IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォスター電機株式会社の特許一覧

特許7124203アクチュエータ及びこれを備えるディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】アクチュエータ及びこれを備えるディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
H02K33/16 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021505028
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009712
(87)【国際公開番号】W WO2020184439
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2019047331
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-051753(JP,A)
【文献】特開2015-149845(JP,A)
【文献】特開2000-201396(JP,A)
【文献】特開平11-055925(JP,A)
【文献】特開平09-093900(JP,A)
【文献】特開2011-211781(JP,A)
【文献】特開2010-279161(JP,A)
【文献】特開2012-217258(JP,A)
【文献】特開2010-233298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
B06B 1/04
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを含んで構成される取付部材と、
マグネットを含んで構成され、前記取付部材に対して所定の変位方向に相対変位する可動子と、
前記取付部材に固定される取付部材側被固定部、前記可動子に固定される可動子側被固定部、及び、前記取付部材側被固定部と前記可動子側被固定部との間に位置する変形部を有する弾性支持体と、
を備えるアクチュエータであって、
前記変位方向を±Z方向とし、±Z方向に直交する平面内の方向のうち互いに垂直な方向をX方向及びY方向とし、
前記変形部における前記可動子側被固定部側の端を始端とし、前記変形部における前記取付部材側被固定部側の端を終端としたとき、
前記変形部の前記終端は、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側の領域及び前記可動子側被固定部に対してX方向他方側の領域のみに位置し
前記取付部材側被固定部のY方向の長さは、前記終端のY方向の長さよりも長い、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記取付部材側被固定部は、前記終端よりもX方向外側に位置する、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記コイルの内周側に前記マグネットが配置されている、
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記コイルの外周側に前記可動子のヨークが配置されている、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記変形部は、
前記始端を有し、前記可動子側被固定部に対してY方向一方側に形成されたY方向一方側部と、
前記始端を有し、前記可動子側被固定部に対してY方向他方側に形成されたY方向他方側部と、
前記終端を有し、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に形成されたX方向一方側部と、
前記終端を有し、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に形成されたX方向他方側部と、
前記Y方向一方側部と前記X方向一方側部とを繋ぐ第1アーム部と、
前記Y方向一方側部と前記X方向他方側部とを繋ぐ第2アーム部と、
前記Y方向他方側部と前記X方向一方側部とを繋ぐ第3アーム部と、
前記Y方向他方側部と前記X方向他方側部とを繋ぐ第4アーム部と、
を含んで構成されている、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記Y方向一方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第2アーム部の両方に接続されたY方向一方側接続部であり、
前記Y方向他方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第3アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたY方向他方側接続部である、
請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記X方向一方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第3アーム部の両方に接続されたX方向一方側接続部であり、
前記X方向他方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第2アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたX方向他方側接続部である、
請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記Y方向一方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第2アーム部の両方に接続されたY方向一方側接続部であり、
前記Y方向他方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第3アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたY方向他方側接続部であり、
前記X方向一方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第3アーム部の両方に接続されたX方向一方側接続部であり、
前記X方向他方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第2アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたX方向他方側接続部である、
請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記4つのアーム部の各々を前記始端側から前記終端側に向けて伸長する部分と把握したとき、
前記4つのアーム部の各々は、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部を含んで構成されている、
請求項5~請求項8の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記取付部材側被固定部のY方向一方側端及びY方向他方側端は、前記終端よりもY方向外側に位置する、
請求項1~請求項9の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記取付部材は、
前記コイルが固定されるコイル固定部と、
前記弾性支持体が固定される支持体固定部と、を含んで構成され、
前記コイル固定部は、±Z方向を板厚方向とする平板状部分であり、
前記コイルは、前記コイル固定部のZ方向一方側に固定され、
前記支持体固定部が前記コイル固定部に対してZ方向一方側に設けられることで、前記弾性支持体が前記コイル固定部に対してZ方向一方側に配置され、
前記可動子は、前記コイル固定部に対してZ方向一方側に配置され、かつ、前記弾性支持体のZ方向他方側に固定されている、
請求項1~請求項10の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記支持体固定部は、前記可動子に対してX方向一方側とX方向他方側に一対設けられ、
前記アクチュエータは、前記一対の前記支持体固定部がX方向内側へ倒れるのを防止する倒れ防止部を更に備える、
請求項11に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記弾性支持体は、一対の板バネ材間に、前記弾性支持体と略同じ形状の緩衝材が配置された構造である、
請求項1~請求項12の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記取付部材には、ピンが形成され、
前記取付部材側被固定部には、貫通孔が形成され、
前記貫通孔に前記ピンが挿入された状態で、前記取付部材側被固定部が前記取付部材に固定されている、
請求項1~請求項13の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記取付部材は、
ピンが形成されたフレームと、
前記フレームとの間に前記取付部材側被固定部を挟持する挟持部を有するカバーと、
を備え、
前記取付部材側被固定部には、貫通孔が形成され、
前記挟持部には、貫通孔が形成され、
前記取付部材側被固定部の前記貫通孔及び前記挟持部の前記貫通孔に前記ピンが挿入され、かつ前記フレームと前記挟持部との間に前記取付部材側被固定部が挟持された状態で、前記取付部材側被固定部が前記取付部材に固定されている、
請求項1~請求項13の何れか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
請求項1~請求項15の何れか1項に記載のアクチュエータを備えるディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータとして、特許文献1記載のアクチュエータが知られている。
【0003】
このアクチュエータは、コイル(筒状電磁コイル2,2’)を含んで構成される取付部材(ヨーク1、ケース8など)と、マグネット(永久磁石3)を含んで構成される可動子(可動子5)と、取付部材に固定されると共に可動子に固定される弾性支持体(支持部材7,7’)と、を備える。弾性支持体(支持部材7,7’)が変形することで、可動子(可動子5)は、取付部材に対して所定の変位方向(x方向、y方向)に相対変位する。
【0004】
このアクチュエータでは、円板状の弾性支持体(支持部材7,7’)の周縁がその全周において筒状の部材(ヨーク1)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭61-45745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のようなアクチュエータは、装置内に設置されることが通常である。装置内におけるアクチュエータの設置スペースを考慮すると、アクチュエータには小型化が要求される。
【0007】
本開示は、小型化を図ることが容易なアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係るアクチュエータは、コイルを含んで構成される取付部材と、マグネットを含んで構成され、前記取付部材に対して所定の変位方向に相対変位する可動子と、前記取付部材に固定される取付部材側被固定部、前記可動子に固定される可動子側被固定部、及び、前記取付部材側被固定部と前記可動子側被固定部との間に位置する変形部を有する弾性支持体と、を備えるアクチュエータであって、前記変位方向を±Z方向とし、±Z方向に直交する平面内の方向のうち互いに垂直な方向をX方向及びY方向とし、前記変形部における前記可動子側被固定部側の端を始端とし、前記変形部における前記取付部材側被固定部側の端を終端としたとき、前記変形部の前記終端は、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側の領域及び前記可動子側被固定部に対してX方向他方側の領域のみに位置する、アクチュエータである。
【0009】
この態様では、アクチュエータは、コイルを含んで構成される取付部材と、マグネットを含んで構成される可動子と、を備える。
また、アクチュエータは、弾性支持体を備える。弾性支持体は、取付部材に固定される取付部材側被固定部、可動子に固定される可動子側被固定部、及び、取付部材側被固定部と可動子側被固定部との間に位置する変形部を有する。弾性支持体の変形部が変形することで、可動子は、取付部材に対して所定の変位方向(±Z方向)に相対変位する。
【0010】
さらに、この態様では、変形部の終端(変形部における取付部材側被固定部側の端)は、可動子側被固定部に対してX方向一方側の領域及び可動子側被固定部に対してX方向他方側の領域(以下「X方向外側領域」)のみに位置し、可動子側被固定部とX方向で重なる領域(以下「X方向内側領域」)に位置しない。
このため、変形部の終端がX方向内側領域にも位置する態様と比較して、アクチュエータの小型化を図ることができる。
【0011】
具体的に説明すると、変形部の終端がX方向外側領域の他にX方向内側領域にも位置する態様では、X方向内側領域において弾性支持体を固定するための構造がアクチュエータの構成として必要となる。弾性支持体は変位(例えば振動による変位)する可動子を支持する部材であるため、弾性支持体を固定するための構造には一定の強度が必要であり、その構造を配置するためにはX方向内側領域に一定の空間が必要となる。
これに対し、この態様では、変形部の終端が、X方向外側領域に位置し、X方向内側領域に位置しない。このため、弾性支持体を固定するための構造がX方向内側領域には不要となり、その結果、アクチュエータの小型化を図ることが容易となる。
【0012】
第2の態様に係るアクチュエータは、第1の態様において、前記変形部は、前記始端を有し、前記可動子側被固定部に対してY方向一方側に形成されたY方向一方側部と、前記始端を有し、前記可動子側被固定部に対してY方向他方側に形成されたY方向他方側部と、前記終端を有し、前記可動子側被固定部に対してX方向一方側に形成されたX方向一方側部と、前記終端を有し、前記可動子側被固定部に対してX方向他方側に形成されたX方向他方側部と、前記Y方向一方側部と前記X方向一方側部とを繋ぐ第1アーム部と、前記Y方向一方側部と前記X方向他方側部とを繋ぐ第2アーム部と、前記Y方向他方側部と前記X方向一方側部とを繋ぐ第3アーム部と、前記Y方向他方側部と前記X方向他方側部とを繋ぐ第4アーム部と、を含んで構成されている。
【0013】
この態様では、変形部は、それぞれ始端を有するY方向一方側部及びY方向他方側部と、それぞれ終端を有するX方向一方側部及びX方向他方側部と、を含んで構成されている。そして、これらの部分の間が4つのアーム部で繋がれている。このため、変形部におけるアーム部の長さを比較的長く確保できると共に、変形部をX方向及びY方向に対称な構造とし易く、X方向及びY方向の軸線周りの回転を抑制できるので、弾性支持体による可動子の変位方向(±Z方向)の支持が安定する。
【0014】
なお、各アーム部は、1本のアームから構成されているアーム部の他、2本以上のアームから構成されたアーム部であってもよい。また、変形部のY方向一方側部、Y方向他方側部、X方向一方側部及びX方向他方側部の各々は、隣接する各アーム部の側部が一体に形成されたもの(図9参照)のほか、アーム部毎に分離されたものであってもよい(例えば図17図18参照)。
【0015】
第3の態様に係るアクチュエータは、第2の態様において、前記Y方向一方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第2アーム部の両方に接続されたY方向一方側接続部であり、前記Y方向他方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第3アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたY方向他方側接続部である。
【0016】
この態様では、Y方向一方側部は、始端を1つ有すると共に第1アーム部と第2アーム部の両方に接続されたY方向一方側接続部であり、Y方向他方側部は、始端を1つ有すると共に第3アーム部と第4アーム部の両方に接続されたY方向他方側接続部である。このため、始端を有するY方向一方側部及びY方向他方側部の変形量の増大を抑制することができる。
すなわち、Y方向一方側部及びY方向他方側部は始端を有するため、その変形量が大きくなりやすいところ、この態様では、Y方向一方側部及びY方向他方側部の剛性を確保しやすいため、Y方向一方側部及びY方向他方側部における変形量の増大を抑制することができる。
また、Y方向の対称性が確保できることから安定した振動を得ることが可能となる。
【0017】
第4の態様に係るアクチュエータは、第2の態様において、前記X方向一方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第3アーム部の両方に接続されたX方向一方側接続部であり、前記X方向他方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第2アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたX方向他方側接続部である。
【0018】
この態様では、X方向一方側部は、終端を1つ有すると共に第1アーム部と第3アーム部の両方に接続されたX方向一方側接続部であり、X方向他方側部は、終端を1つ有すると共に第2アーム部と第4アーム部の両方に接続されたX方向他方側接続部である。このため、終端を有するX方向一方側部及びX方向他方側部の変形量の増大を抑制することができる。
また、X方向の対称性が確保できることから安定した振動を得ることが可能となる。
【0019】
第5の態様に係るアクチュエータは、第2の態様において、前記Y方向一方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第2アーム部の両方に接続されたY方向一方側接続部であり、前記Y方向他方側部は、前記始端を1つ有すると共に、前記第3アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたY方向他方側接続部であり、前記X方向一方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第1アーム部と前記第3アーム部の両方に接続されたX方向一方側接続部であり、前記X方向他方側部は、前記終端を1つ有すると共に、前記第2アーム部と前記第4アーム部の両方に接続されたX方向他方側接続部である。
【0020】
この態様によれば、始端を有するY方向一方側部及びY方向他方側部の変形量の増大を抑制することができると共に、終端を有するX方向一方側部及びX方向他方側部の変形量の増大を抑制することができる。
【0021】
第6の態様に係るアクチュエータは、第2~第5の何れかの態様において、前記4つのアーム部の各々を前記始端側から前記終端側に向けて伸長する部分と把握したとき、前記4つのアーム部の各々は、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部を含んで構成されている。
【0022】
なお、X方向内側とは、X方向において可動子の重心軸に近づく方向を意味し、Y方向内側とは、Y方向において可動子の重心軸に近づく方向を内側を意味する。ここで、可動子の重心軸とは、Z方向に平行な軸であって、可動子の重心を通る軸をという。
【0023】
この態様では、4つのアーム部の各々は、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部を含んで構成されている。このため、アーム部が戻部を含まない態様と比較して、アクチュエータ全体を大型化せずともアーム部の長さを長くすることができる。
【0024】
第7の態様に係るアクチュエータは、第1~第6に何れかの態様において、前記取付部材側被固定部のY方向一方側端及びY方向他方側端は、前記終端よりもY方向外側に位置する。
【0025】
この態様では、取付部材側被固定部のY方向一方側端及びY方向他方側端は、終端よりもY方向外側に位置する。つまり、取付部材側被固定部のY方向の長さが、終端のY方向の長さよりもY方向両側に延長されている。このため、取付部材に対する弾性支持体の固定が安定する。
なお、取付部材側被固定部のY方向一方側端及びY方向他方側端が可動子側被固定部よりもY方向外側に位置すると、取付部材に対する弾性支持体の固定がさらに安定する。
【0026】
第8の態様に係るアクチュエータは、第1~第7の何れかの態様において、前記取付部材は、前記コイルが固定されるコイル固定部と、前記弾性支持体が固定される支持体固定部と、を含んで構成され、前記コイル固定部は、±Z方向を板厚方向とする平板状部分であり、前記コイルは、前記コイル固定部のZ方向一方側に固定され、前記支持体固定部が前記コイル固定部に対してZ方向一方側に設けられることで、前記弾性支持体が前記コイル固定部に対してZ方向一方側に配置され、前記可動子は、前記コイル固定部に対してZ方向一方側に配置され、かつ、前記弾性支持体のZ方向他方側に固定されている。
【0027】
この態様によれば、アクチュエータの各構成が適切な構造及び配置関係とされているので、小型(特にZ方向に小型)のアクチュエータとすることができる。
【0028】
第9の態様に係るアクチュエータは、第8の態様において、前記支持体固定部は、前記可動子に対してX方向一方側とX方向他方側に一対設けられ、前記アクチュエータは、前記一対の前記支持体固定部がX方向内側へ倒れるのを防止する倒れ防止部を更に備える。
【0029】
この態様では、アクチュエータは、一対の支持体固定部がX方向内側へ倒れるのを防止する倒れ防止部を更に備える。このため、アクチュエータの耐久性が向上する。
【0030】
第10の態様に係るアクチュエータは、第1~第9の何れかの態様において、前記弾性支持体は、一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造である。
【0031】
この態様では、弾性支持体が、一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造であるので、制振性能が高い。
【0032】
第11の態様に係るディスプレイは、第1~第10の何れかの態様に係るアクチュエータを備えるディスプレイである。
【0033】
この態様では、ディスプレイは、小型化されたアクチュエータを備える。つまり、ディスプレイが備えるアクチュエータが小型化されているので、ディスプレイが備える他の構成(装置、配線など)の配置が容易である。
【0034】
第12の態様に係るアクチュエータは、コイルを含んで構成される取付部材と、マグネットを含んで構成され、前記取付部材に対して所定の変位方向に相対変位する可動子と、前記取付部材に固定される取付部材側被固定部、前記可動子に固定される可動子側被固定部、及び、前記取付部材側被固定部と前記可動子側被固定部との間に位置する変形部を有する弾性支持体と、を備えるアクチュエータであって、前記弾性支持体は、一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造である。
【0035】
この態様では、弾性支持体が、一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造であるので、制振性能が高い。特に、緩衝材にシリコーン系の部材を用いることで、環境温度に支配されずに特性を維持できる弾性支持体とすることができる。シリコーン系の部材としては、シリコーンゴムの層の両面にシリコーン系粘着剤の層を有する3層構造の両面テープが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本開示によれば、小型化を図ることが容易なアクチュエータを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1実施形態のアクチュエータの斜視図である。
図2】第1実施形態のアクチュエータの斜視図(斜め下方から見た図)である。
図3】第1実施形態のアクチュエータの側面図(+Y方向から見た図)である。
図4】第1実施形態のアクチュエータの平面図(+Z方向から見た図)である。
図5】第1実施形態のアクチュエータの断面図(図4の6-6線断面図)である。
図6】第1実施形態のアクチュエータの断面図(図4の7-7線断面図)である。
図7】第1実施形態の外側フレームを示す図である。
図8】第1実施形態のカバーを示す図である。
図9】第1実施形態の弾性支持体を示す平面図である。
図10】第1実施形態のアクチュエータの分解斜視図である。
図11】第1実施形態のアクチュエータを備えるディスプレイを示す斜視図(斜め後方から見た図)である。
図12】第2実施形態のアクチュエータを示す斜視図である。
図13】第2実施形態のアクチュエータの平面図である。
図14】第2実施形態のアクチュエータの断面図(図13の14-14線断面図)である。
図15】第2実施形態の追加弾性支持体を示す平面図である。
図16】第2実施形態のアクチュエータの分解斜視図である。
図17】弾性支持体の変形例を示す平面図である。
図18】弾性支持体の変形例を示す平面図である。
図19】弾性支持体の変形例を示す平面図である。
図20】弾性支持体の変形例を示す平面図である。
図21】弾性支持体の変形例を示す平面図である。
図22】「緩衝材なし」の場合、及び「緩衝材あり」の場合のシミュレーション結果を示すグラフである。
図23】一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造の弾性支持体とする場合において、温度条件を変えてシミュレーションした結果を示すグラフであって、緩衝材としての接着テープにアクリル系粘着剤両面テープを用いた場合の結果を示すグラフである。
図24】一対の板バネ材間に緩衝材が配置された構造の弾性支持体とする場合において、温度条件を変えてシミュレーションした結果を示すグラフであって、緩衝材としての接着テープにシリコーン系粘着剤両面テープを用いた場合の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明では、各図に示す+Z方向を上方向といい、-Z方向を下方向ということがある。但し、これはアクチュエータの取付方向を限定するものではない。また、各構成の配置関係について説明するときは、弾性支持体16が自由状態(各図に示された状態)のときの配置関係を意味する。また、以下の説明において、Z方向に平行な軸であって、可動子14の重心を通る軸を可動子14の重心軸AXという。そして、X方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をX方向内側、離れる方向をX方向外側といい、Y方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をY方向内側、離れる方向をY方向外側という。また、+X方向をX方向一方側、-X方向をX方向他方側、+Y方向をY方向一方側、-Y方向をY方向他方側、+Z方向をZ方向一方側、-Z方向をZ方向他方側という。また、各図においては、図面を見易くする関係から、符号を省略している場合がある。
【0039】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係るアクチュエータS1について説明する。
【0040】
図1は、第1実施形態のアクチュエータS1の斜視図であり、図10は、分解斜視図である。
アクチュエータS1は、ディスプレイ100の表示部102(図11参照)などに取り付けられる「取付部材」としての取付部材12を備える。図10に示すように、取付部材12は、カバー50と、内側フレーム40と、ターミナル62と、コイル30と、クッション部材64と、外側フレーム20と、接着シート66と、から構成される。
【0041】
また、アクチュエータS1は、取付部材12に対して所定の変位方向(±Z方向)に相対変位する可動子14を備える。可動子14は、ヨーク72と、マグネット74と、ポールピース76と、から構成される。
【0042】
また、アクチュエータS1は、取付部材12に対して可動子14を弾性支持する弾性支持体16を備える。弾性支持体16は、2枚の板バネ材16Sと、緩衝材16Lと、から構成される。弾性支持体16は、2枚の板バネ材16Sの間に緩衝材16Lが挟まれた構造とされる。板バネ材16Sは、金属製とされ、例えばステンレス製である。緩衝材16Lは、板バネ材16Sよりも低い弾性率を有する部材であり、例えば、一対の板バネ材16S間に配置された両面テープである。この両面テープは、シリコーンゴムの層の両面にシリコーン系粘着剤の層を有する3層構造の両面テープであってもよい。緩衝材16Lは、各板バネ材16Sの変形に追従して変形し、板バネ材16Sを介して可動子14の振動を吸収する。弾性支持体16においては一対の板バネ材16S間に緩衝材16Lを配置しているので、可動子14の振幅時においても各板バネ材16Sから緩衝材16Lが剥がれることがない。したがって、緩衝材16Lによる制振性能を安定して維持でき、可動子14の駆動を入力信号に対して円滑に追従させることができる。
【0043】
図7には、外側フレーム20が示されている。外側フレーム20は、底板部21と、底板部21のX方向両側に形成された一対の第1縦板部22と、底板部21のY方向両側に形成された一対の第2縦板部23と、一対の第1縦板部22の上側に形成された一対の被取付部24と、を備える。
【0044】
底板部21は、Z方向を板厚方向とする平板状とされており、X方向を長手方向とする長方形状とされている。底板部21の中央には、円形の貫通孔21Aが貫通形成されている。第1縦板部22は、X方向を板厚方向とする平板状とされており、Y方向を長手方向とする長方形状とされている。第1縦板部22の中央下部には、長方形状の貫通孔22Aが貫通形成されている。第2縦板部23は、Y方向を板厚方向とする平板状とされており、X方向を長手方向とする長方形状とされている。第2縦板部23のZ方向寸法は、第1縦板部22のZ方向寸法よりも小さく、具体的には1/2以下とされている。被取付部24は、Z方向を板厚方向とする平板状とされており、Y方向を長手方向とする長方形状とされている。被取付部24は、第1縦板部22に対してX方向外側に形成されている。被取付部24には、矩形状の取付用孔24Aが貫通形成されている。取付用孔24Aを利用することで、接着シート66を使わずとも、他部材に取り付けることができる。
【0045】
外側フレーム20は、1枚の金属製の板材から製造されている。そのため、底板部21と第1縦板部22との間、底板部21と第2縦板部23との間、及び第1縦板部22と被取付部24との間には、それぞれ、板厚方向に曲げられた曲部(符号省略)が形成されている。
【0046】
図5に示すように、コイル30は、巻き回された電線により構成され、ボビン31の外周側に形成される。コイル30は、ボビン31を介して外側フレーム20の底板部21の上面に固定される。外側フレーム20の底板部21が、本開示の「コイル固定部」に相当する。
【0047】
ボビン31は、上下方向を軸方向とする円筒形状とされている。図5図6に示すように、コイル30と、外側フレーム20の底板部21との間には、上下方向の隙間が形成される。この隙間は、後述するクッション部材64の厚みより大きい。また、コイル30の内周側の空間に可動子14のポールピース76が配置され、コイル30の外周側にヨーク72の下部が配置される。
【0048】
クッション部材64は、ゴムなどの弾性部材で形成される。クッション部材64は、外側フレーム20の底板部21の上面側に接着等で固定される。クッション部材64は、可動子14が過剰に振動したとき等、下方向に過度に変位した可動子14が当接可能な位置に配置される。具体的には、クッション部材64は、ヨーク72の垂下部72Sの下方に配置される。クッション部材64は、ヨーク72の垂下部72Sと同様に、平面視で円形とされる。
【0049】
接着シート66は、アクチュエータS1を他の部材に取り付けるための部材である。接着シート66は、両面が接着面とされる。図2に示すように、接着シート66は、外側フレーム20の底板部21の下面側に接着される。接着シート66には、外側フレーム20の底板部21の貫通孔21Aに対応する貫通孔66Aが形成される。接着シート66の貫通孔66Aは、外側フレーム20の底板部21の貫通孔21Aよりも一回り大きな円形の孔とされる。図5に示すように、接着シート66は、外側フレーム20の底板部21の下面のほぼ全体(具体的には90%以上の領域)を覆うように配置される。
【0050】
内側フレーム40は、外側フレーム20の底板部21の上面側に固定される。内側フレーム40は、X方向一方側に配置された一方側内側フレーム40と、X方向他方側に配置された他方側内側フレーム40と、から構成される。一方側内側フレーム40及び他方側内側フレーム40は、互いに別体とされ、また、互いに略同一の構造とされる。以下、単に内側フレーム40と言うときは、一方側内側フレーム40及び他方側内側フレーム40の両方を指す。
【0051】
図4図5に示すように、内側フレーム40は、壁厚方向をX方向に向けてY方向に延在する立壁部41(「支持体固定部」)と、立壁部41のY方向両端と接続された一対の低壁部42(「倒れ防止部」)と、を備える。
【0052】
立壁部41の上面41U(図5及び図10参照)は、法線方向を上方向に向けた平面とされている。立壁部41の上面41Uからは、複数(本実施形態では3つ)の円柱状のピン43が上方へ向けて突出している。複数のピン43は、Y方向に並んで配置される。
【0053】
図5図6に示すように、立壁部41の上面41Uは、弾性支持体16の下面に接触し、複数のピン43は、弾性支持体16の複数の貫通孔92A(図9参照)に挿入される。
【0054】
低壁部42は、立壁部41よりも上下方向の高さが低く形成される。そのため、図3に示すように、低壁部42の上面42Uは、立壁部41の上面41Uよりも低い位置に位置する。
【0055】
図4に示すように、低壁部42は、Y方向に延在する1つの立壁部41に対し、Y方向両端に一対形成されている。低壁部42は、立壁部41のX方向内側に位置する。立壁部41はその上部で弾性支持体16を支持するため、立壁部41の上部にはX方向内側への力(弾性支持体16からの力)が加わるところ、低壁部42は、立壁部41のX方向内側に位置しているので立壁部41(「支持体固定部」)がX方向内側へ倒れるのを防止する「倒れ防止部」として機能する。
【0056】
図4図5に示すように、低壁部42の上面42Uは、平面部42U1と傾斜部42U2と含んで構成されている。低壁部42の上面42Uの平面部42U1は、法線方向を上方向に向けた平面である。低壁部42の上面42Uの傾斜部42U2は、平面部42U1に対して立壁部41側に位置しており、立壁部41側に向かうに従い、その高さ位置が高くなるように傾斜している。図5図6に示すように、低壁部42の上面42Uの傾斜部42U2のうち最も立壁部41側での高さ位置は、立壁部41の上面41Uよりも低い位置とされている。低壁部42の上面42Uの傾斜部42U2は、図5に示すように、側面視で(換言するとY方向から見て)下方向に凸となるように湾曲している。
【0057】
図4に示すように、低壁部42のY方向の寸法は、立壁部41側であるX方向外側で大きく、立壁部41から離れる方向であるX方向内側に向かうに従い小さく形成される。低壁部42のY方向外側面(符号省略)は、立壁部41のY方向外側面(符号省略)と略面一(具体的には法線方向をY方向外側に向けた平面)とされる。一方、低壁部42のY方向内側面42Y(図4の右上の低壁部42についてのみ符号付与)は、図4に示すように、X方向内側に向かうに従い、徐々にY方向外側に変位しており、具体的には、平面視でY方向外側に凸となるように湾曲している。
【0058】
図6に示すように、内側フレーム40の立壁部41の上面41Uには、深さ方向を下方向とする溝44が形成される。溝44には、カバー50の一部(第2挿入部53)が挿入される。溝44は、上下方向上側に開放されるほか、X方向内側にも開放されている。一方、溝44は、X方向外側には開放されていない。溝44の位置は、内側フレーム40のY方向両側部である。図6に示すように、溝44のY方向の位置は、低壁部42が形成された位置と重なっている。溝44の深さ(Z方向寸法)及びカバー50の第2挿入部53は、低壁部42の一部にまで達している。
【0059】
図10に示すように、内側フレーム40のX方向外側面40Xには、X方向内側へ窪んだ第1窪部48が形成される。第1窪部48は、後述する第2窪部47の下側に形成される。図1図5に示すように、第1窪部48にターミナル62が配置される。
【0060】
また、内側フレーム40には、コイル30の配線(図示省略)を外部に引き出すための配線通過部49(図5図10)が形成されている。配線通過部49は、内側フレーム40のY方向中央位置における下面に形成された溝である。
【0061】
図8には、カバー50が示されている。カバー50は、内側フレーム40に弾性支持体16を固定するように機能する。カバー50は一対設けられ、一対のカバー50は、互いに同一の構造である。なお、図8における各矢印は、X方向一方側のカバー50(図4における左側のカバー50)を基準に示している。
【0062】
カバー50は、内側フレーム40との間に弾性支持体16を挟持する挟持部51と、内側フレーム40と外側フレーム20との間に挿入される第1挿入部52と、内側フレーム40の溝44に挿入される第2挿入部53と、を有する。
【0063】
第1挿入部52について具体的に説明する。図10に示すように、内側フレーム40のX方向外側面40Xには、X方向内側へ窪んだ第2窪部47が形成される。第2窪部47は、上方にも開放されている。図5に示すように、内側フレーム40のX方向外側面40Xと、外側フレーム20の第1縦板部22とは当接しているが、内側フレーム40のX方向外側面40Xの第2窪部47の部分では、外側フレーム20の第1縦板部22との間に空間が形成される。この空間に、カバー50の第1挿入部52が挿入される。
【0064】
カバー50は、1枚の板材から製造される。そのため、挟持部51と第1挿入部52との間、及び、挟持部51と第2挿入部53との間には、それぞれ板厚方向に曲げられた曲部(符号省略)が形成される。
【0065】
挟持部51は、板厚方向を上下方向に向けた平板状とされ、Y方向を長手方向とする長方形状とされる。
【0066】
挟持部51には、複数(本実施形態では3つ)の貫通孔51AがY方向に並んで形成される。複数の貫通孔51Aには、内側フレーム40の立壁部41の複数のピン43がそれぞれ挿入される。複数の貫通孔51Aは、挟持部51のY方向中央に位置する貫通孔51Aと、この貫通孔51Aに対してY方向に対称な位置に形成された複数(本実施形態では2つ)の貫通孔51A,51Aと、から構成されている。貫通孔51Aの形状は、円形とされる。
【0067】
第1挿入部52は、挟持部51に対してX方向外側に形成され、板厚方向をX方向に向けた平板状とされる。第1挿入部52は、挟持部51よりもX方向外側部分が下方向に向けて曲げられることで形成される。第1挿入部52のY方向一方側の端は、挟持部51の複数の貫通孔51Aのうち最もY方向一方側の貫通孔51AよりもY方向一方側に位置し、第1挿入部52のY方向他方側の端は、挟持部51の複数の貫通孔51Aのうち最もY方向他方側の貫通孔51AよりもY方向他方側に位置する。
【0068】
第2挿入部53は、挟持部51に対してY方向外側に一対形成され、板厚方向をY方向に向けた平板状とされる。第2挿入部53は、挟持部51よりもY方向外側部分が下方向に向けて曲げられることで形成される。
【0069】
弾性支持体16は、その全体が、板厚方向を上下方向に向けた平板状とされる。
【0070】
弾性支持体16は、一部において取付部材12に固定され、他の一部において可動子14に固定される。取付部材12に固定される部分と、可動子14に固定される部分との間の部分が、可動子14が変位(振動)する際に変形する部分となる。
すなわち、図9に示すように、弾性支持体16は、取付部材12に固定される取付部材側被固定部92と、可動子14に固定される可動子側被固定部94と、取付部材側被固定部92と可動子側被固定部94との間の変形部80と、から構成される。
【0071】
取付部材側被固定部92には、複数(本実施形態では3つ)の貫通孔92Aが形成されている。取付部材側被固定部92の貫通孔92Aには、内側フレーム40の立壁部41の複数のピン43がそれぞれ挿入される。貫通孔92Aの形状は円形とされ、貫通孔92Aの大きさはピン43が丁度収まる大きさとされる。
【0072】
取付部材側被固定部92は、変形部80との境界部分である境界部80Eを有する。境界部80Eは、弾性支持体16のうち取付部材12に固定された部分(本実施形態では、内側フレーム40とカバー50とで挟持された部分)と、固定されていない部分との境界の部分をいう。境界部80Eは、Y方向に直線状に延びる部分とされる。境界部80Eは、後述する変形部80の終端80Eと一致する。
【0073】
図9に示すように、取付部材側被固定部92は、境界部80E(終端80E)とY方向の位置が一致する本体部92Hと、本体部92Hに対してY方向外側に位置する延長部92Eと、から構成される。延長部92Eは、本体部92Hに対してY方向一方側と他方側の両方に形成されている。これにより、取付部材側被固定部92は、本体部92Hと一対の延長部92Eとが合わさって、Y方向を長手方向とする長尺状に形成される。複数の貫通孔92Aは、取付部材側被固定部92の本体部92H、一方の延長部92E、及び他方の延長部92Eの各々に形成される。
【0074】
図9に示すように、可動子側被固定部94は、外形が円形とされ、その中心に円形の基準孔94Kが貫通形成されている。なお、後述するように、可動子側被固定部94の基準孔94Kと同一の形状の貫通孔が、可動子14(すなわちヨーク72、マグネット74及びポールピース76)にも形成されている。図面を見やすくする観点から、可動子14の貫通孔についても、可動子側被固定部94の基準孔94Kと同一の符号である94Kを付す。図5図6に示すように、可動子側被固定部94は、その下面の全体が、可動子14のヨーク72に接着等で固定されている。具体的に言うと、基準孔94Kの縁(内縁)から、円形の外形状を形作る外側の縁(外縁)までの全体が、可動子14のヨーク72に固定されている。
【0075】
ヨーク72は、軟磁性体であり、有底円筒状の構造とされる。具体的には、図5に示すように、ヨーク72は、壁厚方向を上下方向に向けた天壁部72Tと、天壁部72Tの外側全周から下方向に延びる垂下部72Sと、から構成される。天壁部72Tは、平面視で円形とされ、垂下部72Sの壁厚方向は、天壁部72Tの中心軸(可動子14の重心軸AXと一致する。図10参照)に垂直な方向とされる。
【0076】
ヨーク72の天壁部72Tの下面には、マグネット74が固定される。マグネット74の下面には、軟磁性体であるポールピース76が固定される。マグネット74及びポールピース76は、平面視で略相似の形状とされ、具体的には円形とされる。但し、ポールピース76の方が、マグネット74よりも若干大きな外形を有する。換言すると、ポールピース76の直径は、マグネット74の直径よりも若干大きい。
【0077】
図5図6に示すように、マグネット74及びポールピース76の外周側には、一定の空間を空けてヨーク72の垂下部72Sが配置される。ヨーク72の垂下部72Sの下端は、ポールピース76の下端と高さが一致している。マグネット74及びポールピース76とヨーク72の垂下部72Sとの間の空間には、コイル30が配置される。
【0078】
図10に示すように、有底円筒状の構造のヨーク72の外面における、天壁部72Tと垂下部72Sとの境界には、上方向を法線方向とした上平面72T1と水平方向を法線方向とした外側面72S1とを繋ぐ湾曲面72W(図5図6参照)が形成される。ヨーク72の外面を構成する上平面72T1、湾曲面72W及び外側面72S1のうち、上方向を法線方向とした上平面72T1が弾性支持体16と接着される。具体的には、上平面72T1の全体が弾性支持体16と接着される。
【0079】
弾性支持体16及び可動子14の各々には、互いを位置決めするための基準孔94Kが形成される。具体的には、基準孔94Kは、弾性支持体16、ヨーク72、マグネット74及びポールピース76に形成される。各々に形成された基準孔94Kの大きさ、形状は、互いに同一である。
【0080】
図9に示すように、変形部80は、始端80Sから終端80Eに向けて、Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mと、アーム部82A,82B,82C,82Dと、X方向一方側部83P及びX方向他方側部83Mと、を有する。
ここで、始端80Sとは、変形部80を可動子側被固定部94側から取付部材側被固定部92側に向けて伸長する部分と把握したときの、変形部80の始まりの部分をいい、具体的には、可動子側被固定部94と変形部80との境界部と一致する。始端80Sは、Y方向一方側の始端80SとY方向他方側の始端80Sとが存在する。
【0081】
Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mは、共に、可動子側被固定部94とY方向で隣接した部分である。Y方向一方側部81Pは、可動子側被固定部94のY方向一方側に位置し、Y方向他方側部81Mは、可動子側被固定部94のY方向他方側に位置する。Y方向一方側部81Pは、Y方向一方側の始端80Sを有し、Y方向他方側部81Mは、Y方向他方側の始端80Sを有する。
【0082】
変形部80は、Y方向一方側部81Pから、X方向の一方側と他方側へ向けて分枝しており、それぞれ第1アーム部82Aと第2アーム部82Bとに繋がっている。
Y方向他方側部81Mからも、X方向の一方側と他方側に向けて分枝しており、それぞれ第3アーム部82Cと第4アーム部82Dとに繋がっている。このように、Y方向一方側部81Pは、第1アーム部82Aと第2アーム部82Bの両方に接続されたY方向一方側接続部81Pとされており、Y方向他方側部81Mは、第3アーム部82Cと第4アーム部82Dの両方に接続されたY方向他方側接続部81Mとされている。
【0083】
X方向一方側部83Pでは、Y方向一方側接続部81Pから分枝した2つのアーム部82A,82BのうちX方向一方側の第1アーム部82Aと、Y方向他方側接続部81Mから分枝した2つのアーム部82C,82DのうちX方向一方側の第3アーム部82Cとが合流している。
X方向他方側部83Mでは、Y方向一方側接続部81Pから分枝した2つのアーム部82A,82BのうちX方向他方側の第2アーム部82Bと、Y方向他方側接続部81Mから分枝した2つのアーム部82C,82DのうちX方向他方側の第4アーム部82Dとが合流している。
このように、X方向一方側部83Pは、第1アーム部82Aと第3アーム部82Cの両方に接続されたX方向一方側接続部83Pとされており、X方向他方側部83Mは、第2アーム部82Bと第4アーム部82Dの両方に接続されたX方向他方側接続部83Mとされている。
【0084】
<動作>
以上のように構成されたアクチュエータS1は、可動子14が弾性支持体16に支持され、コイル30に通電していない状態では図5に示す原点位置にある。可動子14に発生する推力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力に準じられる。アクチュエータS1においては、コイル30がプレート20に固定され、マグネット74等により可動子14が構成されているので、コイル30に通電することにより、可動子14にコイル30から発生する力の反力としての推力が発生する。そして、コイル30に交流を通電させることにより、可動子14が重心軸AXに沿って上下方向に振幅し、振動する。
【0085】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0086】
本実施形態では、アクチュエータS1は、コイル30を含んで構成される取付部材12と、マグネット74を含んで構成される可動子14と、を備える。
また、アクチュエータS1は、弾性支持体16を備える。弾性支持体16は、取付部材12に固定される取付部材側被固定部92、可動子14に固定される可動子側被固定部94、及び、取付部材側被固定部92と可動子側被固定部94との間に位置する変形部80を有する。弾性支持体16の変形部80が弾性変形することで、可動子14は、取付部材12に対して所定の変位方向(±Z方向)に相対変位する。
【0087】
さらに、本実施形態では、図9に示すように、変形部80の終端80E(変形部80における取付部材側被固定部92側の端)は、可動子側被固定部94に対してX方向一方側の領域及び可動子側被固定部94に対してX方向他方側の領域(以下「X方向外側領域」)に位置し、可動子側被固定部94とX方向で重なる領域(以下「X方向内側領域」)に位置しない。
このため、変形部80の終端80EがX方向内側領域にも位置する態様と比較して、アクチュエータS1の小型化を図ることができる。
【0088】
具体的に説明すると、変形部80の終端80EがX方向外側領域の他にX方向内側領域にも位置する態様では、X方向内側領域において弾性支持体16を固定するための構造がアクチュエータS1の構成として必要となる。弾性支持体16は変位(例えば振動による変位)する可動子14を支持する部材であるため、弾性支持体16を固定するための構造には一定の強度が必要であり、その構造を配置するためにはX方向内側領域に一定の空間が必要となる。
これに対し、本実施形態では、変形部80の終端80Eが、X方向外側領域に位置し、X方向内側領域に位置しない。このため、弾性支持体16を固定するための構造がX方向内側領域には不要となり、その結果、アクチュエータS1の小型化を図ることが容易となる。
【0089】
また、本実施形態では、変形部80は、それぞれ始端80Sを有するY方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mと、それぞれ終端80Eを有するX方向一方側部83P及びX方向他方側部83Mと、を含んで構成されている。そして、これらの部分の間が4つのアーム部82A,82B,82C,82Dで繋がれている。このため、変形部80におけるアーム部82A,82B,82C,82Dの長さを比較的長く確保できると共に、変形部80をX方向及びY方向に対称な構造とし易く、X方向及びY方向の軸線周りの回転を抑制できるので、弾性支持体16による可動子14の変位方向(±Z方向)の支持が安定する。
【0090】
また、本実施形態では、Y方向一方側部81Pは、始端80Sを1つ有すると共に第1アーム部82Aと第2アーム部82Bの両方に接続されたY方向一方側接続部81Pであり、Y方向他方側部81Mは、始端80Sを1つ有すると共に第3アーム部82Cと第4アーム部82Dの両方に接続されたY方向他方側接続部81Mである。このため、それぞれ始端80Sを有するY方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mの変形量の増大を抑制することができる。
すなわち、Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mは始端を有するため、その変形量が大きくなりやすいところ、本実施形態では、Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mの剛性を確保しやすいため、例えば図17に示す態様と比較して、Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mにおける変形量の増大を抑制することができる。
特に、本実施形態では、図9に示すように、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81Mが有する始端80Sの幅W1(X方向寸法)が、アーム部82A,82B,82C,82Dの最小幅W2の2倍以上(更に言うと2.5倍以上)に形成されているので、始端80S付近の変形量が効果的に抑制される。
また、本実施形態では、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81Mが有する始端80Sの幅W1(X方向寸法)が、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81MのX方向寸法の最小値W4(最小幅)よりも大きくされている。このため、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81Mが有する始端80Sの幅W1(X方向寸法)が、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81MのX方向寸法の最小値W4(最小幅)と一致している態様(図21参照)と比較して、始端80Sの応力が集中することを抑制される。
特に、本実施形態では、図9に示すように、Y方向一方側接続部81P及びY方向他方側接続部81Mが有する始端80Sの幅W1(X方向寸法)が、アーム部82A,82B,82C,82Dの最小幅W2の1.5倍以上(更に言うと2.5倍以上)に形成されているので、始端80S付近の変形量が効果的に抑制される。
【0091】
また、本実施形態では、X方向一方側部83Pは、終端80Eを1つ有すると共に第1アーム部82Aと第3アーム部82Cの両方に接続されたX方向一方側接続部83Pであり、X方向他方側部83Mは、終端80Eを1つ有すると共に第2アーム部82Bと第4アーム部82Dの両方に接続されたX方向他方側接続部83Mである。このため、例えば図18に示す態様と比較して、それぞれ終端80Eを有するX方向一方側部83P及びX方向他方側部83Mの変形量の増大を抑制することができる。
特に、本実施形態では、図9に示すように、X方向一方側接続部83P及びX方向他方側接続部83Mが有する終端80Eの幅W3(Y方向寸法)が、アーム部82A,82B,82C,82Dの最小幅W2の2倍以上(更に言うと3倍以上)に形成されているので、終端80E付近の変形量が効果的に抑制される。
【0092】
また、本実施形態では、図9に示すように、終端80EのY方向の位置が、可動子側被固定部94が形成されたY方向の範囲(本実施形態では可動子側被固定部94の直径D1の範囲)に収まっている。このため、Y方向両側の始端80Sからのアーム部の長さを長く確保しやすい。
【0093】
また、本実施形態では、X方向一方側接続部83PとX方向他方側接続部83Mの両方のX方向内側端が、Y方向に直線状に延びる直線縁部83X1,83X2とされている。そして、直線縁部83X1,83X2は、変形部80におけるY方向中央に位置し、かつ、Y方向の寸法が端80Eの寸法の90%以上とされている。このため、X方向一方側接続部83P及びX方向他方側接続部83Mをバランスよく大きく形成できるので、可動子14の支持が安定する。
【0094】
また、本実施形態では、図9に示すように、4つのアーム部82A,82B,82C,82Dの各々は、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部84を含んで構成されている。このため、アーム部82A,82B,82C,82Dが戻部84を含まない態様(図20参照)と比較して、アクチュエータS1全体を大型化せずともアーム部82A,82B,82C,82Dの長さを長くすることができる。
【0095】
また、本実施形態では、変形部80が分離されていない。換言すると、変形部80の各部分は、すべて互いに接続されている。例えば、Y方向一方側部81PとY方向他方側部81Mとは、各アーム部82A,82B,82C,82DやX方向一方側部83P、X方向他方側部83Mを介して接続されている。このため、耐久性の高い弾性支持体16となっている。
なお、本実施形態では、弾性支持体16は、変形部80だけではなく、取付部材側被固定部92及び可動子側被固定部94を含むすべてが一体に形成されている。
【0096】
また、本実施形態では、取付部材側被固定部92のY方向一方側端及びY方向他方側端は、終端80EよりもY方向外側に位置する。つまり、取付部材側被固定部92のY方向の長さが、終端80EのY方向の長さよりも長く、Y方向両側に延長されている。このため、取付部材12に対する弾性支持体16の固定領域を大きくでき、弾性支持体16の固定が安定する。
【0097】
また、本実施形態では、アクチュエータS1は、一対の立壁部41(「支持体固定部」)がX方向内側へ倒れるのを防止する低壁部42(「倒れ防止部」)を備える。このため、アクチュエータS1の耐久性が向上する。
特に、本実施形態では、図4に示すように、内側フレーム40の低壁部42は、立壁部41(「支持体固定部」)に対してX方向内側に配置され、弾性支持体16の変形部80と平面視において一部重なる位置まで形成されつつも、立壁部41よりも低く形成されている。このため、アクチュエータS1の耐久性が向上されると共に、低壁部42と弾性支持体16との干渉が防止されている。
【0098】
また、本実施形態では、図9に示すように、変形部80のY方向一方側端とY方向他方側端が、共に、X方向に直線状に延びる直線縁部80Y1,80Y2とされている。そして、直線縁部80Y1,80Y2は、Y方向接続部81(Y方向一方側接続部81PとY方向他方側接続部81Mとをそれぞれ単にY方向接続部81ということがある。)と、このY方向接続部81から分枝した2つのアーム部82A,82B(又は82C,82D)との一部を構成している。換言すると、直線縁部80Y1,80Y2は、X方向一方側のアーム部82A(又は82C)からY方向接続部81を跨いでX方向他方側のアーム部82B(又は82D)までX方向に延在している。このため、アクチュエータ全体の空間において、弾性支持体16を効率よく配置することができ、小型にも関わらず耐久性の優れたアクチュエータS1とすることができる。
【0099】
また、本実施形態では、変形部80のX方向寸法(すなわち、X方向一方側の終端80EからX方向他方側の終端80Eまでの寸法)X1の、変形部80のY方向の寸法Y1に対する比(X1/Y1)は、1.0~1.5倍(詳細には1.1倍~1.3倍)とされている。そして、変形部80に対してX方向外側において弾性支持体16が取付部材12に固定されている。その結果、アクチュエータS1は、平面視でX方向に長い形状とされている。
更に、本実施形態のアクチュエータS1は、外側フレーム20の形状や内側フレーム40の形状により、全体として直方体の形状とされている。直方体の形状のアクチュエータS1は、例えば円筒形状のアクチュエータと比較して、設置スペースに無駄が発生しづらく、効率的にアクチュエータS1及び他の部品を配置することができる。
【0100】
次に、弾性支持体16の構造とその効果について説明する。
【0101】
図22は、「緩衝材なし」の場合と「緩衝材あり」の場合について、アクチュエータS1に与えた振動の周波数(Frequency)と、アクチュエータS1の振動により取付対象物に発生した加速度(Acceleration)との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。ここで、「緩衝材あり」の場合とは、上記実施形態のように、2枚の板バネ材16Sの間に緩衝材16L(具体的には接着テープ)が挟まれた構造(「緩衝材あり」)の場合を意味し、「緩衝材なし」とは、金属製(例えばステンレス製)の板バネ材16Sのみで弾性支持体が構成された場合を意味する。但し、「緩衝材なし」は、正確には、「緩衝材あり」の場合の板バネ材16Sを2枚組み合わせたのと同じバネ定数となるように板厚を調整した一枚の板バネ材16Sのみで弾性支持体を構成した場合である。
【0102】
図22に示すように、弾性支持体を、一対の板バネ材16S間に緩衝材16Lが配置された構造することで、共振時の加速度レベルを抑えられることが判る。
【0103】
図23図24は、一対の板バネ材16S間に緩衝材16Lが配置された構造の弾性支持体とする場合において、温度条件を変えてシミュレーションした結果を示すグラフである。図23は、緩衝材16Lとしての接着テープにアクリル系粘着剤両面テープ(具体的には、ポリオレフィン系発泡体の層の両面にアクリル系粘着剤の層を有する3層構造の両面テープ)を用いた場合、図24は、緩衝材16Lとしての接着テープにシリコーン系粘着剤両面テープ(具体的には、シリコーンゴムの層の両面にシリコーン系粘着剤の層を有する3層構造の両面テープ)を用いた場合の結果を示す。
【0104】
これらの図に示すように、アクリル系粘着剤両面テープを用いた場合は、その温度依存性の高さにより、弾性支持体の振動特性にも温度依存性が顕著に出ている。一方、シリコーン系粘着剤両面テープを用いた場合は、その温度依存性の低さにより、弾性支持体の振動特性が温度に依存していない。このことから、緩衝材16Lにシリコーン系の部材を用いることで、環境温度に支配されずに特性を維持できる弾性支持体16とすることができるといえる。
【0105】
(ディスプレイ100)
図11は、第1実施形態のアクチュエータS1を備えるディスプレイ100を示している。
【0106】
ディスプレイ100は、液晶パネル等の表示部102を備える。表示部102は、タッチパネルとして構成される。表示部102の裏面102BにアクチュエータS1が固定される。具体的には、アクチュエータS1の接着シート66によって、アクチュエータS1の取付部材12が表示部102の裏面102Bに取り付けられる。なお、表示部102には、図11に示すように、複数(図では2つ)のアクチュエータS1が取り付けられてもよい。
【0107】
このようなディスプレイ100では、タッチパネルである表示部102の表面102Aに触れる使用者の指に対し、アクチュエータS1の制御による様々な触感を与えることができる。特に、本実施形態では、ディスプレイ100が備えるアクチュエータS1が小型化されているので、ディスプレイ100が備える他の構成(他の装置、配線など)の配置が容易である。
【0108】
〔第2実施形態〕
次に、図12図16を用いて、本開示の第2実施形態に係るアクチュエータS2について説明する。
【0109】
第2実施形態のアクチュエータS2が第1実施形態のアクチュエータS1と主に相違する点は、弾性支持体16の他に追加弾性支持体18を更に備える点である。他の実施形態と同様の構造、機能を有する構成については、図面に同じ符号を付してその説明は省略する。
【0110】
アクチュエータS2は、追加弾性支持体18を備える。追加弾性支持体18は、板厚方向を上下方向に向けた平板状の弾性体である。追加弾性支持体18は、弾性支持体16に対して下方側に設けられる。図14に示すように、追加弾性支持体18の可動子側被固定部194(図15参照)が、ヨーク72の垂下部72Sの下端に固定され、追加弾性支持体18の取付部材側被固定部92が、立壁部141の上下方向中間位置で固定される。
【0111】
追加弾性支持体18の平面図を図15に示す。
追加弾性支持体18の平面形状は、弾性支持体16の平面形状(図9参照)と概ね同一であるが、可動子側被固定部194においては、大きく異なっている。具体的には、追加弾性支持体18の可動子側被固定部194には、弾性支持体16の可動子側被固定部94に形成された基準孔94Kよりも大きな貫通孔194Aが形成されている。図14に示すように、この貫通孔194Aの内側に、コイル30が配置される。
【0112】
第2実施形態の内側フレーム140の立壁部41は、その上下方向の中間位置で追加弾性支持体18を固定するための追加固定部41Kを有する。具体的には、内側フレーム140は、第1実施形態と異なり、上部材40Uと下部材40Lとから構成されている。追加弾性支持体18は、上部材40Uと下部材40Lとに挟持された状態で固定される。図16に示すように、下部材40Lの上面40L1には、複数(本実施形態では3つ)のピン45がY方向に並んで設けられる。図14に示すように、上部材40Uの下面には、複数のピン45に対応する凹部46が形成される。複数のピン45が追加弾性支持体18の取付部材側被固定部92の貫通孔92Aに挿入されると共に、上部材40Uの凹部46に挿入される。
【0113】
下部材40Lは、立壁部41の一部を構成する部分と、低壁部42の一部を構成する部分と、を含んで構成される。また、上部材40Uも、立壁部41の一部を構成する部分と、低壁部42の一部を構成する部分と、を含んで構成される。
【0114】
図13に示すように、内側フレーム140の低壁部42は、立壁部41(「支持体固定部」)に対してX方向内側に配置されているが、第1実施形態(図4参照)と異なり、弾性支持体16の変形部80と平面視において重なる位置までは形成されない。追加弾性支持体18のアーム部82A,82B,82C,82Dと低壁部42とが、干渉しないようにするためである。
【0115】
追加弾性支持体18は、弾性支持体16と異なり、緩衝材16Lを備えていない。具体的には、追加弾性支持体18は、板バネ材18Sのみの一層構造とされている。
【0116】
<作用効果>
次に、第2実施形態の作用効果について説明する。
【0117】
本実施形態では、弾性支持体(弾性支持体16及び追加弾性支持体18)の変形部80が変形することで、可動子14は、取付部材12に対して所定の変位方向(±Z方向)に相対変位する。
そして、変形部80の終端80E(変形部80における取付部材側被固定部92側の端)は、可動子側被固定部94、194に対してX方向一方側の領域及び可動子側被固定部に対してX方向他方側の領域(以下「X方向外側領域」)に位置し、可動子側被固定部94とX方向で重なる領域(以下「X方向内側領域」)に位置しない。
このため、本実施形態においても、アクチュエータS2の小型化を図ることができる。
【0118】
また、本実施形態では、アクチュエータS2が追加弾性支持体18を備えるので、可動子14の変位(振動等)がより一層安定する。
【0119】
また、本実施形態では、弾性支持体16が緩衝材16Lを含んだ構造とされると共に、追加弾性支持体18が緩衝材16Lを含まない構成とされている。このため、緩衝材16Lを含んだ弾性支持体16によって良好な振動特性が得られる。また、追加弾性支持体18も緩衝材16Lを含んだ構成とされた態様と比較して、弾性支持体16が固定される内側フレーム140の上部材40Uの位置や姿勢が安定し、その結果、可動子14の変位(振動)が安定する。
但し、追加弾性支持体18を、弾性支持体16と同様に、緩衝材16Lを挟んだ構造に変更することで、制振性能を向上させることができる。
【0120】
(弾性支持体の変形例)
なお、上記実施形態では、「弾性支持体」として図9に示す弾性支持体16を説明したが、本開示の「弾性支持体」は、これに限定されない。以下、具体的に述べる。
【0121】
上記実施形態では、図9に示すように、Y方向一方側部81Pが、始端80Sを1つ有すると共に第1アーム部82Aと第2アーム部82Bの両方に接続されたY方向一方側接続部81Pであり、Y方向他方側部81Mは、始端80Sを1つ有すると共に第3アーム部82Cと第4アーム部82Dの両方に接続されたY方向他方側接続部81Mである例を説明したが、本開示の「弾性支持体」は、これに限定されない。例えば図17に示す弾性支持体116とされてもよい。
この弾性支持体116の変形部180では、Y方向一方側部81Pが2つに分離されており、その結果、Y方向一方側部81Pは、2つの始端80Sを有する。また、Y方向他方側部81Mも2つに分離されており、その結果、Y方向他方側部81Mも、2つの始端80Sを有する。そのため、Y方向一方側部81Pは、Y方向一方側接続部81P(図9参照)となっておらず、Y方向他方側部81Mは、Y方向他方側接続部81M(図9参照)となっていない。
【0122】
上記実施形態では、図9に示すように、X方向一方側部83Pが、終端80Eを1つ有すると共に第1アーム部82Aと第3アーム部82Cの両方に接続されたX方向一方側接続部83Pであり、X方向他方側部83Mは、終端80Eを1つ有すると共に第2アーム部82Bと第4アーム部82Dの両方に接続されたX方向他方側接続部83Mである例を説明したが、本開示の「弾性支持体」は、これに限定されない。例えば、図18に示す弾性支持体216とされてもよい。
この弾性支持体216の変形部280では、X方向一方側部83Pが2つに分離されており、その結果、X方向一方側部83Pは、2つの終端80Eを有する。また、X方向他方側部83Mも2つに分離されており、その結果、X方向他方側部83Mも、2つの終端80Eを有する。そのため、X方向一方側部83Pは、X方向一方側接続部83P(図9参照)となっておらず、Y方向他方側部83Mは、Y方向他方側接続部83M(図9参照)となっていない。
【0123】
上記実施形態では、図9に示すように、取付部材側被固定部92のY方向の長さが、終端80EのY方向の長さよりもY方向両側に延長されている例を説明したが、本開示の「取付部材側被固定部」は、これに限定されない。例えば、図19に示す弾性支持体316が有する取付部材側被固定部192であってもよい。
この弾性支持体316の取付部材側被固定部192は、境界部80EとY方向の位置が一致する本体部92Hのみから構成されており、本体部92Hに対してY方向外側に位置する延長部92E(図9参照)を備えていない。
【0124】
上記実施形態では、図9に示すように、4つのアーム部82A,82B,82C,82Dの各々が、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部84を含んで構成された例を説明したが、本開示の「アーム部」はこれに限定されない。例えば、図20に示す弾性支持体416が有するアーム部482A,482B,482C,482Dであってもよい。
弾性支持体416の変形部480のアーム部482A,482B,482C,482Dは、その伸長する方向がY方向内側かつX方向内側を向いた戻部84を備えていない。
【0125】
以上、各アーム部82A,82B,82C,82Dが、それぞれ1本のアームから構成されている例を説明したが、本開示の「アーム部」はこれに限定されない。例えば、図示は省略するが、2本以上のアームから各アーム部82A,82B,82C,82Dが構成されていてもよい。
【0126】
〔補足説明〕
なお、上記実施形態では、「コイル」が平面視で円形のコイル30である例を説明したが、本開示の「コイル」はこれに限定されず、平面視で矩形やその他の多角形状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、一方側内側フレーム40と他方側内側フレーム40とが別体である例を説明したが、一方側内側フレーム40と他方側内側フレーム40とが一体とされてもよい。具体的には、一方側内側フレーム40の低壁部42と他方側内側フレーム40の低壁部42とがX方向内側に延ばされて接続されていてもよい。X方向に対向する各低壁部42を接続して、各内側フレーム40を一体化することで、組み立て時のフレームの取り扱い性が向上し、さらに、倒れ防止機能を向上できる。
【0128】
また、上記実施形態では、外側フレーム20が、金属製の板材から製造され、樹脂製の内側フレーム40とは別体として形成される例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、外側フレーム20は、樹脂製とされてもよい。更にこの場合、外側フレーム20と内側フレーム40とを樹脂成形により一体に形成してもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、ディスプレイ100における表示部102にアクチュエータS1を取り付ける例を説明したが、アクチュエータS1を取り付ける部分や装置は、特に限定されない。
【0130】
日本出願である特願2019-047331の開示は、その全体が参照により、本明細書中に取り込まれる。
【符号の説明】
【0131】
S1,S2 アクチュエータ
12 取付部材
14 可動子
16,116,216,316,416 弾性支持体
20 外側フレーム
21 底板部(コイル固定部)
30 コイル
40 内側フレーム
41 立壁部(支持体固定部)
42 低壁部(倒れ防止部)
74 マグネット
80,180,280,480 変形部
80S 始端
80E 終端
81P Y方向一方側接続部(Y方向一方側部)
81M Y方向他方側接続部(Y方向他方側部)
82A,482A 第1アーム部
82B,482B 第2アーム部
82C,482C 第3アーム部
82D,482D 第4アーム部
83P X方向一方側接続部(X方向一方側部)
83M X方向他方側接続部(X方向他方側部)
84 戻部
92,192 取付部材側被固定部
92H 本体部
92E 延長部
94,194 可動子側被固定部
100 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24