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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
B25J15/08 P
B25J15/08 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019002489
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020110860
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田村 彰久
(72)【発明者】
【氏名】増尾 秀三
(72)【発明者】
【氏名】山下 彰一
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087119(JP,A)
【文献】特開平01-071684(JP,A)
【文献】特開2018-111604(JP,A)
【文献】特開2007-083331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00 - 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物を把持可能な一対のハンド部材と、前記把持対象物に対して前記一対のハンド部材を開閉方向に移動させる第1アクチュエータと、を備えた把持装置において、
前記一対のハンド部材のそれぞれに収容され、可撓性を有する薄板形状の掬い部材と、
前記掬い部材を開閉方向に垂直な上下方向に移動させる第2アクチュエータと、を備え、
前記一対のハンド部材のそれぞれは、
前記一対のハンド部材の上下方向に延びるように前記掬い部材を収容する第1収容部と、
前記第1収容部よりも前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側において前記第1収容部と連通しており、前記掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように前記掬い部材を撓ませて収容する第2収容部と、
前記第2収容部よりも前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側において前記第2収容部と連通しており、前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側に移動した前記掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように突出する突出口と、を有することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記一対のハンド部材のそれぞれは、前記一対のハンド部材の突出口からハンド部材のそれぞれに向かうように突出する前記掬い部材をガイドするとともに、前記一対のハンド部材の突出口からハンド部材のそれぞれに向かうように突出する前記掬い部材の先端部を、ハンド部材のそれぞれに向かう方向に垂直な両端部が上方に向くように円弧状に撓ませるガイド部材を有する請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記第2収容部は、前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側に近づくにつれてハンド部材のそれぞれに向かうように円弧状をなす請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記第1収容部に収容される平板形状のスライドガイドを備え、
前記第2アクチュエータは、前記掬い部材とともに前記スライドガイドを前記一対のハンド部材の上下方向に移動させ、
前記スライドガイドは、前記一対のハンド部材の上下方向に移動する前記掬い部材をハンド部材のそれぞれに向かう方向からガイドする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記把持対象物を上方から吸着する吸着パッドと、
前記吸着パッドを上下方向に調整可能な調整機構と、を備えた請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持対象物を把持可能とする把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の把持装置としては、例えば、特許文献1及び特許文献2が挙げられる。特許文献1に開示のピッキング装置は、水平方向に延びる掬い部材と、掬い部材の上方で水平方向に延びるズレ止め部材とを備える。そして、ピッキング装置は、把持対象物の下方に側方から掬い部材を挿入し、その掬い部材により把持対象物を下方から支持するとともに、ズレ止め部材により把持対象物を上方から押圧することによって、掬い部材とズレ止め部材とで把持対象物を把持して、把持対象物をピッキングするものである。
【0003】
また、特許文献2に開示の把持ハンドは、把持対象物を把持可能な一対の把持体を備え、各把持体は、支持軸を中心として回動することにより、鉛直方向に延びる状態から水平方向に延びる状態となり、一対の把持体により把持対象物を下方から支持することによって、把持対象物を把持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平7-80570号公報
【文献】特開平4-339704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のピッキング装置では、掬い部材が水平方向の延びているため、例えば、配置されている把持対象物を把持する場合、その把持対象物の側方に隙間が少ない状況においては、把持対象物の下方に側方から掬い部材を挿入できず、把持対象物を把持できない。また、例えば、把持された把持対象物を配置する場合、その把持対象物を配置する位置の側方に隙間が少ない状況においても、掬い部材を水平方向に移動させることができず、把持対象物の把持を解除できない。
【0006】
また、特許文献2の把持ハンドでは、各把持体が支持軸を中心として回動することにより把持対象物を下方から支持するが、例えば、配置されている把持対象物を把持する場合、その把持対象物の側方に隙間が少ない状況においては、各把持体が回動する隙間がなく、把持対象物の下方に把持体を挿入できず、把持対象物を把持できない。また、例えば、把持された把持対象物を配置する場合、その把持対象物を配置する位置の側方に隙間が少ない状況においても、各把持体が回動する隙間がなく、各把持体が回動する隙間がなく、把持対象物の把持を解除できない。
【0007】
特に、例えば、箱型パレットの側壁近傍となる縁部に配置された把持対象物を把持する場合や、箱型パレットの側壁近傍となる縁部に把持対象物を配置する場合においては、箱型パレットの側壁に掬い部材や各把持体が当たってしまい、把持対象物の下方に側方から掬い部材や各把持体を挿入できず、把持対象物を把持できない。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、側方に隙間が少ない状況であっても、把持対象物の把持及び把持対象物の把持の解除を行うことができる把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための把持装置は、把持対象物を把持可能な一対のハンド部材と、前記把持対象物に対して前記一対のハンド部材を開閉方向に移動させる第1アクチュエータと、を備えた把持装置において、前記一対のハンド部材のそれぞれに収容され、可撓性を有する薄板形状の掬い部材と、前記掬い部材を開閉方向に垂直な上下方向に移動させる第2アクチュエータと、を備え、前記一対のハンド部材のそれぞれは、前記一対のハンド部材の上下方向に延びるように前記掬い部材を収容する第1収容部と、前記第1収容部よりも前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側において前記第1収容部と連通しており、前記掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように前記掬い部材を撓ませて収容する第2収容部と、前記第2収容部よりも前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側において前記第2収容部と連通しており、前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側に移動した前記掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように突出する突出口と、を有することを要旨とする。
【0010】
これによれば、可撓性を有する掬い部材は、第1収容部においてハンド部材の上下方向に延びるように収容されるとともに、第2収容部において掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように掬い部材を撓ませて収容することができる。
【0011】
そして、第2アクチュエータによりハンド部材の上下方向に掬い部材が移動すると、第2収容部において掬い部材の先端部がハンド部材のそれぞれに向かうように突出口から突出させることができる。
【0012】
このため、掬い部材を収容することができるハンド部材を開閉方向に小型化することができるとともに、その開閉方向に小型化したハンド部材から、ハンド部材のそれぞれに向かうように掬い部材の先端部を突出させることができる。したがって、把持対象物の把持を行う場合及び把持対象物の把持の解除を行う場合において、その側方に隙間が少ない場合であっても、その隙間にハンド部材を挿入することができるとともに、ハンド部材のそれぞれに向かうように掬い部材の先端部を突出させることによって、把持対象物を下方から支持することができ、側方に隙間が少ない状況であっても、把持対象物の把持及び把持対象物の把持の解除を行うことができる。
【0013】
また、把持装置について、前記一対のハンド部材のそれぞれは、前記一対のハンド部材の突出口からハンド部材のそれぞれに向かうように突出する前記掬い部材をガイドするとともに、前記一対のハンド部材の突出口からハンド部材のそれぞれに向かうように突出する前記掬い部材の先端部を、ハンド部材のそれぞれに向かう方向に垂直な両端部が上方に向くように円弧状に撓ませるガイド部材を有することが好ましい。
【0014】
これによれば、ガイド部材は、突出口からハンド部材のそれぞれに向かうように突出する掬い部材をガイドすることができるとともに、突出口から突出する掬い部材の先端部を、ハンド部材のそれぞれに向かう方向に垂直な両端部が上方に向くように円弧状に撓ませることができ、把持対象物の自重に抗して、把持対象物を安定して把持することができる。
【0015】
また、把持装置について、前記第2収容部は、前記一対のハンド部材の上下方向の下端部側に近づくにつれてハンド部材のそれぞれに向かうように円弧状をなすことが好ましい。
【0016】
これによれば、第2収容部は、一対のハンド部材の上下方向の下端部側に近づくにつれてハンド部材のそれぞれに向かうように円弧状をなすため、掬い部材の折り曲がりを抑制することができるとともに、掬い部材をスムーズに撓ませることができる。
【0017】
また、前記第1収容部に収容される平板形状のスライドガイドを備え、前記第2アクチュエータは、前記掬い部材とともに前記スライドガイドを前記一対のハンド部材の上下方向に移動させ、前記スライドガイドは、前記一対のハンド部材の上下方向に移動する前記掬い部材をハンド部材のそれぞれに向かう方向からガイドすることが好ましい。
【0018】
これによれば、スライドガイドは、第2アクチュエータの動力により掬い部材とともにハンド部材の上下方向に移動するとともに、掬い部材をハンド部材のそれぞれに向かう方向からガイドすることができ、第2収容部において掬い部材の先端部をハンド部材のそれぞれに向かうように撓ませることに応じて、第1収容部において掬い部材がハンド部材のそれぞれに向かう方向に撓むことを抑制することができる。
【0019】
また、把持装置について、前記把持対象物を上方から吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドを上下方向に調整可能な調整機構と、を備えたことが好ましい。
これによれば、吸着パッドにより把持対象物を上方から吸着することができ、把持装置自体を高速で移動させた場合であっても、把持対象物を安定して把持することができる。
【0020】
そして、吸着パッドの位置を上下方向に調整可能であり、把持対象物と吸着パッドとの距離を調整することによって、把持対象物の変形を抑制するとともに把持対象物を吸着させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、側方に隙間が少ない状況であっても、把持対象物の把持及び把持対象物の把持の解除を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】把持装置を示す斜視図。
図2】把持装置の開閉アクチュエータ部を示す断面図。
図3】把持装置のハンド部材を示す断面図。
図4】把持装置のハンド部材を示す分解斜視図。
図5】把持装置の掬い部材及びガイド板を示す正面図。
図6】把持装置のガイド受板を示す外観斜視図。
図7】把持装置のボディ及び吸着装置を示す分解斜視図。
図8】把持装置のハンド部材を示す断面図。
図9】把持装置のハンド部材を示す断面図。
図10】(a)は、把持装置の掬い部材を示す正面図、(b)は、把持装置のガイド受板及び掬い部材を示す正面図。
図11】(a)~(d)は、把持装置を示す正面図。
図12】(a)~(d)は、把持装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、把持装置を具体化した一実施形態を図1図12にしたがって説明する。
図1に示すように、把持装置10は、ボディ11の両側に一対のハンド部材30を備え、一対のハンド部材30を閉方向に移動させることに応じて把持対象物を把持する装置である。本実施形態における把持装置10は、透過性を有する包装物で包装された食品(例えば、ビニールで包装されたパン)を把持する装置に採用された一例である。本実施形態において、ハンド部材30が開閉する開閉方向を幅方向X、水平方向を含み、かつ、ボディ11の幅方向Xと垂直な方向を厚さ方向Y、ハンド部材30が延びる方向(上下方向)を高さ方向Zしてそれぞれ説明する。
【0024】
把持装置10は、四角筒状のボディ11を備える。ボディ11の上面には、図示しないロボットアームを取り付けるための取付部12を備える。
図2に示すように、把持装置10は、ボディ11に内蔵されたエアシリンダ機構からなる一対の開閉アクチュエータ部20を備える。各開閉アクチュエータ部20は、ボディ11の厚さ方向Yに並ぶように配設されており、ハンド部材30を開閉する方向へ移動させる機能を有する。このような一対の開閉アクチュエータ部20が第1アクチュエータとして機能する。
【0025】
各開閉アクチュエータ部20は、ボディ11の内部にシリンダ孔21を有する。各シリンダ孔21の中心軸線は、ボディ11の厚さ方向Yに並び、かつ、ボディ11の幅方向Xに延びている。
【0026】
各開閉アクチュエータ部20は、シリンダ孔21内に摺動可能に配設されたピストン22を備えるとともに、ピストン22に一体のロッド23を備え、各開閉アクチュエータ部20はこのロッド23を、該ロッド23の中心軸線N1の延びる方向(軸線方向)に沿って移動させる。
【0027】
各開閉アクチュエータ部20は、シリンダ孔21を気密に閉塞するシリンダガイドブッシュ24を軸線方向の両端に備え、各シリンダガイドブッシュ24は、各ロッド23のすべり軸受となる。各シリンダ孔21は、ピストン22によって、ロッド23の一端部23a側のロッド室21aと、ロッド23の他端部23b側のヘッド室21bとに区画されている。
【0028】
各開閉アクチュエータ部20は、ボディ11の幅方向Xの両側に一対のスライドプレート25を備える。一対のロッド23の一方は、一対のスライドプレート25の一方に一端部23aが固定部材26により固定されており、一対のロッド23の他方は、一対のスライドプレート25の他方に一端部23aが固定部材26により固定されている。なお、各ロッド23は、他端部23bがスライドプレート25に固定されていない。
【0029】
把持装置10では、各開閉アクチュエータ部20において、図示しないポートを通じてロッド室21a及びヘッド室21bに圧縮空気が給排されると、ピストン22がシリンダ孔21の中心軸線に沿って往復動する。このように、ピストン22の往復動により、ロッド23が軸線方向に沿って往復動(移動)し、ハンド部材30を幅方向Xに移動させる。本実施形態において、各開閉アクチュエータ部20は、各ロッド23に一体の図示しない棒形状のガイドロッドを備えており、各ガイドロッドに形成されたギアがピニオンギアに噛み合うように配置されることにより、一対のロッド23は、連動して中心軸線N1に沿って相反する方向に移動する。
【0030】
図1に示すように、把持装置10は、幅方向Xに沿ったスライドプレート25の外側にハンド部材30を備える。各ハンド部材30は、高さ方向Zの下方に長手が延びるように構成されている。各ハンド部材30は、上端側ではハンド部材30の高さ方向Zに延び、下端部側では、ハンド部材30の下端部側に近づくにつれてハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状となっている。各ハンド部材30は、スライドプレート25に固定されている。各ハンド部材30は、各開閉アクチュエータ部20(図2に示す)の動力により幅方向Xに沿って移動可能であり、把持装置10は、一対のハンド部材30によって把持対象物を把持可能である。各ハンド部材30には、掬い部材31が内蔵(収容)されており、各掬い部材31は、各ハンド部材30の下端から、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向に突出することにより、把持対象物を下方から支持する。
【0031】
図1及び図3に示すように、把持装置10は、四角筒状の一対のシリンダボディ19を備える。各シリンダボディ19は、ハンド部材30の高さ方向Zの上端に固定されている。
【0032】
図3に示すように、把持装置10は、各シリンダボディ19に内蔵されたエアシリンダ機構からなる一対の突出アクチュエータ部40を備える。各突出アクチュエータ部40は、掬い部材31をハンド部材30の高さ方向Zの下方に移動させ、掬い部材31をハンド部材30の下端から、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向へ突出させる機能を有する。このような一対の突出アクチュエータ部40が第2アクチュエータとして機能する。
【0033】
各突出アクチュエータ部40は、シリンダボディ19の内部にシリンダ孔41を有する。各シリンダ孔41は、シリンダボディ19の中心軸線の延びる軸線方向N2の下端から軸線方向N2に沿って、軸線方向N2の上端にまで延びている。
【0034】
各突出アクチュエータ部40は、シリンダ孔41内に摺動可能に配設されたピストン42を備えるとともに、ピストン42に一体のロッド43を備え、各突出アクチュエータ部40はこのロッド43を、該ロッド43の中心軸線の延びる軸線方向N2に沿って移動させる。各突出アクチュエータ部40は、シリンダ孔41を気密に閉塞するシリンダガイドブッシュ44をシリンダボディ19の軸線方向N2の下端に備え、シリンダ孔41を気密に閉塞するキャップ45をシリンダボディ19の軸線方向N2の上端に備える。各シリンダガイドブッシュ44は、ロッド43のすべり軸受となる。各シリンダ孔41は、ピストン42によって、ロッド43の下端部43a側のロッド室41aと、ロッド43の上端部43b側のヘッド室41bとに区画されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、各ロッド43の下端部43aには、ガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34が固定ねじ35により固定されている。
把持装置10では、各突出アクチュエータ部40において、図示しないポートを通じてロッド室41a及びヘッド室41bに圧縮空気が給排されると、ピストン42がシリンダボディ19の軸線方向N2に沿って往復動する。よって、ピストン42の往復動によって、ロッド43がシリンダボディ19の軸線方向N2に沿って往復動(移動)し、ガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34を高さ方向Zに移動させる。このように、各突出アクチュエータ部40は、ロッド43とともに、ガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34を連動して高さ方向Zに移動させる。
【0036】
各ハンド部材30は、ブラケット32を備え、各ブラケット32は、高さ方向Zの下方に長手が延びるように構成されている。各ブラケット32は、高さ方向Zにおけるシリンダボディ19側に連結部32aを有し、各連結部32aには、高さ方向Zの上方にシリンダボディ19が固定される。各連結部32aは、幅方向Xからスライドプレート25(図1に示す)と固定される。
【0037】
各ブラケット32は、ロッド43の軸線方向N2に沿って延びるロッド収容部32bを備え、各ロッド収容部32bには、ロッド43の下端部43a及びガイドブロック33を軸線方向N2に沿って移動可能なように収容する。各ロッド収容部32bは、ロッド43が移動可能な移動範囲のうち何れの位置に移動しても、ロッド43の下端部43a及びガイドブロック33を収容できるような高さ方向Zの長さである。
【0038】
各ブラケット32は、連結部32aから高さ方向Zの下方に長手が延びるハンド部32cを備える。各ハンド部32cは、符号Z1に示す範囲である連結部32a側の上端部32dにおいては、幅方向Xに対向する各ハンド部材30の側面32eの長手が高さ方向Zに沿って延びる。各ハンド部32cは、符号Z2に示す範囲である連結部32aとは逆側の下端部32fにおいては、幅方向Xに対向する各ハンド部材30の側面32eの長手が、下端32gに近づくにつれて各ハンド部材30のそれぞれが向かう方向に円弧状となっている。
【0039】
各ブラケット32は、底面32hに後述するガイド受板38を収容する凹形状の受板収容部32iを有する。各ブラケット32は、厚さ方向Yに面する両面32jに厚さ方向Yに延びる雌ねじ孔32kを有し、受板収容部32iから高さ方向Zに延びる雌ねじ孔32lを有する。
【0040】
各ハンド部材30は、ロッド43の下端部43aを高さ方向Zに沿ってスライド可能となるようにガイドするガイドブロック33を備え、各ガイドブロック33は、ブラケット32のロッド収容部32bに対応する形状である。ガイドブロック33は、その上面に、ロッド43の下端部43aに対応する形状の凹部33aを有する。ガイドブロック33は、その底面に、掬い部材31の一部に対応する形状の凹部33bを有する。ガイドブロック33は、高さ方向Zに延びて凹部33aから凹部33bに貫通するねじ挿入孔33cを有し、固定ねじ35がねじ挿入孔33cに挿入された状態でロッド43の下端部43aに螺合されることにより、ロッド43の下端部43aが凹部33aに固定される。
【0041】
図3図5に示すように、各ハンド部材30は、鉄又はステンレス鋼により形成される掬い部材31を備える。各掬い部材31は、L字形状の薄板(薄板形状)であり、可撓性を有する。各掬い部材31は、各ハンド部材30のそれぞれに向かう幅方向Xに延びる固定片31aと、固定片31aから各ハンド部材30の高さ方向Zの下方に延びる掬い部31cと、を備える。各掬い部材31は、高さ方向Zに貫通するねじ挿入孔31bを固定片31aに有し、固定ねじ35がねじ挿入孔31bに挿入された状態でロッド43の下端部43aに螺合されることにより、ロッド43の下端部43aに固定される。
【0042】
各掬い部材31は、ロッド43の下端部43aに固定される場合、各掬い部材31の固定片31aの上面がガイドブロックの凹部33bの底面に当接するとともに、高さ方向Zに延びる掬い部31cがブラケット32の側面32eと対面する。
【0043】
各掬い部材31は、掬い部31cの先端部31dにおける厚さ方向Yの両端31eが円弧状に面取りされており、把持対象物を傷つけることなく把持することができる。
各ハンド部材30は、鉄又はステンレス鋼により形成されるスライドガイド34を備える。各スライドガイド34は、L字形状の厚板(平板形状)であり、掬い部材31よりも厚く、可撓性を有さない。各スライドガイド34は、各ハンド部材30のそれぞれに向かう幅方向Xに延びる固定片34aと、固定片34aから各ハンド部材30の高さ方向Zの下方に延びるガイド部34cと、を備える。各スライドガイド34は、高さ方向Zに貫通するねじ挿入孔34bを固定片34aに有し、固定ねじ35がねじ挿入孔34bに挿入された状態でロッド43の下端部43aに螺合されることにより、ロッド43の下端部43aに固定される。
【0044】
各スライドガイド34は、ロッド43の下端部43aに固定される場合、各スライドガイド34の固定片34aの上面が各掬い部材31の固定片31aの底面に当接するとともに、高さ方向Zに延びるガイド部34cが、掬い部材31の掬い部31cと対面する。このように、各スライドガイド34は、固定片34aにより掬い部材31の固定片34aをガイドするとともに、ガイド部34cにより、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向から掬い部材31の掬い部31cをガイドする機能を有する。
【0045】
各スライドガイド34は、ガイド部34cの先端34dにおける厚さ方向Yの両端34eが円弧状に面取りされている。
図5に示すように、各スライドガイド34は、ガイド部34cの長手方向の長さが長さL1であり、ガイド部34cの短手方向の幅が幅W1である。一方、各掬い部材31は、掬い部31cの長手方向の長さが、スライドガイド34のガイド部34cの長さL1よりも長い長さL2であり、掬い部31cの短手方向の幅が、スライドガイド34のガイド部34cの幅W1よりも長い幅W2である。
【0046】
各スライドガイド34は、掬い部材31と比べて、長手方向に短く、短手方向に対しても短い。このため、各掬い部材31は、スライドガイド34と対面する箇所では撓むことはないが、各掬い部材31は、スライドガイド34と対面しない箇所では、長手方向及び短手方向に撓みやすい。更に、各スライドガイド34は、先端34dの両端34eが円弧状に面取りされているため、掬い部材31を長手方向及び短手方向にスムーズに撓ませることができる。
【0047】
図3及び図4に示すように、各ハンド部材30は、掬い部材31を高さ方向Zに沿ってスライド可能なようにガイドするスライド受けガイド36を備える。各スライド受けガイド36は、高さ方向Zに長手が延び、ブラケット32のハンド部32cにおいて、ブラケット32の側面32e及び両面32jを覆うようにコ字形状である。
【0048】
各スライド受けガイド36は、ブラケット32のハンド部32cに面する内面36aにおいて、符号Z1に示す範囲である連結部32a側の上端部36bでは高さ方向Zに沿って延びる。各スライド受けガイド36は、ブラケット32のハンド部32cに面する内面36aにおいて、符号Z2に示す範囲である上端部36bとは逆側の下端部36cでは、先端36dに近づくにつれて各ハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状となっている。
【0049】
各スライド受けガイド36は、厚さ方向Yの両側部36eに厚さ方向Yに貫通するねじ挿入孔36fを有し、固定ねじ37がねじ挿入孔36fに挿入された状態でブラケット32の雌ねじ孔32kに螺合されることにより、ブラケット32のハンド部32cに固定される。各スライド受けガイド36は、ブラケット32のハンド部32cを覆う。
【0050】
図3図4及び図6に示すように、各ハンド部材30は、鉄又はステンレス鋼により形成される平板形状のガイド受板38を備える。各ガイド受板38は、ブラケット32の受板収容部32iに収容されており、ハンド部材30のそれぞれに向かうように突出させるように掬い部材31をスライド可能にガイドする。
【0051】
各ガイド受板38は、厚さ方向Yに長手が延びる基部38aに、高さ方向Zに貫通する一対のねじ挿入孔38bを有し、固定ねじ39が各ねじ挿入孔38bに挿入された状態でブラケット32の雌ねじ孔32lに螺合されることにより、ブラケット32の受板収容部32iに固定される。
【0052】
各ガイド受板38は、基部38aから幅方向Xに沿ってハンド部材30のそれぞれに延びるガイド部38cを備える。各ガイド受板38は、ガイド部38cが基部38aよりも高さ方向Zの下方に位置するように段差が形成されている。ガイド部38cは、基部38aと一体に形成されており、掬い部材31をハンド部材30のそれぞれに向かう幅方向Xにスライド可能にガイドする。つまり、各ガイド受板38は、ハンド部材30のそれぞれに向かうように突出する掬い部材31の掬い部31cをガイドすることができる。
【0053】
各ガイド部38cは、厚さ方向Yの両端部38dが、上方に向かって傾斜するように形成されている。各ガイド受板38は、ガイドする掬い部材31の掬い部31cの先端部31dを、ガイド部38cの両端部38dに沿って、両端部31f(図10に示す)が上方に向くように円弧状に撓ませることができる。このようなガイド受板38がガイド部材として機能する。
【0054】
図3に示すように、各ハンド部材30では、スライド受けガイド36がブラケット32のハンド部32cに、ガイド受板38がブラケット32の受板収容部32iにそれぞれ固定される。これによって、ブラケット32の側面32e及びガイド受板38のガイド部38cと、スライド受けガイド36の内面36aとの間に、収容部46が形成される。
【0055】
各収容部46は、ブラケット32のロッド収容部32bと連通しており、掬い部材31及びスライドガイド34を収容する。各収容部46は、ハンド部材30の高さ方向Zの下方でブラケット32のロッド収容部32bと連通する第1収容部46aと、ハンド部材30の高さ方向Zの下方で第1収容部46aと連通する第2収容部46bと、を有する。第2収容部46bは、ハンド部材30の高さ方向Zの下方で、ハンド部材30のそれぞれに向かうように掬い部材31を突出させる突出口46cと連通する。
【0056】
第1収容部46aは、符号Z1に示す範囲であり、ブラケット32の側面32eの上端部32dと、スライド受けガイド36の内面36aの上端部36bとに挟まれており、ハンド部材30の高さ方向Zに延び、掬い部材31及びスライドガイド34を収容する。第1収容部46aは、ロッド43が移動可能な移動範囲のうち何れの位置に移動しても、掬い部材31及びスライドガイド34を収容する。
【0057】
第2収容部46bは、符号Z2に示す範囲であり、ブラケット32の側面32eの下端部32f及びガイド受板38のガイド部38cと、スライド受けガイド36の内面36aの下端部36cとに挟まれている。第2収容部46bは、ハンド部材30の高さ方向Zの下方に近づくにつれて各ハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状をなしており、ハンド部材30の先端では、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向に延び、突出口46cと連通する。第2収容部46bは、ロッド43が移動可能な移動範囲のうち何れの位置に移動しても、掬い部材31を収容する。なお、スライドガイド34は、ロッド43が移動可能な移動範囲のうち何れの位置に移動しても、第2収容部46bに収容されないような高さ方向Zの長さである。このように、第2収容部46bは、掬い部材31の先端部31dがハンド部材30のそれぞれに向かうように掬い部材31の掬い部31cを撓ませて収容する機能を有する。
【0058】
図1及び図7に示すように、把持装置10は、把持対象物を吸着するための吸着装置50を備える。吸着装置50は、一対の吸着パッド51を備える。一対の吸着パッド51は、ボディ11を挟んで厚さ方向Yに並ぶように配設される。一対の吸着パッド51は、接続ポート52と連通しており、接続ポート52に接続された図示しない真空装置(例えば、真空ポンプ)の作動によって真空状態となり、把持対象物を上方から吸着する。
【0059】
一対の吸着パッド51は、ブラケット53に固定されている。ブラケット53は、略L字形状であり、ボディ11の前面13と底面14とに沿ってボディ11に固定される。ブラケット53は、ボディ11の高さ方向Zに長手が延びる平板部53aに一対のスライド溝53bを有する。各スライド溝53bは、ボディ11の高さ方向Zに長手が延びるように形成されている。
【0060】
ボディ11は、前面13から厚さ方向Yに延びる一対の雌ねじ孔13aを有する。一対の雌ねじ孔13aの一方には、雄ねじ15が螺合可能であり、一対の雌ねじ孔13aの他方には、固定ハンドル16の雄ねじ部16aが螺合可能である。
【0061】
一対のスライド溝53bの一方に雄ねじ15が挿入されるとともに、一対のスライド溝53bの他方に固定ハンドル16の雄ねじ部16aが挿入された状態で、固定ハンドル16の雄ねじ部16aがボディ11の雌ねじ孔13aに螺合される。これにより、ブラケット53の平板部53aがボディ11の前面13と固定ハンドル16とに挟持され、ブラケット53がボディ11に固定される。
【0062】
一対のスライド溝53bの一方に雄ねじ15が挿入されるとともに、一対のスライド溝53bの他方に固定ハンドル16の雄ねじ部16aが挿入された状態で、固定ハンドル16の雄ねじ部16aの螺合を緩めることにより、ブラケット53がボディ11の高さ方向Zに沿ってスライド可能となる。このように、把持装置10は、把持対象物に応じて吸着パッド51の高さが調整可能であり、本実施形態においては、最長約13.1mmの範囲で調整可能である。このように、ボディ11、雄ねじ15、固定ハンドル16及びブラケット53(ブラケット53のスライド溝53b)が吸着パッド51を上下方向に調整可能な調整機構として機能する。
【0063】
ボディ11は、ボディ11の高さ方向Zの縮尺が作業者により視認可能なメジャー17を前面13に有しており、吸着パッド51の高さを調整する基準とすることによって、把持対象物に応じて吸着パッド51の高さを調整することができ、把持装置10の把持性能の均等化を図ることができる。
【0064】
次に、把持装置10の作用をその動作とともに説明する。
図3に示すように、各突出アクチュエータ部40では、ロッド43が高さ方向Zの上方に配置されており、ロッド43の下端部43aに固定されているガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34が、高さ方向Zの最上位置に配置されている。
【0065】
この場合、スライドガイド34は、第1収容部46aに収容されており、各掬い部材31は、第1収容部46a及び第2収容部46bに収容され、各掬い部材31の先端部31dが突出口46cから突出しない状態(収容状態)である。
【0066】
このような状態では、第1収容部46aにおいて、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cが、ブラケット32の側面32eの上端部32dと、スライドガイド34のガイド部34c及びスライド受けガイド36の内面36aの上端部36bとに対面する。第1収容部46aにおいて、各スライドガイド34は、そのスライドガイド34のガイド部34cが、掬い部材31の掬い部31cと、スライド受けガイド36の内面36aの上端部36bとに対面する。
【0067】
第2収容部46bにおいて、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cが、ブラケット32の側面32eの下端部32f及びガイド受板38のガイド部38cと、スライド受けガイド36の内面36aの下端部36cとに対面する。
【0068】
このため、各第1収容部46aにおいて、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cが、ブラケット32の側面32eの上端部32dと、スライドガイド34のガイド部34c及びスライド受けガイド36の内面36aの上端部36bとにガイドされて、幅方向Xに撓むことを防止することができる。このため、第1収容部46aでは、掬い部材31は、ハンド部材30の高さ方向Zに沿って直線状に配置される。
【0069】
その一方、第2収容部46bにおいて、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cが、ブラケット32の側面32eの下端部32f及びガイド受板38のガイド部38cと、スライド受けガイド36の内面36aの下端部36cとにガイドされて、ハンド部材30のそれぞれに向かうように撓んでいる。このため、第2収容部46bでは、掬い部材31は、ハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状に配置される。
【0070】
そして、図8に示すように、各突出アクチュエータ部40の動作により、ロッド43が高さ方向Zの下方に移動することにより、ロッド43の下端部43aに固定されているガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34が、高さ方向Zの下方に移動する。
【0071】
この場合、スライドガイド34は、第1収容部46aに収容されており、各掬い部材31は、第1収容部46a及び第2収容部46bに収容され、各掬い部材31の先端部31dが突出口46cから第1の長さ(例えば約7.5mm)だけ突出する状態(第1突出状態)である。
【0072】
更に、図9に示すように、各突出アクチュエータ部40の動作により、ロッド43が更に高さ方向Zの下方に移動することにより、ロッド43の下端部43aに固定されているガイドブロック33、掬い部材31及びスライドガイド34が、更に高さ方向Zの下方に移動する。
【0073】
この場合、スライドガイド34は、第1収容部46aに収容されており、各掬い部材31は、第1収容部46a及び第2収容部46bに収容され、各掬い部材31の先端部31dが突出口46cから、第1の長さよりも長い第2の長さ(例えば約15.0mm)だけ突出する状態(第2突出状態)である。
【0074】
このように、各掬い部材31は、ハンド部材30の高さ方向Zに沿って移動しても、第1収容部46aでは、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向からスライドガイド34のガイド部34cによりガイドされる。このため、各掬い部材31は、スライド受けガイド36の先端に引っ掛かるなどして、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向へ撓むことはなく、ハンド部材30の高さ方向Zに沿って直線状に配置される。また、各スライドガイド34は、そのスライドガイド34のガイド部34cが第1収容部46aに収容され、第2収容部46bまで移動することがない。このため、各掬い部材31は、第2収容部46bにおいて、掬い部材31の先端部31dがハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状に撓む。
【0075】
また、図10(a)に示すように、各掬い部材31は、通常時においては、その掬い部材31の掬い部31cが短手方向に撓まない。
一方、図10(b)に示すように、スライド受けガイド36の先端36dと、ガイド受板38のガイド部38cとの間に突出口46cが形成されており、その突出口46cから掬い部材31が突出する。また、各ガイド受板38のガイド部38cは、厚さ方向Yの両端部38dが、上方に向かって傾斜するように形成されている。このため、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cがガイド受板38のガイド部38cに当接する場合には、ガイド受板38のガイド部38cに沿って、掬い部材31の掬い部31c両端部31fが上方に向かうように掬い部材31の掬い部31cが短手方向に撓む。
【0076】
また、各スライド受けガイド36の先端36dは、ガイド受板38のガイド部38cに沿うように、その底面36gの両端部36hが、上方に向かって傾斜するように形成されている。このため、ガイド受板38のガイド部38cの上方にはスライド受けガイド36の先端36dの底面36gがあり、掬い部材31の掬い部31cが過度に撓むことを防止することができる。
【0077】
このように、各掬い部材31は、その掬い部材31の掬い部31cがガイド受板38のガイド部38c及びスライド受けガイド36の先端36dの底面36gに沿って、各掬い部材31の掬い部31cの両端部31fが上方に向かって撓んだ状態で、突出口46cからハンド部材30のそれぞれに向かうように突出する。したがって、把持対象物を掬い部材31により安定して支持することができる。
【0078】
図11及び図12を参照して、把持対象物A1がベルトコンベアーBに配置されており、把持装置10がその把持対象物A1を把持した後に、別の場所であるパレットの所定位置C1に配置する場合について説明する。
【0079】
図11(a)に示すように、ベルトコンベアーBに把持対象物A1が配置されている。把持装置10は、ボディ11と一対のスライドプレート25との間に隙間があり、一対のハンド部材30が開状態となっている。この場合、各ハンド部材30では、掬い部材31が収納された状態であり、掬い部材31がハンド部材30の閉方向には突出していない。
【0080】
次に、図11(b)に示すように、各ハンド部材30が把持対象物A1の両側に配置されるように把持装置10が移動する。そして、図11(c)に示すように、把持装置10において、一対のスライドプレート25及び一対のハンド部材30が、ハンド部材30の閉方向に移動し、一対のハンド部材30が閉状態となり、各ハンド部材30閉方向に掬い部材31が突出することによって、把持対象物A1を両側方及び下方から把持する。また、吸着パッド51が把持対象物A1を上方から吸着する。そして、図11(d)に示すように、各ハンド部材30により把持対象物A1が把持された状態で把持装置10が移動する。
【0081】
続いて、図12(a)に示すように、各ハンド部材30により把持対象物A1が把持された状態で把持装置10が移動する。この場合、パレットの所定位置C1に把持対象物A1を配置するが、その側方には、別の把持対象物A2が既に配置されている位置C2及びパレットの側壁C3が配置されており、パレットの所定位置C1の側方に隙間が少ない状況となっている。
【0082】
次に、図12(b)に示すように、各ハンド部材30により把持対象物A1が把持された状態で、把持対象物A1がパレットの所定位置C1に配置されるように把持装置10が移動する。
【0083】
そして、図12(c)に示すように、把持装置10において、一対のスライドプレート25及び一対のハンド部材30が、ハンド部材30の開方向に移動し、一対のハンド部材30が開状態となり、各ハンド部材30閉方向に掬い部材31が収納されることによって、把持対象物A1の把持を解除する。また、把持対象物A1に対する吸着パッド51の吸着が終了する。そして、図12(d)に示すように、各ハンド部材30により把持対象物A1が把持された状態で把持装置10が移動する。
【0084】
この場合、把持装置10において、各ハンド部材30が開状態となる程度の隙間が必要となるが、各ハンド部材30の高さ方向Zに沿って掬い部材31が収容されており、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向に掬い部材31を突出させるための隙間が必要なく、隙間が少ない状況であっても把持対象物A1の把持を解除することができる。
【0085】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)可撓性を有する各掬い部材31は、第1収容部46aにおいてハンド部材30の長手方向である高さ方向Zに延びるように収容される。また、各掬い部材31は、第2収容部46bにおいて掬い部材31の先端部31dがハンド部材30のそれぞれに向かうように掬い部材31を撓ませて収容することができる。また、一対の突出アクチュエータ部40は、各掬い部材31をハンド部材30の高さ方向Zに移動させることができる。
【0086】
そして、例えば、掬い部材31全体を幅方向Xに沿って移動させる構成と比べて、突出アクチュエータ部40によりハンド部材30の高さ方向Zに掬い部材31が移動すると、第2収容部46bにおいて掬い部材31の先端部31dがハンド部材30のそれぞれに向かうように突出口46cから突出させることができる。つまり、ハンド部材30に全体が収容されていた掬い部材31の一部を、ハンド部材30のそれぞれに向かうように突出口46cから突出させることができる。
【0087】
このため、各ハンド部材30を開閉方向に小型化することができるとともに、その開閉方向に小型化したハンド部材30から、ハンド部材30のそれぞれに向かうように掬い部材31の先端部31dを突出させることができる。したがって、把持装置10は、把持対象物の把持を行う場合及び把持対象物の把持の解除を行う場合において、その側方に隙間が少ない場合であっても、その隙間にハンド部材30を挿入することができる。そして、把持装置10は、ハンド部材30のそれぞれに向かうように掬い部材31の先端部31dを突出させることによって、把持対象物を下方から支持することができ、側方に隙間が少ない状況であっても、把持対象物の把持及び把持対象物の把持の解除を行うことができる。
【0088】
(2)ガイド受板38は、突出口46cからハンド部材30のそれぞれに向かうように突出する掬い部材31をガイドすることができる。ガイド受板38は、突出口46cからハンド部材30のそれぞれに向かうように突出する掬い部材31の先端部31dを、ハンド部材30のそれぞれに向かう方向に垂直な両端部31fが上方に向くように円弧状に撓ませることができ、把持対象物の自重に抗して、把持対象物を安定して把持することができる。
【0089】
(3)第2収容部46bは、ハンド部材30の高さ方向Zの下端側に近づくにつれてハンド部材30のそれぞれに向かうように円弧状をなすため、掬い部材31の折り曲がりを抑制することができるとともに、掬い部材31をスムーズに撓ませることができる。
【0090】
(4)スライドガイド34は、突出アクチュエータ部40の動力により掬い部材31とともにハンド部材30の位置を高さ方向Zに移動する。スライドガイド34は、掬い部材31をハンド部材30のそれぞれに向かう方向からガイドすることができ、第2収容部46bにおいて掬い部材31の先端部31dをハンド部材30のそれぞれに向かう方向に撓ませることに応じて、第1収容部46aにおいて掬い部材31がハンド部材30のそれぞれに向かう方向に撓むことを抑制することができる。
【0091】
(5)吸着パッド51により把持対象物を上方から吸着することができ、把持装置10を高速で移動させた場合であっても、把持対象物を安定して把持することができる。
(6)特に、吸着パッド51を上下方向に調整可能であり、把持対象物と吸着パッド51との距離を調整することによって、把持対象物の変形を抑制するとともに把持対象物を吸着させることができる。例えば、吸着パッド51と把持対象物との距離を適切に調整することによって、把持装置10を高速で移動させた場合に、把持対象物を安定して把持することができる一方で、把持対象物に対する意図しない変化を抑制することができる。また、例えば、高さが異なる把持対象物を把持する場合であっても、把持する把持対象物の高さに応じて吸着パッド51と把持対象物との距離を適切に調整することができ、把持対象物を適切に吸着させることができる。また、例えば、把持対象物としてビニールで包装されたパンを把持する場合、吸着パッド51と把持対象物との距離を適切に調整することによって、パンの上方に乗っている具材が移動することや、パンの上方に乗っている具材がビニールの内側に張り付くことを抑制することができる。
【0092】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0093】
・上記実施形態において、一対の吸着パッド51は、ボディ11を厚さ方向Yに挟んで並ぶように配設されたが、ボディ11の幅方向Xに並ぶように配設されてもよい。
・上記実施形態において、2つの吸着パッド51が配設されたが、1つの吸着パッドが配設されても、3つ以上の吸着パッド51が配設されてもよい。
【0094】
・上記実施形態において、掬い部材31は、鉄又はステンレス鋼により形成されたが、可撓性を有していれば、別の金属製であってもよい。
・上記実施形態において、スライドガイド34は、鉄又はステンレス鋼により形成されたが、別の金属製であってもよい。また、スライドガイド34としては、掬い部材31をガイドできる程度に構成されればよい。
【0095】
・上記実施形態において、別体で構成されたブラケット32とスライド受けガイド36とを固定するとともに、別体で構成されたブラケット32とガイド受板38とを固定することによって、第1収容部46a、第2収容部46b及び突出口46cが形成されたが、これに限らない。例えば、ブラケット32とスライド受けガイド36とガイド受板38との少なくとも何れかが一体に構成されることによって、第1収容部46a、第2収容部46b及び突出口46cが形成されてもよい。
【0096】
・上記実施形態において、一対の開閉アクチュエータ部20により一対のハンド部材30を幅方向Xに開閉させたが、1つの開閉アクチュエータ部により一対のハンド部材を幅方向に開閉させてもよい。
【0097】
・上記実施形態において、開閉アクチュエータ部20及び突出アクチュエータ部40をエアシリンダ機構としたが、開閉アクチュエータ部20及び突出アクチュエータ部40の何れかは、エアシリンダ機構ではなく、油圧シリンダ機構であってもよいし、ボールネジ機構、モータ駆動機構等に変更してもよい。
【0098】
・上記実施形態において、一対のハンド部材30により把持対象物を把持可能な把持装置10を採用したが、これに限らず、例えば、対象物を下方から支持可能な装置(例えば、支持装置)にも採用することができる。
【符号の説明】
【0099】
10…把持装置、11…ボディ、15…雄ねじ、16…固定ハンドル、17…メジャー、20…開閉アクチュエータ部、25…スライドプレート、30…ハンド部材、31…掬い部材、32…ブラケット、34…スライドガイド、36…スライド受けガイド、38…ガイド受板、40…突出アクチュエータ部、43…ロッド、50…吸着装置、51…吸着パッド、53…ブラケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12