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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】イオン溶出ユニット
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20060101AFI20220816BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20220816BHJP
   C25B 1/01 20210101ALI20220816BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B9/65
C25B1/01 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018237628
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020099838
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】桂 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 靖
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-015260(JP,A)
【文献】特開2011-92858(JP,A)
【文献】特開平7-214065(JP,A)
【文献】特開2004-188174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0157962(US,A1)
【文献】特開2007-90095(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103910414(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0062669(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0107187(KR,A)
【文献】韓国公開特許第2000-0019641(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46 - 1/48
C25B 1/00 - 9/77
13/00 - 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が通過する通水経路が形成されたケースと、
当該ケースの前記通水経路に配置され水中に金属イオンを溶出する電極と、
当該電極と接続し前記電極に電圧を印加する端子と、
前記ケースに形成され前記電極及び前記端子を挿入する電極挿入口と、を備え、
前記ケース内の前記通水経路と前記電極挿入口との間に水の侵入を阻止する仕切壁を設置し、前記電極挿入口と前記仕切壁との間に前記通水経路よりも上方となるよう記ケース内に形成された空気室内に前記電極と前記端子との接続部を配置し、
前記電極挿入口からの漏水を防止する漏水防止手段として、前記端子が貫通可能な貫通穴を有して前記電極挿入口に取り付けられるフタと、前記フタの外周面と前記電極挿入口の内周面との間に位置するOリングと、前記貫通穴の内周面と前記端子の外周面との間に位置するOリングとを備えたことを特徴とするイオン溶出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属イオンを水中に溶出する電極をケース内に備えたイオン溶出ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、水が通過する通水経路途中に銀イオンを溶出する電極を設置したケースを水が流れる配管途中に備え、ケースを貫通して電極と接続し電極とは異種の金属で構成された端子により電極へ電圧を印加し、抗菌作用のある銀イオンを効率的に溶出するものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5345038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、端子と電極との接続部がケース内の通水経路に曝されることから、端子が電極よりイオン化傾向の高い金属で構成された場合、端子が電食の影響で電極よりも早く消耗して体積が減少し、電食による消耗が進行すると端子と電極との接続部が折れる虞があったことから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1では、水が通過する通水経路が形成されたケースと、
当該ケースの前記通水経路に配置され水中に金属イオンを溶出する電極と、
当該電極と接続し前記電極に電圧を印加する端子と、
前記ケースに形成され前記電極及び前記端子を挿入する電極挿入口と、を備え、
前記ケース内の前記通水経路と前記電極挿入口との間に水の侵入を阻止する仕切壁を設置し、前記電極挿入口と前記仕切壁との間に前記通水経路よりも上方となるよう記ケース内に形成された空気室内に前記電極と前記端子との接続部を配置し、
前記電極挿入口からの漏水を防止する漏水防止手段として、前記端子が貫通可能な貫通穴を有して前記電極挿入口に取り付けられるフタと、前記フタの外周面と前記電極挿入口の内周面との間に位置するOリングと、前記貫通穴の内周面と前記端子の外周面との間に位置するOリングとを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ケース内にある電極と端子との接続部が空気室となるよう通水経路と電極挿入口との間に仕切壁を設置したので、電極と端子の接続部が水に曝されないことから、電食での消耗により端子の体積が電極よりも早く減少し、電極と端子との接続部が折れることを防止できる。
【0009】
また、空気室が通水経路よりも上方となるようケース内に配置したので、通水経路の水が仕切壁を越えて空気室内へ侵入するリスクを減らすことができ、電極と端子の接続部が水に曝されるリスク低減を可能とする。
【0010】
また、電極挿入口に漏水防止手段を備えたので、万一、仕切壁から空気室側へ水が侵入しても電極挿入口からケース外への漏水を阻止することができるため、漏水発生による製品の信頼性低下を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の一実施形態の外観を説明する斜視図である。
図2】同実施形態の概略構成図である。
図3】同実施形態の制御ブロック図である。
図4】同実施形態の運転開始から終了までの動作を説明するフローチャートである。
図5】同実施形態のイオン溶出ユニットを説明する正面図である。
図6】同実施形態のイオン溶出ユニットを説明する分解斜視図である。
図7】同実施形態のイオン溶出ユニットを説明するフタを外した状態の平面図である。
図8】同実施形態のイオン溶出ユニットを説明する正面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明の一実施形態におけるイオン溶出ユニットを用いた加湿装置を図に基づいて説明する。
1は器具本体、2は器具本体1上部に器具本体1の前面と平行な位置関係となるように形成され複数のルーバー3が設置された送風口、4は器具本体1の正面上部を構成する上面パネル、5は器具本体1の正面下部を構成する下面パネル、6は複数のスイッチが備えられ各種操作指令を行う操作部、7は図示しないブレーカーを隠すブレーカーカバー、8は器具本体1の底面及び前面下方に形成され室内空気を器具本体1内に取り込む吸入口である。
【0013】
10は器具本体1内の略中段高さ位置にあって所定量の水を貯水する貯水室であり、この貯水室10内には、水に下端を水没させ駆動軸11に軸支された筒状の回転体12が備えられている。
【0014】
前記回転体12は、中空逆円錐形で上方に向かって円周が徐々に拡大するものであり、駆動軸11に接続され回転体12を回転駆動させるミストモータ13を駆動させ、回転体12が回転することによる回転の遠心力で貯水室10の水を汲み上げ、回転体12の外壁および内壁を伝わせて水を押し上げて、回転体12の外壁を伝わせて押し上げた水を周囲に飛散させると共に、回転体12の内壁を伝わせて押し上げた水を回転体12の上端に形成された複数の図示しない飛散口から外周方向へ飛散させる。
【0015】
14は回転体12の上部外周に所定間隔を離間させて位置し回転体12と共に回転する円筒状の多孔体で、該多孔体14には、その全周壁に多数のスリットや金網やパンチングメタル等から成る衝突体としての多孔部15が設置されている。
【0016】
前記ミスト発生部を構成するミストモータ13を駆動させ、回転体12を回転させたことで発生する遠心力で貯水室10内の水を汲み上げると共に空気を飛散させ、多孔部15を通過した水滴が破砕されることで、水を微細化して粒径がナノメートル(nm)サイズのミスト(以下、微細ミスト)が多量に生成されると共に、比較的粒径の大きな水滴(以下、大径水滴)とが生成され、水の微細化によるレナード効果によって微細ミストに負イオンが帯電し、大径水滴に正イオンが帯電した状態となる。
【0017】
20は下面パネル5内に設置され所定の回転数で駆動することで室内の乾燥空気を吸引して器具本体1の上部方向へ送風する送風ファン、21は当該送風ファン20下流側にあり送風が通過する送風経路であり、器具本体1の下部から吸い込まれた乾燥空気が前記送風経路21を通過して器具本体1の上部へ案内され、貯水室10の上部にありミストモータ13が載置された風洞22を介して貯水室10内へ流入する。
【0018】
なお、前記送風経路21は筐体で外部と区画された形態に限られず、例えば、ホース等による専用の区画壁により流路を形成したものであってもよい。
【0019】
23は貯水室10の上方の他端に風路が鉛直上向きとなるよう接続され貯水室10内で発生した微細ミスト及び大径水滴を含む加湿空気が内部を流通する気水分離風路、24は当該気水分離風路23内の途中に複数設置され鉛直上方へ傾斜する傾斜面を備えたバッフル板であり、気水分離風路23内の上段、中段、下段にそれぞれ設置されている。
【0020】
25は気水分離風路23の壁面を貫通し送風経路21を流通する空気の一部が流入可能なバイパス流入口であり、バイパス流入口25から気水分離風路23内へ空気が流入することで、貯水室10から上昇してきた加湿空気の風量を増大させ、送風口2から室内へ送風される加湿空気の送風量を上昇させることができる。
【0021】
30は貯水室10内に設置され貯水を加熱する加熱ヒータであり、貯水室10の外壁に設置され貯水温度を検知する貯水温度センサ31で検知される温度が所定温度となるよう、ON/OFF状態が適宜切り替えられる。
【0022】
32は貯水室10内に設置されフロートが上下することで水位を検知する水位センサであり、貯水室10内の水位が低下して所定水位以下になったらOFF信号を出力し、水位が上昇して所定水位以上になったらON信号を出力し、更に水位が上昇して貯水室10内が満水となったら満水信号を出力する。
【0023】
40は貯水室10側面に接続され貯水室10内に市水を給水する給水管であり、該給水管40の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室10内への給水を制御する給水弁41と、給水圧を所定値まで減圧する減圧弁42と、後述するイオン溶出ユニット43と、が備えられている。
【0024】
50は貯水室10底部に接続され貯水室10内の水を器具本体1外部に排水する硬質塩化ビニル管で構成された排水管であり、該排水管50の配管途中には、電磁弁を開閉して貯水室10内の水の排水を制御する排水切り替え手段としての排水弁51が備えられている。
【0025】
60は送風口2の上壁面に設置され送風口2から室内へ向けて送風される加湿空気の温度を検知する送風温度センサ、61は送風ファン20の近傍に設置され器具本体1の下部から吸い込まれた室内空気の温度を検知する吸気温度センサ、62は前記吸気温度センサ61の近傍に設置され器具本体1が設置された室内の湿度を検知する湿度センサであり、各センサで検知された温度や湿度に基づいて、ミストモータ13や送風ファン20の回転数を変化させ、加熱ヒータ30のON/OFF状態を切り替える。
【0026】
70は各センサで検知された検知値や操作部6上に備えられた各スイッチでの設定内容に基づき運転内容や弁の開閉を制御するマイコンで構成された制御部であり、ミストモータ13を所定の回転数で駆動させるミストモータ制御手段71と、送風ファン20を所定の回転数で駆動させる送風ファン制御手段72と、加熱ヒータ30のON/OFF状態を切り替えて貯水室10内の水温を制御する加熱ヒータ制御手段73とが備えられている。
【0027】
(運転動作の説明)
次に、この一実施形態での運転開始から終了までの動作について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、操作部6の図示しない運転スイッチが操作されたら、制御部70は、排水弁51を開放して貯水室10内の水を排水する。水位センサ32でOFF信号が検知されたら、給水弁41を開放して貯水室10内を水で洗い流すクリーニング動作を行い、所定時間経過したら排水弁51を閉止する。排水弁閉止の後、イオン溶出ユニット43内にあり後述する電極90へ電圧を印加することで銀イオンを溶出し、給水管40を介して貯水室10へ銀イオンを含んだ水を流入させる。そして、水位センサ32でON信号が検知されたら、所定量の水が貯水室10内に供給されたとして給水弁41を閉止し、電極90への電圧印加を停止する水入替モードを行う(ステップS101)。
【0028】
ステップS101の水入替モードが終了したら、制御部70は、貯水温度センサ31で検知される貯水温度が室温と同値になるまで加熱ヒータ制御手段73で加熱ヒータ30をON状態にして、ミストモータ13及び送風ファン20が所定の回転数となるようミストモータ制御手段71及び送風ファン制御手段72で制御する立ち上げ動作を実行する立ち上げモードを行う(ステップS102)。
【0029】
ステップS102の立ち上げモードが終了したら、制御部70は、設定された加湿レベルと風量レベルとに基づいてミストモータ13と送風ファン20とが所定の回転数で駆動するようミストモータ制御手段71と送風ファン制御手段72とで回転数を制御し、加熱ヒータ30のON/OFF状態を加熱ヒータ制御手段73で切り替えて制御して、加湿レベルと風量レベルとに合わせた所定の温度範囲内にするミスト運転を実行する通常運転モードを行う(ステップS103)。
【0030】
この通常運転モード時、貯水室10内の水位が低下し水位センサ32でOFF信号が検知されたら、制御部70は、給水弁41を開放すると共にイオン溶出ユニット43内にある電極90へ電圧を印加し、貯水室10内へ銀イオンを含んだ水を供給する。これにより、貯水室10内の水への抗菌作用が働き、貯水室10周辺でのぬめり発生を抑制することができる。
【0031】
ステップS103の通常運転モード中に図示しない運転スイッチが操作され運転終了の指示があったと判断したら、制御部70は、ミストモータ13を停止させてから排水弁51を開弁して貯水室10内の水を排水し、所定時間経過したら給水弁41を開放すると共にイオン溶出ユニット43内にある電極90へ電圧を印加し、貯水室10内を洗浄してから排水弁51を閉止して貯水室10内に所定量だけ貯水する水入替運転を行う。その後、加熱ヒータ30をON状態にして水を加熱することで除菌を行う除菌運転を所定時間行い、その後、所定時間経過後に貯水室10内を冷却する冷却運転を実行し、貯水温度が所定温度以下になったら排水弁51を開放して排水するクリーニングモードを行う(ステップS104)。
【0032】
ステップS104のクリーニングモードが終了したら、制御部70は、送風ファン20が所定の回転数(例えば、800rpm)で駆動するよう送風ファン制御手段72で制御し、貯水室10や送風経路21に送風して乾燥させることで菌の増殖を防止する乾燥モードを行い(ステップS105)、送風ファン20の駆動時間が所定時間(例えば、3時間)をカウントしたか判断し、3時間カウントしたら、送風ファン20を停止させて運転を終了する。
【0033】
(イオン溶出ユニットの説明)
次に、給水管40の途中に設置したイオン溶出ユニット43について詳述する。
図5、及び図6を参照する。イオン溶出ユニット43はティーズ形状のケース80で構成されている。当該ケース80は、上流側の給水管40と接続しケース80内へ水が流入する流入口81と、下流側の給水管40と接続しケース80内から水が流出する流出口82と、電極90が挿入可能な電極挿入口83と、を有している。
【0034】
図5、及び図8を参照する。ケース80内には、流入口81から流出口82まで水が通過可能とする通水経路88が形成されている。当該通水経路88はエルボ状の流路であり、流入口81が下方向、流出口82が右方向に位置している。そして、上方向に電極挿入口83が位置している。
【0035】
図6を参照する。前記電極挿入口83に挿入される電極90は上下方向の長さが左右方向の長さよりも長い銀板で構成されている。前記電極90は、接続部である上端90aの左右幅がその他の部分より短く形成されている。電極90の上端90aに電極90とは異なる金属である真鍮で構成された端子91が接続可能となる。当該端子91には、Oリング92が設置可能な凹部91aが形成されている。電極90の上端90aにあるビス穴90bと端子91の下端に形成されたビス穴91bとにビス93を挿入することで、端子91と電極90の接続が完了する。
【0036】
図6を参照する。84は電極挿入口83に取り付けられるフタである。当該フタ84は、端子91が接続された電極90をケース80内へ挿入した後、電極挿入口83の内周面との間にOリング85を挟み込んだ状態で電極挿入口83へ取り付けられる。フタ84を取り付けた後、電極挿入口83に形成されたビス穴83aとフタ84に形成されたビス穴84aとにビス86を装着することで、電極挿入口83へのフタ84の取り付けが完了する。また、フタ84が電極挿入口83に取り付けられると、フタ84に形成された貫通穴84bから端子91の上端が突出する。
【0037】
電極挿入口83へのフタ84の取り付けが完了すると、ケース80と電極挿入口83との間はフタ84及びOリング85で水密及び気密とされ、貫通穴84bと端子91との間はOリング92により水密及び気密とされる。よって、漏水防止手段として機能するフタ84、Oリング85及びOリング92によりケース80外への漏水を防止することができる。
【0038】
図7、及び図8を参照する。87はケース80内部の電極挿入口83付近にある仕切壁である。当該仕切壁87には電極90の左右幅及び前後幅より少し大きな幅の開口面積を有するスリット87aが2つ並行に形成されている。このスリット87aに電極90がそれぞれ挿入されて嵌め込まれることで、ケース80内にあり流入口81から流出口82までの水の流路である通水経路88が仕切壁87により仕切られる。
【0039】
図7、及び図8を参照する。仕切壁87のスリット87aへ上下方向が左右方向より長いたて長の電極90を流入口81の軸方向と一致するよう電極挿入口83から挿入することで、電極90がスリット87aに密着して装着が完了する。よって、左右方向が上下方向より長い横長の電極90を電極挿入口83から挿入する場合と比較し、電極挿入口83及びスリット87aの開口面積を大きくせず、電極90を仕切壁87のスリット87aへ装着することができることから、ケース80の大型化を防止できる。
【0040】
また、通水経路88がエルボ状であり流入口81の軸方向と一致するようにたて長の電極90を電極挿入口83から挿入するので、ストレート型の通水経路88が形成されたケース80に本実施形態と同様の開口面積を持つ電極挿入口83を配置した場合と比較し、大きな面積の電極90を通水経路88内に配置することができる。よって、電食の影響で電極90が消耗しても長期間に渡り電極90を継続して使用することができるため、電極90の交換頻度を少なくすることができる。
【0041】
図8を参照する。電極90を仕切壁87のスリット87aへ嵌め込むと、電極90の上部及び電極90と端子91との接続部である幅狭の上端90aが仕切壁87の上部に突出し、電極90がスリット87aと密着するので仕切壁87により電極挿入口83側への水の侵入が阻止される。これにより、ケース80内の仕切壁87とフタ84との間に水が侵入しない空気層である空気室89が形成され、当該空気室89内に電極90の上部及び電極90と端子91との接続部である幅狭の上端90aが配置される。よって、スリット87a内に電極90を嵌め込むだけで、電極90と端子91との接続部が仕切壁87により水に濡れない。
【0042】
図8を参照する。前記空気室89は通水経路88よりも上方に位置し、電極90の上端90a全体と上端90a付近の電極90の上部、及び端子91が配置される。よって、空気室89を通水経路88より下方に位置した場合と比較し、通水経路88内を通過する水が仕切壁87から空気室89側へ漏水するリスクが小さく、電極90の上端90a全体と上端90a付近の電極90、及び端子91が水に濡れない。
【0043】
また、万一空気室89内へ水が侵入する事態が生じても、漏水防止手段としてのフタ84、Oリング85及びOリング92によりケース80外への漏水が阻止される。よって、空気室89内に水が侵入してもケース80外への漏水を未然に阻止することができ、製品の信頼性低下を防ぐことができる。
【0044】
図5、及び図8を参照する。94は端子91の上端と一端が接続するリード線である。当該リード線は、他端が図示しない電源と接続しており電源からの通電により端子91へ通電し、電極90へ電圧が印加される。貯水室10内への給水を実施するタイミングで電極90へ電圧が印加されて銀イオンが溶出し、貯水室10内の水を清浄化して貯水室10付近でのぬめり発生を阻止することができる。
【0045】
次に、本発明の効果について説明する。
【0046】
ケース80内にある電極90の上端90a付近と端子91の全体とが水の侵入を阻止した空気室89へ配置されるよう、通水経路88と電極挿入口83との間に仕切壁87を設置する。よって、仕切壁87を設置することで端子91が通水経路88の水に曝されないので、銀で構成された電極90よりイオン化傾向が高い真鍮で構成された端子91の電食を阻止することができる。これにより、端子91が水に曝されることで電食により電極90よりも早く消耗して体積が減少し、電極90との接続部が折れる事態を未然に防ぐことができる。よって、製品の信頼性が向上する。
【0047】
また、空気室89はケース80内の通水経路88より上方となる位置に形成されている。これにより、空気室89がケース80内の通水経路88より下方となる位置に形成された場合と比較し、仕切壁87から漏水し空気室89へ水が侵入するリスクを減らすことができ、電極90と端子91の接続部である上端90aが水に曝されるリスク低減を可能とする。
【0048】
また、電極挿入口83に漏水防止手段としてのフタ84、Oリング85及びOリング92を備えたので、万一、通水経路88の水が空気室89側へ侵入しても電極挿入口83の水密が確保され、ケース80外への漏水を阻止することができる。よって、ケース80外への漏水発生による製品の信頼性低下を阻止することができる。
【0049】
また、通水経路88がエルボ状であり流入口81の軸方向と一致するようにたて長の電極90を電極挿入口83から挿入するので、長期間に渡り電極90を継続して使用することができるため、電極90の交換頻度を少なくすることができる。
【0050】
なお、本実施形態では空気室89内に電極90と端子91の接続部である幅狭の上端90aと上端90a付近の電極90上部が配置された構成で説明したが、電極90と端子91の接続部が空気室89内に配置されていれば本発明の目的は達成できる。よって、電極90の上端90aと端子91のみが空気室89内に配置された構成であってもよい。この場合、仕切壁87のスリット87aの開口面積を端子91の挿入幅に合わせず、電極90の挿入幅に合わせたままとする。これにより、電極挿入口83から電極90を挿入できるので、電極90の設置作業性低下を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態ではケース80の下方が流入口81、右方が流出口82で構成された内容で説明したが、流入口81と流出口82の位置は入れ替えてもよく、ケース80の下方が流出口82、右方が流入口81であってもよい。
【0052】
また、本実施形態では電極90に銀を用いた内容で説明したが、これに限らず金属イオンを溶出可能な金属を用いていればよい。例えば、銅や亜鉛等を電極90として使用し、銅イオンや亜鉛イオンを水中に放出して貯水室10内の水を清浄化することで、水のぬめり発生を抑制することができる。また、端子91は真鍮に限られず、電極90とは異なる材料の銅や鉄等の導電性を有した加工しやすい材料を用いてもよい。
【0053】
また、本実施形態ではイオン溶出ユニット43を加湿装置の給水管40途中に設置した内容で説明したが、これに限らず給湯器等の他の電気機器の配管途中にイオン溶出ユニット43を配置したものであってもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能なものである。
【符号の説明】
【0054】
43 イオン溶出ユニット
80 ケース
83 電極挿入口
84 フタ(漏水防止手段)
87 仕切壁
88 通水経路
89 空気室
90 電極
90a 上端(接続部)
91 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8