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特許7124128プリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】プリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220816BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K3/46 Q
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020568455
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2020077649
(87)【国際公開番号】W WO2021134904
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】201911422825.1
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520439139
【氏名又は名称】深南電路股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENNAN CIRCUITS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 1639, Yanlong Blvd, Pingdi Street, Longgang District Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 河根
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼ 先友
(72)【発明者】
【氏名】劉 金峰
(72)【発明者】
【氏名】向 付羽
(72)【発明者】
【氏名】王 博
(72)【発明者】
【氏名】楊 之誠
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-093527(JP,A)
【文献】特開2019-121764(JP,A)
【文献】特開2019-121766(JP,A)
【文献】特表2013-520007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0010303(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109618509(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の製造方法において、
少なくとも2層のコアボード層を提供することと、
複合接着防止膜コンポーネントを取得することと、
1つの前記コアボード層の予め設定された位置に前記複合接着防止膜コンポーネントを配置することであって、前記複合接着防止膜コンポーネントは、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層、第2接着防止膜層及び粘着層を含み、前記第1接着防止膜層は、1つの前記コアボード層の予め設定された位置と接触するために使用され、且つ、前記第1接着防止膜層はポリイミド層であり、前記粘着層は、前記複合接着防止膜コンポーネントを形成するために前記第1接着防止膜層と前記第2接着防止膜層を粘着するために使用されることと、
誘電体層を介して隣接する2層の前記コアボード層を接続し、前記複合接着防止膜コンポーネントが前記少なくとも2層のコアボード層の間に配置されることと、
前記予め設定された位置が露出するように前記コアボード層を開蓋することと、を含み、
前記複合接着防止膜コンポーネントを取得することは、具体的に、
少なくとも2層のテープ層を提供することであって、
前記テープ層は、積層配置され且つ互いに粘着されたポリイミド層と接着層を含むことと、
積層配置され且つ互いに粘着された多層テープ層を形成するために前記接着層を介して前記少なくとも2層のテープ層を粘着することと、
前記複合接着防止膜コンポーネントを形成するために前記多層テープ層の予め設定された位置を処理することと、を含む
プリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2接着防止膜層はポリイミド層である請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
積層配置された多層テープ層を形成するために前記接着層を介して前記少なくとも2層のテープ層を粘着することは、具体的に、
任意の2層の前記テープ層を取って、それぞれ第1テープ層及び第2テープ層とすることと、
多層テープ層を形成するために前記第1テープ層の第1接着層と前記第2テープ層の第2接着層を対向配置して粘着させることと、を含む請求項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記複合接着防止膜コンポーネントを形成するために前記多層テープ層の予め設定された位置を処理することは、具体的に、
深さ制御ミリングによって、前記予め設定された位置にある前記ポリイミド層及び前記接着層が残り位置の前記ポリイミド層及び前記接着層と分離するように、前記多層テープ層の予め設定された位置をカットすることと、
前記複合接着防止膜コンポーネントを形成するために、前記予め設定された位置にある前記ポリイミド層及び前記接着層を前記多層テープ層から除去することと、を含み、
前記複合接着防止膜コンポーネントは階段状であり、前記第1テープ層の第1ポリイミド層は前記複合接着防止膜コンポーネントの第1接着防止膜層として形成され、前記第2テープ層の第2ポリイミド層は前記第2接着防止膜層として形成され、前記第1接着層と前記第2接着層が前記粘着層を形成する請求項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
1つの前記コアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置することは、具体的に、
1つの前記コアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置して、前記複合接着防止膜コンポーネントの第1接着防止膜層を前記予め設定された位置に接触させることと、
前記複合接着防止膜コンポーネントを、前記複合接着防止膜コンポーネントが前記予め設定された位置以外の前記コアボード層の表面に接触して前記予め設定された位置を包み込むようにプレス接合することと、を含む請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記複合接着防止膜コンポーネントをプレス接合した後、前記複合接着防止膜コンポーネントは内凹形状を呈している請求項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記予め設定された位置が露出するように前記コアボード層を開蓋することは、具体的に、
深さ制御ミリングによって、前記複合接着防止膜コンポーネント及び前記複合接着防止膜コンポーネントに対応する前記コアボード層と前記誘電体層が残り位置の前記コアボード層及び前記誘電体層と分離するように、前記コアボード層を処理することと、
前記複合接着防止膜コンポーネント及び前記複合接着防止膜コンポーネントに対応する前記コアボード層と前記誘電体層を、前記コアボード層の予め設定された位置から除去して、前記予め設定された位置を露出させる請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記コアボード層の予め設定された位置にはパッドが設けられ、前記複合接着防止膜コンポーネントは前記コアボード層における前記パッドを保護するために使用される請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1接着防止膜層の表面積は、前記コアボード層の予め設定された位置の表面積よりも大きく、前記第2接着防止膜層の表面積は、前記第1接着防止膜層の表面積よりも大きい請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記粘着層は、積層配置され且つ互いに粘着された第1粘着層及び第2粘着層を含み、
前記第1粘着層は、前記第1接着防止膜層を覆い、且つ、前記第1接着防止膜層に粘着され、前記第2粘着層は、前記第2接着防止膜層を覆い、且つ、前記第2接着防止膜層に粘着され、前記第1粘着層及び前記第2粘着層はいずれも接着層である請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1粘着層の表面積は前記第1接着防止膜層の表面積と同じであり、前記第2粘着層の表面積は前記第2接着防止膜層の表面積と同じであり、前記第2粘着層の表面積が前記第1粘着層の表面積よりも大きい請求項10に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記粘着層は、前記第1粘着層と前記第2粘着層との間に粘着された中間粘着層をさらに含み、前記中間粘着層は積層配置され且つ互いに粘着された複数のポリイミド層及び接着層である請求項10に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のプリント回路基板の製造方法により製造されたプリント回路基板。
【請求項14】
積層配置された、少なくとも2層のコアボード層及び隣接する2層の前記コアボード層を接続するための誘電体層を含み、
1つの前記コアボード層の表面の予め設定された位置が前記プリント回路基板から露出する請求項13に記載のプリント回路基板。
【請求項15】
前記プリント回路基板には、凹溝が設けられ、前記凹溝の開口方向は前記コアボード層の積層方向と同じであり、且つ、前記凹溝の底壁は1つの前記コアボード層の表面の予め設定された位置である請求項14に記載のプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板の製造技術分野に関し、特に、プリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(Printed circuit board、PCB)の生産・製造過程では、隣接する2層のコアボード層を接着するためにプリプレグをよく使用するが、具体的な生産・製造過程では、プリプレグが意外に落下したり、コアボード層の予め設定された位置にオーバーフローしたりして製品が廃棄される場合が多い。
【0003】
現在、プリプレグの意外な落下やコアボード層の予め設定された位置へのオーバーフローを防止するために、コアボード層の予め設定された位置に高温耐性のテープを配置し、当該テープによってコアボード層の予め設定された位置を覆って、プリプレグの落下や当該予め設定された位置でのオーバーフローを防止することが一般的である。
【0004】
しかし、このテープの粘着層がコアボード層の予め設定された位置に接触しているため、プリント回路基板の加工完了後にテープ自体の接着剤がこの予め設定された位置に残留するという問題が発生しやすく、製品の品質に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、プリプレグの落下やコアボード層の予め設定された位置へのオーバーフローを防止できるだけでなく、プリント回路基板の加工完了後にコンポーネント自体の接着剤がコアボード層の予め設定された位置に残留するという問題が発生せず、製品の合格率を効果的に向上させるプリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本出願が採用する第1技術方案として、プリント回路基板の製造方法を提供する。当該製造方法は、
少なくとも2層のコアボード層を提供することと、
1つのコアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置することであって、複合接着防止膜コンポーネントは、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層、第2接着防止膜層及び粘着層を含み、第1接着防止膜層は、1つのコアボード層の予め設定された位置と接触され、且つ、第1接着防止膜層はポリイミド層であり、粘着層は、複合接着防止膜コンポーネントを形成するために第1接着防止膜層と第2接着防止膜層を粘着するために使用されることと、
誘電体層を介して隣接する2層のコアボード層を接続し、複合接着防止膜コンポーネントが少なくとも2層のコアボード層の間に配置されることと、
予め設定された位置が露出するようにコアボード層を開蓋することと、を含む。
【0007】
上記の技術的問題を解決するために、本出願が採用する第2技術方案として、プリント回路基板を提供する。当該プリント回路基板は、上記のプリント回路基板の製造方法により製造されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本出願は、プリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板を提供しており、当該製造方法は、少なくとも2層のコアボード層を提供し、誘電体層を介して隣接する2層のコアボード層を接続した後、コアボード層の予め設定された位置が露出するようにコアボード層を開蓋することで、プリント回路基板を取得する。ここで、少なくとも2層のコアボード層のうちの1つのコアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントが設けられ、複合接着防止膜コンポーネントがコアボード層の予め設定された位置を保護できるため、誘電体層の落下や当該予め設定された位置へのオーバーフローを効果的に防止することができる。同時に、複合接着防止膜コンポーネントを、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層、第2接着防止膜層及び粘着層を含むように配置し、第1接着防止膜層が1つのコアボード層の予め設定された位置と接触し、且つ、当該第1接着防止膜層がポリイミド層であるため、コアボード層の予め設定された位置を保護できるだけなく、プリント回路基板の加工完了後にコンポーネント自体の接着剤がコアボード層の予め設定された位置に残留するという問題を効果的に回避することで、コアボード層の予め設定された位置に接着剤が残留することによる製品の廃棄問題を回避し、製品の合格率を効果的に向上させる。また、少なくとも2層のコアボード層間の誘電体層が当該予め設定された位置に接触することをさらに阻止するように第2接着防止膜層を設けることにより、コアボード層の予め設定された位置を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本出願の一実施例によるプリント回路基板の構造模式図である。
図2】本出願の第1実施例によるプリント回路基板の製造方法のフローチャートである。
図3図2中のステップS10~ステップS12の処理後のプリント回路基板の構造模式図である。
図4図2中のステップS11の具体的なフローチャートである。
図5図4中のステップS200に対応する製品構造模式図である。
図6図4中のステップS201に対応する製品構造模式図である。
図7図2中のステップS13の具体的なフローチャートである。
図8図7中のステップS300に対応する製品構造模式図である。
図9】本出願の第2実施例によるプリント回路基板の製造方法のフローチャートである。
図10図9中のステップS401の具体的な一実施形態のフローチャートである。
図11図10中のステップS500及びステップS501の処理後の製品構造模式図である。
図12図10中のステップS502の具体的なフローチャートである。
図13図12中のステップS600に対応する製品構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本出願の実施例の添付図面を参照しながら、本出願の実施例の技術方案を明確かつ完全に説明する。当然のことながら、ここで説明する実施例は本出願の実施例の全てではなく一部にすぎない。当業者が創造的な作業なしに本出願の実施例に基づいて得られる全ての他の実施例は、本出願の保護範囲に含まれるべきである。
【0011】
本出願における「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を示すもしくは暗示する、又は示される技術的特徴の数を暗示的に示すと解釈されるべきではない。それにより、「第1」、「第2」、「第3」により限定される特徴は、明示又は暗黙的に、少なくとも1つの特徴を含むことができる。本出願の説明において、「複数の」は、他に特に定義されない限り、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。なお、本出願の実施例におけるすべての方向性の指示(上、下、左、右、前、後など)は、ある特定の姿勢(図面に示すように)での各部材間の相対的な位置関係や運動状況等を解釈するためにのみ使用され、当該特定の姿勢が変化すると、それに応じて当該方向性の指示も変化する。また、「含む」及び「有する」という用語、並びにそれらの任意の変形は、非排他的に含むことを意図している。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は装置は、挙げられたステップ又はユニットに限定されず、選択的に、挙げられていないステップ又はユニットを更に含んでもよく、又はこれらのプロセス、方法、製品又は装置に固有の他のステップ又はユニットを更に含んでもよい。
【0012】
本明細書における「実施例」は、実施例に合わせて説明される特定の特徴、構造または特性が本出願の少なくとも1つ実施例に含まれることを意味する。本明細書の各位置場所での単語の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を意味するわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立した、または代替の実施例でもない。当業者であれば、本明細書に記載された実施例を他の実施例と互いに組み合わされてもよいことが明示的かつ暗黙的に理解される。
【0013】
以下、添付図面及び実施例を参照しながら、本出願を詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、図1は本出願の一実施例によるプリント回路基板の構造模式図である。本実施例において、提供されるプリント回路基板1は、少なくとも2層のコアボード層10と、隣接する2層のコアボード層10を接続するための誘電体層11とを備え、その具体的な構造は図1を参照されたい。
【0015】
具体的には、プリント回路基板1は、以下のプリント回路基板の製造方法により具体的に製造されたものである。
【0016】
図2及び図3を参照すると、図2は本出願の第1実施例によるプリント回路基板の製造方法のフローチャートであり、図3図2中のステップS10~ステップS12の処理後のプリント回路基板の構造模式図である。
【0017】
本実施例では、プリント回路基板の製造方法を提供しており、この製造方法は以下のステップを含む。
【0018】
ステップS10:少なくとも2層のコアボード層を提供する。
【0019】
図1に示すように、コアボード層10は、2層であり、具体的にトップコアボード層10とボトムコアボード層10とに分けられ、以下の実施例はいずれもこれを例とする。もちろん、他の実施形態では、コアボード層10は、中間層をさらに備え、中間層は誘電体層11を介してトップコアボード層10及びボトムコアボード層10とそれぞれ接続されてもよい。一実施形態において、中間層は単層コアボード層であり、他の実施形態において、中間層は多層構造であり、具体的に、積層された第1内部コアボード層と第2内部コアボード層を含み、且つ、第1内部コアボード層と第2内部コアボード層とは対応する誘電体層11によって接続されてもよい。
【0020】
具体的には、コアボード層10は、基板と、基板の少なくとも一方の表面に設けられた少なくとも1つの金属層とを備える。具体的には、上記コアボード層10は銅張積層板であってもよい。銅張積層板は回路基板を作るための基本材料であり、基材板及び基材を覆う銅箔を含む。基材板は、紙基板や、ガラス繊維布基板、合成繊維布基板、不織布基板、複合基板等の材料を樹脂に含浸させて、粘着シートを作製し、複数枚の粘着シートを組み合わせることにより作製され、作製された基材板の片面又は両面を銅箔で覆い、ホットプレス及び硬化処理して銅張積層板を作製する。
【0021】
ステップS11:1つのコアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置する。
【0022】
具体的には、複合接着防止膜コンポーネント2をボトムコアボード層10のトップコアボード層10に近い一方側の表面に配置する。具体的には、複合接着防止膜コンポーネント2は、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層20、第2接着防止膜層21及び粘着層22を含み、第1接着防止膜層20は、1つのコアボード層10の予め設定された位置100と接触して予め設定された位置100を保護することで、その後の加工過程中にプリプレグが落下したりコアボード層10の予め設定された位置100にオーバーフローしたりすることを防止する。第2接着防止膜層21は、第1接着防止膜層20に積層配置され、且つ、第1接着防止膜層20のコアボード層10の予め設定された位置100から離れる一方側に設けられて、少なくとも2層のコアボード層10間の誘電体層11の予め設定された位置100への接触をさらに阻止する。粘着層22は、第1接着防止膜層20と第2接着防止膜層21を粘着して複合接着防止膜コンポーネント2を形成するためのものである。
【0023】
具体的に、上記第1接着防止膜層20はポリイミド層であることで、プリント回路基板1の加工完了後に複合接着防止膜コンポーネント2自体の接着剤がコアボード層10の予め設定された位置100に残留するという問題を効果的に回避でき、これにより、コアボード層10の予め設定された位置100に接着剤が残留することによる製品廃棄問題を回避し、さらに製品の合格率を効果的に向上させる。
【0024】
具体的に、一実施形態では、コアボード層10の予め設定された位置100にパッドが設けられ、複合接着防止膜コンポーネント2は具体的にコアボード層10上のパッドが存在する位置に設けられてコアボード層10上のパッドを保護する。なお、当該実施形態において、コアボード層10の予め設定された位置100とは、具体的にパッドが存在する位置を指す。
【0025】
ステップS12:誘電体層を介して隣接する2層のコアボード層を接続する。
【0026】
具体的には、誘電体層11は、プリプレグであり、トップコアボード層10とボトムコアボード層10との間に設けられて両者を接続してもよい。具体的には、複合接着防止膜コンポーネント2は少なくとも2層のコアボード層10との間に設けられる。
【0027】
具体的には、ラミネーション時の層間粘着層として、プリプレグは主に樹脂と補強材から構成され、多層回路基板の製造時に、通常、補強材としてガラス繊維布を使用し、それを樹脂接着液に含浸させた後、熱処理とプリベークによりシートに製作し、加熱加圧下で軟化され、冷却後に硬化され、且つ粘度があり、高温プレス接合過程で隣接する2層を粘着することができる。
【0028】
具体的には、ステップS11~ステップS12の処理後の製品の構造は、具体的に図3を参照すればよい。
【0029】
ステップS13:予め設定された位置が露出するようにコアボード層を開蓋する。
【0030】
具体的には、深さ制御ミリングによって、コアボード層10上の予め設定された位置100が露出するようにコアボード層10の予め設定された位置100に沿ってカットし、プリント回路基板1が得られる。ここで、プリント回路基板1の具体的構造は図1を参照すればよい。
【0031】
本実施例によるプリント回路基板の製造方法は、少なくとも2層のコアボード層10を提供し、誘電体層11を介して隣接する2層のコアボード層10を接続した後、コアボード層10の予め設定された位置100が露出するようにコアボード層10を開蓋することで、プリント回路基板1を取得する。ここで、少なくとも2層のコアボード層10のうちの1つのコアボード層10の予め設定された位置100に複合接着防止膜コンポーネント2が設けられ、複合接着防止膜コンポーネント2がコアボード層10の予め設定された位置100を保護できるため、誘電体層11の落下や予め設定された位置100へのオーバーフローを効果的に防止することができる。同時に、複合接着防止膜コンポーネント2を、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層20、第2接着防止膜層21及び粘着層22を含むように配置し、第1接着防止膜層20が1つのコアボード層10の予め設定された位置100と接触し、且つ、当該第1接着防止膜層20がポリイミド層であるため、コアボード層10の予め設定された位置100を保護できるだけなく、プリント回路基板1の加工完了後に複合接着防止膜コンポーネント2自体の接着剤がコアボード層10の予め設定された位置100に残留するという問題を効果的に回避できることで、コアボード層10の予め設定された位置100に接着剤が残留することによる製品の廃棄問題を回避し、製品の合格率を効果的に向上させる。また、少なくとも2層のコアボード層10間の誘電体層11が当該予め設定された位置100に接触することをさらに阻止するように第2接着防止膜層21を設けることにより、コアボード層10の予め設定された位置100を保護する。
【0032】
具体的には、図4乃至図6を参照すると、図4図2中のステップS11の具体的なフローチャートであり、図5図4中のステップS200に対応する製品構造模式図であり、図6図4中のステップS201に対応する製品構造模式図である。一実施形態において、ステップS13は、具体的に、以下のステップを含む。
【0033】
ステップS200:1つのコアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置して、複合接着防止膜コンポーネントの第1接着防止膜層を予め設定された位置に接触させる。
【0034】
具体的には、ステップS200の処理後の製品の構造は、具体的に図5を参照すればよい。
【0035】
ステップS201:複合接着防止膜コンポーネントを、複合接着防止膜コンポーネントが予め設定された位置以外のコアボード層の表面に接触して予め設定された位置を包み込むようにプレス接合する。
【0036】
具体的には、複合接着防止膜コンポーネント2をプレス接合した後、複合接着防止膜コンポーネント2は具体的に内凹形状を呈しており、複合接着防止膜コンポーネント2は、予め設定された位置100を包み込むように予め設定された位置100以外のコアボード層10の表面に接触し、さらに、コアボード層10上の予め設定された位置100を保護し、誘電体層11の落下やコアボード層10の予め設定された位置100へのオーバーフローを防止する。具体的には、ステップS201の処理後の製品構造は、具体的に図6を参照すればよい。
【0037】
図7及び図8を参照すると、図7図2中のステップS13の具体的なフローチャートであり、図8図7中のステップS300に対応する製品構造模式図である。一実施形態において、ステップS13は、具体的に、以下のステップを含む。
【0038】
ステップS300:深さ制御ミリングによって、複合接着防止膜コンポーネント及び複合接着防止膜コンポーネントに対応するコアボード層と誘電体層が残り位置のコアボード層及び誘電体層と分離するように、コアボード層を処理する。
【0039】
具体的には、深さ制御ミリングによって図3に示す構造を処理し、処理後の製品の構造は、具体的に図8を参照すればよい。
【0040】
複合接着防止膜コンポーネント2に対応するコアボード層10及び誘電体層11とは、具体的に複合接着防止膜コンポーネント2の直上に対応するコアボード層10及び誘電体層11を指し、複合接着防止膜コンポーネント2の直上とは、具体的に図3中のAで示された方向を指す。
【0041】
ステップS301:複合接着防止膜コンポーネント及び複合接着防止膜コンポーネントに対応するコアボード層と誘電体層をコアボード層の予め設定された位置から除去して、プリント回路基板を形成する。
【0042】
具体的には、ステップS301の処理後のプリント回路基板1の構造は図1を参照すればよい。
【0043】
なお、上記したコアボード層10を開蓋することは、具体的にコアボード層10の積層方向に沿ってミリングカッタを垂直に下向きにさせ、複合接着防止膜コンポーネント2の直上に対応するコアボード層10及び誘電体層11が他の位置のコアボード層10及び誘電体層11と分離するようにし、詳細については図8を参照し、次に複合接着防止膜コンポーネント2及びその直上に対応するコアボード層10と誘電体層11を除去して、図1に示すプリント回路基板1を形成する。
【0044】
本実施例によるプリント回路基板の製造方法は、少なくとも2層のコアボード層10を提供し、誘電体層11を介して隣接する2層のコアボード層10を接続した後、コアボード層10の予め設定された位置100が露出するようにコアボード層10を開蓋することで、プリント回路基板1を取得する。ここで、少なくとも2層のコアボード層10のうちの1つのコアボード層10の予め設定された位置100に複合接着防止膜コンポーネント2が設けられ、複合接着防止膜コンポーネント2がコアボード層10の予め設定された位置100を保護できるため、誘電体層11の落下や予め設定された位置100へのオーバーフローを効果的に防止することができる。同時に、複合接着防止膜コンポーネント2を、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層20、第2接着防止膜層21及び粘着層22を含むように配置し、第1接着防止膜層20が1つのコアボード層10の予め設定された位置100と接触し、且つ、当該第1接着防止膜層20がポリイミド層であるため、コアボード層10の予め設定された位置100を保護できるだけなく、プリント回路基板1の加工完了後に複合接着防止膜コンポーネント2自体の接着剤がコアボード層10の予め設定された位置100に残留するという問題を効果的に回避できることで、コアボード層10の予め設定された位置100に接着剤が残留することによる製品の廃棄問題を回避し、製品の合格率を効果的に向上させる。また、少なくとも2層のコアボード層10間の誘電体層11が当該予め設定された位置100に接触することをさらに阻止するように第2接着防止膜層21を設けることにより、コアボード層10の予め設定された位置100を保護する。
【0045】
図9を参照すると、図9は本出願の第2実施例によるプリント回路基板の製造方法のフローチャートである。本実施例では、他のプリント回路基板の製造方法を提供しており、当該製造方法は以下のステップを含む。
【0046】
ステップS400:少なくとも2層のコアボード層を提供する。
【0047】
具体的には、ステップS400の具体的な実施過程は、上記第1実施例に係るステップS10の実施過程と同じであり、詳細については上記第1実施例の関連説明を参照すればよく、本実施例では1つずつ繰り返さない。
【0048】
ステップS401:複合接着防止膜コンポーネントを取得する。
【0049】
具体的には、図10及び図11を参照すると、図10図9中のステップS401の具体的なフローチャートであり、図11図10中のステップS500及びステップS501の処理後の製品構造模式図である。ステップS401は、具体的に以下のステップを含む。
【0050】
ステップS500:少なくとも2層のテープ層を提供する。
【0051】
具体的には、テープ層は、積層配置され且つ互いに粘着されたポリイミド層と接着層を含む。
【0052】
ステップS501:積層配置され且つ互いに粘着された多層テープ層を形成するために接着層を介して少なくとも2層のテープ層を粘着する。
【0053】
具体的には、一実施形態において、任意の2層のテープ層を取って、それぞれ第1テープ層30及び第2テープ層40とする。第1テープ層30は、第1ポリイミド層300と第1接着層301を含み、第2テープ層40は、第2ポリイミド層400と第2接着層401を含む。具体的な実施過程において、多層テープ層を形成するために第1テープ層30の第1接着層301と第2テープ層40の第2接着層401を対向配置して粘着させる。具体的には、多層テープ層の具体的な構造は図11を参照すればよく、以下の実施例はいずれもこれを例とする。
【0054】
ステップS502:複合接着防止膜コンポーネントを形成するために多層テープ層の予め設定された位置を処理する。
【0055】
具体的に、図12及び図13を参照すると、図12図10中のステップS502の具体的なフローチャートであり、図13図12中のステップS600に対応する製品構造模式図である。
【0056】
ステップS502は、具体的に以下のステップを含む。
【0057】
ステップS600:深さ制御ミリングによって、予め設定された位置にあるポリイミド層及び接着層が残り位置のポリイミド層及び接着層と分離するように、多層テープ層の予め設定された位置をカットする。
【0058】
具体的には、深さ制御ミリングによって、Bで示された方向及びCで示された方向に沿って図11に示す構造をそれぞれカットして、多層テープ層の予め設定された位置にあるポリイミド層及び接着層を残り位置のポリイミド層及び接着層と分離させる。
【0059】
具体的には、ステップ600の処理後の製品構造は、具体的に図13を参照すればよい。
【0060】
ステップS601:複合接着防止膜コンポーネントを形成するために、予め設定された位置にあるポリイミド層及び接着層を多層テープ層から除去する。
【0061】
具体的には、ステップS601の処理後の製品構造は、具体的に図5を参照すればよい。
【0062】
具体的には、複合接着防止膜コンポーネント2は階段状を呈しており、具体的な実施過程において、第1テープ層30の第1ポリイミド層300は、複合接着防止膜コンポーネント2の第1接着防止膜層20として形成され、第2テープ層40の第2ポリイミド層400は第2接着防止膜層21として形成され、第1接着層301は第1粘着層として形成され、第2接着層401は第2粘着層として形成され、第1粘着層及び第2粘着層は一緒に複合接着防止膜コンポーネント2の粘着層22として形成される。
【0063】
具体的には、第1接着防止膜層20の表面積は、コアボード層10の予め設定された位置100の表面積よりも大きいので、複合接着防止膜コンポーネント2のプレス接合後に第1接着防止膜層20が予め設定された位置100以外のコアボード層10の表面に接触して予め設定された位置100を包み込むことができる。これにより、プリプレグがこの予め設定された位置100の直上から当該予め設定された位置100に落下しないように保証すると共に、予め設定された位置100の両側から当該予め設定された位置100にオーバーフローしないように保証する。
【0064】
具体的には、第2接着防止膜層21の表面積は、第1接着防止膜層20の表面積よりも大きいので、複合接着防止膜コンポーネント2のプレス接合後に第2接着防止膜層21が第1接着防止膜層20以外のコアボード層10の表面に接触して粘着層22、第1接着防止膜層20及び予め設定された位置100を包み込むことができ、第2接着防止膜層21によって少なくとも2層のコアボード層10間の誘電体層11の落下や当該予め設定された位置100へのオーバーフローをさらに阻止し、コアボード層10の予め設定された位置100をさらに保護する。
【0065】
具体的には、第1粘着層の表面積は第1接着防止膜層20の表面積と同じであり、第2粘着層の表面積は第2接着防止膜層21の表面積と同じである。
【0066】
もちろん、他の実施形態において、粘着層22は、第1粘着層と第2粘着層との間に粘着された中間粘着層をさらに含み、中間粘着層は、積層配置され且つ互いに粘着された複数のポリイミド層及び接着層であってもよい。
【0067】
ステップS402:1つのコアボード層の予め設定された位置に複合接着防止膜コンポーネントを配置する。
【0068】
ステップS403:誘電体層を介して隣接する2層のコアボード層を接続する。
【0069】
ステップS404:予め設定された位置が露出するようにコアボード層を開蓋する。
【0070】
具体的には、ステップS402~ステップS404の具体的な実施過程は、上記第1実施例に係るステップS11~ステップS13の実施過程と同じであり、詳細については上記第1実施例の関連説明を参照すればよく、本実施例では1つずつ繰り返さない。
【0071】
本実施例によるプリント回路基板の製造方法は、少なくとも2層のコアボード層10を提供し、誘電体層11を介して隣接する2層のコアボード層10を接続した後、コアボード層10の予め設定された位置100が露出するようにコアボード層10を開蓋することで、プリント回路基板1を取得する。ここで、少なくとも2層のコアボード層10のうちの1つのコアボード層10の予め設定された位置100に複合接着防止膜コンポーネント2が設けられ、複合接着防止膜コンポーネント2がコアボード層10の予め設定された位置100を保護できるため、誘電体層11の落下や予め設定された位置100へのオーバーフローを効果的に防止することができる。同時に、複合接着防止膜コンポーネント2を、積層配置され且つ互いに粘着された第1接着防止膜層20、第2接着防止膜層21及び粘着層22を含むように配置し、第1接着防止膜層20が1つのコアボード層10の予め設定された位置100と接触し、且つ、当該第1接着防止膜層20がポリイミド層であるため、コアボード層10の予め設定された位置100を保護できるだけなく、プリント回路基板1の加工完了後に複合接着防止膜コンポーネント2自体の接着剤がコアボード層10の予め設定された位置100に残留するという問題を効果的に回避できることで、コアボード層10の予め設定された位置100に接着剤が残留することによる製品の廃棄問題を回避し、製品の合格率を効果的に向上させる。また、少なくとも2層のコアボード層10間の誘電体層11が当該予め設定された位置100に接触することをさらに阻止するように第2接着防止膜層21を設けることにより、コアボード層10の予め設定された位置100を保護する。
【0072】
以上の説明は本出願に係る実施形態に過ぎず、本出願の保護範囲を制限するものではない。本出願の明細書及び添付図面によって作成したすべての同等構造又は同等フローの変更を、直接又は間接的に他の関連する技術分野に実施することは、いずれも同じ理由により本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13