(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】母線に適用される構造的配置
(51)【国際特許分類】
H02B 1/20 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
H02B1/20 H
(21)【出願番号】P 2020535278
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(86)【国際出願番号】 BR2018050334
(87)【国際公開番号】W WO2019046924
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】BR102017019382-9
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(31)【優先権主張番号】BR102018068113-3
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】520084205
【氏名又は名称】メルキゼデク フランシスキニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】メルキゼデク フランシスキニ
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-126918(JP,U)
【文献】特開昭53-127652(JP,A)
【文献】実開昭58-028743(JP,U)
【文献】実開昭51-136614(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第2400610(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電圧及び中電圧の電気キャビネットにおいて使用される高電流の一次母線又は二次母線に適用される、母線に適用される構造的配置であって、
前記母線(100)は、連続的な押出加工、プロファイル加工又は曲げ加工によって得られ、
前記母線(100)は、下方側部分に、全範囲、すなわち、全長に沿って互いに等間隔の中央孔を有する三重壁(20)と、
前記三重壁(20)の真上に、頂点が前記母線(100)の内側へ向けて延在するV字形状の後方壁(40)を含み、管形状で実質的には立方体の中央構造部(30)と、
前記中央構造部(30)の真上に、最上側の部分における上方側フランジ(60)及び全範囲に沿って互いに等間隔の中央孔を有し、わずかに離間された二重壁(50)と、
を設けることを特徴とする、母線に適用される構造的配置。
【請求項2】
前記母線(100)は、前記中央構造部(30)に、絶縁材料、好ましくはポリスチレンを充填することができる間隔を有することを特徴とする、請求項1に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項3】
前記母線(100)は、前記中央構造部(30a)が、2つの曲線をつなげる中央交点を有する二重曲線形状の後方壁(70)及び前記後方壁(70)と同じ形状の前方壁(80)を含む実質的にはピラミッド形状を有する構造的バリエーション(100a)を設けていることを特徴とする、請求項1に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項4】
低電圧及び中電圧の電気キャビネットにおいて使用される高電流の一次母線又は二次母線に適用される、母線に適用される構造的配置であって、
前記母線(100)は、連続的な押出加工、プロファイル加工又は曲げ加工によって得られ、
前記母線(100)は、
下方側部分における三重壁(2)と、
前記三重壁(2)の真上において、管形状、実質的には立方体形状かつ中空形状を有し、前記三重壁(2)が側壁の1つに整列された、下方側構造部(3)と、
前記下方側構造部(3)と同じ形状を有する、すなわち、実質的には立方体形状かつ中空形状を有する上方側構造部(4)と、
前記下方側構造部(3)と前記上方側構造部(4)とを、これらの中央領域で接続する中央二重壁(5)と、
を備える主要な構造的バリエーション(1)を設けることを特徴とする
、母線に適用される構造的配置。
【請求項5】
前記三重壁(2)は、全範囲、すなわち、全長に沿って互いに等間隔の中央孔を有することを特徴とする、請求項4に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項6】
前記中央二重壁(5)は、各組が互いに等間隔の5つの孔を含む3組の穿孔を有し、1組の孔は、前記中央二重壁(5)の全長の中央部分にあって、かつ、他の2組の孔は、前記中央二重壁(5)の長さの両端部の各々一方にあることを特徴とする、請求項4に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項7】
前記主要な構造的バリエーション(1)と同じ構造性を有するものの、前記下方側構造部(3)及び前記上方側構造部(4)は、これらの壁部に、内側梁構造部(3’)及び上方側梁構造部(4’)と称する小さい後続梁を有する相違点を伴う、梁母線(1’)と称する構造的バリエーションを有することを特徴とする、
請求項4に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項8】
低電圧及び中電圧の電気キャビネットにおいて使用される高電流の一次母線又は二次母線に適用される、母線に適用される構造的配置であって、
前記母線(100)は、連続的な押出加工、プロファイル加工又は曲げ加工によって得られ、
前記母線は、下方側部分の中央三重壁(2’)と、内部十字形状中央構造部(8)に配置されると共に、十字形状の各端部と内側部とが接続された実質的には中空の平行6面体形状の二重構造部(7)と、を有し、前記中央三重壁(2’)は、前記二重構造部(7)の下方側中央部分と接続された、中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)と称する構造的バリエーションを設けることを特徴とする
、母線に適用される構造的配置。
【請求項9】
中央フランジ及び内部補強材を伴う前記単一母線(6)とは、実質的に同じ形状を有し、
前記中央三重壁(2’)の代りに、前記二重構造部(7)の各側部に1つずつ、各側壁の延長部分として作用する2つの側部三重壁(2’a及び2’b)を有するという相違点を伴う二重フィッティングの構造的バリエーション(6’)を設けることを特徴とする、請求項8に記載の、母線に適用される構造的配置。
【請求項10】
低電圧及び中電圧の電気キャビネットにおいて使用される高電流の一次母線又は二次母線に適用される、母線に適用される構造的配置であって、
前記母線(100)は、連続的な押出加工、プロファイル加工又は曲げ加工によって得られ、
前記母線は、単一の
三重壁(2’)と、実質的に中空の立方体形状を有する単一中央構造部(11)と、を有する、中央フランジを伴う単一母線(9)と称する構造的バリエーションを設け、前記単一の三重壁(2’)は、前記単一中央構造部(11)の下方側の壁の中央部分にあることを特徴とする
、母線に適用される構造的配置。
【請求項11】
前記単一中央構造部(11)と、各々が互いに対面する2つの三重側壁(2)と、を有する、側部フランジを伴う単一母線(9’)を設け、1つの三重側壁(2)は、下方側へ配置された前記単一中央構造部(11)の1つの側壁と相互接続されており、もう1つの三重側壁(2)は、上方側へ配置された前記単一中央構造部(11)の反対側の側壁と相互接続されたことを特徴とする、請求項10に記載の、母線に適用される構造的配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特許出願は、1996年5月14日付けの法律第9279号の条項に基づき2017年9月11日に出願された手続き中のブラジル特許第102017019382-9号の国内優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、中実母線と互換性のある電気的及び機械的抵抗を有する構成であるものの、その製造用材料を節約できる、閉鎖された管形状の外形で作られた電気キャビネットに適用される母線に関する。
【背景技術】
【0003】
電気キャビネットは、産業全般において極めて広範に使用されている重要な電気装置である。
【0004】
その基本的機能は、産業用プラントにおいて機器、装置、作業領域又はセルに給電しかつ/又はこれらを制御することであり、ほぼ全ての産業、自動化及び/又はサービス分野に適応可能である。
【0005】
電気キャビネットは、通常、様々な目的を持つ多様な組立てられた構成要素を有する区画又は引出しに分類される。
【0006】
利用の大部分において、電気キャビネットは、銅又は他の導電性材料から作られた母線を用いて、一次電気エネルギネットワークに接続されており、一次ネットワークと電気キャビネットとの間で電気を伝導し、接続された機器に電力を供給する。
【0007】
これらの母線に適用される高い電流に起因して、母線は、このような電流に適合する電気的及び機械的特性を必要とし、短絡及び他の要件によってひき起こされる動的歪に対する機械抵抗を保証するように設計された一連の試験も受ける必要がある。
【0008】
電気母線のこれらの固有の特性を前提として、銅は、低い抵抗率を示し、優れた電気伝導性を提供し、銀及び金等の他の導電性材料に比べて相対的に低い製造コストを有することから、電気母線の殆ど全てが銅で作られている。
【0009】
上記の銅製の母線の製造プロセスは、基本的に銅のビレットを導入することからなる押し出し加工によって行われ、所望の製品と異なる長さ及び幅を有するバーは、液圧プレスにおいて、母体(matrix)として知られている予め定められた幾何形状を有する開口の内部でビレットの通り道を進展させる責任を負っており、これにより所望の外形が形成される。
【0010】
つぎに、母体は、押出加工の全ての様式において採用される、正方形、矩形、三角形、円形他等の様々なタイプの外形を提供できるように開発されている。
【0011】
母線には高い値の交流電流が課されることから、表皮効果の高い発生率を有する。すなわち、交流電流は、その中心部分に不利な導体の外側部分に集中しがちになるため、有効な電気伝導面積は減少する。
【0012】
表皮効果の結果として、中実母線を生産するためにはより多くの材料が使用され、これにより、低い電気抵抗の導体、結果としてより効果的な母線を保証するために母線の断面積は増大する。
【0013】
電気キャビネット内における銅製の母線の利用の殆ど全てにおいて、機械的及び電気的要件を満たすために、100×10mm、80×10mm、50×10mm他等の様々なサイズの中実矩形棒材を使用する構成が見受けられる。
【0014】
したがって、現在の技術的ノルマによって要求される短絡に対する機械抵抗と併せて、ある程度の利用で求められる電気伝導性を達成するためには、前提とされた制限によると、押し出し加工によって生産される銅製の母線は、より多くの量の銅の使用に基づいた高いロバスト性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、低電圧及び中電圧の電気キャビネットにおいて適用可能であり、押出加工、プロファイル加工又は曲げ加工等の様々な製造手段によって得ることのできる高電流母線に適用される構造的配置を提示することである。
【0016】
この構造的配置は、最適な電気伝導性及び機械抵抗を提供するという点において卓越しており、さらに、より少量の材料の使用によって天然資源を節約している。
【0017】
本発明の主な特徴の1つは、本発明が、母線と分岐回路接続部との間のより良好な接続を可能にする様々な開口部を備え持つ三重壁と、母線と継目接続部との間の優れた接続を提供する開口部を備え持つ中央二重壁と、を有しているから組立てが容易なことにある。
【0018】
本発明は、主要な構成に加えて、一連の構造的バリエーションを有しており、それゆえに、一次電源、二次電源及びその他等の電気キャビネットにおける最も多様な利用に対して適用可能とされていることから、本発明の別の目的は、その利用の多様性にある。
【0019】
詳細な説明の中で示されている本発明を完全に理解すると共に可視化するためであるが、本発明の範囲を限定又は制限する意図はなく、以下の図面が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1.1】
図1.1は、主要な構造性における母線の斜視図を示す。
【
図1.2】
図1.2は、主要な構造性における母線の正面図を示す。
【
図1.3】
図1.3は、主要な構造性における母線の斜視図及び前面図を示す。
【
図2.1】
図2.1は、母線の構造的バリエーションの正面図を示す。
【
図3.1】
図3.1は、主要な構造的バリエーションの斜視図を示す。
【
図3.2】
図3.2は、主要な構造的バリエーションの正面図を示す。
【
図3.3】
図3.3は、主要な構造的バリエーションの右側面図を示す。
【
図3.4】
図3.4は、主要な構造性における母線の左側面図を示す。
【
図4.1】
図4.1は、構造的バリエーションのビーム母線の斜視図を示す。
【
図4.2】
図4.2は、構造的バリエーションのビーム母線の正面図を示す。
【
図5.1】
図5.1は、中央フランジ及び内部補強材を伴う構造的バリエーションの単一母線の斜視図を示す。
【
図5.2】
図5.2は、中央フランジ及び内部補強材を伴う構造的バリエーションの単一母線の正面図を示す。
【
図6.1】
図6.1は、二重フィッティングの構造的バリエーションの斜視図を示す。
【
図6.2】
図6.2は、二重フィッティングの構造的バリエーションの正面図を示す。
【
図7.1】
図7.1は、中央フランジを伴う構造的バリエーションの単一母線の斜視図を示す。
【
図7.2】
図7.2は、中央フランジを伴う構造的バリエーションの単一母線の正面図を示す。
【
図8.1】
図8.1は、2つの側部フランジを有する構造的バリエーションの単一母線の斜視図を示す。
【
図8.2】
図8.2は、2つの側部フランジを有する構造的バリエーションの単一母線の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
簡単な説明において示された目的にしたがって、本特許出願は、プロファイル加工及び押出加工の両方によって、又は、曲げ加工機によっても得ることができ、最適な電気伝導性及び機械抵抗を提供することから生産における材料の節約とその利用における効率とを結びつける独特の構成を有する母線を示すものである。
【0022】
母線(100)は、適用された歪及び負荷に対して認証できる程度の抵抗を有し、これによって母線(100)の機械抵抗に有利となるL字形状梁に基づく構成を有し、それゆえ、母線に課され、80kA1sまでの電流における弾性変形を受けるだけの様々な短絡試験において認証を受けることが可能になっている。
【0023】
母線(100)は、その下方側の部分に三重壁(20)を与え、三重壁は、その全範囲、すなわち、全長にわたって互いに等間隔の中央孔部を有する。三重壁(20)の真上は、頂点が母線(100)の内側へ向けて延在するV字形状の後方壁(40)を含む管形状、実質的には立方体の中央構造部(30)とされている。
【0024】
中央構造部(30)の真上には、母線(100)は、その最上の部分にある上方側フランジ(60)に加えて、全長にわたって互いに等間隔の中央孔部を有する二重壁(50)を有し、二重の壁は、わずかに離間している。
【0025】
母線(100)は、負荷がかかっているときに磁場を安定させるのに寄与するポリスチレン等の絶縁材料を充填することができる間隙を中央構造部(30)の内部に有する。
【0026】
母線(100)は、連続的に作られる、すなわち、母線は、その製造において使用される手段に関わらず、溶接継目も外部から鍛造された相互継ぎ手も有しておらず、このような溶接継目又は鍛造された相互継ぎ手は、より大きい歪が生じる点を有しうることから、このような母線は、高い機械抵抗に寄与する。
【0027】
母線(100)は、電気キャビネットにおける主母線のように、その主要な利用において、合同で、すなわち、各々接続する段階で2つの母線(100)で使用され、それによって、電流伝導効率の改善及び機械抵抗の増大の両方に寄与する。
【0028】
母線(100)の三重壁(20)は、母線(100)の一種の拡張部分として作用し、かつ、その全長に沿って配置された無数の孔部を有し、無数の孔部は、母線間の接続に使用され、又は、母線(100)が適用される電気キャビネットの内部における母線(100)の締結にさえ使用されることから、三重壁(20)は、その利用において母線(100)の組み立てをより容易にするために協力する。
【0029】
三重壁(20)及び二重壁(50)に存在する穿孔は、これらの孔を通じた空気の通路を有効にし、母線(100)を通過する電流によって生成される熱の放散に有利に作用することから、母線(100)を冷却する役割も有する。
【0030】
母線(100)は、このようなタイプの利用では、母線(100)が、重ね合わせられるように(are mirrored)、すなわち、母線の二重壁(50)が互いに対面すると共に、接続用要素及びネジによって接合されるように、合同で、すなわち、同じ位相の2本の母線(100)を使用することができる。
【0031】
母線(100)は、構造的バリエーション(100a)を設けており、中央構造部(30a)は、2つの曲線を連結する中央交差部を有する二重曲線形状の後方壁(70)と、後方壁(70)と同じ形状の前方壁(80)と、を含む実質的にはピラミッド形状を有する。
【0032】
母線(100)は、下方側の部分の三重壁(2)からなる主要な構造的バリエーションを有し、三重壁(2)は、その全範囲、すなわち、全長に沿って互いに等間隔の中央孔部を有する。三重壁(2)の真上は、管形状、実質的には立方体形状かつ中空形状の下方側構造部(3)とされ、三重壁(2)は、下方側構造部(3)の側壁の一つに整列されている。
【0033】
主要な構造的バリエーション(1)は、下方側構造部(3)の真上に、下方側構造部(3)と同じ形状を有する、すなわち、立方体形状かつ中空形状の上方側構造部(4)を有する。上方側構造部(4)は、その中央部分上に配置された中央二重壁(5)を用いて下方側構造部(3)と相互接続されており、中央二重壁(5)には、3組の穿孔が設けられている。各組の穿孔は、互いに等間隔の5つの孔を含み、1組の孔は、中央二重壁(5)の全長の中央部分に設けられ、他の2組の孔は、中央二重壁(5)の両端部の各々一方に設けられている。
【0034】
主要な構造的バリエーション(1)は、連続的に作られる、すなわち、母線は、その製造において使用される手段に関わらず、溶接継目も外部から鍛造された相互継ぎ手も有しておらず、このような溶接継目又は鍛造された相互継ぎ手は、より大きい歪が生じる点を有しうることから、このような母線は、高い機械抵抗に寄与する。
【0035】
中央二重壁(5)は、その長さに沿って配置された無数の孔を有し、これらの孔はキャビネットにおける主要な構造的バリエーション(1)の直接的締結及びダイバータ又はエクステンダにおけるその接続の両方のために使用可能となっていることから、三重壁(2)にある組立ての容易さの特徴と同じ特徴を備える。
【0036】
母線(100)は、梁母線(1’)と称する構造的バリエーションを設け、梁母線(1’)は、主要な構造的バリエーション(1)と同じ構造性を有するものの、下方側構造部(3)及び上方側構造部(4)は、その壁に内側梁構造部(3’)及び上方側梁構造部(4’)と称する小さな後続梁を有するという相違点を伴う。
【0037】
母線(100)は、中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)と称する第3の構造的バリエーションも設け、単一母線(6)は、下方側部分に中央三重壁(2’)を有すると共に、十字形状の内部中央構造部(8)に配置された実質的に中空の平行6面体形状の二重構造部(7)を有し、十字形状の各端部は二重構造部(7)の内側部と接続する。中央三重壁(2’)は、二重構造部(7)の下方側部分の中央に相互接続されている。
【0038】
中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)の機能は、主要な構造的バリエーション(1)を合同で利用することを置換えることにあり、ここでは、2つの主要な構造的バリエーション(1)の代りに、中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)だけが使用される。
【0039】
次に、中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)は、二重フィッティングの構造的バリエーション(6’)も有する。二重フィッティングの構造的バリエーション(6’)は、実質的には、中央フランジ及び内部補強材を伴う単一母線(6)と同じ形状を有するものの、二重構造部(7)の両側部に、中央三重壁(2’)の代りに各々の側壁の延長部分として作用する2つの側部三重壁(2’a及び2’b)を各々有するという相違点を伴う。
【0040】
母線(100)は、三重壁(2’)及び実質的には中空立方体形状を有する単一中央構造部(11)を有する、中央フランジを伴う単一母線(9)と称する構造的バリエーションも設け、三重壁(2’)は単一中央構造部(11)の下方側壁の中央部分に見られる。
【0041】
中央フランジを伴う単一母線(9)の主たる目的は、2次母線、すなわち、1次母線と電気キャビネットの他の構成要素との間で電流を分配する、電気キャビネットにおける2次母線としての利用にある。しかしながら、比較的負荷の低いキャビネットにおいて中央フランジを伴う単一母線(9)を1次母線として使用することを妨げる障害は無い。
【0042】
最後に、中央フランジを伴う単一母線(9)は、単一中央構造部(11)及び2つの三重側壁(2)を有する、側部フランジを伴う単一母線(9’)と称される二重フィッティングの構造的バリエーションを設けており、各々の三重側壁は互いに対面するため、1つの三重側壁は、下方側へ向けて配置された単一中央構造部(11)の側壁と相互接続され、もう一つの三重側壁は、上方側へ向けて配置された単一中央構造部(11)の反対側の側壁と相互接続されている。
【0043】
1つではなく互いに対向して配置された2つの二重壁(2)を有することによって、電気キャビネットへの締結の可能性及びダイバータ又はエクステンダによる接合の可能性が増大することから、上記の側部フランジを伴う単一母線(9’)の目的は、電気キャビネットにおける組み立てを促進することである。
【0044】
母線(100)及びその全ての構造的バリエーションは、他の母線が中実の構造を有するのに対して、閉鎖した管形状を有する構造を有することによって、技術的現状において存在する他の電気母線に比べて傑出している。したがって、母線(100)及びその全ての構造的バリエーションは、その構造中の導電性材料の著しい節約を提供し、生産の経済的価値及びその構造において使用される銅、アルミニウム、金及び銀などの元素の天然埋蔵量に対する影響を低減させる。
【0045】
複雑に配置された壁に基づく閉鎖された管状構造を有するという事実は、中実矩形状の母線と比べて機械抵抗を増加させ、これによって高レベルの短絡試験に曝された場合の変形が最小限に抑えられることから、母線(100)及びその構造的バリエーションの別の利点は、その高い機械抵抗にある。
【0046】
最後に、締結、延長及び分岐作業を促進する壁及び穿孔の両方についての一連の選択肢を有していることから、母線(100)及びその構造的バリエーションの別の利点は、利用の際の組立てが中実母線と比べて実質的に容易であるという事実にある。
【0047】
本明細書中の記載は、ここに記載された詳細に利用を限定するものではなく、本発明は、クレームの範囲内で、他の様式に用いることができ、かつ、様々な態様で実施又は導入することができることが理解されるべきである。特定の用語が使用されてきたが、これらの用語は、限定の目的ではなく、包括的かつ記述的な意味合いで解釈されるべきものである。