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特許7124313カラーフィルタ用着色剤、着色組成物およびカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用着色剤、着色組成物およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   C09B 57/04 20060101AFI20220817BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220817BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220817BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
C09B57/04
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G02F1/1335 505
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017247456
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019112537
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-120777(JP,A)
【文献】特開平10-292144(JP,A)
【文献】特開昭53-000225(JP,A)
【文献】特開平03-153761(JP,A)
【文献】特開2008-103474(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101654565(CN,A)
【文献】特開2002-046354(JP,A)
【文献】特開昭56-133365(JP,A)
【文献】特開2016-065115(JP,A)
【文献】チェコ国特許発明第00288713(CZ,B6)
【文献】特開昭57-035565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 ー 69/10
G02B 5/20
G03F 7/004
G02F 1/1335
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、イソインドリン顔料(A)と、下記一般式(1)で表されるイソインドリン化合物(B)とを含み、イソインドリン顔料(A)が、C.I.ピグメントイエロー139である、カラーフィルタ用着色剤。
一般式(1)
【化1】

( 式中、R1および R2は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、R1とR2がいずれも水素原子の場合を除く。)
【請求項2】
少なくとも着色剤、バインダー樹脂(C)、および有機溶剤(D)からなる着色組成物であって、着色剤が、請求項記載のカラーフィルタ用着色剤を含有してなるカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
さらに、光重合性単量体(E)および/または光重合開始剤(F)を含有してなる請求項記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
基材上に、請求項または記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、固体撮像素子、有機EL表示装置、および電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される、カラーフィルタ用着色剤、着色組成物、およびこれを用いて形成されるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置であり、ツイストネマチック(TN)型液晶を用いるタイプが主流となっている。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト比化、高明度化、高色再現性の要求が高まっている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。一般的に赤、緑、及び青の3色フィルタセグメントで形成されることが多く、各セグメントは、数ミクロン~数100ミクロンと微細であり、しかも色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
【0004】
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐熱性、耐光性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0005】
カラーフィルタに要求される品質項目としては、コントラスト比と明度が挙げられる。コントラスト比が低いカラーフィルタを用いると、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまい、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ぼやけた画面となってしまう。そのため高品質な液晶表示装置を実現するためには、コントラスト比を高めることが不可欠である。
【0006】
さらに、前述のようにカラー液晶装置はテレビやパソコンモニタ等に用いられるため、カラーフィルタに対して高コントラスト比化、高明度化とともに、広い色再現領域や高い信頼性の要求も高くなっている。
【0007】
カラーフィルタにおいては高色再現の需要が高くなってきている中、従来の顔料を使用した場合、色再現を改善するためにカラーフィルタの膜厚は厚くなってしまうという問題点があった。そこで、C.I.ピグメントイエロー139やC.I.ピグメントイエロー185に代表されるイソインドリン顔料が注目されている。
【0008】
イソインドリン顔料は、オフセットインキ、グラビアインキ、インクジェットインキ等の印刷インキ、プラスチックや塗料等の着色剤、感熱転写方式や電子写真方式等の画像記録材料、液晶、プラズマ、有機電界発光(エレクトロルミネッセンス)素子、電子ペーパー等の画像表示装置やCCD等の撮像素子に用いられるカラーフィルタ等様々な用途で広く使用されている。
【0009】
イソインドリン顔料の中でも、着色力の観点から、C.I.ピグメントイエロー139が注目されている。しかし、C.I.ピグメントイエロー139は高着色力を示すものの、カラーフィルタに使用した場合のコントラスト比が低いという問題点がある。そのため、コントラスト比を向上させるためには、出来る限り顔料の一次粒子径を小さくし、顔料による光の散乱を低減させる必要がある。
【0010】
顔料の一次粒子径を微細化する方法として、これまでにソルベントソルトミリング工程時に微細な食塩やアクリル系樹脂を用いる方法や、乾式粉砕後に粒子成長させる方法が提案されている(特許文献1、2、3参照)。しかし、これら公知の方法で製造したC.I.ピグメントイエロー139は微細化が十分ではなく、またこれら公知の方法では要求される高いコントラスト比を示すC.I.ピグメントイエロー139は得られなかった。この顔料をカラーフィルタにおいて用いてもコントラスト比は低く市場からの高い要求性能に応じることはできず、さらなる微細化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2007-238852号公報
【文献】特開2009-256615号公報
【文献】特開2004-35628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、イソインドリン顔料を用いた場合の最大の課題であった低コントラスト比を解決することである。さらに、高明度、分散安定性、耐熱性、現像性、密着性に優れた可能とする、イソインドリン顔料(とりわけC.I.ピグメントイエロー139)を含む着色剤・着色組成物を提供し、高明度・高コントラスト比かつ信頼性に優れたカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)であ表される構造を有するイソインドリン化合物(B)を含むイソインドリン顔料(とりわけC.I.ピグメントイエロー139)が、上記課題を解決できることを見出し、本発明をなしたものである。
【0014】
すなわち、本発明の実施態様は、少なくとも、イソインドリン顔料(A)と、下記一般式(1)で表されるイソインドリン化合物(B)とを含む、カラーフィルタ用着色剤に関する。

【化1】

(式中、R1 および R2は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、R1とR2がいずれも水素原子の場合を除く。)
【0015】
また、前記イソインドリン顔料(A)が、C.I.ピグメントイエロー139であることを特徴とする、前記カラーフィルタ用着色剤に関する。
【0016】
また、少なくとも着色剤、バインダー樹脂(C)、および有機溶剤(D)からなる着色組成物であって、着色剤が、前記カラーフィルタ用着色剤を含有してなるカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0017】
さらに光重合性単量体(E)および/または光重合開始剤(F)を含有してなる前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0018】
また、基材上に、前記カラーフィルタ用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0019】
また、前記カラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のイソインドリン化合物を用いた着色剤ならび着色組成物により、高いコントラスト比・明度・耐熱性を示し、顔料の分散安定性及び現像性、密着性に優れた着色組成物、感光性着色組成物を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0022】
<着色剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物では、高着色力・高色再現を両立させるために、着色剤としてイソインドリン顔料を必須としている。
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、前記の顔料に加えて、色度調整のため、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、ペリレン系、ピラントロン系、アゾ系などの赤色顔料や、キノフタロン系、アントラキノン系などの黄色顔料を含有させることができる。
【0023】
<イソインドリン顔料(A)>
本発明に用いるイソインドリン顔料としては、一般に市販されているイソインドリン顔料を単独でまたは2種類以上混合して用いることができ、染料、天然色素、無機顔料を併用することができる。イソインドリン顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであってもよい。
【0024】
本発明に用いるイソインドリン顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185の黄色顔料の他、C.I.ピグメントブラウン38、C.I.ピグメントオレンジ66、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントレッド260が挙げられる。中でも、後述するイソインドリン化合物(B)の色特性に合うC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントレッド260が好ましく、C.I.ピグメントイエロー139がより好ましい
【0025】
<イソインドリン化合物(B)>
下記一般式(1)で表されるイソインドリン化合物について説明する。
【化1】

式中、R1 および R2は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいシクロアルキル基を表し、R1とR2がいずれも水素原子の場合を除く。
【0026】
置換基を有しても良いアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基の他、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ジエチルアミノエチル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
【0027】
置換基を有しても良いアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
【0028】
置換基を有しても良い複素環基としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピ
ラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
【0029】
置換基を有しても良いシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0030】
上述の置換基はイソインドリン化合物(B)の分子間水素結合の強度に大きな影響を与え、イソインドリン化合物(B)の耐熱性や色特性にも影響する。そのため、上述した置換基のうち耐熱性の観点では、置換基を有しても良いアルキル基が好ましく、メチル基、tert-ブチル基を含む直鎖のアルキル基がより好ましい。また、イソインドリン化合物(B)の色特性の観点では、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いシクロアルキル基が好ましい。
【0031】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物に含有されるイソインドリン顔料は、カラーフィルタの高明度化、高コントラスト比化を実現させるために、平均一次粒子径が10~50nmの範囲であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡観察により計測することができる。顔料の平均一次粒子径が50nmより大きい場合には、カラーフィルタの明度やコントラスト比が低くなり、10nmより小さい場合には、顔料分散が非常に難しく、着色組成物としての流動性を確保することが困難となる。その結果、カラーフィルタの明度やコントラスト比が悪化する傾向がある。
【0032】
(その他の顔料)
本発明の着色組成物に使用できる顔料としては、赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。赤色顔料と同様にはたらくオレンジ色顔料としては、例えばC.I.ピグメント オレンジ36、38、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
【0033】
本発明で使用することができる黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221、または特許第4993026号公報に記載のキノフタロン系顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、キノリン系、アゾ系、メチン系、クマリン系、イソインドリン系などの黄色染料も使用できる。
【0034】
本発明で使用することができる緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報、国際公開第2015/118720号パンフレット等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報等に記載のフアルミニウムタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、トリアリールメタン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系などの青緑色染料も使用できる。
【0035】
本発明で使用することができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメント ブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004-333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0036】
本発明で使用することができる紫色顔料は、例えばC.I.ピグメント バイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0037】
本発明の赤色着色組成物に使用する顔料の含有量は、着色組成物の固形分全量に対して、30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5~30質量%である。
【0038】
<微細化顔料>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、着色組成物とした場合に高い明度、コントラスト比、着色力を得るため、必要に応じてソルトミリング処理等により、粒子の微細化を施すことで、カラーフィルタ用着色剤として好適に使用することができる。着色剤の一次粒子径は、着色剤担体中への分散性を高めるために、10nm以上であることが好ましい。また、明度、コントラスト比が高いフィルタセグメントを得るためには、50nm以下であることが好ましい。
【0039】
顔料の一次粒子径を小さくする手段としては、顔料を機械的に粉砕する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径を有する顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)などがある。使用する顔料の合成法や化学的性質などにより、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。以下にそれぞれの方法について説明する。
【0040】
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この工程をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の比表面積の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に前記水溶性有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や後述の分散助剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。一般的には、顔料1質量部に対して無機塩を1~30質量部、好ましくは2~20質量部用いるのが良い。
【0041】
また、水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常顔料の50~300質量%の量が用いられる。
磨砕法についてさらに詳細に説明すると、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサーなどで撹拌してスラリー状とする。次に、このスラリーをろ過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径の顔料を得ることができる。
【0042】
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさが制御できる。一般的に、顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例えば、濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
【0043】
析出法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95~100質量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料1部に対して3~10質量部の硫酸を用いることが好ましい。なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0~50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。高温すぎると副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1~60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1部に対して0.1~30分間が好ましい。
【0044】
顔料の一次粒子径の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合いを考慮しつつ行うことができ、さらには、このとき分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、後述の色素誘導体や樹脂型分散剤、界面活性剤などの分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることもできる。
【0045】
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細化顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法であるろ過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
さらに、顔料の一次粒子径を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
【0046】
< バインダー樹脂(C)>
本発明の着色組成物に用いられるバインダー樹脂は、着色剤を分散、染色、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0047】
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3 次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色( 分光特性の悪化) を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0048】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80% 以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0049】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、
5,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0050】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20~300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0051】
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤の全質量100質量部に対し、20質量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、100質量部以下の量で用いることが好ましい。
【0052】
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂として
は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1 種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0054】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i) や(ii) の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0055】
[方法(i)]
方法(i) としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0056】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o- 、m- 、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0058】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1 種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0059】
[方法(ii)]
方法(ii) としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0060】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2 種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ) アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)1 2-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2 種類以上併用することもできる。
【0062】
(熱硬化性化合物)
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化
合物を含んでもよい。
【0063】
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/または樹脂、メラミン化合物及び/ または樹脂、尿素化合物及び/または樹脂、フェノール化合物及び/ または樹脂、が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
<有機溶剤(D)>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させることが好ましい。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0065】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0066】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0067】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の着色膜を形成できることから、着色剤100質量部に対して、500~4000質量部の量で用いることが好ましい。
【0068】
<光重合性単量体(E)>
本発明の着色組成物は光重合性単量体(E)および/または光重合開始剤(F)を含むことが出来、それらを感光性着色組成物とする本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0069】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0070】
光重合性単量体の含有量は、着色剤100質量部に対し、5~400質量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10~300質量部であることがより好ましい。
【0071】
<光重合開始剤(F)>
本発明に用いる光重合開始剤は、紫外線、可視光線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、前記光重合性単量体の重合を開始し得る活性種を発生する化合物である。
【0072】
このような光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0073】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100質量部に対し、5~200質量部であることが好ましく、光硬化性および現像性の観点から10~150質量部であることがより好まし
【0074】
(増感剤)
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0075】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0076】
増感剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物中に含まれる光重合開始剤100質量部に対し、3~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5~50質量部であることがより好ましい。
【0077】
(酸化防止剤)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0078】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
【0079】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
【0080】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2'-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、4,4'-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,2'チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、1,1,3-トリス-(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)-ブタン、2,2'-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0081】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N'-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0082】
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4'イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-フォスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0083】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0084】
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等を使用することが出来る。
【0085】
ベンゾフェノン系酸化防止剤として具体的には、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5スルフォベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2'-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0086】
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4-ビス(アリル)-6-(2-ヒドロキシフェニル)1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0087】
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0088】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0089】
また酸化防止剤の含有量は、着色組成物の固形分質量を基準として、0.5~5.0質量%の場合、分光特性、および感度が良好であるためより好ましい。
【0090】
(アミン系化合物)
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。
【0091】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、およびN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0092】
(レベリング剤)
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全質量100質量%中、0.003~0.5質量%用いることが好ましい。
【0093】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0094】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0096】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートや、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0097】
(硬化剤、硬化促進剤)
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.01~15質量部が好ましい。
【0098】
(その他の添加剤成分)
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
【0099】
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤としては、例えば、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100質量部に対し、0.1~10質量部の量で用いることができる。
【0100】
(密着向上剤)
密着向上剤としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。
【0101】
(多官能チオール)
本発明の着色組成物は多官能チオールとして、チオール(SH)基を2個以上有する化合物を含んでも良い。
多官能チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる着色組成物は高感度となる。特に、SH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0102】
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、着色剤100質量部に対して0.05~100質量部が好ましく、より好ましくは1.0~50.0質量部である。多官能チオールの含有量が0.05質量部未満では、連鎖移動剤の効果が小さく、100質量部より多くても、重合開始機能は向上しないうえ、現像性、密着性等が不十分になる。
【0103】
<着色組成物>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料担体溶液中に有機顔料を分散させる方法や、水または有機溶媒中に有機顔料を分散して顔料分散液を作製したのち顔料担体溶液と混合する方法などにより製造される。顔料の分散方法には特に制限はないが、3三本ロールミル、二本ロールミル、ニーダー、円筒型分散機の横型、縦型、さらには環状型(アニュラータイプ)等のメディア型分散機等を用いる方法が好ましい。
【0104】
メディア型分散機としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、アイガーミル等のメディアを用いた各種分散機が挙げられる。
【0105】
メディア型分散機の回転軸には、種々の形状をした攪拌羽根が備えられており、ディスク型、ピン型などが知られているが、中でもロータピンを備えているものが本発明の効果をよりいっそう顕著にするために好ましい。
【0106】
また、メディア分離機構としては、遠心分離方式、スリット方式(ギャップセパレータ方式)、スクリーン方式等があるが、遠心分離によるものが好ましい。粒径が0.3mmφ以下の微小メディアを分離できるスリットまたはスクリーンの製作は、機械加工精度の関係上非常に難しく、ミルベース顔料分散体(混練物)を供給する際に、目詰まりするという可能性があるためである。
【0107】
ロータピンおよび遠心分離によるメディア分離機構を備えた湿式分散機としては、例えばスーパーアペックスミル(寿工業社製)、ウルトラアペックスミル(寿工業社製)、デュアルアペックスミル(寿工業社製)、DCP型パールミル(アイリッヒ社製)、ピコグレンミル(浅田鉄工社製)、エコミル(浅田鉄工社製)などがある。
【0108】
また、分散効率の良い分散機内のメディア充填率は、好ましくは50~100質量%、更に好ましくは60~80質量%である。
【0109】
メディアの材質は、特に限定されるものでなく、一般に用いられているガラス、スチール、ステンレス、陶磁器、ジルコン、ジルコニア等が挙げられる。
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有することができる。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度、コントラスト、保存安定性が良好になる。
【0110】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、好ましくは色素誘導体を含む。色素誘導体を含むことで、着色組成物の粘度特性と塗膜物性の向上、等の効果を奏する。
【0111】
[色素誘導体]
本発明に用いる色素誘導体としては、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の色素誘導体を用いることができる。例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性官能基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性官能基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性官能基を有する化合物が挙げられる。特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報、特開2001-335717号公報、特開2003-128669号公報、特開2004-091497号公報、特開2007-156395号公報、特開2008-094873号公報、特開2008-094986号公報、特開2008-095007号公報、特開2008-195916号公報、特許第4585781号公報、特開2006-291194号公報、特開2007-226161号公報、特開2007-314681号公報、特開2007-314785号公報、特開2012-226110号公報、特開2017-165820号公報、特開2005-181383号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、顔料分散剤もしくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの官能基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。また、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。これらの中でも、本発明の着色組成物には、分光や粘度安定性の観点から、母体骨格が、有機顔料残基、又はトリアジン残基である色素誘導体が好ましく、なかでも、キノフタロン系顔料、アゾ系顔料もしくはアントラキノン系顔料である有機顔料残基、又はトリアジン残基が好ましい。
より好ましくは、アゾ系色素誘導体又はアントラキノン系色素誘導体である。アゾ系色素誘導体又はアントラキノン系色素誘導体を含むことにより、顔料、樹脂型分散剤との相溶性が向上し、分散後のイソインドリン顔料の再凝集を防止する効果が向上する。また、相溶性が向上することで、着色組成物や着色硬化性組成物をガラスに塗工した際の塗膜作製時の乾燥凝集の抑制効果が向上する。そのため、塗膜物性が向上する。
【0112】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上、最も好ましくは3質量部以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
【0113】
顔料に色素誘導体を添加し二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、色素誘導体、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、着色組成物や着色硬化性組成物とした時の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで着色硬化性組成物をガラスに塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、着色硬化性組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
【0114】
[樹脂型分散剤]
本発明の着色組成物は、従来公知の樹脂型分散剤を含有してもよい。
樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0115】
(塩基性樹脂型分散剤)
本発明で使用する分散剤としては、塩基性官能基を有する塩基性樹脂型分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して5~200質量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10~100質量%程度使用することがより好ましい。
【0116】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ-・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164又はAnti-Terra-U、203、204、又はBYK-P104、P104S、220S、6919、又はLactimon、Lactimon-WS又はBykumen等、日本ル-ブリゾ-ル社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ-PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が好ましい。
【0117】
(酸性樹脂型分散剤)
また、本発明で使用する樹脂型分散剤としては、酸性樹脂型分散剤も好適に用いることができる。本発明で使用する樹脂型分散剤としては、カルボキシル基を有する樹脂型分散剤として、下記(S1)又は(S2)を含有することも好ましい。
(S1)水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤。
(S2)水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤。
【0118】
≪樹脂型分散剤(S1)≫
樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(q)としては、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好適に用いられる。
【0119】
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体(p1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
【0120】
≪樹脂型分散剤(S2)≫
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(r)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体であることが好ましい。
【0121】
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(r)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0122】
[界面活性剤]
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0123】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。界面活性剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼすことがある。
【0124】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、及び黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
【0125】
カラーフィルタを構成する透明基板等の基材としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0126】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、上記着色組成物を使用し、印刷法又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調製も行うことができる。
【0127】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成する。これと同様の操作を他色についても繰り返すことによって、カラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0128】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0129】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0130】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0131】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示装置である液晶表示パネルが製造される。
【実施例
【0132】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、例中、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。また、「PGMAC」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
【0133】
(樹脂の重合平均分子量(Mw))
樹脂の重合平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0134】
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で滴下管より、メタクリル酸60.0部、メチルメタクリレート65.0部、ブチルメタクリレート65.0部、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート60.0部、アゾビスイソブチロニトリル10.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下後さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0135】
<イソインドリン顔料(A)の製造方法>
本発明に用いたイソインドリン顔料(A)の調製方法について説明する。
【0136】
(イソインドリン顔料 A-1の調製)
C.I. Pigment Yellow139(BASF社製「パリオトールエローD1819」):140部、塩化ナトリウム:1400部、およびジエチレングリコール:260部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混連した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、135部のイソインドリン顔料(A-1)を得た。
【0137】
<イソインドリン化合物(B)の製造方法>
本発明に用いたイソインドリン化合物(B)の同定方法について説明する。
【0138】
(イソインドリン化合物(B)の同定方法)
本発明のイソインドリン化合物(B)の同定は、Waters社ACQUITY UPLS H-Class(使用カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column 130Å、 1.7μm、2.1mm×50mm)/Ms TAP XEVO TQDから得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物の同定を行った。
【0139】
[製造例1](イソインドリン化合物(B-1)の製造)
水270部に氷酢酸30部を加え、そこへ1,3-ジメチルバルビツール酸11.3部を加え、50℃で1時間攪拌した。続いて、1,3-ジイミノイソインドリン5.0部を加え、80℃にて原料の1,3-ジイミノイソインドリンが消失するまで撹拌した。原料の消失はUPLCにて確認した。室温まで冷却後、pHが7.0~8.0になるように28%アンモニア水を加え、固形分を濾別した後、水2000部にて洗浄を行い、80℃で乾燥させ、イソインドリン化合物(B-1)を10.9部(収率75%)得た。
【0140】
[製造例2]
(イソインドリン化合物(B-2)~(B-5)の製造)
製造例1における、1、3-ジメチルバルビツール酸11.3部を表1に示す原料に変更した以外はイソインドリン化合物(B-1)と同様に反応操作を行い、イソインドリン化合物(B-2)~(B-5)を表1記載の収量で得た。
【0141】
【表1】
【0142】
【化2】
【0143】
<黄色着色組成物の作製>
[実施例1]
(黄色着色組成物1(YP-1)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、孔径5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物1(YP-1)を作製した。
【0144】
イソインドリン顔料(A-1) 9.5部
イソインドリン化合物(B-1) 0.5部
樹脂型分散剤(味の素ファインテクノ社製「PB821」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
【0145】
[実施例2~5、比較例1]
(黄色着色組成物(YP-2)~(YP-6))の調製)
イソインドリン化合物(B-1)を表2に記載のイソインドリン化合物に変更した以外は、黄色着色組成物(YP-1)と同様にして、黄色着色組成物(YP-2~YP-6)を作製した。
【0146】
【表2】
【0147】
<黄色着色組成物の評価>
黄色着色組成物の評価は、黄色着色組成物を用いて塗膜を作製し、その明度、コントラスト比、および耐熱性を測定することで評価を行なった。評価方法を以下に示し、評価結果を表3に示す。
【0148】
(明度評価)
黄色着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、230℃で20分間加熱することで塗膜を得た。この際、塗膜の膜厚は、230℃での熱処理後で、C光源においてx=0.440になるように塗布条件(スピンコーターの回転数、時間)を適時変更して塗布した。得られた塗膜を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて明度(Y)を測定し、下記基準に従って判定した。
【0149】
○:89.0以上(良好)
△:87.5以上~89.0未満 (実用可能レベル)
×:87.5未満 (使用不可レベル)
【0150】
(コントラスト比評価)
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が平行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。
(コントラスト比)=(平行のときの輝度)/(直交のときの輝度)
従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
【0151】
なお、輝度計としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。測定に際しては、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色マスクを介して測定した。明度評価をしたものと同じ塗膜を用いて、下記基準に従って判定した。

○:3000以上(良好)
△:2000以上~3000未満 (実用可能レベル)
×:2000未満 (使用不可レベル)
【0152】
(耐熱性の評価)
作製したカラーフィルタを、強制的に2 5 0 ℃ のオーブンで1 時間加熱処理し、処理前後でのコントラスト比保持率(=加熱処理後のコントラスト比/加熱処理前のコントラスト比×100(%))を評価し、下記基準に従って判定した。

○:95%以上(良好)
△:85%以上95%未満 (実用可能レベル)
×:85%未満 (使用不可レベル)
【0153】
【表3】
【0154】
表3より、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物を使用した実施例1~5の着色組成物は、明度、コントラスト比、耐熱性すべての観点で優れていることが明らかとなった。一方、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物を含まない比較例1の着色組成物は、明度、コントラスト比、耐熱性が実施例よりも劣っていることが明らかとなった。
【0155】
<緑色、赤色および青色着色組成物の作製>
微細化緑色顔料(G-1)の製造
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン58(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(G-1)を得た。
【0156】
(緑色着色組成物(GP-1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した。その後、得られた混合物を孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(GP-1)を作製した。

微細化緑色顔料(G-1) 10.0部
樹脂型分散剤(BASFジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
【0157】
(微細化黄色顔料(Y-2)の製造)
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製「Paliotol Yellow L 0962HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(Y-2)を得た。
【0158】
(黄色着色組成物(YP-7)の作製)
下記の成分からなる混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、孔径5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物1(YP-7)を作製した。

微細化黄色顔料(Y-2) 10.0部
樹脂型分散剤(味の素ファインテクノ社製「PB821」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
【0159】
微細化青色顔料(B-1)の製造
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー15:6(トーヨーカラー社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化青色顔料(B-1)を得た。
【0160】
微細化紫色顔料(V-1)の製造
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット23(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化紫色顔料1(V-1)を得た。
【0161】
着色組成物(BP-1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した。その後、得られた混合物を孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(BP-1)を作製した

微細化青色顔料(B-1) 7.2部
微細化紫色着色剤(V-1) 4.8部
樹脂型分散剤(BASFジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
【0162】
(微細化赤色顔料R-1の製造)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)200部、塩化ナトリウム1400部、及びジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、アントラキノン系の微細化赤色顔料(R-1)を得た。
【0163】
(赤色着色組成物(RP-1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した。その後、得られた混合物を孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の着色組成物(RP-1)を作製した。

微細化赤色顔料(R-1) 10.0部
樹脂型分散剤(BASFジャパン社製「EFKA4300」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 45.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 44.0部
【0164】
[実施例6]
(赤色感光性着色組成物(RR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、赤色感光性着色組成物(RR-1)を作製した。

赤色着色組成物(RP-1) 33.6部
黄色着色組成物(YP-1) 8.4部
アクリル樹脂溶液1 13.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 2.8部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 39.6部
【0165】
[実施例7~10、比較例2]
実施例6における黄色着色組成物(YP-1)を、表4に示す黄色着色組成物、質量部に変更した以外は、実施例6と同様にして、それぞれ感光性着色組成物(RR-2)~(RR-6)を得た。
【0166】
【表4】
【0167】
<赤色感光性着色組成物の評価>
得られた赤色感光性着色組成物について、現像性、分散安定性、密着性の評価を以下の方法により行った。結果を表5に示す。
【0168】
(現像性の評価)
得られた赤色感光性着色組成物を用いて、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.0μmとなるよう塗布し、70℃で20分間乾燥して、塗膜基板を作製した。この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にてスプレー現像し、塗膜が完全になくなるまで現像した時間(現像時間)を算出し、現像性の評価を行った。判断基準を以下に示す。

◎:20秒未満 :良好
○:20秒以上30秒未満:実用可能
×:30秒以上: 使用不可レベル
【0169】
(粘度特性(分散安定性))
赤色感光性着色組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃、回転数50rpmにおける初期粘度を測定した。別途、当該赤色感光性着色組成物25gを、ガラス容器中密閉状態で、40℃、24時間静置した後、上記と同様の方法で粘度を測定し、経時粘度とした。
粘度変化率=(初期粘度-経時粘度)/初期粘度×100(%)により下記基準で分散安定性を評価した。また、◎は実用上良好なレベル、〇は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。

◎:粘度変化率が±10%以内で、沈降物を生じなかった場合。
○:粘度変化率が±10%を超えて20%以内で、沈降物を生じなかった場合。
×:粘度変化率が±20%を超える場合、又は粘度変化率が±20%以内であっても沈 降物を生じていた場合。
【0170】
(密着性の評価)
赤色感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになる回転数にてスピンコーターを用いて塗布した基板を、70℃で20分間乾燥後、10μm×10μmの開口を100個もつフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて150mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄を行った。この際、10μm×10μmのパターンがいくつ残っているかで密着性を評価した。また、現像性評価は下記基準に従って判定した。

◎:90個以上パターンが残っているもの (良好)
○:70~89個パターンが残っているもの (実用可能レベル)
×:0~69個パターンが残っているもの (使用不可レベル)
【0171】
【表5】
【0172】
表5より、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物を使用した実施例6~10の赤色感光性着色組成物は、現像性、分散安定性が優れ、基板上の密着性も高いことが明らかとなった。一方、一般式(1)で表されるイソインドリン化合物を使用しない比較例2の着色組成物は、現像性、分散安定性が劣り、基板上の密着性も低いことが明らかとなった。
【0173】
<カラーフィルタの作製>
本発明の赤色感光性着色組成物を使用し、カラーフィルタを作製した。なお、緑色感光性着色組成物と青色感光性着色組成物は、以下のようにして調製した。
【0174】
(緑色感光性着色組成物1(GR-1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、緑色感光性着色組成物(GR-1)を作製した。

緑色着色組成物(GP-1) :24.8部
黄色着色組成物(YP-7) :25.2部
アクリル樹脂溶液 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
【0175】
(青色感光性着色組成物1(BR-1)の調製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物1(BR-1)を作製した。
【0176】
青色着色組成物1(BP-1) 34.0部
アクリル樹脂溶液 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0177】
[実施例11]カラーフィルタ(CF-1)
本発明の赤色感光性着色組成物(RR-1)をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の赤色着色画素層を形成した。
次に、緑色感光性着色組成物(GR-1)を使用し、赤色着色画素層と同様にして緑色着色画素層を形成した。さらに、同様にして青色感光性着色組成物(BR-1)を使用して青色着色画素層を形成し、カラーフィルタ(CF-1)を得た。各着色画素層の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
【0178】
[比較例3]カラーフィルタ(CF-2)
カラーフィルタ(CF-1)の作製において、使用した感光性着色組成物のうち、赤色感光性着色組成物を(RR-6)に変更した以外は、(CF-1)と同様の作製方法によりカラーフィルタ(CF-2)を作製した。各着色画素層の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
【0179】
(CF-1)と(CF-2)のコントラスト比を測定すると、(CF-1)の方が優れた結果であり、本発明の効果が立証された。