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特許7124166ガス生成物の液化のためのプラントの始動および運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ガス生成物の液化のためのプラントの始動および運転方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/02 20060101AFI20220816BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
F25J1/02
F25J1/00 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021080368
(22)【出願日】2021-05-11
(62)【分割の表示】P 2018500938の分割
【原出願日】2016-07-21
(65)【公開番号】P2021131226
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】102015000036886
(32)【優先日】2015-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペラゴッティ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ラザリ,アヌンツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ズッキ,オリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】アルファーニ,アンドレア
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504928(JP,A)
【文献】特表2009-529117(JP,A)
【文献】特表2013-540925(JP,A)
【文献】国際公開第2011/032958(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/072433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00-5/00
F04B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス生成物の液化のためのプラント(1)の始動および運転方法であって、前記プラント(1)は、少なくとも第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)を含み、各前記機械ストリング(2a,2b)は、負荷(4)に機械的に接続された電気モータ(5)を含み、前記プラント(1)は、それ自体の周波数を有し、前記電気モータ(5)に関連付け可能な電力供給グリッド(7)に接続された可変周波数ドライブ(6)を含み、前記方法は、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)に電気的に接続するステップと、
前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)の速度を第1の所定の閾値に達するまで増加させるステップであって、前記第1の所定の閾値は、前記電力供給グリッド(7)の前記周波数の関数である増加させるステップと、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)から電気的に切断するステップと、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)を前記電力供給グリッド(7)に電気的に接続するステップと、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)に電気的に接続するステップと、
前記プラント(1)の始動後に、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)の前記速度を実質的に前記第1の所定の閾値に維持しながら前記可変周波数ドライブ(6)によって前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度を調節するステップとを含み、
前記第2の機械ストリング(2b)が予期せず停止するトリップ状態の間に、前記可変周波数ドライブ(6)は、当該トリップ状態が解消されるまで、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)に再接続されて前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)を調節するように構成されており、
前記トリップ状態が解消されると、前記可変周波数ドライブ(6)は、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)から切断されて、前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)を再始動するように前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)に再接続されるように構成されている、方法。
【請求項2】
前記電力供給グリッド(7)を電気的に接続するステップが、前記可変周波数ドライブ(6)を電気的に切断するステップと実質的に同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)から電気的に切断するステップ、および前記可変周波数ドライブ(6)を前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)に電気的に接続するステップが、ほぼ同時に発生する、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度を調節するステップが、第2の所定の閾値に達した後に行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記可変周波数ドライブ(6)および前記電力供給グリッド(7)が、前記電気モータ(5)の各々の間で切り換えることができる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の所定の閾値が、1500rpm~5000rpmの間とされる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の所定の閾値が、前記電力供給グリッド(7)が50Hzの周波数を有するときに3000rpm、または前記電力供給グリッド(7)が60Hzの周波数を有するときに3600rpmに等しい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の所定の閾値が、前記第2の所定の閾値に等しい、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
各前記電気モータ(5)の前記負荷が、60000m/hと500000m/hの間の流量の流体流れを処理するように構成された圧縮機である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ガス生成物の液化のためのプラント(1)であって、
少なくとも第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)であって、各々の前記機械ストリング(2a,2b)は、機械的に負荷(4)に接続された電気モータ(5)を備えた、少なくとも第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)と、
それ自体の周波数を有し、前記電気モータ(5)に関連する電力供給グリッド(7)に接続可能な可変周波数ドライブ(6)であって、前記可変周波数ドライブ(6)は、前記電気モータ(5)の各々に電気的に接続され、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)及び前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)を順次起動し、前記第1の機械ストリング(2a)及び前記第2の機械ストリング(2b)の各々の前記電気モータ(5)の速度を制御するように構成された可変周波数ドライブ(6)と、を備え、
前記プラント(1)は、
(i)前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)の速度を、前記電力供給グリッド(7)の前記周波数の関数である第1の所定の閾値に達するまで増加させ、
(ii)その後前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)が前記可変周波数ドライブ(6)から電気的に切断されて前記電力供給グリッド(7)に接続され、
(iii)前記可変周波数ドライブ(6)が前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度を調節し、
(iv)前記プラント(1)の始動後に、前記可変周波数ドライブ(6)が前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度を調節しているときに前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)の前記速度が、前記第1の所定の閾値に実質的に維持されるように構成されており、
前記第2の機械ストリング(2b)が予期せず停止するトリップ状態の間に、前記可変周波数ドライブ(6)は、当該トリップ状態が解消されるまで、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)に再接続されて前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)を調節するように構成されており、
前記トリップ状態が解消されると、前記可変周波数ドライブ(6)は、前記第1の機械ストリング(2a)の前記電気モータ(5)から切断されて、前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)を再始動するように前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)に再接続されるように構成されている、
プラント(1)。
【請求項11】
前記可変周波数ドライブ(6)が、前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度が第2の所定の閾値に達した後に、前記第2の機械ストリング(2b)の前記電気モータ(5)の前記速度を調節するように構成されている、請求項10に記載のプラント(1)。
【請求項12】
1つの可変周波数ドライブ(6)のみを含む、請求項10又は11に記載のプラント(1)。
【請求項13】
複数の前記機械ストリング(2a,2b)と、複数の可変周波数ドライブ(6)とを含み、前記可変周波数ドライブ(6)の数が、前記機械ストリング(2a,2b)の数より少ない、請求項10又は11に記載のプラント(1)。
【請求項14】
前記電力供給グリッド(7)が、前記電気モータ(5)の1つまたは複数に直接接続可能である、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプラント(1)。
【請求項15】
前記可変周波数ドライブ(6)が、単一の機械ストリング(2a,2b)に電力を供給するような大きさにされている、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のプラント(1)。
【請求項16】
各前記電気モータ(5)が、シャフト(3)によって前記負荷(4)に接続され、各前記電気モータ(5)が、前記シャフト(3)の中間部または端部に接続される、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のプラント(1)。
【請求項17】
各前記電気モータ(5)の前記負荷が、60000m/hと500000m/hの間の流量の流体流れを処理するように構成された圧縮機である、請求項10乃至16のいずれか1項に記載のプラント(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、ガス生成物の液化のためのプラントの始動および運転方法に関する。好ましくは、ガス生成物は、炭化水素または炭化水素混合物である。より好ましくは、液体生成物は、天然ガスである。
【背景技術】
【0002】
天然ガスは、ますます重要なエネルギー源になっている。供給源から使用場所への天然ガスの輸送を可能にするためには、ガスの量を減らさなければならない。極低温液化は、天然ガスを液体に変換するために日常的に実施されているプロセスとなっており、より簡便で、安価で、貯蔵および輸送がより安全である。液化天然ガス(LNG)の船舶による輸送は、冷却されて液化したガスを周囲圧力における液化温度よりも低い温度に保つことによって、周囲圧力において可能になる。
【0003】
天然ガスを液体状態で貯蔵および輸送するために、天然ガスは、好ましくはガスがほぼ大気の蒸気圧を有する約-150~-170℃に冷却される。
【0004】
天然ガスの液化のために、高い圧力の天然ガスを複数の冷却ステージに順次通すことで、液化温度が達成されるまでガスを順次の冷凍サイクルにおいてより低い温度に冷却するいくつかのプロセスおよびシステムが、従来技術に存在する。
【0005】
天然ガスを冷却ステージに通す前に、天然ガスは、処理を妨げたり機械を損傷したりする可能性があり、あるいは最終製品において望ましくない不純物を取り除くために、前処理される。不純物として、酸性ガス、硫黄化合物、二酸化炭素、メルカプタン、水および水銀が挙げられる。次いで、不純物が取り除かれた前処理後のガスは、冷媒流によって冷却され、重質炭化水素を分離する。残りのガスは、主にメタンからなり、通常、プロパンまたは重質炭化水素などの高分子量の炭化水素を0.1モル%未満しか含まない。このようにして不純物が取り除かれて精製された天然ガスは、極低温部において最終温度まで冷却される。得られたLNGは、ほぼ大気圧で貯蔵および輸送することができる。
【0006】
大規模な極低温液化は、通常、マルチサイクルプロセス、すなわち異なる冷凍サイクルを使用するプロセスによって行われる。プロセスの種類に応じて、各サイクルは、異なる冷凍流体を使用することができ、あるいは同じ冷凍流体を2つ以上のサイクルで使用することができる。
【0007】
より詳細には、中小規模の液化技術は、2つの主要なグループに分けることができる:
混合冷媒(MR)技術:これらは、液化に使用される冷媒がその気化潜熱を利用して天然ガスを冷却する「凝縮型」プロセスである。
【0008】
膨張ベースの技術:これらは、冷媒が常にガス相であり、天然ガスを冷却するためにその顕熱を利用するのみのプロセスである。
【0009】
従来技術では、LNGの製造は、天然ガスが冷凍プロセスの間に次第に冷却される専用プラントで行われる。実際、プラントは、天然ガスが熱を冷凍流体に伝達するいくつかの熱交換器を含む。
【0010】
より詳細には、冷凍流体は、ポンプまたは一組のポンプ(液体相用)および圧縮機または一組の圧縮機(蒸気相用)によって循環される。同じシャフトに取り付けられたポンプおよび/または圧縮機のグループは、技術分野では「ストリング」と呼ばれる。
【0011】
ストリングはまた、1つまたは複数のパワーユニットを含む。典型的には、ストリングは、タービンによって、場合によっては電気ヘルパーモータによって給電される。いわゆるE-LNGプラントでは、各ストリングのパワーユニットは、単一の電気モータのみからなる。この場合、モータは、固定速度、または可変速度で使用することができる。この場合、モータは、可変周波数ドライブ(VFD)によって給電される。より詳細には、可変周波数ドライブは、モータ入力周波数および電圧を変化させることによって交流(AC)モータ速度およびトルクを制御するための電気機械駆動システムに使用される一種の可変速ドライブである。
【0012】
プラントは、可変数の上述のストリングを含むが、通常、各プラントに少なくとも2つのストリングが存在する。以下の開示では、プラントは説明を容易にするために2つのストリングを含むと仮定するが、同じ概念を3つ以上のストリングを有するプラントに容易に拡張することができるので、一般性の損失は意図していない。
【0013】
従来技術では、プラントの始動は、各モータを徐々に起動することによって行われる。したがって、各モータは、一定の速度で使用する場合でも、それ自体の可変周波数ドライブを備えなければならない。
【0014】
この問題を部分的に解決するために、必要な電力がそれほど高くないときは、電気モータをソフトスタータで起動することができる。たとえば、ソフトスタータは、機械的または電気的デバイス、あるいはその両方の組み合わせから構成することができる。機械ソフトスタータは、トルクリミッタの他の形態と同様に、流体、磁力、またはスチールショットを使用してトルクを伝達するクラッチおよびいくつかのタイプのカップリングを含む。電気ソフトスタータは、電圧または電流入力を一時的に減少させることによってトルクを低減する任意の制御システム、または電気回路でのモータの接続方法を一時的に変更するデバイスであり得る。
【0015】
それにもかかわらず、ソフトスタータは、E-LNGプラントなどの高出力用途には利用できない。したがって、プラントの始動は、各モータにそれ自体の可変周波数ドライブが設けられていることを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】国際公開第2014/072433号
【発明の概要】
【0017】
不都合なことに、プラントの各電気モータのための可変周波数ドライブにより、そのようなデバイスを収容するより大きなプラントを構築することが要求される。実際、各高出力が、約10~50平方メートルの表面にわたって広がる。また、それらは非常に複雑な機械であるため、その存在はプラントのコストを大幅に上昇させる。
【0018】
したがって、本発明の第1の実施形態は、ガス生成物の液化のためのプラントの始動および運転方法に関する。プラントは、少なくとも第1の機械ストリングおよび第2の機械ストリングを含む。各ストリングは、電気モータと、電気モータに機械的に接続された負荷とを含む。プラントはまた、それ自体の周波数を有する電力供給グリッドに接続された可変周波数ドライブを含む。可変周波数ドライブはまた、電気モータに関連する。
【0019】
方法は、可変周波数ドライブを第1の機械ストリングのモータに電気的に接続するステップを含む。次いで、第1の機械ストリングのモータの速度は、第1の所定の閾値に達するまで増加される。第1の所定の閾値は、電力供給グリッドの前記周波数の関数である。
【0020】
可変周波数ドライブは、第1の機械ストリングのモータから電気的に切断され、ほぼ同時に第2の機械ストリングのモータに電気的に接続される。第2の機械ストリングのモータの速度は、第2の所定の閾値に達するまで増加される。
【0021】
第2の実施形態はまた、ガス生成物の液化のためのプラントに関する。プラントの可変周波数ドライブは、モータの各々に接続されるように構成される。
【0022】
有利なことに、単一の可変周波数ドライブが必要とされるだけであるので、これにより、はるかに小さいプラントを構築することが可能になる。
【0023】
さらなる詳細および具体的な実施形態は、以下の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ガス生成物の液化のためのプラントの概略図である。
図2図1のプラントの始動および運転方法のそれぞれのステップの概略図である。
図3図1のプラントの別の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の例示的な実施形態の説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同一の参照番号は、同一または類似の要素を特定する。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0026】
「一実施形態」または「実施形態」に対する明細書全体での参照は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、または特性が、開示されている主題の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、明細書全体の様々な場所における句「一実施形態では」または「実施形態では」の出現は、必ずしも同一の実施形態を参照していない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。
【0027】
添付の図面を参照すると、番号1は、ガス生成物の液化のためのプラントを示す。
【0028】
プラント1は、少なくとも第1の機械ストリング2aおよび第2の機械ストリング2bを含む。ストリング2a,2bは各々、それぞれの負荷4に接続されるそれぞれのシャフト3を含む。本開示の以下の部分では、機械ストリング2aおよび2bは、実質的に同じ構成要素を含むものとして記載される。しかし、プラントで使用される特定のプロセスに応じて、第1の機械ストリング2aおよび第2の機械ストリング2bは、異なる種類の、または同じ種類の、しかし異なるサイズの構成要素を含むことができることが理解される。
【0029】
より詳細には、負荷4は、シャフト3に取り付けられる。具体的には、負荷4は、所定の量の冷媒を処理するために、シャフト3に取り付けられる被駆動機械、通常は圧縮機4である。冷媒は、プロパン、エチレン、メタン、混合冷媒または窒素のいずれかであり得る。たとえば、この種の圧縮機は、特定の用途に応じて、60000m/h~500000m/hの流量を処理しなければならない。この流量は、1.5~5バールから15~70バールに圧縮される。各ストリング2a,2bは、すべて同じシャフト3に接続された任意の数の圧縮機4を含むことができることに留意されたい。
【0030】
圧縮機4を駆動するために、各ストリング2a,2bは、シャフト3に取り付けられた電気モータ5を含む。本発明の好ましい実施形態では、モータ5は、シャフト3を駆動する唯一の電源である。図面には示されていない他の実施形態では、別の電源、特にガスタービンまたは蒸気タービンが存在してもよい。モータ5は、市販されている上述の目的に適した任意の種類のモータであってもよい。より詳細には、図1に示す構成では、モータ5は、シングルエンドモータである。すなわち、各モータ5は、シャフト3の端部に接続される。
【0031】
図3に示すより一般的な構成では、モータ5は、ダブルエンドモータである。すなわち、各モータ5は、シャフト3の中間部に接続される。したがって、モータ5の各側に圧縮機4を取り付けることが可能である。
【0032】
プラント1はまた、電気モータ5に関連する少なくとも1つの可変周波数ドライブ6を含む。可変周波数ドライブ6は、モータ5の各々に接続されるように構成される。図面に示す実施形態では、プラント1は、単一の可変周波数ドライブ6のみを含む。図面には示されていない他の実施形態では、プラント1は、複数の機械ストリング、ひいては複数の可変周波数ドライブ6を含む。この場合、可変周波数ドライブ6の数は、機械ストリングの数より少ない。プラント1の特定のインスタンスを設計する際、可変周波数ドライブ6は、単一の機械ストリング2a,2bにのみ電力を供給するような大きさにされていることに留意されたい。たとえば、可変周波数ドライブ6の数は、プラント1の機械ストリング2a,2bの数より1つ少なくてもよい。
【0033】
プラント1はまた、電力供給グリッド7に電気的に接続可能である。具体的には、モータ5は、電力供給グリッド7から電力を引き出すことができる。電力供給グリッド7は、プラント1の各特定のインスタンスの現場で利用可能な外部電気グリッドであり、モータ5に実質的に一定の周波数のみを供給することができ、それにより実質的に一定の速度でモータを駆動する。
【0034】
プラント1において、可変周波数ドライブ(6)は、第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)のモータ(5)を順次起動し、両方のモータが起動されているときに前記モータの1つの速度を調節するように構成される。速度の調節は、各ストリングの負荷の効率および動作条件を最適化することを可能にする。特に、機械ストリングが2つである場合、それぞれの機械ストリングに設置された特定の負荷の最良の動作条件に適合するように、モータの速度が調整される。
【0035】
上述のプラント1は、以下のように始動することができる。図2aに示すように、可変周波数ドライブ6は、最初に第1の機械ストリング2aのモータ5に電気的に接続される。次いで、可変周波数ドライブ6が始動され、その電圧および/または周波数出力が徐々に増加する。その結果、第1の機械ストリング2aのモータ5の速度も増加する。これは、第1の所定の閾値が達成されるまで継続される。第1の所定の閾値は、電力供給グリッド7の典型的な周波数の関数である。
【0036】
電力供給グリッド7は、次に、第1の機械ストリング2aのモータ5に直接接続され、それにより第1の所定の閾値の速度が維持される。電力供給グリッド7はまた、可変周波数ドライブ6によって第2の機械ストリング2bのモータ5に電気的に接続される。
【0037】
したがって、第1の機械ストリング2aのモータ5への給電は、電力供給グリッド7によって引き継がれる。これにより、可変周波数ドライブ6は、第1の機械ストリング2aのモータ5から電気的に切断することができる。
【0038】
より詳細には、電力供給グリッド7を電気的に接続するステップは、モータ5へのエネルギーの供給を保証するために、可変周波数ドライブ6を電気的に切断するステップの前に行われる。
【0039】
図2bに概略的に示されているように、次いで、可変周波数ドライブ6は、第2の機械ストリング2bのモータ5に電気的に接続される。次に、第2の機械ストリング2bのモータ5の速度は、第2の所定の閾値まで増加される。
【0040】
第1と第2の所定の閾値の両方は、モータ5に給電するのに使用される電力グリッドに応じて、1500rpm~5000rpmの間とされ、好ましくは3600rpmまたは3000rpmに等しくすることができる。電力供給グリッドが50Hzの周波数を有するとき、第1の所定の閾値は約3000rpmであり、電力供給グリッドが60Hzの周波数を有するとき、第1の所定の閾値は約3600rpmである。しかし、第1および第2の所定の閾値の正確な値は、プラント1の各インスタンスにおいて異なることがある他の設計上の考慮に依存する。また、第1および第2の閾値は、等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。第1および第2の所定の閾値は、一般に、モータ5の実質的に一定の運転速度として適切であるべきである。実質的に一定の速度は、電力供給グリッド(7)の実質的に一定の周波数から生じる。
【0041】
プラント1が始動された後、特に第2の所定の閾値に達したときに、可変周波数ドライブ6を使用して、第2の機械ストリング2bのモータ5の速度を調節することもできることに留意されたい。すなわち、可変周波数ドライブ6は、圧縮機4の必要負荷に応じてプラント1の容量を適合させるために使用される。可変周波数ドライブ6が第2の機械ストリング2bのモータ5の速度を調節するために使用されるとき、第1の機械ストリング2aの速度は、実質的に一定の速度、具体的には第1の所定の閾値に実質的に維持される。
【0042】
また、可変周波数ドライブ6および電力供給グリッド7は、モータ5の各々の間で切り換えることができる。したがって、原理的には、可変周波数ドライブ6を使用して、第1の機械ストリング2aのモータ5の速度を調節することができる。この機能は、第2の機械ストリング2bが予期せず停止する場合に使用することができる。そのような状況では、可変周波数ドライブは、第1の機械ストリング2aのモータ5を引き継ぎ、トリップ状態が解消されるとすぐに、上述のように第2の機械ストリング2bを再始動するために電力供給グリッド7にモータを戻す。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
[実施形態1]
ガス生成物の液化のためのプラント(1)の始動および運転方法であって、前記プラント(1)は、少なくとも第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)を含み、各ストリング(2a,2b)は、電気モータ(5)と、前記電気モータ(5)に機械的に接続された負荷(4)とを含み、前記プラント(1)は、それ自体の周波数を有し、前記電気モータ(5)に関連付け可能な電力供給グリッド(7)に接続された可変周波数ドライブ(6)を含み、前記方法は、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)に電気的に接続するステップと、
前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)の速度を第1の所定の閾値に達するまで増加させるステップであって、前記第1の所定の閾値は、前記電力供給グリッド(7)の前記周波数の関数である増加させるステップと、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)から電気的に切断し、前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)を前記電力供給グリッド(7)に電気的に接続するステップと、
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第2の機械ストリング(2b)の前記モータ(5)に電気的に接続するステップと、
前記可変周波数ドライブ(6)によって前記第2の機械ストリング(2b)の前記モータ(5)の前記速度を調節するステップとを含む、方法。
[実施形態2]
前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)の前記速度が、前記第1の所定の閾値に実質的に維持される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
前記電力供給グリッド(7)を電気的に接続するステップが、前記可変周波数ドライブ(6)を電気的に切断するステップと実質的に同時に行われる、実施形態2に記載の方法。
[実施形態4]
前記可変周波数ドライブ(6)を前記第1の機械ストリング(2a)の前記モータ(5)から電気的に切断するステップ、および前記可変周波数ドライブ(6)を前記第2の機械ストリング(2b)の前記モータ(5)に電気的に接続するステップが、ほぼ同時に発生する、実施形態1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態5]
前記第2の機械ストリング(2b)の前記モータ(5)の前記速度を調節するステップが、第2の所定の閾値に達した後に行われる、実施形態2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態6]
前記可変周波数ドライブ(6)および前記電力供給グリッド(7)が、前記モータ(5)の各々の間で切り換えることができる、実施形態1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態7]
前記第1の所定の閾値が、1500rpm~5000rpmの間とされる、実施形態1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態8]
前記第1の所定の閾値が、前記電力供給グリッド(7)が50Hzの周波数を有するときに3000rpm、または前記電力供給グリッド(7)が60Hzの周波数を有するときに3600rpmに等しい、実施形態1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態9]
前記第1の所定の閾値が、前記第2の所定の閾値に等しい、実施形態1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
[実施形態10]
ガス生成物の液化のためのプラント(1)であって、少なくとも第1の機械ストリング(2a)および第2の機械ストリング(2b)を含み、各ストリング(2a,2b)は、電気モータ(5)と、前記電気モータ(5)に機械的に接続された負荷(4)とを含み、前記プラント(1)はまた、それ自体の周波数を有し、前記電気モータ(5)に関連する電力供給グリッド(7)に接続可能な可変周波数ドライブ(6)を含み、前記可変周波数ドライブ(6)は、前記モータ(5)の各々に電気的に接続されるように構成される、プラント(1)。
[実施形態11]
前記可変周波数ドライブ(6)が、前記第1の機械ストリング(2a)および前記第2の機械ストリング(2b)の前記モータ(5)を順次起動し、両方のモータ(5)が起動されているときに前記モータ(5)の1つの速度を調節するように構成される、実施形態10に記載のプラント(1)。
[実施形態12]
1つの可変周波数ドライブ(6)のみを含む、実施形態11に記載のプラント(1)。
[実施形態13]
複数の前記機械ストリング(2a,2b)と、複数の可変周波数ドライブ(6)とを含み、前記可変周波数ドライブ(6)の数が、前記機械ストリング(2a,2b)の数より少ない、実施形態10に記載のプラント(1)。
[実施形態14]
前記電力供給グリッド(7)が、前記モータ(5)の1つまたは複数に直接接続可能である、実施形態10乃至13のいずれか1項に記載のプラント(1)。
[実施形態15]
前記可変周波数ドライブ(6)が、単一の機械ストリング(2a,2b)に電力を供給するような大きさにされている、実施形態10乃至13のいずれか1項に記載のプラント(1)。
[実施形態16]
各モータ(5)が、シャフト(3)によって前記負荷(4)に接続され、前記モータ(5)が、前記シャフト(3)の中間部または端部に接続される、実施形態10乃至15のいずれか1項に記載のプラント(1)。
【符号の説明】
【0043】
1 プラント
2a 第1の機械ストリング
2b 第2の機械ストリング
3 シャフト
4 負荷、圧縮機
5 電気モータ
6 可変周波数ドライブ
7 電力供給グリッド
図1
図2
図3