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特許7124040抗IL-13抗体を使用する、IL-13活性が有害である疾患の治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】抗IL-13抗体を使用する、IL-13活性が有害である疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220816BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220816BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20220816BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220816BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20220816BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P1/04
A61K45/06
A61K31/58
A61P43/00 121
C07K16/24
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020192246
(22)【出願日】2020-11-19
(62)【分割の表示】P 2018556362の分割
【原出願日】2017-04-27
(65)【公開番号】P2021050204
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/328,539
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ・ティモニー
(72)【発明者】
【氏名】シェイラ・グジャラーシ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピーチ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・オルソン
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041689(JP,A)
【文献】特表2010-502224(JP,A)
【文献】特表2019-514919(JP,A)
【文献】特許第6871948(JP,B2)
【文献】J. Allergy Clin. Immunol., 2014, Vol.135, No.2, pp.500-507
【文献】World J. Gastrointest Pharmacol. Ther., 2016.02, Vol.7, No.1, pp.21-32
【文献】"Dose Ranging Study of RPC4046 in Eosinophilic Esophagitis", First Posted:2014.03.28, [retrieved on,http://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02098473
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 31/00-33/44
C07K 1/00-19/00
A61K 45/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗IL-13抗体又はその抗原結合断片を含む、好酸球性食道炎(EoE)の治療のための医薬組成物であって、前記抗IL-13抗体又はその抗原結合部分は、2つの可変ドメインを含み、
一方の可変ドメインは、下記の重鎖CDR:
配列番号2の残基31~37であるCDR1-H1、
配列番号2の残基52~67であるCDR-H2、及び
配列番号2の残基100~112であるCDR-H3
を含み、
他方の可変ドメインは、下記の軽鎖CDR:
配列番号3の残基24~34であるCDR-L1、
配列番号3の残基50~56であるCDR-L2、及び
配列番号3の残基89~97であるCDR-L3
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
抗IL-13抗体又はその抗原結合断片が、IL-13に結合し、IL-13とIL-13受容体の間の相互作用を防止する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗IL-13抗体又はその抗原結合断片が、約180mg~360mgの用量で対象に皮下投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
抗IL-13抗体又はその抗原結合断片が、約180mgの用量で対象に毎週皮下投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
抗IL-13抗体又はその抗原結合断片が、約360mgの用量で、対象に毎週皮下投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
対象が、ステロイド治療を以前に受けていないステロイド未経験対象である、請求項3~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
対象が、ステロイド治療を以前に受けている、請求項3~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象が、非ステロイド難治性である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
対象が、ステロイド難治性である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗IL-13抗体又はその抗原結合部分が、対象に少なくとも約16週間投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗IL-13抗体又はその抗原結合部分が、対象にEoE疾患の期間投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
追加の薬剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
追加の薬剤が、ステロイドであり、好ましくは、ステロイドはブデソニドである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
追加の薬剤が、治療剤、画像化剤、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤、共刺激分子遮断剤、接着分子遮断剤、抗サイトカイン抗体又はその機能性断片、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能標識又はレポータ、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症薬(NASAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗微生物剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、タンパク質同化性ステロイド、エリトロポエチン、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性医薬、抗鬱剤、抗精神病剤、刺激剤、喘息の医薬品、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、経口ステロイド、エピネフリン又はアナログ、サイトカイン及びサイトカインアンタゴニストからなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年4月27日に出願された、米国仮特許出願第62/328,539号に対する優先権を主張するものであり、この全内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
好酸球障害は、好酸球の数及び/又は活性の異常(過好酸球増加症)によってしばしば特徴付けられる、多様な範囲の障害を構成する。この異常は、胃腸管に関わる多くのアレルギー状態とともにしばしば観察され、時にそれらの病理学的根拠を構成する。医学文献で最近特徴付けられたこのような好酸球性胃腸障害(EGIC)の例には、好酸球性食道炎(EoE又はEE)、好酸球性胃炎(EoG又はEG)、好酸球性十二指腸炎(ED)、好酸球性空腸炎(EJ)、好酸球性回腸炎(EI)、及び好酸球性大腸炎(EC)が含まれる。例えば、Rothenbergら、Allergy Clin.Immunol.、113:11~28頁(2004年);Furutaら、Gastroenterology 133:1342~63頁(2007年);及びTalleyら、Gut 31:54~8頁(1990年)を参照されたい。
【0003】
最も研究されているEGIDは、EoEであり、診断が行われている頻度が増加しているという一部の理由からである(Furutaら、Gastroenterology 133:1342~63頁(2007年))。EoEは、食道機能不全に関連する徴候及び症状によって最も頻繁に特徴付けられている(Liacourasら、J.Allergy Clin.Immunol.128:3~20頁(2011年))。成人では、これらには、嚥下障害、胸痛、食物のつかえ、嘔吐及び上腹部痛が含まれる(Croeseら、Gatrointest.Endosc.、58:516~522頁(2003年))。小児における臨床症状は、年齢で変わる。幼児は、しばしば摂食困難及び発育不全を示すが、一方で学齢児童は、嘔吐及び胸痛の増加を示すようにみえる(Liacourasら、2011年;上記)。
【0004】
EoEは、アレルギー性病因を有すると考えられ、患者の70%は、食物又は他のアレルゲンに対する、現在又は過去のアレルギー疾患又は陽性皮膚プリックテストを有する(Blanchardら、Gastrointest.Endosc.Clin.N.Am.、18:133~43頁(2008年))。EoEの症状は、一般にプロトンポンプ阻害剤(PPI)治療に抵抗性であるが、患者のごく一部は、PPIに対して臨床病理学的応答を確かに示す(Molina-Infanteら、Clin.Gastroenterol.Hepatol.、9:110~117頁(2011年))。EoEで「承認適用外」で使用される局所コルチコステロイドは、食道の好酸球負荷を減少させる点で有効であり得る。例えば、臨床研究は、フルチカゾン及びブデソニドの両方が、EoEに罹っている小児及び成人の両方で好酸球負荷及び症状を減少させるための導入療法として有効であり得る(Schaeferら、Clin.Gastroenterol.Hepatol.6:165~173頁(2008年);Konikoffら、Gatroenterology、131:1381~1391頁(2006年);Dohilら、Gastroenterology、139:418~429頁(2010年);Straumannら、Gatroenterology、139:1526~1537頁(2010年))。しかしながら、EoEの臨床的性質及びステロイド剤の多くの副作用のために、圧倒的多数の患者、特に小児は、そのような薬剤に伴う中等度~低度のレベルの有効性にもかかわらず、プロトンポンプ阻害剤にとどまることを強いられている。
【0005】
インターロイキン-13(IL-13)は、上述の胃腸障害に関与してきた。その上、IL-13のような、炎症性サイトカインは、他のアレルギー/炎症性疾患についても関係がある。例えば、IL-13は、高レベルのIL-13が喘息患者の肺に存在し、これらのレベルが疾患重症度に相関するという点で、ヒト喘息の病因で極めて重要であると考えられる。同様に、増加したIL-13は、吸入コルチコステロイド(ICS)又は全身性コルチコステロイドで治療されているが、継続して症状を示している中等度から重度の喘息に罹っている患者の痰及び肺の生検の両方に存在する。その上、ヒトIL-13の遺伝的多型は、喘息及びアトピー(アレルギー性過敏症)と関連している。
【0006】
様々なヒト障害のヒトIL-13の役割のために、治療戦略は、IL-13活性を阻害するか又はIL-13活性に反対に作用するように設計されてきた。しかしながら、EGID及び喘息などの疾患を治療及び改善することに有用かつ有効である、改善されたIL-13阻害剤に対する必要性が当技術分野に存在する。さらに、治療剤の最適な投与量及び投与経路の発見は、発明の提供、大量のデータの分析及び数百人の患者の臨床試験を伴う複雑なプロセスであり、プロセスはルーチン的なものではない。したがって、EoEのような好酸球性障害及び喘息のような炎症性疾患の有効な治療を可能にする、治療剤、及び最適投与量レジメンを特定することに対して、満たされていない需要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Rothenbergら、Allergy Clin.Immunol.、113:11~28頁(2004年)
【文献】Furutaら、Gastroenterology 131:1342~63頁(2007年)
【文献】Talleyら、Gut 31:54~8頁(1990年)
【文献】Liacourasら、J.Allergy Clin.Immunol.128:3~20頁(2011年)
【文献】Croeseら、Gatrointest.Endosc.、58:516~522頁(2003年)
【文献】Blanchardら、Gastrointest.Endosc.Clin.N.Am.、18:133~43頁(2008年)
【文献】Molina-Infanteら、Clin.Gastroenterol.Hepatol.、9:110~117頁(2011年)
【文献】Schaeferら、Clin.Gastroenterol.Hepatol.6:165~173頁(2008年)
【文献】Konikoffら、Gatroenterology、131:1381~1391頁(2006年)
【文献】Dohilら、Gastroenterology、139:418~429頁(2010年)
【文献】Straumannら、Gatroenterology、139:1526~1537頁(2010年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(要旨)
本開示は、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を使用して、喘息及び好酸球性障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE又はEE)のような、IL-13活性が有害である疾患を有効に治療する問題に対する解決策を提供する。具体的には、本開示は、改善された治療効力を有する投与レジメンを提供する。例えば、抗IL-13抗体を使用する治療の特許請求する方法は、意外なことに、EoEに罹っている患者の食道生検中の食道好酸球計数を有意に減少させることが示された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、対象における好酸球性食道炎(EoE)を治療する方法であって、約180mg~約360mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与し、それにより、対象におけるEoEを治療することを含む、方法を提供する。
【0010】
一実施形態では、IL-13抗体又は抗原結合断片は、IL-13に結合し、IL-13とIL-13受容体との間の相互作用を防止する。一実施形態では、IL-13抗体、又はその抗原結合部分は、モノクローナル抗体、又はその抗原結合部分である。一実施形態では、IL-13抗体又はその抗原結合部分は、ヒト化抗体又はその抗原結合部分である。一実施形態では、IL-13抗体又はその抗原結合部分は、ヒト抗体又はその抗原結合部分である。
【0011】
一実施形態では、IL-13抗体又はその抗原結合断片は、抗体13C5.5又はその抗原結合断片である。一実施形態では、13C5.5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号:2を含む重鎖可変領域及び配列番号:3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0012】
別の実施形態では、抗IL-13抗体は、6A1、3G4、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、QAZ-576、IMA-638若しくはIMA-026又はその抗原結合部分である。
【0013】
一実施形態では、本方法は、約180mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与することを含む。別の実施形態では、本方法は、約360mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与することを含む。
【0014】
一実施形態では、本方法は、EoEに関連している少なくとも1つの症状を示す対象を選択するステップをさらに含む。一実施形態では、EoEに関連している症状は、食道の好酸球浸潤、食道壁の肥厚、食物拒絶、嘔吐、腹部痛、胸焼け、吐き戻し、嚥下障害及び食物のつかえからなる群から選択される。
【0015】
一実施形態では、本方法は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患又は障害も有する対象を選択するステップを含む。
【0016】
一実施形態では、選択ステップは、好酸球性食道炎(EoE)に関連するバイオマーカーのレベルの上昇に基づいて対象を選択するステップを含む。一実施形態では、バイオマーカーは、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC;CCL17)、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、血清ECP及び好酸球由来神経毒(EDN)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
一実施形態では、選択ステップは、食道内視鏡検査の間に対象から得られた生検試料中の平均食道好酸球計数に基づいて対象を選択するステップを含む。一実施形態では、選択ステップは、食道における高倍率視野(HPF)当たり15以上のピーク好酸球計数に基づいて対象を選択するステップを含む。
【0018】
一実施形態では、対象は、IL-13抗体又はその抗原結合断片の投与の少なくとも16週後に、HPF当たりの好酸球の数の、ピークレベルからの少なくとも50%の低下を示す。
【0019】
一実施形態において、対象は、ステロイド治療を以前に受けていない、ステロイド未経験対象である。別の実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けているヒト対象である。一実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けておりかつ非ステロイド難治性である、ヒト対象である。別の実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けておりかつステロイド難治性であるヒト対象である。
【0020】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、対象に少なくとも約16週間投与される。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、対象にEoE疾患の期間中投与される。
【0021】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に食道における5つの最も炎症を起こした高倍率視野(HPF)で測定される平均食道好酸球計数を決定するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後に食道における5つの最も炎症を起こした高倍率視野(HPF)で測定される平均食道好酸球計数を決定するステップを含む。一実施形態では、対象への抗体又はその抗原結合部分の、投与前の平均食道好酸球計数と比較した投与後の平均食道好酸球計数の低下は、抗体又はその抗原結合部分が対象を治療するのに有効であることを示す。
【0022】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に嚥下障害臨床症状を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後に嚥下障害臨床症状を決定するステップを含み、対象への抗体又はその抗原結合部分の、投与前の嚥下障害臨床症状と比較した投与後の嚥下障害臨床症状の低下は、抗体又はその抗原結合部分が対象を治療するのに有効であることを示す。
【0023】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に、毎日症状日誌(DSD)として記録される好酸球性食道炎活性指数(EEsAI)を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後に、毎日症状日誌(DSD)として記録される好酸球性食道炎活性指数(EEsAI)を決定するステップを含み;ここで、対象への抗体又は抗原結合部分の、投与前のEEsAIと比較した投与後のEEsAIの低下は、抗体又はその抗原結合部分が対象を治療するのに有効であることを示す。
【0024】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアを決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後にDSQスコアを決定するステップを含み、ここで、対象への抗体又は抗原結合部分の、投与前のDSQスコアと比較した投与後のDSQスコアの低下は、抗体又はその抗原結合部分が対象を治療するのに有効であることを示す。
【0025】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に内視鏡参照スコア(EREF)を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後にEREFスコアを決定するステップを含み、ここで、対象への抗体又はその抗原結合部分の、投与前のEREFスコアと比較した投与後のEREFスコアの低下は、抗体又はその抗原結合部分が、対象を治療するのに有効であることを示す。
【0026】
一実施形態では、EREFは、食道における炎症マーカーの存在、食道におけるリモデリングマーカーの存在、又はそれらの組み合わせに基づいて決定される。一実施形態では、EREFは、浮腫、固定リング、滲出液、溝及び狭窄部分、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される複数の特徴の有無に基づいて決定される。
【0027】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に対象の疾患重症度の全体的評価を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後に対象の疾患重症度の全体的評価を決定するステップを含み、ここで、対象への抗体又はその抗原結合部分の、投与前の対象の疾患重症度の全体的評価と比較した投与後の対象の疾患重症度の全体的評価の低下は、抗体又はその抗原結合部分が、対象を治療するのに有効であることを示す。
【0028】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に疾患重症度の臨床医の全体的評価を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後に臨床医の疾患重症度の全体的評価を決定するステップを含み、ここで、対象への抗体又はその抗原結合部分の、投与前の疾患重症度の臨床医の全体的評価と比較した投与後の疾患重症度の臨床医の全体的評価の低下は、抗体又はその抗原結合部分が、対象を治療するのに有効であることを示す。
【0029】
一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与前に組織学的等級及び平均病期調整スコア(mean stage-adjusted score)(HGMSAS)を決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、対象への抗体又はその抗原結合部分の投与後にHGMSASを決定するステップを含み、ここで、抗体又はその抗原結合部分の、投与前のHGMSASに対して投与後のHGMSASの低下は、抗体又はその抗原結合部分が、対象を治療するのに有効であることを示す。
【0030】
一実施形態では、本方法は、追加の薬剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、追加の薬剤は、ステロイドである。一実施形態では、追加の薬剤は、ステロイド化合物ブデソニドである。一実施形態では、追加の薬剤は、治療剤、画像化剤、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤、共刺激分子遮断剤、接着分子遮断剤、抗サイトカイン抗体又はその機能性断片、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能標識又はレポータ、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症薬(NASAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗微生物剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、タンパク質同化性ステロイド、エリトロポエチン、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性医薬、抗鬱剤、抗精神病剤、刺激剤、喘息の医薬品、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、経口ステロイド、エピネフリン又はアナログ、サイトカイン及びサイトカインアンタゴニストからなる群から選択される。
【0031】
一態様では、本開示は、喘息を治療するための組成物及び方法を提供する。一態様では、本開示は、対象における喘息を治療する方法であって、約180mg~約360mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与し、それにより、対象における喘息を治療するステップを含む、方法を提供する。
【0032】
一実施形態では、IL-13抗体又はその抗原結合断片は、IL-13に結合し、IL-13とIL-13受容体との間の相互作用を防止する。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、ヒト化抗体である。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、ヒト抗体である。
【0033】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、13C5.5抗体である。一実施形態では、13C5.5抗体又はその抗原結合断片は、配列番号2を含む重鎖可変領域及び配列番号3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0034】
別の実施形態では、抗IL-13抗体は、6A1、3G4、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、QAZ-576、IMA-638若しくはIMA-026、又はそれらの抗原結合部分である。
【0035】
一実施形態では、本方法は、約180mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与するステップを含む。一実施形態では、本方法は、約360mgのIL-13抗体又はその抗原結合断片を対象に毎週皮下投与するステップを含む。
【0036】
一実施形態では、喘息は、軽度から中等度の喘息である。
【0037】
別の態様では、本方法は、喘息に伴う少なくとも1つの症状を示す対象を選択するステップをさらに含む。関連実施形態では、喘息に伴う少なくとも1つの症状は、粘着性粘液若しくは痰の分泌又は蓄積、咳、喘鳴、息切れ、胸苦しさ、胸痛及び胸部圧迫感からなる群から選択される。
【0038】
一実施形態では、対象は、ヒト対象である。別の実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けていないステロイド未経験対象である。一実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けている。一実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けている対象であり、かつ対象は、非ステロイド難治性である。別の実施形態では、対象は、ステロイド治療を以前に受けている対象であり、かつ対象は、ステロイド難治性である。
【0039】
一実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、対象に少なくとも約16週間毎週投与される。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分は、対象にEoE疾患の期間に毎週投与される。
【0040】
一実施形態では、本方法は、対象へのIL-13抗体又はその抗原結合断片の投与前後に喘息に関連するバイオマーカーを決定するステップをさらに含み、ここで、バイオマーカーレベルの変化は、対象の治療におけるIL-13抗体又はその抗原結合断片の効力を示す。
【0041】
一実施形態では、本方法は、追加の薬剤を投与するステップをさらに含む。一実施形態では、追加の薬剤は、ステロイドである。別の実施形態では、追加の薬剤は、ブデソニドである。さらに別の実施形態では、追加の薬剤は、治療剤、画像化剤、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤、共刺激分子遮断剤、接着分子遮断剤、抗サイトカイン抗体又はその機能性断片、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能標識又はレポータ、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症薬(NASAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗微生物剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、タンパク質同化性ステロイド、エリトロポエチン、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性医薬、抗鬱剤、抗精神病剤、刺激剤、喘息の医薬品、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、経口ステロイド、エピネフリン又はアナログ、サイトカイン、及びサイトカインアンタゴニストからなる群から選択される。
【0042】
本開示の他の特徴及び利点は、それらの好ましい実施形態の以下の記載及び特許請求の範囲から明らかである。引用される参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
本明細書に記載される実施形態の様々な特徴及び利点は、それが添付の図面に照らして考慮されるとより良く理解されるので、十分に認識され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】プラセボ群、低用量(180mg)治療群及び高用量(360mg)治療群における、ベースライン及び16週目での平均食道好酸球計数(細胞/hpf)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインの平均食道好酸球計数について調整されたANCOVAモデルからp値を測定することによって計算した。
図2(a)】プラセボ対低(180mg)用量のRPC4046で治療された対象における16週目での平均食道好酸球計数(細胞/hpf)を示すグラフである。
図2(b)】プラセボ対高(360mg)用量のRPC4046で治療された対象における16週目での平均食道好酸球計数(細胞/hpf)を示すグラフである。
図3】低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された、ITT群に属する対象(少なくとも1回用量のRPC4046を受けた無作為化対象)における16週目での平均嚥下障害症状複合日誌スコア(mean dysphagia symptom composite diary score)(重要な副次的エンドポイント)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインの複合日誌スコアについて調整されたANCOVAモデルからp値を測定することによって計算した。結果は、表4に要約する。
図4】低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された、ITT群に属する対象(ステロイド難治性状態によって下位群化された対象)における16週目での平均嚥下障害症状複合日誌スコア(重要な副次的エンドポイント)を示すグラフである。結果は、表5に要約する。
図5】低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された、ITT群に属する対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコア(時間にわたる)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインの複合日誌スコアについて調整されたANCOVAモデルからp値によって決定した。p値は、多重比較について調整しなかった。
図6】低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された、非ステロイド難治性下位群に属する対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコア(時間にわたる)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインの複合日誌スコアについて調整されたANCOVAモデルからp値によって決定した。p値は、多重比較について調整しなかった。
図7】低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された、ステロイド難治性下位群に属する対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコア(時間にわたる)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインの複合日誌スコアについて調整されたANCOVAモデルからp値によって決定した。p値は、多重比較について調整しなかった。
図8】経口ブデソニド懸濁液(ODS)で治療された対象対プラセボにおけるベースラインからの嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアの平均変化を示すグラフである。バーは、標準偏差(SD)を示す。表6は、結果の要約を示す。
図9】16週目での対象における平均好酸球性食道炎(EoE)内視鏡参照スコア(追加の副次的エンドポイント)を示すグラフである。EREF合計スコアは、ベースライ及び16週目での対象における(EREFS特徴)の分析からコンピュータで計算した。統計的有意性は、p値<0.05で決定した。
図10】炎症マーカー(浮腫、滲出液及び/又は溝部分について陽性である)又はリモデリングマーカー(例えば、固定リング及び/又は狭窄部分について陽性である)の存在について評価された場合の、16週目での対象における平均好酸球性食道炎(EoE)内視鏡参照スコアを示すグラフである。統計的有意性は、p値<0.05で決定した。
図11】プラセボ群、低用量(180mg)治療群及び高用量(360mg)治療群におけるベースライン及び16週目での平均食道好酸球計数(細胞/hpf)を示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインピークhpf食道好酸球計数について調整されたANCOVAモデルからp値を決定することによって評価した。表7は、結果の要約を示す。
図12】プラセボ対低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象におけるベースライン及び16週目での平均EEsAIPROスコアを示すグラフである。統計的有意性は、ステロイド難治性状態及びベースラインEEsAIPROスコアについて調整されたANCOVAモデルからのp値によって評価した。表8は、結果の要約を示す。
図13】ステロイド難治性状態によって下位群化された対象におけるベースライン及び16週目での平均EEsAIPROスコアを示すグラフである。各下位群は、プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療した。統計的有意性は、p<0.05で決定した。は、p<0.05を示す。結果は、表9に要約する。
図14】プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療した対象におけるベースライン及び16週目での疾患重症度の平均の対象の全体的評価を示すグラフである。統計的有意性(p<0.05での)は、ステロイド難治性状態及びベースラインの疾患重症度スコアの全体的評価について調整されたANCOVAモデルからp値をコンピュータで計算することによって決定した。結果は、表10に要約する。
図15】プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療した対象におけるベースライン及び16週目での疾患重症度の臨床医の平均全体的評価を示すグラフである。統計的有意性(p<0.05での)は、ステロイド難治性状態及びベースラインの疾患重症度スコアの全体的評価について調整されたANCOVAモデルからp値をコンピュータで計算することによって決定した。結果は、表11に要約する。
図16】プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療した対象におけるベースライン及び16週目での対象の全体的印象を示すグラフである。統計的有意性は、p<0.05で決定した。
図17】プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療した対象におけるベースライン及び16週目での組織学的等級及び平均病期調整スコアを示すグラフである。統計的有意性は、p<0.05で決定した。は、p<0.0001を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
表の簡単な説明
表1は、研究に登録された対象の個体群統計学の要約を与える。
【0046】
表2は、サンプル毎日症状日誌(DSD)質問票及びDSDスコアをコンピュータで計算するために用いられた方法を与える。
【0047】
表3は、2週にわたって完了されたDSDにより評価される場合の嚥下障害臨床症状頻度及び重症度におけるベースラインから16週目の平均変化を示す。
【0048】
表4は、低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療されたITT群に属する対象において16週目での嚥下障害症状複合日誌スコアを評価する研究からの結果の要約を与える。
【0049】
表5は、低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療されたITT群(ステロイド難治性状態によって下位群化された)に属する対象において16週目での嚥下障害症状複合日誌スコアを評価する研究からの結果の要約を与える。
【0050】
表6は、3つの異なる研究にわたってのプラセボ、経口ブデソニド、RPC4046及びQAX576の効力を評価する結果の要約を与える。
【0051】
表7は、プラセボ対低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象における16週目でのピーク食道好酸球計数(細胞/hpf)の平均変化を評価する研究からの結果の要約を与える。
【0052】
表8は、プラセボ対低用量(180mg)又は高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象におけるベースライン及び16週目での平均EEsAIPROスコアを評価する研究からの結果の要約を与える。
【0053】
表9は、プラセボを与えられた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療された、ステロイド難治性対象対非ステロイド難治性対象におけるベースライン及び16週目での平均EEsAIPROスコアを評価する研究からの結果の要約を与える。
【0054】
表10は、プラセボを与えられた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象におけるベースライン及び16週目での疾患重症度の対象の全体的評価を評価する研究からの結果の要約を与える。
【0055】
表11は、プラセボを与えられた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象におけるベースライン及び16週目での疾患重症度の臨床医の全体的評価を評価する研究からの結果の要約を与える。
【0056】
表12は、RPC4046で治療された対象における治療関連有害事象の要約を与える。
【0057】
詳細な説明
本開示は、意外にも、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分を使用して、対象における好酸球性障害、例えば、EoEの少なくとも1つの症状を治療又は改善する方法を提供する。意外にも、数百人の患者によるヒトにおける第2相臨床試験を行った後、本発明は、180mg~360mgの投与量で毎週投与された抗IL-13抗体の皮下用量が、例えば、嚥下障害臨床症状を低下させることによって、EoEを治療するのに有効であることが、意外にも見出されたことを、実証する。本発明の具体的実施形態は、以下の下位セクションでより詳細に記載される。
【0058】
I. IL-13抗体及びその抗原結合部分
用語「IL-13」及び「IL-13野性型」(IL-13、IL-13wtと本明細書で略記される)は、本明細書で使用される場合、主としてTヘルパー2細胞により分泌されるサイトカインを含む。用語「IL-13」及び「IL-13野性型」(IL-13、IL-13wtと本明細書で略記される)は、13kDaのポリペプチドの単量体タンパク質を含む。IL-13の構造は、例えば、Moy,Diblasioら、J Mol Biol 310219~30頁(2001年)にさらに記載されている。用語IL-13は、標準組換え発現法により調製され得る組換えヒトIL-13(rhIL-13)を含むことが意図される。さらに、この用語は、他の種、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリなどにおけるIL-13のオルソログ/ホモログを含んでもよい。
【0059】
好ましくは、本開示のIL-13ポリペプチド標的は、バリアント、断片、アイソフォーム、及びそれらの同族体(congener)を含めた、ヒトIL-13タンパク質を含む。ヒトIL-13のアミノ酸配列は、当技術分野で公知であり、配列番号1(NCBIアクセション番号AF043334.1(バージョン1、2010年3月10日更新;UNIPROTアクセション番号P35225(バージョン170;2016年3月16日見直し)に記述されている。
【0060】
ヒトIL-13野性型の配列:
【0061】
【化1】
【0062】
用語「IL-13バリアント」(IL-13vと本明細書で略記される)は、本明細書で使用される場合、IL-13の任意のバリアントを含む。ヒトIL-13バリアントの一例は、配列番号1のアミノ酸残基130が、アルギニンからグルタミンに変えられているものである(R130Q)。この特定のヒトIL-13バリアント配列は、当技術分野で公知である(NCBIアクセション番号AAH96141.2(バージョン2、2014年9月23日更新))。
【0063】
IL-13リガンド/受容体系の受容体部分は、IL-4受容体のアルファ鎖(IL-4Rα)及び2つの公知のIL-13特異的結合鎖の少なくとも1つを含む多量体トランスメンブレン受容体を含む(Wynnら、Annu.Rev.Immunol.21:425~56頁(2003年))。効果は、主として転写因子、シグナル伝達兼転写活性化因子6(STAT6)によって媒介される。
【0064】
特に、抗体又はその抗原結合断片は、IL-13ポリペプチドに特異的に結合し、それにより、その同族受容体(cognate receptor)へのIL-13リガンドの結合を減少させる又は中和する。同時に、IL-13抗体又はその抗原結合部分は、IL-13リガンド/受容体系の生物学的活性の阻害及び/又は中和をもたらし得る。
【0065】
本明細書で使用される場合の「生物学的活性」は、サイトカインの固有の生物学的特性すべてを指す。IL-13の生物学的特性には、限定されないが、炎症を引き起こすためのIL-13受容体への結合、ケモカインの分泌の増強、アレルギーエフェクタ細胞の遊走の増加、GI管の粘膜を囲む上皮組織における異形成などが含まれる。さらに、IL-13は、EEトランスクリプトームの20%を誘導すること、より特には初代食道上皮細胞におけるエオタキシン-3発現を誘導することが示された(Blanchardら、J Allergy Clin Immunol.、120:1292頁、2007年)。
【0066】
用語「特異的結合」又は「特異的に結合する」は、抗体、タンパク質又はペプチドと第2の化学種との相互作用に関連して本明細書で使用される場合、相互作用が、化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基又はエピトープ)の存在に依存しており;例えば、抗体が、全体的なタンパク質ではなくある特定のタンパク質構造を認識しそしてそれに結合することを意味する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」及び抗体を含む反応において、エピトープA(又は遊離の非標識A)を含む分子の存在は、抗体に結合された標識Aの量を減少させることになる。
【0067】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖である、4つのポリペプチド鎖から構成される任意の免疫グロブリン(Ig)分子、又は
Ig分子の必須のエピトープ結合特徴を保持する、任意の機能性断片、突然変異体、バリアント若しくはそれらの誘導体を指す。そのような突然変異体、バリアント又は誘導抗体フォーマットは、当技術分野で公知である。これらの非限定的な実施形態は、本明細書で検討される。一実施形態では、本開示の組成物及び方法で使用される抗体は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号に記載された抗IL-13抗体13C5.5である。別の実施形態では、本開示の組成物及び方法で使用される抗体は、抗体6A1、3G4、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、デクトレクマブ(QAX-576)、IMA-638又はIMA-026である。
【0068】
完全長抗体では、各重鎖は、重鎖可変領域(HCVR又はVHと本明細書で略記される)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVR又はVLと本明細書で略記される)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域に散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域に、さらに細分され得る。各VH及びVLは、以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端に配列された、3つのCDR及び4つのFRから構成される。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものであり得る。
【0069】
用語抗体の「抗原結合性部分」(又は簡単に「抗体部分」)は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体(例えば、IL-13)の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって行われ得る。そのような抗体実施形態はまた、二重特異性(bispecific)、二重特異性(dual specific)又は多重特異性のフォーマットであってもよく;2つ以上の異なる抗原に特異的に結合してもよい。用語抗体の「抗原結合部分」の範囲内に包含される結合断片の例には、(i)Fab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)単一可変ドメインを含むdAb断片(参照により本明細書に組み込まれる、Wardら、(1989年)Nature 341:544~546頁、Winterら、PCT公開国際公開第90/05144A1号);並びに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別個の遺伝子によりコードされるが、それらは、それらをVL及びVH領域が対になって一価分子を形成する単一タンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Birdら、(1988年)Science 242;423~426頁;及びHustonら、(1988年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883頁参照)とされることを可能にする合成リンカーによって、組換え法を使用して、連結され得る。そのような一本鎖抗体も、用語抗体の「抗原結合部分」の範囲内に包含されることが意図される。二重特異性抗体(diabody)のような、一本鎖抗体の他の形態も包含される。二重特異性抗体は、VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖上で発現される二価の二重特異性抗体であるが、同じ鎖上で2つのドメイン間の対形成を可能にするには短過ぎるリンカーを使用し、それにより、ドメインが別の鎖の相補性ドメインと対になることを強い、2つの抗原結合部位を生成させる(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444~6448頁(1993年);Poljakら、Structure 2:1121~1123頁(1994年)参照)。そのような抗体結合部分は、当技術分野で公知である(Kontermann及びDubel編、Antibody Engineering(2001年)Springer-Verlag.New York.790頁(ISBN 3-540-41354-5))。
【0070】
本明細書で使用される場合の用語「抗体構築物」は、リンカーポリペプチド又は免疫グロブリン定常領域に連結された、本開示の1つ以上の抗原結合部分を含むポリペプチドを指す。リンカーポリペプチドは、ペプチド結合によって連結された2つ以上のアミノ酸残基を含み、1つ以上の抗原結合部位を連結するために使用される。そのようなリンカーポリペプチドは、当技術分野で周知である(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444~6448頁(1993年);Poljakら、Structure 2:1121~1123頁(1994年)参照)。免疫グルブリン定常領域は、重鎖又は軽鎖の定常ドメインを指す。ヒトIgG重鎖及び軽鎖定常ドメインアミノ酸配列は、当技術分野で公知であり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7.915,388号の表2に開示されている。
【0071】
なおさらに、抗体又はその抗原結合部分は、抗体又は抗体部分と、1つ以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性会合によって形成される、より大きい免疫接着分子の一部であってもよい。そのような免疫接着分子の例には、四量体scFv分子を作るためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanovら、Human Antibodies and Hybridomas 6:93~101頁(1995年))並びに二価でビオチン化scFv分子を作るための、システイン残基、マーカーペプチド及びC末端ポリヒスチジンタグの使用が含まれる(Kipriyanovら、Mol.Immunol.31:1047~1058頁(1994年))。Fab及びF(ab’)断片のような抗体部分は、それぞれ、全抗体のパパイン又はペプシン消化のような従来の技法を使用して、全抗体から調製され得る。さらに、抗体、抗体部分及び免疫接着分子は、本明細書で記載されるとおりに、標準DNA技法を使用して得られ得る。
【0072】
「単離抗体」は、本明細書で使用される場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、IL-13に特異的に結合する単離抗体は、IL-13以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、IL-13に特異的に結合する単離抗体は、他の種からのIL-13分子のような、他の抗原への交差反応性を有してもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的にもたなくてもよい。
【0073】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。本開示のヒト抗体は、例えば、CDR及び特定のCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコード化されていないアミノ酸残基を含んでもよい(例えば、インビトロでの無作為若しくは部位特異的突然変異生成又はインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことは意図されない。
【0074】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号にさらに記載される)、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離される抗体(Hoogenboomら、TIB Tech.15:62~70頁(1994年);Azzazyら、Clin.Biochem.35:425~445頁(2002年);Gavilondoら、BioTechniques 29:128~145頁(2002年);Hoogenboomら、Immunology Today 21:371~378頁(2000年))、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら、Nucl.Acids Res.20:6287~6295頁(1992年);Kellermannら、Current Opinion in Biotechnology 13:593~597頁(2002年);Littleら、Immunology Today 21:364~370頁(2002年)又は他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の他の手段により、調製、発現、作製若しくは単離される抗体のような、組換え手段により調製、発現、作製又は単離されるすべてのヒト抗体を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(又は、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物が使用される場合、インビボ体細胞突然変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来及び関連する一方で、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に自然には存在し得ない配列である。一実施形態は、限定されないが、Jermutusら、PCT公開番号国際公開第2005/007699A2号に開示されたもののような、ヒトIgファージライブラリを使用するような、当技術分野で周知の技法を使用して生成され得るヒトIL-13に結合することができる完全ヒト抗体を提供する。
【0075】
用語「キメラ抗体」は、ヒト定常領域に連結されたマウスの重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体のような、ある種からの重鎖及び軽鎖可変領域配列並びに別の種からの定常領域配列を含む抗体を指す。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野で公知であり、実施例2.1で詳細に検討される。例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Morrison、Science 229:1202頁(1985年);Oiら、BioTechniques 4:214頁(1986年);Gilliesら、(1989年)J.Immunol.Methods 125:191~202頁;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;及び同第4,816,397号参照)。さらに、「キメラ抗体」は、公知技術の技法によって作製されてもよい。それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Morrisonら、1984年、Proc.Natl.Acad.Sci.81:851~855頁;Neubergerら、1984年、Nature 312:604~608頁;Takedaら、1985年、Nature 314:452~454頁参照。
【0076】
一実施形態では、本開示の組成物及び/又は方法における使用のためのキメラ抗体は、セクション1に記載されるマウスモノクローナル抗ヒトIL-13抗体の重鎖定常領域をヒトIgG1定常領域に置き換えることによって作製される。具体的な実施形態では、本開示のキメラ抗体は、米国特許第7,195,388号に開示された、配列番号34;配列番号36;配列番号41;配列番号42;又は配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)及び配列番号35;配列番号37;配列番号40;配列番号43;又は配列番号47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。上述のVH及びVL配列の任意の組み合わせが用いられてもよい。
【0077】
用語「CDR移植抗体」は、マウスCDR(例えば、CDR3)の1つ以上がヒトCDR配列に置き換えられたマウス重鎖及び軽鎖可変領域を有する抗体のような、ある種からの重鎖及び軽鎖可変領域配列を含むが、VH及び/又はVLのCDR領域の1つ以上の配列は、別の種のCDR配列に置き換えられている抗体を指す。
【0078】
用語「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えば、マウス)からの重鎖及び軽鎖可変領域配列を含むが、ここで、VH及び/又はVL配列の少なくとも一部が、より「ヒト様」である、すなわち、ヒト生殖系列可変配列により似ているように変更された抗体を指す。ヒト化抗体の1つのタイプは、CDR移植抗体であり、ここで、ヒトCDR配列は、非ヒトVH及びVL配列中に導入されて、対応する非ヒトCDR配列を置き換える。一実施形態では、ヒト化抗ヒトIL-13抗体及び抗原結合部分が提供される。そのような抗体は、Kasianら、PCT公開国際公開第2005/123126A2に開示されたもののような、伝統的なハイブリドーマ技術を使用してマウス抗IL-13モノクローナル抗体を得、続いてインビトロ遺伝子工学を使用してヒト化することによって、作製された。ヒトIg配列は、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書に全体的に組み込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983年)を参照されたい。そのような移入された配列は、免疫原性を低下させる又は結合、親和性、結合速度(on-rate)、解離速度(off-rate)、アビディティ、特異性、半減期、若しくは当技術分野で知られたとおりの、任意の他の適当な特性を低下、増強若しくは改変するために使用され得る。
【0079】
ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換されて、抗原結合性を変更し、好ましくは改善してもよい。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法、例えば、特定の位置における異常なフレームワーク残基を識別するための抗原結合性及び配列比較にとって重要なフレームワーク残基を識別するためにCDR及びフレームワーク残基の相互作用をモデリングすることによって識別される。(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature 332:323頁(1988年)を参照されたい。)3次元免疫グロブリンモデルが、一般に利用可能であり、当業者に良く知られている。選択された候補免疫グロブリン配列のまず確実な3次元立体配座構造を例証及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能性における残基のありそうな役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析を可能にする。このようにして、FR残基は、コンセンサス及び移入配列から選択及び組み合わされ得、標的抗原に対する親和性の増加のような、所望の抗体特性が達成される。一般に、CDR残基は、抗原結合性への影響に直接及び最も実質的に関与する。抗体は、限定されないが、そこに引用された参考文献を含めて、それぞれが参照により本明細書に全体的に組み込まれる、Jonesら、Nature 321:522頁(1986年);Verhoeyenら、Science 239:1534頁(1988年)、Simsら、J.Immunol.151:2296頁(1993年);Chothia及びLesk、J.Mol.Biol.196:901頁(1987年)、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sic.U.S.A.89:4285(1992年);Prestaら、J.Immunol.151:2623頁(1993年);Padlan、Molecular Immunology 28(4/5):489~498頁(1991年);Studnickaら、Protein Engineering 7(6):805~815頁(1994年);Roguskaら、PNAS 91:969~973頁(1994年);PCT公開WO91/09967号;US98/16280、US96/18978、US91/09630、US91/05939、US94/01234、GB89/01334、GB91/01134、GB92/01755;WO90/14443、WO90/14424、WO90/14430、EP229246、EP592,106;EP519,596、EP239,400、米国特許番号5,565,332号、同第5,723,323号、同第5,976,862号、同第5,824,514号、同第5,817,483号、同第5,814,476号、同第5,763,192号、同第5,723,323号;同第5,766886号,同第5,714,352号、同第6,204,023号、同第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,225,539号、同第4,816,567号に記載されたもののような、当技術分野で公知の様々な技法を使用してヒト化され得る。
【0080】
他のタイプのライブラリが、抗原に結合するクローンに明示的に偏らない遺伝子の源からの抗体断片から構成されてもよい。したがって、「ナイーブ抗体」又は「天然抗体」ライブラリは、天然の、免疫されていない、再配列V遺伝子に由来する。「合成抗体」ライブラリは、1種以上のV遺伝子のCDR中に完全又はテイラード縮重の領域を導入して、全体的にインビトロ法によって構築される。「半合成ライブラリ」は、天然及び合成の多様性を組み合わせ、しばしば、所望のレベルの機能的多様性を維持したまま、天然多様性を増加させるために作成される。したがって、そのようなライブラリは、天然CDR領域をシャッフルすること(Soderlindら、Nat.Biotechnol.18:852~856頁(2000年))によって、又はヒトB細胞からの天然再配列CDR配列と合成CDR1及びCDR2多様性を組み合わせることに(Hoetら、Nat.Biotehnol.23:455~38頁(2005年))よって作成され得る。本開示は、ナイーブ/天然、合成及び半合成抗体ライブラリ、又はそれらの任意の組み合わせの使用を包含する。
【0081】
用語「Kabat番号付け」、「Kabat定義」及び「Kabat標識」は、本明細書で交換可能に使用される。当技術分野で認識されているこれらの用語は、抗体又はその抗原結合部位の重鎖及び軽鎖可変領域における他のアミノ酸残基よりも可変性(すなわち、超可変性)であるアミノ酸残基を番号付けする系を指す(Kabatら、(1971年)Ann.NYAcad.Sci.190:382~391頁及びKabat,E.A.ら、(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH公開番号91-3242)。重鎖可変性領域の場合、超可変領域は、CDR1についてアミノ酸位置31~35、CDR2についてアミノ酸位置50~65、及びCDR3についてアミノ酸位置95~102の範囲である。軽鎖可変性領域の場合、超可変領域は、CDR1についてアミノ酸位置24~34、CDR2についてアミノ酸位置50~56、及びCDR3についてアミノ酸位置89~97の範囲である。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「アクセプター」及び「アクセプター抗体」は、フレームワーク領域の1つ以上のアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%を与え又はコード化する抗体又は核酸配列を指す。一部の実施形態では、用語「アクセプター」は、定常領域を与え又はコード化する抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。さらに別の実施形態では、用語「アクセプター」は、フレームワーク領域及び定常領域の1つ以上を与え又はコード化する抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。具体的な実施形態では、用語「アクセプター」は、フレームワーク領域の1つ以上のアミノ酸配列の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%を与え又はコード化するヒト抗体アミノ酸又は核酸配列を指す。この実施形態によれば、アクセプターは、ヒト抗体の1つ以上の特定の位置には存在しない少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個又は少なくとも10個のアミノ酸残基を含有してもよい。アクセプターフレームワーク領域及び/又はアクセプター定常領域は、生殖系列抗体遺伝子、成熟抗体遺伝子、機能性抗体(例えば、当技術分野で周囲の抗体、開発中の抗体又は市販の抗体)に由来しても、それらから得られてもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「CDR」は、抗体可変配列内の領域を決定する相補性を指す。可変領域のそれぞれについて、CDR1、CDR2及びCDR3と表され、重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれに3種のCDRがある。本明細書で使用される場合の用語「CDRセット」は、抗体に結合することができる単一可変領域に存在する3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なる系によって異なって定義される。Kabatにより記載される系(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health、Bethesda、Md.(1987年)及び(1991年))は、抗体のいずれの可変領域にも適用可能な明確な残基番号付け系を提供するだけでなく、3種のCDRを定義する正確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称されてもよい。Chothia及び共同研究者(Chothia & Lesk、J.Mol.Biol.196:901~917頁(1987年)及びChothiaら、Nature 342:877~883頁(1989年))は、Kabat CDR内のある特定の下位部分が、アミノ酸配列のレベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほとんど同一のペプチド骨格立体配置を採用することを見出した。これらの下位部分は、L1、L2及びL3、又はH1、H2及びH3と表され、「L」及び「H」は、それぞれ、重鎖領域及び軽鎖領域を表す。これらの領域は、Kabat CDRと重複する境界を有する、Chothia CDRと称されもよい。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133~139(1995年))及びMacCallum(J Mol Biol 262(5):732~45頁(1996年))により記載されている。なお他のCDR境界定義は、上記系の1つに厳格に従わなくてもよく、それにもかかわらず、Kabat CDRと重複するが、それらは、特定の残基若しくは残基の群又はさらにはCDR全体が抗原結合性に有意には影響しないという予測又は実験的所見に照らしてみて短く又は長くされてもよい。本明細書で使用される方法は、これらの系のいずれかによって定義されるCDRを用いてもよいが、好ましい実施形態は、Kabat又はChothiaにより定義されたCDRを使用する。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「カノニカル(canonical)」残基は、Chothiaら(J.Mol.Biol.196:901~907頁(1987年);Chothiaら、J.Mol.Biol.227:799頁(1992年)、両方ともが参照により本明細書に組み込まれる)により定義されるとおりの特定のカノニカルCDR構造を定義する,CDR又はフレームワークにおける残基を指す。Chothiaらによれば、多くの抗体のCDRの決定的に重要な部分は、アミノ酸配列のレベルでの大きな多様性にかかわらず、ほとんど同一のペプチド骨格立体配置を有する。それぞれのカノニカル構造は、ループを形成するアミノ酸残基の近接セグメントに対して主として一組のペプチド骨格ねじれ角を特定する。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「ドナー」及び「ドナー抗体」は、1種以上のCDRを与える抗体を指す。好ましい実施形態では、ドナー抗体は、フレームワーク領域が得られる又は由来する抗体と異なる種からの抗体である。ヒト化抗体の文脈では、用語「ドナー抗体」は、1種以上のCDRを与える非ヒト抗体を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、CDRを引いた可変領域の残りの配列を指す。CDR配列の正確な定義は、異なる系によって決定され得るので、フレームワーク配列の意味付けは、対応して異なる解釈に従う。6種のCDR(軽鎖のCDR-L1、CDR-L2及びCD-L3並びに重鎖のCDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3)はまた、軽鎖及び重鎖上のフレームワーク領域を各鎖上の4種の下位領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)に細分し、ここで、CDR1は、FR1とFR2の間、CDR2は、FR2とFR3の間、及びCDR3は、FR3とFR4の間に位置付けられる。FR1、FR2、FR3又はFR4として特定の下位領域を特定することなく、フレームワーク領域は、他により言及される場合、単一の天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせたFRを表す。本明細書で使用される場合、FRは、4種の下位領域の1種を表し、FRsは、フレームワーク領域を構成する4種の下位領域の2種以上を表す。
【0087】
ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は、当技術分野で公知である。本開示の一実施形態では、ヒト重鎖及び軽鎖アクセプター配列は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号に開示された表3及び表4に記載された配列から選択される。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語「生殖系列抗体遺伝子」又は「遺伝子断片」は、特定の免疫グロブリンの発現のための遺伝子再配列及び突然変異をもたらす成熟過程を受けていない、非リンパ系細胞によりコード化された免疫グロブリン配列を指す。(例えば、Shapiroら、Crit.Rev.Immunol.22(3):183~200頁(2002年);Marchalonisら、Adv Exp Med.Biol.484頁;13~30頁(2001年)を参照されたい)。本開示の様々な実施形態により提供される利点の一つは、生殖系列抗体遺伝子が、成熟抗体遺伝子に比べて種において個人に特徴的な必須アミノ酸配列構造をより保存する傾向があり、したがって、その種において治療的に使用される場合に外来供給源由来であると認識される傾向がより低いという認識から生じている。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「キー」残基は、抗体、特にヒト化抗体の結合特異性及び/又は親和性により影響を与える可変領域内のある特定の残基を指す。キー残基には、限定されないが、以下の1つ以上が含まれる:CDRに隣接する残基、潜在性グルコシル化部位(N-又はO-グリコシル化部位であり得る)、希少残基、抗原と相互作用することができる残基、CDRと相互作用することができる残基、カノニカル残基、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間の接触残基、Vernierゾーン内の残基、及び可変重鎖CDR1のChothia定義と最初の重鎖フレームワークのKabat定義の間で重複する領域における残基。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」は、目的の抗原に免疫特異的に結合し、かつヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域及び非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又はそのバリアント、誘導体、アナログ若しくは断片である。本明細書で使用される場合、CDRの文脈における用語「実質的に」は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列に少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、CDR領域のすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに対応し、かつフレームワーク領域のすべて又は実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、FabC、Fv)の実質的にすべてを含む。好ましくは、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖と、重鎖の少なくとも可変ドメインとの両方を含有する。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3及びCH4領域を含んでもよい。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖を含有するのみである。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖を含有するのみである。具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメイン及び/又はヒト化重鎖を含有するのみである。
【0091】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgE、並びに限定することなく、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含めて、任意のアイソタイプを含む、免疫グロブリンの任意のクラスから選択され得る。ヒト化抗体は、2つ以上のクラス又はアイソタイプからの配列を含んでもよく、特定の定常ドメインは、当技術分野で周知の技法を使用して所望のエフェクタ機能を最適化するように選択されてもよい。
【0092】
ヒト化抗体のフレームワーク及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、ドナー抗体CDR又はコンセンサスフレームワークは、その部位でのCDR又はフレームワーク残基がドナー抗体又はコンセンサスフレームワークのいずれにも対応しないように、少なくとも1個のアミノ酸残基の置換、挿入及び/又は欠失によって突然変異誘発されてもよい。好ましいい実施形態では、しかしながら、そのような突然変異は、広範ではない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%は、親のFR及びCCDR配列のものに対応する。本明細書で使用される場合、用語「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域を指す。本明細書で使用される場合、用語「コンセンサス免疫グロブリン配列」は、関連免疫グロブリン配列のファミリーにおける最も頻繁に存在するアミノ酸(又はヌクレオチド)から形成された配列を指す(例えば、Winnaker、From Genes to Cloes(Verlagsgesellschaft、Weinheim、独国 1987年を参照されたい)。免疫グロブリンのファミリーでは、コンセンサス配列の各位置は、ファミリーのその位置に最も頻繁に存在するアミノ酸によって占められている。2個のアミノ酸が等しく頻繁に存在する場合、いずれもコンセンサス配列に含めることができる。
【0093】
本開示の一実施形態では、ヒト化抗IL-13抗体は、13C5.5である。13C5.5は、配列番号2(重鎖可変領域)及び配列番号3(軽鎖可変領域)の配列を有する。その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号も参照されたい。
【0094】
重鎖可変領域13C5.5(配列番号2)
【0095】
【化2】
【0096】
軽鎖可変領域13C5.5(配列番号3)
【0097】
【化3】
13C5.5は、インターロイキン13(IL-13)のヘリックスA及びDに大きい親和性で結合するヒト化抗体である(米国特許出願公開第2014/0341913号を参照されたい)。
【0098】
IL-13抗体の他の代表例は、当技術分野で公知である。一実施形態では、抗体は、6A1、3G4、トラロキヌマブ、レブリキズマブ、QAZ-576、IMA-638若しくはIMA-026、又はそれらの抗原結合部位である。例えば、米国特許第7,195,388号(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)の表5は、本開示の組成物及び/又は方法で使用される好ましい抗IL-13抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列の一覧を提供する。これらの単離された抗IL-13抗体CDR配列は、本開示によって単離され、米国特許第7,195,388号(その内容は、参照により本明細書に組み込まれる)の表6に一覧化されたCDR配列を含むポリペプチドを含む、IL-13結合タンパク質のファミリーを確立する。IL-13及び/又はIL-13に対して好ましいIL-13結合及び/又は中和活性を有する、本開示のCDRを作製及び選択するために、限定されないが、本明細書で具体的に記載されるものを含めて、本開示の結合タンパク質を作製し、それらの結合タンパク質のIL-13及び/又はIL-13結合及び/又は中和特性を評価するために、当技術分野で公知の標準的方法が使用されてもよい。
【0099】
本開示の抗体及びそれらの抗原結合対応物は、中和抗体である。本明細書で使用される場合、用語「中和する(neutralizing)」は、結合タンパク質がサイトカインに特異的に結合する場合のサイトカインの生物学的活性の中和を指す。好ましくは、中和結合タンパク質は、IL-13及び/又はIL-13への結合がIL-13及び/又はIL-13の生物学的活性の阻害をもたらす中和抗体である。好ましくは、中和結合タンパク質は、IL-13及び/又はIL-13に結合し、IL-13及び/又はIL-13の生物学的活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上低下させる。中和結合タンパク質によるIL-13及び/又はIL-13の生物学的活性の阻害は、当技術分野で周知のIL-13及び/又はIL-13生物学的活性の1種以上の指標を測定することによって評価され得る。例えば、A-549細胞によるTARC(CCL-17)のヒトIL-13誘導産生の阻害は、測定され得る(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号の実施例1.1.Cを参照されたい)。
【0100】
用語「活性」は、抗原に対する抗体、例えば、IL-13抗原に結合する抗IL-13抗体の結合特異性/親和性、及び/又は抗体、例えば、IL-13へのその結合がIL-13の生物学的活性を阻害する抗IL-13抗体の中和効力、例えば、A-549細胞によるTARC(CCL-17)のヒトIL-13誘導産生の阻害(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,915,388号の実施例1.1.Cを参照されたい)のような、活性が含まれる。
【0101】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のポリペプチド決定因子を含む。ある特定の実施形態では、エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニルのような、分子の化学的に活性な表面化学基を含み、ある特定の実施形態では、特異的3次元構造特性及び/又は特異的電荷特性を有してもよい。エピトープは、抗体により結合される抗原の領域である。ある特定の実施形態では、抗体は、タンパク質及び/又はマクロ分子の複雑混合物中にその標的抗原を優先的に認識する場合に、抗原に特異的に結合すると言われている。
【0102】
任意の公知の方法が、抗体-抗原相互作用を検出すために用いられてもよい。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)は、例えば、BIACORE系(Pharmacia Biosensor、Piscataway、N.J.)を使用して、バイオセンサマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によって二重特異性相互作用の分析を可能にする光学現象である。例えば、Jonssonら(1993年)Ann.Biol.Clin.51:19~26頁;Jonssonら、(1991年)Biotechniques 11:620~627頁;Johnssonら、(1995年)J.Mol.Recognit.8:125~131頁;及びJohnnson,B.ら、(1991年)Anal.Biochem.198:268~277頁を参照されたい。
【0103】
本開示の方法の文脈で使用される抗IL-13抗体は、pH依存性結合特性を有してもよい。例えば、本開示の方法における使用のための抗IL-13抗体は、中性pHと比較して酸性pHでIL-13への結合性の低下を示し得る。あるいは、本開示の抗IL-13抗体は、中性pHと比較して酸性pHでその抗原への結合性の増強を示し得る。表現「酸性pH」は、約6.2未満、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0又はそれ未満のpH値を含む。本明細書で使用される場合、表現「中性pH」は、約7.0~約7.4のpHを意味する。表現「中性pH」は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7・25、7.3、7.35及び7.4のpH値を含む。
【0104】
ある特定の場合では、「中性pHと比較して酸性pHでのIL-13への結合性の低下」は、酸性pHでのIL-13への抗体結合性のK値と、中性pHでのIL-13への抗体結合性のK値との比によって表現される(又は逆の場合も同じ)。例えば、抗体又はその抗原結合断片は、抗体又はその抗原結合断片が約3.0以上の酸性/中性KD比を示す場合、本開示の目的のために「中性pHと比較して酸性pHでのIL-13への結合性の低下」を示すと見なされてもよい。ある特定の例示的な実施形態では、本開示の抗体又は抗原結合断片のための酸性/中性KD比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0、又はそれより大きくあり得る。
【0105】
pH依存性結合特性を有する抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHで特定の抗原への結合性の低下(又は増加)について抗体の集団を選別することによって、得られてもよい。さらに、アミノ酸レベルでの抗原結合ドメインの改変は、pH依存性特性を有する抗体をもたらし得る。例えば、抗原結合ドメイン(例えば、CDR内の)の1個以上のアミノ酸をヒスチジン残基に置換することによって、中性pHに対して酸性pHでの抗原結合性の低下を有する抗体が得られてもよい。本明細書で使用される場合、表現「酸性pH」は、6.0以下のpHを意味する。
【0106】
上述の抗体は、所望の特性、例えば、生理学的安定性、半減期の増加、生物学的利用率の増加などを達成するために他の部分及び/又は薬剤にコンジュゲートされてもよい。用語「コンジュゲート」は、治療剤又は細胞毒性剤のような、第2の化学的部分に化学的に連結された、抗体のような、結合タンパク質を指す。他の場合では、化学的部分は、診断剤、例えば、放射性リガンドであってもよい。用語「剤」は、化合物、化合物の混合物、生物学的マクロ分子又は生物学的材料から作られた抽出物を表すために本明細書で使用される。好ましくは、治療剤又は細胞毒性剤には、限定されないが、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルキシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、マイトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール及びプロマイシン、並びにそれらのアナログ又はホモログが含まれる。
【0107】
用語「調節する(regulate)」及び「調節する(modulate)」は、交換可能に使用され、本明細書で使用される場合、目的の分子の活性の変化(change)又は変更(alteration)を指す。調節は、目的の分子のある特定の活性又は機能の大きさの増加又は減少であってもよい。分子の例示的な活性及び機能には、限定されないが、結合特性、酵素活性、細胞受容体活性化及びシグナル伝達が含まれる。
【0108】
対応して、用語「調節物質」は、本明細書で使用される場合、目的の分子の活性又は機能(例えば、IL-13の生物学的活性)を変化させ又は変更することができる化合物である。例えば、調節物質は、調節物質の非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある特定の活性又は機能の大きさの増加又は低下を引き起こし得る。ある特定の実施形態では、調節物質は、分子の少なくとも1つの活性又は機能の大きさを低下させる阻害剤である。例示的な阻害剤には、限定されないが、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディ、炭水化物又は小有機分子が含まれる。ペプチボディは、例えば、WO01/83525に記載されている。
【0109】
用語「アゴニスト」は、本明細書で使用される場合、目的の分子と接触したときに、アゴニストの非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある特定の活性又は機能の大きさの増加を引き起こす調節物質を指す。目的の特定のアゴニストには、限定されないが、IL-13ポリペプチド若しくはポリペプチド、核酸、炭水化物、又はIL-13に結合する任意の他の分子が含まれ得る。
【0110】
用語「アンタゴニスト」又は「阻害剤」は、本明細書で使用される場合、目的の分子と接触したときに、アンタゴニストの非存在下で観察される活性又は機能の大きさと比較して、分子のある特定の活性又は機能の大きさの低下を引き起こす調節物質を指す。目的の特定のアンタゴニストには、IL-13及び/又はIL-13vの生物学的又は免疫学的活性を遮断又は調節するものが含まれる。IL-13及び/又はIL-13vのアンタゴニスト及び阻害剤には、限定されないが、タンパク質;核酸、炭水化物、又はIL-13若しくはIL-13vに結合する任意の他の分子が含まれてもよい。
【0111】
用語「受容体への結合を阻害する」は、IL-13の受容体の1つ以上へのIL-13の結合を防止するための結合タンパク質の能力を指す。受容体への結合のそのような阻害は、IL-13の受容体(単数)又は受容体(複数)へのIL-13の結合によって媒介される生物学的活性の減少又は消失をもたらす。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、障害若しくはその1つ以上の症状の重症度及び/若しくは期間を減少させ又は改善し、障害の前進を防止し、障害の回帰を引き起こし、障害に伴う1つ以上の症状の再発、進展、発症若しくは進行を防止し、障害を検出し、又は別の治療(例えば、予防剤又は治療剤)の予防若しくは治療効果を増強し若しくは改善するのに十分である、抗体又はその抗原結合部分の量を指す。
【0113】
A.医薬組成物
本開示は、IL-13抗体又はその抗原結合部分を対象に投与するステップを含む方法を含み、ここで、IL-13抗体又はその抗原結合部分が医薬組成物内に含有される。医薬組成物は、適当な担体、賦形剤、及び適当な移行、送達、耐容性などを与える他の薬剤と製剤化されてもよい。多数の適当な製剤が、すべての医薬化学者に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Paに見出すことができる。これらの製剤には、例えば、散剤、ペースト剤、軟膏剤、ゼリー剤、ワックス剤、油剤、脂質剤、ベシクルを含有する脂質剤(カチオン性又はアニオン性)(LIPOFECTIN(商標)のような)、DNAコンジュゲート剤、無水吸収ペースト剤、水中油型及び油中水型エマルジョン剤、エマルジョンカーボワックス剤(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル剤、及びカーボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998年)J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照されたい。
【0114】
様々な送達系、例えば、リポソーム中のカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、突然変異ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシスが、公知であり、医薬組成物を投与するために使用され得る(例えば、Wuら、1987年、J.Biol、Chem.262:4429~4432頁を参照されたい)。投与方法には、限定されないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外及び経口経路が含まれる。組成物は、任意の都合のよい経路、例えば、輸液又はボーラス注射、上皮又は粘膜皮膚層(例えば、口腔粘膜、直腸及び小腸粘膜など)を通しての吸収によって投与されてもよく、他の生物学的活性剤と一緒に投与されてもよい。
【0115】
医薬組成物は、標準的なニードル及びシリンジで皮下又は静脈内に送達され得る。さらに、皮下送達に関して、ペン送達デバイスは、医薬組成物の送達に容易に適用できる。そのようなペン送達デバイスは、再使用可能又は使い捨て可能であり得る。再使用可能ペン送達デバイスは、一般に医薬組成物を含む取り替え可能なカートリッジを用いる。一旦カートリッジ内の医薬組成物のすべてが投与されてしまい、カートリッジが空になると、空のカートリッジは容易に廃棄され、医薬組成物を含む新しいカートリッジと取り替えられ得る。次いで、ペン送達デバイスは、再使用され得る。使い捨て可能なペン送達デバイスでは、置き換え可能なカートリッジはない。むしろ、使い捨て可能なペン送達デバイスは、医薬組成物を事前に充填されて、それをデバイス内の貯槽に保持している。一旦貯槽が医薬組成物について空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0116】
ある特定の状況では、医薬組成物は、制御放出システムで送達され得る。一実施形態では、ポンプが使用されてもよい。別の実施形態では、ポリマー材料が使用され得る;Medical Applications of Controlled Release、Langer及びWise(編)、1974年、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.を参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、組成物の標的に近接して置かれ、したがって、全身用量のほんの一部だけを必要とし得る(例えば、Goodson、1984年、in Medical Applications of Controlled Release、上記、第2巻、115~138頁を参照されたい)。他の制御放出システムは、Langer、1990年、Science 249:1527~1533頁による総説で検討されている。
【0117】
注射可能調製物は、静脈内、皮下、皮内及び筋内注射、点滴静注などのための剤形を含んでもよい。これらの注射可能調製物は、公知の方法で調製されてもよい。例えば、注射可能調製物は、例えば、上に記載された抗体又はその塩を注射に慣用的に使用される滅菌水性媒体又は油性媒体に溶解、懸濁又は乳化させることによって、調製されてもよい。注射用の水性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50モル)付加物))のような適切な可溶化剤と組み合わせて使用されてもよい、生理学的食塩水、グルコース及び他の補助剤を含有する等張液などである。油性媒体としては、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用されてもよい、ゴマ油、大豆油などが用いられる。そのように調製された注射剤は、好ましくは適切なアンプル内に充填される。
【0118】
好都合には、上に記載された経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に合うのに適した単位用量で剤形に調製される。そのような単位用量での剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル剤)、坐剤などが含まれる。
【0119】
本開示の文脈で使用され得る抗IL-13抗体を含む、例示的な医薬組成物は、例えば、その全内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0097565号に開示されている。
【0120】
本開示は、上述のIL-13抗体及びその抗原結合部分の1種以上並びに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。さらに、関連実施形態では、本開示は、上述のIL-13抗体及びその抗原結合部分の1種以上並びに診断試験のための複数の試薬、緩衝剤及び担体を含む、診断組成物を提供する。この態様によれば、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与又は筋内投与のために製剤化されてもよい。なおさらにこの態様によれば、医薬組成物は、マイクロニードルパッチとして皮下投与のために製剤化されてもよい。医薬組成物は、ボーラス注射又は時間にわたる漸進的灌流による非経口投与のために製剤化されてもよい。診断組成物は、インビトロ、インビボ又はエクスビボ適用のために製剤化されてもよい。
【0121】
上述のIL-13抗体及びその抗原結合部分を医薬組成物及び/又は診断組成物に製剤化する際に使用される例示的な薬剤は、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0341913号で与えられている。具体的には、上述のIL-13抗体及びその抗原結合部分をEoEの治療のための医薬組成物に製剤化する際に使用される例示的な薬剤は、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0017176号で与えられている。
【0122】
B.投与量及び投与
本開示の方法によって対象に投与される、IL-13抗体又はその抗原結合部分の量は、一般に治療有効量である。本明細書で使用される場合、語句「治療有効量」は、(a)好酸球性食道炎の症状の重症度又は期間の減少;(b)食道における好酸球の数の減少;(c)アレルギー反応の防止又は緩和;及び(d)従来のアレルギー治療のための使用又は必要性の減少(例えば、抗ヒスタミン、充血除去剤、鼻又は吸入ステロイド、抗IgE治療、エピネフリンなどの使用の減少又は排除)の1つ以上をもたらす、IL-13抗体又はその抗原結合部分の量を意味する。
【0123】
抗IL-13抗体又はその抗原結合部分の場合では、本発明は、治療有効量が約180mg~約360mgの抗体又はその抗原結合部分であり、毎週投与レジメンで皮下に投与されたことを実証する、第2相臨床試験の意外な結果を提供する。一実施形態では、治療有効量は、約180mgの抗体又はその抗原結合部分である。別の実施形態では、治療有効量は、約360mgの抗体又はその抗原結合部分である。一実施形態では、治療有効量は、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg又はそれを超える抗IL-13抗体又はその抗原結合部分であり得る。別の実施形態では、治療有効量は、約160mg~約200mgの抗体又はその抗原結合部分である。別の実施形態では、治療有効量は、約340mg~約380mgの抗体又はその抗原結合部分である。別の実施形態では、治療有効量は、約160mg~約200mgの抗体又はその抗原結合部分である。別の実施形態では、治療有効量は、約160mg~約200mg、約170mg~約210mg、約180mg~約220mg、約190mg~約230mg、約200mg~約240mg、約210mg~約250mg、約220mg~約260mg、約230mg~約270mg、約240mg~約280mg、約250mg~約290mg、約260mg~約300mg、約270mg~約310mg、約280mg~約320mg、約290mg~約330mg、約300mg~約340mg、約310mg~約350mg、約320mg~約360mg、約330mg~約370mg、又は約340mg~約380mgの抗体又はその抗原結合部分である。
【0124】
一実施形態では、本開示の組成物は、1回投与される。別の実施形態では、組成物は、毎週投与される。別の実施形態では、組成物は、2週間投与される。別の実施形態では、組成物は、3週間投与される。別の実施形態では、組成物は、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、13ヶ月間、14ヶ月間、15ヶ月間、16ヶ月間、17ヶ月間、18ヶ月間、19ヶ月間、20ヶ月間、21ヶ月間、22ヶ月間、23ヶ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間、疾患の期間又は対象の寿命の間投与される。
【0125】
一実施形態では、組成物は、皮下に投与される。別の実施形態では、組成物は、静脈内に投与される。一実施形態では、組成物は、1投与について静脈内に、続いて、毎週皮下投与量投与される。一実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の第1の投与は、静脈内に5mg/kgの投与量であり、続いて、抗体又はその抗原結合部分の毎週皮下投与が、180mgの投与量である。別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の第1の投与は、静脈内に10mg/kgの投与量であり、続いて、抗体又はその抗原結合部分の毎週皮下投与が、360mgの投与量である。
【0126】
医薬組成物の用量は、受容者の年齢、性別、健康及び体重、もしあれば同時治療の種類、治療の頻度並びに所望される効果の性質に依存して、変更されてもよい。前臨床若しくは臨床治療剤及び臨床診断剤として使用される製剤は、診断及び治療の許容された原理を用いて、熟練者により作製されてもよい。組成物のための用量範囲は、所望の効果を生じるために十分に大きくてもよい。同様に、診断組成物の用量は、診断の性質、例えば、インビボに対してのインビトロでの適用に依存して変更されてもよい。例えば、放射性標識、比色分析部分、蛍光部分、化学発光部分、酵素部分及び免疫原性部分から選択される診断剤に抗体をキレートして、IL-13抗体及びその抗原結合部分を診断剤に製剤化する方法は、当技術分野で公知である。
【0127】
上述の組成物及び医薬調製物は、キットの形態でパッケージされてもよい。本明細書で使用される場合の用語「キット」は、IL-13関連障害の治療のために本開示の抗IL-13抗体をそれと一緒に投与するための構成要素を含むパッケージ化製品を指す。キットは、好ましくはキットの構成要素を保持する箱又は容器を含む。箱又は容器は、標識又は食品医薬局承認プロトコルを添付される。箱又は容器は、好ましくはプラスチック、ポリエテイレン、ポリプロピレン、エチレン又はプロピレンベッセル内に収容される本開示の構成要素を保持する。ベッセルは、キャップ付きチューブ又はボトルであり得る。キットは、抗IL-13抗体を投与するための使用説明書も含み得る。
【0128】
C.組み合わせ治療
用語「組み合わせ治療」は、本明細書で使用される場合、2種以上の治療物質、例えば、抗IL-13抗体及び別の薬剤の投与を指す。他の薬物が、抗IL-13抗体の投与と同時に、前に、又は続いて投与されてもよい。特に、追加の薬剤は、好酸球性障害の診断及び/又は治療に有用である薬剤である。とりわけ、追加の薬剤は、好酸球性胃腸障害(EGID)の治療/診断に有用である薬剤である。
【0129】
EGIDの診断及び/又は治療の文脈では、追加の薬剤は、治療剤、画像化剤、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、キナーゼ阻害剤、共刺激分子遮断剤、接着分子遮断剤、抗サイトカイン抗体又はその機能性断片、メトトレキサート、シクロスポリン、ラパマイシン、FK506、検出可能標識又はレポータ、TNFアンタゴニスト、抗リウマチ剤、筋肉弛緩剤、麻薬、非ステロイド抗炎症薬(NASAID)、鎮痛剤、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断剤、抗微生物剤、抗乾癬剤、コルチコステロイド、タンパク質同化性ステロイド、エリトロポエチン、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤、成長ホルモン、ホルモン補充薬、放射性医薬、抗鬱剤、抗精神病剤、刺激剤、喘息の医薬品、ベータアゴニスト、吸入ステロイド、経口ステロイド、エピネフリン又はアナログ、サイトカイン及びサイトカインアンタゴニストからなる群から選択されてもよい。
【0130】
特にEGIDの治療の文脈では、追加の薬剤は、IL-1β阻害剤、IL-5阻害剤、IL-9阻害剤、IL-17阻害剤、IL-25阻害剤、TNF-α阻害剤、エオタキシン-3阻害剤、IgE阻害剤、プロスタグランジンD2阻害剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、プロトンポンプ阻害剤、NSAID、アレルゲン除去のための薬剤、食事管理を補助する薬剤からなる群から選択される。
【0131】
語句「第2の薬剤と組み合わせての第1の薬剤」における場合の用語「組み合わせ」は、例えば、同じ薬学的に許容される担体に溶解若しくは混ぜ合わされてもよい第1の薬剤及び第2の薬剤の共投与、又は第1の薬剤に続く第2の薬剤の投与、又は第2の薬剤に続く第1の薬剤の投与を含む。したがって、本開示は、組み合わせ治療処置の方法及び組み合わせ医薬組成物を含む。
【0132】
語句「同時治療処置」における場合の用語「同時の」は、第2の薬剤の存在下での薬剤の投与を含む。同時治療処置方法は、第1、第2、第3又は追加の薬剤が共投与される方法を含む。同時治療処置方法は、第1又は追加の薬剤が、第2又は追加の薬剤の存在下で投与され、ここで、例えば、第2又は追加の薬剤は、前に投与されていてもよい方法も含む。同時治療処置方法は、異なる行為者によって段階的に実行されてもよい。例えば、ある行為者が第1の薬剤を対象に投与してもよく、第2の行為者が第2の薬剤を対象に投与してもよく、投与ステップは、同時に、若しくはほとんど同時に、又は第1の薬剤(及び追加の薬剤)が、第2の薬剤(及び追加の薬剤)の存在下での投与後である限り、異なる時間で実行されてもよい。行為者と対象者は同じ存在(ヒト)であってよい。
【0133】
II.IL-13活性が有害である障害
本明細書で使用される場合、用語「IL-13活性が有害である障害」は、障害を患っている対象におけるIL-13の存在が、障害の病態生理又は障害の悪化に寄与する要因の原因である又は疑われることが示されている疾患及び他の障害を含むことが意図される。一実施形態では、IL-13活性が有害である障害は、喘息、例えば、軽度喘息又は中等度喘息である。別の実施形態において、IL-13活性が有害である障害は、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0134】
したがって、IL-13活性が有害である障害は、IL-13活性の低下が、障害の症状及び/又は進行を緩和すると予想される障害である。例えば、そのような障害は、例えば、上に記載されたとおりの抗IL-13抗体を使用して検出され得る、障害を患っている対象の生物体液中のIL-13の濃度の増加(例えば、対象の血清、血漿、滑液などの濃度の増加)によって証明されてもよい。本発明の抗体で治療され得る障害の非限定的な例には、喘息、例えば、軽度又は中等度喘息、好酸球性食道炎のみならず、本発明の抗体の医薬組成物に関連して以下のセクションで検討される障害も含まれる。
【0135】
IL-13は、喘息及びEoeに伴う病理学的応答を引き起こす際に極めて重要な役割を有すると暗示されている。しかしながら、異なる免疫学的経路の他の媒介物も、疾患病因に関与しており、IL-13に加えて、これらの媒介物の遮断は、追加の治療利益を与え得る。
【0136】
A.好酸球性食道炎(EoE)のような、好酸球性障害
一実施形態では、本明細書に開示される抗IL-13抗体及びその抗原結合部分を使用して治療され得る好酸球性障害は、好酸球性胃腸障害(EGID)である。好酸球性胃腸障害は、好酸球増加の公知の原因(例えば、薬物反応、寄生虫感染及び悪性)の非存在下での好酸球に富む炎症によって胃腸管を選択的に冒す障害と定義される。本開示の組成物で治療可能であるEGID(「本開示の障害」と集合的に称される)の例には、限定されないが、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性胃炎(EoG)、好酸球性十二指腸炎(ED)、好酸球性空腸炎(EJ)、好酸球性回腸炎(EI)、及び好酸球性大腸炎(EC)が含まれる。
【0137】
上述の疾患は、対象に個別又は集合的に存在していてもよい。診断の頻度は、年齢、性別、人種並びに他の関連する遺伝的及び/又は環境的要因に依存して変わってもよい。例えば、好酸球性食道炎(アレルギー性食道炎)は、恐らく、人口のおよそ1%を冒している、最も一般的なEGIDである。EoEは、好酸球の浸潤を伴う、食道のアレルギー性炎症状態である(Aroraら、Gastroenterology and Hepatology、第2巻、第7号、523~530頁(2004年))。他方で、好酸球性胃腸炎(EG)は、胃腸組織、例えば、胃を裏張りする組織、小腸及び大腸の斑状又は拡散性好酸球浸潤を特徴とする稀で、不均一な状態である(Whitakerら、Eur J Gastroenterol Hepatol.、16(4):407~9頁(2004年))。好酸球性十二指腸炎(ED)は、小児患者に最も頻繁に観察され、ロイコトリエンの産生をもたらす小腸の好酸球性炎症を特徴とする(Gaertnerら、Gasstroenterology Research and Practice、Article ID857508(2011年))。好酸球性回腸炎(EI)は、回腸への好酸球及び肥満細胞の大量浸潤を特徴とし、腸壁の穿孔及びリモデリングを頻繁に特徴とする(Lombardiら、Allergy、62、1343~1345頁(2011年))。好酸球性空腸炎(EJ)は、腸における好酸球の浸潤を特徴とする稀な障害であり、腹部痛、及び体重減少と同時の閉塞症状を特徴とする(Caliskanら、Langenbecks Arch Surg.、395:99~101頁(2010年))。
【0138】
「好酸球性食道炎」(EoE)は、本明細書で使用される場合、食道内の異常な好酸球性炎症及び食道機能不全を特徴とする炎症性疾患を指す。EoEの主要な症状には、限定されないが、胸部及び腹部痛、嚥下障害、胸焼け、食物拒絶、嘔吐並びに食物のつかえが含まれる。EoEの臨床病理は、食道壁における隆起又は気管様リングの存在及び食道粘膜における好酸球浸潤を特徴とする。EoEは、現在、食道の内視鏡検査、続いて、食道粘膜層の顕微鏡的及び生化学的分析によって診断されている。EoEは、対象の状態に依存してアレルギー又は非アレルギーと分類されてもよい。一実施形態では、本明細書で開示される方法は、アレルギー性EoEを治療するために有用である。別の実施形態では、本明細書で開示される方法は、非アレルギー性EoEを治療するために有用である。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「治療する(treat)」又は「治療する(treating)」などは、一時的又は永久的基準のいずれかで症状を緩和し、症状の因果関係を除去する又は食道における好酸球性炎症の症状の出現を防止若しくは遅延することを意味する。ある特定の実施形態では、本方法は、好酸球性障害、例えば、EoEに伴う症状又は適応の出現率を減少させるために有用である。本開示の特定の実施形態は、好酸球性障害に伴う少なくとも1つの症状又は適応を治療又は改善する方法に関する。
【0140】
これらの実施形態では、本方法は、好酸球性胃腸障害(EGID)の少なくとも1つの症状又は適応を治療又は改善するために有用である。EGIDは、特に好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性胃炎(EoG)、好酸球性十二指腸炎(ED)、好酸球性空腸炎(EJ)、好酸球性回腸炎(EI)、及び好酸球性大腸炎(EC)からなる群から選択される。この実施形態によって治療可能である症状又は適応は、限定されないが、好酸球浸潤、GI管のリモデリング、穿孔、炎症、排便の閉塞、便秘、腹部痛、体重減少などが含まれる。
【0141】
具体的には、本方法は、好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は適応を治療又は改善するために有用である。この実施形態によって治療可能であるEoEに伴う症状又は適応には、限定されないが、食道の炎症、食道壁の肥厚、食道における気管様リング又は隆起の出現、胸部及び腹部痛、食物拒絶、嘔吐、嚥下障害並びに食物のつかえが含まれる。
【0142】
これらの実施形態では、本開示の治療組成物は、そのような組成物を必要としている対象に投与される。本明細書で使用される場合、表現「それを必要としている対象」は、好酸球性障害の1つ以上の症状若しくは適応を示し及び/又は好酸球性障害と診断されているヒト又は非ヒト哺乳動物を意味する。特に、対象は、EGIDに伴う1つ以上の症状又は適応を示し、ここで、EGIDは、EoE、EG、ED、EI、EJ及びECからなる群から選択される。とりわけ、対象は、好酸球性食道炎(EoE)に伴う1つ以上の症状又は適応を示す。
【0143】
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、1つ以上のEGID関連マーカーのレベルの上昇を示す対象を治療するために使用されてもよい。例えば、本開示の方法は、血清IgE(アレルゲン特異的IgE若しくはIgEの世界的プール又は両方)レベルの上昇又は上昇エオタキシン-3レベルの上昇を有する対象を治療するステップを含む。他の実施形態では、対象は、肥満細胞、粘膜の好酸球浸潤の増強、上皮内層の肥厚、嚥下障害、食物のつかえ、胸部及び腹部痛、又はそれらの組み合わせのような、例えば、炎症促進性媒介物の過剰発現のような他の生理学的マーカーを示してもよい。一実施形態では、レベルの上昇は、EoEを有しない対象におけるマーカーの対照レベルと比較してマーカー発現の2倍の増加である。一実施形態では、レベルの上昇は、EoEを有しない対象におけるマーカーの対照レベルと比較してマーカー発現の3倍、4倍又は5倍の増加である。
【0144】
EoEの治療に関する実施形態では、本開示の方法は、EoE関連マーカーの上昇レベルを有する対象を治療するステップを含む。EoE関連マーカーの例には、限定されないが、例えば、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)並びに好酸球増加由来神経毒素(EDN)からなる群から選択される分子が含まれる。他の関連のEoE関連マーカーには、例えば、食道における高倍率視野(HPF)当たり15以上の好酸球数の計数、末梢好酸球計数の上昇(>300細胞/μL)若しくは血清IgEの上昇(>150kU/L)、又はそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、レベルの上昇は、EoEを有しない対象におけるマーカーの対照レベルと比較してマーカー発現の2倍の増加である。一実施形態では、レベルの上昇は、EoEを有しない対象におけるマーカーの対照レベルと比較してマーカー発現の3倍、4倍又は5倍の増加である。
【0145】
一実施形態では、対象又は患者は、動物、好ましくは哺乳動物又は鳥である。特に好ましくは、対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、バッファロー及びウマからなる群から選択される。最も好ましくは、対象はヒト対象である。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書での方法は、3歳未満である小児対象における好酸球性障害(例えば、EoE)を治療するために使用されてもよい。例えば、本方法は、1ヶ月齢未満、2ヶ月齢未満、3ヶ月齢未満、4ヶ月齢未満、5ヶ月齢未満、6ヶ月齢未満、7ヶ月齢未満、8ヶ月齢未満、9ヶ月齢未満、10ヶ月齢未満、11ヶ月齢未満又は12ヶ月齢未満である、幼児対象を治療するために使用されてもよい。他の実施形態では、本開示の方法は、3年齢を超える、4年齢を超える、5年齢を超える、6年齢を超える、7年齢を超える、8年齢を超える、9年齢を超える、10年齢を超える、11年齢を超える、12年齢を超える、13年齢を超える、14年齢を超える又は15年齢を超える(間でのすべての年齢を含む)小児を治療するために使用されてもよい。
【0147】
関連実施形態では、本明細書での方法は、成人対象におけるEoEを治療するために使用されてもよい。「成人」は、対象の年齢が、少なくとも16歳であることを意味し、例えば、16歳、17歳、18歳、19歳、20歳、25歳、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳、80歳、90歳又はそれより大きい対象を含む(これらの間のすべての年齢を含む)。
【0148】
一実施形態では、本明細書で開示されるのは、好酸球性障害に伴う少なくとも1つの症状を示す対象を最初に選択し、その対象に治療有効量のインターロイキン-13抗体又はその抗原結合部分を投与するステップを含む、好酸球性障害の少なくとも1つの症状の改善を必要としている対象における、症状を治療又は改善する方法である。
【0149】
1.対象の選択
一実施形態では、本方法は、EoEを有する対象を最初の選択するステップを含む。一実施形態では、本方法は、EoEと診断されている対象を最初に選択するステップを含む。特に、対象は、EGIDに伴う少なくとも1つの症状又は適応を示すヒト対象である。とりわけ、対象は、EoE、EG、ED、EI、EJ及びECからなる群から選択されるEGIDに伴う少なくとも1つの症状又は適応を示すヒト対象である。第2のステップは、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む本開示の組成物を投与するステップを含む。
【0150】
本実施形態の文脈では、選択ステップは、好酸球性障害により感受性である集団のサブセットを同定するために使用されてもよい。これらの実施形態では、対象は、好酸球性障害に伴う特定の形質又は状態を示してもよい。例えば、「治療を必要としている対象」は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎のような、アトピー性疾患又は障害を患っている対象を含んでもよい。ある特定の実施形態では、用語「治療を必要としている対象」は、好酸球性障害のための治療の前に又はその時点で、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎又はアレルギー性結膜炎と診断された又は診断されている対象を含む。他の実施形態では、用語「治療を必要としている対象」は、遺伝性結合組織障害に罹っている対象のサブセットを含んでもよい。
【0151】
他の実施形態では、選択ステップは、IL-13抗体又はその抗原結合部分による治療からより利益を受けるようである集団のサブセットを同定するために使用されてもよい。そのような集団のサブセットの例は、少なくとも1種のステロイド剤による治療を前に受けているが、反応しない、難治性又はステロイド剤による治療から再発していると思われるEoE患者である。
【0152】
感受性対象集団の選択を追加的に含む治療実施形態では、本方法は、EGIDと関連している疾患特異的マーカーを検出するための1種以上の試薬及び/又はツールを実行するステップを含んでもよい。例えば、EGID関連マーカーは、IgEレベルの上昇又はエオタキシン-3レベルのような、タンパク質マーカーを含んでもよい。他の実施形態では、EGID関連マーカーは、生理学的マーカー、例えば、炎症促進性媒介物の食道過剰発現、粘膜内層の好酸球浸潤のレベルの増強、上皮の肥厚、嚥下障害、食物のつかえ、胸部及び腹部痛、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。上述のマーカー、例えば、バイオマーカー及び生理学的マーカーの組み合わせがまた、用いられもよい。
【0153】
EoE特異的対象を治療する文脈では、本開示の方法は、EoE特異的マーカーの検出に基づいてEoEを患っている対象のサブセットを第1に同定するステップを伴う。EoE特異的マーカーの例には、バイオマーカー、例えば、タンパク質マーカー及び生理学的マーカーが含まれる。例えば、EoE特異的バイオマーカーは、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)並びに好酸球増加由来神経毒素(EDN)からなる群から選択される分子であってよい。EoE関連生理学的マーカーの例には、例えば、食道における高倍率視野(HPF)当たり15以上の好酸球数の計数、末梢好酸球計数の上昇(>300細胞/μL)若しくは血清IgEの上昇(>150kU/L)、又はそれらの組み合わせが含まれる。上述のマーカー、例えば、バイオマーカー及び生理学的マーカーの組み合わせがまた、用いられてもよい。
【0154】
選択ステップは、交互に又は追加的に、好酸球浸潤の決定、GI管のリモデリング、穿孔、炎症、排便の閉塞、便秘、腹部痛、体重減少などの決定を伴ってもよい。EoEに関して、選択ステップは、食道の炎症、食道壁の肥厚、食道における隆起又は気管様リングの出現、胸部及び腹部痛、食物拒絶、嘔吐、嚥下障害並びに食物のつかえの決定を伴ってもよい。確実な確認は、上述のマーカーの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ以上の存在を必要とし得る。
【0155】
特に、本開示による治療のために選択される対象は、上述の形質、例えば、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎の少なくとも1つを示し、かつまた、EGID関連バイオマーカー、例えば、IgE、エオタキシン-3、ペリオスチン、IL-5又はIL-13に対して陽性の結果がでる対象を含む。
【0156】
関連実施形態において、「それを必要としている対象」は、アレルゲンに感受性の対象を含む。例えば、「それを必要としている対象」は、以下の特性、すなわち、(a)1種以上のアレルゲンに曝された場合にアレルギー反応若しくは応答をする傾向ある;(b)1種以上のアレルゲンに対してアレルギー応答若しくは反応を以前に示した;(c)アレルギーの既知の病歴を有する;及び/又は(d)アレルギー応答若しくはアナフィラキシーの徴候若しくは症状を示すことの1つを示し得る対象を含む。ある特定の実施形態では、対象は、EGIDに関連している又は対象をEGIDの発症に感受性若しくはその傾向にさせるアレルゲンに対してアレルギーである。特に、対象は、EoEに関連している又は対象をEOEの発症に感受性若しくはその傾向にさせるアレルゲンに対してアレルギーである。
【0157】
本明細書で使用される場合の用語「アレルゲン」には、感受性個人においてアレルギー応答を刺激することができる任意の物質、化学物質、粒子又は組成物が含まれる。アレルゲンは、例えば、乳製品(例えば、牛乳)、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、ライ麦、魚、貝、落花生及び木のナッツのような、食物品目内に含まれる又はそれに由来してもよい。あるいは、アレルゲンは、例えば、ちり(例えば、イエダニを含む)、花粉、昆虫毒(例えば、はち、カリバチ、蚊などの毒)、かび、動物の鱗屑(animal dander)、ラテックス、医薬、薬物、ブタクサ(ragweed)、草及びカバノキのような、非食物品目内に含まれる又はそれに由来してもよい。
【0158】
ある特定の実施形態では、用語「治療を必要としている対象」は、食物アレルゲンに対してアレルギー反応を示す集団のサブセットを含む。例えば、「治療を必要としている対象」は、限定されないが、乳製品、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、ライ麦、魚、貝、落花生、木のナッツ、牛肉、鶏肉、オート麦、大麦、豚肉、サヤマメ並びにリンゴ及びパイナップルのような果実を含む食物品目に含まれるアレルゲンに対してアレルギーを有する対象を含んでもよい。
【0159】
ある特定の実施形態では、この用語は、ちり、かび、昆虫、花粉を含む植物並びにネコ及びイヌのようなペットに由来するアレルゲンのような、非食物アレルゲンに対してアレルギーの対象を含む。非食物アレルゲン(環境アレルゲン又は空気アレルゲンとしても知られる)の例には、限定されないが、イエダニアレルゲン、花粉アレルゲン、動物の鱗屑、昆虫毒、草アレルゲン及びラテックスが含まれる。
【0160】
本明細書で使用される場合、語句「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などは、じんましん(urticaria)(例えば、じんましん(hives))、血管新生、鼻炎、喘息、嘔吐、くしゃみ、鼻水、洞炎症、涙目、喘鳴、気管支痙攣、最大呼気流量(PEF)の減少、胃腸窮迫、顔面紅潮、腫れた唇、腫れた舌、血圧減少、アナフィラキシー及び臓器機能不全(dysfunction)/不全(failure)からなる群から選択される1つ以上の徴候又は症状を含む。「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などは、例えば、IgE産生の増加、アレルゲン特異的免疫グロブリン産生の増加及び/又は好酸球増加のような、免疫学的応答及び反応も含む。
【0161】
本開示の実施形態は、治療未経験対象のみならず、以前に治療された対象の治療に関する。対象は、応答者、非応答者、難治性又は再発した対象を含んでもよい。
【0162】
用語「治療未経験」は、いずれの好酸球性障害に対しても積極的に治療されていない対象を含むことが意味される。EGIDの治療の既存の様式には、例えば、食事療法(すなわち、特定の食物を避けること)、機械的介入(例えば、手術を含めて、食道、大腸又は小腸の拡張)又は薬理学的治療(すなわち、医薬薬剤の使用)が含まれる。
【0163】
特に、この実施形態下では、以前に薬理学的治療を受けている、好酸球性障害を患っている対象を治療する方法が提供される。EGIDの文脈では、薬理学的治療には、例えば、プロトンポンプ阻害剤のような酸懸濁化剤の使用、フルチカゾン、ブデソニド及びシクルソニドのようなグルココルチコイドによる治療、OC000459のようなプロスタグランジンD2受容体アンタゴニストの使用、抗ヒスタミン及び/又はクロモリンのような肥満細胞安定剤の全身又は局所使用並びにメポリズマブ、レスリズマブ、オマリズマブ、インフリキシマブのような抗体又はMONTELUKASTのような実験的剤による治療が含まれる。とりわけ、この実施形態下では、対象は、上述の薬理学的剤の1種以上に非応答性であるか、又は再発したものである。
【0164】
したがって、本開示の実施形態は、EGIDに対する治療を以前に受けた及びEGID治療に非応答性である又はそれから難治であった若しくは再発したと思われる対象における、EGIDの少なくとも1つの症状又は適応を治療し、その出現率を低下させ、防止し又は改善する方法であって、治療有効量のインターロイキン-13抗体又はその抗原結合部分を対象に投与するステップを含む、方法に関する。対象は、好ましくはEoE、EG、ED、EI、EJ又はECに伴う少なくとも1つの症状又は適応を示すヒト対象である。特に、これらの実施形態では、対象は、ステロイド治療、例えば、フルチカゾン、ブデソニド及びシクルゾニドによる、関連分子、例えば、上述のステロイド剤の互変異性体、アナログ、誘導体を含めて、それらによる治療から再発した又は難治性である。フルチカゾン、ブデソニド及びシクルゾニドなどの同族体の代表例は、例えば、PUBCHEM化合物データベースによって公知である。
【0165】
難治性対象を同定する方法は、当技術分野で公知である。例えば、経口治療について30日又はIV治療について7~10日以内に最大で20~80mg/日(特に40~60mg/日)のグルココルチコイドに対して意味ある臨床応答を有しない対象は、ステロイド難治性であると見なされる。好酸球性障害を治療する際のステロイド剤の意味のある臨床応答は、病理学的、組織学的又は臨床的に決定されてもよい。そのような方法は、実験室研究、内視鏡分析、検便、画像化研究(例えば、コンピュータトモグラフィ(CT)筋運動記録、磁気共鳴(MR)筋運動記録又は専用小腸造影検査)などを伴ってもよい。
【0166】
2.治療効力の決定
本開示の他の態様によれば、EoEを治療する方法は、治療の有効性の決定に関係している。この実施形態下では、対象は、治療有効量のIL-13アンタゴニストを含む組成物を投与され、EoE関連マーカーの変化が治療前及び/又は後でモニターされる。治療は、少なくとも1種のEoE関連マーカー(例えば、食道好酸球計数、エオタキシン-3、IgEなど)が、投与前の対象におけるマーカーのレベルと比較して、組成物の投与後の時点で低下している場合、有効であると思われる。この実施形態下では、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含有する組成物による治療後のマーカーのレベルでの、組成物による治療(又はプラセボによる治療)前のマーカーのレベルと比較して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%以上の低下は、治療が有効であることを意味する。
【0167】
一実施形態では、本開示の方法は、それぞれ以下により詳細に記載される、(a)毎日症状日誌(DSD)スコアにより評価される場合の嚥下障害臨床症状頻度/重症度;(b)ピーク食道好酸球計数(細胞/hpf);(c)平均EEsAIPROスコア;(d)対象の疾患重症度の全体的評価;(e)疾患重症度の臨床医の全体的評価;並びに(f)治療関連有害事象(TEAE)の数及び/又は重症度から選択される、EoE関連パラメータを決定するステップを含む。
【0168】
一実施形態では、平均食道好酸球計数は、治療に対する応答を決定するために、抗体又はその抗原結合部分による治療前及び後の両方で対象において決定される。好酸球数は、当業者に公知の任意の方法、例えば、限定されないが、組織学、フローサイトメトリを使用して評価されてもよい。それらにおける開示は本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2013/0096096号及び同第2009/0181099号並びにRodrigoら(The American Journal of Gastroenterology 103、435~442頁(2008年)を参照されたい)。一実施形態では、平均食道好酸球計数は、食道における少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30又はそれより多い炎症を起こした高倍率視野から測定される。一実施形態では、好酸球数は、市販のキットのいずれか一つによって測定されてもよい。
【0169】
一実施形態において、食道における少なくとも5つの炎症を起こした高倍率視野(HPF)での平均食道好酸球計数は、抗体又はその抗原結合部分による治療前に、対象において決定される。一実施形態では、>15細胞/HPFの計数は、対象がEoEを有することを示す。典型的には、EoE対象における平均食道好酸球計数は、50~200細胞/HPF、80~150細胞/HPF、特に90~125細胞/HPFである。関連実施形態では、15~40細胞/HPFの計数は、EoEの軽度/重症度を示し、41~80細胞/HPFの計数は、EoEの中等度/重症度を示し、計数>80細胞/HPFは、EoEの高悪性度/重症度を示す。
【0170】
一実施形態では、食道における少なくとも5つの炎症を起こした高倍率視野(HPF)での平均食道好酸球計数は、治療に対する応答を決定するために抗体又はその抗原結合部分による治療前(ベースライン)及び治療後(治療後(post-treatment))の両方で、対象において決定される。一実施形態では、治療前レベルと比較して治療後レベルにおける平均食道好酸球計数の低下は、治療の効力を示す。これらの実施形態では、EoE対象におけるベースライン平均食道好酸球計数は、50~200細胞/HPF、80~150細胞/HPF、又は好ましくは90~125細胞/HPFである。一実施形態では、0~85細胞/HPF、好ましくは10~60細胞/HPF、特に好ましくは15~40細胞/HPFの治療後平均食道好酸球計数は、治療への応答を示す。
【0171】
一実施形態では、食道における少なくとも5つの炎症を起こした高倍率視野(HPF)でのピーク食道好酸球計数は、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方で、対象において決定され、ここで、ベースラインと比較して治療後ピーク食道好酸球計数の低下は、治療の効力を示す。一実施形態では、EoE対象におけるベースラインピーク食道好酸球計数は、18~389細胞/HPF、40~160細胞/HPF又は70~140細胞/HPFである。一実施形態では、0~157細胞/HPF、好ましくは10~70細胞/HPF、特に好ましくは14~40細胞/HPFの治療後ピーク食道好酸球計数は、治療に対する応答を示す。
【0172】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方での対象における嚥下障害臨床症状のスコアリングが行われ、ここで、ベースラインと比較して治療後の嚥下障害臨床症状の低下は、治療の効力を示す。嚥下障害臨床症状には、例えば、飲み込むことができない飲み込み中の疼痛を有すること(嚥下痛)、喉若しくは胸部に又は胸骨(breastbone)(胸骨(sternum))の後ろに食物が詰まっている感覚を有すること、よだれ、逆流、頻回胸焼け、酸還流、予想外の体重減少、飲み込むときの咳又は吐き気、しわがれた/聞き取れない話し方などが含まれる。嚥下障害臨床症状は、当業者に公知の任意の方法を使用して評価されてもよい。それらの中の開示が本明細書に参照により組み込まれる、Cheungら(J.Pediatr.Gastroenterol.Nutr.、37:498~503頁(2003年)及びFurutaら(Gastroenterology;133:1342~1363頁(2007年))を参照されたい。一実施形態では、嚥下障害臨床症状は、患者の嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアにより評価される。DSQスコアを決定する方法は、当技術分野で公知である。例えば、それらの中の開示が、本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2016/0078186号及びDeltonら(Aliment Pharmacol Ther.、38(6):634~642頁(2013年)を参照されたい)。DSQを決定するための代表的方法は、以下の実施例のセクションで提供される。
【0173】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方での、対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコアのスコアリングが行われ、ここで、ベースラインと比較して治療後の平均嚥下障害症状複合日誌スコアの低下は、治療の効力を示す。一実施形態では、>5の平均嚥下障害症状複合日誌スコアは、対象がEoEを有することを示す。一実施形態では、治療前のEoE対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコアは、5~50、19~40又は25~35である。一実施形態では、5~15のベースラインスコアは、軽度/重症度EoEを示し、16~25のスコアは、中等度/重症度EoEを示し、>25のスコアは、高悪性度/重症度EoEを示す。一実施形態では、0~40、好ましくは6~32、特に好ましくは10~20の治療後スコアは、有効な治療を示す。ステロイド難治性であるEoEを有する対象では、ベースラインスコアは、5~50、19~40又は25~35であってもよく;0~40、好ましくは10~24、特に好ましくは14~18の治療後スコアは、治療に対する応答を示す。
【0174】
別の実施形態では、好酸球性食道炎活性指数(EEsAI又はEoEAI)のスコアリングは、治療前及び治療後の両方で測定されてもよい。EEsAIは、当業者に公知の任意の方法を使用して評価されてもよい。米国特許出願公開第2015/0017176号及びSchoepferら(Gastroenterology、147(6):1255~66頁(2014年))を参照されたい。Schoepferら(Digestive Diseases、第32巻、1~2号(2014年))による総説論文も参照されたく、これには、(a)症状、(b)生活の質、(c)内視鏡検査、(d)組織学、(e)血液マーカー及び(f)技術的評価、例えば、ENDOFLIPの決定を伴う、EEsAIを決定するための多重パラメータ手法が記載されている。同様の技法は、以下の実施例セクションで例示される。
【0175】
一実施形態では、>10のベースラインスコアは、対象がEoEを有することを示す。典型的には、EoE対象におけるEEsAIは、5~100、30~90又は40~70である。一実施形態では、0~20のEEsAIスコアは、軽度/重症度EoEを示し、21~40のスコアは、中等度/重症度EoEを示し、>41のスコアは、高悪性度/重症度EoEを示す。
【0176】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方で対象におけるEEsAIの決定が行われ、ここで、ベースラインと比較してEEsAI治療後のEEsAIの低下は、治療の効力を示す。これらの実施形態では、5~90、好ましくは10~60、特に好ましくは20~40の治療後レベルは、治療に対する応答を示す。ステロイド難治性であるEoE対象では、ベースラインレベルは、5~100、30~90又は好ましくは40~70であり、5~90、好ましくは20~50、特に好ましくは30~40の治療後レベルは、治療に対する応答を示す。一般に、40未満のEEsAIの低下は、有意に有効な治療を示す。
【0177】
別の実施形態では、内視鏡参照スコア(EREFS)が決定される。EREFスコアは、当業者に公知の任意の方法、例えば、限定されないが、炎症性及びリモデリング食道の特徴の測定を使用して評価されてもよい。米国特許出願公開第2015/0017176号及びvan Rhijnら(Endoscopy 46(12):1049~55頁(2014年))を参照されたい。EREFスコアの測定のための代表的な方法は、以下の実施例セクションで提供される。EoE対象におけるベースラインEREFスコアは、4~10、5~10又は7~9である。一実施形態では、0~4のEREFスコアは、軽度/重症度EoEを示し、4~7のスコアは、中等度/重症度EoEを示し、>7のスコアは、高悪性度/重症度EoEを示す。
【0178】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方で対象におけるEREFの決定が行われ、ここで、ベースラインと比較して治療後のEREFの低下は、治療の効力を示す。これらの実施形態では、ベースラインレベルは、4~10、5~10又は好ましくは>9である。一実施形態では、3~8、好ましく4~7、特に好ましくは<5,5の治療後レベルは、治療に対する応答を示す。
【0179】
一実施形態では、炎症特異的EREFのベースラインレベルは、4~8、5~8又は>5である。別の実施形態では、1~6、好ましくは2~5、特に好ましくは<3.0の炎症特異的EREFの治療後レベルは、治療に対する応答を示す。別の実施形態では、リモデリング特異的EREFのベースラインレベルは、2~5、3~4又は>2.5である。一実施形態では、2~4、好ましくは2.2~3.1、特に好ましくは<3.0の炎症特異的EREFの治療後レベルは、治療に対する応答を示す。
【0180】
別の実施形態では、疾患重症度の対象の全体的評価が決定される。別の実施形態では、疾患重症度の臨床医の全体的評価が決定される。さらに別の実施形態では、疾患重症度の対象の全体的評価及び疾患重症度の臨床医の全体的評価の組み合わせが決定される。EoE疾患治療の全体的評価は、当技術分野で周知である。例えば、Schoepferら(The American Journal of Gastroenterology 110、402~414頁(2015))には、食道胃十二指腸内視鏡検査後の生検サンプルの分析を伴い、スコアは、患者病歴並びに内視鏡及び組織学所見に基づいて0~10の範囲のリッカート尺度で出される、胃腸科専門医による評価(PhysGA)を伴う方法が記載されている。やはり0(不活性)~10(最も活性)の範囲のリッカート尺度でスコアリングされる、患者によるEoE症状重症度の第2の全体的評価が、並行して行われた。個々のスコアとして報告された、EoE症状並びに内視鏡及び組織学所見の変化が全体的評価に寄与した程度を定量化するために、線形回帰及び分散分析が使用された。同様の技法は、以下の実施例セクションで例示される。
【0181】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方での対象における疾患重症度の対象の評価の決定が行われ、ここで、ベースラインと比較して疾患重症度の対象の評価の低下は、治療の効力を示す。一実施形態では、>1のベースラインスコアは、対象がEoEを有することを示す。一実施形態では、2~9、3~8又は>5のベースラインスコアは対象がEoEを有することを示す。一実施形態では、1~3の対象スコアは、軽度/重症度EoEを示し、4~7のスコアは、中等度/重症度EoEを示し、>7のスコアは、高悪性度/重症度EoEを示す。一実施形態では、0~9、好ましくは2~6、特に好ましくは<3の治療後レベルは、治療に対する応答を示す。
【0182】
別の実施形態では、抗体又はその抗原結合部分の投与前(ベースライン)及び投与後(治療後)の両方での対象における疾患重症度の臨床医の評価の決定が行われ、ここで、ベースラインと比較して疾患重症度の臨床医の評価の低下は、治療の効力を示す。一実施形態では、>2の臨床医スコアは、対象がEoEを有することを示す。一実施形態では、EoE対象における臨床医スコアのベースラインは、3~10、3~9又は>6である。一実施形態では、1~3の臨床医スコアは、軽度/重症度EoEを示し、4~7のスコアは、中等度/重症度EoEを示し、>7のスコアは、高悪性度/重症度EoEを示す。一実施形態では、0~8、好ましくは2~6、特に好ましくは<3.3の治療後レベルは、治療に対する応答を示す。
【0183】
関連実施形態では、組成物の投与前(ベースラインレベル)及び組成物の投与後(治療後レベル)の対象のスコア及び臨床医のスコアの複合物(複合スコア)が決定され、ここで、ベースラインと比較して治療後複合スコアの低下は、治療の効力を示す。一実施形態では、ベースライン複合スコアは、2~20、6~18又は>11である。別の実施形態では、0~17、好ましくは4~12、好ましくは<6.3の治療後レベルは、治療に対する効力のある応答を示す。
【0184】
当業者により認識されるとおりに、EoE関連バイオマーカーの増加又は低下は、(i)IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の投与後の規定時点で対象において測定されたバイオマーカーのレベルと、(ii)IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の投与前の患者において測定されたバイオマーカーのレベル(すなわち、「ベースライン測定値」)とを比較することによって決定され得る。バイオマーカーが測定される規定時点は、例えば、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の投与の約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、85日又はそれより多い日後であり得る。
【0185】
本開示のある特定の実施形態によれば、対象は、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物の投与後にIgE及び/又はエオタキシン-3の1つ以上のレベルの低下を示してもよい。例えば、約75mg~約600mgの抗IL-13抗体(例えば、RPC4046)を含む組成物の第1、第2、第3又は第4の用量の投与後の、約1日目、4日目、8日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目又は85日目に、対象は、本開示によって、ベースラインから約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれより多いエオタキシン-3の低下を示してもよい(ここで、「ベースライン」は、第1の投与直前の対象におけるエオタキシン-3のレベルと定義される)。同様に、約75mg~約600mgの抗IL-13抗体(例えば、RPC4046)を含む組成物の第1、第2、第3又は第4の用量の投与後の、約1日目、4日目、8日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目又は85日目に、対象は、本開示によって、ベースラインから約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれより多いIgEの低下を示してもよい(ここで、「ベースライン」は、第1の投与直前の対象におけるIgEのレベルと定義される)。
【0186】
本開示はまた、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物による治療に対象が適しているかどうかを決定する方法を含む。例えば、IL-13抗体又はその抗原結合部分を含む組成物を受ける前の個人が、疾患状態を意味するEoE関連バイオマーカーのレベルを示す場合、個人は、したがって、本開示の組成物(抗IL-13抗体を含む組成物)の投与が利益となる適当な患者と同定される。関連実施形態において、本開示は、適当な対象を治療する方法を含み、ここで、適当な対象は、例えば、食物アレルギー又はアトピー性疾患に起因して、EoEにより感受性が強くてもよい。例えば、本開示は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎又はアレルギー性結膜炎を有する対象に、IL-13抗体又はその抗原結合部分を投与するステップを含む方法を含む。別の例では、本開示は、メンデル遺伝性結合組織疾患、例えば、マルファン症候群、ロイスディーツ症候群、過剰運動エーラスダンロス症候群(EDS)又は関節過剰運動症候群(JHS)を有する対象に、IL-13抗体又はその抗原結合部分を投与するステップを含む方法、を含む。そのような対象集団は、EoE関連バイオマーカーのレベルの上昇を有してもよい。
【0187】
ある特定の例示的な実施形態によれば、個人が以下、すなわち、対象の食道における(i)約30pg/mlより大きい、約40pg/mlより大きい、約50pg/mlより大きい、約100pg/mlより大きい、約1500pg/mlより大きい、約200pg/mlより大きい、約250pg/mlより大きい、約300pg/mlより大きい、約350pg/mlより大きい、約400pg/mlより大きい、約450pg/mlより大きい若しくは約500pg/mlより大きいエオタキシン-3レベル、又は(ii)約114kU/Lより大きい、約150kU/Lより大きい、約500kU/Lより大きい、約1000kU/Lより大きい、約1500kU/Lより大きい、約2000kU/Lより大きい、約2500kU/Lより大きい、約3000kU/Lより大きい、約3500U/Lより大きい、約4000kU/Lより大きい、約4500kU/Lより大きい若しくは約5000kU/Lより大きい血清IgEレベル、又は(iii)高倍率視野当たり15の好酸球の1つ以上を示す場合、対象は、抗IL-13治療のための良い候補と同定されてもよい。EoEの他の臨床指標(例えば、食道壁の肥厚及びEoEを示す食物アレルギー)のような、追加の基準が、本明細書に他の箇所で記載されるとおりに個人を抗IL-13治療に適する候補として同定するために、上述のEoE関連バイオマーカーのいずれかと組み合わせて使用されてもよい。
【0188】
他の実施形態では、診断方法は、遺伝子発現アッセイの力によって補助されてもよい。遺伝子発現分析で使用されるチップ及びEGIDに特異的であるマーカーは、当技術分野、例えば、それらの内容がそれらの全体で本明細書に参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0045334号及び同第2014/0286896号で公知である。
【0189】
本明細書で使用される場合、「好酸球浸潤」は、対象の血液、食道、胃、十二指腸、回腸、大腸を含む、臓器又は組織における好酸球の存在を指す。本開示の文脈では、用語「好酸球浸潤」は、限定されないが、食道、胃、回腸、十二指腸、大腸などを含む、胃腸管の領域の粘膜内層における好酸球の存在を指す。好酸球浸潤は、例えば、好酸球性障害を患っている対象の組織生検において分析されてもよい。特に、診断は、EoE、EG、ED、EJ、EI及びECからなる群から選択されるEGIDを患っている対象の組織生検からなされてもよい。生検に有用である組織には、例えば、食道、腸(gut)、十二指腸、空腸、回腸、大腸又はそれらの組み合わせが含まれる。他の組織サンプル、例えば、GI管の臓器及び内層がまた、任意選択的及び/又は追加的に用いられてもよい。
【0190】
特定の実施形態によれば、「好酸球浸潤」は、食道における高倍率視野(HPF)当たり15以上の好酸球の存在を指す。用語「高倍率視野」は、例えば、対象の食道からの、組織中の好酸球を目視検査する(view)ために使用される顕微鏡で200倍(又はそれより大きい)の標準総合倍率を指す。特に、HPFは、顕微鏡で400倍の標準総合倍率を指す。
【0191】
ある特定の実施形態では、「好酸球浸潤」は、白血球、例えば、リンパ球、好中球及び肥満細胞による組織中への浸潤を含む。例えば、食道組織中への白血球浸潤は、好酸球特異的マーカー(例えば、CD11cLow/Neg、SiglecF+、F4/80+、EMR1+、Siglec8+及びMBP2+),マクロファージ特異的マーカー(例えば、CD11b+、F4/80+、CD14+、EMR1+及びCD68+)、好中球特異的マーカー(例えば、CD11b+、Ly6G+、Ly6C+、CD11b+及びCD66b+)並びにT細胞特異的マーカー(例えば、CD3+CD4+CD8+)のような、細胞表面マーカーによって検出され得る。
【0192】
本明細書で使用される場合、好酸球の減少は、IL-13阻害剤、例えば、IL-13抗体又はその抗原結合部分で治療されていない同じ対象又は同等の対象と比較して、EGIDに罹っている対象の目的の特定の組織/部位、例えば、食道、腸(gut)、十二指腸、空腸、回腸及び/又は大腸で測定された好酸球及び他の白血球の数が、治療対象において減少していることを意味する。これらの実施形態では、本開示の組成物による治療は、未治療対象のものと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%の、組織/正常位置における好酸球及び/又は白血球の数の正味の減少をもたらす。
【0193】
特に、EGIDがEoEである場合、本開示の組成物による治療は、未治療対象のものと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも99%の、食道における好酸球及び/又は白血球の数の正味の減少をもたらす。
【0194】
ある特定の実施形態では、好酸球浸潤の減少は、高倍率視野当たり50より少ない好酸球、特に目的の組織/正常位置の生検において高倍率視野(HPF)当たり30より少ない好酸球、20より少ない好酸球、15より少ない好酸球、10より少ない好酸球、8より少ない好酸球又は6より少ない好酸球の検出を意味する。EGIDの治療に関連する実施形態では、好酸球浸潤の減少は、GI組織、例えば、食道を裏張りする上皮粘膜の生検における15より少ない好酸球、12より少ない好酸球、10より少ない好酸球、8より少ない好酸球又は6より少ない好酸球の検出を意味する。ある特定の実施形態では、好酸球浸潤の減少は、好酸球が対象の食道粘膜でまったく検出されないことを意味する。
【0195】
一実施形態では、IL-13抗体又はその抗原結合部分で治療されている対象は、複数の特異的及び全体的マーカーを使用して様々な時点で評価される。特異的マーカーは、前に記載されたバイオマーカー又は生理学的マーカーであってもよい。実施例セクションで詳細に記載されるとおりに、ベースライン(t=0)と目的の時点(t=ti)との間のマーカーの平均及び/又はピークレベルの調節は、追跡のための予測及び推奨を可能にする。例えば、治療の予後は、EoE特異的マーカーの低下に応じて良好又は好ましいと記載されてもよい。このシナリオ下では、治療後のマーカーのレベルの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又はそれより大きい低下の観察レベルに基づいて、対象は、治療剤による治療を継続するように推奨される。
【0196】
さらに、本開示の関連実施形態は、治療前及び後にパラメータを決定するステップを含む、好酸球性障害のために治療を受けている対象をモニターする方法を提供する。より具体的には、好酸球性障害は、EoE、EG、EJ、EI、ED及びECから選択されるEGIDである。そのようなパラメータの代表例は、EGIDの上述の生理学的マーカー又はバイオマーカーにおける低下を含む。他の実施形態では、パラメータは、疾患重症度の対象の全体的評価;疾患重症度の臨床医の全体的評価;対象の全体的印象(例えば、ウェルネススコアリングに基づく);疾患の組織学等級及び病期調整スコア;治療出現有害事象(TEAE)(「巨視的評価」と集合的に称される)から選択される。
【0197】
巨視的評価に基づくEGID(例えば、EoE)の治療のモニタリングに関連する上述の実施形態では、治療前レベルと比較して疾患重症度の対象/臨床医の評価、組織学/病期スコア又はTEAE数の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又はそれより大きい治療後低下は、有効な治療を示す。同様に、治療前に得られたものに比較して向上(betterment)及び/又はウェルネススコアの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.8倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍又はそれより大きい治療後増加は、有効な治療を示す。
【0198】
B.喘息
喘息は、喘鳴、息切れ、胸苦しさ及び咳を特徴とする気道の慢性炎症障害である。喘息は、米国でおよそ2000万人の人々を冒し、喘息患者の約75%は成人である。成人喘息患者の内で、喘息患者のおよそ60%は、軽度疾患を有し、約20%は、中等度疾患を有し、残りの20%は、重度疾患を有する。
【0199】
インターロイキン-13(IL-13)は、IL-13のレベルの上昇が喘息患者の肺に存在し、これらのレベルは疾患重症度と相関するという点で、ヒト喘息の病因において極めて重要であると考えられる。同様に、増加したIL-13が、吸入コルチコステロイド(ICS)又は全身性コルチコステロイドで治療されており、継続して症候性である、中等度から重度喘息に罹っている患者の痰及び肺生検の両方に存在する。さらに、ヒトIL-13遺伝的多形は、喘息及びアトピー(アレルギー過敏症)と関連している。IL-13は、2つの受容体、IL 13Rα1及びIL 13Rα2に結合する。IL13は、効力が喘息の複数の臨床前モデルでIL-13拮抗作用の様々な手段を使用して実証されているので、喘息に対する十分に確証された標的である。
【0200】
本発明によって治療可能である喘息の例には、限定されないが、アレルギー及び非アレルギー喘息(例えば、より若い小児における、例えば、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)による、例えば、感染による喘息))、慢性閉塞性肺疾患(COPD)並びに気道炎症、好酸球増加、線維症及び過剰粘液産生を伴う他の状態、例えば、嚢胞性線維症及び肺線維症が含まれる。
【0201】
他の実施形態では、本出願は、呼吸器障害、例えば、喘息(例えば、アレルギー性及び非アレルギー性喘息);アレルギー;慢性閉塞性肺疾患(COPD);気道炎症、好酸球増加、線維症及び過剰粘液産生を伴う状態、例えば、嚢胞性線維症及び肺線維症に伴う1つ以上の症状を治療(例えば、軽減、改善)又は防止する方法を提供する。例えば、喘息の症状は、限定されないが、喘鳴、息切れ、気管支収縮、気道過敏、肺気量の低下、線維症、気道炎症及び粘液産生を含む。この方法は、1つ以上の症状を治療(例えば、軽減、改善)又は防止するのに十分な量で、IL-13アンタゴニスト、例えば、IL-13抗体又はその断片を対象に投与するステップを含む。IL-13抗体は、治療的若しくは予防的に、又は両方で投与され得る。IL-13アンタゴニスト、例えば、抗IL-13抗体又はその抗原結合部分は、単独又は本明細書に記載されるとおりの他の治療モダリティと組み合わせて、対象に投与され得る。好ましくは、対象は、哺乳動物、例えば、本明細書に記載されるとおりの、喘息のような、IL-13関連障害を患っているヒトである。
【0202】
上述によれば、本発明の実施形態は、治療を必要としている対象に、IL-13抗体又はその抗原結合断片を、そのような抗体を含有する組成物を含めて、投与するステップを含む、喘息に罹っている患者の治療に関する。EoEの治療に有効と見出されている組成物の投与量及びタイプも、喘息の治療に有効であることが企図される。
【0203】
さらに、本発明の実施形態は、対象における喘息の重症度又は程度の低下において、そのような抗IL-13抗体又はその抗原結合断片の効力を評価する方法に関する。EoEの治療の効力を評価するのに有効である方法及びアッセイも、喘息の治療におけるそのような薬剤の効力を決定するために適用可能であることが企図される。
【0204】
本発明の抗体又はその抗原結合部分は、そのような疾患を治療するために単独又は組み合わせて使用され得る。本発明の抗体又はその抗原結合部分は、単独又は追加の薬剤、例えば、治療剤と組み合わせて使用することができ、前記追加の薬剤は、その意図された目的のために当業者によって選択されることが理解されるべきである。例えば、追加の薬剤は、本発明の抗体によって治療される疾患又は状態を治療するために有用であると当技術分野で認められている治療剤であり得る。追加の薬剤はまた、治療組成物に利益のある属性を付与する薬剤、例えば、組成物の粘度に影響をもたらす薬剤であり得る。
【0205】
本発明の範囲内に含まれることになる組み合わせは、それらの意図された目的に有用な組み合わせであることがさらに理解されるべきである。以下に示される薬剤は、目的のための例証であり、限定されることは意図されない。本発明の一部である組み合わせは、本発明の抗体及び以下の一覧から選択される少なくとも1種の薬剤であり得る。組み合わせはまた、組み合わせが、形成された組成物がその意図された機能を果たし得るようである場合、2種以上の追加の薬剤、例えば、2種又は3種の追加の薬剤を含み得る。
【0206】
組み合わせ治療は、本明細書でさらに記載されるとおりに、1種以上の追加の治療剤、例えば、1種以上のサイトカイン及び増殖因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤(例えば、全身性抗炎症剤)、抗線維化剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤並びに/又は細胞毒性若しくは細胞増殖抑制剤と共製剤化される及び/又は共投与される、1種以上のIL-13阻害剤、例えば、抗IL-13抗体又はその断片を含み得る。
【0207】
1種以上のIL-13アンタゴニスト、例えば、抗IL-13抗体又はその断片と共投与及び/又は共製剤化され得る好ましい追加の薬剤の例には、限定されないが、吸入ステロイド;ベータ-アゴニスト、例えば、短時間作用又は長時間作用型ベータ-アゴニスト;ロイコトリエン又はロイコトリエン受容体のアンタゴニスト;ADVAIRのような組み合わせ薬物;IgE阻害剤、例えば、抗IgE抗体(例えば、XOLAR);ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE4阻害剤);キサンタン;抗コリン薬物;クロモリンのような肥満細胞安定化剤;IL-4阻害剤;IL-5阻害剤;エオタキシン/CCR3阻害剤;H1、H2、H3及びH4を含む、ヒスタミン又はその受容体のアンタゴニスト並びにプロスタグランジンD又はその受容体(DP1及びCRTH2)のアンタゴニストの1種以上が含まれる。そのような組み合わせは、喘息及び他の呼吸器障害を治療するために使用され得る。1種以上の抗IL-13抗体又はその断片と共投与及び/又は共製剤化され得る治療剤のさらなる例には、とりわけ、TNFアンタゴニスト(例えば、TNF受容体、例えば、p55又はp75ヒトTNF受容体又はその誘導体、例えば、75kD TNFR-IgG(75kD TNF受容体-IgG融合タンパク質、ENBREL)の可溶性断片);TNF酵素アンタゴニスト、例えば、TNF変換酵素(TACE)阻害剤;ムスカリン受容体アンタゴニト;TGF-ベータアンタゴニスト;インターフェロンガンマ;ペルフェニドン;化学治療剤、例えば、メトトレキサート、レフルノミド若しくはシロリムス(ラパマイシン)又はそれらのアナログ、例えば、CCI-779;COX2及びcPLA2阻害剤;NSAID;免疫調節剤;p38阻害剤、TPL-2、MK-2及びNFkB阻害剤の1種以上が含まれる。
【0208】
他の好ましい組み合わせは、サイトカイン抑制性抗炎症薬(CSAID);他のヒトサイトカイン又は増殖因子に対する抗体、又はそのアンタゴニスト、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-15、IL-16、IL-18、IL-21、IL-31、インターフェロン、EMAP-II、GM-CSF、FGF、EGF、PDGF及びエドセリン-1、並びにこれらのサイトカイン及び増殖因子の受容体である。本発明の抗体又はその抗原結合部分は、CD2、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD30、CD40。CD45、CD69、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD90、CTLA又はそれらのリガンド(CD154(gp39又はCD40L)を含む)のような、細胞表面分子に対する抗体と組み合わせることができる。
【0209】
治療剤の好ましい組み合わせは、炎症カスケードに異なる点で干渉し得;好ましい例には、キメラ、ヒト化又はヒトTNF抗体のようなTNFアンタゴニスト、D2E7,(PCT公開国際公開第97/29131号)、CA2(Remicade(商標))、CD571、及びそれらの、可溶性p55又はp75TNF受容体、誘導体、(p75TNFR1gG(Enbrel(商標))又はp55TNFR1gG(Lenercept)、並びにTNF変換酵素(TACE)阻害剤が含まれ;同様に、IL-1阻害剤(インターロイキン-1-変換酵素阻害剤、IL-1RAなど)は、同じ理由で有効であり得る。他の好ましい組み合わせには、インターロイキン4が含まれる。さらに別の好ましい組み合わせは、IL-13機能と並行に、それに依存して又はそれと協力して作用し得る、喘息応答の他の重要なプレーヤーであり;特に好ましいものは、Il-9抗体を含むIL-9アンタゴニストである。IL-13及びIL-9は、重複するが異なる機能を有し、両方に対するアンタゴニストの組み合わせは、最も有効であることが示されている。さらに別の好ましい組み合わせは、抗IL-5抗体である。さらに他の好ましい組み合わせには、ケモカイン(MCP-1、MCP-4、エオタキシン、RANTES、MDC、CCL-12及びCCL-17(TARC)を含む)及びケモカイン受容体(CCR2、CCR3、CCR4及びCXCR4を含む)のアンタゴニストが含まれる。なお、組み合わせは、酸性哺乳類キチナーゼ、CRHT2、キマーゼ、S1P1、S1P2、Tyk2、ROCKII、Stat6、p38、NFkB、ホスホジエステラーゼ4(PDE-4)、肥満細胞トリターゼ、NO、アデノシン、IKK2、GATA3、ICAM-1、VCAM-1及びICOSを含む、喘息介在物に対するアンタゴニストが含まれ得る。
【0210】
米国特許出願公開第2008/0171014号の全体は、引用されたすべての参考文献を含めて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
本開示は、限定すると解釈されるべきでない以下の実施例によってさらに例証される。本出願の全体を通して引用されたすべての参考文献、特許及び公開特許出願の内容全体、並びに図及び配列一覧は、参照により本明細書に本明細書によって組み込まれる。
【実施例
【0212】
[実施例1]
好酸球性食道炎のための、組換え、ヒト化、高親和性、選択的抗インターロイキン-13モノクローナル抗体の効力の試験
【0213】
緒言
原発性ヒト食道上皮細胞のインターロイキン(IL)-13刺激は、好酸球化学誘引タンパク質であるエオタキシン-3及び細胞外マトリックス接着タンパク質であるペリオスチンの発現を誘導する。これらのIL-13誘導タンパク質は、好酸球性食道炎(EoE)に罹っている患者の食道組織で過剰発現され、アレルギー性炎症を強く促進する。抗IL-13抗体、RPC4046(13C5.5とも称される)は、ヒト型IL-13及びIL-13配列変異体、R110Qに結合する。これらのサイトカインは、ヒトアレルギー性炎症を増強することが示されている。RPC4046は、IL-13に対して高度に選択的であり、他のサイトカインには結合しない。
【0214】
目的
RPC4046の効力及び安全性は、EoEに罹っている患者における第2相臨床試験で評価した。試験の第1の目的は、症候性好酸球性食道炎(EoE)に罹っている患者からの食道生検試料の好酸球計数に対するRPC4046の効果を特徴付けることであった。試験の第2の目的は、抗RPC4046抗体の開発も含めて、EoEの臨床症状に対するRPC4046の効果を特徴付けし;EoE内視鏡スコアに対するRPC4046の効果を特徴付けし;食道組織学的所見に対するRPC4046の効果を特徴付けし;及びRPC4046の安全性及び耐容性を特徴付けすることであった。
【0215】
試験設計
二重盲検プラセボ対照用量所見研究を、北米及びスイス国の40のセンター(canter)で行った。EoEに罹っている患者(n=100、18~65齢)を、1日目静脈内負荷用量で180mg(低用量;LD)又は360mg(高用量;HD)のRPC4046又はPBO(1:1:1)に無作為化し、続いて15週間毎週の皮下用量を与えた。表1は、患者個体群統計学の要約を与える。食道好酸球計数は、16週目及び利用可能であれば、早期終止時に、スクリーニング中の生検から測定した。嚥下障害臨床症状の頻度及び重症度は、好酸球性食道炎活性指数(EEsAI)を使用して評価し、そして、標準質問票への回答を含む毎日症状日誌(DSD)に記録して、そこからスコアをコンピュータ算出した(表2)。安全性は、試験全体を通してモニターした。主要エンドポイントは、平均食道好酸球計数におけるベースラインから16週目への変化であった。試験は、主要エンドポイントに力を入れた。副次的エンドポイントは、嚥下障害臨床症状の頻度及び重症度におけるベースラインから16週目への平均変化を含んでいた。
【0216】
【表1】
【0217】
二重盲検相は、その後に非盲検延長(52週)で追跡し、ここで、すべての対象を、高用量のRPC4046で治療した。
【0218】
対象選択:
対象を以下の基準に基づいて選択/除外した:
【0219】
包含基準
1.スクリーニング前の高用量PPI治療の少なくとも8週後のEoEの文書化された診断;
2.スクリーニング内視鏡検査での食道の3つ(近位、中位及び/又は遠位)レベルの2つからの、≧15/HPFのピーク好酸球計数を有するEoEの組織学的証拠;
3.対象は、最低4日間の嚥下障害を経験しており、かつスクリーニング期間の任意の連続する2週間及びベースライン訪問(baseline visit)2週前における日の70%以上でDSQを終了していなければならなかった;
4.スクリーニング前4週において平均で1週当たり少なくとも2つの嚥下障害のエピソード(抗炎症治療から離れての固形分の摂取による)及びスクリーニングとベースラインの間の週において平均で1週当たり少なくとも2つの文書化された嚥下障害のエピソードの病歴;嚥下障害は、患者報告による、固形食物を飲み込む又は固形食物をくっつかせる困難と定義される;
5.スクリーニング訪問前に3ヶ月以上の安定規定食を受け続けていて、スクリーニング訪問時に事実上いずれかの食事治療及び/又は医療レジメンを継続していなければならない;
【0220】
除外基準
1.RPC4046臨床試験への以前の参加;
2.対象は、対象の安全性を損なうか、又はEoEの徴候若しくは症状の評価に干渉するか若しくはそれを複雑にする、何らかの状態又は異常を有する;
3.対象は、スクリーニング8週以内前に免疫調節治療を使用した;
4.対象は、EGDの評価の4週以内にEoEのための飲み込み局所コルチコステロオイド若しくは何らかの状態のための全身性コルチコステロイドを使用してきている又は治療期間中の使用が予測される;
5.対象は、スクリーニング訪問前に吸入若しくは鼻腔内ステロイドを受けており、3ヶ月を超えて治療が安定しなかった又は試験中の変化が予測される。
6.対象は、何らかの状態のためのPPI、H2アンタゴニスト、制酸剤、抗ヒスタミン剤又はロイコトリエン阻害剤の投与レジメンを開始、中断、又は変化させた;
7.対象は、診断用成人上部内視鏡の通過を可能にしない食道狭窄を有するか又はスクリーニング3ヶ月前以内に食道拡張を有していた;
8.スクリーニングの2ヶ月又は5半減期(分かる場合)のいずれか長い方以内の、調査用薬物による治療。
【0221】
エンドポイント
試験の重要な主要エンドポイントは、食道生検からの5つの最も炎症を起こした高倍率視野(HPF)で測定される平均食道好酸球計数におけるベースラインから16週目の変化である。試験の重要な副次的エンドポイントは、2週にわたって終了した毎日症状日誌により評価して嚥下障害臨床症状の頻度及び重症度におけるベースラインから16週目の平均変化である。さらに、様々な安全性及び耐容性エンドポイントも測定可能である。安全性及び耐容性パラメータは、有害事象(AE)の出現率、重症度及び関係、重大なAE(SAE)、臨床実験室異常性、バイタルサインの変化、物理的検査異常並びに抗薬物抗体の存在によって評価される。対象はまた、日誌における様々な症状関連質問への答えを記入するように要請され、日誌は、複合日誌スコア(CDS)のコンピュータ化で使用された(表2)。
【0222】
【表2】
【0223】
【数1】
【0224】
試料採取
一貫性を最大化するために、生検を、スクリーニングにおいて近位及び遠位食道から得た(すなわち、各レベルから4つの生検断片)。中位食道からのさらなる生検を促し、同じレベルからその後の生検を得るように努めた。生検を盲検化し、一人の中心的病理学者が読み取った。試験について適格であるために、対象を、スクリーニング内視鏡において食道の3つ(近位、中位及び/又は遠位)のレベルの2つからの、≧15/HPFのピーク好酸球計数について評価した。
【0225】
結果の要約
90人の患者が、初期の16週の試験を終了した。個体群統計学/疾患特性は、治療選択肢間で同等であった。ベースラインにおいて、平均食道好酸球計数は、92.4(プラセボ;PBO)、116.6(低用量;LD)、及び122.6(高用量;HD)であった。食道生検から5つの最も炎症を起こした高倍率視野で測定された平均食道好酸球計数は、16週の治療期間にわたるRPC4046の両用量についてベースライン(BL)から有意に減少した(平均変化PBO:-4.4、LD:-94.8;及びHD:-99.9[両方ともプラセボに対してp<0.001])。ベースラインにおいて、平均嚥下障害症状複合日誌スコアは、29.4(PBO)、27.63(LD)及び29.03(HD)であった。嚥下障害臨床症状の低下は、複合日誌スコアに基づいてPBOと比較しRPC4046LD及びHDで治療した患者の間で観察した(PBO:-6.4;LD:-5.3[PBOに対してp=0.9959]及びHD:-13.3[PBOに対してp=0.0733]。16週でのステロイド難治性状態による下位群分析は、DSDにより報告されるとおりに嚥下障害で改善を示した。RPC4046は、好都合な安全性プロファイルで十分に耐容した。DSDにより測定した場合の16週の治療期間にわたる嚥下障害の正味変化を、表3に示す。
【0226】
【表3】
【0227】
詳細な結果
第1の試験において、対象に、プラセボ又は低用量若しくは高用量の治療剤を与えた。平均食道好酸球計数(細胞/hpf)は、ベースライン及び16週目において計算した。低用量(180mg)及び高用量(360mg)RPC4046の両方での治療は、対照と比較して16週目で平均食道好酸球計数の統計的に有意な減少をもたらすことがわかった。結果を図1に提示する。図(2a)は、プラセボ対低用量(180mg)のRPC4046で治療された対象での16週目の平均食道好酸球計数(細胞/hpf)(患者の様々な下位群内でのさらなるハイライト細胞計数)を示す。図2(b)は、プラセボ対高用量(360mg)のRPC4046で治療された対象での16週目の平均食道好酸球計数(細胞/hpf)(患者の様々な下位群内でのさらなるハイライト細胞計数)を示す。
【0228】
第2の試験では、対象に、プラセボ又は低用量若しくは高用量の治療剤を与えた。平均嚥下障害症状複合日誌スコア(重要な副次的エンドポイント)は、ベースライン及び16週目において計算した。低用量(180mg)及び高用量(360mg)RPC4046の両方での治療は、対照と比較して16週目で平均嚥下障害症状複合日誌スコアの減少をもたらすことがわかった。結果を図3に提示する。結果の要約は、表4で与える。
【0229】
【表4】
【0230】
対象の下位群分析(ステロイド難治性状態に基づく)を行い、その結果を図4に示す。平均嚥下障害症状複合日誌スコアの用量依存性減少が、ステロイド難治性患者で観察された。結果を表5に要約する。
【0231】
【表5】
【0232】
プラセボを与えた又は低用量(180mg)若しくは高用量(360mg)RPC4046で治療した対象における平均嚥下障害症状複合日誌スコア(16週の期間にわたる:2週毎に1回のモニタリング)を、図5に示す。高用量(360mg)のRPC4046による治療は、プラセボと比較して16週目で平均嚥下障害症状複合日誌スコアの正味の低下をもたらしことがわかり、これは統計的有意性に接近した(p=0.0733)。下位群分析(対象のステロイド難治性状態に基づく)では、ステロイド難治性下位群(図7)が非ステロイド難治性下位群(図6)よりもより利益を受けることがわかった。
【0233】
好酸球性食道炎(EoE)と診断された対象における蛍光ブデソニド懸濁液剤(OBS)の効力を評価する並行試験の結果を図8に示す。経口ブデソニド懸濁液剤、RPC4046及びQAX576の効力間の対照比較は、表6に示す。
【0234】
【表6】
【0235】
さらなる分析では、16週目での対象における平均好酸球性食道炎内視鏡参照スコア(EREF)を、プラセボ及び2つの治療選択肢について分析した。EREFスコアは、炎症マーカー(例えば、浮腫、滲出液及び/又は溝に対して陽性である)及び/又はリモデリングマーカー(例えば、固定リング及び/又は狭窄部分に対して陽性である)の存在に基づいて評価される追加の副次的エンドポイントである。結果(総合スコアを示す)を、図9に提示する。RPC4046による治療は、16週目でのEREFスコアの正味低下をもたらし、高用量のRPC4046(360mg)で達成された低下は、統計的に有意であった(p<0.0001)ことがわかる。
【0236】
EREF試験の結果は、炎症マーカー又はリモデリングマーカーについて複合EREFスコアを分析することによってさらに検査した。高用量のRPC4046(360mg)は、炎症について複合EREFスコアの統計的に有意な低下を達成することがわかった(p<0.0001)。結果を図10に示す。
【0237】
次に、16週目でのEoE対象のピーク食道好酸球計数を低下させる際のRPC4046の有効性(プラセボを上回る)を分析した。低用量(180mg)及び高用量(360mg)の両方のRPC4046による治療は、平均食道好酸球計数の低下に関して統計的有意性を達成することがわかった。結果を図11に示し、表7にさらに要約する。
【0238】
【表7】
【0239】
さらに、プラセボ群と治療群との間のベースライン及び16週目での平均EEsAIPROの比較を行った。結果を図12に示し、表8にさらに要約する。
【0240】
【表8】
【0241】
平均EEsAIPROの用量依存性低下が、16週目で観察された。さらなる下位群分析(ステロイド難治性状態に基づく)では、平均EEsAIPROスコアの統計的に有意な低下が、ステロイド難治性下位群で観察されることがわかった。結果を図13に示し、表9にさらに要約する。
【0242】
【表9】
【0243】
なおさらに、16週目での疾患重症度の対象の全体的評価を低下する際のRPC4046の有効性(プラセボを上回る)を分析した。用量依存性低下が、16週目で治療選択肢に観察され、より高い用量(360mg)のRPC4046で治療された対象内で達成された低下は、プラセボを上回る統計的有意性を達成した。結果を図14に示し、表10にさらに要約する。
【0244】
【表10】
【0245】
16週目での疾患重症度の臨床医の全体的評価では、低用量と高用量の両方のRPC4046が統計的有意性を達成した。結果を図15に示し、表11にさらに要約する。
【0246】
【表11】
【0247】
16週目での対象の全体的印象の分析では、より高い用量(360mg)のRPC4046で治療された対象は、統計的有意性を達成した(p=0.0143)。治療選択肢における対象のより大きい数は、プラセボと比較して「とてもより良い」又は「少しより良い」感じとして応答した。結果を図16に示す。
【0248】
最後に、食道生検の組織学的等級及び平均病期調整スコアでは、16週目でのプラセボ群及び治療選択肢について分析した。結果を図17に示す。治療群におけるより低い用量選択肢と高用量選択肢の両方は、統計的有意性を達成した(はp<0.0001を示す)。
【0249】
【表12】
【0250】
結論
RPC4046による治療は、平均食道好酸球計数を減少させ、これは、両方の活性治療選択肢においてプラセボを上回って統計的に有意であった。嚥下障害スコアにおける改善の重要な副次的エンドポイントに関して、正の数値の傾向が、より高い用量(360mg)のRPC4046でプラセボを上回って観察された(統計的有意性に近い)。患者の様々な下位群に対するRPC4046の効果に関して、非ステロイド難治性下位群と比較してステロイド難治性下位群でより大きい治療効果が観察された。投与に関して、数値的により大きい改善が、RPC360mg用量で観察された(DSD及びEEsAIにより測定して)。疾患重症度の全体的評価(対象のと臨床医のとの両方)に関して、RPC4046による治療は、プラセボを上回る統計的に有意な改善をもたらした。全体としてRPC4046は、一般に安全で対象により十分耐容性であるように思われた。最も頻繁に報告された有害事象は、頭痛、URI、関節痛、鼻咽頭炎、副鼻腔炎、腹部痛及び口腔咽頭炎であった。治療群内で静注過敏症の事象の報告事例はまったくなかった。
【0251】
均等物
当業者は、本明細書に記載された具体的実施形態及び方法に対する多くの均等物を認識し又は単なる日常実験を使用して確認することができる。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲の範囲により包含されることが意図される。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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