(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】サージ電流検出装置、サージカウンタ、通信システム、および、サージ電流検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 19/165 20060101AFI20220816BHJP
G01R 19/17 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G01R19/165 E
G01R19/17
(21)【出願番号】P 2020198930
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-156930(JP,A)
【文献】特開平05-108909(JP,A)
【文献】特開2011-174961(JP,A)
【文献】特開平08-178990(JP,A)
【文献】特開2012-220307(JP,A)
【文献】特開平08-065878(JP,A)
【文献】特開平02-123917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 19/00-19/32、
33/00-33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージ防護素子と、
前記サージ防護素子を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板と、
前記サージ防護素子搭載プリント基板に形成された導体パターンを介して前記サージ防護素子に流れる電流によって前記サージ防護素子搭載プリント基板周囲の空間に発生する磁界を検出して前記磁界に応答する1対のリード
と前記リードの応答に応じてオンまたはオフする前記リードの接点とを含むリードスイッチとして形成され、前記1対のリードの磁界に対する応答に応じて前記
リードの接点をオンまたはオフにする磁気センサと
を備え、
前記リードの接点の動作方向が、前記サージ防護素子に流れる電流の経路に含まれる導体の円周方向に向くように、前記磁気センサが設置され、
前記磁気センサは、
前記サージ防護素子に流れるサージ電流
の検出結果を前記リードの接点のオンまたはオフの状態で出力する
サージ電流検出装置。
【請求項2】
前記磁気センサを搭載する磁気センサ搭載プリント基板が、前記サージ防護素子搭載プリント基板と共通である
請求項1に記載のサージ電流検出装置。
【請求項3】
前記磁気センサを搭載する磁気センサ搭載プリント基板が、前記サージ防護素子搭載プリント基板に搭載された補助プリント基板である
請求項1に記載のサージ電流検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサが、
前記リードの接点のオンまたはオフの状態で前記磁界の検出結果を出力するものであって、
前記磁気センサ搭載プリント基板に、前記磁気センサの各端子が接続される各ランドが、各前記磁気センサと前記導体パターンとの距離が互いに異なるように複数組み設けられている
請求項2または3に記載のサージ電流検出装置。
【請求項5】
前記複数組み設けられている各ランドに、複数の前記磁気センサが半田付けされていて、
さらに、前記複数の磁気センサのいずれかを選択する選択回路を備える
請求項4に記載のサージ電流検出装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のサージ電流検出装置と、
前記磁気センサの出力に基づいてサージ電流の発生回数をカウントするカウンタ部と
を備えるサージカウンタ。
【請求項7】
請求項6に記載のサージカウンタと、
通信装置と
を備える通信システム。
【請求項8】
サージ防護素子と、
前記サージ防護素子を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板と、
前記サージ防護素子搭載プリント基板に形成された導体パターンを介して前記サージ防護素子に流れる電流によって前記サージ防護素子搭載プリント基板周囲の空間に発生する磁界を検出して前記磁界に応答する1対のリード
と前記リードの応答に応じてオンまたはオフするリードの接点とを含むリードスイッチとして形成され、前記1対のリードの磁界に対する応答に応じて前記
リードの接点をオンまたはオフにする磁気センサとを用
いるサージ電流検出方法であって、
前記リードの接点の動作方向が、前記サージ防護素子に流れる電流の経路に含まれる導体の円周方向に向くように、前記磁気センサを設置して、
前記サージ防護素子に流れるサージ電流
の検出結果を前記リードの接点のオンまたはオフの状態で出力する
サージ電流検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ電流検出装置、サージカウンタ、通信システム、および、サージ電流検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
落雷による雷サージ電流は、通信装置や情報端末等に過電圧を印加し、装置を故障させる恐れがある。サージカウンタは、電力系統に流れるサージ電流を検出する装置であり、例えば、サージ対策用にSPD(サージ防護装置)を適用した場合に、SPDにサージ電流が流れたのを検知し、損傷確認や、SPDの効果を確認するために使用されている。特許文献1には、サージカウンタに使用される電流センサの構成例が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されている電流センサは、コアと検出コイルとからなるカレントトランス(以下、CTという)を用いて構成されている。CTを用いる構成では、電源線(零相)やアース線をCTの中央に貫通させ、サージ電流通過の際に、CTで発生する電流が、CT配線の端部に接続された抵抗やフォトカプラの発光素子に流れることで、抵抗で発生した電圧降下やフォトカプラの受光素子の出力から、サージの大きさや有無が検出される。
【0004】
しかしながら、CTは高価なため装置コストが高くなるという課題がある。また、CTはサイズが大きいため、機器内部への搭載が困難であるという課題がある。また、CTは、測定電流範囲が狭く、サージ電流に対して小さすぎるため、大きなサージ電流が流れるとCTが磁気飽和し、CTの故障や特性変化につながる恐れがあるという課題がある。また、サージ信号を電圧で出力する場合、複雑な増幅や演算を行う特別な電子回路が追加で必要となる場合があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上記課題の少なくとも一つを解決することができるサージ電流検出装置、サージカウンタ、通信システム、および、サージ電流検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、サージ防護素子と、前記サージ防護素子を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板と、前記サージ防護素子搭載プリント基板に形成された導体パターンを介して前記サージ防護素子に流れる電流によって前記サージ防護素子搭載プリント基板周囲の空間に発生する磁界を検出して前記磁界に応答する1対のリードと前記リードの応答に応じてオンまたはオフする前記リードの接点とを含むリードスイッチとして形成され、前記1対のリードの磁界に対する応答に応じて前記リードの接点をオンまたはオフにする磁気センサとを備え、前記リードの接点の動作方向が、前記サージ防護素子に流れる電流の経路に含まれる導体の円周方向に向くように、前記磁気センサが設置され、前記磁気センサは、前記サージ防護素子に流れるサージ電流を前記リードの接点の動作状態に基づいて検出するサージ電流検出装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、前記磁気センサを搭載する磁気センサ搭載プリント基板が、前記サージ防護素子搭載プリント基板と共通である。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記磁気センサを搭載する磁気センサ搭載プリント基板が、前記サージ防護素子搭載プリント基板に搭載された補助プリント基板である。
【0010】
また、本発明の一態様は、前記磁気センサが、前記リードの接点のオンまたはオフの状態で前記磁界の検出結果を出力するものであって、前記磁気センサ搭載プリント基板に、前記磁気センサの各端子が接続される各ランドが、各前記磁気センサと前記導体パターンとの距離が互いに異なるように複数組み設けられている。
【0011】
また、本発明の一態様は、前記複数組み設けられている各ランドに、複数の前記磁気センサが半田付けされていて、さらに、前記複数の磁気センサのいずれかを選択する選択回路を備える。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記サージ電流検出装置と、前記磁気センサの出力に基づいてサージ電流の発生回数をカウントするカウンタ部とを備えるサージカウンタである。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記サージカウンタと、通信装置とを備える通信システムである。
【0014】
また、本発明の一態様は、サージ防護素子と、前記サージ防護素子を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板と、前記サージ防護素子搭載プリント基板に形成された導体パターンを介して前記サージ防護素子に流れる電流によって前記サージ防護素子搭載プリント基板周囲の空間に発生する磁界を検出して前記磁界に応答する1対のリードと前記リードの応答に応じてオンまたはオフする前記リードの接点とを含むリードスイッチとして形成され、前記1対のリードの磁界に対する応答に応じて前記リードの接点をオンまたはオフにする磁気センサとを用いるサージ電流検出方法であって、前記リードの接点の動作方向が、前記サージ防護素子に流れる電流の経路に含まれる導体の円周方向に向くように、前記磁気センサを設置して、前記サージ防護素子に流れるサージ電流の検出結果を前記リードの接点のオンまたはオフの状態で出力するサージ電流検出方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の各態様によれば、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るサージカウンタの構成例を示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0018】
(通信システムの構成例)
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す模式図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る通信システムの他の構成例を示す模式図である。
【0019】
図1に示す通信システム5は、通信装置4と、サージカウンタ2を備える。サージカウンタ2は、サージ電流検出装置1と、カウンタ部3を、例えば一つの筐体内に一体的に備える。通信装置4は、無線あるいは有線の通信装置であり、電源線6と接地線7を介して供給される電力によって動作する。
【0020】
サージ電流検出装置1は、サージ防護素子11と、磁気センサとしてのリードスイッチ12と、端子13~16を備える。
【0021】
サージ防護素子11は、両端子間に印加される電圧が低い場合には電気抵抗が高く、所定の以上の電圧が印加されると電気抵抗が低くなる性質を持つ非線形素子であり、例えば、バリスタ、ガス入り放電管、ツェナーダイオード、サージ防護サイリスタ等である。サージ防護素子11は、一方の端子が端子15を介して電源線6に接続され、他方の端子が端子16を介して接地線7に接続されている。サージ防護素子11は、端子15と端子16の間に雷サージ等の過電圧が印加された場合にサージ電流を端子15から端子16へと流すことで過電圧が通信装置4に印加されることを防止する。
【0022】
リードスイッチ12は、磁性体である1対のリード121およびリード122を備え、外部磁界の作用によって接点部123と接点部124をオンまたはオフさせる磁気センサである。接点部123と接点部124は、ガラス管125内の空間部126に不活性ガスとともに封入されている。また、リード121は端子13に接続され、リード122は端子14に接続されている。リードスイッチ12は、通常時は接点部123と接点部124との間をオフとし、サージ防護素子11に流れるサージ電流が発生した磁界がリード121とリード122の軸方向から作用したときに接点部123と接点部124との間をオンとする。
【0023】
サージ電流検出装置1は、サージ防護素子11を備えることでサージ防護デバイス(SPD;Surge Protective Device)としての機能を有するとともに、リードスイッチ12を備えることでサージ電流検出装置としての機能を有する。
【0024】
カウンタ部3は、端子31、端子32、デコードカウンタIC(集積回路)33と、トランジスタモジュール34と、7セグメントLED(発光ダイオード)35と、リセットスイッチRSと、複数の抵抗Rと、複数のコンデンサCとを備える。なお、複数の抵抗Rの各抵抗値と複数のコンデンサCの静電容量は互いに同一または不同である。
【0025】
デコードカウンタIC33は、例えば、端子31と端子32の間がオフからオンになった回数をカウントして記憶保持するとともに、カウント結果(累積値)を7セグメントLED35で表示するための制御信号を出力する。トランジスタモジュール34は、デコードカウンタIC33が出力した制御信号に基づき7セグメントLED35を駆動する。カウンタ部3は、「5V」と「GND」(グランド)で示す電源端子から供給される直流5Vを電源として動作し、端子31と端子32の間がオフからオンになった回数をカウントして、カウントした結果を7セグメントLED35に表示する。また、リセットスイッチRSがオンされた場合にカウント値をリセットする。
【0026】
一方、
図2に示す通信システム5aは、通信装置4と、サージカウンタ2aを備える。サージカウンタ2aは、サージ電流検出装置1と、電子カウンタ装置(カウンタ部)3aを備える。
図2に示す構成では、電子カウンタ装置3aは、例えば市販されている汎用のカウンタ装置であり、サージ電流検出装置1の端子13と端子14に対してケーブルを介して外付で接続される。電子カウンタ装置3aは、端子13と端子14の間がオフからオンになった回数をカウントして記憶保持するとともに、カウント結果(累積値)を表示部35aに表示する。
【0027】
(サージ電流検出装置1の第1の構成例(サージ電流検出装置1a))
次に、
図3を参照して、
図1および
図2に示すサージ電流検出装置1の第1の構成例(サージ電流検出装置1aとする)について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。ただし、
図3および以下で参照する
図4~
図10では、各構成要素の相対的な位置関係と接続関係をおおむね正確に表し、各構成要素の大きさや形状と各要素間の距離は必ずしも正確に表していない。
【0028】
図3に示すサージ電流検出装置1aは、プリント基板10aを備え、同一のプリント基板10a上に
図1および
図2に示すサージ防護素子11とリードスイッチ12を搭載している。プリント基板10aは、端子13と、端子14と、端子15と、端子16とを外付けのリード線等が接続可能な端子として備える。また、プリント基板10aは、4個の取り付け用の貫通穴H1と、リードスイッチ12のガラス管125の取り付け位置に対応する部分に配置された開口部H2を備える。サージ防護素子11の一方のリード(端子)111は配線パターン151を介して端子15に接続されているランドL111に半田付けされ、他方のリード(端子)112は配線パターン161を介して端子16に接続されているランドL112に半田付けされている。
【0029】
なお、本実施形態では、プリント基板に形成されている端子、ランド、および配線パターンを総称して導体パターンという。また、ランドは、配線パターンの先端や中間部等において部品の端子を半田付けする部分である。なお、各実施形態において、リード部品用のランドにはスルーホールが設けられている。
【0030】
リードスイッチ12の一方のリード121は端子13に接続されている配線パターン131に半田付けされ、他方のリード122は端子14に接続されている配線パターン141に半田付けされている。なお、リード121とリード122の各端部は表面実装に適した形状を有し、また、配線パターン131と配線パターン141は一部、リード121とリード122を半田付けするのに適した形状を有している。この場合、リードスイッチ12は、プリント基板10aに形成された配線パターン161等の導体パターンやリード112を介してサージ防護素子11に流れる電流によってプリント基板10a周囲の空間に発生する磁界を検出する磁気センサとして機能する。また、リードスイッチ12は、サージ防護素子11に所定のサージ電流が流れた場合にオンする位置に所定の角度で固定されている。
【0031】
サージ電流検出装置1aにおいて、プリント基板10aは、リードスイッチ12(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であるとともに、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板であり、磁気センサ搭載プリント基板とサージ防護素子搭載プリント基板が共通(同一)である。サージ電流検出装置1aによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0032】
(サージ電流検出装置1の第2の構成例(サージ電流検出装置1b))
次に、
図4を参照して、
図1および
図2に示すサージ電流検出装置1の第2の構成例(サージ電流検出装置1bとする)について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。なお、サージ電流検出装置1bは、
図3に示すサージ電流検出装置1aに対してリードスイッチ12を搭載するための構成が一部異なる。以下、サージ電流検出装置1aと相違する部分について主に説明する。
【0033】
図4に示すサージ電流検出装置1bは、プリント基板10bを備え、同一のプリント基板10b上に
図1および
図2に示すサージ防護素子11とリードスイッチ12を搭載している。プリント基板10bは、ランドL1、L2、L3、L4、L5、およびL6を備える。ランドL1、L2およびL3は、配線パターン131に設けられている。ランドL4、L5、およびL6は、配線パターン141に設けられている。ランドL1およびランドL4は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL2およびランドL5は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL3およびランドL6は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL1とランドL4の組、ランドL2とランドL5の組、または、ランドL3とランドL6の組のいずれかを選択してリードスイッチ12を搭載すれば、サージ電流の検出値(オフからオンになるサージ電流値)を変化させることができる。なお、検出できるサージ電流は、ランドL3とランドL6の組→ランドL2とランドL5の組→ランドL1とランドL4の組の順で小さくできる。なお、
図4では、ランドL1とランドL4にリードスイッチ12が取り付けられている。
【0034】
サージ電流検出装置1bにおいて、プリント基板10bは、リードスイッチ12(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であるとともに、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板であり、磁気センサ搭載プリント基板とサージ防護素子搭載プリント基板が共通である。また、リードスイッチ12(磁気センサ)は、オンまたはオフの状態でサージ防護素子11に流れる電流によってプリント基板10a周囲の空間に発生する磁界の検出結果を出力する。また、プリント基板10b(磁気センサ搭載プリント基板)には、リードスイッチ12の各端子(リード121およびリード122)が接続される各ランドが、各ランドに取り付けられた状態の各リードスイッチ12と配線パターン161等の導体パターンとの距離が互いに異なるように複数組み設けられている。この場合、サージ電流検出装置1bでは、サージ電流の検出値の設定は3段階となるが、サージ電流検出装置1aと比較し、リードスイッチ12の取り付けが容易であり、検出精度のばらつきを容易に抑えることができる。また、サージ電流検出装置1aと同様、サージ電流検出装置1bによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0035】
(サージ電流検出装置1の第3の構成例(サージ電流検出装置1c))
次に、
図5を参照して、
図1および
図2に示すサージ電流検出装置1の第3の構成例(サージ電流検出装置1cとする)について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図5に示すサージ電流検出装置1cは、
図4に示すサージ電流検出装置1bに対して、次の点が異なる。すなわち、
図5に示すサージ電流検出装置1cは、複数組み設けられている各ランドL1~L6に、複数のリードスイッチ12(磁気センサ)が半田付けされているとともに、複数のリードスイッチ12のいずれかを選択するディップ(DIP)スイッチ17(選択回路)を備えている点が
図4に示すサージ電流検出装置1bと異なる。以下、サージ電流検出装置1bと相違する部分について主に説明する。
【0036】
図5に示すサージ電流検出装置1cは、プリント基板10cを備え、同一のプリント基板10c上に
図1および
図2に示すサージ防護素子11と3個のリードスイッチ12を搭載している。プリント基板10cは、ランドL1、L2、L3、L4、L5、およびL6を備える。ランドL1、L2およびL3は、ディップスイッチ17を介して配線パターン131に接続されている。ディップスイッチ17は、3個のスイッチを有し、各スイッチがランドL1、L2およびL3と端子13との間を独立して遮断(オフ)したり接続(オン)したりする。ランドL4、L5、およびL6は、配線パターン141に設けられている。ディップスイッチ17が有する3個のスイッチのいずれか1つをオンにし、他の2つをオフすれば、ランドL1とランドL4に接続された1個のリードスイッチ12、ランドL2とランドL5に接続された1個のリードスイッチ12、または、ランドL3とランドL6に接続された1個のリードスイッチ12のいずれかを選択して端子13と端子14の間に接続することができる。この構成によれば、ディップスイッチ17の切替によってサージ電流の検出値(オフからオンになるサージ電流値)を変化させることができる。なお、検出できるサージ電流は、ランドL3とランドL6の組→ランドL2とランドL5の組→ランドL1とランドL4の組の順で小さくできる。
【0037】
サージ電流検出装置1cにおいて、プリント基板10cは、リードスイッチ12(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であるとともに、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板であり、磁気センサ搭載プリント基板とサージ防護素子搭載プリント基板が共通である。また、サージ電流検出装置1aおよび1bと同様、サージ電流検出装置1cによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。また、サージ電流検出装置1cでは、工場出荷後にサージ電流の検出値を容易に変化させることができる。
【0038】
(サージ電流検出装置1の第4の構成例(サージ電流検出装置1d))
次に、
図6および
図7を参照して、
図1および
図2に示すサージ電流検出装置1の第4の構成例(サージ電流検出装置1dとする)について説明する。
図6および
図7は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
図6は、サージ電流検出装置1dが備える2つのプリント基板10dおよびプリント基板18dを別々に示す。
図7は、プリント基板10dに、プリント基板18dに垂直に取り付けた状態を示す。
【0039】
プリント基板10dは、端子15と、端子16と、4個の取り付け用の貫通穴H1と、プリント基板18dの取り付け用のランドL7とランドL8を備える。サージ防護素子11の一方のリード111は配線パターン151を介して端子15に接続されているランドL111に半田付けされ、他方のリード112は配線パターン161を介して端子16に接続されているランドL112に半田付けされている。
【0040】
一方、プリント基板18dは、端子13と、端子14と、ランドL11、L12、L13、L14、L15、およびL16と、リード181と、リード182と、開口部H3を備える。ランドL11、L12およびL13は、端子13に接続されている配線パターン131に設けられている。ランドL14、L15、およびL16は、端子14に接続されている配線パターン141に設けられている。ランドL11およびランドL14は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL12およびランドL15は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL13およびランドL16は1個のリードスイッチ12の各リード121および122の取り付け用である。ランドL11とランドL14の組、ランドL12とランドL15の組、または、ランドL13とランドL16の組のいずれかを選択してリードスイッチ12を搭載すれば、サージ電流の検出値(オフからオンになるサージ電流値)を変化させることができる。なお、検出できるサージ電流は、ランドL13とランドL16の組→ランドL12とランドL15の組→ランドL11とランドL14の組の順で小さくできる。
【0041】
プリント基板18dのリード181をプリント基板10dのランドL7に取り付けるとともに、プリント基板18dのリード182をプリント基板10dのランドL8に取り付けることで、
図7に示すようにプリント基板18dをプリント基板10dに垂直に搭載することができる。この場合、配線パターン161を軸とする円(円柱)の円周方向D1と、リードスイッチ12の軸方向D2が平行関係となる。また、この場合、プリント基板10dが、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板である。また、プリント基板18dが、リードスイッチ12(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であり、サージ防護素子搭載プリント基板に搭載された補助プリント基板である。サージ電流検出装置1dによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0042】
(サージ電流検出装置1の第5の構成例(サージ電流検出装置1e))
次に、
図8を参照して、
図1および
図2に示すサージ電流検出装置1の第5の構成例(サージ電流検出装置1eとする)について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。ただし、サージ電流検出装置1eは、
図6および
図7に示すサージ電流検出装置1dに対して、プリント基板10dに搭載される補助プリント基板の構成のみが異なる。そのため、
図8では、補助プリント基板であるプリント基板18eのみを示している。
【0043】
図8に示すプリント基板18eは、ランドL11、L12、L13、L14、L15、およびL16を備える。ランドL11、L12およびL13は、ディップスイッチ17を介して端子13に接続されている。ディップスイッチ17は、3個のスイッチを有し、各スイッチがランドL11、L12およびL13と端子13との間を独立して遮断(オフ)したり接続(オン)したりする。ランドL14、L15、およびL16は、配線パターン141に設けられている。ディップスイッチ17が有する3個のスイッチのいずれか1つをオンにし、他の2つをオフすれば、ランドL11とランドL14に接続された1個のリードスイッチ12、ランドL12とランドL15に接続された1個のリードスイッチ12、または、ランドL13とランドL16に接続された1個のリードスイッチ12のいずれかを選択して端子13と端子14の間に接続することができる。この構成によれば、ディップスイッチ17の切替によってサージ電流の検出値(オフからオンになるサージ電流値)を変化させることができる。なお、検出できるサージ電流は、ランドL13とランドL16の組→ランドL12とランドL15の組→ランドL11とランドL14の組の順で小さくできる。
【0044】
また、プリント基板18eのリード181を
図6に示すプリント基板10dのランドL7に取り付けるとともに、プリント基板18dのリード182をプリント基板10dのランドL8に取り付けることで、プリント基板18eをプリント基板10dに垂直に搭載することができる。サージ電流検出装置1eによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0045】
(サージカンターの他の構成例)
次に、
図9を参照して、
図1に示すサージカウンタ2の他の構成例について説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係るサージカウンタの構成例を示す模式図である。
【0046】
図9に示すサージカウンタ2fは、サージ電流検出装置1fと、カウンタ部3fを備える。サージ電流検出装置1fは、磁気センサとして、リードスイッチ12の代わりにホールIC12aを備える。
【0047】
サージ電流検出装置1fは、プリント基板10fを備え、同一のプリント基板10f上に
図1および
図2に示すサージ防護素子11と、磁気センサとしてのホールIC12aを搭載している。プリント基板10fは、端子191と、端子192と、端子193と、端子15と、端子16とを外付けのリード線等が接続可能な端子として備える。また、プリント基板10fは、4個の取り付け用の貫通穴H1と、ホールIC12aのパッケージの取り付け位置に対応する部分に配置された開口部H2を備える。サージ防護素子11の一方のリード(端子)111は配線パターン151を介して端子15に接続されているランドL111に半田付けされ、他方のリード(端子)112は配線パターン161を介して端子16に接続されているランドL112に半田付けされている。
【0048】
ホールIC12aは、ホール素子、増幅回路等を内蔵し、外部から供給された電源(この例では5VとGND)で動作し、ホール素子の出力を増幅回路で増幅し、ホール素子に垂直に印加された磁界(磁場)の大きさと向きをリニア出力する。ホールIC12aは、1個の検出結果の出力端子と2個の電源端子を有し、出力端子を端子191に接続されているランドL21に接続し、電源端子(GND)を端子192に接続されているランドL22に接続し、電源端子(5V)を端子193に接続されているランドL23に接続している。ホールIC12aは、磁界の検出方向が、サージ電流が流れる導体の円周方向となるように配置されている。
【0049】
カウンタ部3fは、端子301と、端子302と、端子303と、マイコン(マイクロコントローラ)304と、液晶表示モジュール305と、コンデンサCを備える。端子301は、サージ電流検出装置1fの端子191に接続され、ホールIC12aの出力信号をマイコン304のアナログ入力端子304aに入力する。端子302は、サージ電流検出装置1fの端子192に接続され、また、グランド(GND)に接続される。端子303は、サージ電流検出装置1fの端子193に接続され、また、電源(5V)に接続される。マイコン304は、サージ電流検出装置1fが出力したアナログ電圧信号から磁束密度を求め、サージ電流(例えばピーク値)を演算して検出する。マイコン304は、サージ電流を検出した回数(発生したサージ電流の回数)や検出したサージ電流の大きさを示す数値や文字、記号を液晶表示モジュール305に表示する。
【0050】
サージ電流検出装置1fにおいて、プリント基板10fは、ホールIC12a(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であるとともに、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板であり、磁気センサ搭載プリント基板とサージ防護素子搭載プリント基板が共通(同一)である。サージ電流検出装置1fによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0051】
(サージ電流検出装置1fの変形例(サージ電流検出装置1g))
次に、
図10を参照して、
図9に示すサージ電流検出装置1fの変形例(サージ電流検出装置1gとする)について説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係るサージ電流検出装置の構成例を示す斜視図である。
【0052】
サージ電流検出装置1gは、プリント基板10dと、プリント基板18gから構成される。プリント基板10dは、
図6および
図7を参照して説明したサージ電流検出装置1dが備えるプリント基板10dと同一である。プリント基板10gは、端子191と、端子192と、端子193とを外付けのリード線等が接続可能な端子として備える。プリント基板18gは、ホールIC12aと、ホールIC12aのパッケージの取り付け位置に対応する部分に配置された開口部H3を備える。ホールIC12aは、1個の検出結果の出力端子と2個の電源端子を有し、出力端子を端子191に接続されているランドL31に接続し、電源端子(GND)を端子192に接続されているランドL32に接続し、電源端子(5V)を端子193に接続されているランドL33に接続している。ホールIC12aは、磁界の検出方向が、サージ電流が流れる導体の円周方向となるように配置されている。
【0053】
プリント基板10dは、サージ防護素子11を搭載するサージ防護素子搭載プリント基板である。また、プリント基板18gは、ホールIC12a(磁気センサ)を搭載する磁気センサ搭載プリント基板であり、サージ防護素子搭載プリント基板に搭載された補助プリント基板である。サージ電流検出装置1gによれば、CTを使用する場合と比較して、サイズの縮小やコストの低減を容易に図ることができる。
【0054】
(各実施形態(各構成例)についての補足説明および作用・効果)
上記構成例において、磁気センサとしてリードスイッチ12を用いる場合、サージ電流の検知を、サージ電流がプリント基板上の導体に流れたときに、導体の円周方向に発生する磁界変化により、リードスイッチ12がOFF⇒ON⇒OFFへ過渡的に変化することで検知し、サージ発生をカウントする。その際、リードスイッチ12の導体近傍への配置は、リードスイッチ12の接点の動作方向が導体の円周方向を向くよう設置することで、接点が磁界変化の影響で動作しやすいように配置することができる。ここで、導体は、サージ防護素子11が流れる導体パターンとサージ防護素子11のリード111および112を含む。
【0055】
また、検出するサージ電流の大きさは、導体の中心とリードスイッチ12の離隔を調整することで行うことができる。導体の周囲に発生する磁界の強さ(磁束密度)は導体に近いほど大きく、離れるほど小さくなる原理を応用する。例えば、小さいサージ電流を検知したい場合は、導体とリードスイッチ12間の離隔を小さくし、大きいサージ電流を検知したい場合は、導体とリードスイッチ間の離隔を大きくする。
【0056】
また、サージ電流検出装置1bおよび1dでは、導体とリードスイッチ12の離隔は、サージ防護素子11と同一基板か、それと垂直に設置する別基板上に配置し、基板上に、導体から離れる方向に対で設置した、複数あるスルーホールのどこを利用するかにより、検出する最低のサージ電流を調整可能とする。
【0057】
また、サージ電流検出装置1cおよび1eでは、複数のスルーホールに、さらに複数のリードスイッチを取り付け、ディップスイッチ17で、接続されるリードスイッチ12を変更できる構成としている。
【0058】
なお、上記構成例には、リードスイッチ12の接点のばねの硬さ(感動値)を変更することで、検出できるサージ電流を調整する技術を組み合わせてもよい。
【0059】
また、リードスイッチ12によるサージ検知は、絶縁された無電圧接点のため、カウンタ部3では、カウンタICやマイコンなどを利用し、接点の切り替わりタイミングを検知し、サージ発生のイベントを7セグメントLEDやLCD(液晶ディスプレイ)などで表示することができる。また、それを適用したサージカウンタやSPD、通信装置などを構成することができる。
【0060】
また、リードスイッチ12の代わりに、ホールIC12aを設置した構成では、サージ電流により配線パターンから発生する磁束密度そのものを測定し、マイコンによりサージ電流のピーク値を演算したり、回数を検知したりしている。
【0061】
上記構成によれば、サージ電流を検知する電流センサをCTから、リードスイッチに変更することで、電流センサのコストを約1/100へ低減可能である。
【0062】
また、リードスイッチはCTと違い、サージ電流による電流センサへの影響が少なく、また構造も単純なため、信頼性や寿命を長くできる。
【0063】
また、リードスイッチは小型なため、サージカウンタ全体が小型化できるようになり、通信装置本体や、SPDなどへの内蔵が簡単になる。
【0064】
また、サージ電流の検知が、リードスイッチにより絶縁された無電圧接点で行えるため、弱電回路との融和性が高くなり、過電圧やサージの影響を考慮せずに、簡単なカウントICを用いた検出回路や、市販の汎用電子カウンタに接続できるため、安価でシンプルな構成でサージカウンタを実現できる。
【0065】
また、ホールICは安価で、かつアナログ電圧信号のため、サージ電流の大きさを検出することができるため、サージ電流の向きや、最大値の計測をマイコンにより求めることが可能になり、サージ回数だけでなく、サージ電流の大きさと回数の関係も得られる。
【0066】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0067】
例えば、磁気センサは、リードスイッチ12やリニア出力のホールIC12aに限られず、2値出力のホールICとしたり、磁気抵抗素子等としたりしてもよい。また、ディップスイッチ17に代えて、ジャンパー配線でパターンを切断する構成を用いてもよい。また、サージ防護素子11、リードスイッチ12、ホールIC12a等のリード部品の一部または全部は、表面実装部品としてもよい。その場合、ランドは、パッドと読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g…サージ電流検出装置、2、2a…サージカウンタ、3…カウンタ部、3a…電子カウンタ装置(カウンタ部)、5、5a…通信システム、4…通信装置、10a、10b、10c、10d、10f…プリント基板(サージ防護素子搭載プリント基板)、11…サージ防護素子、12…リードスイッチ、12a…ホールIC、17…ディップスイッチ(選択回路)、18d、18e、18g…プリント基板(磁気センサ搭載プリント基板;補助プリント基板)、151、161…配線パターン(導体パターン)、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L11、L12、L13、L14、L15、L16、L21、L22、L23、L31、L32、L33…ランド