(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】収納容器、包装部材、及び医療器具セット
(51)【国際特許分類】
A61M 39/08 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61M39/08
(21)【出願番号】P 2019548832
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2018039021
(87)【国際公開番号】W WO2019078361
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017203972
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 哲
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0031721(US,A1)
【文献】特表2017-528286(JP,A)
【文献】国際公開第2013/018770(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/076819(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体と、前記カテーテル本体の基端部に配置されたカテーテルハブと、前記カテーテルハブの側面側に配置され、かつ、前記カテーテルハブの内腔と連通するチューブ部材と、前記チューブ部材の前記カテーテルハブとは反対側の端部に配置されたコネクタ部と、を備えるカテーテル部材と、
前記カテーテル本体の内腔に挿入することが可能なダイレータ本体と、前記ダイレータ本体の基端部に配置されたダイレータハブと、を備えるダイレータ部材と、を有する医療器具を収納するための収納容器であって、
前記医療器具を収納する空間を囲む側面部と、
前記カテーテル本体又は前記カテーテルハブが配置される第1収納部と、
前記コネクタ部が前記空間に配置された状態で、前記チューブ部材が配置される第2収納部と、
前記ダイレータ本体又は前記ダイレータハブが配置される第3収納部と、を備え、
前記第3収納部は、前記第1収納部と前記第2収納部との間に配置され
、
前記側面部の内側で、かつ、前記側面部の一端側に形成される上面部と、
前記側面部を挟んで前記上面部と対向する下面部と、をさらに有し、
前記第1収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第1孔部であり、
前記第2収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第2孔部であり、
前記第3収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第3孔部であり、
前記第1孔部及び前記第3孔部は、前記カテーテル本体の先端及び前記ダイレータ本体の先端が前記下面部に接触しない状態で前記カテーテル部材及び前記ダイレータ部材を固定する固定部を有する、収納容器。
【請求項2】
前記第3収納部は、前記第1収納部の中心と前記第2収納部の中心を繋ぐ直線上に配置されていない、請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記空間の外側に形成され、かつ、ガイドワイヤが配置される第4収納部と、
前記ガイドワイヤを前記側面部に対して固定する固定部材と、を有する請求項1又は請求項2に記載の収納容器。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の前記収納容器と、
前記収納容器の前記上面部から露出した前記医療器具を保護するフタ部材と、
前記収納容器と前記フタ部材を連結しつつ、前記収納容器と前記フタ部材の境界部を被覆するシール部材と、を備え、
前記シール部材は、滅菌ガス透過性を有する、包装部材。
【請求項5】
前記収納容器と前記フタ部材が連結された状態で、前記フタ部材は、前記カテーテルハブ及び前記ダイレータハブの少なくとも一方と接触する、請求項
4に記載の包装部材。
【請求項6】
カテーテル本体と、前記カテーテル本体の基端部に配置されたカテーテルハブと、前記カテーテルハブの側面側に配置され、かつ、前記カテーテルハブの内腔と連通するチューブ部材と、前記チューブ部材の前記カテーテルハブとは反対側の端部に配置されたコネクタ部と、を備えるカテーテル部材と、
前記カテーテル本体の内腔に挿入することが可能なダイレータ本体と、前記ダイレータ本体の基端部に配置されたダイレータハブと、を備えるダイレータ部材と、を有する医療器具を収納するための収納容器であって、
前記医療器具を収納する空間を囲む側面部と、
前記カテーテル本体又は前記カテーテルハブが配置される第1収納部と、
前記コネクタ部が前記空間に配置された状態で、前記チューブ部材が配置される第2収納部と、
前記ダイレータ本体又は前記ダイレータハブが配置される第3収納部と、を備え、
前記第3収納部は、前記第1収納部と前記第2収納部との間に配置され、
前記側面部の内側で、かつ、前記側面部の一端側に形成される上面部と、
前記側面部を挟んで前記上面部と対向する下面側開口部と、をさらに有し、
前記第1収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第1孔部であり、
前記第2収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第2孔部であり、
前記第3収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第3孔部であり、
前記第1孔部及び前記第3孔部は、前記カテーテル本体の先端及び前記ダイレータ本体の先端が前記下面側開口部から突出しない状態で、前記カテーテル部材及び前記ダイレータ部材を固定する固定部を有する前記収納容器と、
前記収納容器を覆うとともに滅菌状態を維持可能であり、かつ、滅菌ガス透過性を備える袋部材と、を有する包装部材。
【請求項7】
前記第3収納部は、前記第1収納部の中心と前記第2収納部の中心を繋ぐ直線上に配置されていない、請求項6に記載の包装部材。
【請求項8】
前記収納容器は、
前記空間の外側に形成され、かつ、ガイドワイヤが配置される第4収納部と、
前記ガイドワイヤを前記側面部に対して固定する固定部材と、を有する請求項6又は請求項7に記載の包装部材。
【請求項9】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の
前記収納容器又は請求項
4~8のいずれか1項に記載の
前記包装部材と、
前記医療器具と、
前記空間に収納され、前記チューブ部材の軸方向と交差する方向における前記コネクタ部の最大幅寸法よりも小さな幅寸法を備える付属品と、を有する医療器具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納容器、包装部材、及び医療器具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
手術や診断等に用いられるカテーテルやイントロデューサ等の医療器具は、専用の収納容器や包装部材に収納された状態で医療現場へ搬送される。医師や看護師等の医療従事者は、手術や診断に際し、収納容器及び包装部材から医療器具を取り出して使用する。
【0003】
医療器具の保管及び搬送には、例えば、下記特許文献1に記載されているような箱型の収納容器が使用される。この収納容器は、袋に封入した状態の医療器具を、袋とともに収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の収納容器は、箱の内側に形成された空間内に医療器具を収納するように構成している。そのため、上記の収納容器は、構造がシンプルではあるものの、以下のような点において改善の余地がある。
【0006】
例えば、一つの収納容器に複数の医療器具を収納する場合、医療器具が備える長尺状のチューブ部材(例えば、カテーテルの内腔と流体連通されるチューブ)は、当該チューブ部材にキンク等が生じるのを防止するために、他の医療器具と干渉しないように収納容器に配置する。しかしながら、他の医療器具との配置関係を考慮してチューブ部材を収納容器に収納させる場合、収納容器は、その分だけ空間を大きく形成しなければならない。それにより、収納容器は、体積が大きくなり、大型なものとなる。
【0007】
また、例えば、使用時に複数の構成部材を組み合わせて使用される医療器具(例えば、イントロデューサー等)を上記の収納容器に収納させる場合、医師等の術者(以下、術者とする)は、収納容器から医療器具の構成部材を取り出した後、構成部材を組み立てて組立体を形成する。その際、術者は、医療器具の構成部材を組み立てる方向や姿勢を考慮して、構成部材の向きを整える作業を行う。そのため、上記の収納容器は、複数の構成部材を含む医療器具の収納に使用される場合、医療器具の準備作業が煩雑なものとなる。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、小型化を図ることができ、かつ、医療器具の準備作業の負担を軽減することができる収納容器、包装部材、及び医療器具セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る収納容器は、カテーテル本体と、前記カテーテル本体の基端部に配置されたカテーテルハブと、前記カテーテルハブの側面側に配置され、かつ、前記カテーテルハブの内腔と連通するチューブ部材と、前記チューブ部材の前記カテーテルハブとは反対側の端部に配置されたコネクタ部と、を備えるカテーテル部材と、前記カテーテル本体の内腔に挿入することが可能なダイレータ本体と、前記ダイレータ本体の基端部に配置されたダイレータハブと、を備えるダイレータ部材と、を有する医療器具を収納するための収納容器であって、前記医療器具を収納する空間を囲む側面部と、前記カテーテル本体又は前記カテーテルハブが配置される第1収納部と、前記コネクタ部が前記空間に配置された状態で、前記チューブ部材が配置される第2収納部と、前記ダイレータ本体又は前記ダイレータハブが配置される第3収納部と、を備え、前記第3収納部は、前記第1収納部と前記第2収納部との間に配置され、前記側面部の内側で、かつ、前記側面部の一端側に形成される上面部と、前記側面部を挟んで前記上面部と対向する下面部と、をさらに有し、前記第1収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第1孔部であり、前記第2収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第2孔部であり、前記第3収納部は、前記上面部側において、前記空間と前記空間の外部とを連通する第3孔部であり、前記第1孔部及び前記第3孔部は、前記カテーテル本体の先端及び前記ダイレータ本体の先端が前記下面部に接触しない状態で前記カテーテル部材及び前記ダイレータ部材を固定する固定部を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記の収納容器は、カテーテル本体又はカテーテルハブが第1収納部に配置され、チューブ部材が第2収納部に配置され、ダイレータ本体又はダイレータハブが第3収納部に配置される。また、第3収納部は、第1収納部と第2収納部の間に位置する。そのため、上記の収納容器は、カテーテル部材及びダイレータ部材を立体的に収納することができ、収納容器の体積(サイズ)を小さくすることができる。また、第1収納部に配置されたカテーテル本体又はカテーテルハブと第2収納部に配置されたチューブ部材との間の距離が長くなるため、カテーテル本体又はカテーテルハブとチューブ部材との間の距離が短くなることによるチューブ部材のキンクを防止できる。さらに、上記の収納容器は、カテーテル部材の向きと、カテーテル部材と組立体を形成するダイレータ部材の向きとを同一方向にした状態で、カテーテル部材とダイレータ部材とを近くに配置することができるため、術者が容易にカテーテル部材とダイレータ部材による組立体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る医療器具セットを示す概略斜視図である。
【
図2】実施形態に係る医療器具セットの正面図である。
【
図3】実施形態に係る医療器具セットのフタ部材を取り外した状態の上面図である。
【
図4】
図2の一点鎖線4Aで示す部分の拡大断面図である。
【
図5】変形例に係る医療器具セットを示す概略斜視図である。
【
図6】変形例に係る医療器具セットの正面図である。
【
図7】変形例に係る医療器具セットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例に係る医療器具セットを説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1~
図4は、本実施形態に係る医療器具セット10を示す図である。なお、
図3では、付属品330、340、350の図示を省略している。
【0014】
医療器具セット10は、
図1及び
図2に示すように、カテーテル部材310及びダイレータ部材320を備えるイントロデューサ(「医療器具」に相当)300と、イントロデューサ300を用いた手技に使用される付属品330、340、350と、ガイドワイヤ360と、イントロデューサ及び付属品330、340、350を収納する収納容器100と、を有している。
【0015】
本実施形態では、収納容器100は、
図2に示すように、収納容器100と、収納容器100とともに使用されるフタ部材140と、収納容器100とフタ部材140を連結するシール部材150(
図1では図示省略)とにより、収納対象物300、330、340、350、360を収納及び保管する包装部材200を構成している。
【0016】
医療器具セット10について説明する。
【0017】
(イントロデューサ)
図1及び
図2に示すように、イントロデューサ300は、カテーテル部材310と、ダイレータ部材320と、を有する。手技の際、術者は、ダイレータ部材320をカテーテル部材310に組み付けた状態で、血管等の生体管腔に穿刺する。その後、術者は、ダイレータ部材320をカテーテル部材310から抜去し、カテーテル部材310を生体管腔に留置する。カテーテル部材310は、生体管腔に留置された状態で、病変部を診断・治療するための医療器具等を導入するための導入路として用いることができる。
【0018】
イントロデューサ300は、使用前は、
図1及び
図2に示すように、カテーテル部材310とダイレータ部材320とが分離された状態で収納容器100に収納される。
【0019】
本明細書の説明では、カテーテル部材310及びダイレータ部材320において、血管等の生体管腔に挿入される側を「先端側」と称し、その反対側を「基端側」と称する。また、カテーテル部材310およびダイレータ部材320の先端(最先端)及びその近傍を「先端部」と称し、基端(最基端)及びその近傍を「基端部」と称する。
【0020】
カテーテル部材310について説明する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、カテーテル部材310は、例えば、治療用のカテーテルやガイドワイヤ360等の医療器具を内部(内腔)に挿通して、それらを生体管腔へ導入するために使用される。
【0022】
カテーテル部材310は、長尺状のカテーテル本体311と、カテーテル本体311の基端部に配置されたカテーテルハブ313と、カテーテルハブ313の側面側に配置され、かつ、カテーテルハブ313の内腔と連通するチューブ部材315と、チューブ部材315のカテーテルハブ313とは反対側の端部に配置されたコネクタ部316と、を有する。
【0023】
カテーテル本体311は、可撓性を備える略円筒形状の管状部材によって構成している。カテーテル本体311の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、又はこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子材料又はこれらの混合物などを用いることができる。
【0024】
チューブ部材315の一端は、カテーテルハブ313に配置されたサイドポートに液密に接続されている。チューブ部材315は、カテーテル本体311よりも曲げ剛性の低い材料によって構成することができる。そのような材料として、例えば、塩化ビニル等が挙げられる。
【0025】
カテーテルハブ313の内部には、ダイレータ本体321をカテーテル本体311に挿通した状態において、カテーテルハブ313の基端部から血液等が漏洩するのを防止する弁体を配置している。また、カテーテルハブ313の先端側には、カテーテル本体311の基端部を覆うストレインリリーフ部を配置している。
【0026】
コネクタ部316は、本実施形態では、三方活栓によって構成している。チューブ部材315の他端は、コネクタ部316に液密に接続されている。
【0027】
図2に示すように、コネクタ部316の最大幅寸法L1は、付属品330の幅寸法、付属品340の幅寸法、及び付属品350の幅寸法よりも大きく形成されている。コネクタ部316の最大幅寸法L1は、
図2に示す正面図において、チューブ部材315の軸方向(図中の上下方向)と交差する方向の寸法の最大値である。また、付属品330、340、350の幅寸法は、
図2に示す正面図において、付属品330、340、350の長手方向(図中の上下方向)と交差する方向の幅寸法である。
【0028】
ダイレータ部材320について説明する。
【0029】
図1及び
図2に示すように、ダイレータ部材320は、カテーテル本体311の内腔に挿入することが可能なダイレータ本体321と、ダイレータ本体321の基端部に配置されたダイレータハブ323と、を有する。
【0030】
ダイレータ本体321は、カテーテル本体311よりも曲げ剛性の高い管状部材によって構成している。ダイレータ本体321は、カテーテル本体311に挿通されると、ダイレータ本体321の先端321aがカテーテル本体311の先端311aに形成された開口部から突出した状態となる。そのため、
図2に示すように、ダイレータ本体321の全長(軸方向の長さ)は、カテーテル本体311の全長(軸方向の長さ)よりも長い。
【0031】
(付属品)
本実施形態では、付属品330は導入針であり、付属品340はメスであり、付属品350はシリンジである。導入針330及びメス340は、キャップ部材を取り付けた状態で収納容器100に収納している。シリンジ350は、液体等の吐出物を収容していない状態(未使用の状態)で収納容器100に収納している。なお、収納容器100の収納対象となる付属品は、コネクタ部316の最大幅寸法L1よりも小さな幅寸法を備える限り、製品の種類、形状、大きさ、個数等は特に限定されない。
【0032】
付属品330、340、350は、
図2に示すように、収納容器100の第2空間110Bに収納された状態において、カテーテル部材310のコネクタ部316に引っ掛かる。それにより、コネクタ部316は、付属品330、340、350がコネクタ部316よりも下面部132側に移動することを防止できる。
【0033】
(ガイドワイヤ)
ガイドワイヤ360は、可撓性を備える長尺形状を有している。ガイドワイヤ360は、医療分野において公知のガイドワイヤを用いることができる。ガイドワイヤ360の先端部には、インサーター180を取り付けている。ガイドワイヤ360の先端部は、インサーター180から所定長だけ突出させている。インサーター180は、後述するように、ガイドワイヤ360を収納容器100に対して固定する固定部材として用いることができる。
【0034】
インサーター180の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂などを用いることができる。
【0035】
なお、ガイドワイヤ360は、例えば、湾曲又は巻回した状態で収納容器100に収納される場合、湾曲又は巻回した状態のガイドワイヤ360が広がるのを防止し、又は、ガイドワイヤ360を周囲の部材から保護するために、ガイドワイヤ360自体を袋やホルダーチューブ等に入れてもよい。また、ホルダーチューブは、例えば、ガイドワイヤ360を湾曲又は巻回した状態で、ホルダーチューブを湾曲又は巻回した状態に維持するため
の固定具を備えていてもよい。ガイドワイヤ360は、上記のように袋又はホルダーチューブに入れた状態で、収納容器100の第4収納部174に収納することができる。
【0036】
次に、収納容器100、包装部材200について説明する。
【0037】
図1~
図3に示すように、収納容器100は、カテーテル本体311及びダイレータ本体321を収納する第1空間110A(「空間」に相当する)と、チューブ部材315及び付属品330、340、350を収納する第2空間110B(「空間」に相当する)と、第1空間110A及び第2空間110Bを囲う第1側面部121、第2側面部122、第3側面部123、第4側面部124と、を有している。
【0038】
図1に示すように、収納容器100は、各側面部121、122、123、124の内側(第1空間110A及び第2空間110B側)で、かつ、各側面部121、122、123、124の一端側(上端側)に形成される上面部131と、各側面部121、122、123、124を挟んで上面部131と対向する下面部132と、を有している。
【0039】
本明細書における上下方向は、
図2に示す収納容器100の使用状態の一例において、便宜上定義するものである。したがって、明細書で説明する上下方向の位置関係は、収納容器100の使用状態の位置関係を限定するものではない。例えば、収納容器100は、上面部131及び下面部132を
図2の左右方向に配置した状態や斜めに傾斜した状態で運搬及び保管することも可能である。
【0040】
上面部131には、収納容器100の外部に臨んで開口する開口部を形成している。下面部132には、収納容器100の下面側を外部から隔てる底部を形成している。
【0041】
第1側面部121(
図1の正面側に配置)と第2側面部122(
図1の背面側に配置)は、対向した状態で略平行に配置している。第3側面部123(
図2の左側に配置)と第4側面部124(
図2の右側に配置)は、対向した状態で略平行に配置している。
【0042】
図2に示すように、第1空間110Aと第2空間110Bは、仕切り部175により仕切られている。仕切り部175は、各側面部123、124と略平行に配置している。
【0043】
図1に示すように、第1空間110Aの上面部131付近には、支持部160を配置している。支持部160には、カテーテルハブ313が配置される第1収納部171と、ダイレータハブ323が配置される第3収納部173が形成されている。
【0044】
なお、第1収納部171には、例えば、カテーテル本体311を配置することも可能である。また、第3収納部173には、例えば、ダイレータ本体321を配置することも可能である。
【0045】
図1に示すように、上面部131の一部には、コネクタ部316が第2空間110Bに配置された状態で、チューブ部材315が配置される第2収納部172が形成されている。
【0046】
図1及び
図3に示すように、第1収納部171は、上面部131側において、第1空間110Aと第1空間110Aの外部とを連通する第1孔部で形成している。また、第3収納部173は、上面部131側において、第1空間110Aと第1空間110Aの外部とを連通する第3孔部で形成している。
【0047】
第1収納部171(第1孔部)及び第3収納部173(第3孔部)は、支持部160に
形成した貫通孔で形成している。第1収納部171及び第3収納部173は、
図3に示す上面視において、略円形の形状を有している。
【0048】
第1収納部171は、第1収納部171の内縁がカテーテルハブ313(カテーテルハブ313が備えるストレインリリーフ部)の外側面と当接する。第1収納部171の直径は、カテーテルハブ313を保持し得るように大きさが調整されている。なお、カテーテルハブ313又はカテーテル本体311において第1収納部171に配置される具体的な位置は特に限定されない。
【0049】
第3収納部173は、第3収納部173の内縁がダイレータハブ323の外側面と当接する。第3収納部173の径は、ダイレータハブ323を保持し得るように大きさが調整されている。なお、ダイレータハブ323又はダイレータ本体321において第3収納部173に配置される具体的な位置は特に限定されない。
【0050】
第1収納部171の形状(上面視における形状)や大きさ等は、カテーテルハブ313又はカテーテル本体311を配置することができ、かつ、カテーテルハブ313又はカテーテル本体311を保持することが可能な限り特に限定されない。同様に、第3収納部173の形状(上面視における形状)や大きさ等は、ダイレータハブ323又はダイレータ本体321を配置することができ、かつ、ダイレータハブ323又はダイレータ本体321を保持することが可能な限り特に限定されない。
【0051】
第1収納部171は、
図3に示すように、カテーテル本体311の先端311aが下面部132に接触しない状態(
図2に示す状態)で、カテーテル部材310を固定する固定部171aを有している。
【0052】
固定部171aは、支持部160において第1収納部171の周囲に形成された複数のスリット(切り込み)を有している。カテーテルハブ313は、固定部171aが有するスリットによって第1収納部171を押し広げるようにして、第1収納部171に配置される。そのため、固定部171aは、第1収納部171にカテーテルハブ313が挿入して嵌め込まれた状態で、カテーテルハブ313が支持部160から不用意に抜け出ることを防止する。
【0053】
第3収納部173は、
図3に示すように、ダイレータ本体321の先端321aが下面部132に接触しない状態(
図2に示す状態)で、ダイレータ部材320を固定する固定部としての機能を有している。第3収納部173によるダイレータ部材320の固定は、ダイレータ部材320を強固に固定するものではなく、ダイレータ部材320を支持部160に対して遊嵌した状態で保持する。
【0054】
なお、第3収納部173は、第1収納部171と同様に、ダイレータ部材320を強固に固定する固定部(スリット等)を有するように構成することも可能である。
【0055】
図2に示すように、各側面部121、122、123、124は、上面部131から下面部132までの長さ(
図2の上下方向の長さ)が、第3収納部173から第3収納部173に配置した状態におけるダイレータ本体321の先端321aまでの長さよりも長くなるように形成している。そのため、ダイレータ部材320は、ダイレータ本体321が第3収納部173に配置された状態において、ダイレータ本体321の先端321aが下面部132に接触することを防止できる。
【0056】
図1及び
図3に示すように、第2収納部172は、上面部131側において、第2空間110Bと第2空間110Bの外部とを連通する第2孔部で形成している。本実施形態で
は、第2収納部172は、上面部131に形成された開口部である。
【0057】
カテーテル部材310は、
図1に示すように、第1収納部171にカテーテルハブ313を配置し、かつ、第2収納部172にチューブ部材315を配置した状態において、カテーテルハブ313の基端部及びチューブ部材315の一部が収納容器100の上面部(開口部)131から突出して配置される。また、ダイレータ部材320は、第3収納部173にダイレータハブ323を配置した状態において、ダイレータハブ323の基端部が収納容器100の上面部(開口部)131から突出して配置される。
図2に示すように、カテーテル部材310及びダイレータ部材320において収納容器100の上面部131から突出した部分は、フタ部材140を収納容器100に連結した状態において、フタ部材140により覆われる。
【0058】
カテーテル本体311とチューブ部材315の間に配置されたダイレータ部材320は、チューブ部材315の移動(捩れ)を抑制する。それにより、ダイレータ部材320は、医療器具セット10の運搬時等の振動によるチューブ部材315の損傷が発生するのを防止できる。
【0059】
収納容器100は、
図2に示すように、第1収納部171にカテーテルハブ313を配置した状態において、カテーテルハブ313が上面部131から突出する部分の長さと、第3収納部173にダイレータハブ323を配置した状態において、ダイレータハブ323が上面部131から突出する部分の長さが略同一になるように形成している。
【0060】
図3に示すように、第3収納部173は、収納容器100の上面視において、第1収納部171と第2収納部172との間に配置されている。第3収納部173の中心(第3孔部の中心)は、第1収納部171の中心(第1孔部の中心)c1と第2収納部172の中心(上面視において破線で示す対角線同士が交差する位置)c2を繋ぐ直線s1上に配置されていない。そのため、収納容器100は、第1収納部171にカテーテルハブ313を配置し、第2収納部172にチューブ部材315を配置し、第3収納部173にダイレータハブ323を配置した状態で、チューブ部材315とダイレータハブ323とが干渉して立体的障害が生じることを防止できる。なお、好ましくは、第3収納部173は、第1収納部171の中心(第1孔部の中心)c1と第2収納部172の中心(上面視において破線で示す対角線同士が交差する位置)c2を繋ぐ直線s1上に配置されないように構成できる。
【0061】
図2に示すように、第2空間110Bの幅寸法L2は、コネクタ部316及び付属品330、340、350を第2空間110Bに収納した状態において、コネクタ部316と仕切り部175との間及びコネクタ部316と第3側面部123の内面との間に、付属品330、340、350が通過可能な隙間が形成されないような大きさを有している。このような大きさで幅寸法L2を形成することにより、コネクタ部316及び付属品330、340、350を第2空間110Bに収納した状態で、付属品330、340、350がコネクタ部316よりも下面部132側に移動することを好適に防止できる。
【0062】
図1及び
図3に示すように、収納容器100は、第1空間110A及び第2空間110Bの外側に形成された第4収納部174を有している。第4収納部174には、ガイドワイヤ360を配置することができる。
【0063】
図3に示すように、第4収納部174は、第2側面部122と、第2側面部122と対向して配置された第5側面部125との間に形成している。第4収納部174は、第1収納部171と同様に、収納容器100の上面部131側において、収納容器100の外部に臨んで開口している。また、第2側面部122と第5側面部125との間には、第2側
面部122によって第1空間110A及び第2空間110Bから仕切られた第3空間110Cが形成されている。
【0064】
図1及び
図3に示すように、ガイドワイヤ360は、例えば、基端部側を巻き回した状態で第3空間110Cに収納できる。また、ガイドワイヤ360の先端部は、例えば、第4収納部174から収納容器100の外部へ突出させるように配置することができる。
【0065】
ガイドワイヤ360の先端部付近には、インサーター180を取り付けている。インサーター180は、ガイドワイヤ360を使用した手技で利用される公知のもので構成している。第2側面部122と第5側面部125との間の距離は、インサーター180の外形形状の寸法(
図3に示す上面図において上下左右方向等の直線距離の寸法)よりも小さく形成している。そのため、インサーター180は、第4収納部174にガイドワイヤ360の先端部を配置した状態で、第2側面部122と第5側面部125とにより挟み込まれる。ガイドワイヤ360は、インサーター180が第2側面部122と第5側面部125により挟み込まれることで、各側面部122、125に対して固定される。このように、インサーター180は、ガイドワイヤ360を各側面部122、125に対して固定する固定部材として用いることができる。
【0066】
なお、固定部材は、例えば、ガイドワイヤ360を第2側面部122や第5側面部125等に対して固定可能なクリップ、収納容器100に形成された固定機構(溝や把持機構等によりガイドワイヤ360を固定可能な機構)等で構成することも可能である。
【0067】
収納容器100の各部(各側面部121~125、下面部132、仕切り部175、支持部160等)は、例えば、成形等により一体的に形成されたものであってもよいし、別部材で構成された部品を接着や溶着等の方法で接合したものであってもよいし、別部材で構成された部品を機械的に連結したものであってもよい。また、収納容器100の各部の構成材料は特に限定されないが、例えば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、エラストマー有機ケイ素ポリマー等のポリマー材料やその他の樹脂材料、或いは金属材料(例えば、ステンレス鋼及びニチノール)、紙材料を用いることができる。なお、第2側面部122及び第5側面部125は、インサーター180を押し当てた際に変形する程度に硬度の低い材料によって構成することが好ましい。そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
【0068】
なお、収納容器100は、例えば、支持部160が収納容器100の他の部分(側面部121~125、下面部132、仕切り部175等)と別部材で構成される場合、収納容器100の第1空間110Aから取り外し可能に構成することも可能である。包装部材200は、支持部160が収納容器100の第1空間110Aから取り外し可能に構成される場合、固定部171aを介して支持部160にカテーテル部材310を固定した状態で、支持部160とともにカテーテル部材310を収納容器100から取り外すことができる。そのため、包装部材200は、支持部160を収納容器100から取り外した状態で、支持部160からカテーテル部材310を取り外すことができるため、カテーテル部材310が他の部材と干渉等することを防止しつつより一層簡単に取り外すことができる。
【0069】
次に、フタ部材140について説明する。
【0070】
フタ部材140は、
図1及び
図2に示すように、収納容器100の上面部131側から収納容器100に対して連結できる。フタ部材140は、収納容器100の上面部131
から露出したカテーテル部材310、ダイレータ部材320、及びガイドワイヤ360を保護する。フタ部材140の内側には、収納容器100の各側面部121、122、123、125の一端(上端)を覆う空間が形成されている。
【0071】
図2に示すように、フタ部材140は、収納容器100に連結された状態で、フタ部材140の上端側の内面141がカテーテルハブ313の基端及びダイレータハブ323の基端と接触する。
【0072】
フタ部材140は、カテーテルハブ313の基端及びダイレータハブ323の基端の一方のみと接触するように構成することも可能である。包装部材200は、フタ部材140がカテーテルハブ313の基端及びダイレータハブ323の基端の一方のみと接触するように構成される場合、フタ部材140によりカテーテルハブ313又はダイレータハブ323を固定することができる。それにより、包装部材200は、運搬等する時の振動に伴ってカテーテル部材310又はダイレータ部材320が不用意に移動することを防止できる。
【0073】
なお、フタ部材140は、例えば、収納容器100に連結された状態で、カテーテルハブ313の基端及びダイレータハブ323の基端の両方と接触しないように構成することも可能である。
【0074】
フタ部材140の構成材料は、特に限定されないが、例えば、上述した収納容器100の構成材料と同じ材料を用いることができる。
【0075】
なお、収納容器100及びフタ部材140は、例えば、医療器具セット10を構成した状態において、収納容器100及びフタ部材140の内部に収納したカテーテル部材310、ダイレータ部材320、付属品330、340、350、及びガイドワイヤ360を外部から視認できるように、透明や半透明に形成することが好ましい。
【0076】
次に、シール部材150について説明する。
【0077】
シール部材150は、本実施形態では、内面側に粘着性を備える接着層が形成された長尺状のテープによって構成している。
図4に示すように、シール部材150は、粘着性を備える内面が収納容器100及びフタ部材140に貼り付けられるように配置される。シール部材150は、収納容器100とフタ部材140を連結しつつ、収納容器100とフタ部材140の境界部b1を被覆する。
【0078】
シール部材150は、EOG(エチレンオキサイドガス)等の滅菌ガスを透過可能な減菌ガス透過性を備える材料によって構成している。シール部材150の材料としては、特に限定されないが、例えば、紙材料、ポリオレフィン系の不織布等が挙げられる。シール部材150をこのような材料で構成することによって、減菌ガスがシール部材150を通過して、フタ部材140と収納容器100の間に入り込み、イントロデューサ300、付属品330、340、350、ガイドワイヤ360、収納容器100の内面、フタ部材140の内面を減菌することができる。
【0079】
例えば、術者は、包装部材200に収納されたイントロデューサ300、付属品330、340、350、及びガイドワイヤ360を使用する場合、次のような作業を行う。
【0080】
最初に、術者は、シール部材150を取り外す。次に、術者は、収納容器100からフタ部材140を取り外す。次に、術者は、収納容器100の上面部131を下側(重力方向の下側)に傾ける。ダイレータハブ323は、第3収納部173に対して遊嵌されてい
るため、収納容器100を傾けることにより、ダイレータ部材320を容易に取り外すことができる。また、この際、第2空間110Bに配置した付属品330、340、350は、第2収納部172を介して収納容器100から容易に取り出される。次に、術者は、カテーテル部材310のカテーテルハブ313を手指等で持ち上げることにより、カテーテル部材310を収納容器100から取り外すことができる。また、術者は、インサーター180によるガイドワイヤ360の固定を解除することにより、ガイドワイヤ360を収納容器100から容易に取り外すことができる。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る収納容器100は、カテーテル本体311と、カテーテル本体311の基端部に配置されたカテーテルハブ313と、カテーテルハブ313の側面側に配置され、かつ、カテーテルハブ313の内腔と連通するチューブ部材315と、チューブ部材315のカテーテルハブ313とは反対側の端部に配置されたコネクタ部316と、を備えるカテーテル部材310と、カテーテル本体311の内腔に挿入することが可能なダイレータ本体321と、ダイレータ本体321の基端部に配置されたダイレータハブ323と、を備えるダイレータ部材320と、を有するイントロデューサ300を収納するための収納容器である。収納容器100は、イントロデューサ300を収納する第1空間110A及び第2空間110Bを囲む各側面部121、122、123、124と、カテーテルハブ313が配置される第1収納部171と、コネクタ部316が第2空間110Bに配置された状態で、チューブ部材315が配置される第2収納部172と、ダイレータハブ323が配置される第3収納部173と、を備えている。そして、第3収納部173は、第1収納部171と第2収納部172との間に配置されている。
【0082】
上記の収納容器100は、カテーテル本体311又はカテーテルハブ313が第1収納部171に配置され、チューブ部材315が第2収納部172に配置され、ダイレータ本体321又はダイレータハブ323が第3収納部173に配置される。また、第3収納部173は、第1収納部171と第2収納部172の間に位置する。そのため、上記の収納容器100は、カテーテル部材310及びダイレータ部材320を立体的に収納することができ、収納容器100の体積(サイズ)を小さくすることができる。また、第1収納部171に配置されたカテーテル本体311又はカテーテルハブ313と第2収納部172に配置されたチューブ部材315との間の距離が長くなるため、カテーテル本体311又はカテーテルハブ313とチューブ部材315との間の距離が短くなることによるチューブ部材315のキンクを防止できる。さらに、上記の収納容器100は、カテーテル部材310の向きと、カテーテル部材310とイントロデューサ300(組立体)を形成するダイレータ部材320の向きとを同一方向にした状態で、カテーテル部材310とダイレータ部材320とを近くに配置することができるため、術者が容易にカテーテル部材310とダイレータ部材320を組み立てることができる。
【0083】
また、第3収納部173は、第1収納部171の中心c1と第2収納部172の中心c2を繋ぐ直線s1上に配置されていない。そのため、第1収納部171に配置されるカテーテルハブ313から第2収納部172に向かって延びるチューブ部材315が、第3収納部173に配置されるダイレータハブ323と干渉して立体的障害が生じることを防止できる。
【0084】
また、収納容器100は、第1空間110A及び第2空間110Bの外側に形成され、かつ、ガイドワイヤ360が配置される第4収納部174と、ガイドワイヤ360を第2側面部122及び第4側面部124に対して固定するインサーター(固定部材)180と、を有している。そのため、収納容器100は、ガイドワイヤ360をイントロデューサ300に干渉させることなく、イントロデューサ300とともにガイドワイヤ360を収納することができる。
【0085】
また、収納容器100は、各側面部121、122、123、124の内側で、かつ、各側面部121、122、123、124の一端側に形成される上面部131と、各側面部121、122、123、124を挟んで上面部131と対向する下面部132と、を有する。第1収納部171は、上面部131側において、第1空間110Aと第1空間110Aの外部とを連通する第1孔部であり、第2収納部172は、上面部131側において、第1空間110Aと第1空間110Aの外部とを連通する第2孔部であり、第3収納部173は、上面部131側において、第2空間110Bと第2空間110Bの外部とを連通する第3孔部である。第1収納部(第1孔部)171は、カテーテル本体311の先端311aが下面部132に接触しない状態で、カテーテル部材310を固定する固定部171aを有している。第3収納部(第3孔部)173は、ダイレータ本体321の先端321aが下面部132に接触しない状態で、ダイレータ部材320を固定する固定部としての機能を備える。そのため、収納容器100は、カテーテル部材310及びダイレータ部材320を収納容器100に収納した状態で運搬等される際に、カテーテル本体311の先端311aが下面部132に接触して破損等することを防止でき、かつ、ダイレータ本体321の先端321aが下面部132に接触して破損等することを防止できる。
【0086】
また、包装部材200は、収納容器100と、収納容器100の上面部131から露出したカテーテル部材310及びダイレータ部材320を保護するフタ部材140と、収納容器100とフタ部材140を連結しつつ、収納容器100とフタ部材140の境界部b1を被覆するシール部材150と、を備えている。シール部材150は、滅菌ガス透過性を有している。そのため、包装部材200は、カテーテル部材310及びダイレータ部材320を滅菌する際、収納容器100を袋部材(ピール袋等)で覆わずに滅菌することができる。それにより、包装部材200は、包装部材200のサイズを小さくすることができる。また、包装部材200は、カテーテル部材310及びダイレータ部材320を滅菌した後、収納容器100とフタ部材140の内部が汚染されるのをシール部材150により防止できる。
【0087】
また、包装部材200は、収納容器100とフタ部材140が連結された状態で、フタ部材140がカテーテルハブ313及びダイレータハブ323と接触する。そのため、包装部材200は、カテーテルハブ313及びダイレータハブ323をフタ部材140により固定することができる。それにより、包装部材200は、運搬等する時の振動に伴ってカテーテル部材310及びダイレータ部材320が不用意に移動することを防止できる。
【0088】
また、医療器具セット10は、包装部材200と、イントロデューサ300と、第2空間110Bに収納され、チューブ部材315の軸方向と交差する方向におけるコネクタ部316の最大幅寸法L1よりも小さな幅寸法を備える付属品330、340、350と、を有する。医療器具セット10は、イントロデューサ300とともに付属品330、340、350が収納された包装部材200を有するため、イントロデューサ300を使用した手技の準備を円滑に進めることができる。また、付属品330、340、350は、第2空間110Bに収納された状態において、カテーテル部材310のコネクタ部316により第2空間110B内での位置が保持される。付属品330、340、350は包装部材200に対して強固に固定されないため、術者が付属品330、340、350を包装部材200から容易に取り出すことができる。
【0089】
<変形例>
次に、上述した実施形態の変形例を説明する。なお、変形例において特に言及しない構成や部材等については、前述した実施形態と同様のものとすることができ、その説明を適宜省略する。
【0090】
図5~
図7には、変形例に係る医療器具セット20を示している。
図5は、医療器具セ
ット20の概観斜視図であり、
図6は、医療器具セット20の正面図、
図7は、医療器具セット20の上面図である。なお、各図においては、部材の位置関係を明瞭するために、袋部材500は一点鎖線で示している。また、
図7では、付属品330、340、350の図示を省略している。
【0091】
図5及び
図6に示すように、変形例に係る医療器具セット20が備える包装部材600は、収納容器400と袋部材500を有している。包装部材600は、前述した実施形態に係る包装部材200が備えるフタ部材140及びシール部材150(
図2を参照)を備えていない。
【0092】
また、
図6に示すように、変形例に係る収納容器400は、下面開口部432、433を有している。つまり、収納容器400には底部が形成されていない。
【0093】
図5~
図7に示すように、収納容器400は、カテーテル本体311及びダイレータ本体321を収納する第1空間410Aと、チューブ部材315及び付属品330、340、350を収納する第2空間410Bと、第1空間410A及び第2空間410Bを囲う第1側面部421、第2側面部422、第3側面部423、第4側面部424と、を有している。
【0094】
図5に示すように、収納容器400は、各側面部421、422、423、424の内側(第1空間410A側及び第2空間410B側)で、かつ、各側面部421、422、423、424の一端側(上端側)に形成される上面部431と、各側面部421、422、423、424を挟んで上面部431と対向する下面開口部432、433と、を有している。
【0095】
図6に示すように、第1空間410Aと第2空間410Bは、仕切り部475により仕切られている。仕切り部475は、各側面部423、424と略平行に配置している。下面開口部432は、第1空間410Aと収納容器400の外部を連通する。また、下面開口部433は、第2空間410Bと収納容器400の外部を連通する。
【0096】
図5及び
図7に示すように、収納容器400は、第1空間410A及び第2空間410Bの外側に形成された第4収納部474を有している。第4収納部474には、ガイドワイヤ360を配置することができる。第2側面部422と第5側面部425との間には、第2側面部422によって第1空間410A及び第2空間410Bと仕切られた第3空間410Cが形成されている。
【0097】
第1収納部471は、上面部431側において、第1空間410Aと第1空間410Aの外部とを連通する第1孔部である。第1収納部471は、支持部460に形成している。第1収納部471は、
図7に示すように固定部471aを有している。固定部471aは、カテーテル本体311の先端311aが下面開口部432から突出しない状態(
図6に示す状態)で、カテーテル部材310を固定する。
【0098】
第3収納部473は、上面部431側において、第1空間410Aと第1空間410Aの外部とを連通する第3孔部である。第3収納部473は、支持部460に形成している。第3収納部473は、ダイレータ本体321の先端321aが下面開口部432から突出しない状態(
図6に示す状態)で、ダイレータ部材320を固定する固定部としての機能を有している。
【0099】
第2収納部472は、上面部431と第2空間410Bとを連通する第2孔部である。
【0100】
収納容器400の背面(第5側面部425の背面)には、高さ方向(
図6の上方向)に延びる背当て部440が形成されている。背当て部440は、医療器具セット20を運搬等する際に、カテーテル部材310やダイレータ部材320に物品が衝突したり、輸送中の振動等にてカテーテル部材310やダイレータ部材320が損傷したりすることを防止する。
【0101】
包装部材600は、収納容器400がカテーテル部材310、ダイレータ部材320、付属品330、340、350、及びガイドワイヤ360を収納した状態で、収納容器400を覆う袋部材500を有している。
【0102】
袋部材500は、袋部材500の内部に収納容器400等を収納した状態で滅菌状態を維持可能な袋で構成している。袋部材500は、例えば、EOG(エチレンオキサイドガス)等の滅菌ガスを透過可能な滅菌ガス透過性を有する袋で構成することができる。そのような性能を有する袋部材500として、例えば、公知のピール袋を使用することができる。
【0103】
本変形例に係る医療器具セット20は、医療器具セット20の滅菌を行う際、滅菌用のガスが袋部材500を透過し、収納容器400の下面開口部432、433を経由して収納容器400の各空間410A、410B、410Cに流入する。そのため、医療器具セット20は、カテーテル部材310、ダイレータ部材320、付属品330、340、350、及びガイドワイヤ360のガス滅菌を効率良く行うことができる。
【0104】
また、
図6に示すように、医療器具セット20は、カテーテル本体311の先端311a及びダイレータ本体321の先端321aの先端が下面開口部432から突出していない。そのため、医療器具セット20は、運搬時等の振動により、カテーテル本体311の先端311a及びダイレータ本体321の先端321aが袋部材500に損傷を与えることを防止できる。
【0105】
以上、実施形態及び変形例を通じて本発明に係る収納容器、包装部材、及び医療器具セットを説明したが、本発明は実施形態及び変形例で説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0106】
例えば、収納容器の大きさや外形形状等は、収納対象となる医療器具の種類等に応じて適宜変更することが可能である。例えば、収納容器の外形形状は、立方体に限定されず、円柱等の形状であってもよい。
【0107】
また、例えば、収納容器は、ガイドワイヤを配置及び収納するための第4収納部や第3空間の形成を省略することも可能である。
【0108】
また、例えば、医療器具や付属品を収納する空間は、第1空間および第2空間のように仕切り部により仕切られた複数の空間でなくてもよく、例えば、1つの空間で形成してもよい。同様に、収納容器は、ガイドワイヤを収納可能に構成される場合、第1空間、第2空間、第3空間が仕切りのない一つの空間で形成されてもよい。また、各収納部は、図示により説明した形状(平面視の形状)に限定されることはない。例えば、第2収納部は、収納容器の上面部の一部に形成された円形、楕円形、矩形等の孔で構成されていてもよい。
【0109】
また、例えば、医療器具はイントロデューサに限定されず、カテーテル部材がガイディングカテーテル、ガイディングシース等としての機能を備えるカテーテルデバイスであってもよい。
【0110】
本出願は、2017年10月20日に出願された日本国特許出願第2017-203972号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
【符号の説明】
【0111】
10、20 医療器具セット、
100 収納容器、
110A 第1空間(空間)、
110B 第2空間(空間)、
110C 第3空間、
121 第1側面部(側面部)、
122 第2側面部(側面部)、
123 第3側面部(側面部)、
124 第4側面部(側面部)、
125 第5側面部、
131 上面部、
132 下面部、
140 フタ部材、
141 フタ部材の内面、
150 シール部材、
160 支持部、
171 第1収納部(第1孔部)、
171a 固定部、
172 第2収納部(第2孔部)、
173 第3収納部(第3孔部)、
174 第4収納部、
175 仕切り部、
180 インサーター(固定部材)、
200 包装部材、
300 イントロデューサ(医療器具)、
310 カテーテル部材、
311 カテーテル本体、
311a カテーテル本体の先端、
313 カテーテルハブ、
315 チューブ部材、
316 コネクタ部、
320 ダイレータ部材、
321 ダイレータ本体、
321a ダイレータ本体の先端、
323 ダイレータハブ、
330、340、350 付属品、
360 ガイドワイヤ、
400 収納容器、
410A 第1空間(空間)、
410B 第2空間(空間)、
410C 第3空間、
421 第1側面部(側面部)、
422 第2側面部(側面部)、
423 第3側面部(側面部)、
424 第4側面部(側面部)、
425 第5側面部、
431 上面部、
432、433 下面開口部、
440 背当て部、
460 支持部、
471 第1収納部(第1孔部)、
471a 固定部、
472 第2収納部(第2孔部)、
473 第3収納部(第3孔部)、
474 第4収納部、
475 仕切り部、
500 袋部材、
600 包装部材、
L1 コネクタ部の最大幅寸法、
L2 第2空間の幅寸法、
b1 収納容器とフタ部材の境界部、
c1 第1収納部の中心、
c2 第2収納部の中心。