(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】鉄筋固定体および建築物の基礎構造
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
E02D27/01 Z
E02D27/01 D
(21)【出願番号】P 2018109025
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡部 潤二
(72)【発明者】
【氏名】大軒 健太
(72)【発明者】
【氏名】安村 光春
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071170(JP,A)
【文献】特開2011-144496(JP,A)
【文献】特開2011-241542(JP,A)
【文献】特開2006-002402(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183156(JP,U)
【文献】特開2004-060301(JP,A)
【文献】特開平09-151463(JP,A)
【文献】特開2001-040675(JP,A)
【文献】特開平07-292984(JP,A)
【文献】登録実用新案第3035385(JP,U)
【文献】特開2007-217871(JP,A)
【文献】特開平11-036324(JP,A)
【文献】米国特許第2965399(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎に用いられ、地盤に
設けられる掘削溝の根切り底に間隔をあけて設置され、
前記基礎の鋼製基礎梁を支持する
、前記基礎の鉄筋固定体であって、
上下に離れて配置される一対の基部と、
前記一対の基部を連結する連結部と、
前記連結部に設けられ、鉄筋を支持する支持部とを備
え、
前記一対の基部は、前記鉄筋固定体が根切り底に配置された状態において、水平に広がり、
前記連結部は、前記一対の基部に対して垂直に交わり、かつ、前記鉄筋固定体が根切り底に配置された状態において前記掘削溝の延長方向に延びるように構成され、
前記支持部は、前記一対の基部および前記連結部に対して垂直に設けられ、前記一対の基部および前記連結部に接続され、かつ、前記鉄筋が挿入される挿入部を有し、
前記挿入部は、外側から前記連結部に向かうにつれて下方に傾斜する溝を含む、
鉄筋固定体。
【請求項2】
建築物の基礎構造であって、
鋼製基礎梁と、
地盤に
設けられる掘削溝の根切り底に間隔をあけて設置され、
前記鋼製基礎梁を支持する
複数の鉄筋固定体
と、
前記鋼製基礎梁および前記鉄筋固定体の外周部を覆う化粧型枠と、
前記鉄筋固定体を覆うように前記掘削溝を満たし、かつ、前記化粧型枠によって部分的に囲まれるコンクリートと、を備え、
前記化粧型枠は、複数の鉄筋と、および、複数の前記鉄筋に溶接されるメッシュ筋とを有し、
前記鉄筋固定体は、上下に離れて配置される一対の基部と、前記一対の基部の間に配置されて前記一対の基部を連結する連結部と、前記連結部に設けられて前記連結部から外方に延びて前記化粧型枠の鉄筋を支持する支持部とを備える、
建築物の基礎構造。
【請求項3】
前記鉄筋固定体
は、前記連結部に対して前記支持部の外側端部よりも外側に位置し、前記化粧型枠に接触する規制部を備える
請求項2に記載の建築物の基礎構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄筋固定体、および、これを備える建築物の基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋固定体は様々な分野で用いられる。例えば、特許文献1は建築物の基礎構造に用いられる鉄筋固定体を含む鉄骨部材(1)を開示している。この鉄骨部材(1)はH形鋼(4)、H形鋼(4)に溶接されるメッシュ筋(7)、および、メッシュ筋(7)を覆うように設けられるコンクリート(C)を備える。コンクリート(C)はメッシュ筋(7)を介してH形鋼(4)に結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の鉄骨部材(1)では、H形鋼(4)とメッシュ筋(7)とを溶接により結合しているため、これらを結合する作業が煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する鉄筋固定体は地盤に設置され、鋼製基礎梁を支持する鉄筋固定体であって、一対の基部と、前記一対の基部を連結する連結部と、前記連結部に設けられ、鉄筋を支持する支持部とを備える。
上記鉄筋固定体によれば、支持部によって連結部と鉄筋とを容易に結合できる。
【0006】
(2)好ましい例では(1)に記載の鉄筋固定体において、前記支持部は前記鉄筋が挿入される挿入部を備える。
このため、鉄筋を容易に支持できる。
【0007】
(3)好ましい例では(2)に記載の鉄筋固定体において、前記挿入部は外側から前記連結部に向かうにつれて下方に傾斜する溝を含む。
鉄筋が溝から抜けにくいため、鉄筋が支持部に支持された状態が維持される。
(4)本発明に関する建築物の基礎構造は(1)~(3)のいずれか一項に記載の鉄筋固定体を含む。
上記建築物の基礎構造によれば、上記(1)の鉄筋固定体により得られる効果と同様の効果が得られる。
【0008】
(5)好ましい例では(4)に記載の建築物の基礎構造において、前記鋼製基礎梁および前記支持鋼材の外周部を覆う化粧型枠を備える。
このため、基礎構造を含む建築物の美観が高められる。
【0009】
(6)好ましい例では(5)に記載の建築物の基礎構造において、前記化粧型枠はメッシュ状の型枠である。
このため、化粧型枠の表面に仕上層を容易に形成できる。
【0010】
(7)好ましい例では(5)または(6)に記載の建築物の基礎構造において、前記鉄筋固定体は前記連結部に対して前記支持部の外側端部よりも外側に位置し、前記化粧型枠に接触する規制部を備える。
このため、化粧型枠が支持部に接触しにくい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に関する鉄筋固定体、および、これを備える建築物の基礎構造によれば、鉄筋を容易に結合できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】
図1の鋼製基礎梁、型枠支持部材、および、化粧型枠の分解斜視図。
【
図8】基礎構造の施工方法の第3工程~第5工程に関する図。
【
図9】基礎構造の施工方法の第7工程および第8工程に関する図。
【
図10】第2実施形態の建築物の基礎構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1を参照して、建築物本体100が設置された建築物の基礎構造10について説明する。基礎構造10および建築物本体100は建築物200を構成する。基礎構造10はグランドレベルGLを鉛直方向に跨ぐように地盤Gに設置される。なお、
図2~
図4では、図面の簡略化のため、建築物本体100の図示を省略している。
【0014】
建築物本体100は例えば店舗、個別住宅、または、集合住宅である。店舗は例えば、ローサイド店舗である。ローサイド店舗は例えばコンビニエンスストアである。建築物本体100は躯体110および外壁120を備える。基礎構造10を構成する主な要素はコンクリート製基礎20、鋼製基礎梁30、複数の鉄筋固定体70、および、ダウン基礎梁90(
図4参照)である。コンクリート製基礎20と鋼製基礎梁30とは複数の鉄筋固定体70およびダウン基礎梁90により結合される。躯体110はボルト130により鋼製基礎梁30に結合される。外壁120は躯体110を覆う。
【0015】
コンクリート製基礎20を構成する材料は強アルカリ性のコンクリートである。コンクリート製基礎20は補助層11上に形成される。コンクリート製基礎20の上部21はグランドレベルGLよりも上方に位置する。補助層11はコンクリート製基礎20の製造を補助するために必要に応じて形成される。補助層11の構造は例えば砕石層、または、砕石層および捨てコンクリート層である。砕石層の上面11Aは転圧によって面一となるように形成される。鋼製基礎梁30は鉄筋固定体70と結合される。
【0016】
鋼製基礎梁30および鉄筋固定体70の外周には、パネル状の化粧型枠80が設置される。化粧型枠80は建築物本体100の外壁120とともに建築物本体100の外観を構成する。このため、基礎構造10を含む建築物200の美観が高められる。また、化粧型枠80はコンクリート製基礎20を形成するときの型枠として機能する。化粧型枠80を構成する材料は任意に選択できる。その一例は窯業系パネルである。窯業系パネルは例えばサイディングパネルである。化粧型枠80は下部81がグランドレベルGLよりも下方に位置するように設けられる。
【0017】
図2に示されるように、鋼製基礎梁30は複数の梁鋼材40により構成される。鋼製基礎梁30の全体形状は建築物本体100の構造に応じて決められる。梁鋼材40は複数の鉄筋固定体70により支持される。一例では、複数の鉄筋固定体70が鋼製基礎梁30の長手方向に沿うように設置される。このため、鉄筋固定体70を地盤Gに容易に設置できる。鋼製基礎梁30の長手方向において隣り合う鉄筋固定体70に所定の間隔が設けられる。このため、鉄筋固定体70の数を削減できる。
【0018】
梁鋼材40の種類は任意に選択できる。
図1等に示される例では、全ての梁鋼材40の種類はH形鋼である。このため、鋼製基礎梁30の断面効率が高くなる。別の例では、梁鋼材40の種類は溝形鋼、I形鋼、T形鋼、および、角柱鋼管である。溝形鋼は通常の溝形鋼、軽量溝形鋼、および、リップ溝形鋼に分類される。
図1に示されるように、梁鋼材40は第1フランジ41、第2フランジ42、および、ウェブ43により構成される。梁鋼材40には、第1フランジ41の内面41A、第2フランジ42の内面42A、および、ウェブ43のウェブ面43A、43Bに囲まれた凹部44が形成される。第1フランジ41の外面41Bは鉄筋固定体70と接触する。第2フランジ42の外面42Bは建築物本体100と接触する。
【0019】
図1または
図5に示されるように、一方のウェブ面43Aには、化粧型枠80を支持する型枠支持部材50が取り付けられる。型枠支持部材50は梁鋼材40の長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数設けられる。型枠支持部材50の構成は任意に選択できる。一例では、型枠支持部材50はH形鋼である。型枠支持部材50は第1フランジ51、第2フランジ52、および、ウェブ53により構成される。第1フランジ51は梁鋼材40の一方のウェブ面43Aと結合される。第1フランジ51と一方のウェブ面43Aとの結合手段は任意に選択できる。第1例では、第1フランジ51と一方のウェブ面43Aとの結合手段はボルトおよびナットである。第2例では、第1フランジ51と一方のウェブ面43Aとの結合手段は溶接である。第2フランジ52は化粧型枠80と結合される。
図5等に示される例では、第2フランジ52と化粧型枠80との結合手段はビスである。他方のウェブ面43Bには、スチフナ45(
図1参照)が設けられる。一例では、スチフナ45は他方のウェブ面43Bにおいて、建築物本体100の耐力壁(図示略)の下方と対応する部分に設けられる。
【0020】
鉄筋固定体70の種類は任意に選択できる。
図1または
図6等に示される例では、全ての鉄筋固定体70の種類はH形鋼である。別の例では、鉄筋固定体70の種類は溝形鋼、I形鋼、T形鋼、および、角柱鋼管である。鉄筋固定体70の種類は梁鋼材40の種類と同じであることが好ましい。このため、基礎構造10の生産性が向上する。
【0021】
図1または
図6に示されるように、鉄筋固定体70は一対の基部71、72、および、一対の基部71、72を連結する連結部73により構成される。一対の基部71、72は鉄筋固定体70のフランジである。連結部73は鉄筋固定体70のウェブである。鉄筋固定体70には、第1基部71の内面71A、第2基部72の内面72A、および、連結部73のウェブ面73Aに囲まれた凹部74が形成される。第2基部72は梁鋼材40の第1フランジ41と例えばボルトおよびナットによって結合される。鉄筋固定体70の第2基部72、および、梁鋼材40の第1フランジ41には、ボルトが挿入される複数の孔(図示略)が設けられる。第1基部71の外面71Bは補助層11と接触する。第2基部72の外面72Bは梁鋼材40の第1フランジ41の外面41Bと接触する。他方のウェブ面73Bには、スチフナ75が設けられる。一例では、スチフナ75は他方のウェブ面73Bにおいて、建築物200の耐力壁(図示略)の下方と対応する部分に設けられる。
【0022】
図6に示されるように、鉄筋固定体70には鉄筋300(
図3参照)を支持する支持部61、および、化粧型枠80の下部81(
図1参照)と接触するアングル62が取り付けられる。支持部61は鉄筋300を鉄筋固定体70に溶接することなく取り付けることができるように設けられる。支持部61によって連結部73と鉄筋300とを容易に結合できる。鉄筋300は例えばメッシュ筋である。支持部61を構成する材料は鋼板である。支持部61の構成は任意に選択できる。
図6等に示される第1例では、支持部61は連結部73の一方のウェブ面73Aに設けられるプレートである。第2例では、支持部61は連結部73の一方のウェブ面73Aに設けられ、鉄筋300を引っ掛けることができるフックである。支持部61と一方のウェブ面73Aとの結合手段は溶接である。
【0023】
支持部61には、鉄筋300が挿入される挿入部61Aが設けられる。このため、鉄筋300を一層容易に結合できる。挿入部61Aは例えば溝または孔である。
図6等に示される例では、挿入部61Aは溝である。支持部61に設けられる挿入部61Aの数は1または複数である。
図6等に示される例では、支持部61には、鉄筋300が挿入される2つの挿入部61Aが設けられる。2つの挿入部61Aは鉄筋固定体70の外側から連結部73に向かうにつれて下方に傾斜する。鉄筋300が挿入部61Aから抜けにくいため、鉄筋300が支持部61に支持された状態が維持される。2つの挿入部61Aの一端61AXは開口している。このため、鉄筋300を挿入部61Aに容易に挿入できる。2つの挿入部61Aの他端61AYは閉じている。このため、鉄筋300が支持部61で支持されている状態が維持されやすい。
【0024】
アングル62は鉄筋固定体70の幅方向において、土の側圧によって化粧型枠80が鉄筋固定体70に接近する方向に移動することを規制する。鉄筋固定体70の幅方向は各基部71、72の短手方向に沿う方向である。アングル62は1または複数設けられる。
図6等に示される例では、鉄筋固定体70に2つのアングル62が設けられる。アングル62を構成する材料は鋼板である。アングル62は第1基部71の内面71Aに溶接される。アングル62の形状は任意に選択できる。
図6等に示される例では、アングル62は接続部62Aおよび規制部62Bを含む。接続部62Aおよび規制部62Bは1枚のプレートが折り曲げられることにより区分された部分である。接続部62Aは各基部71、72と平行に延びる。規制部62Bは連結部73と平行に延びる。規制部62Bは連結部73に対して支持部61の外側端部よりも外側に位置し、化粧型枠80と接触する。
【0025】
図2または
図4に示されるように、鋼製基礎梁30は建築物200の出入口(図示略)が設けられる部分に形成される開口部31を備える。ダウン基礎梁90は開口部31において、鋼製基礎梁30の梁鋼材40を支持する。このため、開口部31における鋼製基礎梁30の強度が高められる。なお、開口部31は建築物200の間仕切に対応する部分に設けることもできる。
【0026】
ダウン基礎梁90は鋼材90Aにより構成される。鋼材90Aの種類は任意に選択できる。
図4等に示される例では、鋼材90Aの種類はH形鋼である。別の例では、鋼材90Aの種類は溝形鋼、I形鋼、T形鋼、および、角柱鋼管である。鋼材90Aの種類は梁鋼材40の種類、および、鉄筋固定体70の種類の少なくとも一方と同じであることが好ましい。このため、基礎構造10の生産性が向上する。鋼材90Aは第1フランジ91、第2フランジ92、および、ウェブ93により構成される。鋼材90Aには、第1フランジ91の内面91A、第2フランジ92の内面92A、および、ウェブ93のウェブ面93Aに囲まれた凹部94が形成される。第1フランジ91の外面91Bは補助層11と接触する。第2フランジ92の外面92Bは梁鋼材40の第1フランジ41の外面41Bと接触する。基礎構造10の高さ方向におけるダウン基礎梁90の天面の位置と鉄筋固定体70(
図1参照)の天面の位置とは実質的に等しい。ダウン基礎梁90の天面は第2フランジ92の外面92Bである。鉄筋固定体70の天面の位置は第2基部72の外面72Bである。このため、建築物200の出入口または間仕切において跨ぎ込みが生じない納まりとできる。
図2に示されるように、鋼材90Aの長手方向の寸法LAは鉄筋固定体70の長手方向の寸法LBよりも長い。このため、開口部31における鋼製基礎梁30の強度が一層高められる。
【0027】
図7~
図9を参照して基礎構造10の施工方法の一例について説明する。基礎構造10の施工方法は第1工程~第9工程を含む。第1工程は根切り工程の一例である。第3工程は設置工程の一例である。第5工程および第6工程は梁連結工程の一例である。
【0028】
図7に示されるように、第1工程では、地盤Gに掘削溝GAが形成される。第2工程では、掘削溝GAの根切り底GBに補助層11として砕石層、または、砕石層および捨てコンクリート層が形成される。砕石層の表面は転圧機により転圧される。
図8に示されるように、第3工程では、複数の鉄筋固定体70が補助層11に載せられる。第4工程では、支持部61の挿入部61Aに鉄筋300が挿入される。第5工程では、鉄筋固定体70の第2基部72に型枠支持部材50が結合された梁鋼材40が載せられる。第6工程では、梁鋼材40の第1フランジ41と複数の鉄筋固定体70の第2基部72とがボルトおよびナットによって連結される。
図9に示されるように、第7工程では、化粧型枠80が型枠支持部材50に結合される。第8工程では、掘削溝GAのうち、化粧型枠80よりも外側の部分が埋め戻される。第9工程では、化粧型枠80によって囲まれる領域にコンクリートが流し込まれ、コンクリート製基礎20が打設される。コンクリート製基礎20は梁鋼材40の第1フランジ41よりも高い位置まで設けられる。梁鋼材40の第1フランジ41と鉄筋固定体70の第2基部72との結合部分がコンクリート製基礎20によって覆われるため、基礎構造10の強度が高められる。なお、コンクリートが流し込まれたときの化粧型枠80の鉄筋固定体70から離間する方向の移動は第8工程で埋め戻された土によって規制される。第10工程では、コンクリート製基礎20上に仕上層400(
図1参照)が設けられ、フロアレベルFLが形成される。
【0029】
基礎構造10の作用および効果について説明する。
支持部61によって連結部73と鉄筋300とを容易に結合できる。また、鉄筋固定体70によってグランドレベルGLに対する鋼製基礎梁30の高さ方向の位置を保持した状態でコンクリート製基礎20を打設することにより、鉄筋固定体70を介して地盤Gと鋼製基礎梁30とが結合されるため、鋼製基礎梁30にアンカーボルトを取り付ける必要がない。このため、基礎構造10の施工時間を短縮できる。さらに、基礎構造10では、コンクリート製基礎20は主に、鋼製基礎梁30から地盤Gへ圧縮力を伝達させるための補助的な役割を担う。躯体110と鋼製基礎梁30とがボルト130によって結合されているため、躯体110に含まれる耐力壁の柱脚等に発生する引き抜き力は鋼製基礎梁30に対して曲げ応力およびせん断応力として作用する。基礎構造10では、これらの応力に抵抗できるように鋼製基礎梁30の断面形状が選定されているため、鋼製基礎梁30でつり合い系が成立する。このため、鋼製基礎梁30とコンクリート製基礎20との結合にアンカーボルトを必要としない。また、第1工程で形成する掘削溝GAの根切り底GBの幅を調整することにより、地盤Gの耐力に応じたベース幅を簡単に確保できる。
【0030】
(第2実施形態)
第2実施形態の基礎構造10は
図1に示される化粧型枠80および支持部61に代えて、
図10に示される化粧型枠180および複数の支持部161を備える。化粧型枠180は例えば、メッシュ状の型枠である。化粧型枠180は例えば、鋼製メッシュである。化粧型枠180は複数の鉄筋181、および、複数の鉄筋181に溶接されるメッシュ筋182を備える。化粧型枠180は下部180AがグランドレベルGLよりも下方に位置するように設けられる。化粧型枠180は上部180BがグランドレベルGLよりも上方、かつ、梁鋼材40の第2フランジ42よりも下方に位置するように設けられる。化粧型枠180の表面には、仕上層190が設けられる。仕上層190は例えばモルタル層である。化粧型枠180がメッシュ状の型枠であるため、化粧型枠180の表面に仕上層190を容易に形成できる。
【0031】
複数の支持部161は第1支持部161A、第2支持部161B、および、第3支持部161Cを含む。各支持部161A、161B、161Cはそれぞれ、梁鋼材40および鉄筋固定体70の長手方向に沿って複数設けられる。
【0032】
第1支持部161Aは梁鋼材40のウェブ43と化粧型枠180とを連結する。第1支持部161Aの一方の端部161AXはウェブ43と溶接される。第1支持部161Aの他方の端部161AYはフック状であり、鉄筋181に引っ掛けられる。
【0033】
第2支持部161Bは梁鋼材40および鉄筋固定体70と化粧型枠180とを連結する。第2支持部161Bの一方の端部161BXは第1フランジ41および第2基部72と溶接される。第2支持部161Bの他方の端部161BYはフック状であり、鉄筋181に引っ掛けられる。
【0034】
第3支持部161Cは鉄筋固定体70の連結部73と化粧型枠180とを連結する。第3支持部161Cの一方の端部161CXは連結部73と溶接される。第3支持部161Cの他方の端部161CYはフック状であり、鉄筋181に引っ掛けられる。
【0035】
なお、上記実施形態は本発明に関する鉄筋固定体およびこれを備える建築物の基礎構造が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する鉄筋固定体およびこれを備える建築物の基礎構造は上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。
【符号の説明】
【0036】
10 :基礎構造
30 :鋼製基礎梁
61 :支持部
161 :支持部
61A :挿入部
62B :規制部
70 :鉄筋固定体
71 :第1基部(基部)
72 :第2基部(基部)
73 :連結部
80 :化粧型枠
180 :化粧型枠