(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
G01F3/22 B
G01F3/22 D
(21)【出願番号】P 2018216752
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗本 由子
(72)【発明者】
【氏名】中田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光伸
(72)【発明者】
【氏名】岩本 龍志
(72)【発明者】
【氏名】木場 康雄
(72)【発明者】
【氏名】大和久 崇
(72)【発明者】
【氏名】宇野 長武
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 博久
(72)【発明者】
【氏名】土屋 創太
(72)【発明者】
【氏名】田中 恭太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝信
(72)【発明者】
【氏名】久米村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
(72)【発明者】
【氏名】田村 至
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】坂野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5773905(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、
前記制御手段は、製造工程における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第1オフセット値と設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値との差分値Aを算出し、前記差分値Aが所定値以上の場合に傾き異常と判定することを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、
前記制御手段は、設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値と設置した以降に所定条件で取得した前記感震センサの3軸方向の加速度値である第3オフセット値との差分値Bを算出し、前記差分値Bが所定値以上の場合に傾き異常と判定
し、
前記制御手段が判定する傾き異常判定は、前記ガスメータを設置した以降は遮断復帰時に実施することを特徴とするガスメータ。
【請求項3】
ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、
前記制御手段は、設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値と設置した以降に所定条件で取得した前記感震センサの3軸方向の加速度値である第3オフセット値との差分値Bを算出し、前記差分値Bが所定値以上の場合に傾き異常と判定し、
前記制御手段が判定する傾き異常判定は、感震遮断を起点に予め定めた所定期間、定期的に実施することを特徴とす
るガスメータ。
【請求項4】
ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、
前記制御手段は、設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値と設置した以降に所定条件で取得した前記感震センサの3軸方向の加速度値である第3オフセット値との差分値Bを算出し、前記差分値Bが所定値以上の場合に傾き異常と判定し、
前記制御手段が判定する傾き異常判定は、前記ガスメータを設置した以降は予め設定した第1の所定期間毎に実施することを特徴とす
るガスメータ。
【請求項5】
前記制御手段が判定する傾き異常判定は、感震遮断を起点に予め定めた第2の所定期間以内であれば予め定めた前記第1の所定期間よりも短い第3の所定期間毎に実施することを特徴とする請求項
4に記載のガスメータ。
【請求項6】
更に表示手段を備え、
前記制御手段は、前記感震センサからの3軸方向の加速度値の情報や傾き検知の度合いを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3軸方向の加速度値が取得可能な感震センサを搭載したガスメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスメータは3軸方向の加速度センサを搭載し、震度判定に基づいてメータを遮断することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来のガスメータを示すものである。
図7に示すように、加速度センサを搭載したガスメータ100は、筐体101a内のガス流路105中に配設された需要家のガス使用量を計測する流量センサ104と、ガス流路105内の圧力計測のための圧力センサ107と、緊急時にガス供給を遮断するための遮断弁106と、地震検知及びガスメータの傾き検知を行う加速度センサ103と、需要家のガス使用量を表示する使用量表示部109と、ガスメータの傾きが閾値を超えている場合にアラーム発報を行うアラーム表示部108と、これら各部と情報の授受を行って必要な指令を発する制御部102と、から構成されており、制御部102は、加速度センサ103により得た3軸加速度に基づくガスメータの傾き判定、及び判定結果に基づく遮断弁106の開閉制御及びアラーム発報制御、等を行う機能を備えている。
【0004】
制御部102により実行されるガスメータ設置以降の傾き監視は、ガスメータ設置完了後にガスメータ起動操作が行われると始まり、加速度センサ103により加速度値の測定が行われ、3軸の値変動が所定の閾値以内に収まっていることをもってガスメータの静止状態を確認し、この状態で初期オフセット値θ0、φ0の取得が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、ガスメータ設置時は初期オフセット値のみで基準値無しで傾きを判定するため、傾きが無いときのオフセットをゼロにしておく必要があるが、実際には制御部102を構成する電子部品が配置されたコントロール基板(図示せず)への加速度センサ103の組み込み状態や、コントロール基板のガスメータの筐体101aの組み付け状態による影響、加速度センサ103固有のオフセット等の誤差が生じるため、オフセットをゼロに調整する補正などが必須であるという課題を有していた。
【0007】
また、地震による影響として液状化現象がある。液状化現象が発生すると急激な倒壊というよりは比較的緩やかな速さで家屋等が傾いていくことが予想されるが、従来の構成では、緩やかな速さの傾きを検出することは困難であるという課題を有していた。
【0008】
また、従来の構成には3軸方向の加速度値の情報に基づいた表示や傾きの度合いの表示などを行う機能はなく、ガスメータ設置時の傾きを知る手段には、水準器等の傾きを計測する計測器等が必要で、かつ、計測作業が必須であるため設置作業が煩雑になるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、感震センサのオフセット値の補正を必要とせず、ガスメータ設置時、遮断復帰時、或いは定期的にガスメータの傾きを検知し、所定値以上に傾いていると判定した場合は傾き異常とするガスメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来技術の課題を解決するために、本発明のガスメータは、ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、前記制御手段は、製造工程における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第1オフセット値と設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値との差分値Aを算出し、前記差分値Aが所定値以上の場合に傾き異常と判定することを特徴とするものである。
【0011】
これによって、ガスメータを設置した時点に取得したオフセット値と、ガスメータ製造時に傾きがない状態で取得した出荷段階のオフセット値との差分値を判定値と比較して傾き異常判定を行うため、出荷段階でのオフセット値の補正を必要とせず、傾き異常の判定の精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガスメータは、ガスメータを製造する段階で出荷段階でのオフセット値の補正を必要とせず、ガスメータ設置時やガスメータ復帰時の傾き判定を精度よく実施することができ、また、所定期間ごとに傾き判定を実施することで、より安全性を向上しつつ、傾き判定を精度よく実施することができ、また更に、加速度値や傾き度合いなどの傾き情報を表示することで、傾きを計測する計測機器が不要となり、ガスメータのメンテナンス作業をより効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるガスメータのブロック図を示すものである。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるガスメータのフローチャートを示すものである。
【
図3】本発明の実施の形態2におけるガスメータのフローチャートを示すものである。
【
図4】本発明の実施の形態3におけるガスメータのブロック図を示すものである。
【
図5】本発明の実施の形態3におけるガスメータのフローチャートを示すものである。
【
図6】本発明の実施の形態4におけるガスメータのフローチャートを示すものである。
【
図7】従来の実施の形態におけるガスメータのブロック図を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、前記制御手段は、製造工程における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第1オフセット値と設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値との差分値Aを算出し、前記差分値Aが所定値以上の場合に傾き異常と判定することを特徴とすることにより、ガスメータ設置時のオフセット値と、ガスメータ製造時に傾きがない状態で取得した出荷段階のオフセット値との差分値を判定値と比較して傾き異常判定を行うため、出荷段階でのオフセット値の補正を必要とせず、傾き異常の判定の精度を向上することができる。
【0015】
第2の発明は、ガスを遮断する遮断弁と、ガスの流量を計測する流量計測手段と、3軸方向の加速度値によって地震検知や傾き検知を行う感震センサと、前記流量計測手段および前記感震センサの情報に基づき地震および傾き異常を判定して前記遮断弁の開閉制御を行う制御手段とを備えたガスメータであって、前記制御手段は、設置時における前記感震センサの3軸方向の加速度値である第2オフセット値と設置した以降に所定条件で取得した前記感震センサの3軸方向の加速度値である第3オフセット値との差分値Bを算出し、前記差分値Bが所定値以上の場合に傾き異常と判定することを特徴とするもので、ガスメータ設置時のオフセット値と、設置以降に取得したオフセット値との差分値を判定値と比較して傾き異常判定を行うため、設置時のオフセット値の補正を必要とせず、傾き異常の判定の精度を向上することができる。
【0016】
第3の発明は、特に第2の発明において、前記制御手段が判定する傾き異常判定は、前記ガスメータを設置した以降は遮断復帰時に実施することを特徴とするもので、設置時以降に行う傾き異常の判定の精度を向上することができる。
【0017】
第4の発明は、特に第2の発明において、前記制御手段が判定する傾き異常判定は、感震遮断を起点に予め定めた所定期間、定期的に実施することを特徴とするもので、地震等による遮断後は、所定期間だけ傾き異常の判定の精度を向上することができる。
【0018】
第5の発明は、特に第2の発明において、前記制御手段が判定する傾き異常判定は、前記ガスメータを設置した以降は予め設定した第1の所定期間毎に実施することを特徴とするもので、地震検知に至らない加速度値の変化が続くような傾き現象を判定することができ、遮断が発生しない場合であっても傾き異常の判定を精度よく実施することができる。
【0019】
第6の発明は、特に第5の発明において、前記制御手段が判定する傾き異常判定は、感震遮断を起点に予め定めた第2の所定期間以内であれば予め定めた前記第1の所定期間よりも短い第3の所定期間毎に実施することを特徴とするもので、地震による感震遮断を起点に、傾き異常判定の頻度を上げて異常判定を実施するため、いち早く傾き異常を精度よく判定することができ、安全性も向上できる。
【0020】
第7の発明は、更に表示手段を備え、前記感震センサからの3軸方向の加速度値の情報や傾き検知の度合いを前記表示手段に表示することを特徴とするもので、ガスメータの傾き状態を目安として容易に認知することができ、傾きを計測する計測機器が不要となり、設置時及び復帰時の作業を精度よく、かつ効率よく実施することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるガスメータのブロック図を示すものである。
【0023】
図1において、ガスメータ10は、遮断弁1、3軸の加速度センサを用いた感震センサ2、流量計測手段3、復帰手段4、開栓操作手段5、制御手段6、ガスメータを製造したときに傾きのない状態で取得した出荷段階のオフセット値である第1オフセット値を記憶する第1オフセット値記憶手段7、ガスメータを設置したときに取得した設置時のオフセット値である第2オフセット値を記憶する第2オフセット値記憶手段8、ガスメータを設置以降に所定の条件が成立した時点のオフセット値である第3オフセット値を記憶する第3オフセット値記憶手段9、感震センサ2からの3軸方向の加速度値の情報や傾き検知の度合いを表示する表示手段12から構成されている。
【0024】
次に、ガスメータを設置するときの傾き異常判定の動作について、
図1および
図2を用いて説明する。
【0025】
まず、ガスメータ10はメータ製造工程で製造される。このとき傾きのない状態での出荷段階のオフセット値を感震センサ2から取得し、制御手段6を経由して、第1オフセット値として第1オフセット値記憶手段7に保存する。感震センサ2からのオフセット値の取得方法は、例えば3軸のそれぞれに対して加速度値のばらつきが所定範囲内にある安定した所定期間の平均値を算出するなどの手段であってもよい。
【0026】
次に、ガスメータ10を設置場所に設置する。このときガスメータは、例えば水平方向に傾きが5°以内になるように設置される。ガスメータ10がガス配管に接続され、開栓操作手段5と復帰手段4により開栓動作を行うことで、ガスメータが使用可能な状態となる(
図2のステップS1)。このとき設置段階のオフセット値を感震センサ2から取得し、制御手段6を経由して、第2オフセット値として第2オフセット値記憶手段8に保存する(
図2のステップS2)。
【0027】
そして、第2オフセット値を取得すると、第1オフセット値記憶手段に保存した第1オフセット値との差分値Aを算出する(
図2のステップS3)。次に、算出した差分値Aと設置時の傾き異常を判定する判定値1とを比較する(
図2のステップS4)。差分値Aが判定値1以上であれば、設置時傾き異常が成立する(
図2のステップS5)。また、差分値Aが判定値1未満であれば、設置時傾き異常は非成立となる(
図2のステップS6)。
【0028】
以上がガスメータ10を設置するときの傾き異常判定の動作である。
【0029】
以上のように本実施の形態においては、ガスメータ10を設置するときに、設置段階の第2オフセット値を取得し、ガスメータを製造するときに傾いていない状態で取得した出荷段階の第1オフセット値との差分値Aを算出して、差分値Aが判定値1以上であれば、設置時傾き異常とすることにより、出荷段階(製造時を含む)に加速度値を補正することなく、加速度値の分解能に基づいた高精度で異常判定をすることができる。
【0030】
(実施の形態2)
図3は、本実施の形態のフローチャートを示すものである。また、システム構成は実施の形態1で使用した
図1と同様であり、説明は省略する。
【0031】
実施の形態2は、ガスメータが何らかの要因で遮断状態になり、復帰するときの傾き異常判定の動作であり、以下、
図1および
図3を用いて説明する。
【0032】
まず、ガスメータ10の遮断弁1は閉弁状態となっている。復帰手段4により、例えば、復帰操作用のスイッチ操作がなされると遮断復帰動作を行う(
図3のステップS7)。このとき復帰段階のオフセット値を感震センサ2から取得し、制御手段6を経由して、第3オフセット値として第3オフセット値記憶手段9に保存する(
図3のステップS8)。
【0033】
そして、第3オフセット値を取得すると、第2オフセット値記憶手段に保存した第2オフセット値との差分値Bを算出する(
図3のステップS9)。次に、算出した差分値Bと遮断復帰時の傾き異常を判定する判定値2とを比較する(
図3のステップS10)。差分値Bが判定値2以上であれば、復帰時傾き異常が成立する(
図3のステップS11)。また、差分値Bが判定値2未満であれば、復帰時傾き異常は非成立となる(
図3のステップS12)。
【0034】
以上が、ガスメータが遮断復帰するときの傾き異常判定の動作である。
【0035】
以上のように、本実施の形態では、ガスメータ10を遮断状態から復帰するときに、復帰段階の第3オフセット値を取得し、ガスメータを設置するときに傾いていないと判定したときの設置段階の第2オフセット値との差分値Bを算出して、差分値Bが判定値2以上であれば、復帰時傾き異常とすることにより、設置時傾き異常の判定と同様に設置時に加速度値を補正することなく、加速度値の分解能に基づいた高精度で異常判定をすることができる。
【0036】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態におけるガスメータのブロック図を示すものである。
【0037】
図4において、実施の形態1で用いた
図1との差異は、タイマ手段11が追加された点であり、同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。また、実施の形態1は、遮断復帰のタイミングで傾き判定を行うのに対し、本実施の形態は、定期的に傾き判定を行うものである。
【0038】
タイマ手段11は、定期的な傾き判定を実施するための第1の所定期間(例えば、30日間)の時間経過を計時する。
【0039】
定期的に確認するときの傾き異常判定の動作について、
図4および
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、タイマ手段11は、設置された以降、定期的に確認するための第1の所定期間の計時を行い、第1の所定期間が経過したか否かを判定する(
図5のステップS13)。第1の所定期間が経過すると、第1の所定期間の計時をリスタートする(
図5のステップS13)。
【0041】
次に、第1の所定期間が経過したときのオフセット値を感震センサ2から取得し、制御手段6を経由して、第3オフセット値として第3オフセット値記憶手段9に保存する(
図5のステップS8)。そして、第3オフセット値を取得すると、第2オフセット値記憶手段に保存した第2オフセット値との差分値Bを算出する(
図5のステップS9)。
【0042】
そして、算出した差分値Bと復帰時傾き異常を判定する判定値2とを比較する(
図5のステップS10)。差分値Bが判定値2以上であれば、定期時傾き異常が成立する(
図5のステップS15)。また、差分値Bが判定値2未満であれば、定期時傾き異常は非成立となる(
図5のステップS16)。
【0043】
以上がガスメータを定期的に確認するときの傾き異常判定の動作である。
【0044】
以上のように本実施の形態においては、ガスメータ10の第1の所定期間が経過するときに、第3オフセット値を取得し、ガスメータを設置するときに傾いていないと判定したときの設置段階の第2オフセット値との差分値Bを算出して、差分値Bが判定値2以上であれば、定期時傾き異常とすることにより、復帰時傾き異常の判定と同様に設置時に加速度値を補正することなく、加速度値の変化量の少ない振動による傾きについても、加速度値の分解能に基づく高精度で異常判定をすることができる。
【0045】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4として、感震遮断後の傾き異常判定の動作について、
図4および
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0046】
本実施の形態4におけるガスメータのブロック図は、実施の形態3と同じであり、異なるのはタイマ手段11の動作と、それに伴う第3オフセット値の取得タイミングである。
【0047】
また、実施の形態3は定期的に傾き判定を行うものであるが、本実施の形態は感震遮断後の経過時間で傾き判定を行う点が異なる。
【0048】
タイマ手段11は、第2の所定期間(例えば、5日間)および第3の所定期間(例えば、1時間)を有し、それぞれの時間経過を計時する。ガスメータ10は、感震センサ2により地震を検知し感震遮断により遮断弁1を閉弁する(
図6のステップS17)。次に、感震遮断後の一定期間である第2の所定期間と、第2の所定期間内に定期的に傾き判定を行う周期である第3の所定期間との計時を始める(
図6のステップS18)。
【0049】
次に、第3の所定期間の経過を判定する(
図6のステップS19)。第3の所定期間が経過したとき、第3の所定期間の計時をリスタートする(
図6のステップS20)。次に、第3の所定期間が経過したときのオフセット値を感震センサ2から取得し、制御手段6を経由して、第3オフセット値として第3オフセット値記憶手段9に保存する(
図6のステップS8)。
【0050】
そして、第3オフセット値を取得すると、第2オフセット値記憶手段に保存した第2オフセット値との差分値Bを算出する(
図6のステップS9)。次に、算出した差分値Bと復帰時傾き異常を判定する判定値2とを比較する(
図6のステップS10)。
【0051】
そして、差分値Bが判定値2以上であれば、定期時傾き異常が成立する(
図6のステップS15)。また、差分値Bが判定値2未満であれば、定期時傾き異常は非成立する(
図6のステップS16)。
【0052】
一方、第3の所定期間が経過していないときは、第2の所定期間の経過を判定し、感震動遮断後の所定期間だけ、定期的な傾き異常判定を実施するよう動作する(
図6のステップS21)。
【0053】
以上のように本実施の形態においては、地震による感震遮断を起点に第2の所定期間である所定期間だけ、第1の所定期間よりも短い期間である第3の所定期間毎に傾き異常判定を実施することで、傾き異常判定の頻度を増やすことになり、加速度値の変化量の少ない振動による傾きについても、加速度値の分解能に基づく高精度で異常判定をすることができ、かつ安全性を向上することもできる。
【0054】
なお、実施の形態2で説明した第1の所定期間による定期的な傾き異常判定を実施しながら、感震遮断が発生した場合は、第2の所定期間だけ、第1の所定期間よりも短い第3の所定期間毎に傾き異常判定を実施するように構成しても良いし、第3の所定期間は、感震遮断が発生してからの経過時間に応じて何段階かに区分して、経過時間が長くなるにつれて、長くするように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明にかかるガスメータは、ガスメータ設置時、ガスメータ復帰時および定期的な確認時に、傾きがない状態のオフセット値を基準に、それぞれの実施時点のオフセット値と比較して傾きを判定できるので、感震センサのオフセット調整を必要とせず、精度よく傾き異常を判定でき、メンテナンス作業を効率的に実施することが可能になるので、電気メータや水道メータ等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 遮断弁
2 感震センサ
3 流量計測手段
4 復帰手段
5 開栓操作手段
6 制御手段
7 第1オフセット値記憶手段
8 第2オフセット値記憶手段
9 第3オフセット値記憶手段
10 ガスメータ