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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20220817BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220817BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20220817BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20220817BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K47/04
A61K47/12
A61P17/14
A61K47/10
A61K8/49
A61K8/24
A61K8/365
A61Q7/00
A61K8/34
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018095224
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2018203718
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2017098653
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017116361
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大阿久 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】加治佐 真吾
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃也
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-018555(JP,A)
【文献】特開2008-056703(JP,A)
【文献】特開2016-138094(JP,A)
【文献】特開2012-025770(JP,A)
【文献】特開2011-068695(JP,A)
【文献】特開2002-308740(JP,A)
【文献】特開2016-145180(JP,A)
【文献】特開2016-145179(JP,A)
【文献】特開2017-186310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 8/00- 8/99
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)リン酸、及び(c)クエン酸を含有する
ことを特徴とする外用組成物(但し、塩化カルプロニウム又はその水和物を含まない)
【請求項2】
(b)と(c)の比率が、重量比で4:1~1:3である、請求項1に記載の外用組成物
【請求項3】
(b)の含有量が0.15~1.5w/v%である、請求項1または2に記載の外用組成
物。
【請求項4】
(c)の含有量が0.2~1.8w/v%である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項5】
更に、多価アルコールを含有する請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、
及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5に
記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを有効成分とする外用組成物に関する。更に詳細には、ミノキシジル由来の着色と析出を抑制したミノキシジル含有外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2、4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジルを配合した育毛剤に求められる基本的な性能は、頭皮からのミノキシジルの吸収性に優れることである(特許文献2)。頭皮からのミノキシジルの吸収性を確保するためには、製剤中のミノキシジルが溶解状態で存在することが好ましく、製剤中で結晶析出等が生じないことが求められる。ミノキシジルは水やほとんどの油に対して溶解性が悪く、特に5w/v%以上の高濃度のミノキシジルの溶解性を確保するため、リン酸やクエン酸などの酸を配合して製剤のpHを調整することが広く行われている。これまで、ミノキシジルを配合した製剤について、pH調整剤は1種類だけ使用し調整を行っていた(特許文献3~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4139619号明細書
【文献】特開平11-349451号公報
【文献】特許第5527787号公報
【文献】特許第5561264号公報
【文献】特開2014-214099号公報
【文献】特許第4780429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、5w/v%以上のミノキシジルを配合した育毛剤にpH調整剤としてリン酸のみを配合すると、製剤が経時的に着色しやすく、また、クエン酸のみを配合すると、低温保存中に結晶が析出しやすいという課題があることが分かった。
本発明は、5w/v%以上のミノキシジルを含有した外用組成物において、経時的な着色と低温保管時の結晶析出を抑制する外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外なことに、リン酸とクエン酸の両方を配合することにより、ミノキシジルを含有した外用組成物の経時的な着色と低温保管時の結晶析出を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)リン酸、及び(c)クエン酸を含有することを特徴とする外用組成物、
(2)(b)と(c)の比率が、重量比で4:1~1:3である、(1)に記載の外用組成物、
(3)(b)の含有量が0.15~1.5w/v%である、(1)または(2)に記載の外用組成物、
(4)(c)の含有量が0.2~1.8w/v%である、(1)または(2)に記載の外用組成物、
(5)更に、多価アルコールを含有する(1)~(4)に記載の外用組成物、
(6)多価アルコールが、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(5)に記載の外用組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、製剤中に結晶が析出せず、かつ経時的な着色を抑制したミノキシジル含有外用組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の外用組成物において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明における外用組成物において、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれ着色の課題と溶解性の課題が大きくなるため、外用組成物中におけるミノキシルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明の外用組成物中3w/v%以上が好ましく、より好ましくは5w/v%以上であり、上限は15w/v%が好ましい。
【0010】
本発明の外用組成物中におけるリン酸の含有量は、本発明の効果の点から全組成物中好ましくは0.15~1.5w/v%であり、より好ましくは0.15~0.7w/v%
である。
【0011】
本発明の外用組成物中におけるクエン酸の含有量は、本発明の効果の点から全組成物中好ましくは0.2~1.8w/v%であり、より好ましくは0.2~0.5w/v%である。
【0012】
また、本発明の外用組成成分のミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、そのpHを4.0~8.0の範囲に調整することが好ましく、5.0~7.0の範囲が更に好ましい。
【0013】
本発明の外用組成物は、更に必要により多価アルコールや水を配合することができる。多価アルコールの例としては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよいが、好ましくは1,3-ブチレングリコール1種の配合である。また、多価アルコールの含有量は、全組成物中好ましくは2~30w/v%であり、より好ましくは5~15w/v%未満であり、更に好ましくは5~10w/v%である。水の含有量は、2~75w/v%が好ましく、より好ましくは5~50w/v%であり、更に好ましくは5~30w/v%である。
【0014】
本発明の外用組成物において用いる低級アルコールとしては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。本発明の外用組成物中の低級アルコールの含有量は、本発明の着色抑制の効果の観点より、全液剤中20w/v%以上とする必要がある。好ましくは30w/v%以上であり、より好ましくは35w/v%以上であり、更に好ましくは50w/v%以上である。上限は80w/v%が好ましい。
【0015】
本発明の外用組成物は、更に必要により高級アルコールを配合することができる。高級アルコールの例としては、炭素数が6~24のジアセトンアルコール、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、ノナデカノール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ヘンイコサノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがより好ましく、そのうち、ジアセトンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがさらに好ましい。
【0016】
本発明の外用組成物は、更に必要により高級脂肪酸を配合することができる。高級脂肪酸の例としては、炭素数10~22のものが好ましく、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。このうち、炭素数18のものが好ましく、特にイソステアリン酸又はオレイン酸が好ましい。
【0017】
本発明の外用組成物は、更に必要により界面活性剤を配合することができる。しかしながら、界面活性剤の添加は、使用感やミノキシジルの皮膚吸収に影響を与える可能性があり、本発明の外用組成物では、界面活性剤を配合しなくてもミノキシジルの溶解性を確保できるため、実質的に界面活性剤を含まないものとすることが好ましい。
【0018】
本発明の外用組成物は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明の外用組成物に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、パントテニルエチルエーテル、ヒノキチオール、塩酸ピリドキシン、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、パンテノールから成る群より選ばれた成分が挙げられる。
【0019】
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0020】
本発明の外用組成物においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。なお、本発明においては、クエン酸とリン酸を配合することで製剤の着色を抑えられるため、抗酸化剤のジブチルヒドロキシトルエンを減量もしくは配合しないものとすることができる。
【0021】
また、本発明の外用組成物は、液状の製剤であることが好ましく、例えばローション剤、エアゾール剤、トニック剤、ゲル剤などの適当な外用組成物とすることができる。
【0022】
本発明の外用組成物の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0023】
かくして得られる本発明の外用組成物は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例
【0025】
(実施例1)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.42g、クエン酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の外用組成物を得た。
【0026】
(実施例2)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.68g、クエン酸0.2g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.1の外用組成物を得た。
【0027】
(実施例3)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.17g、クエン酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2の外用組成物を得た。
【0028】
(実施例4)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.42g、クエン酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.9の外用組成物を得た。
【0029】
(実施例5)
ミノキシジル5g、ジプロピレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.42g、クエン酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の外用組成物を得た。
【0030】
(実施例6)
ミノキシジル5g、グリセリン10g、エタノール60g、リン酸0.42g、クエン酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.9の外用組成物を得た。
【0031】
(処方例)
ミノキシジル10g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール55g、リン酸1.5g、クエン酸1.8g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解して外用組成物を得た。
【0032】
(比較例1)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.85g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.1の外用組成物を得た。
【0033】
(比較例2)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸1.0g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の外用組成物を得た。
【0034】
(比較例3)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.85g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の外用組成物を得た。
【0035】
(比較例4)
ミノキシジル5g、ジプロピレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.85g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2の外用組成物を得た。
【0036】
(比較例5)
ミノキシジル5g、グリセリン10g、エタノール60g、リン酸0.85g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の外用組成物を得た。
【0037】
(比較例6)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.17g、リンゴ酸0.4g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解して外用組成物を得た。
【0038】
(比較例7)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.17g、グルコン酸1.0g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.3の外用組成物を得た。
【0039】
(比較例8)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.17g、マレイン酸0.35g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2の外用組成物を得た。
【0040】
実施例1、比較例1及び2の処方を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
<試験例1:着色の評価>
実施例1、比較例1及び2に関し、65℃条件下5日経過後の420nmにおける吸光度を測定した。以下式に従い、着色の度合いを求めた(比較例1の着色度合を1とする)。その結果を表2に示す。
式:着色の度合い=(実施例1又は比較例2の吸光度)/比較例1の吸光度
【0043】
<試験例2:低温安定性の評価>
実施例1、比較例1及び2をそれぞれ透明ペットボトル容器に充填し、4℃7日間保管後の結晶析出の有無を目視で評価した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表1及び2から明らかなように、比較例1の製剤に対し、リン酸とクエン酸を両方配合した実施例1の製剤は着色が抑制された。また、比較例2の製剤は、低温保管後に結晶の析出が確認され、商品性に問題があると判断されたが、実施例1の製剤は析出が認められず、商品性に問題ないと判断された。
【0046】
実施例2~6、比較例3~8の処方を表3~6に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
<試験例3:着色の評価>
実施例2及び3、比較例1に関し、65℃条件下7日経過後の420nmにおける吸光度を測定した。以下式に従い、着色の度合いを求めた(比較例1の着色度合を1とする)。その結果を表6に示す。
式:着色の度合い=(実施例1又は比較例2の吸光度)/(比較例1の吸光度)
【0051】
<試験例4:低温安定性の評価>
実施例2及び3をそれぞれ透明ペットボトル容器に充填し、4℃7日間保管後の結晶析出の有無を目視で評価した。その結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
表6から明らかなように、比較例1の製剤に対し、リン酸とクエン酸を両方配合した実施例2及び3の製剤は着色が抑制された。また、実施例2及び3の製剤は析出が認められなかった。
【0054】
<試験例5:着色の評価>
実施例4~6、比較例3~5に関し、65℃条件下7日経過後の420nmにおける吸光度を測定した。以下式に従い、着色の度合いを求めた(各実施例4、5、6に対応する比較例3、4、5の着色度合を1とする)。その結果を表7に示す。
式:着色の度合い=(実施例4~6の吸光度)/(比較例3~5の吸光度)
【0055】
<試験例6:低温安定性の評価>
実施例4~6をそれぞれ透明ペットボトル容器に充填し、4℃7日間保管後の結晶析出の有無を目視で評価した。その結果を表8に示す。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
表7及び8から明らかなように、多価アルコールとして、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、又はグリセリンを用いた処方に関して、リン酸のみを配合した比較例3~5と比較し、リン酸とクエン酸を両方配合した実施例4~6の製剤は着色が抑制された。また、実施例4~6の製剤は析出が認められなかった。
【0059】
<試験例7:低温安定性の評価>
比較例6~8をそれぞれ透明ペットボトル容器に充填し、4℃7日間保管後の結晶析出の有無を目視で評価した。その結果を表9に示す。
【0060】
<試験例8:着色の評価>
比較例7及び8に関し、65℃条件下7日経過後の420nmにおける吸光度を測定した。以下式に従い、着色の度合いを求めた(比較例1の着色度合を1とする)。その結果を表10に示す。
式:着色の度合い=(比較例7又は8の吸光度)/(比較例1の吸光度)
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
表9から明らかなように、比較例6の製剤は調製後、室温にて析出が生じた。また、表10から明らかなように、析出が生じなかった比較例7及び8の製剤は、比較例1に対して着色が進行した。
【0064】
また、別の発明の外用組成物として、例えばミノキシジル0.1~10w/v%、活性成分や補助成分としてメントール0.1~5w/v%、ビタミンEアセテート0.001~1w/v%、塩酸ピリドキシン0.001~1w/v%、ヒノキチオール0.001~1w/v%、グリチルレチン酸0.001~1w/v%、塩酸ジフェンヒドラミン0.001~1w/v%、1,3-ブチレングリコール2~30w/v%、エタノール20~80w/v%、ジブチルヒドロキシトルエン0.001~1w/v%、リン酸適量、グリシン0.00001~1w/v%、L-アルギニン0.00001~1w/v%を配合し、残量を水で調製したものが挙げられる。これら活性成分や補助成分は使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮し適宜配合することができる。この外用組成物の処方例1~3を表11に示す。
【0065】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明により、ミノキシジルを含有した外用組成物において、製剤の経時的な着色を抑制し、かつミノキシジルの溶解性を確保したミノキシジル含有外用組成物を提供することが可能になった。