(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】スパウト付きパウチ容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/74 20060101AFI20220816BHJP
B65G 25/08 20060101ALI20220816BHJP
B65B 43/48 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B65G47/74 B
B65G25/08
B65B43/48
(21)【出願番号】P 2019533893
(86)(22)【出願日】2018-04-04
(86)【国際出願番号】 JP2018014364
(87)【国際公開番号】W WO2019026349
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2017149361
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】加納 孝朗
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 大介
【審査官】内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-215412(JP,A)
【文献】特開昭59-123990(JP,A)
【文献】特開2015-030037(JP,A)
【文献】特開2000-355405(JP,A)
【文献】実開昭62-136444(JP,U)
【文献】特開昭60-052409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/64、47/68-47/78
B65G 43/48、25/02-25/12
B65G 47/80、47/84-47/86
B65B 47/90-47/96
G06M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が袋体およびスパウトを有する複数のスパウト付きパウチ容器を搬送するスパウト付きパウチ容器搬送装置であって、
搬送方向に延びており、前記複数のスパウト付きパウチ容器を前記スパウトにて吊り下げた状態で支持する支持レールと、
前記支持レールに支持された前記複数のスパウト付きパウチ容器を前記搬送方向の下流側に送り出し、隣接する前記スパウト付きパウチ容器における前記スパウトの間に進入可能な爪部材と、前記爪部材を前記搬送方向に沿って往復移動させる直線移動機構と、前記直線移動機構を駆動させる搬送手段を有する搬送部と、
前記搬送部に対して前記搬送方向の下流側に配置されており、前記スパウトが嵌入し得る複数の凹部が外周部に一定ピッチで配列され、かつ垂直軸線周りに回転可能なホイール部材を有し、該ホイール部材に対して前記垂直軸線周りの回転トルクを付与するトルク付与手段を有するパウチ容器計数部と、
少なくとも前記複数のスパウト付きパウチ容器を計数する計数モードを含む動作状態が異なる複数のモードを有し、前記搬送部および前記パウチ容器計数部の動作を制御し、かつ前記ホイール部材の回転角度に基づいて前記ホイール部材を通過する前記スパウト付きパウチ容器の数を数える制御部と、を備え
前記計数モードにおいて、
前記搬送部により前記複数のスパウト付きパウチ容器を前記搬送方向に沿って送り出し、
前記直線移動機構の駆動により前記爪部材を前記搬送方向下流側に移動させ、
前記ホイール部材を通過した前記複数のスパウト付きパウチ容器の数量に相当する角度だけ前記ホイール部材が回転するとともに、前記複数のスパウト付きパウチ容器の通過による前記ホイール部材の回転方向とは反対方向に前記トルク付与手段により前記ホイール部材に対して回転トルクが付与され、
前記ホイール部材の回転角度が前記ホイール部材を通過する前記複数のスパウト付きパウチ容器の目標数に対応する回転角度に到達するまで、当該計数モードを行うことを特徴とするスパウト付きパウチ容器搬送装置。
【請求項2】
前記計
数モードにおいて、
前記爪部材は、前記複数のスパウト付き容器の搬送開始から搬送終盤付近まで略一定速度で前記搬送方向下流側に移動させられ、前記爪部材が前記搬送方向における終点位置に到着した時点で搬送停止させ、
前記トルク付与手段による前記ホイール部材への前記回転トルクの付与は、当該計
数モードの開始から終了まで継続することを特徴とする、請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器搬送装置。
【請求項3】
前記複数
のモードはさらに、待機モード、探索モードおよび復帰モードを備え、
前記待機モードにおいて、
前記直線移動機構により前記複数のパウチ容器を搬送する前の待機状態にあり、前記爪部材は退避位置をとり、
前記探索モードにおいて、
隣接する前記複数のスパウト付きパウチ容器の前記スパウト間において爪部材が進入すべき位置に移動させ、完了時には、前記爪部材を隣接する前記複数のスパウト付きパウチ容器の前記スパウト間に進入させて、該爪部材に進入位置をとらせ、
前記復帰モードにおいて
前記搬送部により前記爪部材を終点位置から前記搬送方向上流側の始点位置まで移動させる前に前記爪部材を退避させて該爪部材に退避位置を取らせ、前記直線移動機構の駆動により前記爪部材を前記搬送方向上流側に移動させることを特徴とする、請求項1または2記載のスパウト付きパウチ容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトを有するスパウト付きパウチ容器を整列して搬送するスパウト付きパウチ容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパウト付きパウチ容器は、スポーツドリンク等の飲料、アイスクリームやゼリー等の食品等の容器として広く使用されている。スパウト付きパウチ容器は、不定形状の袋体およびこの袋体の端部に設けられたスパウト(口栓部)を有する。スパウト付きパウチ容器の製造時には、所定構造の袋体が作製された後に当該袋体にスパウトが取り付けられる。
スパウト付きパウチ容器の製造後においては、リークチェック等の検査を行った後、複数のスパウト付きパウチ容器が整列して搬送され、必要に応じて内容物が充填される(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また、製造後のスパウト付きパウチ容器の取り扱いにおいては、内容物を充填する前に輸送し、輸送先で内容物が充填される場合がある。このように内容物を充填する前にスパウト付きパウチ容器を一旦輸送する場合、例えばリークチェック等の検査後に一定数のスパウト付きパウチ容器をまとめて輸送することが要請される。袋体のみからなるパウチ容器等においては、内容物充填前に袋体を積み重ねて輸送するなどの手段を採用することができる。しかしながら、スパウト付きパウチ容器においては、スパウト部分が嵩張っているので袋体を積み重ねようとしても上手くまとめることができない。このように、内容物充填前のスパウト付きパウチ容器については、一定数を分離してまとめる際に取り扱いにくく、効率よく搬送して集積させる手段が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、内容物充填前のスパウト付き容器について、一定数のスパウト付きパウチ容器を効率よく分離するのに適したスパウト付きパウチ容器搬送装置を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明によって提供されるスパウト付きパウチ容器搬送装置は、各々が袋体およびスパウトを有する複数のスパウト付きパウチ容器を搬送するスパウト付きパウチ容器搬送装置であって、搬送方向に延びており、前記複数のスパウト付きパウチ容器を前記スパウトにて吊り下げた状態で支持する支持レールと、前記支持レールに支持された前記複数のスパウト付きパウチ容器を前記搬送方向の下流側に送り出す搬送部と、前記搬送部に対して前記搬送方向の下流側に配置されており、前記スパウトが嵌入し得る複数の凹部が外周部に一定ピッチで配列され、かつ垂直軸線周りに回転可能なホイール部材を有するパウチ容器計数部と、前記搬送部および前記パウチ容器計数部の動作を制御し、かつ前記ホイール部材の回転角度に基づいて前記ホイール部材を通過する前記スパウト付きパウチ容器の数を数える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、複数のスパウト付きパウチ容器が支持レールにより整列状態で支持され、搬送部により複数のスパウト付きパウチ容器を搬送方向下流側に順次送り出すことができる。搬送部により搬送されたスパウト付きパウチ容器はパウチ容器計数部のホイール部材を通過し、これにより当該ホイール部材が回転させられる。そして、制御部によって、ホイール部材の回転角度が一定数のスパウト付きパウチ容器の通過に相当する角度に到達した時点で、当該一定数のスパウト付きパウチ容器が分離される。したがって、本発明によれば、一定数のスパウト付きパウチ容器を効率よく分離することができる。
【0009】
好ましい実施の形態においては、前記パウチ容器計数部は、前記ホイール部材に対して前記垂直軸線周りの回転トルクを付与するホイール部材用サーボモータを有する。
【0010】
このような構成によれば、ホイール部材に対してトルク制御により回転トルクを付与することができる。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記搬送部に前記複数のスパウト付きパウチ容器を送り出させ、かつ前記スパウト付きパウチ容器の通過による前記ホイール部材の回転方向とは反対方向に前記ホイール部材に対して回転トルクを付与するように前記ホイール部材用サーボモータを制御する、計数モードを有する。
【0012】
このような構成によれば、搬送部により複数のスパウト付きパウチ容器を搬送方向下流側に送り出す際、隣り合うスパウト付きパウチ容器のスパウト同士の間に隙間が生じることを回避することが可能であり、これらのスパウト同士を密着した状態で搬送することができる。このため、ホイール部材を通過する際には各スパウト付きパウチ容器が、ホイール部材において一定ピッチで配列された凹部に的確に嵌入しながらホイール部材を通過する。したがって、ホイール部材を通過するスパウト付きパウチ容器の数を誤りなく正確に数えることができる。
【0013】
好ましい実施の形態においては、前記搬送部は、隣接する前記スパウト付きパウチ容器における前記スパウトの間に進入可能な爪部材と、前記爪部材を前記搬送方向に沿って往復移動させる直線移動機構と、前記直線移動機構を駆動させる搬送用サーボモータと、を含む。
【0014】
このような構成によれば、搬送用サーボモータの駆動時において、爪部材は位置制御されながら搬送方向に沿って移動させられる。そして、搬送用サーボモータを用いれば、爪部材について、搬送開始時および終了時に所望の加減速制御が可能である。これにより、搬送の平均速度を高めても、搬送開始時や搬送終了時に搬送が不安定となったりスパウト付きパウチ容器のスパウトが損傷するといった不具合を抑制することが可能である。
【0015】
好ましい実施の形態においては、前記爪部材が進入すべき位置を検出する位置検出センサをさらに備え、前記制御部は、前記位置検出センサによる検出結果に基づいて前記搬送用サーボモータの駆動を制御する。
【0016】
このような構成によれば、例えばスパウト付きパウチ容器の製造時に多少の寸法誤差があっても、爪部材が進入すべき位置を的確に検出し、爪部材を適切に進入させることができる。その結果、爪部材が誤ってスパウトを直接突いて傷付けるといった不都合を回避することができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るスパウト付きパウチ容器搬送装置の一例を示す概略平面図である。
【
図2】
図1に示すスパウト付きパウチ容器搬送装置を搬送方向に直角である水平方向に見た図である。
【
図3】支持レールにスパウト付きパウチ容器を吊り下げた状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は搬送方向に直角である水平方向に見た図であり、(c)は搬送方向に見た図である。
【
図6】爪部材の搬送方向に沿った往復動作1サイクルにおいて、爪部材の出退機構による位置制御と、搬送部による爪部材の搬送方向における位置制御と、パウチ容器計数部によりホイール部材へ付与する回転トルクの制御との関係を示すタイムチャートである。
【
図7】スパウト付きパウチ容器を集積ハンガーに支持させる状態を示し、(a)は概略平面図であり、(b)は集積ハンガーの長手方向に直角である水平方向に見た図である。
【
図8】スパウト付きパウチ容器を集積ハンガーに支持させる状態を示し、集積ハンガーの長手方向に見た図である。
【
図9】集積ハンガーの変形状態を示した
図8と同様の図である。
【
図10】ガイド部材を用いて集積ハンガーの変形対策を説明するための図であり、(a)は概略平面図、(b)は縦断面図である。
【
図11】ガイド部材を用いた集積ハンガーの変形対策を説明するための図であり、集積ハンガーの長手方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1および
図2は、本発明に係るスパウト付きパウチ容器搬送装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態のスパウト付きパウチ容器搬送装置A1は、支持レール1と、搬送部2と、パウチ容器計数部3と、制御部4と、を備え、複数のスパウト付きパウチ容器(以下、「スパウト付きパウチ容器」のことを「パウチ容器9」という)を整列した状態で搬送するものである。パウチ容器9は、袋体91およびこの袋体91の上端部に取り付けられたスパウト92を有する。なお、
図2においては、理解の便宜上、搬送部2を省略している。
【0021】
支持レール1は、パウチ容器9をスパウト92にて吊り下げた状態で支持するものである。
図3は、支持レール1にパウチ容器9を吊り下げた状態を示すが、理解の便宜のために1つのパウチ容器9のみを表している。支持レール1は、搬送方向Xに沿って延びる一対の平板状の支持板11,11を含んで構成される。これら支持板11,11は、搬送方向Xに直角である水平方向(以下、適宜「方向Y」という。)において、間隔D1を隔てて配置されている。
【0022】
スパウト92は、円筒状の筒部921と、筒部921の外周から鍔状に突出する一対のフランジ部922,923とを有する。一対のフランジ部922,923は、筒部921の軸方向(以下、適宜「方向Z」という。)において間隔を隔てて設けられている。フランジ部922,923の外形部の寸法L1は支持板11,11間の間隔D1より大であり、筒部921の外径寸法L2は当該間隔D1より小である。また、支持板11,11が、フランジ部922,923の間に進入している。これにより、フランジ部923(スパウト92)が一対の支持板11,11(支持レール1)に引っ掛かかり、パウチ容器9が支持レール1に吊り下げられた状態となっている。なお、パウチ容器9が支持レール1に支持された状態において、袋体91の厚さ方向は搬送方向Xと略一致している。
【0023】
そして、支持レール1には、
図3に示した姿勢で吊り下げられた多数のパウチ容器9が搬送方向Xに沿って整列状態で並んでいる(
図1、
図2参照)。詳細な図示説明は省略するが、これらパウチ容器9は、リークチェック等の検査を終えた後、搬送方向上流側X1から送られてくる。
【0024】
搬送部2は、支持レール1に支持された複数のパウチ容器9を搬送方向下流側X2に送り出すものである。本実施形態において、搬送部2は、爪部材21と、直線移動機構22と、搬送用サーボモータ23とを含んで構成される。
【0025】
直線移動機構22は、爪部材21を搬送方向Xに沿って往復移動させるものである。本実施形態において、直線移動機構22は、ベルト機構(図示略)を用いて構成されており、ガイドレール221およびこれに支持されたスライダ222を有する。スライダ222は、ベルト駆動によって搬送方向Xに沿って移動する。スライダ222が往復移動するストロークは、例えば500mm程度である。
【0026】
爪部材21は、スライダ222に支持されており、当該スライダ222の移動に伴ってパウチ容器9を搬送方向下流側X2に送り出すものである。本実施形態において、スライダ222には爪部材21を方向Yに沿って変位させるための進退機構223が設けられている。
図4に示すように、進退機構223により、爪部材21は、隣接するパウチ容器9におけるスパウト92の間に進入する進入位置(同図において仮想線で表す)と、当該スパウト92の間から退避した退避位置(同図において実線で表す)との間を方向Yに沿って移動可能である。より具体的には、爪部材21は、隣接するパウチ容器9において筒部921の間に進入させられる。そして、爪部材21は、パウチ容器9を搬送方向下流側X2へ搬送する際に進入位置をとり、当該搬送後に爪部材21(スライダ222)を搬送方向上流側X1へ移動させる際に退避位置をとる。
【0027】
本実施形態において、スライダ222には、爪部材21が進入すべき位置を検出するための位置検出センサ224が設けられている。位置検出センサ224としては、例えば反射型フォトセンサが挙げられる。
【0028】
搬送用サーボモータ23は、直線移動機構22(スライダ222)を駆動させるための駆動源である。詳細は後述するが、爪部材21は、搬送用サーボモータ23によって位置制御されながら搬送方向Xに沿って移動する。
【0029】
パウチ容器計数部3は、搬送部2により搬送されるパウチ容器9の数を数えるためのものである。本実施形態において、パウチ容器計数部3は、ホイール部材31、ホイール部材用サーボモータ32および軸部材33を含んで構成される。
【0030】
ホイール部材31は、直線移動機構22(搬送部2)に対して搬送方向下流側X2に配置されている。ホイール部材31の外周部には、複数の凹部311が一定ピッチで配列されており、各凹部311にはパウチ容器9のスパウト92が嵌入し得る。ホイール部材31は、垂直軸線Ox周りに回転可能とされている。
図5に示すように、垂直軸線Oxはパウチ容器9の搬送経路O1(搬送されるパウチ容器9の搬送方向Xにおける中心線)から所定距離離れた位置にある。
図5において一点鎖線で示す円C1は、各凹部311に嵌入するスパウト92の中心位置を通る円を示している。そして、円C1がパウチ容器9の搬送経路O1と接している。
【0031】
複数の凹部311に嵌入する複数のスパウト92は、円C1における中心距離が配列ピッチP1となるように配列されている。支持レール1に支持された複数のパウチ容器9は、搬送方向Xにおける中心距離が配列ピッチP2となるように配列されている。配列ピッチP1と配列ピッチP2とは、実質的に同一である。これにより、パウチ容器9が搬送方向下流側X2へ送り出されると、当該パウチ容器9は、搬送経路O1上に位置する凹部311(前記円C1と搬送経路O1の接点である嵌入位置α)に嵌入しつつ、隣接する凹部311との間の突出歯312を押す。その結果、ホイール部材31は、
図5において順方向である時計回りに回転する。パウチ容器9が配列ピッチP2で搬送方向下流側X2へ順次送り出されると、ホイール部材31(嵌入位置α)を通過したパウチ容器9の数に相当する角度だけホイール部材31が回転する。
【0032】
ホイール部材用サーボモータ32は、軸部材33を介してホイール部材31の中心部に連結されている。ホイール部材用サーボモータ32は、ホイール部材31に対して垂直軸線Ox周りの回転トルクを付与するものであり、駆動時にトルク制御がなされる。詳細は後述するが、搬送用サーボモータ23の駆動によりパウチ容器9が搬送方向下流側X2に送り出されてホイール部材31を通過するように搬送される際、ホイール部材31には、例えば、ホイール部材用サーボモータ32により順方向とは反対方向に回転トルクが付与される。
【0033】
なお、図示説明は省略するが、パウチ容器計数部3は、ホイール部材31の回転角度を検出するためのエンコーダ(回転角度検出器)を有する。当該回転角度検出器は、例えばホイール部材用サーボモータ32に内蔵されるが、ホイール部材用サーボモータ32とホイール部材31との間に介在するものであってもよい。
【0034】
制御部4は、搬送部2およびパウチ容器計数部3の動作を制御するものである。本実施形態においては、制御部4は、搬送用サーボモータ23、進退機構223およびホイール部材用サーボモータ32の駆動制御と、ホイール部材31の回転角度に基づいてホイール部材31を通過するパウチ容器9の数を数える計数制御と、を行う。
【0035】
次に、スパウト付きパウチ容器搬送装置A1の動作の一例について、
図6を参照して説明する。
【0036】
図6は、爪部材21の搬送方向Xに沿った往復動作1サイクルにおいて、爪部材21の進退機構223による位置制御と、搬送部2による爪部材21の搬送方向Xにおける位置制御と、パウチ容器計数部3によりホイール部材31へ付与する回転トルクの制御との関係を示すタイムチャートである。
【0037】
図6に示した1サイクルは、例えば動作状態が異なる4つのモード(待機モードM1、探索モードM2、計数モードM3、復帰モードM4)により構成される。待機モードM1は、直線移動機構22によりパウチ容器9を搬送する前の待機状態である。爪部材21の往復動作1サイクルが繰り返される際、待機モードM1においては、直前の復帰モードM4により爪部材21が搬送方向上流側X1へ移動した後の始点位置にある。待機モードM1において、進退機構223により爪部材21は退避位置をとる(爪部材の進退機構:OFF)。
【0038】
次に、探索モードM2においては、隣接するパウチ容器9のスパウト92間において爪部材21が進入すべき位置に当該爪部材21を移動させる。ここで、爪部材21が進入すべき位置は位置検出センサ224により検出し、直線移動機構22(搬送部2)により爪部材21を搬送方向Xにおける適切な位置に微調整移動させる。探索モードM2の完了時には、進退機構223により、爪部材21を隣接するパウチ容器9のスパウト92間に進入させて当該爪部材21に進入位置をとらせる(爪部材の進退機構:ON)。
【0039】
次に、計数モードM3においては、搬送部2により複数のパウチ容器9を搬送方向Xに沿って送り出す。ここで、直線移動機構22(搬送部2)の駆動により爪部材21を搬送方向下流側X2へ移動させ、それに伴い複数のパウチ容器9が搬送方向下流側X2に送り出される。この際、複数のパウチ容器9はホイール部材31を順次通過し、ホイール部材31(嵌入位置α)を通過したパウチ容器9の数量に相当する角度だけホイール部材31が回転する。また、このとき、パウチ容器9の通過によるホイール部材31の回転方向とは反対方向(
図1、
図5において反時計回り)に、ホイール部材用サーボモータ32によりホイール部材31に対して回転トルクが付与される(ホイール部材のトルク制御:ON)。ホイール部材用サーボモータ32によりホイール部材31に対して付与される回転トルクの大きさは、位置制御される搬送用サーボモータ23の動作を阻害しない大きさとされている。好ましくは、隣り合うパウチ容器9のスパウト92同士が衝突によって意図しない損傷を受けない程度の大きさである。
【0040】
計数モードM3は、パウチ容器計数部3により検出されるホイール部材31の回転角度が、ホイール部材31を通過するパウチ容器9の目標数(例えば50個)に対応する回転角度に到達するまで行う。
図6に示すように、計数モードM3においては、爪部材21は、搬送開始から搬送終盤付近まで、略一定速度で搬送方向下流側X2に移動させられる。
爪部材21の搬送過程の終盤では搬送速度が相対的に低速となり、爪部材21が搬送方向Xにおける終点位置に到着した時点で搬送用サーボモータ23を停止させる。これにより、計数モードM3は終了する。
【0041】
また、前記のホイール部材用サーボモータ32によるホイール部材31への回転トルクの付与は、計数モードM3の開始から終了まで継続する(ホイール部材のトルク制御:ON)。したがって、計数モードM3の開始から終了までの間、ホイール部材31に対してホイール部材31の回転方向とは反対方向(
図1、
図5において反時計回り)に一定の回転トルクが付与される。
【0042】
次に、復帰モードM4においては、搬送部2により爪部材21を終点位置から搬送方向上流側X1の始点位置まで移動させる。また、ホイール部材用サーボモータ32によるトルク付与は行わない(ホイール部材トルク制御:OFF)。ここで、復帰モードM4において爪部材21を搬送方向上流側X1に移動させる前に、進退機構223により爪部材21を退避させて当該爪部材21に退避位置をとらせる(爪部材の進退機構:OFF)。そして、直線移動機構22(搬送部2)の駆動により爪部材21を搬送方向上流側X1へ移動させる。
【0043】
前記の待機モードM1、探索モードM2、計数モードM3、復帰モードM4からなる1サイクルにより、一定数(目標数)のパウチ容器9が分離され、パウチ容器計数部3よりも下流側の後工程に送られる。そして、
図6に示した1サイクルが繰り返される毎に、一定数のパウチ容器9の分離が順次繰り返される。後工程では、分離された一定数のパウチ容器9を例えば集積ハンガーに押し込み、輸送されて需要者に納品される。
【0044】
図7、
図8は、パウチ容器9を集積ハンガー5に支持させる状態を示す図である。集積ハンガー5は、一定数のパウチ容器9を整列状態で支持するものである。集積ハンガー5は、断面略矩形状で一定方向に延びる長状とされており、一対の下端壁51を有している。一対の下端壁51は、各々が方向Zに対して略直角であり、開口511を挟んで平行に配置されている。開口511は、集積ハンガー5の中央において長手方向に延びている。集積ハンガー5に送られたパウチ容器9においては、スパウト92の筒部921におけるフランジ部922,923間に下端壁が開口511に進入している。これにより、フランジ部923(スパウト92)が集積ハンガー5に引っ掛かって吊り下げられた状態となっている。集積ハンガー5は、例えば合成樹脂製である。
【0045】
集積ハンガー5に整列状態で支持された一定数のパウチ容器9が需要者に納品された後、例えばパウチ容器9には内容物が充填される。使用済みの空となった集積ハンガー5については、返却されて再利用される。集積ハンガー5を繰り返し利用すると、
図9に示すように、開口511が狭まるように変形する場合がある。このように集積ハンガー5が変形した状態では、下端壁51が、スパウト92の筒部921と干渉して、パウチ容器9を集積ハンガー5に押し込めなくなるといった事態が生じ得る。
【0046】
集積ハンガー5の変形に対しては、
図10、
図11に示すように、例えばガイド部材6を使用して変形前の形状に戻すといった対策が講じられる。ガイド部材6は、集積ハンガー5の長手方向に見てコの字状をなしている。ガイド部材6は、集積ハンガー5の長手方向に見て左右一対の延出片62,63を有する。これら延出片62,63は、集積ハンガー5の長手方向端部から集積ハンガー5の内側に差し込まれる。これにより、延出片62,63が、左右の側壁52,53の内面に当接しながら当該側壁52,53の間を押し拡げる。その結果、開口511が変形前の元の幅に拡げられる。ガイド部材6は、例えば、シリンダ7により集積ハンガー5の長手方向に沿って移動させられる。このようにガイド部材6を用いれば、集積ハンガー5が変形した場合でも、集積ハンガー5を変形前の形状に戻しつつパウチ容器9を集積ハンガー5に適切に押し込むことが可能となる。
【0047】
次に、スパウト付きパウチ容器搬送装置A1の作用について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、パウチ容器計数部3は、ホイール部材31およびホイール部材用サーボモータ32を有する。ホイール部材31は搬送部2に対して搬送方向下流側X2に配置されており、ホイール部材用サーボモータ32は、ホイール部材31に対して垂直軸線Ox周りの回転トルクを付与する。本実施形態においては、
図6で示した計数モードM3のように、一定数のパウチ容器9の分離動作において、搬送部2により複数のパウチ容器9が搬送方向下流側X2に送り出されてホイール部材31を通過する際、ホイール部材用サーボモータ32は、パウチ容器9の通過によるホイール部材31の回転方向とは反対方向にホイール部材31に対して回転トルクを付与する。これにより、隣り合うパウチ容器9のスパウト92同士の間に隙間が生じることを回避することが可能であり、これらのスパウト92同士を密着した状態で搬送することができる。このため、ホイール部材31を通過する際には各パウチ容器9がホイール部材31の凹部311に的確に嵌入しながらホイール部材31を通過する。したがって、ホイール部材31を通過するパウチ容器9の数を誤りなく正確に数えることができる。ホイール部材31の回転が停止する際にも、スパウト92に傷が付くといった不都合を回避することができる。
【0049】
搬送部2は、爪部材21と、爪部材21を搬送方向Xに沿って往復移動させる直線移動機構22と、当該直線移動機構22を駆動させる搬送用サーボモータ23と、を含む。このように搬送用サーボモータ23を駆動源として用いる構成によれば、搬送用サーボモータ23の駆動時において、爪部材21は、位置制御されながら搬送方向Xに沿って移動させられる。そして、搬送用サーボモータ23を用いれば、爪部材21について、搬送開始時および終了時に所望の加減速制御が可能である。これにより、搬送の平均速度を高めても、搬送開始時や搬送終了時に搬送が不安定となったりパウチ容器9のスパウト92が損傷するといった不具合を抑制することが可能である。さらに、前記のように、複数のパウチ容器9が搬送方向下流側X2に送り出される際、ホイール部材用サーボモータ32の駆動により、パウチ容器9の通過によるホイール部材31の回転方向とは反対方向にホイール部材31に対して回転トルクを付与する。したがって、本実施形態によれば、搬送用サーボモータ23およびホイール部材用サーボモータ32の協働により、複数のパウチ容器9は、隣接するパウチ容器9のスパウト92同士が密着した状態でスムーズに高速搬送される。
【0050】
本実施形態において、爪部材21が搭載されるスライダ222には、爪部材21が進入すべき位置を検出するための位置検出センサ224が設けられている。このような構成によれば、例えばパウチ容器9の製造時に多少の寸法誤差があっても、爪部材21が進入すべき位置(隣接するパウチ容器9における筒部921の間)を的確に検出し、爪部材21を適切に進入させることができる。その結果、爪部材21が誤ってスパウト92の筒部921を直接突いて傷付けるといった不都合を回避することができる。
【0051】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るスパウト付きパウチ容器搬送装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0052】
上記実施形態において、搬送部2の駆動源としてサーボモータ(搬送用サーボモータ23)を用いる場合について説明したが、これに限定されない。搬送部2の駆動源としては、例えばシリンダを用いてもよく、シリンダを用いる場合、ロッドレスエアシリンダが好適である。搬送部2の駆動源としてシリンダを用いる場合においても、当該シリンダおよびホイール部材用サーボモータ32の協働により、搬送方向下流側X2に搬送される複数のパウチ容器9については、隣接するパウチ容器9のスパウト92同士が密着した状態で搬送することができる。
【0053】
上記実施形態において、パウチ容器計数部3がホイール部材用サーボモータ32を具備する場合について説明したが、ホイール部材用サーボモータ32は必ずしも必要ではない。パウチ容器計数部がホイール部材用サーボモータを具備しない場合、搬送部によりスパウト付きパウチ容器を搬送する際に、ホイール部材の回転角度が一定数のスパウト付きパウチ容器の通過に相当する角度に到達した時点でホイール部材を強制的に停止させて、一定数のスパウト付きパウチ容器を分離してもよい。
【符号の説明】
【0054】
A1 スパウト付きパウチ容器搬送装置
1 支持レール
11 支持板
2 搬送部
21 爪部材
22 直線移動機構
221 ガイドレール
222 スライダ
223 進退機構
224 位置検出センサ
23 搬送用サーボモータ
3 パウチ容器計数部
31 ホイール部材
311 凹部
312 突出歯
32 ホイール部材用サーボモータ
33 軸部材
4 制御部
5 集積ハンガー
51 下端壁
511 開口
52 側壁
53 側壁
6 ガイド部材
62 延出片
63 延出片
7 シリンダ
9 パウチ容器(スパウト付きパウチ容器)
91 袋体
92 スパウト
921 筒部
922 フランジ部
923 フランジ部
C1 円
D1 間隔
L1 寸法
L2 外径寸法
M1 待機モード
M2 探索モード
M3 計数モード
M4 復帰モード
O1 搬送経路
Ox 垂直軸線
P1 配列ピッチ
P2 配列ピッチ
X 搬送方向
X1 搬送方向上流側
X2 搬送方向下流側
Y 方向(搬送方向に直角である水平方向)
Z 方向(スパウトの筒部の軸方向)
α 嵌入位置