車両等に示すための情報を、記憶部111から取得し、提示制御部718に出力する。上記情報は、予め作成され、記憶部111等の記憶装置に格納されている。上記情報の例は、画像、画像内の文字情報、音情報等である。上記情報は、車両Aの前方の対向車両に向けて表示される第一情報と、車両Aの後方の後続車両に向けて表示される第二情報とを含む。提示制御部718は、第一情報を前部提示装置7に出力し表示させ、第二情報を後部提示装置8に出力し表示させる。例えば、
図24は、前部提示装置7及び後部提示装置8の表示例を示す。
図24に示すように、表示内容は、走行制御情報に対応する車両Aの動作の意思と、当該動作に対応する他車両への要求とを含んでもよい。対向車両の運転者及び後続車両の運転者はそれぞれ、前部提示装置7及び後部提示装置8の表示を視認することによって、車両Aが予定している動作を認識し、対応することができる。
【0224】
提示制御部718は、通信部102及び車々間通信装置1を介して、第一情報を対向車両の端末装置に送信して表示させ、第二情報を後続車両の端末装置に送信して表示させてもよい。例えば、
図25は、他車両の端末装置への表示例を示す。
図25に示すように、表示内容は、車両Aの動作の意思と、当該動作に対応する他車両への要求とを含んでもよい。対向車両の運転者及び後続車両の運転者はそれぞれ、端末装置の表示を視認することによって、車両Aが予定している動作を認識し、対応することができる。
【0225】
次いで、ステップS715において、生成部709は、車両Aの後退させるための車両制御情報を生成し、出力部110に出力する。出力部110から当該車両制御情報が入力される自律走行制御装置6は、車両Aを後退させる。また、ステップS716及びS717の処理は、ステップS707及びS708の処理と同様である。
【0226】
また、ステップS718において、生成部709は、車両Aの前進の意思を他車両等に示すための情報を、記憶部111から取得し、提示制御部718に出力する。上記情報は、予め作成され、記憶部111等の記憶装置に格納されている。上記情報は、車両Aの前方の対向車両に向けて表示される第三情報と、車両Aの後方の後続車両に向けて表示される第四情報とを含む。提示制御部718は、ステップS714と同様に、第三情報を前部提示装置7に出力し表示させ、第四情報を後部提示装置8に出力し表示させる。また、提示制御部718は、第三情報を対向車両の端末装置に送信して表示させ、第四情報を後続車両の端末装置に送信して表示させてもよい。
【0227】
生成部709は、対向車両の後退を認識すると(ステップS719でYes)、ステップS101に戻り、対向車両の後退を認識できない場合(ステップS719でNo)、ステップS720に進む。
【0228】
ステップS720において、生成部709は、ステップS715と同様に、車両Aの後退させるための車両制御情報を生成し、車両Aを後退させる。また、ステップS721及びS722の処理は、ステップS707及びS708の処理と同様である。
【0229】
また、ステップS723において、生成部709は、ステップS714と同様に、車両Aの後退の意思を他車両等に示すための情報を、提示制御部718に出力し、前部提示装置7及び後部提示装置8、並びに/又は、対向車両及び後続車両の端末装置に表示させる。また、また、ステップS724~S727の処理は、ステップS719~S722の処理と同様である。
【0230】
[7-3.効果]
上述したように、2つの車両のうちの一方に搭載される実施の形態7に係る情報処理装置700は、車両Aと対向車両とが対峙状態になったとき、この対峙状態を解消するための通信を当該対向車両との間で確立できない場合、走行制御情報に対応する車両Aの動作の意思を当該対向車両に表示することで、円滑な離合を図る。さらに、情報処理装置700は、走行制御情報に対応する車両Aの動作の意思を後続車両に表示することで、より円滑な離合を図る。
【0231】
また、実施の形態7に係る情報処理装置700は、例えば、第1車両としての車両Aに搭載される。このような情報処理装置700は、少なくとも第2車両としての対向車両への情報の提示を制御する提示制御部718を備える。提示制御部718は、通信部102が対向車両と通信できない場合、走行制御情報に対応する情報を前部提示装置7に提示させる。上記構成によると、車々間通信を確立できない車両に対しても、対峙状態の円滑な解消が可能になる。
【0232】
[変形例1]
変形例1に係る情報処理装置100を説明する。上記実施の形態では、車両の走行は自律走行又は手動走行のいずれか一方のみであったが、変形例1では、自律走行と手動走行が切り替えられる。以下において、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0233】
[情報処理装置の構成]
変形例1に係る情報処理装置100及びその周辺の構成を説明する。
図26は、変形例1に係る情報処理装置100を備える車両Aの機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図26に示すように、車両Aは、さらに走行モード切替制御部10を備える。
【0234】
走行モード切替制御部10は、車両Aの走行モードを自律走行モード又は手動走行モードに切り替える。自律走行モードでは車両Aが自律的に走行し、手動走行モードでは車両Aは乗員の運転に従って走行する。走行モード切替制御部10は、(1)対峙状態が発生した場合、又は、(2)対峙状態が発生し車両Aが後退する場合、走行モードを切り替えるか否かを、入出力装置を介して乗員に問い合わせる。入出力装置としては、例えばタッチパネルディスプレイがある。走行モード切替制御部10は、問合せに対する乗員の応答に応じて走行モードを切り替える。
【0235】
具体的には、走行モード切替制御部10は、走行モードが自律走行モードである場合は、自律走行モードから手動走行モードに切り替えるかを問合せる。例えば、上記(1)の場合、
図27のケース1に示されるような走行モードを切り替えるか否かを問い合わせる画面がディスプレイに表示される。あるいは、後退距離が比較された後であれば、
図27のケース2に示されるような後退距離の比較結果が含まれる画面がディスプレイに表示される。上記(2)の場合、
図27のケース3に示されるような自車両すなわち車両Aが後退する旨が含まれる画面がディスプレイに表示される。手動走行モードに切り替える旨の応答があった場合、走行モード切替制御部10は、自律走行モードから手動走行モードに切り替える。走行モードを切り替える際に、切り替わる旨又は切り替わった旨が乗員に通知されてもよい。
【0236】
[情報処理装置の動作]
変形例1に係る情報処理装置100の動作を、
図28を参照しつつ説明する。
図28は、変形例1に係る情報処理装置100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、上記実施の形態との差分についてのみ説明する。
【0237】
上記(1)の場合において、ステップS107において対峙状態であると判定された場合、ステップS801において、走行モード切替制御部10は、自律走行モードから手動走行モードに切り替えるか否かを判定する。例えば、走行モード切替制御部10は、自律走行モードから手動走行モードに切り替えるか否かを、入出力装置を介して乗員に問い合わせる。切り替える旨の応答が得られた場合、走行モード切替制御部10は、自律走行モードから手動走行モードに切り替えると判定する。
【0238】
ステップS801において自律走行モードから手動走行モードに切り替えると判定された場合、ステップS802において、走行モード切替制御部10は、自律走行モードから手動走行モードに切り替える。その後、自律走行モードへの切り替えが指示されるまで手動走行モードが維持される。なお、ステップS801において自律走行モードから手動走行モードに切り替えないと判定された場合、ステップS108に処理が進む。
【0239】
あるいは、後退距離が比較された後に問合せが行われる場合、ステップS109の後に、ステップS801に処理が進む。
【0240】
具体的には、上記(2)の場合において、ステップS110において後退距離が対向車より短いと判定された場合、ステップS801に処理が進む。なお、ステップS801において自律走行モードから手動走行モードに切り替えないと判定された場合、ステップS111に処理が進む。
【0241】
[変形例2]
変形例2に係る情報処理装置100を説明する。上記実施の形態では、道幅取得部104が道幅を取得し、離合可能地点取得部106が取得された道幅から離合可能地点であるか否かを判定したが、変形例2では、外部に設置される発信機等からビーコン信号を受信し、離合可能地点取得部106が受信されたビーコン信号から離合可能地点であるか否かを判定する。例えば、
図29に示したように、離合困難な区間の開始と終了の地点の路側にそれぞれ発信機が設置される。車両は発信機からビーコン信号を受信することで離合困難な区間に進入することを検出する。そして、車両の対峙が発生した場合、上記実施の形態で説明したような処理が行われ、一方の車両が後退し他方の車両が前進する。これにより、車両の離合が実現される。以下において、上記実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0242】
[情報処理装置の構成]
変形例2に係る情報処理装置100及びその周辺の構成を説明する。
図30は、変形例2に係る情報処理装置100を備える車両Aの機能的な構成の一例のブロック図を示す。
図30に示すように、車両Aは、道幅取得部104の代わりにビーコン信号受信部20を備える。
【0243】
ビーコン信号受信部20は、路側などに設置された発信機から送信されるビーコン信号を受信する。発信機から発信されるビーコン信号には、離合可能地点又は離合困難な地点を示す情報が含まれる。
【0244】
離合可能地点取得部106は、ビーコン信号受信部のビーコン信号の受信に基づいて離合可能地点を判定する。例えば、離合が困難な地点にのみ当該発信機が設置される場合、離合可能地点取得部106は、当該発信機からのビーコン信号を受信した場合に、当該ビーコン信号が受信された地点が離合困難な地点と判定する。なお、ビーコン信号が離合可能地点又は離合困難地点を示す場合は、離合可能地点取得部106は、ビーコン信号がいずれを示すかを判定する。例えば、受信されたビーコン信号が離合可能地点を示す場合は、当該ビーコン信号が受信された地点が離合可能地点と判定される。受信されたビーコン信号が離合困難な地点を示す場合は、当該ビーコン信号が受信された地点が離合困難な地点と判定される。
【0245】
[情報処理装置の動作]
変形例2に係る情報処理装置100の動作を、
図31を参照しつつ説明する。
図31は、変形例2に係る情報処理装置100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、上記実施の形態との差分についてのみ説明する。
【0246】
ステップS102において目的地に到着したと判定されなかった場合、ステップS901において、ビーコン信号受信部20は、ビーコン信号の受信を待ち受ける。
【0247】
ステップS902において、離合可能地点取得部106は、ビーコン信号が受信されたかを判定する。例えば、離合可能地点取得部106は、ビーコン信号受信部20が離合困難な区間の開始及び終了地点に設置される発信機からビーコン信号を受信したかを判定する。当該ビーコン信号が受信されたと判定された場合、ステップS106に処理が進む。当該ビーコン信号が受信されたと判定されなかった場合、ステップS107に処理が進む。
【0248】
[その他]
以上、1つ又は複数の態様に係る情報処理装置等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0249】
例えば、実施の形態に係る情報処理装置は、車々間通信装置1、対峙情報取得装置2、地
図DB3、道路情報取得装置4、自車位置計測装置5及び自律走行制御装置6等の少なくとも1つを含む装置又はシステムを構成してもよい。
【0250】
また、上述したように、本開示の技術は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読取可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM等の不揮発性の記録媒体を含む。
【0251】
例えば、上記実施の形態に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0252】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0253】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUなどのプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0254】
また、上記構成要素の一部又は全部は、脱着可能なIC(Integrated Circuit)カード又は単体のモジュールから構成されてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記のLSI又はシステムLSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。これらICカード及びモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0255】
本開示の情報処理方法は、MPU(Micro Processing Unit)及びCPUなどのプロセッサ、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。
【0256】
さらに、本開示の技術は、ソフトウェアプログラム又はソフトウェアプログラムからなるデジタル信号によって実現されてもよく、プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0257】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0258】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本開示の技術は、車々間通信する車両に有用である。
【符号の説明】
【0260】
1 車々間通信装置
2 対峙情報取得装置
3 地
図DB
4 道路情報取得装置
5 自車位置計測装置
6 自律走行制御装置
7 前部提示装置
8 後部提示装置
10 走行モード切替制御部
20 ビーコン信号受信部
100,200,300,400,500,600,700 情報処理装置
101 管理部
102 通信部
103 対向車検出部
104 道幅取得部
105 自車位置取得部
106 離合可能地点取得部
107,607 判定部
108 後退距離取得部
109,209,309,409,509,609,709 生成部
110 出力部
111 記憶部
212 後退台数取得部
413 後退距離和算出部
514 離合可能区間取得部
515 区間距離取得部
604 前方道幅取得部
616 狭隘区間特定部
717 他車後退距離推定部
718 提示制御部