(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20220817BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220817BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20220817BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220817BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220817BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/49
A61K8/60
A61K8/06
A61Q17/04
A61Q1/02
(21)【出願番号】P 2019518260
(86)(22)【出願日】2017-10-09
(86)【国際出願番号】 EP2017075598
(87)【国際公開番号】W WO2018069207
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】デエー, シリル
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー, ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, アン
【審査官】山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-531842(JP,A)
【文献】特開2009-120638(JP,A)
【文献】特開2001-048764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性分散液であって、
(i)前記水性分散液の総重量に基づいて30~70重量%の、200nm未満の、光散乱によって決定される平均粒径分布Dv50を有する有機不溶性UV吸収体、
(ii)前記水性分散液の総重量に基づいて2~15重量%のC
8~10アルキルポリグルコシド、
(iii)前記水性分散液の総重量に基づいて0~3重量%の少なくとも1つの添加剤、および
(iv)前記水性分散液の総重量に基づいて25~60重量%の水
を含み、
C
12~16アルキルポリグルコシドが非存在であり、
前記C
8~10アルキルポリグルコシドは、2:1~1:2の範囲のカプリリル(C
8)モノグルコシド対カプリル(C
10)モノグルコシドの比(%/%)を有することを特徴とする、水性分散液。
【請求項2】
前記有機不溶性UV吸収体は、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールまたは2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジンであることを特徴とする、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記少なくとも1つの添加剤は、湿潤剤、シックナー、および消泡剤ならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性分散液。
【請求項4】
前記少なくとも1つの添加剤は、プロピレングリコール、ケイ素泡止め剤、キサンタンガム、およびジェランガムならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性分散液。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の水性分散液および少なくとも1つの無機マイクロ顔料を含
み、C
12~16
アルキルポリグルコシドが非存在である化粧品組成物であって、前記少なくとも1つの無機マイクロ顔料の量(合計)は、前記化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~40重量%の範囲で選択されることを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項6】
前記化粧品組成物における前記水性分散液の量は、前記化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~20重量%の範囲で選択されることを特徴とする、請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記無機マイクロ顔料は、無機UVフィルターまたは着色剤であることを特徴とする、請求項5または6に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記無機マイクロ顔料は、少なくとも1つのコーティングでコーティングされた二酸化チタンであることを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記二酸化チタンは、内側の水酸化アルミニウムまたは無機シリカコーティングと、シメチコン、メチコン、ジメチコン、ポリシリコーン-15、セチルリン酸、ステアリン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される外側の有機コーティングと、を有する二重コーティング二酸化チタンであることを特徴とする、請求項8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記着色剤は、0.001~150μmの範囲で選択される粒径を有する酸化鉄または二酸化チタンであることを特徴とする、請求項7に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記化粧品組成物は、水性相中に分散した油性相を含む水中油型(O/W)エマルションであることを特徴とする、請求項5~10のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
前記化粧品組成物は、日焼け止めまたはメーキャップ組成物もしくはファンデーション組成物であることを特徴とする、請求項5~11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、水、ナノサイズの有機不溶性UVフィルター、およびC8~10アルキルポリグルコシドからなる水性分散液ならびに少なくとも1つの無機マイクロ顔料と組み合わせた前記分散液を含む化粧品組成物であって、前記化粧品組成物は、いかなるC12~16アルキルポリグルコシドも実質的にないことを特徴とする化粧品組成物に関する。
【0002】
Tinosorb(登録商標)Mは、極微小粒子技術を使用し、かつマイクロ顔料およびUV吸収体の両方として作用する有機UVフィルターである。それは、水中メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの分散液として販売されており、粒子は、C8~C16アルキルポリグルコシドからなるデシルグルコシドによって安定化される。Tinosorb(登録商標)Mは、日焼け止めだけではなく、デイケアおよび肌の色を明るくする製品においても広く使用される。しかしながら、Tinosorb(登録商標)Mの欠点は、化粧品組成物中での無機マイクロ顔料とのその組み合わせによって、化粧品産業ではまったく望まれない、前記組成物の望まれない「カッテージチーズ」のような見た目が引き起こされることが多いことである。
【0003】
したがって、無機マイクロ顔料と組み合わせて化粧品組成物の中に容易に組み込むことができ、かつ上記に述べられる欠点を克服する、ナノサイズのメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの安定した水性分散液の必要が続いている。
【0004】
驚いたことに、粒子がC8~10アルキルポリグルコシドによって安定化されるナノサイズのメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの水性分散液が、分散液に次いで、少なくとも1つの無機マイクロ顔料を含む美的に訴える組成物の製剤を可能にすることがわかった。
【0005】
したがって、第1の実施形態では、本発明は、
(i)水性分散液の総重量に基づいて30~70重量%、好ましくは40~60重量%のナノサイズの有機不溶性UV吸収体、
(ii)水性分散液の総重量に基づいて2~15重量%、好ましくは5~10重量%のC8~10アルキルポリグルコシド、
(iii)水性分散液の総重量に基づいて0~3重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1つの添加剤、および
(iv)水性分散液の総重量に基づいて25~60重量%、好ましくは30~45重量%の水
から本質的になる水性分散液(I)に関する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1つの無機マイクロ顔料および水性分散液(I)を含む化粧品組成物であって、化粧品組成物は、いかなるC12~16アルキルポリグルコシドも実質的にないことを特徴とする化粧品組成物に関する。
【0007】
さらに、本発明は、化粧品組成物においてかつあらゆるC12~16アルキルポリグルコシドの非存在下において、ナノサイズの有機不溶性UV吸収体および無機マイクロ顔料の混合物を安定化するためのC8~10アルキルポリグルコシドの使用に関する。
【0008】
そのうえ、本発明は、化粧品組成物においてナノサイズの有機不溶性UV吸収体および無機マイクロ顔料の混合物を安定化するための方法であって、前記方法は、C8~10アルキルポリグルコシドの追加および前記組成物へのあらゆるC12~16アルキルポリグルコシドの追加の除外を含む方法に関する。
【0009】
さらなる実施形態では、本発明は、化粧品組成物の調製のための方法であって、前記方法は、少なくとも1つの無機マイクロ顔料および分散液(I)を美容的に許容され得るキャリヤと混ぜるステップを包含する、ただし、C12~16アルキルポリグルコシドは混ぜないおよび/または前記組成物において存在しないことを条件とする方法に関する。
【0010】
用語「から本質的になる」は、本発明によって使用されるように、成分(i)~(iv)の量が合計100重量%になることを意味する。しかしながら、たとえば、成分(i)~(iv)のそれぞれの原料を介して導入される少量の不純物または添加剤が存在してもよいことを除くものではない。
【0011】
用語「いかなるC12~16アルキルポリグルコシドも実質的に(すなわち本質的に)ない」は、本明細書において定義されるように、本発明の組成物が、化粧品組成物の総重量に基づいて特に0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、最も好ましくは0.01%以下などのように、特に0.005重量%以下などのように、測定できる量のC12~16アルキルポリグルコシド、特に、無機マイクロ顔料と組み合わせて有害作用を引き起こす量を含有しないことを意味する。
【0012】
用語「不溶性の」は、本明細書において使用されるように、UV吸収体を指し、これは、0.01重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、最も好ましくは0.03重量%未満の、たとえばC12~15アルキルベンゾエート、プロピレングリコール、鉱油などのような一般的な化粧用油における、それだけではなく水におけるRT(すなわち約22℃)での溶解度を示す。
【0013】
用語「添加剤」は、本明細書において使用されるように、特に湿潤剤、消泡剤、およびシックナーならびにそれらの混合物などのような、ナノサイズの有機不溶性UV吸収体の水性分散液の調製において一般的に使用される添加剤を指す。
【0014】
本発明による特に適した湿潤剤は、(ポリ)プロピレングリコールおよび/またはブチレングリコールならびにそれらの混合物を包含する。最も好ましくは、本発明のすべての実施形態において、湿潤剤は、プロピレングリコールである。そのような湿潤剤は、好ましくは、分散液の総重量に基づいて0.1~1重量%の範囲で選択される量(合計)で、より好ましくは0.2~0.6重量%の量で、分散液(I)において存在する。
【0015】
本発明による特に適した消泡剤は、シリコーン油、特にポリジメチルシロキサンおよび/またはケイ素泡止め剤など、特にシリコーン油中発熱性または疎水化シリカの無水分散液など、特にシメチコンなどを包含する。最も好ましくは、本発明のすべての実施形態において、消泡剤は、シメチコンである。そのような消泡剤は、好ましくは、分散液の総重量に基づいて0~1重量%の範囲で選択される量(合計)で、より好ましくは0.01~0.2重量%の量で分散液(I)において存在する。
【0016】
本発明による特に適したシックナーは、キサンタンガム、ジェランガム、および/またはカルボキシメチルセルロースを包含する。最も好ましくは、本発明のすべての実施形態において、シックナーは、キサンタンガムまたはジェランガムである。そのようなシックナーは、好ましくは、0.1~1重量%の範囲で選択される量(合計)で、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で分散液(I)において存在する。
【0017】
1つまたはそれ以上の添加剤が水性分散液(I)において存在してもよいことは十分に理解される。特定の有利な一実施形態では、少なくとも1つのシックナーおよび少なくとも湿潤剤が、水性分散液(I)において存在する。最も好ましくは、水性分散液(I)は、添加剤として、プロピレングリコールおよびキサンタンガムまたはジェランガムから選択される1つのシックナーを含有する。
【0018】
好ましくは、本発明のすべての実施形態において、不溶性有機UV吸収体は、2,2’-メチレン-ビス-(6(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール[INCI:メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、CAS 103597-45-1]および2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン(INCI:トリス-ビフェニルトリアジン、CAS 31274-51-8)からなる群から選択される。最も好ましくは、本発明のすべての実施形態において、不溶性有機UV吸収体は、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールである。
【0019】
本発明のすべての実施形態において、ナノサイズの不溶性有機UV吸収体は、200nm未満の、より好ましくは50~150nmの範囲の、最も好ましくは75~125nmの範囲の、特に80~110nmの範囲などの、光散乱によって(すなわち光子相関分光法(Photon Correlation Spectroscopy)(PCS)によって)決定される平均粒径分布Dv50を有することがさらに好ましい。特定の有利な一実施形態では、ナノサイズの不溶性有機UV吸収体は、50~80nmの範囲のDv10、75~125nmの範囲のDv50、および140~180nmの範囲のDv90ならびにさらにより好ましくは55~75nmの範囲のDv10、80~110nmの範囲のDv50、および150~175nmの範囲のDv90を示す。本明細書において示される粒径は、好ましくは3mg/mlの濃度レベルで、Beckman Coulter Delsa Nano Sを使用して、超純水(精製されたMili-Q)などのような水中のナノサイズの不溶性有機UV吸収体の懸濁液において一般に決定される。
【0020】
用語「アルキルポリグルコシド(APG)」は、一般式CnH2+nO(C6H10O5)xHを有する一種の非イオン性界面活性剤を指し、nは、2~22の範囲で選択される整数であり、xは、グルコシド成分の平均重合レベルを(すなわち、それぞれのモノ、ジ、トリ、オリゴ、およびポリグルコシドならびにそれらの混合物を)指す。これらのAPGは、家庭でのおよび産業上の利用において広く使用される。それらは、一般に、コーンに由来するグルコースおよび植物由来の脂肪アルコールなどのような再生可能な原料に由来する。これらのアルキルポリグルコシドは、一般に、1~1.7の、好ましくは1.2~1.6の、1.4~1.6などの範囲にわたる、グルコシド成分の平均重合レベルを示す。
【0021】
グルコシド成分のさらに有利な平均重合レベルは、1.1~1.6、1.1~1.4または1.1~1.3などの範囲にわたる。グルコシド成分のさらなる有利な平均重合レベルは、1.2~1.7、それぞれ1.4~1.6の範囲にわたる。
【0022】
本発明による特に有利なC8~10アルキルポリグルコシドは、カプリリル(C8)およびカプリル(C10)ポリグルコシドから本質的になる。好ましくは、そのようなカプリリル(C8)およびカプリル(C10)ポリグルコシドは、3:1~1:3の範囲の、好ましくは約2:1~1:2の範囲の、最も好ましくは1.5:1~1:1.5の範囲のカプリリル(C8)モノグルコシド対カプリル(C10)モノグルコシドの比(%/%、%はすべて、HPLC-MSによって決定される面積%である)をさらに示す。そのうえ、そのようなC8~10アルキルポリグルコシドは、好ましくは、3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1.5重量%以下のC12アルキルモノグルコシドを(HPLC-MSによって決定される)含有する。そのようなアルキルポリグルコシドは、基本的に、いかなるより高次の(すなわちC14~16)アルキルポリグルコシドもない(すなわち含有しない)ことが理解される。
【0023】
したがって、有利な一実施形態では、本発明はまた、C8~10アルキルポリグルコシドが、2%以下のC12アルキルモノグルコシドを含有する本発明による化粧品組成物にも関する。好ましくは、C8~10アルキルポリグルコシドは、そのうえ、C14~16アルキルポリグルコシドを全く含有しない。
【0024】
さらに、カプリリル(C8)およびカプリル(C10)ポリグルコシドから本質的になる本発明によるC8~10アルキルポリグルコシドは、たとえばHPLC-MSによって決定されるように、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、最も好ましくは少なくとも70%のそれぞれのモノグルコシドを好都合に含有する。
【0025】
本発明によるC8~10アルキルポリグルコシドは、いかなるC9アルキルポリグルコシドも実質的に(本質的に)ない、すなわち、C9アルキルポリグルコシドを本質的に含有しないことがさらに好ましい。これは、C8~10アルキルポリグルコシドにおける任意のC9アルキルポリグルコシドの量が、C8~10アルキルポリグルコシドの総重量に基づいて0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、最も好ましくは0.01%未満、特に0.005重量%未満などであることを意味する。
【0026】
本発明による特に有利なC8~10アルキルポリグルコシドは、コーンに由来するグルコースならびにココナッツ油およびパーム核油に由来するC8およびC10脂肪アルコールから作製され、これは、たとえば、Shanghai Fine Chemicalによって商標Green APG 0810の下で水性分散液として販売されている。
【0027】
本発明による特定の有利な水性分散液(I)は、
(i)50~150nmの範囲の光散乱によって決定されるDv50を有する、水性分散液の総重量に基づいて45~55重量%のナノサイズのメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、
(ii)水性分散液の総重量に基づいて5~10重量%のC8~10アルキルポリグルコシド、
(iii)a)0.1~0.7重量&のプロピレングリコール、
b)0.1~0.7重量%のジェランガムまたはキサンタン、および
(iv)水性分散液の総重量に基づいて35~45重量%の水
からなる水性分散液(II)である。
(本明細書において示される定義および選択はすべて、分散液(II)にも適用されることが十分に理解される)。
【0028】
本発明による水性分散液は、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~20重量%の量で、好ましくは0.5~10重量%の量で、最も好ましくは1~5重量%の量で、本発明による化粧品組成物の中に好都合に組み込まれる。
【0029】
無機マイクロ顔料は、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~40重量%の範囲で選択される総量で、好ましくは1~30重量%の範囲で選択される量で、本発明による化粧品組成物の中に好都合に組み込まれる。
【0030】
本発明のすべての実施形態における特に適した無機マイクロ顔料は、無機UVフィルターまたは着色剤のいずれかとして化粧品において従来から使用されている金属粉末、金属酸化物、または金属水酸化物である。本発明による例示的な無機マイクロ顔料は、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化鉄(α-Fe2O3、γ-Fe2O3、Fe3O4、FeO)、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水酸化鉄、(二)酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、および酸化亜鉛ならびに鉄チタン、コバルトチタン、およびアルミン酸コバルトなどのような複合酸化物および複合水酸化物を包含する。
【0031】
本発明による無機マイクロ顔料は、任意選択で、たとえば、ビヒクルにおいて粒子をより疎水性にするまたはより分散性にするために、表面処理されてもよい。
【0032】
本発明による特に好ましい無機マイクロ顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化鉄からなる群から、最も好ましくは二酸化チタンおよび酸化鉄ならびにそれらの混合物から選択される。
【0033】
特定の有利な一実施形態では、無機マイクロ顔料は、特に二酸化チタンまたは酸化亜鉛UVフィルターなどのような日焼け止め組成物の中への組み込みに主として有用な粒径を有する無機UVフィルターである。
【0034】
これらの無機UVフィルターは、好ましくは、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~20重量%の範囲で、好ましくは0.5~10重量%の範囲で、より好ましくは1~10重量%の範囲で選択される量(合計)で使用される。
【0035】
好ましくは、本発明のすべての実施形態において、約2nm~100nm、好ましくは約5~50nmの平均一次粒径および約0.05~50μm、好ましくは約0.1~1μmの二次粒径を有する二酸化チタンUVフィルターが、使用される。
【0036】
二酸化チタンUVフィルターの結晶形は、任意の結晶または無定形のタイプであってもよい。たとえば、二酸化チタンは、無定形、ルチル、アナターゼ(anastase)、板チタン石、またはそれらの混合物のうちの任意のタイプであってもよい。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明によって使用される二酸化チタンUVフィルターは、少なくとも1つのコーティングで、特に水酸化アルミニウム、ポリオール、シリカ、メチコンもしくはジメチコンなどのようなシリコーン油、またはアルキルシランなどでコーティングされる。そのようなコーティングは、当技術分野においてよく知られている。本発明による適した市販で入手可能な単一コーティング二酸化チタンは、たとえばUvinul(登録商標)TiO2(INCI:トリメトキシカプリリルシランおよび二酸化チタン、BASF製)またはEusolex(登録商標)T-Avo(INCI:二酸化チタン、シリカ、Merck製)として入手可能である。
【0038】
本発明のより詳細な実施形態では、二酸化チタンUVフィルターは、しかしながら、二重コーティング二酸化チタンであり、これは、さらによい結果をもたらす。そのような二重コーティング二酸化チタンは、好ましくは、無機シリカまたは水酸化アルミニウムから選択される内側のコーティングおよび外側の有機コーティングを有する(二重コーティング二酸化チタンと呼ばれる)。好ましくは、外側の有機コーティングは、シリコーン油(たとえばシメチコン、メチコン、ジメチコン、ポリシリコーン-15)、アルキルシラン、特にステアリン酸などのようなオレフィン酸、特にグリセロールなどのようなポリオール、または特にセチルリン酸などのような有機ホスホン酸から選択される。
【0039】
そのような二重コーティング二酸化チタンでは、内側のコーティングは、好ましくは、非コーティング二酸化チタンの重量に基づいて最低0.5重量%、より好ましくは0.5~50重量%、最も好ましくは1~20重量%からなる。
【0040】
外側のコーティング層は、好ましくは、非コーティング二酸化チタンの重量に基づいて最低0.25重量%、好ましくは0.5~50重量%、最も好ましくは0.5~10重量%の有機コーティングからなる。
【0041】
そのような二重コーティング二酸化チタンナノ粒子は、最新技術によって調製することができるまたはPARSOL(登録商標)TX(INCI:二酸化チタン、シリカ、ジメチコン、DSM Nutritional Products製)としてまたはUV-Titan X195(シリカでコーティングされ、シリコーン油(すなわちメチコン)で処理、Merck製)もしくはTayca MT-100TV(二酸化チタン(および)水酸化アルミニウム(および)ステアリン酸)として市販で入手可能である。
【0042】
他の通常の有機コーティングは、そのうえ、多重コーティング(たとえば三重コーティングなど)二酸化チタンを得るために存在することができる。他のコーティングは、第2の外側のコーティングの前に、その後に、またはそれと一緒に適用することができる。使用することができる他のさらなるコーティングは、ステアリン酸、シリコーン(トリエトキシカプリリルシランなどのようなシラン誘導体またはメチコン、ジメチコン、シメチコンなどのようなシロキサン誘導体)などのような有機コーティングを含む。
【0043】
本発明のすべての実施形態において、二酸化チタンUVフィルターは、最も好ましくは、内側の無機シリカコーティングを有する二重コーティング二酸化チタンであり、外側のコーティングは、シメチコン、メチコン、ジメチコン(ポリジメチルシロキサンとしても知られている)、ポリシリコーン-15、ステアリン酸、グリセロール、およびそれらの混合物、特にメチコン、ジメチコン、ステアリン酸の混合物、またはそれらの混合物からなる。最も好ましくは、外側のコーティングは、メチコンまたはジメチコン、特にジメチコンからなる。本発明による最も好ましい二酸化チタンUVフィルターは、シリカ(内側のコーティング)によりコーティングし、外側のコーティングとして、特にメチコン(UV-Titan X195)またはジメチコン(PARSOL(登録商標)TX)などのようなシリコーン油により処理した二酸化チタングレードであるHuntsmanのUV-Titan X195および/またはDSM Nutritional productsのPARSOL(登録商標)TXである。特に、DSM Nutritional productsのPARSOL(登録商標)TXは、本発明による組成物において二酸化チタンUVフィルターとして使用される。
【0044】
別の有利な実施形態では、無機マイクロ顔料は、メーキャップ組成物および/またはファンデーション組成物などのような装飾化粧品において従来から使用される着色剤である。本発明による特に適した無機着色剤は、二酸化チタン、酸化ジルコニウムもしくは酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色、もしくは赤色)、または酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、水酸化クロム、およびフェリックブルー(ferric blue)、またはアルミニウム粉末もしくは銅粉末などのような金属粉末である。
【0045】
存在する場合、これらの無機着色剤の量(合計)は、好ましくは、化粧品組成物の総重量に基づいて1重量%~40重量%の範囲で、好ましくは2重量%~30重量%の範囲で、より好ましくは5重量%~15重量%の範囲で選択される。
【0046】
鉄および二酸化チタン着色剤の結晶形は、その目的に適した任意の結晶または無定形のタイプであってもよい。たとえば、二酸化チタンは、無定形、ルチル、アナターゼ、板チタン石、またはそれらの混合物のうちの任意のタイプであってもよい。酸化鉄着色剤の粒子の形状は、任意の針状、球状、または立方体の形状およびそれらの混合物であってもよい。
【0047】
本発明による特に好ましい無機着色剤は、約0.001~150μm、好ましくは約0.002~100μm、より好ましくは約0.02~50μmの範囲にわたる粒径を有する酸化鉄および二酸化チタンからなる群から選択される。そのような無機着色剤は、当業者によく知られており、たとえば、Sensientの商標UNIPUREの下で市販で入手可能である。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明によって使用される酸化鉄および二酸化チタン着色剤は、アルキルシラン、たとえばトリエトキシカプリリルシランにより、シリコーン油、たとえばジメチコンもしくはメチコンにより、有機チタン酸により、ならびに/または天然の表面処理、たとえばポリヒドロキシステアリン酸、ステアロイルグルタミン酸、水添レシチン、ホホバエステル、およびグリセロリン酸ナトリウムによりなど、有機コーティングにより表面処理される。そのようなコーティング無機着色剤は、当業者によく知られており、たとえば、Sensientの商標UNIPUREの下でまたはKOBO、Merckの着色剤についての製品群から市販で入手可能である。
【0049】
本発明によるファンデーション組成物および/またはメーキャップ組成物に特に適した無機着色剤は、任意選択で、SensientのUNIPURE LC 981 AS-EMなどのような、参照CI 77891の下でカラーインデックスに列挙される表面処理された二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)を含む。本発明によるファンデーション組成物および/またはメーキャップ組成物にさらに適した無機着色剤は、SensientのUnipure RED LC381などのような、参照CI 77499、77492、および77491の下でカラーインデックスに列挙される、任意選択で表面処理される、黒色、黄色、赤色、および茶色の酸化鉄を含む。
【0050】
本発明による化粧品組成物は、局所適用が意図され、これは、特に皮膚などのような、ケラチン性の物質に対する外部適用として理解されるべきである。
【0051】
本発明による化粧品組成物は、局所適用が意図されるように、それらは、生理学的に許容され得る媒体、すなわち皮膚、粘膜、およびケラチン性の線維などのようなケラチン性の物質と適合性の媒体を含む。特に、生理学的に許容され得る媒体は、美容的に許容され得るキャリヤである。
【0052】
本明細書において使用される用語「美容的に許容され得るキャリヤ」は、ケラチン性の物質と適合性の生理学的に許容され得る媒体を指す。適したキャリヤは、当技術分野においてよく知られており、一般の利用者の適用に基づいて選択される。好ましくは、本発明のキャリヤは、皮膚への適用に適している(たとえばクリーム、ミルク、ローション、マスク、セラム、ハイドロディスパージョン、ファンデーション、クリームゲル、もしくはゲルなどの形態で)。そのようなキャリヤは、当業者によく知られており、皮膚への適用に適した、1つまたはそれ以上の適合性の液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、補助剤、添加剤、またはビヒクルを含むことができる。
【0053】
本発明の化粧品組成物中に使用するのに適した、スキンケア産業においてよく使用される美容のための賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤、および活性成分の例は、たとえば、オンラインINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によってアクセスできる、パーソナルケア製品評議会(Personal Care Product Council)(http://www.personalcarecouncil.org/)によるInternational Cosmetic Ingredient Dictionary&Handbookにおいて記載されるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明による組成物のための特に適した賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤は、C12~15アルキルベンゾエートなどのような化粧用油、セチルアルコール、セテアリルアルコール、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、セバシン酸ジイソプロピル、フェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン(Shuelke&MayrのEuxyl PE 9010)、パラベン(Schuelke&MayrのEuxyl K 300)などのような保存剤;たとえばキサンタンガム(KelcoのKeltrol CGT)などのような多糖などのような水性相に対する粘稠化剤;たとえばセルロースガム(SE TyloseのTylose CG 200)などのような生体高分子;たとえばケイ酸マグネシウムアルミニウム(VanderbiltのVeegum)などのような鉱物シックナー(mineral thickener)、たとえばカルボマー(LubrizolのCarbopol 980)などのような合成ポリマー、UVフィルター、香気、ならびにたとえばグリセリンおよびプロピレングリコールなどのような湿潤剤である。
【0055】
本発明に従って、本発明による組成物はまた、化粧品組成物において従来から使用されるさらに美容的に活性な成分を含んでいてもよい。例示的な活性成分は、肌の色を明るくする薬剤、UVフィルター、色素沈着過度の処置のための薬剤、炎症の予防もしくは低下のための薬剤、安定剤、加湿剤、鎮静剤、および/または賦活剤ならびに弾性および皮膚バリアを改善するための薬剤を包含する。
【0056】
活性成分および賦形剤、希釈剤、補助剤、添加剤などの必要な量は、所望の産物の形態および適用に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。さらなる成分は、適切であると考えられるように、油性相、水性相に、または別々に追加することができる。
【0057】
本明細書において有用な美容的に活性な成分は、いくつかの場合において、1つを超える利点を提供することができるまたは1つを超える作用様式を介して作用することができる。
【0058】
当然、当業者は、本発明に従う組み合わせと本質的に関連する有利な特性が、想定される追加によって悪影響を与えられないまたは実質的に悪影響を与えられないように、上記に言及される任意選択のさらなる成分、補助剤、希釈剤、および添加剤ならびに/またはそれらの量を選択するように注意するであろう。
【0059】
本発明による化粧品組成物は、本発明による水性分散液および無機マイクロ顔料を適した賦形剤、希釈剤、補助剤、および/または添加剤と混合することによって典型的に調製される。所望の場合、活性成分は、そのうえ、本発明による化粧品組成物に追加することができる。
【0060】
特に好ましい実施形態では、本発明による化粧品組成物は、有害なUV放射からの皮膚の保護のための日焼け止め組成物または均一な「ベースとなる」皮膚の色を提供するためのメーキャップ組成物および/もしくはファンデーション組成物である。
【0061】
本発明による組成物、特に日焼け止め組成物は、好ましくは、UV-Aおよび/またはUV-B領域において活性である少なくとも1つのさらなる有機UVフィルター物質(光遮蔽剤)(吸収体)を含み、そのようなUVフィルター物質は、一般的に使用される化粧品溶媒において水溶性、脂溶性、または不溶性である。
【0062】
本発明による化粧品組成物の中に組み込まれる特に有利なUVA、UVB、および/または広域スペクトルUVフィルター物質は、たとえばブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(登録商標)1789)などのようなジベンゾイルメタン誘導体;たとえばオクトクリレン(PARSOL(登録商標)340)などのようなアクリル酸;たとえば4-メチルベンジリデンカンファー(PARSOL(登録商標)5000)またはテレフタリリデンジカンフルスルホン酸(Mexoryl(登録商標)SX)などのようなカンファー誘導体;たとえばメトキシケイ皮酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)MCX)またはメトキシケイ皮酸イソアミルなどのようなケイ皮酸誘導体;たとえばpアミノ安息香酸またはp-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシルなどのようなpアミノ安息香酸誘導体;たとえばベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシ-ベンゾフェノン、または2,2’-ジヒドロキシー-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなどのようなベンゾフェノン;たとえばジ-(2-エチルヘキシル)4-メトキシベンザルマロネートなどのようなベンジリデンマロン酸のエステル;たとえばポリシリコーン-15(PARSOL(登録商標)SLX)またはドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl(登録商標)XL)などのような発色団基を持つオルガノシロキサン化合物;たとえば2-フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸などのようなイミダゾール誘導体およびたとえばそのナトリウム塩またはカリウム塩(PARSOL(登録商標)HS)などのようなそれらの塩;たとえばサリチル酸エチルヘキシル(PARSOL(登録商標)EHS、Neo Heliopan(登録商標)OS)、サリチル酸イソオクチル、またはホモサレート(PARSOL(登録商標)HMS、Neo Heliopan(登録商標)HMS)などのようなサリチル酸誘導体;たとえば、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul(登録商標)T-150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB)、ビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(Tinosorb(登録商標)S)、またはトリス-ビフェニルトリアジン(2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、Tinosorb(登録商標)A2B)などのようなトリアジン誘導体;たとえばカプセル化メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(Eusolex(登録商標)UV-pearls)などのようなカプセル化UVフィルター;たとえばジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(アミノベンゾフェノン、Uvinul(登録商標)A Plus)などのようなアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン;たとえば2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン(Uvasorb(登録商標)K2A)などのようなベンゾキサゾール誘導体;フェニレン-1,4-ビス-ベンゾイミダゾールスルホン酸またはたとえばジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルフォネート(2,2-(1,4-フェニレン)ビス-(1H-ベンズイミダゾール-4,6-ジスルホン酸、Neoheliopan(登録商標)AP)などのようなそれらの塩;1,1’(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン(CAS No.919803-06-6);ならびにビス(ブチルベンゾアート)ジアミノトリアジンアミノプロピルトリシロキサン(CAS No.207562-42-3)である。
【0063】
本発明による化粧品組成物の中に組み込まれる好ましいUVBフィルター物質は、ポリシリコーン-15、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、オクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、トリス-ビフェニルトリアジン、および/またはホモサレートを包含する。
【0064】
本発明による化粧品組成物の中に組み込まれる好ましい広帯域UVフィルター物質は、特にビス-エチルヘキシロキシフェノールメトキシフェニルトリアジンなどのような非対称sトリアジン誘導体および/またはたとえば2-ヒドロキシ-4-メトキシ-ベンゾフェノンなどのようなある種のベンゾフェノンを包含する。
【0065】
本発明による化粧品組成物の中に組み込まれる好ましいUVAフィルター物質は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2,4-ビス-[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル-(4-フェニル)-イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)-イミノ-1,3,5-トリアジン、および/またはジナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルフォネート、特にブチルメトキシジベンゾイルメタンおよび/またはジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを包含する。
【0066】
局所日焼け止めエマルションがブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む場合、それらは、そのうえ、ブチルメトキシジベンゾイルメタンに適した少なくとも1つの光安定剤を好都合に含有する。ブチルメトキシジベンゾイルメタンを光安定化する(photostabilize)ことができることが当業者に知られている、上記に列挙される特定のUVフィルターに加えて、さらなる例示的な光安定剤は、ポリエステル8(Polycrylene(登録商標));メトキシクリレン(Solastay);マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン(Oxynex ST liquid);ジエチルヘキシルナフタレート(Corapan TQ)、およびベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(Tinogard(登録商標)TL)を包含するが、これらに限定されない。そのような光安定剤についての概要は、たとえば参照によって本明細書に含まれる‘SPF Boosters&Photostability of Ultraviolet Filters’,HAPPI,October 2007,p.77-83において示される。これらの光安定剤は、局所日焼け止めエマルションの総重量に関して0.05~10重量%の量で一般に使用される。
【0067】
本発明による組成物におけるさらなるUVフィルター物質の総量は、化粧品組成物の総重量に基づいて0.1~40重量%の範囲で、より好ましくは0.2~20重量%の範囲で、最も好ましくは0.5~15重量%の範囲で好ましくは選択される。
【0068】
本発明による組成物は、溶媒もしくは脂肪性の物質において懸濁液もしくは分散液の形態をしていてもよいまたはその代わりにエマルションもしくはマイクロエマルション(特に水中油型(O/W)もしくは油中水型(W/O)のタイプ、水中シリコーン型(Si/W)もしくはシリコーン中水型(W/Si)のタイプ、PITエマルション、多重エマルション(たとえば油中水中油型(O/W/O)もしくは水中油中水型(W/O/W)のタイプ)、ピッカリングエマルション、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル(lipogel)、一相もしくは多相溶液、または気泡分散液の形態または他の通常の形態をしており、これらはまた、ペンによって、マスクとして、またはスプレーとして適用することができる。
【0069】
組成物が、特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/W多重エマルション、またはピッカリングエマルションなどのようなエマルションである場合、そのような化粧品エマルション中に存在する油性相の量は、組成物の総重量に基づいて10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲などのように、好ましくは少なくとも10重量%である。
【0070】
一実施形態では、本発明による組成物は、好都合に、O/W乳化剤の存在下において水性相中に分散した油性相を含む水中油型(O/W)エマルションの形態をしている。そのようなO/Wエマルションの調製は、当業者によく知られている。
【0071】
本発明による組成物が、O/Wエマルションである場合、それは、好都合に、クエン酸ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリルSE(自己乳化性(self-emulsifying))、ステアリン酸、ステアリン酸の塩、ポリグルセリル-3-メチルグリコースジステアレートのリストから選択される少なくとも1つのO/WまたはSi/W乳化剤を含有する。さらに適した乳化剤は、リン酸エステルおよびセチルリン酸(たとえばDSM Nutritional Products Ltd.のAmphisol(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(たとえばDSM Nutritional Products Ltd.のAmphisol(登録商標)DEA)、セチルリン酸カリウム(たとえばDSM Nutritional Products Ltd.のAmphisol(登録商標)K)などのようなそれらの塩、セテアリル硫酸ナトリウム、オレイン酸グリセリルリン酸ナトリウム、硬化植物グリセリドリン酸、およびそれらの混合物である。さらに適した乳化剤は、ソルビタンオレイン酸、ソルビタンセスキオレイン酸、ソルビタンイソステアリン酸、ソルビタントリオレイン酸、セテアリルグルコシド、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ポリステアリン酸スクロース、および水和ポリイソブテンである。さらに、1つまたはそれ以上の合成ポリマーが、乳化剤として使用されてもよい。たとえば、PVPエイコサエンコポリマー、アクリル酸/C10~30アクリル酸アルキルクロスポリマー、およびそれらの混合物。
【0072】
少なくとも1つのO/W、Si/W乳化剤は、それぞれ、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、0.5~10重量%の量で、特に0.5~6重量%の範囲で、特に0.5~5重量%の範囲などで、特に1~4重量%の範囲などで使用される。
【0073】
本発明による組成物において使用される特定の適したO/W乳化剤は、好都合に、8~10アルキルエチルリン酸、C9~15アルキルリン酸、セテアレス-2リン酸、セテアレス-5リン酸、セテス-8リン酸、セテス-10リン酸、セチルリン酸、C6~10パレス-4リン酸、C12~15パレス-2リン酸、C12~15パレス-3リン酸、DEA-セテアレス-2リン酸、DEA-セチルリン酸、DEA-オレス-3リン酸、セチルリン酸カリウム、デセス-4リン酸、デセス-6リン酸、およびトリラウレス-4リン酸などのようなリン酸エステル乳化剤を包含する。
【0074】
本発明による組成物において使用される特定の適したO/W乳化剤は、たとえばDSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstのAmphisol(登録商標)Kとして市販で入手可能であるセチルリン酸カリウムである。
【0075】
別の特定の適した分類のO/W乳化剤は、たとえば、商標OLIVEM 1000で販売されている、(INCI名称)オリーブ油脂肪酸セテアリルおよびオリーブ油脂肪酸ソルビタン(化学組成:オリーブオイル脂肪酸のソルビタンエステルおよびセテアリルエステル)として知られている、オリーブオイルに由来する非イオン性自己乳化系である。
【0076】
特定の一実施形態では、本発明は、O/W乳化剤の存在下において水性相中に分散した油性相を含むO/Wエマルションの形態をした、本明細書に示される定義および選択をすべて有する組成物に関し、O/W乳化剤は、セチルリン酸カリウムである。そのようなO/Wエマルション中の油性相の量は、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは10~60重量%の範囲に、最も好ましくは、15~40重量%の範囲などのように15~50重量%の範囲にある。
【0077】
本発明による組成物は、概して、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、および最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。pHは、当技術分野の標準的な方法によって、たとえばクエン酸などのような適した酸または水酸化ナトリウム(たとえば水溶液としての)、トリエタノールアミン(TEA Care)、トロメタミン(Trizma Base)、およびアミノメチルプロパノール(AMP-Ultra PC 2000)などのような塩基により所望されるように容易に調整することができる。
【0078】
以下の実施例は、本発明の組成物および効果をさらに示すために提供される。これらの実施例は、例証にすぎず、本発明の範囲を限定するようには決して意図されない。
【0079】
[実施例]
[1.本発明による分散液の調製]
22kgの精製水を30~35℃で100l容器の中に追加した。その後、9.8kg Green APG 0810を追加した。次いで、86μmの粗粒径Dv90(Malvern Mastersizer 3000によるレーザー回析によって測定、粉末測定、気圧0.2バール)を有する33kg Grandsorb UV360を30分間にわたってゆっくりと追加し、続いて、65℃で穏やかに撹拌しながら2時間、結果として生じる懸濁液を脱気した。次いで、結果として生じる懸濁液を25~30℃に冷却した。その後、50kgの結果として生じる懸濁液を、約100nmの粒径Dv50(3mg/mlの調整濃度でCoulter Delsa Nano Sで光散乱によって測定)が得られるまで、イットリウム安定化酸化ジルコニウム粉砕ビーズ(0.3mm、95% ZrO2、5% Y2O3、Tosoh Ceramic、日本)を使用し、LMZ4で製粉した。粉砕ビーズの除去の後に、161gのプロピレングリコールおよび80.5gのジェランガムからなる懸濁液を約40℃で穏やかに撹拌しながらゆっくりと追加し、最終産物形態がもたらされた。
【0080】
[2.分析]
それぞれのメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール分散液、およそ1mg/mlをテトラヒドロフラン/水(50/50)の混合物中で溶解し、0.1%メタンスルホン酸と共に水/アセトニトリル勾配で(15分間にわたって5->90%アセトニトリル)、逆相YMC Pro C4カラムを使用し、HPLC質量分析法によって分析した。検出は、ESポジティブモードで作動するAgilent 6130 single MSDで実行した。TICおよびEICは、関心のある化合物の相対的な分布を決定するために使用した。アルキルポリグリコシドの相対的な分布を表1に概説する。%はすべて面積%である。
【0081】
【0082】
[3.製剤適合性]
二酸化チタン(ナノ)を含有するいくつかの市販の日焼け止め(SUN DANCE sensitive Sonnenbalsam SPF 30、SUN DANCE anti-age straffende Sonnenmilch SPF 30、SUN DANCE Sport Sonnen Light Lotion SPF 20、SUN DANCE Sonnen Light Lotion SPF 20 mit Kokosduft)Sun Ozon Sonnenspray SPF 30)に、10重量%(すなわち5重量%活性)のTinosorb(登録商標)Mまたは実施例1による分散液を追加した。
【0083】
Tinosorb(登録商標)Mの追加は、上記のケースのすべてにおいて、それぞれの日焼け止めの凝集、すなわちカッテージチーズのような影響をもたらしたのに対して、本発明による分散液の追加は、それぞれの日焼け止めの視覚による見た目を変化させなかった。
【0084】
参考として、二酸化チタン(ナノ)を含有しない日焼け止めを試験したが(Coppertone Sport SPF 50)、これは、両方のケースにおいて視覚による見た目の変化をもたらさなかった。
【0085】
さらに、表2に概説される製剤を調製し、産物形態のアクセプタビリティを判断するために顕微鏡検査法を介してかつ視覚的に分析した。わかるように、本発明による分散液により調製したサンプルだけが、許容され得る産物形態をもたらした。
【0086】