(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】薬剤管理装置、薬剤管理方法及び薬剤管理のためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20220817BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2018110157
(22)【出願日】2018-06-08
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏
(72)【発明者】
【氏名】野崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 文彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 民生
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102614(JP,A)
【文献】特開2012-130688(JP,A)
【文献】特開2015-228080(JP,A)
【文献】特開2015-112205(JP,A)
【文献】特開2017-220012(JP,A)
【文献】特開2002-345759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に処方された薬剤を示すデータ
、前記薬剤の使用タイミングを示すデータ及び前記薬剤の使用後の効果発生時間を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得部と、
薬剤と、薬剤によって変動すると想定される生体の物理量とを対応付けたデータベースを参照して、前記対象者に処方された薬剤を示すデータによって特定される薬剤によって変動すると想定される取得対象となる生体の物理量の種類を判断する判断部と、
前記取得対象となる前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得部と、
予め定められた規則に従って前記使用タイミングの時間帯を設定し、前記使用タイミングの時間帯の2つの時刻それぞれに前記効果発生時間を加えた時間帯を前記薬剤の使用の有無を推定する指定時間帯として指定し、前記物理量の変動を示すデータ
のうちの前記指定時間帯に関連するデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定部と、
前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定部と、
を備える薬剤管理装置。
【請求項2】
前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たさないことを示す推定結果に応じて、前記対象者を支援する信号を出力する出力部をさらに備える、請求項1に記載の薬剤管理装置。
【請求項3】
前記処方箋データは、前記対象者の症状を示すデータを含み、
前記効果推定基準は、症状毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者の症状に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、請求項1に記載の薬剤管理装置。
【請求項4】
前記効果推定基準は、薬剤毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、請求項1に記載の薬剤管理装置。
【請求項5】
前記処方箋データまたは前記生体データは、前記対象者の属性を示すデータを含み、
前記効果推定基準は、属性毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者の属性に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、請求項1に記載の薬剤管理装置。
【請求項6】
対象者に処方された薬剤を示すデータ
、前記薬剤の使用タイミングを示すデータ及び前記薬剤の使用後の効果発生時間を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得過程と、
薬剤と、薬剤によって変動すると想定される生体の物理量とを対応付けたデータベースを参照して、前記対象者に処方された薬剤を示すデータによって特定される薬剤によって変動すると想定される取得対象となる生体の物理量の種類を判断する判断過程と、
前記取得対象となる前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得過程と、
予め定められた規則に従って前記使用タイミングの時間帯を設定し、前記使用タイミングの時間帯の2つの時刻それぞれに前記効果発生時間を加えた時間帯を前記薬剤の使用の有無を推定する指定時間帯として指定し、前記物理量の変動を示すデータのうちの前記指定時間帯に関連するデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定過程と、
前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定過程と、
を備える薬剤管理方法。
【請求項7】
請求項1
、2及び3から
5のうちの何れか1項に記載の薬剤管理装置が備える各部の処理をコンピュータに実行させる薬剤管理のためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象者に対する薬剤の効果を管理する薬剤管理装置、薬剤管理方法及び薬剤管理のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、被測定者の血圧における降圧剤の効果を分析する技術の開発が進められている。
特許文献1に開示されている技術は、2次元コードから降圧剤の服用期間を読み取り、服用期間内の血圧値によって降圧剤の効果を分析するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、被測定者が服用期間内に降圧剤を服用していることを前提としている。被測定者が服用期間内に降圧剤の服用を怠れば、降圧剤の効果がないという誤った分析結果が得られてしまう。そのため、特許文献1に開示されている技術には、降圧剤の効果の分析精度に課題がある。
【0005】
本発明の目的は、上記事情に着目してなされたもので、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、対象者に処方された薬剤を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得部と、前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得部と、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定部と、前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定部とを備える薬剤管理装置である。
第1の態様によれば、薬剤管理装置は、薬剤の使用の推定動作を薬剤の効果の推定動作の前提とすることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0007】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、前記薬剤を示すデータに基づいて、取得対象となる前記物理量の種類を判断する判断部をさらに備えるようにしたものである。
薬剤によって変動する物理量は異なる。第2の態様によれば、薬剤管理装置は、薬剤に基づいて、対象者による薬剤の使用の有無及び対象者に対する薬剤の効果を推定するために適した物理量の種類を判断することができる。
【0008】
本開示の第3の態様は、上記第1の態様において、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たさないことを示す推定結果に応じて、前記対象者を支援する信号を出力する出力部をさらに備えるようにしたものである。
第3の態様によれば、薬剤管理装置は、対象者へ薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを知らせたり、対象者へ病院での診察または薬剤の処方の予約を促したりすることができる。薬剤管理装置は、各人に効果推定基準を用いることで、人によってぶれることなく支援を実行することができる。
【0009】
本開示の第4の態様は、上記第1の態様において、前記処方箋データが、前記薬剤の使用タイミングを示すデータ及び前記薬剤の使用後の効果発生時間を示すデータを含み、前記第1の推定部が、前記使用タイミング及び前記効果発生時間に基づいて、前記薬剤の使用の有無を推定する時間帯を指定し、前記物理量の変動を示すデータのうちの前記時間帯に関連するデータに基づいて、前記薬剤の使用の有無を推定するようにしたものである。
対象者が薬剤を使用していない状況であっても、推定対象データに基づく値が一時的に第1の閾値以上となることがあり得る。第4の態様によれば、薬剤管理装置は、指定時間帯に関連するデータに基づいて薬剤の使用の有無を推定することで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。その結果、薬剤管理装置は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かの推定精度も向上させることができる。さらに、薬剤管理装置は、指定時間帯以外の時間帯における推定動作を省略することで、推定動作の負荷を減らすことができる。
【0010】
本開示の第5の態様は、上記第1の態様において、前記処方箋データが、前記対象者の症状を示すデータを含み、前記効果推定基準が、症状毎の基準を含み、前記第2の推定部が、前記対象者の症状に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定するようにしたものである。
症状に応じて薬剤の使用による物理量の変動量は異なる。第5の態様によれば、薬剤管理装置は、対象者の症状に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0011】
本開示の第6の態様は、上記第1の態様において、前記効果推定基準が、薬剤毎の基準を含み、前記第2の推定部が、前記対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定するようにしたものである。
同一の症状であっても、対象者が使用する薬剤に応じて物理量の変動量は異なる。第6の態様によれば、薬剤管理装置は、対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0012】
本開示の第7の態様は、上記第1の態様において、前記処方箋データまたは前記生体データが、前記対象者の属性を示すデータを含み、前記効果推定基準が、属性毎の基準を含み、前記第2の推定部が、前記対象者の属性に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定するようにしたものである。
異なる属性の人が同一の薬剤を使用しても、物理量の変動量は異なる。第7の態様によれば、薬剤管理装置は、対象者の属性に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0013】
本開示の第8の態様は、対象者に処方された薬剤を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得過程と、前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得過程と、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定過程と、前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定過程とを備える薬剤管理方法である。
【0014】
第8の態様によれば、薬剤管理方法は、上述の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【0015】
本開示の第9の態様は、第1の態様から第7の態様のうちの何れかの薬剤管理装置が備える各部の処理をコンピュータに実行させる薬剤管理のためのプログラムである。
【0016】
第9の態様によれば、薬剤管理のためのプログラムは、上述の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る薬剤管理サーバの適用例を模式的に示す図。
【
図2】本実施形態に係る薬剤管理システムの全体構成を例示する図。
【
図3】本実施形態に係るPHRサーバのハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図4】本実施形態に係るPHRサーバに格納されているPHRデータベースを例示する図。
【
図5】本実施形態に係るEHRサーバのハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図6】本実施形態に係るEHRサーバに格納されているEHRデータベースを例示する図。
【
図7】本実施形態に係る薬剤管理サーバのハードウェア構成を例示するブロック図。
【
図8】本実施形態に係る薬剤管理サーバのソフトウェア構成を例示するブロック図。
【
図9】本実施形態に係る薬剤管理サーバにおける効果推定動作を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において例示に過ぎない。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。
【0020】
§1 適用例
本実施形態は、各人の生体データと処方箋データに基づいて、各人に対する処方された薬剤の効果を管理する技術である。
図1は、薬剤管理サーバA1の適用例を模式的に示す図である。
薬剤管理サーバA1は、EHR(Electronic Health Records)サーバA2から処方箋データを取得する。処方箋データは、対象者に処方された薬剤に関するデータである。処方箋データは、対象者に処方された薬剤を示すデータを含む。薬剤管理サーバA1は、PHR(Personal Health Records)サーバA3から生体データを取得する。生体データは、対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含むデータである。
【0021】
薬剤管理サーバA1は、物理量の変動を示すデータに基づいて対象者による薬剤の使用の有無を推定する。薬剤管理サーバA1は、対象者が薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、物理量の変動を示すデータに基づいて対象者に対する薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する。効果推定基準は、薬剤が対象者に所定の効果を発揮したか否かを推定するための基準である。薬剤管理サーバA1は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを示す推定結果に応じて、対象者に対する支援を実行することができる。例えば、薬剤管理サーバA1は、対象者へ薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを知らせる支援を実行するこができる。例えば、薬剤管理サーバA1は、対象者へ病院での診察または別の薬剤の処方の予約を促す支援を実行することができる。
【0022】
このように、薬剤管理サーバA1は、EHRサーバA2に格納されている各人の処方箋データとPHRサーバA3に格納されている各人の生体データとを連携させることができる。薬剤管理サーバA1は、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させる技術を提供することができる。
【0023】
§2 構成例
<薬剤管理システム>
図2は、薬剤管理システム100の全体構成を例示する図である。
薬剤管理システム100は、PHR(Personal Health Records)サーバ1、EHR(Electronic Health Records)サーバ2及び薬剤管理サーバ3を備える。PHRサーバ1、EHRサーバ2及び薬剤管理サーバ3は、互いにネットワークを介して通信可能である。例えば、ネットワークは、インターネットである。
【0024】
PHRサーバ1は、各人の生体の物理量の変動を示すデータを収集及び管理するサーバである。生体の物理量の変動を示すデータは、物理量データともいう。物理量データは、生体の物理量と生体の物理量の測定時刻とを関連付けたデータである。生体の物理量は、生体から測定される物理量である。例えば、生体の物理量は、血圧、血糖値、心拍及び心電であるが、これらに限定されない。生体の物理量は、連続的に測定可能な測定器によって測定される。例えば、血圧は、1拍毎に連続的に測定可能な血圧計によって測定される。これに代えて、または、これと共に、生体の物理量は、各人の測定指示に基づいて測定する測定器によって測定されてもよい。例えば、血圧は、各人の測定指示に基づいて測定する血圧計によって測定されてもよい。生体の物理量の測定方式は、圧力センサを用いた方式及び光電センサを用いた方式であるが、これらに限定されない。PHRサーバ1は、物理量データを測定器から直接取得しても、スマートフォンなどの携帯端末を介して取得してもよい。
【0025】
EHRサーバ2は、各人に処方された薬剤に関するデータを管理するサーバである。例えば、EHRサーバ2は、医者がPC(Personal Computer)を用いて入力する電子カルテと連携して、各人に処方された薬剤に関するデータを収集する。これに代えて、または、これと共に、例えば、EHRサーバ2は、薬剤師がPCを用いて入力するデータと連携して、各人に処方された薬剤に関するデータを収集してもよい。
【0026】
薬剤管理サーバ3は、PHRサーバ1に格納されている各人の物理量データとEHRサーバ2に格納されている各人に処方された薬剤に関するデータを連携させるサーバである。薬剤管理サーバ3は、各人の物理量データと各人に処方された薬剤に関するデータに基づいて、各人に対する処方された薬剤の効果を管理する。薬剤の残量は、残薬量ともいう。薬剤管理サーバ3は、薬剤管理装置ともいう。
【0027】
<PHRサーバ>
[ハードウェア構成]
図3は、PHRサーバ1のハードウェア構成を例示するブロック図である。
PHRサーバ1は、プロセッサ11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶装置14及び通信インタフェース15を備える。各要素は、互いに電気的に接続されている。なお、
図3では、通信インタフェースを、「通信I/F」と記載している。
【0028】
プロセッサ11は、PHRサーバ1の各要素を制御する。例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)であるが、これに限定されない。プロセッサ11は、記憶装置14に格納されたPHRサーバ1を実行させるためのプログラムをRAM13に展開する。そして、プロセッサ11がRAM13に展開されたプログラムを解釈及び実行することで、プロセッサ11は、各種動作を実行可能である。
【0029】
記憶装置14は、いわゆる補助記憶装置である。例えば、記憶装置14は、HDD(Hard Disk Drive)であるが、これに限定されない。記憶装置14は、プロセッサ11で実行されるプログラムを記憶する。なお、プログラムは、予め記憶装置14に記憶されていてもよい。プログラムは、ネットワークを介してPHRサーバ1にダウンロードされてもよい。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、流通していてもよい。
【0030】
記憶装置14は、PHRデータベースを格納する。PHRデータベースは、各人の物理量データを管理するデータベースである。PHRデータベースの構成例については後述する。
【0031】
通信インタフェース15は、PHRサーバ1を他の装置と通信可能に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース15は、有線通信のためのインタフェースを含んでいても、無線通信のためのインタフェースを含んでいてもよい。
【0032】
なお、PHRサーバ1の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、PHRサーバ1は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0033】
[PHRデータベース構成]
図4は、PHRサーバ1の記憶装置14に格納されているPHRデータベースを例示する図である。PHRデータベースは、ユーザ名、ユーザID、属性及び生体の物理量の項目を有する。ユーザ名の項目は、各人の名前を示す項目である。ユーザIDの項目は、各人に一意に割り当てられた識別情報を示す項目である。属性の項目は、各人に備わる特徴を示す項目である。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目を有する。生体の物理量の項目は、各人の生体から測定される物理量データの有無を示す項目である。生体の物理量の項目は、血圧の項目、血糖値の項目及び心拍の項目を有する。例えば、ある人の血圧の項目が「あり」を示す場合、記憶装置14は、この人の血圧の変動を示すデータを格納している。他方、ある人の血圧の項目が「なし」を示す場合、記憶装置14は、この人の血圧の変動を示すデータを格納していない。血糖値の項目及び心拍の項目についても同様である。
【0034】
なお、PHRデータベースは、ユーザ名、ユーザID以外の項目を有していてもよい。PHRデータベースは、ユーザ名及びユーザIDのうちの何れかの項目を有していなくてもよい。PHRデータベースは、属性の項目を有していなくてもよい。なお、属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目に加えて、他の項目を有していてもよい。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目のうちの少なくとも1つに代えて、他の項目を有していてもよい。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目のうちの少なくとも1つを有していなくてもよい。生体の物理量の項目は、血圧、血糖値及び心拍の項目に加えて、他の種類の物理量の項目を有していてもよい。生体の物理量の項目は、血圧、血糖値及び心拍の項目のうちの少なくとも1つに代えて、他の種類の物理量の項目を有していてもよい。
【0035】
プロセッサ11は、以下に例示するように、PHRデータベースの各項目に対応するデータを管理する。ユーザ名を示すデータ、ユーザIDを示すデータ及び属性を示すデータは、予め各人によって登録される。ユーザ名を示すデータは、ユーザ名データともいう。ユーザIDを示すデータは、ユーザIDデータともいう。属性を示すデータは、属性データともいう。
【0036】
物理量データは、以下に例示するように管理される。プロセッサ11は、通信インタフェース15を介して測定器または携帯端末から物理量データを取得する毎に、物理量データに付加されているユーザIDを参照する。プロセッサ11は、今回取得した生体の物理量が過去に取得済の種類の物理量か否かを判断する。今回取得された生体の物理量が過去に未取得の種類の物理量である場合、プロセッサ11は、今回取得した生体の物理量の項目を「あり」に設定する。プロセッサ11は、今回取得した物理量データを記憶装置14に格納する。今回取得された生体の物理量が過去に取得済の種類の物理量である場合、プロセッサ11は、今回取得した物理量データを記憶装置14に格納する。プロセッサ11は、今回取得した物理量データを、記憶装置14に格納されている過去に受信済の同種の物理量データに関連付ける。
【0037】
プロセッサ11は、PHRデータベースを参照し、以下に例示するように、対象者の生体データを薬剤管理サーバ3へ送信する。まず、プロセッサ11は、PHR要求を薬剤管理サーバ3から受ける。PHR要求は、薬剤管理サーバ3からPHRサーバ1に対する対象者の物理量データを含む生体データの要求である。PHR要求は、取得対象となる生体データを特定するデータを含む。例えば、PHR要求は、少なくともユーザIDデータ、取得対象となる物理量の種類を示すデータ及び物理量データの期間を指定するデータを含む。期間を指定するデータは、少なくとも期間の開始日時を含む。期間を指定するデータは、薬剤管理サーバ3がPHR要求をPHRサーバ1へ送信する日時(以下、PHR要求の送信日時ともいう)よりも前の期間を含んでいてもよい。期間を指定するデータは、PHR要求の送信日時よりも前の開始日時から終了日時までの期間を指定するデータであってもよい。期間を指定するデータは、PHR要求の送信日時よりも前の開始日時からPHR要求の送信日時以後の終了日時までの期間を指定するデータであってもよい。期間を指定するデータは、PHR要求の送信日時以後の開始日時から終了日時までの期間を指定するデータであってもよい。期間を指定するデータは、PHR要求の送信日時よりも前の開始日時を指定し、PHR要求の送信日時以後の終了日時を未指定とするデータであってもよい。期間を指定するデータは、PHR要求の送信日時以後の開始日時を指定し、PHR要求の送信日時以後の終了日時を未指定とするデータであってもよい。
【0038】
次に、プロセッサ11は、PHRデータベースのうち、PHR要求に含まれるユーザIDに関連付けられているデータを参照する。次に、プロセッサ11は、PHRデータベースにおける生体の物理量の項目を参照し、取得対象となる物理量の有無を判断する。取得対象となる物理量が存在しない場合、プロセッサ11は、取得対象となる物理量が存在しない旨を示す応答を薬剤管理サーバ3へ送信する。
【0039】
他方、取得対象となる物理量が存在する場合、プロセッサ11は、記憶装置14から取得対象となる物理量データを取得する。期間を指定するデータがPHR要求の送信日時よりも前の期間を含む場合、プロセッサ11は、PHR要求の送信日時よりも前の期間の物理量データを含む生体データを生成する。生体データは、ユーザ名データ及びユーザIDデータのうちの少なくとも何れかのデータを含む。生体データは、属性データを含んでいてもよい。プロセッサ11は、生体データを薬剤管理サーバ3へ送信する。
【0040】
期間を指定するデータがPHR要求の送信日時以後の指定を含む場合、プロセッサ11は、PHR要求の送信日時以後に、物理量データを含む生体データを生成する。生体データは、ユーザ名データ及びユーザIDデータのうちの少なくとも何れかのデータを含む。生体データは、属性データを含んでいてもよい。プロセッサ11は、以下に例示するように、PHR要求の送信日時以後に、PHR要求の送信日時以後の物理量データを含む生体データを薬剤管理サーバ3へ送信する。一例では、プロセッサ11は、PHR要求の送信日時以後の物理量データを含む生体データを連続的に薬剤管理サーバ3へ送信することができる。別の例では、プロセッサ11は、PHR要求の送信日時以後の一定期間毎に、一定期間分の物理量データを含む生体データを薬剤管理サーバ3へ送信することができる。一定期間は、時間であっても、日であってもよい。
【0041】
<EHRサーバ>
[ハードウェア構成]
図5は、EHRサーバ2のハードウェア構成を例示するブロック図である。
EHRサーバ2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶装置24及び通信インタフェース25を備える。各要素は、互いに電気的に接続されている。なお、
図5では、通信インタフェースを、「通信I/F」と記載している。
【0042】
プロセッサ21は、EHRサーバ2の各要素を制御する。例えば、プロセッサ21は、CPUであるが、これに限定されない。プロセッサ21は、記憶装置24に格納されたEHRサーバ2を実行させるためのプログラムをRAM23に展開する。そして、プロセッサ21がRAM23に展開されたプログラムを解釈及び実行することで、プロセッサ21は、各種動作を実行可能である。
【0043】
記憶装置24は、いわゆる補助記憶装置である。例えば、記憶装置24は、HDDであるが、これに限定されない。記憶装置24は、プロセッサ21で実行されるプログラムを記憶する。なお、プログラムは、予め記憶装置24に記憶されていてもよい。プログラムは、ネットワークを介してEHRサーバ2にダウンロードされてもよい。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、流通していてもよい。
【0044】
記憶装置14は、EHRデータベースを格納する。EHRデータベースは、各人に処方された薬剤に関するデータを管理するデータベースである。EHRデータベースの構成例については後述する。
【0045】
通信インタフェース25は、EHRサーバ2を他の装置と通信可能に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース25は、有線通信のためのインタフェースを含んでいても、無線通信のためのインタフェースを含んでいてもよい。
【0046】
なお、EHRサーバ2の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、EHRサーバ2は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0047】
[EHRデータベース構成]
図6は、EHRサーバ2の記憶装置24に格納されているEHRデータベースを例示する図である。EHRデータベースは、各人に処方された薬剤に関するデータを管理する。EHRデータベースは、ユーザ名、ユーザID、属性及び処方薬剤の項目を有する。ユーザ名の項目は、PHRデータベースと同様に、各人の名前を示す項目である。ユーザIDの項目は、PHRデータベースと同様に、各人に一意に割り当てられた識別情報を示す項目である。属性の項目は、PHRデータベースと同様に、各人に備わる特徴を示す項目である。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目を有する。
【0048】
処方薬剤の項目は、各人に処方された薬剤に関する項目である。処方薬剤の項目は、処方日、症状、薬剤名、薬剤ID、処方量、使用タイミング、使用量、及び、効果発生時間の項目を有する。処方日の項目は、薬剤が各人に処方された日付を示す項目である。症状の項目は、薬剤の処方原因として医者によって診断された各人の症状を示す項目である。薬剤名の項目は、各人に処方された薬剤の名前を示す項目である。薬剤IDの項目は、各人に処方された薬剤に一意に割り当てられた識別情報を示す項目である。処方量の項目は、各人に対する薬剤の処方量を示す項目である。処方量の項目は、個数または液体量を示すが、これらに限定されない。使用タイミングの項目は、各人の薬剤の使用タイミングを示す項目である。使用タイミングの項目は、朝、昼または夜のうちの少なくとも1つを示すが、これらに限定されない。使用量の項目は、各人の1回当たりの薬剤の使用量を示す項目である。使用量の項目は、個数または液体量を示すが、これらに限定されない。効果発生時間の項目は、各人の薬剤の使用後に効果を発生する目安時間を示す項目である。なお、本実施形態で用いられる「薬剤」は、種々の種別のものを含む。例えば、「薬剤」は、服用する薬剤、貼付する薬剤、塗布する薬剤、照射に用いられる薬剤及び自ら行う注射に用いられる薬剤などを含むが、これらに限定されない。本実施形態で用いられる「使用」は、薬剤の種別に応じた種々の態様を含む。例えば、「使用」は、服用、貼付、塗布、照射及び注射などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
なお、EHRデータベースは、ユーザ名、ユーザID、属性及び処方薬剤の項目以外の項目を有していてもよい。EHRデータベースは、ユーザ名及びユーザIDのうちの何れかの項目を有していなくてもよい。EHRデータベースは、属性の項目を有していなくてもよい。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目に加えて、他の項目を有していてもよい。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目のうちの少なくとも1つに代えて、他の項目を有していてもよい。属性の項目は、性別、年齢及び国籍の項目のうちの少なくとも1つを有していなくてもよい。処方薬剤の項目は、処方日、症状、薬剤名、薬剤ID、処方量、使用タイミング、使用量及び効果発生時間の項目に加えて、他の項目を有していてもよい。処方薬剤の項目は、処方日、症状、薬剤名、薬剤ID、処方量、使用タイミング、使用量及び効果発生時間の項目のうちの少なくとも1つに代えて、他の項目を有していてもよい。
【0050】
プロセッサ21は、以下に例示するように、EHRデータベースの各項目に対応するデータを管理する。プロセッサ21は、通信インタフェース25を介して、医者がPCを用いて入力した電子カルテのデータを受ける。プロセッサ21は、電子カルテのデータに基づいて、EHRデータベースの各項目に対応するデータを抽出する。プロセッサ21は、抽出したデータをEHRデータベースで管理する。なお、プロセッサ21は、薬剤師がPCを用いて入力するデータに基づいてEHRデータベースの各項目に対応するデータを抽出してもよい。
【0051】
プロセッサ21は、EHRデータベースを参照し、以下に例示するように、対象者に処方された薬剤に関する処方箋データを薬剤管理サーバ3へ送信する。対象者に処方された薬剤に関する処方箋データは、対象者の処方箋データともいう。一例では、プロセッサ21は、薬剤管理サーバ3からのEHR要求に基づいて、対象者の処方箋データを薬剤管理サーバ3へ送信する。EHR要求は、薬剤管理サーバ3からEHRサーバ2に対する対象者の処方箋データの要求である。この例では、まず、プロセッサ31は、通信インタフェース35を介して、EHR要求を薬剤管理サーバ3から受ける。次に、プロセッサ11は、EHRデータベースから、EHR要求の受信日時を含む所定期間内の処方日を抽出する。次に、プロセッサ11は、抽出した処方日に関連付けられている対象者に関するデータをEHRデータベースから抽出し、対象者の処方箋データを生成する。次に、プロセッサ11は、この対象者の処方箋データを薬剤管理サーバ3へ送信する。
【0052】
別の例では、プロセッサ21は、自律的に対象者の処方箋データを薬剤管理サーバ3へ送信する。この例では、まず、プロセッサ21は、EHRデータベースにおける新たな処方薬剤データの追加に基づいて、新たな追加された処方薬剤データに関する対象者を判断する。次に、プロセッサ21は、この対象者に関するデータをEHRデータベースから抽出し、対象者の処方箋データを生成する。次に、プロセッサ21は、この対象者の処方箋データを薬剤管理サーバ3へ送信する。
【0053】
処方箋データは、ユーザ名データ、ユーザIDデータ及び処方薬剤を示すデータを含む。処方薬剤を示すデータは、処方薬剤データともいう。処方薬剤データは、処方日を示すデータ、症状を示すデータ、薬剤名を示すデータ、薬剤IDを示すデータ、処方量を示すデータ、使用タイミングを示すデータ、使用量を示すデータ及び効果発生時間を示すデータを含む。処方日を示すデータは、処方日データともいう。症状を示すデータは、症状データともいう。薬剤名を示すデータは、薬剤名データともいう。薬剤IDを示すデータは、薬剤IDデータともいう。処方量を示すデータは、処方量データともいう。使用タイミングを示すデータは、使用タイミングデータともいう。使用量を示すデータは使用量データともいう。効果発生時間を示すデータは、効果発生時間データともいう。処方日データは、対象者に薬剤が処方された日付を示すデータである。症状データは、対象者の症状を示すデータを含む。薬剤名データは、対象者に処方された薬剤の名前を示すデータである。そのため、薬剤名データは、対象者に処方された薬剤を示すデータともいえる。薬剤IDデータは、対象者に処方された薬剤に一意に割り当てられた識別情報を示すデータである。そのため、薬剤IDデータは、対象者に処方された薬剤を示すデータともいえる。処方量データは、対象者に対する薬剤の処方量を示すデータである。使用タイミングデータは、対象者の薬剤の使用タイミングを示すデータである。使用量データは、対象者の1回当たりの薬剤の使用量を示すデータである。効果発生時間データは、対象者の薬剤の使用後の効果発生時間を示すデータである。
【0054】
なお、処方箋データは、属性データを含んでいてもよい。処方箋データは、ユーザ名データ及びユーザIDデータのうちの何れかを含んでいなくてもよい。処方薬剤を示すデータは、処方日データ、症状データ、薬剤名データ、薬剤IDデータ、処方量データ、使用タイミングデータ、使用量データ及び効果発生時間データのうちの少なくとも何れかの1つのデータを含んでいなくてもよい。処方薬剤を示すデータは、処方日データ、症状データ、薬剤名データ、薬剤IDデータ、処方量データ、使用タイミングデータ、使用量データ及び効果発生時間データのうちの少なくとも1つに代えて、対象者に処方された薬剤に関する他のデータを含んでいてもよい。
【0055】
<薬剤管理サーバ>
[ハードウェア構成]
図7は、薬剤管理サーバ3のハードウェア構成を例示するブロック図である。
薬剤管理サーバ3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、記憶装置34及び通信インタフェース35を備える。各要素は、互いに電気的に接続されている。なお、
図7では、通信インタフェースを、「通信I/F」と記載している。
【0056】
プロセッサ31は、薬剤管理サーバ3の各要素を制御する。例えば、プロセッサ31は、CPUであるが、これに限定されない。プロセッサ31は、記憶装置34に格納された薬剤管理サーバ3を実行させるためのプログラムをRAM33に展開する。そして、プロセッサ31がRAM33に展開されたプログラムを解釈及び実行することで、プロセッサ31は、ソフトウェア構成の項目において説明される各部を実行可能である。
【0057】
記憶装置34は、いわゆる補助記憶装置である。例えば、記憶装置34は、HDDであるが、これに限定されない。記憶装置34は、プロセッサ31で実行されるプログラムを記憶する。プログラムは、ソフトウェア構成の項目において説明される各部としてEHRサーバ2を実行させるものである。なお、プログラムは、予め記憶装置34に記憶されていてもよい。プログラムは、ネットワークを介して薬剤管理サーバ3にダウンロードされてもよい。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、流通していてもよい。
【0058】
通信インタフェース35は、薬剤管理サーバ3を他の装置と通信可能に接続するためのインタフェースである。通信インタフェース35は、有線通信のためのインタフェースを含んでいても、無線通信のためのインタフェースを含んでいてもよい。
【0059】
なお、薬剤管理サーバ3の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、薬剤管理サーバ3は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0060】
[ソフトウェア構成]
図8は、薬剤管理サーバ3のソフトウェア構成を例示するブロック図である。
【0061】
プロセッサ31は、第1の取得部311、判断部312、第2の取得部313、第1の推定部314、第2の推定部315及び出力部316を実装する。
【0062】
第1の取得部311について説明する。第1の取得部311は、以下に例示するように、対象者に処方された薬剤に関する処方箋データを取得する。処方箋データは、薬剤IDデータまたは薬剤名データを含む。一例では、第1の取得部311は、通信インタフェース35を介して、薬剤管理サーバ3からEHRサーバ2へのEHR要求に対する応答として、対象者の処方箋データを取得する。別の例では、第1の取得部311は、通信インタフェース35を介して、EHRサーバ2が自律的に送信する対象者の処方箋データを取得する。第1の取得部311は、処方箋データを判断部312、第2の取得部313及び第1の推定部314へ出力する。
【0063】
判断部312について説明する。判断部312は、以下に例示するように、薬剤IDデータまたは薬剤名データに基づいて、取得対象となる物理量の種類を判断する。判断部312は、記憶装置14に予め記憶されている薬剤IDと、薬剤IDに対応する薬剤によって変動すると想定される生体の物理量とを対応付けたデータベースを参照する。判断部312は、このデータベースを参照して、処方箋データに含まれる薬剤IDデータから特定される薬剤によって変動すると想定される生体の物理量を判断する。変動すると想定される生体の物理量は、取得対象となる物理量に対応する。これにより、判断部312は、取得対象となる物理量の種類を判断する。判断部312は、取得対象となる物理量の種類を示す判断結果を第2の取得部313へ出力する。なお、判断部312は、薬剤IDデータに代えて薬剤名データを参照し、上述の処理と同様の処理により、取得対象となる物理量の種類を判断してもよい。
【0064】
第2の取得部313について説明する。第2の取得部313は、以下に例示するように、対象者の物理量データを含む生体データを取得する。第2の取得部313は、第1の取得部311から処方箋データを取得する。第2の取得部313は、処方箋データからユーザIDデータを取得する。第2の取得部313は、判断部312から判断結果を取得する。第2の取得部313は、判断結果から取得対象となる物理量の種類を示すデータを取得する。第2の取得部313は、物理量データの期間を指定するデータを任意に設定する。第2の取得部313は、PHR要求を生成する。PHR要求は、少なくとも対象者のユーザIDデータ、取得対象となる物理量の種類を示すデータ及び物理量データの期間を指定するデータを含む。第2の取得部313は、PHR要求をPHRサーバ1へ送信する。第2の取得部313は、通信インタフェース35を介して、PHR要求の応答として、PHRサーバ1から対象者の物理量データを含む生体データを取得する。第2の取得部313は、対象者の生体データを第1の推定部314へ出力する。
【0065】
第1の推定部314について説明する。第1の推定部314は、以下に例示するように、物理量データに基づいて対象者による薬剤の使用の有無を推定する。ここでは、対象者による薬剤の使用の有無を推定するために用いられる物理量データを推定対象データというものとする。例えば、第1の推定部314は、使用推定基準を用いて、対象者による薬剤の使用の有無を推定する。使用推定基準は、対象者による薬剤の使用の有無を推定するための基準である。使用推定基準は、予め定められている。使用推定基準のいくつかの例については後述する。第1の推定部314は、推定対象データを使用推定基準と比較する。第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たすか否かに応じて、薬剤の使用の有無を推定する。推定対象データが使用推定基準を満たす場合、第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用したと推定する。他方、推定対象データが使用推定基準を満たさない場合、第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用していないと推定する。
【0066】
使用推定基準のいくつかの例について説明する。使用推定基準は、以下に例示するように閾値を含む。使用推定基準に含まれる閾値を第1の閾値ともいう。
一例となる使用推定基準では、第1の閾値は、任意の時刻を起点とした所定期間内における変動度合である。この使用推定基準を用いる一つの理由は、対象者が薬剤を使用すると、物理量の変動が期待されるからである。例えば、対象者が降圧剤を使用する場合、血圧の降下が期待される。なお、薬剤の効能によっては、物理量の変動は、降下だけではなく、上昇の場合もあり得る。なお、所定期間の長さは、任意に設定可能である。第1の閾値は、変動割合であっても、変動量であってもよい。第1の閾値は、任意に設定可能である。
【0067】
この例では、第1の推定部314は、第2の取得部313から対象者の生体データを受ける。第1の推定部314は、対象者の生体データから推定対象データを取得する。第1の推定部314は、推定対象データに基づいて、任意の時刻を起点とした所定期間内における物理量の変動度合を求める。第1の推定部314は、所定期間内における最小の物理量と最大の物理量に基づいて、物理量の変動度合を求めてもよい。第1の推定部314は、推定対象データに基づく所定期間内における物理量の変動度合を使用推定基準に含まれる第1の閾値と比較する。
【0068】
物理量の変動度合が第1の閾値以上である場合、第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たすと推定する。他方、物理量の変動度合が第1の閾値未満である場合、第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たさないと推定する。第1の推定部314は、連続的にまたは一定時間間隔で任意の時刻を起点として設定することができる。これにより、第1の推定部314は、起点をずらしながら対象者による薬剤の使用の有無を継続的に推定することができる。
【0069】
別の例となる使用推定基準では、第1の閾値は、参照データからの乖離度合である。参照データは、対象者が薬剤を使用していない状況下で推移するまたは推移すると想定される物理量データである。参照データは、記憶装置34に格納されている。例えば、参照データは、PHRサーバ1に格納されている物理量データのうち、対象者が薬剤を使用していない期間の物理量データである。プロセッサ31は、通信インタフェース35を介して任意のタイミングにPHRサーバ1から参照データを取得し、記憶装置34に格納してもよい。参照データは、対象者の物理量データに基づくデータに代えて、一般的にモデリングされた薬剤の使用のない状況下で推移すると想定されるデータであってもよい。この使用推定基準を用いる一つの理由は、対象者が薬剤を使用すると、参照データに対する物理量データの乖離が期待されるからである。なお、第1の閾値は、乖離割合であっても、乖離量であってもよい。第1の閾値は、任意に設定可能である。
【0070】
この例では、第1の推定部314は、第2の取得部313から対象者の生体データを受ける。第1の推定部314は、対象者の生体データから推定対象データを取得する。第1の推定部314は、推定対象データの物理量を使用推定基準に含まれる参照データの物理量と比較する。なお、第1の推定部314は、推定対象データと参照データの比較において、同時刻の物理量同士を比較することが好ましい。例えば、第1の推定部314は、推定対象データのある時刻の物理量を参照データの同時刻の物理量と比較する。一つの理由は、1日のうちの時間帯によって物理量の大きさ及び物理量の変動の傾向が異なるからである。第1の推定部314は、同時刻の物理量同士を比較することで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。
【0071】
参照データに対する推定対象データの乖離度合が第1の閾値以上である場合、第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たすと推定する。他方、参照データに対する推定対象データの乖離度合が第1の閾値未満である場合、第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たさないと推定する。なお、一定時間継続して参照データに対する推定対象データの乖離度合が第1の閾値以上である場合、第1の推定部314は、推定対象データが使用推定基準を満たすと推定してもよい。一つの理由は、対象者が薬剤を使用していない状況であっても、推定対象データの物理量が一時的に参照データの物理量から第1の閾値以上乖離することがあり得るからである。第1の推定部314は、乖離度合が一定時間継続して第1の閾値以上か否かを判断することで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。第1の推定部314は、推定対象データを参照データと継続的に比較することで、薬剤の使用の有無を継続的に推定することができる。
【0072】
第1の推定部314は、対象者が1回薬剤を使用したと推定する毎に、第1の推定結果を生成する。第1の推定結果は、対象者が薬剤を使用したことを示す。さらに、第1の推定部314は、第1の閾値以上となった推定対象データに基づく値を示すデータを第1の推定結果に含める。一例では、推定対象データに基づく値は、推定対象データに基づく物理量の変動度合である。別の例では、推定対象データに基づく値は、推定対象データに基づく物理量の乖離度合である。第1の推定部314は、第1の推定結果を第2の推定部315へ出力する。
【0073】
なお、第1の推定部314が第1の閾値を用いて対象者による薬剤の使用の有無を推定する例について説明したが、これに限定されない。第1の推定部314は、第1の閾値を用いることなく、物理量データに基づいて対象者による薬剤の使用の有無を推定してもよい。
【0074】
なお、第1の推定部314は、処方箋データに含まれる薬剤IDデータまたは薬剤名データに基づいて、対象者に処方された薬剤を特定する。第1の推定部314は、対象者に処方された薬剤を、使用の有無の推定対象として設定する。
【0075】
第2の推定部315について説明する。第2の推定部315は、以下に例示するように、第1の推定結果に応じて、物理量データに基づいて対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定する。効果推定基準は、薬剤が対象者に所定の効果を発揮したか否かを推定するための基準である。効果推定基準は、予め定められている。効果推定基準のいくつかの例については後述する。なお、第2の推定部315は、第1の推定部314からの第1の推定結果の取得に応じて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定する。そのため、第1の推定部314によって対象者が薬剤を使用したと推定されない限り、第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定することはない。
【0076】
効果推定基準のいくつかの例について説明する。効果推定基準は、以下に例示するように閾値を含む。効果推定基準に含まれる閾値を第2の閾値ともいう。第2の閾値は、第1の閾値よりも絶対値が大きい値である。一つの理由は、第2の推定部315による推定動作が第1の推定結果の取得を前提としているからでる。つまり、推定対象データに基づく値が第1の閾値以上である場合、第2の推定部315は、推定対象データを第2の閾値でさらに評価することになる。
【0077】
一例となる効果推定基準では、第2の閾値は、任意の時刻を起点とした所定期間内における変動度合である。第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい変動度合である。なお、所定期間の長さは、任意に設定可能である。第2の閾値は、変動割合であっても、変動量であってもよい。第2の閾値は、任意に設定可能である。
【0078】
この例では、第2の推定部315は、第1の推定部314から第1の推定結果を受ける。第2の推定部315は、第1の推定結果から、第1の閾値以上となった推定対象データに基づく物理量の変動度合を示すデータを取得する。第2の推定部315は、推定対象データに基づく物理量の変動度合を効果推定基準に含まれる第2の閾値と比較する。物理量の変動度合が第2の閾値以上である場合、第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすと推定する。つまり、第2の推定部315は、対象者が薬剤を使用した結果、薬剤が対象者に所定の効果を発揮したと推定する。他方、物理量の変動度合が第2の閾値未満である場合、第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないと推定する。つまり、第2の推定部315は、対象者が薬剤を使用したにもかかわらず、薬剤が対象者に所定の効果を発揮していないと推定する。なお、一定時間継続して物理量の変動度合が第2の閾値以上である場合、第2の推定部315は、推定対象データが効果推定基準を満たすと推定してもよい。他方、一定時間継続して物理量の変動度合が第2の閾値以上でない場合、第2の推定部315は、推定対象データが効果推定基準を満たさないと推定してもよい。
【0079】
別の例となる効果推定基準では、第2の閾値は、参照データからの乖離度合である。第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい変動度合である。なお、第2の閾値は、乖離割合であっても、乖離量であってもよい。第2の閾値は、任意に設定可能である。
【0080】
この例では、第2の推定部315は、第1の推定部314から第1の推定結果を受ける。第2の推定部315は、第1の推定結果から、第1の閾値以上となった推定対象データに基づく物理量の乖離度合を示すデータを取得する。第2の推定部315は、推定対象データに基づく物理量の乖離度合を効果推定基準に含まれる第2の閾値と比較する。物理量の乖離度合が第2の閾値以上である場合、第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすと推定する。つまり、第2の推定部315は、対象者が薬剤を使用した結果、薬剤が対象者に所定の効果を発揮したと推定する。他方、物理量の乖離度合が第2の閾値未満である場合、第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないと推定する。つまり、第2の推定部315は、対象者が薬剤を使用したにもかかわらず、薬剤が対象者に所定の効果を発揮していないと推定する。なお、一定時間継続して物理量の乖離度合が第2の閾値以上である場合、第2の推定部315は、推定対象データが効果推定基準を満たすと推定してもよい。他方、一定時間継続して物理量の乖離度合が第2の閾値以上でない場合、第2の推定部315は、推定対象データが効果推定基準を満たさないと推定してもよい。
【0081】
なお、第2の推定部315が第2の閾値を用いて薬剤の効果を推定する例について説明したが、これに限定されない。第1の推定部314は、第2の閾値を用いることなく、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定してもよい。
【0082】
第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないと推定する毎に、第2の推定結果を生成する。第2の推定結果は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを示す。第2の推定部315は、第2の推定結果を出力部316へ出力する。
【0083】
出力部316について説明する。出力部316は、以下に例示するように、第2の推定結果に応じて、後述する対象者を支援する支援信号を出力する。出力部316は、第2の推定部315から第2の推定結果を受ける。出力部316は、第2の推定結果の取得に応じて、支援信号を出力する。つまり、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさない場合、出力部316は、支援信号を出力する。対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たす場合、出力部316は、支援信号を出力しない。
【0084】
支援信号について説明する。
一例では、支援信号は、対象者へ薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを知らせるための信号である。この例では、出力部316は、通信インタフェース35を介して、支援信号を対象者の携帯端末へ向けて出力する。携帯端末は、支援信号に基づいて、画像または音声で、対象者へ薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを報知する。これにより、対象者は、病院へ連絡を取り、診察または薬剤の処方を予約することができる。
【0085】
別の例では、支援信号は、対象者へ病院での診察または薬剤の処方の予約を促すための信号である。この例では、出力部316は、通信インタフェース35を介して、支援信号をEHRサーバ2へ向けて出力する。EHRサーバ2は、支援信号に基づいて、対象者へ病院での診察または薬剤の処方の予約を促すための処理を実行する。これにより、対象者は、病院へ連絡を取り、診察または薬剤の処方を予約することができる。
【0086】
§3 動作例
<薬剤管理サーバ>
[効果推定動作]
図9は、薬剤管理サーバ3における効果推定動作を例示するフローチャートである。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順については、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0087】
第1の取得部311は、対象者に処方された薬剤に関する処方箋データを取得する(ステップS101)。ステップS101では、第1の取得部311は、例示したように、EHRサーバ2から薬剤IDデータまたは薬剤名データを含む対象者の処方箋データを取得する。第1の取得部311は、処方箋データを判断部312、第2の取得部313及び第1の推定部314へ出力する。
【0088】
判断部312は、取得対象となる物理量の種類を判断する(ステップS102)。ステップS102では、判断部312は、例示したように、処方箋データに含まれる薬剤IDデータまたは薬剤名データに基づいて、取得対象となる物理量の種類を判断する。判断部312は、判断結果を第2の取得部313へ出力する。
【0089】
第2の取得部313は、対象者の物理量データを含む生体データを取得する(ステップS103)。ステップS103では、第2の取得部313は、例示したように、PHRサーバ1から対象者の生体データを取得する。第2の取得部313は、対象者の生体データを第1の推定部314へ出力する。
【0090】
第1の推定部314は、対象者による薬剤の使用の有無を推定する(ステップS104)。ステップS104では、第1の推定部314は、例示したように、処方箋データに基づいて対象者に処方された薬剤を特定し、物理量データに基づいて対象者による薬剤の使用の有無を推定する。第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用したと推定した場合、第1の推定結果を第2の推定部315へ出力する。
【0091】
対象者が薬剤を使用していないと推定された場合(ステップS104、No)、第1の推定部314は、ステップS104の処理を繰り返す。対象者が薬剤を使用したと推定された場合(ステップS104、Yes)、
第2の推定部315は、薬剤の効果を推定する(ステップS105)。ステップS105では、第2の推定部315は、例示したように、物理量データに基づいて対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定する。第2の推定部315は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないと推定した場合、第2の推定結果を出力部316へ出力する。
【0092】
対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすと推定された場合(ステップS105、Yes)、プロセッサ31は、効果推定動作を終了する。対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たさないと推定された場合(ステップS105、No)、出力部316は、支援信号を出力する(ステップS106)。ステップS106では、出力部316は、例示したように、第2の推定結果の取得に応じて、支援信号を出力する。
【0093】
なお、ステップS104では、第1の推定部314は、以下に例示するように、使用タイミング及び効果発生時間に基づいて、薬剤の使用の有無を推定する時間帯を指定してもよい。第1の推定部314が指定した時間帯を指定時間帯ともいう。この例では、第1の推定部314は、第1の取得部311から処方箋データを受ける。処方箋データは、使用タイミングデータ及び効果発生時間データを含む。第1の推定部314は、処方箋データから使用タイミングデータ及び効果発生時間データを取得する。第1の推定部314は、予め定められた規則に従って、使用タイミングデータで示される使用タイミングの時間帯を設定する。予め定められた規則は、任意に設定可能である。なお、予め定められた規則は、使用タイミングの時間帯をある程度の長さに設定する規則であることが好ましい。一つの理由は、使用タイミングの時間帯の適切な設定が薬剤の使用の有無を推定する時間帯の適切な指定に繋がるからである。第1の推定部314は、変換後の時間帯に効果発生時間データで示される効果発生時間を加えた時間帯を、薬剤の使用の有無を推定する時間帯として推定する。例えば、使用タイミングデータが朝を示すデータであり、効果発生時間データが1時間を示すデータであるとする。第1の推定部314は、使用タイミングの時間帯を6時から9時に設定する。第1の推定部314は、6時から9時の時間帯に1時間を加えた7時から10時時間帯を、薬剤の使用の有無を推定する時間帯として推定する。第1の推定部314は、物理量データのうちの指定時間帯に関連するデータに基づいて、薬剤の使用の有無を推定する。これにより、指定時間帯に関連するデータが使用推定基準を満たす場合、第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用していると推定する。他方、指定時間帯以外の時間帯に関連するデータが使用推定基準を満たす場合、第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用しているとは推定しない。一つの理由は、対象者が薬剤を使用していない状況であっても、推定対象データに基づく値が一時的に第1の閾値以上となることがあり得るからである。第1の推定部314は、指定時間帯に関連するデータに基づいて薬剤の使用の有無を推定することで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。例えば、第1の推定部314は、対象者が薬剤を使用していないにもかかわらず、対象者が薬剤を使用したと誤って推定することを低減することができる。そのため、第1の推定部314は、誤った推定に基づく第1の推定結果を第2の推定部315へ出力することを低減することができる。第2の推定部315は、第1の推定結果を受けない限り対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定しないので、推定精度を向上させることができる。なお、第1の推定部314は、指定時間帯以外の時間帯における推定動作を省略してもよい。これに伴い、第2の推定部315は、指定時間帯以外の時間帯における推定動作を省略することができる。
【0094】
なお、ステップS105では、第2の推定部315は、以下に例示するように、対象者の症状に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定してもよい。この例では、第2の推定部315は、第1の取得部311から処方箋データを受ける。処方箋データは、症状データを含む。第2の推定部315は、処方箋データから症状データを取得する。第2の推定部315は、症状データに基づいて、効果推定基準の中から、対象者の症状に対応する基準を選択する。効果推定基準は、症状毎の基準を含む。一例では、症状毎の基準は、症状毎に異なる変動度合の第2の閾値を含む。別の例では、症状毎の基準は、症状毎に異なる参照データからの乖離度合の第2の閾値を含む。第2の推定部315は、対象者の症状に対応する基準を用いて、薬剤の使用の有無を推定する。第2の推定部315が対象者の症状に対応する基準を用いる一つの理由は、症状に応じて薬剤の使用による物理量の変動量が異なるからである。例えば、第1の症状では、物理量は第1の薬剤の使用によって大きく変動するが、第2の症状では、物理量は第2の薬剤の使用によっても小さくしか変動しないことがあるからである。第2の推定部315は、対象者の症状に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かの推定精度を向上させることができる。
【0095】
なお、ステップS105では、第2の推定部315は、以下に例示するように、対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定してもよい。この例では、第2の推定部315は、第1の取得部311から処方箋データを受ける。処方箋データは、薬剤名データ及び薬剤IDデータのうちの少なくとも何れかを含む。第2の推定部315は、処方箋データから薬剤名データ及び薬剤IDデータのうちの少なくとも何れかを取得する。第2の推定部315は、薬剤名データ及び薬剤IDデータのうちの少なくとも何れかに基づいて、効果推定基準の中から、対象者に処方された薬剤に対応する基準を選択する。効果推定基準は、薬剤毎の基準を含む。一例では、薬剤毎の基準は、薬剤毎に異なる変動度合の第2の閾値を含む。別の例では、薬剤毎の基準は、薬剤毎に異なる参照データからの乖離度合の第2の閾値を含む。第2の推定部315は、対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定する。第2の推定部315が対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いる一つの理由は、薬剤に応じて物理量の変動量が異なるからである。例えば、第1の症状では、物理量は第1の薬剤の使用によって大きく変動するが、第2の症状では、物理量は第2の薬剤の使用によっても小さくしか変動しないことがあるからである。例えば、同一の症状であっても、物理量は第3の薬剤の使用によって大きく変動するが、第4の薬剤の使用によっても小さくしか変動しないことがあるからである。第2の推定部315は、対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かの推定精度を向上させることができる。
【0096】
なお、ステップS105では、第2の推定部315は、以下に例示するように、対象者の属性に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定してもよい。この例では、第2の推定部315は、第1の取得部311から処方箋データを受ける。第2の推定部315は、第2の取得部313から生体データを受ける。処方箋データまたは生体データは、対象者の属性データを含む。第2の推定部315は、処方箋データまたは生体データから対象者の属性データを取得する。第2の推定部315は、対象者の属性データに基づいて、効果推定基準の中から、対象者の属性に対応する基準を選択する。効果推定基準は、属性毎の基準を含む。一例では、属性毎の基準は、属性毎に異なる変動度合の第2の閾値を含む。別の例では、属性毎の基準は、属性毎に異なる参照データからの乖離度合の第2の閾値を含む。なお、効果推定基準は、任意の1つの要素(例えば性別)に基づく属性毎の基準を含んでいてもよい。効果推定基準は、任意の2以上の要素の組合せ(例えば性別と国籍の組合せ)に基づく属性毎の基準を含んでいてもよい。第2の推定部315は、対象者の属性に対応する基準を用いて、薬剤の使用の有無を推定する。第2の推定部315が対象者の属性に対応する基準を用いる一つの理由は、属性に応じて薬剤の使用による物理量の変動量が異なるからである。例えば、第1の属性では、物理量は薬剤の使用によって大きく変動するが、第2の属性では、同じ薬剤の使用によっても小さくしか変動しないことがあるからである。第2の推定部315は、対象者の属性に対応する基準を用いることで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。
【0097】
§4 作用・効果
以上説明したように、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、対象者が薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、物理量データに基づいて対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定することができる。
薬剤管理サーバ3は、薬剤の使用の推定動作を薬剤の効果の推定動作の前提とすることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0098】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、薬剤IDデータまたは薬剤名データに基づいて、取得対象となる物理量の種類を判断することができる。
薬剤によって変動する物理量は異なる。薬剤管理サーバ3は、薬剤IDデータまたは薬剤名データに基づいて、対象者による薬剤の使用の有無及び対象者に対する薬剤の効果を推定するために適した物理量データの種類を判断することができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを示す第2の推定結果に応じて対象者を支援する支援信号を出力することができる。
これにより、薬剤管理サーバ3は、対象者へ薬剤の効果が効果推定基準を満たさないことを知らせたり、対象者へ病院での診察または薬剤の処方の予約を促したりすることができる。薬剤管理サーバ3は、各人に効果推定基準を用いることで、人によってぶれることなく支援を実行することができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、物理量データのうちの指定時間帯に関連するデータに基づいて、対象者による薬剤の使用の有無を推定することができる。
対象者が薬剤を使用していない状況であっても、推定対象データに基づく値が一時的に第1の閾値以上となることがあり得る。薬剤管理サーバ3は、指定時間帯に関連するデータに基づいて薬剤の使用の有無を推定することで、対象者による薬剤の使用の有無の推定精度を向上させることができる。その結果、薬剤管理サーバ3は、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かの推定精度も向上させることができる。さらに、薬剤管理サーバ3は、指定時間帯以外の時間帯における推定動作を省略することで、推定動作の負荷を減らすことができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、効果推定基準に含まれる対象者の症状に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定することができる。
症状に応じて薬剤の使用による物理量の変動量は異なる。薬剤管理サーバ3は、対象者の症状に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0102】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、効果推定基準に含まれる対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定することができる。
同一の症状であっても、対象者が使用する薬剤に応じて物理量の変動量は異なる。薬剤管理サーバ3は、対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0103】
さらに、本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、効果推定基準に含まれる対象者の属性に対応する基準を用いて、対象者に対する薬剤の効果が効果推定基準を満たすか否かを推定することができる。
異なる属性の人が同一の薬剤を使用しても、物理量の変動量は異なる。薬剤管理サーバ3は、対象者の属性に対応する基準を用いることで、対象者に対する薬剤の効果の推定精度を向上させることができる。
【0104】
§5 変形例
(5-2 変形例1)
本実施形態では、薬剤管理サーバ3は、PHRサーバ1及びEHRサーバ2と異なるハードウェアで構成されているが、これに限定されない。薬剤管理サーバ3は、PHRサーバ1と一体で構成されていてもよい。薬剤管理サーバ3は、EHRサーバ2と一体で構成されていてもよい。上述の残薬量推定動作は、薬剤管理サーバ3に限られず、携帯端末または生体の物理量を測定する測定器などの種々の装置で実行されてもよい。
【0105】
(5-2 変形例2)
要するにこの発明は、本実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、本実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0106】
§6 付記
本実施形態の一部または全部は、特許請求の範囲のほか以下の付記に示すように記載することも可能であるが、これに限定されない。
(付記)
対象者に処方された薬剤を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得部(311)と、
前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得部(313)と、
前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定部(314)と、
前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定部(315)と、
を備える薬剤管理装置(3)。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1] 対象者に処方された薬剤を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得部と、
前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得部と、
前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定部と、
前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定部と、
を備える薬剤管理装置。
[C2] 前記薬剤を示すデータに基づいて、取得対象となる前記物理量の種類を判断する判断部をさらに備える、C1に記載の薬剤管理装置。
[C3] 前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たさないことを示す推定結果に応じて、前記対象者を支援する信号を出力する出力部をさらに備える、C1に記載の薬剤管理装置。
[C4] 前記処方箋データは、前記薬剤の使用タイミングを示すデータ及び前記薬剤の使用後の効果発生時間を示すデータを含み、
前記第1の推定部は、前記使用タイミング及び前記効果発生時間に基づいて、前記薬剤の使用の有無を推定する時間帯を指定し、前記物理量の変動を示すデータのうちの前記時間帯に関連するデータに基づいて、前記薬剤の使用の有無を推定する、C1に記載の薬剤管理装置。
[C5] 前記処方箋データは、前記対象者の症状を示すデータを含み、
前記効果推定基準は、症状毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者の症状に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、C1に記載の薬剤管理装置。
[C6] 前記効果推定基準は、薬剤毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者に処方された薬剤に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、C1に記載の薬剤管理装置。
[C7] 前記処方箋データまたは前記生体データは、前記対象者の属性を示すデータを含み、
前記効果推定基準は、属性毎の基準を含み、
前記第2の推定部は、前記対象者の属性に対応する基準を用いて、前記対象者に対する前記薬剤の効果が前記効果推定基準を満たすか否かを推定する、C1に記載の薬剤管理装置。
[C8] 対象者に処方された薬剤を示すデータを含む処方箋データを取得する第1の取得過程と、
前記対象者の生体の物理量の変動を示すデータを含む生体データを取得する第2の取得過程と、
前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者による前記薬剤の使用の有無を推定する第1の推定過程と、
前記対象者が前記薬剤を使用したことを示す推定結果に応じて、前記物理量の変動を示すデータに基づいて前記対象者に対する前記薬剤の効果が予め定められた効果推定基準を満たすか否かを推定する第2の推定過程と、
を備える薬剤管理方法。
[C9] C1から7のうちの何れか1項に記載の薬剤管理装置が備える各部の処理をコンピュータに実行させる薬剤管理のためのプログラム。
【符号の説明】
【0107】
1…PHRサーバ、2…EHRサーバ、3…薬剤管理サーバ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…記憶装置、15…通信インタフェース、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…記憶装置、25…通信インタフェース、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…記憶装置、35…通信インタフェース、100…薬剤管理システム、311…第1の取得部、312…判断部、313…第2の取得部、314…第1の推定部、315…第2の推定部、316…出力部。