(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 51/00 20060101AFI20220816BHJP
H02K 21/12 20060101ALI20220816BHJP
H02K 49/10 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H02K51/00
H02K21/12 Z
H02K49/10 A
(21)【出願番号】P 2019532657
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2018027788
(87)【国際公開番号】W WO2019022100
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2017144862
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】宇賀治 元
(72)【発明者】
【氏名】吉川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】新口 昇
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123767(JP,A)
【文献】特開2016-168108(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127869(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 51/00
H02K 21/12
H02K 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内側より第1ロータと、周方向に複数の磁極片と巻線を有する固定部と、第2ロータとがそれぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、
前記第1ロータおよび前記第2ロータは、磁性材料と永久磁石または電磁石で構成されており、
前記巻線は、前記第1ロータおよび前記第2ロータに電磁力トルクを発生し、
前記電磁力トルクは、前記第1ロータの回転によって前記第2ロータに磁気伝達されるか、または前記第2ロータの回転によって前記第1ロータに磁気伝達され、
前記第1ロータまたは前記第2ロータの任意の一方のロータに、前記電磁力トルクともう一方のロータによって磁気伝達されるトルクが重畳される、回転電機。
【請求項2】
前記固定部の磁極の数をN
S、前記第1ロータの極数をN
L、前記第2ロータの極数をN
Hとするとき、N
S=N
L+N
HおよびN
S=N
L-N
Hのいずれか一方に設定して前記第1ロータと前記第2ロータが磁気カップリングされる、請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1ロータまたは前記第2ロータの任意の一方のロータは、もう一方のロータにより前記磁気伝達されるトルクが重畳されることで加減速される、請求項1または請求項2記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気減速機構を用いた回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1と非特許文献1には、磁気伝達機構を用いた回転電機機構が開示されている。この回転電機機構は、径方向内側より永久磁石を有する第1ロータと、磁極片を有する第2ロータと、巻線を有する固定部がそれぞれ隙間を置いて同軸上に配置されたものである。固定部巻線に3相電流を印可することで第1ロータを駆動させ、第1ロータの回転によって、第2ロータに磁気減速機の反力トルクが発生する。これによって、機械的接触を伴わず、低振動・低騒音・高伝達効率であり、かつ磁気減速機と回転電機を一体化させることでシステムとして小型又は高出力を得ることが可能となる。また、許容トルクを超える場合には磁気的にスリップが生じることでトルクリミッタとしての作用も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】新口昇、平田勝弘著「新しい磁気ギアードモータ」日本AEM学会誌、Vol.21、No.2(2013)、p.110-115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および非特許文献1は、固定部の巻線の回転磁界で発生することができるトルクは一方のロータに対してのみであり、発生したトルクをもう一方のロータに減速伝達している。
【0006】
本発明は、省資源化や低コスト化のための回転電機の小型化、限られたスペースでの出力向上のための回転電機の高出力化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本開示の一態様における回転電機は、径方向内側より第1ロータと、周方向に複数の磁極片と巻線を有する固定部と、第2ロータとがそれぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなり、前記第1ロータおよび前記第2ロータは、永久磁石または電磁石で構成されており、前記巻線は、前記第1ロータおよび前記第2ロータに電磁力トルクを発生し、前記電磁力トルクは、前記第1ロータの回転によって前記第2ロータに磁気伝達されるか、または前記第2ロータの回転によって前記第1ロータに磁気伝達され、前記第1ロータまたは前記第2ロータの任意の一方のロータに、前記電磁力トルクともう一方のロータによって磁気伝達されるトルクが重畳されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転電機の高出力密度化が可能となる。
【0009】
例えば、省資源化や低コスト化のための回転電機の小型化、限られたスペースでの出力向上のための回転電機の高出力化に対して、固定部の巻線の回転磁界によって2つのロータにトルクを発生させ、さらに一方のロータに発生したトルクをもう一方のロータに減速伝達できるという効果が奏され、本発明の回転電機は有益である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来の磁気減速機構を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図2】
図2は、従来の高速ロータと固定部に対する磁気作用を説明する図で、(A)は高速ロータの永久磁石からなる磁極対の平面図、(B)は高速ロータの永久磁石による起磁力分布を示す図、(C)は固定部の平面図、(D)は磁極片によるパーミアンス分布を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態を示す回転電機の構成図で、(A)は斜面図、(B)は磁気回路の平面がわかる断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の各ロータを回転させたときの固定部巻線に発生する誘起電圧の解析結果を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の2つのロータ角度(位相)差によって発生する伝達トルクの解析結果を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明のコイルに3相正弦波電流を印加したときのトルクの解析結果を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態で動作検証したときの2つのロータの発生トルクを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態で動作検証したときの2つのロータの回転角を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、
図2は、従来の磁気減速機構の構造及び減速原理を説明するための図である。まず、これらの図を参照して減速原理について説明する。
【0012】
図1において、従来の磁気減速機構は、中央の高速ロータ100と、中間の固定部200と、最外周の低速ロータ300とが所要の隙間を置いて同軸上に配置して構成されている。各部は軸方向に所定長を有する。高速ロータ100は、図略の回転力、例えばモータ等の出力軸に連結されて回転力が入力されるものであり、磁性材料からなる例えば軸状(あるいは円筒状でもよい)の鉄心と、鉄心の外周に周方向に均等にN極、S極が交互に配置された永久磁石からなる磁極対102とで構成されている。
図1の例では極対数は2個である。固定部200は、磁極対102の外周に対向して円周上に所定ピッチを置いて複数配置される、磁性材料からなる軸方向に伸びる棒状の磁極片201を有する。磁極片201は、縦断面が略矩形で径方向に平面部分が向いている。低速ロータ300は、磁性材料からなる環状体301と、環状体301の内周に周方向にN極、S極交互に複数配置された永久磁石からなる磁極302とから構成されている。
【0013】
次に、
図2において、今、高速ロータ100の回転方向θに対する永久磁石(
図2(A)参照)による起磁力分布F(θ)を、
図2(B)に示すように、正弦波と仮定すると、F(θ)=AsinN
hθ(但し、N
hは高速ロータ100の極対数。Aは係数)と置くことができる。また、
図2(C)に示す固定部200の磁極片201の径方向外周での(磁束の通り易さを示す)パーミアンス分布R(θ)も、
図2(D)のような正弦波と仮定すると、R(θ)=R
O+R
asinN
Sθ(但し、N
Sは固定部の磁極片の数。R
O、R
aはそれぞれ係数)と置くことができる。
【0014】
したがって、固定部の磁極片の外周に発生する磁束φ(θ)は、下記式(1)のように表される。
【0015】
【0016】
式(1)において、第1項中のNhは、高速ロータ100の極対数Nhと同一成分である。第2項中の、NS-NhとNS+Nhとは、高調波成分である。すなわち、固定部の磁極片の外周に発生する磁束φ(θ)は、Nhの基本成分(主成分)の他に、NS-NhとNS+Nhとの2種類の高調波成分があることが判る。
【0017】
次に、固定部を固定したまま、高速ロータ100をΔθだけ回転させた場合を考えると、この時の起磁力分布はF(θ+Δθ)となり、一方、パーミアンス分布は固定部が回転しないため、R(θ)である。そして、高速ロータがΔθ回転した時点の固定部の磁極片の外周の磁束φ(θ+Δθ)は、下記式(2)のように表される。
【0018】
【0019】
式(2)において、磁束φ(θ+Δθ)の第1項中のNhは、(θ+Δθ)つまり、+Δθ成分が存在することから、高速ロータ100と同一速度で回転している成分であることが判る。一方、第2項中の、NS-NhとNS+Nhとは、どちらも高速ロータ100とは異なる速度の高調波であり、すなわち、NS-Nhについては、高速ロータ100のΔθの回転に対して、-NhΔθ/(NS-Nh)だけ回転するものであり、また、NS+Nhについては、高速ロータのΔθの回転に対して、NhΔθ/(NS+Nh)だけ回転するものであるから、いずれも回転速度が基本成分とは異なることが判る。そして、上記低速ロータ300の数を、NS-NhかNS+Nhの一方に設定すると、設定された側について、前記異なる回転速度で低速ロータ300は回転することになる。
【0020】
そのためには、低速ロータ300の磁極の数をNlとするとき、Nl=NS-Nh、あるいはNl=NS+Nhに設定、すなわち、これを書き替えると、NS=Nl+Nh、あるいはNS=Nl-Nh(すなわち、NS=Nl±Nh)となる。これが磁気減速機構の成立条件となる。
【0021】
また、減速比Grは、Gr=±Nl/Nhとなる。なお、減速比Grが正の場合は、高速ロータ100と低速ロータ300とが同一方向に回転することを示しており、減速比Grが負の場合は、高速ロータ100と低速ロータ300とが逆方向に回転することを示している。しかしながら、固定子を機械的に回転させる駆動源、典型的にはモータを付加する等が必要となり、機構が複雑になり、かつ大型化し、高価になるという新たな問題が生じる。
【0022】
(実施の形態)
そこで、本発明は、
図1に示す従来の磁気減速機構に対して、固定部の磁極片に巻線を設置し、2つのロータにトルクを発生させることができる回転電機とする。
【0023】
本発明の一実施形態(
図3)では、外側より磁性材料31および永久磁石30を有する低速ロータ3、磁極片20に巻かれたコイル21を有する固定部2、永久磁石11および磁性材料10を有する高速ロータ1から構成されている。ここで、高速ロータ1と低速ロータ3は、それぞれ、第1ロータおよび第2ロータの一例であり、それらを入れ替えても動作原理が成立するが、実施形態では多極である低速ロータ3を外側に配置している。また、磁極片20に巻かれたコイル21は、短節集中巻きを構成しているが、巻線方法はこれに限らない。
【0024】
このように、実施形態に係る回転電機は、径方向内側より第1ロータと、周方向に複数の磁極片20と巻線(コイル21)を有する固定部2と、第2ロータとがそれぞれ隙間を置いて同軸上に配置されてなる。第1ロータおよび第2ロータは、磁性材料10および31と永久磁石11および30または電磁石で構成されている。巻線は、第1ロータおよび第2ロータに電磁力トルクを発生し、電磁力トルクは、第1ロータの回転によって第2ロータに磁気伝達されるか、または第2ロータの回転によって第1ロータに磁気伝達され、第1ロータまたは第2ロータの任意の一方のロータに、電磁力トルクともう一方のロータによって磁気伝達されるトルクが重畳される。
【0025】
次に、本発明の動作原理を説明する。高速ロータ1の極対数および低速ロータ3の極対数、固定部2の磁極片数が先に示した磁気減速機構の成立条件を満たすことが前提である。つまり、固定部2の磁極の数をNS、第1ロータの極数をNL、第2ロータの極数をNHとするとき、NS=NL+NHおよびNS=NL-NHのいずれか一方に設定して第1ロータと第2ロータを磁気カップリングする。高速ロータ1が回転数ωHで回転するとき、固定部2のコイル21に発生する逆起電圧の周波数FHはNHωHとなる。一方、低速ロータ3の回転数ωLはωH/Grとなり、低速ロータ3の回転によって、固定部2のコイル21に発生する逆起電圧の周波数FLはNLωL=(GrNH)(ωH/Gr)=FHとなる。以上より、磁気減速機構の成立条件を満たす本発明の回転電機の、高速ロータ1および低速ロータ3のそれぞれの回転によって固定部2のコイル21に発生する逆起電圧の周波数は同一となる。したがって、磁気減速機構の成立条件を満たし、高速ロータ1と固定部2の磁極片数および低速ロータ3と固定部2の磁極片数が、例えば3相永久磁石ブラシレスモータとして回転可能な組み合わせであるとき、固定部2のコイル21に印加する電流によって、両ロータにトルクが発生する。
【0026】
低速ロータ3の出力がωLで一定回転しているとする。固定部2のコイル21に周波数ωH、電流Iを印加した時に高速ロータ1に発生するトルクTHはトルク定数ktHを用いてTH=ktHI、また低速ロータ3に発生するトルクTLはトルク定数ktLを用いてTL=ktLIとなる。
【0027】
コイル21電流によって高速ロータ1に発生するトルクは磁気減速機としての動作によって生じる低速ロータ3からの反力トルクに等しく、そのトルクは低速ロータには減速比倍されて伝達される。したがって、低速ロータ3から出力されるトルクTOは損失を無視するとTo=TL+GrTHとなり、固定部巻線により低速ロータ3に発生した電磁力トルクと高速ロータ1によって磁気伝達されるトルクを重畳させられることが判る。つまり、第1ロータまたは第2ロータの任意の一方のロータを、もう一方のロータにより磁気伝達されるトルクを重畳させることで加減速させることができる。
【0028】
次に、かかる原理に基づいて磁気減速構造モデルを作成し、効果試験をシミュレーションした。なお、回転電機モデルは、下記の諸要素で作成されている。
【0029】
高速ロータ極対数の極対数:4
低速ロータ極対数の極対数:8
固定部の磁極片数:12
減速比:-2 (=-8/4)
最外径:110mm
軸方向長さ:80mm
コイルのターン数:10
永久磁石の磁化:1.28T
【0030】
まず、固定部コイルの電流印可によって、高速ロータ、低速ロータそれぞれにトルクが発生するか確認するため、高速ロータと低速ロータを減速比にしたがって回転させたときの逆起電圧を確認する。
【0031】
次に示す条件(a)、(b)、(c)でステータのコイルに発生する逆起電圧を求めた。
(a)低速ロータを固定し、高速ロータを-60r/minで強制回転
(b)高速ロータを固定し、低速ロータを30r/minで強制回転
(c)高速ロータを-60r/min、低速ロータを30r/minで強制回転
【0032】
この結果を
図4に示す。(a)、(b)の条件で発生する逆起電圧の電圧位相は等しく、両ロータを減速比通りに回転させた条件(c)の逆起電圧は条件(a)、(b)の逆起電圧の足し合わせに等しい。したがって、固定部コイルに3相正弦波電流を印可することで、高速ロータと低速ロータそれぞれにトルクを発生させることができることが判る。
【0033】
続いて、磁気伝達機構として、高速ロータのトルクが低速ロータに伝達されるか確認するため、高速ロータを固定し、磁気的な安定位置から低速ロータを強制回転させて、磁気的な安定位置からの2つのロータ角度(位相)差によって発生する伝達トルクを求めた。この結果を
図5に示す。両ロータの最大伝達トルクは位相差約11.25deg.時に発生し、高速ロータおよび低速ロータの最大伝達トルクは、それぞれ38.6Nm、85.8Nmである。このことから、低速ロータのトルクと高速ロータのトルクはほぼ減速比通りにトルクを発生させていることがわかるが、理論値との差はコギングトルクによって生じている。
【0034】
トルク重畳の効果を確認するために、高速ロータを-60r/min、低速ロータを30r/minで強制回転させ、正弦波電流を印加し、さらに高速ロータと低速ロータの位相を変えたときの低速ロータのトルクを求めた。この結果を
図6に示す。位相差に関わらず、低速ロータのトルクは電流増加に伴って増加している。位相差を4deg.とし、コイルに振幅150Aの起磁力を印加した時の低速ロータのトルクは89Nmであり、電流を印加していない時より、トルクは44Nm増加している。
【0035】
本発明の回転電機は、電流を印加していないときの低速ロータのトルクが高速ロータとの位相差によって生じる伝達トルクと同等であり、これは従来の磁気減速機構をもつ回転電機においても成立する。位相差が一定の状態で電流の増加に伴って低速ロータのトルクが増加していることから、高速ロータから受ける磁気減速機としての反力トルクとコイルの起磁力によって低速ロータに発生するトルクが重畳されていることが判る。
【0036】
最後に、動作の検証をするため初期位相差を4deg.とし、コイルに振幅150Aの起磁力を印加した時の動作を検証する。ここでは、高速ロータを60r/minで回転させ、高速ロータの回転位置に合わせて電流を入力している。このとき、低速ロータに負荷L=89.5Nmを与え、各ロータに発生するトルクおよび低速ロータの回転数を求めた。この結果を
図7および
図8に示す。
【0037】
高速ロータおよび低速ロータの平均トルクは、
図7よりそれぞれ-2.1Nm、88.8Nmであり、
図8より、低速ロータの平均回転数は29.8r/minであった。高速ロータの平均トルクは、理論上ゼロになるはずであるが、トルクリップルおよび平均処理を行う区間が影響し、ゼロになっていない。また、両ロータの回転速度比は、ほぼ減速比通りになっている。最後に、低速ロータのトルクは89Nm程度を中心に振動しており、時刻ゼロからほとんど変化していないことがわかる。これは、両ロータの位相差は平均4deg.を保っており、
図5より、150Aの起磁力によって低速ロータにトルクが発生していることを表している。つまり、磁気減速機としての反力トルクとコイル電流によるトルクが重畳され、低速ロータから出力されている。
【0038】
以上、本開示に係る回転電機について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0039】
実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、磁気減速機構を用いた回転電機全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1、100 高速ロータ
2 固定部
3、300 低速ロータ
10、31 磁性材料
11、30 永久磁石
20、201 磁極片
21 コイル
102 磁極対
200 固定部