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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】モータを備えたエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20220816BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018529112
(86)(22)【出願日】2016-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2016079944
(87)【国際公開番号】W WO2017108394
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-11-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】15202139.0
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】マズール ベン
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】田村 佳孝
【審判官】西村 泰英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/015918(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0117842(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0216237(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0114409(US,A1)
【文献】特表2019-505179(JP,A)
【文献】特表2019-505192(JP,A)
【文献】国際公開第2013/027249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要ユニットと、
前記主要ユニットと取り外し可能なように結合されたカートリッジと、
前記主要ユニットに提供された電源と、
液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分であって、可動壁、出口、および前記出口に接続される一方向の弁を含む、前記カートリッジに提供された液体貯蔵部分と、
開放的な内部通路を画定する構造をもつ発熱体を含む気化器と、
液体エアロゾル形成基体を前記液体貯蔵部分の前記出口から直接的に前記発熱体の前記内部通路に送達するように構成されるポンプであって、
マイクロステッパモータの1ステップの実行に伴って所定の数回転するように構成される駆動シャフトをもつ、前記主要ユニットに提供された前記マイクロステッパモータと、
前記可動壁に接続されるピストンと、
前記駆動シャフトを前記ピストンに接続し、前記駆動シャフトの回転を前記ピストンの軸方向移動および前記可動壁の対応する軸方向移動に転換するように構成される親ねじと、を含む、ポンプと、を含み、
前記気化器が、前記内部通路内に前記送達された液体エアロゾル形成基体を、前記送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記液体貯蔵部分が、前記液体貯蔵部分の方への前記可動壁の前記軸方向移動によって、前記マイクロステッパモータの1ステップの実行に伴って、前記液体貯蔵部分の前記出口から前記発熱体の前記内部通路へ定められた量の液体エアロゾル形成基体を送達するように、前記液体貯蔵部分の容積の減少が引き起されるように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記可動壁が、前記マイクロステッパモータおよび前記ピストンが前記液体エアロゾル形成基体と接触しないように、前記液体貯蔵部分内に前記液体エアロゾル形成基体を含むように構成される、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
その中に前記液体エアロゾル形成基体が送達されるチャンバーをさらに含み、前記発熱体が、前記液体貯蔵部分の前記出口の下流の前記チャンバーの内部に配置される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
それを通じて前記液体エアロゾル形成基体が前記液体貯蔵部分から前記気化器に送達される管状のセグメントをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記気化器が、前記管状のセグメントの開端部の下流に配置される、請求項5に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記管状のセグメントが、毛細管を含む、請求項5または6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記気化器が、前記管状のセグメントの周りに延在する加熱コイルを含む、請求項5、6または7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記気化器が、前記管状のセグメントから長手方向に延在する加熱コイルを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記気化器が、前記管状のセグメントから長手方向に延在する円錐形のヒーターを含む、請求項5または6またはに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体貯蔵部分の前記出口を通じて送達される前記液体エアロゾル形成基体の流量が、毎秒0.5~2マイクロリットル以内である、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体貯蔵部分、前記ピストン、および前記親ねじを含む、請求項1に記載のエアロゾル発生システムのためのカートリッジ。
【請求項13】
前記カートリッジが前記主要ユニット内に挿入される前に、前記液体貯蔵部分の前記可動壁、前記ピストン、および前記親ねじのうちの少なくとも1つを覆う第一のカバーをさらに含む、請求項12に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記カートリッジが前記主要ユニット内に挿入される前に、前記液体貯蔵部分の前記出口を覆う第二のカバーをさらに含む、請求項12または13に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムなどの、エアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、エアロゾル形成基体が、液体であり、液体貯蔵部分に含まれる、エアロゾル発生システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分に保持されるエアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。気化器は、一般に、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に動作する気化器だけでなく、ユーザーが使用時にエアロゾルを自分の口の中に引き出すために吸うマウスピースも含む。
【0003】
EP0957959B1は、源からの液体材料を受けるための電気的に動作するエアロゾル発生器であって、開端部をもつ管を通る源からの計量値における液体材料をポンピングするためのポンプと、管を囲むヒーターと、を含む、エアロゾル発生器を開示する。液体材料をヒーターによって加熱した時に、揮発性材料は、管の開端部を出ることによって広がる。
【0004】
残留物は、加熱に伴い生成される。毛細管において、残留物は目詰まりを引き起こしうる。この影響は、液体輸送特性を変化させうる。さらに、液体材料は、以下のように間接的に加熱される。最初に、管または毛細管芯が加熱され、次に、液体材料が加熱される。したがって、熱は、エネルギー移動プロセスの間に失われうる。
【0005】
維持管理費用が安い液体輸送システムおよび低減された電力消費をもつ改善されたエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、液体エアロゾル形成基体を保存するための液体貯蔵部分であって、可動壁および出口を含む、液体貯蔵部分と、開放的な内部通路を画定する構造をもつ発熱体を含む気化器と、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分の出口から発熱体の内部通路に送達するように構成されるポンプであって、マイクロステッパモータの1ステップの実行に伴って所定の数回転するように構成される駆動シャフトをもつマイクロステッパモータと、可動壁に接続されるピストンと、駆動シャフトをピストンに接続し、駆動シャフトの回転をピストンの軸方向移動および可動壁の対応する軸方向移動に転換するように構成される親ねじと、を含む、ポンプと、を含み、気化器が、内部通路内に送達された液体エアロゾル形成基体を、送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱するように構成される、エアロゾル発生システムが提供される。
【0007】
定められた量の液体エアロゾル形成基体が、液体貯蔵部分から発熱体の内部通路にポンプで送り込まれうる。液体エアロゾル形成基体を発熱体に直接的に配置することによって、液体エアロゾル形成基体は、それが発熱体に到達するまでその液体状態を保ったままであることができる。結果として、わずかな残留物が液体輸送の間に生成されうる。こうした設計により、気化器のないカートリッジの製造が許容されうる。改善された液体輸送によって、管状のセグメントおよび気化器は、液体貯蔵部分が空になった時に処分される必要がなくなる。毛細管芯または任意の他の受動媒体の代わりにポンプを用いて液体を引き出すことによって、実際に要求される量の液体エアロゾル形成基体のみが、発熱体に搬送されうる。液体エアロゾル形成基体のみが、例えば、吸煙の要求などの需要に基づいてポンプで送り込まれうる。
【0008】
マイクロステッパモータおよび親ねじによるポンプの実行は、従来のマイクロポンプ設計と比較して小型化を可能にしうる。液体エアロゾル形成基体が、ポンプに入ったり、またポンプから出ることがなくなりうるので、ポンプの目詰まりまたはプライミングのようないくつかの潜在的な故障モードが除去されうる。さらに、ピエゾマイクロポンプ設計と比較されるように、マイクロステッパモータのプログラミングがより簡単なものとなり、したがって、単純な電気回路が要求されうる。
【0009】
マイクロポンプ設計と対照的に、例えば、マイクロステッパモータが、液体エアロゾル形成基体を逆に能動的に引き出すためにリバースモードで動作する場合を除いて、ポンプで送り込まれた液体エアロゾル形成基体の逆流が除去されうる。
【0010】
マイクロステッパモータは、例えば、毎秒約0.5~2マイクロリットルの低流量で、液体エアロゾル形成基体のオンデマンドの送達を可変の持続時間または一定の持続時間の間隔で可能としうる。マイクロステッパモータは、適切な量の液体エアロゾル形成基体を発熱体に送達するために、定められた微小な距離の間ピストンを正確に作動させるように注意深く調整されうる。マイクロステッパモータによってポンプで送り込まれた液体エアロゾル形成基体の量は、ピストンの動きが親ねじの回転のピッチに基づくので、正確に調節されうる。結果として、蒸着される液体エアロゾル形成基体の量は、マイクロステッパモータのパルスの量から決定することができる。
【0011】
マイクロステッパモータと発熱体の両方は、吸煙検出システムによってトリガーされうる。一部の実施例では、マイクロステッパモータおよび発熱体は、吸煙の持続時間のために保持されるオンオフボタンを押すことによってトリガーされうる。
【0012】
マイクロステッパモータは、パルスごとに1度未満進みうる。1度の回転、0.75ミリメートルのねじ山のピッチ、および6mm2の断面をもつカプセルと仮定すると、液体エアロゾル形成基体は、0.0125mm3(0.0125μl)の増加量で供給されうる。
【0013】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分の方への可動壁の軸方向移動が、液体貯蔵部分の容積の減少を引き起こし、それによって、例えば、マイクロステッパモータの1ステップの実行に伴って、液体貯蔵部分の出口から発熱体の内部通路へ定められた量の液体エアロゾル形成を送達するように、構成されることが好ましい。
【0014】
マイクロステッパモータは、逆方向におけるステップを実行し、それにより、液体貯蔵部分の容積を増加するようにさらに構成されることが好ましい。吸煙間のリバースは、輸送システム内に位置する液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分内に戻って転換するので、有利でありうる。
【0015】
可動壁は、例えば、マイクロステッパモータおよびピストンが液体エアロゾル形成基体と接触しないように、液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を含むように構成されることが好ましい。液体貯蔵部分は、カプセルを有するシリンジを含んでもよく、ここにおいて、液体エアロゾル形成基体は、可動壁によって制限されたカプセルの容積内に保存される。カプセルは、円筒形状をもっていてもよい。
【0016】
液体貯蔵部分は、マイクロステッパモータから分離され、それにより、可能であれば取り外し可能で使い捨ての液体含有カプセルを有することが好ましい。このことは、ユーザーが液体貯蔵部分自体を再補充する必要性をなくすことになる。
【0017】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体がその中に送達されるチャンバーをさらに含むことが好ましく、発熱体は、液体貯蔵部分の出口の下流のチャンバーの内部に配置される。
【0018】
本明細書に使用される用語「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」、「前方」および「後方」は、ユーザーがその使用の間、エアロゾル発生システムを引き出す方向に関してエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。
【0019】
エアロゾル発生システムは、使用時にユーザーに送達されるために、そこを通してエアロゾルがエアロゾル発生システムを抜け出る口側の端を含みうる。また、口側の端は近位端と呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸い込むために、ユーザーはエアロゾル発生システムの近位端または口側の端上で吸い出す。エアロゾル発生システムは近位端または口側の端と向かい合った遠位端を備える。エアロゾル発生システムの近位端または口側の端は下流端と呼ばれることもあり、またエアロゾル発生システムの遠位端は上流端と呼ばれることもある。エアロゾル発生システムの構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生システムの近位端、下流端、または口側の端とエアロゾル発生システムの遠位端、または上流端との間の相対的な位置に基づき、互いに上流または下流にあるものとして描写されうる。
【0020】
エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体がそれを通じて液体貯蔵部分から気化器に送達される管状のセグメントをさらに含むことが好ましい。管状のセグメントは、液体エアロゾル形成基体を発熱体へ直接的に送達するように配置されうる。管状のセグメントは、液体エアロゾル形成基体を発熱体内の内部通路の開端部の方へ送達するように配置されうる。管状のセグメントは、発熱体内の内部通路の開端部に向かう方向において液体貯蔵部分から延在していてもよい。気化器は、管状のセグメントの開端部の下流に配置されうる。気化器は、管状のセグメントの一部の周りに延在していてもよい。
【0021】
管としても言及される管状のセグメントは、ノズルであってもよい。管状のセグメントは、例えば、ガラス、シリコン、金属(例えば、ステンレス鋼)、またはプラスチック材料(例えば、PEEK)などの任意の適切な材料を含みうる。管は、例えば、約1~2ミリメートルの直径を有しうるが、その他の寸法も考えられる。管状のセグメントは、毛細管を含むことが好ましい。毛細管の断面は、円形状、長円状、三角形状、長方形状、または任意の他の適切な形状とし、それにより液体を移動することができる。毛細管の断面積の少なくとも幅寸法は、一方では毛細管力が存在するように、十分に小さく選択されることが好ましい。同時に、毛細管の断面積は、適切な量の液体エアロゾル形成基体を発熱体に移動することができるように十分に大きいことが好ましい。一般に、毛細管の断面積は、4平方ミリメートル未満、1平方ミリメートル未満、または0.5平方ミリメートル未満であることが好ましい。
【0022】
気化器は、管状のセグメントから長手方向に延在する加熱コイルを含みうる。別の方法として、または追加的に、コイルでありうる発熱体は、管状のセグメントの一部の周りに延在していてもよい。一部の実施例では、加熱コイルは、管状のセグメントに対して横断方向に取り付けられてもよい。加熱コイルは、3ミリメートルまで、好ましくは、1ミリメートルまで管状のセグメントの開端部の上にあってもよい。一部の実施例では、管状のセグメントの開端部と加熱コイルとの間に一定の距離があってもよい。加熱コイルの長さは、2ミリメートル~9ミリメートルであってもよく、3ミリメートル~6ミリメートルであることが好ましい。加熱コイルの直径は、加熱コイルの一方の端が管状のセグメントの周りに取り付けられうるように、選択されてもよい。加熱コイルの直径は、1ミリメートル~5ミリメートルであってもよく、2ミリメートル~4ミリメートルであることが好ましい。
【0023】
気化器は、管状のセグメントから長手方向に延在する円錐形のヒーターを含みうる。円錐形のヒーターは、管状のセグメントの開端部の上にあってもよい。一部の実施例では、管状のセグメントの開端部と円錐形のヒーターとの間に、0.1ミリメートル~2ミリメートル、好ましくは、0.1ミリメートル~1ミリメートルの距離があってもよい。円錐形のヒーターの斜高は、2ミリメートル~7ミリメートルであってもよく、2.5ミリメートル~5ミリメートルであることが好ましい。断面図における円錐形のヒーターの直径は、一方の端から他方の端までの斜高に従って、第一の直径から第二の直径まで増加する。第一の直径は、0.1ミリメートル~2ミリメートルであってもよく、好ましくは、0.1ミリメートル~1ミリメートルであってもよい。第二の直径は、1.2ミリメートル~3ミリメートルであってもよく、好ましくは、1.5ミリメートル~2ミリメートルであってもよい。円錐形のヒーターは、管状のセグメントから抜け出る液体エアロゾル形成基体が第二の直径の前に第一の直径において円錐形のヒーターを通過するように、配置されるのが好ましい。円錐形のヒーターの第一の直径は、円錐形のヒーターの一方の端が管状のセグメントの周りに取り付けられうるように、選択されてもよい。
【0024】
気化器は、固体の表面またはメッシュ表面を含みうる。気化器は、メッシュヒーターを含みうる。気化器は、フィラメントの配列を含みうる。
【0025】
気化器は、固体の基体、可撓性の基体、多孔性の基体、および穴あきの基体のうちの少なくとも1つを含んでもよく、その上で発熱体が、取り付けられ、印刷され、付着され、エッチング加工が施され、および積層されることのうちの少なくとも1つが行われうる。基体は、ポリマー基体またはセラミック基体としうる。
【0026】
液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分の出口に接続される一方向の弁を含むことが好ましい。
【0027】
液体貯蔵部分の出口を通じて送達される液体エアロゾル形成基体の流量は、毎秒0.5~2マイクロリットル以内であることが好ましい。
【0028】
エアロゾル発生システムは、主要ユニットと、カートリッジであって、主要ユニットに取り外し可能なように結合されたカートリッジと、を含み、ここで、主要ユニットが電源を含み、液体貯蔵部分がカートリッジ内に提供され、またマイクロステッパモータが主要ユニット内に提供されることが好ましい。主要ユニットは、気化器をさらに含むことが好ましい。主要ユニットは管状のセグメントを含みうる。
【0029】
本発明の一実施形態によるエアロゾル発生システムは、気化器および電力源に接続された電気回路であって、気化器の電気抵抗を監視するように、かつ気化器の電気抵抗に依存する気化器への電力供給を制御するように構成された電気回路をさらに備えてもよい。
【0030】
電気回路はマイクロプロセッサを有するコントローラを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は気化器への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後に気化器に連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態で気化器に供給されてもよい。
【0031】
エアロゾル発生システムはハウジングの本体内に、典型的には電池の電源を有利にも備える。一部の実施例では、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。一部の実施例では、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0032】
周辺の空気がエアロゾル発生システムに入るようにするために、エアロゾル発生システムのハウジングの壁、好ましくは気化器の反対側の壁、好ましくは底壁は、少なくとも1つの半開放入口を備える。半開放入口により、空気がエアロゾル発生システム内に入るが、空気または液体が半開放入口を通してエアロゾル発生システムから出ることはない。半開放入口は、例えば、空気については一方向にのみ透過可能であるが反対方向には空気および液体が漏れないような半透過性の薄膜としうる。半開放入口は、例えば一方行弁でもよい。半開放入口は、例えば、エアロゾル発生システムの最小限のへこみや弁または薄膜を通過する空気の体積といった特定の条件が満たされる場合に、入口のみを通して空気を通過させることが好ましい。
【0033】
液体エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力をもつ基体である。揮発性化合物は液体エアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体エアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0034】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、約30ミリメートル~約150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、約5ミリメートル~約30ミリメートルの外径であってもよい。
【0035】
本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生システムのためのカートリッジであって、液体貯蔵部分、ピストン、および親ねじを含むカートリッジが提供されている。親ねじは、マイクロステッパモータの駆動シャフトを受けるように構成される開口部を含む。液体貯蔵部分の出口は、液体エアロゾル形成基体がそれを通じて発熱体の蒸着領域に送達される管状のセグメントを受けるように構成されることが好ましい。
【0036】
カートリッジは、カートリッジが主要ユニット内に挿入される前に、液体貯蔵部分の可動壁、ピストン、および親ねじのうちの少なくとも1つを覆う第一のカバーを含むことが好ましい。第一のカバーは、引き取られるステッカーまたはシール(例えば、フィルムシール)であってもよく、それは使用前にカートリッジを保護し、その結果、可動壁が、主要ユニット内への挿入の前に偶発的に押されなくなりうる。第一のカバーは、カートリッジを主要ユニット内に挿入する前に手でカートリッジから取り外されてもよい。第一のカバーがカートリッジを主要ユニット内に挿入した時に自動的に開くように、第一のカバーは、穴をあけられ、または穿孔されていることが好ましい。
【0037】
カートリッジは、カートリッジが主要ユニット内に挿入される前に、液体貯蔵部分の出口を覆う第二のカバーをさらに含むことが好ましい。第二のカバーは、引き取られるステッカーまたはシール(例えば、フィルムシール)であってもよく、それは使用前にカートリッジを保護し、その結果、出口が、主要ユニット内へのカートリッジの挿入の前に偶発的に損傷することがなくなりうる。第二のカバーは、カートリッジを主要ユニット内に挿入する前に手でカートリッジから取り外されてもよい。第二のカバーがカートリッジを主要ユニット内に挿入した時に自動的に開くように、第二のカバーは、穴をあけられ、または穿孔されていることが好ましい。
【0038】
カートリッジは、使い捨て可能な物品であってもよく、それによりカートリッジの液体貯蔵部分が空になり、または最小の容積しきい値より低くなると、新しいカートリッジと取り替えられうる。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体で前もって装填されていることが好ましい。カートリッジは、再充填可能としうる。
【0039】
親ねじ、ピストンおよび可動壁を含む、カートリッジおよびその構成要素は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性ポリマーで作られていてもよい。
【0040】
本発明の第三の態様によれば、エアロゾルを発生させるための方法が提供されており、その方法は、
(i)液体エアロゾル形成基体を可動壁および出口を含む液体貯蔵部分内に保存する工程と、
(ii)液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分の出口から気化器の発熱体によって画定される内部通路に送達する工程であって、マイクロステッパモータの駆動シャフトを所定の数回転させるように、1ステップを実行するためにマイクロステッパモータを作動すること、を含み、親ねじは、駆動シャフトに接続され、親ねじは、ピストンに接続され、ピストンは、駆動シャフトの回転をピストンの軸方向移動および可動壁の対応する軸方向移動に転換するように、可動壁に接続される、送達する工程と、
(iii)内部通路内に送達された液体エアロゾル形成基体を、送達された液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を揮発するのに十分な温度に加熱する工程と、を含む。
【0041】
1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様に適用されうる。
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1Aは、エアロゾル発生システムのための実施例の上面図である。図1Bは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの上面図である。図1Cは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの上面図である。図1Dは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの上面図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための管状のセグメントおよび加熱コイルの上面図である。
図3図3Aは、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのための管状のセグメントおよび円錐形のヒーターの上面図である。図3Bは、図3Aに示す円錐形のヒーターを製造するための概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態による斜視図におけるエアロゾル発生システムの概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態による斜視図および断面図におけるエアロゾル発生システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1Aは、駆動シャフト14を有するマイクロステッパモータ12を駆動する電気回路10を含むエアロゾル発生システムを示す。駆動シャフト14は、電気回路10の電気パルスに応じる駆動シャフト14の回転移動を軸方向移動に転換させる親ねじ16と連結される。親ねじ16は、カプセル20内で可動壁26(図1Aに示されない)を動かすピストン18に接続される。電気回路10のパルスに基づいてマイクロステッパモータ12が駆動することにより、カプセル20内の利用できる容積が、所定の量だけ減少する。カプセル20は、液体エアロゾル形成基体で充填される。パルスに起因する容積の減少によって、対応する量の液体エアロゾル形成基体が、開放ノズル22内に流れ、ここにおいて、液体エアロゾル形成基体は、噴出部24Aを介してノズルから出る。噴出部24Aは、液体エアロゾル形成基体のエアロゾル化を引き起こす。
【0044】
図1B図1C、および図1Dは、液体エアロゾル形成基体がノズル22を抜け出る時の液体エアロゾル形成基体の異なる取扱いを有するエアロゾル発生システムを示す。
【0045】
図1Bの実施形態では、加熱コイル24Bが、ノズル22の下流に配置され、それはノズル22を抜け出る液体エアロゾル形成基体を直接的に加熱する。
【0046】
図1Cの実施形態では、液体透過性構造をもつ平坦なヒーター24Cが、ノズル22の下流に配置され、それはノズル22を抜け出る液体エアロゾル形成基体を直接的に加熱する。
【0047】
図1Dの実施形態では、円錐形のヒーター24Dが、ノズル22の下流に配置され、それはノズル22を抜け出る液体エアロゾル形成基体を直接的に加熱する。
【0048】
図2は、ノズル22の開放している側の詳細を示す。加熱コイル24Bは、ノズル22の開放している側上に取り付けられ、したがって、加熱コイル24Bは、ノズル22から長手方向に延在する。液体エアロゾル形成基体は、ノズル22の開端部において抜け出る。加熱コイル24Bは、エアロゾル形成基体がそこにノズル22によって送達される開放的な内部通路を画定する。加熱コイル24Bは、液体の流れ内に、また液体の流れの周りにあり、したがって、液体エアロゾル形成基体は、直接的に加熱される。加熱コイル24Bは、長さL、直径D、およびノズル22と重なり合う部分Oをもつ。
【0049】
図3Aは、ノズル22の開放している側の詳細を示す。円錐形のヒーター24Dは、ノズル22の開放している側の下流に取り付けられ、したがって、円錐形のヒーター24Dは、ノズル22から長手方向に延在する。液体エアロゾル形成基体は、ノズル22の開端部において抜け出る。円錐形のヒーター24Dは、内部通路を画定し、かつ液体の流れ内に、また液体の流れの周りにあり、したがって、液体エアロゾル形成基体は、直接的に加熱される。円錐形のヒーター24Dのコーン端側とノズル22との間には距離Gが存在する。
【0050】
図3Bは、平坦な基体から円錐形のヒーター24Dを製造するための概略図である。円錐形のヒーター24Dは、第一の半径rから第二の半径Rまで増加する半径とともに斜高gを有する。
【0051】
図4は、管状のセグメント22の下流に発熱体24を有する、斜視図における図1B図1C、および図1Dのエアロゾル発生システムを示す。
【0052】
図5はエアロゾル発生システムの概略図である。このエアロゾル発生システムは、主要ユニット30と、別個のカートリッジ40と、を含む。主要ユニット30は、駆動シャフト14を有するマイクロステッパモータ12を含む。カートリッジ40は、液体貯蔵部分に相当するカプセルを含む。主要ユニット30は、管状のセグメント22と、液体貯蔵部分から気化器の方へ延在する管状のセグメント22を介して液体エアロゾル形成基体を受ける気化器24と、をさらに備える。気化器24は、液体エアロゾル形成基体が管状のセグメント22を抜け出た後に、液体エアロゾル形成基体を直接的に加熱するように構成される。
【0053】
さらに、カートリッジ40は、駆動シャフト14に連結される親ねじ16と、その親ねじ16によって軸方向に移動するピストン18と、を含む。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分をカートリッジのカプセルの内部に残留する構成要素から分離する可動壁26を含む。
【0054】
カートリッジ40は、主要ユニット30内のくぼみ内に受けられるように構成される。カートリッジ40は、カートリッジ40内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。新しいカートリッジ40を挿入する時、主要ユニット30におけるスライダーが移動して、くぼみを露出しうる。新しいカートリッジ40は、露出したくぼみ内に挿入されうる。カートリッジ40の親ねじ16は、マイクロステッパモータ12の駆動シャフト14を受けるための開口部を含む。カートリッジ40のカプセルは、管状のセグメント22の端部を受けるための出口を含む。
【0055】
主要ユニット30は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズをもつ。主要ユニット30は、本体およびマウスピース部分を含む。主要ユニット30は、電源(例えば、リン酸鉄リチウム電池などの電池)、電気回路10、およびくぼみを含む。電気コネクターが、本体の側部に提供され、それは電気回路10および電池との間に電気的接続を提供する。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口および空気出口を含む。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口からマウスピース部分を通して出口に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフルが、提供され、それはマウスピース部分を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制する。
【0056】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4
図5