(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】圧縮装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20220816BHJP
F04D 17/12 20060101ALI20220816BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
F04D29/58 P
F04D17/12
F04D29/42 P
(21)【出願番号】P 2020542202
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(86)【国際出願番号】 FR2018052043
(87)【国際公開番号】W WO2019077213
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・デュランド
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189079(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003255(US,A1)
【文献】特開2000-087900(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0159665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 17/12
F04D 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの連続
する及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機(1、3)と、前記
遠心圧縮機(1、3)のためのいくつかの駆動モータ(5、6)とを含む、作動ガ
スのための遠心圧縮装置であって、
圧縮される
前記作動ガスを第1の圧縮機(1)に搬送するために前記第1の圧縮機(1)の入口に連結される、圧縮される
前記作動ガスのための第1の入口ライン(13)を含むガス回路を有し、
前記
ガス回路は、前記第1の圧縮機(1)で圧縮され
た前記作動ガスを吐出すために前記第1の圧縮機(1)の出口に連結された第2のライン(14)を有し、
前記第2のライン(14)は、第2の圧縮を実行するために、前記第1の圧縮機(1)で圧縮され
たガスを第2の圧縮機(3)に搬送するために前記第2の圧縮機(3)の入口に連結され
ており、
前記
ガス回路は、前記
第1及び第2の圧縮機(1、3)の少なくとも1つ
の出口に
前記第2のライン(14)を介して接続された1つの端部と、少なくとも1つの
駆動モータ(5、6)の加熱を制限するために、
前記第1及び第2の圧縮機(1、3)の少なくとも1つで圧縮され
た前記作動ガスの一部
を少なくとも1つの
駆動モータ(5、6)に移送するために前記少なくとも1つの
駆動モータ(5、6)の入口に接続された少なくとも1つの第2の端部とを有する少なくとも1つの第3の冷却ライン(15)を有し、
前記第3の冷却ライン(15)は、2つの個別の
駆動モータ(5、6)をそれぞれ冷却することを目的として、第1のガス冷却部材(2)と、前記
遠心圧縮装置の前記2つの個別の
駆動モータ(5、6)にそれぞれ供給する2つの並列枝路とを含む、遠心圧縮装置において、
前記
ガス回路は、第1の
駆動モータ(5)の出口及び第2の
駆動モータ(6)の出口を前記第1の圧縮機(1)の入口に連結する第4のライン(11、12)を含
み、前記
第1及び第2の駆動モータの加熱を制限するために使用された前記
作動ガスを、前記
作動ガスを圧縮するために前記第1の圧縮機(1)に再循環させることと、
前記
ガス回路は、前記第4のライン(11、12)の経路上に配置された少なくとも1つの第2のガス冷却部材(17)を含
み、前記
第1及び第2の駆動モータ(5、6)から到来する前記
作動ガスから、前記
作動ガスが前記第1の圧縮機(1)に戻る前に熱を除去することと、を特徴とする遠心圧縮装置。
【請求項2】
前記第3の冷却ライン(15)は、前記2つの並列枝路に入れられるガス流のための制御弁(7、8)の組を含むことを特徴とする、請求項1に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項3】
前記制御弁(7、8)の組は、前記2つの
並列枝路にそれぞれ位置付けられた2つの制御弁を含むことを特徴とする、請求項2に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項4】
前記制御弁(7、8)の組は、前記2つの
並列枝路の接合部に位置付けられた三方制御弁又は前記2つの
並列枝路の上流で前記第3の
冷却ライン(15)上に位置付けられた単一の弁を含むことを特徴とする、請求項2に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項5】
前記第1のガス冷却部材(2)は、伝熱流体によって冷却される熱交換器を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項6】
前記
第1及び第2の圧縮機(1、3)は、対応する
第1及び第2の駆動モータ(5、6)によって直接回転駆動されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項7】
前記遠心圧縮装置が、前記第1及び/又は第2の駆動モータ(5、6)と、
前記第1及び/又は第2の圧縮機(1、3
)との間に1つ又は複数の回転接合部を含み、それにより、前記
第1及び/又は第2の駆動モータの空洞内の圧力は、前記
第1の圧縮機(1)内の最低圧力、すなわち前記
第1の圧縮機(1)の入口圧力(13)に近いことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項8】
1つ又は複数の膨張タービンに結合された少なくとも1つのモータとを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の
遠心圧縮装置。
【請求項9】
作動流体を収容する作動回路(10)を含む、-100℃~-273℃の低温の冷凍機であって、前記作動回路が、遠心圧縮装置(18)と、前記
遠心圧縮装置(18)で圧縮されたガスを冷却
して膨張させるための装置(19)とを含む、冷凍機において、前記
遠心圧縮装置(18)は、請求項1~8のいずれか一項に記載の
遠心圧縮装置であることを特徴とする冷凍機。
【請求項10】
いくつかの連続
する、及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機(1、3)と、前記
遠心圧縮機(1、3)のためのいくつかの駆動モータ(5、6)とを使用する、作動ガ
スのための遠心圧縮方法であって、前記
遠心圧縮機(1、3)は、前記
駆動モータ(5、6)によって直接回転駆動され、前記
遠心圧縮方法が、
- 第1の圧縮機(1)で、次いで連続して配置される第2の圧縮機(3)で作動ガスを圧縮するステップ、
及び
- 前記
第1及び第2の圧縮機の少なくとも1つを出
てさらに圧縮されるべき圧縮ガスの一部を引き抜き、且つ少なくとも1つの
駆動モータ(5、6)を冷却するために、前記引き抜かれた
圧縮ガスが前記少なくとも1つの
駆動モータ(5、6)を通して流れるようにするステップを含む、方法において、
前記第1及び第2の圧縮機(1、3)の少なくとも1つの出口で引き抜かれた前記
圧縮ガス
を冷却する冷却ステップと、2つの個別の
駆動モータ(5、6)をそれぞれ冷却するために、前記引き抜かれた冷却ガスが分配され、且つ前記2つの個別の
駆動モータ(5、6)を通して並列に流される
分配ステップと、
少なくとも1つの駆動モータ(5、6)の加熱を制限するために使用された前記作動ガスを、前記作動ガスを圧縮するために前記第1の圧縮機(1)に再循環させるステップと、を含むことを特徴とする、
遠心圧縮方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮装置及び方法並びに冷凍機に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、いくつかの連続及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機と、圧縮機のためのいくつかの駆動モータとを含む、作動ガス、特に冷凍機のための遠心圧縮装置であって、圧縮されるガスを第1の圧縮機に搬送するために第1の圧縮機の入口に連結される、圧縮されるガスのための第1の入口ラインを含むガス回路を有し、回路は、前記第1の圧縮機で圧縮されたガスを吐出するために前記第1の圧縮機の出口に連結された第2のラインを有し、第2のラインは、第2の圧縮を実行するために、第1の圧縮機で圧縮されたガスを第2の圧縮機に搬送するために第2の圧縮機の入口に連結され、回路は、圧縮機の少なくとも1つの出口に接続された1つの端部と、少なくとも1つのモータの加熱を制限するために、少なくとも1つの圧縮機で圧縮されたガスの一部を少なくとも1つのモータに移送するために少なくとも1つのモータの入口に接続された少なくとも1つの第2の端部とを有する少なくとも1つの第3の冷却ラインを有する、遠心圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(電動)モータと圧縮ホイールとの間の直接駆動を使用する(すなわち増速歯車のない)遠心圧縮機は、モータで発生する熱を放出するためにガス流を必要とする。この熱は、主として、モータからの損失及びロータとロータを囲むガスとの間の摩擦によって発生する。
【0004】
この冷却流は、従来、モータの一方側(入口における)で注入され、より高い温度で他方側(出口における)から排出される。冷却流は、モータの中央部に注入することもでき、モータの両側から排出することもできる。
【0005】
熱のより大きい部分又はより小さい部分は、従来、モータの固定子部を囲む回路を流れる伝熱流体(水若しくは空気又は固定子の冷却に使用される任意の他の伝熱流体)によっても排出される。
【0006】
圧縮ガスの損失又は汚染を防止するために、モータを冷却するためにモータを通して流れるガスは、通常、圧縮ガスと同じ組成を有する。
【0007】
必要とされる装置の数を制限するために、ガスがモータを通して流れるようにするために必要とされる原動力は、1つ又は複数の圧縮段(すなわち1つ又は複数の圧縮機)によって発生される。
【0008】
この冷却技術を使用するいくつかの知られている例が存在する。
【0009】
米国特許第6,464,469号明細書は、モータを冷却するために、第1の圧縮段を出るガスの一部の使用を説明している。次いで、このガスは、圧縮機の入口に戻される。
【0010】
米国特許第5,980,218号明細書は、モータを冷却するために、第1の圧縮段の下流に配置された冷却熱交換器を出るガスの一部の使用を説明している。次いで、このガスは、圧縮機の入口に戻される。
【0011】
米国特許第8,899,945号明細書は、いくつかのモータによるアーキテクチャを説明している。
【0012】
しかしながら、これらの解決方法は、いくつかのモータによるアーキテクチャに不適当であり、且つ/又は性能レベルが不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の1つの目的は、上で説明された先行技術の欠点の一部又は全部を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明による、一方では上記の前提部で与えられた一般的定義に対応する装置は、第3の冷却ラインが、モータをそれぞれ冷却することを目的として、第1のガス冷却部材と、装置の2つの個別のモータにそれぞれ供給する2つの並列枝路とを含むことを本質的に特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を有し得る。
- 第3の冷却ラインは、2つの並列枝路に入れられるガス流のための制御弁の組を含む。
- 制御弁の組は、2つの枝路にそれぞれ位置付けられた2つの制御弁を含む。
- 弁の組は、2つの枝路の接合部に位置付けられた三方制御弁又は2つの枝路の上流で第3のライン上に位置付けられた単一の弁を含む。
- 第1のガス冷却部材は、伝熱流体によって冷却される熱交換器を含む。
- 回路は、第1のモータの出口及び第2のモータの出口を第1の圧縮機の入口に連結する第4のラインを含んで、モータの加熱を制限するために使用されたガスを、前記ガスを圧縮するために第1の圧縮機に再循環させる。
- 回路は、第4のラインの経路上に配置された少なくとも1つの第2のガス冷却部材を含んで、モータから到来するガスから、前記ガスが第1の圧縮機に戻る前に熱を除去する。
- 圧縮機は、対応するモータによって直接回転駆動される。
- 装置は、1つ又は複数のモータと、1つ若しくは複数の圧縮機又は1つ若しくは複数の膨張段との間に1つ又は複数の回転接合部を含み、それにより、1つ又は複数のモータの空洞内の圧力は、圧縮機内の最低圧力、すなわち圧縮機の入口圧力に近い。
- 装置は、1つ又は複数の圧縮機を駆動する少なくとも1つのモータと、1つ又は複数の膨張タービンに結合された少なくとも1つのモータとを含む。
【0016】
本発明は、作動流体を収容する作動回路を含む、-100℃~-273℃の低温の冷凍機であって、作動回路は、遠心圧縮装置と、圧縮装置で圧縮されたガスを冷却及び膨張させるための装置とを含む、冷凍機において、圧縮装置は、上記又は下記の特徴のいずれかを有することを特徴とする冷凍機にも関する。
【0017】
本発明は、いくつかの連続及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機と、圧縮機のためのいくつかの駆動モータとを使用する、作動ガス、特に冷凍機のための遠心圧縮方法であって、圧縮機は、モータによって直接回転駆動され、方法は、
- 第1の圧縮機、次いで連続して配置される第2の圧縮機で作動ガスを圧縮するステップ、
- 圧縮機の少なくとも1つを出た圧縮ガスの一部を引き抜き、且つ少なくとも1つのモータを冷却するために、引き抜かれたこのガスが少なくとも1つのモータを通して流れるようにするステップ
を含み、方法は、少なくとも1つの圧縮機の出口で引き抜かれたガスのための冷却ステップと、2つの個別のモータをそれぞれ冷却するために、前記引き抜かれた冷却ガスが分配され、且つ2つの個別のモータを通して並列に流されるステップとを含む、遠心圧縮方法にも関する。
【0018】
本発明は、上記又は下記の特徴の任意の組合せを含む任意の代替的な装置又は方法にも関し得る。
【0019】
他の特徴及び利点は、図を参照して提供される以下の説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による圧縮装置の構造及び動作の2つの例をそれぞれ示す部分概略図である。
【
図2】本発明による圧縮装置の構造及び動作の2つの例をそれぞれ示す部分概略図である。
【
図3】このような圧縮装置を含む冷却機械の構造及び動作の例を示す部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に概略的に示される圧縮装置18は、2つの連続する圧縮段を形成する2つの遠心圧縮機1、3(すなわち2つの圧縮機ホイール)を含む。
【0022】
2つの圧縮機1、3のそれぞれは、それぞれの(好ましくは電動の)駆動モータ5、6によって駆動される。
【0023】
好ましくは、圧縮機1、3は、それらの対応するモータ5、6によって直接回転駆動される。
【0024】
装置18は、圧縮されるガスを第1の圧縮機1に搬送するために第1の圧縮機1の入口に連結される、圧縮されるガスのための第1の入口ライン13を含むガス回路を有する。
【0025】
回路は、前記第1の圧縮機1で圧縮されたガスを吐出するために前記第1の圧縮機1の出口に連結された上流側端部を有する第2のライン14を有する。第2のライン14は、第2の圧縮(第2の圧縮段)を実行するために、第1の圧縮機1で圧縮されたガスを第2の圧縮機3に搬送するために第2の圧縮機3の入口に連結された下流側端部を有する。
【0026】
回路は、第1の圧縮機1の出口に(例えば、第2のライン14を介して)連結された上流側端部と、第2のモータ5、6の入口にそれぞれ連結された2つの第2の下流側端部とを有する第3の冷却ライン15を含む。例えば、換言すれば、第3のライン15は、第2のライン14と共有された部分を含む。
【0027】
換言すれば、第3のライン15は、第1の圧縮機1と第2の圧縮機3との間の第2のライン14からのバイパスを形成する。
【0028】
次いで、この第3のラインは、第2のライン14からのバイパス(及び/又は個別のライン)であり得る。
【0029】
換言すれば、第3のライン15は、2つのモータ5、6を通過(冷却)するために第2の圧縮機3に供給するように意図された圧縮ガスの一部を引き抜く。この部分は、第1の圧縮機1から出るガス流の1%~40%であり得る。
【0030】
モータ5、6に供給する2つの枝路のそれぞれのガス流は、それぞれ弁7、8の組(又は任意の他の適切な部材、特に差圧部材、例えばオリフィス、キャピラリなど)によって制御することができる。示される例において、2つの並列枝路にそれぞれ位置付けられる2つの弁7、8は、モータ5、6への圧縮された冷却ガスの分配を保証する。
【0031】
変形形態では、第3の単一のライン15は、二重にすることができる。換言すれば、2つの個別のライン部分15は、2つの並列枝路及び2つの弁7、8又は均等物にそれぞれ接続される。(第2のライン14と、モータ5、6に連結された2つの並列枝路との間のライン部分の)2つの枝路の共有部分に位置付けられた単一の制御弁があり得る。
【0032】
さらに、第1の圧縮機1から出る圧縮ガスは、好ましくは、例えば伝熱流体との熱交換を実行する熱交換器などの第1のガス冷却部材2によって冷却される。
【0033】
モータへの供給及びモータの冷却を意図するガスの冷却は、(第2のライン4と2つの並列枝路との間の)第3のライン15及び/又は(並列枝路上の)下流で実行され得る。この冷却部材(2又はその他)は、モータの冷却を向上させるために、(例えば、冷却ユニットを介して)ガスをより低温、例えば0℃まで冷却するように寸法決めされ得る。
【0034】
従って、ガスは、第3のラインの2つの枝路に分配される前に冷却される。
【0035】
従って、この冷却は、図に示された圧縮機1の出口の熱交換器2(又はその他)を使用して、且つ/又はバイパス15の下流及び/若しくは枝路内で熱交換器若しくは任意にガスを冷却するように意図された任意の他の部材を使用して実行することができる。
【0036】
換言すれば、回路は、2つのモータ5、6への並列供給を提供する。モータ5、6を通して流れると、次いで、このガスは、第4のライン11、12を介して第1の圧縮機1の入口に戻される。
【0037】
第4のライン11、12は、必要に応じて、(例えば、例としてモータの近くに配置される回転接合部などの接合部における)任意の漏洩からガスを回収するために使用することもできる。
【0038】
可能な非限定的な例において、最初、圧力が5バール(絶対圧)及び温度が288Kである窒素ガスの1.26kg/sの流れを18.34バール(絶対圧)の圧力まで圧縮するために必要とされる機械的動力は、約200kW(1モータあたり100kW)である。
【0039】
例えば、窒素は、95kWの動力及び86%の典型的な有効効率で第1の遠心圧縮段(第1の圧縮機1)において8.87バール(絶対圧)まで圧縮される。次いで、圧縮ガスは、熱交換器2で冷却される。上記のように、ガスの一部は、モータ5及び6を冷却するために弁7及び8を介して引き抜かれる。
【0040】
次いで、主流は、第2の遠心圧縮段3で18.34バール(絶対圧)の圧力まで再び圧縮される。例えば、この第2の圧縮機3は、95kWの動力及び86%の典型的な有効効率を有する。次いで、ガスは、圧縮装置18の出口20に搬送される前に出力熱交換器4で冷却される。
【0041】
モータ5、6の100kWの仕事/動力のうち、通常、5%、すなわちモータ5、6あたり約5kWが熱に変わる(電動モータからの損失及び窒素によるロータの摩擦を通した損失)。
【0042】
次いで、第1の冷却熱交換器2の出口の窒素流の一部は、第1のモータ5を冷却するために第1の弁7及び第1の枝路9を通して第1のモータ5に搬送される。
【0043】
モータ5を通したガスの温度増加は、通常、弁7を制御することにより、(モータ5の加熱を制限するために)30Kまでに制限される。
【0044】
これは、質量流れ=電力/Cp/デルタT=5000/1048/30=0.159kg/sによって変換することができる。ここで、
Cp=ガス(本例では窒素)の熱容量(J/kg/K)...
デルタT=ライン9及び11間のガスの温度変化(K)、
動力=ガスによって排出されるモータからの損失(W)、
である。次いで、モータ5を通して流れているガスは、第3のライン11を介してモータ5を出て、第1の圧縮機1の入口に戻る。
【0045】
同じプロセスは、第2のモータ6に関しても(弁8及びライン10、12を介して)並列に発生する。
【0046】
それぞれの第4のライン11、12を介して2つのモータ5、6を出ると、318K(288K+30Kの増加)の窒素は、圧縮機1の入口13から到来する窒素と混合される。これにより、第1の圧縮段1の入口で窒素の温度を294.5Kまで増加させることができ、体積流れを増加させることにより、この圧縮段1のエネルギー消費を増加させることができる。
【0047】
エネルギー消費が増加しても、このアーキテクチャは、知られている解決方法と比較して全体的な効率を改善する。実際、2つのモータの温度は、許容可能な効率を代償にして制御される。
【0048】
必要に応じて、
図2に概略的に示されるように、モータ5、6から出たガスを第1の圧縮機1に戻す前に冷却するために第2の冷却部材17を回路に設けることができる。
【0049】
換言すれば、モータ5、6から出た冷却ガスは、圧縮機1の主回路に戻る前に例えば熱交換器17を使用して冷却することができる。
【0050】
装置の効率は、冷却ガスの温度を、前記冷却ガスを圧縮機1の入口に戻す前に下げることによって改善される。
【0051】
第4のライン11、12を介してモータ5、6から到来するこの冷却ガスは、好ましくは、圧縮機1の入口13でのガスの温度に等しい温度又は近い温度まで冷却される。
【0052】
図2の例において、初期圧力が5バール(絶対圧)及び温度が288Kである窒素ガスの1.26kg/sの流れを18.34バール(絶対圧)の圧力まで圧縮するために必要とされる機械的動力は、約198kW(第1のモータ5の98kW及び第2のモータ6の100kW)である。
【0053】
これは、前の装置と比較して消費電力が1%減少するという結果になる。
【0054】
窒素は、例えば、93kWの電力及び86%の典型的な有効効率で第1の遠心圧縮段1において8.87バール(絶対圧)まで圧縮される。次いで、ガスは、熱交換器2で冷却される。ガスの一部は、モータ5、6を冷却するために弁7、8を介して引き抜かれる。
【0055】
次いで、主流は、第2の遠心圧縮段3で18.34バール(絶対圧)まで圧縮される。例えば、この第2の圧縮段は、95kWの動力及び86%の典型的な有効効率を有する。次いで、ガスは、圧縮装置(本事例では第2の圧縮機3)の出口20に搬送される前に第2の熱交換器4で冷却される。モータ5、6によってそれぞれ供給される98kW及び100kWの動力のうち、通常、5%、すなわちモータ5、6あたり約5kWが熱に変わる(電動モータからの損失、窒素によるロータの摩擦を通した損失など)。
【0056】
次いで、第1の冷却熱交換器2の出口の窒素流の一部は、モータ5を冷却するために第1の弁7及び枝路9を通してモータ5に搬送される。モータ5を通したガスの温度増加は、通常、弁7を制御することにより、(モータ5の加熱を制限するために)30Kまでに制限される。
【0057】
すでに述べたように、これは、電力/Cp/デルタT=5000/1048/30=0.159kg/sに等しい質量流れとなる。
【0058】
次いで、窒素は、第3のライン11を介してモータ5から吐出され、第1の圧縮機1の入口に戻る前に熱交換器17に戻る。
【0059】
同じプロセスは、他のモータ6(弁8、ライン10及び12並びに熱交換器17を経由する冷却ガス)について実行される。
【0060】
熱交換器17を出ると、288Kの窒素は、圧縮機1の入口13から到来する窒素と混合される。このため、(前の装置と異なり)第1の段1の入口における窒素の温度に影響を与えない。全体効率が改善される。
【0061】
当然のことならが、本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されない。
【0062】
例えば、モータ5、6を冷却するために使用される冷却ガスは、第2の圧縮段3及び/又はその後の圧縮段の出口で引き抜くことができる。
【0063】
さらに、いくつかの圧縮段は、単一のモータで駆動することができる。さらに、1つ又は複数の膨張段(タービン)は、モータの少なくとも1つに結合することができる。
【0064】
さらに、圧縮段1、2に加えて、1つ又は複数の膨張段(タービン、好ましくは半径流タービン)を1つ又は複数の圧縮機と同じ駆動シャフト上に取り付けることができる。
【0065】
さらに、少なくとも1つのバイパス弁は、例えば、1つ又は複数のモータを通る流れを制限するために冷却回路上に取り付けることができる。
【0066】
モータ5、6への冷却ガス流は、1つ又は複数の膨張部材7、8で制御することができる。この部材は、有利には、例えば1つ若しくは複数のモータ及び/又は冷却流の温度並びに/或いは冷却ガスの温度の関数として調整可能であり得る。
【0067】
さらに、これらの膨張部材7、8は、必要に応じて、ガスがモータに入る前にガスを冷却することができる。
【0068】
従って、弁7、8は、1つ又は複数のタービン及び/又はRanque-Hilschボルテックスチューブと置き換えることができるか、又はそれらと関連付けることができる。さらに、これらの部材7、8は、第2のライン14と2つの並列枝路との間のライン15上に位置付けることができる。
【0069】
さらに、1つ又は複数のモータ5、6と、1つ若しくは複数の圧縮段1、3又は1つ若しくは複数の膨張段との間に回転接合部を使用することができ、それにより、モータの空洞内の圧力は、圧縮機内の最低圧力、すなわち圧縮機の入口圧力13に近い。これにより、ロータとガスとの間の摩擦による損失が減少し、それは、これらの損失がモータの空洞内の圧力に比例するためである。
【0070】
図3に示されるように、圧縮装置18は、作動流体を収容する作動回路10を含む、低温、例えば-100℃~-273℃の冷凍機の一部であり得、作動回路は、遠心圧縮装置18と、圧縮装置18で圧縮されたガスを冷却及び膨張させるための装置19とを含む。
【0071】
作動ガスは、窒素、ヘリウム、水素、ネオン、アルゴン、一酸化炭素、メタン、クリプトン、キセノン、エタン、二酸化炭素、プロパン、ブタン及び酸素から完全に又は部分的に構成することができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] いくつかの連続及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機(1、3)と、前記圧縮機(1、3)のためのいくつかの駆動モータ(5、6)とを含む、作動ガス、特に冷凍機のための遠心圧縮装置であって、前記圧縮されるガスを第1の圧縮機(1)に搬送するために前記第1の圧縮機(1)の入口に連結される、前記圧縮されるガスのための第1の入口ライン(13)を含むガス回路を有し、前記回路は、前記第1の圧縮機(1)で圧縮された前記ガスを吐出すために前記第1の圧縮機(1)の出口に連結された第2のライン(14)を有し、前記第2のライン(14)は、第2の圧縮を実行するために、前記第1の圧縮機(1)で圧縮された前記ガスを第2の圧縮機(3)に搬送するために前記第2の圧縮機(3)の入口に連結され、前記回路は、前記圧縮機(1、3)の少なくとも1つの前記出口に接続された1つの端部と、少なくとも1つのモータ(5、6)の加熱を制限するために、前記少なくとも1つの圧縮機(1、3)で圧縮された前記ガスの一部を前記少なくとも1つのモータ(5、6)に移送するために前記少なくとも1つのモータ(5、6)の入口に接続された少なくとも1つの第2の端部とを有する少なくとも1つの第3の冷却ライン(15)を有し、前記第3の冷却ライン(15)は、2つの個別のモータ(5、6)をそれぞれ冷却することを目的として、第1のガス冷却部材(2)と、前記装置の前記2つの個別のモータ(5、6)にそれぞれ供給する2つの並列枝路とを含む、遠心圧縮装置において、前記回路は、前記第1のモータ(5)の出口及び前記第2のモータ(6)の出口を前記第1の圧縮機(1)の前記入口に連結する第4のライン(11、12)を含んで、前記モータの前記加熱を制限するために使用された前記ガスを、前記ガスを圧縮するために前記第1の圧縮機(1)に再循環させることと、前記回路は、前記第4のライン(11、12)の経路上に配置された少なくとも1つの第2のガス冷却部材(17)を含んで、前記モータ(5、6)から到来する前記ガスから、前記ガスが前記第1の圧縮機(1)に戻る前に熱を除去することとを特徴とする遠心圧縮装置。
[2] 前記第3の冷却ライン(15)は、前記2つの並列枝路に入れられるガス流のための制御弁(7、8)の組を含むことを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3] 前記弁(7、8)の組は、前記2つの枝路にそれぞれ位置付けられた2つの制御弁を含むことを特徴とする、[2]に記載の装置。
[4] 前記弁(7、8)の組は、前記2つの枝路の接合部に位置付けられた三方制御弁又は前記2つの枝路の上流で前記第3のライン(15)上に位置付けられた単一の弁を含むことを特徴とする、[2]に記載の装置。
[5] 前記第1のガス冷却部材(2)は、伝熱流体によって冷却される熱交換器を含むことを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の装置。
[6] 前記圧縮機(1、3)は、前記対応するモータ(5、6)によって直接回転駆動されることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置。
[7] 前記1つ又は複数のモータ(5、6)と、前記1つ若しくは複数の圧縮機(1、3)又は1つ若しくは複数の膨張段との間に1つ又は複数の回転接合部を含み、それにより、前記1つ又は複数のモータの空洞内の圧力は、前記圧縮機(1)内の最低圧力、すなわち前記圧縮機(1)の入口圧力(13)に近いことを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の装置。
[8] 1つ又は複数の圧縮機を駆動する少なくとも1つのモータと、1つ又は複数の膨張タービンに結合された少なくとも1つのモータとを含むことを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の装置。
[9] 作動流体を収容する作動回路(10)を含む、-100℃~-273℃の低温の冷凍機であって、前記作動回路は、遠心圧縮装置(18)と、前記圧縮装置(18)で圧縮されたガスを冷却及び膨張させるための装置(19)とを含む、冷凍機において、前記圧縮装置(18)は、[1]~[8]のいずれか一項に記載のものであることを特徴とする冷凍機。
[10] いくつかの連続及び/又は並列の圧縮段を形成するいくつかの遠心圧縮機(1、3)と、前記圧縮機(1、3)のためのいくつかの駆動モータ(5、6)とを使用する、作動ガス、特に冷凍機のための遠心圧縮方法であって、前記圧縮機(1、3)は、前記モータ(5、6)によって直接回転駆動され、前記方法は、
- 第1の圧縮機(1)、次いで連続して配置される第2の圧縮機(3)で作動ガスを圧縮するステップ、
- 前記圧縮機の少なくとも1つを出る前記圧縮ガスの一部を引き抜き、且つ少なくとも1つのモータ(5、6)を冷却するために、前記引き抜かれたガスが前記少なくとも1つのモータ(5、6)を通して流れるようにするステップ
を含む、方法において、前記少なくとも1つの圧縮機(1)の出口で引き抜かれた前記ガスのための冷却ステップと、2つの個別のモータ(5、6)をそれぞれ冷却するために、前記引き抜かれた冷却ガスが分配され、且つ前記2つの個別のモータ(5、6)を通して並列に流されるステップとを含むことを特徴とする方法。