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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】C型スリーブ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/20 20060101AFI20220817BHJP
   H01R 4/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01R4/20
H01R4/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018131360
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020009687
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】杉村 聡太郎
(72)【発明者】
【氏名】平岡 正一
(72)【発明者】
【氏名】平田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】西谷 真一
(72)【発明者】
【氏名】水本 雅己
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001966(JP,A)
【文献】実開昭56-106372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00
H01R 4/18-4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を並行状態で収容する収容部を有し、圧縮変形されることで前記複数の電線を電気的且つ機械的に固定する電線接続用のC型スリーブであって、
前記C型スリーブの軸方向と交差する端面には、前記電線とは別の電線を接続する突起が設けられており、前記突起は、前記別の電線を挿入する中空部を有する中空部材であることを特徴とするC型スリーブ。
【請求項2】
複数の電線を並行状態で収容する収容部を有し、圧縮変形されることで前記複数の電線を電気的且つ機械的に固定する電線接続用のC型スリーブであって、
前記C型スリーブの軸方向と交差する端面には、前記電線とは別の電線を接続する突起が設けられており、前記突起は、前記端面に形成された穴内に導電性の線材を挿入するとともに該線材の長手方向の一部を前記端面から外部に突出させることにより形成されていることを特徴とするC型スリーブ。
【請求項3】
前記突起は、前記C型スリーブの前記軸方向と交差する一方の前記端面と他方の前記端面の一方又は両方に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のC型スリーブ。
【請求項4】
前記別の電線は、接地線であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のC型スリーブ。
【請求項5】
複数の電線を並行状態で収容する収容部を有し、圧縮変形されることで前記複数の電線を電気的且つ機械的に固定する電線接続用のC型スリーブであって、
前記C型スリーブの軸方向と交差する端面には、前記電線とは別の電線である接地線を接続する突起が設けられていることを特徴とするC型スリーブ。
【請求項6】
前記突起は、前記C型スリーブの前記軸方向と交差する一方の前記端面と他方の前記端面の一方又は両方に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のC型スリーブ。
【請求項7】
前記突起は、中実部材であり、前記突起と前記別の電線とは、接続用のスリーブを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項5又は6に記載のC型スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線を並行状態で収容した状態で圧縮変形されることで、複数の電線を電気的且つ機械的に固定する電線接続用のC型スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
電線接続用のC型スリーブは、複数の電線を収容した状態で圧縮工具により圧縮変形されることにより、複数の電線を電気的且つ機械的に固定する。C型スリーブは電線から過大な張力が加わらない部分に使用される部品である。C型スリーブは複数の電線として、例えば柱上の変圧器から引き出されている低圧側電線、低電圧を工場や住宅等の需要家の配電盤につながる引き込み線等を電気的に接続し、且つ機械的に固定する。
【0003】
特許文献1には、電線接続用のC型スリーブが開示されている。このC型スリーブは、大径の幹線と小径の2つの支線とを軸方向に並列に収容する。小径の2つの支線は、C型スリーブに形成された2つの凹溝に収容できるようになっている。C型スリーブでは、幹線と2つの支線とが収容された状態でC型スリーブを圧縮することで、大径の幹線と小径の2つの支線とを同時に圧着する。ここで、幹線と支線は例えば複数の金属線が撚り合わされることにより形成された撚り線である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-48779公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のC型スリーブでは、大径の幹線と小径の2つの支線とを収容したC型スリーブを圧縮変形させることで、大径の幹線と小径の2つの支線とを同時に圧着する。しかし、合計3本の太さの異なる幹線と支線を同時に圧着しようとすると、3本の幹線と支線がC型スリーブから逃げようとして、互いに接触しながら軸方向にずれることがある。
【0006】
幹線と支線が互いに接触しながらずれると、撚り線である3本の幹線と支線は、撚りの一部がほどけてしまうおそれがある。幹線と支線の撚りの一部がほどけてしまうと、通電時に規定された電流容量を賄えずに幹線と支線から熱を発生する虞がある。撚り線である幹線と支線を構成する金属線が1本でも浮いてしまうと、電気的な特性が低下するので、C型スリーブの圧縮ミスとなる。このため、C型スリーブを用いた複数本の幹線と支線の固定には、細心の注意を払う必要がある。
【0007】
また、C型スリーブに設けられた電線を収容する空間には大きな余裕がないため、C型スリーブ内に複数本の電線を挿入した後に、さらに別の電線、例えば接地線を追加的に挿入する作業が大変面倒である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、C型スリーブの収容部に複数の電線を収容した後であっても、さらに追加の別の電線を電気的且つ機械的に、容易且つ確実に接続でき、圧縮ミスを防ぐことができるC型スリーブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明のC型スリーブは、複数の電線を並行状態で収容する収容部を有し、圧縮変形されることで前記複数の電線を電気的且つ機械的に固定する電線接続用のC型スリーブであって、前記C型スリーブの軸方向と交差する端面には、前記電線とは別の電線を接続する突起が設けられており、前記突起は、前記別の電線を挿入する中空部を有する中空部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、C型スリーブの収容部に複数の電線を収容した後であっても、さらに追加の別の電線を電気的且つ機械的に、容易且つ確実に接続でき、圧縮ミスを防ぐことができるC型スリーブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るC型スリーブ10が設けられる電力設備の一例を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るC型スリーブ10の外観形状を示す斜視図である。
図3図2に示すC型スリーブ10をG方向から見た側面図である。
図4】突起30と接地線5の接続構造例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るC型スリーブ10A及びその接続構造例を示す図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るC型スリーブ10Bを示す斜視図である。
図7】(a)(b)は、本発明の第4実施形態に係るC型スリーブ10C及びその接続構造例を示す図である。
図8】本発明の第5実施形態に係るC型スリーブ10D及びその接続構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るC型スリーブ10が設けられる電力設備の一例を示す模式図である。
図1に示す電力設備の例では、変圧器1が電柱上に配置されている。例えば6600Vの高電圧が、高圧側配線2を通じて変圧器1に供給される。変圧器1は、この高電圧を低電圧、例えば200Vに変圧する。この低電圧は、低圧側配線3を通じて変圧器1から出力され、引き込み線4(低圧線、CVケーブルともいう)を通じて工場や住宅等の需要家6に供給される。
【0013】
図示する低圧側配線3、引き込み線4、及び接地線5は、夫々導体からなる導体部3M、4M、5Mを有しており、電線接続用のC型スリーブ10(10A~10D)は、導体部3Mと導体部4Mとを束ねた状態で圧接させて電気的且つ機械的に固定する。導体部5Mは、後述する突起30に対して別途電気的機械的に固定される。
本例に示す導体部3M、4M、5Mは、何れも撚り線である。本例に示す低圧側配線3、引き込み線4、及び接地線5は被覆電線であり、絶縁被覆を剥離して露出させた電線部分である導体部3M、4M、5MをC型スリーブ10によって接続する。なお、低圧側配線3、引き込み線4、接地線5の全部又は何れかは、導体部3M、4M、5Mが露出した裸電線でもよい。
【0014】
接地線5は、例えば5.5mmのビニル絶縁電線である。接地線5は、C型スリーブ10の接地と、変圧器1の接地とに共用されている。C型スリーブ10は、圧縮工具により圧縮変形されることで、低圧側配線3の導体部3Mと、引き込み線4の導体部4Mとが互いに位置ずれしないように保持している。これにより、C型スリーブ10は、低圧側配線3の導体部3Mと、引き込み線4の導体部4Mとの間の電気的且つ機械的な固定を確実にする。なお、本発明の各実施形態に係るC型スリーブ10は、接地線ガイド付きC型スリーブとも呼ぶことができる。
【0015】
図2は、本発明の第1実施形態に係るC型スリーブ10の外観形状を示す斜視図である。図3は、図2に示すC型スリーブ10をG方向から見た側面図である。
図2図3に示すC型スリーブ10は、図1に示す低圧側配線3の導体部3Mと、引き込み線4の導体部4Mと、接地線5の導体部5Mとが互いに位置ずれしないように、電気的且つ機械的に固定するために用いられる。C型スリーブ10は、導電性を有し、且つ圧縮変形可能な金属、例えば銅やアルミニウムにより作製されている。
【0016】
図2図3に示すC型スリーブ10は、概略C字型の横断面形状を有している。ここでC型スリーブ10における横断面とは、C型スリーブ10によって低圧側配線3の導体部3Mと、引き込み線4の4Mとを並行な姿勢に束ねて接続したときに、各導体部の長手方向に沿う方向(C型スリーブ10の軸方向X)に対して直交する方向における断面のことである。C型スリーブ10は、外面11と、内面12と、第1端面13(軸方向一端面)と、第2端面14(軸方向他端面)とを有する。外面11は、周方向の中間部に形成された平坦部分15と、周方向の各端部に形成された湾曲部16、17を有する。内面12は、周方向の中間部に形成された平坦部分18と、周方向の各端部に形成された湾曲部19、20を有する。第1端面13と第2端面14は、例えば平坦面である。また、C型スリーブ10は、その内部に、複数の電線(本例では導体部3Mと導体部4M)を並行状態で収容する収容部21を有している。収容部21は、内面12によって形成される中空の空間である。
【0017】
C型スリーブ10は、収容部21内に導体部3Mと導体部4Mを収容した状態で圧縮工具により圧縮変形(縮径)されることにより、導体部3Mと導体部4Mとが互いに位置ずれしないように、これらを電気的且つ機械的に固定する。即ち、内面12の平坦部分18と湾曲部19、20は、圧縮変形により導体部3Mと導体部4Mとに密着して、これらを位置ずれしないように保持する。
【0018】
C型スリーブ10は、外部から収容部21内に電線を挿入する電線挿入用のスリット(開放部)33を有する。スリット33は、第1端面13から第2端面14に至るまで、軸方向X全長に沿って形成されている。この電線挿入用のスリット33は、低圧側配線3の導体部3Mと、引き込み線4の導体部4Mと、を軸方向Xに沿った姿勢で収容部21内に挿入できるようになっている。C型スリーブ10は、図示しない工具を用いて圧縮して変形(縮径)させることで、並行状態で収容部21内に収容された導体部3Mと導体部4Mを、電気的且つ機械的に固定する。これにより、C型スリーブ10は導体部3Mと導体部4Mを、互いにずれが生じないようにしっかりと固定することができる。
【0019】
図2図3に示すC型スリーブ10の第1端面13と第2端面14とは平行(並行)であり、C型スリーブ10の軸方向Xと交差(例えば直交)している。第1端面13と第2端面14の少なくとも一方には、突起30が設けられている。この突起30は、低圧側配線3と引き込み線4とは異なる別の電線である接地線5の導体部5Mを電気的且つ機械的に接続するための電気接続端子である。
【0020】
突起30は、C型スリーブ10を例えば鋳造により製造する際に一体的に設けることもできるし、C型スリーブ10を製造した後に、溶接等により取り付けることもできる。突起30は、C型スリーブ10の軸方向Xと平行になるように(軸方向Xに沿って伸びるように)、第1端面13と第2端面14より互いに離反する方向に突出して設けられている。突起30は、例えば断面円型を有する中実部材である。しかし、突起30は、断面円型以外の断面矩形等の他の形状であっても良い。
【0021】
図4は、突起30と接地線5の接続構造例を示す図である。図4に示すように、この突起30と接地線5の導体部5Mとは、接続用のスリーブ31を介して電気的且つ機械的に接続される。接続用のスリーブ31は、突起30と同様に導電性を有し、圧縮時に変形可能な金属、例えば銅やアルミニウムにより作製されている。
【0022】
接続用のスリーブ31は、例えば軸方向両端が開口した円筒部材であり、中空部分32を有する。接続用のスリーブ31の中空部分32には、一方側(軸方向一端開口)から突起30が挿入され、他方側(軸方向他端開口)から接地線5の導体部5Mが挿入される。そして、突起30と導体部5Mが挿入された接続用のスリーブ31を、工具により圧縮して変形させることで、接続用のスリーブ31は突起30と導体部5Mに密着(圧着)する。突起30と接地線5の導体部5Mは、接続用のスリーブ31によって電気的且つ機械的に固定される。
【0023】
突起30は、第1端面13と第2端面14の両方に設けられていることが好ましい。このようにすることで、接地線5の導体部5MがC型スリーブ10に向けて軸方向Xの一端側又は他端側の何れの側から伸びる(或いは、導かれる)場合であっても、突起30を介して導体部5MをC型スリーブ10に容易に接続できる。
なお、導体部5Mは、低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4MをC型スリーブ10に対して機械的且つ電気的に固定する前に、又は固定した後に、突起30に対して機械的且つ電気的に固定される。
【0024】
このように、本実施形態に係るC型スリーブ10によれば、低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mが収容された収容部21に接地線5の導体部5Mを追加的に挿入する必要がない。従って、接地線5の導体部5Mの挿入時に、接地線5の導体部5Mの撚りが解けることを防止できる。また、C型スリーブ10に対して接地線5を容易に接続できる。
【0025】
<第1実施形態の効果>
C型スリーブ10の収容部21内に、複数の電線である低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、C型スリーブ10の突起30に対して、さらに追加の別の電線である接地線5の導体部5Mを容易に且つ確実に、電気的且つ機械的に接続することができる。このため、複数の電線を電気的且つ機械的に接続する作業が、作業現場において容易且つ確実に行え、圧縮ミスを防ぐことができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態から第5実施形態を、図面を参照しながら順に説明する。各実施形態の構成要素が、上述した第1実施形態の構成要素と実質的に同じである場合には、同じ符号を記して、その説明を省略する。
【0027】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係るC型スリーブ10A及びその接続構造例を示す側面図である。
図5に示すように、第2実施形態のC型スリーブ10Aの第1端面13と第2端面14の少なくとも一方には、突起40が設けられている。この突起40は、図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mとは異なる別の電線である接地線5を、図5に示すように電気的且つ機械的に接続、固定する電気接続端子である。
【0028】
突起40は、C型スリーブ10Aを例えば鋳造により製造する際に一体的に設けることもできるし、C型スリーブ10Aを製造した後に、溶接等により取り付けることもできる。突起40は、C型スリーブ10Aの軸方向Xと平行になるように、第1端面13と第2端面14より突出して設けられている。なお、突起40の突出方向は図示する方向に限られない。本例に示す突起40は、中空部材である。
【0029】
図5に示すように、突起40は、例えば中空の円筒部材であり、接地線5の導体部5Mを挿入して電気的且つ機械的に固定するための中空部分41を有する。突起40は、導電性を有し、圧縮時に変形可能な金属、例えば銅やアルミニウムにより作製されている。
そして、接地線5の導体部5Mが挿入された状態で突起40を工具により圧縮変形させることで、突起40と接地線5の導体部5Mとを機械的に接触させて、電気的に確実に接続して固定することができる。
【0030】
<第2実施形態の効果>
C型スリーブ10Aの収容部21内に、複数の電線である図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、C型スリーブ10Aの突起40に対して、さらに追加の別の電線である接地線5の導体部5Mを容易且つ確実に電気的且つ機械的に接続することができる。このため、複数の電線を電気的且つ機械的に接続する作業が、作業現場において容易且つ確実に行え、圧縮ミスを防ぐことができる。
【0031】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態に係るC型スリーブ10Bを示す斜視図である。
図6に示す第3実施形態のC型スリーブ10Bにおいて、内面12は、その中間部を膨出させた凸部50を有している。この凸部50は、内面12の周方向中間部である平坦部分18において、軸方向Xに沿って連続して形成されている。この凸部50は、軸方向Xに沿って通し穴51を有する。この通し穴51は、第1端面13から第2端面14に亘って貫通形成されている。
【0032】
通し穴51には、通し穴51の軸方向長よりも長い導体である線材52が挿通されている。線材52は、軸方向Xに沿った通し穴51に通されることで、線材52の一端部である突起52Aが第1端面13よりも突出し、線材52の他端部である突起52Bが第2端面14よりも突出している。
なお、C型スリーブ10Bの第1端面13と第2端面14に有底の穴を形成し、各穴内に夫々線材52を挿入することにより、第1端面13と第2端面14から突出した線材の長手方向の一部を突起52Aと突起52Bとしてもよい。
【0033】
<第3実施形態の効果>
C型スリーブ10Bの収容部21内に、複数の電線である図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、C型スリーブ10Bの突起52A、52Bに対して、さらに追加の別の電線である接地線5の導体部5Mを容易且つ確実に、電気的且つ機械的に接続することができる。このため、複数の電線を電気的且つ機械的に接続する作業が、作業現場において容易且つ確実に行え、圧縮ミスを防ぐことができる。
【0034】
[第4実施形態]
図7は、本発明の第4実施形態に係るC型スリーブ10C及びその接続構造例を示す図である。図7(a)はC型スリーブ10Cを湾曲部16側(図2参照)から観察した図であり、(b)はC型スリーブ10Cを平坦部分18側(図2参照)から観察した図である。
図7に示す第4実施形態のC型スリーブ10Cの第1端面13と第2端面14の少なくとも一方には、突起60が設けられている。この突起60は、図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mとは別の電線である接地線5の導体部5Mを、電気的且つ機械的に接続するための電気接続端子である。
【0035】
突起60は、C型スリーブ10Cを製造する際に一体的に設けることもできるし、C型スリーブ10Cを製造した後に、溶接等により取り付けることもできる。突起60は、C型スリーブ10の軸方向Xと平行になるように、第1端面13と第2端面14より突出して設けられている。
【0036】
突起60は、例えば軸方向X、及び図7中紙面に垂直な方向に伸びる面を有する薄板状の部材である。突起60は、折り曲げる(湾曲又は屈曲させる)ことにより、接地線5の導体部5Mを電気的且つ機械的に固定する。突起60は、導電性を有し、変形可能な金属、例えば銅やアルミニウムにより作られている。そして、突起60をプライヤ又はペンチ等の工具で折り曲げて、接地線5の導体部5Mに巻き付けることにより、突起60と導体部5Mとを電気的かつ機械的に確実に接続することができる。
【0037】
<第4実施形態の効果>
C型スリーブ10Cの収容部21には、複数の電線である図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、C型スリーブ10Cの突起60に対して、さらに追加の別の電線である接地線5の導体部5Mを容易且つ確実に、電気的且つ機械的に接続することができる。このため、複数の電線を電気的且つ機械的に接続する作業が、作業現場において容易且つ確実に行え、圧縮ミスを防ぐことができる。
【0038】
[第5実施形態]
図8は、本発明の第5実施形態に係るC型スリーブ10D及びその接続構造例を示す図である。
図8に示す第5実施形態のC型スリーブ10Dの第1端面13と第2端面14の少なくとも一方には、突起70が設けられている。この突起70は、図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mとは別の電線である接地線5の導体部5Mを、電気的且つ機械的に接続するための電気接続端子である。
【0039】
突起70は、C型スリーブ10Dの端面から突出する中空状の円筒部分71と、円筒部分71の軸方向先端縁から軸方向Xに沿って形成されたスリット72と、を有する。突起70の円筒部分71には、接地線5の導体電線5Mを挿入して、工具により円筒部分71を圧縮変形させることで、突起70は、接地線5の導体電線5Mを、電気的にしかも機械的に確実に接続することができる。突起70はスリット72を有するので、円筒部分71を工具により簡単に圧縮変形させることができ、突起70に接地線5の導体電線5Mを固定できる。
突起70は、C型スリーブ10Dを製造する際に一体的に設けることもできるし、C型スリーブ10Dを製造した後に、溶接等により取り付けることもできる。突起70は、C型スリーブ10の軸方向Xと平行になるように、第1端面13と第2端面14より突出して設けられている。
【0040】
<第5実施形態の効果>
C型スリーブ10Dの収容部21に複数の電線である図3に示す低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、C型スリーブ10Dの突起70に対して、さらに追加の別の電線である接地線5の導体部5Mを挿入し、突起70を圧縮変形させることができる。この作業だけで、C型スリーブ10Dは、接地線5の導体部5Mを容易にしかも確実に電気的にしかも機械的に接続することができる。このため、複数の電線を電気的にしかも機械的に接続する作業が、作業現場において容易にしかも確実に行え、圧縮作業ミスを防ぐことができる。
【0041】
[本発明の実施形態の構成と効果のまとめ]
以上説明したように、本発明の各実施形態に示した電線接続用のC型スリーブ10(10A~10D)は、複数の電線である例えば低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを並行状態で収容する収容部21を有する。
第1実施態様に係るC型スリーブは、圧縮変形されることで低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを電気的且つ機械的に固定する。C型スリーブ10(10Aから10D)の軸方向Xと交差する端面13、14には、低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mとは別の電線としての接地線5の導体部5Mを接続するための突起30(40、52A、52B、60、70)が設けられている。
【0042】
本態様によれば、C型スリーブ10の収容部21に複数の電線としての低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを収容した後であっても、さらに追加の別の電線としての接地線5の導体部3Mを電気的且つ機械的に、容易且つ確実に接続できる。このため、電線の接続作業現場における圧縮ミスを防ぐことができる。
【0043】
また、第2実施態様において突起30(40、52A、52B、60、70)は、C型スリーブの軸方向と交差する一方の端面13と他方の端面14の一方又は両方に設けられている。本態様によれば、C型スリーブを取り付けて別の電線としての接地線5の導体部5Mを接続する際に、端面13から突出した突起30又は、端面14から突出した突起30の少なくとも一方を用いることができる。このため、C型スリーブ10が電線に取り付けられる向きに関わらず、電線の接続作業現場において、端面13、14のいずれかに設けた突起30を用いて接地線5の導体部5Mを接続することができる。このため、電線の接続作業現場における接続作業が容易に行える。
【0044】
第3実施態様において突起30(52A、52B)は、中実部材であり、突起30(52A、52B)と、別の電線である接地線5の導体部5Mとは、接続用のスリーブ31を介して電気的に接続される。本態様によれば、C型スリーブと別の電線である接地線5の導体部5Mとは、中実の突起30(52A、52B)とスリーブ31を用いて容易に電気的且つ機械的に接続することができる。
【0045】
第4実施態様において突起40、70は、別の電線を挿入するための中空部を有する中空部材である。別の電線である接地線5の導体部5Mは、突起40、70を圧縮することで電気的且つ機械的に接続して固定できる。本態様によれば、C型スリーブと別の電線である接地線5の導体部5Mとは、中空部材の突起40、70を用いて容易に電気的且つ機械的に接続することができる。
【0046】
第5実施態様において突起52は、軸方向Xに沿って形成された穴内に導電性の線材52を挿通すると共にこの線材52の長手方向の一部を端面13、14から外部に突出させることにより形成されている。本態様によれば、C型スリーブ10と別の電線である接地線5の導体部5Mとは、突起52を用いて容易に電気的且つ機械的に接続することができる。
【0047】
第6実施態様において別の電線は、接地線5の導体部5Mである。本態様によれば、接地線5の導体部5Mを接続する作業現場において、接地線5は、突起を用いてC型スリーブに対して容易に電気的且つ機械的に接続することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記各実施形態は本発明の範囲を限定するものではない。上記各実施形態に示されたC型スリーブは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行える。
図示例では、突起は、C型スリーブの第1端面13と第2端面14の両方に設けられている。しかし、突起は、第1端面13と第2端面14の一方だけに設けられていても良い。
図示例では、複数の電線としては、低圧側配線3の導体部3Mと引き込み線4の導体部4Mを例に挙げており、別の電線としては、接地線5の導体部5Mを例に挙げている。しかしこれに限らず、電線の種類は、現場の状況に応じて任意に選定することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…変圧器、2…高圧側配線、3…低圧側配線、3M…低圧側配線3の導体部(複数の電線の一例)、4…引き込み線、4M…引き込み線4の導体部(複数の電線の一例)、5…接地線、5M…接地線5の導体部(別の電線)、10、10A~10D…C型スリーブ、13…第1端面(一方の端面)、14…第2端面(他方の端面)、30…突起、31…接続用のスリーブ、40…突起、52…線材、52A…突起、52B…突起、60…突起、70…突起
図1
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図8