(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】MILKとLUMILUXの分散液
(51)【国際特許分類】
C09K 11/02 20060101AFI20220816BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20220816BHJP
C09K 11/06 20060101ALN20220816BHJP
C09K 11/84 20060101ALN20220816BHJP
C09K 11/59 20060101ALN20220816BHJP
C09K 11/82 20060101ALN20220816BHJP
【FI】
C09K11/02 Z
C09K11/08
C09K11/06
C09K11/84
C09K11/59
C09K11/82
(21)【出願番号】P 2019558583
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 US2018033465
(87)【国際公開番号】W WO2018217580
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2017-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・プラット
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】カール・ジェイ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ライネル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・カテナ
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-115225(JP,A)
【文献】特開2000-154294(JP,A)
【文献】特表2008-506565(JP,A)
【文献】特開平05-086311(JP,A)
【文献】特開2002-310798(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126766(WO,A1)
【文献】特開2016-225494(JP,A)
【文献】特開2006-269373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)液体媒体と、
b)前記液体媒体中に分散されたフッ素含有ポリマーの粒子と、
c)前記液体
媒体中の発光剤であって、活性化放射線の適用時に発光する、発光剤と、を含
み、
フッ素含有ポリマー粒子がポリクロロトリフルオロエチレンの粒子を含む、湿潤発光組成物。
【請求項2】
a)基材と、
b)前記基材の表面上の乾燥発光組成物であって、フッ素含有ポリマーと、発光剤と
を含み、
かつ結合剤を含まず、キャリアを含まない、前記発光剤が活性化放射線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、フッ素含有ポリマーがポリクロロトリフルオロエチレンを含む、物品。
【請求項3】
発光物品を形成するためのプロセスであって、
a)液体媒体のブレンドと、複数のフッ素含有ポリマーの粒子と、発光剤と、を含む、湿潤発光組成物を形成することであって、前記発光剤が、活性化放射線の適用時に発光し、前記フッ素含有ポリマー粒子が
ポリクロロトリフルオロエチレンの粒子を含み、かつ前記液体媒体中に分散されている、ことと、
b)前記湿潤発光組成物を基材の表面上に塗布することと、
c)前記液体媒体を蒸発させることにより、乾燥発光組成物を形成することと、任意選択的にその後に、
d)保護層を前記基材上に適用することであって、前記乾燥発光組成物が前記基材と前記保護層との間にある、ことと、を含み、前記基材及び前記保護層のうちの少なくとも一方が
、10%以上の量の200nm~300nmの範囲の紫外線を透過する、プロセス。
【請求項4】
I)
a)基材と、
b)前記基材の表面上の乾燥発光組成物であって、
ポリクロロトリフルオロエチレンと、発光剤と
から本質的になり、前記発光剤が紫外線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、物品を提供することと、
II)前記発光組成物に、200nm~400nmの範囲の紫外線を適用することと、
III)紫外線の適用による発光応答を判定することと、
IV)任意選択的に、工程III)で判定された前記発光応答を、予め選択した対照発光応答と比較することと、を含む、物品の認証方法。
【請求項5】
発光剤が湿潤発光組成物の0.005重量%~10重量%を構成する、請求項1に記載の湿潤発光組成物。
【請求項6】
液体媒体が水を含む、請求項1に記載の湿潤発光組成物。
【請求項7】
発光剤が乾燥発光組成物の0.1重量%~10重量%を構成する、請求項2に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年5月20日出願の同時係属中の米国特許仮出願第62/509,097号の利益を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、偽造防止及び他の用途での使用に好適な発光着色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
消費者製品の偽造は、様々な産業において世界中の政府及び製造業者を悩ませる大規模な問題である。薬物偽造が一般的であり、精巧であり、消費者に深刻な危険を及ぼす医薬産業においては特に問題である。米国では、消費者が合法的に購入する薬物の信頼性に確信が持てるように、薬物偽造に対抗するための包括的な法律及び規制が整っている。しかしながら、近年の医薬品のコスト上昇に伴い、多くの米国の消費者は、例えばカナダなど、薬価が規制されているため、米国内で購入するよりも手頃な値段で入手できることが多い米国外の安価な供給元から処方薬を購入することを選択しており、たくさんの米国の消費者がより安価な薬を購入するために国境を越えている。しかしながら、多くの消費者にとって、カナダへの旅行は現実的ではなく、非合法の場合もあり、かつ、正規品が提供されない場合もある、インターネット上の薬局からの薬の不正な購入に手を出している。これは、消費者に深刻な危険を及ぼし、また、製薬業者のビジネスに重大な損害をもたらす。
【0004】
薬物が米国内で合法的に入手される場合であっても、偽造は、引き続き深刻さを増す問題である。精巧な偽造活動及び方法を用いて、最終剤形の偽造品が、それ以外は合法である米国の医薬品流通システムに流れている。これらの偽造薬は、多くの場合、正規医薬品に酷似しているが、非活性成分のみ、不適切な成分、不適切な用量、力価が低すぎる若しくは高すぎる成分を含有している場合があり、又は汚染されている場合がある。したがって、薬物偽造は、消費者にとって極めて現実的な公衆衛生上かつ安全性上の問題をもたらす。
【0005】
従来の医薬品認証の取り組みは、薬剤又はそのラベルに埋め込まれた包装又は化学マーカーにこっそりと挿入されている色が変わる特殊インク、ホログラム又はタガントなどによる解決に焦点を当ててきた。例えば、米国特許第6,647,649号は、所定の検証可能な数値コードを有するマイクロ粒子タガントを組み込んだ製品又は製品パッケージ用のマイクロ粒子タガントシステムを教示している。米国特許第9,361,561号は、追跡及び検証目的で、コンクリート、木材、鉱石、プラスチック、繊維、塗料、金属、爆発物、及び更には食品などの工業プロセス材料に発光マーカーを組み込むことを教示している。しかしながら、これらの解決策はそれぞれ、偽造者によって容易に再現されるようになってきた。
【0006】
別の方法である非常に成功した解決策は、本譲受人と同一所有者であり、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,674,532号に教示されている。米国特許第7,674,532号は、2つのフィルム層間に配置されているか、又はポリマーフィルム層内でブレンドされている発光タガントを組み込む、偽造防止パッケージ構造を提供している。このタガントシステムは、薬剤とタガントとの近さに関して、FDAの要求を再現し、満たすことが事実上不可能である。また、他の透明な包装材料は通さないが、短紫外(UV)線、すなわち200nm~300nmの範囲の放射線を通すHoneywell International Inc.(Morris Plains,NJ)が製造するACLAR(登録商標)フィルムなどの透明なフルオロポリマーフィルムと発光タガントに適合性があるため、医薬品包装材料での使用が特に望ましい。本開示は、従来技術と比較して、紫外線、特に短波長UV線を照射したときに、改善された色強度を達成する、この米国特許第7,674,532号の方法の改善をもたらす。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、改善された色強度を有する発光組成物、及びこの発光組成物を、セキュリティタガントとして、例えば、医薬品包装用途における偽造防止要素として、又は、発光着色が所望される任意の用途において一般的に使用可能な審美的着色剤として組み込んだ物品を提供する。発光組成物は、1種以上の発光顔料及び/又は発光染料とブレンドされる粒子状フルオロポリマーを組み込む。これらの成分は、フルオロポリマー粒子が分散しており、顔料/染料が可溶性であっても可溶性でなくてもよい、液体媒体中に提供される。
【0008】
より具体的には、
a)液体媒体と、
b)かかる液体媒体中に分散されたフッ素含有ポリマーの粒子と、
c)かかる液体中の発光剤であって、活性化放射線の適用時に発光する、発光剤と、を含む、湿潤発光組成物が提供される。
【0009】
また、
a)基材と、
b)かかる基材の表面上の乾燥発光組成物であって、フッ素含有ポリマーと、発光剤と、を含み、かかる発光剤が活性化放射線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、物品が提供される。
【0010】
更に、
a)液体媒体のブレンドと、複数のフッ素含有ポリマーの粒子と、発光剤と、を含む、湿潤発光組成物を形成することであって、かかる発光剤が、活性化放射線の適用時に発光し、かかるフッ素含有ポリマー粒子がかかる液体媒体中に分散されている、ことと、
b)かかる湿潤発光組成物を基材の表面上に塗布することと、
c)液体媒体を蒸発させることにより、乾燥発光組成物を形成することと、任意選択的にその後に、
d)保護層をかかる基材上に適用することであって、かかる乾燥発光組成物がかかる基材とかかる保護層との間にある、ことと、を含み、かかる基材及びかかる保護層のうちの少なくとも一方が、約10%以上の量の200nm~300nmの範囲の紫外線を透過する、発光物品を形成するプロセスが提供される。
【0011】
また更に、
I)
a)基材と、
b)かかる基材の表面上の乾燥発光組成物であって、フッ素含有ポリマーと、発光剤と、を含み、かかる発光剤が紫外線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、物品を提供することと、
II)かかる発光組成物に、200nm~400nmの範囲の紫外線を適用することと、
III)紫外線の適用による発光応答を判定することと、
IV)任意選択的に、工程III)で判定された発光応答を、予め選択した対照発光応答と比較することと、を含む、物品の認証方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】それぞれ着色剤/顔料を含まない3つの異なるサンプルにおける紫外(UV)線透過率の割合を示すグラフである。
【
図2】Lumilux(登録商標)Red CD380顔料、及びその顔料を含む異なるサンプルの蛍光励起及び蛍光発光スペクトルを示すグラフである。
【
図3】Lumilux(登録商標)Red CD380顔料、及びその顔料を含む異なるサンプルの蛍光発光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、偽造防止フィルムの形成に有用な、単層及び多層フィルム構造を含む発光組成物、及びそれから形成された物品、並びにそれらの形成プロセスを提供する。発光組成物は、1種以上の発光剤、並びに1種以上のフッ素含有ポリマーを含む。フッ素含有ポリマーは、発光剤と組み合わせるために粒子状形態で提供されるが、最終用途の物品における最終形態では必ずしも粒子状ではない。本明細書で使用するとき、「発光剤」は、発光が可能である、好適である、又は発光を呈する物質である。このようなものは、水に可溶性又は不溶性であってよい発光顔料及び発光染料を含む。「発光組成物」は、1種以上の発光剤を組み込む任意の組成物である。発光顔料及び染料は市販されており、本明細書で有用なものとしては、発光剤/組成物に200ナノメートル(nm)~400nmの波長範囲の紫外線を適用すると発光するものが挙げられる。
【0014】
最も好ましい実施形態では、1種以上の発光剤は、短波長紫外線により活性化される、可視光線蛍光性又はリン光性組成物を含む。本開示の目的において、短紫外スペクトルは、200nm~300nmの領域にあると見なされ、長紫外スペクトルは、300nmを超える波長で開始し約400nmまでと見なされる。可視スペクトルは、約400~約700nmの波長領域にあると見なされる。近赤外スペクトルは、約700nmを超える波長で開始すると見なされ、3000nmで終了すると見なされてよい。発光組成物は、好ましくは、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第7,122,248号に記載されているような複数の発光応答も可能である。本開示の目的において、発光応答又は発光は、蛍光及びリン光の両方を含み、発光応答は、リン光又は蛍光からなる群から選択される。本開示の発光組成物(タガントとしても知られる)の発光応答は、最も好ましくは、スペクトルの短紫外領域内の放射波長の活性化を含むが、スペクトルの短紫外領域に加えて、又はその代わりに、スペクトルの長紫外領域の波長を含んでもよい。
【0015】
発光顔料又は染料は、有機、無機又は有機金属物質であってもよい。本開示において有用な熱安定性有機物質の例は、化合物4,4’-ビス(2-メトキシスチリル)-1,1’-ビフェニル、4,4’-ビス(ベンゾオキサゾール(benzoaxazol)-2-イル)スチルベン、及び2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾオキサゾール)である。例示的な例としては、Huntsman Corporation(The Woodlands,Texas)からUVITEX(登録商標)FP、UVITEX(登録商標)OB-ONE、及びUVITEX(登録商標)OBの商標名で、並びにHoneywell International Inc.(Morris Plains,NJ)からLUMILUX(登録商標)の商標名で市販されている化合物が挙げられる。これらの化合物は、紫外線によって励起されると、スペクトルの紫外及び可視領域内で蛍光を発する。
【0016】
本開示で有用な無機物質の例は、La2O2S:Eu、ZnSiO4:Mn、及びYVO4:Ndである。これらの材料は、Honeywell International Inc.からLUMILUX(登録商標)Red CD168、LUMILUX(登録商標)Green CD145及びLUMILUX(登録商標)IR-CD139の商標名で市販されている。それぞれは紫外線によって励起される。LUMILUX(登録商標)Red CD168及びLUMILUX(登録商標)Green CD145は可視で発光し、LUMILUX(登録商標)IR-DC139は赤外で発光する。別の有用な物質は、Honeywell International Inc.からLUMILUX(登録商標)Red UC6の商標名で市販されている希土類オキシ硫化物である。この物質は、赤外線放射によって励起され、電磁スペクトルの可視部分において発光する。更に、銀、銅、アルミニウム、又はマンガンなどの金属でドープされたいくつかの硫化亜鉛化合物も、Honeywell International Inc.から市販されており、本明細書で有用である。これらの製品のうちのいくつかは、紫外線及び白色光によって励起され、蛍光及びリン光の両方で応答し、長い残光特性を有することも特徴とする(LUMILUX(登録商標)Green N5、N-PM及びN2)。他のものは、UV線によって励起され、青色、緑色、赤色、黄色、及び黄橙色などの色で発光する(LUMILUX(登録商標)Effect:Blue A、Green A、Red A、Blue CO、Green CO、Yellow CO及びYellow-Orange)。更に他のものは、UV及び白色光によって励起され、蛍光及びリン光を呈し(LUMILUX(登録商標)Effect Blue SN及びBlue SN-F、アルカリ土類ケイ酸塩;LUMILUX(登録商標)Effect:Green N、Breen N-L、Green N-E、Green N-F、Green N-3F、Green N-FG、Green N-FF)、Green SN-F5(ユーロピウム及びジスプロシウムでドープされたアルミン酸ストロンチウム化合物);並びにLUMILUX(登録商標)Effect Red N 100(ユーロピウム及びツリウムでドープされた硫化カルシウム化合物)は、白色光により活性化され、赤色蛍光及びリン光で応答する。このような物質の混合物を使用することもでき、いくつかの混合物は市販されている(LUMILUX(登録商標)Effect Sipi:Yellow and Red)。
【0017】
特に有用なのは、Tamらの米国特許第7,122,248号及びTamらの米国特許出願公開第2003/0194578号に記載されている全ての発光組成物であり、これらはそれぞれ本願と同一譲受人に譲渡されており、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる。また特に好ましいのは、LUMILUX(登録商標)Red CD380及びLUMILUX(登録商標)Green CD393(極性溶媒可溶性の短波長紫外線で活性化される((280nmの励起極大、300nm超の励起はごくわずか)、可視光発光希土類錯体)、LUMILUX(登録商標)Yellow CD382(長波長及び(弱い)短波長UVで活性化される蛍光性サリチル酸誘導体顔料)、並びに、LUMILUX(登録商標)Red CD740(長波長及び(弱い)短波長UVで活性化される発光性オキシナート顔料)である。LUMILUX(登録商標)Red CD380のような短波長UV活性化顔料は、所望により、LUMILUX(登録商標)CD797又はCD997などの長波長紫外線によって活性化される、及び/又は、LUMILUX(登録商標)Green UC-2(赤外活性化希土類オキシ硫化物顔料)などの赤外線によって活性化される、追加の可視蛍光タガントと組み合わせて使用してもよい。蛍光又はリン光放射の波長はまた、個々のタガントの化学的同一性を変更することによって変化させることもできる。
【0018】
本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,424,006号及び同第5,674,437号は、特定の種類のリン光物質及びその製造方法を記載しており、これらは長い残光品質を有し、発光の減衰速度をこのような物品の検証可能な特徴のうちの1つとして使用することができるため、本開示の物品において有用である。米国特許第5,674,437号は、そのような材料を繊維に組み込むことを開示している。リン光性物質は、一般に、ドープされたアルミン酸金属酸化物顔料として記載されており、ここで金属は、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又はこれらの混合物であってよく、ドーパントは、好ましくはユーロピウムであり、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムなどの元素周期表のランタニド系列の元素、並びにスズ及びビスマスからなる群から選択される元素である。例は、米国特許第5,424,006号に記載されているSrAl2O4:Eu Dyである。上記の他の顔料と同様に、これらの顔料は、Honeywell International Inc.から入手可能なLUMILUX(登録商標)の商標名で入手可能である。
【0019】
本明細書で使用するとき、「フッ素含有」ポリマーは、フッ素原子を含むポリマーである。そのようなものとして、フルオロポリマーのホモポリマー、フルオロポリマーのコポリマー、及び/又はフルオロカーボン含有物質、すなわちフルオロカーボン樹脂が挙げられる。「フルオロカーボン樹脂」は、一般に、フルオロカーボン基を含むポリマーを指す。好ましいフルオロポリマーとしては、当該技術分野において周知のホモポリマー、コポリマー、及びこれらのブレンドが挙げられる。これらのうち、特に好ましいフルオロポリマーとしては、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー及びコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン-プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。本明細書で使用するとき、コポリマーは、2つ以上のモノマー成分を有するポリマーを含む。特にCTFE-VF2(クロロトリフルオロエチレン-フッ化ビニリデン)コポリマーを含むクロロトリフルオロエチレンホモポリマー又はクロロトリフルオロエチレン含有コポリマーなどのヒドロクロロフルオロポリオレフィン(HCFPO)が最も好ましい。このようなものは、Honeywell International Inc.(Morristown,New Jersey)からACLON(登録商標)樹脂として入手可能である。
【0020】
本開示で使用されるとき、フッ素含有ポリマーは、当該技術分野において周知の方法によって調製され、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,453,477号、同第5,955,556号、同第6,255,384号、同第6,365,684号、及び同第6,369,178号に記載の方法などの水性分散重合によって水中の粒子として生成されるのが、最も一般的である。米国特許第5,453,477号は、凝析傾向が低く、石鹸の非存在下で粒子の良好な湿潤性を呈する安定なポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)ポリマー懸濁液を教示している。粒子懸濁液は、レドックス開始剤系を用いて、反応器内の水中でモノマー反応物質を重合することによって形成される。このプロセスにより形成されたフッ素含有ポリマー粒子は、粒径の均一性に優れる、約0.01μm~約1.0μmの範囲の平均粒径を有する。米国特許第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号は全て関連しており、フルオロオレフィンの重合、並びにフルオロオレフィンと非フルオロオレフィンとの組み合わせについて教示している。この反応もまた、レドックス開始剤系を用いて、反応器内の水中で実施される。
【0021】
本開示によれば、フッ素含有ポリマーの重合が完了した後、重合反応器内で水性媒体と共に存在するフッ素含有ポリマー粒子と発光剤を混合することにより、発光組成物を製造することができ、又は、別の容器内のポリマー重合プロセスの完了後の任意の時間に、フッ素含有ポリマー粒子の水中混合液/分散液に発光剤を添加してもよく、この容器は、発光剤/ポリマー混合物の調製、貯蔵、及び適用に使用され得る。この点に関して、米国特許第5,453,477号、同第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号のそれぞれは、重合反応のために反応器に投入する水の量が重要ではなく、一般に容器の内容積に正比例することを教示している。例えば、米国特許第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号は、1ガロン(3.8リットル)の反応器において、約1リットル~約3リットルの水を使用できることを教示している。これは、一般に本開示によるものと同様の場合である。しかしながら、水の量は、一般に、本開示の発光組成物を形成するために使用される発光剤の量を決定する。この点に関し、本開示の発光組成物において、フッ素含有ポリマー粒子は、フッ素含有ポリマー粒子、発光剤、液体媒体、及びその他任意の添加剤全ての合計重量に基づいて、組成物の約1重量%~約80重量%、より好ましくは約1重量%~約50重量%、最も好ましくは液体(湿潤)発光組成物の約1%~20%、最も好ましくは1重量%~約5重量%を構成する。かかるフッ素含有ポリマー粒子はまた、好ましくは、上記で特定した米国特許の方法以外の方法によって製造される場合であっても、約0.01μm~約1.0μmの範囲の平均粒径を有することが好ましい。任意の添加剤が組み込まれる場合、好ましくは、フッ素含有ポリマー粒子、発光剤、液体媒体、及びその他任意の添加剤全ての合計重量に基づいて、約10重量%以下の濃度で湿潤発光組成物内に組み込まれる。任意の添加剤の例としては、非排他的に、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤、レオロジー変性剤、他の着色剤、及び他の性能向上剤が挙げられる。
【0022】
発光剤は、所望の発光効果の乾燥発光組成物を得るのに好適な濃度で組み込まれる。乾燥発光組成物中の発光物質の最小濃度は、フッ素含有ポリマー、発光剤、液体媒体、及び任意の添加剤全ての重量に基づいて、好ましくは少なくとも約0.05重量パーセント、より好ましくは少なくとも約0.10重量パーセント、更により好ましくは約0.50重量パーセントである。反対に、1種以上の発光剤の最大濃度は用途によって定められ、達成する必要がある物品の物理的特性、例えば、製造の容易さ、コストの考慮などによって決定される。典型的には、乾燥発光組成物中の発光剤の最大濃度は、約85重量%、より好ましくは約50重量%、更により好ましくは0.05重量%~約40.0重量%、及び0.1重量%~約40.0重量%、又は約15.0重量%~約40.0重量%である。更により好ましくは、乾燥組成物中の発光剤の濃度は、約25重量%未満、更により好ましくは約20重量%未満であり、より好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、又は約0.1重量%~約2.5重量%、又は約2.5重量%~約10重量%の範囲である。最も典型的な乾燥発光組成物では、乾燥組成物中の発光剤は、フッ素含有ポリマー、発光剤、及び任意の添加剤全ての重量に基づいて、約10重量%以下を構成するであろう。
【0023】
乾燥発光組成物中のこのような発光剤濃度を達成するために、1種以上の発光剤は、フッ素含有ポリマー粒子、発光剤、液体媒体、及び任意のその他添加剤全ての組み合わせ重量に基づいて、好ましくは液体(湿潤)発光組成物の約0.005重量%~約30重量%、より好ましくは約0.005重量%~約20重量%、より好ましくは約0.005重量%~約10重量%、更により好ましくは約0.005重量%~約5重量%、更により好ましくは約0.005重量%~約5重量%、更により好ましくは約0.005重量%~約1.0重量%、最も好ましくは約0.005重量%~約0.5重量%を構成する。有用な範囲の下端において、発光剤濃度は、フッ素含有ポリマー粒子、発光剤、液体媒体、及び任意のその他添加剤全ての合計重量に基づいて、湿潤組成物の0.005重量%~0.06重量%、0.06重量%~0.4重量%、又は0.4重量%~1.0重量%を構成し得る。一般に、乾燥発光組成物中の発光剤の濃度は、湿潤発光組成物中の発光剤の濃度の約2倍であるが、液体媒体の蒸発/除去後に、乾燥組成物全体の50重量%を超える量で存在しないことが好ましい。換言すれば、乾燥組成物中の発光剤は、好ましくは、フッ素含有ポリマー粒子、発光剤、及び任意のその他添加剤全ての合計重量に基づいて、液体(湿潤)発光組成物の約1.0重量%~約50重量%、より好ましくは約1.0重量%~約40重量%、より好ましくは約1.0重量%~約20重量%、更により好ましくは約1.0~約10重量%を構成するが、最も好ましくは乾燥発光組成物の約1.0重量%~約5重量%を構成する。しかしながら、>0重量%~1.0重量%、及び50重量%を超える量などの他の量もまた、製造業者の用途及び利益に応じて有用であり得る。更に、これらの実施形態の全てにおいて、乾燥組成物の残部がフッ素含有ポリマーのみからなり、追加の添加剤を含まないことが最も好ましい。
【0024】
米国特許第5,453,477号、同第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号のそれぞれに教示されているように、説明されるフルオロポリマー重合反応は、反応器内容物を混合するための機械的撹拌器/スターラーを備え、一般的な入口及び出口ポートを有する加圧可能なステンレス鋼反応器内で実施される。機械的スターラーは、それぞれ4枚のブレードを2組装着した回転可能なシャフトを備え、各組のブレードは、シャフトに対して約45°の角度に設定された平坦なパドルブレードとして一般に説明され得る。2組のブレードは、約6インチの近接離間距離でシャフト上に配置され、更に、1組のブレードのそれぞれの角度の方向は、好ましくは、別の組のブレードの方向とは反対の方向である。シャフトの別の端部は、シャフトを回転させるために使用される電気モータに固定される。この種の構成を有する容器は、容器内容物の効果的な混合を達成するため、本開示の湿潤発光組成物の成分を混合するのに最も好ましい。しかしながら、これに限定することを意図するものではなく、スターラーを含まない容器、又は異なる種類のスターラーもまた、本明細書に記載の発光組成物の成分を好適に混合するのに有用である。
【0025】
フッ素含有ポリマー粒子、1種以上の発光剤、及び任意のその他任意の添加剤は、好ましくは、フッ素含有ポリマー粒子が液体媒体内に均一に分散するまで、液体媒体内で十分に混合される。発光剤が液体媒体中に可溶性である場合、その剤が液体媒体中に完全に溶解するまで混合を継続することが好ましい。発光剤が液体媒体中に不溶性である(それにより発光剤も粒子状形態である)場合、その剤が、フッ素含有ポリマー粒子と共に媒体内に均一に分散するまで混合を継続することが好ましい。混合プロセスは、界面活性剤を用いて又は用いずに、ポリマー/発光剤粒子の凝析又は凝集を起こさずに行われ得る。
【0026】
米国特許第5,453,477号、同第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号のそれぞれの重合プロセスにおいて、液体媒体は、好ましくは精製され脱気された脱イオン水であり、この液体媒体は本明細書においても最も好ましく、上記のように、重合プロセスが完了した後に、1種以上の発光剤を、反応器内のフッ素含有ポリマー粒子と混合してよい。しかしながら、成分を混合し、反応器内で発光組成物を形成することは必須ではなく、新たに供給された水(好ましくは、新たに供給された精製脱気済み脱イオン水)を用い、別の容器内でフルオロポリマー粒子及び発光剤と混合してもよく、又は、極性溶媒及び非極性溶媒を含む任意の他の適切な溶媒/液体媒体を使用してもよい。好適な溶媒としては、非排他的に、アルコール、エステル、ケトン、ハロゲン含有有機溶媒及び炭化水素溶媒が挙げられ、発光剤及び液体媒体は、発光組成物の形成に一般的な混合又はブレンド技術を使用して組み合わされてもよい。
【0027】
米国特許第5,453,477号、同第5,955,556号、同第6,255,384号、及び同第6,365,684号に記載されるように、重合が完了し、水性粒子状フッ素分散液が生成された後、水性懸濁液の蒸発、凍結乾燥などの任意の従来の手段、又は、任意の他の手段、例えば少量の凝集剤若しくは凝析剤を任意に添加した後の濾過若しくは遠心分離によって、水性媒体を除去する。したがって、残った粒子状フルオロポリマーをその後に、1種以上の発光剤、液体媒体(例えば、新たに供給した精製脱気済み脱イオン水)、及び所望され得る任意の添加剤全てと、任意の好適な液体媒体/溶媒を含む任意の好適な反応器内で混合してもよい。
【0028】
本開示の最も好ましい実施形態では、液体媒体は、精製脱気済み脱イオン水であり、発光剤は水溶性で、水性媒体に溶解することによって、粒子状フッ素含有ポリマーの分散媒体として機能する発光溶液を含む湿潤液体発光組成物を生成する。かかる組成物において、フッ素含有ポリマー粒子が、組成物の約1重量%~約80重量%を構成し、1種以上の発光剤が、湿潤液体組成物の約0.5重量%~約30重量%を構成することが最も好ましい。あるいは、発光剤は液体媒体中に不溶性であってもよく、フッ素含有ポリマー粒子のように粒子状であり、液体媒体中に分散されてもよい。
【0029】
発光組成物が得られると、組成物を任意の結合剤又は他のキャリアと更に混合する必要なく適用される、様々な用途において利用され得る。このような結合剤/キャリアは短UV波及び長UV波の伝達を干渉することが多いため、この結合剤又はキャリアを除外する性能により、従来技術と比較して、UV線、特に短波長UV線を照射したと、改善された色強度を達成する。
【0030】
一実施形態では、発光組成物は、基材の表面上に液体として印刷、コーティング、ないしは別の方法で適用され得る。一般に、組成物は、限定することなく、任意の種類の基材上に塗布できる。好ましい用途の1つでは、これはポリマー基材に適用され、この基材は、好ましくは、約10%以上の量の200nm~400nmの範囲の紫外線を透過する、より好ましくは、約10%以上の量の200nm~300nmの範囲の紫外線を透過する、ポリマーフィルムである。より好ましくは、ポリマーフィルム基材は、約70%以上の量、更により好ましくは約80%以上の量、更により好ましくは約90%以上の量の200nm~300nmの波長範囲の紫外線を透過し、最も好ましくは、約99%以上の量のかかる短波長紫外線を透過する。好適な基材はまた、又は代替的に、約70%以上の量、約80%以上の量、約90%以上の量、又は約99%以上の量の300nm~400nmの波長範囲の紫外線を透過し得る。
【0031】
本開示の好ましい実施形態では、基材はフルオロポリマーフィルムを含む。好ましいフルオロポリマーとしては、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第4,510,301号、同第4,544,721号、及び同第5,139,878号に記載されている、ホモポリマー、コポリマー、及びこれらのブレンドが挙げられる。これらのうち、特に好ましいフルオロポリマーとしては、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマー及びコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、フッ素化エチレン-プロピレンコポリマー、ペルフルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、並びにこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。本明細書で使用するとき、コポリマーは、2つ以上のモノマー成分を有するポリマーを含む。最も好ましいのは、クロロトリフルオロエチレンホモポリマー又はクロロトリフルオロエチレン含有コポリマーである。このようなものは、Honeywell International Inc.からACLON(登録商標)樹脂として入手可能であり、Honeywell International Inc.からACLAR(登録商標)フィルムとしても入手可能である。ACLAR(登録商標)PCTFEフルオロポリマーフィルムは、清浄な熱成形フィルムに優れた水分バリア性を提供する、極めて透明な化学的安定で生化学的不活性なフィルムである。これらは可塑剤及び安定剤を含まず、他の透明なブリスター包装フィルムの最大10倍の水分バリア性を提供する。ACLAR(登録商標)PCTFEフルオロポリマーフィルムはまた、帯電防止性と優れた電気特性を示し、積層及び金属化することができ、ブリスター包装及び他のヘルスケア包装用として製薬会社に好まれている。
【0032】
基材上にコーティングを施す技術としては、当該技術分野において周知であり、従来のコード手段を用いる、例えばディップコーティング、メニスカスコーティング、ローラーコーティング、ドクターブレードコーティング、スプレーなどの従来の方法が挙げられる。例えば、液体(湿潤)発光組成物は、スプレー、ローラー、ナイフ、カーテン、若しくはグラビアコーターなどの従来の手段、又は、ストリーク若しくは他の欠陥を伴わずに均一なコーティングの塗布を可能にする任意の他の方法を使用して、基材上に流し込むことによって基材に追加されてもよい。スプレー及びローラーによる塗布は、最も便利な塗布方法である。次いで、液体媒体を蒸発/乾燥させ、発光剤及び粒子状ポリマーのみを残す。乾燥は、受動的な手段、例えば周囲温度で液体を空気乾燥させることにより、又は能動的に、乾燥プロセスを加速させるためにオーブン内で加熱することによって達成され得る。乾燥温度は、好ましくは約20℃~25℃(周囲室温)から約200℃の範囲である。オーブン乾燥の方法は、従来、当該技術分野において既知である。
【0033】
発光剤及び粒子状ポリマーを含む流し込んだ組成物は、約12マイクロメートル~約250マイクロメートル、好ましくは約30マイクロメートル~約130マイクロメートルの好ましい乾燥コーティング厚さを有する。固体した組成物を乾燥させて液体媒体を除去した後、塗布されたコーティング中の成分、すなわち、フッ素含有ポリマー粒子、並びに染料及び/又は顔料が、基材上で乾燥フィルム又はコーティング(すなわち、乾燥発光組成物)として合着する。好ましくは、コーティングは、フッ素含有ポリマー粒子を溶解し、基材上にコーティング(連続的で均一なコーティングであり得る)を形成することによって、熱的に合着される。この点において、ポリマーの融点、流し込んだ分散液及び基材フィルムの厚さ、並びに他の操作条件に応じて、コーティングを約150℃~約250℃の温度に加熱することによって、フッ素含有ポリマー粒子を熱的に合着できる。あるいは、使用される液体媒体の種類に応じて、液体媒体を除去/乾燥する前に、フッ素含有ポリマー粒子を互いに、かつ発光剤と共に合着させることが可能であり得る。合着したポリマー粒子から形成されるコーティングは、最も好ましくは連続フィルムの形態である。
【0034】
あるいは、発光組成物は、追加のセキュリティ特徴として、パターン又はパターン化されたしるしの形態で適用されてもよい。このようなパターンは、印刷された単語及び画像を含む。この実施形態では、分散したフッ素含有ポリマー粒子を組み込んだ液体組成物がパターン化されたしるしの形態で基材に塗布される場合、ポリマー粒子の合着は、印刷された数字、文字、及び/又は記号の形態の連続的なしるしを達成するであろう。あるいは、液体媒体の乾燥/除去後に、発光組成物は任意に乾燥形態で適用されてもよいが、湿潤液体組成物を適用することが最も好ましい。
【0035】
これまで、本開示のプロセスは、約10%以上の量の200nm~300nmの範囲の紫外線と透過する基材上に、発光組成物を適用することについて説明してきたが、発光組成物がまず基材上に適用され、続いて、発光組成物が基材と保護受容層との間に位置付けられるように、基材上に保護層を取り付けることができることもまた、本開示の範囲内であることを理解されたい。この受容層は多くの目的を果たすことができるが、一般に、タガント(発光剤)を隔離し、発光組成物と消費者製品との接触を防止するバリアとして機能する。したがって、受容層は、発光組成物が基材と受容層との間に配置されるように、基材に取り付けられることが好ましい。受容層が組み込まれる場合、基材及び受容層は、周知の積層技術、又は発光組成物を2つの層の中間に配置することを可能にする他の従来の方法によって互いに取り付けることができる。
【0036】
多層構造全体の透明性が、200nm~300nmの範囲の紫外線、及び/又は可視発光応答をもたらす300nm~400nmの範囲の紫外線によって、発光組成物を照射するのに十分である限り、複数の受容層が基材及び互いに取り付けられ得ることは、本開示の範囲内である。しかし、受容層が、200nm~300nmの範囲の紫外線、及び/又は300nm~400nmの範囲の紫外線を透過することを必要としない。
【0037】
好適な受容層としては、非排他的に、ポリエチレン及び環状オレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリアミド、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリイソプレン、ポリウレタン、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸コポリマー、フルオロポリマー、ポリアクリル、ポリアルコール、ポリエーテル、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリスルフィド、セルロース及びポリビニル誘導体、並びに前述の材料のブレンドから形成されるものが挙げられる。好適な受容層としては、当該技術分野において既知であるように、金属箔、例えばアルミニウム箔、又は紙若しくは厚紙などの非ポリマー層も含み、この点で、発光剤は、基材、例えばACLAR(登録商標)のみが透過する光によって活性化される。また、本開示の物品は、物品構造の一方の側面のみを介し、少なくとも1つのタガントを用いて可視光に曝露することによって可視又は他の識別を可能にする材料で構成されてもよく、その一方で、構造体の別の側面又は両側面を介し、1つ以上の追加のタガントを用いて可視又は他の識別を可能にする材料で構築されてもよい。この特別な特徴は、本開示のフィルムに更なるセキュリティを追加する。例えば、受容層は、当該技術分野において周知であるように、薬物含有ブリスターパック構造のプラスチック積層体と箔構造体を融合させるために典型的に使用される、熱封止剤との適合性を提供するポリ塩化ビニル(PVC)を含んでもよい。
【0038】
基材、任意の受容層、及び発光組成物コーティングのそれぞれは、異なる厚さを有してもよいが、それぞれの厚さは、好ましくは約1μm~約500μm、より好ましくは約3μm~約375μm、最も好ましくは約50μm~約250μmである。かかる厚さが好ましいものの、特定の必要性を満たすように他のフィルム厚さのものが製造されてもよいが、本開示の範囲内にあることが理解される。ポリマー基材及び任意のポリマー受容体層、又はこれらの組み合わせのそれぞれは、一軸配向又は二軸配向であってもよい。例えば、基材は、少なくとも1つの方向、すなわちその長手方向、その横断方向において一軸配向で、又は長手方向及び横断方向のそれぞれにおいて二軸配向で、1.5:1~5:1の延伸比に配向されてもよい。本開示の目的において、延伸比という用語は、延伸方向における寸法の増加の指標である。基材及び受容層は、互いに取り付けられた後に同時に二軸配向されてもよい。二軸配向は、透明性、強度、及び強靱性特性において劇的な改善をもたらすことが見出されている。
【0039】
発光組成物は、医薬製品を包装するために使用されるブリスター包装などのセキュリティ特徴を有する成形包装物品の形成に特に有用である。これらはまた、パスポート及び積層されたIDカード、通貨及び紙幣、有価証券、株式及び債券、運転免許証などの免許証、学位証書、クレジットカード、デビットカード、セキュリティIDカード、現金自動預払機(ATM)又は銀行用アクセスカード、並びに偽造防止又はその他セキュリティ若しくは情報特徴が望ましい、他の重要な文書又は成形物品及び容器など、ラベル及び身元確認資料を含む他の物品の製造にも有用である。任意の実施形態では、発光組成物の配置は、物品の表面上に直接適用されるか、又は物品に/物品上に適用される基材/フィルム上に適用されるかにかかわらず、当業者によって容易に決定されるであろう。したがって、本明細書に記載される「基材」は、非高分子フィルム表面、例えば、箔、金属、紙、及び布地などの他の繊維系基材、並びに、任意のポリマーフィルム層、例えば、非限定的に、不透明及び透明ポリマーフィルムの両方などを含む、発光組成物が適用され得る任意の表面を意味すると広く解釈され、基材はフィルム又は層の形態である必要はないと理解されるべきである。
【0040】
加えて、保護フィルム又はコーティングによって被覆される基材上に適用される組成物についても必須ではなく、そのため、特定の範囲の活性化放射線に対する基材の透過性は関連しない。特定の範囲の活性化放射線に対する基材(及び/又は保護層及び/又は受容層)の透過性は、発光組成物がその基材を通過する(及び/又は保護層を通過する及び/又は受容層を通過する)場合にのみ関連する。
【0041】
セキュリティ物品内の発光組成物又はタガントの存在又は不在は、人工的に製造された活性化剤及び検出器、並びに/又は、人工的に製造された活性化剤及び活性化による影響の目視観察による自然検出法を含む、適切な活性化及び検出システムによって決定される。上記のように調製された構造の同一性は、各発光剤タガントの最適な励起波長によって決定される照射波長を選択し、その構造への照射時に放出された蛍光及び/又はリン光の存在及び色を積層体のそれぞれの側面において交互に観察することにより確認することができる。例えば、典型的な実験室用UVランプは、短波長、中波長、及び長波長UV、例えば、それぞれ254、302及び365ナノメートルで放出するように設定できる。例えば、LUMILUX(登録商標)CD380タガントを組み込んだ物品を254nmの放射線に曝露すると、LUMILUX(登録商標)CD380タガントは、可視発光赤色光を放出するように活性化される。365nmの光への曝露により、LUMILUX(登録商標)CD797又はCD997タガントは、蛍光黄色光を放出するように活性化される。約980nmを放出する近赤外線手持ち式レーザーに曝露すると、LUMILUX(登録商標)UC-2タガントは、発光緑色光を放出するように活性化される。タガント化合物の検出法及び検出デバイスは既知であり、例えば、米国特許第5,719,948号、同第5,714,291号、同第5,666,417号、同第5,605,738号、同第5,574,790号、同第5,548,106号、同第5,418,855号、同第5,414,258号、同第4,642,526号、同第4,146,792号、同第3,164,603号、同第3,162,642号、及び同第3,066,105号に記載されており、本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる。本開示の目的において、適切な検出器は、少なくとも、電磁スペクトルの200~300nm範囲の短波長紫外線を本開示の発光剤に適用することができるものである。
【0042】
使用時には、上記のように、層の間に配置された発光組成物を有する基材層及び受容層を含む多層フィルムなどの物品を形成する。物品は、例えば、200nm~300nmの範囲(又は一般に200nm~400nmの範囲内の任意の波長)の紫外線を、発光組成物上に適用することによって、認証性について試験される。次いで、かかる紫外線の適用の結果、発光応答が判定される。この得られた発光応答は、その後、認証性が既知である物品の標準的(例えば対照)又は既知の発光応答と比較することができる。典型的には、これは、観察者のみによって、又は器具の補助によって視覚的に実施される。認証された物品は、既知のしるしのパターンで、若しくは物品の既知の部分に印刷された発光組成物を有してよく、又は、特定のスペクトル応答を有する発光組成物を使用してもよい。物品は、期待される応答が観察されると認証され、期待される応答が観察されない場合は不合格となる。
【0043】
本開示の構造はまた、複数の異なる種類のタガント、例えば、好ましくはそれぞれが明確に異なる波長において、200nm~300nmの範囲の紫外線によって活性化され、特殊な検出装置を必要とする非可視波長を含む、様々な可視波長において潜在的に発光応答を放出する、蛍光及びリン光タガントの組み合わせを含んでもよい。この点において、セキュリティ特性が所望される特定の最終用途又は物品に応じて、蛍光剤とリン光剤との混合物を使用することが望ましい場合があり、又は蛍光剤の混合物若しくはリン光剤の混合物を使用することが望ましい場合がある。
【0044】
典型的には、発光効果(すなわち、発光)は、その発光の波長又は色領域だけでなく、減衰時間、半減期、又は減衰時定数τとして特徴付けられる、その間に発光が観察され得る励起源の除去後の時間でも説明することができる。続いて、これらの減衰時間はまた、いくつかの時間領域に細分化することができ、すなわち、真の蛍光減衰時間は、典型的にはナノ~ピコ秒の時間領域であり、したがって、励起源が存在する時間中にのみ、人間の目及び多くの検出デバイスによって容易に観察可能である。これらの蛍光物質は、通常、分子有機染料及び顔料である。リン光性材料は、典型的には、結晶性無機材料、又は、有機分子マトリックス中の金属若しくはランタニドイオンのキレート化錯体である。ミリ秒時間領域の減衰時間を有する蛍光物質は、陰極線管用途で使用されることがあり、検出機器(参照される検出装置の特許を参照されたい)を用いて減衰時間をより容易に特徴付けられるが、人間の目では容易に観察されない。このような装置による時間減衰特性もまた、波長の特徴と共に認証目的のために使用されてもよい。1秒~数秒の間隔の減衰時間を有する蛍光物質の発光減衰は、人間の目によっても観察することができ、適切な器具によって特徴付けることもでき、また、認証目的のために使用されてもよい。例えば、Honeywell International Inc.により同一所有されており、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,250,183号を参照されたい。したがって、リン光効果は、活性化光エネルギーが終了した後の時間に観察可能である効果であり、そのような効果を本明細書では「残光」と称する。「長い残光」効果は、約10分超~約200分以上、例えば、約15分~約120分、又は約15分~約60分であり得る。
【0045】
上述したように、本開示の結合剤を含まない発光組成物は、このような結合剤は短UV波及び長UV波の伝達を干渉することが多いため、従来技術と比較して、UV線照射時に著しく改善された色強度を達成する。組成物が、医薬製品の包装に使用されるブリスター包装などの包装物品内のタガントとして使用されるか、又は、パスポート、IDカード、通貨及び紙幣、株式、証券、免許証、クレジットカードなどのラベル及び文書に使用されるかに関わらず、組成物は、再現が実質的に不可能であり、広範な産業において著しい有用性を提供する。
【0046】
以下の実施例は、好ましい実施形態の説明に役立つ。
【実施例】
【0047】
PCTFE対Flexographic Ink(「Flexo Ink」)の水性分散液中のコーティングされた発光材料の性能の評価。
【0048】
I.水性蛍光性PCTFE及びFlexo Ink分散液、並びにコーティングしたサンプルの調製
フルオロポリマー(CTFE-VF2コポリマー、Aclon(登録商標)400シリーズ水中分散液、本明細書では、Honeywell International Inc.の商標である「Milk」とも称する)を、47%ポリマー固体を有する分散液として調製した。このコポリマーは、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及び1,1-ジフルオロエチレン(VF2;フッ化ビニリデン;VDF)の2種類の主成分を有していた。ポリマー固体は、84重量%のCTFE及び16重量%のVF2を含んでいた。これらの水性ポリマー分散液の典型的な調製についての詳細な説明は、それぞれが本明細書と一致する範囲で参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,365,684(B1)号及び同第6,369,178(B1)号に記載の実施例にある。
【0049】
次いで、得られた微細分散ポリマー(Milk(商標))を使用して、比較試験のために基材上にRDS#06巻線型コーティングロッドを使用してコーティングを調製した。そのままの状態の分散したMilk(商標)ポリマーを、6ミルのPCTFE(Aclar(登録商標))フィルム上にコーティングすることによって第1のサンプルを調製し、そのままの状態のChromatic Technologies,Inc.のDynacolor(商標)Thermochromic Water Based Flexo Colorless Ink(「Flexo Ink」)を、別の6ミルのPCTFE(Aclar(登録商標))フィルム上にコーティングすることによって第2のサンプルを調製した。次いで、それぞれのコーティングしたフィルムを、光透過率%についてUV/可視分光計で試験した。6ミルのAclar(登録商標)フィルム上にコーティングされたMilk(商標)分散液が、特に約250nm~300nmの短波長UV領域において、フィルム自体の透過性と同様の透過性を有したことを示す結果を、
図1に示す。コーティングされたFlexo Inkサンプルは、この領域において透過性がはるかに低かった。
【0050】
蛍光Milk(商標)及び蛍光Flexo Inkのサンプルは、1部のLumilux(登録商標)Red CD 380(セキュリティコード用の希土類錯体である発光顔料、短UV線のみ(280nmの励起極大、300nm超の励起はごくわずか)で励起される)を、19部のMilk(サンプル1)又は19部のFlexo Ink(サンプル2)と混合することによって調製した。得られた、5%CD380を含有する蛍光Milk及びFlexo Inkサンプルを使用して、6ミルのAclar(登録商標)の層(サンプル1A及び2A)、及び典型的に医薬用蓋のストックに使用される金属箔(この試験においては、Winpak Ltd.(WinniPEG,Canada)から市販されているDrug-Pak(登録商標)ブランドの箔)(サンプル1B及び2B)上のコーティングを調製した。全てのサンプルを2ロールミルで>10分間混合した。巻線型コーティングロッドであるRDS#06を使用して、Aclar(登録商標)基材上にサンプルをコーティングした。予想される湿潤フィルムの厚さは、15.2マイクロメートルであった。5%のタガント(CD380)量で、予想されるタガント塗布量は~0.76g/m2であった。コーティングしたサンプルを空気乾燥させ、表1にまとめる。コーティングの均一性は、全てのサンプルについて良好であった。乾燥したサンプルを、以下に記載の蛍光発光特性について試験した。
【0051】
【0052】
II.コーティングサンプルの蛍光発光の試験
CD380を含有するコーティングされたサンプルの蛍光発光を、サンプルを検出器から26インチ離して取り付けた、Konica Minolta CS-1000分光放射計と、サンプルから7インチ離しかつ45°で取り付けた、UVP 8W Model UVLMS-38の254nmのUV線源を使用して試験した。サンプル1A及び1Bを、6ミルのPCTFEフィルム上にコーティングした(白色の光学的に中立なLenetaカードストック上で試験した)。サンプル2A及び2Bを、Winpak Ltd.(Winnipeg,Canada)から市販されているDrug-Pak(登録商標)ブランド箔などの典型的な蓋ストック用金属箔上にコーティングした。結果を表2に示す。
【0053】
【0054】
III.試験結果の要約
試験結果を
図1~
3のグラフにまとめる。
【0055】
(A)
図1(CD380を含まないサンプルのUV透過率)は、(1)コーティングを含まないAclar(登録商標)、(2)PCTFE分散液(Milk(商標))でコーティングされたAclar(登録商標)基材、及び(3)Flexo InkコーティングでコーティングされたAclar(登録商標)基材の光透過率の比較を示している。全てのサンプルは未希釈であり、すなわち、CD380着色剤を含まなかった。試験結果は、CD380着色剤の活性化に使用される254nm光の透過率が、Flexo Inkコーティングよりも、純粋なPCTFEのコーティングを通す方が~10倍大きいことを示した。
【0056】
(B)
図2(サンプルの蛍光発光の試験-励起及び発光スペクトル)及び
図3(サンプルの蛍光発光の試験-発光スペクトル)は、Aclar(登録商標)基材上のPCTFE分散液コーティングの蛍光発光が、Aclar(登録商標)基材上のFlexo Inkコーティングよりも~3倍明るく、金属箔上のFlexo Inkコーティングよりも~4倍明るいことを示す。
【0057】
結論:
Lumilux(登録商標)短波紫外(SWUV)活性化材料の分散液を使用して作製されたコーティングでは、標準的なフレキソインクよりもPCTFE(Milk(商標))において増強された発光利点がある。紙などの他の基材上のコーティングについても同様の結果が得られる。
【0058】
本開示は、特に、好ましい実施形態を参照しながら示され説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正が為され得ることは、当業者によって容易に理解されるであろう。特許請求の範囲は、開示の実施形態、上述されているそれらの代替物、及びそれらの全ての等価物を網羅するように解釈されることを意図する。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
a)液体媒体と、
b)前記液体媒体中に分散されたフッ素含有ポリマーの粒子と、
c)前記液体中の発光剤であって、活性化放射線の適用時に発光する、発光剤と、を含む、湿潤発光組成物。
[2]
前記発光剤が、発光顔料又は発光染料を含む、[1]に記載の湿潤発光組成物。
[3]
前記発光剤が、前記液体媒体に可溶性であり、前記液体媒体中に溶解されており、前記液体媒体が水を含む、[1]に記載の湿潤発光組成物。
[4]
前記発光剤が、前記液体媒体中に不溶性であり、前記液体媒体中に分散している、[1]に記載の湿潤発光組成物。
[5]
前記発光剤が、前記発光剤上に200nm~300nmの範囲の紫外線を適用すると発光する、[1]に記載の湿潤発光組成物。
[6]
前記発光剤が、前記組成物の約0.5%重量%~約30重量%を構成する、[1]に記載の湿潤発光組成物。
[7]
[1]に記載の湿潤発光組成物をその表面上に有する基材を含む、物品。
[8]
a)基材と、
b)前記基材の表面上の乾燥発光組成物であって、フッ素含有ポリマーと、発光剤と、を含み、前記発光剤が活性化放射線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、物品。
[9]
発光物品を形成するためのプロセスであって、
a)液体媒体のブレンドと、複数のフッ素含有ポリマーの粒子と、発光剤と、を含む、湿潤発光組成物を形成することであって、前記発光剤が、活性化放射線の適用時に発光し、前記フッ素含有ポリマー粒子が前記液体媒体中に分散されている、ことと、
b)前記湿潤発光組成物を基材の表面上に塗布することと、
c)前記液体媒体を蒸発させることにより、乾燥発光組成物を形成することと、任意選択的にその後に、
d)保護層を前記基材上に適用することであって、前記乾燥発光組成物が前記基材と前記保護層との間にある、ことと、を含み、前記基材及び前記保護層のうちの少なくとも一方が、約10%以上の量の200nm~300nmの範囲の紫外線を透過する、プロセス。
[10]
I)
a)基材と、
b)前記基材の表面上の乾燥発光組成物であって、フッ素含有ポリマーと、発光剤と、を含み、前記発光剤が紫外線の適用時に発光する、乾燥発光組成物と、を含む、物品を提供することと、
II)前記発光組成物に、200nm~400nmの範囲の紫外線を適用することと、
III)紫外線の適用による発光応答を判定することと、
IV)任意選択的に、工程III)で判定された前記発光応答を、予め選択した対照発光応答と比較することと、を含む、物品の認証方法。