IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建設機械の油圧装置 図1
  • 特許-建設機械の油圧装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】建設機械の油圧装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 20/00 20060101AFI20220817BHJP
   F15B 11/16 20060101ALI20220817BHJP
   B66C 13/20 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
F15B20/00 C
F15B11/16 B
B66C13/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018184107
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051585
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝正
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 康輔
(72)【発明者】
【氏名】寺内 謙一
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147754(JP,A)
【文献】特開2011-179603(JP,A)
【文献】特開2002-046978(JP,A)
【文献】特開2002-005122(JP,A)
【文献】特開昭62-052206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22,20/00,
B66C 13/20,
E02F 9/22- 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の油圧モータである走行モータと、巻上げ装置の駆動用の油圧モータである巻上げモータと、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記走行モータに接続された方向切換弁である走行切換弁と、前記巻上げモータに接続された方向切換弁である巻上げ切換弁とを有し、前記走行切換弁が、前記油圧ポンプから吐出される作動油が前記巻上げ切換弁よりも上流側で流入するように該油圧ポンプに接続されており、前記巻上げ切換弁が、前記油圧ポンプから吐出される作動油が、前記走行モータの作動停止時には、前記走行切換弁を経由して流入し、且つ、該走行モータの作動時には、該走行切換弁及び該走行モータを経由して流入するように該走行切換弁に接続されている建設機械の油圧装置であって、
前記走行切換弁と前記走行モータとの間で作動油を流す2つの走行モータ用油通路に接続されており、該2つの走行モータ用油通路を互いに連通させる第1状態と、該連通を遮断する第2状態とに動作可能な切換弁を備えており、該切換弁が、前記巻上げ切換弁から前記巻上げモータに供給される作動油の圧力が所定値以上の高圧になったときに、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるように該圧力に応じて動作するように構成されていることを特徴とする建設機械の油圧装置。
【請求項2】
請求項1記載の建設機械の油圧装置において、
前記切換弁は、前記巻上げ切換弁から前記巻上げモータに供給される作動油の圧力がパイロット圧として付与されるように、前記巻上げ切換弁と前記巻上げモータとの間で作動油を流す2つの巻上げモータ用油通路にパイロット油通路を介して接続されたパイロット駆動方式の切換弁であることを特徴とする建設機械の油圧装置。
【請求項3】
請求項2記載の建設機械の油圧装置において、
前記パイロット油通路には、互いに並列に接続された逆止弁と絞り部とが介装されており、前記逆止弁は、前記巻上げモータ用油通路から前記切換弁に向かう方向と逆方向の作動油の流れを阻止するように構成されていることを特徴とする建設機械の油圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーン等、走行用の油圧モータと、巻上げ装置の駆動用の油圧モータとを有する建設機械の油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建設機械では、油圧ポンプから走行用の油圧モータ(以降、単に走行モータということがある)に作動油を供給する油圧回路(走行モータの作動制御用の方向切換弁を含む油圧回路)の下流側に、巻上げ装置の駆動用の油圧モータ(以降、単に巻上げモータということがある)に作動油を供給する油圧回路(巻上げモータの作動制御用の方向切換弁を含む油圧回路)を直列的に接続し、走行モータの作動と、巻上げモータの作動とを同時に行うようにそれぞれの油圧モータの操縦操作を行った場合に、油圧ポンプから走行モータを経由した後の作動油(該走行モータから吐出される作動油)が巻上げモータに供給されるように構成された油圧装置を備えるものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-46978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如き油圧装置は、走行モータ用の方向切換弁を最上流側に配置できるために、該方向切換弁をスイベルジョイント等を介して走行モータに接続する油通路を構成し易い、あるいは、油圧ポンプから巻上げモータ用の方向切換弁に作動油を供給するための専用的な油通路を省略し得る(ひいては、バルブユニットのコスト低減や小型化を図れる)等の利点があるものの、次のような不都合を生じる虞があることが本願発明者の検討により判明した。
【0005】
すなわち、重量物の吊り上げ作業等を行う場合等、巻上げモータの負荷が大きなものとなることが多々ある。そして、このように巻上げモータの負荷が大きなものとなっている状況で、走行モータを作動させるべく該走行モータへの作動油の供給を行うと、該走行モータの作動油の入口側及び出口側の両方の圧力が共に高圧なものとなってしまう。その結果、走行モータの作動不良や、該走行モータのシリンダブロック等の構成要素の損傷を生じる虞がある。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、巻上げモータに走行モータを経由して作動油を供給可能な油圧装置において、巻上げモータと走行モータとを同時に作動させたときに、走行モータの作動油の入口側と出口側との両方の圧力が高圧になるのを防止することができる油圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
走行用の油圧モータである走行モータと、巻上げ装置の駆動用の油圧モータである巻上げモータと、作動油を吐出する油圧ポンプと、前記走行モータに接続された方向切換弁である走行切換弁と、前記巻上げモータに接続された方向切換弁である巻上げ切換弁とを有し、前記走行切換弁が、前記油圧ポンプから吐出される作動油が前記巻上げ切換弁よりも上流側で流入するように該油圧ポンプに接続されており、前記巻上げ切換弁が、前記油圧ポンプから吐出される作動油が、前記走行モータの作動停止時には、前記走行切換弁を経由して流入し、且つ、該走行モータの作動時には、該走行切換弁及び該走行モータを経由して流入するように該走行切換弁に接続されている建設機械の油圧装置であって、
前記走行切換弁と前記走行モータとの間で作動油を流す2つの走行モータ用油通路に接続されており、該2つの走行モータ用油通路を互いに連通させる第1状態と、該連通を遮断する第2状態とに動作可能な切換弁を備えており、該切換弁が、前記巻上げ切換弁から前記巻上げモータに供給される作動油の圧力が所定値以上の高圧になったときに、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるように該圧力に応じて動作するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0008】
なお、本発明において、「2つの走行モータ用油通路」は、走行モータの作動時に、一方の走行モータ用油通路が前記走行切換弁から走行モータに供給する作動油を流す油通路、他方の走行モータ用油通路が、走行モータから吐出される作動油を前記走行切換弁に流す油通路となる2つの油通路を意味する。
【0009】
上記第1発明によれば、前記巻上げモータに供給される作動油の圧力が所定値以上の高圧になったときに、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるので、前記2つの走行モータ用油通路が互いに連通される。このため、前記走行モータと前記巻上げモータとを同時に作動させた場合に、巻上げモータに供給される作動油の圧力が高圧になると、油圧ポンプから吐出される作動油は、走行モータを経由せずに巻上げモータに供給されるようになる。これにより、走行モータの作動油の入口側と出口側との両方の圧力が高圧になるのを防止することができる。
【0010】
上記第1発明では、前記切換弁は、前記巻上げ切換弁から前記巻上げモータに供給される作動油の圧力がパイロット圧として付与されるように、前記巻上げ切換弁と前記巻上げモータとの間で作動油を流す2つの巻上げモータ用油通路にパイロット油通路を介して接続されたパイロット駆動方式の切換弁であることが好ましい(第2発明)。
【0011】
なお、前記「2つの巻上げモータ用油通路」は、巻上げモータの作動時に、一方の巻上げモータ用油通路が前記巻上げ切換弁から巻上げモータに供給する作動油を流す油通路、他方の巻上げモータ用油通路が、巻上げモータから吐出される作動油を前記巻上げ切換弁に流す油通路となる2つの油通路を意味する。
【0012】
上記第2発明によれば、前記切換弁を作動させるための構成を簡易且つ安価に構成することができる。
【0013】
上記第2発明では、前記パイロット油通路には、互いに並列に接続された逆止弁と絞り部とが介装されており、前記逆止弁は、前記巻上げモータ用油通路から前記切換弁に向かう方向と逆方向の作動油の流れを阻止するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0014】
これによれば、巻上げモータに供給される作動油の圧力の低下に応じて前記切換弁が前記第1状態から前記第2状態に復帰するときには、該切換弁に付与されるパイロット圧が徐々に低下するので、前記2つの走行モータ用油通路の間の連通は、徐々に遮断されることとなる。このため、前記切換弁が前記第1状態から前記第2状態に復帰するときに、前記走行モータを作動させるように前記走行切換弁が駆動されていても、該走行モータに急激に作動油が供給されるようになるのを防止することができる。ひいては、該走行モータの急激な作動が開始されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態を適用する建設機械(移動式クレーン)の概略構成を示す図。
図2】実施形態の油圧装置の油圧回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図1及び図2を参照して以下に説明する。図1を参照して本実施形態の油圧装置1(図2に示す)を備える建設機械50は、例えば移動式クレーンである。この建設機械50は、左右一対のクローラ51aを有する下部走行体51と、該下部走行体51に旋回可能に搭載された上部旋回体52と、上部旋回体52からブームフットピン53を介して揺動可能(起伏可能)に延設されたブーム54と、ブーム54の起伏動作を行わせる油圧シリンダ55と、ブーム54の後方側で上部旋回体52に搭載された巻上げ装置56(ウィンチ)と、巻上げ装置56からブーム54の上端部に取付けられたポイントジーブ57(滑車機構)を経由して該ポイントジーブ57の下方のフック59に連結されたワイヤー58と、該上部旋回体52に搭載された運転室60とを有する。
【0017】
かかる建設機械50では、フック59に運搬物を釣り下げた状態で、巻上げ装置56によりワイヤー58を走行させ、あるいは、油圧シリンダ55によりブーム54の起伏動作を行わせ、あるいは、図示しない旋回用の油圧モータにより上部旋回体52の旋回動作を行わせることで、運搬物を移動させることが可能である。
【0018】
本実施形態の油圧装置1は、かかる建設機械50に搭載されたものであり、図2に示すように、走行用の油圧モータである走行モータ2と、巻上げ装置56の駆動用の油圧モータ(詳しくは、巻上げ装置56のドラムを回転駆動する油圧モータ)である巻上げモータ3と、油圧ポンプ4と、走行モータ2の作動制御用の方向切換弁である走行切換弁5と、巻上げモータ3の作動制御用の方向切換弁である巻上げ切換弁6とを備える。
【0019】
なお、前記建設機械50は、その下部走行体51を構成する左右のクローラ51aのそれぞれを各別に駆動するための2つの走行モータを備えるものである。そして、図2に示す走行モータ2は、当該2つの走行モータのうちの一方の走行モータである。
【0020】
油圧ポンプ4は、図示しないエンジンにより駆動され、その駆動状態で、作動油タンク7から作動油を吸引しつつ、該作動油を吐出ポートから吐出する。そして、油圧ポンプ4の吐出ポートには、該吐出ポートから走行切換弁5及び巻上げ切換弁6順に経由して作動油タンク7に還流するように配設されたセンターバイパス油通路10が接続されている。
【0021】
センターバイパス油通路10で上流側に介装された走行切換弁5は、スプール弁を有するパイロット駆動方式の方向切換弁であり、2つのパイロットポート5a,5bを有する。該走行切換弁5は、その作動位置として、中立位置であるA0位置と、パイロットポート5aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるAa位置と、パイロットポート5bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるAb位置とを有する。
【0022】
そして、走行切換弁5は、本発明における走行モータ用油通路としての2つの油通路11a,11bのそれぞれを介して走行モータ2の2つの入出ポート2a,2b(作動油の入口又は出口となる2つのポート)のそれぞれに接続されていると共に、作動油タンク7に油通路12を介して接続されている。なお、本実施形態では、油通路11a,11bに、カウンターバランス弁30が介装されているが、これについては後述する。
【0023】
走行切換弁5は、そのパイロットポート5a,5bの両方にパイロット圧が付与されていない状態では、中立位置であるA0位置に保持されるように付勢されている。このA0位置では、走行切換弁5は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に開通させ、さらに、走行モータ2側の油通路11a,11bのうちの油通路11aを閉弁すると共に油通路11bを油通路12を介して作動油タンク7に開通させるように構成されている。
【0024】
従って、走行切換弁5のA0位置(中立位置)では、油圧ポンプ4から上流側のセンターバイパス油通路10を介して走行切換弁に流入する作動油は、走行モータ2に供給されることなく、該走行切換弁の下流側のセンターバイパス油通路10に流れる。
【0025】
また、走行切換弁5は、そのパイロットポート5aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合には、該パイロット圧の増加に伴い、A0位置(中立位置)からAa位置まで変位する。このAa位置では、走行切換弁5は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に対して閉弁すると共に、走行モータ2側の油通路11aに開通させ、さらに、走行モータ2側の油通路11bを下流側のセンターバイパス油通路10に開通させるように構成されている。
【0026】
さらに、走行切換弁5は、A0位置からAa位置まで変位する過程では、上流側のセンターバイパス油通路10と下流側のセンターバイパス油通路10との間の油通路(ブリードオフ油通路)の開口が、パイロットポート5aに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に小さくなり、あるいは、上流側のセンターバイパス油通路10と油通路11aとの間の油通路(メータイン油通路)の開口が、パイロットポート5aに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に大きくなるように構成されている。
【0027】
従って、走行切換弁5をAa位置側に作動させると、油圧ポンプ4から上流側のセンターバイパス油通路10を介して走行切換弁に流入する作動油は、走行切換弁5から油通路11aを介して走行モータ2の入出ポート2aに供給され、さらに、該走行モータ2の他方の入出ポート2bから吐出される作動油が、油通路11bとAa位置側の走行切換弁5とを経由して、下流側のセンターバイパス油通路10に流通するようになっている。さらに、パイロットポート5aに付与されるパイロット圧の増加に伴い、走行モータ2の入出ポート2aに供給される作動油の流量が増加するようになっている。
【0028】
また、走行切換弁5は、そのパイロットポート5bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合には、該パイロット圧の増加に伴い、A0位置(中立位置)からAb位置まで変位する。このAb位置では、走行切換弁5は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に対して閉弁すると共に、走行モータ2側の油通路11bに開通させ、さらに、走行モータ2側の油通路11aを下流側のセンターバイパス油通路10に開通させるように構成されている。
【0029】
さらに、走行切換弁5は、A0位置からAb位置まで変位する過程では、上流側のセンターバイパス油通路10と下流側のセンターバイパス油通路10との間の油通路(ブリードオフ油通路)の開口が、パイロットポート5bに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に小さくなり、あるいは、上流側のセンターバイパス油通路10と油通路11bとの間の油通路(メータイン油通路)の開口が、パイロットポート5bに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に大きくなるように構成されている。
【0030】
従って、走行切換弁5をAb位置側に作動させると、油圧ポンプ4から上流側のセンターバイパス油通路10を介して走行切換弁に流入する作動油は、走行切換弁5から油通路11bを介して走行モータ2の入出ポート2bに供給され、さらに、該走行モータ2の他方の入出ポート2aから吐出される作動油が、油通路11aとAb位置の走行切換弁5とを経由して、下流側のセンターバイパス油通路10に流通するようになっている。さらに、パイロットポート5bに付与されるパイロット圧の増加に伴い、走行モータ2の入出ポート2bに供給される作動油の流量が増加するようになっている。
【0031】
走行切換弁5のパイロットポート5a,5bのそれぞれは、走行モータ2の操縦用の操作レバー13a(又は操作ペダル)が付設された操作装置13に、パイロット油通路14a,14bのそれぞれを介して接続されている。
【0032】
該操作装置13は、図示しないパイロットポンプから供給される一次圧のパイロット作動油から、減圧弁等により操作レバー13aの操作に応じたパイロット圧(二次圧)を生成し、該パイロット圧を、パイロットポート5a,5bのうち、該操作レバー13aの操作方向に応じて規定されるパイロットポート5a又は5bに出力する。
【0033】
例えば、操作レバー13aが、走行モータ2を正転方向に作動させる方向に操作された場合には、操作装置13は、該操作レバー13aの操作量に応じたパイロット圧をパイロットポート5aに出力する。また、操作レバー13aが、走行モータ2を逆転方向に作動させる方向に操作された場合には、操作装置13は、該操作レバー13aの操作量に応じたパイロット圧をパイロットポート5bに出力する。
【0034】
センターバイパス油通路10で下流側に介装された巻上げ切換弁6は、走行切換弁5と同様にパイロット駆動方式の方向切換弁であり、2つのパイロットポート6a,6bを有する。該巻上げ切換弁6は、その作動位置として、中立位置であるB0位置と、パイロットポート6aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるBa位置と、パイロットポート6bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるBb位置とを有する。
【0035】
そして、巻上げ切換弁6は、本発明における巻上げモータ用油通路としての2つの油通路21a,21bのそれぞれを介して巻上げモータ3の2つの入出ポート3a,3b(作動油の流入口又は流出口となる2つのポート)のそれぞれに接続されていると共に、作動油タンク7に油通路22を介して接続されている。
【0036】
巻上げ切換弁6は、そのパイロットポート6a,6bの両方にパイロット圧が付与されていない状態では、中立位置であるB0位置に保持されるように付勢されている。このB0位置では、巻上げ切換弁6は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に開通させ、さらに、巻上げモータ3側の油通路21a,21bの両方を閉弁するように構成されている。
【0037】
従って、巻上げ切換弁6のB0位置(中立位置)では、該巻上げ切換弁6の上流側のセンターバイパス油通路10から該巻上げ切換弁6に流入する作動油は、巻上げモータ3に供給されることなく、該巻上げ切換弁6の下流側のセンターバイパス油通路10に流れる。
【0038】
また、巻上げ切換弁6は、そのパイロットポート6aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合には、該パイロット圧の増加に伴い、B0位置(中立位置)からBa位置まで変位する。このBa位置では、巻上げ切換弁6は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に対して閉弁すると共に、巻上げモータ3側の油通路21aに開通させ、さらに、巻上げモータ3側の油通路21bを下流側のセンターバイパス油通路10に開通させるように構成されている。
【0039】
さらに、巻上げ切換弁6は、B0位置からBa位置まで変位する過程では、上流側のセンターバイパス油通路10と下流側のセンターバイパス油通路10との間の油通路(ブリードオフ油通路)の開口が、パイロットポート6aに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に小さくなり、あるいは、上流側のセンターバイパス油通路10と油通路21aとの間の油通路(メータイン油通路)の開口が、パイロットポート6aに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に大きくなるように構成されている。
【0040】
従って、巻上げ切換弁6をBa位置側に作動させると、該巻上げ切換弁6の上流側のセンターバイパス油通路10から該巻上げ切換弁6に流入する作動油は、巻上げ切換弁6から油通路21aを介して巻上げモータ3の入出ポート3aに供給され、さらに、該巻上げモータ3の他方の入出ポート3bから吐出される作動油が、油通路21bとBa位置の巻上げ切換弁6とを経由して、下流側のセンターバイパス油通路10に流れるようになっている。さらに、パイロットポート6aに付与されるパイロット圧の増加に伴い、巻上げモータ3の入出ポート3aに供給される作動油の流量が増加するようになっている。
【0041】
また、巻上げ切換弁6は、そのパイロットポート6bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合には、該パイロット圧の増加に伴い、B0位置(中立位置)からBb位置まで変位する。このBb位置では、巻上げ切換弁6は、その上流側のセンターバイパス油通路10を下流側のセンターバイパス油通路10に対して閉弁すると共に、巻上げモータ3側の油通路21bに開通させ、さらに、巻上げモータ3側の油通路21aを下流側のセンターバイパス油通路10に開通させるように構成されている。
【0042】
さらに、巻上げ切換弁6は、B0位置からBb位置まで変位する過程では、上流側のセンターバイパス油通路10と下流側のセンターバイパス油通路10との間の油通路(ブリードオフ油通路)の開口が、パイロットポート6bに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に小さくなり、あるいは、上流側のセンターバイパス油通路10と油通路21bとの間の油通路(メータイン油通路)の開口が、パイロットポート6bに付与されるパイロット圧の増加に伴い徐々に大きくなるように構成されている。
【0043】
従って、巻上げ切換弁6をBb位置側に作動させると、該巻上げ切換弁6の上流側のセンターバイパス油通路10から該巻上げ切換弁6に流入する作動油は、巻上げ切換弁6から油通路21bを介して巻上げモータ3の入出ポート3bに供給され、さらに、該巻上げモータ3の他方の入出ポート3aから吐出される作動油が、油通路21aとBb位置の巻上げ切換弁6とを経由して、下流側のセンターバイパス油通路10に流れるようになっている。さらに、パイロットポート6bに付与されるパイロット圧の増加に伴い、巻上げモータ3の入出ポート3bに供給される作動油の流量が増加するようになっている。
【0044】
巻上げ切換弁6のパイロットポート6a,6bのそれぞれは、巻上げモータ3の操縦用の操作レバー23aが付設された操作装置23に、パイロット油通路24a,24bのそれぞれを介して接続されている。
【0045】
該操作装置23は、走行モータ2用の操作装置13と同様に、図示しないパイロットポンプから供給される一次圧のパイロット作動油から、操作レバー23aの操作に応じたパイロット圧を生成し、該パイロット圧を、パイロットポート6a,6bのうち、該操作レバー23aの操作方向に応じて規定されるパイロットポート6a又は6bに出力する。
【0046】
例えば、操作レバー23aが、巻上げモータ3を正転方向に作動させる方向に操作された場合には、操作装置23は、該操作レバー23aの操作量に応じたパイロット圧をパイロットポート6aに出力する。また、操作レバー23aが、巻上げモータ3を逆転方向に作動させる方向に操作された場合には、操作装置23は、該操作レバー23aの操作量に応じたパイロット圧をパイロットポート6bに出力する。
【0047】
本実施形態の油圧装置1はさらに、走行切換弁5と走行モータ2との間の油通路11a,11bに介装されたカウンターバランス弁30と、カウンターバランス弁30と走行モータ2との間の油通路11a,11bを接続する2つの油通路32a,32bに各々介装された2つのリリーフ弁33a,33bと、カウンターバランス弁30と走行切換弁5との間の油通路11a,11bに接続された切換弁35とを有する。
【0048】
カウンターバランス弁30は、パイロット駆動式の切換弁であり、2つのパイロットポート30a,30bを有する。該カウンターバランス弁30は、その作動位置として、中立位置であるC0位置と、パイロットポート30aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるCa位置と、パイロットポート30bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるCb位置とを有する。
【0049】
そして、カウンターバランス弁30のパイロットポート30a,30bのそれぞれは、油通路11a,11bのそれぞれにパイロット油通路31a,31bを介して接続されている。従って、カウンターバランス弁30のパイロットポート30a,30bには、基本的には、走行切換弁5の作動状態に応じてパイロット圧が付与される。
【0050】
具体的には、走行切換弁5がA0位置(中立位置)に保持されている状態では、カウンターバランス弁30のパイロットポート30a,30bは、その両方にパイロット圧が付与されていない状態となる。この状態では、カウンターバランス弁30は、中立位置であるC0位置に保持されるように付勢されている。このC0位置では、カウンターバランス弁30は、油通路11a,11bの両方に対して逆止弁として機能し、両方の油通路11a,11bにおいて、走行切換弁5から走行モータ2に向かう方向の作動油の流通を許容する一方、これと逆方向の作動油の流通を阻止するように構成されている。
【0051】
従って、C0位置では、走行モータ2での作動油の流通が阻止され、ひいては、該走行モータ2が作動停止状態に保持されるようになっている。
【0052】
また、走行切換弁5がA0位置(中立位置)からAa位置側に作動すると、油圧ポンプ4から作動油が供給される油通路11aの圧力が油通路11bの圧力よりも高くなるため、カウンターバランス弁30のパイロットポート30aにパイロットポート30bよりも高いパイロット圧が付与された状態となる。この状態では、カウンターバランス弁30はCa位置に作動する。このCa位置では、カウンターバランス弁30は、油通路11bを開通するように構成されていると共に、油通路11aに対しては、C0位置(中立位置)と同様に逆止弁として機能するように構成されている。
【0053】
従って、走行切換弁5がA0位置からAa位置側に作動すると、これに連動して、カウンターバランス弁30がC0位置からCa位置に作動する。ひいては、走行モータ2の入出ポート2aへの作動油の供給と、入出ポート2bからの作動油の吐出とが行われつつ、該走行モータ2が作動する。
【0054】
また、走行切換弁5がA0位置(中立位置)からAb位置側に作動すると、油圧ポンプ4から作動油が供給される油通路11bの圧力が油通路11aの圧力よりも高くなるため、カウンターバランス弁30のパイロットポート30bにパイロットポート30aよりも高いパイロット圧が付与された状態となる。この状態では、カウンターバランス弁30はCb位置に作動する。このCb位置では、カウンターバランス弁30は、油通路11aを開通するように構成されていると共に、油通路11bに対しては、C0位置(中立位置)と同様に逆止弁として機能するように構成されている。
【0055】
従って、走行切換弁5がA0位置からAb位置側に作動すると、これに連動して、カウンターバランス弁30がC0位置からCb位置に作動する。ひいては、走行モータ2の入出ポート2bへの作動油の供給と、入出ポート2aからの作動油の吐出とが行われつつ、該走行モータ2が作動する。
【0056】
前記リリーフ弁33a,33bは、走行モータ2の作動の解除時(走行モータ2による下部走行体51のクローラ51aの走行駆動の解除時)にブレーキ圧を発生させるためのものである。この場合、リリーフ弁33bは、走行切換弁5の作動位置がAa位置側からA0位置に復帰することに伴いカウンターバランス弁30がCa位置からC0位置に復帰するときに、走行モータ2の入出ポート2b側の作動油(走行モータ2から吐出される作動油)の圧力が入出ポート2a側の作動油の圧力よりも、所定の設定圧以上の高圧になった場合に油通路32bを開通させる(ひいては、走行モータ2の入出ポート2bから入出ポート2aに油通路32bを介して作動油を還流させる)ように構成されている。
【0057】
また、リリーフ弁33aは、走行切換弁5の作動位置がAb位置側からA0位置に復帰することに伴いカウンターバランス弁30がCb位置からC0位置に復帰するときに、走行モータ2の入出ポート2a側の作動油(走行モータ2から吐出される作動油)の圧力が入出ポート2b側の作動油の圧力よりも、所定の設定圧以上の高圧になった場合に油通路32aを開通させる(ひいては、走行モータ2の入出ポート2aから入出ポート2bに油通路32aを介して作動油を還流させる)ように構成されている。
【0058】
切換弁35は、両端が油通路11a,11b(2つの走行モータ用油通路)に各々接続された油通路36に介装されているパイロット駆動式の切換弁であり、2つのパイロットポート35a,35bを有する。該切換弁35は、その作動位置として、中立位置であるD0位置と、パイロットポート35aに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるDa位置と、パイロットポート35bに所定値以上のパイロット圧が付与された場合の作動位置であるDb位置とを有する。D0位置(中立位置)は、油通路11a,11bの一方から他方に切換弁35を経由して作動油を流通させ得る上記油通路36を閉弁する作動位置であり、本発明における第状態に相当する。また、Da位置及びDb位置は、いずれも、該油通路36を開通させる作動位置であり、本発明における第状態に相当する。
【0059】
なお、切換弁35は、D0位置からDa位置又はDb位置への変位の過程では、パイロットポート35a又は35bに付与されるパイロット圧の増加に伴い、油通路36の開口を徐々に大きくするように構成されている。
【0060】
そして、切換弁35のパイロットポート35aは、巻上げモータ3の一方の入出ポート3aに接続された油通路21aに、逆止弁37aと絞り部38aとが並列に接続された通路部分を有するパイロット油通路39aを介して接続されている。この場合、逆止弁37aは、油通路21aからパイロットポート35aに向かう方向のパイロット作動油の流れを許容し、逆方向のパイロット作動油の流れを阻止するように構成されている。
【0061】
また、切換弁35のパイロットポート35bは、巻上げモータ3の他方の入出ポート3bに接続された油通路21bに、逆止弁37bと絞り部38bとが並列に接続された通路部分を有するパイロット油通路39bを介して接続されている。この場合、逆止弁37bは、油通路21bからパイロットポート35bに向かう方向のパイロット作動油の流れを許容し、逆方向のパイロット作動油の流れを阻止するように構成されている。
【0062】
従って、巻上げモータ3の作動時(巻上げモータ3の入出ポート3a又は3bヘ作動油の供給時)に、巻上げモータ3の入出ポート3a又は3bに流入する作動油の圧力が所定値以上に大きくなると、巻上げモータ3に接続された油通路21a,21bのうちの巻上げモータ3に作動油を供給する側の油通路21a又は21bから、パイロット油通路39a又は39bを介してパイロットポート35a又は35bに所定値以上のパイロット圧が付与される。これにより、切換弁35がD0位置(中立位置)からDa位置側又はDb位置側に作動し、ひいては、油通路11a,11bが、Da位置側又はDb位置側に作動した切換弁35及び油通路36を介して連通される。
【0063】
本実施形態の油圧装置1は、上記の如く構成されているので、次のような効果を奏することができる。例えば、前記フック59に吊り下げた運搬物を動かすために、操作装置23の操作レバー23aの操作によって巻上げ切換弁6をBa位置側又はBb位置側に作動させ、油圧ポンプ4からセンターバイパス油通路10及び巻上げ切換弁6を介して巻上げモータ3に作動油を供給している状態で、走行モータ2を作動させるべく、操作装置13の操作レバー13aの操作によって走行切換弁5をA0位置(中立位置)からAa位置側又はAb位置側に作動させた場合を想定する。
【0064】
この場合、走行切換弁5の作動に連動してカウンターバランス弁30がC0位置からCa位置側又はCb位置側に作動することで、油圧ポンプ4から走行切換弁5と、油通路11a,11bの一方とを介して走行モータ2作動油が供給されると共に、さらに該走行モータ2から吐出される作動油が、油通路11a,11bの他方と、走行切換弁5と、その下流側のセンターバイパス油通路10と、巻上げ切換弁6とを介して巻上げモータ3に供給されるようになる。
【0065】
ここで、前記フック59に吊り下げた運搬物は重量物である場合が多いので、巻上げモータ3の負荷がかなり大きなものとなる場合が多々ある。このような場合には、油通路11a,11bのうちの走行モータ2の吐出側(作動油の戻り側)の油通路11a又は11bが、巻上げモータ3の作動油の供給側の油通路21a又は21bに連通することから、仮に前記切換弁35及び油通路36が無い場合には、走行モータ2の吐出側の油通路11a又は11bの圧力が大きな圧力に上昇すると共に、走行モータ2の供給側の油通路11b又は11aの圧力が、吐出側の油通路11a又は11bの圧力以上の圧力に上昇する。
【0066】
ひいては、走行モータ2の入出ポート2a,2bの両方に高圧の圧力が作用することとなって、該走行モータ2のシリンダブロックの損傷等の不具合が生じる虞がある。
【0067】
しかるに、本実施形態では、巻上げモータ3の作動油の供給側の油通路21a又は21bの圧力が所定値以上に大きなものになると、当該供給側の油通路21a又は21bからパイロット油通路39a又は39bを介して切換弁35のパイロットポート35a又は35bに付与されるパイロット圧によって、該切換弁35がDa位置側又はDa位置側に作動する。
【0068】
ひいては、走行切換弁5とカウンターバランス弁30との間の油通路11a,11bが油通路36及び切換弁35を介して連通する。このため、油圧ポンプ4から走行切換弁5を介して油通路11a又は11bに供給される作動油は、走行モータ2に供給されることなく、該油通路11a又は11bから、油通路36と、戻り側の油通路11b又は11aと、走行切換弁5と、その下流側のセンターバイパス油通路10と、巻上げ切換弁6とを介して巻上げモータ3に供給されるようになる。
【0069】
このため、走行モータ2の入出ポート2a,2bの両方に高圧の圧力が作用することが防止され、ひいては、走行モータ2の損傷等の不具合が防止される。また、この場合、走行切換弁5とカウンターバランス弁30との間の油通路11a,11bが油通路36及び切換弁35を介して連通することで、該油通路11a,11bの圧力差が解消されるため、カウンターバランス弁30が自動的にC0位置(中立位置)に復帰する。このため、走行モータ2が作動停止状態に保持される。従って、巻上げモータ3の負荷が大きなものとなっている状態では、走行モータ2の作動は実質的に禁止されることとなる。
【0070】
また、フック59に対する運搬物の吊り下げの解除等により、巻上げモータ3の負荷が小さくなると、切換弁35がD0位置(中立位置)に復帰する。この復帰動作では、高圧のパイロット圧が付与されていた切換弁35のパイロットポート35a又は35bから、絞り部38a又は38bを介して作動油が排出されることで、該パイロット圧が徐々に減少する。ひいては、切換弁35は、Da位置又はDb位置からD0位置(中立位置)に徐々に復帰する。
【0071】
このため、巻上げモータ3の負荷が小さくなったときに、操作装置13の操作レバー13aの操作によって、走行切換弁5がAa位置側又はAb位置側に作動していても、走行モータ2への作動油の供給量が急激に上昇すること(ひいては、該走行モータ2の作動が急激に開始すること)が防止される。
【0072】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか説明する。
【0073】
前記実施形態では、油通路11a、11bの間の切換弁35として、D0,Da,Dbの3つの作動位置を有するものを使用したが、例えばDa位置及びパイロットポート35aの組、あるいは、Db位置及びパイロットポート35bの組を省略した切換弁(2つの作動位置を有する切換弁)を切換弁35の代わりに使用することも可能である。そして、この場合、当該切換弁を中立位置(閉弁位置)から開弁位置に作動させるためのパイロットポートに油通路21a,21bからシャトル弁を介してパイロット圧を付与するようにしてもよい。
【0074】
また、油通路21a,21bの圧力をパイロット圧として用いて切換弁35を作動させる代わりに、例えば、油通路21a,21bの圧力を検出する圧力センサを備え、該圧力センサの検出値に応じて比例弁等を介して切換弁35を作動させることも可能である。
【0075】
また、前記実施形態では、切換弁35用のパイロット油通路39a,39bのそれぞれに、並列に接続した逆止弁37a,37bと絞り部38a,38bとを介装したが、これらの逆止弁37a,37bと絞り部38a,38bとが省略されていてもよい。
【0076】
また、前記実施形態では、巻上げ装置56は、フック59をワイヤー58を介して動かすための装置であるが、本発明における巻上げ装置は、例えばブーム54(ジブ)の起伏動作をワイヤを介して行わせる装置であってもよい。
【0077】
また、前記実施形態の油圧装置1は、走行モータ2用の油圧回路にカウンターバランス弁30とリリーフ弁33a,33bとを有するものであるが、本発明の油圧装置は、カウンターバランス弁30とリリーフ弁33a,33bとの一方又は両方を備えないものであってもよい。
【0078】
また、前記実施形態の建設機械50は、図1に示した構造の移動式クレーンであるが、本発明における建設機械は、フックを動かす巻上げ装置と、ブーム(ジブ)を動かす巻上げ装置とが搭載されたものであってもよい。また、該建設機械は、移動式クレーン以外の建設機械であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…油圧装置、2…走行モータ、3…巻上げモータ、4…油圧ポンプ、5…走行切換弁、6…巻上げ切換弁、11a,11b…油通路(走行モータ用油通路)、21a,21b…油通路(巻上げモータ用油通路)、35…切換弁、37a,37b…逆止弁、38a,38b…絞り部、39a,39b…パイロット油通路。
図1
図2