(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】引出装置
(51)【国際特許分類】
A47B 88/90 20170101AFI20220816BHJP
【FI】
A47B88/90
(21)【出願番号】P 2020534507
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 AT2018060299
(87)【国際公開番号】W WO2019119003
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-15
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス カンプル
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/198819(WO,A1)
【文献】特表2014-525292(JP,A)
【文献】国際公開第2013/067551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/90
A47B 31/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出装置であって、
ロック装置(13)を備えた引出側壁(9)であって、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)は、少なくとも1つのばね(13b)によって予荷重をかけられるロックレバー(13a)を有している、引出側壁(9)と、
前記引出側壁(9)に横方向に接続すべき壁エレメント(5)であって、前記壁エレメント(5)は前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記引出側壁(9)に面した取付け面(24)と、前記取付け面(24)とは反対側の当接面(25)と、を有している壁エレメント(5)と、
前記壁エレメント(5)を前記引出側壁(9)に接続するための、前記壁エレメント(5)とは別個の少なくとも1つの家具用金具(14)であって、前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)の前記ロックレバー(13a)に解除可能にロック可能である、家具用金具(14)と、
を備えている、引出装置において、
前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で少なくとも所定の領域で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に支持されており、これにより、前記壁エレメント(5)は、前記家具用金具(14)が、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)にロックされることにより、前記引出側壁(9)に保持され、
前記取付け面(24)及び前記当接面(25)は、壁エレメント(5)のうち同一の部材に形成され
、
前記壁エレメント(5)は、引出(4)のフロントパネルである、または前記引出(4)のフロントパネルの一部であって、フロントパネルの全高に相当する高さを有していることを特徴とする、引出装置。
【請求項2】
前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)は、前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記引出側壁(9)の長手延在方向で、前記壁エレメント(5)の前記取付け面(24)から間隔を置いて位置している、請求項1記載の引出装置。
【請求項3】
前記引出側壁(9)は端面(9a)を有しており、前記壁エレメント(5)の前記取付け面(24)は、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で、少なくとも所定の領域で、前記引出側壁(9)の前記端面(9a)に当接する、請求項1または2記載の引出装置。
【請求項4】
前記家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に当接している、請求項1から3までのいずれか1項記載の引出装置。
【請求項5】
引出装置であって、
ロック装置(13)を備えた引出側壁(9)であって、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)は、少なくとも1つのばね(13b)によって予荷重をかけられるロックレバー(13a)を有している、引出側壁(9)と、
前記引出側壁(9)に横方向に接続すべき壁エレメント(5)であって、前記壁エレメント(5)は前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記引出側壁(9)に面した取付け面(24)と、前記取付け面(24)とは反対側の当接面(25)と、を有している壁エレメント(5)と、
前記壁エレメント(5)を前記引出側壁(9)に接続するための、前記壁エレメント(5)とは別個の少なくとも1つの家具用金具(14)であって、前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)の前記ロックレバー(13a)に解除可能にロック可能である、家具用金具(14)と、
を備えている、引出装置において、
前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で少なくとも所定の領域で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に支持されており、これにより、前記壁エレメント(5)は、前記家具用金具(14)が、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)にロックされることにより、前記引出側壁(9)に保持され、
前記取付け面(24)及び前記当接面(25)は、壁エレメント(5)のうち同一の部材に形成され、
前記家具用金具(14)は、側方に突出する少なくとも1つのウィング(28a,28b)を有しており、前記ウィングは、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に当接しており、前記少なくとも1つのウィング(28a,28b)は、前記家具用金具(14)が前記壁エレメント(5)に接続された状態で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に対してほぼ平行に延在して
おり、
前記壁エレメント(5)の当接面(25)と、前記家具用金具(14)のウィング(28b)とが互いに同一平面で延在していることにより、前記当接面(25)と前記家具用金具(14)との間には、障害となる衝突縁は形成されていないことを特徴とする引出装置。
【請求項6】
前記壁エレメント(5)は、家具用金具(14)を受容するための少なくとも1つの開口(23)を有しており、前記家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)に接続された状態で、少なくとも所定の領域で前記開口(23)の縁部領域(23a)に当接していて、かつ前記壁エレメント(5)の前記開口(23)を貫通している、請求項1から5までのいずれか1項記載の引出装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)を起点として少なくとも所定の領域で、前記壁エレメント(5)の前記少なくとも1つの開口(23)を通して案内可能である、請求項6記載の引出装置。
【請求項8】
前記引出装置は、前記壁エレメント(5)をカバーするための少なくとも1つのカバーエレメント(5a)を有しており、前記少なくとも1つのカバーエレメント(5a)は、前記壁エレメント(5)に取り外し可能に接続可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載の引出装置。
【請求項9】
前記カバーエレメント(5a)は、少なくとも1つのスナップ結合部(26)によって前記壁エレメント(5)に取り付けることができる、請求項8記載の引出装置。
【請求項10】
前記引出側壁(9)は、引出用引き出しガイドを収容するための収容スペース(29a)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の引出装置。
【請求項11】
前記取付け面(24)とは反対側の前記当接面(25)は、前記取付け面(24)の向かい側に位置する、請求項1から1
0までのいずれか1項記載の引出装置。
【請求項12】
請求項1から1
1までのいずれか1項記載の少なくとも1つの引出装置を備えた引出壁(11)。
【請求項13】
引出装置を備えた引出壁であって、
前記引出装置は、
ロック装置(13)を備えた引出側壁(9)であって、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)は、少なくとも1つのばね(13b)によって予荷重をかけられるロックレバー(13a)を有している、引出側壁(9)と、
前記引出側壁(9)に横方向に接続すべき壁エレメント(5)であって、前記壁エレメント(5)は前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記引出側壁(9)に面した取付け面(24)と、前記取付け面(24)とは反対側の当接面(25)と、を有している壁エレメント(5)と、
前記壁エレメント(5)を前記引出側壁(9)に接続するための、前記壁エレメント(5)とは別個の少なくとも1つの家具用金具(14)であって、前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)の前記ロックレバー(13a)に解除可能にロック可能である、家具用金具(14)と、
を備え、
前記少なくとも1つの家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で少なくとも所定の領域で、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)に支持されており、これにより、前記壁エレメント(5)は、前記家具用金具(14)が、前記引出側壁(9)の前記ロック装置(13)にロックされることにより、前記引出側壁(9)に保持され、
前記取付け面(24)及び前記当接面(25)は、壁エレメント(5)のうち同一の部材に形成され、
前記引出壁(11)は、第1の壁エレメント(5)と少なくとも1つの第2の壁エレメント(6)とを有しており、前記第1の壁エレメント(5)は、第1の家具用金具(14)によって、引出(4)の第1の引出側壁(9)に取り付けることができ、前記第2の壁エレメント(6)は第2の家具用金具(14)によって、前記引出(4)の第2の引出側壁(10)に取り付けることができ
、
前記第1の壁エレメント(5)と前記第2の壁エレメント(6)とは少なくとも1つの壁プロファイル(7)によって互いに接続されており、前記第1の壁エレメント(5)と前記第2の壁エレメント(6)とは前記壁プロファイル(7)と共に、装飾プレート(15)を収容するための共通の1つのフレームを形成しており、前記装飾プレート(15)は、組付け状態で少なくとも所定の領域で前記フレームの内側に収容されている
ことを特徴とする引出壁。
【請求項14】
前記第1の壁エレメント(5)と前記第2の壁エレメント(6)とは、前記壁プロファイル(7)をそれぞれ越えて突出していて、前記装飾プレート(15)の端部領域を受容するためのそれぞれ少なくとも1つの保持部(20)を有している、請求項
13記載の引出壁。
【請求項15】
前記装飾プレート(15)は、ガラス、木材、プラスチック、金属、セラミック、および/または石材から成っていて、または前記装飾プレート(15)は少なくとも所定の領域で織物層を有している、請求項
13または
14記載の引出壁。
【請求項16】
請求項1から
11までのいずれか1項記載の少なくとも1つの引出装置を備えた、または請求項
12から
15までのいずれか1項記載の少なくとも1つの引出壁(11)を備えた引出(4)。
【請求項17】
請求項1から
11までのいずれか1項記載の引出装置の引出側壁(9)に壁エレメント(5)を接続する方法であって、以下のステップ、すなわち
-前記壁エレメント(5)とは別個の家具用金具(14)を準備するステップ、
-前記家具用金具(14)を前記壁エレメント(5)に接続するステップであって、前記家具用金具(14)は、前記壁エレメント(5)に接続された状態で、少なくとも所定の領域で前記壁エレメント(5)の当接面(25)に支持されているステップ、
-前記家具用金具(14)を前記引出側壁(9)のロック装置(13)に接続するステップであって、前記壁エレメント(5)の取付け面(24)は、該壁エレメント(5)が前記引出側壁(9)に接続された状態で、前記引出側壁(9)に面しているステップ、
を特徴とする、方法。
【請求項18】
前記壁エレメント(5)に前記家具用金具(14)を接続するときに、前記家具用金具(14)を、前記壁エレメント(5)の前記当接面(25)を起点として、前記壁エレメント(5)の少なくとも1つの開口(23)を通して差し込む、請求項
17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出装置であって、
ロック装置を備えた引出側壁であって、引出側壁のロック装置は、少なくとも1つのばねによって予荷重をかけられるロックレバーを有している、引出側壁と、
引出側壁に横方向に接続すべき壁エレメントであって、壁エレメントは引出側壁に接続された状態で、引出側壁に面した取付け面と、取付け面とは反対側の当接面と、を有している壁エレメントと、
壁エレメントを引出側壁に接続するための、壁エレメントとは別個の少なくとも1つの家具用金具であって、少なくとも1つの家具用金具は、引出側壁のロック装置のロックレバーに解除可能にロック可能である、家具用金具と、
を備えている引出装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、少なくとも1つのこのような引出装置を備えた引出壁、およびさらに、このような形式の引出装置または上述した形式の少なくとも1つの引出壁を備えた引出に関する。
【0003】
本発明はさらに、上述した形式の引出装置の引出側壁に壁エレメントを接続する方法に関する。
【0004】
横方向で互いに接続することができる壁エレメントを備えた引出は、国際公開第2013/067551号、米国特許第4108520号明細書、および独国実用新案第202010007427号明細書に示されている。
【0005】
このような引出装置は多様に公知であり(例えば、本出願人による欧州特許第0740917号明細書)、フロントパネルを引出側壁に取り付けるために用いられる。このためにはまず、フロントパネルの背面に穴が穿孔され、次いで、フロントパネルに穿孔された穴内にねじをねじ込むことにより、家具用金具が取り付けられる。代替的には、家具用金具をダボによってフロントパネルに取り付けることができ、この場合は、ダボはフロントパネルの穴の内側で拡張可能である。引出側壁は、ばねによって予荷重がかけられた可動なロックレバーを備えたそれぞれ1つのロック装置を有している。フロントパネルに予め取り付けられた家具用金具は、フロントパネルを組み付ける際に、両引出側壁の端面に挿入され、この場合、家具用金具はそれぞれロックレバーの切欠内へと移動する。これにより、引出側壁のロックレバーが作動可能であるので、家具用金具は、ばねの力によって、引出側壁内に引き込まれ、フロントパネルは、引出側壁の端面に向かって押圧可能である。これには、フロントパネルへの家具用金具の組付けには比較的手間がかかるという欠点がある。
【0006】
本発明の課題は、引出側壁への壁エレメントの確実な取付けが保証されていて、家具用金具の組付けの手間が減じられる、冒頭で述べた形式の引出装置を提案することである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴により解決される。本発明のさらに好適な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明によれば、少なくとも1つの家具用金具は、壁エレメントが引出側壁に接続された状態で少なくとも所定の領域で、壁エレメントの当接面に支持されており、これにより、壁エレメントは、家具用金具が、引出側壁のロック装置にロックされることにより、引出側壁に保持される。
【0009】
換言すると、家具用金具は、壁エレメントに接続された状態で、壁エレメントの、引出側壁とは反対側の当接面(好適には外面)に支持されていて、したがって壁エレメントは、好適には専ら、家具用金具が引出側壁にロックされることにより位置保持されるので、家具用金具のねじ固定、またはダボによる家具用金具のフロントパネルへの取り付けを省くことができる。
【0010】
この場合、家具用金具は壁エレメントを少なくとも所定の領域で側方から取り囲むことができる。選択的には、壁エレメントは、家具用金具を受容するための少なくとも1つの開口を有しており、家具用金具は、組付け状態で、少なくとも所定の領域で開口の縁部領域に当接しており、壁エレメントの開口を貫通することができる。
【0011】
構造的に簡単な構成では、壁エレメントの当接面は、壁エレメントの材料厚さによって、壁エレメントの取付け面から間隔を置いて位置していてよい。
【0012】
1つの実施例によれば、引出装置は、壁エレメントをカバーするための少なくとも1つのカバーエレメントを有しており、少なくとも1つのカバーエレメントは、壁エレメントに取り外し可能に接続可能であってよい。これは例えば、カバーエレメントが、壁エレメントに接続された状態で、カバーエレメントの材料弾性により保持されることにより、少なくとも1つのスナップ結合によって行われてよい。
【0013】
好適な実施例によれば、壁エレメントは、引出のフロントパネルである、または引出のフロントパネルの一部である。
【0014】
上述した形式の引出装置の引出側壁に壁エレメントを接続する方法は、以下のステップ、すなわち
-壁エレメントとは別個の家具用金具を準備するステップ、
-家具用金具を壁エレメントに接続するステップであって、家具用金具は、壁エレメントに接続された状態で、少なくとも所定の領域で壁エレメントの当接面に支持されているステップ、
-家具用金具を引出側壁のロック装置に接続するステップであって、壁エレメントの取付け面は、引出側壁に接続された状態で、引出側壁に面しているステップ、
を特徴とする。
【0015】
本発明のその他の詳細および利点は、以下の図面の説明につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】家具本体に対して相対的に移動可能に支持されている引出を備えた家具を示す斜視図である。
【
図3a】僅かに変更された実施形態の引出を示す図である
【
図3b】僅かに変更された実施形態の引出のフロント引出壁の分解図である
【
図4a】家具用金具およびカバーを備えた壁エレメントを示す斜視図である。
【
図4b】家具用金具およびカバーを備えた壁エレメントを示す別の斜視図である。
【
図4c】家具用金具およびカバーを備えた壁エレメントを示すさらに別の斜視図である。
【
図5a】家具用金具を備えた壁エレメントを示す横断面図である。
【
図5b】引出の可能な別の実施例を概略的に上方から示す図である。
【
図5c】引出の可能なさらに別の実施例を概略的に上方から示す図である。
【0017】
図1には、家具本体2を備えた棚状の家具1が示されており、引出3a,3b,4は、引出用引き出しガイド(図示せず)を介して家具本体2に対して相対的に移動可能に支持されている。両引出3a,3bのフロントパネルは、引出3a,3bの閉鎖位置で、家具本体2の端面2aに当接している。これに対して引出4は、いわゆる内引出として形成することができ、この場合、(両壁エレメント5,6と、これら壁エレメント5,6を接続する壁プロファイル7とから形成される)フロント引出壁11は、引出4の閉鎖位置で端面2aに当接しているのではなく、家具本体2の両側壁間に配置されている。引出4は、引出底面8と側壁9,10とを有しており、引出4は閉鎖位置で、下側の引出3bの高いフロントパネルによって遮蔽可能である。
【0018】
図2には、引出4の斜視図が示されており、引出4は、第1の引出側壁9と、第2の引出側壁10と、引出底面8と、背壁12とを有している。側壁9,10は、それぞれ、中空室プロファイルとして形成されており、その内部には、自体公知のように、引出壁11を取り外し可能にロックするためのロック装置13が配置されている。ロック装置13は、少なくとも1つのばね13bによって予荷重をかけられるロックレバー13aを含み、このロックレバーは、引出壁11の家具用金具14に解除可能にロック可能である。引出壁11を組み付けるために、家具用金具14はそれぞれ、側壁9,10の前方の端部領域内に挿入され、これによりロック装置13のロックレバー13aが作動可能であり、引出壁11は、ばね13bの力によって、側壁9,10の端面9a,10aに向かって引っぱられる。このようなロック装置13は、従来技術(例えば、冒頭で述べた欧州特許第0740917号明細書)により広く公知であり、ここでこれ以上説明する必要はない。壁エレメント5,6はそれぞれ、(例えばプラスチックまたは金属から成る)カバーエレメント5a,5bにより遮蔽可能である。引出側壁9,10はそれぞれ、引出用引き出しガイドを収容するための収容スペース29a,29bを有しているので、引出側壁9,10はそれぞれ、引出用引き出しガイドの引き出し可能なガイドレールに接続可能である。
【0019】
図3aには、僅かに変更された実施形態の引出4の斜視的な部分図が示されている。フロント引出壁11は、第1の壁エレメント5と第2の壁エレメント6とを有しており、これらの壁エレメントはそれぞれ真ん中の壁プロファイル7を越えて突出しており、真ん中の壁プロファイル7と共に、装飾プレート15を収容するための1つのフレームを形成しており、装飾プレート15は、組付け状態で少なくとも所定の領域でフレームの内側に収容されている。引出側壁9はさらに、前方の保持装置19aと後方の保持装置19bとを有しており、これら保持装置の間にプレート状の挿入体17が収容されている。装飾プレート15および/またはプレート状の挿入体17は、ガラス、木材、プラスチック、金属、セラミック、および/または石材から成っていてよく、または少なくとも所定の領域で織物層を有していてよい。プレート状の挿入体17の上方には、フロント引出壁11と背壁12との間に延在するレールステー16が配置されている。
【0020】
図3bには、引出壁11が分解図で示されている。第1の壁エレメント5と第2の壁エレメント6とは、それぞれ壁プロファイル7を越えて突出しており、装飾プレート15の端部領域を受容するための少なくとも1つの保持部20を有している。図示した実施例では、保持部20が挿入開口として形成されており、この挿入開口は装飾プレート15の組付け状態では、装飾プレート15の端部領域の側面をそれぞれ、好適には完全に取り囲んでいる。壁エレメント5,6は、互いに鏡像対称的に形成されているので、ここで行われる説明はそれぞれ両壁エレメント5,6に当てはまる。壁エレメント5,6はそれぞれ横方向に突出した舌片27を有しており、この舌片は、壁エレメント5,6を壁プロファイル7にねじ固定するねじ22を貫通させるための穴を備えている。壁エレメント5,6は、引出側壁9,10に面した取付け面24と、取付け面24とは反対側の当接面25とを有しており、家具用金具14は、壁エレメント5,6が引出側壁9,10に接続された状態で少なくとも所定の領域で、壁エレメント5,6の当接面25に支持されているので、壁エレメント5,6は、家具用金具14と、引出側壁9,10のロック装置13とのロックにより、引出側壁9,10に保持されている。壁エレメント5,6は、図示した実施例では、家具用金具14を受容するためのそれぞれ1つの開口23を有しており、家具用金具14は組付け状態で、少なくとも所定の領域で開口23の縁部領域23a(
図4a)に例えばルーズであるとしても当接しており、壁エレメント5,6の開口23を貫通している。このようにして、壁エレメント5,6は、家具用金具14が、引出側壁9,10のロック装置13にロックされることにより、引出側壁9,10の端面9a,10aに向かって引っぱられ、これにより引出側壁9,10に対して相対的に位置固定される。壁エレメント5,6に配置された接続ピン21により、レールステー16の前方の端部領域が位置固定可能である。
【0021】
図4aには、壁エレメント5が引出側壁9とは反対側の当接面25側で示されており、この当接面には、接続状態で家具用金具14が支持される。壁エレメント5は、縁部領域23aを有した開口23を有しており、この縁部領域には、家具用金具14が少なくとも所定の領域で支持されている。家具用金具14は、側方に突出する少なくとも1つのウィング28a,28bを有していてよく、これらのウィングは接続状態で、開口23の縁部領域23aに支持される。家具用金具14と壁エレメント5とが意図に反して解除されるのを阻止するために、家具用金具14を壁エレメント5に付加的にさらに、係止接続部によって固定することができる。少なくとも1つの家具用金具14は、壁エレメント5の当接面25から始まって少なくとも所定の領域で、壁エレメント5の少なくとも1つの開口23を通して案内可能である。
【0022】
図4bには、壁エレメント5内に挿入された家具用金具14が示されており、この場合、ウィング28a,28bは、壁エレメント5の当接面25に支持されている。開口23の縁部領域23aは、エンボス加工部の形態の凹部として形成することができるので、家具用金具14のウィング28a,28bは、壁部分5の当接面25とほぼ同一平面を成す。少なくとも1つのスナップ結合部26を介して壁エレメント5に位置固定可能であるカバーエレメント5a(
図4c)により、壁エレメント5の開口23を遮蔽することができる。家具用金具14の少なくとも1つのウィング28a,28bは、家具用金具14が壁エレメント5に接続された状態で、壁エレメント5の当接面25に対してほぼ平行に延在しており、これにより極めてコンパクトな構造が生じ、家具用金具14は、平坦に形成されたカバーエレメント5aによって問題なく遮蔽される。
【0023】
図5aには、壁エレメント5が、この壁エレメントに当接している家具用金具14と共に横断面図で示されている。壁エレメント5は、組付け状態で引出側壁9,10に面した取付け面24と、この取付け面24とは反対側の当接面25とを有しており、家具用金具14は、好適には少なくとも1つのウィング28bで当接面25に支持されている。壁エレメント5の当接面25と、家具用金具14のウィング28bとが互いに同一平面で延在していることがわかり、これにより、当接面25と家具用金具14との間には、障害となる衝突縁は形成されていない。
【0024】
図5bには、壁エレメント5と、側壁9,10と、背壁12とを備えた引出4が概略的に平面図で示されている。
図5bに示した実施例では、家具用金具14は、壁エレメント5の端部領域を取り囲んでおり、壁エレメント5の当接面25は、壁エレメント5の前方の可視面によって形成されている。図示した実施例では、壁エレメント5の当接面25は、壁エレメント5の取付け面24から、壁エレメント5の材料厚さの間隔を置いて位置している。家具用金具14はそれぞれ、側壁9,10のロック装置13に解除可能にロック可能である。
【0025】
図5cには、別の実施形態が示されており、この場合、家具用金具14は、壁エレメント5の側方の凹部に係合しており、壁エレメント5の当接面25は、壁エレメント5の凹部の内面により形成されている。
【0026】
全ての実施形態では、壁エレメント5の当接面25は、引出側壁9,10に接続された状態で、引出側壁9,10の長手延在方向で、壁エレメント5の取付け面24から間隔を置いて位置している。