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特許7123908固体撮像素子、電子機器、および半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】固体撮像素子、電子機器、および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220816BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220816BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220816BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019509268
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2018010378
(87)【国際公開番号】W WO2018180570
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017067655
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】津川 英信
(72)【発明者】
【氏名】荻田 知治
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09391111(US,B1)
【文献】特開2014-099582(JP,A)
【文献】特開2006-332478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子において、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、
薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され
前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
固体撮像素子。
【請求項2】
薄肉化された前記半導体基板P型基板から成前記不純物領域はP型不純物領域形成されている
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
薄肉化された前記半導体基板N型基板から成前記不純物領域はN型不純物領域形成されている
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
薄肉化された前記半導体基板には、前記第1well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が、前記第1well領域から延び得る空乏層が到達し得ない濃度で形成されている
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
薄肉化された前記半導体基板には、貫通ビアが形成されている
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子が搭載された電子機器において、
前記固体撮像素子は、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、
薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され
前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
電子機器。
【請求項7】
半導体基板が3層以上に積層されて構成される半導体装置において、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、
薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され
前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、電子機器、および半導体装置に関し、特に、半導体基板を薄肉化して積層する場合に用いて好適な固体撮像素子、電子機器、および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板を用いたデバイス(以下、半導体装置とも称する)では、チップ面積、配線抵抗、消費電力等の増大を抑止することを目的として、複数の半導体基板を積層した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
複数の半導体基板を積層する手法としては、始めにウェハプロセスで複数の半導体基板を積層して電気的に接続した後、チップサイズに個片化する方法が知られている。実際、ロジック基板とセンサ基板とから成るCMOSイメージセンサが上述した手法によって生産されており、3枚以上の半導体基板が積層されたCMOSイメージセンサやその他の半導体装置も存在する。
【0004】
ところで、複数の半導体基板を積層して半導体装置を形成する場合、総厚を薄くするため、且つ、積層する半導体基板間に設ける貫通ビアを開口し易くするため、下層基板(装置全体の強度を保つために厚さが必要)以外の半導体基板を薄肉化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-88430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体基板を薄肉化した場合、該半導体基板に形成している半導体素子のwell領域が空乏化してしまい、その空乏層が薄肉化された界面にまで達してしまうと、該well領域の電気的特性が劣化してしまう。具体的には、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下が生じ得る。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、薄肉化する半導体基板に形成している半導体素子のwell領域における電気的特性の劣化を抑止できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の第1の側面である固体撮像素子は、半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子において、積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され、前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
【0013】
薄肉化された前記半導体基板P型基板から成前記不純物領域はP型不純物領域形成されているようにすることができる。
【0014】
薄肉化された前記半導体基板N型基板から成前記不純物領域はN型不純物領域形成されているようにすることができる。
【0015】
薄肉化された前記半導体基板には、前記第1well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が、前記第1well領域から延び得る空乏層が到達し得ない濃度で形成されているようにすることができる。
【0016】
薄肉化された前記半導体基板には、貫通ビアが形成されているようにすることができる。
【0017】
本技術の第2の側面である電子機器は、半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子が搭載された電子機器において、前記固体撮像素子が、積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され、前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
【0018】
本技術の第3の側面である半導体装置は、半導体基板が3層以上に積層されて構成される半導体装置において、積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、薄肉化された前記半導体基板の第1面には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型の第1well領域と、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の第2well領域とが形成され、薄肉化された前記半導体基板の第1面と反対側の第2面の前記第1well領域に対応する領域のみに、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成され、前記第1面に形成された前記第1well領域と、前記第2面に形成された前記不純物領域との間は、前記半導体基板のキャリア型の領域である
【発明の効果】
【0019】
本技術の第1乃至第3の側面によれば、薄肉化した半導体基板に形成している半導体素子のwell領域における電気的特性の劣化を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本技術の第1の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図2】本技術の第2の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図3】本技術の第3の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図4】本技術の第4の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図5】本技術の第5の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図6】中間基板に形成したwell領域の不純物の濃度変化を示す図である。
図7】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図8】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図9】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図11】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<1.第1の実施の形態>
図1は、本技術の第1の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。該第1の実施の形態は、3枚の半導体基板、すなわち、下層基板11、中間基板12、および上層基板13が積層されて構成される。
【0023】
下層基板11は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板である。なお、下層基板11は、該固体撮像素子の強度を保つ役割を有しているので、基本的には薄肉化しない。ただし、該固体撮像素子の強度が保たれる範囲で薄肉化してもよい。
【0024】
中間基板12は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板であり、薄肉化の対象とされる。
【0025】
上層基板13は、該固体撮像素子におけるセンサ回路が形成される基板である。上層基板13と中間基板12との間には貫通ビア15が形成されており、両基板は貫通ビア15に形成される電極を介して電気的に接続されている。
【0026】
中間基板12には、半導体素子の構成要素としてNwell領域22やPwell領域23が形成されている。
【0027】
さらに、中間基板12には、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくとも中間基板12とキャリア型(P型またはN型)が異なる方のwell領域と中間基板12の薄肉化される裏面(図面下側面)との間に、中間基板12と同じ型の不純物が導入された領域が形成される。
【0028】
該第1の実施の形態の場合、中間基板12はP型基板21から成る。よって、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくともNwell領域22と中間基板12の薄肉化される裏面との間には、正孔で満たされたP型領域24が形成されている。なお、P型領域24は、Nwell領域22から延びる空乏層が届かない程度の濃度とする。
【0029】
中間基板12は、Nwell領域22と中間基板12の裏面の間にP型領域24が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に下層基板11と積層される。
【0030】
P型領域24が形成されたことにより、中間基板12が裏面側から薄肉化されても、Nwell領域22から延び得る空乏層が中間基板12の界面に達することはない。したがって、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下の発生を抑止できる。
【0031】
<2.第2の実施の形態>
図2は、本技術の第2の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。該第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して、中間基板12のキャリア型が異なる。なお、第1の実施の形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しているので、その説明は適宜省略する。以降に説明する他の実施の形態ついても同様とする。
【0032】
該第2の実施の形態において薄肉化の対象とされる中間基板12はN型基板31から成る。したがって、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくともPwell領域23と中間基板12の薄肉化される裏面との間には、電子で満たされたN型領域32が形成されている。なお、N型領域32は、Pwell領域23から延びる空乏層が届かない程度の濃度とする。
【0033】
中間基板12は、Pwell領域23と中間基板12の裏面の間にN型領域32が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に下層基板11と積層される。
【0034】
N型領域32が形成されたことにより、中間基板12が裏面側から薄肉化されても、Pwell領域23から延び得る空乏層が中間基板12の界面に達することはない。したがって、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下の発生を抑止できる。
【0035】
<3.第3の実施の形態>
図3は、本技術の第3の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。該第3の実施の形態は、3枚の半導体基板、すなわち、下層基板11、中間基板12、および上層基板13が積層されて構成される。
【0036】
下層基板11は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板である。なお、下層基板11は、該固体撮像素子の強度を保つ役割を有しているので、基本的には薄肉化しない。ただし、該固体撮像素子の強度が保たれる範囲で薄肉化してもよい。
【0037】
中間基板12は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板であり、薄肉化の対象とされる。
【0038】
上層基板13は、該固体撮像素子におけるセンサ回路が形成される基板である。積層される中間基板12と上層基板13のそれぞれには、Cu等の金属材から成る接続パッド41が形成されており、中間基板12と上層基板13は、接続パッド41を介して電気的に接続されている。
【0039】
中間基板12には、半導体素子の構成要素としてNwell領域22やPwell領域23が形成されている。
【0040】
さらに、中間基板12には、Nwell領域22とPwell領域23のうち、中間基板12のキャリア型と異なる方のwell領域と中間基板12の裏面との間に、中間基板12と同じキャリア型の不純物が導入された領域が中間基板12の全体に亘って形成される。
【0041】
該第3の実施の形態の場合、中間基板12はP型基板21から成る。よって、Nwell領域22と中間基板12の裏面との間には、正孔で満たされたP型領域24が中間基板12の全体に亘って形成されている。なお、P型領域24は、Nwell領域22から延びる空乏層が届かない程度の濃度とする。
【0042】
中間基板12は、Nwell領域22と中間基板12の裏面の間にP型領域24が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に下層基板11と積層される。
【0043】
P型領域24が形成されていることにより、中間基板12が裏面側から薄肉化されても、Nwell領域22から延び得る空乏層が中間基板12の界面に達することはない。したがって、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下の発生を抑止できる。
【0044】
<4.第4の実施の形態>
図4は、本技術の第4の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。該第4の実施の形態は、4枚の半導体基板、すなわち、下層基板11、中間基板12-1および12-2、並びに上層基板13が積層されて構成される。
【0045】
下層基板11は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板である。なお、下層基板11は、該固体撮像素子の強度を保つ役割を有しているので、基本的には薄肉化されない。ただし、該固体撮像素子の強度が保たれる範囲で薄肉化してもよい。
【0046】
中間基板12-1および12-2は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板であり、薄肉化の対象とされる。以下、中間基板12-1および12-2を個々に区別する必要が無い場合、単に中間基板12と称する。
【0047】
上層基板13は、該固体撮像素子におけるセンサ回路が形成される基板である。
【0048】
薄肉化の対象とされる中間基板12には、半導体素子の構成要素としてNwell領域22やPwell領域23が形成されている。
【0049】
さらに、中間基板12には、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくとも中間基板12のキャリア型と異なる方のwell領域と中間基板12の薄肉化される裏面(図面上側面)との間に、中間基板12と同じキャリア型の不純物が導入された領域が形成される。
【0050】
該第4の実施の形態の場合、中間基板12はN型基板31Nから成る。よって、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくともPwell領域23と中間基板12の裏面(図面上側面)との間には、電子で満たされたN型領域32が形成されている。なお、N型領域32は、Pwell領域23から延びる空乏層が届かない程度の濃度とする。
【0051】
中間基板12-1は、Pwell領域23と中間基板12の裏面の間にN型領域32が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に下層基板11と積層される。
【0052】
一方、中間基板12-2は、Pwell領域23と中間基板12の裏面の間にN型領域32が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に上層基板13と積層される。
【0053】
中間基板12にN型領域32が形成されていることにより、中間基板12が裏面側から薄肉化されても、Pwell領域23から延び得る空乏層が中間基板12の界面に達することはない。したがって、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下の発生を抑止できる。
【0054】
さらに、第4の実施の形態では、中間基板12に貫通ビア15を形成しているが、中間基板12を薄肉化したことにより、厚い基板に対して貫通ビア15を形成するための専用の装置を用いずに貫通ビア15を形成できる。また、貫通ビア15の加工時間を短縮できる。さらに、形成する貫通ビアの径を小型化でき、チップ面積削減できる。
【0055】
なお、第4の実施の形態の場合、薄肉化する2枚の中間基板12を削る方向は図面上方からに統一されているが、図面下方から削る中間基板12を積層してもよい。また、図面上方から削る中間基板12と、図面下方から削る中間基板12を混在させて積層し、固体撮像素子を構成してもよい。
【0056】
<5.第5の実施の形態>
図5は、本技術の第5の実施の形態である固体撮像素子の構成例を示す断面図である。該第5の実施の形態は、3枚の半導体基板、すなわち、下層基板11、中間基板12、および、上層基板13が積層されて構成される。
【0057】
下層基板11は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板である。なお、下層基板11は、該固体撮像素子の強度を保つ役割を有しているので、基本的には薄肉化されない。ただし、該固体撮像素子の強度が保たれる範囲で薄肉化してもよい。
【0058】
中間基板12は、該固体撮像素子におけるロジック回路が形成される基板であり、薄肉化の対象とされる。
【0059】
上層基板13は、WLCSP(Wafer level Chip Size Package)として形成されている該固体撮像素子におけるセンサ回路が搭載された基板である。上層基板13の上面には樹脂51が充填されてガラス基板52によって封止されている。積層される中間基板12と上層基板13のそれぞれには、Cu等の金属材から成る接続パッド41が形成されており、中間基板12と上層基板13は、接続パッド41を介して電気的に接続されている。
【0060】
薄肉化の対象とされる中間基板12には、半導体素子の構成要素としてNwell領域22やPwell領域23が形成されている。
【0061】
さらに、中間基板12には、Nwell領域22とPwell領域23のうち、少なくとも中間基板12のキャリア型とは異なる方のwell領域と中間基板12の薄肉化される裏面(図面下側面)との間に、中間基板12と同じキャリア型の不純物が導入された領域が形成される。
【0062】
該第5の実施の形態の場合、中間基板12はP型基板21から成る。よって、Nwell領域22およびPwell領域23と中間基板12の裏面(図面下側面)との間には、正孔で満たされたP型領域24が形成されている。なお、P型領域24は、Nwell領域22から延びる空乏層が届かない程度の濃度とする。
【0063】
中間基板12は、Nwell領域22およびPwell領域23と中間基板12の裏面の間にP型領域24が形成された後、図中に矢印で示す方向から削除領域14が削られることにより薄肉化され、この後に下層基板11と積層される。
【0064】
P型領域24が形成されていることにより、中間基板12が裏面側から薄肉化されても、Nwell領域22から延び得る空乏層が中間基板12の界面に達することはない。したがって、欠陥準位を介してのリーク電流やWell間耐圧低下の発生を抑止できる。
【0065】
<6.中間基板12の薄肉化量について>
図6は、中間基板12に形成したwell領域の不純物の濃度変化を示している。同図に示されるように、well領域の不純物の濃度は、表面側から急峻に上昇してピークに到達し、ピーク後は急峻に下降する。中間基板12を裏面側から肉薄化するに際しては、最大でも濃度のピークを越えない厚さまでとすることが望ましい。これにより、well領域の電気的特性を損なうことなく半導体素子の構成要素としての有効性を保つことができる。
【0066】
<7.体内情報取得システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0067】
図7は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0068】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0069】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0070】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0071】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0072】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0073】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0074】
光源部10111は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0075】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0076】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0077】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0078】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0079】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。図7では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0080】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0081】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0082】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/若しくは手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0083】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。
【0084】
<8.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0085】
図8は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0086】
図8では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0087】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0088】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0089】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0090】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0091】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0092】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0093】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0094】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0095】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0096】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0097】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0098】
図9は、図8に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0099】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0100】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0101】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0102】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0103】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0104】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0105】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0106】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0107】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0108】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0109】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0110】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0111】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0112】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0113】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0114】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0115】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、カメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。
【0116】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0117】
<9.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0118】
図10は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0119】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図10に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0120】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0121】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0122】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0123】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0124】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0125】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0126】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0127】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0128】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図10の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0129】
図11は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0130】
図11では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0131】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0132】
なお、図11には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0133】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0134】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0135】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0136】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0137】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。
【0138】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0139】
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子において、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板には、well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
固体撮像素子。
(2)
薄肉化された前記半導体基板には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型のwell領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
薄肉化された前記半導体基板には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型のwell領域および前記半導体基板のキャリア型と同じ型のwell領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
前記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
薄肉化された前記半導体基板には、well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域から成る層が全面に亘って形成されている
前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)
薄肉化された前記半導体基板には、前記半導体基板のキャリア型と異なる型のwell領域と薄肉化された面との間にのみ、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
前記(2)に記載の固体撮像素子。
(6)
薄肉化された前記半導体基板がP型基板から成る場合、前記半導体基板のNwell領域と薄肉化された面との間に、P型不純物領域が形成されている
前記(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
薄肉化された前記半導体基板がN型基板から成る場合、前記半導体基板のPwell領域と薄肉化された面との間に、N型不純物領域が形成されている
前記(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(8)
薄肉化された前記半導体基板には、well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が、前記well領域から延び得る空乏層が到達し得ない濃度で形成されている
前記(1)から(7)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(9)
薄肉化された前記半導体基板には、貫通ビアが形成されている
前記(1)から(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(10)
半導体基板が3層以上に積層されて構成される固体撮像素子が搭載された電子機器において、
前記固体撮像素子は、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板には、well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
電子機器。
(11)
半導体基板が3層以上に積層されて構成される半導体装置において、
積層されている前記半導体基板のうち、少なくとも1枚の前記半導体基板が薄肉化されており、
薄肉化された前記半導体基板には、well領域と薄肉化された面との間に、前記半導体基板のキャリア型と同じ型の不純物領域が形成されている
半導体装置。
【符号の説明】
【0140】
11 下層基板, 12 中間基板, 13 上層基板, 15 貫通ビア, 21 P型基板, 22 Nwell領域, 23 Pwell領域, 24 P型領域, 31 N型基板, 32 N型領域, 44 接続パッド, 51 樹脂, 52 ガラス基板
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