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特許7124480サービス提供システムおよびサービス提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】サービス提供システムおよびサービス提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220817BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220817BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220817BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/10
G03G21/00 396
G03G15/00 303
G03G21/00 510
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018120023
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020003867
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和真
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099808(JP,A)
【文献】特開2005-169946(JP,A)
【文献】特開2012-256248(JP,A)
【文献】特許第5279057(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0051165(US,A1)
【文献】国際公開第2014/171104(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、前記情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記情報処理装置に対して所定のサービスを提供するサービス提供サーバと、を備えるサービス提供システムであり、
前記情報処理装置は、
前記サービスで使用する測定データ、測定された各項目が適正か否かを判定した結果のデータ、使用状況データ、稼働状況データ、または摩耗情報を収集して蓄積するデータ収集部と、
前記データ収集部が収集して蓄積したデータを、ユーザの承諾に基づいて前記サービス提供サーバに送信するデータ送信部と、
前記サービス提供サーバに対して、前記サービスの試用と本契約の処理を行う連携構築部と、
前記連携構築部が前記サービスの試用または本契約を行った場合に、前記サービス提供サーバから提供された前記サービスを実行するサービス実行部と、を備え、
前記サービス提供サーバは、
前記情報処理装置での前記サービスの試用と本契約についての処理を行う連携構築部と、
前記情報処理装置のデータ収集部に蓄積され前記データ送信部から送信されたデータを取得して蓄積するデータベース部と、
試用または本契約以前のデータを含む、前記データベース部が蓄積したデータを使って前記サービスを実行するデータ処理部と、
前記データ処理部で実行した結果としてのサービス情報を、試用の承諾または本契約がある前記情報処理装置に送信する出力部と、を備える
サービス提供システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記サービスの紹介処理を行う
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
前記紹介処理は、前記データ処理部で、前記試用または前記本契約がない前記情報処理装置について前記サービスを実行した結果が、所定のレコメンド基準を満たす状態であるときに行う
請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、形成した画像を測色する測色機能を持った画像形成装置であり、
前記サービスは、前記画像形成装置で形成する画像の色管理サービスである
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記色管理サービスは、前記測色機能で測色した結果の変動状態から、色調整の予定を予測するサービスである
請求項4に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
前記情報処理装置は、画像形成装置であり、
前記サービスは、前記画像形成装置の故障予測サービスである
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項7】
サービス提供サーバが情報処理装置に対して所定のサービスを提供するサービス提供方法において、
前記情報処理装置は、
前記サービスで使用する測定データ、測定された各項目が適正か否かを判定した結果のデータ、使用状況データ、稼働状況データ、または摩耗情報を収集して蓄積するデータ収集処理と、
前記データ収集処理により収集して蓄積したデータを、使用者の承諾に基づいて前記サービス提供サーバに送信するデータ送信処理と、
前記サービス提供サーバに対して、前記サービスの試用と本契約の処理を行う連携構築処理と、
前記連携構築処理により前記サービスの試用または本契約を行った場合に、前記サービス提供サーバから提供された前記サービスを実行するサービス実行処理と、を行い、
前記サービス提供サーバは、
前記情報処理装置での前記サービスの試用または本契約についての処理を行う連携構築処理と、
前記情報処理装置から送信されたデータを蓄積するデータ蓄積処理と、
試用または本契約以前のデータを含む、前記データ蓄積処理により蓄積したデータを使って、前記サービスを実行するデータ処理と、
前記データ処理を実行した結果としてのサービス情報を、試用または本契約がある前記情報処理装置に送信する出力処理と、を行う
サービス提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス提供システムおよびサービス提供方法に関し、特にデータ履歴の活用が必要なサービスの提供を行うサービス提供システムおよびサービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが利用している機器に付随して提供可能なサービスとして、その機器での使用状態などのデータを収集し、収集した結果に基づいて機器の使用状態を解析し、解析結果に基づいて機器の適切な使用形態や効率的な使用方法などを通知するサービスがある。
【0003】
例えば、ある機器についての使用状態のデータを収集して、その使用状態から機器の消耗部品の交換が必要な時期を予測して、予測した結果をユーザに通知するサービスが考えられる。
このようなサービスを有料で行うことを考えた場合、サービス提供事業者は、ユーザがサービスに加入したとき、該当する機器の使用状態のデータの収集を開始して、ある程度の情報量のデータが収集できた段階で、消耗部品の交換時期などの予測が可能になる。つまり、ユーザがサービスに加入した直後には、サービス提供会社では正しい予測することが困難である。
【0004】
ところで、有料のサービスを提供する場合において、サービスの利用を促進するために、一定期間無料でサービスを提供する試用期間を設けることが、広く一般的に行われている。試用期間は、サービスの種類によっても異なるが、2週間から1ヶ月程度が一般的である。
【0005】
例えば特許文献1には、ユーザに対して、サービスを提供するアプリケーションを紹介し、これを試用アプリケーションとして、外部サーバからユーザ端末にダウンロードさせることが記載されている。この特許文献1に記載された技術の場合、サービス提供側では、試用条件の範囲内で動作しているのかを監視するようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-164392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、有料で提供するサービスについて、試用期間を設けることで、ユーザは、試用期間中のサービスの提供状態から、該当するサービスに加入することが適切か否かを判断できるようになる。ところが、機器の消耗部品の交換時期のように、ある程度長期間データを収集しないと提供できないサービスについては、試用期間を設けたとしても、試用期間内にユーザにサービスを適切に提供できる程度にデータを収集できない可能性が高い。
【0008】
したがって、本来は有料サービスへの加入を促進するために試用期間を設けているのに対して、1ヶ月などの短期間の試用期間では、サービスの価値を理解できる程度にサービスの提供を受けることが困難であり、結局、有料サービスの加入促進に繋がらないという問題がある。
【0009】
本発明は、データ履歴の活用が必要なサービスの提供を行う場合に、試用期間であっても適切にサービスを提供して、試用期間からサービス加入への誘導が適切にできるサービス提供システムおよびサービス提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のサービス提供システムは、情報処理装置と、情報処理装置とネットワークを介して接続され、情報処理装置に対して所定のサービスを提供するサービス提供サーバと、を備える。
そして、情報処理装置は、サービスで使用する測定データ、測定された各項目が適正か否かを判定した結果のデータ、使用状況データ、稼働状況データ、または摩耗情報を収集して蓄積するデータ収集部と、データ収集部が収集して蓄積したデータを、ユーザの承諾に基づいてサービス提供サーバに送信するデータ送信部と、サービス提供サーバに対して、サービスの試用と本契約の処理を行う連携構築部と、連携構築部がサービスの試用または本契約を行った場合に、サービス提供サーバから提供されたサービスを実行するサービス実行部と、を備える。
サービス提供サーバは、情報処理装置でのサービスの試用と本契約についての処理を行う連携構築部と、情報処理装置のデータ収集部に蓄積されたデータを取得して蓄積するデータベース部と、試用または本契約以前のデータを含む、データベース部が蓄積したデータを使ってサービスを実行するデータ処理部と、データ処理部で実行した結果としてのサービス情報を、試用の承諾または本契約がある情報処理装置に送信する出力部と、を備える。
【0011】
また、本発明のサービス提供方法は、サービス提供サーバが情報処理装置に対して所定のサービスを提供するサービス提供方法である。
そして、情報処理装置は、サービスで使用する測定データ、測定された各項目が適正か否かを判定した結果のデータ、使用状況データ、稼働状況データ、または摩耗情報を収集して蓄積するデータ収集処理と、データ収集処理により収集して蓄積したデータを、使用者の承諾に基づいてサービス提供サーバに送信するデータ送信処理と、サービス提供サーバに対して、サービスの試用と本契約の処理を行う連携構築処理と、連携構築処理によりサービスの試用または本契約を行った場合に、サービス提供サーバから提供されたサービスを実行するサービス実行処理と、を行う。
また、サービス提供サーバは、情報処理装置でのサービスの試用と本契約についての処理を行う連携構築処理と、情報処理装置から送信されたデータを蓄積するデータ蓄積処理と、試用または本契約以前のデータを含む、データ蓄積処理により蓄積したデータを使って、サービスを実行するデータ処理と、データ処理を実行した結果としてのサービス情報を、試用または本契約がある前記情報処理装置に送信する出力処理と、を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サービス提供サーバが、試用や本契約を行う前のデータについても収集して蓄積するため、試用があった際には、該当する情報処理装置について過去に収集したデータを使って、適切なサービスが直ちに提供できるようになる。したがって、情報処理装置を使用するユーザは、試用期間中に、該当するサービスで受けられるサービスがどのようなものであるか、適正に判断できるようになり、試用期間からサービス加入への誘導が適切にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態例によるシステム構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態例による複合機とサービス提供側とを示す構成図である。
図3】本発明の一実施の形態例による色管理サービスの処理(サービス契約前)の流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態例による色管理サービスの処理(サービス契約時)の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態例による使用許諾画面の例を示す図である。
図6】本発明の一実施の形態例によるサービス提供画面の例(例1)を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態例によるサービス提供画面の例(例1)を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態例による故障予測サービスの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
[1.システム構成の例]
図1は、本例のサービス提供システムの全体構成を示す。
本例のサービス提供システムは、情報処理装置100が、色管理サービス提供サーバ200および故障予想サービス提供サーバ300と通信を行って、両サーバ200、300からサービスの提供を受けるものである。情報処理装置100と色管理サービス提供サーバ200および故障予想サービス提供サーバ300は、所定のネットワークで接続されている。
【0015】
本例の情報処理装置100は、用紙へのプリントなどを行う複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である画像形成装置に適用する。色管理サービス提供サーバ200は、画像形成時の色管理についてのサービスを実行するものである。故障予想サービス提供サーバ300は、情報処理装置(画像形成装置)100の故障予測サービスを実行するものである。これらの色管理サービス提供サーバ200および故障予想サービス提供サーバ300によるサービスは、有料で提供されるサービスであり、情報処理装置100の利用者が本契約または試用契約をしない限り利用できない。但し、本例の場合には、情報処理装置100の利用者が承諾した場合、本契約や試用契約が行われていない状況であっても、情報処理装置100から色管理サービス提供サーバ200および故障予想サービス提供サーバ300へのデータのアップロードは可能である。
【0016】
図1の情報処理装置100は、色管理サービスと故障予想サービスに関係した構成のみを示す。
すなわち、情報処理装置100は、データ収集部110、サービス照会部120、連携承諾確認部130、データ送信部140、ユーザエクスペリエンス処理部(以下「UX処理部」と称する)150、および連携構築部160を備える。
データ収集部110は、測定部111と、判定部112と、データ蓄積部113とを備えて、データ収集処理を行う。測定部111は、画像形成動作を行う際の各部の状況や画像形成結果を測定する。この測定部111が測定する項目の一つとして、用紙に形成したカラー画像を測色する測色機能を有する。判定部112が測定部111により測定された各項目が適正か否かを判定する。データ蓄積部113は、測定部111が測定したデータや、判定部112が判定した結果のデータを蓄積する。
【0017】
サービス照会部120は、情報処理装置100が提供可能なサービスを照会する処理を行う。この場合、サービス照会部120は、レコメンド基準設定部121を備え、測定部111での測定データの状態や判定部112での判定結果が、レコメンド基準設定部121で設定されたレコメンド基準を超えたか否かを判断する。そして、レコメンド基準を超えたと判断したとき、サービス照会部120は対応したサービスの試用を、情報処理装置100の利用者に紹介する処理を行う。このサービスの紹介は、例えば情報処理装置100が備えるディスプレイ(不図示)による表示で行われる。
【0018】
連携承諾確認部130は、色管理サービス提供サーバ200や故障予想サービス提供サーバ300との連携承認を確認する処理を行う。具体的には、連携承諾確認部130は、サーバ200および300へのアップロードの承認があるか否かを確認して、承認がある場合には、データ収集部110が収集したデータや蓄積したデータをデータ送信部140から各サーバ200、300に随時送信する。
データ送信部140は、データ収集部110が収集したデータや蓄積したデータについて、データ送信処理を行う。
【0019】
UX処理部150は、ディスプレイによる表示などでユーザに必要な情報を提供すると共に、その表示に基づいたユーザの操作を、操作パネルで受け付けることで、情報処理装置100の操作や各種サービスの実行などを行う。
連携構築部160は、色管理サービス提供サーバ200や故障予想サービス提供サーバ300とデータのやり取りを可能とするために、サーバ200、300側との連携状態を構築する。
【0020】
色管理サービス提供サーバ200は、連携構築部201、データ処理部202、ユーザエクスペリエンス出力部(以下「UX出力部」と称する)203、およびデータベース部204を備える。
連携構築部201は、情報処理装置100とデータのやり取りを可能とするために、情報処理装置100側との連携状態を構築するための連携構築処理を行う。
データ処理部202は、色管理サービスに必要なデータをデータベース部204から取得して、データの解析処理を行うことで、色管理サービスの実行処理を行う。
【0021】
UX出力部203は、データ処理部202でのデータ解析結果に基づいて、情報処理装置100に対して提供可能なサービスを行うための色管理サービス用レポートなどを生成して、生成したレポートを情報処理装置100に送信する。
データベース部204は、情報処理装置100から送信されたデータを蓄積するデータ蓄積処理を行う。本例のデータベース部204が蓄積するデータには、試用契約や本契約がある情報処理装置100から取得したデータの他に、ユーザの承諾が得られた情報処理装置100から取得したデータが含まれる。
【0022】
故障予想サービス提供サーバ300は、連携構築部301、データ処理部302、UX出力部303、およびデータベース部304を備える。
故障予想サービス提供サーバ300は、色管理サービス提供サーバ200とサービス内容が異なる。すなわち、データ処理部302が故障予測サービスの実行処理を行って、UX出力部303が故障予測サービス用レポートを生成して情報処理装置100に送信する点が、色管理サービス提供サーバ200と異なる。データベース部304が蓄積するデータが、試用および本契約がない情報処理装置100からのデータを含む点も同じである。
【0023】
[2.色管理サービスの概要]
図2は、情報処理装置(画像形成装置)100が、色管理サービス提供サーバ200と通信を行って、色管理サービスを取得する状態のイメージを示す。画像形成装置である情報処理装置100には、形成した画像を測色する測色器が取り付けられ、測色器による測色機能によって、形成した画像の色形成状態を測定し、その測定データを情報処理装置100内に記憶する。また、測定データは、色管理サービス提供サーバ200に送信することができる。
【0024】
一方、色管理サービス提供サーバ200は、測色データなどを取得して蓄積し、測色状態の変化を解析して、情報処理装置100での色調整が必要なタイミングを予測し、その予測した色調整が必要なタイミングなどを知らせるサービスレポートを生成する。そして、生成したサービスレポートを、情報処理装置100に送信し、情報処理装置100のディスプレイに表示させる。あるいは、情報処理装置100が備える印刷機能で、サービスレポートを印刷してもよい。また、サービスレポートは、画像形成装置である情報処理装置100とは別の端末(ユーザが利用するコンピュータ装置など)に送信してもよい。
【0025】
ここで、色管理サービスについてより詳細に説明すると、例えば印刷所などのように、印刷物の色に厳しい要求がある場合、画像形成装置で得た印刷物が、ユーザの望む色が正しく印刷されているかが、重要なポイントになる。
このため、ユーザは画像形成装置を使って、規格として定められた測色用のチャートを印刷し、画像形成装置に取り付けられた測色機能を用いて、そのチャートを測定することで、規格通りもしくはユーザの希望通りに、チャートが印刷されているのか比較し判断している。
【0026】
このような判断を行って、結果が「問題なし(OK)」であった場合には、そのまま印刷物の印刷に取り掛かれるが、もしもチャートの印刷結果がユーザの希望通りではなかった場合には、画像形成装置の色調整を行い、色の印刷具合を調整する必要がある。一般的に印刷所では、日常管理として、定期的に(すなわち一定の期間ごとに)この作業を行っている。
【0027】
しかしながら、印刷所では、複数の画像形成装置を所持しているケースが多く、その日その日で画像形成装置ごとにどの印刷物を刷るのか決めて運用している。したがって、ある画像形成装置の色が突然おかしくなったときには、その画像形成装置の色調整をしたり、あるいは、色調整をせずに、別の画像形成装置で印刷したり、最悪の場合には印刷物の納品に間に合わないことがある。
【0028】
ここで、色管理サービス提供サーバ200が提供する色管理サービスを利用することで、日々の日常管理の測色結果に基づいて、色調整が必要なタイミングを事前に把握できるため、ユーザにとっても、業務の効率化が図ることができる。
しかしながら、このようなサービスは一定以上のデータ数が集まらなければ、色調整のタイミングを予測できないため、ユーザがその利用価値を判断するためにはある程度利用してもらう必要がある。
【0029】
色管理サービス提供サーバ200がサービスを提供する際には、数週間程度の試用期間を設けて、その試用期間内に、ユーザにサービスの利用価値を認識してもらい、その後、本契約が結ばれることで、該当する色管理サービスの本格的な利用が開始される。
色管理サービスの場合、情報処理装置(画像形成装置)100の測色データがある程度の期間蓄積されていないと、正しい予測ができない。ここで本例の場合、色管理サービス提供サーバ200は、試用や本契約の前であっても、ユーザの承諾が得られた場合には、情報処理装置100から測色データを取得して蓄積するようにしてある。したがって、ユーザの承諾が得られた情報処理装置100の場合には、試用期間内であっても、色調整のタイミングの予測が正確にでき、ユーザにサービスの利用価値を正しく認識してもらうことができるようになる。
【0030】
[3.色管理サービスの流れ]
次に、本例の色管理サービス提供サーバ200が色管理サービスを提供する際の処理の流れを、図3および図4を参照して説明する。
図3のフローチャートは、色管理サービス使用開始時の処理例を示す。図3の左側のステップS11~S23の処理は、情報処理装置(画像形成装置:MFP)100で行われる処理であり、図3の右側のステップS31~S35の処理は、色管理サービス提供サーバ200で行われる処理を示す。
【0031】
まず、情報処理装置100は、ユーザ操作で測色用のチャートを印刷し、データ収集部110が測色データを収集し、収集した測色データをデータ蓄積部113が記憶する(ステップS11)。さらに、判定部112が、収集した測色データに基づいて色調整結果の判定を行い、判定結果をデータ蓄積部113が記憶する(ステップS12)。
【0032】
そして、情報処理装置100は、ステップS12での測色判定結果が、適正な測色状態か(OK)、あるいは適切でないか(NG)を判断する(ステップS13)。ここで、適正な測色状態の場合(ステップS13のOK)、該当する情報処理装置100での印刷が可能として、測色処理を終了する(ステップS14)。
【0033】
また、ステップS13で、測色判定結果が適正でない場合(ステップS13のNG)、情報処理装置100のサービス照会部120は、レコメンド基準設定部121で設定したレコメンド基準を満たした測色判定結果であるか否かを判断する(ステップS15)。ここで、レコメンド基準を満たしていない場合(ステップS15のNo)、ユーザ操作で情報処理装置100の色調整を行い適正に印刷できる状態として、測色処理を終了する(ステップS16)。
【0034】
一方、ステップS15でレコメンド基準を満たしている場合(ステップS15のYes)、情報処理装置100は、色管理サービス提供サーバ200が提供する色管理サービスをディスプレイでの表示などでユーザに紹介する(ステップS17)。
ここでの紹介メッセージでは、色管理サービスの連携に承諾するか否かをユーザに問い合わせ、情報処理装置100は、色管理サービスの連携に承諾があるか否かを判断する(ステップS18)。
【0035】
図5は、色管理サービスの連携に承諾を求める画面表示例を示す。
図5の例では、画面中に「このMFPで蓄積したデータを外部サービス利用のために試用しますか?」と表示し、「YES」のボタンのユーザ操作で承諾があるとし、「NO」のボタンのユーザ操作で承諾しないとする。
【0036】
図3のフローチャートの説明に戻ると、ステップS18の判断で、ユーザが色管理サービスの連携を承諾しない場合(ステップS18のNo)、情報処理装置100に用意された装置単独での通常の測色処理手順に移る(ステップS19)。
【0037】
また、ステップS18の判断で、ユーザが色管理サービスの連携を承諾した場合(ステップS18のYes)、情報処理装置100は、色管理サービス提供サーバ200に対して、連携を承諾したことを通知する。この通知を受信した色管理サービス提供サーバ200は、情報処理装置100との連携を受け付け(ステップS31)、色管理サービスの試用のアカウントを発行し、その試用アカウントで実行する試用アカウント向けデータベースを構築する(ステップS32)。
【0038】
そして、情報処理装置100では、データ蓄積部113が蓄積したデータを色管理サービス提供サーバ200に送信する(ステップS20)。この色管理サービスとの連携で、試用契約が行われ、試用期間が開始される。
【0039】
また、ステップS20で蓄積データを送信した後、情報処理装置100は、受信するレポートの出力形式を色管理サービス提供サーバ200に登録する(ステップS21)。ここでのレポートの出力形式としては、例えば情報処理装置100自身がレポートを受信して表示または印刷する形式と、情報処理装置100とは別の端末がレポートを受信して表示する形式とがある。ここでは、情報処理装置100がレポートを受信して表示することを登録したとする。
【0040】
色管理サービス提供サーバ200側では、ステップS20で送信されたデータは、ステップS32で構築されたデータベースに格納される(ステップS33)。
そして、色管理サービス提供サーバ200のデータ処理部202は、格納されたデータを使って、データを解析し、測色データの変動グラフを生成し、色調整が必要な予定日を算出し、変動グラフや予定日が掲載されたレポートを作成し、作成したレポートを出力する(ステップS34)。さらに、色管理サービス提供サーバ200のUX出力部203が、レポートを情報処理装置100で出力可能な形式のデータに成形し、情報処理装置100にレポートを提供する(ステップS35)。
【0041】
この色管理サービス提供サーバ200からのレポートは、情報処理装置100が受信し(ステップS22)、例えば情報処理装置100のディスプレイがレポートを表示する(ステップS23)。
【0042】
図4は、試用期間を開始した後の処理を示すフローチャートである。図4においても、図3と同様に、左側のステップS41~S54の処理は、情報処理装置(画像形成装置:MFP)100で行われる処理であり、右側のステップS61~S65の処理は、色管理サービス提供サーバ200で行われる処理を示す。
【0043】
まず、情報処理装置100は、ユーザ操作で測色用のチャートを印刷し、データ収集部110が測色データを収集し、収集した測色データをデータ蓄積部113が記憶する(ステップS41)。さらに、判定部112が、収集した測色データに基づいて色調整状態の判定を行い、判定結果をデータ蓄積部113が記憶する(ステップS42)。
【0044】
次に、情報処理装置100は、現在、色管理サービスの試用期間中か否かを判断する(ステップS43)。ここで、試用期間が経過して試用期間でない場合には(ステップS43のNo)、連携構築部160が色管理サービス提供サーバ200との連携解除処理を行い(ステップS44)、処理を終了する(ステップS45)。
【0045】
一方、ステップS43において、試用期間中と判断した場合(ステップS43のYes)、情報処理装置100は、色管理サービスと連携中か否か判断する(ステップS46)。ここで、色管理サービスと連携中でない場合(ステップS46のNo)、情報処理装置100は、色管理サービスと連携させるか否かを確認する(ステップS47)。ここで、色管理サービスと連携させる指示がある場合(ステップS47のYes)、情報処理装置100は、色管理サービスとの連携処理を行う(ステップS48)。
また、ステップS47において、色管理サービスと連携させない指示がある場合(ステップS47のNo)、情報処理装置100は、処理を終了する(ステップS45)。
【0046】
そして、ステップS46において、色管理サービスと連携中と判断したとき(ステップS46のYes)、情報処理装置100は、色管理サービス提供サーバ200側に測色データを送信する(ステップS49)。
色管理サービス提供サーバ200側では、ステップS49で送信されたデータがデータベースに格納される(ステップS61)。
そして、色管理サービス提供サーバ200のデータ処理部202は、格納されたデータを使って、データを解析し、測色データの変動グラフを生成し、色調整が必要な予定日を算出し、変動グラフや予定日が掲載されたレポートを作成し、作成したレポートを出力する(ステップS62)。
【0047】
そして、色管理サービス提供サーバ200は、作成したレポートの情報処理装置100が、試用期間の満了間際で且つ本契約が未契約であるか否かを判断する(ステップS63)。ここで、試用期間の満了間際で且つ本契約が未契約でない場合(ステップS63のNo)、色管理サービス提供サーバ200のUX出力部203が、色管理レポートを情報処理装置100で出力可能な形式のデータに成形し、情報処理装置100に色管理レポートを提供する(ステップS64)。
また、ステップS63において、試用期間の満了間際で且つ本契約が未契約である場合(ステップS63のYes)、ステップS64で提供される色管理レポートに、契約移行を促す内容を付け加える(ステップS65)。
【0048】
この色管理サービス提供サーバ200からのレポートは、情報処理装置100が受信し(ステップS50)、例えば色管理サービス提供サーバ200のディスプレイがレポートを表示する(ステップS51)。
そして、情報処理装置100は、本契約に移行するか否かをユーザに確認し(ステップS52)、本契約に移行しない場合(ステップS52のNo)、情報処理装置100は、処理を終了する(ステップS45)。
一方、本契約に移行する場合(ステップS52のYes)、情報処理装置100のディスプレイは、契約画面を表示し(ステップS53)、契約画面での操作に基づいて本契約処理が行われる(ステップS54)。
【0049】
図6は、色管理サービスとの連携直後に表示されるレポートを示す。
このサービスレポートでは、蓄積データを元に色管理サービスで生成されたグラフと、色管理サービスによる解析結果サンプルが表示される。
グラフは、測定・算出した数値の一覧と、それら数値が、基準値からどの程度外れているかを示し、その値の推移が表示される。
解析結果サンプルは、文字メッセージで、「2018/2/26より、規定の許容幅を逸脱しています。色調整を行ってください。」と警告した例を示す。
【0050】
図7は、連携後の色管理サービスレポートの例を示す。
図6と同様のグラフが表示され、現在の測色値と、未来の測色値の予想と色調整すべき時期を「色調整時期予測」として表示する。「規定の許容幅を逸脱しそうです。そろそろ色調整を行ってください。」といった通知を表示する。
【0051】
このような色管理サービスのレポートが表示されれば、ユーザが色調整の必要なタイミングを理解でき、色管理サービスに加入した場合のメリットを実感できるようになる。通常の試用開始時点では、データの蓄積がなくサービスのメリットを全く享受できないが、本例では、試用開始した2018/2/19時点で過去のデータまでを活用することで色管理サービスのグラフや色調整時期の予測など、をユーザに提供できることとなる。
【0052】
[4.故障予想サービスの流れ]
次に、本例の故障予想サービス提供サーバ300が故障予想サービスを提供する際の処理の流れを、図8を参照して説明する。
図8のフローチャートは、故障予想サービスの処理例を示す。図8の左側のステップS71~S82の処理は、情報処理装置(画像形成装置:MFP)100で行われる処理であり、図8の右側のステップS91~S95の処理は、故障予想サービス提供サーバ300で行われる処理を示す。
【0053】
まず、情報処理装置100は、ユーザ操作で測色用のチャートを印刷し、データ収集部110が測色データを収集し、収集した測色データをデータ蓄積部113が記憶する(ステップS71)。さらに、印刷を開始し、稼働状況データをデータ収集部110が収集し、収集した稼働状況データをデータ蓄積部113が記憶する(ステップS72)。
その後、情報処理装置100に何らかの問題が発生したとする(ステップS73)。例えば給紙ローラーの不備による給紙不良が発生したとする。
【0054】
このとき、情報処理装置100は、データ蓄積部113が記憶したデータを参照して、発生した問題が、蓄積していたデータと関連するか否かを判断する(ステップS74)。この判断で、蓄積していたデータと関連しない場合(ステップS74のNo)、通常の画像形成装置の不良時の処理手順に移行する(ステップS75)。
また、ステップS74の判断で、蓄積していたデータと関連した場合(ステップS74のYes)、情報処理装置100は、蓄積したデータよりレコメンド基準を満たした紹介可能なサービスがあるか否かを判断する(ステップS76)。
ここで、レコメンド基準を満たした紹介可能なサービスがない場合(ステップS76のNo)、通常の画像形成装置の不良時の処理手順に移行する(ステップS75)。
また、ステップS74の判断で、レコメンド基準を満たした紹介可能なサービスがある場合(ステップS76のYes)、該当するサービスの紹介が可能か否かを判断する(ステップS77)。
【0055】
ステップS77で、サービスの紹介が可能でない場合には(ステップS77のNo)、通常の画像形成装置の不良時の処理手順に移行する(ステップS78)。但し、ここでは、所定のタイミングで通知するようにキューに追加する。
また、ステップS77で、サービスの紹介が可能な場合(ステップS77のYes)、情報処理装置100は、対応した故障予想サービスをディスプレイでの表示などで紹介する(ステップS79)。
ここでの紹介メッセージでは、故障予想サービスの連携に承諾するか否かをユーザに問い合わせ、情報処理装置100は、故障予想サービスの連携に承諾があるか否かを判断する(ステップS80)。
【0056】
そして、ステップS80の判断で、ユーザが故障予想サービスの連携を承諾しない場合(ステップS80のNo)、通常の画像形成装置の不良時の処理手順に移行する(ステップS75)。
また、ステップS80の判断で、ユーザが故障予想サービスの連携を承諾した場合(ステップS80のYes)、情報処理装置100は、故障予想サービス提供サーバ300に対して、連携を承諾したことを通知する。
【0057】
この通知を受信した故障予想サービス提供サーバ300は、情報処理装置100との連携を受け付け(ステップS91)、故障予想サービスの試用のアカウントを発行し、その試用アカウントで実行する試用アカウント向けデータベースを構築する(ステップS92)。
【0058】
そして、情報処理装置100では、データ蓄積部113が蓄積したデータを故障予想サービス提供サーバ300に送信する(ステップS81)。この故障予想サービス提供サーバ300との連携で、試用契約が行われ、試用期間が開始される。
【0059】
また、ステップS81で蓄積データを送信した後、情報処理装置100は、受信するレポートの出力形式を故障予想サービス提供サーバ300に登録する(ステップS82)。
【0060】
故障予想サービス提供サーバ300側では、ステップS81で送信されたデータは、ステップS92で構築されたデータベースに格納される(ステップS93)。
そして、故障予想サービス提供サーバ300のデータ処理部302は、格納されたデータを使って、データを解析し、故障箇所予測レポートを出力する(ステップS94)。さらに、故障予想サービス提供サーバ300のUX出力部303が、レポートを情報処理装置100で出力可能な形式のデータに成形し、情報処理装置100にレポートを提供する(ステップS95)。
【0061】
この故障予想サービス提供サーバ300からのレポートは、情報処理装置100が受信し、例えば情報処理装置100のディスプレイがレポートを表示する。
このように、故障予想サービスの場合にも、試用期間に、試用期間より前のデータを使って故障箇所の予測が可能になり、適切なレポートをユーザに提示できるようになる。なお、故障予測レポートの場合には、メンテナンスの予定日、故障予測に基づくマシンサポート依頼の見積書などを、レポートに付加してもよい。
【0062】
[5.変形例]
なお、情報処理装置がレコメンドする場合、レコメンド基準を満たしていても、ユーザの許可なく試用期間を開始しないようにする場合と、自動的に試用期間が開始される場合のいずれでもよい。
また、情報処理装置の状態に応じて、レコメンド基準を満たしていても即座にサービス紹介せずに、所定のタイミングでサービス紹介してもよい。
さらに、サービスの実行結果は、情報処理装置で表示する例を示したが、別のコンピュータ装置などで表示する場合には、その装置での表示に適した形式のフォーマットとして送信するようにしてもよい。
【0063】
サービスの試用期間中は、逐次データがサービスに対し送信するようにして、開始時に送信された一括のデータとともにサービスの結果を、逐次アップデートするようにしてもよい。
さらに、試用期間が終了した場合には、情報処理装置とサービスの連携を自動的に切断してもよい。
あるいは、試用期間が終了した場合には、情報処理装置とサービスの連携を切断せずに、本契約へ移行させる処理を実行してもよい。本契約への移行する場合には、契約に必要な内容の入力をユーザに促すようにしてもよい。
また、故障予想サービスが利用するデータとしては、装置の使用状況だけでなく、機械的部品の稼働情報や摩耗情報などを含むようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態例では、色管理サービスと故障予想サービスの例を示したが、その他のサービスを行うようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、画像形成装置を例にしたが、その他の各種情報処理装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
100…情報処理装置(画像形成装置)、110…データ収集部、111…測定部、112…判定部、113…データ蓄積部、120…サービス照会部、121…レコメンド基準設定部、130…連携承諾確認部、140…データ送信部、150…ユーザエクスペリエンス処理部(UX処理部)、160…連携構築部、200…色管理サービス提供サーバ、201…連携構築部、202…データ処理部、203…ユーザエクスペリエンス出力部(UX出力部)、204…データベース部、300…故障予想サービス提供サーバ、301…連携構築部、302…データ処理部、303…ユーザエクスペリエンス出力部(UX出力部)、304…データベース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8