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  • 特許-気化装置のヒータと気化装置 図1
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  • 特許-気化装置のヒータと気化装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】気化装置のヒータと気化装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/60 20060101AFI20220817BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220817BHJP
   A61M 11/04 20060101ALI20220817BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20220817BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20220817BHJP
【FI】
H05B3/60 Z
A24F47/00
A61M11/04 300A
H05B3/12 Z
A24F40/46
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018122652
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2019016593
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】15/643,552
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】ベル・バイロン ヴィー.
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0217068(US,A1)
【文献】国際公開第2016/096780(WO,A1)
【文献】特表2017-506502(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036954(WO,A1)
【文献】特表2014-533932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/60
A24F 40/00-47/00
A61M 11/04
H05B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化装置のヒータであって、
非導電性の材料製である流体リザーバと、
前記流体リザーバ内に位置する、導電性材料製の、多孔質かつ透過性の加熱素子と
前記加熱素子に接続された電極と
を含み、
前記流体リザーバと前記加熱素子が、気化装置の吐出ヘッドから吐出される流体を捕捉し保持するための容積を定義し、前記加熱素子が前記流体リザーバ内の流体を気化する、
気化装置のヒータ。
【請求項2】
前記流体リザーバがセラミック製である、
請求項1に記載の気化装置のヒータ。
【請求項3】
前記加熱素子がメッシュである、
請求項1又は2に記載の気化装置のヒータ。
【請求項4】
前記加熱素子が織り込みワイヤ製である、
請求項1~のいずれか1項に記載の気化装置のヒータ。
【請求項5】
前記加熱素子が、カンタル、ニクロム、ステンレス鋼、又はこれらの組合せからなる、
請求項1~のいずれか1項に記載の気化装置のヒータ。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に取り付けられたマウスピースと、
請求項1に記載のヒータと
を含み、
前記ヒータが、前記吐出ヘッドから前記ヒータ上に吐出された流体を気化するため、前記マウスピースに隣接して設けられる、
気化装置。
【請求項7】
気化された流体である蒸気を吸引することにより気化装置に引き込まれる空気を制御するための吸気制御装置を含む、
請求項に記載の気化装置。
【請求項8】
前記吸気制御装置が、ダンパースライドと、前記吐出ヘッドに空気を引き込む吸気孔とを含む、
請求項又はに記載の気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
流体吐出装置の応用の1つは、二次機能が実行されうる他の装置上に溶液を噴射するものである。一般的な二次機能は、溶液を気体として放出するため、溶液の内容物が気化されるよう、ヒータを用いて溶液を気化させるものである。
【0002】
本発明は、流体吐出装置に関するものであり、特に、向上された流体吐出ヘッド構造の製造方法に関する。そのような技術の応用には、電子タバコ、蒸気療法、気体薬剤送出、マイクロラボのための気相反応等のための計量と気化の装置を含むが、これに限定されない。そのような装置に伴う課題は、流体の効率的な気化である。本文書は、気化装の、向上されたヒータと、ヒータの気化効率を向上させる方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
流体を気化するとき、流体が気化装置から排出されないよう、流体の100%が気化されることが極めて望ましい。従来のヒータでは、常にいくらかの流体が気化装置から排出されるか、さもなければ流体が気化装置内に残留する点において、改善が望まれる。流体が気化装置内に残留する場合、そのような液体は過度な高温に曝される可能性があり、これは不快な喫煙や液体の望まれない化学反応を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒータの急速な加熱も、ヒータに送出される全ての液体の気化を確実にするために必須である。流体の完全な気化は、気化装置からの蒸気流に液滴が混入することを防ぐために重要である。いくつかの応用では、液体の排出は望ましくないばかりでなく、使用者にとって有害である。気化装置からの液滴の排出を避けるため、ヒータへ向け吐出された流体の流れは、ヒータにより効率的に捕らえられ、流体がヒータに到達するのと概ね同じ速さで完全に気化されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記を鑑み、本開示の実施形態は、従来のヒータの課題を有利に避け、効率的に吐出された流体を収容し、所望の時間内に所望の温度レベルで全ての収容された流体を気化するヒータ構成を提供する。
【0006】
一様態において、本発明は、流体リザーバと、導電性材料製で流体リザーバ内に位置する多孔質かつ透過性の加熱素子とを含む、気化装置のためのヒータを提供する。流体リザーバと加熱素子は、気化装置の吐出ヘッドから吐出される流体を捕捉し保持するための容積を定義する。加熱素子は流体リザーバにおいて流体を気化する。
【0007】
いくつかの実施形態において、流体リザーバは、セラミックといった、非導電性の材料製である。
【0008】
別の実施形態において、加熱素子はメッシュである。
【0009】
また別の実施形態において、加熱素子は、カンタル(kanthal)、ニクロム(nichrome)、ステンレス鋼、またはこれらの組合せによる、織り込みワイヤ(interwoven wire)製である。
【0010】
別の様態において、本発明は、筐体と、筐体に取り付けられたマウスピースと、前記のヒータとを含む、気化装置を提供する。ヒータは、吐出ヘッドからヒータ上へ吐出された流体を気化するため、マウスピースに隣接して設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
開示される実施形態の更なる特徴と利点は、後続の詳細な説明、図面、請求項を参照することで明白となる。
図1図1は、本開示のある実施形態による気化装置の、正確な縮尺ではない、断面図である。
図2図2は、図1の気化装置の一部の、正確な縮尺ではない、クローズアップ図である。
図3図3は、本開示によるヒータベースの、正確な縮尺ではない、2次元図である。
図4図4は、そこに位置する本開示によるヒータを提供する加熱素子を伴う、図3のヒータベースの断面図である。
図5図5は、そこに提供された電極を伴う図4のヒータを示す。
図6図6は、気化される流体の図5のヒータへの装填を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は図1と2に示される気化装置10と、そのための図3から6に示されるヒータを対象とするものである。そのような装置10は、以下により詳細に説明される、蒸気流を提供するため液体がヒータ上に吐出される、多様な応用に用いられうる。そのような装置10は、典型的に、装置10により発生された蒸気を吸入するためのマウスピース12を有する電子タバコといった小型機器である。マウスピース12は、装置10外への蒸気の流れのための導管14を含む。装置10の主要部品には、筐体本体16と、取外し可能なカートリッジカバー18と、取外し可能な流体供給カートリッジ20と、流体供給カートリッジに関連づく吐出ヘッド22と、吐出ヘッドから吐出された流体を気化するためのヒータ24と、ヒータ24のための電気的接続を提供するホルダ26とを含む。気化装置10に関連づくその他の部品としては、充電式の電池28と、回路基板30と、気化駆動カード32を含む。気化装置の拡大された一部が図2に示される。
【0013】
マウスピース12と、気化装置10の筐体本体16は、その材料が装置10により吐出され気化される流体と親和性がある限り、プラスチック、金属、ガラス、セラミック等を含む、多様な材料から製造されてよい。特に好適な材料は、ポリ塩化ビニル、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ステンレス鋼、外科用鋼、ニッケルめっき鋼等から選択されてよい。マウスピース12と筐体本体16を含む、流体と蒸気に接触する全ての部品は、プラスチック製であってよい。導管14は、ステンレス鋼といった金属製、または装置により発生される熱と蒸気に耐性のあるその他の材料製であってよい。
【0014】
図1に示されるように、筐体本体16は、ヒータ24(以下により詳細に説明)と吐出ヘッド22のためのロジック回路を提供するための、回路板30と気化駆動カード32を含んでよい。充電式の電池28も筐体本体16に収容されてもよい。別の実施形態において、取外し可能な、非充電式の電池も筐体本体に収容されてもよい。電池28を受電するためと、吐出ヘッド22とヒータ24のプログラム設定変更のため、USB(図示せず)といった電気接点が用いられてもよい。マイクロ流体吐出ヘッド22は、吐出ヘッド22により吐出される流体を提供する流体供給カートリッジ20と流体連通している。
【0015】
吐出ヘッド22の背圧制御を提供するため、吸気流制御装置が含まれてもよい。吸気流制御装置は、吐出ヘッド22の過度な負圧を避けられるよう、ダンパースライド34と、ヒータ24と吐出ヘッド22に隣接する導管14に空気を引き込むための吸気孔36を含んでよい。
【0016】
気化装置の重要な部品の1つは、図3から6により詳細に示される、ヒータ24である。ヒータ24は、流体リザーバ40と、流体リザーバ40内に位置する導電性の多孔質かつ透過性の加熱素子42を含む。電極44が加熱素子42に接続する。
【0017】
流体リザーバ40は、流体不透過性絶縁材料製であり、好ましくはセラミック製である。流体リザーバ40は、所望の量の気化される流体46と、加熱素子42の両方を含むための適切な容積の流体リザーバを提供するよう構成させる(図6)。流体リザーバ40は、約10から約40μlの液量用に構成されることが望ましく、気化応用においては約12μlが好ましい。
【0018】
加熱素子42は、スポンジの性質(nature of sponge)で流体46を保持するための、相互に接続した間質空間を有するよう、多孔質かつ透過性である。加熱素子42は、それに電気エネルギーを加えることで加熱するよう、高い熱伝導率を有する導電性材料製である。加熱素子42はメッシュであってよく、カンタル、ニクロム、ステンレス鋼等からなる織り込みワイヤ製であってよい。加熱素子42は、加熱素子42の流体による濡れ(wetting)、熱伝達、およびヒータ24の動作中に揮発した流体の逃散を最適化する孔の大きさおよび透過性を有することが望ましい。気化される流体を受け取るために利用可能な加熱素子42の体積は、与えられた多孔性と所望の液量に基づき計算されてよい。加熱素子42は、加熱素子42の所望の厚さを示すため、指定された時間にて所望の流体の量を気化するために要する熱流束を定義し、所望の量に束密度を制限することにより計算された表面積を有することが望ましい。
【0019】
説明されたヒータ24の利点は、吐出ヘッド22から吐出された実質的に全ての流体46が流体リザーバ40に捕捉され、加熱素子42の間質空間と密着接触し(intimate contact)、流体46が気化される方式で加熱されることである。
【0020】
ヒータ24の動作において、流体リザーバ40内に流体46が噴射される前に、ヒータ24は100~150℃といった低い予熱温度に上昇させられることが好ましい。そして、所望用量の流体46が流体リザーバ40内に噴射され、加熱素子42の間質空間に完全に受け取られる。そして電極44を介し加熱素子42に、流体46を完全に気化させるのに十分なだけの長さの一定期間、十分に高い電力で電力が印加される。その後、過熱状態を避けるため、電力は即座に遮断される。
【0021】
加熱素子42の質量と厚さは、最適なヒータのウォームアップと、要求される気化率に基づく気化効率のために調整されてよい。ヒータを駆動するための電圧/電流要件は、ヒータの材料の厚さ、成分、形状を調整することにより、同様に調整されてよい。
【0022】
これに関し、ヒータ24の構造は高い電気効率を可能とすることが理解される。流体リザーバ40は非導電性であるため、流体リザーバを加熱するために電力は使用されない。全ての電力は加熱素子42を加熱するため、そして加熱素子42内の流体46を加熱するために用いられる。さらに、加熱素子42と流体46の密着は、流体46を気化するため加熱素子42が加熱されなければならない温度を最低化させ、これにより吐出された流体の望まれない熱劣化を防ぐ。
【0023】
特定の実施形態を説明したが、予期しない、又は現在予期できない代替、改変、変形、改良、そして実質的な均等物が出願人又はその他当業者に生じうる。従って、提出された、そして補正されうる、添付の請求項は、全てのそのような代替、改変、変形、改善、実質的な均等物を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0024】
14:導管
16:筐体
18:カートリッジカバー
20:流体供給カートリッジ
22:吐出ヘッド
24:ヒータ
26:ホルダ
28:電池
30:主回路基板
32:気化駆動カード
34:ダンパースライド
36:吸気孔
40:流体リザーバ
42:加熱素子
44:電極
46:流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6