(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】清掃ロボット及び障害物の乗越え方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220816BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G05D1/02 H
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2018559319
(86)(22)【出願日】2017-05-04
(86)【国際出願番号】 CN2017083112
(87)【国際公開番号】W WO2017211151
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2018-12-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】201610394228.2
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(73)【特許権者】
【識別番号】516249757
【氏名又は名称】北京石頭世紀科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】何 陽
(72)【発明者】
【氏名】夏 勇峰
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】田々井 正吾
【審判官】大山 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/090405(WO,A1)
【文献】特表2017-502372(JP,A)
【文献】特開2010-094802(JP,A)
【文献】特開2016-049127(JP,A)
【文献】登録実用新案第3163179(JP,U)
【文献】特開2013-230201(JP,A)
【文献】特開2007-168602(JP,A)
【文献】特開昭63-047806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/02
A47L 9/00 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する第1駆動輪及び第2駆動輪を含む駆動ユニットと、検出ユニットと、算出ユニットと、制御ユニットとを含む清掃ロボットであって、
前記駆動ユニットが前記清掃ロボットを進行するように駆動する場合、前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出し、
前記算出ユニットは、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に、前記清掃ロボットの傾斜角度を算出し、
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、前記制御ユニットが、前記検出ユニットと前記算出ユニットとによって取得された検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、
前記制御ユニットが、前記検出ユニットと前記算出ユニットとによって取得された検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御することは、
前記検出ユニットと前記算出ユニットとによって取得された検出結果が、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ前記清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さい場合、前記制御ユニットが、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御することを含み、
前記第1角度は、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり且つ当該障害物を乗越えることができる場合の清掃ロボットの本体の傾斜の最大角度であり、
前記制御ユニットが、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御することは、
前記制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御すること、
又は、
前記制御ユニットが、第1速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、第2速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、前記第1速度は前記第2速度より大きいこと、
を含み、
ここで、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2進行方向は、前記第1進行方向と反対である、
ことを特徴とする清掃ロボット。
【請求項2】
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御することは、
前記制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御すること、
又は、
前記制御ユニットが、第1速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、第2速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、前記第1速度は前記第2速度より大きいこと、
又は、
前記制御ユニットが、前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、静止に維持するように前記第1駆動輪を制御することを含み、
ここで、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2進行方向は前記第1進行方向と反対である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項3】
静止に維持するように前記第1駆動輪を制御することは、
前記制御ユニットが、駆動方向が前記第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように前記第1駆動輪を制御することを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の清掃ロボット。
【請求項4】
前記制御ユニットが前記第1駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、前記第1駆動輪が前記第2進行方向へ回転するか否かを検出し、前記第1駆動輪が前記第2進行方向へ回転する場合、前記制御ユニットは、前記第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように前記第1駆動輪を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の清掃ロボット。
【請求項5】
前記検出ユニットと前記算出ユニットとによって取得された検出結果が、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり且つ前記清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、前記制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように前記清掃ロボットを制御し、前記第2進行方向は第1進行方向と反対であり、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2角度は前記第1角度より小さく、前記第2角度は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、前記障害物が前記清掃ロボットの進行経路において移動不能で鉛直方向から前記清掃ロボットの進行を邪魔する前記障害物である場合の清掃ロボットの本体の傾斜角度である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項6】
前記検出ユニットは、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えたか否かを検出し、
前記検出ユニットは、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えていないと検出した場合、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えなかった回数を記録し、
前記障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、前記制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように前記清掃ロボットを制御し、前記第2進行方向は第1進行方向と反対であり、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項7】
前記検出ユニットは、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えたか否かを検出し、
前記検出ユニットが、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えたと検出した場合、前記
第2駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御するステップを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項8】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、前記制御ユニットが、前記検出ユニットと前記算出ユニットとによって取得された検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御することは、
前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向に平行するとともに接触面に垂直する方向に
垂直障害物が存在する場合、前記制御ユニットが、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御することを含み、
ここで、前記
垂直障害物は、前記清掃ロボットが衝突によりその位置を移動させることができない障害物であり、第1駆動輪は前記
垂直障害物に近い駆動輪であり、前記第2駆動輪は前記
垂直障害物から離れた駆動輪であり、前記接触面は、前記清掃ロボットが清掃任務を行う平面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項9】
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
前記検出ユニットが、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にあるか否かを検出し、前記スリップ状態とは、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つがスライドするように接触面で回転する状態であることと、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが前記スリップ状態にある場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、
を含み、
前記接触面は、前記清掃ロボットが清掃任務を行う平面である、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項10】
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
前記検出ユニットが、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にあるか否かを検出し、前記引っ掛かっている状態とは、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つの回転中に外力によって回転が停止された状態であることと、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが前記引っ掛かっている状態にある場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項11】
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
前記検出ユニットが前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つの走行距離と前記清掃ロボットの位置とを取得することと、
前記走行距離の変化値が所定の範囲を超え、且つ前記位置が変化しない場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項12】
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
前記検出ユニットが、前記駆動ユニットの駆動電流が所定の電流値より大きいか否かを検出することと、
前記駆動電流が所定の電流値より大きい場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項13】
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
前記検出ユニットが、前記清掃ロボットが傾斜したか否かを検出することと、
前記清掃ロボットが傾斜した場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項14】
並列する第1駆動輪及び第2駆動輪と、制御ユニットとを含む清掃ロボットに使用される障害物の乗越え方法であって、前記方法は、
前記清掃ロボットが進行する際、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップと、
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップと、
を含み、
検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップは、
前記検出結果が、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態あり、且つ前記清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいことである場合、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップを含み、
前記第1角度は、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり且つ当該障害物を乗越えることができる場合の清掃ロボットの本体の傾斜の最大角度であり、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御するステップは、
第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御するステップ、
又は、
第1速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、第2速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、前記第1速度は前記第2速度より大きいステップ、
を含み、
ここで、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2進行方向は前記第1進行方向と反対である、
ことを特徴とする障害物の乗越え方法。
【請求項15】
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップは、
第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御するステップ、
又は、
第1速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、第2速度で前記第1進行方向に沿って進行するように前記第1駆動輪を制御し、前記第1速度は前記第2速度より大きいステップ、
又は、
前記第1進行方向に沿って進行するように前記第2駆動輪を制御し、静止に維持するように前記第1駆動輪を制御するステップを含み、
ここで、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2進行方向は前記第1進行方向と反対である、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
静止に維持するように前記第1駆動輪を制御するステップは、
駆動方向が前記第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように前記第1駆動輪を制御するステップを含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、
前記第1駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、前記第1駆動輪が前記第2進行方向へ回転するか否かを検出し、前記第1駆動輪が前記第2進行方向へ回転する場合、前記第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように前記第1駆動輪を制御するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記検出結果が、前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ前記清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、第2進行方向に沿って進行するように前記清掃ロボットを制御し、前記第2進行方向は第1進行方向と反対であり、前記第1進行方向は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、前記第2角度は前記第1角度より小さく、前記第2角度は、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、前記障害物が前記清掃ロボットの進行経路において移動不能で鉛直方向から前記清掃ロボットの進行を邪魔する前記障害物である場合の清掃ロボットの本体の傾斜角度である、ステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えたか否かを検出するステップと、
前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えていない場合、前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えなかった回数を記録するステップと、
前記障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、第2進行方向に沿って進行するように前記清掃ロボットを制御し、前記第2進行方向は第1進行方向と反対であり、前記第1進行方向は、清掃ロボットが前記障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であるステップと、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えたか否かを検出するステップと、
前記第1駆動輪が前記障害物を乗越えた場合、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップを実行するステップと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、前記検出結果に基づいて、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップは、
前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向に平行するとともに接触面に垂直する方向に
垂直障害物が存在する場合、
前記第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御し、その後、
前記第2駆動輪が前記障害物を乗越えるよう
に制御するステップを含み、
ここで、前記
垂直障害物は、前記清掃ロボットが衝突によりその位置を移動させることができない障害物であり、前記第1駆動輪は、前記
垂直障害物に近い駆動輪であり、前記第2駆動輪は、前記
垂直障害物から離れた駆動輪であり、前記接触面は、前記清掃ロボットが清掃任務を行う平面である、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になるか否かを検出するステップは、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にあるか否かを検出し、前記スリップ状態とは、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つがスライドするように接触面で回転する状態であるステップと、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが前記スリップ状態にある場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、
を含み、
前記接触面は、前記清掃ロボットが清掃任務を行う平面であり、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にあるか否かを検出し、前記引っ掛かっている状態とは、前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つの回転中に外力によって回転が停止された状態であるステップと、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つが前記引っ掛かっている状態にある場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
前記第1駆動輪および前記第2駆動輪のうち少なくとも1つの走行距離と前記清掃ロボットの位置とを取得するステップと、
前記走行距離の変化値が所定の範囲を超え、且つ前記位置が変化しない場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
駆動ユニットの駆動電流が所定の電流値より大きいか否かを検出するステップと、
前記駆動電流が所定の電流値より大きい場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出ステップは、
前記清掃ロボットが傾斜したか否かを検出するステップと、
前記清掃ロボットが傾斜した場合、前記清掃ロボットが前記障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、
を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、出願番号が201610394228.2で、出願日が2016年6月6日である中国特許出願に基づくものであって、当該中国特許出願の優先権の利益を主張するものであり、本明細書に当該中国特許出願の全ての内容を参照して取り込むものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は自動清掃技術分野に関し、特に清掃ロボット及び障害物の乗越え方法に関する。
【背景技術】
【0003】
経済及び科学技術の発展に伴い、掃除ロボット、モップロボットなどの清掃ロボットは人々の日常生活で幅広く利用され、人々の生活に利便さをもたらしている。
【0004】
しかしながら、清掃ロボットの作業環境において様々な障害物が存在する。例えば、隣接する部屋間にある敷居、地面上に置かれた電線及び椅子などが挙げられ、清掃ロボットが作業中にこれらの障害物に邪魔されやすく、清掃を続けることができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
清掃ロボットが作業中に、障害物の邪魔によって清掃任務が続けられない問題を解決するために、本発明の実施例は清掃ロボット及び障害物の乗越え方法を提供する。その技術案は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の第1の側面は、清掃ユニットと、並列する第1駆動輪及び第2駆動輪を含む駆動ユニットと、検出ユニットと、算出ユニットと、制御ユニットとを含む清掃ロボットであって、
駆動ユニットが清掃ロボットを進行するように駆動する場合、検出ユニットは、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出し、
算出ユニットは、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に、清掃ロボットの傾斜角度を算出し、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、制御ユニットが、検出ユニットと算出ユニットとによって取得された検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する清掃ロボットを提供する。
【0007】
選択的には、制御ユニットが、検出ユニットと算出ユニットとによって共同検出された検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
検出ユニットと算出ユニットとによって取得された検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいである場合、制御ユニットが、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することを含む。
【0008】
選択的には、制御ユニットが、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御すること、
又は、
制御ユニットが、第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きいこと、
又は、
制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、静止に維持するように第2駆動輪を制御することを含み、
ここで、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0009】
選択的には、制御ユニットが、静止に維持するように第2駆動輪を制御することは、
制御ユニットが、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第2駆動輪を制御することを含む。
【0010】
選択的には、制御ユニットが第2駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、検出ユニットは、第2駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第2駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、制御ユニットは、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第2駆動輪を制御する。
【0011】
選択的には、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御すること、
又は、
制御ユニットが、第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きいこと、
又は、
制御ユニットが、第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、静止に維持するように第1駆動輪を制御することを含み、
ここで、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0012】
選択的には、静止に維持するように第1駆動輪を制御するは、
制御ユニットが、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第1駆動輪を制御することを含む。
【0013】
選択的には、制御ユニットが第1駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、第1駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第1駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、制御ユニットは、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第1駆動輪を制御する。
【0014】
選択的には、検出ユニットと算出ユニットとによって取得された検出結果が、清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より大きいことである場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0015】
選択的には、検出ユニットと算出ユニットとによって取得された検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態であり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2角度は第1角度より小さい。
【0016】
選択的には、検出ユニットは、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出し、
検出ユニットが、第1駆動輪が障害物を乗越えていないことを検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えなかった回数を記録し、
障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0017】
選択的には、検出ユニットは、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出し、
検出ユニットが、第1駆動輪が障害物を乗越えたことを検出した場合、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップを実行する。
【0018】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、制御ユニットが、検出ユニットと算出ユニットとによって取得された検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向に平行するとともに接触面に垂直する方向に邪魔な障害物が存在する場合、制御ユニットが、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することを含み、
ここで、第1駆動輪は、邪魔な障害物に近い駆動輪であり、第2駆動輪は、邪魔な障害物から離れた駆動輪であり、接触面は、清掃ロボットが清掃任務を行う平面である。
【0019】
選択的には、検出ユニットが、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニットが、第1の駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にあるか否かを検出し、スリップ状態とは、第1の駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスライドするように接触面で回転する状態であることと、
第1の駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、を含み、
ここで、接触面は、清掃ロボットが清掃任務を行う平面である。
【0020】
選択的には、検出ユニットが、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニットが、第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にあるか否かを検出し、引っ掛かっている状態とは、第1の駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つの回転中に外力によって回転が停止された状態であることと、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、を含む。
【0021】
選択的には、検出ユニットが、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニットが第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つの走行距離と清掃ロボットの位置とを取得することと、
走行距離の変化値が所定の範囲を超え、且つ位置が変化しない場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、を含む。
【0022】
選択的には、検出ユニットが、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニットが、駆動ユニットの駆動電流が所定の電流値より大きいか否かを検出することと、
駆動電流が所定の電流値より大きい場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、を含む。
【0023】
選択的には、検出ユニットが、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニットが、清掃ロボットが傾斜したか否かを検出することと、
清掃ロボットが傾斜した場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することと、を含む。
【0024】
本発明の実施例の第2の側面は、並列する第1駆動輪及び第2駆動輪と、制御ユニットとを含む清掃ロボットに用いられる障害物の乗越え方法を提供し、この方法は、
清掃ロボットが進行する際、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップと、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップと、を含む。
【0025】
選択的には、検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップは、
検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいことである場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップを含む。
【0026】
選択的には、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップは、
第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御するステップ、
又は、
第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きいステップ、
又は、
第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、静止に維持するように第2駆動輪を制御するステップを含み、
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0027】
選択的には、静止に維持するように第2駆動輪を制御するステップは、
駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第2駆動輪を制御するステップを含む。
【0028】
選択的には、当該方法は、
第2駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、第2駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第2駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第2駆動輪を制御するステップをさらに含む。
【0029】
選択的には、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップは、
第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御するステップ、
又は、
第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きいステップ、
又は、
第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、静止に維持するように第1駆動輪を制御するステップを含み、
ここで、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0030】
選択的には、静止に維持するように第1駆動輪を制御するステップは、
駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第1駆動輪を制御するステップを含む。
【0031】
選択的には、当該方法は、
第1駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、第1駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第1駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第1駆動輪を制御するステップをさらに含む。
【0032】
選択的には、当該方法は、
検出結果が、清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より大きいことである場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であるステップをさらに含む。
【0033】
選択的には、当該方法は、
検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態であり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2角度は第1角度より小さいステップをさらに含む。
【0034】
選択的には、当該方法は、
第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出するステップと、
第1駆動輪が障害物を乗越えていない場合、第1駆動輪が障害物を乗越えなかった回数を記録するステップと、
障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であるステップと、をさらに含む。
【0035】
選択的には、当該方法は、
第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出するステップと、
第1駆動輪が障害物を乗越えた場合、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップを実行するステップと、をさらに含む。
【0036】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップは、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向に平行するとともに接触面に垂直する方向に邪魔な障害物が存在する場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップを含み、
ここで、第1駆動輪は邪魔な障害物に近い駆動輪であり、第2駆動輪は邪魔な障害物から離れた駆動輪であり、接触面は、清掃ロボットが清掃任務を行う平面である。
【0037】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にあるか否かを検出し、スリップ状態とは、第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスライドするように接触面で回転する状態であるステップと、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つがスリップ状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、を含み、
ここで、接触面は、清掃ロボットが清掃任務を行う平面である。
【0038】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にあるか否かを検出し、引っ掛かっている状態とは、第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つの回転中に外力によって回転が停止された状態であるステップと、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つが引っ掛かっている状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、を含む。
【0039】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
第1駆動輪および第2駆動輪のうち少なくとも1つの走行距離と清掃ロボットの位置とを取得するステップと、
走行距離の変化値が所定の範囲を超え、且つ位置が変化しない場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、を含む。
【0040】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
駆動ユニットの駆動電流が所定の電流値より大きいか否かを検出するステップと、
駆動電流が所定の電流値より大きい場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、を含む。
【0041】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するステップは、
清掃ロボットが傾斜したか否かを検出するステップと、
清掃ロボットが傾斜した場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施例における技術案は、以下の有益な効果を奏する。
清掃ロボットが進行する時に、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出し、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に、センサの他のデータと合わせて、障害物を乗越えるように清掃ロボットを制御するか否かを決め、障害物を乗越えると決定した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が前記障害物を乗越えるように制御し、これにより、清掃ロボットが作業中に障害物に邪魔されて清掃任務が続けられない問題が避けられ、清掃ロボットが独立して障害物を乗越えることができるようになり、清掃ロボットの作業適応能力が向上する。
【0043】
なお、上記の一般的な説明及び後述する具体的な説明は、単に例示するものであり、本発明を限定するものと理解してはいけない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下は実施例の説明に使用される図面を簡単に説明する。下記の記載における図面は、単に本発明の一部の実施例であり、当業者であれば、創作的な尽力を払わなくて、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の各実施例に係る清掃ロボットの概略構造図
【
図2】本発明の各実施例に係る清掃ロボットの概略構造図
【
図3】本発明の各実施例に係る清掃ロボットの構成ブロック図
【
図5A】例示的な一実施例による障害物の乗越え方法のフローチャート
【
図5B】例示的な一実施例による障害物に邪魔されている状態の概略図
【
図6A】例示的な一実施例による障害物の乗越え方法のフローチャート
【
図6B】別の例示的な実施例による障害物に邪魔されている状態を検出する実行概略図
【
図6C】別の例示的な実施例による傾斜角度取得の実行概略図
【
図6D】別の例示的な実施例による傾斜角度取得の実行概略図
【
図6E】別の例示的な実施例による傾斜角度を取得の実行概略図
【
図6F】別の例示的な実施例による障害物の乗越え方法の実行概略図
【
図6G】別の例示的な実施例による障害物の乗越え方法の実行概略図
【
図7】別の例示的な実施例による障害物の乗越え方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここでは例示的な実施例を詳細に説明し、その例は図面に示される。以下の説明が図面に関わる際、別途な記載がない限り、それぞれの図面における同一数字は同一又は類似する要素を意味する。以下の例示的な実施例に記載された実施形態は、本願と一致する全ての実施形態を表さない。むしろ、これらはただ特許請求の範囲に詳細に記載された、本願の幾つかの側面と一致する装置と方法の例に過ぎない。
【0046】
図1と
図2は、本発明の各実施例に係る清掃ロボットの概略図であり、
図1に清掃ロボット10の概略平面図が例示的に開示され、
図2に該清掃ロボット10の概略底面図が例示的に開示されている。
図1と
図2に示すように、当該清掃ロボット10は、本体110と、検出部材120と、左輪131と、左輪131に接続されるモータ(図示せず)と、右輪132と、右輪132に接続されるモータ(図示せず)と、メインブラシ140と、を含む。
【0047】
本体110は清掃ロボットのハウジングを形成して、他の部材を収容する。
【0048】
選択的には、本体110は扁平な円柱形である。
【0049】
検出部材120は清掃ロボットの周辺環境を測定し、障害物、壁、階段などの環境物体を見つけるためのものであり、検出部材120は清掃ロボット自身の運動状態も判断することができる。検出部材120は、オドメータ、LDS(LaserDistance Sensor,レーザー距離測定センサ)、崖センサ、3軸加速度計、ジャイロスコープ、衝突センサを含んでもよい。選択的には、検出部材120は、赤外線センサ、超音波センサ、カメラ、ホールセンサなどを含んでもよい。
本実施例は、検出部材120の数及び所在位置について限定しない。
【0050】
清掃ロボットの本体110の左側に左輪131が設けられ、清掃ロボットの本体110の右側に右輪132が設けられ、左輪131と右輪132とが清掃ロボットの本体110の左右両側に並列に設けられる。左輪131と右輪132とは、それぞれに接続されるモータにより制御される。
【0051】
清掃ロボットの本体110の左側に、左輪131に接続されるモータがさらに設けられ、左輪131に接続されるモータの駆動回路は、清掃ロボットの制御ユニットに接続され、制御ユニットは、異なるデューティー比に対応する第1制御信号をモータの駆動回路に送信し、モータの駆動回路は、第1制御信号に応じた駆動電流を生成してモータを回転させて、左輪131の駆動方向と回転速度とを制御する。ここで、デューティー比とは、パルス信号の通電時間と通電周期との比であり、デューティー比が大きいほど、左輪131の回転速度が大きく、デューティー比が小さいほど、左輪132の回転速度が小さい。例えば、左輪131に接続されるモータの駆動回路は、制御ユニットによって送信された、1/2であるデューティー比に対応する第1制御信号を受信し、第1制御信号に基づいて対応する駆動電流を生成し、駆動電流の作用で、左輪131に接続されるモータは、駆動方向が前進方向であり、且つ回転速度が50rpmであるように左輪131を制御する。
【0052】
清掃ロボットの本体110の右側に、右輪132に接続されるモータがさらに設けられ、右輪132に接続されるモータの駆動回路は清掃ロボットの制御ユニットに接続され、制御ユニットは、異なるデューティー比に対応する第2制御信号をモータの駆動回路に送信し、モータの駆動回路は、第2制御信号に応じた駆動電流を生成してモータを回転させて右輪132の駆動方向と回転速度とを制御する。例えば、右輪132に接続されるモータの駆動回路は、制御ユニットによって送信された、1/2であるデューティー比に対応する第2制御信号を受信し、第2制御信号に基づいて対応する駆動電流を生成し、駆動電流の作用で、右輪132に接続されるモータは、駆動方向が前進方向であり、且つ回転速度が50rpmであるように右輪132を制御する。
【0053】
清掃ロボット10の左輪131と、左輪131に接続されるモータと、右輪132と、右輪132に接続されるモータとによって、清掃ロボット10の駆動ユニットが構成される。
【0054】
選択的には、該清掃ロボット10は、本体110の前部に設置されたガイド輪133をさらに含み、ガイド輪133は清掃ロボットの進行中の走行方向を変更するためのものである。
【0055】
メインブラシ140は本体110の底部に設けられる。選択的には、メインブラシ140は、接触面に対してローラ式で回転するドラム状の回転ブラシである。
【0056】
なお、清掃ロボットは他のモジュール又は部材をさらに含んでもよいし、又は、前記一部のモジュール又は部材だけを含んでもよく、本実施形態はこれを限定せず、前述した清掃ロボットのみを例として説明する。
【0057】
図3は例示的な一実施例による清掃ロボットの構造ブロック図である。清掃ロボットは、制御ユニット310と、記憶ユニット320と、検出ユニット330と、算出ユニット340と、駆動ユニット350と、清掃ユニット360と、を含む。
【0058】
制御ユニット310は清掃ロボットの全体の動作を制御する。清掃命令を受信すると、制御ユニット310は、予め設定されたロジックに従って前進方向又は後退方向に沿って進行しながら、進行中に清掃するように清掃ロボットを制御することができる。進行命令を受信すると、制御ユニット310は、所定の進行モードで進行経路を進行するように清掃ロボットを制御する。本実施例は、制御ユニット310が受信するユーザーの他の命令について贅言しない。
【0059】
記憶ユニット320は、少なくとも1つの命令を記憶するためのものであり、これらの命令は、所定の進行モードと進行経路とを実行するための命令と、清掃するための命令と、障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出するための命令と、傾斜角度を算出するための命令と、傾斜角度が第1角度より大きいか否かを検出するための命令などを含む。記憶ユニット320は、清掃ロボットの進行中の自身の位置データと、進行中の走行速度、走行距離、障害物に関するデータなども記憶する。
【0060】
検出ユニット330は、清掃ロボットの進行領域における障害物と清掃ロボットの進行状態とを検出するためのものであり、障害物は家具、家電製品、オフィス機器、レンガの壁、木製の壁、床面上の電線、隣接する部屋間にある敷居などであってもよい。
【0061】
算出ユニット340は、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に、清掃ロボットの傾斜角度と、進行領域において清掃ロボットから障害物までの距離とを算出する。例えば、算出ユニット340は、3軸加速度計により清掃ロボットの傾斜角度を算出し、又は、算出ユニット340は、ジャイロスコープにより清掃ロボットの傾斜角度を算出し、又は、算出ユニット340は、6軸ジャイロスコープにより清掃ロボットの傾斜角度を取得し、又は、算出ユニット340は、清掃ロボットから障害物までの距離又は清掃ロボットの進行距離に基づいて清掃ロボットの傾斜角度を算出する。
【0062】
駆動ユニット350は、制御ユニット310の第1制御信号に基づいて第1駆動輪の駆動方向と回転速度とを制御し、又は制御ユニット310の第2制御信号に基づいて第2駆動輪の駆動方向と回転速度とを制御する。
【0063】
清掃ユニット360は、清掃命令を受信して、制御ユニット310が予め設定されたロジックに従って前進方向又は後退方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御する際、進行中に、清掃ロボットの底部にあるメインブラシが回動する方式でメインブラシに接触する接触面を清掃するように制御する。
【0064】
例示的な実施形態において、制御ユニット310は、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイスロジック(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又は他の電子部材により実装されて、本発明の実施例における清掃ロボットの制御方法を実行する。
【0065】
選択的には、制御ユニット310は、さらに、
駆動ユニット350が清掃ロボットを進行するように駆動する場合、検出ユニット330は清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出し、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、制御ユニット310は、検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するように構成される。
【0066】
選択的には、制御ユニット310が、検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果に基づいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さい場合、制御ユニット310が、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することを含む。
【0067】
選択的には、制御ユニット310が、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
制御ユニット310が、第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御すること、
又は、
制御ユニット310が、第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第1速度が第2速度より大きいこと、
又は、
制御ユニット310が、第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、静止に維持するように第2駆動輪を制御することを含み、
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0068】
選択的には、制御ユニット310は静止に維持するように第2駆動輪を制御することは、
制御ユニットが、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第2駆動輪を制御することを含む。
【0069】
選択的には、制御ユニット310が第2駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、検出ユニット330は、第2駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第2駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、制御ユニット310は、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第2駆動輪が制御することを含む。
【0070】
選択的には、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
制御ユニット310が、第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御することは、
又は、
制御ユニット310が、第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きいこと、
又は、
制御ユニット310が、第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、静止に維持するように第1駆動輪を制御することを含み、
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔されて状態になる前の進行方向であり、第2進行方向は第1進行方向と反対であること。
【0071】
選択的には、静止に維持するように第1駆動輪を制御することは、
制御ユニット310が、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第1駆動輪を制御することを含む。
【0072】
選択的には、制御ユニット310は、第1駆動輪の回転速度をゼロに制御した後、第1駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第1駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、制御ユニット310は、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止に維持するように第1駆動輪を制御する。
【0073】
選択的には、検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果が、清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より大きいことである場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0074】
選択的には、検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第2角度は第1角度より小さい。
【0075】
選択的には、検出ユニット330は、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出し、
検出ユニット330は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えなかった回数を記録し、
障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、制御ユニットは、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0076】
選択的には、検出ユニット330は、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出し、
第1駆動輪が障害物を乗越えたと検出ユニット330が検出した場合、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御するステップを実行する。
【0077】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、制御ユニット310が、検出ユニット330と算出ユニット340とによって取得された検出結果に基づいて第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向に平行するとともに接触面に垂直する方向に邪魔な障害物が存在する場合、制御ユニット310が、障害物を乗越えるように第1駆動輪を制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御することを含み、
ここで、第1駆動輪は邪魔な障害物に近い駆動輪であり、第2駆動輪は邪魔な障害物から離れた駆動輪である。
【0078】
選択的には、検出ユニット330が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニット330が、駆動輪がスリップ状態にあるか否かを検出し、スリップ状態とは、駆動輪がスライドするように接触面で回転する状態であることと、
駆動輪がスリップ状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することとを含む。
【0079】
選択的には、検出ユニット330が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニット330が、駆動輪が引っ掛かっている状態にあるか否かを検出し、引っ掛かっている状態とは、駆動輪の回転中に外力によって回転が停止された状態であることと、
駆動輪が引っ掛かっている状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することとを含む。
【0080】
選択的には、検出ユニット330が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニット330が、駆動輪の走行距離と清掃ロボットの位置とを取得することと、
走行距離の変化値が所定の範囲を超え、且つ位置が変化しない場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することとを含む。
【0081】
選択的には、検出ユニット330が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニット330が、駆動ユニットの駆動電流が所定の電流値より大きいか否かを検出することと、
駆動電流が所定の電流値より大きい場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することとを含む。
【0082】
選択的には、検出ユニット330が、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することは、
検出ユニット330が、清掃ロボットが傾斜したか否かを検出することと、
清掃ロボットが傾斜した場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定することとを含む。
【0083】
例示的な実施例において、命令を含む非一時コンピュータ読取可能な記憶媒体がさらに提供され、例えば、命令を含む記憶ユニット320。前記命令は、制御ユニット310により実行されて前記本発明の実施例における清掃ロボットの制御方法を実現する。例えば、前記非一時コンピュータ読取可能な記憶媒体はROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、カセット、フロッピーディスク、光データ記憶装置などであってもよい。
【0084】
下記実施例において、清掃ロボットの左輪が第1駆動輪として決定され、清掃ロボットの右輪が第2駆動輪として決定される。他の可能な実施例において、清掃ロボットの右輪が第1駆動輪として決定し、清掃ロボットの左輪が第2駆動輪として決定されてもよく、本発明の実施例はこれを限定しない。
【0085】
清掃ロボットの動きを容易に説明するために、
図4に示すように、清掃ロボットに基づいた座標系を作成し、当該座標系は、X軸と、Y軸と、Z軸とを含み、座標系の原点が清掃ロボットの中心点であり、X軸とY軸とZ軸とのうちいずれか2つが互いに垂直し、X軸とY軸とは同一平面にあり、X軸が清掃ロボットの本体の前後軸に平行し、座標系のY軸が清掃ロボットの本体の横軸に平行し、Z軸が、X軸とY軸とによって画定された平面に垂直し、座標系のZ軸が清掃ロボットの本体の鉛直軸に平行する。ここで、X軸に沿って前への駆動方向を前進方向とし、X軸に沿って後ろへの駆動方向を後退方向とする。
【0086】
本発明の実施例は、前述した清掃ロボットに基づいてその障害物の乗越え方法を説明するが、本発明の実施例は清掃ロボットのタイプを限定しない。
【0087】
例示的な一実施例による障害物の乗越え方法フローチャートが示されている
図5Aを参照し、当該障害物の乗越え方法は以下のステップ501とステップ502とを含む。
【0088】
ステップ501において、清掃ロボットが進行する際、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出する。
【0089】
選択的には、清掃ロボットの進行は、清掃ロボットが前進方向に沿って進行してもよいし、清掃ロボットが後退方向に沿って進行してもよい。
【0090】
選択的には、障害物は一定の硬度を有し、且つ高さが比較的小さい棒状物であり、例えば、隣接する部屋間にある敷居が挙げられ、又は、障害物は柔軟で変形し易い線状物であり、例えば、電線が挙げられる。
【0091】
清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあることとは、清掃ロボットの2つの駆動輪が障害物を乗越えておらず、清掃ロボットの本体が傾斜した状態にあることを指す。
図5Bに示ように、清掃ロボット51が2つの部屋を通る際、敷居52に邪魔され、第1駆動輪と第2駆動輪とが敷居52を乗越えておらず、清掃ロボット51の本体が傾斜状態にある。
【0092】
ステップ502において、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、検出結果に基づいて第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する。
【0093】
選択的には、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、清掃ロボットが邪魔されている状態の検出結果に基づいて、障害物を乗越えるか否かのロジックを実行する。
【0094】
以上により、本発明の実施例が提供した障害物の乗越え方法は、清掃ロボットが進行する際、ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出することにより、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、センサの他のデータと合わせて、障害物を乗越えるように清掃ロボットを制御するか否かを決め、障害物を乗越えると決定した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が前記障害物を乗越えるように制御し、これにより、清掃ロボットが作業中に障害物に邪魔されて清掃任務が続けられない問題が避けられ、清掃ロボットが独立して障害物を乗越えることができるようになり、清掃ロボットの作業適応能力が向上する。
【0095】
別の例示的な実施例による障害物の乗越え方法のフローチャートを示した
図6Aを参照し、当該障害物の乗越え方法は、以下のステップ601と、ステップ602と、ステップ603と、ステップ604とを含む。
【0096】
ステップ601において、清掃ロボットが進行する際、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出する。
【0097】
選択的には、清掃ロボットの進行は、清掃ロボットが前進方向に沿って進行してもよいし、清掃ロボットが後退方向に沿って進行してもよい。
【0098】
清掃ロボットが前進方向に沿って進行することとは、清掃ロボットがX軸正方向に沿って進行することを指し、清掃ロボットがX軸逆方向に沿って進行することは、後退方向に沿って進行することである。
【0099】
選択的には、第1駆動輪と第2駆動輪とがスリップ状態にあるか否かを検出することにより、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを決定する。ここで、スリップ状態とは、駆動輪がスライドするように接触面で回転する状態であり、接触面とは、ロボットが清掃任務を行う平面であり、例えば、地面又はテーブル面などが挙げられる。駆動輪がスリップ状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定する。
【0100】
選択的には、第1駆動輪と第2駆動輪とが引っ掛かっている状態にあるか否かを検出することにより、障害物に邪魔されている状態にあるか否かを決定する。ここで、引っ掛かっている状態とは、駆動輪の回転中に外力によって回転が停止された状態である。駆動輪が引っ掛かっている状態にある場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定する。
【0101】
選択的には、LDS(LaserDistance Sensor,レーザー距離測定センサ)により前方の障害物までの距離を測定し、オドメータにより駆動輪の走行距離を取得し、走行距離の変化値と前方の障害物までの距離との関係が、清掃ロボットの通常作業時の走行距離の変化値と前方の障害物までの距離との変化規則に合致しない場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定する。本方法は、駆動輪のスリップ状態を検出する方法であり、輪のスリープ行為の動き特徴及び電気的特性に応じて他の方法を設計してもよい。
【0102】
図6Bに示すように、清掃ロボットの駆動輪61が回転しているが、清掃ロボットのLDS62が測定した、前方の障害物63までの距離Lが変化しておらず、走行距離の変化値と距離Lとの関係は、通常作業時の変化規則に合致しないため、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定する。ここで、通常作業とは、清掃ロボットが障害物に邪魔されていない時の作業状態を指す。
【0103】
選択的には、駆動輪に接続されるモータの駆動電流が清掃ロボットの通常進行時の駆動電流を超えたか否かを検出することにより、障害物に邪魔されている状態にあるか否かを決定する。駆動輪に接続されるモータの駆動電流が所定の電流値より大きい場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定し、ここで、所定の電流値は、清掃ロボットの通常進行中の最大電流値より大きい。本方法は、駆動輪の引っ掛かっている状態を検出する方法であり、輪の引っ掛かる行為の動き特徴及び電気的特性に応じて他の方法を設計してもよい。
【0104】
選択的には、清掃ロボットの本体は傾斜したか否かを検出することにより、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを決定する。清掃ロボットが傾斜した場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると決定する。
【0105】
ステップ602において、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合、清掃ロボットの邪魔されている状態の検出結果を取得する。
【0106】
清掃ロボットの検出ユニットと算出ユニットとにより、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある時の本体状態を示すための検出結果を取得し、清掃ロボットの傾斜角度を取得し、傾斜角度に基づいて検出結果を決定し、検出結果が、清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいことである場合、ステップ603を実行する。
【0107】
選択的には、第1角度は、通常の場合、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり且つその障害物を乗越えることができる場合の清掃ロボットの本体の傾斜の角度である。
【0108】
選択的には、第1角度は、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり且つその障害物を乗越えることができる場合の清掃ロボットの本体の傾斜の最大角度である。例えば、清掃ロボットが最大高さが2センチメートルである障害物を乗越えることができ、清掃ロボットが高度が2センチメートルである障害物に邪魔される時に本体が傾斜し、傾斜角度が5°であり、つまり第1角度は5°である。
【0109】
清掃ロボットの傾斜角度を取得する方法は、以下の七つがある。
【0110】
一、3軸加速度計によりX軸における清掃ロボットの平均加速度成分を取得し、それから予め記憶された平均加速度成分と傾斜角度との対応関係により傾斜角度を決定する。
【0111】
清掃ロボットの記憶ユニットにX軸における平均加速度成分と傾斜角度との一対一の対応関係が記憶されており、清掃ロボットの算出ユニットは、X軸における平均加速度成分を取得した後、それに対応する傾斜角度を決定する。
【0112】
二、6軸ジャイロスコープにより清掃ロボットの傾斜角度を取得する。
6軸ジャイロスコープは、3軸加速度計と3軸ジャイロスコープとの機能を共に有する設備であり、清掃ロボットの算出ユニットは、6軸ジャイロスコープにより清掃ロボットのオイラー角を取得し、つまり、清掃ロボットの傾斜角度を取得する。
【0113】
三、
図6Cに示すように、3軸加速度計によりX軸方向における清掃ロボットの加速度成分R
xと、Z軸方向における加速度成分R
zとを取得し、式1により清掃ロボットの傾斜角度θを取得する。
【0114】
【0115】
四、ジャイロスコープにより、清掃ロボットが通常作業時から障害物に邪魔される状態になるまでの時間帯内に、所定の時間間隔にて瞬間角速度を取得し、取得された瞬間角速度と時間帯とを積分し、傾斜角度θを算出する。ここで、所定時間の間隔は、サンプリングの時間間隔である。式2により傾斜角度θを算出する。
【0116】
【数2】
ここで、w
nは瞬間角速度であり、Tは通常作業時から障害物に邪魔される状態になるまでの時間である。
【0117】
五、ジャイロスコープにより、清掃ロボットが第1時点から第2時点までの時間帯内に、所定の時間間隔に基づいて瞬間角速度を取得し、取得された瞬間角速度と時間帯とを積分し、傾斜角度θ1を算出し、次に加速度計によりジャイロスコープのオフセット値を算出し、次にジャイロスコープと加速度計との融合アルゴリズムにより、より精確な傾斜角度θ2を算出し、ここで、第1時点は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になった時点であり、第2時点は清掃ロボットが邪魔される状態になる直前の時点である。
【0118】
六、LDSにより、清掃ロボットが通常作業状態にある時の第1時点における前方の障害物までの距離L1を取得し、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある時の第2時点における前方の障害物までの距離L2を取得し、清掃ロボットが通常作業状態にある時の移動速度を利用して第2時点における前方の障害物までの理論的な距離L3を算出し、式3により清掃ロボットの傾斜角度を算出する。
【0119】
【0120】
選択的には、前方の障害物は、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にする障害物ではない。例えば、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にする障害物は電線であり、前方の障害物は電線の前方にある壁である。
【0121】
図6Dに示すように、時点T1に測定された前方の障害物までの距離がL1=10であり、時点T2に測定された前方の障害物までの距離がL2=5であり、理論的な距離L3=4と算出され、L2とL3との関係により、式3を利用して傾斜角度を取得する。
【0122】
七、崖センサにより、清掃ロボットが通常作業状態にある時の第1時点における地面までの距離L4を取得し、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある時の第2時点における地面までの距離L5を取得し、清掃ロボットが第1時点と第2時点との直線距離L6を取得し、式4を利用して傾斜角度を算出する。
【0123】
【0124】
図6Eにおいて、図中の上半部分には、時点T3にて測定された距離L4と、時点T4にて測定された距離L5と、清掃ロボットの時点T3と時点T4との直線距離L6とが示されており、図中の下半部分には、L4とL5とL6との三角関係が示されており、式4により傾斜角度θを取得する。
【0125】
なお、本発明の実施例に使用される1、2、及び3などの数詞は、コンテキストからそれが確かに順を意味しない限り、ただ区別するためのものであると理解すべきである。
【0126】
検出結果が、傾斜角度が第1角度より大きいことである場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、ここで、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0127】
選択的には、傾斜角度が第1角度より大きい場合、さらに一定の角度回転した後、障害物に邪魔される状態になる前の進行方向と反対する進行方向に進行するように清掃ロボットを制御してもよく、つまり、傾斜角度が第1角度より大きい場合、清掃ロボットは障害物を乗越えない。
【0128】
検出結果が清掃ロボットの傾斜角度が第2角度より小さいことである場合、障害物に邪魔される状態になる前の進行方向と反対する進行方向に進行するように清掃ロボットを制御する。第2角度は第1角度より小さい。
【0129】
第2角度は、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、障害物が清掃ロボットの進行経路において移動不能であって鉛直方向から清掃ロボットの進行を邪魔する障害物である場合の清掃ロボットの本体の傾斜角度である。通常の場合、第2角度はゼロに近い。例えば、清掃ロボットが脱出中に後退動作を実行するが、後方にある障害物に邪魔され、例えば、壁に邪魔されると、前へ進行するように清掃ロボットを制御し、前進方向は前の運動方向、即ち、後退方向と反対する方向であるから。さらに例えば、清掃ロボットは、前部にある衝突センサが複数回連続にトリガされる場合、後退動作を実行するが、後退中に後方の障害物に邪魔される可能性がある場合、前へ進行するように清掃ロボットを制御する。
【0130】
なお、本発明の実施例に使用される1、2、及び3などの数詞は、コンテキストからそれが確かに順を意味しない限り、ただ区別するためのものであると理解すべきである。
【0131】
ステップ603において、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御する。
【0132】
第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御することは、以下の三つの実現形態がある。
【0133】
一、第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第1進行方向は第2進行方向と反対である。
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0134】
第1進行方向を前進方向とし、第2進行方向を後退方向とする場合、
図6Fに示すように、第1駆動輪64は前進方向に沿って進行し、第2駆動輪65は後退方向に沿って進行する。
【0135】
選択的には、第1駆動輪の進行速度は通常作業時の進行速度より大きい。ここで、通常作業とは、清掃ロボットが障害物に邪魔されていない時の作業状態である。
【0136】
選択的には、第1駆動輪が第1進行方向に沿って進行する速度は、第2駆動輪が第2進行方向に沿って進行する速度より大きい。
【0137】
二、第1速度で第1方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第2速度で第1方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きい。
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0138】
第1駆動輪が先に障害物を乗越えるのを確保するために、第1駆動輪の第1速度は第2駆動輪の第2速度より大きくされる。例えば、第1進行方向が前進方向であり、第1駆動輪は40メートル/時間の速度で前進方向に沿って進行し、第2駆動輪は20メートル/時間の速度で前進方向に沿って進行する。選択的には、第1速度は通常作業時の進行速度より大きく、例えば、通常作業時の速度が30メートル/時間であり、第1速度が40メートル/時間である。ここで、通常作業とは、清掃ロボットが障害物に邪魔されていない時の作業状態である。
【0139】
第1進行方向を前進方向とする場合、
図6Gに示すように、第1駆動輪66は第1速度で前進方向に沿って進行し、第2駆動輪67は第2速度で前進方向に沿って進行する。
【0140】
三、第1方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、静止に維持するように第2駆動輪を制御する。
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0141】
選択的には、静止に維持するように第2駆動輪を制御することとは、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロになるように第2駆動輪を制御することである。
【0142】
選択的には、デューティー比をゼロに制御することにより、駆動輪の回転速度をゼロにすることができる。第2駆動輪は、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロである場合、第2駆動輪の逆方向の回転抵抗力が大きくなり、ブレーキの作用がある程度に奏され、第1駆動輪が障害物を乗越えることに寄与する。
【0143】
選択的には、第2駆動輪の回転速度がセロに制御された後、第1駆動輪が第1進行方向に沿って進行するよってもたらされた作用力が、第2駆動輪を第2進行方向に回転させる可能性があるため、第2駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第2駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、ために、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止を維持するよう第2駆動輪を制御する。ここで、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止を維持するように第2駆動輪を制御することは、第2駆動輪に接続される駆動モータにデューティー比の小さい電流を与えることにより、第2駆動輪を第1進行方向へ回転させる回転力が生成され、生成された回転力は、第1駆動輪が第1進行方向へ進行する時に第2駆動輪に与えた第2進行方向へ回転する力を相殺することができ、第2駆動輪を静止に維持させる。ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向であり、第1進行方向は第2進行方向と反対である。
【0144】
なお、本発明の実施例に使用される1、2、及び3などの数詞は、コンテキストからそれが確かに順を意味しない限り、ただ区別するためのものであると理解すべきである。
【0145】
また、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあると検出され、且つ、進行方向と平行するとともに接触面に垂直する方向に邪魔な障害物が存在する場合、障害物を乗越えるように第1駆動輪を制御し、ここで、第1駆動輪は邪魔な障害物に近い駆動輪である。
【0146】
選択的には、邪魔な障害物は、清掃ロボットを障害物に邪魔される状態にする障害物ではなく、邪魔な障害物は、清掃ロボットが衝突によりその位置を移動させることができない障害物である。
【0147】
例えば、邪魔な障害物が壁であり、すなわち、清掃ロボットが壁に沿って進行する時に障害物に邪魔される場合、清掃ロボットが片輪で乗越える過程で生じた回転によって清掃ロボットが壁にぶつかることを回避するために、壁に近い駆動輪を先に障害物を乗越えるようにさせ、つまり、本体を壁から離れた方向へ回転させる。
【0148】
ステップ604において、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する。
【0149】
第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する。第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する方法は、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御する方法に似ており、以下の三つの実現形態が挙げられる。
【0150】
一、第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、ここで、第1進行方向は第2進行方向と反対であり、第1進行方向は、清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0151】
選択的には、第2駆動輪の進行速度は通常作業時の進行速度より大きい。ここで、通常作業とは、清掃ロボットが障害物に邪魔されていない時の作業状態である。
【0152】
選択的には、第2駆動輪が第1進行方向に沿って進行する速度は、第1駆動輪が第2進行方向に沿って進行する速度より大きい。
【0153】
二、第1速度で第1進行方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、第2速度で第1進行方向に沿って進行するように第1駆動輪を制御し、第1速度は第2速度より大きい。
【0154】
障害物を乗越えるのが第2駆動輪であることを確保するために、第2駆動輪の第1速度は第1駆動輪の第2速度より大きくされる。
【0155】
三、第1方向に沿って進行するように第2駆動輪を制御し、静止に維持するように第1駆動輪を制御する。
ここで、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0156】
選択的には、静止に維持するように第1駆動輪を制御することとは、駆動方向が第1進行方向であり、且つ回転速度がゼロになるように第1駆動輪を制御することである。
【0157】
選択的には、デューティー比をゼロに制御することにより、駆動輪の回転速度をゼロにすることができる。第1駆動輪は、駆動方向が第1進行方向であるとともに、回転速度がゼロである場合、第1駆動輪の逆方向の回転抵抗力が大きくなり、ブレーキの作用がある程度で奏され、第2駆動輪が障害物を乗越えることに寄与する。
【0158】
選択的には、第1駆動輪の回転速度がセロに制御された後、第2駆動輪が第1進行方向に沿って進行することによってもたらされた作用力が、第1駆動輪を第2進行方向に回転させる可能性があるため、第1駆動輪が第2進行方向へ回転するか否かを検出し、第1駆動輪が第2進行方向へ回転する場合、第1進行方向に沿う回転力を出力して静止を維持するよう第1駆動輪を制御する。ここで、第2進行方向は第1進行方向と反対である。
【0159】
なお、本発明の実施例に使用される1、2、及び3などの数詞は、コンテキストからそれが確かに順を意味しない限り、ただ区別するためのものであると理解すべきである。
【0160】
また、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ、進行方向と平行するとともに接触面に垂直する方向に邪魔な障害物が存在すると検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御した後に、第2駆動輪が障害物を乗越えるように制御する。ここで、第1駆動輪は邪魔な障害物に近い駆動輪であり、第2駆動輪は邪魔な障害物から離れた駆動輪である。
【0161】
選択的には、邪魔な障害物は、清掃ロボットを障害物に邪魔される状態にする障害物ではなく、邪魔な障害物は、清掃ロボットが衝突によりその位置を移動させることができない障害物である。
【0162】
例えば、邪魔な障害物が壁であり、すなわち、清掃ロボットが壁に沿って進行する時に障害物に邪魔される場合、清掃ロボットが片輪で乗越える過程で生じた回転によって清掃ロボットが壁にぶつかることを回避するために、まず障害物を乗越えるように壁に近い駆動輪を制御し、それから障害物を乗越えるように壁から離れた駆動輪を制御する。
【0163】
以上により、本発明の実施例が提供する障害物の乗越え方法は、清掃ロボットが進行する時に、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあるか否かを検出し、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に、センサの他のデータと合わせて清掃ロボットが障害物を乗越えるように制御するか否かを決め、障害物を乗越えると決定した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えるように制御し、それから第2駆動輪が前記障害物を乗越えるように制御する。これにより、清掃ロボットが作業中に障害物に邪魔されて清掃任務が続けられない問題が避けられ、清掃ロボットが独立して障害物を乗越えることができるようになり、清掃ロボットの作業適応能力が向上する。
【0164】
また、本発明の実施例が提供する障害物の乗越え方法は、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にある場合に清掃ロボットの傾斜角度を検出し、清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さい場合、障害物を乗越え、傾斜角度が第1角度より大きい場合、第2進行方向に沿って進行する。これにより、清掃ロボットが障害物を乗越えることができない場合に障害物を乗越え続けることが防止され、清掃ロボットが柔軟に作業することに寄与し、作業効率が向上する。
【0165】
図6Aに示す実施例の好ましい実施例において、
第1駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御した後、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出することにより、
第2駆動輪が障害物を乗越えるよう
に制御するか否かを決める。当該障害物の乗越え方法は、ステップ603aと、ステップ603bと、ステップ603cとを含む。
図7に示すように、
ステップ603aにおいて、第1駆動輪が障害物を乗越えるか否かを検出する。
【0166】
選択的には、第3時点を、清掃ロボットが障害物に邪魔されている状態にあり、且つ障害物を乗越えることをまだ開始していない一つの時点とし、第4時点を、清掃ロボットの第1駆動輪が障害物を乗越えた後の一つの時点とする。
【0167】
第4時点に3軸加速度計により清掃ロボットの傾斜角度を取得し、第4時点における清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいことを検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えたと決定し、そうでない場合は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと決定する。又は、第4時点にジャイロスコープにより清掃ロボットの傾斜角度を取得し、第4時点における清掃ロボットの傾斜角度が第1角度より小さいことを検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えたと決定し、そうでない場合は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと決定する。又は、第3時点と第4時点とにLDSにより清掃ロボットから前方の障害物までの距離を取得し、第4時点における前方の障害物までの距離が、第3時点における前方の障害物までの距離より小さいことを検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えたと決定し、そうでない場合は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと決定する。又は、第1駆動輪に接続されるモータの駆動電流を取得し、駆動電流が清掃ロボットの通常進行時の駆動電流である場合、第1駆動輪が障害物を乗越えたと決定し、そうでない場合は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと決定する。又は、第3時点と第4時点とに清掃ロボットから接触面までの距離を取得し、第4時点における接触面までの距離が、第3時点における接触面までの距離より小さいことを検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えたと決定し、そうでない場合は、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと決定する。
【0168】
ステップ603bにおいて、第1駆動輪が障害物を乗越えていないと検出した場合、第1駆動輪が障害物を乗越えなかった回数を記録する。
【0169】
ステップ603cにおいて、障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御する。
ここで、第2進行方向は第1進行方向と反対であり、第1進行方向は清掃ロボットが障害物に邪魔される状態になる前の進行方向である。
【0170】
選択的には、所定の値は、清掃ロボットが出荷する前にメーカによって設定され、又は、所定の値はユーザーによって設定され得る。
【0171】
ステップ603dにおいて、第1駆動輪が障害物を乗越えた場合、ステップ604を実行する。
【0172】
また、第1駆動輪が障害物を乗越えた後に、第2駆動輪が障害物を乗越える場合、第2駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出してもよい。第2駆動輪が障害物を乗越えていない場合、第2駆動輪が障害物を乗越えなかった回数を記録し、障害物を乗越えなかった回数が所定の値より大きい場合、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御する。
【0173】
本発明の実施例が提供する障害物の乗越え方法は、さらに、第1駆動輪が障害物を乗越えたか否かを検出し、障害物を乗越えていない場合、障害物を乗越えなかった回数を記録し、回数が所定の値を超えた場合、清掃ロボットが障害物を乗越えることができないことが分かり、第2進行方向に沿って進行するように清掃ロボットを制御し、これにより、清掃ロボットが障害物を乗越えることができない場合に障害物を乗越え続けることが防止され、清掃ロボットが柔軟に作業することに寄与し、作業効率が向上する。
【0174】
当業者は、明細書を考慮して明細書に記載された発明を実施した後、本発明の他の実施態様を容易に想到することができる。本発明は、本発明に対するいかなる変形、用途、または適宜な変化を含み、これらの変形、用途、または適宜な変化は、本発明の一般的な原理に従い、本発明では開示していない当分野の公知常識、または通常の技術手段を含む。明細書及び実施例は、ただの例示するものであって、本発明の本当の範囲と主旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0175】
なお、本発明は、上記で記載された、図面で図示された特定の構成に限定されず、その範囲を離脱しない範囲内で、種々な修正及び変更を行うことができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみにより限定される。