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特許7124412透明性、耐熱性及びバリア性を兼ね備えたポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】透明性、耐熱性及びバリア性を兼ね備えたポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20220817BHJP
   B29C 49/08 20060101ALI20220817BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220817BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20220817BHJP
   C08J 7/06 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B65D1/02 110
B29C49/08
B32B9/00 A
C08J5/00
C08J7/06 Z CFD
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018081775
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019189708
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】小澤 里美
(72)【発明者】
【氏名】國枝 宏希
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/024517(WO,A1)
【文献】特開2013-124301(JP,A)
【文献】特開2014-105234(JP,A)
【文献】特開2013-176951(JP,A)
【文献】特開2007-261077(JP,A)
【文献】国際公開第03/008178(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/136086(WO,A1)
【文献】特開2011-073174(JP,A)
【文献】特開2010-179580(JP,A)
【文献】国際公開第2006/095923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 5/00-5/02
5/12-5/22
C08J 7/06
B29C 49/00-49/46
49/58-49/68
49/72-51/28
51/42
51/46
B65D 1/00-1/48
C08G 63/00-64/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースを含有するポリ乳酸樹脂組成物から成る二軸延伸熱固定容器であって、該二軸延伸熱固定容器の内表面に蒸着膜が形成されており、該蒸着膜が、珪素酸化物の蒸着膜から成り、前記ポリ乳酸と前記フィブリル直径が100nm以下のセルロースの固形分質量比率が、94:6~99:1であることを特徴とするポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器。
【請求項2】
前記蒸着膜が、多層構成である請求項1記載のポリ乳酸二軸延伸熱固定容器。
【請求項3】
前記蒸着膜が、高-OH含有SiOx層の上に、低-OH含有SiOxを積層した多層構成である請求項1又は2記載のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器
【請求項4】
前記フィブリル直径が100nm以下のセルロースが、酢酸菌が生産するセルロースである請求項1~の何れかに記載のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器。
【請求項5】
容器胴部から切り出したサンプルを加速器質量分析計で測定した放射性炭素14C組成比率用い、下記式
pMC=Δ14C/10+100(%)
式中、Δ14C=[(14As-14Ar)/14Ar]x1000(‰)であり、
14Asは14C/12Cサンプル、14Arは14C/12Cリファレンスを、表す
から算出したpMCが102~108の範囲にある請求項1~の何れかに記載のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器。
【請求項6】
光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースを94:6~99:1の固形分質量比率で含有するポリ乳酸樹脂組成物から成るプリフォームを、ポリ乳酸のガラス転移温度以上150℃以下の温度に加熱した後、二軸延伸ブロー成形する工程、該二軸延伸容器を熱固定する工程、該二軸延伸熱固定容器の内表面にプラズマCVD法により、珪素酸化物の蒸着膜を形成する工程、とから成ることを特徴とするポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器に関するものであり、より詳細には、透明性及び耐熱性に優れると共にバリア性にも優れたポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化がもたらすさまざまな環境問題を防止するため、大気中の温室効果ガス濃度低減を目的に、植物産生樹脂であるバイオプラスチックの運用が期待されている。そのため、従来の石油系プラスチックから植物産生プラスチック(バイオプラスチック)への代替やそれら樹脂のリサイクル再利用を優先する技術の検討が進められている。中でも、工業的に量産され、入手が容易であり、ケミカルリサイクル可能なバイオプラスチックとして、脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸(PLLA)が注目されている。
【0003】
ポリ乳酸(PLLA)は、トウモロコシなどの穀物澱粉や、キャッサバなどの塊根類、ジャガイモなどの塊茎類、または、タロイモなどの球茎類の澱粉質の乳酸発酵物、L-乳酸、を重合した脂肪族ポリエステルである。一般に、L-乳酸の直接重縮合やL-乳酸ダイマーであるラクタイドの開環重合で製造される。植物を原料に生産されているため、従来の石油系プラスチックと異なり、資源枯渇化の心配もなく、また、自然界に廃棄されても、微生物により分解され堆肥化し、また、最終的に水と炭酸ガスに分解されても、発生した炭酸ガスを地上の植物が取り込むため、大気中への炭酸ガス蓄積がない。そのため、ポリ乳酸(PLLA)は、植物から生まれ、植物に帰る、完全リサイクル型プラスチック素材として、その実用化が期待されている。
【0004】
ポリ乳酸(PLLA)は、ガラス転移転温度が60℃で、且つ、比重が1.24g/cm(非晶・結晶)と室温でガラス状態の高透明樹脂である。ポリエチレンテレフタレート(PET)と比較しても、ガラス転移転温度(℃)や比重(g/cm)が類似しており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)のガラス転移温度はTg=70℃であり、比重は1.27g/cm(非晶)~1.33g/cm(結晶)であり、加えて、延伸ポリ乳酸(PLLA)の機械的強度は延伸PETと同等であることから、ボトルなどの飲料食品充填用容器への展開が期待されている。
【0005】
しかしながら、ポリ乳酸(PLLA)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)に比べ耐熱性が劣ると共に、水蒸気(HO)や酸素(O)等のガス透過係数が、PETの10倍であるため、バリア性も劣っている。
かかるポリ乳酸(PLLA)の材料物性の改善手段として、耐熱面では、無機クレイブレンド(特許文献1)や光学活性異性体であるD-PLAブレンドによるステレオコンプレックス(特許文献2~4)等の技術が提案されてきた。また、バリア面では、膨潤性クレイナノコンポジットによるバリア技術(特許文献5、6)や、有機炭素(DLC)蒸着膜コーティング(特許文献7)技術が提案されてきた。
また、現在、実現可能な透明性及び耐熱性が向上されたポリ乳酸(PLLA)ボトルに関する技術としては、光学活性異性d-乳酸を4%以下含有する結晶性ポリ乳酸を用いた延伸熱固定技術(特許文献8)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-244457号公報
【文献】特表2015-514819号公報
【文献】特開2012-017393号公報
【文献】特開2010-247510号公報
【文献】特開2016-216789号公報
【文献】特許第6025536号公報
【文献】特開2007-261077号公報
【文献】特許第4294475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらいずれの技術とも一長一短があり、成形性や機能性の面で未だ解決しなければならない課題が残されている。つまり、ボトルなどの飲料食品充填用容器を展開する上では、後述した技術課題の改善が必要とされていた。
例えば、無機クレイブレンド耐熱化技術は、透明性が低下し透明性を要求する内容物に対しては外観上の問題から使用が限定されてきた。また、D-PLAブレンドによるステレオコンプレックス耐熱化技術は、透明性は確保されるものの、ステレオコンプレックス(結晶高次構造)が有する高結晶性から、延伸成形時の再加熱時に結晶化が進行しすぎ、延伸成形そのものが難しいという成形性の不具合を生じていた。また上記特許文献8の耐熱化技術においても、後述するように、プラズマCVD蒸着などのバリア技術の適用面で限界があり、特に、無機物及び/又は無機酸化物の蒸着では蒸着過程の熱履歴に耐えられず、容器が熱変形したり、ボトル内表面が酸化し異臭を発生するなどの問題が残されていた。
【0008】
バリア性を向上するために提案されている、特許文献5及び6に記載された膨潤性クレイナノコンポジットブレンド技術や、特許文献7に記載されたポリ乳酸ボトル内表面への有機炭素水素(DLC)蒸着によるバリア技術においても、課題が残されている。すなわち、膨潤性クレイコンポジットでは、膨潤性クレイそのものが生産工程で大量の水を使用する煩雑な工程で生産された高いコスト素材であることから、価格の面で実用上の問題を有し、また、大量の水を廃棄することから環境に優しい技術とは言いがたい。一方、特許文献7に記載された有機炭化水素(DLC)蒸着によるバリア技術は、有機炭化水膜(DLC)そのものが固有の茶褐色色調を有し、蒸着したボトルが茶褐色に変色してしまうため、色調を大切にする白色飲料内容物などへの適用が制限されてきた。
【0009】
透明蒸着技術である珪素酸化物(SiOx)は、蒸着過程で高エネルギープラズマを発生し、このプラズマが基材へ衝突し熱に変換するため、ボトルが発熱する。このため、上述した特許文献8に記載された光学活性異性d-乳酸を4%以下含有する結晶性ポリ乳酸を用いた延伸熱固定技術によるボトルに、珪素酸化物の蒸着膜を適用した場合、ボトルが熱変形したり、ボトル内表面が酸化分解して異臭を発生させる場合があるため、延伸熱固定によるポリ乳酸ボトルにおいてもより高い耐熱性能が必要とされていた。
そのため、市場要求を満足させるためにも、透明性、耐熱性、バリア性のすべてを満足したポリ乳酸(PLLA)容器の提供が望まれていた。
【0010】
従って本発明の目的は、透明性及び耐熱性に優れると共にバリア性にも優れたポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器を提供することである。
本発明の他の目的は、ポリ乳酸が有する優れた生分解性及び結晶性を損なうことなく、蒸着膜を形成可能な耐熱性を有すると共に、透明性及びバリア性を有するポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースを含有するポリ乳酸樹脂組成物から成る二軸延伸熱固定容器であって、該二軸延伸熱固定容器の内表面に蒸着膜が形成されており、該蒸着膜が、珪素酸化物の蒸着膜の多層構成であり、前記ポリ乳酸及びセルロースの質量比率が94:6~99:1であることを特徴とするポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器が提供される。
【0012】
本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器においては、
前記蒸着膜が、多層構成であること、
.前記フィブリル直径が100nm以下のセルロースが、酢酸菌が生産するセルロースであること、
.前記蒸着膜が、-OH含有量の多いSiOx層の上に、-OH含有量の少ないSIOx層を積層した多層構成であること、
.容器胴部から切り出したサンプルを加速器質量分析計で測定した放射性炭素14C組成比率用い、下記式(1)
pMC=Δ14C/10+100(%) ・・・(1)
式中、Δ14C=[(14As-14Ar)/14Ar]x1000(‰)であり、
14Asは14C/12Cサンプル、14Arは14C/12Cリファレンスを、表す
から算出したpMCが102~108の範囲にあること、
が好適である。
【0013】
本発明によればまた、光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースを94:6~99:1の固形分質量比率で含有するポリ乳酸樹脂組成物から成るプリフォームを、ポリ乳酸のガラス転移温度以上150℃以下の温度に加熱した後、二軸延伸ブロー成形する工程、該二軸延伸容器を熱固定する工程、該二軸延伸熱固定容器の内表面にプラズマCVD法により、珪素酸化物の蒸着膜を形成する工程、とから成ることを特徴とするポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器においては、光学異性体(d)含有率が4.0%以下のポリ乳酸に、フィブリル直径が100nm以下のセルロース、特に酢酸菌が生産するセルロースをブレンドすることにより、ポリ乳酸が有する透明性や結晶性を損なうことなく耐熱性を向上できる。
またポリ乳酸及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースを含有するポリ乳酸樹脂組成物から成るプリフォームを二軸延伸ブロー成形した後、熱固定して成るポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器は、上述したとおり、耐熱性が顕著に向上されていることから、プラズマCVD法により蒸着膜を容器の内表面に形成することが可能であり、これによりバリア性を顕著に向上させることが可能になる。
更に本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器においては、上記式(1)から算出されるpMCが102~108の範囲にあり、バイオマス度がほぼ100%であり、高い環境性を有している。
【0015】
本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器が有する上記効果は、後述する実施例の結果からも明らかである。すなわち、光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸及びバイオセルロースを特定量含有するポリ乳酸樹脂組成物から成る、本発明の二軸延伸熱固定容器は、いずれのサンプルにおいてもヘイズ値が10%以下と低く、高い透明性が得られている。また、60℃恒温槽に保存した場合においても、その満注入内容量から求まるボトル熱収縮率が3%以下と、高い耐熱性が得られている。更にバリア性(水分バリア性及び酸素バリア性)においても優れた結果が得られていることがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(ポリ乳酸樹脂組成物から成る二軸延伸熱固定容器)
本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器は、光学活性異性体(d)含有率が4.0%以下であるポリ乳酸(PLLA)及びフィブリル直径が100nm以下のセルロースから成るポリ乳酸樹脂組成物から成ることが第一の特徴である。
【0017】
[ポリ乳酸]
本発明に用いるポリ乳酸は、下記式(I)
-[-O-C(CH)H-CO-] ・・・(I)
で表される反復単位から成り、構成単位が実質上L-乳酸から成り、光学異性体であるD-乳酸の含有量が4.0%以下、好適には3%以下のものである。光学異性体(d)の含有量が上記範囲にあることにより熱固定による配向結晶化の程度を高めることができる。光学活性異性体(d)の含有量が5%以上の非晶性ポリ乳酸を用いた場合には、後述するバイオセルロースの添加量にかかわらず配向結晶の形成が確認されず、60℃恒温度に保存した場合、容器の熱収縮率が4%より大きくなり、耐熱性が得られない(後述する比較例3)。
【0018】
本発明に用いるポリ乳酸は、これに限定されないが、10000~300000、特に20000~250000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。また密度1.26~1.20g/cm、融点160~200℃、メルトフローレート(ASTM D1238,190℃)2~20g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明のポリ乳酸二軸延伸熱固定容器には、その用途に応じて、各種着色剤、充填剤、無機系或いは有機系の補強剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤等を、公知の処方に従って配合することができる。
【0020】
[バイオセルロース]
またポリ乳酸に配合するセルロースは、フィブリル直径が100nm以下のセルロースであり、βグルコースを重合した多糖類から成るバイオセルロースである(以下、「バイオセルロース」という)。酢酸菌が産生するバイオセルロースは、分子鎖が数10本結束して結晶化し、フィブリルを形成し、その直径が概ね20nm以下であることから、可視光の波長(380nm~780nm)に比して極めて小さく、ポリ乳酸の中に分散させても可視光の直進性を阻害することがなく、すなわち乱反射しないことから、ポリ乳酸が有する透明性を損なうことがない。
また本発明においては、光学活性異性体(d)含有量が4.0%以下のポリ乳酸の結晶性を低下させない範囲でバイオセルロースを含有することが好ましく、用いるポリ乳酸樹脂組成物において、ポリ乳酸とバイオセルロースの固形分質量比率が、94:6~99:1、特に95:5~99:1の範囲にあることが好適である。
【0021】
本発明の二軸延伸熱固定成形容器は、実施例からも明らかなように、容器の側壁部から切り出したサンプルを広角X線測定した場合、2θ=10乃至25゜に、ポリ乳酸の配向結晶回折ピークが観測され、容器の側壁部に配向結晶構造が形成されている。これに対して、バイオセルロースを6質量%より多く配合した場合には、ポリ乳酸(PLLA)の配向結晶回折ピークが観測されなかった。一方、バイオセルロースを1質量%未満で配合した場合には、容器の側壁部の広角X線測定で求めた2θ=10乃至25゜にポリ乳酸の配向結晶回折ピークは観測されるものの、60℃恒温槽に保存した場合の容器熱収縮率は6%を示し、耐熱性能が得られていなかった。
【0022】
このことは、ポリ乳酸(PLLA)基材へのバイオセルロースの分散状態に依存しているものと考えられる。すなわち、バイオセルロースの分子は水素結合によってシート構造を形成するため、上記範囲でバイオセルロースを含有する場合には、バイオセルロースが容器の側壁部の面方向に均一分散していると推察される。その一方、バイオセルロースの含有量が1質量%未満と低い場合には、バイオセルロースの未分散領域が存在し、二軸延伸ブロー成形後熱固定しても、容器の熱ひずみ緩和が効果的に施されることがなく、残留ひずみが存在して、熱変形しやすいと考えられる。また、バイオセルロース組成量が6質量%より多い場合は、ポリ乳酸自体の配向結晶の形成をバイオセルロースが阻害し、耐熱性が低下するものと推察される。
尚、バイオセルロースは、220℃以上の温度で茶色に変色するが、210℃以下の温度での溶融ブレンドでは変色しない。そのため、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような、高融点樹脂への溶融ブレンドでは透明性を損なうことなく適用することは難しいが、ポリ乳酸(PLLA)は融点(Tm)は170℃であることから、ポリ乳酸にバイオセルロースを溶融ブレンドしても透明性を損なうことがない。
【0023】
[蒸着膜]
本発明では、ポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器のバリア性を向上するために、容器内面に蒸着膜、特に好適には無機物及び/又は無機酸化物から成る蒸着膜が形成されている。
すなわち、βグルコースの重合体であるバイオセルロースは、吸湿しやすい親水性天然高分子であることから、ポリ乳酸(PLLA)とバイオセルロースから成るポリ乳酸樹脂組成物から構成された容器に、水性内容物を充填した場合などは、水蒸気を透過しやすく、水蒸気の透過に伴い酸素透過も促進するため、バリア性能が低下する。そのため、耐熱性が向上してもバリア性が満足されない。その一方、前述したとおり、特許第4294475号により提案されているような、光学活性異性体(D)含有量が4%以下のポリ乳酸のみから成る、従来の延伸熱固定成形容器において蒸着膜の形成を試みた場合は、蒸着過程で発生する熱にて容器そのものが熱変形したり、ボトル内表面の酸化により異臭が発生するなどの課題が残されていた。しかしながら、本発明にあるバイオセルロースをブレンドしたポリ乳酸樹脂組成物から成る二軸延伸熱固定容器に、蒸着膜を形成した場合には、バイオセルロースがシート状の面方向に分散し、容器内表面層の熱変形や移動を抑制しているため、蒸着膜に亀裂やクラックを生じることがなく、蒸着膜が安定して蓄積する結果、容器の熱変形が抑制され、ボトル内表面の酸化による異臭も低減するという想定外の効果が得られると共に、優れたバリア性能が得られた。
【0024】
蒸着膜は、無機物及び/又は無機酸化物から構成され、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物、またはこれらの無機酸化物を使用することができる。無機酸化物の表記は、例えば、SiOxのようにMOx(ただし、式中、Mは、無機元素で表し、x値は、無機元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。x値の範囲は、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1、5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~1、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができるが、珪素酸化(SiOx)の場合、x=2はガラス状態を示す。
【0025】
本発明においては特に、優れた透明性を有する二軸延伸熱固定容器とするために、蒸着膜は珪素酸化物(SiOx)から成ることが好ましく、特に珪素酸化物(SiOx)におけるxの値が1.0~2.0の範囲の値のものを好適に使用することができる。
尚、高い透明性を求めない場合は、アルミニウム金属、もしくは。アルミニウム酸化物等を蒸着に用いてもよい。
また蒸着膜は、2層以上の蒸着層を積層してもよく、例えば、柔軟性を有する高-OH含有SiOx層の上、にバリア性高い低-OH含有SiOxを積層した多層構成は、酸素ガスおよび水蒸気等の透過をより有効に阻止することができる。
【0026】
本発明において、無機物及び/又は無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲で任意に選択することができ、バリア性能と容器変形に追順できる柔軟性等を考慮してその厚さを決定する。
【0027】
本発明のポリ乳酸二軸延伸熱固定容器においては、バイオマス度がほぼ100%(上記式(1)から算出されるpMCが102~104の範囲)であることが特に好適であることから、上述したポリ乳酸樹脂組成物の単層構成から成る容器であることが好適である。また本発明のポリ乳酸二軸延伸熱固定容器においては蒸着層が形成されていることからバリア性にも優れているので、他のバリア性層等を形成して多層構成にする必要はない。しかし、内容物の性状や用途等、必要に応じて、他の樹脂との積層構造を有することもできる。
本発明のポリ乳酸二軸延伸熱固定容器は、容器の大きさや用途等によって一概に規定できないが、側壁部においてその厚みが100~1000μmの範囲にあることが好適である。
【0028】
(製造方法)
本発明のポリ乳酸製二軸延伸熱固定容器は、光学異性体(d)の含有率が4%以下のポリ乳酸(PLLA)及びバイオセルロースを含有するポリ乳酸樹脂組成物を用いること、及び熱固定後の容器の内表面に蒸着膜を形成すること以外は、従来公知の製造方法により製造することができる。すなわち、ポリ乳酸樹脂組成物から成る有底プリフォームを二軸延伸ブロー成形し、熱固定することにより製造できる。
有底プリフォームは、射出成形、圧縮成形、押出成形等のそれ自体公知の方法で製造され、例えば射出成形による場合には、溶融されたポリ乳酸樹脂組成物を射出し、最終容器に対応する口頚部を有する有底プリフォームを非晶質の状態で製造する。
【0029】
二軸延伸ブロー成形工程へのプリフォームの供給は、一旦過冷却状態のプリフォームを延伸温度に加熱して延伸成形を行う方法(コールドパリソン法)や、成形されるプリフォームの余熱を利用して延伸成形を行う方法(ホットパリソン法)等が採用される。
延伸のためのプリフォームの加熱温度(延伸温度)は、一般にポリ乳酸のガラス転移温度以上150℃以下の温度であることが好ましく、特に80~120℃の範囲にあることが好ましい。
【0030】
二軸延伸ブロー成形に際して、縦延伸倍率を1.5~5.0倍、特に2~3倍、周方向横延伸倍率を1.5~5.0倍、特に2~3倍、面積延伸倍率を2.25~9.0倍、特に4~7倍として二軸延伸ブロー成形を行うのが好ましい。
用いる加圧流体圧力は可及的に高いことが好ましく、最終容器の容量やプリフォームの厚みによっても相違するが、一般に用いる流体の初期圧力は、20kg/cm以上、特に30~40kg/cmの範囲内にあることが好ましい。プリフォーム内に印加される圧力は成形の途中で一様であっても、また初期に高い圧力が印加されるものであってもよい。加圧用流体としては、未加熱の空気或いは不活性気体でも、或いは加熱された空気或いは不活性気体でも使用し得る。
【0031】
本発明においては、二軸延伸ブロー成形により成形された最終成形品の形状を有する容器を、熱固定することが重要であり、これにより容器の配向結晶化を向上させ、耐熱性、及び、機械的強度を向上させることができる。熱固定温度は、70~150℃、特に90~120℃の範囲にあることが好ましい。熱固定温度を高くすると配向結晶化度が高くなるが、型からの取り出し性(取り出しの際の変形防止)の点からも上記温度範囲内であることが好ましい。
熱固定後の容器は、ブロー成形型の温度を上記熱固定温度に維持し、最終成形品(容器)を急激に冷却しないようにしてもよいし、最終成形品に冷風等を流して直ちに冷却が行われるようにしてもよい。
【0032】
本発明においては熱固定後の容器の内表面に蒸着膜を形成することが重要であり、これにより容器のバリア性を向上させることができる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。本発明では、二軸延伸熱固定容器の内表面への蒸着であることから、プラズマ化学気相法による蒸着法により効率よく蒸着膜を形成できる。
【実施例
【0033】
本発明を下記の実施例をもとに説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
(試験材料)
[ポリ乳酸]
ポリ乳酸A:重量平均分子量(MW)がMW=209、500で、且つ、光学活性異性体(d)比率が1.5%のポリ-L-乳酸(PLLA)樹脂を用いた。
ポリ乳酸B:重量平均分子量(MW)がMW=216,000で、且つ、光学活性異性体(d)比率が4.0%のポリ-L-乳酸(PLLA)樹脂を用いた。
ポリ乳酸C:重量平均分子量(MW)がMW=214,500で、且つ、光学活性異性体(d)比率が5.0%のポリ-L-乳酸(PLLA)樹脂を用いた。
【0035】
(バイオセルロース)
市販ココナッツ汁発酵ナタデココを購入し、200℃ホットプレスで加熱/加圧乾燥させた。その後、真空乾燥機で14日間乾燥させ、得られた砕片をボールミルで数十μmまで粉砕した。次に、微粉砕器を用い、高圧ガスで粉体を加速することで粉体間衝突を誘起し、ナノレベルの超微粉砕を行った。得られた粉体を、シリカゲル入りのデシケーターに4週間保存した後、プリフォーム成形に用いた。
【0036】
(プリフォーム成形)
表1に示す重量平均分子量及び光学活性異性体(d%)組成量のポリ乳酸を用い、バイオセルロース(乾燥ナタデココ粉)を表1に示す配合量でブレンドした後、攪拌し、射出成形機に供給した。射出成形時のバレル温度は180~210℃とし、プリフォーム形状に射出成形した。
【0037】
(ボトル成形)
前記プリフォームを、一旦、冷却後、赤外線加熱ヒーターで90℃に再加熱し、金型温度85℃のブロー金型を用い、初期ブロー圧力1.5MPa、メインブロー圧力3MPaにて、500ml容のボトルにブロー成形した。
【0038】
(蒸着)
直径106mm、高さ500mmの金属型筒状プラズマ処理室、処理室を真空にする油回転式ポンプ、周波数2.45GHz、最大出力1.2KWのマイクロ波電源、マイクロ波を発信器からプラズマ処理室に導入するマイクロ波導波管を有する装置を用いた。
内容積が500mlの二軸延伸熱固定ボトルを装置にセット後、ボトル外部の真空度を4KPa、ボトル内部真空度を10PKaとした。ガス供給管は、外径15mm、長さ150mmの多孔構造を有する焼結性ステンレス供給管を用いた。反応ガスに有機金属化合物HMDSO(ヘキサジメチルシロキ酸)を2.7sccmと酸素ガス(O)を27sccm供給し、2.45GHzのマイクロ波を出力することで無機酸化物の蒸着層を成膜した。特に、-OH含有量の多いSiOx層はHMDSO(ヘキサジメチルシロキ酸)ガスのみ供給し、-OH含有量の少ないSiOx層は前出HMDSOガスとOガスの両方のガスを供給した。蒸着後、ボトルを大気開放し、プラズマCVD蒸着装置より内表面に蒸着膜が形成されたボトル(以下、「蒸着ボトル」という)を取り出した。表1に蒸着条件を示した。
【0039】
(広角X線解析測定)
ボトル側壁平坦部を25mm×25mm角に切り出し、20mm×15mm角アパーチャーに固定後、X線回折装置を用い、広角度X線測定した。
【0040】
(pMC測定)
二軸延伸熱固定ボトルの側壁部から切り出したサンプルをCuOで500℃-0.5hr、850℃-2hr処理し、炭酸ガスを捕集した。この捕集炭酸ガスを用い、加速器質量分析器を用い、14C、13C、12Cの存在比を測定した。得られた各同位体炭素量から、前述した式(1)を用い、pMC(Percent Modern Carbon)を算出した。
【0041】
(透明性)
蒸着ボトルの側壁部からサンプルを切り出し、カラーコンピュータ(SM-4:スガ試験器(株))を用いてヘイズを測定した。測定値は、任意の3点の平均値とし、3点平均値が10%以下のボトルを透明性とした。結果を表1に示した。
【0042】
(水分バリア性)
蒸着ボトルにイオン交換水400mlを室温充填し、ゴム栓で密栓後、重量測定した。次に、37℃、25%RH環境下に7日保存した後、再度重量を測定し、ボトル表面積に換算した一日当たりの水分透過量を求めた(g/m・day)。
水分透過量が7g/m・day以下の場合は水分バリア性があり○とし、水分透過量が7g/m・dayを越えた場合は水分バリア性が不十分であり×とした。
【0043】
(酸素バリア性)
蒸着ボトルを脱気グローボックスに投入し、窒素ガスを用いガス置換後、ゴム栓で密封し、37℃、25%RH環境下に7日保存した。次に、ガスタイトシリンジで容器内ガスを1ml採取し、酸素濃度測定ガスクロマトグラフィーにてボトル内酸素濃度を測定した。この場合も、実測定値をボトル表面積で換算し一日当たりの酸素透過量(cc/m・day)とした。
【0044】
(水フレーバー性)
蒸着ボトルに蒸留水400mlを充填し、22℃に2週間保存した。保存後のボトルから蒸留水を取り出し、4点評価法による異味異臭の官能試験を行った。蒸留水を比較対照区(評点1)とし、水フレーバー性を評価した。評価基準は次の通りである。
1.0~2.0未満:問題なし
2.0~2.5未満:異味異臭大
2.5以上:異味異臭きわめて大
4点平均値が1.4以下の場合、蒸着によるボトル内表面層の酸化劣化はなく、評点2.0以上で蒸着によるボトル内表面層の酸化劣化が顕著であると判断した。
【0045】
(ボトル熱収縮性)
蒸着ボトルを60℃恒温槽に18日間保存した。60℃恒温槽に18日間保存前後のボトル満注内容量を20℃水道水の充填量から求め、保存経時後の満注内容量W1と初期満注内容量W0から、下記式(2)
熱収縮率(%)=(W0-W1)/W0×100 ・・・(2)
から熱収縮率を算出した。
熱収縮率が3%未満のボトルを○とし、熱収縮率が3%以上のボトルを×とした。
【0046】
(SiOx膜質測定)
[―OH含有量]
珪素酸化物(SiOx)の蒸着膜を形成した蒸着ボトル内面、及び未蒸着のボトル内面を入射角45°のゲルマニウムを用い、1点反射ATR測定を行った、それぞれの珪素酸化物膜のスペクトルを得るため、蒸着ボトル内面のIRスペクトルから未蒸着ボトルのスペクトルを1020cm-1ピーク基準に、吸収ピークが消えるまでが差し引いた。
上記差スペクトルから750cm-1~950cm-1領域の谷―谷をベースラインとしたピーク強度(R)と、3000cm-1~3600cm-1の谷―谷をベースラインとしたピーク強度(OH)から式(3)を用い、OH含有量を算出した。
OH含有量=(OH)/R) ・・・(3)
【0047】
[実施例1]
光学活性異性体(d%)が、d%=1.5%、の平均重量分子量200000のポリ乳酸に、前記バイオセルロース微粉を5wt%ブレンドした後、バレル温度180℃~210℃の射出成形機で、プリフォームを射出成形した。次に、金型温度80℃に設定したキャビティ型、底型を用い、ワンモールドブロー成形機で二軸延伸熱固定ボトルを成形した。更に、有機金属ガスHNDSO(ヘキサメチレンジシロキサン)とO(酸素ガス)を用い、二軸延伸熱固定ボトル内表面にSiOx蒸着膜を成膜した、初期に-OH含有量の多い珪素酸化物(SiOx)膜を入射波出力510W-0.6秒で蒸着し、連続して-OH含有量の少ない珪素酸化物(SiOx)膜を入射波出力580W-4秒蒸着した。
珪素酸化物(SiOx)膜を蒸着した透明な二軸延伸熱固定ボトルの側壁部から切片(サンプル)を切り出し、広角度X線測定し、2θ=10乃至25°に配向結晶回折ピークを確認した場合、配向結晶が形成されていると判断した。
また、20℃水満注内容量の変化から求めた60℃-18日間保存後の二軸延伸熱固定ボトルの熱収縮率は1.0%であり、優れた耐熱性能を有していた。
水フレーバー性試験の結果は、4点平均値で1.1であり、異臭の原因となる有機酸化化合物が抽出されなかった。
水分透過量試験から求めた水分透過量は1.2g/m・dayであり、○であった。
酸素透過性試験から求めた酸素透過度は4.04cc/m・dayであった。
【0048】
[実施例2]
バイオセルロース微粉のブレンド量を質量比で1wt%とする以外は、実施例1同様に行った。
ボトル側壁部から切り出した切片(サンプル)の広角度X線測定から求めた、2θ=10乃至25°に配向結晶回折ピークを確認した。
また、20℃水満注内容量から求めた60℃-18日間保存後の二軸延伸熱固定ボトルの熱収縮率は1.2%であった。
水フレーバー性試験の結果は、4点平均値で1.2であり、異臭の原因となる有機酸化化合物は抽出されなかった。
水分透過量試験で求めた水分透過量は1.36g/m・dayで○であった。
酸素透過性試験で求めた酸素透過度は4.18cc/m・dayであった。
【0049】
[実施例3]
重量平均分子量(MW)が201,600で、且つ、光学活性異性体(d)比率が4.0%のポリ-L-乳酸(PLLA)樹脂を用いた他は実施例1同様に行った。
ボトルの側壁部切片を広角度X線測定し、2θ=10乃至25°に配向結晶回折ピークを確認した。
また、20℃水満注内容量の変化から求めた60℃-18日間保存後の二軸延伸熱固定ボトルの熱収縮率は1.8%であった。
水フレーバー性試験の結果は、4点平均値で1.2であり、異臭の原因となる有機酸化化合物は抽出されなかった。
水分透過量試験で求めた水分透過量は1.14g/m・dayで○であった。
酸素透過性試験から求めた酸素透過度は4.62cc/m・dayであった。
【0050】
[実施例4]
蒸着工程をHMDSOとOからなる層のみで形成した以外は実施例1同様に行った。
ボトルの側壁部切片を広角度X線測定し、2θ=10乃至25°に配向結晶回折ピークを確認した。
また、20℃水満注内容量の変化から求めた60℃-18日間保存後の二軸延伸熱固定ボトルの熱収縮率は1.2%であった。
水フレーバー性試験の結果は、4点平均値で1.4であり、異臭の原因となる有機酸化化合物は抽出されなかった。
水分透過量試験で求めた水分透過量は1.14g/m・dayで○であった。
酸素透過性試験から求めた酸素透過度は6.88cc/m・dayであった。
【0051】
[比較例1]
バイオセルロース微粉ブレンド量質量比で0.5wt%とする以外は、実施例1同様に行った。結果を表1に示した。
【0052】
[比較例2]
バイオセルロース微粉ブレンド量質量比で7wt%とする以外は、実施例1同様に行った。結果を表1に示した。
【0053】
[比較例3]
重量平均分子量(MW)が214.500で、且つ、光学活性異性体(d)比率が5.0%のポリ乳酸(PLLA)樹脂を用いた他は実施例1同様に行った。結果を表1に示した。
【0054】
【表1】