(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20220817BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G01L3/10 305
B62D5/04
(21)【出願番号】P 2018160664
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】外山 祐一
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118488(JP,A)
【文献】特開2009-092463(JP,A)
【文献】特開2014-059179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0214648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
B62D 5/04
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸に取り付けられるとともに、周方向に着磁された永久磁石と、
前記第1軸と連結された第2軸に固定されるとともに、前記永久磁石が形成する磁界内に配置された磁気ヨークと、
前記磁気ヨークを取り囲む環状の第1リング部と、前記第1リング部の径方向外側に配置されている部位を含む第1集磁部とを有する第1集磁リングと、
前記第1集磁リングと前記第2軸の軸方向に並んで配置されているとともに、前記磁気ヨークを取り囲む環状の第2リング部と、前記第2リング部の径方向外側に配置されている部位を含む第2集磁部とを有する第2集磁リングと、
前記第1リング部及び前記第2リング部を一体的に取り囲むようにインサート成型されてなるハウジングと、
前記永久磁石、前記磁気ヨーク、前記第1集磁リング、及び前記第2集磁リングにより形成される磁気回路の磁気を検出するセンサ素子とを備え、
前記ハウジングは、前記第1リング部及び前記第2リング部を一体的に取り囲んで保持するリング部被覆部と、前記第1集磁部、前記第2集磁部、及び前記センサ素子を取り囲んで保持するセンサ被覆部とを有し、
前記リング部被覆部及び前記センサ被覆部は、一体化されており、
前記センサ被覆部は、前記センサ素子を前記第1集磁部と前記第2集磁部との間に介在させて収容するとともに、内部へ前記センサ素子を挿入するための開口部分を
前記センサ素子とは独立した部品である蓋部によって塞いでいるセンサ装置。
【請求項2】
前記センサ被覆部の開口部分は、前記第1軸及び前記第2軸の軸方向において開口し、
前記センサ被覆部の内部には、前記第1集磁部と前記第2集磁部とが前記軸方向において対向しており、
前記センサ素子は、前記軸方向に貫通する第1貫通孔が形成された回路部に実装されており、
前記センサ被覆部の内部には、前記回路部が配置される底壁部分から前記軸方向に突出している突出部が設けられ、
前記突出部は、前記回路部の前記第1貫通孔に挿通されている請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第1集磁部は、前記第2集磁部よりも前記開口部が開口している側に位置しており、
前記第1集磁部は、前記第1リング部と別体で形成されているとともに、C字形状をなす
前記第1リング部の周方向における両端部の間に配置されており、
前記第1集磁部には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成され、
前記第2貫通孔には、前記突出部が挿通されている請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1集磁部は、前記第2集磁部よりも前記開口部が開口している側に位置しており、
前記第1集磁部は、前記第1リング部と別体で形成されているとともに、前記第1リング部の径方向外側に配置されており、
前記第1集磁部には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成され、
前記第2貫通孔には、前記突出部が挿通されている請求項2に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、ステアリングシャフトに加わるトルクを検出するトルクセンサが知られている。ステアリングシャフトは、入力軸と出力軸とを有している。入力軸と出力軸とは、トーションバーにより接続されている。
【0003】
トルクセンサは、入力軸に固定されている永久磁石と、出力軸に固定されているとともに永久磁石が形成する磁界内に配置された一対の磁気ヨークと、磁気ヨークからの磁気を誘導する一対の集磁リングと、集磁リングを保持するホルダと、集磁リングに誘導された磁気に基づいて検出信号を生成するセンサ素子とを有している。特許文献1では、集磁リングは、第1集磁リング及び第2集磁リングを有している。第1集磁リングと第2集磁リングとは、出力軸の軸方向に並んで配置されている。第1集磁リングは、磁気ヨークを取り囲む第1リング部と、第1リング部から径方向外側に延びる第1集磁部とを有している。第2集磁リングは、磁気ヨークを取り囲む第2リング部と、第2リング部から径方向外側に延びる第2集磁部とを有している。第1集磁部と第2集磁部との間には、センサ素子が配置されている。センサ素子は、第1集磁部と第2集磁部との間を通る磁気を検出する。ホルダは、第1集磁リングを取り囲むようにインサート成型されてなる第1ホルダと、第2集磁リングを取り囲むようにインサート成型されてなる第2ホルダとを有している。第1ホルダ及び第2ホルダは、射出成型されてなるハウジングによって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置の場合、ハウジングを射出成型する際の成型圧によって、第1ホルダや第2ホルダが潰れるように変形することがある。第1ホルダが第2ホルダに向かって潰れるように変形する場合、第1集磁リングの第1集磁部に第1ホルダの変形に起因する力が作用することで、センサ素子に対する第1集磁部の位置関係が変化するおそれがある。また、第2ホルダが第1ホルダに向かって潰れるように変形する場合、第2集磁部に第2ホルダの変形に起因する力が作用することで、センサ素子に対する第2集磁部の位置関係が変化するおそれがある。これら位置関係にばらつきが生じることにより、第1集磁部と第2集磁部との間を通る磁気を検出するセンサ素子の検出精度に影響を与えることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するセンサ装置は、第1軸に取り付けられるとともに、周方向に着磁された永久磁石と、前記第1軸と連結された第2軸に固定されるとともに、前記永久磁石が形成する磁界内に配置された磁気ヨークと、前記磁気ヨークを取り囲む環状の第1リング部と、前記第1リング部の径方向外側に配置されている部位を含む第1集磁部とを有する第1集磁リングと、前記第1集磁リングと前記第2軸の軸方向に並んで配置されているとともに、前記磁気ヨークを取り囲む環状の第2リング部と、前記第2リング部の径方向外側に配置されている部位を含む第2集磁部とを有する第2集磁リングと、前記第1リング部及び前記第2リング部を一体的に取り囲むようにインサート成型されてなるハウジングと、前記永久磁石、前記磁気ヨーク、前記第1集磁リング、及び前記第2集磁リングにより形成される磁気回路の磁気を検出するセンサ素子とを備え、前記ハウジングは、前記第1リング部及び前記第2リング部を一体的に取り囲んで保持するリング部被覆部と、前記第1集磁部、前記第2集磁部、及び前記センサ素子を取り囲んで保持するセンサ被覆部とを有し、前記センサ被覆部は、前記センサ素子を前記第1集磁部と前記第2集磁部との間に介在させて収容するとともに、内部へ前記センサ素子を挿入するための開口部分を蓋部によって塞いでいる。
【0007】
上記構成によれば、第1リング部及び第2リング部を一体的に取り囲むようにハウジングがインサート成型される際に、センサ素子を第1集磁部と第2集磁部との間に介在させて収容するためのセンサ被覆部が成型される。センサ被覆部の成型後に、センサ素子が開口部分を介してセンサ被覆部の内部に収容され、その開口部分を蓋部によって塞いでいる。したがって、ハウジングがインサート成型される際には、ハウジングをインサート成型する金型の内部にセンサ素子が収容されていないことから、ハウジングを成型する際の成型圧が作用して第1集磁部及び第2集磁部とセンサ素子との位置関係がばらつくといった事態に到らない。
【0008】
上記のセンサ装置において、前記センサ被覆部の開口部分は、前記第1軸及び前記第2軸の軸方向において開口し、前記センサ被覆部の内部には、前記第1集磁部と前記第2集磁部とが前記軸方向において対向しており、前記センサ素子は、前記軸方向に貫通する第1貫通孔が形成された回路部に実装されており、前記センサ被覆部の内部には、前記回路部が配置される底壁部分から前記軸方向に突出している突出部が設けられ、前記突出部は、前記回路部の前記第1貫通孔に挿通されていることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、センサ被覆部の成型後に、センサ素子が実装されている回路部が開口部分を介してセンサ被覆部の内部に収容され、その回路部の第1貫通孔に突出部が挿通されることにより回路部がセンサ被覆部の内部に組み付けられている。センサ被覆部の底壁部分に突出部が設けられているため、回路部の第1貫通孔に突出部を挿通することによってセンサ素子のセンサ被覆部に対する組み付け位置を規定することが可能となる。
【0010】
上記のセンサ装置において、前記第1集磁部は、前記第2集磁部よりも前記開口部が開口している側に位置しており、前記第1集磁部は、前記第1リング部と別体で形成されているとともに、C字形状をなす第1リング部の周方向における両端部の間に配置されており、前記第1集磁部には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成され、前記第2貫通孔には、前記突出部が挿通されていることが好ましい。
【0011】
上記のセンサ装置において、前記第1集磁部は、前記第2集磁部よりも前記開口部が開口している側に位置しており、前記第1集磁部は、前記第1リング部と別体で形成されているとともに、前記第1リング部の径方向外側に配置されており、前記第1集磁部には、前記軸方向に貫通する第2貫通孔が形成され、前記第2貫通孔には、前記突出部が挿通されていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1集磁部を第1リング部と別体に形成していることから、開口部を介してセンサ被覆部の内部にセンサ素子が実装されている回路部を収容する際、第1集磁部が取り外された状態で回路部を組み付けることができるようになる。したがって、回路部のセンサ被覆部に対する設置が容易になる。また、第1集磁部に設けられた第2貫通孔に突出部が挿通されることによって、第1集磁部の第1リング部に対する組み付け位置と第1集磁部のセンサ素子に対する組み付け位置とを共に規定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のセンサ装置によれば、ハウジングを射出成型する際の成型圧による第1集磁部及び第2集磁部とセンサ素子との位置関係のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態のトルクセンサの構成を示す分解斜視図。
【
図2】第1実施形態のトルクセンサにおいて、センサ収容部の蓋部が取り外された状態のハウジングの斜視図。
【
図3】第1実施形態のトルクセンサにおいて、センサ収容部の蓋部が取り外され、かつセンサユニットが取り外された状態のハウジングの斜視図。
【
図4】第1実施形態のトルクセンサにおいて、第1集磁リング及び第2集磁リングの概略構成図。
【
図5】第1実施形態のトルクセンサにおいて、第2集磁部の上面図。
【
図6】第1実施形態のトルクセンサにおいて、センサ収容部の概略断面図。
【
図7】第1実施形態のトルクセンサにおいて、センサユニットの上面図。
【
図8】第2実施形態のトルクセンサにおいて、第1集磁リング及び第2集磁リングの概略構成図。
【
図9】第2実施形態のトルクセンサにおいて、第2集磁部の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
トルクセンサの一実施形態について説明する。
図1~
図3に示すように、センサ装置としてのトルクセンサ1は、トーションバー13と、円筒状の永久磁石20と、円筒状の磁気ヨーク30と、磁気ヨーク30を取り囲むように配置されている円筒状の集磁リング40と、集磁リング40を保持するハウジング50と、センサユニット110とを備えている。トルクセンサ1は、例えば電動パワーステアリング装置のステアリングシャフト等の回転軸10に付与されたトルクを検出するものである。
【0016】
回転軸10は、入力軸11、出力軸12、及びトーションバー13を有している。連結軸としてのトーションバー13は、第1軸としての入力軸11と、第2軸としての出力軸12との間に配置されている。入力軸11及び出力軸12は、トーションバー13を介して同一軸線上に連結されている。
【0017】
永久磁石20は、入力軸11に連結されている。永久磁石20は、円筒状の保持部21と、多極磁石22とを有している。保持部21は、入力軸11における出力軸12側の端部に外嵌されている。保持部21は、入力軸11と一体回転可能に取り付けられている。保持部21の外周面には、多極磁石22が取り付けられている。多極磁石22は、保持部21の周方向にN極及びS極の各磁極を交互に配置した構造からなる。
【0018】
磁気ヨーク30は、出力軸12に連結されている。磁気ヨーク30は、円環状の第1磁気ヨーク31と、円環状の第2磁気ヨーク32とを有している。第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32は出力軸12と同軸に配置された状態で、出力軸12と一体回転可能に固定されている。第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32は、多極磁石22の周囲に所定の隙間を空けて配置されている。第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32は、多極磁石22が形成する磁界内に配置されている。第1磁気ヨーク31と第2磁気ヨーク32とは、軸方向Xに所定の隙間を空けて互いに対向配置されている。軸方向Xは、出力軸12の軸方向であって、入力軸11及び出力軸12の軸線と平行な方向である。第1磁気ヨーク31は、円環状の第1環状部31aと、第1環状部31aの内周面から第2磁気ヨーク32に向かって延びる複数の第1爪部31bとを有している。第1爪部31bは、第1環状部31aの内周面において、周方向に等間隔を空けて配置されている。第2磁気ヨーク32は、円環状の第2環状部32aと、第2環状部32aの内周面から第1磁気ヨーク31に向かって延びる複数の第2爪部32bとを有している。第2爪部32bは、第2環状部32aの内周面において、周方向に等間隔を空けて配置されている。第1爪部31bと第2爪部32bとが互いに周方向に一定の間隔でずれた状態で、第1磁気ヨーク31と第2磁気ヨーク32とは合成樹脂体33によりモールドされている。第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32の内周面は、合成樹脂体33から内周域の空間に露出している。また、第1環状部31a及び第2環状部32aの外周面は、合成樹脂体33から外周域の空間に露出している。第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32は、磁性材料により構成されている。
【0019】
入力軸11と出力軸12との間のトーションバー13が捩られていない中立状態において、第1磁気ヨーク31の第1爪部31bの先端と第2磁気ヨーク32の第2爪部32bの先端とは、永久磁石20の多極磁石22のN極とS極との間の境界を指すように設定されている。
【0020】
集磁リング40は、第1磁気ヨーク31の磁気を誘導して集める円環状の第1集磁リング41と、第2磁気ヨーク32の磁気を誘導して集める円環状の第2集磁リング42とを有している。第1集磁リング41と第2集磁リング42とは、軸方向Xに所定の隙間を空けて並んで配置されている。第1集磁リング41及び第2集磁リング42は、磁性材料により構成されている。
【0021】
ハウジング50は、第1集磁リング41の第1リング部41a及び第2集磁リング42の第2リング部42aを取り囲んで保持するリング部被覆部60と、第1集磁リング41の第1集磁部41b、第2集磁リング42の第2集磁部42b、及びセンサユニット110を収容するセンサ被覆部70とを有している。第1リング部41aと第2リング部42aとは、軸方向Xにおいて並んで配置されている。リング部被覆部60及びセンサ被覆部70は、同一の樹脂材料によって一体形成されている。
【0022】
センサ被覆部70は、リング部被覆部60から径方向外側に向けて延びている。センサ被覆部70は、軸方向Xから見たとき、略矩形形状をなしている。センサ被覆部70は、センサユニット110を第1集磁部41bと第2集磁部42bとの間に介在させて収容するセンサ収容部71と、軸方向Xに開口する開口部72と、開口部72を塞ぐ蓋部73とを有している。センサ被覆部70は、リング部被覆部60から径方向外側に向けて延びている。
【0023】
図1及び
図4に示すように、第2集磁リング42は、第2磁気ヨーク32を取り囲むように第2磁気ヨーク32の外周に隙間を空けて配置されている第2リング部42aと、第2リング部42aの径方向外側に配置されている部位を含む第2集磁部42bとを有している。第2リング部42aは、C字形状をなしている第2環状部42cと、第2環状部42cの周方向両端部から径方向外側に延びている2つの第2延出部42dとを有している。第2リング部42aは、第2延出部42dと一体形成されている。第2集磁部42bは、第2延出部42dと別体で形成されている。第2延出部42dは、互いに平行に配置されている。ハウジング50の内部に第2集磁リング42が収容された状態において、第2延出部42dは、センサ被覆部70の延びる方向(以下、「延出方向Z」という。)に延びている。第2延出部42dは、センサ被覆部70の延びる方向と直交する方向(以下、「幅方向Y」という。)において互いに対向している。第2集磁部42bは、第2環状部42cの外部に配置されている。第2集磁部42bは、その一部がインート成型されることによってハウジング50に覆われているとともに、幅方向Yにおいて第2延出部42dに挟み込まれた状態で配置されている。第2集磁部42bは、第2平板部42eと、センサユニット110のセンサ素子111と対向する部分である第2センサ対向部42fとを有している。第2平板部42eは、軸方向Xから見たとき、その長手部が幅方向Yに延びる矩形状をなしている。第2平板部42eの幅方向Yにおける両端部は、折り曲げ形成されていることにより軸方向Xにおける第1集磁リング41から離間する方向に延びている。第2平板部42eの軸方向Xに延びている部分は、第2延出部42dに当接している。第2センサ対向部42fは、第2平板部42eにおける第2環状部42c側の面から延出方向Zにおいて第2環状部42cに近付く方向へ延びるように形成されている。第2センサ対向部42fは、軸方向Xから見たとき、矩形状をなしている。本実施形態では、第2センサ対向部42fは一対設けられている。第2集磁リング42は、金属材料により構成されている。
【0024】
図4及び
図5に示すように、第1集磁リング41は、第1磁気ヨーク31を取り囲むように第1磁気ヨーク31の外周に隙間を空けて配置されている第1リング部41aと、第1リング部41aの径方向外側に配置されている部位を含む第1集磁部41bとを有している。第1リング部41aは、C字形状をなしている第1環状部41cと、第1環状部41cの周方向両端部から径方向外側に延びている2つの第1延出部41dを有している。第1リング部41aは、第1延出部41dと一体形成されている。第1集磁部41bは、第1延出部41dと別体で形成されている。第1延出部41dは、互いに平行に配置されている。ハウジング50の内部に第1集磁リング41が収容された状態において、第1延出部41dは、第1環状部41cの周方向両端部から延出方向Zに延びている。第1延出部41dは、幅方向Yにおいて互いに対向している。第1集磁部41bは、第1環状部41cの外部に配置されている。第1集磁部41bは、第1平板部41eと、センサユニット110のセンサ素子111と対向する部分である第1センサ対向部41fと、位置決め部43とを有している。第1平板部41eは、延出方向Zから見たとき、その長手部が幅方向Yに延びる矩形状をなしている。第1平板部41eの幅方向Yにおける両端部は、折り曲げ形成されていることによって延出方向Zにおける第1環状部41cに向けて延びている。第1平板部41eの延出方向Zに延びている部分は、第1延出部41dに当接している。位置決め部43は、延出方向Zにおいて第1延出部41dよりも第1環状部41cの径方向外側に配置されている部位である。第1センサ対向部41fは、軸方向Xにおいて第1平板部41eから第2集磁部42bへ向けて延びているとともに、折り曲げ形成されていることにより、延出方向Zにおいて第1環状部41cに近付く側へ延びるように形成されている。第1センサ対向部41fは、軸方向Xから見たとき、矩形状をなしている。本実施形態では、第1センサ対向部41fは一対設けられている。第1センサ対向部41fと第2センサ対向部42fとは、間にセンサユニット110を配置した状態で、軸方向Xにおいて互いに対向している。位置決め部43は、延出方向Zにおいて第1環状部41cから離れる側へ延びるように形成されていて、基端側から先端側に向かう順に、小板部43aと、大板部43bとを有している。小板部43aは、大板部43bよりも幅方向Yにおける長さが小さく形成されている。大板部43bの中央部分には、軸方向Xに貫通する第2貫通孔43cが設けられている。第1センサ対向部41fは、軸方向Xにおいて位置決め部43よりも第2集磁部42b側に配置されている。第1集磁リング41は、金属材料により構成されている。
【0025】
図1及び
図6に示すように、第1集磁リング41の第1リング部41aが第1磁気ヨーク31の外周に配置され、第2集磁リング42の第2リング部42aが第2磁気ヨーク32の外周に配置された状態において、第1集磁部41bの第1センサ対向部41fと第2集磁部42bの第2センサ対向部42fとは、軸方向Xに所定の隙間を空けて互いに対向配置されている。
【0026】
図1~
図3及び
図6に示すように、リング部被覆部60は、第1リング部41aの第1環状部41c及び第2リング部42aの第2環状部42cをともに取り囲むように略円筒状をなしている。リング部被覆部60には、軸方向Xに貫通する貫通孔61が形成されている。第1リング部41aの第1環状部41c及び第2リング部42aの第2環状部42cは、リング部被覆部60の貫通孔61の内周側の空間に露出している。リング部被覆部60の貫通孔61の内周側には、回転軸10、永久磁石20、及び磁気ヨーク30が配置されている。入力軸11と連結されている永久磁石20の外周側には、出力軸12と連結されている磁気ヨーク30が配置されている。リング部被覆部60の貫通孔61に回転軸10が挿通されるように組み付ける際、出力軸12の径方向において、第1リング部41aの第1環状部41cは第1磁気ヨーク31と対向し、第2リング部42aの第2環状部42cは第2磁気ヨーク32と対向した状態で組み付けられている。また、リング部被覆部60は、その外周面から周方向の全周にわたって外方へ向けて張り出しているフランジ部62を有している。フランジ部62の張り出し長さは、全周にわたって一定の長さとなっている。リング部被覆部60は、フランジ部62の外周面から外方へ向けて張り出している一対の取付部63を有している。取付部63は、フランジ部62の幅方向Yにおける両側に設けられている。取付部63には、軸方向Xに貫通する孔である取付孔64が設けられている。取付孔64は、電動パワーステアリング装置のハウジング等の取付対象へ取り付けるための部分である。この取付孔64に図示しないねじ等の固定材を挿通することによって、リング部被覆部60は取付対象に取り付けられている。
【0027】
センサ被覆部70のセンサ収容部71は、センサユニット110が載置される底壁74と、センサ収容部71の内部の空間と外部とを隔てている側壁75とを有している。側壁75には、第1延出部41dの一部及び第2延出部42dの一部が露出している。底壁74は、延出方向Zにおける基端側から先端側に向かう順に、第1底壁部74a及び第2底壁部74bを有している。第2底壁部74bは、第1底壁部74aよりも、幅方向Yにおいて小さく、かつ延出方向Zにおいて小さく形成されている。第1底壁部74aには、第1底壁部74aから開口部72側に軸方向Xに突出する載置部74cが一体形成されている。載置部74cは、楕円柱形状をなしている。載置部74cの軸方向Xと直交する方向における断面形状は、楕円形状をなしている。載置部74cには、載置部74cの頂面から開口部72側に軸方向Xに突出する突出部76が一体形成されている。突出部76は、円柱形状をなしている。第2底壁部74bには、軸方向Xに延びる複数の信号端子77が露出している。センサ収容部71における開口部72と反対側の面には、外部機器と接続するためのコネクタ部78が設けられている。複数の信号端子77は、コネクタ部78と電気的に接続されている。なお、載置部74cの頂面は、後述の回路基板112が配置されるセンサ収容部71の底壁部分として機能する。
【0028】
蓋部73は、延出方向Zにおける基端側から先端側に向かう順に、第1蓋部73a及び第2蓋部73bを有している。第2蓋部73bは、第1蓋部73aよりも、幅方向Yにおいて小さく、かつ延出方向Zにおいて小さく形成されている。蓋部73は、開口部72に嵌ることにより、開口部72を塞ぐ。
【0029】
センサユニット110について説明する。
図2及び
図7に示すように、センサユニット110は、センサ素子111と、センサ素子111が接続されている回路基板112とを有している。回路基板112は、センサユニット110がセンサ収容部71に収容された状態において、延出方向Zにおける基端側から先端側に向かう順に、第1回路基板部112a及び第2回路基板部112bを有している。第2回路基板部112bは、第1回路基板部112aよりも、幅方向Yにおいて小さく、かつ延出方向Zにおいて小さく形成されている。センサユニット110がセンサ収容部71に収容された状態において、第1回路基板部112aの延出方向Zにおける基端側の端部には、切り欠き112cが一対設けられている。切り欠き112cは、回路基板112を軸方向Xから見たとき、矩形状をなしている。センサ素子111は、例えば直方体形状をなしている。センサ素子111には、例えばホール素子等の磁気検出素子が採用されている。本実施形態では、センサ素子111として、第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bの2つが冗長的に設けられている。第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bは、幅方向Yにおいて並んで配置されている。第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bは、軸方向Xから見たとき、切り欠き112cの大きさよりも大きく形成されている。第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bは、軸方向Xから見たとき、切り欠き112cと重なる位置に実装されている。第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bが回路基板112に実装された状態において、回路基板112における第1センサ素子111a及び第2センサ素子111bが実装されている側の面は、第2集磁部42b側に配置されている。第2回路基板部112bには、軸方向Xに貫通する複数の端子孔114が形成されている。第1回路基板部112aの延出方向Zにおける先端側の部分、すなわち回路基板112における切り欠き112cと端子孔114との間の部分は、何も電子部品が実装されていない部分であり、この部分に第1貫通孔113が形成されている。第1貫通孔113は、軸方向Xに貫通する孔である。第1貫通孔113の内径は、位置決め部43の第2貫通孔43cの内径と等しく設定されている。
【0030】
図3及び
図6に示すように、第1延出部41dは、延出方向Zにおける第1環状部41c側の部分が側壁75に埋め込まれているとともに、延出方向Zにおける第1環状部41cと反対側の部分がセンサ収容部71内に露出している。また、第2延出部42dは、第2延出部42dにおける開口部72側の面を除いて第1底壁部74aによって覆われており、第2延出部42dにおける開口部72側の面はセンサ収容部71内に露出している。また、第2集磁部42bは、第2集磁部42bにおける開口部72側の面を除いて第1底壁部74aによって覆われており、第2集磁部42bにおける開口部72側の面はセンサ収容部71内に露出している。
【0031】
図2、
図3、及び
図6に示すように、突出部76は、センサ素子111が実装された回路基板112がセンサ収容部71に組み付けられた状態において、軸方向Xに延びる軸部76a、及び軸部76aの先端部に設けられている頭部76bを有している。軸部76aは、円柱状をなしている。軸部76aは、回路基板112の第1貫通孔113及び第1集磁部41bの位置決め部43の第2貫通孔43cに挿通している。頭部76bは、半球状をなしている。頭部76bの外周面は、軸部76aよりも拡径している。頭部76bは、軸方向Xから見たとき、円状をなしている。頭部76bの外径は、第1貫通孔113の内径及び第2貫通孔43cの内径よりも大きく設定されている。頭部76bの底面は、第1集磁部41bの位置決め部43の開口部72側の面に当接している。
【0032】
センサ素子111が実装された回路基板112がセンサ収容部71に組み付けられる前の状態、すなわち回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cに突出部76が挿通しただけの状態である場合、突出部76の頭部76bは形成されていない。回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cを突出部76に挿通した後、突出部76の先端部を熱によってかしめることにより、頭部76bが形成される。これにより、回路基板112及び第1集磁部41bは、センサ収容部71に対して組み付けられている。
【0033】
ハウジング50の射出成型方法、ならびにハウジング50へのセンサユニット110及び第1集磁部41bの組み付け方法について説明する。
第1集磁リング41の第1リング部41aと、第2集磁リング42の第2リング部42a及び第2集磁部42bと、信号端子77とを図示しない金型内に配置して、型締め状態とする型締め工程を実施する。型締め工程の実施後、加熱されることにより溶融した溶融樹脂を図示しない射出装置から金型内に射出することにより、金型内に溶融樹脂を充填する射出工程を実施する。射出工程の実施後、金型内に充填された溶融樹脂の圧力である1次成型圧を一定に保つ保圧工程を実施する。保圧工程を実施することにより、溶融樹脂中に残存する気泡等を取り除いて空隙の発生を抑えるとともに、金型内に溶融樹脂を行き渡らせている。そして、金型内に射出された溶融樹脂が冷却されることにより、第1リング部41a、第2リング部42a、第2集磁部42b、及び信号端子77を覆うように溶融樹脂が固化することになる。この場合、第1延出部41dの延出方向Zにおける第1環状部41c側の部分が溶融樹脂によって覆われ、第2延出部42dの外面のうち開口部72側の面を除いた面が溶融樹脂によって覆われ、第2集磁部42bの外面のうち開口部72側の面を除いた面が溶融樹脂によって覆われた状態で、これらの溶融樹脂は固化する。これにより、ハウジング50が射出成型される。
【0034】
ハウジング50のセンサ被覆部70の成型後に、開口部72を介してセンサ素子111が実装されている回路基板112をセンサ収容部71に収容し、センサ収容部71に設けられている突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び第1集磁部41bの位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通する。これにより、載置部74cの頂面には、その頂面の全体にわたって回路基板112のセンサ素子111が実装されている側の面が当接する。また、回路基板112のセンサ素子111が実装されていない側の面には、第1集磁部41bの位置決め部43の第2集磁部42b側の面の全体が当接している。突出部76に回路基板112の第1貫通孔113を挿通した状態では、回路基板112の端子孔114には信号端子77が挿通され、回路基板112に実装されているセンサ素子111に第2センサ対向部42fが対向する。また、突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通した状態では、幅方向Y及び延出方向Zにおいて第1センサ対向部41fは回路基板112の切り欠き112cに対向し、軸方向Xにおいて第1センサ対向部41fは回路基板112に実装されているセンサ素子111に対向している。そして、この状態で突出部76の先端部を熱でかしめることにより、突出部76に頭部76bを形成する。これにより、回路基板112及び第1集磁部41bがセンサ収容部71に対して軸方向Xに移動せず、突出部76から回路基板112及び第1集磁部41bが抜け出ることが規制されている。このようにセンサ収容部71への回路基板112及び第1集磁部41bを組み付けた後、蓋部73を開口部72に嵌めることにより、開口部72を塞ぐ。これらにより、トルクセンサ1の組み立てが完了する。
【0035】
このように構成されたトルクセンサ1では、例えば回転軸10が回転操作されることにより、入力軸11と出力軸12との間に相対的な回転変位が生じると、永久磁石20と第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32との位置関係が変化するため、第1磁気ヨーク31及び第2磁気ヨーク32に集磁される磁気が変化する。これにより、第1集磁部41bと第2集磁部42bとの間を通る磁気が変化するため、センサ素子111に付与される磁気の強さが変化する。センサ素子111に付与される磁気の強さは、トーションバー13の捩れ角に応じて変化する。したがって、センサ素子111により出力される検出信号に基づいてトーションバー13の捩れ角を演算することができるため、トーションバー13の捩れ角に基づいて回転軸10に付与されたトルクを演算することができる。
【0036】
第1実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)第1リング部41a及び第2リング部42aを一体的に取り囲むようにハウジング50がインサート成型される際に、センサ素子111を第1集磁部41bの第1センサ対向部41fと第2集磁部42bの第2センサ対向部42fとの間に介在させて収容するためのセンサ被覆部70が成型されている。センサ被覆部70の成型後に、センサ素子111が開口部72を介してセンサ収容部71に収容され、その開口部72は蓋部73によって塞がれている。したがって、ハウジング50がインサート成型される際には、ハウジング50をインサート成型する際の成型圧が作用して、第1集磁部41bの第1センサ対向部41fとセンサ素子111との位置関係、及び第2集磁部42bの第2センサ対向部42fとセンサ素子111との位置関係がばらつくといった事態に到らない。
【0037】
(2)センサ被覆部70の成型後に、センサ素子111が実装されている回路基板112が開口部72を介してセンサ収容部71に収容され、その回路基板112の第1貫通孔113に突出部76が挿通されている。これにより、回路基板112におけるセンサ素子111が実装されている側の面が載置部74cの頂面に当接し、回路基板112におけるセンサ素子111が実装されていない側の面が第1集磁部41bの位置決め部43の第2集磁部42b側の面に当接する。このように、回路基板112がセンサ収容部71に組み付けられている。センサ収容部71の底壁74に突出部76が設けられているため、回路基板112の第1貫通孔113に突出部76を挿通することによってセンサ素子111のセンサ収容部71に対する組み付け位置を規定することが可能となる。
【0038】
(3)第1集磁部41bを第1リング部41aと別体に形成していることから、開口部72を介してセンサ収容部71にセンサ素子111が実装されている回路基板112を収容する際、第1集磁部41bが取り外された状態で回路基板112を組み付けることができるようになる。そして、回路基板112をセンサ収容部71に組み付けてから、第1集磁部41bの第1平板部41eの幅方向Yにおける両端部が第1延出部41dと対向するように組み付けることができるようになる。したがって、回路基板112及び第1集磁部41bのセンサ収容部71に対する設置が容易になる。また、第1集磁部41bの位置決め部43に設けられた第2貫通孔43cに突出部76が挿通されることによって、第1集磁部41bの第1リング部41aに対する組み付け位置と、第1集磁部41bのセンサ素子111に対する組み付け位置とを共に規定することが可能となる。
【0039】
(4)比較例として、第1ホルダと第2ホルダとの間にセンサユニット110を挟みこんだ状態でハウジングを射出成型する場合、第1ホルダと第2ホルダとの間にセンサユニット110を配置するための空間が形成されていることから、ハウジングを射出成型する際の成型圧によって第1ホルダ及び第2ホルダが潰れるように変形して第1集磁部及び第2集磁部が変形することがある。第1実施形態によれば、第1延出部41d及び第2延出部42dは、ハウジング50を成型するための金型に当接した状態でインサート成型されることから変形しにくくされている。このことから、第1延出部41dの間に配置されている第1集磁部41bのセンサ素子111に対する組み付け位置、及び第2延出部42dの間に配置されている第2集磁部42bのセンサ素子111に対する組み付け位置がばらつくことを抑えることが可能となる。
【0040】
<第2実施形態>
トルクセンサの第2実施形態について説明する。ここでは、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0041】
図8に示すように、第2集磁リング42は、第2磁気ヨーク32を取り囲むように第2磁気ヨーク32の外周に隙間を空けて配置されている第2リング部42aと、第2リング部42aから径方向外側に延びている第2集磁部42bとを有している。第2リング部42aは、C字形状をなしている。第2集磁部42bは、第2リング部42aと一体形成されている。第2集磁部42bは、第2リング部42aの周方向の中間位置に形成されている。第2集磁部42bは、第2リング部42aにおける第1リング部41a側の面から第1リング部41a側へ延びるとともに、折り曲げ形成されていることにより延出方向Zに延びている。第2集磁部42bにおける延出方向Zに延びている部分は、軸方向Xから見たとき、略矩形状をなしている。第2集磁部42bにおける延出方向Zに延びている部分は、センサ素子111と軸方向Xにおいて対向する第1センサ対向部である。本実施形態では、第2集磁部42bは一対設けられている。第2集磁リング42は、金属材料により構成されている。
【0042】
図8及び
図9に示すように、第1集磁リング41は、第1磁気ヨーク31を取り囲むように第1磁気ヨーク31の外周に隙間を空けて配置されている第1リング部41aと、第1リング部41aから径方向外側に延びている第1集磁部41bとを有している。第1リング部41aは、C字形状をなしている。第1集磁部41bは、第1リング部41aと別体で形成されているとともに、第1リング部41aの径方向外側に第1リング部41aと所定の隙間を空けて配置されている。第1集磁部41bは、第1リング部41aの周方向の中間位置における径方向外側に配置されている。第1集磁部41bは、リング部対向部41gと、第1センサ対向部41fと、位置決め部43とを有している。リング部対向部41gは、第1リング部41aに沿った略円弧板形状をなしている。リング部対向部41gの周方向における中間位置は、リング部対向部41gの周方向における両端部よりも、第1リング部41aから離間するように折り曲げ形成されている。第1センサ対向部41fは、リング部対向部41gの周方向における中間位置から第2リング部42a側へ軸方向Xに延びるとともに、折り曲げ形成されていることにより第1リング部41aから離れる方向へ延出方向Zに延びている。第1センサ対向部41fは、軸方向Xから見たとき、略矩形形状をなしている。本実施形態では、第1センサ対向部41fは、一対設けられている。第1センサ対向部41fと第2センサ対向部42fとは、間にセンサ素子111を配置した状態で軸方向Xにおいて互いに対向している。第1センサ対向部41fと第2センサ対向部42fとが対向する対向方向は、軸方向Xと一致している。位置決め部43は、幅方向Yにおいて、2つの第1センサ対向部41fの間に設けられている。位置決め部43は、延出方向Zにおける基端側から先端側に向かう順に、小板部43aと、大板部43bとを有している。小板部43aは、大板部43bよりも幅方向Yにおける長さが小さく形成されている。大板部43bの中央部分には、軸方向Xに貫通する第2貫通孔43cが設けられている。第1集磁リング41は、金属材料により構成されている。
【0043】
ハウジング50のセンサ被覆部70の成型後に、開口部72を介してセンサ素子111が実装されている回路基板112をセンサ収容部71に収容し、センサ収容部71に設けられている突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び第1集磁部41bの位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通する。載置部74cの頂面には、その頂面の全体にわたって回路基板112のセンサ素子111が実装されていない側の面が当接する。また、回路基板112のセンサ素子111が実装されている側の面には、第1集磁部41bの位置決め部43の第2集磁部42b側の面の全体が当接している。突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通した状態では、回路基板112の端子孔114には信号端子77が挿通され、回路基板112の切り欠き112cの間に第2集磁部42bの第2センサ対向部42fが差し込まれることで、回路基板112に実装されているセンサ素子111に第2センサ対向部42fが対向する。また、突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通した状態では、回路基板112に実装されているセンサ素子111に第1センサ対向部41fが対向する。このようにセンサ収容部71への回路基板112及び第1集磁部41bを組み付けた後、蓋部73を開口部72に嵌めることにより、開口部72を塞ぐ。これらにより、トルクセンサ1の組み立てが完了する。
【0044】
第2実施形態の作用及び効果を説明する。
(5)第1集磁部41bを第1リング部41aと径方向において離間するように別体で形成していることから、開口部72を介してセンサ収容部71にセンサ素子111が実装されている回路基板112を収容する際、第1集磁部41bが取り外された状態で回路基板112をセンサ収容部71に組み付けることができるようになる。そして、回路基板112をセンサ収容部71に組み付けてから、延出方向Zにおいて第1集磁部41bのリング部対向部41gと第1リング部41aとが所定の隙間を空けて対向するように、第1集磁部41bの位置決め部43をセンサ収容部71に組み付けることができるようになる。したがって、回路基板112及び第1集磁部41bのセンサ収容部71に対する設置が容易になる。また、第1集磁部41bの位置決め部43に設けられた第2貫通孔43cに突出部76が挿通されることによって、第1集磁部41bの第1リング部41aに対する組み付け位置と、第1集磁部41bのセンサ素子111に対する組み付け位置とを共に規定することが可能となる。
【0045】
各実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・第1実施形態において、第2リング部42aと第2集磁部42bとは一体形成されていてもよい。
【0046】
・第1実施形態において、第1集磁部41bと第2集磁部42bとの間にセンサ素子111を配置できるのであれば、第1リング部41aと第1集磁部41bとは一体形成されていてもよい。この場合、例えばセンサ素子111が実装されている回路基板112は、第1集磁部41bと第2集磁部42bとの間に延出方向Zから差し込まれることで配置される。
【0047】
・第2実施形態において、第2リング部42aと第2集磁部42bとは別体で形成されていてもよい。
・第2実施形態において、第1集磁部41bと第2集磁部42bとの間にセンサ素子111を配置できるのであれば、第1リング部41aと第2集磁部42bとは一体形成されていてもよい。
【0048】
・第1実施形態において、第1延出部41dは設けられなくてもよい。この場合、第1集磁部41bは、第1環状部41cの周方向における両端部の間に配置されている。
・第2センサ対向部42fは、第2平板部42eにおける第1集磁部41b側の面から第1集磁部41b側へ向けて延びているとともに、折り曲げ形成されていることにより延出方向Zにおいて第2環状部42cに近付く側へ延びるように形成されていてもよい。この場合、突出部76に回路基板112の第1貫通孔113及び位置決め部43の第2貫通孔43cを挿通することにより、幅方向Y及び延出方向Zにおいて、第2センサ対向部42fを回路基板112の切り欠き112cに対向させることができる。
【0049】
・ハウジング50を射出成型する際、金型内に第2集磁部42bを配置せずに射出工程を行うようにしてもよい。この場合、射出成型されたハウジング50の第1底壁部74aには、第2集磁部42bを載置するための凹みが形成され、この凹みに第2集磁部42bを載置するようにしてもよい。また、第2集磁部42bと第2延出部42dとを幅方向Yにおいて溶接等により接続するようにしてもよい。また、第1底壁部74aに形成された第2集磁部42bを載置するための凹みに第2集磁部42bを載置するとともに、第2集磁部42bの第2平板部42eと第2延出部42dとを幅方向Yにおいて溶接等により接続するようにしてもよい。
【0050】
・第1集磁部41bは、位置決め部43の第2貫通孔43cに突出部76を挿通させることにより、センサ収容部71に対して組み付けられていたが、これに限らない。例えば、第1集磁部41bの第1平板部41eと第2延出部42dとを幅方向Yにおいて溶接等により接続することにより組み付けるようにしてもよい。
【0051】
・第1実施形態において、第2集磁部42bの板厚方向における全てを第1底壁部74aによって覆うことにより、第2集磁部42bにおける開口部72側の面のみをセンサ収容部71内に露出するようにしたが、これに限らない。例えば、第2集磁部42bの板厚方向における一部を第1底壁部74aによって覆うことにより、第2集磁部42bにおける開口部72側の面のみならず、第2集磁部42bの延出方向Zにおける面の一部をセンサ収容部71内に露出するようにしてもよい。
【0052】
・第1集磁部41bは、位置決め部43の第2貫通孔43cに挿通している突出部76を熱によってかしめることによりセンサ収容部71に組みつけられていたが、これに限らない。例えば、第1集磁部41bをねじによってセンサ収容部71に組み付けるようにしてもよい。また、センサ収容部71から延びるスナップフィット爪が第1集磁部41bに設けられたスナップフィット孔に係合することにより、第1集磁部41bをセンサ収容部71に組み付けるようにしてもよい。この場合、第1集磁部41bには位置決め部43が設けられなくてもよい。すなわち、第1集磁部41bのセンサ収容部71に対する固定方法は、適宜変更可能である。
【0053】
・突出部76には、頭部76bが形成されたが、頭部76bは無くてもよい。すなわち、突出部76には、少なくとも軸部76aがあればよい。例えば、突出部76は、第1貫通孔113及び第2貫通孔43cとの摺接によって位置決めされていてもよい。この場合、突出部76の先端部を熱によってかしめることにより頭部76bを形成する工程を省くことができる。
【0054】
・軸部76aは、円柱形状をなしていたが、多角柱形状をなしていてもよい。
・突出部76は、2つ以上設けられてもよい。
・回路基板112は、載置部74cの頂面に配置されたが、これに限らない。たとえば、センサ収容部71の第1底壁部74aに配置するように構成してもよく、この場合、突出部76は、第1底壁部74aに設けられることになる。
【0055】
・第1集磁リング41の第1集磁部41bは2つ設けられるとともに、第2集磁リング42の第2集磁部42bも2つ設けられていたが、1つのみであってもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0056】
・センサユニット110は、センサ素子111を通電可能な導電部を有するターミナル(接続端子)に接続したものであってもよい。
・センサ素子111として、ホール素子が採用されたが、磁気抵抗素子が採用されてもよい。
【0057】
・センサ装置として、トルクを検出するためのトルクセンサ1に具体化したが、例えば回転軸10の回転角度を検出するための回転角度検出装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…トルクセンサ、10…回転軸、11…入力軸、12…出力軸、13…トーションバー、20…永久磁石、30…磁気ヨーク、31…第1磁気ヨーク、32…第2磁気ヨーク、33…合成樹脂体、40…集磁リング、41…第1集磁リング、41a…第1リング部、41b…第1集磁部、41c…第1環状部、41d…第1延出部、41e…第1平板部、41f…第1センサ対向部、41g…リング部対向部、42…第2集磁リング、42a…第2リング部、42b…第2集磁部、42c…第2環状部、42d…第2延出部、42e…第2平板部、42f…第2センサ対向部、43…位置決め部、43a…小板部、43b…大板部、43c…第2貫通孔、50…ハウジング、60…リング部被覆部、61…貫通孔、62…フランジ部、63…取付部、64…取付孔、70…センサ被覆部、71…センサ収容部、72…開口部、73…蓋部、73a…第1蓋部、73b…第2蓋部、74…底壁、74a…第1底壁部、74b…第2底壁部、74c…載置部、75…側壁、76…突出部、76a…軸部、76b…頭部、77…信号端子、78…コネクタ部、110…センサユニット、111…センサ素子、112…回路基板、112a…第1回路基板部、112b…第2回路基板部、112c…切り欠き、113…第1貫通孔、114…端子孔、X…軸方向、Y…幅方向、Z…延出方向。