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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】温度依存スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 37/04 20060101AFI20220816BHJP
   H01H 11/00 20060101ALI20220816BHJP
   H01H 37/54 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H01H37/04 B
H01H11/00 U
H01H37/54 C
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020191337
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2021086832
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10 2019 132 433.5
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520452378
【氏名又は名称】マルセル ピー.ホフゼース
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ピー.ホフゼース
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0127586(US,A1)
【文献】特開2004-087485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/04
H01H 11/00
H01H 37/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部(18)と下部(16)とを有するハウジング(12)を備え、前記カバー部(18)と前記下部(16)との間に絶縁箔(22)が配置されており、
前記ハウジング(12)の外側に設けられた第1の外側接触面(48)と、前記ハウジング(12)の外側に設けられた第2の外側接触面(50)と、を備え、
前記ハウジング(12)内に配置され、その温度に応じて、前記第1の外側接触面(48)と前記第2の外側接触面(50)との間に導電性の接続を設け、または開放する温度依存スイッチング機構(14)を備え、
前記絶縁箔(22)は、一部のみが、封止剤(26)で被覆または印刷されており、前記封止剤(26)は、前記ハウジング(12)を封止するために、封止領域(29)において、前記カバー部(18)および/または前記下部(16)に接触しており、前記封止剤(26)は、前記絶縁箔(22)上に、閉じた外形(31)を形成する、温度依存スイッチ。
【請求項2】
前記封止剤(26)は、プラスチックまたはワックスを含む、請求項1に記載の温度依存スイッチ。
【請求項3】
前記封止剤(26)は、熱可塑性物質、熱硬化性物質またはエラストマを含む、請求項1または2に記載の温度依存スイッチ。
【請求項4】
前記封止剤(26)は、前記ハウジング(12)内に配置された後に、加熱により遡及的に活性化されるよう構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項5】
前記絶縁箔(22)は、ポリイミドまたは芳香族ポリイミドを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項6】
前記絶縁箔(22)は、前記封止剤によって包囲される、中央に配置された孔(33)を含む、請求項5に記載の温度依存スイッチ。
【請求項7】
前記絶縁箔(22)は、前記カバー部(18)に面する、当該絶縁箔(22)の上側(27)あるか、または、前記下部(16)に面する、当該絶縁箔(22)の下側(51)にある前記封止剤(26)で、被覆または印刷されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項8】
前記絶縁箔(22)は、前記ハウジング(12)の前記カバー部(18)に面する、当該絶縁箔(22)の上側(27)にある前記封止剤(26)で、被覆または印刷されており、周方向に閉じた切断バリ(52)が、前記ハウジング(12)の前記下部(16)に設けられており、前記切断バリ(52)は、前記上側(27)の反対側の、前記絶縁箔(22)の下側(51)内へと貫通している、請求項1~6のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項9】
前記絶縁箔(22)は、前記ハウジング(12)の前記下部(16)に面する、当該絶縁箔(22)の下側(51)にある前記封止剤(26)で、被覆または印刷されており、周方向に閉じた切断バリ(52)が、前記ハウジング(12)の前記カバー部(18)に設けられており、前記切断バリ(52)は、前記下側(51)の反対側の、前記絶縁箔(22)の上側(27)内へと貫通している、請求項1~6のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項10】
前記絶縁箔(22)は、前記封止剤(26、26’)を、前記ハウジング(12)の前記カバー部(18)に面する、当該絶縁箔(22)の上側(27)と、前記ハウジング(12)の前記下部(16)に面する、当該絶縁箔(22)の下側(51)との両方に、被覆または印刷されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項11】
前記ハウジング(12)の前記カバー部(18)の縁が、前記封止領域(29)において、前記ハウジング(12)の前記下部(16)に対して、互いの間に前記絶縁箔(22)を介在させた状態で、押圧し、または押圧される、請求項1~10のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項12】
前記下部(16)は周方向の壁を備えており、前記壁の上側区分(20)が前記カバー部(18)と重なっており、周方向のショルダ(24)が前記下部(16)に設けられており、前記カバー部(18)は、前記ショルダと当該カバー部(18)との間に前記絶縁箔(22)を介在させた状態で前記ショルダに載っており、前記下部(16)の上側区分(20)は、前記カバー部(18)を前記周方向のショルダ(24)へと押圧しており、前記封止領域は、前記周方向のショルダ(24)上、および/または、前記周方向のショルダ(24)に面する、前記カバー部(18)の下縁上に配置されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項13】
前記スイッチング機構(14)は、前記下部(16)に面する、前記カバー部(18)の下側(25)に配置され、かつ、前記第1の外側接触面(48)と相互作用する相手方固定コンタクト(46)に対して相互作用する可動接触部(40)を担っている、請求項1~12のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項14】
前記スイッチング機構(14)は、バイメタル部(30)を備えている、請求項1~13のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項15】
前記スイッチング機構(14)は、スナップ作用式ディスクばね(28)を備えている、請求項1~14のいずれか1項に記載の温度依存スイッチ。
【請求項16】
温度依存スイッチ(10)を製造する方法であって、
ハウジング(12)の下部(16)を設けるステップと、
ハウジング(12)のカバー部(18)を設けるステップと、
温度依存スイッチング機構(14)であって、前記スイッチ(10)が取り付けられた状態で、その温度に応じて、前記ハウジング(12)の外側に設けられた第1の外側接触面(48)と、前記ハウジング(12)の外側に設けられた第2の外側接触面(50)との間に導電性の接続を設け、または開放する、温度依存スイッチング機構(14)を設けるステップと、
絶縁箔(22)を設けるステップと、
前記絶縁箔(22)上に封止剤(26)が閉じた外形(31)を形成するように、前記絶縁箔(22)の一部を、前記封止剤(26)で被覆または印刷するステップと、
前記ハウジング(12)を取り付けるステップであって、前記スイッチング機構(14)は前記ハウジング(12)内に配置され、且つ、前記下部(16)と当該カバー部との間に前記絶縁箔(22)を介在させた状態で、前記ハウジング(12)を封止するための前記封止剤(26)が、前記封止領域(29)において、前記カバー部(18)および/または前記下部(16)に接触するように、前記カバー部(18)は前記下部に取り付けられるステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記ハウジング(12)を取り付けた後に、前記スイッチ(10)は加熱されて、前記封止剤(26)を活性化する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー部と下部とを有するハウジングを備え、カバー部と下部との間に絶縁箔が配置されており、ハウジングの外側に設けられた第1の外側接触面と、ハウジングの外側に設けられた第2の外側接触面とを備え、ハウジング内に配置され、その温度に応じて、第1および第2の外側接触面の間に導電性の接続を設け、または開放する、温度依存スイッチング機構を備える、温度依存スイッチに関する。
【0002】
本発明はさらに、温度依存スイッチを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的なスイッチは、例えば下記特許文献1より公知である。
【0004】
公知の温度依存スイッチ(temperature-dependent switch)は、装置の温度を監視するために、それ自体公知の仕方で使用される。その目的のために、例えば、温度依存スイッチは、保護されるべき装置と、その外面を介して熱接触させられる。その結果、保護されるべき装置の温度が、スイッチング機構の温度に影響を与える。
【0005】
スイッチは通常、スイッチの応答温度(response temperature)未満のときに、保護されるべき装置への供給電流がスイッチを通って流れるよう、その二つの外側接触面にハンダ付けされた接続線により、保護されるべき装置の給電回路内で、電気的に直列に接続されている。
【0006】
公知のスイッチは、下部を備えており、下部の内部に周方向のショルダが設けられ、ショルダの上に、カバー部が直接、または絶縁箔を介在させて載っている。カバー部は、下部の周方向の隆起した壁であって、その上側区分が径方向内側に屈曲された壁を介して、この周方向のショルダに対して、しっかりと保持されている。
【0007】
下記特許文献1より公知のスイッチの温度依存スイッチング機構は、可動性の接触部を担うスナップアクション式ばねディスク(snap-action spring disc)と、可動性の接触部の上方に置かれるバイメタルスナップアクション式ばねディスク(bimetal snap-action spring disc)とを備えている。スナップアクション式ばねディスクは、カバー部の内部の固定式の相手方接点(counter contact)に対して、可動性の接触部を押圧する。スナップアクション式ばねディスクは、その縁により、ハウジングの下部で支持され、その結果、電流が、下部からスナップアクション式ばねディスクおよび可動性の接触部を通って、固定式の相手方接点へと、かつ、そこからカバー部へと流れる。
【0008】
下記特許文献1より公知のスイッチの設計変更例において、バイメタル部またはバイメタルスナップアクション式ディスクは、そのスイッチング温度未満のときにスイッチング機構内で力の働かない状態にあって、温度依存スイッチング機能用に設けられている。
【0009】
本発明の文脈において、バイメタル部またはバイメタルスナップアクション式ディスクは、異なる熱膨張係数を有する2つ、3つ、または4つの、不可分に結合された構成要素を有する、多層で能動的でシート状の構成要素を指している。金属または金属合金の個々の層の間の接合箇所は、材料結合され(materially bonded)、または、ぴったり合わせられており(form-fitted)、かつ、例えば、圧延により製作されている。
【0010】
このようなバイメタル部は、その低温位置において、第1の安定した幾何学形状を有しており、かつ、その高温位置において、第2の安定した幾何学形状を有しており、それらの位置の間で、バイメタル部は、ヒステリシス状に温度に応じて切り替わる。温度が、その応答温度より上に、または、その戻り温度(return temperature)より下に変化すると、バイメタル部は、他の幾何学形状へと急変(スナップ)する。ゆえに、バイメタル部は、しばしばスナップアクション式ディスク(snap-action disc)と呼ばれ、通常、上方から見たときに、長尺、楕円形または円形の形状を有している。
【0011】
通常バイメタルディスクとして設計されるバイメタル部の温度が、保護されるべき装置の温度が上昇した結果として、応答温度よりも上昇した場合、バイメタルディスクは、その低温形状から、その高温形状へとスナップする。それにより、バイメタルディスクは、可動性の接触部を固定式の相手方接点から引き上げるように、または、電流伝達部材を2つの固定式の相手方接点から引き上げるように、スナップアクション式ディスクばねに対して作用する。その結果、スイッチが開き、保護されるべき装置は、スイッチを切られて、もはや熱くならない。
【0012】
これらの設計において、バイメタルディスクは、その変移温度(transition temperature)未満で、機械的に力を働かせずに取り付けられているのが好ましく、その際、バイメタルディスクも、電流を担うために使用されない。これには、バイメタルディスクが、より長い機械的耐用年数を示し、かつ、バイメタルディスクの変移温度であるスイッチング点が、多数回のスイッチング操作後であっても変化しないという利点がある。
【0013】
機械的信頼性および/または応答温度の安定性に対する要求が低い場合、バイメタルディスクは、スナップアクション式ばねディスクの機能を、かつ、潜在的に電流伝達部材の機能をも引き受けることもできる。その結果、スイッチング機構は、可動性の接触部を担う1つのバイメタルディスクのみを備え、または、電流伝達部材の代わりに2つの接触面を備える。この場合、バイメタルディスクは、スイッチの閉鎖圧力を提供するだけでなく、スイッチが閉じた状態にあるときに通電する。
【0014】
ほとんどの温度依存スイッチでは、ハウジングが通常、封止によって、汚染物質の進入から保護されており、封止は、接続ツマミまたは接続ケーブルを外部の端子に結合する前に、または後に適用される。
【0015】
外部の端子を単一構成要素の熱硬化性プラスチックでモールドすることが、下記特許文献2より公知である。接続つまみをエポキシ樹脂で成形することが、さらに下記特許文献3より公知である。含浸ワニスまたは保護ワニスを、接続ケーブルまたは接続ツマミへのハンダ付け後のスイッチに塗布することも公知である。
【0016】
ワニス、樹脂または他の液体が、ハウジングの内部へと浸透するのを防止するために、下記特許文献4より公知のスイッチのカバー部に、カバー部の下側において径方向外側に延びる周方向のビード(bead)の形態の封止手段が設けられている。下部の周方向の壁の上側区分が屈曲されると、この周方向のビードは、絶縁箔を収縮させる。これにより、より良い封止が提供されるが、多くの場合、それにもかかわらず、ワニスは、ハウジングの内部に浸透してしまう。下部とカバー部との間にある絶縁箔は、下部の壁とカバー部との間で横方向に引き上げられ、その縁部分が、カバー部の上側へと、折り曲げられる。硬い絶縁箔は、折り曲げによって波打ち、ロゼット(rosette)を形成する。ロゼットは、それらに向かって平坦に押圧される、下部の周方向の壁の上側区分によって、確実に封止することができない。仕上げワニスが、ロゼットを介してスイッチ内部に浸透する可能性がある。下記特許文献4では、すでに言及したビードを通じて、この問題の低減を試みている。
【0017】
下記特許文献5には、下記特許文献4から原則として公知のスイッチが記載されている。このスイッチは、下部におけるショルダとカバー部との間にスペーサリングを備えており、スペーサリングは、可動性の接触部と固定式の相手方接点との間で、より大きな接触ギャップを許容する。下記特許文献4に記載されたスイッチから公知の封止問題を克服するために、このスイッチにおける絶縁箔の縁領域に、V字形状の切り込みが外側から設けられており、それにより、波打ちが大きく低減され、封止が向上される。
【0018】
下記特許文献6も、同様の設計のスイッチを記載している。このスイッチは、正温度係数材料(positive temperature coefficient material:PTC材料)のカバー部を備えている。このPTCカバーの耐圧縮性の低さにより、下部の周方向の壁の、径方向内側に屈曲された上側区分は、公知のスイッチにおいて、汚染物質の進入に対し、十分な封止を提供することができない。この理由で、周方向の壁の、屈曲された上側区分を、カバー部の上側に対してシリコンで封止しなければならず、これは、しばしば問題につながる。下記特許文献6は、カバー箔を設けて、この問題を解決している。カバー箔は、PTCカバーの上側にのみあって、カバー箔に対して屈曲されて平坦になる下部の周方向の壁の上側区分が貫通している。周方向の壁の上側区分の前側は、カバー箔の外方を向いている。しかし、下部の周方向の壁の上側区分は、平坦となっており、所望の封止を提供しないことがしばしばある。
【0019】
例えば下記特許文献5に記載されているように、スイッチには、カバー箔および絶縁箔も、設けられていてもよい。例えばノーメックス(登録商標)で形成された絶縁カバー箔が、このスイッチのカバー部の上側に配置されて、その縁とともに、例えばカプトン(登録商標)からなる絶縁箔まで、径方向外側に延びている。ノーメックス(登録商標)およびカプトン(登録商標)はそれぞれ、アラミド紙および芳香族ポリイミドからなっている。
【0020】
さまざまな封止手法にもかかわらず、下部の周方向の縁の上側区分が屈曲する結果、相対的に硬い絶縁箔が、永続的な封止を実現できないという事実に一部起因して、封止問題は、公知のスイッチで起こり続けている。
【0021】
冒頭で言及した下記特許文献1より公知のスイッチの場合、この封止問題を、下部におけるショルダと一体に形成された、周方向に閉じた切断バリにより解決しており、その際、この切断バリは、下方から(もし存在すれば)絶縁箔内へと、または、下方から直接カバー部内へと貫通している。この周方向に閉じた切断バリの、絶縁箔内またはカバー部内への貫通により、下部とカバー部との間で、安定した封止が実現される。
【0022】
切断バリは、下部の製造中に生成される。これは、下部におけるショルダと一体に形成される。この場合、下部は通常、反転部(turned part)として製造されており、その結果、切断バリは、下部の反転中に形成される反転溝(turning groove)とされている。
【0023】
しかし、十分な堅さを確保するために、この反転溝は非常に精密に製造しなければならない。精密に製造されるべきこの反転溝を含む下部の製造は、非常に複雑で、それゆえに製造コストを上昇させる。この解決手段のさらなる問題は、反転溝が、スイッチを取り付ける前に、しばしば損傷を受けることである。スイッチハウジングの個々の部品は通常、組み立てられる前にバルク材として保管されている。反転溝が鈍る、または、完全に擦り減ってしまいさえすることが容易に起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】独国特許第102015114248B4号明細書
【文献】独国特許出願公開第4139091A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009039948A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第19623570A1号明細書
【文献】独国特許第102013102089B4号明細書
【文献】独国特許第102013102006B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
以上に鑑みて、本発明の基底をなす目的は、構造的に単純かつ安価な仕方で、公知のスイッチに伴う上述した封止問題を除去する、または、少なくとも低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第1の局面によれば、この目的は、ハウジングの封止のために、封止領域においてカバー部および/または下部に接触する封止剤で、絶縁箔の一のみが被覆または印刷され、絶縁箔上に封止剤が閉じた外形を形成する、冒頭で言及したスイッチにより、実現される。
【0027】
本発明の第2の局面によれば、上記課題は、温度依存スイッチを製造するための方法であって、
ハウジングの下部を設けるステップと、
ハウジングのカバー部を設けるステップと、
温度依存スイッチング機構であって、前記スイッチが取り付けられた状態で、その温度に応じて、前記ハウジングの外側に設けられた第1の外側接触面と、前記ハウジングの外側に設けられた第2の外側接触面との間に導電性の接続を設け、または開放する、温度依存スイッチング機構を設けるステップと、
絶縁箔を設けるステップと、
前記絶縁箔上に封止剤が閉じた外形を形成するように、前記絶縁箔の一部を、前記封止剤で被覆または印刷するステップと、
前記ハウジングを取り付けるステップであって、スイッチング機構はハウジング内に配置され、且つ、前記下部と当該カバー部との間に前記絶縁箔を介在させた状態で、前記ハウジングを封止するための前記封止剤が、前記封止領域において、前記カバー部および/または前記下部に接触するように、カバー部は前記下部に取り付けられるステップとを含む、方法により解決される。
【0028】
本発明に係り、封止剤で絶縁箔を被覆または封止剤を絶縁箔に印刷することにより、ハウジングの内部の封止を、著しく向上することができる。この場合、絶縁箔は、ハウジングの下部からカバー部を電気的に絶縁するよう機能するだけではない。封止剤での絶縁箔の被覆により、絶縁箔は、高い機械的封止効果をも有する。これにより、塗料、樹脂または他の液体が、スイッチの製造中にハウジングの内部に入り込むおそれが、相当に低減される。
【0029】
絶縁箔に塗布される追加の封止剤により、深い細孔の(pore-deep)封止が保証される。封止剤なしでは、絶縁箔は、ポジティブロッキング嵌合(positive locking fit)、または、カバー部および下部と、それらの間に配置された絶縁箔との間に生じる接触圧によってのみ、公知のスイッチで、封止する。
【0030】
本発明に係る解決手段のさらなる利点は、スイッチのハウジングに封止剤を塗布するための扱いが、非常に簡単なことである。スイッチが取り付けられる前に封止剤がすでに絶縁箔に塗布されているという事実により、絶縁箔を通常通り、ハウジングのカバー部および下部の間に、容易に付けることができる。別体の封止剤を塗布するのに必要となるであろう追加の作業工程を削除することができる。封止が特に必要とされるカバー部と下部との間の位置は公知である。スイッチが取り付けられたときに、絶縁箔がカバー部と下部との間で締め付けられる位置も公知である。したがって、封止剤は、取り付け後に封止領域で所望されるようにハウジングのカバー部および/または下部を接触させるために絶縁箔が取り付けられる前にすでに、適切な位置で絶縁箔に塗布することができる。
【0031】
一般に、封止剤は、この封止領域において、絶縁箔の一部のみに塗布されるのが好ましい。しかし原則的に、絶縁箔全体を、封止剤で被覆または印刷することも考えられる。
【0032】
絶縁箔への封止剤の塗布に関し、ワニス塗り、吹き付け塗装、蒸着などの、さまざまの一般的な被覆方法を使用できる。先行技術より公知のさまざまな印刷技術も可能性がある。
【0033】
好ましい改良形態によれば、封止剤は、プラスチックまたはワックスで形成されている。
【0034】
安価に調達する選択肢があることに加えて、さまざまなプラスチックまたはワックスには、室温で相対的に粘性のある場合があって、その結果、絶縁箔がスイッチ内に設置されたときに溶融せず、そのため、望まない領域に流れ込まない、という利点がある。特に、ワックスは相対的に良好に絶縁箔に付着し、その結果、絶縁箔の設置中に封止剤が絶縁箔から分離するおそれが相対的に低くなっている。くわえて、ワックスは、異なる形状に非常に良好に適合する。これは、封止されるべき縁または隅に対して、特に利点がある。これは、ワックスが、絶縁箔とともに、カバー部および/または下部のそれぞれの形状に適合するからである。これにより、最適な封止効果が保証される。
【0035】
さらなる改良形態によれば、封止剤は、熱可塑性物質、熱硬化性物質またはエラストマで形成されている。
【0036】
さらには、封止剤は、加熱により遡及的に活性化され、かつ、ハウジング内への配置後に活性化された封止剤であるのが好ましい。したがって、本発明に係る方法では、スイッチは、ハウジングを取り付けた後に、加熱されて封止剤を活性化させるのが好ましい。
【0037】
このような、後からのスイッチの加熱により、例えば、封止剤の一部を、所望の位置に達してさらに良好に封止がなされるように、液化することができる。最初からすでに液体である封止剤と比較して、スイッチが取り付けられたときに加熱により後から活性化されるこのような封止剤は、扱いがずっと容易である。まさに最初から液体である封止剤は、絶縁箔の設置中に、望まない区域へと流れ込んで、汚染および/または他の取り付けの複雑化を引き起こす可能性がある。
【0038】
別の改良形態によれば、絶縁箔は、ポリイミドまたは芳香族ポリイミドを含む。好ましくは、絶縁箔は、ポリイミドまたは芳香族ポリアミドからなっている。
【0039】
温度依存スイッチにおける絶縁箔用のこのような材料の明白な適切性は、実用において、すでに何度も証明されている。通常、この種の用途のための絶縁箔は、カプトン(登録商標)またはノーメックス(登録商標)などの商標を持つ材料で形成されている。
【0040】
絶縁箔の厚みは、用途に応じて変化してもよい。厚みが比較的大きい場合、これはしばしば「絶縁ディスク」と呼ばれる。しかし、このような絶縁ディスクも本明細書においては、「絶縁箔」という用語に包含されている。
【0041】
さらなる改良形態によれば、封止剤は、絶縁箔上に、閉じた、好ましくは円形の外形を形成するのが好ましい。
【0042】
封止剤の閉じた外形には、封止効果を、絶縁箔に塗布された封止剤により、スイッチの全周に沿って生み出すことができるという利点がある。通常、このような熱応動スイッチは、回転対称のハウジングを有するスイッチとされており、その結果、ハウジングの全周に沿って封止効果が必要とされる。
【0043】
封止剤の外形は、ハウジングの形状に適合しているのが好ましい。ゆえに、封止剤は、絶縁箔に、必ずしも円形状に塗布される必要はなく、例えばハウジングも対応する形状を有している場合に、長円形または楕円形の領域において、絶縁箔に塗布することもできる。
【0044】
さらなる改良形態によれば、絶縁箔は、閉じた外形によって包囲される、中央に配置された孔を含む。
【0045】
好ましくは、封止剤は、中央の孔から距離を置いて配置されている。スイッチのスイッチング機構の一部が、絶縁箔の孔を介して突出して、スイッチのカバー部および下部の間に、導電性の接続を形成していてもよい。
【0046】
封止剤は、この孔に関して、径方向に間隔を空けられているのが好ましい。これは、その封止効果が、カバー部の縁の領域に配置された封止領域において特に必要とされるためである。なぜなら、絶縁箔はここで、特にこれらの位置で、折り畳まれ、または屈曲され、絶縁箔のある種のロゼット形成が起こる場合があり、これは、封止剤なしでは機械的な漏れにつながる場合があるからである。
【0047】
一改良形態によれば、絶縁箔は、カバー部に面するその上側、または、下部に面するその下側の、何れか一方の側が、封止剤で被覆または印刷されている。
【0048】
絶縁箔のこのような片側のみの被覆は、費用効果が高く、所望の封止効果に関してすでに十分な場合がある。これは、絶縁箔に塗布された封止剤に加えて、ハウジングの内部を封止するための他の装置がある場合に、特に当てはまる。
【0049】
一改良形態によれば、例えば、絶縁箔は、封止剤を、一方の側に、すなわち、カバー部に面するその上側に、被覆または印刷されており、周方向に閉じた切断バリが、下部に設けられており、この切断バリは、上側の反対側の、絶縁箔の下側内へと貫通している。
【0050】
このような切断バリは、例えば反転溝(turning groove)として設計されていてもよく、上記特許文献1より公知である。本発明に係る絶縁箔の封止剤被覆と組み合わせて、封止剤の反対側から絶縁箔内へと切り込むこのような切断バリは、ハウジングの内部の最適な封止を保証することができる。
【0051】
しかし、封止剤被覆と切断バリとの組み合わせを、本発明に係るスイッチで、逆の配置において使用することもできることは言うまでもない。例えば、絶縁箔は、封止剤を、一方の側に、すなわち、下部に面するその下側に、被覆または印刷されていて、周方向に閉じた切断バリが、カバー部に設けられていて、この切断バリは、下側の反対側の、絶縁箔の上側内へと貫通または切断していてもよい。
【0052】
さらなる改良形態によれば、絶縁箔は、封止剤を、両側に、すなわち、カバー部に面するその上側と、下部に面するその下側との両方に、被覆または印刷されている。
【0053】
これには、封止剤被覆と切断バリとを組み合わせた解決手段と比較して、特にコスト面での利点がある。封止剤を有する絶縁箔のこのような両面被覆は、非常に良好な封止を実現できることも、明らかとなっている。絶縁箔の上側に塗布された封止剤は、絶縁箔とハウジングのカバー部との間に封止を設ける。他方、絶縁箔の下側に塗布された封止剤は、絶縁箔とハウジングの下部との間に封止を設ける。これにより、絶縁箔の両側における適切な封止が保証される。
【0054】
好ましくは、カバー部の一方の縁が、封止領域における下部および絶縁箔の中間層を押圧する。
【0055】
すなわち、封止剤は、好ましくは、カバー部が下部を押圧する領域で、完全に組み立てられたスイッチ内に配置されるように、絶縁箔上に配置される。この圧力は通常、スイッチが組み立てられるときにカバー部が下部へと押圧される、閉鎖圧力である。この圧力は、封止剤の塑性変形をもたらす場合があり、それにより、封止剤の封止効果がさらに向上する。
【0056】
好ましくは、下部は周方向の壁を備えており、壁の上側区分がカバー部と重なっており、周方向のショルダが下部に設けられており、カバー部はこのショルダに、互いの間に絶縁箔を介在させた状態で載っており、下部の上側区分は、カバー部を周方向のショルダへと押圧しており、封止領域は、周方向のショルダ上、および/または、周方向のショルダに面する、カバー部の下縁上に配置されている。
【0057】
絶縁箔の最大の変形は、このショルダの領域で、または、カバー部の下側の径方向外側の縁の領域で生じる。とりわけこの領域において、ある種の皺および/またはロゼット形成が、絶縁箔に生じる場合があり、これは封止効果を相当に損なう場合がある。ゆえに、本発明に係る絶縁箔への封止剤被覆は、とりわけこの領域において、大きな利点につながる。なぜなら、封止剤は、この領域において、上記皺および/またはロゼット形成を相殺できるからであり、または、封止剤は、これらの皺またはロゼットにかかわらず、この封止領域の封止を提供することができるからである。
【0058】
スイッチング機構は、下部に面する、カバー部の下側に配置され、かつ、第1の外側接触面と相互作用する固定式の相手方接点に対して相互作用する、可動性の接触部を担っていることも好ましい。可動性の接触部は、スイッチング操作中に、スイッチング機構とともに移動する。スイッチング機構の低温位置において、可動性の接触部は、固定式の相手方接点に対して押圧される。ここで、電気回路がスイッチを介して閉じられる。スイッチング機構の低温位置において、可動性の接触部は、固定式の相手方接点から引き上げられる。ここで、電気回路は開かれる。この基本的な構成は、このような温度依存スイッチの多くの例から、すでに公知である。
【0059】
スイッチの設計変更例にかかわらず、スイッチング機構は、バイメタル部を備えているのが好ましい。バイメタル部は、丸形の、好ましくは円形のバイメタルスナップアクション式ディスクであってもよいが、バイメタル部として、一方の側で締め付けられた、長尺のバイメタルばねを使用することも可能である。簡単なスイッチで、バイメタル部を、電流を伝導するのに使用することもできる。
【0060】
スイッチング機構は、スナップアクション式ディスクばねを追加で備えているのも好ましい。スナップアクション式ディスクばねは例えば、可動性の接触部を支持し、かつ、閉じたスイッチを介して電流を伝導し、かつ、閉じられたときに接触圧を供給することができる。このようにして、バイメタル部は、スイッチが閉じられたときに、電流の流れおよび機械的負荷の両方から解放される。
【0061】
本発明は、下部またはカバー部を平面視して、丸形、円形、または楕円形とされた、少なくともほぼ丸形の温度依存スイッチに、特に良好に適する。しかし、原則として、他のハウジング形状でも、本発明を使用できる。
【0062】
上で言及し、かつ以下でこれから説明することになる特徴が、それぞれの所与の組み合わせにおいてのみならず、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の組み合わせまたは単独でも使用できることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】第1のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの第1の実施形態の断面模式図である。
図2】第2のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの、図1に示す第1の実施形態の断面模式図である。
図3】第1のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの第2の実施形態の断面模式図である。
図4】第1のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの第3の実施形態の断面模式図である。
図5】第1のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの第4の実施形態の断面模式図である。
図6】第1のスイッチング位置にある、本発明に係るスイッチの第5の実施形態の断面模式図である。
図7】本発明に係るスイッチで使用できる絶縁箔の頂面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の実施形態を図面に示し、以下の記述において、より詳細に説明する。
【0065】
図1は、スイッチ10の断面模式図を示している。スイッチ10は上面図において回転対称であり、好ましくは円形状を有している。
【0066】
スイッチ10はハウジング12を有しており、ハウジング12内には、温度依存スイッチング機構14が配置されている。ハウジング12は、ポット状の下部16とカバー部18とを備えており、カバー部18は、屈曲した、またはフランジを付けたリム20により、下部16上に保持されている。
【0067】
下部16およびカバー部18の双方は、導電性材料、好ましくは金属で形成されている。カバー部18は、下部16内部のショルダ24上に載っており、絶縁箔22がそれらの間に介在されている。下部16の上縁20が、カバー部18を周方向のショルダ24へと、それらの間に絶縁箔22を介在させた状態で押圧するような仕方で、径方向内側に屈曲されている。
【0068】
絶縁箔22は、下部16に対して、カバー部18を電気絶縁している。くわえて、絶縁箔22は、液体または不純物が外部からハウジングの内部に進入するのを防止する、機械的封止をも提供する。
【0069】
絶縁箔22は、カバー部18と平行なハウジング12内をカバー部の下側25に沿って延びており、そこから、カバー部18と周方向のショルダ24との間を横方向に、カバー部18の上側23まで導かれ、ハウジング12から出ている。下部16の屈曲した、またはフランジを付けた上縁20は、絶縁箔22の上縁区分上で平坦になっており、それをカバー部18の上側23に向かって押圧している。
【0070】
絶縁箔22は、封止剤26で被覆されている。封止剤26は好ましくはプラスチック(熱可塑性、熱硬化性もしくはエラストマ)またはワックスとされている。
【0071】
図1に示すスイッチ10の第1の実施形態では、封止剤26は、カバー部18に面する、絶縁箔22の上側27に塗布されている。スイッチ10の取り付け状態において、封止剤26は、封止領域29でカバー部18に接触している。この封止領域29は、図1において、丸囲みにより強調されている。
【0072】
この実施形態では、封止領域29は、カバー部18の外側の下縁に沿って周方向に延びており、そこからカバー部18の外周に沿って垂直方向にいくぶんか上昇し、かつ、カバー部18の下側25の径方向外部に沿って径方向内側に延びている。断面を見ると、それゆえ封止剤26は、本質的にL字形状となっている。
【0073】
図7は、絶縁箔22の上方からの頂面模式図を示している。見ての通り、封止剤26は、環状領域31で絶縁箔22に塗布されている。封止剤26は好ましくは、閉じた外形を形成している。これにより、カバー部18と下部16との間の全周に沿って、封止が保証される。絶縁箔22の形状によっては、区域31が円形でなくてもよく、例えば楕円形または長円形であってもよいことは言うまでもない。
【0074】
封止剤26が絶縁箔22に塗布される区域31は、絶縁箔22がハウジング12に取り付けられたときに、封止剤26が所望の封止領域29に自動的に配置されるような仕方で位置決めされている。区域31は好ましくは、絶縁箔22の中央に配置された孔33から、径方向距離に配置されている。この孔33は、スイッチ10の温度依存スイッチング機構の一部が、より詳細に以下に説明するように、絶縁箔22を通って移動することを可能にする。
【0075】
封止剤26は好ましくは、加熱により遡及的に活性化され、かつ、ハウジング12内に配置された後にのみ活性化される、封止剤とされている。これは、絶縁箔22の配置後にスイッチ10が好ましくは炉内で若干加熱されて、それにより、封止剤26を、封止領域29において絶縁箔22の形状およびカバー部18の形状とさらにより良く適合するよう、少なくとも一部溶融させ、または少なくとも部分的に液化させることを意味している。続く冷却により、封止剤26は再び固化される。これにより、封止剤26の封止効果が相当に向上する。封止剤26により、封止領域29における徹底した封止が保証される。
【0076】
カバー部18の上側23において、図1に示すスイッチ10にはさらに、さらなる絶縁カバー34が設けられており、絶縁カバー34は、中央領域から絶縁箔22へと、径方向外側に向かって延びている。
【0077】
スイッチング機構14は、スナップアクション式ディスクばね(snap-action spring disc)として設計された温度依存ばね部28と、バイメタルスナップアクション式ディスクとして設計された温度依存バイメタル部30とを備えている。ばね部28は好ましくは、双安定ディスクばねとして設計されている。したがって、ディスクばね28は、2つの温度依存の安定した幾何学形状を有している。第1の幾何学形状を図1に示す。
【0078】
温度依存バイメタルディスク30は好ましくは、双安定スナップアクション式ディスクとして設計されている。バイメタルディスク30は、2つの温度依存形状、すなわち幾何学的な高温形状および幾何学的な低温形状を有している。図1に示すスイッチング機構14の第1のスイッチング位置において、バイメタルディスク30は、その低温形状にある。
【0079】
スナップアクション式ディスクばね28は、その縁32で、下部16の内側底面35に載っている。内側底面35は、形状が実質的に凹状であり、図1に示す第1のスイッチング位置において、スナップアクション式ディスクばね28の縁32が載っている地点で、内側底面35の中央領域と比較して、若干隆起している。バイメタルディスク30は、その縁36で、図1に示す低温形状において、スナップアクション式ディスクばね28に載っている。
【0080】
スナップアクション式ディスクばね28は、その中央38で、スイッチング機構14の可動性の接触部材40に固定されている。バイメタルディスク30も、その中央42で、この接触部材40に固定されている。このようにして、温度依存スイッチング機構14は、接触部材40と、スナップアクション式ディスクばね28と、バイメタルディスク30とを備える、保留ユニットとされている。スイッチ10を取り付けるときに、ゆえに温度依存スイッチング機構14を、ユニットとして下部16へと直接挿入することができる。
【0081】
その上側に、可動性の接触部材40は、可動性の接触部44を備えている。可動性の接触部44は、カバー部18の下側25に配置された、固定式の相手方接点46と相互作用する。この実施形態では、固定式の相手方接点46に導電接続された、カバー部18の上側23は、第1の外側接触面48として機能する。下部16の外側が、第2の外側接触面50として機能する。例えば、下部16の屈曲した上縁20の外側底面または外側が、第2の外側接触面50として機能してもよい。
【0082】
図1に示すスイッチ10の閉じたスイッチング位置において、可動性の接触部44は、スナップアクション式ディスクばね28により、固定式の相手方接点46に対して押圧されている。導電性のスナップアクション式ディスクばね28は、その縁32で、下部16に接触しているため、導電性の接続が、2つの外側接触面48、50の間に設けられる。
【0083】
ここでスイッチ10内の温度が、バイメタルディスク30のスイッチング温度よりも上昇した場合、後者は、図1に示すその凸状の低温形状から、図2に示すその凹状の高温形状へと急変(スナップ)する。
【0084】
図2に示す高温形状では、バイメタルディスク30は、その縁36で、絶縁箔22の下側51上に支持されており、かつ、その中央42で、可動性の接触部材40を下方に押圧している。これにより、可動性の接触部材44が、固定式の相手方接点46を離れて引き上げられる。それにより、スナップアクション式ディスクばね28は、図1に示すその第1の幾何学的に安定した形状から、図2に示すその第2の幾何学的に安定した形状へと急変する。
【0085】
スイッチはこのとき開いていて、保護されるべき装置への給電は遮断されるため、保護されるべき装置は、およびそれゆえにスイッチ10も、再びクールダウンできる。次いで、スイッチ10内の温度が、バイメタルディスク30のリセット温度未満の温度にクールダウンすると、バイメタルディスク30は急変して、図2に示すその高温形状から、図1に示すその低温形状へと戻る。スナップアクション式ディスクばね28も急変して、その第1の幾何学的に安定した形状へと戻り、かつ、可動性の接触部44を、固定式の相手方接点46と再び接触させる。次いで、スイッチ10または電気回路は再び閉じられる。
【0086】
図3は、スイッチ10の第2の実施形態を示しており、スイッチ10は、その第1の位置にある状態が示されている。図1および図2に示すスイッチ10の第1の実施形態と比較して、封止剤26はここで、下部16に面する絶縁箔22の下側51に塗布されていて、封止領域29において、特に絶縁箔22とハウジング12の下部16との間で封止している。
【0087】
図4に示すスイッチ10の第3の実施形態では、絶縁箔22は、一方の側だけでなく、両方の側において、封止剤26、26’で被覆されている。したがって、封止剤26、26’は、カバー部18に面する上側27および下部16に面する絶縁箔22の下側51の両方に塗布されている。好ましくは、封止剤26、26’は、環状領域31において、絶縁箔22の両側に塗布されている。これにより、封止効果がさらに向上する。というのも、封止領域29における封止剤26、26’は、カバー部の外側下縁と絶縁箔との間の区域、および、絶縁箔22と下部16の周方向のショルダ24との間の領域の両方を封止するからである。
【0088】
図5は、スイッチ10のさらなる実施形態を示している。ここでも、スイッチ10は、その第1の閉じたスイッチング位置にある状態が示されている。図5に示す実施形態でも、封止剤26は、図1および図2に示す第1の実施形態と同様、絶縁箔22の上側27に塗布されている。絶縁箔22の下側51において、切断バリ52により、絶縁箔22と下部16との間に、追加の封止が設けられている。この切断バリ52は、閉じた外形を有する周方向の切断バリとして構成されている。切断バリ52は好ましくは、ショルダ24の上側に配置された反転溝として構成されている。切断バリ52は好ましくは、下部16と一体に形成されている。その上側で、切断バリは、切断バリ52が絶縁箔22の下側51を貫通する、尖った切断縁を有している。このようにして、切断バリ52は、絶縁箔22内へと、少なくとも一部切り込んでおり、そのようにして機械的な障壁を設ける。絶縁箔22の上側27に配置された封止剤26と組み合わせて、切断バリ52は、絶縁箔22の両側において、非常に良好な封止を保証する。
【0089】
封止剤26および切断バリ52の位置は、図5に示す実施形態と対照的に、逆にされていてもよい。そのような実施形態を図6に示す。ここで、切断バリ52はカバー部18に配置されており、封止剤26は絶縁箔22の下側51に配置されている。切断バリ52は、絶縁箔22の上側27へと、上方から切り込んで、カバー部18と絶縁箔22との間で封止領域29を封止しており、それに対して、封止剤26は、絶縁箔22と下部16との間で、封止領域29を封止している。
【0090】
そのうえ、切断バリ52および封止剤26を、絶縁箔22の同じ側に配置することも可能である。このとき切断バリ52は、封止剤26の一部に切り込むことになるであろう。これは、非常に良好な封止効果をも、もたらすことになるであろう。例えば、このような切断バリ52を、下部16およびカバー部18の両方に設け、次いで一方の切断バリ52が絶縁箔22へと下方から貫通し、かつ、第2の切断バリが絶縁箔22へと上方から貫通するようにすることも可能であろう。この場合、封止剤26、26’を、図4に示すように、絶縁箔22の両側に配置することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7