(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】スマート学習を用いた付加価値のある有害生物防除システム
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20220816BHJP
A01M 23/00 20060101ALI20220816BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A01M1/02 Z
A01M23/00 Z
A01M1/00 Z
(21)【出願番号】P 2019555824
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2018059393
(87)【国際公開番号】W WO2018189293
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516245885
【氏名又は名称】バイエル、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、グートマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ツィマーマン
(72)【発明者】
【氏名】クリス、ピエナー
(72)【発明者】
【氏名】ガエル、ファージュ
(72)【発明者】
【氏名】バイロン、リード
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、ジャーディン
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242878(JP,A)
【文献】特表2007-523613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0150470(US,A1)
【文献】特開2013-135644(JP,A)
【文献】特開2014-236736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0363666(US,A1)
【文献】特開2008-299380(JP,A)
【文献】特開2015-154732(JP,A)
【文献】特開2007-086878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/02
A01M 23/00
A01M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある場所用のデジタル化された総合的有害生物防除管理システムであって、
前記システムは、
複数のデータソース
から場所特有のデータを受信し、
前記場所特有のデータを処理して、データベースを作成するよう構成されている、コンピュータ
、クラウドベースのネットワーク
、またはその両方と、
前記場所特有のデータを送受信するよう構成されている
、前記場所
に特有の有害生物防除プラットフォームであって
、前記
有害生物防除プラットフォームは、前記場所における有害生物防除のための
2つ以上の仕組みを含み、前記
2つ以上の仕組みは
、有害生物防除用薬剤放出プロトコル
と、前記場所特有のデータを生成および受信する
内部センサを有する遠隔監視装置
とを含む、有害生物防除プラットフォームと、
前記有害生物防除プラットフォームの外部のデータを収集す
る外部センサであって、前記外部データは、
環境条件、有害生物の個体数、前記場所での人的交流、または前記場所に有害生物がいる可能性を予測することと相関性があるサードパーティデータ
、またはこれらの組合せを含む、外部センサと、
を含み、
前記コンピュータ、前記クラウドベースのネットワーク、またはその両方は、前記場所特有のデータと、前記外部データと、過去データと、前記場所を含む構造的な配置と、を分析するアルゴリズムを利用した機械学習を使用して、有害生物管理のための前記2つ以上の仕組みを配置するための推奨プロトコルを生成するよう構成され、前記推奨プロトコルは、リアルタイムで更新されることが可能であり、
前記場所特有のデータは、有害生物の種類および有害生物の数を含み、
前記環境条件は、気候、地理的場所、植生、入手可能な水源、または入手可能な食糧源、またはこれらの組合せを含み、
前記場所特有のデータおよび前記外部データは、生データを構成し、
前記過去データは、過去の有害生物の事件を含み、
前記コンピュータ、前記クラウドベースのネットワーク、またはその両方は、前記場所での有害生物のリスクレベルを予測するよう構成され、
前記システムは、前記システムの1つ以上の側面をモバイルアプリに表示することを許す、
システム。
【請求項2】
請求項1のシステムを使用して、前記場所の監視と、前記場所における有害生物の処置と、を同時に行う方法であって、
前記方法は、
前記コンピュータ、前記クラウドベースのネットワーク、またはその両方により、前記有害生物防除プラットフォームから前記場所特有の
データを
受信することと、
前
記外部センサから
前記外部データを
受信することと
、
前記推奨プロトコルを生成することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年4月12日に出願された米国特許出願第15/485,838号の利益を請求し、その内容は参照により全体が本願に援用される。
【0002】
本発明は、リアルタイムで1つまたは複数の有害生物防除プラットフォームの性能の最適化が実現できるように機械学習を含む論理型の有害生物防除管理システム(pest control management system)である。より詳細には、本発明は、使用中に、またはさらに実装前の有害生物防除システムの設計として、場所に対する有害生物防除プラットフォームの最適な配置と種類を実現するため、機械学習が可能なデータベースを生成し、維持する。この管理システムの出力は、有害生物防除システムの設計を最適化することができるが、施設所有者、有害生物防除作業者、監査員、および/または顧客にとって有益な、プラットフォームに関する過去の推奨および機械学習で得られた勧告を表示することもできる。
【背景技術】
【0003】
米国特許第4682145号、米国特許第6792395号、米国特許第6937156号、米国特許第7395161号、米国特許第7656300号、米国特許第8830071号は、有害生物、特に齧歯動物の存在をエンドユーザがより容易に知ることができるようにハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアを統合して使用することを特に考慮した有害生物監視装置および/またはシステムに関する。
【0004】
米国特許第4682145号は、有害生物、特に齧歯動物の存在を1つの中心位置から観測するためにデジタルで接続された有害生物監視装置に言及している。‘145特許では、検出器が固有信号を受信機に送信して、有害生物がいるかどうか、およびどの検出器の場所に有害生物がいるかを判断する連結システムを使用する。米国特許第6792395号では遠隔検知を使い、ハードウェアとソフトウェアのインタフェースを監視して、検出されたデータ(例えば、圧力、カメラ、湿度)を電気信号を用いてコンピュータサーバシステムへ送信する。またソフトウェアインタフェースを含み、前記信号の結果を表示する。米国特許第6937156号は検出器および/または静電容量検出回路を備える捕獲器であり、有害生物が監視対象領域に立ち入った可能性があるという状況を通知するために、出力として送信される信号を作成する。米国特許第7395161号は多モードセンサを使用し、分析のためにデータをサーバネットワークに集める。‘161特許は、センサおよび/または捕獲器を再配置してシステムを改善するために、生物学上の有害生物の専門家を利用してデータを精査することを考慮している。米国特許第7656300号は、システムを最もうまく自動化するために、すべての側面をデジタル化して有害生物を監視することに関する。’300特許は、赤外線による温度および/または動作センサ、機械的に作動するセンサ、もしくは光学センサを利用して齧歯動物の存在を検知して伝える検出器からローカルの通信サーバまたは遠隔の通信サーバへ信号を送信し、警報および/またはログ登録を出力することで、有害生物、具体的には齧歯動物を監視しようとしている。米国特許第8830071号は、各有害生物検出器からの情報をワイヤレスで送信することに関する。‘071特許は、ワイヤレス通信回路および無線受信機を使って、データ収集装置を収集されたデータのユーザインタフェースへの玄関口として提供する。
【0005】
一部の公開された米国特許出願は、農業用のスマートデータに関する説明を含む。例えば、2016年6月2日に公開された米国特許出願第2016/0150744号は、捕獲器と、昆虫量情報を生成し、通信ネットワークを介して昆虫量情報を送信する計数装置とを備える、農作物へ殺虫剤を塗布するためのシステムを開示している。データ収集プラットフォームは環境パラメータ情報および昆虫量情報を通信ネットワークを介して収集する。また、過去の監視データを分析するデータ分析プラットフォームも提供される。環境パラメータ情報および昆虫量情報も管理基準の作成に使用され、殺虫剤塗布制御装置は管理基準に基づいて農作物へ塗布される殺虫剤の量の制御に使われる。このように‘744出願は、どの殺虫剤を塗布すべきかをリアルタイムで判断するためにどの有害生物がいるかという情報を利用する。
【0006】
別の公開済み出願である、2015年7月30日に公開された米国特許出願第2015/0208636号では、1つ以上の区域で2つ以上の条件に関するデータを検出する、1つまたは複数の多モードセンサを配置することと、1つ以上のデータ収集装置にデータを蓄積して局所的な知識ベースを生成すること、を含む、生物活性状態の検知方法が説明されている。‘636出願は、生物活性の存在を判断するのに2つ以上のパラメータの検出が必要となる非常に複雑な多モードシステムに着目しており、生物活性が存在すると、システムは有害生物を処理するためにそれ相応に対応する。
【発明の概要】
【0007】
従来技術のそれぞれにおいて、主な目的は、有害生物の存在を検知し、有害生物がどこにいるかを素早く観測するために管理システムに通知することである。その一方で、本発明はデジタルセンサからの信号の使用に関し、この信号は、このデータを数多くの目的で使用する能力を有する観測用データベースへネットワーク上でワイヤレスで伝えられる。すなわち、本発明は、改良された有害生物防除設計および環境上の制約および/または構造的制約のもとでの将来の有害生物防除システムの種類および設計のために、このデータを現在のシステムの分析に使用することに関する。上述の技術により、現在および将来の有害生物防除システムを持続的かつ自律的に改善することができる。有害生物防除用途で、中心位置から有害生物の種類および数または密度を知ることができるようにデータを収集、分析する必要があり、また過去データを利用して、有害生物捕獲器の配置と種類、化学薬品または有害生物防除用薬剤の種類と投与速度、およびシステム全体の状態について、より知識に基づいた決定を下す必要がある。さらに、この機械学習インフラによって、他のシステムの設計を外部要因(すなわち環境条件)を併用して分析することで、将来の有害生物防除管理システムの設計が推進されるであろう。本発明は、特定の種類のセンサを利用して関連データを収集し、信号処理部へ送信する。そして、一カ所に集められたデータは、統合ソフトウェアを使ってシステム状態を知り、改善についての結論が容易に理解されるように、効果的に分析することができる。システムは機械学習を使用し、随意で有害生物防除用捕獲器の動作を最適化するとともに、システム状態の過去データと共に外部データを使用して、場所配置を最適化することもできる。本発明の目標は、有害生物を検知して捕獲することだけではなく、有害生物の種類および場所がシステム施設の配置および外部状態にどのように関連しているかについての知見を提供することである。これにより、究極的には効率が向上し、コストおよびリスクが低減される。
【0008】
例として、本発明では好ましくはワイヤレスの警告センサ、すなわち振動板スイッチを用いて、有害生物の存在を検知する。スイッチには小型電池を使って帯電した2つの金属要素がまとめられ、少量のペイロード(すなわち6バイト)を持つアナログ信号を生成する。有害生物が捕獲器に入ると、帯電した金属要素がつながって回路が閉じられ、信号がオフサイトの観測所へ送信される。一実施形態において、捕獲器センサは2017年1月6日に出願された米国特許出願第62,443,384号に記載されている装置の1つまたは複数を含み、当該特許の内容は参照によりその全体が本願に援用される。本発明が機能するのに必要とされるすべてである、単純なセンサを使うことで、高い精度と信頼性がもたらされる。ただし、なんらかの理由で望まれる場合は、より高度なセンサを随意で利用することができるというわけではない。他のセンサの選択肢の非限定的な例としては、ブルートゥース、RFID、カメラ、赤外線、静電容量、圧電素子、生体インピーダンス、動作、および/または有害生物を検知して信号をオフサイトの観測所へ送信することができる既知の、または今後予期される任意の考えられうる仕組みが挙げられる。
【0009】
有害生物がセンサで検知されると、好ましくはクラウドベースのネットワーキング能力を有する中央コンピュータへ信号が送信される。これにより、有害生物防除管理へ容易にアクセスするために、中心位置とセンサ状態とを継続的に接続することが可能となる。ネットワークは、カスタマイズされた信号データを分析用データベースへ送信するのに関与する。カスタマイズされた信号データとは、分析に適したデータのみを選択することを指す。これは、センサの状態、場所、施設内外の環境条件、時刻、有害生物防除剤の種類とそれぞれの投与速度、ならびに有害生物防除システムの理解および最適化ならびに/またはコストおよびリスクの低減に有益と考えられる任意の他の状態でありうる。
【0010】
信号が分析のためにネットワークを介して遠隔センターへ送信された場合、関連データは直感的で視聴者が有害生物防除システムの現在の状態をすぐに理解するように表示されなければならない。具体的には、例として、施設内部の地図により(適切なソフトウェアを使って)、センサ信号を有害生物防除システムがどれだけ効果的に設計されているかの定量的または定性的な記述へと変換することで表示可能なシステム状態を確認することができる。こうして、視聴者は捕獲器の移動、薬剤および/または投与速度の変更、または施設そのものまたはその周囲の配置に対して一時的もしくは恒久的な構造変更を行うことにより、システムを手動で改善するように推薦することができる。また、このソフトウェアは、有害生物防除の作業者、施設管理者および監査員にとって有益な、侵入状況を理解するのに役立つ報告書を作成することができる。そして、このソフトウェアは機械学習であり、トレンド分析を行って、その結果から勧告を行う充分な能力がある。非常に有利なことに、機械学習により明示的にプログラムされなくとも学習する能力をシステムに与える人工知能(AI)をシステムが含むことが意図されている。機械学習は、トレンドの分析、および新しいデータにさらされた場合に変化しうるコンピュータプログラムの開発に注力している。機械学習のプロセスは、データマイニングやトレンド分析のプロセスに似ている。つまり、本発明に従って、ほとんどの、またはさらにすべての関連データを統計的に分析して、将来の施設配置、地理的場所、使用する捕獲器の種類、使用する薬剤の種類と投与速度、および有害生物の侵入を減らすように設計可能な他の要素に影響を与えることができる。このソフトウェアの目標は、有害生物防除システムを継続的に最適化して、既存のシステムに対して変更を加える、または将来のシステムの設計に影響を与えることである。
【0011】
有害生物防除システムの収集、分析、表示および改善は、現在または将来の施設への侵入を減少させることに対して直感的な恩恵があるが、コストおよびリスクの低減に対して大きな恩恵がある。捕獲器の数、種類および場所を最適化することで、不必要な捕獲器を購入するコストまたは捕獲器を効果のない場所に設置するコストが削減される。有害生物がいる可能性を最もよく制御するために種類仕組みをどのように使用するか、および可能な投与量、障壁または格納容器の種類などを理解することは、本発明のシステムでは完全に可能である。この能力は、施設全体で正しい薬剤の最小量が利用されていること、および/または、この方法およびシステムの機械学習能力に基づいて任意の所与の時刻に適切な障壁もしくは改善措置がなされて結果を最大化することを保証することで、コストを削減する。これはすでに配置されているシステムの改善にも適用可能であり、このデータを知っていれば、有害生物防除活動にかかる時間、エネルギー、および金額も削減する新しい施設およびその有害生物防除システムを設計する際に必要となる試行錯誤の手法を最小化する。
【0012】
本発明を採用することには保健上、環境上の恩恵がある。作業者は使用される薬剤の種類についてより知識を持ち、改修を必要とし一部の化学薬品への暴露を減らす捕獲器を認識する。同じ理由で、有害生物防除システムはより環境に優しく設計され、これは環境へ放出される特定の化学薬品を最小化することを意味する。また、ソフトウェアは有害生物防除に使用される製品に対する変更を学習し、推奨することで、生理学的な変更または現在のシステムに対する行動抵抗に対処することができる。この学習システムによって、所与の有害生物に対する所与の製品の性能をベンチマークすることができるようになる。自己学習要素を含むことで、本システムは時間が経つにつれて学習を行い、特定の場所にいる有害生物に対して最適な製品を提案することができる。
【0013】
本発明の機械学習データベースは、複数の特定のアカウントに最適化することが可能なシステムを作成する。施設の配置、および有害生物資源(すなわち食料、水、避難所)がどこに位置するかといった要因により、記述されたアルゴリズムは施設を効果的に監視するのに最適な数と種類の有害生物センサを決定することができる。より戦略的にセンサを配置することの目的により、不必要な捕獲器のコストを削減し、有害生物の侵入を適切に監視していないことによる監査の失敗を最小化することができる。システムは自己学習型であるため、統計分析または予測分析により、有害生物管理が条件に応じて最適化され、特に規制基準を順守してビジネスリスク感受性が低減されることについて、より自信を持って確信することができる。
【0014】
本発明のシステムは、それぞれの塗布器のレベルでの殺虫剤の使用を追跡することができる。これは、薬剤の種類および有害生物の防除に効果的な投与量を決定するのに役立ち、また信号を塗布器へ送ることで、自動式または手動式の噴霧器の化学成分または濃度を調整することができる。本発明に関連して使用される適切なデジタル噴霧器の取り得る配置の非限定的な例が、2016年7月11日に出願された欧州特許出願第16178766.8号および2016年7月11日に出願された米国特許出願第62/360548号で開示されている。2016年7月11日に出願された欧州特許出願第16178764.3号、2016年7月11日に出願された米国特許出願第62/360,555号、および2016年9月8日に公開されたPCT2016/0255826号は、その内容は参照によりその全体が本願に援用される。
【0015】
一部の実施形態では、塗布器が自動式または手動式のいずれであっても、ソフトウェアは塗布器へ信号を送って使用する殺虫剤をデジタル的に制御することができて、確実に必要量の殺虫剤が使用されるようにすることで、コストと時間を削減することができる。これは、職員への報告書を生成することで、またはさらに噴霧器用のスマート塗布器が電子的または手動で、導入する殺虫剤の種類および量を認識することでなされる。人間の能力に関しては、ソフトウェアは各人がどれだけ効果的に有害生物防除の設置と保守を行っているかを追跡することが可能である。塗布器が有害生物防除システムの保守に関する作業を行う時間とコストに関して統計的な結論を出すことができて、この結論は管理者がコストおよびリスクを削減するためにコストおよびリスクを指標化したりベンチマークを行うのに有益である。管理者はシステムを保守する時間を削減するために、職員の変更、追加のトレーニングの実施、または手動によるプロセスの改善を行うことができる。ソフトウェアから得られたデータは、現在のプロセスが改善されるように、また新しいプロセスがベストプラクティスに沿って導入されるように統計的、定性的な分析をするのに特に有益である。
【0016】
ソフトウェアは、有害生物センサデータと外部データを統合して、施設の状態についての追加の結論を出す。環境監視装置、建造物地図、施設のセンサ、およびほかのセンサを、同一のネットワーク上で分析対象である同一の遠隔計算地へ送ることができる。時間、温度、湿度などの環境の監視装置は、特に当該データと有害生物センサからのデータとの比較において、有害生物の存在と相関性を持つことがある。建造物地図を使った配達のような文書化された業務、特定の部屋の構造的な配置、食料のような資源の存在などを他のセンサからのデータと比較して、将来の施設の最良の配置および/または有害生物防除システムの配置を最適化することができる。開放されたドア、気流、内部温度などのような施設のセンサは、こうした条件が有害生物の存在にどのように影響を与えるかに関しての知見を与えることができる。有害生物センサにより捉えられた有害生物の存在に関連する建造物全体の状態を理解するため、これらのセンサのすべては調和的に動作する。また、この調和的な動作には、外部の気候と、一つのイベント、一連のイベントまたは条件に基づいた有害生物の侵入予測に相関をも与える気象データとの統合が含まれる。すべての調和データを有意義に使用する能力は、報告書の作成で特に効果がある。現在または将来の施設の配置、有害生物、環境センサ、施設センサ、および業務(すなわち資源の配達)の時刻と種類が与えられれば、実施される有害生物防除の方法を報告することができる。種類、量、日付および時刻を使用して、施設の状態をより正確に理解することができる。このことは、インボイスの作成、在庫管理、プロセス改善、および政府標準(USDA、EPA、FDAなど)の順守に関して有益である。本発明により想定される非限定的な例として、本システムは、供給の発注の予約、職員への特定の場所の保守の依頼、不一致や緊急状態の警告、施設の監査に必要な時間の削減を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本特許または本特許出願のファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面を伴った本特許または本特許出願の公報は、依頼および必要な料金の支払いに応じて当該官庁から提供されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を表現した適切なフロー図を示す。
【0019】
この管理プラットフォームは、以下を含む。
【0020】
センサ、監視装置、一体化された装置からの入力、または通信ネットワークを介して伝達可能な、収集された他の有害生物防除データ。
【0021】
ネットワークであって、具体的には使用可能データへの装置入力の間の継続的な接続性であるネットワーク。継続的な接続性は、モノのインターネットの用途では特に有益である。この継続的な接続性により、すべての有害生物検知からの継続的で自律的な検知と監視、および任意の場所での制御入力が可能となる。
【0022】
データを使用可能な改善された形態で表示するように維持され、最適化されているデータベース。前述した機械学習プロセスにおいて、データベースは有害生物防除装置および/またはシステムの配置を最適化するために、特に有益である。データベースは、有害生物防除の設定の検証、および類似の環境、配置などが与えられた予測設計の双方に関連する。
【0023】
ソフトウェアであって、顧客がシステムの調整を迅速に行えるように顧客に使用可能データを表示するユーザインタフェースを可能とし、効率の最大化を試みるフィードバックループを作成することで、有害生物防除用のよりスマートで学習可能なシステムを作成して、顧客にとってのコストおよびリスクを低減しようと試みる、ソフトウェア。
【0024】
プラットフォームの目標は、データの収集および分析を革新的に上昇させられる、改良された有害生物防除検知とその装置を顧客に提供することである。
図2に概略が示されるデジタル化されたデータは、有害生物検知に関してより多くの知識が知られるという点で顧客にとって価値がある。プラットフォームは、殺虫剤の種類、場所、投与速度と時刻、および有害生物防除装置の種類と場所に関して、更なる戦略を可能とする製品として機能する。このように、こうしたデジタルデータが有害生物の種類と頻度にどのように影響を与えるかを理解し分析する能力が向上することで、より配慮が行き届いた有害生物防除設計を可能とし、顧客にとってのコストおよびリスクの低減が可能となる。
【0025】
データ収集の価値は分析的フィードバックシステムにより引き上げられ、このシステムは顧客にとってさらに高い付加価値を有する。有害生物防除システムを継続的に監視、変更する能力によりシステムの効率が向上し、特定の施設における有害生物防除の長期的なコストの低減が可能となる。さらに、新しい施設用に有害生物防除システムを設計しながらも機械学習プロセスを採用することが可能であり、また環境上の想定、構造上の想定、および事前の有害生物に関する想定を考慮することで、有害生物防除システムを設置しながらも関連するコストおよびリスクも低減される。
【0026】
例として、昆虫および齧歯動物が侵入した建造物を検討する。本発明では、建造物の構造的制約の範囲内で検知の監視および/または昆虫、齧歯動物の両方に対する捕獲器について説明する。一旦システムが作動すると、捕獲器を調整できるように、有害生物の種類と場所(すなわち、建造物の部屋配置による有害生物ホットスポット)に関する連続データが使用可能なインタフェースへ出力される。また、本発明では、このデータを集めて新しい建造物に有害生物防除システムを戦略的に立ち上げること、つまり、コストおよびリスクを低減する目的で有害生物防除システムをより効率的に立ち上げるために過去データを比較し、
図2の環境条件および構造的な配置を理解すること、について説明する。
【0027】
このデータ駆動型で継続的に改善されるシステムには、有害生物防除業者の顧客および食品加工業者の顧客にとって直感的な恩恵があり、また商業ビルの有害生物に関する監査に関連する恩恵がある。例えば、アメリカ食品医薬品局およびアメリカ合衆国環境保護庁は、有害生物の場所、種類、および数、捕獲器の場所、種類、および数、ならびに有害生物の種類、数および場所に対する建造物配置の効果ならびに環境上のインパクト(
図2を参照)を示す報告書を作成することができる本プラットフォームの出現で、稼働中のシステムに一層の自信を持つであろう。この機械学習プロセスにより、有害生物が検知されない、および/または捕獲される、ということを最小化するシステムが作成され、建造物内の有害生物防除システムを迅速に表示し、分析することが可能となる。
【0028】
既存の施設の更なる例が、例えば
図3に示される。ソフトウェアの代表出力には、様々なセンサの場所を記録した特定の施設の配置図が含まれる。プログラムは、様々な部屋の状態が中心位置から理解できるように、温度、湿度、気流などのタイムスタンプのついたデータを継続的にキャプチャする環境センサ3を表示する。施設センサ2は、有害生物の存在に影響を及ぼしうる施設内の動作(すなわちドアを開けること)を表示する。様々な捕獲器が施設配置内に置かれ、センサ1の状態が分析のために中心位置で容易に入手できるようにセンサ1が配置図上に示されている。
【0029】
引き続きこの例で、施設の特定の部屋の中のセンサにおける警告について検討する。
図3で、処理工場内に警告があることが理解される。作業者はこの部屋をさらに調査することが可能であり、
図4で部屋の状態が即座に理解される。過去データおよび現在のデータが可読形式で表されており、作業者は警告がどこで生成されているかをすぐに閲覧できる。この例では有害生物センサ1.3が警告を示し、作業者は何が警告を引き起こしたのか、また問題を軽減するための行動について、さらに調査することができる。
【0030】
図5は設置された捕獲器に関するセンサ特有のデータを示す。引き続きこの例で、この捕獲器がソフトウェア上で示される条件の下でゴキブリを罠にかけて殺すために使用されていることが明らかである。化学薬品、製造業者、技術者が表示されており、分析のために警告の説明が表示されている。継続的に学習するシステムに基づいて、自動化された動作または推奨される動作が適切な関係者へ提示され、要求される特異性の水準までシステムを改善する方法をソフトウェアが示す。
【0031】
本発明に関連して、重要な側面は、様々なレベルで高リスクの領域および低リスクの領域を、本システムが利用される環境の種類に応じて高い確度で予測する能力にある。高リスクの適用例には、サードパーティによる監査、小売業者による監査、FDAによる査察、製薬工場などがありうる活動が含まれる。あり得る低リスクの活動としては、動物の餌、精密な電子機器、病院/医療機関、倉庫、輸送、および、有害生物の根絶が求められているが環境上の悪影響よりもいくらか優先度が低い他の環境が含まれる。
【0032】
本発明によれば、アルゴリズムはビジネス活動の性質に「自主的に」注目する、かつ/または随意で、ビジネスが高リスクまたは低リスクのいずれであるかはクライアントの判断となる。アルゴリズムは、施設の大きさに基づいて捕獲器の数または必要な処置および場所、ならびに、特定のビジネス、リスクが何であるか、過去に失敗があったか、その失敗の性質(欠陥、罰金、製品の回収/改修)などの独立要因を導き出す。
【0033】
あるいは、または加えて、アルゴリズムは環境(気候、湿度、個体数)や有害生物の実際の生態/行動といった依存性要因に注目することができる。例えば、アルゴリズムは、有害生物(すなわちネズミ)の活動が監視されて、時間と共にその活動の一覧が作られることで、数もしくは捕獲器、および/または処置の場所が状況分析で決められるように、設定することができる。所与の期間(すなわち12か月)にネズミが見あたらない領域では、デフォルトの配置がある。12か月に1匹くらいのネズミがいる他の領域では、その場所ではデフォルトに+1される。さらに別の、12か月に1匹より多いネズミが観測される領域では、デフォルトに+2される。
【0034】
さらに、捕獲器の配置についての状況分析の構築時に、アルゴリズムは現地の評価を行い、場所の習慣的特性を判断する。例えば、外部ドアが存在するかどうか、また存在する場合はいくつあるか、いずれかの場所での構造的完全性の不備、こぼれた食料、外部の遺棄物、開放水源、食堂/厨房/休憩室、原材料の取り扱い、原材料貯蔵室、完成品貯蔵室などの習慣的な特徴が分析される。極小の生息環境には、水、食料、避難所、および熱への近接も含まれる。これらの要因のそれぞれは特徴付けされるとともに重要度の参照数字が付与され、どのように配置されるべきかをアルゴリズムがさらに計算して差別化する。それぞれの習慣的な特徴に対して、アルゴリズムは、データが多くの場所で経時的に収集されるのに伴う機械学習による優先順位付けに基づいて、処置対象領域および/または捕獲器の数を割り当てる。
【0035】
リスク特性モジュールは、有利なことに選択およびすでに作成済みのデータに基づき、ビジネスでどれだけ多くの失敗が観測されてきたか、またはその基準に基づいてどれだけ多くの失敗(1未満、1と等しい、1より多い)が観測されると予期されるか、ということに基づいて、高リスクのビジネス活動および低リスクのビジネス活動向けに配置を勧告する。すでに1回の失敗がある、または1回の失敗が機械学習から予測される高リスクの領域に対して、アルゴリズムは100リニアフィートあたり1.5個の捕獲器を提案し、一方で、同じビジネスでも失敗が記録されていない、または失敗が予期されていないものに対しては、アルゴリズムは100リニアフィートあたり1.25個の捕獲器を提案する。ビジネスが上で示したように低リスクのものであれば、アルゴリズムは1回の失敗、または1回の失敗が予測される領域に対して100リニアフィートあたり1.25個の捕獲器を提案し、失敗がない、または失敗が予期されていない領域に対しては100リニアフィートあたり1.0個の捕獲器を提案する。こうした勧告は例示に過ぎないが、所与の活動に対して、本発明のアルゴリズムがどのように動作して配置設計を予測し、時間経過に伴う配置設計の変更を予測するか、を明確に示している。
【0036】
図6では、本発明に係るシステムの概略が示されている。この図によれば、有利な一実施形態では、有害生物防除プラットフォーム10には、随意で低消費電力広域ネットワークであるLoRaWAN 16を介してConduitゲートウェイ14へ信号を送信するために監視装置12が随意で装備されている。この電気通信モードは、前述のとおり、有線または無線とすることができて、Conduitゲートウェイ14は、有害生物防除プラットフォーム10へ接続されている通信モジュール18および/または無線モジュール20を管理するために存在している。その後データはインターネット経由で、本発明に係るカスタマイズ可能なサービスが組み込まれたデジタル有害生物管理バックエンド22へ送られる。Simple Notification System(SNS)24により、異常またはさらに特定のシステム状態の自動通知(すなわち電子メール、テキストメッセージ、統合モバイルアプリのプッシュ通知)が可能になる。ユーザ管理機能26は随意で含まれ、作業者の追加/削除/編集および実績を閲覧するのに役立つ。また
図6に示されるように、有利なことにエッジサービス28が、電気通信装置の制御を可能にするため、またアプリケーションロードバランサ(ALB)30を含めて電気通信トラヒックをネットワーク可用性に応じて自動的に振り分けるために、含まれている。また、バックエンド22は、その情報を使用するソフトウェアと関連するシステム10の計算能力を最適化するのを目的として仮想化コンポーネント32を含んでいる。データ記憶装置の仮想表現には、システムがデータをどのように利用するかを自動または手動で設定する機能が含まれる。
【0037】
デジタル有害生物管理バックエンド22の他の構成要素が、施設34、顧客36、またはフロントエンドディスプレイ38のカスタマイズを可能にする。データは、アマゾンウェブサービス(AWS)Kinesis 42のような任意の所望の仕組みを介してストリーミングデータでありうる分散ログ40を作成するのに使用することもできる。このデータログ40、またはさらにストリーミングデータは、監査、継続的改善、顧客への報告書、または、過去のシステムまたはさらに現在のシステムを完全に理解するための任意の他の手段に使用することもできる。
【0038】
エンドユーザは、好適には簡単に読める形式のデータに基づいてシステム状態を提示される。ユーザインタフェース(UI)44またはRepresentational State Transfer(REST)46により、インターネット経由でのすべてのシステム間の相互運用性を可能とする、有益なインタフェースを作成する。有害生物管理システム10の表示は、報告および管理上の見落としが管理者および/または顧客および/または請負業者に即座に、容易に理解されるように、バックエンドディスプレイ48用のモバイルアプリまたはさらに間接部門用ウェブポータル50へ効果的に送られる。
【実施例】
【0039】
実施例1
図7に表される実施例1は、有害生物の発生の監視を最適化するためにシステムがどのように配備されるかを示す、一般化された略図を示す。
監視される各アカウントは、ビジネスの性質、ビジネスの場所、施設の大きさ、考慮される有害生物の種類、配備される監視装置の種類といった、施設の記述的特徴でタグ付けされる。そして、2つの場所特有の調査が完了する。ある人は、有害生物が入ってくる外部開口部(例えば、ドア、ローディングドック、窓)の数などの、施設内での有害生物の発生を可能としてしまう非生物的要因に目を向ける。別の人は、覆われていない食料や開放水源などの、施設内での有害生物の発生を持続させてしまう生物的要因に注目する。こうした調査の結果は、有害生物監視装置の数および配置の決定のためにアルゴリズム(方式)で処理される。例えば、1つの監視装置は有害生物の侵入地点となっているドアの片側に置かれ、1つの監視装置は有害生物が頻繁に向かう食料および水源から規定の距離以内に置かれる。こうして監視場所の基本的な数が決められ、施設における最近の有害生物の活動履歴が相互参照されて、有害生物の過去の活動履歴の記録のある場所における監視装置の数が増やされる。そして、ユーザは2つのリスク指数のうちの1つを適用して、過去の監査または査察に反映された過去の有害生物の事件の記録を考慮して配備される監視装置の数をさらに変更することができて、特定のビジネスのリスク許容度に関連するより主観的な指数を適用することもできる。
前述のプロセスは、有害生物の存在を検知するために、施設内での監視装置の推奨される配置方式を規定する。システムが稼働するにつれて個別の有害生物の報告書が生じ、システムは「学習」を行って、施設自体の内部における進行中の有害生物の活動に応じて、または監視の「ライブラリ」から類似のビジネス、施設の大きさ、場所などを有する他の施設における配備を引き出すことで、有害生物監視装置の配置をさらに最適化することができる。このようにして、監視装置の数および配置を最適化して(増やされる、減らされる、または再配置される)、有害生物の発生を施設に対して設定された許容限界以内に維持しながらも有害生物監視ハードウェアの費用を最小化することができる。
【0040】
実施例2
図8に表される実施例2は、有害生物管理、特に施設内の有害生物の発生を軽減するための殺虫剤製剤の塗布、を最適化するためにシステムがどのように配備されるかを示す、一般化された略図を示す。
サービスを受ける各アカウントは、ビジネスの性質、ビジネスの場所、施設の大きさ、遭遇する有害生物の種類といった、施設の記述的特徴でタグ付けされる。あらゆるサービスにおいて、何時にどの殺虫剤がどんな濃度でどれだけの量を塗布されたか、といった、殺虫剤塗布イベントの特徴が記録される。この殺虫剤塗布の処置イベントの記録が分析のためにデータベースへ記録される。積み重ねられた処置イベントに対する分析方法は多様であるが、任意の数の例でいくつかのアイデアを得ることができる。一例では、データベースはその場所での温度および降水イベントの外部データベースにアクセスできて、これらのデータは処置イベントの頻度に相関性を持つことがあり、使用される特定の殺虫剤の持続性/有効性に気候がどんな影響を及ぼすかを学習することができる。また、システムは、いつどこで特定の殺虫剤を使用することができるかについての政府の規制または民間の規制を要約した様々な「ライブラリ」を参照するように設定することもできて、技術者に警告を(接続された塗布装置を介して)送って、意図しない違反により有害生物管理会社の法令順守記録に悪影響を与えるのを防ぐことができる。有害生物管理会社は演繹的にしきい値を規定する、または処置イベントの帰納的分析を行って、是正措置が必要な処置イベントにおける外れ値にフラグを立てることができる。例えば、そのすべての技術者による塗布を追跡することで、会社は塗布量やさらにサービス時間の閾値を、例えば
【数1】
と規定することができる。この方法によって、会社は殺虫剤を過剰に塗布している従業員、または施設に対して適切にサービスを提供するのに十分な時間をかけていない従業員を特定することができる。この知見を以て、会社は従業員を訓練資源へ向かわせて、会社のサービス標準または、マスターデータベースにそのデータがある数多くの会社の類似の施設に対する処置記録の分析に基づく業界標準の慣行の順守を確実にすることができる。
実施例1で説明された、最適化された有害生物監視とのインタフェースに応じて、ユーザは施設における処置の必要性を示唆する、有害生物発生のしきい値を適切な演算式で規定することができる。有害生物検知システムがそのようなしきい値を超える有害生物の発生を報告した場合はいつでも、最適化された有害生物管理システムは施設において追加のサービスが必要であることを塗布器に通知する警告を生成することができる。分析は、サービス上の警告の必要性を次のように修正するためになされる。特定の製品が、例えば前回のサービスからの時間が予想よりも短い場合に、推奨されることがある。
単一の会社または数多くの会社の記録に基づき、処置後の予想される有害生物抑止持続時間を、例えば
【数2】
で定めることができる。このしきい値からの偏差は、塗布器もしくは化学薬品、またはその両方の悪い結果を示唆する。トリガーが引かれてエンドユーザへ警告するまでに、一定の許容範囲として理想値の67%あるいはもしかしたら90%がありうる。
各化学薬品の割合Rに対して、有害生物抑止期間がある。それゆえ、Std(x)と
【数3】
が決定される。
経時的に有害生物抑止が測定され、許容範囲より下まで下落した場合、必要に応じて警告が与えられる。
さらに、有害生物集団における特定の殺虫剤に対する生理学的抵抗が進展するのを未然に防ぐため、ユーザは異なる殺虫剤の間での計画的なローテーションを規定することができて、分析により施設内での一つの殺虫剤の逐次使用が記録されて、管理方式の中で次に使用される製品が推薦される。また、標準的な結果から外れた悪い結果も、抵抗の進展またはシステム全体の有効性を悪化させる他の条件に関するリスクについて、ユーザへ警告するよう作用する。
これらの実施例は、頻度または質に関して、配送データ知見によって殺虫剤塗布イベントを制御するのに、システムをどのように使うことができるかを示す。さらに、有害生物監視システムで生成された有害生物に関する警告への統合との相互作用によって、施設に対して設定された許容限界以内に有害生物の発生を維持しながら殺虫剤による処置に関連する費用およびリスクを最小化することで、随意で分析を望むとおりに変更し、施設における有害生物管理を最適化することができる。