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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】車両用空調装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20220817BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B60H1/32 626B
B60H1/00 103C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018082738
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019188974
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】矢野 輝昭
(72)【発明者】
【氏名】寺田 勝
(72)【発明者】
【氏名】武田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】古賀 好宏
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-072007(JP,U)
【文献】特開2002-370516(JP,A)
【文献】特開2005-254933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 ~ 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の空調装置であって、
前記車両の車室外から空気を導入する外気導入モードと、前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードと、前記車両の前記車室外と前記車室内とを連通状態とする中間モードと、を切り換え可能な内外気切り換え部と、
前記車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部と、
前記車両の乗員による、前記外気導入モードと前記内気循環モードとの切り換えに係る選択を受け付ける空調コントロールスイッチと、
イグニッションスイッチがON状態であるかOFF状態であるかを検出するイグニッション状態検出部と、
前記ドア開閉検出部からの前記検出に係る情報、前記空調コントロールスイッチからの前記選択に係る情報、および前記イグニッション状態検出部からの前記検出に係る情報を受け付けるとともに、前記内外気切り換え部に対して実行するモードの指令を発する空調制御部と、
を備え、
前記空調制御部は、
前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した時から計時を開始する第1タイマと、前記第1タイマが計時を終了した時から計時を開始する第2タイマとを有するとともに、
前記ドア開閉検出部が前記ドアの開状態を検出した場合に、前記内外気切り換え部に対して前記中間モードに切り替える旨の指令を発し、
前記中間モードに切り替える旨の指令を発した後に、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、前記第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、を足し合わせた時間の経過を待って、前記内外気切り換え部に対して、前記中間モードに切り替える旨の指令を発する直前のモードに戻すように指令を発し
前記中間モードに切り替える旨の指令を発した後に、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時を開始するとともに、タイムアップの前に前記イグニッションスイッチがON状態になった場合に計時を終了して前記第2タイマによる計時を開始し、前記第2タイマがタイムアップした時に、前記内外気切り換え部に対して前記乗員により選択されたモードに戻すように指令を発する、
車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調装置において、
前記直前のモードは、前記内外気切り換え部に対して前記乗員により選択されたモードである、
車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置において、
前記第1タイマにおける、計時開始からタイムアップまでの設定時間は、前記第2タイマにおける、計時開始からタイムアップまでの設定時間よりも短い、
車両用空調装置。
【請求項4】
車両用の空調装置の制御方法であって、
前記空調装置は、
前記車両の車室外から空気を導入する外気導入モードと、前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードと、前記車両の前記車室外と前記車室内とを連通状態とする中間モードと、を切り換え可能な内外気切り換え部と、
前記車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部と、
前記車両の乗員による、前記外気導入モードと前記内気循環モードとの切り換えに係る選択を受け付ける空調コントロールスイッチと、
イグニッションスイッチがON状態であるかOFF状態であるかを検出するイグニッション状態検出部と、
前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した時から計時を開始する第1タイマと、
前記第1タイマが計時を終了した時から計時を開始する第2タイマと
を備え、
前記ドア開閉検出部が前記ドアの開状態を検出した場合に、前記内外気切り換え部を前記中間モードに切り替える中間モード切り換えステップと、
前記中間モード切り換えステップの実行により、前記中間モードに設定されている状態で、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時を開始して待機する待機ステップと、
前記待機ステップの実行開始後に、前記第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、前記第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、を足し合わせた時間の経過を待って、前記内外気切り換え部を、前記中間モード切り換えステップを実行する直前のモードに戻すモード復帰ステップと、
前記待機モードの実行開始後に、前記第1タイマがタイムアップする前に前記イグニッションスイッチがON状態になった場合に、当該第1タイマの計時を終了して前記第2タイマによる計時を開始し、前記第2タイマがタイムアップするのを待って、前記内外気切り換え部を、前記乗員により選択されたモードに戻すモード早期復帰ステップと、
を備える、
車両用空調装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車室内の温度等の環境を制御するための車両用空調装置が備えられている。車両用空調装置は、外気導入モードと内気循環モードとの切り換えを行うために内外気切り換えダンパを有する。乗員が車室内に設けられた空調コントロールスイッチで外気導入モードを選択した際には、内外気切り換えダンパが外気を車室内に導入できるように弁体の姿勢が設定され、内気循環モードを選択した場合には、内気を導入し車室内に循環させるように弁体の姿勢が設定される。
【0003】
ところで、近年においては、車室の気密性が増々高められる傾向にある。このように車室の気密性が高められた車両においては、ドアを閉める際に、ドアの開口面積の減少によるドア開口部からの空気の抜け量が減少し、且つ、ドア開口部以外の車体の隙間からの空気の抜け量も極めて少ないため、ドアが閉まり難くなる。その結果、半ドア状態が発生することがある。
【0004】
このようなドアを閉めた際の半ドア状態の発生を抑制しようとする技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の技術では、内外気切り換えダンパの弁体の姿勢について、外気導入時の姿勢と内気導入時の姿勢との中間の姿勢となる中間状態を採ることができる構成となっている。そして、特許文献1に開示の技術では、車両のドアが開かれた場合に、内外気切り換えダンパを上記中間状態とし、ドアが閉められた時に、弁体の姿勢をドアが開かれる前の状態(元の状態)に戻す、という構成が採用されている。
【0005】
特許文献1に開示の技術を採用する場合には、内外気切り換えダンパを上記中間状態とすることにより、当該内外気切り換えダンパを通して、車室内と車外との間に空気の流通路が形成されることとなり、ドアを閉めた際の半ドア状態の発生が抑制されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-39995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、乗員が車両に乗り込み、ドアを閉めた直後に内外気切り換えダンパの弁体が駆動されるので、車室内の静寂性という観点から改善の余地がある。即ち、乗員が車両に乗り込みドアを閉めた直後は、乗り込んだ乗員が、車外よりも車室内の方が静寂であることを感じやすく、この時に弁体を駆動するモータなどの音が生じるのは望ましくない。
【0008】
また、車両に対して複数の乗員が乗り込む場合には、時間的にずれた状態でドアが閉められることが多い。このような場合に、ドアの開閉の度に弁体を駆動させることは車両のエネルギの無駄な消費に繋がり、望ましくない。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となることを抑制できるとともに、ドアを閉めた直後の車室内の高い静寂性を確保し、且つ、車両のエネルギ消費を抑えることができる車両用空調装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る車両用空調装置は、前記車両の車室外から空気を導入する外気導入モードと、前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードと、前記車両の前記車室外と前記車室内とを連通状態とする中間モードと、を切り換え可能な内外気切り換え部と、前記車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部と、前記車両の乗員による、前記外気導入モードと前記内気循環モードとの切り換えに係る選択を受け付ける空調コントロールスイッチと、イグニッションスイッチがON状態であるかOFF状態であるかを検出するイグニッション状態検出部と、前記ドア開閉検出部からの前記検出に係る情報前記空調コントロールスイッチからの前記選択に係る情報、および前記イグニッション状態検出部からの前記検出に係る情報を受け付けるとともに、前記内外気切り換え部に対して実行するモードの指令を発する空調制御部と、を備え、前記空調制御部は、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した時から計時を開始する第1タイマと、前記第1タイマが計時を終了した時から計時を開始する第2タイマとを有するとともに、前記ドア開閉検出部が前記ドアの開状態を検出した場合に、前記内外気切り換え部に対して前記中間モードに切り替える旨の指令を発し、前記中間モードに切り替える旨の指令を発した後に、前記ドア開閉検出部が前記ドア閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、前記第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、を足し合わせた時間の経過を待って、前記内外気切り換え部に対して、前記中間モードに切り替える旨の指令を発する直前のモードに戻すように指令を発し、前記中間モードに切り替える旨の指令を発した後に、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時を開始するとともに、タイムアップの前に前記イグニッションスイッチがON状態になった場合に計時を終了して前記第2タイマによる計時を開始し、前記第2タイマがタイムアップした時に、前記内外気切り換え部に対して前記乗員により選択されたモードに戻すように指令を発する。
【0011】
上記態様に係る車両用空調装置では、ドアが開かれた時に、内外気切り換え部を中間モードとし、ドアが閉められる時にも当該中間モードが維持されている。よって、車室の気密性が高い車両においても、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となること(所謂、半ドア状態になること)を抑制することができる。
【0012】
上記態様に係る車両用空調装置では、ドアが閉じられた後に直ぐに内外気切り換え部のモードを戻すのではなく、設定時間の経過を待ってから元のモード(前記中間モードに切り替える旨の指令を発する直前のモード)へと戻すこととしている。このため、乗員が車両に乗り込んでドアを閉めた直後の車室内の静寂性が維持され、乗り込んだ乗員が内外気切り改部の駆動に係る音に煩わしさを感じることがない。
【0013】
また、上記態様に係る車両用空調装置では、第1タイマがタイムアップするまでイグニッションスイッチがON状態とされなかった場合には、設定時間(第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間とを足し合わせた時間)の経過を待ってから内外気切り換え部のモードを元のモードへと戻すこととしているので、複数の乗員が車両に乗り降りする場合にあっても、上記態様では、上記特許文献1に開示の技術のように内外気切り換え部の駆動が断続的に行われるのを抑制することができ、車両のエネルギ消費を抑えることが可能となる。
また、上記態様に係る車両用空調装置では、第1タイマの計時中にイグニッションスイッチがON状態となった場合には、第1タイマでの計時をタイムアップを待たずに直ぐに終了し、第2タイマでの計時を開始する。これは、乗員がイグニッションスイッチをON状態にした場合においては、車室内の静寂性を感じさせる必要はなくなることに起因する。このため、上記態様に係る車両用空調装置では、不必要な待機時間(中間モードでの待機時間)を短縮することができ、より早期に乗員が意図するモードへと復帰させることが可能となる。
【0014】
従って、上記態様に係る車両用空調装置では、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となることを抑制できるとともに、ドアを閉めた直後の車室内の高い静寂性を確保し、且つ、車両のエネルギ消費を抑えることができる。
【0015】
なお、上記において、「予め設定された時間」とは、乗員が車両に乗り込んでから車室内で何らかの動作を開始するまでの時間や、複数の乗員の乗り込みに要する時間などを、実験的・経験的に算出して設定される時間である。
【0016】
本発明の別態様に係る車両用空調装置は、上記態様において、前記直前のモードは、前記内外気切り換え部に対して前記乗員により選択されたモードである。
【0017】
上記態様に係る車両用空調装置では、空調制御部が第1タイマと第2タイマとを有し、第1タイマのタイムアップ後、第2タイマが計時を開始する構成としているので、乗員が乗り込んでドアを閉めた後、両タイマの設定時間を合計した時間が経過した後に、内外気切り換え部が元のモード(内外気切り換え部に対して乗員により選択されたモード)へと復帰する。
【0018】
ここで、第1タイマの計時開始からタイムアップまでの設定時間は、乗員が乗車した直後に静寂性を感じる時間であり、第2タイマの計時開始からタイムアップまでの設定時間は、1人の乗員が乗車した後に、他の乗員が乗車するまでに要する時間である。なお、両時間は、ともに実験的・経験的に算出して設定される。
【0019】
以上のように、上記態様に係る車両用空調装置では、2つのタイマを用いて、乗車した乗員が静寂性を感じるのを阻害せず、また、複数の乗員が乗車する場合にも、車両のエネルギ消費を抑えることができる。
【0022】
本発明の別態様に係る車両用空調装置は、上記態様において、前記第1タイマにおける、計時開始からタイムアップまでの設定時間(第1設定時間)は、前記第2タイマにおける、計時開始からタイムアップまでの設定時間(第2設定時間)よりも短い。
【0023】
上記態様に係る車両用空調装置では、第1設定時間を第2設定時間よりも短くしている。これは、乗車した乗員が静寂性を感じるのに要する時間が、他の乗員の乗車が完了するまでの時間よりも短いことに起因する。なお、第1設定時間と第2設定時間との差異についても、実験的・経験的に規定される。
【0024】
本発明の一態様に係る車両用空調装置の制御方法は、前記車両の車室外から空気を導入する外気導入モードと、前記車両の車室内の空気を循環させる内気循環モードと、前記車両の前記車室外と前記車室内とを連通状態とする中間モードと、を切り換え可能な内外気切り換え部と、前記車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部と、前記車両の乗員による、前記外気導入モードと前記内気循環モードとの切り換えに係る選択を受け付ける空調コントロールスイッチと、イグニッションスイッチがON状態であるかOFF状態であるかを検出するイグニッション状態検出部と、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した時から計時を開始する第1タイマと、前記第1タイマが計時を終了した時から計時を開始する第2タイマとを備える前記空調装置を制御対象とし、前記ドア開閉検出部が前記ドアの開状態を検出した場合に、前記内外気切り換え部を前記中間モードに切り替える中間モード切り換えステップと、前記中間モード切り換えステップの実行により、前記中間モードに設定されている状態で、前記ドア開閉検出部が前記ドアの閉状態を検出した場合に、前記第1タイマによる計時を開始して待機する待機ステップと、前記待機ステップの実行開始後に、前記第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、前記第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と、を足し合わせた時間の悔過を待って、前記内外気切り換え部を、前記中間モード切り換えステップを実行する直前のモードに戻すモード復帰ステップと、前記待機モードの実行開始後に、前記第1タイマがタイムアップする前に前記イグニッションスイッチがON状態になった場合に、当該第1タイマの計時を終了して前記第2タイマによる計時を開始し、前記第2タイマがタイムアップするのを待って、前記内外気切り換え部を、前記乗員により選択されたモードに戻すモード早期復帰ステップと、を備える。
【0025】
上記態様に係る車両用空調装置の制御方法では、中間モード切り換えステップの実行により、ドアが閉められる時にも該中間モードが維持されている。よって、車室の気密性が高い車両においても、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となること(所謂、半ドア状態になること)を抑制することができる。
【0026】
上記態様に係る車両用空調装置の制御方法では、ドアが閉じられた後に直ぐに内外気切り換え部のモードを元のモードに戻すのではなく、予め設定された時間の経過を待ってから(待機ステップの実行の後)、元のモード(前記中間モードを実行する直前のモード)へと戻すこととしている(モード復帰ステップを実行する)。このため、乗員が車両に乗り込んでドアを閉めた直後の車室内の静寂性が維持され、乗り込んだ乗員が内外気切り改部の駆動に係る音に煩わしさを感じることがない。
【0027】
また、上記態様に係る車両用空調装置の制御方法では、第1タイマがタイムアップするまでイグニッションスイッチがON状態とされなかった場合には、設定時間(第1タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間と第2タイマによる計時開始からタイムアップまでの時間とを足し合わせた時間)の経過を待ってモード復帰ステップを実行することとしているので、複数の乗員が車両に乗り降りする場合にあっても、上記態様では、上記特許文献1に開示の技術のように内外気切り換え部の駆動が断続的に行われるのを抑制することができ、車両のエネルギ消費を抑えることが可能となる。
また、上記態様に係る車両用空調装置の制御方法では、待機ステップの実行開始後における第1タイマの計時中にイグニッションスイッチがON状態となった場合には、第1タイマでの計時をタイムアップを待たずに直ぐに終了し、第2タイマでの計時を開始する。これは、乗員がイグニッションスイッチをON状態にした場合においては、車室内の静寂性を感じさせる必要はなくなることに起因する。このため、上記態様に係る車両用空調装置では、不必要な待機時間(中間モードでの待機時間)を短縮することができ、より早期に乗員が意図するモードへと復帰させることが可能となる。
【0028】
従って、上記態様に係る車両用空調装置の制御方法では、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となることを抑制できるとともに、ドアを閉めた直後の車室内の高い静寂性を確保し、且つ、車両のエネルギ消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
上記の各態様では、ドアを閉めた際のドアの閉まり具合が不十分となることを抑制できるとともに、ドアを閉めた直後の車室内の高い静寂性を確保し、且つ、車両のエネルギ消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る車両を左側方から見た模式側面図である。
図2図1のA部を示す模式側面図である。
図3】(a)は、外気導入モードでの内外気切り換えダンパの状態を示す模式側面図であり、(b)は、内気循環モードでの内外気切り換えダンパの状態を示す模式側面図であり、(c)は、中間モードでの内外気切り換えダンパの状態を示す模式側面図である。
図4】運転席側のドアが開状態の車両を示す模式平面図である。
図5】車室部内に設けられた空調コントロールスイッチの構成を示す模式図である。
図6】車両用空調装置に係る制御構成を示すブロック図である。
図7】コントロールユニットが実行する空調制御方法を示すフローチャートである。
図8】空調制御方法の一例を示すタイムチャートである。
図9】空調制御方法の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0032】
なお、以下の説明で用いる図において、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「右方」、「左方」は、車両に乗車した乗員を基準とする方向である。
【0033】
1.車両1の構成
本実施形態に係る車両1の構成について、図1を用いて説明する。
【0034】
図1に示すように、車両1は、エンジン等の駆動動力源などが搭載されている車両前部1aと、乗員が乗車する車室部1bと、車室部1bよりも後部の車両後部1cとから構成されている。車両1の車室部1bには、乗員の乗り降りのためのドア2(フロントドア2a、リヤドア2b、リヤゲート2c)が設けられている。
【0035】
なお、図1では、車両1の左側面だけを図示しているが、反対側の右側面にもフロントドア2aおよびリヤドア2bが設けられている。
【0036】
フロントドア2aおよびリヤドア2bのそれぞれには、乗員の操作により開閉するウインド3(フロントウインド3a、リヤウインド3b)が設けられている。
【0037】
2.内外気切り換えダンパ4
車両1に設けられている内外気切り換えダンパ4の構成について、図2および図3を用いて説明する。図2は、図1のA部に搭載された内外気切り換えダンパ4の構成を示す模式側面図であり、図3は、(a)が外気導入モードが選択されている場合の内外気切り換えダンパ4の状態を示す模式側面図であり、(b)が内気循環モードが選択されている場合の内外気切り換えダンパ4の状態を示す模式側面図であり、(c)が中間モードが選択されている場合の内外気切り換えダンパ4の状態を示す模式側面図である。
【0038】
図2に示すように、内外気切り換えダンパ4は、車両1の外方(前方)から空気を取り込むための外気導入口4aと、車室部1bの内部から空気を取り込むための内気導入口4bと、を備える。
【0039】
内外気切り換えダンパ4は、外気導入口4aから続く経路と、内気導入口4bから続く経路と、の合流部分に弁体40を備える。図3(a)~(c)に示すように、弁体40は、板状体40aと、その下方に設けられた支持アーム40bと、を有する。板状体40aと支持アーム40bとは、支持アーム40bの下部を支持する支軸40cを中心に、一体に回動できるようになっている。
【0040】
図2に戻って、内外気切り換えダンパ4の下方には、フィルタ5およびブロワファン6が取り付けられている。ブロワファン6の駆動中において、内外気切り換えダンパ4には、弁体40の状態に応じて、外気Flow1または内気Flow2が導入される。そして、導入された外気Flow1または内気Flow2は、フィルタ5やエバホレータ(不図示)などを介して車室部1b内に噴出される(Flow3)。
【0041】
図3(a)に示すように、外気導入モードが選択されている場合においては、弁体40の板状体40aは内気導入口4bを塞ぐ姿勢とされる。これにより、外気導入モードが選択されている場合には、内外気切り換えダンパ4に対しては、外気導入口4aから外気Flow1だけが導入される。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、内気循環モードが選択されている場合においては、弁体40の板状体40aは外気導入口4aを塞ぐ姿勢とされる。これにより、内気循環モードが選択されている場合には、内外気切り換えダンパ4に対しては、内気導入口4bから内気Flow2だけが導入される。
【0043】
次に、図3(c)に示すように、内外気切り換えダンパ4が中間モードを採っている場合においては、弁体40の板状体40aは外気導入モードでの姿勢と内気循環モードでの姿勢との中間位置の姿勢とされる。これにより、外気導入口4aと内気導入口4bとは連通状態となる。よって、車室部1bの空間と車室外との間で空気の流通経路が形成されることとなる。
【0044】
なお、内外気切り換えダンパ4がとり得る3つのモードのうち、外気導入モードと内気循環モードとの切り換えは、車室部1b内に設けられた空調コントロールスイッチ8に対する乗員の操作によって実行される。これについては、後述する。
【0045】
3.車両1におけるドアの開閉
車両1におけるドア2の開閉について、図4を用いて説明する。図4は、運転席側のドア2arが開状態での車両1の状態を示す模式平面図である。
【0046】
図4に示すように、車両1においては、乗員の乗り降りに際してドア2ar,2al,2br,2blが開閉される。また、車両1に対して荷物の出し入れを行う際には、リヤゲート2cが開閉される。
【0047】
ここで、複数の乗員が車両1に乗り降りする際や、乗員が車室部1bの後部に載せた荷物の出し入れを行うような場合には、ドア2ar,2al,2br,2blおよびリヤゲート2cは、時間的なズレを有した状態で開閉が行われることとなる。
【0048】
なお、本実施形態に係る車両1においては、ドア2ar,2al,2br,2blおよびリヤゲート2cのそれぞれの支持部にドア開閉センサが設けられている。
【0049】
4.空調コントロールスイッチ8の構成
車室部1b内におけるダッシュボードに設けられた空調コントロールスイッチ8の構成について、図5を用いて説明する。図5は、空調コントロールスイッチ8の構成を示す模式図である。
【0050】
図5に示すように、空調コントロールスイッチ8は、A/C(エアーコンディショナ)スイッチ80と、風量スイッチ81,82と、外気導入スイッチ83と、内気循環スイッチ84と、設定温度切り替えダイヤル85,86と、空調インフォメーションディスプレイ87と、を備える。
【0051】
A/Cスイッチ80は、乗員がA/Cを駆動するか否かを選択するためのスイッチであり、一度スイッチを押すとA/CがON状態となり、再度スイッチを押すとA/CがOFF状態となる。
【0052】
なお、A/Cスイッチ80をON状態とした状態では、オートモードが初期状態として設定される。
【0053】
風量スイッチ81,82は、乗員が風量の調節を行うためのスイッチであり、風量スイッチ81を押すと、その回数に応じて風量が順に高くなる。逆に、風量スイッチ82を押すと、その回数に応じて風量が順に低くなる。
【0054】
なお、乗員がA/Cスイッチ80をON状態にした後に、風量スイッチ81,82の操作を行った場合には、オートモードが解除される。
【0055】
外気導入スイッチ83は、当該スイッチを乗員が押した場合に、外気導入モードが選択されるスイッチである。内気導入スイッチ84は、当該スイッチを乗員が押した場合に、内気循環モードが選択されるスイッチである。外気導入スイッチ83と内気導入スイッチ84とは、何れか一方を乗員に選択させるためのスイッチであり、択一的にモードを切り替えることができるスイッチである。
【0056】
なお、乗員がA/Cスイッチ80をON状態にした後に、外気導入スイッチ83または内気導入スイッチ84の操作を行った場合には、オートモードが解除される。
【0057】
設定温度切り替えダイヤル85は、車室部1bにおける右方側(右ハンドル車の場合には運転席側であり、左ハンドル車の場合には助手席側)の温度設定を行うダイヤルである。設定温度切り替えダイヤル85には、設定温度表示部85aが設けられており、現在の設定温度が表示されるようになっている。
【0058】
同様に、設定温度切り替えダイヤル86は、車室部1bにおける左方側(右ハンドル車の場合には助手席側であり、左ハンドル車の場合に運転席側)の温度設定を行うダイヤルである。設定温度切り替えダイヤル86にも、設定温度表示部86aが設けられており、現在の設定温度が表示されるようになっている。
【0059】
空調インフォメーションディスプレイ87は、設定温度切り替えダイヤル85と設定温度切り替えダイヤル86との間に配置されており、A/CがON状態であるか否か、オートモードであるか否か、そして各検出温度およびファンの風量が表示されるようになっている。
【0060】
5.車両用空調装置100に係る制御構成
車両用空調装置100に係る制御構成について、図6を用いて説明する。図6は、車両用空調装置100に係る制御構成を示すブロック図である。
【0061】
図6に示すように、本実施形態に係る車両用空調装置100は、コントロールユニット9と、空調コントロールスイッチ8と、ドア開閉センサ11と、ダンパ切り換えアクチュエータ41を含む内外気切り換えダンパ4と、を備える。
【0062】
コントロールユニット9は、CPU、ROM、RAMなどから構成されたマイクロプロセッサを有している。また、図6に示すように、コントロールユニット9には、第1タイマ9aおよび第2タイマ9bと、メモリ9cと、を備える。
【0063】
第1タイマ9aは、計時開始からタイムアップまでの時間が、予めTaに設定されたタイマである。第2タイマ9bは、第1タイマ9aが計時を終了した時点から計時を開始するように構成されており、計時開始からタイムアップまでの時間が、予めTbに設定されたタイマである。
【0064】
ここで、本実施形態に係る車両用空調装置100では、TaとTbとが次の関係を満たすように設定されている。
【0065】
Ta<Tb・・(数1)
Taとしては、3~7sec.の範囲内の値(例えば、5sec.)が設定され、Tbとしては、20~40sec.(例えば、30sec.)が設定されている。
【0066】
なお、Taの設定値については、乗員が車両1に乗り込みドア2を閉めた直後に静寂性を敏感に感じる期間であり、実験的・経験的に規定される値である。
【0067】
また、Tbの設定値については、車両1に対して任意の乗員が乗り込んだ後、他の乗員も乗り込むのに要する期間であり、これも実験的・経験的に規定される値である。
【0068】
図6に戻って、コントロールユニット9に対しては、空調コントロールスイッチ8からの情報、IGスイッチ10からのON/OFF情報、ドア開閉センサ11からのドア2の開閉に関する情報、などが入力されるようになっている。
【0069】
なお、上述のように、ドア開閉センサ11については、ドア2ar,2al,2br,2blおよびリヤゲート2cのそれぞれの支持部に設けられている。
【0070】
コントロールユニット9は、上記のように入力される各種情報に基づいて、必要に応じて、ダンパ切り換えアクチュエータ41の駆動制御を実行する。
【0071】
なお、ダンパ切り換えアクチュエータ41は、図2および図3で図示を省略したが、弁体40の駆動のために設けられている。そして、コントロールユニット9からダンパ切り換えアクチュエータ41への指令に基づいて、内外気切り換えダンパ4は、外気導入モード、内気循環モード、および中間モードが択一的に切り替えられる。
【0072】
6.空調制御方法
コントロールユニット9が実行する空調制御方法について、図7から図9を用いて説明する。図7は、コントロールユニット9が実行する空調制御方法を示すフローチャートであり、図8および図9は、それぞれ空調制御方法の一例を示すタイムチャートである。
【0073】
図7に示すように、コントロールユニット9は、空調制御において、先ずIGスイッチ10がOFFであるか否かを判断する(ステップS1)。IGスイッチ10がONであると判断した場合には(ステップS1:No)、空調制御をリターンする。
【0074】
一方、コントロールユニット9は、IGスイッチがOFFであると判断した場合には(ステップS1:Yes)、次に、ドア2が開状態であるか否かを判断する(ステップS2)。ここで、本実施形態では、ステップS2で判断対象とするドア2は、ドア2ar,2al,2br,2blの何れか1つのドアである。全てのドア2が閉状態であると判断した場合には(ステップS2:No)、空調制御をリターンする。
【0075】
一方、コントロールユニット9は、1つのドア2が開状態であると判断した場合には(ステップS2:Yes)、内外気切り換えダンパ4を中間モードに切り替えるようにダンパ切り換えアクチュエータ41に指令を発する(ステップS3)。
【0076】
なお、図7では、図示を省略しているが、コントロールユニット9は、ステップS3を実行するに際し、中間モードに切り替える直前のモード、即ち、中間モードに切り替える前に乗員が空調コントロールスイッチ8に対して入力したモード(外気導入モードまたは内気循環モード)に関する情報を、メモリ9cに記憶する。
【0077】
コントロールユニット9は、ステップS3の実行の後、上記何れか1つのドア2が閉じられた否かを判断する(ステップS4)。コントロールユニット9は、上記何れか1つのドア2が閉じられたと判断するまで、この状態で待機する(ステップS4:No)。
【0078】
コントロールユニット9は、上記何れか1つのドア2が閉じられたと判断した場合には(ステップS4:Yes)、第1タイマ9aでの計時を開始する(ステップS5)。コントロールユニット9は、第1タイマ9aでのカウント時間T1が、予め設定された時間Taに達していない場合には(ステップS6:Yes)、IGスイッチ10がOFF状態のままであることを確認して(ステップS7:Yes)、ステップS6の判断を継続する。
【0079】
コントロールユニット9は、ステップS6の判断でカウント時間T1が時間Taに達したと判断した場合(ステップS6:No)、あるいは、ステップS7の判断でIGスイッチ10がONにされたと判断した場合には(ステップS7:No)、第1タイマ9aをリセットし(ステップS8)、続いて第2タイマ9bでの計時を開始する(ステップS9)。
【0080】
コントロールユニット9は、第2タイマ9bでのカウント時間T2が、予め設定された時間Tbに達するまで(ステップS10:Yes)、待機する。
【0081】
そして、コントロールユニット9は、第2タイマ9bでのカウント時間T2が時間Tbに達したと判断した場合には(ステップS10:No)、第2タイマ9bをリセットし(ステップS11)、メモリ9cに記憶したモード情報を読み出して、内外気切り換えダンパ4のモードをステップ3を実行する直前のモードへと切り替えるようにダンパ切り換えアクチュエータ41に指令を発する(ステップS12)。
【0082】
以上のように、コントロールユニット9が実行する空調制御が終了する。
【0083】
(i)第1の制御例
次に、図7を用いて説明した空調制御のうち、第1タイマ9aがタイムアップ(ステップS6:No)となって後に第2タイマ9bの計時を開始し、その後に内外気切り換えダンパ4のモードを戻す制御について、図8のタイムチャートを用いて説明する。
【0084】
図8に示すように、本例では、IGスイッチ10は、OFF状態のまま維持されている。そして、タイミングt1において、上記何れか1つのドア2が開状態となる。これを検知したコントロールユニット9は、内外気切り換えダンパ4を中間モードへと切り替える。
【0085】
なお、図8に示す例では、タイミングt1よりも前の時点では、内外気切り換えダンパ4は、内気循環モードに設定されている。
【0086】
次に、内外気切り換えダンパ4が中間モードに設定された状態が維持され、タイミングt2で上記何れか1つのドア2が閉じられる。これを検知したコントロールユニット9は、先ず第1タイマ9aをONにし計時を開始する。第1タイマ9aは、タイミングt3でタイムアップする。即ち、タイミングt2からタイミングt3に至る期間が、第1タイマ9aに対して予め設定された時間Taということになる。
【0087】
第1タイマ9aがタイムアップしたタイミングt3で、コントロールユニット9は、第2タイマ9bをONにし計時を開始する。第2タイマ9bは、タイミングt4でタイムアップする。即ち、タイミングt3からタイミングt4に至る期間が、第2タイマ9bに対して予め設定された時間Tbということになる。
【0088】
コントロールユニット9は、第2タイマ9bがタイムアップしたタイミングt4で、内外気切り換えダンパ4を内気循環モードへと戻す。
【0089】
(ii)第2の制御例
次に、図7を用いて説明した空調制御のうち、第1タイマ9aがタイムアップする前に、ステップS7でIGスイッチ10がON状態となり(ステップS7:No)、第2タイマ9bの計時を開始し、その後に内外気切り換えダンパ4のモードを戻す制御について、図9のタイムチャートを用いて説明する。なお、図9に示すタイムチャートにおいて、タイミングt2までは、上記第1の制御例と同じであるので、以下での説明を省略する。
【0090】
図9に示すように、コントロールユニット9は、タイミングt5でIGスイッチ10がON状態となったことを検知した場合には、第1タイマ9aでの計時を途中で終了し、第2タイマ9bの計時を開始する。これは、車両1に乗車した乗員がIGスイッチ10をONにした場合には、車室部1b内の静寂性を維持する必要性が低くなると考えられるためである。
【0091】
第2タイマ9bは、タイミングt6でタイムアップする。本例では、タイミングt5からタイミングt6に至る期間が、第2タイマ9bに対して予め設定された時間Tbということになる。
【0092】
コントロールユニット9は、第2タイマ9bがタイムアップしたタイミングt6で、内外気切り換えダンパ4を内気循環モードへと戻す。
【0093】
なお、上記の第1の制御例および第2の制御例においては、タイミングt4,t6で内外気切り換えダンパ4を内気循環モードへと戻すこととしたが、これは、タイミングt1よりも前と同じモードとするものである。従って、タイミングt1よりも前のモードが外気導入モードである場合には、タイミングt4,t6で外気導入モードへと戻すこととなる。
【0094】
[変形例]
上記実施形態では、図3(c)を用いて説明したように、中間モードとして、板状体40aが略水平姿勢をとる状態を一例としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。外気導入口4aと内気導入口4bとが連通した状態となるように板状体40aの姿勢が制御されればよい。
【0095】
また、上記実施形態では、内外気切り換えダンパ4において、板状体40aの回動により、モード切り換えがなされる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。所謂、ロータリ式のダンパ構造を採用することもできる。
【0096】
また、上記実施形態では、コントロールユニット9に2つのタイマ9a,9bを備え、第1タイマ9aの計時終了を待って第2タイマ9bの計時を開始することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、コントロールユニットが1つのタイマだけを備え、当該1つのタイマがタイムアップした時点で内外気切り換えダンパのモードを元のモードに戻すようにすることもできる。
【0097】
なお、1つのタイマだけを備える構成とする場合には、上記第2の制御例を実行するような場合には、IGスイッチ10がON状態となったとの情報が入力されたタイミングで、タイマでの計時時間を変更する処理を行うことで、上記同様の制御を実行することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、図7のフローチャートにおいて、ステップS7の判断でIGスイッチ10がONにされたと判断した場合には(ステップS7:No)、第1タイマT1での計時を終了し、第2タイマT2での計時を開始することとした(ステップS9)。このように設定することにより、複数の乗員が車両1に乗車するような場合にも、ドア2の開閉の度に内外気切り換えダンパ4が駆動するという事態の発生を抑制することができ、車両1のエネルギ消費を抑えられるとともに、ダンパ切り換えアクチュエータ41の耐久性を確保するという観点などから優れる。
【0099】
ただし、車両の電力やダンパ切り換えアクチュエータの耐久性などが問題を生じない場合には、第1タイマT1の計時途中でIGスイッチがONされたときに、第2タイマでの計時を行うことなく、内外気切り換えダンパのモードをステップ3を実行する直前のモードへと切り替えるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0100】
1 車両
2 ドア
4 内外気切り換えダンパ(内外気切り換え部)
4a 外気導入口
4b 内気導入口
8 空調コントロールスイッチ
9 コントロールユニット(空調制御部)
9a 第1タイマ
9b 第2タイマ
10 IGスイッチ
11 ドア開閉センサ(ドア開閉検出部)
41 ダンパ切り換えアクチュエータ
100 車両用空調装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9