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特許7124065デッドフロントガラスのための触覚エレメントおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】デッドフロントガラスのための触覚エレメントおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220816BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20220816BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220816BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220816BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60K37/00 A
B60R16/02 640Z
G06F3/041 460
G06F3/041 650
G09F9/00 313
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020514557
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018050772
(87)【国際公開番号】W WO2019055581
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】62/557,502
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/679,278
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,695
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フェントン,マシュー ウェイド
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ユィホイ
(72)【発明者】
【氏名】キクゼンスキ,ティモシー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】トーカー,ジョシュア リー
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-518495(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2385630(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0360606(US,A1)
【文献】特開2016-164118(JP,A)
【文献】特開2017-186226(JP,A)
【文献】特開2012-103047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/00
B60R 16/02
G06F 3/041
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッドフロント製品であって、
基板であって、第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面とを有する基板と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有する、前記基板の前記第2の面の少なくとも第1の部分に配置された半透明層と、
前記領域の少なくとも一部に配置されたコントラスト層であって、前記領域の色の可視性を高めるようにまたは前記コントラスト層が配置されている前記領域の部分における前記領域のデザインの色間のコントラストを高めるように構成されているコントラスト層と、
を備える、デッドフロント製品。
【請求項2】
前記1つ以上の表面粗さ部分は、(i)相対的により小さい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により大きい表面粗さの領域および(ii)相対的により大きい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により小さい表面粗さの領域のうちの一方によって形成されている、請求項1記載のデッドフロント製品。
【請求項3】
前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記基板の前記第1の面のエッチングされた部分を含む、請求項1または2記載のデッドフロント製品。
【請求項4】
前記基板の前記第1の面の総面積の大部分は、第1の表面粗さを有し、
前記触覚エレメントの前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記第1の面の総面積の小さい部分をカバーしていて、前記第1の表面粗さと異なる第2の表面粗さを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のデッドフロント製品。
【請求項5】
前記基板は、ガラス、ガラスセラミックおよびポリマーから成るグループから選択された材料を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載のデッドフロント製品。
【請求項6】
前記コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層を備え、前記コントラスト層が、前記高光学濃度層と前記半透明層との間に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のデッドフロント製品。
【請求項7】
前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルをさらに備え、該タッチパネルは、使用者による接触に応答するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のデッドフロント製品。
【請求項8】
自動車内装であって、
デッドフロント製品を備え、該デッドフロント製品は、
基板を有し、該基板は、
第1の面と、
該第1の面と反対側の第2の面と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
前記基板の第2の面に配置された半透明層と、
該半透明層の少なくとも一部に配置されたコントラスト層と、
該コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層であって、少なくとも部分的に前記グラフィックを形成している、高光学濃度層と、
前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルであって、使用者による接触に応答するように構成されているタッチパネルと、
を備える、自動車内装。
【請求項9】
前記グラフィックは、アイコンであり、前記タッチパネルは、前記アイコンの使用者の接触に応答するように構成されている、請求項8記載の自動車内装。
【請求項10】
デッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法であって、
基板の第1の面に少なくとも1つの触覚エレメントを形成するステップであって、前記第1の面と反対側の前記基板の第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントによって形成されたグラフィックに対して相補的な形式で、該グラフィックが前記第1の面を通じて見えるように形成するステップを含み、
前記少なくとも1つの触覚エレメントを、エッチング、サンドブラスト、研磨および彫刻のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって形成する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/729695号明細書、2018年6月1日に出願された米国特許仮出願第62/679278号明細書および2017年9月12日に出願された米国特許仮出願第62/557502号明細書の、米国特許法第119条の下での優先権の利益を請求し、各明細書の内容は、引用によりそれらの全体が援用されかつ本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、基板に、改良された視覚的特徴および選択的に触覚的特徴を提供するためのディスプレイ方法および装置のためのデッドフロント製品に関する。特に、本開示は、デッドフロント製品の前面に触覚的感覚を有するデッドフロント製品に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車内装コンポーネントを含む消費財は、より多くのタッチスクリーンおよびデッドフロント型制御ディスプレイを組み込んでおり、プッシュボタンおよびノブ指向の制御を組み込むことは少なくなっている。デッドフロント製品は、デッドフロント効果を示す表面を有し、このデッドフロント効果において表面は、製品が背面照明されていないときは、見る人に対して、下にあるディスプレイ特徴を隠すまたは遮蔽するが、製品が背面照明されているときは、ディスプレイ特徴を見えるようにする。
【0004】
したがって、タッチスクリーンおよびデッドフロント型制御ディスプレイにおける革新の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、触覚的感覚を有する装飾的表面を提供する消費財のためのデッドフロント製品に関する。開示されたデッドフロント製品は、装飾的外観(例えば、ステンレス鋼、木など)と触覚的感覚とを備えると共に制御特徴(例えば、ディスプレイボタン/アイコン)が下側に設けられた表面を提供するために消費財に組み込まれることがある。開示されたデッドフロント製品は、様々な産業において、触覚的感覚を有する、光沢のある、軽量の、強い、装飾的なかつ機能的な表面を形成するために使用されることがある。例えば、開示されたデッドフロント製品は、自動車内装のための触覚的特徴を備えるデッドフロント型制御ディスプレイを提供するために自動車産業において使用されることがある。
【0006】
第1の態様において、デッドフロント製品であって、
基板であって、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを有する基板と、
第1の面を通じて見えるように、基板の第2の面にかつ/または基板内に配置された視覚的エレメントであって、第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、基板の第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、グラフィックに対して相補的な形式で基板の第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有する、基板の第2の面の少なくとも第1の部分に配置された半透明層と、
領域の少なくとも一部に配置されたコントラスト層であって、領域の色の可視性を高めるようにまたはコントラスト層が配置されている領域の部分における領域のデザインの色間のコントラストを高めるように構成されているコントラスト層と、
を備える、デッドフロント製品が記載されている。
【0007】
第2の態様において、前の段落の態様によるデッドフロント製品は、1つ以上の表面粗さ部分が、(i)相対的により小さい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により大きい表面粗さの領域および(ii)相対的により大きい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により小さい表面粗さの領域のうちの一方によって形成されていることを含んでもよい。
【0008】
第3の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、アイコンを含むグラフィックを有してもよい。
【0009】
第4の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、基板の第1の面のエッチングされた部分を含む1つ以上の表面粗さ部分を有してもよい。
【0010】
第5の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、基板の第1の面の総面積の大部分が第1の表面粗さを有する第1の面を有してもよく、触覚エレメントの1つ以上の表面粗さ部分は、第1の面の総面積の小さい部分をカバーしており、第1の表面粗さと異なる第2の表面粗さを有する。幾つかの実施形態において、第2の表面粗さは、第1の表面粗さより相対的に粗くてもよい。幾つかの実施形態において、第2の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有してもよい。幾つかの実施形態において、第1の表面粗さは、第2の表面粗さより相対的に粗くてもよい。幾つかの実施形態において、第1の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有してもよい。
【0011】
第6の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、ガラス、ガラスセラミックおよびポリマーから成るグループから選択された材料を含む基板を有してもよい。
【0012】
第7の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、強化ガラスを含む基板を有してもよい。
【0013】
第8の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層を備えてもよく、コントラスト層が、高光学濃度層と半透明層との間に配置されている。幾つかの実施形態において、高光学濃度層は、少なくとも部分的にグラフィックを形成している。
【0014】
第9の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層を備えてもよく、高光学濃度層によって形成された視覚的エレメントの少なくとも一部において、コントラスト層は、半透明層とカラー層との間に配置されている。
【0015】
第10の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、2つ以上の色のデザインを有する半透明層を有してもよく、デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
第11の態様において、前の段落のうちのいずれかの態様によるデッドフロント製品は、視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルを備えてもよく、タッチパネルは、使用者による接触に応答するように構成されている。
【0017】
第12の態様において、自動車内装であって、
デッドフロント製品を備え、デッドフロント製品は、
基板を有し、基板は、
第1の面と、
第1の面と反対側の第2の面と、
第1の面を通じて見えるように、基板の第2の面にかつ/または基板内に配置された視覚的エレメントであって、第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、基板の第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、グラフィックに対して相補的な形式で基板の第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
基板の第2の面に配置された半透明層と、
半透明層の少なくとも一部に配置されたコントラスト層と、
コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層であって、少なくとも部分的にグラフィックを形成している、高光学濃度層と、
視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルであって、使用者による接触に応答するように構成されているタッチパネルと、
を備える、自動車内装が記載されている。
【0018】
第13の態様において、前の段落の態様による自動車内装は、アイコンであるグラフィックを有してもよく、タッチパネルは、アイコンの使用者の接触に応答するように構成されている。
【0019】
第14の態様において、前の2つの段落のうちのいずれかの態様による自動車内装は、単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有する半透明層の領域を有してもよく、デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
第15の態様において、前の3つの段落のうちのいずれかの態様による自動車内装は、コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層を備えてもよく、コントラスト層が、高光学濃度層と半透明層との間に配置されている。
【0021】
第16の態様において、前の4つの段落のうちのいずれかの態様による自動車内装は、視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層を備えてもよく、高光学濃度層によって形成された視覚的エレメントの少なくとも一部において、コントラスト層は、半透明層とカラー層との間に配置されている。
【0022】
第17の態様において、デッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法であって、
基板の第1の面に少なくとも1つの触覚エレメントを形成するステップであって、第1の面と反対側の基板の第2の面にかつ/または基板内に配置された視覚的エレメントによって形成されたグラフィックに対して相補的な形式で、グラフィックが第1の面を通じて見えるように形成するステップを含み、
少なくとも1つの触覚エレメントは、エッチング、サンドブラスト、研磨および彫刻のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって形成される、
デッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法が記載されている。
【0023】
第18の態様において、前の段落の態様による方法は、エッチングプロセスによって少なくとも1つの触覚エレメントを形成するステップを含んでもよい。幾つかの実施形態において、エッチングプロセスは、第1のエッチング溶液によって第1の面をエッチングするステップと、第1のエッチング溶液によって第1の面をエッチングした後、グラフィックの形状に対応する形状を有するマスクを第1の面上に配置するステップと、第2のエッチング溶液によって、第1の面の、マスクによって被覆されていない領域をエッチングするステップとを含んでもよい。幾つかの実施形態において、第1のエッチング溶液は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムおよび水混和性有機溶剤を含んでもよく、第2のエッチング溶液は、フッ化水素酸を含んでもよい。
【0024】
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになりまたは以下の詳細な説明、請求項および添付の図面を含む本明細書に説明されている実施形態を実施することによって認識される。
【0025】
前記の概略的な説明および以下の詳細な説明の両方は単に例示的であり、請求項の性質および特性を理解するための概略または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれておりかつ本明細書の一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示しており、説明と共に、様々な実施形態の原理および操作を説明するために機能する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本明細書において説明された実施形態のうちの1つ以上によるデッドフロント製品を利用した車両内装システムを備える車両内装の斜視図である。
図2】1つの典型的な実施形態による、ディスプレイが消灯された単色デッドフロント製品を備えるディスプレイを示している。
図3】1つの典型的な実施形態による、ディスプレイが点灯された図2のデッドフロント製品を備えるディスプレイを示している。
図4】1つの典型的な実施形態による、ディスプレイが消灯された、パターン化されたデッドフロント製品を備えるディスプレイを示している。
図5】1つの典型的な実施形態による、ディスプレイが点灯された図4のデッドフロント製品を備えるディスプレイを示している。
図6】1つの典型的な実施形態による、半透明層およびコントラスト層を有するディスプレイのためのデッドフロント製品の縦断面図である。
図7】1つの典型的な実施形態による、機能表面層および不透明層を有するディスプレイのためのデッドフロント製品の別の縦断面図である。
図8】1つの典型的な実施形態による、デッドフロント製品を有するLEDディスプレイの縦断面図である。
図9】1つの典型的な実施形態による、デッドフロント製品を有するDLP MEMSチップの縦断面図である。
図10】1つの典型的な実施形態による、タッチスクリーン機能を備えるデッドフロントディスプレイの縦断面図である。
図11】1つの典型的な実施形態による、車両内装のための革シボデッドフロントディスプレイである。
図12】1つの典型的な実施形態による、車両内装のための木目調デッドフロントディスプレイである。
図13A】半透明層が印刷されたガラス層の前側を示している。
図13B】半透明層が印刷されたガラス層の裏側を示している。
図14A】1つの典型的な実施形態による、半透明層およびコントラスト層が印刷されたガラス層の前側を示している。
図14B】1つの典型的な実施形態による、半透明層およびコントラスト層が印刷されたガラス層の裏側を示している。
図15】1つの典型的な実施形態による、ガラスシートに印刷された、可変白色度のコントラスト層を示している。
図16】1つの典型的な実施形態による、可変透過率のコントラスト層のための透過率のグラフである。
図17】1つの典型的な実施形態による、デッドフロント製品のための、4つの異なるパターンの半透明層を示している。
図18】1つの典型的な実施形態による、革シボから黒単色へ移行する半透明層を有するデッドフロント製品を示している。
図19】デッドフロント製品のためのニットパターンの半透明層を示している。
図20】1つの典型的な実施形態による、デッドフロント製品のためのニットパターンの半透明層を示しており、ニットパターンの半透明層の背後にコントラスト層が印刷されている。
図21】1つの典型的な実施形態による、コントラスト層に窓を備える、大理石パターンの半透明層を有するデッドフロント製品の前側を示している。
図22】1つの典型的な実施形態による、コントラスト層に窓を備える、大理石パターンの半透明層を有するデッドフロント製品の裏側を示している。
図23】1つの典型的な実施形態による、ディスプレイと共に使用するための、湾曲したガラスデッドフロント製品の側面図である。
図24】1つの典型的な実施形態による、湾曲形成の前の図6のガラスデッドフロント製品のためのガラス層の前方斜視図である。
図25】1つの典型的な実施形態による、湾曲したディスプレイフレームに合致するように成形されたガラス層を有する、湾曲したデッドフロント製品を示している。
図26】1つの典型的な実施形態による、ガラス層を含むデッドフロント製品を湾曲した形状に冷間成形するためのプロセスを示している。
図27】1つの典型的な実施形態による、湾曲したガラス層を含む湾曲したデッドフロント製品を形成するためのプロセスを示している。
図28】1つの典型的な実施形態による、デッドフロント製品の層の分解図である。
図29】1つの典型的な実施形態による、木目調デッドフロント製品を示している。
図30】1つの典型的な実施形態による、照明された裏側を有する木目調デッドフロント製品を示している。
図31】1つの典型的な実施形態による、照明された裏側および異なる色のアイコンを有する木目調デッドフロント製品を示している。
図32】不透明率が高すぎる、炭素繊維パターンデッドフロント製品を示している。
図33】照明された裏側を有する図32のデッドフロント製品を示しており、高レベルの不透明率がアイコンを分かりにくくすることを実証している。
図34】1つの典型的な実施形態による、開示された範囲内の不透明率を有する、炭素繊維パターンデッドフロント製品を示している。
図35】照明された裏側を有する図34のデッドフロント製品を示しており、アイコンのより良い可視性を実証している。
図36】1つの典型的な実施形態による、タッチパネルを有するデッドフロント製品を示している。
図37】視覚的および触覚的特徴を有する基板製品の平面図および斜視図を示している。
図38】基板に視覚的および触覚的特徴を配置するためのプロセスを通じて基板が変化するときの、基板の概略的なイメージを示している。
図39】基板に視覚的および触覚的特徴を配置するためのプロセスを通じて基板が変化するときの、基板の概略的なイメージを示している。
図40】基板に視覚的および触覚的特徴を配置するための代替的なプロセスを通じて基板が変化するときの、基板の概略的なイメージを示している。
図41】製品の表面を通じて見える視覚的エレメントを有する、背面照明されるデッドフロント製品を示している。
図42】製品が背面照明されていないときのデッドフロント製品の表面における触覚エレメントを示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
全体的に図面を参照すると、車両内装システムは、平坦なまたは湾曲したディスプレイ表面などの、透明であるように設計された様々な異なる平坦なまたは湾曲した表面を有してもよく、本開示は、これらの平坦なまたは湾曲した表面を形成するための製品および方法を提供する。1つ以上の実施形態において、このような表面は、ガラス材料またはプラスチック材料から形成されている。ガラス材料から湾曲したまたは平坦な車両表面を形成することは、車両内装において従来見られる典型的な湾曲したまたは平坦なプラスチックパネルと比較して多くの利点を提供することがある。例えば、ガラスは、一般的に、プラスチックカバー材料と比較して、ディスプレイ用途およびタッチスクリーン用途などの、多くの平坦なまたは湾曲したカバー材料用途のための高められた機能性およびユーザエクスペリエンスを提供すると考えられる。
【0028】
さらに、デッドフロント外観を備えるディスプレイ、特に車両内装システムのためのディスプレイを装備することが多くの用途において望ましいと考えられる。概して、デッドフロント外観は、ディスプレイがオフのとき、下にあるディスプレイコンポーネント、アイコン、グラフィックなどの可視性を遮断するが、ディスプレイがオンのときまたは作動させられたとき(タッチイネーブル式ディスプレイの場合)、ディスプレイコンポーネントが容易に見えるようにする。加えて、デッドフロント効果を提供する製品(すなわち、デッドフロント製品)は、デッドフロント製品から周囲のコンポーネントへの移行部の可視性を排除するために製品の色またはパターンを隣接するコンポーネントと適合させるために使用することができる。これは、デッドフロント製品が周囲のコンポーネントと異なる材料であるときに特に有効である可能性がある(例えば、デッドフロント製品は、ガラス材料から形成されているが、革で被覆されたセンターコンソールによって包囲されている)。例えば、デッドフロント製品は、ディスプレイの外観を、ディスプレイが取り付けられている車両内装システムの周囲の木製または革製コンポーネント(例えば、木製または革製のダッシュボード)と適合させるために革パターンを使用することができる木目調パターンまたは革パターンを有してもよい。
【0029】
本開示の様々な実施形態は、冷間成形または冷間曲げプロセスを利用する、湾曲したガラスベースのデッドフロント製品の形成に関する。本明細書において説明するように、典型的なガラス熱間成形プロセスの欠点を回避する、湾曲したガラスベースのデッドフロント製品およびこれを形成するためのプロセスが提供される。例えば、熱間成形プロセスは、大きなエネルギを必要とし、本明細書において説明される冷間曲げプロセスに対して、湾曲したガラスコンポーネントを形成するコストを増大させる。加えて、熱間成形プロセスは、一般的に、デッドフロントインクまたは顔料層などのガラスコーティング層の適用をより困難にする。例えば、インクまたは顔料材料は、一般的に、熱間成形プロセスの高温に耐えることができないので、熱間成形プロセスの前にガラス材料の平坦なピースに多くのインクまたは顔料材料を塗布することはできない。さらに、熱間曲げの後での湾曲したガラス製品の表面へのインクまたは顔料材料の塗布は、平坦なガラス製品への塗布よりも実質的により困難である。
【0030】
本開示の様々な実施形態は、前面に触覚的感覚の領域を備えるデッドフロント製品に関する。タッチスクリーンおよびデッドフロント型ディスプレイの利用が増加しているので、美観的特徴および形状と機能との統合の重要性も高まっている。使用者との視覚的および触覚的相互作用の両方を促進するデッドフロント製品は、使用者にとって製品との相互作用をより便利にする。触覚的感覚の領域を備えるデッドフロント製品は、デッドフロント製品がオフのときに、想定されるあらゆる材料(例えば、炭素繊維、ステンレス鋼、木材など)の外観を有する装飾された表面における使用者のための「見えない」制御を生じさせることができる。
【0031】
図1は、1つの典型的な実施形態による、3つの異なる車両内装システム100,200,300を有する車両内装10を示している。車両内装システム100は、平坦なまたは湾曲したディスプレイ130として示されたディスプレイを有する平坦なまたは湾曲した表面120を備えるセンターコンソールベース110を有する。車両内装システム200は、平坦なまたは湾曲したディスプレイ230として示されたディスプレイを有する湾曲した表面220を備えるダッシュボードベース210を有する。ダッシュボードベース210は、一般的に、インストルメントパネル215を有し、このインストルメントパネル215もまた平坦なまたは湾曲したディスプレイを有してもよい。車両内装システム300は、湾曲した表面320と、平坦なまたは湾曲したディスプレイ330として示されたディスプレイとを備える、ダッシュボードステアリングホイールベース310を有する。1つ以上の実施形態において、車両内装システムは、アームレスト、ピラー、背もたれ、床板、ヘッドレスト、ドアパネル、または湾曲した表面を有する車両の内装のあらゆる部分であるベースを有してもよい。
【0032】
本明細書に説明されるデッドフロント製品の実施形態は、車両内装システム100,200および300のうちのいずれかまたは全てにおいて使用することができる。図1は自動車内装を示しているが、車両内装システムの様々な実施形態は、人間によって操縦される車両、半自律的車両および完全に自律的な車両を含む、電車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)、船舶(ボート、船、潜水艦など)、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット、ヘリコプターなど)のあらゆるタイプの車両に組み込まれてもよい。さらに、本明細書における説明は、主に、車両ディスプレイにおいて使用されるデッドフロントの実施形態の使用に関するが、本明細書において説明される様々なデッドフロントの実施形態はあらゆるタイプのディスプレイ用途において使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、触覚的感覚の領域を備えるデッドフロント製品は、ディスプレイを備える製品(またはディスプレイ製品)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム、ウェアラブルデバイス(例えば、腕時計など)、建築製品(例えば、窓または窓アセンブリ)または家電製品(例えば、冷蔵庫またはレンジ)を含む、電子消費財)に組み込まれてもよい。
【0033】
図2および図3を参照すると、ディスプレイ130,230および/または330などの車両ディスプレイ用のデッドフロント製品400が示されており、説明される。図2は、関連するディスプレイの光源が非作動であるときのデッドフロント製品400の外観を示しており、図3は、関連するディスプレイの光源が作動しているときのデッドフロント製品400の外観を示している。図3に示したように、光源が作動しているとき、グラフィック410および/または複数のアイコンが、デッドフロント製品を通じて見える。光源が非作動であるとき、グラフィック410は消え、デッドフロント製品400は、グラフィック410によって途切れない所望の表面仕上げを示す表面(例えば、図2における黒い表面)を表示する。幾つかの実施形態において、光源は、電源ボタン420を使用して作動させられる。図2および図3の実施形態に示したように、電源ボタン420は、点灯させられており、作動したときに赤色から緑色へ変化してもよい。典型的な実施形態において、電源ボタン420は、IEC 60417-5007、IEC 60417-5008、IEC 60417-5009およびIEC60417-5010のうちの1つに従うように選択される。
【0034】
図4および図5は、ディスプレイ130,230および/または330などの車両ディスプレイ用のデッドフロント製品400の別の実施形態を示している。図2の単色のデッドフロント製品400と比較して、図4には、パターン化されたデッドフロント製品400が示されている。図4に示したように関連するディスプレイの光源が非作動であるとき、デッドフロント製品400のパターンのみを見ることができる。図5において、関連するディスプレイの光源は作動しており、デッドフロント製品400を通じてアイコン430を見ることができる。したがって、光源が非作動であるとき、アイコン430は消え、デッドフロント製品400は、アイコン430によって途切れない所望のパターンを示す表面(例えば、図4における革シボパターン)を表示する。
【0035】
以下でより詳細に説明するように、デッドフロント製品400は、外側基板と光源との間に配置された1つ以上の着色層を利用することによって、このディファレンシャルアイコンディスプレイを提供する。着色層の光学的特性は、光源がオフにされたとき、着色層の下のアイコンまたはその他のディスプレイ構造の境界は見えないが、光源がオンであるとき、グラフィック410および/またはアイコン430が見えるように設計されている。様々な実施形態において、本明細書において説明されたデッドフロント製品は、光源がオンであるときの高コントラストアイコンを含む高品質のデッドフロント外観を、ライトがオフであるときの均一なデッドフロント外観と組み合わせて提供するように設計されている。さらに、これらの様々なデッドフロント製品は、以下で説明するように、複雑な湾曲した形状を含む湾曲した形状に冷間成形するのに適した材料を使用して形成されてもよい。
【0036】
ここで図6を参照すると、デッドフロント製品400の構造の1つの実施形態が示されている。特に、デッドフロント製品400は、少なくとも、基板450と、半透明層460と、コントラスト層470とを有する。半透明層460は、単色または2つ以上の色のデザインの領域を有してもよい。半透明層の単色または2色以上の色のデザインは、デッドフロント製品400の装飾的な色またはパターン(例えば、木目調デザイン、革シボデザイン、織物デザイン、ブラシ研磨された金属デザイン、グラフィックデザイン、単色および/またはロゴ)を形成してもよい。コントラスト層470は、半透明層460の色の可視性を高めかつ/または半透明層460の色間のコントラストを高めるように構成されていてもよい。
【0037】
基板450は、見る人に面した外側面480と、内側面490とを有し、内側面490には、半透明層460および/またはコントラスト層470が少なくとも部分的に配置されている。本明細書において使用されるとき、「配置する」という用語は、技術分野において公知のあらゆる方法を用いて面に材料を被覆、堆積および/または形成することを含む。配置された材料は、本明細書において規定されるように、層を構成してもよい。本明細書において使用されるとき、「~に配置される」という語句は、材料が面と直接接触するように材料を面上に形成する例を含み、かつまた配置される材料と面との間に1つ以上の介在する材料が存在するように材料が面に形成される例を含む。介在する材料は、本明細書において規定されるように、層を構成してもよい。「層」という用語は、1つの層を含んでもよいまたは1つ以上の副層を含んでもよい。このような副層は互いに直接接触していてもよい。副層は、同じ材料または2つ以上の異なる材料から形成されていてもよい。1つ以上の代替的な実施形態において、このような副層は、副層の間に配置された異なる材料の介在する層を有してもよい。1つ以上の実施形態において、層は、1つ以上の隣接した中断していない層および/または1つ以上の不連続な中断した層(すなわち、互いに隣接して形成された異なる材料を有する層)を含んでもよい。層または副層は、個別の堆積または連続的な堆積プロセスを含む、技術分野において公知のあらゆる方法によって形成されてもよい。1つ以上の実施形態において、層は、連続的な堆積プロセスのみを用いて、または代替的に個別の堆積プロセスのみを用いて形成されてもよい。
【0038】
基板450の特性が以下でより詳細に説明されるが、幾つかの実施形態において、基板450は、0.05~2.0mm(ミリメートル)の厚さを有する。1つ以上の実施形態において、基板は、PMMA、ポリカーボネートなどの透明なプラスチックであってもよいまたは(選択的に強化されていてもよい)ガラス材料を含んでもよい。やはり以下でより詳細に説明するように、幾つかの実施形態において、半透明層460は、基板450の内側面490の少なくとも一部に印刷されてもよい。その他の実施形態において、半透明層460は、非導電真空蒸着を使用して堆積させられる。さらに、幾つかの実施形態において、コントラスト層470は、基板450の内側面490の少なくとも一部および/または半透明層460の少なくとも一部に印刷される。
【0039】
図7に示したようなある実施形態において、デッドフロント製品400は、機能的表面層500および/または不透明層510(「高光学濃度層」とも呼ばれる)も有する。機能的表面層500は、様々な機能のうちの1つ以上を提供するように構成することができる。別の典型的な実施形態において、機能的表面層500は、清掃容易性能、眩惑防止特性、反射防止特性および/またはハーフミラーコーティングを提供するように構成された光学的コーティングである。このような光学的コーティングは、1つの層または複数の層を使用して形成することができる。反射防止機能的表面層の場合、このような層は、高い屈折率と低い屈折率とが交互に位置した複数の層を使用して形成されてもよい。低屈折率材料の限定しない例は、SiO2、MgF2およびAl23を含み、高屈折率材料の限定しない例は、Nb25、TiO2、ZrO2、HfO2およびY23を含む。幾つかの実施形態において、(眩惑防止表面または滑らかな基板表面上に配置されてもよい)このような光学的コーティングの総厚さは、5nm~750nmである。加えて、幾つかの実施形態において、清掃容易性能を提供する機能的表面層500は、タッチスクリーンのための向上した感覚および/または指紋を減じるためのコーティング/処理を提供する。幾つかの実施形態において、機能的表面層500は、基板の外側面480と一体的である。例えば、このような機能的表面層は、眩惑防止表面(または例えば2%~20%の曇り)を提供する、基板450の外側面480におけるエッチングされた表面を含むことができる。機能的表面層500は、設けられている場合、基板450、半透明層460およびコントラスト層470と共に、デッドフロント製品400の半透明構造520を構成する。
【0040】
以下でより詳細に説明するように、不透明層510は、光透過を遮断するための高光学濃度を有する。本明細書において使用されるとき、「不透明層」は、「高光学濃度層」と互換的に用いられる。幾つかの実施形態において、不透明層510は、デッドフロント製品400のある領域を光が透過することを遮断するために使用される。ある実施形態において、不透明層510は、デッドフロント製品400の作動のために設けられた機能的エレメントまたは非装飾的エレメントを見えにくくする。その他の実施形態において、不透明層510は、(図2および図3に示されたグラフィック410および/または電源ボタン420および図5に示されたアイコン430などの)背面照明されるアイコンおよび/またはその他のグラフィックの輪郭を示すために設けられており、これにより、このようなアイコンおよび/またはグラフィックの縁部におけるコントラストを高める。したがって、幾つかの実施形態において、不透明層510は、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430のための窓を形成する、層における断続部を有する。すなわち、幾つかの実施形態において、不透明層510は、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430のための周囲の縁部に達するまで連続的に延びている。このような周縁部において、不透明層510は途切れているまたは幾つかの実施形態において、光学濃度を実質的に減じる(例えば、材料の厚さを小さくする、材料密度を減じるなど)。幾つかの実施形態において、不透明層510は、例えば、ある電源ボタン420の「I」および「O」を形成するなど、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430の特徴を形成するためにグラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430の領域において断続的に再び始まる。したがって、幾つかの実施形態において、不透明層510は、基板450の外側面480を通じて使用者に見えるグラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430の部分が不透明層510のブランク領域であることにより、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430のイメージネガを形成している。
【0041】
不透明層510は、あらゆる色であることができるが、特定の実施形態において、不透明層510は、黒またはグレーである。幾つかの実施形態において、不透明層510は、基板450の半透明層460および/または内側面490上にスクリーン印刷またはインクジェット印刷によって提供される。概して、インクジェット印刷された不透明層510の厚さは、1μm(マイクロメートル)~5μmであるのに対し、スクリーン印刷された不透明層510の厚さは、5μm~20μmである。したがって、印刷された不透明層510は、1μm~20μmの範囲の厚さを有することができる。しかしながら、その他の実施形態において、不透明層510は、物理蒸着法によって堆積された金属層であるかつ/またはカラーマッチングのために上述の高屈折率/低屈折率スタッキングを用いて製造された光学的スタックである。
【0042】
図28は、1つの実施形態におけるデッドフロント製品400を有する層の分解図を示している。見ることができるように、層は、基板450、半透明層460、コントラスト層470、不透明層510およびカラー層650を含む。図28に見ることができるように、半透明層460は、木目調パターンであり、不透明層510は、例えば、電源ボタン420、チューニング制御、音量制御、プリセットなどの、エンターテイメントコンソールのためのアイコン430のネガイメージを提供している。半透明層460、コントラスト層470および不透明層510の組合せは、図29および図30に示したようにデッドフロント製品400を提供する。図29において、半透明層460の木目調は、デッドフロント製品400が背面照明されていないときに見られ、デッドフロント製品400が背面照明されたとき、アイコン430は、デッドフロント製品400の外側面480を通じて見ることができる。再び図28を参照すると、カラー層650が(少なくともアイコン430の領域において)不透明層510に重なって配置されている場合、図31に示したようにアイコン430の色を変化させることができる。さらに、単色層650が図28に示されているのに対し、カラー層650は、図31に示された、層にわたる複数の色および/または特定のアイコン430またはアイコン430の部分の領域における特定の色を含むことができる。これにより、幾つかの実施形態において、カラー層650は連続的な層であり、その他の実施形態において、カラー層650は不連続であり、すなわち、色は、アイコン430を規定する領域において、不透明層510および/またはコントラスト層470にわたる所定の位置にのみ提供されている。
【0043】
幾つかの実施形態において、層の光学濃度は、デッドフロント製品400が背面照明されているときのグラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430の可視性を高めるように調整される。特定の実施形態において、照明される領域(すなわち、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430)における半透明層460およびコントラスト層470の組み合わされた光学濃度は、1.0~2.1である。その他の実施形態において、組み合わされた光学濃度は1.2~1.6であり、さらに別の実施形態では、組み合わされた光学濃度は、約1.4である。照明される領域の光学濃度を提供する場合、幾つかの実施形態において、コントラスト層470の光学濃度は0.9~2.0であり、幾つかの実施形態において、半透明層460の光学濃度は0.1~0.5である。照明されない領域(すなわち、グラフィック410、電源ボタン420および/またはアイコン430を包囲する領域)において、半透明層460、コントラスト層470および不透明層510の組み合わされた光学濃度は、少なくとも3.4である。照明されない領域の光学濃度を提供する場合、幾つかの実施形態において、コントラスト層470の光学濃度は0.9~2.0であり、幾つかの実施形態において、半透明層460の光学濃度は0.1~0.5であり、幾つかの実施形態において、不透明層510の光学濃度は少なくとも2.4である。典型的な実施形態において、カラー層650の光学濃度は、0.3~0.7である。さらに、幾つかの実施形態において、特定の層の光学濃度は、高められたコントラストを提供するためにまたはインクもしくは層を含む材料を保つために、層にわたって変化していることができる。例えば、コントラスト層470における光学濃度は、照明されない領域より照明される領域において低いことができる。加えて、カラー層650の光学濃度は、照明される領域よりも照明されない領域において低い(またはゼロである)ことができる。
【0044】
図32および図33と、図34および図35とは、異なるレベルの光学濃度を有する異なるデッドフロント製品を示しており、これにより、これらの図面は、照明される領域において光学濃度が高すぎるデッドフロント製品400(図32および図33)と、光学濃度が、照明される領域に関して上述された範囲にあるデッドフロント製品400(図34および図35)との異なる外観を示している。図32に見られるように、デッドフロント製品は炭素繊維パターンを有し、この炭素繊維パターンにおいて、半透明層の光学濃度が高すぎる。これにより、図33に見られるように、照明される領域が見えにくくなっている。比較して、図34におけるデッドフロント製品400には、上述の範囲内の光学濃度を有する半透明層460、コントラスト層470および不透明層510を有する炭素繊維パターンが提供されている。したがって、図35に示したように、アイコン430は、大幅によりくっきりとしており、明確に見えている。やはり図35に示したように、中央アイコン430は、カラー層650を使用して赤色が提供された電源ボタン420である。
【0045】
図8および図9に示したように、幾つかの実施形態において、デッドフロント製品400は、ディスプレイ530上またはディスプレイ530の前側に配置されていてもよい。1つ以上の実施形態において、ディスプレイは、ディスプレイおよびタッチパネルを含むタッチ・イネーブルド・ディスプレイを含んでもよい。典型的なディスプレイは、LED(発光ダイオード)ディスプレイ(図8)、DLP(デジタル・マイクロミラー・デバイス)MEMSチップ(図9)、LCD(液晶ディスプレイ)、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、透過性ディスプレイ、反射性ディスプレイなどを含む。幾つかの実施形態において、ディスプレイ530は、例えば、光学的にクリアな接着剤540を使用してデッドフロント製品400に固定されているまたは取り付けられている。デッドフロント製品400は、可視スペクトル、すなわち400nm~700nmの波長にわたって約5%~30%の透過率を有する。言い換えれば、デッドフロント製品400は、約400nm~約700nmの波長範囲全体にわたって約5%~約30%の範囲の平均光透過率を有する。本明細書において使用されるとき、「透過率」という用語は、ある材料(例えば、デッドフロント製品、基板またはその層)を透過させられる任意の波長範囲における入射光学的パワーの割合として定義される。幾つかの実施形態において、デッドフロント製品400は、可視スペクトル全体にわたって光透過率が10%以下である低透過率デッドフロント製品である。このような例において、不透明層510は、ディスプレイ530のエッジ、すなわち、ディスプレイ境界部などの非ディスプレイ領域、および/または配線、コネクタなどを見えにくくするために必要ないことがある。その他の実施形態において、デッドフロント製品400は、約10%~約30%の平均透過率を有する高透過率デッドフロント製品である。このような実施形態において、不透明層510は、非ディスプレイ領域が見えることを阻止するために必要となることがある。
【0046】
ある実施形態において、デッドフロント製品400には、図10に示したようにタッチ機能が提供されている。図10において、デッドフロント製品400は、基板450と、黒色半透明層460と、基板450および半透明層460の部分に配置されたコントラスト層470とを有する。この場合、コントラスト層470および半透明層460は、(例えば、図2および図3に示したような)電源ボタン420などのアイコンまたはグラフィックを形成している。1つの実施形態において、タッチ機能は、容量性センシングによって提供される。ある実施形態において、容量性センサは、透明な導電性フィルムまたはコーティング550によって形成される。1つの典型的な実施形態において、透明な導電性フィルム550は、透明な導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ(ITO))によってコーティングされたポリエステル(例えば、PET)フィルムである。
【0047】
(例えば、透明な導電性フィルム550の領域においてデッドフロント製品400に触れることによって)トグルスイッチを作動させることにより、光源570が作動させられるまたは作動停止させられる。図10の実施形態において、光源570は、赤色LED580および緑色LED590を含む。車両などのあるセッティングにおいて、赤色LED580および緑色LED590は、デッドフロント製品400の状態を示す。例えば、車両を作動させる前、赤色LED580および緑色LED590は両方とも、図10の左側における電源ボタン420の状態の凡例の一番下に示したようにオフである。車両が作動させられたとき、電源ボタン420に触れる前、赤色LED580がオンであるのに対し、緑色LED590がオフであり(電源ボタン420の状態の凡例の一番上)、ディスプレイ530が作動していないことを示している。電源ボタン420に触れると、トグルスイッチ560が赤色LED580をオフにし、緑色LED590をオンにし、ディスプレイ530を作動させる。車両を引き続き作動させたまま使用者がディスプレイ530を作動停止させることを望むと、使用者は再び電源ボタン420に触れることができ、トグルスイッチ560は緑色LED590をオフにし、赤色LED580をオンにし、ディスプレイ530を切る。ある実施形態において、トグルスイッチ560が作動させられるたびに触覚的フィードバックを提供するために、振動モータ600が設けられている。
【0048】
ディスプレイ530のための電源ボタン420の典型的な実施形態が示されているが、タッチ機能はその他の特徴にも適している。引き続き車両の例において、タッチ機能は、とりわけ、クライメートコントロール(すなわち、暖房および空気調整)システム、ラジオ/エンターテイメントシステム、(例えば、速度計、オドメータ、トリップオドメータ、タコメータ、車両警告インジケータなどのための)ダッシュボードディスプレイパネル、(例えば、GPSディスプレイ、車載情報などのための)センターコンソールディスプレイパネルなどの、様々な車両システムを制御するために使用するのに適している。図11において、デッドフロント製品400は、速度計610およびクライメートコントロール620と共に示されている。デッドフロント製品400は、革シボパターンを有する。図12は、速度計610およびクライメートコントロール620を備える実質的に類似のデッドフロント製品400を示しているが、デッドフロント製品400は、木目調パターンを有する。
【0049】
特定の実施形態において、基板450は、使用者の指に触覚的フィードバックを提供するためにボタンの領域において(例えば、サンドブラスト、エッチング、彫刻などによって)処理されている。これにより、使用者は、(道路車両セッティングにおいて)道路から目を離すことなくデッドフロント製品400のボタンを感じることができる。さらに、幾つかの実施形態において、トグルスイッチ560には、トグルスイッチ560の偶発的な作動を回避するために、例えば、1~3秒の遅れが提供されている。
【0050】
図36は、タッチ機能を備えるデッドフロント製品400の別の実施形態を示している。特に、デッドフロント製品400は、タッチパネル660を有する。タッチパネル660は、抵抗性タッチパネル、容量性(例えば、表面または突出した)タッチパネル、表面音波タッチパネル、赤外線タッチパネル、光学イメージングタッチパネル、分散信号タッチパネルまたは音響パルス認識タッチパネルなどの、様々な適切なタッチパネルのうちのいずれかであることができる。幾つかの実施形態において、タッチパネル660は、光学的にクリアな接着剤540を使用してデッドフロント製品400に積層されている。その他の実施形態において、タッチパネル660は、光学的にクリアな接着剤540が不要であるように、デッドフロント製品400に印刷されている。有利には、タッチパネル660は、三次元形状を提供するように冷間曲げ可能である。(タッチパネル660を含む)デッドフロント製品400の冷間曲げは、さらに以下でより詳細に説明される。
【0051】
デッドフロント製品400の構造を概略的に説明したが、半透明層460およびコントラスト層470に注意を向ける。上述のように、半透明層460およびコントラスト層470は基板450に配置されている。幾つかの実施形態において、半透明層460は、CMYK色モデルを使用して基板に印刷されている。グレーなど、コントラスト層が白ではない幾つかの実施形態において、CMYK色モデルは、コントラスト層470を印刷するためにも使用することができる。コントラスト層470が白であるその他の実施形態において、コントラスト層470を印刷するために、白インクを含んだ色モデルを使用することができる。印刷された半透明層460および印刷されたコントラスト層470はそれぞれ、1μm~6μmの厚さを有してもよい。幾つかの実施形態において、カラー層650もまた、1μm~6μmの厚さを有する。さらに、幾つかの実施形態において、カラー層650は、不透明層510および/またはコントラスト層470に印刷されている。ある実施形態において、カラー層650は、CMYK色モデルを使用して不透明層510および/またはコントラスト層470に印刷されている。
【0052】
半透明層460、コントラスト層470および/またはカラー層650を印刷するために使用されるインクは、熱硬化性インクまたはUV硬化性インクであることができる。特に、インクは、少なくとも1つ以上の着色剤と、ビヒクルとから成る。着色剤は、ビヒクルに可溶性または不溶性であることができる。幾つかの実施形態において、着色剤は、微粉末の形式の乾燥着色剤である。このような微粉末は、幾つかの実施形態において、10nm~500nmのサイズの粒子を有する。CMYK色モデルを使用すると、着色剤は、シアン、マゼンタ、イエローおよび/またはキー(黒)の色を提供する。白色インクの場合、着色剤は、TiO2、Sb23、BaSO4、BaSO4:ZnS、ZnOおよび(PbCO32:Pb(OH)2などの、様々な適切な顔料のうちのいずれかであることができる。着色剤は、ビヒクルに溶解または懸濁させられている。
【0053】
ビヒクルは、インクが塗布される表面への接着を生じるための結合剤として機能することができる。さらに、幾つかの実施形態において、特にガラス/プラスチック表面への接着を高める目的でビヒクルに添加剤が含まれている。着色剤のためのビヒクルの限定しない例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルアセトアミドおよびトルエンを含む。概して、このようなビヒクルは、80℃~200℃の温度において固化する。幾つかの実施形態において、インクは、0.5体積%~6体積%の着色剤と、94体積%~99.5体積%のビヒクルとを含む。
【0054】
図13Aおよび図13Bに示したように、革シボ半透明層460は、CMYK色モデルに従って特にインクジェットプリンタを使用して基板450に印刷されている(しかしながら、その他の実施形態において、その他のプリンタタイプおよび/または印刷モデルが使用される)。図14Aおよび図14Bにおいて、白色コントラスト層470は半透明層460の背後に印刷されている。図13Bおよび図14Bは、これらの印刷された層の裏側を示している。図13Aおよび図14Aの比較において見られるように、半透明層460の革シボパターンのコントラストは、白色コントラスト層470によって図14Aにおいて高められている。実際、コントラスト層470を使用すると、半透明層460におけるパターンまたはデザインの全体的な外観がより明るくなり、そのパターンまたはデザインにおける色間のコントラストが高められる。
【0055】
コントラスト層470の厚さおよび組成は、可視および赤外波長範囲において特定の透過率を示すように調整可能である。図15は、ガラス背景上に印刷されたコントラスト層470を示している。コントラスト層470は、変化する白色度(W)を有する。本明細書において使用される「白色度」は、可視スペクトル(400nm~700nmの波長)にわたって白色面によって反射される光の量を測定する、CIE白色度もしくはISO 11475:2004を意味する。図15の左下の角にあるのは、100Wのコントラスト層である。コントラスト層470の白色度は、下の列に沿って左から右へ100Wから60Wへ減少しており、上の列に沿って、白色度は、左から右へ50Wから10Wへ減少している。見られるように、相対的により低い白色度コントラスト層470は、相対的により高い白色度コントラスト層470より多くの光を透過する。これは、図16の透過率(T)グラフにおいても実証されている。白色度が高まると、可視スペクトルにわたる透過パーセント(%T)が減少する。図16のグラフを作成するためのデータは、ジエチレングリコールジエチルエーテル溶剤を有する白色インクを、128ノズルと、40pLプリントヘッドとを使用して印刷した後に計算された。透過率(T)は、印刷解像度および層厚さの操作によって制御される。幾つかの実施形態において、デッドフロント製品400には、10W~60Wの白色度を有するコントラスト層470が提供される。その他の実施形態において、コントラスト層470は、20W~50Wの白色度を有する。特定の実施形態において、コントラスト層470は、20W~30Wの白色度を有する。
【0056】
図17は、半透明層460と、半透明層460に印刷されたコントラスト層470とを有する4つのガラス基板450を示している。図17に見られるように、半透明層460は、編物パターン、革シボパターンおよび2つの木目調パターンのデザインを特徴とする。図18は、革シボパターンから黒単色パターンへ移行する半透明層460を示している。図18において、緑色の電源ボタンも、左下の角に印刷されている。図19および図20は、同じ編物パターンの半透明層460どうしの比較を示している。しかしながら、図20において、コントラスト層470は半透明層460の背後に印刷されている。図20において、デッドフロント製品400は、可視スペクトル(400nm~700nmの波長)にわたって5%~10%の透過率を有する。図21および図22は、大理石デッドフロント製品400を示している。特に、図21は、デッドフロント製品400の見る人の側であるのに対し、図22は、デッドフロント製品400の裏側である。図22に見られるように、半透明層460の1つのセクションは、コントラスト層470によって被覆されていない。幾つかの実施形態において、ディスプレイは、コントラスト層470によって被覆されていないセクションに取り付けることができる。
【0057】
図23図27を参照すると、湾曲したガラスベースのデッドフロントを形成するための様々なプロセスと共に、ガラスベースのデッドフロント製品のための様々なサイズ、形状、曲率、ガラス材料などが示されかつ説明されている。図23図27は、説明しやすくするために、単純化された湾曲したデッドフロント製品2000に関して説明されるが、デッドフロント製品2000は、本明細書において説明されたデッドフロントの実施形態のうちのいずれかであってもよいことが理解されるべきである。
【0058】
図23に示したように、1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品2000は、少なくとも第1の曲率半径R1を有する湾曲した外側ガラス基板2010を有し、様々な実施形態において、湾曲した外側ガラス基板2010は、少なくとも1つの付加的な曲率半径を有する、ガラス材料の複雑な湾曲したシートである。様々な実施形態において、R1は、約60mm~約1500mmの範囲である。
【0059】
湾曲したデッドフロント製品2000は、湾曲した外側ガラス基板2010の内側の主面に沿って配置されたデッドフロント着色層2020(例えば、上述のようなインク/顔料層)を有する。概して、デッドフロント着色層2020は、木目調デザイン、革シボデザイン、織物デザイン、ブラシ研磨された金属デザイン、グラフィックデザイン、単色および/またはロゴを提供するように、印刷、着色、成形などがなされている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらのデザインまたはパターンに限定されない。湾曲したデッドフロント製品2000は、上述のようなまたは本明細書において説明されたディスプレイまたは車両内装システムに関連させられていることがある付加的な層2030(例えば、高光学濃度層、光ガイド層、反射体層、ディスプレイモジュール、ディスプレイスタック層、光源、タッチパネルなど)のうちのいずれかを含んでもよい。
【0060】
以下でより詳細に説明するように、様々な実施形態において、ガラス基板2010および着色層2020を有する湾曲したデッドフロント製品2000は、図23に示したように、湾曲した形状に一緒に冷間成形されてもよい。幾つかの実施形態において、ガラス基板2010、着色層2020および付加的な層2030を有する湾曲したデッドフロント製品2000は、図23に示されたデッドフロント製品2000のように、湾曲した形状に一緒に冷間成形されてもよい。その他の実施形態において、ガラス基板2010が湾曲した形状に成形され、次いで、湾曲成形の後に層2020および2030が提供されてもよい。
【0061】
図24を参照すると、図23に示された湾曲した形状に成形される前の外側ガラス基板2010が示されている。概して、本明細書において説明された製品およびプロセスは、前に提供されていないサイズ、形状、組成、強度などのガラスを利用する高品質デッドフロント製品を提供する。
【0062】
図24に示したように、外側ガラス基板2010は、第1の主面2050と、第1の主面2050と反対側の第2の主面2060とを有する。エッジ面または副面2070は、第1の主面2050と第2の主面2060とを接続している。外側ガラス基板2010は、実質的に一定でありかつ第1の主面2050と第2の主面2060との間の距離として規定された厚さ(t)を有する。幾つかの実施形態において、本明細書において使用される厚さ(t)は、外側ガラス基板2010の最大厚さを意味する。外側ガラス基板2010は、厚さ(t)に対して直交する第1または第2の主面のうちの一方の第1の最大寸法として規定される幅(W)を有し、外側ガラス基板2010は、厚さおよび幅の両方に対して直交する第1または第2の面のうちの一方の第2の最大寸法として規定される長さ(L)も有する。その他の実施形態において、本明細書において説明される寸法は、平均寸法である。
【0063】
1つ以上の実施形態において、外側ガラス基板2010は、0.05mm~2mmの範囲の厚さ(t)を有する。様々な実施形態において、外側ガラス基板2010は、約1.5mm以下の厚さ(t)を有する。例えば、厚さは、約0.1mm~約1.5mm、約0.15mm~約1.5mm、約0.2mm~約1.5mm、約0.25mm~約1.5mm、約0.3mm~約1.5mm、約0.35mm~約1.5mm、約0.4mm~約1.5mm、約0.45mm~約1.5mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.55mm~約1.5mm、約0.6mm~約1.5mm、約0.65mm~約1.5mm、約0.7mm~約1.5mm、約0.1mm~約1.4mm、約0.1mm~約1.3mm、約0.1mm~約1.2mm、約0.1mm~約1.1mm、約0.1mm~約1.05mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約0.95mm、約0.1mm~約0.9mm、約0.1mm~約0.85mm、約0.1mm~約0.8mm、約0.1mm~約0.75mm、約0.1mm~約0.7mm、約0.1mm~約0.65mm、約0.1mm~約0.6mm、約0.1mm~約0.55mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約0.4mmまたは約0.3mm~約0.7mmの範囲であってもよい。
【0064】
1つ以上の実施形態において、外側ガラス基板2010は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の幅(W)を有する。
【0065】
1つ以上の実施形態において、外側ガラス基板2010は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の長さ(L)を有する。
【0066】
図23に示したように、外側ガラス基板2010は、R1として示された少なくとも1つの曲率半径を有する湾曲した形状に成形されている。様々な実施形態において、外側ガラス基板2010は、冷間成形および熱間成形を含むあらゆる適切なプロセスによって、湾曲した形状に成形されてもよい。
【0067】
特定の実施形態において、外側ガラス基板2010は、冷間成形プロセスによって、単独でまたは層2020および2030の取付けに続いて、図23に示された湾曲した形状に成形されている。本明細書において使用されるとき、「冷間曲げされた」、「冷間曲げする」、「冷間成形された」または「冷間成形する」という語句は、(本明細書において説明されるように)ガラスの軟化点未満の冷間成形温度においてガラス基板を湾曲させることを意味する。冷間成形されたガラス基板の特徴は、第1の主面2050と第2の主面2060との間の非対称な表面圧縮である。幾つかの実施形態において、冷間成形プロセスの前または冷間成形される前、第1の主面2050および第2の主面2060におけるそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。
【0068】
外側ガラス基板2010が強化されていない幾つかのこのような実施形態において、第1の主面2050および第2の主面2060は、冷間成形の前、認識できる圧縮応力を示さない。(本明細書において説明されるように)外側ガラス基板2010が強化されている幾つかのこのような実施形態において、第1の主面2050および第2の主面2060は、冷間成形の前、互いに関して実質的に等しい圧縮応力を示す。1つ以上の実施形態において、(例えば、図23に示された)冷間成形の後、第2の主面2060(例えば、曲げ後の凹面)における圧縮応力は増大する(すなわち、第2の主面2060における圧縮応力は、冷間成形前よりも冷間成形後により大きい)。
【0069】
理論によって縛られることなく、冷間成形プロセスは、曲げおよび/または成形作業の間に与えられる引張応力を打ち消すために、成形されるガラス基板の圧縮応力を増大させる。1つ以上の実施形態において、冷間成形プロセスにより、第2の主面2060は圧縮応力を生じるのに対し、第1の主面2050(例えば、曲げ後の凸面)は引張応力を生じる。曲げ後に面2050に生じる引張応力の結果、表面圧縮応力の正味減少が生じ、これにより、曲げ後の、強化されたガラスシートの面2050における圧縮応力は、ガラスシートが平らであるときの面2050における圧縮応力より小さい。
【0070】
さらに、強化されたガラス基板が外側ガラス基板2010のために利用される場合、第1の主面および第2の主面(2050,2060)は既に圧縮応力下にあり、したがって、第1の主面2050は、割れのリスクなしに、曲げの間により大きな引張応力を生じることができる。これにより、外側ガラス基板2010の強化された実施形態は、(例えば、より小さなR1値を有するように成形された)より大きく湾曲させられた表面に従うことができる。
【0071】
様々な実施形態において、外側ガラス基板2010の厚さは、所望の曲率半径を達成するために、外側ガラス基板2010がより可撓性であることを可能にするように調整されている。さらに、より薄い外側ガラス基板2010はより容易に変形することがあり、これは、(以下で説明するように)支持部またはフレームの形状によって生じることがある形状不一致および間隙を潜在的に打ち消すことができる。1つ以上の実施形態において、薄くかつ強化された外側ガラス基板2010は、特に冷間成形中、より大きな可撓性を示す。本明細書において説明されるガラス基板のより大きな可撓性は、加熱なしで一貫した曲げ成形を可能にすることがある。
【0072】
様々な実施形態において、外側ガラス基板2010(およびその結果としてデッドフロント製品2000)は、大きな半径および横方向曲率を含む複合的湾曲を有してもよい。複雑に湾曲した冷間成形された外側ガラス基板2010は、2つの独立した方向において別個の曲率半径を有してもよい。したがって、1つ以上の実施形態において、複雑に湾曲した冷間成形された外側ガラス基板2010は、「横方向曲率」を有することによって特徴づけられてもよく、この場合、冷間成形された外側ガラス基板2010は、任意の次元に対して平行な軸線(すなわち、第1の軸線)に沿って湾曲させられておりかつまた同じ次元に対して垂直な軸線(すなわち、第2の軸線)に沿って湾曲させられている。冷間成形された外側ガラス基板2010の曲率は、顕著な最小半径が、顕著な横方向曲率および/または曲げの深さと組み合わされたとき、さらにより複雑になる可能性がある。
【0073】
図25を参照すると、1つの典型的な実施形態によるディスプレイアセンブリ2100が示されている。図示された実施形態において、ディスプレイアセンブリ2100は、ディスプレイモジュール2120として示された光源と、デッドフロント製品2000との両方を(直接的または間接的に)支持するフレーム2110を有する。図25に示したように、デッドフロント製品2000およびディスプレイモジュール2120はフレーム2110に結合されており、ディスプレイモジュール2120は、使用者が、デッドフロント製品2000を通して、ディスプレイモジュール2120によって生成された光、イメージなどを見ることができるように配置されている。様々な実施形態において、フレーム2110は、プラスチック(PC/ABSなど)、金属(Al合金、Mg合金、Fe合金など)などの様々な材料から形成されてもよい。フレーム2110の湾曲した形状を成形するために、鋳造、切削、打抜き加工、射出成形などの様々なプロセスが利用されてもよい。図25は、ディスプレイモジュールの形式の光源を示しているが、ディスプレイアセンブリ2100は、本明細書に説明されたデッドフロントの実施形態のうちのいずれかによってグラフィック、アイコン、イメージ、ディスプレイなどを生成するための、本明細書に説明された光源のうちのいずれかを含んでもよいことが理解されるべきである。さらに、フレーム2110は、ディスプレイアセンブリに関連したフレームとして示されているが、フレーム2110は、車両内装システムに関連したあらゆる支持部またはフレーム製品であってもよい。
【0074】
様々な実施形態において、本明細書に説明されたシステムおよび方法は、デッドフロント製品2000の成形が、フレーム2110が有することがある広範囲の様々な湾曲した形状に合致することを可能にする。図25に示したように、フレーム2110は、湾曲した形状を有する支持面2130を有し、デッドフロント製品2000は、支持面2130の湾曲した形状と合致するように成形されている。理解されるように、デッドフロント製品2000は、ディスプレイアセンブリ2100の所望のフレーム形状に合致するように広範囲の様々な形状に成形されてもよく、ディスプレイアセンブリ2100自体は、本明細書において説明されるように、車両内装システムの一部の形状に適合するように成形されていてもよい。
【0075】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント構造2000(および特に外側ガラス基板2010)は、約60mm以上の第1の曲率半径R1を有するように成形されている。例えば、R1は、約60mm~約1500mm、約70mm~約1500mm、約80mm~約1500mm、約90mm~約1500mm、約100mm~約1500mm、約120mm~約1500mm、約140mm~約1500mm、約150mm~約1500mm、約160mm~約1500mm、約180mm~約1500mm、約200mm~約1500mm、約220mm~約1500mm、約240mm~約1500mm、約250mm~約1500mm、約260mm~約1500mm、約270mm~約1500mm、約280mm~約1500mm、約290mm~約1500mm、約300mm~約1500mm、約350mm~約1500mm、約400mm~約1500mm、約450mm~約1500mm、約500mm~約1500mm、約550mm~約1500mm、約600mm~約1500mm、約650mm~約1500mm、約700mm~約1500mm、約750mm~約1500mm、約800mm~約1500mm、約900mm~約1500mm、約950mm~約1500mm、約1000mm~約1500mm、約1250mm~約1500mm、約60mm~約1400mm、約60mm~約1300mm、約60mm~約1200mm、約60mm~約1100mm、約60mm~約1000mm、約60mm~約950mm、約60mm~約900mm、約60mm~約850mm、約60mm~約800mm、約60mm~約750mm、約60mm~約700mm、約60mm~約650mm、約60mm~約600mm、約60mm~約550mm、約60mm~約500mm、約60mm~約450mm、約60mm~約400mm、約60mm~約350mm、約60mm~約300mmまたは約60mm~約250mmの範囲であってもよい。
【0076】
1つ以上の実施形態において、支持面2130は、約60mm以上の第2の曲率半径を有する。例えば、支持面2130の第2の曲率半径は、約60mm~約1500mm、約70mm~約1500mm、約80mm~約1500mm、約90mm~約1500mm、約100mm~約1500mm、約120mm~約1500mm、約140mm~約1500mm、約150mm~約1500mm、約160mm~約1500mm、約180mm~約1500mm、約200mm~約1500mm、約220mm~約1500mm、約240mm~約1500mm、約250mm~約1500mm、約260mm~約1500mm、約270mm~約1500mm、約280mm~約1500mm、約290mm~約1500mm、約300mm~約1500mm、約350mm~約1500mm、約400mm~約1500mm、約450mm~約1500mm、約500mm~約1500mm、約550mm~約1500mm、約600mm~約1500mm、約650mm~約1500mm、約700mm~約1500mm、約750mm~約1500mm、約800mm~約1500mm、約900mm~約1500mm、約950mm~約1500mm、約1000mm~約1500mm、約1250mm~約1500mm、約60mm~約1400mm、約60mm~約1300mm、約60mm~約1200mm、約60mm~約1100mm、約60mm~約1000mm、約60mm~約950mm、約60mm~約900mm、約60mm~約850mm、約60mm~約800mm、約60mm~約750mm、約60mm~約700mm、約60mm~約650mm、約60mm~約600mm、約60mm~約550mm、約60mm~約500mm、約60mm~約450mm、約60mm~約400mm、約60mm~約350mm、約60mm~約300mmまたは約60mm~約250mmの範囲であってもよい。
【0077】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント構造2000は、フレーム2110の支持面2130の第2の曲率半径の10%以内(例えば、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下または約5%以下)である第1の曲率半径R1を有するように冷間成形される。例えば、フレーム2110の支持面2130は、1000mmの曲率半径を有し、デッドフロント製品2000は、約900mm~約1100mmの範囲の曲率半径を有するように冷間成形される。
【0078】
1つ以上の実施形態において、ガラス基板2010の第1の主面2050および/または第2の主面2060は、本明細書において説明されるように機能的コーティング層を有する。機能的コーティング層は、第1の主面2050および/または第2の主面2060の少なくとも一部をカバーしていてもよい。典型的な機能的コーティングは、眩惑減少コーティングまたは表面、眩惑防止コーティングまたは表面、引掻抵抗コーティング、反射防止コーティング、ハーフミラーコーティングまたは清掃容易コーティングのうちの少なくとも1つを含む。
【0079】
図26を参照すると、デッドフロント製品2000などの冷間成形されたデッドフロント製品を有するディスプレイアセンブリを形成する方法2200が示されている。ステップ2210において、方法は、デッドフロント製品2000などのデッドフロント製品を、支持体の湾曲した表面に合わせて湾曲させることを含む。概して、支持体は、車両ディスプレイの周囲の湾曲した形状を規定するフレーム2110などの、ディスプレイのフレームであってもよい。概して、フレームは、湾曲した支持面を有し、デッドフロント製品2000の主面2050および2060のうちの一方は、湾曲した支持面と接触して配置される。
【0080】
ステップ2220において、方法は、デッドフロント製品を、支持体の湾曲した表面に一致する(または合致する)ように曲げながら、湾曲したデッドフロント製品を支持体に固定することを含む。この形式において、図23に示された湾曲したデッドフロント製品2000は、概して平らなデッドフロント製品から、湾曲したデッドフロント製品に成形される。この配置において、平らなデッドフロント製品を湾曲させることは、支持体に面した主面において湾曲した形状を形成する一方、対応する(しかしながら相補的な)湾曲を、フレームの向かい合った主面にも形成させる。デッドフロント製品を湾曲したフレームにおいて直接曲げることによって、(一般的にその他のガラス曲げプロセスにおいて必要とされる)別個の湾曲した型または金型の必要性が排除されることがある。さらに、デッドフロント製品を湾曲したフレームに直接成形することによって、複雑さの小さい製造プロセスにおいて広範囲の湾曲した半径が達成されることがある。
【0081】
幾つかの実施形態において、ステップ2210および/またはステップ2220において加えられる力は、真空フィクスチャによって加えられる空気圧であってもよい。幾つかのその他の実施形態において、空気圧差は、フレームおよびデッドフロント製品を包囲した気密エンクロージャに真空を提供することによって形成される。特定の実施形態において、気密エンクロージャは、プラスチックバッグまたはパウチなどの可撓性のポリマーシェルである。その他の実施形態において、空気圧差は、オートクレーブなどの過圧装置によってデッドフロント製品およびフレームの周囲に増大した空気圧を生じさせることによって形成される。空気圧は、(接触ベースの曲げ方法と比較して)一貫したかつ極めて均一な曲げ力を提供し、このことは、さらに、誤りのない製造プロセスにつながる。様々な実施形態において、空気圧差は、0.5~1.5標準気圧(atm)(506.625~1519.88hPa)、特に0.7~1.1atm(709.275~1114.58hPa)、さらに特に0.8~1atm(810.6~1013.25hPa)である。
【0082】
ステップ2230において、デッドフロント製品の温度は、ステップ2210および2220の間の外側ガラス層の材料のガラス転移温度より低く維持される。これにより、方法2200は、冷間成形または冷間曲げプロセスである。特定の実施形態において、デッドフロント製品の温度は、500℃、400℃、300℃、200℃または100℃より低く維持される。特定の実施形態において、デッドフロント製品は、曲げの間、室温以下に維持される。特定の実施形態において、デッドフロント製品は、ガラスを湾曲した形状に熱間成形する場合のように、曲げの間、加熱エレメント、炉、オーブンなどによって能動的に加熱されない。
【0083】
上述のように、高価なかつ/または遅い加熱ステップを排除するなどの処理上の利点を提供することに加え、本明細書において説明される冷間成形プロセスは、熱間成形プロセスによって達成可能な特性よりも優れていると考えられる様々な特性を備える湾曲したデッドフロント製品を提供すると考えられる。例えば、少なくとも幾つかのガラス材料の場合、熱間成形プロセスの間の加熱は、湾曲したガラス基板の光学的特性を低下させ、これにより、本明細書において説明される冷間曲げプロセス/システムを利用して形成された湾曲したガラスベースのデッドフロント製品は、熱間曲げプロセスによって達成可能でないと考えられる、湾曲したガラス形状と、改善された光学的品質との両方を提供する。
【0084】
さらに、様々なコーティングおよび層(例えば、清掃容易コーティング、反射防止コーティングなど)のために使用される多くの材料は、湾曲した表面へのコーティングには一般的にあまり適していないスパッタリングプロセスなどの堆積プロセスによって提供される。加えて、デッドフロントインク/顔料材料などの多くのコーティング材料も、熱間曲げプロセスに関連した高温に耐えることができない。したがって、本明細書において説明された特定の実施形態において、層2020は、冷間曲げの前に外側ガラス基板2010に提供される。したがって、本明細書において説明されたプロセスおよびシステムは、典型的な熱間成形プロセスとは対照的に、1つ以上のコーティング材料がガラスに提供された後にガラスの曲げを行う。
【0085】
ステップ2220において、湾曲したデッドフロント製品は、湾曲した支持体に取り付けられるまたは固定される。様々な実施形態において、湾曲したデッドフロント製品と湾曲した支持体との間の取付けは、接着剤材料を介して行われてもよい。このような接着剤は、ディスプレイアセンブリ(例えば、ディスプレイのフレーム)に対する所定の位置においてデッドフロント製品を結合するためのあらゆる適切な光学的にクリアな接着剤を含んでもよい。1つの例において、接着剤は、8215の商品名で3Mコーポレーションから販売されている光学的にクリアな接着剤を含んでもよい。接着剤の厚さは、約200μm~約500μmの範囲であってもよい。
【0086】
接着剤材料は、様々な方法で塗布されてもよい。1つの実施形態において、接着剤は、アプリケータガンを使用して塗布され、ローラまたはドローダウンダイを使用して均一にされる。様々な実施形態において、本明細書において説明される接着剤は、構造用接着剤である。特定の実施形態において、構造用接着剤は、(a)強化エポキシ(Masterbond EP21TDCHT-LO、3M Scotch Weld Epoxy DP460 Off-white)、(b)フレキシブルエポキシ(Masterbond EP21TDC-2LO、3M Scotch Weld Epoxy 2216 B/A Gray)、(c)アクリル(LORD Adhesive 410/Accelerator 19 w/LORD AP 134 primer、LORD Adhesive 852/LORD Accelerator 25GB、Loctite HF 8000、Loctite AA4800)、(d)ウレタン(3M Scotch Weld Urethane DP640 Brown)および(e)シリコーン(Dow Corning 995)のカテゴリーのうちの1つ以上から選択された接着剤を含んでもよい。幾つかの場合、(B段階エポキシ接着剤)などのシートフォーマットにおいて利用可能な構造用グルーが利用されてもよい。さらに、3M VHBテープなどの感圧構造用接着剤が利用されてもよい。このような実施形態において、感圧接着剤を利用することにより、湾曲したデッドフロント製品は、硬化ステップの必要なしにフレームに結合される。
【0087】
1つ以上の実施形態において、方法は、湾曲したデッドフロント製品をディスプレイに固定するステップ2240を含む。1つ以上の実施形態において、方法は、ステップ2210の前にディスプレイをデッドフロント製品に固定し、ステップ2210においてディスプレイおよびデッドフロント製品の両方を湾曲させることを含んでもよい。1つ以上の実施形態において、方法は、湾曲したデッドフロント製品およびディスプレイを車両内装システム100,200,300に配置するまたは組み立てることを含む。
【0088】
図27を参照すると、湾曲したデッドフロント製品を利用してディスプレイを形成する方法2300が示されておりかつ説明されている。幾つかの実施形態において、デッドフロント製品の基板(例えば、外側ガラス層2010)は、ステップ2310において湾曲した形状に成形される。ステップ2310における成形は、冷間成形または熱間成形であってもよい。ステップ2320において、デッドフロントインク/顔料層(例えば、層2020)が、成形の後に基板に塗布されて、湾曲したデッドフロント製品が提供される。次いで、ステップ2330において、湾曲したデッドフロント製品は、ディスプレイアセンブリ2100のフレーム2110などのフレームまたは車両内装システムに関連していることがあるその他のフレームに取り付けられる。
【0089】
基板材料
本明細書において説明されるデッドフロント製品の様々な基板は、ポリマー(例えば、PMMA、ポリカーボネートなど)またはガラスなどのあらゆる透明な材料から形成されていてもよい。適切なガラス組成は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、ボロアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラスおよびアルカリ含有ボロアルミノケイ酸塩ガラスを含む。
【0090】
幾つかの実施形態において、本明細書において説明される基板は、ガラスの制御された結晶化によって製造された「ガラス-セラミック」材料から形成されていてもよい。このような実施形態において、ガラス-セラミックは、約30%~約90%の結晶化度を有する。使用されてもよいガラスセラミック系の限定しない例は、Li2O×Al23×nSiO2(すなわち、LAS系)、MgO×Al23×nSiO2(すなわち、MAS系)およびZnO×Al23×nSiO2(すなわち、ZAS系)を含む。
【0091】
別段の定めがないかぎり、本明細書において開示されたガラス組成は、酸化物ベースで分析されたモルパーセント(モル%)で記載されている。
【0092】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%または約65モル%~約70モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のSiO2を含んでもよい。
【0093】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約4モル%より大きいまたは約5モル%より大きい量のAl23を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約7モル%超~約15モル%、約7モル%超~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%または約12モル%~約15モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のAl23を含む。1つ以上の実施形態においてAl23の上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%または14.8モル%であってもよい。
【0094】
1つ以上の実施形態において、本明細書におけるガラス層は、アルミノケイ酸塩ガラス製品として説明されるまたはアルミノケイ酸塩ガラス組成を有する。このような実施形態において、ガラス組成またはそれから形成された製品は、SiO2およびAl23を含み、ソーダ石灰シリケートガラスではない。これに関して、ガラス組成またはそれから形成された製品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAl23を含む。
【0095】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、B23(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のB23を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にB23を含まない。
【0096】
本明細書において使用されるとき、組成の成分に関して「実質的に含まない」という語句は、その成分が、初期回分処理の間にその組成に能動的にまたは意図的に加えられていないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在することがあることを意味する。
【0097】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、選択的に、P25(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、2モル%、1.5モル%、1モル%または0.5モル%までのかつそれらを含むP25のゼロではない量を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にP25を含まない。
【0098】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上のR2Oの合計量(Li2O、Na2O、K2O、Rb2OおよびCs2Oなどのアルカリ金属酸化物の合計量である)を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ガラス組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または約11モル%~約13モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のR2Oの合計量を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、Rb2O、Cs2OまたはRb2OおよびCs2Oの両方を実質的に含まなくてもよい。1つ以上の実施形態において、R2Oは、Li2O、Na2OおよびK2Oのみの合計量を含んでもよい。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含んでもよく、アルカリ金属酸化物は、約8モル%以上の量で存在する。
【0099】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の量のNa2Oを含む。1つ以上の実施形態において、組成は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または約11モル%~約16モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のNa2Oを含む。
【0100】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約4モル%未満のK2O、約3モル%未満のK2Oまたは約1モル%未満のK2Oを含む。幾つかの例において、ガラス組成は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%または約0.5モル%~約1モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のK2Oを含んでもよい。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にK2Oを含まなくてもよい。
【0101】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にLi2Oを含まない。1つ以上の実施形態において、組成におけるNa2Oの量は、Li2Oの量より大きくてもよい。幾つかの例において、Na2Oの量は、Li2OおよびK2Oの組み合わされた量より大きくてもよい。1つ以上の代替的な実施形態において、組成におけるLi2Oの量は、Na2Oの量またはNa2OおよびK2Oの組み合わされた量より大きくてもよい。
【0102】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0モル%~約2モル%の範囲のROの合計量(CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の合計量)を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ガラス組成は、約2モル%までのROのゼロではない量を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のROを含む。
【0103】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約1モル%未満、約0.8モル%未満または約0.5モル%未満の量のCaOを含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にCaOを含まない。
【0104】
幾つかの実施形態において、ガラス組成は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%または約3モル%~約6モル%およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲の量のMgOを含む。
【0105】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のZrO2を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のZrO2を含む。
【0106】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のSnO2を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のSnO2を含む。
【0107】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、ガラス製品に色または色合いを提供する酸化物を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ガラス組成は、ガラス製品が紫外放射に曝されたときにガラス製品の退色を防止する酸化物を含む。このような酸化物の例は、限定することなく、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、WおよびMoの酸化物を含む。
【0108】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、Fe23として表されるFeを含み、Feは、約1モル%までの(かつ約1モル%を含む)量で存在する。幾つかの実施形態において、ガラス組成は、実質的にFeを含まない。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のFe23を含む。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲およびそれらの間の全ての範囲および部分範囲のFe23を含む。
【0109】
ガラス組成がTiO2を含む場合、TiO2は、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下または約1モル%以下の量で存在してもよい。1つ以上の実施形態において、ガラス組成は、実質的にTiO2を含まなくてもよい。
【0110】
典型的なガラス組成は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO2、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl23、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNa2O、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のK2Oおよび約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOを含む。選択的に、SnO2は、別段に本明細書に開示された量で含まれてもよい。
【0111】
強化基板
1つ以上の実施形態において、基板は、本明細書において説明されたデッドフロント製品の実施形態のうちのいずれかのガラス材料(外側ガラス基板2010またはその他のガラス基板など)を含む。1つ以上の実施形態において、このようなガラス基板は、強化されていてもよい。1つ以上の実施形態において、ガラス基板は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力を有するように強化されていてもよい。圧縮応力領域は、引張応力を有する中央部分によって平衡させられている。DOCにおいて、応力は、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力へ変化する。
【0112】
1つ以上の実施形態において、本明細書において説明されたデッドフロント製品において使用されるガラス基板は、圧縮応力領域と、引張応力を有する中央領域とを形成するために、ガラスの部分の間における熱膨張率の不一致を利用することによって、機械的に強化されていてもよい。幾つかの実施形態において、ガラス基板は、ガラス転移温度より高い温度までガラスを加熱し、次いで、急速に急冷することによって、熱的に強化されていてもよい。
【0113】
1つ以上の実施形態において、本明細書において説明されたデッドフロント製品に使用されるガラス基板は、イオン交換によって化学的に強化されてもよい。イオン交換プロセスにおいて、ガラス基板の表面におけるイオンまたはガラス基板の表面の近くのイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンによって置き換えられるまたは同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンと交換される。ガラス基板がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスまたはソーダ石灰ケイ酸塩ガラスを含む実施形態において、製品の表面層におけるイオンおよびより大きなイオンは、Li+、Na+、K+、Rb+およびCs+などの、一価のアルカリ金属カチオンである。代替的に、表面層における一価のカチオンは、Ag+などの、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオンと置き換えられてもよい。このような実施形態において、ガラス基板内へ交換される一価のイオン(またはカチオン)は応力を生ずる。
【0114】
イオン交換プロセスは、通常、ガラス基板におけるより小さなイオンと交換されるべきより大きなイオンを含む溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)にガラス基板を浸漬させることによって行われる。水性塩浴が利用されてもよいことに留意すべきである。加えて、浴の組成は、2つ以上のタイプのより大きなイオン(例えば、Na+およびK+)または1つのより大きなイオンを含んでもよい。浴組成および温度、浸漬時間、塩浴(または浴)におけるガラス基板の浸漬回数、複数の塩浴の使用、焼きなまし、洗浄などの付加的なステップを含むが、これらに限定されない、イオン交換プロセスのためのパラメータは、ガラス基板の組成(基板の構造および存在するあらゆる結晶相を含む)および強化の結果として生じる基板の所望のDOCおよびCSによって概して決定されることが、当業者によって理解されるであろう。
【0115】
典型的な溶融浴組成は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含んでもよい。典型的な硝酸塩は、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4およびそれらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、通常、約380℃~約450℃の範囲であるが、浸漬時間は、ガラス厚さ、浴温度およびガラス(または一価のイオン)拡散率に応じて約15分~約100時間の範囲である。しかしながら、上述のものと異なる温度および浸漬時間が利用されてもよい。
【0116】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品において使用されるガラス基板は、約370℃~約480℃の温度を有する100%のNaNO3、100%のKNO3またはNaNO3およびKNO3の組合せの溶融塩浴に浸漬させられてもよい。幾つかの実施形態において、デッドフロント製品のガラス基板は、約5%~約90%のKNO3および約10%~約95%のNaNO3を含む混合された溶融塩浴に浸漬させられてもよい。1つ以上の実施形態において、ガラス基板は、第1の浴における浸漬後に、第2の浴に浸漬させられてもよい。第1および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有してもよい。第1および第2の浴における浸漬時間は異なってもよい。例えば、第1の浴における浸漬は、第2の浴における浸漬より長くてもよい。
【0117】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品を形成するために使用されるガラス基板は、約5時間未満またはさらに約4時間未満の間、約420℃未満(例えば、約400℃または約380℃)の温度を有する、NaNO3およびKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む混合された溶融塩浴に浸漬させられてもよい。
【0118】
イオン交換条件は、デッドフロント製品の結果として生じるガラス基板の表面においてまたはこの表面の近くで「スパイク」を提供するまたは応力分布の傾斜を増大させるように調整することができる。スパイクは、より大きな表面CS値を結果として生じることがある。このスパイクは、本明細書において説明されたデッドフロント製品のガラス基板において使用されるガラス組成の独特の特性により、1つの組成または混合された組成を有する、1つの浴または複数の浴によって達成することができる。
【0119】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品において使用されるガラス基板内へ2つ以上の一価のイオンが交換される場合、ガラス基板内の異なる深さまで、異なる一価のイオンが交換されてもよい(かつ異なる深さにおいてガラス基板内に異なる大きさの応力を生じてもよい)。応力を生じるイオンの、この結果として生じる相対的な深さを決定することができ、これは、応力分布の異なる特性を生じることができる。
【0120】
CSは、Orihara Industrial Co.,Ltd(日本)によって製造されたFSM-6000などの市販されている機器を使用する表面応力計(FSM)などによって、技術分野において公知の手段を使用して測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連した応力光係数(SOC)の正確な測定に依存する。SOC自体は、ファイバおよび4点曲げ法などの、技術分野において公知の方法によって測定され、その両方は、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」というタイトルの、ASTM規格C770-98(2013)に記載されており、その内容全体は、引用したことにより本明細書に組み込まれ、バルクシリンダ法によっても測定される。本明細書において使用されるとき、CSは、圧縮応力層内で測定された最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってもよい。幾つかの実施形態において、最大圧縮応力は、ガラス基板の表面に存在している。その他の実施形態において、最大圧縮応力は、表面内部の所定の深さにおいて生じることがあり、圧縮分布に「埋め込まれたピーク」の外観を与える。
【0121】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMによってまたは散乱光偏光器(SCALP)(エストニア、タリンに所在するGlasstress Ltd.から市販されているSCALP-04散乱光偏光器など)によって測定されてもよい。ガラス基板がイオン交換処理によって化学的に強化される場合、FSMまたはSCALPが、どのイオンがガラス基板内へ交換されるかに応じて使用されてもよい。ガラス基板における応力が、ガラス基板内へカリウムイオンを交換することによって生じさせられる場合、DOCを測定するためにFSMが使用される。ガラス基板内へナトリウムイオンを交換することによって応力が生じさせられる場合、DOCを測定するためにSCALPが使用される。ガラス内へカリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方を交換することによってガラス基板における応力が生じさせられる場合、DOCは、SCALPによって測定される。なぜならば、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化を示す(しかしながら、圧縮から引張への応力の変化は示さない)と考えられるからである。このようなガラス基板におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。中央張力またはCTは、最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0122】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品を形成するために使用されるガラス基板は、(本明細書において説明されるように)ガラス基板の厚さtの割合として説明されるDOCを有するように強化されてもよい。例えば、1つ以上の実施形態において、DOCは、約0.05t以上、約0.1t以上、約0.11t以上、約0.12t以上、約0.13t以上、約0.14t以上、約0.15t以上、約0.16t以上、約0.17t以上、約0.18t以上、約0.19t以上、約0.2t以上、約0.21t以上であってもよい。幾つかの実施形態において、DOCは、約0.08t~約0.25t、約0.09t~約0.25t、約0.18t~約0.25t、約0.11t~約0.25t、約0.12t~約0.25t、約0.13t~約0.25t、約0.14t~約0.25t、約0.15t~約0.25t、約0.08t~約0.24t、約0.08t~約0.23t、約0.08t~約0.22t、約0.08t~約0.21t、約0.08t~約0.2t、約0.08t~約0.19t、約0.08t~約0.18t、約0.08t~約0.17t、約0.08t~約0.16tまたは約0.08t~約0.15tの範囲であってもよい。幾つかの例において、DOCは、約20μm以下であってもよい。1つ以上の実施形態において、DOCは、約40μm以上(例えば、約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μmまたは約40μm~約100μm)であってもよい。
【0123】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品を形成するために使用されるガラス基板は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上または約1050MPa以上のCS(ガラス製品の表面またはガラス製品内の所定の深さに見られることがある)を有してもよい。
【0124】
1つ以上の実施形態において、デッドフロント製品を形成するために使用されるガラス基板は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上または約85MPa以上の最大引張応力または中央張力(CT)を有してもよい。幾つかの実施形態において、最大引張応力または中央張力(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲であってもよい。
【0125】
触覚エレメント
図37図40は、1つ以上の触覚エレメントを有する基板700を示している。基板700は、第1の面702と、第1の面7022と反対側の第2の面704と、第1および第2の面702,704の間に延びる少なくとも1つのエッジ面706とを有する。基板700を有する製品(例えば、デッドフロント製品400)は、基板700の第1の面702によって規定された外側面(例えば、外側面480)を有してもよい。したがって、製品の使用者は、製品と相互作用するとき、基板700の第1の面702を見てもよくかつ基板700の第1の面702に触れてもよい。
【0126】
基板700は、基板700の第1の面702を通じて見られてもよい、基板700の第2の面704に配置された少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2を有する。加えてかつ/または代替的に、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2は、(例えば、顔料付きガラスなどを使用して)公知の技術を使用して基板700内に配置されていてもよい。視覚的エレメント710-1,710-2は、第1の面702を通じて見える1つ以上のグラフィックであってもよいまたは第1の面702を通じて見える1つ以上のグラフィックを含んでもよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のグラフィックは、1つ以上のアイコンを含んでもよい。
【0127】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2は、全体的にまたは部分的に不透明層(例えば、不透明層510)によって形成されていてもよい。幾つかの実施形態において、不透明層は、(図2および図3に示されたグラフィック410および/または電源ボタン420、図5に示されたアイコン430または図41に示されたグラフィック820などの)背面照明されるアイコンおよび/またはその他のグラフィックの輪郭を示すために設けられていてもよい。したがって、幾つかの実施形態において、不透明層は、視覚的エレメント710-1,710-2を形成する、層における断続部を有する。このような実施形態において、不透明層510は、視覚的エレメント710-1,710-2を形成するマスキング層であってもよい。
【0128】
視覚的エレメント710-1,710-2は、(i)色の1つ以上の領域、(ii)1つ以上の線、(iii)1つ以上のパターン、(iv)1つ以上のデザイン、(v)1つ以上のイメージ、(vi)1つ以上のグラフィックおよび(vii)それらの1つ以上の組合せ、のうちの少なくとも1つで配置された1つ以上の視覚的部分を含んでもよい。単なる例として、第1の視覚的エレメント710-1は、色、線、パターン、影、マスキング、デザインなどによって形成された円であってもよく、第2の視覚的エレメント710-2は、色、線、パターン、影、マスキング、デザインなどによって形成された三角形であってもよい。当業者であれば、視覚的エレメント710-1,710-2内に含まれる特定の芸術的エレメントが多数あり、例示された例は限定するものでないことを理解するであろう。
【0129】
幾つかの実施形態において、視覚的エレメント710-1,710-2は、製品の内側面(例えば、デッドフロント製品400の内側面490)として機能する、基板700の第2の面704に配置されていてもよい。したがって、視覚的エレメント710-1,710-2は、基板700の第1の面702を通じて使用者によって見られてもよいが、視覚的エレメント710-1,710-2は、基板700の第2の面704に配置されることによって摩耗または損傷から保護されている。上述のように、付加的かつ/または代替的な実施形態は、基板700内に配置された少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2を含んでもよい。
【0130】
図37に示したように、基板700は、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を有する。本明細書において説明するように、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2と、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2との組合せは、製品の外観および/または感覚を高めるように組み合わされてもよい。例えば、触覚エレメント712-1,712-2は、使用者の手における製品の感覚または製品の表面の感覚を高めることがある。幾つかの実施形態において、触覚エレメント712-1,712-2は、視覚的エレメント710-1,710-2が、触覚エレメント712-1,712-2を有さない製品と比較して視覚的に高められるように働くこともある。例えば、基板700の第2の面704に視覚的エレメント710-1,710-2を提供しかつ基板700の第1の面702に相補的な形式で触覚エレメント712-1,712-2を提供することによって、著しく視覚的に刺激する(深さおよび/または三次元)効果が発見された。類似の効果は、基板700内に配置された視覚的エレメント710-1,710-2の場合に達成されることがある。これに関して、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を提供する相補的な性質は、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の色、線、パターン、デザイン、グラフィックおよび/またはイメージなどを補完する表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの1つ以上の部分を提供することを含んでもよい。
【0131】
本明細書において説明される表面粗さは、例えば、比較的滑らかな表面粗さの場合は約10nm~約80nm(部分範囲を含む)、比較的中間的な表面粗さの場合は約80nm~約300nm(部分範囲を含む)および比較的粗い表面粗さの場合は約300nmより大きいRa表面粗さを示すものとして定量化されてもよい。例えば、比較的滑らかな表面粗さは、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nmのRa表面粗さ、または終点としてのこれらの値のうちのいずれか2つを有する範囲におけるRa表面粗さを有してもよい。別の例として、比較的中間的な表面粗さは、80nm、100nm、125nm、150nm、175nm、200nm、225nm、250nm、275nmまたは300nmのRa表面粗さ、または終点としてのこれらの値のうちのいずれか2つを有する範囲におけるRa表面粗さを有してもよい。本明細書において説明される小さな表面エレメントの高低差特性は、基板の表面から延びる比較的小さなエレメントによって実現されてもよく、例えば、比較的滑らかな表面粗さの場合は約10nm~約80nm、比較的中間的な表面粗さの場合は約80nm~約300nm、比較的粗い表面粗さの場合は約300nmより大きい高さを有するものとして定量化されてもよい。
【0132】
表面粗さ(Ra)は、局所的な表面高さと、平均表面高さとの差の数学的平均として規定され、等式(1)によって記述することができる:
【0133】
【数1】
【0134】
ここで、yiは、約100μm×100μmの少なくとも3つのサンプル領域(n)における表面粗さ(Ra)が測定されかつ平均化された平均表面高さに対する局所的な表面高さである。表面粗さ(Ra)は、Zygo Corp.から市販されている表面プロフィルメータを使用して測定されてもよい。
【0135】
少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2に対して相補的な形式で少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を提供することの前記規定は、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の対応する線、形状、パターン、グラフィック、色などに実質的に一致する(例えば、位置合わせされた)基板700の第1の面702における表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの線、領域、デザイン、形状、パターンなどを提供することを含んでもよい。
【0136】
本明細書において使用されるとき、「相補的な形式で」配置または位置決めされた2つの対象物は、2つの対象物が、実質的に同じ全体形状、周囲形状、デザインおよび/またはパターンを有し、基板の反対側の面において実質的に同じ相対的表面積を占めることを意味する。基板内に形成された対象物(例えば、基板内に配置された視覚的エレメント)を含む実施形態において、このような対象物の全体形状、周囲形状、デザインおよび/またはパターン、および相対的な表面積は、対応する対象物が相補的な形式で配置または位置決めされている面と反対側の基板の面に投影された当該対象物の全体形状、周囲形状、デザインおよび/またはパターン、および表面積である。図37は、基板700の第1の面702における第1の触覚エレメント712-1に対して相補的な形式で第2の面704に位置決めされた第1の視覚的エレメント710-1を示している。同様に、図37は、基板700の第1の面702における第2の触覚エレメント712-2に対して相補的な形式で第2の面704に位置決めされた第2の視覚的エレメント710-2を示している。
【0137】
幾つかの実施形態において、所望の視覚的効果は、対象物を相補的な形式で配置することなく得られることがある。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2は、所望の視覚的効果を生じるために少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2に対して非相補的な形式(例えば、オフセット形式)で配置されていてもよい。
【0138】
触覚エレメント712-1,712-2は、(i)表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの1つ以上の領域、(ii)表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの1つ以上の線、(iii)表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの1つ以上のパターン、(iv)表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの1つ以上のデザインおよび(v)それらの1つ以上の組合せ、のうちの少なくとも1つに配置された1つ以上の表面粗さ部分および/または小さな表面エレメントを有する。単なる例として、第1の触覚エレメント712-1は、突出した表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの線または減じられた表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの線によって形成された円であってもよく、第2の触覚エレメント712-2は、突出した表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの線または減じられた表面粗さおよび/または小さな表面エレメントの線によって形成された三角形であってもよい。やはり、当業者であれば、触覚エレメント712-1,712-2に含まれる特定の芸術的エレメントが多数あることを理解するであろう。
【0139】
本明細書において説明するように、触覚エレメント712-1,712-2は、第1の面702が製品の外側面として機能するように基板700の第1の面702に提供されてもよい。基板700の第1の面702は、使用者に触覚フィードバックを提供するあるレベルの表面粗さ(例えば、曇り効果)を提供するために表面処理が行われてもよい。本明細書において説明するように、表面粗さおよび/または小さな表面エレメントのレベルは、デザイン目標を達成するために、滑らかな感覚(表面粗さおよび/または小さな表面エレメントが極めて小さいまたは全くない)から、ビロードのような柔らかさの感覚(マットな表面粗さのような、中間レベルの表面粗さおよび/または中間レベルの小さな表面エレメント)、実質的な粗さの感覚(より高いレベルの粗さおよび/または小さな表面エレメント)までの範囲であってもよい。
【0140】
図37に示したように、触覚エレメント712-1,712-2の表面粗さ部分(および/または小さな表面エレメント部分)のうちの少なくとも幾つかは、視覚的エレメント710-1,710-2の視覚的部分のうちの少なくとも幾つかに対して相補的な形式で基板700の第1の面702に配置されている。このような配置は、基板700の第1の面702を通じて見られたとき視覚的エレメント710-1,710-2の視覚的効果を変更してもよい。例えば、幾つかの構成において、相補的な配置は、特に幾つかの見る角度において、三次元視覚効果を提供することがある。
【0141】
この例において、第1の視覚的エレメント710-1に対して相補的な形式で配置された第1の触覚エレメント712-1は、第1の視覚的エレメント710-1の円と相補的なサイズおよび形状の線(例えば、円形の輪郭)の形式における第1の触覚エレメント712-1の第1の表面粗さ部分(および/または小さな表面エレメント部分)によって達成されてもよい。同様に、第2の視覚的エレメント710-2に対して相補的な形式で配置された第2の触覚エレメント712-2は、第2の視覚的エレメント710-2の三角形と相補的なサイズおよび形状の線(例えば、三角形の輪郭)の形式における第2の触覚エレメント712-2の第2の表面粗さ部分(および/または小さな表面エレメント部分)によって達成されてもよい。
【0142】
触覚エレメント712-1,712-2の表面粗さ部分(および/または小さな表面エレメント部分)は、あらゆる数の方法で達成されてもよい。例えば、表面粗さ部分(および/または小さな表面エレメント部分)は、相対的により小さな表面粗さ(および/またはより小さな表面エレメント高さ)の少なくとも1つの領域によって縁取られた対応する視覚的エレメント710-1および/または710-2に対して視覚的に相補的な形式で配置された、相対的により大きな表面粗さ(および/またはより大きな表面エレメント高さ)の領域(例えば、円、三角形、円形および/または三角形の領域)によって規定されていてもよい。このような効果を達成する1つの方法は、(i)基板700の第1の面702の総面積の大部分を、比較的小さい表面粗さ(例えば、表面粗さがないまたは表面エレメント高さがない状態から、マット仕上げ表面粗さなどの、表面粗さの低いまたは中間的なレベルおよび/または表面エレメント高さの中間的なレベルまでの範囲)の比較的滑らかな仕上げとして提供し、かつ(ii)触覚エレメント712-1および/または712-2の相対的により大きな表面粗さおよび/またはより大きな表面エレメント高さの領域(例えば、円形および/または三角形の輪郭、円形および/または三角形の領域)を、第1の面702の総面積の小さい部分として提供し、このような円形および/または三角形の輪郭の少なくとも幾つかの部分を、滑らかな仕上げと比較して相対的により粗い(例えば、表面粗さの中間的なレベルおよび/または中間的な表面エレメント高さから、表面粗さの高いレベルおよび/または高い表面エレメント高さまでの範囲の)表面粗さおよび/または表面エレメント高さによって有することである。
【0143】
代替的に、(例えば、三角形または三角形の輪郭の形式における)触覚エレメント712-1,712-2の表面粗さ部分および/または表面エレメント部分は、相対的により大きな表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた視覚的に相補的な形式で配置された相対的により小さな表面粗さおよび/またはより小さな表面エレメント高さの領域によって達成されてもよい。このような効果を達成する1つの方法は、(i)基板700の第1の面702の総面積の大部分を、(例えば、マット仕上げ表面粗さより粗い状態などの、表面粗さの中間的なレベルおよび/または表面エレメント高さの中間的なレベルから、表面粗さの高いレベルおよび/または表面エレメント高さの高いレベルまでの範囲の)比較的粗い仕上げとして提供し、かつ(ii)触覚エレメント712-1および/または712-2の相対的により小さな表面粗さおよび/またはより小さな表面エレメント高さの領域(例えば、円、三角形、円形および/または三角形の輪郭)を、第1の面702の総面積の小さい部分として提供し、このような円、三角形、円形および/または三角形の輪郭の少なくとも幾つかの部分を、粗い仕上げと比較して相対的により滑らかな(例えば、表面粗さを有さないおよび/または表面エレメント高さを有さない状態から、表面粗さの低いレベルおよび/または表面エレメント高さの低いレベルまでの範囲の)表面粗さおよび/または表面エレメント高さによって有することである。
【0144】
基板700への少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2および少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の提供を達成するためのプロセスを、基板700がこのプロセスを通じて変化するときの基板700の概略的なイメージを含んだ図38および図39を参照しながら説明する。例示および説明されたステップは、網羅的ではない。その他のステップを、説明および例示されたステップのうちのいずれかの前、後または間に行うことができる。幾つかの実施形態において、ステップは、異なる順序で行われてもよい。図38および図39に示されたプロセスの変化態様は、本開示の範囲に含まれる。
【0145】
この例の目的のために、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2は、表面粗さ特性によって達成されている。図38および図39に開示されたプロセスは、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2が、基板700の第1の面702の総面積の大部分が相対的に滑らかでありかつ少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2の相対的により大きな表面粗さ部分が少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2に対して相補的な形式で配置されていることによって達成される、プロセスである。
【0146】
ステップ750において、基板700の第2の面704の実質的に全ては、耐エッチング性材料(例えば、ステップ750において黒で示したように、耐エッチング性インク)によってマスキングされる。次いで、基板700の少なくとも第1の面702は、マット仕上げ表面粗さなどの、低レベルから中間レベルまでの表面粗さを第1の面702に形成するために酸性溶液(エッチング溶液)に曝される(例えば、浸漬、噴霧など)。結果的なマット仕上げは、ステップ752においてグレーで示されており、ステップ752において、(ステップ752において白で示された)基板700の第2の面704の相対的に滑らかな仕上げを露出させるために、耐エッチング性インクが除去されている。幾つかの実施形態において、基板700の第2の面704は、耐エッチング性材料によって直接マスキングされなくてもよく、その代わり、代替的な形式でエッチング溶液から保護されていてもよい。例えば、ステップ752は、製品(例えば、デッドフロント製品400)の一部を形成する基板700において行われてもよく、この場合、ステップ752においてエッチングされることが意図されていない製品のあらゆる部分は、適切な材料または装置を使用してエッチング溶液から保護されていてもよい。
【0147】
幾つかの実施形態において、ステップ752において使用されるエッチング溶液は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムおよび水混和性有機溶剤を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ752におけるエッチング溶液は、1~15質量%(質量パーセント)のフッ化水素酸、1~40質量%のフッ化アンモニウム、0~35質量%の水混和性有機溶剤および水を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ752におけるエッチング溶液は、4~10質量%のフッ化水素酸、5~30質量%のフッ化アンモニウム、0~25質量%の水混和性有機溶剤および水を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ752におけるエッチング溶液中の水混和性有機溶剤は、アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールまたはそれらの組合せであってもよい。適切なアルコールは、エタノールおよびイソプロパノールを含む。
【0148】
ステップ754において、耐エッチング性材料(例えば、ステップ754において黒で示された、耐エッチング性インクマスク)は、基板700の第1の面702に提供される。特に、耐エッチング性材料は、最終的に視覚的エレメント710-1,710-2に対して相補的となる前記触覚エレメント712-1,712-2を達成するために提供される。やはり、基板700の第2の面704の実質的に全てが、マスキングされていてもよいまたは(ステップ754において黒で示された)ステップ754におけるエッチング溶液から保護されていてもよい。基板700は、やはり、基板700の第1の面702のマスキングされない領域を研磨する(マスキングされない領域の粗さを減じる)ことを目的とした酸性(エッチング)溶液に曝される(例えば、浸漬、噴霧など)。幾つかの実施形態において、酸性溶液は、材料除去によって、マスキングされていない領域における基板700の厚さを減じることもある。結果的なマット仕上げおよび触覚エレメントが、ステップ756において示されており、ステップ756において、(ステップ756においてダークグレーで示された)第1の面702の、前にマスキングされていた部分を露出させるために、耐エッチング性材料は除去されている。したがって、特に、第1の面702の前にマスキングされていた部分は、研磨されたまたは僅かに薄くされた第1の面702のマスキングされていない領域より大きな表面粗さを有する。代替的な実施形態において、最終的に視覚的エレメント710-1,710-2に対して相補的となる触覚エレメント712-1,712-2の位置に対応する部分を除く第1の面702の全ての部分は、ステップ754においてマスキングされてもよい。このような実施形態において、触覚エレメント712-1,712-2は、触覚エレメント712-1,712-2の周囲のマスキングされない領域より小さい表面粗さを有してもよい。
【0149】
幾つかの実施形態において、ステップ756において使用されるエッチング溶液は、フッ化水素酸を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ756において使用されるエッチング溶液は、1~10質量%のフッ化水素酸を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ756において使用されるエッチング溶液は、5質量%のフッ化水素酸を含んでもよい。
【0150】
エッチングおよび/または研磨のための酸の使用が、基板700の表面粗さまたは曇りを提供するかつ/または変更するために使用するのに適しているものとして上述されているが、当業者であれば、その他のあらゆる適切な方法、例えば、サンドブラスト、エンボス加工、ローリング、機械式研磨、彫刻および/または蒸着(例えば、化学的または物理的蒸着)が使用されてもよいことを理解するであろう。また、インク印刷が、エッチングマスクおよび/または視覚的エレメントを形成する1つの形式として説明されているが、当業者であれば、あらゆる適切な代替的な技術、例えば、印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード法、グラビア印刷、フォトリソグラフィなどが使用されてもよいことを理解するであろう。
【0151】
選択的なステップにおいて、基板700は、強化プロセス、例えば、熱強化プロセスまたは(イオン交換プロセスとして技術分野において公知の)化学的強化プロセスに曝されてもよい。幾つかの実施形態において、この選択的な強化プロセスは、ステップ756の後に行われてもよい。
【0152】
ステップ758において、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2が、基板700の第2の面704に配置される。これは、基板700の第1の面702を通じて見られてもよいように少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2を配置することを含む。これは、(i)色の1つ以上の領域、(ii)1つ以上の線、(iii)1つ以上のパターン、(iv)1つ以上のデザイン、(v)1つ以上のイメージ、(vi)1つ以上のグラフィックおよび(vii)それらの1つ以上の組合せのうちの少なくとも1つに配置されたまたは少なくとも1つを規定する、1つ以上の視覚的部分を提供するための、インク印刷、インク噴霧、マスキング技術、コーティング技術、フォトリソグラフィなどを含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ758は、デッドフロント製品を形成するために1つ以上の層を配置することを含んでもよい。例えば、ステップ758において基板700の第2の面704上に、半透明層(例えば、半透明層460)、コントラスト層(例えば、コントラスト層470)、カラー層(例えば、カラー層650)および/または不透明層(例えば、不透明層510)が配置されてもよい。
【0153】
ステップ760において、基板700の第1の面702を通じた少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の可視性を高めるためのプロセスが行われてもよい。例えば、白などの、明るい(かつ好ましくはニュートラルな)顔料層が、印刷、コーティング、噴霧などによって第2の面704において視覚的エレメント710-1,710-2上に提供されてもよい。明るい層は、ステップ760において白として示されている。幾つかの実施形態において、視覚的エレメント710-1,710-2の可視性の望ましい向上は、「明るい」層が、第2の面704において視覚的エレメント710-1,710-2上に提供された光沢のある黒いかつ/または金属のコーティングであるときに達成されてもよい。
【0154】
基板700への少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2および少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の提供を達成するための代替的なプロセスが、基板700が代替的なプロセスを通じて変化するときの基板700の概略的なイメージを含んだ図40に示されている。この例の目的のために、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2は、やはり、表面粗さ特性によって達成されている。図40に開示されたプロセスは、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2が、基板700の第1の面702の総面積の大部分が相対的に大きな表面粗さを有しかつ少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2の相対的により小さな表面粗さ部分が少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2に対して相補的な形式で配置されていることによって達成される。例示および説明されたステップは、網羅的ではない。その他のステップを、説明および例示されたステップのうちのいずれかの前、後または間に行うことができる。幾つかの実施形態において、ステップは、異なる順序で行われてもよい。図40に示されたプロセスの変化態様は、本開示の範囲に含まれる。
【0155】
ステップ780において、基板700の第2の面704の実質的に全ては、耐エッチング性材料(例えば、ステップ780において黒で示したように、耐エッチング性インク)によってマスキングされるまたは保護される。幾つかの実施形態において、基板700の第2の面704は、耐エッチング性材料によって直接マスキングされなくてもよく、その代わり、代替的な形式でエッチング溶液から保護されていてもよい。例えば、ステップ780は、製品(例えば、デッドフロント製品400)の一部を形成する基板700において行われてもよく、この場合、ステップ780においてエッチングされることが意図されていない製品のあらゆる部分は、適切な材料または装置を使用してエッチング溶液から保護されていてもよい。
【0156】
加えて、耐エッチング性材料(例えば、ステップ780において黒で示したような、耐エッチング性インクマスク)は、基板700の第1の面702に提供される。特に、耐エッチング性材料は、前記少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を達成するために第1の面702に提供される。
【0157】
次いで、基板700は、マット仕上げ表面粗さなどの低レベルから中間レベルまでの表面粗さを第1の面702のマスキングされない部分に形成するために、酸性溶液に曝される(例えば、浸漬、噴霧など)。もちろん、代替的な実施形態は、より高いレベルの表面粗さを形成するような酸性溶液を使用してもよい。次いで、ステップ782において、耐エッチング性材料は、低いレベルから中間レベルの表面粗さ(または代替的に、ステップ782においてグレーで示したように、さらにより高いレベルの粗さ)の他の部分の中で、第1の面702における比較的滑らかな仕上げである(ステップ782において白で示されている)1つ以上の領域、線、パターン、デザイン、それらの組合せなどを露出させるように、除去されてもよい。
【0158】
幾つかの実施形態において、ステップ782において使用されるエッチング溶液は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムおよび水混和性有機溶剤を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ782におけるエッチング溶液は、1~15質量%(質量パーセント)のフッ化水素酸、1~40質量%のフッ化アンモニウム、0~35質量%の水混和性有機溶剤および水を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ782におけるエッチング溶液は、4~10質量%のフッ化水素酸、5~30質量%のフッ化アンモニウム、0~25質量%の水混和性有機溶剤および水を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ782におけるエッチング溶液中の水混和性有機溶剤は、アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールまたはそれらの組合せであってもよい。適切なアルコールは、エタノールおよびイソプロパノールを含む。
【0159】
幾つかの実施形態において、ステップ782において使用されるエッチング溶液は、フッ化水素酸を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ782において使用されるエッチング溶液は、1~10質量%のフッ化水素酸を含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ782におけるエッチング溶液は、5質量%のフッ化水素酸を含んでもよい。
【0160】
ステップ784において、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2が、(ステップ784において非白色面704によって示されているように)基板700の第2の面704に配置される。前述のように、これは、第1の面702を通じて見られてもよいように視覚的エレメント710-1,710-2を提供することを含む。これは、(i)色の1つ以上の領域、(ii)1つ以上の線、(iii)1つ以上のパターン、(iv)1つ以上のデザイン、(v)1つ以上のイメージ、(vi)1つ以上のグラフィックおよび(vii)それらの1つ以上の組合せ、のうちの少なくとも1つに配置されたまたは少なくとも1つを規定する1つ以上の視覚的部分を提供するための、インク印刷、インク噴霧、マスキング、コーティング、フォトリソグラフィなどを含んでもよい。幾つかの実施形態において、ステップ784は、デッドフロント製品を形成するために1つ以上の層を配置することを含んでもよい。例えば、ステップ784において基板700の第2の面704上に、半透明層(例えば、半透明層460)、コントラスト層(例えば、コントラスト層470)、カラー層(例えば、カラー層650)および/または不透明層(例えば、不透明層510)が配置されてもよい。
【0161】
ステップ786において、基板700の第1の面702を通じた少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の可視性を高めるためのプロセスが行われてもよい。例えば、白などの、明るい(かつ好ましくはニュートラルな)顔料層が、ステップ786において第2の面704における白色によって示したように、印刷、コーティング、噴霧などによって第2の面704において少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2上に提供される。上述のように、少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2の可視性の望ましい向上は、代替的に、「明るい」層が、第2の面704において少なくとも1つの視覚的エレメント710-1,710-2上に提供された光沢のある黒いかつ/または金属のコーティングであるときに達成されてもよい。
【0162】
エッチングおよび/または研磨のための酸の使用が、基板700の表面粗さまたは曇りを提供するかつ/または変更するために使用するのに適しているものとして上述されているが、当業者であれば、あらゆるその他の適切な方法、例えば、サンドブラスト、エンボス加工、ローリング、機械式研磨、彫刻および/または蒸着(例えば、化学的または物理的蒸着)が使用されてもよいことを理解するであろう。また、インク印刷が、エッチングマスクおよび/または視覚的エレメントを形成する1つの形式として説明されているが、当業者であれば、あらゆる適切な代替的な技術、例えば、印刷、スクリーン印刷、ドクターブレード法、グラビア印刷、フォトリソグラフィなどが使用されてもよいことを理解するであろう。
【0163】
図38図40を参照して上述されたプロセスは、結果として、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を達成するために2つの異なるレベルの表面粗さを生じる。しかしながら、当業者であれば、プロセスにおける列挙されたステップが、3つ以上の異なるレベルの表面粗さを達成するために(例えば、マスキング、エッチング、研磨および/またはその他の技術のステップを加えることによって)変更されてもよく、このことは、触覚エレメント712-1,712-2の視覚的および/または触覚的効果を高めることがあることを理解するであろう。
【0164】
さらに、当業者であれば、図38図40を参照して上述されたプロセスが、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2の特性の代替的なセットを達成するように変更されてもよいことを理解するであろう。例えば、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2は、少なくとも2つの異なるレベルの表面粗さおよび/または表面エレメント高さから形成されていてもよく、これらはいずれも、基板700の、変更されていない当初の滑らかな表面仕上げではない。
【0165】
例えば、ステップ780は、基板700の第2の面704および耐エッチング性材料(マスク)の実質的に全ての前記印刷を含んでもよい。しかしながら、第1の面702に耐エッチング性材料を提供する前に、基板700は、マット仕上げ表面粗さなどのあるレベルの表面粗さを第1の面702に形成するために酸性溶液に曝されてもよい(例えば、浸漬、噴霧など)。その後、耐エッチング性材料(マスク)は、前記少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を達成するために、基板700の第1の面702に(すなわち、前に形成されたマット仕上げ上に)提供される。
【0166】
次いで、基板700は、やはり、前に形成されたマット仕上げ表面粗さより粗い別のレベルの表面粗さを第1の面702のマスキングされない部分に形成するために、酸性溶液に曝される(例えば、浸漬、噴霧など)。次いで、ステップ782において、耐エッチング性材料は、(図40におけるステップ782,784においてグレーによって示された)より高いレベルの表面粗さを有する他の部分の中で、(図40におけるステップ782,784において白い線によって示された)マット仕上げ表面粗さの1つ以上の領域、線、パターン、デザイン、それらの組合せなどを露出させるように、第1の面702から除去されてもよい。
【0167】
次いで、図40のステップ784および786に関連して前述したプロセスの残りが行われてもよく、これは、少なくとも2つの異なるレベルの表面粗さから形成された少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を生じ、そのうちのいずれも、基板700の、変更されていない当初の滑らかな表面仕上げではない。このプロセスは、結果として、少なくとも1つの触覚エレメント712-1,712-2を達成するために2つの異なるレベルの表面粗さを生じるが、当業者であれば、このプロセスにおけるステップが、3つ以上の異なるレベルの表面粗さを達成するために(例えば、マスキング、エッチング、研磨および/またはその他の技術のステップを加えることによって)変更されてもよいことを理解するであろう。
【0168】
図41および図42は、幾つかの実施形態によるデッドフロント製品800を示している。図41は、背面照明されたときの製品800を示しており、製品800の視覚的エレメント810が示されている。図42は、背面照明されていないときの製品800を示しており、製品800の触覚エレメント830が示されている。
【0169】
デッドフロント製品800は、基板801を有する。基板801は、本明細書において説明されたあらゆる基板と同じまたは類似であってもよく、第1の面802と、第1の面802と反対側の第2の面804とを有する。視覚的エレメント810は、第1の面802を通じて見られてもよいように、基板801の第2の面804上にかつ/または基板801内に配置されていてもよい。視覚的エレメント810は、製品800が背面照明されているときに第1の面802を通じて見られてもよい1つ以上のグラフィック820を有してもよい(図41参照)。幾つかの実施形態において、1つ以上のグラフィック820は、アイコンを含むまたはアイコンである。幾つかの実施形態において、視覚的エレメント810は、1つ以上のグラフィックを含む複数の別個の視覚的エレメントを含んでもよい。例えば、視覚的エレメント810は、1つ以上のグラフィックを含む、複数の、印刷された、コーティングされた、噴霧された、などの層または材料を含んでもよい。
【0170】
本明細書において使用されるとき、「アイコン」とは、装置の1つ以上の機能を表す領域、線、形状、パターン、デザイン、イメージ、シンボル、文字、数字、ロゴまたはそれらの組合せである。(例えば、触れることによって)使用者によって作動させられると、アイコンは、アイコンによって表された機能的結果を生じさせる。例えば、オン/オフアイコンは、装置の電源をオンまたはオフにする。別の例として、「音量」アイコンは、装置がより大きなまたは小さな音を生じるようにする。アイコンは、ボタンと呼ばれることもある。
【0171】
製品800はまた、基板801の第1の面802に形成された少なくとも1つの触覚エレメント830を有する。本明細書において説明されるように、触覚エレメント830は、1つ以上の表面粗さ部分を有してもよく、1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、視覚的エレメント810の全部または一部に対して相補的な形式で第1の面802に配置されている。例えば、触覚エレメント830は、1つ以上の表面粗さ部分を有してもよく、1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、グラフィック820に対して相補的な形式で第1の面802に配置されている。触覚エレメント830は、製品800が背面照明されていないときに第1の面802において想像されるデッドフロント材料(例えば、炭素繊維、ステンレス鋼、木製など)の外観を保ちながら、第1の面802に触れる使用者に対して触覚的感覚を生じる。幾つかの実施形態において、触覚エレメント830は、第1の面802において微かに見えていてもよい。
【0172】
本明細書において使用されるとき、第2の対象(例えば、基板)の表面に「形成された」第1の対象(例えば、触覚エレメント)とは、第1の対象が、第2の対象の表面に直接的に形成されていることを意味する。第2の対象の表面に形成された第1の対象は、表面に材料を堆積させ、表面から材料を除去しかつ/または表面の1つ以上の表面特性を化学的に変化させることによって形成されてもよい。第2の対象の表面に第1の対象を形成する適切な方法は、エッチング(例えば、酸によるエッチング)、研磨、サンドブラスト、彫刻、エンボス加工、ローリングおよび/または蒸着(例えば、化学的または物理的蒸着)を含むが、これらに限定されない。第2の対象の表面に第1の対象を形成することは、表面ジオメトリ、表面粗さ、曇りおよび反射率を含むが、これらに限定されない表面の1つ以上の特性を変化させてもよい。幾つかの実施形態において、触覚エレメント830は、例えば、図38および図39、または図40を参照して説明されたエッチングプロセスによって形成された、エッチングされた表面部分であってもよい。
【0173】
デッドフロント製品800は、第2の面804に配置されたデッドフロントアセンブリ840をも含む。デッドフロントアセンブリ840は、デッドフロント製品を形成するための、本明細書において説明されたあらゆる層を含んでもよい。例えば、デッドフロントアセンブリ840は、半透明層(例えば、半透明層460)、コントラスト層(例えば、コントラスト層470)、カラー層(例えば、カラー層650)および/または不透明層(例えば、不透明層510)を有してもよい。例えば、図42は、製品が背面照明されていないときに第1の面802を通じて見える、第2の面804に配置された半透明層850を示している。
【0174】
別の例として、デッドフロントアセンブリ840は、コントラスト層(例えば、コントラスト層470)の少なくとも一部の上に配置された高光学濃度層(例えば、不透明層510)を有してもよく、これにより、コントラスト層は、高光学濃度層と半透明層との間に配置されている。このような実施形態において、高光学濃度層は、少なくとも部分的に1つ以上のグラフィック820を形成していてもよい。幾つかの実施形態において、デッドフロント製品800は、視覚的エレメント810の背後に配置されたタッチパネル(例えば、タッチパネル660)を有してもよく、タッチパネルは、使用者による接触(例えば、1つ以上のグラフィック820の接触)に応答するように構成されている。このような実施形態において、タッチパネルは、アイコンであってもよいグラフィック820の使用者の接触に応答するように構成されていてもよい。
【0175】
幾つかの実施形態において、触覚エレメント830によって占められた第1の面802の部分は、第1の面802の残りの全部または一部より相対的に粗くてもよい(すなわち、より大きな表面粗さを有してもよい)。このような実施形態において、触覚エレメント830は、約80nmより大きなRa表面粗さを有してもよい。
【0176】
幾つかの実施形態において、触覚エレメント830によって占められた第1の面802の部分は、第1の面802の残りの全部または一部より相対的に滑らかであってもよい(すなわち、より小さな表面粗さを有してもよい)。このような実施形態において、触覚エレメント830の周囲の第1の面802の全部または一部は、約80nmより大きなRa表面粗さを有してもよい。
【0177】
幾つかの実施形態において、デッドフロント製品800は、図38図40を参照して本明細書において説明された1つ以上のプロセスを含む加工を用いて形成されてもよい。このような実施形態において、デッドフロント製品800において触覚エレメント830を形成する方法は、グラフィック820が第1の面802を通じて見られてもよいように、第1の面802と反対側の基板801の第2の面804上にかつ/または基板801内に配置された視覚的エレメント810のグラフィック820に対して相補的な形式で基板801の第1の面802に少なくとも1つの触覚エレメント830を形成することを含む。
【0178】
本開示の態様(1)は、デッドフロント製品であって、
基板であって、第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面とを有する基板と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有する、前記基板の前記第2の面の少なくとも第1の部分に配置された半透明層と、
前記領域の少なくとも一部に配置されたコントラスト層であって、前記領域の色の可視性を高めるようにまたは前記コントラスト層が配置されている前記領域の部分における前記領域のデザインの色間のコントラストを高めるように構成されているコントラスト層と、
を備える、デッドフロント製品に関する。
【0179】
本開示の態様(2)は、前記1つ以上の表面粗さ部分は、(i)相対的により小さい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により大きい表面粗さの領域および(ii)相対的により大きい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により小さい表面粗さの領域のうちの一方によって形成されている、態様(1)記載のデッドフロント製品に関する。
【0180】
本開示の態様(3)は、前記グラフィックは、アイコンを含む、態様(1)または(2)記載のデッドフロント製品に関する。
【0181】
本開示の態様(4)は、前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記基板の前記第1の面のエッチングされた部分を含む、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0182】
本開示の態様(5)は、前記基板の前記第1の面の総面積の大部分は、第1の表面粗さを有し、
前記触覚エレメントの前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記第1の面の総面積の小さい部分をカバーしていて、前記第1の表面粗さと異なる第2の表面粗さを有する、態様(1)から(4)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0183】
本開示の態様(6)は、前記第2の表面粗さは、前記第1の表面粗さより相対的に粗い、態様(5)記載のデッドフロント製品に関する。
【0184】
本開示の態様(7)は、前記第2の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有する、態様(6)記載のデッドフロント製品に関する。
【0185】
本開示の態様(8)は、前記第1の表面粗さは、前記第2の表面粗さより相対的に粗い、態様(5)記載のデッドフロント製品に関する。
【0186】
本開示の態様(9)は、前記第1の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有する、態様(8)記載のデッドフロント製品に関する。
【0187】
本開示の態様(10)は、前記基板は、ガラス、ガラスセラミックおよびポリマーから成るグループから選択された材料を含む、態様(1)から(9)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0188】
本開示の態様(11)は、前記基板は、強化ガラスを含む、態様(1)から(10)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0189】
本開示の態様(12)は、前記コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層をさらに備え、前記コントラスト層が、前記高光学濃度層と前記半透明層との間に配置されている、態様(1)から(11)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0190】
本開示の態様(13)は、前記高光学濃度層は、少なくとも部分的に前記グラフィックを形成している、態様(11)記載のデッドフロント製品に関する。
【0191】
本開示の態様(14)は、前記視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層をさらに備え、前記高光学濃度層によって形成された前記視覚的エレメントの少なくとも一部において、前記コントラスト層は、前記半透明層と前記カラー層との間に配置されている、態様(13)記載のデッドフロント製品に関する。
【0192】
本開示の態様(15)は、前記半透明層の領域は、2つ以上の色のデザインを有し、該デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む、態様(1)から(14)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0193】
本開示の態様(16)は、前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルをさらに備え、該タッチパネルは、使用者による接触に応答するように構成されている、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品に関する。
【0194】
態様(17)は、自動車内装であって、
デッドフロント製品を備え、該デッドフロント製品は、
基板を有し、該基板は、
第1の面と、
該第1の面と反対側の第2の面と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
前記基板の第2の面に配置された半透明層と、
該半透明層の少なくとも一部に配置されたコントラスト層と、
該コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層であって、少なくとも部分的に前記グラフィックを形成している、高光学濃度層と、
前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルであって、使用者による接触に応答するように構成されているタッチパネルと、
を備える、自動車内装に関する。
【0195】
態様(18)は、前記グラフィックは、アイコンであり、前記タッチパネルは、前記アイコンの使用者の接触に応答するように構成されている、態様(17)記載の自動車内装に関する。
【0196】
態様(19)は、前記半透明層は、単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有し、該デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む、態様(17)または(18)記載の自動車内装に関する。
【0197】
態様(20)は、前記高光学濃度層は、前記コントラスト層が前記高光学濃度層と前記半透明層との間に配置されるように、前記コントラスト層の少なくとも一部に配置されている、態様(17)から(19)までのいずれか1つ記載の自動車内装に関する。
【0198】
態様(21)は、前記視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層をさらに備え、前記高光学濃度層によって形成された前記視覚的エレメントの少なくとも一部において、前記コントラスト層は、前記半透明層と前記カラー層との間に配置されている、態様(20)記載の自動車内装に関する。
【0199】
態様(22)は、デッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法であって、
基板の第1の面に少なくとも1つの触覚エレメントを形成するステップであって、前記第1の面と反対側の前記基板の第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントによって形成されたグラフィックに対して相補的な形式で、該グラフィックが前記第1の面を通じて見えるように形成するステップを含み、
前記少なくとも1つの触覚エレメントを、エッチング、サンドブラスト、研磨および彫刻のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって形成する、
方法に関する。
【0200】
態様(23)は、前記少なくとも1つの触覚エレメントを、エッチングプロセスによって形成する、態様(22)記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法に関する。
【0201】
態様(24)は、前記エッチングプロセスは、
第1のエッチング溶液によって前記第1の面をエッチングするステップと、
前記第1のエッチング溶液によって前記第1の面をエッチングした後、前記グラフィックの形状に対応する形状を有するマスクを前記第1の面上に配置するステップと、
第2のエッチング溶液によって、前記第1の面の、前記マスクによって被覆されていない領域をエッチングするステップとを含む、態様(23)記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法に関する。
【0202】
態様(25)は、前記第1のエッチング溶液は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムおよび水混和性有機溶剤を含み、
前記第2のエッチング溶液は、フッ化水素酸を含む、態様(24)記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法に関する。
【0203】
明示的に別段の定めがないかぎり、本明細書に示されたいずれの方法も、そのステップが特定の順序で行われることを要求すると解されることは意図されていない。したがって、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際には列挙していない場合、またはステップが特定の順序に限定されるべきであることが請求項または詳細な説明において別段に特に述べられていない場合、いかなる特定の順序が推定されることも意図されていない。加えて、本明細書において使用されるとき、冠詞「a」は、1つまたは2つ以上の構成要素またはエレメントを含むことが意図されており、1つのみを意味すると解されることは意図されていない。
【0204】
開示された実施形態の思想または範囲から逸脱することなく、様々な改良および変更を行うことができることが当業者に明らかになるであろう。実施形態の思想および実質を組み込んだ、開示された実施形態の改良、組合せ、サブコンビネーションおよび変化態様が当業者に想起されることもあるので、開示された実施形態は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内の全てを包含すると解すべきである。
【0205】
「または」という用語は、本明細書において使用されるとき、包括的である。より具体的には、「AまたはB」という語法は、「A、BまたはAおよびBの両方」を意味する。排他的な「または」は、本明細書では、例えば「AまたはBのいずれか」および「AまたはBのうちの一方」のような言い方によって表される。
【0206】
1つのエレメントまたは構成要素を説明するための不定冠詞「a」および「an」は、これらのエレメントまたは構成要素のうちの1つまたは少なくとも1つが存在することを意味する。これらの冠詞は、慣用的に、修飾された名詞が単数形の名詞であることを表すために使用されるが、本明細書で使用されるとき、冠詞「a」および「an」は、特定の例において別段の定めがないかぎり、複数も含む。同様に、定冠詞「the」もまた、本明細書において使用されているとき、やはり特定の例において別段の定めがないかぎり、修飾された名詞が単数形または複数形であってよいことを表す。
【0207】
請求項において使用されるとき、「含む」は、制限しない移行句である。「含む」という移行句に続くエレメントのリストは、非排他的なリストであり、リストにおいて具体的に列挙されたものに加わるエレメントが存在することがある。請求項において使用されるとき、「ほぼ~から成る」または「ほぼ~から構成される」は、ある材料の組成を、明記された材料、およびこの材料の基本的かつ新規の特徴に材料的に影響しない材料に限定する。請求項において使用されるとき、「~から成る」または「全体的に~から成る」は、ある材料の組成を明記された材料に限定し、明記されていないあらゆる材料を排除する。
【0208】
「wherein」という用語は、構造の一連の特徴の列挙を紹介するための、制限しない移行句として使用される。
【0209】
本明細書において、上限値および下限値を含むある範囲の数値が列挙されている場合、特定の状況において別段の定めがないかぎり、その範囲は、その終点ならびにその範囲内の全ての整数および分数を含むことが意図されている。請求項の範囲が、ある範囲を規定しているときに列挙された特定の値に限定されることは意図されていない。さらに、ある量、濃度、またはその他の値またはパラメータがある範囲、1つ以上の好ましい範囲、またはより上の好ましい値およびより下の好ましい値のリストとして与えられているとき、これは、このような対が別々に開示されているかどうかにかかわらず、あらゆる上の範囲限界値または好ましい値と、あらゆる下の範囲限界値または好ましい値とのいずれかの対から形成された全ての範囲を特に開示していると理解されるべきである。最後に、「約」という用語が、値または範囲の終点を説明するときに使用されている場合、開示は、言及された特定の値または終点を含むと理解されるべきである。数値またはある範囲の終点が「約」を用いているかどうかにかかわらず、数値または範囲の終点は、2つの実施形態、すなわち「約」によって修飾された実施形態と、「約」によって修飾されない実施形態とを含むことが意図されている。
【0210】
本明細書において使用されるとき、「約」という用語は、量、サイズ、範囲、配合、パラメータおよびその他の量および特性が、正確ではなくかつ正確である必要がなく、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知のその他の要因を反映して、所望のように、近似値および/またはより大きいまたはより小さいことがあることを意味する。
【0211】
本明細書において使用されるときの「実質的な」、「実質的に」という用語およびその変化形は、記述された特徴が、ある値または記述と等しいまたはほぼ等しいことを述べることが意図されている。例えば、「実質的に平坦な」表面は、平坦またはほぼ平坦な表面を表すことが意図されている。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいまたはほぼ等しいことを表すことが意図されている。幾つかの実施形態において、「実質的に」は、互いの約5%以内、または互いの約2%以内など、互いの約10%以内の値を表してもよい。
【0212】
本実施形態は、本発明の指定された機能および関係の実行を例示する機能的な構成ブロックを用いて上記に説明されている。これらの機能的な構成ブロックの境界は、説明の便宜のために本明細書において任意に規定されている。その指定された機能および関係が適切に実行される限り、代替的な境界を規定することができる。
【0213】
本明細書において使用された語法および用語は、限定のためではなく説明のためのものであることが理解されるべきである。本開示の広さおよび範囲は、上述の典型的な実施形態によって限定されるべきではなく、以下の請求項およびそれらの均等物に従って規定されるべきである。
【0214】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0215】
実施形態1
デッドフロント製品であって、
基板であって、第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面とを有する基板と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有する、前記基板の前記第2の面の少なくとも第1の部分に配置された半透明層と、
前記領域の少なくとも一部に配置されたコントラスト層であって、前記領域の色の可視性を高めるようにまたは前記コントラスト層が配置されている前記領域の部分における前記領域のデザインの色間のコントラストを高めるように構成されているコントラスト層と、
を備える、デッドフロント製品。
【0216】
実施形態2
前記1つ以上の表面粗さ部分は、(i)相対的により小さい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により大きい表面粗さの領域および(ii)相対的により大きい表面粗さの少なくとも1つの領域によって縁取られた相対的により小さい表面粗さの領域のうちの一方によって形成されている、実施形態1記載のデッドフロント製品。
【0217】
実施形態3
前記グラフィックは、アイコンを含む、実施形態1または2記載のデッドフロント製品。
【0218】
実施形態4
前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記基板の前記第1の面のエッチングされた部分を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0219】
実施形態5
前記基板の前記第1の面の総面積の大部分は、第1の表面粗さを有し、
前記触覚エレメントの前記1つ以上の表面粗さ部分は、前記第1の面の総面積の小さい部分をカバーしていて、前記第1の表面粗さと異なる第2の表面粗さを有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0220】
実施形態6
前記第2の表面粗さは、前記第1の表面粗さより相対的に粗い、実施形態5記載のデッドフロント製品。
【0221】
実施形態7
前記第2の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有する、実施形態6記載のデッドフロント製品。
【0222】
実施形態8
前記第1の表面粗さは、前記第2の表面粗さより相対的に粗い、実施形態5記載のデッドフロント製品。
【0223】
実施形態9
前記第1の表面粗さは、約80nmより大きなRa表面粗さを有する、実施形態8記載のデッドフロント製品。
【0224】
実施形態10
前記基板は、ガラス、ガラスセラミックおよびポリマーから成るグループから選択された材料を含む、実施形態1から9までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0225】
実施形態11
前記基板は、強化ガラスを含む、実施形態1から10までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0226】
実施形態12
前記コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層をさらに備え、前記コントラスト層が、前記高光学濃度層と前記半透明層との間に配置されている、実施形態1から11までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0227】
実施形態13
前記高光学濃度層は、少なくとも部分的に前記グラフィックを形成している、実施形態12記載のデッドフロント製品。
【0228】
実施形態14
前記視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層をさらに備え、前記高光学濃度層によって形成された前記視覚的エレメントの少なくとも一部において、前記コントラスト層は、前記半透明層と前記カラー層との間に配置されている、実施形態13記載のデッドフロント製品。
【0229】
実施形態15
前記半透明層の領域は、2つ以上の色のデザインを有し、該デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む、実施形態1から14までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0230】
実施形態16
前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルをさらに備え、該タッチパネルは、使用者による接触に応答するように構成されている、実施形態1から15までのいずれか1つ記載のデッドフロント製品。
【0231】
実施形態17
自動車内装であって、
デッドフロント製品を備え、該デッドフロント製品は、
基板を有し、該基板は、
第1の面と、
該第1の面と反対側の第2の面と、
前記第1の面を通じて見えるように、前記基板の前記第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントであって、前記第1の面を通じて見えるグラフィックを有する、視覚的エレメントと、
1つ以上の表面粗さ部分を有する、前記基板の前記第1の面に形成された少なくとも1つの触覚エレメントであって、前記1つ以上の表面粗さ部分のうちの少なくとも1つは、前記グラフィックに対して相補的な形式で前記基板の前記第1の面に配置されている、少なくとも1つの触覚エレメントと、
前記基板の第2の面に配置された半透明層と、
該半透明層の少なくとも一部に配置されたコントラスト層と、
該コントラスト層の少なくとも一部に配置された高光学濃度層であって、少なくとも部分的に前記グラフィックを形成している、高光学濃度層と、
前記視覚的エレメントの背後に配置されたタッチパネルであって、使用者による接触に応答するように構成されているタッチパネルと、
を備える、自動車内装。
【0232】
実施形態18
前記グラフィックは、アイコンであり、前記タッチパネルは、前記アイコンの使用者の接触に応答するように構成されている、実施形態17記載の自動車内装。
【0233】
実施形態19
前記半透明層は、単色の領域または2つ以上の色のデザインの領域を有し、該デザインは、革シボパターン、木目調パターン、織物パターン、ブラシ研磨金属仕上げパターンおよびロゴのうちの少なくとも1つを含む、実施形態17または18記載の自動車内装。
【0234】
実施形態20
前記高光学濃度層は、前記コントラスト層が前記高光学濃度層と前記半透明層との間に配置されるように、前記コントラスト層の少なくとも一部に配置されている、実施形態17から19までのいずれか1つ記載の自動車内装。
【0235】
実施形態21
前記視覚的エレメントの領域に配置されたカラー層をさらに備え、前記高光学濃度層によって形成された前記視覚的エレメントの少なくとも一部において、前記コントラスト層は、前記半透明層と前記カラー層との間に配置されている、実施形態20記載の自動車内装。
【0236】
実施形態22
デッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法であって、
基板の第1の面に少なくとも1つの触覚エレメントを形成するステップであって、前記第1の面と反対側の前記基板の第2の面にかつ/または前記基板内に配置された視覚的エレメントによって形成されたグラフィックに対して相補的な形式で、該グラフィックが前記第1の面を通じて見えるように形成するステップを含み、
前記少なくとも1つの触覚エレメントを、エッチング、サンドブラスト、研磨および彫刻のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって形成する、
方法。
【0237】
実施形態23
前記少なくとも1つの触覚エレメントを、エッチングプロセスによって形成する、実施形態22記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法。
【0238】
実施形態24
前記エッチングプロセスは、
第1のエッチング溶液によって前記第1の面をエッチングするステップと、
前記第1のエッチング溶液によって前記第1の面をエッチングした後、前記グラフィックの形状に対応する形状を有するマスクを前記第1の面上に配置するステップと、
第2のエッチング溶液によって、前記第1の面の、前記マスクによって被覆されていない領域をエッチングするステップとを含む、実施形態23記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法。
【0239】
実施形態25
前記第1のエッチング溶液は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムおよび水混和性有機溶剤を含み、
前記第2のエッチング溶液は、フッ化水素酸を含む、実施形態24記載のデッドフロント製品に触覚エレメントを形成する方法。
図1
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図13A
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図14A
図14B
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