(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】強化材料を含むコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2019018818
(22)【出願日】2019-02-05
(62)【分割の表示】P 2016512878の分割
【原出願日】2014-05-08
【審査請求日】2019-03-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2013-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】508055973
【氏名又は名称】メニコン シンガポール ピーティーイー. リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, ステファン ディー.
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】小濱 健太
【審判官】関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-538113(JP,A)
【文献】特開昭52-78453(JP,A)
【文献】国際公開第2011/123180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズであって、
目の表面へ直接装着するように構成されており、ハイドロゲル材料からなるレンズ本体であって、第1レンズ層及び第2レンズ層を有するレンズ本体と、
当該コンタクトレンズの酸素透過性を高めるためのシリコーンからなるレンズ強化材料であって、
該第1レンズ層と該第2レンズ層の間に位置し、該ハイドロゲル材料内に封入され
該ハイドロゲル材料に共有結合されていない複数の孤立部分を含むレンズ強化材料と、
を有し
該レンズ本体は該第1レンズ層によって画定される内面と該第2レンズ層によって画定される外面とを有し、該外面と該内面との間の当該コンタクトレンズの厚さが0.1mm-0.14mmで、該外面又は該内面と該レンズ強化材料との間の厚さが0.010mm以下であり、該孤立部分において該レンズ強化材料の厚さが該ハイドロゲル材料よりも厚くされている、コンタクトレンズ。
【請求項2】
該レンズ強化材料は該第1レンズ層及び該第2レンズ層の間に封入され、該第1レンズ層及び該第2レンズ層は該レンズ強化材料の該孤立部分の間を通して一体的に結合されている、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
コンタクトレンズであって、
目の表面へ直接装着するように構成されており、ハイドロゲルポリマーからなりシリコーンポリマーを含まないレンズ本体と、
当該コンタクトレンズの酸素透過性を高めるためのシリコーンポリマーであって、該レンズ本体のハイドロゲルポリマー内に封入された複数の孤立部分からなる、シリコーンポリマーからなるレンズ強化材料と
を備え、
該孤立部分において該レンズ強化材料の厚さが該ハイドロゲル材料よりも厚くされているコンタクトレンズ。
【請求項4】
該レンズ強化材料はシリコーンポリマーからなりハイドロゲルポリマーを含まない、請求項
3に記載のコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化材料を含んだコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズはここ20年の間で大きく改良されてきた。それらは今ではより優れた湿潤性及びより高い酸素透過性をもたらす材料で作られている。それらは使用者の目の外観を変えるのに使用することもできる。例えばカラーコンタクトを使用すれば使用者の虹彩の外観を変えることができる。
【0003】
これらの改良を重ねてもなおコンタクトレンズは幾つかの欠点に悩まされている。例えば、耐久性、湿潤性、及び/又は酸素透過性を高めたコンタクトレンズを提供できれば有益であろう。更に、レンズ上に判読可能文字を含んでいるコンタクトレンズを提供できれば有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,731,408号
【文献】米国特許第5,713,963号
【文献】米国特許第7,354,959号
【発明の概要】
【0005】
開示されている主題の様々な特徴、特性、及び利点を示すために多数の代表的な実施形態が提供されている。1つの実施形態に関連して説明されている特徴、特性、利点、などは、別々に使用されてもよいし、又は他の実施形態に関連して説明されている他の特徴との様々な組合せ及び部分的組合せで使用されてもよいものと理解されたい。
【0006】
コンタクトレンズは、コンタクトレンズの1つ又はそれ以上の性質を改変するレンズ強化材料を含んでいる。レンズ強化材料は、レンズの外観の様な性質を改変することができ、ひいては目の外観を改変させる。例えば、レンズ強化材料は、虹彩、角膜輪部(limbal ring)、瞳孔、又は目の他部分の外観を強化するインクパターンを含むことができる。
【0007】
レンズ強化材料は、更に、湿潤性及び酸素透過性の様なコンタクトレンズの性質を強化することができる。例えば、レンズ強化材料は、高められた湿潤性及び酸素透過性を提供するようにハイドロゲル材料と組み合わせて配列されているシリコーン材料を含むことができる。
【0008】
レンズ強化材料は、更に、薬物やビタミンなどの様な医薬類を送達するのに使用することができる。例えば、レンズ強化材料は、感染を排除するべく目の中へ徐放される抗生物質材料を含むことができる。レンズ強化材料は、コンタクトレンズの周辺ゾーン及び/又は光学ゾーンに配置させることができる。
【0009】
1つの実施形態では、コンタクトレンズは目の表面に直接装着するように構成されているレンズ本体を含んでいる。レンズ本体は、コンタクトレンズが目の上にあるときに第三者である観察者に視認可能である複数の判読可能文字を含んでいる。複数の判読可能文字はレンズ本体の一部として含まれているインクによって形成されている。判読可能文字は、「I Love You(愛してる)」又は「Imagine Me(私を想って)」の様な1つ又はそれ以上の単語を形成している書記文字を含んでいてもよい。それらは、更に、字、番号、記号、及び幾何学図形を含むことができる。この判読可能文字は、レンズ本体上に配置させることもできるし、及び/又はレンズ本体に封入させることもできる。
【0010】
文字は何れの適する場所に配置させることもできるが、使用者の視力に影響を及ぼすことのないようにコンタクトレンズの周辺ゾーンに印刷されるのが望ましい。文字は白黒であってもよいがカラーであるのが望ましい。1つの実施形態では、レンズ本体は第1層と第2層を含んでいて、それら2つの層の間に判読可能文字を配置させている。
【0011】
別の実施形態では、レンズ強化材料はコンタクトレンズ上に、虹彩、角膜輪部、瞳孔、又は目の他部分の外観を有するマーキング及び/又は虹彩、角膜輪部、瞳孔、又は目の他部分の外観を強化する(普通より拡がって見えるようにする)マーキングを形成する。インクはポリマー材料へ接着する能力を強化するために濃厚剤を含むことができる。
【0012】
別の実施形態では、コンタクトレンズは、ポリマー材料及びポリマー材料に封入、包み込み、又は包囲されているレンズ強化材料を含むレンズ本体を備えている。レンズ強化材料は、インク、シリコーン材料(例えば、シリコーンポリマー類、シリコーンハイドロゲル材料、など)、医薬材料(例えば、薬物送達材料及びビタミン送達材料)、などを含む上記材料の何れかを含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、コンタクトレンズは、ポリマー材料及び周囲のポリマー材料に封入されているレンズ強化材料の孤立部分を含むレンズ本体を備えている。レンズ強化材料は、コンタクトレンズの構造的完全性を強化するように物理的に分離された部分として孤立している。レンズ強化材料は上記材料の何れであってもよい。
【0014】
1つの実施形態では、レンズ本体は、シリコーン材料の孤立部分から成るパターンを周囲のポリマー材料に封入させて含むポリマー材料を備えている。シリコーン材料はシリコーンハイドロゲル材料又はシリコーンポリマー類を含むことができる。1つの実施形態では、シリコーン材料はコンタクトレンズの酸素透過性を強化するように少なくとも実質的に完全にシリコーンポリマー類である(ハイドロゲルポリマー類は殆ど若しくは全く含まれていない)。
【0015】
コンタクトレンズは何れかの適したプロセスを使用して作ることができる。1つの実施形態では、コンタクトレンズを作るための方法は、(1)第1面を含む第1レンズ層を形成する段階、(2)第1レンズ層の第1面上にパターンを形成する段階及び/又は第1レンズ層の第1面上にレンズ強化材料を堆積させる段階、及び(3)パターン又はレンズ強化材料を覆って第2レンズ層を形成する段階、を含んでいる。
【0016】
それら層は、遠心回転鋳造、鋳造成形、及び/又は回転成形の様なコンタクトレンズ製造プロセスを使用して形成することができる。第1レンズ層は、液体ポリマー材料を鋳型に注ぎ込み、ポリマー材料を遠心回転させ部分硬化させることによって形成されるのが望ましい。第2レンズ層は、それが完全硬化されることを別にすれば同様の方法で形成することができる。タンプ印刷(tamp printing)プロセス又は液体ジェット(例えば、インクジェット)印刷プロセスの様な印刷プロセスを使用してパターンを形成すること及び/又はレンズ強化材料を堆積させることができる。
【0017】
「発明の概要」は以下に「発明を実施するための形態」の中で更に説明されている概念の選りすぐりを簡略形式で紹介するために提供されている。「発明の概要」及び「背景技術」は、開示されている主題の重要な概念又は本質的な態様を特定することを意図しているのでもなければ、「特許請求の範囲」の範囲を拘束又は限定するために使用されるべきでもない。例えば、「特許請求の範囲」の範囲は、記載されている主題が「発明の概要」の中で言及されている何れかの態様又は全ての態様を含んでいるかどうか及び/又は記載されている主題が「背景技術」の中で言及されている課題の何れかを解決するよう取り組んでいるかどうかに基づいて限定されてはならない。
【0018】
好適な実施形態及び他の実施形態が添付図面と関連付けて開示されている。図面全体を通して、同一の符号は、必ずしも同一であるとは限らないが同様である要素を指し示している。以下は図面の説明である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】周辺ゾーンに視認可能マーキングを有するコンタクトレンズの1つの実施形態の断面図である。
【
図2】
図1に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図3】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。虹彩の外観を有するように及び/又は虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図4】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。虹彩の外観を有するように及び/又は虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図5】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。虹彩の外観を有するように及び/又は虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図6】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。虹彩の外観を有するように及び/又は虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図7】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。アジアの書記文字を模したマーキングで虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図8】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの様々な実施形態の1つの前面図である。アジアの書記文字を模したマーキングで虹彩の外観を強化するように設計されている。
【
図9】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図10】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図11】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図12】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図13】周辺ゾーンにレンズ強化材料の或るパターンを有するコンタクトレンズの1つの実施形態の断面図である。
【
図14】
図13に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図15】周辺ゾーンにレンズ強化材料の或るパターンを有するコンタクトレンズの別の実施形態の断面図である。
【
図16】
図15に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図17】光学ゾーンにレンズ強化材料の或るパターンを有するコンタクトレンズの1つの実施形態の断面図である。
【
図18】
図17に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図19】光学ゾーンにレンズ強化材料の或るパターンを有するコンタクトレンズの別の実施形態の断面図である。
【
図20】
図19に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図21】光学ゾーンにレンズ強化材料の或るパターンを有するコンタクトレンズの別の実施形態の断面図である。
【
図22】
図21に示されているコンタクトレンズの一部分の拡大図である。
【
図23】
図1-
図22に示されているコンタクトレンズを作るための方法の1つの実施形態のフローチャートである。
【
図24】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図25】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【
図26】
図1に示されているコンタクトレンズの周辺ゾーンに含むことのできるマーキングパターンの異なる実施形態の前面図である。暗い背景の上から配置されている判読可能文字を含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
各種レンズ強化材料を含むコンタクトレンズが開示されている。レンズ強化材料はコンタクトレンズの1つ又はそれ以上の性質を所望の方式で改変する。レンズ強化材料がコンタクトレンズを改変させることのできるやり方の例として、コンタクトレンズの外観を改変しひいては目の外観を改変すること、コンタクトレンズの湿潤性を改変すること、コンタクトレンズの酸素透過性を改変すること、など、が挙げられる。
【0021】
図1は、コンタクトレンズ100上に1つ又はそれ以上のパターンを形成している視認可能マーキング102を有するコンタクトレンズ100の1つの実施形態を示している。コンタクトレンズ100は、第1レンズ層104及び第2レンズ層106を含んでいて、層104と層106の間にマーキング102を配置させている。マーキング102は層104と層106の間に配置されているものとして示されているが、マーキング102は更にコンタクトレンズ100の凸外面に配置させることもでき得るものと認識されたい。
【0022】
層104及び層106とマーキンング102の組合せがコンタクトレンズ100のレンズ本体を形成している。層104、層106は、同じ材料で形成されていてもよいし、又は異なる材料で形成されていてもよい。1つの実施形態では、層104、層106は同じ材料で形成されているので、コンタクトレンズ100には視覚的観点からも物理的性質の観点からも認識できる境界層はない。層104、層106は、何れかの適した方法を使用して一体につなぎ合わせることができる。1つの実施形態では、層104、層106は、コンタクトレンズ100により大きい内部構造強度を与えるように互いに共有結合されている。例えば、層104、層106は一体に重合されていてもよい。
【0023】
別の実施形態では、層104、層106は異なる材料で形成されている。層104、層106は、それでもなお、視覚的観点からも物理的性質の観点からも認識できる境界層を持たないものとすることができる。それらの異なる材料は、層104、層106に異なる性質を提供することができるので、コンタクトレンズ100の各面の性質を特注仕様化することが実施可能になる。
【0024】
層104、層106が同じ材料で作られているか異なる材料で作られているかにかからわらず、層104と層106の間に認識できる境界層を形成することも実施可能である。境界層がコンタクトレンズ100の視覚的明瞭さを妨げないようにするのが望ましい。
【0025】
第1レンズ層104及び第2レンズ層106は、コンタクトレンズでの使用に適した何れの材料からも作ることができる。例えば、層104、層106は、どのようなシリコーン材料及び/又はハイドロゲル材料で作ることができる。層104、層106は、如何なる数の適当なポリマー類で作ることができ、その様なポリマー類には、何ら限定するわけではないが、以下のものが含まれる。即ち、低含水(<50%水分)非イオン性ハイドロゲルポリマー類として、テフィルコン(tefilcon)、テトラフィルコン(tetrafilcon)A、クロフィルコン(crofilcon)、ヘルフィルコン(helfilcon)A及びB、マフィルコン(mafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びヒオキシフィルコン(hioxifilcon)B。低含水非イオン性シリコーンハイドロゲルポリマー類として、ロトラフィルコン(lotrafilcon)A、ロトラフィルコンB、ガリーフィルコン(galyfilcon)A、セノフィルコン(senofilcon)A、シフィルコン(sifilcon)A、コムフィルコン(comfilcon)A、及びエンフィルコン(enfilcon)A。高含水(>50%水分)非イオン性ハイドロゲルポリマー類として、リドフィルコン(lidofilcon)B、サーフィルコン(surfilcon)A、リドフィルコンA、アルファフィルコン(alfafilcon)A、オマフィルコン(omafilcon)A、バサーフィルコン(vasurfilcon)A、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンD、ネルフィルコン(nelfilcon)A、ヒラフィルコン(hilafilcon)A、及びアコフィルコン(acofilcon)A。低含水イオン性ハイドロゲルポリマー類として、ブフィルコン(bufilcon)A、デルタフィルコン(deltafilcon)A、及びフェムフィルコン(phemfilcon)A。低含水イオン性シリコーンハイドロゲルポリマー類として、バラフィルコン(balafilcon)A。高含水イオン性ハイドロゲルポリマー類として、ブフィルコン(bufilcon)A、パーフィルコン(perfilcon)、エタフィルコン(etafilcon)A、フォコフィルコン(focofilcon)A、オキュフィルコン(ocufilcon)B、オキュフィルコンC、オキュフィルコンD、オキュフィルコンE、オキュフィルコンF、フェムフィルコンA、メタフィルコン(methafilcon)A、メタフィルコンB、及びビルフィルコン(vilfilcon)A。
【0026】
これらの材料は、モノマー類、ポリマー類、及び最終ポリマーを形成する他の材料の様々な組合せを含む。例えば、これらの材料の共通成分は、HEMA、HEMA-GMA、など、を含む。
【0027】
1つの実施形態では、層104、層106は、如何なるシリコーンも含まない少なくとも実質的に完全にハイドロゲルポリマー類で作られている。これは、コンタクトレンズ100の湿潤性を高めるうえで望ましいであろう。別の実施形態では、層104、層106は、シリコーンハイドロゲル材料で作られている。
【0028】
1つの実施形態では、層104、層106は、コンタクトレンズ100の内面108及び外面110が殆ど又は完全にハイドロゲルポリマー類で作られるように構成されている。この構成では、疎水性シリコーンポリマー類ではなしに親水性ハイドロゲルポリマー類が目の表面及びまぶたの裏に接触する。層104、層106がなおシリコーンポリマー類を含んでいることがあるとしても、シリコーンポリマー類はコンタクトレンズ100の面108、110には存在していない。
【0029】
第1レンズ層104及び第2レンズ層106は、使用者の目の形状及び大きさ並びにコンタクトレンズによって実現させたい様々な光学的性質を含む各種要因に基づく形状及び大きさとすることができる。幾つかの実施形態では、レンズ層104、レンズ層106は、それぞれ、大凡0.01mmから大凡0.09mmの厚さを有している。コンタクトレンズ100の総厚は大凡0.1mmから大凡0.14mmとすることができる。レンズ層104、レンズ層106の厚さは、コンタクトレンズ100の異なる場所で変化していてもよい。例えば、第2レンズ層106は、
図1に示されている様にコンタクトレンズ100の外縁付近では光学ゾーンより厚くなっていてもよい。
【0030】
層104、層106は、一方の層104、106が他方の層104、106より厚い又は薄いという具合に異なる厚さを有していてもよい。例えば、
図1の第1レンズ層104は第2レンズ層106より実質的に薄い。これにより、マーキング102がコンタクトレンズ100の外面110により近接に配置されるようになる。どちらの層104、106も任意の所望の厚さ又は厚さプロファイルを有することができるものと認識されたい。
【0031】
第1レンズ層104は、コンタクトレンズ100の外面110となっている第2面とは反対側に配置されている第1面112(或いは第1レンズ面と呼称)を含んでいる。第1面112は凹形状を有するものとすることができ、概して第1レンズ層104のマーキング102をその上に形成させる面の役目を果たす。
【0032】
第2レンズ層106は、コンタクトレンズ100の内面108となっている第2レンズ面とは反対側に配置されている第1面114を含んでいる。第1面114は、第1レンズ層104の第1面112に対応する凸形状を有するものとすることができ、その結果、2つの層112と層114が一体にされたとき第1面112上のマーキング102が封入される。層112、層114は、コンタクトレンズ100内の何らのギャップ又はボイドも排除する方式で形成されるのがよい。
【0033】
コンタクトレンズ100は追加の層を含むことができるものと認識されたい。例えば、1つのレンズ強化材料を層104と層106の間に配置させ、別のレンズ強化材料をレンズ106及び第3のレンズ層(図示されていない)の間に配置させることもできる。第1のレンズ強化材料をマーキング102とし、第2のレンズ強化材料を医薬材料としてもよい。
【0034】
マーキング102は、コンタクトレンズ100が使用者の目の中にあるときに、第三者である観察者に視認可能であるように構成されている。マーキング102は、使用者の目の外観を改変及び/又は強化することができる。マーキング102を使用すれば使用者の虹彩、角膜輪部、瞳孔、などの外観を改変又は強化することができる。例えば、マーキング102を使用すれば使用者の目の色を変えることができる。
【0035】
図3-
図8は、虹彩の外観を有するように及び/又は虹彩の外観を強化するように構成されているマーキング102の様々な実施形態を示している。マーキング102は白黒であってもよいがカラーであるのが望ましい。例えば、
図5のマーキング102は異なる陰影の緑色を有していてもよく、そうするとコンタクトレンズ100を装用した使用者は緑色の目を有する。同様に、
図6のマーキング102を異なる陰影の鮮紅色にすれば使用者の目の色を赤に変えることができる。
【0036】
図7-
図8は、ベタ背景の上から配置されているアジアの書記文字を模したマーキング102で虹彩の外観を強化するように構成されているコンタクトレンズ100の1つの実施形態を示している。書記文字はベタ背景が終わっている区域を越えてコンタクトレンズ100の光学ゾーンに向かって延びている。
【0037】
幾つかの実施形態では、マーキング102は、使用者の視力に干渉することを回避するべく概してコンタクトレンズ100の周辺ゾーンに制限されることに留意されたい。例えば、マーキング102は、コンタクトレンズ100の周辺ゾーンを廻って周方向に配列させることができる。これは、レンズ強化材料が第三者である観察者に視認可能である場合に望ましい構成である。また一方、レンズ強化材料が透明であるという他の状況では、それは周辺ゾーン又は光学ゾーンに又は両方に配置させることができる。
【0038】
1つの実施形態では、マーキング102はコンタクトレンズ100上に複数の判読可能文字116を形成している。判読可能文字116は、字、番号、記号、及び幾何学図形を含むことができる。文字の大きさ、書式、及び配置向きは事実上無制限である。文字の色も同様に無制限であり、幾つかの実施形態では判読可能文字116は複数の色を含んでいる。
【0039】
1つの実施形態では、判読可能文字116は、英語、日本語、中国語、韓国語、又は何れかの他の言語の判読可能な書記文字である。判読可能文字116は、少なくとも1つ又はそれ以上の単語を形成するように構成されていてもよい。例えば、判読可能文字116は、「I Love You(愛してる)」、「See Me(私を見て)」、又は「Imagine Me(私を想って)」の様な少なくとも2単語成句を形成していてもよい。
【0040】
判読可能文字116は、コンタクトレンズ100が使用者の目の中にあるときに第三者である観察者に視認可能である。文字116は正常な視力(20/20)を有する第三者である観察者に大凡7cmから大凡120cmの距離で視認可能及び判読可能であってもよい。文字116は、正常な視力を有する第三者である観察者に大凡7cm、大凡15cm、大凡23cm、大凡30cm、大凡45cm、大凡2フィート(60.96cm)、大凡60cm、又は大凡120cmの距離で視認可能及び判読可能であってもよい。
【0041】
図9-
図12は、判読可能文字116を有するコンタクトレンズ100の様々な実施形態を示している。判読可能文字116は、
図9-
図10では「I Love You」の言葉を、
図11-
図12では「See me...Imagine me」の言葉を形成している。判読可能文字116はコンタクトレンズ100の周辺ゾーンに周方向に配列されている。文字116は、文字の色に調和するカラー背景の上から配置されている。同様に、
図24-
図26は、判読可能文字116を有するコンタクトレンズ100の様々な実施形態を描いている。判読可能文字116は、コンタクトレンズ100の周辺ゾーンに周方向に配列されているテクスチャ勾配を含む
図24の「Feel Me Imagine Me(私を感じて 私を想って)」という言葉、「い、ろ、は」の文字、及び「magic(魔法)」の言葉及びパターンを形成している。文字116は、文字の色に調和するカラー背景の上から配置されている。
【0042】
マーキング102は、何れかの適した技法を使用して作ることができる。1つの実施形態では、マーキング102は、第1レンズ層104の第1面112上にインクを堆積させて作られている。マーキング102は
図1-
図2には連続的な層として示されているが、マーキング102の実際の断面構成は所望の設計に依存するものと認識されたい。
【0043】
マーキング102はコンタクトレンズと共に使用するのに適している何れのインクによって形成されてもよいものと認識されたい。適したインクには、限定するわけではないが、Unicorn(Taiwan)Chemical Co. Ltd.社から市販されているものが含まれる。追加のインクは、米国特許第6,731,408号(「ベンスキー(Bensky)他」)、同第5,713,963号(「ベンスキー」)、及び同第7,354,959号(「タッカー(Tucker)他」)に見つけることができ、それらのインクをここに参考文献として援用する。幾つかの実施形態では、インクは第1レンズ層104及び/又は第2レンズ層106の材料へ組み入れる型式である。
【0044】
粘度を修正するために及びインクが第1レンズ層104上に形成された後に流れるのを防ぐために濃厚剤がインクへ添加されてもよい。コンタクトレンズでの使用にとって安全でインクの粘度を改善するものであれば何れの濃厚剤が使用されてもよい。1つの実施形態では、濃厚剤はポリエチレングリコール及び/又はグリセロールとすることができる。
【0045】
インクは、インクを第1レンズ層104の第1面112上に堆積させた後にその場に留まらせることのできる何れかの適した粘度を有するものとすることができる。パッド又はタンプ印刷方法が使用されている1つの実施形態では、インクは大凡1.0Pa・sから大凡1.8Pa・sの粘度を有しており、大凡1.4Pa・sを有しているのが望ましい。更に別の例示としての実施形態によれば、インクジェット又は他の印刷方法論が使用される場合にはインクは1.0Pa・s未満の粘度を有していることもある。
【0046】
第1レンズ層104上に形成されるマーキング102の厚さは大凡2ミクロンから大凡120ミクロンまでのどこかで変化していてもよい。1つの実施形態によれば、第1レンズ層104上に形成されるマーキング102の厚さは大凡5ミクロンから大凡20ミクロンまでのどこかで変化していてもよい。マーキング102の厚さは、コンタクトレンズ100全体に亘って均一であってもよいし又は可変であってもよい。
【0047】
図13は、レンズ強化材料がコンタクトレンズ120上にパターンを形成するシリコーン材料122を含んでいるというコンタクトレンズ120の別の実施形態を示している。シリコーン材料が存在するということは、コンタクトレンズ120はシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズと見なされ得るということを意味する。シリコーン材料122はコンタクトレンズ100の酸素透過性を高め、使用者がより長い時間装用するのをより快適にする。
【0048】
コンタクトレンズ120は、
図1-
図2のコンタクトレンズ100に関連して示されている構成要素の多くを含んでいる。同様の構成要素を指し示すのに同じ符号が使用されている。
図13-
図22に同様として指し示されている構成要素は
図1-
図2の構成要素と同じであることもあり得るとはいえ同じである必要はないものと認識されたい。
【0049】
層104、層106とシリコーン材料122の組合せはコンタクトレンズ120のレンズ本体を形成している。シリコーン材料122は適したどのような材料であってもよい。1つの実施形態では、シリコーン材料122は何れのハイドロゲルポリマー類も含まずに少なくとも実質的に完全にシリコーンポリマー類で構成されている。この構成はコンタクトレンズ120の酸素透過性を最大限にする。シリコーン材料122は更に様々に異なる量のシリコーンポリマー類とハイドロゲルポリマー類の組合せを含んでいてもよいものと認識されたい。
【0050】
層104、層106は、上記材料の何れで作られていてもよい。但し、外面110及び内面108は、コンタクトレンズ120の湿潤性、具体的にはコンタクトレンズ120の目及び/又はまぶたに接触する部分の湿潤性を高めるには、基本的にハイドロゲルポリマー類で作られているのが望ましいとされることに留意されたい。
【0051】
シリコーン材料122は、層104、層106の周囲のポリマー材料の中に封入された孤立部分のパターンで配列されている。孤立部分は、当該部分の間で層104と層106が接触して一体に結び付くことを可能にさせる。この構成は、コンタクトレンズ120により大きな構造的強度を付与する。当該部分の間のギャップは、第2レンズ層106が第1レンズ層104へ結び付くときに当該第2レンズ層106によって充填されることに留意されたい。
【0052】
1つの実施形態では、シリコーン材料122の孤立部分は、層104、層106を形成している周囲のポリマー材料に共有結合されていない。他の実施形態では、孤立部分は周囲のポリマー材料に共有結合されていることもある。シリコーン材料122が層104、層106に共有結合されるのであれば、当該シリコーン材料を別個の層として提供することもできるであろう。
【0053】
図15-
図22はコンタクトレンズ120のさらなる実施形態を示している。これらの図が示している1つの事柄は、当該部分が何れの適した大きさであってもよく、また当該部分が何れの適した方式で配列されていてもよい、ということである。1つの実施形態では、シリコーン材料122は、それら部分がどれも大凡同じ大きさの均一な格子として配列されている。別の実施形態では、シリコーン材料122は、コンタクトレンズ120全体に亘って大きさ及び位置が不揃いな部分として配列されている。
【0054】
シリコーン材料122の厚さもまた広範に変化していてもよい。例えば、
図13-
図14のシリコーン材料はコンタクトレンズ120の厚さに比べ相対的に薄い。また一方、
図15-
図16のシリコーン材料122の厚さはコンタクトレンズ120の厚さに比べ相対的に厚い。
【0055】
酸素透過性を高めて目の健康を増進させるにはシリコーン材料122を可能な限り厚くするのが概して望ましい。必然的にシリコーン材料122と外面110及び内面108の間のポリマー材料の厚さを最小限にするのが望ましいということになる。1つの実施形態では、シリコーン材料122と面108、110それぞれの間のポリマー材料は、厚さ0.001mm以下、厚さ0.002mm以下、厚さ0.005mm以下、厚さ0.01mm以下、厚さ0.02mm以下、厚さ0.03mm以下、又は厚さ0.04mm以下にされている。
【0056】
シリコーン材料122はコンタクトレンズ120の周辺ゾーン及び/又は光学ゾーンに配置させることができるものと認識されたい。
図13-
図16は、シリコーン材料122がコンタクトレンズ120の周辺ゾーンに置かれている実施形態を示し、
図17-
図22は、シリコーン材料122がコンタクトレンズ120の光学ゾーンに配置されている実施形態を示している。シリコーン材料122は更にコンタクトレンズ120の周辺ゾーンと光学ゾーンの両方に配置させることもできるものと認識されたい。
【0057】
医薬類などの様な異なるレンズ強化材料を使用しているコンタクトレンズの追加の実施形態を生み出すこともできるものと認識されたい。医薬類は、第1レンズ層104上に、マーキング102及び/又はシリコーン材料122と同じ方式で堆積させることができる。医薬及び/又は当該医薬の周囲のポリマー材料は、使用者の目への治療効果をもたらすべく所望される放出速度を提供するように構成されればよい。
【0058】
判読可能文字のパターンをその上に形成させているコンタクトレンズを製造する方法も以下に説明する。この方法の概要は
図23に示されている。この方法は、工程130での第1レンズ面を有する第1レンズ層を形成する段階で始まる。工程132で、第1面上にレンズ強化材料のパターンを形成する及び/又は第1面上にレンズ強化材料を堆積させる。工程134で、第1面上のレンズ強化材料を覆って第2レンズ層を形成させる。
【0059】
この方法の結果がレンズ強化材料を第1レンズ層と第2レンズ層の間に封入又は包囲することになるものと認識されたい。これはレンズ強化材料を保護するのに役立ち、またレンズ強化材料に望ましい性質―例えばレンズ強化材料は酸素透過性を高めるシリコーン材料を含んでいる―を付与するのに役立つ。
【0060】
工程130で第1レンズ層が何れかの適したプロセスを使用して形成されることになる。適したプロセスの例には、遠心回転鋳造、鋳造成形、及び/又は旋削が挙げられる。1つの実施形態では、第1レンズ層は鋳型と遠心回転技法及び硬化技法を使用して形成されている。液体ポリマー材料を鋳型へ注ぎ込み、遠心回転させ、硬化させて第1レンズ層を形成する。遠心回転工程及び硬化工程は部分的とし、第1レンズ層が工程130完了時に完全に硬化していないようにする。
【0061】
第1レンズ層を形成するのに使用される鋳型はコンタクトレンズ形成での使用に適した何れの鋳型であってもよい。1つの実施形態では、鋳型は、最終コンタクトレンズへ所望される光学的性質を付与するようにレーザーエッチングされている。鋳型は、最終コンタクトレンズ製品にとっての所望される光学的性質を実現する様々なやり方の何れのやり方で設計され成形されていてもよい。
【0062】
鋳型へ注ぎ込まれる液体ポリマー材料の量は概して限定されず、厚さの様な物理的性質及び様々な光学的性質を含め、コンタクトレンズの所望の最終的な性質に基づいて調節されればよい。
【0063】
ポリマー材料は、以上に層104、層106に関連して記載されている材料の何れかとすることができる。1つの実施形態では、第1レンズ層を形成するのに使用されるポリマー材料は、少なくとも実質的に完全にHEMA-GMAの様なハイドロゲルポリマー類である。別の実施形態では、ポリマー材料はシリコーンハイドロゲル材料を含んでいてもよい。
【0064】
遠心回転工程及び硬化工程は、最終コンタクトレンズの所望の性質に基づいて変えられてもよい。例えば、第1レンズ層をそれがレンズ強化材料を支持できるほど十分に硬化させるのが概して望ましいが、但し第2レンズ層が加えられたときに第1レンズ層が第2レンズ層へ適切に結合できなくなるほどであってはいけない。これは、レンズ材料をゲル点まで部分硬化させ、当該段階で部分硬化したモノマー内に架橋を形成させてしまうことによって実現させることができる。
【0065】
1つの実施形態では、第1レンズ層は他の材料の不均等積層で形成されている。それら異なる材料は第1レンズ層に分離した別個の分域を形成することができる。1つの実施形態では、不均等積層は本質的に三次元的であり、つまりは分域が全3方向に不均等になっているという意味である。
【0066】
工程132で第1レンズ層の第1面上にパターンが形成される。パターンを第1レンズ層上に形成させる方式は概して限定されず、コンタクトレンズに印刷する場合の使用に適している何れの印刷方法も含まれる。例示としての印刷技法には、限定するわけではないが、パッド印刷、銅板印刷、腐食版印刷、ドットマトリックス印刷、昇華法及びキャリアシート(レーザー印刷)、及びその後のレーザー処理を受ける受光素子、が含まれる。
【0067】
1つの実施形態では、印刷方法はタンプ印刷(tamp printing)技法である。タンプ印刷技法は、レーザーエッチングされたパッドを使用してレンズ強化材料を第1レンズ層の第1面へ転写するパッド印刷の1つの方法である。パッドはレンズ強化材料(例えばインク)を第1面上に突く前に毎回当該レンズ強化材料の溜めを突く。この様式で印刷できる機械はドイツのTAMPOPRINT社から入手できる。
【0068】
別の実施形態では、レンズ強化材料は液体ジェット印刷システムを使用して第1レンズ層上に印刷される。1つの実施形態では、液体はインクであり、印刷システムはインクジェット印刷システムである。また一方、別の実施形態では、液体はシリコーン材料を含んでいてもよい。
【0069】
工程134でパターンを覆って第2レンズ層が形成される。第2レンズ層は、パターン及び/又はレンズ強化材料が第1レンズ層と第2レンズ層の間に挟まれる又は第1レンズ層と第2レンズ層によって封入されるといったようなやり方で形成される。
【0070】
1つの実施形態では、工程134は、第1レンズ層を形成する工程130と同様又は同一の方式で遂行されていて、液体ポリマー材料を鋳型へ注ぎ込む段階と、それを遠心回転させ硬化させて第2レンズ層を形成する段階と、を含んでいる。第2レンズ層の形成には当業者に既知の他の技法を使用することもできる。
【0071】
液体ポリマー材料がレンズ強化材料の間の何れのギャップも充填してゆくことに留意されたい。実際にはこれは第2レンズ層がレンズ強化材料の間に配置されているポリマー材料を含んでいることを意味する。
【0072】
1つの実施形態では、同じ鋳型が第1レンズ層及び第2レンズ層を形成するのに使用されている。代わりに別々の鋳型が使用されていてもよい。鋳型はコンタクトレンズの形成での使用に適した何れの鋳型であってもよい。
【0073】
鋳型へ注ぎ込まれる液体ポリマー材料の量は概して限定されず、厚さの様な物理的性質及び様々な光学的性質を含め、コンタクトレンズの所望の最終的な性質に基づいて調節されればよい。多くの状況では、第2レンズ層はレンズ強化材料の間の何らかのギャップを充填するため及び/又は第1レンズ層より厚い層(
図1)を提供するために追加のポリマー材料を必要とする。
【0074】
第2レンズ層を形成するのに使用される材料は、第1レンズ層を形成するのに使用される材料と同じであってもよいし又は異なっていてもよい。上記材料の何れが第2レンズ層を形成するのに使用されてもよい。1つの実施形態では、第2レンズ層は、少なくとも実質的に完全にハイドロゲルポリマー類で作られている。別の実施形態では、第2レンズ層はシリコーンハイドロゲル材料を含んでいる。
【0075】
ここに説明されているコンタクトレンズ及び製造方法の幾つかの実施形態では、コンタクトレンズの縁のぼけ(近視)をレンズ強化材料に因って制御することができる。レンズ強化材料は、この結果を実現するために回折光学器を使用する方法及び/又は周辺の非球面を形成する方式で適用されてもよい。
【0076】
特許請求の範囲の中に叙述されている用語は、広く使用されている一般辞書及び/又は関連技術辞書の中の関連項目を参照することによって判断されるそれらの通常且つ慣用の意味、当業者によって一般に理解されている意味、など、を与えられるべきであり、理解しておきたいこととして、これらの出典の何れか1つ又は何れかの組合せによって付与される最も広範な意味が特許請求の範囲の用語に与えられるべき(例えば、2つ又はそれ以上の関連辞書項目を組み合わせて項目の組合せの最も広範な意味が提供されるようにすべき、など)ものとするが、但し、(a)用語がその通常且つ慣用の意味より拡張的な使われ方をしている場合、当該要素はその通常且つ慣用の意味に当該追加の拡張的な意味を足した意味を与えられるものとすること、又は(b)「ここでの使用に際し~を意味するものとする」という語句若しくは同様の言い回し(例えば、「ここでは本用語は~を意味する」、「ここで定義されている様に」、「本開示の解釈上、本用語は~を意味するものとする」、など)を後に続けて用語を叙述することによって用語が異なる意味を持つことを明示的に定義されていた場合、は例外とされることを条件とする。
【0077】
具体例への言及、「即ち」の使用、「発明」という語の使用、などは、例外(b)を発動しようとするものでもなければ、叙述されている特許請求の範囲の用語の範囲を制限しようとするものでもない。例外(b)が適用される状況以外、特許範囲の否認又は否定と見なされるべきものは何一つここには含まれていない。
【0078】
特許請求の範囲に叙述されている主題は、ここに示されている何れかの特定の実施形態、特徴、又は特徴の組合せと同一の広がりを有しているわけではなく、それらと同一の広がりを有するものと解釈されてはならない。このことは、当該特定の特徴又は特徴の組合せから成る単一の実施形態しかここに示され説明されていないとしても当て嵌まる。而して、付随の特許請求の範囲は、先行技術及び特許請求の範囲の用語の意味に照らしそれらの最も広範な解釈を与えられるべきである。
【0079】
ここでの使用に際し、「左」、「右」、「前」、「後」、などの様な空間又は方向を表す用語は、図面に示されている状態での主題に関してである。但し、理解しておきたいこととして、説明されている主題は様々な配置向きを取ることができ、従ってその様な用語は限定を課すものと考えられてはならない。
【0080】
英語の冠詞「the」、「a」、又は「an」の対訳である「当該」、「或る」、又は「一」は、単数又は複数を暗示し得る。更に、「又は」という語は、先行詞である「どちらか」(又は、「又は」が排他的であることを明確に意味している旨を示唆する他の同様の言い回し―例えば、x又はyの一方のみ、など)無しに使用されている場合は、包含的である(例えば、「x又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)と解釈されるべきである。
【0081】
「及び/又は」という用語も包含的である(例えば、「x及び/又はy」はx又はyの一方又は両方を意味する)と解釈されるべきである。「及び/又は」又は「又は」が3つ又はそれ以上の品目から成る群について接続詞として使用されている状況では、当該群は、1つの品目を単独で含んでいる、それら品目全てを纏めて含んでいる、又はそれら品目の任意の組合せ又はそれら品目のうちの任意の数の品目を含んでいる、と解釈されるべきである。また、明細書及び特許請求の範囲の中で使用されている「有する」、「有している」、「含む」、及び「含んでいる」の様な用語は、「備える」及び「備えている」という用語と同義であると見なすものとする。
【0082】
別段の指示がない限り、本明細書(特許請求の範囲以外)の中で使用されている寸法、物理的特性、など、を表している様な全ての数及び表現は、どんな場合も「大凡」という用語によって修飾されているものと理解している。最低限として、また特許請求の範囲と同等の教義の出願を制限しようとしてではなしに、本明細書又は特許請求の範囲の中に「大凡」という用語によって修飾されて叙述されている各数的パラメータは、少なくとも叙述されている有効桁数に照らし又は通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0083】
ここに開示されている全ての範囲は、その中のありとあらゆる部分的範囲又はその中に包摂されるありとあらゆる個別値を網羅するものであって、特許請求の範囲が当該部分的範囲又は個別値を叙述しているものとして支援を提供するものであると理解されたい。例えば、1から10という記載範囲は、最小値1と最大値10の間の及び/又はそれらを包含するありとあらゆる部分的範囲又は個別値、即ち最小値1以上で始まり最大値10以下で終わっている全ての部分的範囲(例えば、5.5から10、2.34から3.56、など)又は1から10までの任意の値(例えば、3、5.8、9.9994、など)を含むものであって、特許請求の範囲が当該部分的範囲又は個別値を叙述しているものとして支援を提供するものであると考えられるべきである。
【符号の説明】
【0084】
100 コンタクトレンズ
102 視認可能なマーキング
104 第1レンズ層
106 第2レンズ層
108 コンタクトレンズの内面、第2レンズ層の第2面
110 コンタクトレンズの外面、第1レンズ層の第2面
112 第1レンズ層の第1面
114 第2レンズ層の第1面
116 判読可能文字
120 コンタクトレンズ
122 シリコーン材料