(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】電子装置の人体距離検出モジュール、電子装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20220816BHJP
G01V 3/08 20060101ALI20220816BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G01B7/00 101C
G01V3/08 A
H01H36/00 D
(21)【出願番号】P 2020515900
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2019130254
(87)【国際公開番号】W WO2021072982
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】201910984304.9
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲亞▼奇
(72)【発明者】
【氏名】王 霖川
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/068244(WO,A1)
【文献】特開2002-100269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200444(US,A1)
【文献】特開2003-194959(JP,A)
【文献】特開2009-222423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00
G01V 3/08
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置の内部空間に配置されている人体距離検出モジュールであって、
第一の金属片(41)と、
前記第一の金属片(41)と電気的に接続し、前記第一の金属片(41)の、人体と電子装置の距離を反映するために用いられる対地容量値を取得するための容量値センサー(42)と、
互いにカップリングが実現されるように、少なくとも一部が前記第一の金属片(41)と相対するように配置され、且つ前記第一の金属片(41)と互いに絶縁する第二の金属片(44)であって、少なくとも一部が前記第一の金属片(41)と平行しない第二の金属片(44)とを備
え、
前記第二の金属片(44)は、平板部分(441)と、前記平板部分(441)の少なくとも1つの側辺から前記平板部分(441)の1つの側面に向けて折り曲げられてなる折り曲げ部分(442)とを含み、前記平板部分(441)の少なくとも一部は、前記第一の金属片(41)と平行して相対するように配置され、
前記平板部分(441)は、矩形を有し、前記平板部分(441)の二本の隣り合う側辺には、何れも前記折り曲げ部分(442)を有する
ことを特徴とする電子装置の人体距離検出モジュール。
【請求項2】
前記折り曲げ部分(442)は、平板形状又はアーク板形状であることを特徴とする請求項
1に記載の人体距離検出モジュール。
【請求項3】
前記第二の金属片(44)における前記第一の金属片(41)と平行しない部分は、前記第一の金属片(41)と相対し、又は、前記第二の金属片(44)における前記第一の金属片(41)と平行しない部分は、前記第一の金属片(41)と相対しないことを特徴とする請求項1
または2に記載の人体距離検出モジュール。
【請求項4】
前記第二の金属片(44)の表面が絶縁膜(45)に覆われていることを特徴とする請求項1
または2に記載の人体距離検出モジュール。
【請求項5】
前記絶縁膜(45)は、前記第二の金属片(44)の全ての表面を覆い、又は、前記絶縁膜(45)は、前記第二の金属片(44)の一部の表面を覆うことを特徴とする請求項4に記載の人体距離検出モジュール。
【請求項6】
前記容量値センサー(42)と電気的に接続し、前記対地容量値に基づいて人体と電子装置の距離を確定するために用いられるプロセッサー(43)を更に含むことを特徴とする請求項1
または2に記載の人体距離検出モジュール。
【請求項7】
請求項1~
6の何れか1つに記載の人体距離検出モジュールを含むことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
背面蓋(10)及び枠(20)を更に含み、前記背面蓋(10)は、前記枠(20)と互いに接続し、前記背面蓋(10)と前記枠(20)は、前記電子装置の内部空間を画定するために用いられ、前記人体距離検出モジュールは、前記内部空間内に位置し、前記第二の金属片(44)は、前記背面蓋(10)に位置することを特徴とする請求項
7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記第二の金属片(44)は、レーザー直接成型技術を用いて前記背面蓋(10)に形成され、又は、前記第二の金属片(44)は、粘着剤又はボルトにより前記背面蓋(10)に固定されていることを特徴とする請求項
8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記背面蓋(10)の、前記人体距離検出モジュールに面する表面は、第一の金属片(41)と平行しない縁領域(10a)を有し、前記第二の金属片(44)の少なくとも一部は、前記縁領域(10a)に位置することを特徴とする請求項
8または9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記内部空間内には、サポートフレーム(70)が設置されており、前記第一の金属片(41)は、前記サポートフレーム(70)に位置していることを特徴とする請求項
8または9に記載の電子装置。
【請求項12】
前記サポートフレーム(70)は、アンテナサポートフレームであることを特徴とする請求項
11に記載の電子装置。
【請求項13】
請求項
7~12の何れか1つに記載の電子装置の制御方法であって、
第一の金属片(41)の対地容量値を取得することと、
前記第一の金属片(41)の対地容量値が予め設定された閾値より高い場合、前記電子装置のアンテナが第一のパワーで働くように制御することと、
前記第一の金属片(41)の対地容量値が予め設定された閾値より高くない場合、前記電子装置のアンテナが第二のパワーで働くように制御し、前記第二のパワーが前記第一のパワーより大きいことと、を含むことを特徴とする電子装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年10月16日に提出された、出願番号が201910984304.9であり、発明名称が「電子装置の人体距離検出モジュール、電子装置及びその制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全部の内容が引用により本願に結合される。
【0002】
本願は、無線通信技術領域に関し、特に、電子装置の人体距離検出モジュール、電子装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
よく見られる電子装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ等を含む。このような電子装置は、通常、無線通信機能を有し、使いやすい。
【0004】
アンテナは、無線通信を実現するための不可欠な構造であり、アンテナが働く時に一定のパワーで外へ電磁波を放射する。アンテナが放射する電磁波は、一定の強度に達しないと、正常の無線通信を保障することができないが、比較的大きな強度の電磁波は、人体に害を与えてしまう。電子装置が正常に無線通信を行うことができ、かつ人体に害を与えることを避けるために、電子装置には、通常、人体距離検出モジュールが設置されている。人体距離検出モジュールは、人体と電子装置の距離を検出することができ、人体と電子装置の距離が一定の範囲に小さくなると、電子装置は、アンテナが外へ放射するパワーを下げることによって、電磁波の強度を低減し、人体への影響を減少させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、電子装置の人体距離検出モジュール、電子装置及びその制御方法を提供する。人体が各方向から電子装置に近付く際に、人体距離検出モジュールは、人体と電子装置の距離の変化を正しく検出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術案は、次の通りである。
【0007】
第一の側面においては、本願の実施例は、第一の金属片と、前記第一の金属片と電気的に接続し、前記第一の金属片の、人体と電子装置の距離を反映するために用いられる対地容量値(「対地静電容量値」ともいう。)を取得するための容量値センサーと、互いにカップリング(「容量性カップリング」ともいう。)が実現されるように、少なくとも一部が前記第一の金属片と相対するように配置され(間隔を有して向かい合うように配置され)、且つ前記第一の金属片と互いに絶縁する第二の金属片であって、少なくとも一部が前記第一の金属片と平行しない第二の金属片とを備える電子装置の人体距離検出モジュールを提供する。
【0008】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記第二の金属片は、平板部分と、前記平板部分の少なくとも1つの側辺から前記平板部分の1つの側面に向けて折り曲げられてなる折り曲げ部分とを含み、前記折り曲げ部分の縁は、前記平板部分の縁と接続し、前記平板部分の少なくとも一部は、前記第一の金属片と平行して相対するように配置されている(間隔を有して向かい合うように配置されている)。
【0009】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記平板部分は、矩形であり、前記平板部分の二本の隣り合う側辺には、何れも前記折り曲げ部分を有する。
【0010】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記折り曲げ部分は、平板形状又はアーク板形状である。
【0011】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記第二の金属片における前記第一の金属片と平行しない部分は、前記第一の金属片と相対し、又は、前記第二の金属片における前記第一の金属片と平行しない部分は、前記第一の金属片と相対しない。
【0012】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記第二の金属片の表面が絶縁膜に覆われている。
【0013】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記絶縁膜は、前記第二の金属片の全ての表面を覆い、又は、前記絶縁膜は、前記第二の金属片の一部の表面を覆う。
【0014】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記容量値センサーと電気的に接続し、前記対地容量値に基づいて人体と電子装置の距離を確定するために用いられるプロセッサーを更に含む。
【0015】
第二の側面においては、本願の実施例は、前の側面に記載の何れか1つの人体距離検出モジュールを含む電子装置を更に提供する。
【0016】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、背面蓋及び枠を更に含み、前記背面蓋は、前記枠と互いに接続し、前記背面蓋と前記枠は、前記電子装置の内部空間を画定するために用いられ、前記人体距離検出モジュールは、前記内部空間内に位置し、前記第二の金属片は、前記背面蓋に位置する。
【0017】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記第二の金属片は、レーザー直接成型技術を用いて前記背面蓋に形成され、又は、前記第二の金属片は、粘着剤又はボルトにより前記背面蓋に固定されている。
【0018】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記背面蓋の、前記人体距離検出モジュールに面する表面は、第一の金属片と平行しない縁領域を有し、前記第二の金属片の少なくとも一部は、前記縁領域に位置する。
【0019】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記内部空間内には、サポートフレームが設置されており、前記第一の金属片は、前記サポートフレームに位置している。
【0020】
本願の実施例の一つの実現可能な方法においては、前記サポートフレームは、アンテナサポートフレームである。
【0021】
第三の側面においては、本願の実施例は、電子装置の制御方法を更に提供し、前記電子装置は、第二の側面に記載の電子装置であり、前記方法は、第一の金属片の対地容量値を取得することと、前記第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高い場合、前記電子装置のアンテナが第一のパワーで働くように制御することと、前記第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高くない場合、前記電子装置のアンテナが第二のパワーで働くように制御し、前記第二のパワーが前記第一のパワーより大きいことと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本願の実施例による技術案は、少なくとも次の有益な効果を有する:第一の金属片及び第二の金属片を設置し、第一の金属片が容量値センサー(「静電容量センサー」ともいう)と電気的に接続することによって、人体が第一の金属片の任意の1つの側から第一の金属片に向かって近づく又は離れる際に、第一の金属片の対地容量値(「対地静電容量値」ともいう)に影響を与え、第一の金属片の対地容量値が比較的明らかに変化するので、第一の金属片の対地容量値は、人体と電子装置の距離を反映することができる。人体が第一の金属片とほぼ平行する方向に沿って電子装置に近付く際に、第二の金属片が第一の金属片と平行しないので、当該方向が第二の金属片と平行しない限り、第二の金属片と人体の間には、比較的大きな向かい合い面積が存在し、第二の金属片と人体の間の容量には、比較的大きな変化が生じることによって、第二の金属片上の電荷の分布は、比較的な大きな変化が生じる。第二の金属片の少なくとも一部は、第一の金属片と相対するように配置されており、且つ両者が互いに絶縁するので、互いにカップリングできる。そのため、人体が第一の金属片とほぼ平行する方向に沿って電子装置に近付く際に、当該方向は、第二の金属片と平行しない限り、第二の金属片の働きにより、第一の金属片の対地容量は、依然として比較的明らかな変化が生じることができ、対地容量の変化により人体と電子装置の距離の変化を正確に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願の実施例の技術案をより詳しく説明するために、以下、実施例の記述に必要とする図面を簡単に紹介する。言うまでもなく、後述における図面は、本願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造性のある労働をせずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、関連技術の中の電子装置の外部の構造模式図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される電子装置の局部の構造模式図である。
【
図3】
図3は、本願の実施例による電子装置の人体距離検出モジュールの構造模式図である。
【
図5】
図5は、本願の実施例によるもう一つの第二の金属片の局部の構造模式図である。
【
図6】
図6は、本願の実施例による電子装置の局部の構造模式図である。
【
図7】
図7は、本願の実施例による背面蓋の構造模式図である。
【
図8】
図8は、本願の実施例による電子装置の制御方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の目的、技術案及びメリットをよりはっきりとさせるために、以下、図面を参照しながら、本願の実施形態を更に詳しく説明する。
【0025】
図1は、関連技術の中の電子装置の外部の構造模式図である。
図1に示すように、当該電子装置は、例示する携帯電話である。
図2は、
図1に示される電子装置の局部の構造模式図である。
図2に示すように、当該携帯電話1は、背面蓋10及び枠20を含み、
図2においては、背面蓋10及び枠20の一部しか示されていない。背面蓋10及び枠20は、互いに接続することで、携帯電話1の内部空間を画定する。当該内部空間には、人体距離検出モジュール30が設置されている。
【0026】
図2に示すように、当該人体距離検出モジュール30は、金属片31、容量値センサー32及びプロセッサー33を含む。金属片31は、容量値センサー32と電気的に接続し、容量値センサー32は、プロセッサー33と電気的に接続し、通常、金属片31は、携帯電話のスクリーンの表面と平行する。携帯電話のスクリーンが見える側を携帯電話の正面と定義し、正面と相対する側を携帯電話の裏面(
図2は、携帯電話の裏面を示している)と定義すると、正面と裏面を接続する面が側面であり、人体は、携帯電話の正面又は裏面から携帯電話に近付く際に、人体は、金属片31の対地容量値に影響を与え、人体と携帯電話の距離が小さければ小さいほど、金属片31の対地容量値が大きくなる。これにより、金属片31の対地容量値に基づいて人体と携帯電話の距離を確定することができ、距離が一定の値より小さい場合、携帯電話のアンテナは、外へ放射するパワーを低減し、放射された電磁波の強度を減少し、人体に害を与えることを避けることができる。
【0027】
しかしながら、人体は、携帯電話の側面から携帯電話に近付けば、方向は、金属片31とほぼ平行するので、金属片31と人体の向かい合い面積は、ほぼゼロであり、人体は、携帯電話に近付いても、金属片31の対地容量値の変化が顕著ではない。これにより、当該方向における人体距離検出モジュール30は、感度がとても低いので、人体と携帯電話の距離の変化を正確に確定することができないことにより、携帯電話は、アンテナのパワーを速やかに調整することができず、人体の健康に害を与え、加えて、第五世代の通信技術(5G)の登場に伴い、電子装置の側面に設置するアンテナも多くなり、人体の健康に与える影響が増えてしまう。
【0028】
図3は、本願の実施例による電子装置の人体距離検出モジュールの構造模式図である。
図3に示すように、当該人体距離検出モジュールは、第一の金属片41と、容量値センサー42と、第二の金属片44とを含む。容量値センサー42は、第一の金属片41と電気的に接続し、容量値センサー42は、第一の金属片41の、人体と電子装置の距離を反映する対地容量値を取得するために用いられる。第二の金属片44の少なくとも一部は、第一の金属片41と相対(対向)するように配置されており、且つ第二の金属片44と前記第一の金属片41とは互いに絶縁しているので、互いにカップリングできる。
【0029】
本願の実施例においては、相対するように配置することは、第二の金属片44の最も大きな2つの表面の中の1つの少なくとも一部は、第一の金属片41と相対することを意味する。互いにカップリングすることは、第二の金属片44の電荷の分布と第一の金属片41の電荷の分布が互いに影響することを意味する。
【0030】
図4は、
図3のA-A断面図である。
図4に示すように、第二の金属片44の少なくとも一部は、第一の金属片41と平行しない。
【0031】
第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分は、第一の金属片41と相対しても良く、第一の金属片41と相対しなくても良い。第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分と第一の金属片41が相対することは、第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分の全ての領域が第一の金属片41と相対し、又は、第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分の一部の領域が第一の金属片41と相対することを含んでも良い。第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分と第一の金属片41が相対しないことは、第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分が第一の金属片41の所在する平面における正射影が第一の金属片41と重ならず、又は、第二の金属片44における第一の金属片41と平行しない部分が所在する平面は第一の金属片41が所在する平面と垂直することを含んでも良い。
【0032】
第二の金属片44と第一の金属片41の少なくとも一部が平行しないことは、第二の金属片44が平板構造であり、第二の金属片44と第一の金属片41が平行せず、又は、第二の金属片44が平板構造ではなく、第二の金属片44の少なくとも一部の領域と第一の金属片41が平行しないことを含む。
図4は、第二の金属片44が平板構造ではない1つの実現方法を示している。
図4においては、第二の金属片44の一部の領域(
図4の符号442で示されている部分)は第一の金属片41と平行しない。
【0033】
第一の金属片及び第二の金属片を設置し、第一の金属片が容量値センサーと電気的に接続することによって、人体が第一の金属片の任意の1つの側から第一の金属片に向かって近づく又は離れる際に、第一の金属片の対地容量値に影響を与え、第一の金属片の対地容量値が比較的明らかに変化するので、第一の金属片の対地容量値は、人体と電子装置の距離を反映することができる。人体が第一の金属片とほぼ平行する方向に沿って電子装置に近付く際に、第二の金属片が第一の金属片と平行しないので、当該方向が第二の金属片と平行しない限り、第二の金属片と人体の間には、比較的大きな向かい合い面積が存在し、第二の金属片と人体の間の容量値には、比較的大きな変化が生じることによって、第二の金属片上の電荷の分布は、比較的な大きな変化が生じる。また、第二の金属片の少なくとも一部は、第一の金属片と相対するように配置されており、且つ両者が互いに絶縁するので、互いにカップリングできる。そのため、人体が第一の金属片とほぼ平行する方向に沿って電子装置に近付く際に、当該方向は、第二の金属片と平行しない限り、第二の金属片の働きにより、第一の金属片の対地容量は、依然として比較的明らかな変化が生じることができ、依然として対地容量の変化により人体と電子装置の距離の変化を正確に反映することができる。
【0034】
容量値センサー42は、容量値を検出する機能を有するセンサーである。例えば、容量値センサー42は、電磁波比吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)センサーであっても良い。
【0035】
好ましくは、当該人体距離検出モジュールは、プロセッサー43を含んでも良い。プロセッサー43は、容量値センサー42と電気的に接続し、対地容量値に基づいて人体と電子装置の距離を確定するために用いられる。
【0036】
第二の金属片44と第一の金属片41の向かい合い面積は、要求に基づいて設置することができ、第二の金属片44と第一の金属片41の向かい合い面積は、人体距離検出モジュールの感度に影響を与え、第二の金属片44と第一の金属片41の向かい合い面積が大きければ大きいほど、人体距離検出モジュール40の感度も高くなる。
【0037】
好ましくは、第一の金属片41は、製造しやすくするために、矩形であっても良い。第一の金属片41は、よく見られる金属又は合金で製造しても良く、例えば、銅、銀又はその合金である。
【0038】
図4に示すように、第二の金属片44は、平板部分441と、平板部分441の少なくとも1つの側辺から平板部分441の1つの側面に向けて折り曲げられてなる折り曲げ部分442とを含む。折り曲げ部分442の縁は、平板部分441の縁と接続し、平板部分441の少なくとも一部は、第一の金属片41と平行して相対するように配置されている。平板部分441と折り曲げ部分442は、一体に形成されている構造である。平板部分441は、第一の金属片41と平行して相対するように配置されていることにより、第一の金属片41と第二の金属片44は、より良くカップリングすることができる。折り曲げ部分442は、平板部分441と平行しないことにより、人体は、第一の金属片41にほぼ平行する方向に沿って電子装置に近付く際に、折り曲げ部分442は、人体と比較的大きな向かい合い面積を成すことができることにより、第二の金属片44と人体の間の容量値は、比較的大きな変化が生じる。ここの向かい合い面積は、第一の金属片41の、人体が近付く方向に垂直する平面における正射影の面積を意味し、例えば、人体は、
図4の水平の矢印に沿って電子装置に近付く場合、向かい合い面積は、第一の金属片41の、当該矢印の方向に垂直する平面における正射影の面積である。
【0039】
第二の金属片44は、よく見られる金属又は合金で製造しても良く、例えば、銅、銀又はその合金である。
【0040】
平板部分441は、製造しやすくするために、矩形であっても良い。折り曲げ部分442は、平板部分441の1つの辺と接続することができる。
【0041】
図5は、本願の実施例によるもう一つの第二の金属片の局部の構造模式図である。
図5に示すように、平板部分441の二本の隣り合う側辺は、何れも折り曲げ部分442を有することにより、人体が図示するX方向に電子装置に近付く際に、人体と電子装置の距離を正確に確定することができるだけではなく、人体が図示するY方向(X方向に垂直する)に電子装置に近付く際にも、人体と電子装置の距離を正確に確定することができる。二本の隣り合う側辺の折り曲げ部分442は、接続しても良く、接続しなくても良い。
【0042】
例示的に、
図4及び
図5に示すように、折り曲げ部分442は、アーク板形状であっても良く、他の実現可能な方法において、折り曲げ部分442は、平板形状であっても良い。折り曲げ部分442の形状は、第二の金属片44を設置しやすくするように、異なる電子装置に適応することができる。
図5に示すように、折り曲げ部分442は、平板部分441の側辺全体から平板部分441の1つの側面に向けて折り曲げられてなっても良い。もう1つの実現可能な方法においては、折り曲げ部分442は、平板部分441の側辺の一部から平板部分441の1つの側面に向けて折り曲げられてなっても良い。
【0043】
もう1つの実現可能な方法においては、第二の金属片44は、アーク板形状(形状は、
図4または
図5における折り曲げ部分442を参照することができる)であっても良く、第二の金属片44は、アーク板形状であるので、いうまでもなく、第一の金属片41と平行しない。
【0044】
好ましくは、第二の金属片44の表面は、絶縁膜45に覆われても良い。電子装置の内部の空間には、限りがあるので、第二の金属片44と他の電子デバイスが十分な電気的な間隔を有することが保障されにくく、第二の金属片44の表面が絶縁膜45に覆われることにより、第二の金属片44と他の電子デバイスは、電気的に接触することを避けることができる。
【0045】
例示的に、
図4に示すように、絶縁膜45は、第二の金属片44の表面を覆っても良い。第二の金属片44の全ての表面が絶縁膜45に覆われ、第二の金属片44と他の構造(例えば、第一の金属片41、枠20)が直接的に接触することを避ける。本願の他の実現可能な方法においては、絶縁膜45は、第二の金属片44の一部の表面を覆っても良く、例えば、絶縁膜45は、第二の金属片44の、第一の金属片41に近い側の表面だけを覆う。絶縁膜45に覆われる位置は、電子装置の内部の、第二の金属片44と接触可能な他の電子デバイスの分布位置に基づいて、第二の金属片44とこれらの電子装置を隔てるように設置しても良い。
【0046】
図6は、本願の実施例による電子装置の局部の構造模式図である。
図6に示すように、当該電子装置は、
図3に示される人体距離検出モジュール40を含む。当該電子装置は、携帯電話、タブレットコンピュータであっても良いが、これらに限らない。
【0047】
図6に示すように、当該電子装置は、背面蓋10及び枠20を含んでも良く、
図6においては、背面蓋10と枠20の一部だけを示している。背面蓋10及び枠20は、電子装置の内部空間を画定するために、互いに接続し、人体距離検出モジュール40は、内部空間内に位置する。携帯電話、タブレットコンピュータ等のようなよく見られる電子装置は、通常、背面蓋10及び枠20を有し、内部空間には、人体距離検出モジュール40を含む様々な部材を収納することができる。また、内部空間は、電子装置の他の部材を収納するためにも用いることができ、例えば、スピーカー50、マイクロフォン等である。異なる電子装置に対し、スピーカー50、マイクロフォン、人体距離検出モジュール40等の部材間の相対的な位置関係は、異なる可能性があり、例えば、
図6に示すように、スピーカー50と人体距離検出モジュール40は、スピーカー50と人体距離検出モジュール40が電子装置のディスプレイスクリーンの取り付け空間を割り込んで占有することを避けるために、何れも枠20の隅部に位置しても良い。
【0048】
枠20は、電子装置のアンテナとしても良い。
図6に示すように、枠20は、アンテナ間仕切りバー21を有し、枠20は、金属材質であり、アンテナ間仕切りバー21は、絶縁体であり、例えば、アンテナ間仕切りバー21は、プラスチックであっても良い。よって、枠20は、アンテナ間仕切りバー21によって連続しない幾つかのセグメントに分けられ、各セグメントは、何れも1つのアンテナとしても良い。
【0049】
枠20は、インタフェース22を有しても良く、インタフェース22は、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)インタフェース、イヤホーンインタフェース、充電インタフェース等を含んでも良い。例示的には、インタフェース22は、スピーカー50と人体距離検出モジュール40の間に位置しても良い。
【0050】
内部空間内には、プリント回路板(Printed Circuit Board、PCB)60を更に設置しても良く、容量値センサー42とプロセッサー43は、PCB60に設置しても良い。
【0051】
好ましくは、内部空間内には、サポートフレーム70を更に設置しても良く、第一の金属片41は、サポートフレーム70に位置しても良い。サポートフレーム70を設置することにより、第一の金属片41の配置をしやすくさせる。
【0052】
電子装置は、通常、多種類のアンテナが設置されており、その中の幾つかのアンテナは、通常、アンテナサポートフレームにより内部空間内に設置される。例えば、内部空間の隅部にアンテナサポートフレームが固定されて設置され、アンテナは、アンテナサポートフレームの表面に固定される。ここのサポートフレーム70は、アンテナサポートフレームであっても良く、既にあるアンテナサポートフレームを用いて第一の金属片41を設置することは、人体距離検出モジュール40は、占有する空間を減少することができる。当然ながら、電子装置の内部には、アンテナサポートフレームがなく、又は、アンテナサポートフレームの位置は、人体距離検出モジュール40の配置に不利であれば、別にサポートフレーム70を設置しても良い。
【0053】
本願の実施例の1つの実現可能な方法においては、第一の金属片41は、粘着剤又はボルト等の固定部材によりサポートフレーム70に固定することができる。
【0054】
本願の実施例のもう1つの実現可能な方法においては、第一の金属片41は、また、レーザー直接成型技術(Laser-Direct-structuring、LDS)を用いてサポートフレーム70に形成することができる。LDSは、製造精度が高く、第一の金属片41の形状及びサイズを正確に制御しやすい。
【0055】
第二の金属片44は、背面蓋10の上に位置しても良い。背面蓋10の上には、通常、比較的多くの電気構造がないので、第二の金属片44の配置がしやすく、第二の金属片44を適宜な位置に配置し、背面蓋10と枠20の接続後、第二の金属片44の少なくとも一部の領域は、第一の金属片41と相対するようにすれば良い。また、背面蓋10の上には、第二の金属片44を設置するだけで良く、電子装置の他の構造を変更しなくても済むので、製造工程に対する変更が比較的小さく、コストが低く、実現しやすい。
【0056】
例示的には、第二の金属片44は、粘着剤又はボルト等の固定部材により背面蓋10の表面に固定することができる。
【0057】
第二の金属片44が背面蓋10の表面に位置する際に、第二の金属片44の、第一の金属片41から遠く離れる側の表面は、背面蓋10とくっ付き、背面蓋10は、通常、絶縁材料で作られるので、第二の金属片44の表面の絶縁膜45は、第二の金属片44の、第一の金属片41に近い側の表面だけを覆うことができる。
【0058】
図7は、本願の実施例による背面蓋の構造模式図である。
図7に示すように、背面蓋10の、人体距離検出モジュール40に面する表面は、第一の金属片41と平行しない縁領域10aを有する。背面蓋10の表面は、完全な平面と限らず、通常、電子装置の背面蓋10の中部が平面であるが、縁が一定のアークを有し、縁と中部は、面を共有しない。このような形状の背面蓋10を採用することにより、使用者が持つ際に、手のひらによりフィットし、持ちやすい。
【0059】
図7に示すように、第二の金属片44の少なくとも一部は、前記縁領域10aに形成することができる。第二の金属片44の少なくとも一部は、縁領域10aに形成することにより、背面蓋10の表面を用いて第二の金属片44の一部が折り曲げられて折り曲げ部分442になり、折り曲げられていない部分が平板部分441になる。また、第二の金属片44を背面蓋10の縁に配置することにより、折り曲げ部分442は、より大きな面積を有することができる。面積が比較的大きな折り曲げ部分442は、人体距離検出モジュール40の感度を高めることに寄与する。
【0060】
人体距離検出モジュール40が
図5に示される第二の金属片44を含む場合、第二の金属片44は、背面蓋10の隅部に配置することができる。
【0061】
好ましくは、第二の金属片44は、LDSを用いて背面蓋10上に形成しても良い。技術の絶え間なく進歩することに伴い、電子装置の内部に設置されている様々なセンサーの数は、多くなり、アンテナの数も多くなり、例えば、5Gの登場に伴い、携帯電話の中には、5Gをサポートするアンテナを増やす必要があり、電子装置の内部がより込むようになり、様々なデバイスも空間からの制限を受けやすくなり、LDSで第二の金属片44を背面蓋10に形成することにより、第二の金属片44が占用する空間を大幅に減少することができ、他のデバイスを正常に取り付けることに影響を与えない。また、LDSにより形成された第二の金属片44は、背面蓋10の表面に沿って延びるので、背面蓋10の表面の形状を直接的に利用して一部の領域が折り曲げられる第二の金属片44を形成することができ、これにより、第二の金属片44は、第一の金属片41と平行しないようにさせることができる。例示的には、LDS工程により電気伝導銀ペーストを背面蓋10の表面に形成することにより、背面蓋10上に第二の金属片44を直接に作ることができる。
【0062】
図8は、本願の実施例による電子装置の制御方法のフローチャート図である。当該電子装置は、
図6に示される電子装置である。
図8に示すように、当該方法は、第一の金属片の対地容量値を取得するステップS11と、第一の金属片の対地容量値と予め設定された閾値を比較し、第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高い場合、ステップS13を実行し、第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高くない場合、ステップS14を実行するステップS12と、電子装置のアンテナが第一のパワーで働くように制御するステップS13と、電子装置のアンテナが第二のパワーで働くように制御するステップS14と、を含む。
【0063】
なお、第二のパワーは、第一のパワーより大きい。
【0064】
第一の金属片の対地容量値は、人体と電子装置の距離を反映し、当該対地容量値は、当該距離と逆相関であり、即ち、人体と電子装置の距離が近ければ近いほど、第一の金属片の対地容量値が大きくなる。テストにより、人体と電子装置の距離が安全な距離である際の、第一の金属片の対地容量値を確定し、当該対地容量値を予め設定される閾値とする。ここの安全な距離は、関連業界又は企業において、電子装置のアンテナが第二のパワーで働く際に、人体と電子装置における許容できる最も小さな距離であっても良い。
【0065】
第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高い場合、対地容量値と距離の関係から分かるように、この時の人体と電子装置の距離が比較的小さく、電子装置のアンテナを、比較的低いパワーである第一のパワーで働かせることにより、アンテナの放射するパワーが大きすぎることによって人体に良くない影響を与えることを避けることができる。第一の金属片の対地容量値が予め設定された閾値より高くない場合、対地容量値と距離の関係から分かるように、この時の人体と電子装置の距離が比較的大きく、電子装置のアンテナを、比較的高いパワーである第二のパワーで働かせることにより、アンテナがより高い効率で働け、正常に通信することを保障することができる。人体と携帯電話の距離の変化に正確に従って電子装置のアンテナの放射パワーを調節することによって、放射が人体に対する有害な影響を避けるとともに、正常な通信を保証する。
【0066】
当業者は、次の内容を理解すべきである。即ち、上述した実施例の全て又は一部のステップは、ハードウェアで実現しても良く、プログラムで関連するハードウェアに指令を出すことによって実現しても良く、前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶メディアに記憶することができ、上述した記憶メディアは、読み取り専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であっても良い。
【0067】
当業者は、明細書を考慮し、ここで開示する発明を実践した後、本願の他の実施案を容易に想到することができる。本願は、本願の任意の変形、用途又は適宜変化を包括することを目的とし、これらの変形、用途又は適宜変化は、本願の一般的な原理に従い、本願において開示されていない当該分野の周知常識又は慣用技術手段を含む。明細書及び実施例は、例示的なものに過ぎず、本願の本当な範囲及び精神は、特許請求の範囲により決められる。
【0068】
本願は、上述のように既に説明され、図面に示されている正確な構造と限らず、その範囲から逸脱しない限り、様々な補正及び変更をすることができることが理解されたい。本願の範囲は、添付する特許請求の範囲のみにより制限される。