IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-燃料給油機構 図1
  • 特許-燃料給油機構 図2
  • 特許-燃料給油機構 図3
  • 特許-燃料給油機構 図4
  • 特許-燃料給油機構 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】燃料給油機構
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20220817BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20220817BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B60K15/04 C
B60K15/035 B
F02M37/00 301M
F02M37/00 311A
F02M37/00 311K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019062337
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020158054
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関原 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-537980(JP,A)
【文献】実開昭62-122737(JP,U)
【文献】特表2018-534486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035 - 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料給油機構(10)であって、
給油された燃料を燃料タンク(FT)に導く燃料流路を有し、前記燃料タンク(FT)に装着されるフィラーパイプ(20)と、
該フィラーパイプ(20)に収容されて、前記燃料流路(21)の開口から前記燃料タンク(FT)内に突出し、給油過程において、タンク内の蒸気を前記燃料流路(21)に導くブリーザパイプ(30)と、
前記燃料流路(21)の開口を開閉する弁体(63a)を有する逆止弁(63)とを備え、
該逆止弁(63)は、
前記弁体(63a)に、前記燃料タンク(FT)内に前記ブリーザパイプ(30)を前記開口から突出させるための凹所(63c)を有する、燃料給油機構(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料給油機構(10)であって、
前記逆止弁(63)は、前記燃料流路(21)の流路軸(21c)より上方側で軸支された回動軸(63b)を中心に前記弁体(63a)が回動するよう、前記弁体(63a)を有する、燃料給油機構(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料給油機構(10)であって、
前記ブリーザパイプ(30)は、前記燃料流路(21)の流路軸(21c)より上方側の開口上端で前記燃料タンク(FT)内部に突出し、
前記逆止弁(63)は、前記凹所(63c)を前記上方側で軸支された前記回動軸(63b)側に有する、燃料給油機構(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料給油機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料給油機構においては、燃料流路を有するフィラーパイプが燃料タンクに装着され、給油過程において、タンク内の蒸気がブリーザパイプにより排出されている。特許文献1の技術は、ブリーザパイプをフィラーパイプに収容して部材の一体化を図り、燃料タンク関連部材の取扱いや組み付けを簡便にしている。その一方、燃料給油機構には、タンク内の残存する燃料蒸気の内圧が上昇した際に、フィラーパイプへの燃料の逆流を抑制することも要請される。特許文献2の技術は、フィラーパイプの先端に逆止弁を設けて、燃料の逆流抑制に対する要請に応えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-53220号公報
【文献】特開2011-174606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、フィラーパイプの開口の一部領域をブリーザパイプの収容領域として用いざるを得ない。その上で、フィラーパイプへの逆流抑制には、特許文献2で提案されたような逆止弁が有益と想定されるが、ブリーザパイプを用いれば、給油ストップ時において、それ以前の給油過程で蒸気排出がなされてタンク内圧力はさほど上昇していないので、給油ストップ時のタンク内圧力上昇を前提とした特許文献2の技術をそのまま用いることはできない。また、フィラーパイプ開口にブリーザパイプと逆止弁とが併存する都合上、燃料タンクに燃料が流入するための開口面積が狭くなり、燃料タンクへの燃料の給油に要する時間が長くなることが危惧される。こうしたことから、ブリーザパイプをフィラーパイプに収容して部材の一体化を図った上で、逆止弁によって逆流を抑制しつつ、燃料の給油性の低下についても、これを抑制することが望まれるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)燃料給油機構の一形態によれば、燃料給油を図る燃料給油機構が提供される。この燃料給油機構は、給油された燃料を燃料タンクに導く燃料流路を有し、前記燃料タンクに装着されるフィラーパイプと、該フィラーパイプに収容されて、前記燃料流路の開口から前記燃料タンク内に突出し、給油過程において、タンク内の蒸気を前記燃料流路に導くブリーザパイプと、前記燃料流路の開口を開閉する弁体を有する逆止弁とを備え、該逆止弁は、前記弁体に、前記燃料タンク内に前記ブリーザパイプを前記開口から突出させるための凹所を有する。
この形態の燃料給油機構では、フィラーパイプにブリーザパイプが収容されて、部材が一体化する。その上で、この形態の燃料給油機構は、次のようにして、逆止弁による逆流の抑制と、燃料の給油性の低下の抑制を図る。
燃料流路の開口領域のうち、燃料の通過域となるのは、流路開口から燃料タンクの内部に突出するブリーザパイプの収容領域を除いた残余の領域である。この形態の燃料給油機構では、流路開口を開閉する逆止弁の弁体に設けた凹所が燃料タンク内にブリーザパイプを開口から突出させるので、弁体とブリーザパイプとの干渉は起きない。このため、この形態の燃料給油機構によれば、ブリーザパイプの収容領域を除いた残余の領域のほぼ全域を燃料の通過域として確保できるので、給油性の低下を抑制できる。また、この形態の燃料給油機構によれば、ブリーザパイプの収容領域を除いた残余の領域である燃料の通過域において、逆止弁により燃料の逆流を抑制できる。
(2)上記形態の燃料給油機構において、前記逆止弁は、前記燃料流路の流路軸より上方側で軸支された回動軸を中心に前記弁体が回動するよう、前記弁体を有するようにしてもよい。こうすれば、弁体が燃料流路の流路軸より上方側に位置する回動軸を中心に回動するという簡便な弁構成で、燃料の逆流を抑制できる。
(3)上記形態の燃料給油機構において、前記ブリーザパイプは、前記燃料流路の流路軸より上方側の開口上端で前記燃料タンク内部に突出し、前記逆止弁は、前記凹所を前記上方側で軸支された前記回動軸側に有するようにしてもよい。こうすれば、回動軸の軸支側とブリーザパイプの収容側が流路軸より共に上方側となるので、回動軸の軸支作業とブリーザパイプの収容作業を同じ側ででき、簡便となる。
【0007】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、燃料給油機構を有する燃料タンクの形態や、燃料給油機構を有するフィラーネックの形態の他、燃料給油機構の製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態にかかる燃料給油機構の概要を示す説明図である。
図2】ブリーザパイプの先端部の周辺構成をフィラーパイプと関連付けて示す説明図である。
図3】ブリーザパイプの保持の様子を流路軸と直交する面で断面視して示す説明図である。
図4】先端部の組み付けプロセスとブリーザパイプの保持プロセスとを説明する説明図である。
図5】燃料給油機構の要部構成を燃料タンクに装着した状態で拡大視して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の実施形態にかかる燃料給油機構10の概要を示す説明図である。燃料給油機構10は、給油ガン(図示省略)から給油された燃料を燃料タンクFTに送るものであり、フィラーパイプ20と、ブリーザパイプ30と、を備える。フィラーパイプ20は、図示しないフィラーネックに挿入された給油ガンから、燃料を燃料タンクFTに導く燃料流路21を有し、パイプ下端側で、後述の管接続体50を介して燃料タンクFTに装着される。フィラーパイプ20は、パイプ上端側で図示しないフィラーネックと接続され、フィラーネックから燃料タンクFTまで給油経路に沿って曲げられている。そして、このフィラーパイプ20は、湾曲箇所を含む適宜な部位でいわゆる蛇腹状とされた管体であり、タンク内のパイプ末端で、燃料流路21を逆止弁63で開閉する。
【0010】
ブリーザパイプ30は、フィラーパイプ20に収容され、後述の先端部40を、燃料流路21から燃料タンクFTの内部に突出させている。ブリーザパイプ30は、給油過程において、タンク内の蒸気を先端部40からフィラーパイプ20の上流側の燃料流路21に導く。ブリーザパイプ30は、先端部40の側と、パイプ本体31の上流端33の側とで、フィラーパイプ20に保持されている。フィラーパイプ20におけるブリーザパイプ30の収容位置は、先端部40の側においては、燃料流路21と直交したフィラーパイプ断面視のパイプ上端側である。上流端33は、燃料タンクFTにおける後述の満タン液位FL1より高いポジションに位置する。この上流端33の側のブリーザパイプ30の保持には、リキッドシール32が用いられる。先端部40の側のブリーザパイプ30の保持については、後述する。
【0011】
図2はブリーザパイプ30の先端部40の周辺構成をフィラーパイプ20と関連付けて示す説明図である。フィラーパイプ20は、燃料流路21の末端にパイプ収容管体部22を有し、このパイプ収容管体部22に、逆止弁保持部60を有する。パイプ収容管体部22は、管体外壁に係合突起23を有する。この係合突起23は、燃料流路21の流路軸21c回りに所定の形成ピッチで点在し、後述の管接続体50に対して、フィラーパイプ20を流路軸21c回りに位置決めする。
【0012】
逆止弁保持部60は、金属製のパイプ保持筒61と、逆止弁63とを有する。逆止弁63は、弁体保持リング62と弁体63aで構成され、弁体保持リング62と弁体63aは、耐油性樹脂の成形品である。パイプ保持筒61は、筒端部にリング保持環61bを有する。リング保持環61bは、パイプ保持筒61の筒端部において拡径して形成され、後述する弁体保持リング62を、保持する。弁体保持リング62の保持の様子や、フィラーパイプ20への逆止弁保持部60の組込については、各部材の流路軸21c回りの位置決めの様子を含めて後述する。
【0013】
弁体保持リング62は、リング保持環61bに取り囲まれて保持される外輪環62aと、外輪環62aより小径の弁座環62bと、弁体支持腕62cと、弁座凹壁部62dとを有する。外輪環62a等の各部は、耐油性樹脂を用いて一体成形されている。弁座環62bと弁座凹壁部62dとは、鉛直下方側が上方側より厚肉となるよう流路軸21cに傾斜した傾斜面として、いわゆる面一とされており、弁体63aの弁座62fを鉛直方向に対して傾斜して形成する。逆止弁63は、弁座環62bと弁座環62bとが形成する弁座62fに当接する弁体63aと、この弁体63aを回動自在に保持するための一対の回動軸63bとを一体に備える。弁体保持リング62の弁体支持腕62cは、逆止弁63の回動軸63bを軸支する。弁座凹壁部62dは、外輪環62aの外郭から流路軸21cに向けて陥没し、このパイプ保持凹所62eには、凹所開口からパイプ本体31が入り込む。つまり、弁体保持リング62は、図1に示すようにフィラーパイプ20に収容されたブリーザパイプ30を燃料流路21の流路軸21cより上方側の開口上端のパイプ保持凹所62eにおいて保持する。よって、ブリーザパイプ30は、燃料流路21の流路軸21cより上方側の開口上端で燃料タンクFT内部に突出する。図3はブリーザパイプ30の保持の様子を流路軸21cと直交する面で断面視して示す説明図である。なお、この図3には、後述する逆止弁63の外郭線が二点鎖線で示されている。
【0014】
パイプ保持凹所62eは、ブリーザパイプ30のパイプ本体31の直径より1~2mm程幅広な陥没凹所であり、外輪環62aの外郭の弧状ラインからの陥没深さは、パイプ本体31の直径より2~3mm程深くされている。よって、ブリーザパイプ30は、図3に示すように、パイプ本体31のパイプ外郭が外輪環62aの外郭の弧状ラインに収まるようにして、パイプ保持凹所62eで保持される。つまり、弁体保持リング62がパイプ保持筒61に保持された状態でも、ブリーザパイプ30は、パイプ本体31がパイプ保持凹所62eで保持されるように、フィラーパイプ20に収容可能である。また、パイプ本体31のパイプ外郭と外輪環62aの外郭の弧状ラインとの間隙、および、パイプ本体31のパイプ外郭とパイプ保持凹所62eの側壁との間隙は、僅か2~3mm程に過ぎない。
【0015】
パイプ保持筒61は、弁体保持リング62を、パイプ保持凹所62eが流路軸21cに対して鉛直上方側に位置するように、外輪環62aで保持する。これにより、パイプ保持凹所62eの位置関係が規定されるので、パイプ本体31を保持するパイプ保持凹所62eは、燃料流路21の流路軸21c回りにパイプ保持筒61に対して位置決めされることになる。また、弁体保持リング62を保持したパイプ保持筒61がパイプ収容管体部22に圧入されると、パイプ本体31を保持するパイプ保持凹所62eは、フィラーパイプ20に対しても流路軸21c回りに位置決めされる。パイプ保持凹所62eへのパイプ本体31の保持手順や、弁体保持リング62を保持したパイプ保持筒61の組み付け手順については、後述する。なお、弁体保持リング62の保持の際、弁体保持リング62を外輪環62aでカシメ固定するようにしてもよい。
【0016】
逆止弁63は、弁体63aを耐油性樹脂の一体成形品として備え、弁体63aに、切欠凹所63cを有する。そして、この逆止弁63は、鉛直方向に対して傾斜して弁座環62bと弁座凹壁部62dで形成された弁座62fに、弁体63aをその自重により当接させて燃料流路21を閉鎖する。給油過程においては、逆止弁63は、給油される燃料に弁体63aが押されて燃料流路21を開放する。また、逆止弁63は、燃料に液没している状態では、燃料タンクFTの燃料に押されて弁体63aを弁座62fに当接させ、燃料流路21を閉鎖する。切欠凹所63cは、回動軸63bの側から弁体63aを切り欠いて形成され、逆止弁63は、この切欠凹所63cにより、弁体63aを、図3に示すようにパイプ保持凹所62eに保持されたブリーザパイプ30と干渉させない。逆止弁63は、弁体保持リング62の弁体支持腕62cに軸支された回動軸63bを中心に弁体63aを回動させるが、この回動の過程においても、弁体63aをパイプ保持凹所62eに保持されたブリーザパイプ30と干渉させない。切欠凹所63cがパイプ接続腕部41bに接触した時点で弁体63aの回動は終了し、この時点において、逆止弁63は、燃料流路21を全開放する。よって、それ以降の給油過程において、燃料は支障なく燃料タンクFTに送り込まれる。この逆止弁63の組み付け手順についても、後述する。なお、弁座62fを、流路軸21cに対して直交する弁座として、非給油時において、逆止弁63を、その弁体63aが弁座62fから離間するようにしてもよい。
【0017】
ブリーザパイプ30は、図2に示すように、パイプ本体31の末端に、先端部40を備える。先端部40は、タンク内蒸気を燃料流路21に導くパイプ本体31とは別体に構成され、パイプ本体31に組み付けられている。そして、この先端部40は、パイプ本体31の側から、パイプ接続部41と、第1先端部42と、第2先端部43とを有する。パイプ接続部41は、接続部本体41aと、パイプ接続腕部41bとを有し、各部は、耐油性樹脂を用いて一体成形されている。パイプ接続腕部41bは、接続部本体41aから連続した多数の腕部として構成され、パイプ接続部41の貫通孔41cに連続した腕部位貫通孔41eを取り囲む。パイプ接続腕部41bは、先端にパイプ埋没部41dを備える。このパイプ埋没部41dは、パイプ接続腕部41bがパイプ本体31のパイプ流路31aに定位置まで挿入された際に、パイプ本体31のパイプ壁に埋没して、パイプ接続部41を、パイプ本体31のパイプ流路軸31bの軸回りに位置決めする。
【0018】
第1先端部42と第2先端部43とは、耐油性樹脂を用いた一体成形品である。第1先端部42は、パイプ接続部41の貫通孔41cに挿入されて、接着剤、或いは熱溶着により、パイプ接続部41と一体とされる。第1先端部42は、第1先端部42の管路体部位に亘って第1ブリーザ流路42aを有し、外周壁に係合凸部44を有する。この係合凸部44は、第1先端部42の第1ブリーザ流路42a回りに点在する。第1先端部42が挿入されて一体となるパイプ接続部41は、貫通孔41cに、係合凸部44と等ピッチで溝状の係合凹部41fを備える。よって、貫通孔41cへの第1先端部42の挿入に伴って係合凸部44が係合凹部41fに係合するので、係合凸部44は、パイプ接続部41に対して、第1先端部42および第2先端部43を第1ブリーザ流路42aの流路軸回りに位置決めする。
【0019】
第2先端部43は、第1先端部42に連続して形成され、その管路体部位に亘って第2ブリーザ流路43aを有する。この第2ブリーザ流路43aは、第1先端部42の第1ブリーザ流路42aと連続するが、その様子については後述する。この他、第1先端部42は、第2先端部43との連続箇所に、弁座形成部45と、この弁座形成部45を貫通して第1ブリーザ流路42aに達する排液孔46と、排液孔46を開閉する開閉弁47と、この開閉弁47を回動自在に軸支する弁体支持腕48とを有する。弁座形成部45と弁体支持腕48は、第1先端部42と一体に成形される。開閉弁47は、弁体47aと回動軸47bとを、燃料より軽比重の耐油性樹脂を用いて一体成形した成形品である。そして、この開閉弁47は、回動軸47bが弁体支持腕48に軸支されることで、この回動軸47bを中心に回動し、排液孔46を開閉する。つまり、開閉弁47は、自重により回動軸47bを中心に駆動(回動)することで弁座形成部45の弁座45aから離れて排液孔46を開放する。その一方、給油過程においては、弁座形成部45の周辺に到達した燃料から浮力を受けて排液孔46を閉鎖する。開閉弁47による排液孔46の開閉の様子については、燃料タンクFTへの組み付け状態と合わせて後述する。
【0020】
次に、フィラーパイプ20にブリーザパイプ30を収容した燃料給油機構10を得る手順について説明する。こうした燃料給油機構10を得るに当たり、まず、フィラーパイプ20を、その蛇腹部が縮んだ短寸の直管状のパイプ形態とする。そして、このフィラーパイプ20に、リキッドシール32を介して、ブリーザパイプ30のパイプ本体31を、その上流端33の側で固定する。これにより、ブリーザパイプ30のパイプ本体31がフィラーパイプ20に収容される。この際、上流端33が、燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付け状態において、満タン液位FL1より上になるよう、リキッドシール32を介した固定がなされる。この状態において、パイプ本体31は、フィラーパイプ20のパイプ収容管体部22からパイプ端部を突出させている。なお、ブリーザパイプ30が予めパイプ本体31を所定経路で屈曲させた形態であれば、フィラーパイプ20もブリーザパイプ30の収容域範囲においては、パイプ本体31の経路に倣って予め屈曲される。
【0021】
次いで、逆止弁保持部60の弁体保持リング62によるブリーザパイプ30の保持プロセス、並びに、短寸で直管状のフィラーパイプ20に収容済みのパイプ本体31への先端部40の組み付けプロセスを行う。図4は先端部40の組み付けプロセスとブリーザパイプ30の保持プロセスとを説明する説明図である。
【0022】
図4に示すように、ブリーザパイプ30の保持プロセスでは、弁体63aの回動軸63bを弁体保持リング62に軸支するプロセスP10と、弁体保持リング62をパイプ保持筒61のリング保持環61bで保持・固定するプロセスP11と、弁体保持リング62を保持・固定済みのパイプ保持筒61をフィラーパイプ20のパイプ収容管体部22に圧入・固定するプロセスP12とが実行される。なお、プロセスP10を行う以前においては、ブリーザパイプ30は、フィラーパイプ20における燃料流路21の流路軸21cに対して、ほぼ鉛直方向の上方側に位置するように仮保持済みである。
【0023】
プロセスP11においては、パイプ保持凹所62eの間隔が狭くなるよう弁体保持リング62を一旦幅方向に縮め、この状態で、弁体保持リング62の外輪環62aを、パイプ保持筒61のリング保持環61bに差し込む。次いで、弁体保持リング62の幅方向の縮みを解く。これにより、弁体保持リング62は、外輪環62aがリング保持環61bの内周壁面に密着する状態で、外輪環62aにおいてリング保持環61bで保持・固定される。この場合、パイプ保持凹所62eをパイプ保持筒61に対して位置決めできるよう、リング保持環61bに弁体保持リング62の組込目印を設けておくようにしてもよい。プロセスP12は、フィラーパイプ20のパイプ収容管体部22から、パイプ本体31が流路軸21cに対して鉛直方向の上方側でパイプ端部を突出させている状態でなされ、このパイプ本体31を、弁体保持リング62のパイプ保持凹所62eに差し込んで、パイプ保持凹所62eで保持する。また、プロセスP12では、パイプ本体31がパイプ保持凹所62eに保持済みの状態で、パイプ保持筒61がパイプ収容管体部22に圧入・固定される。これにより、逆止弁保持部60は、パイプ本体31を、弁座凹壁部62dで保持済みの状態で、フィラーパイプ20に対して流路軸21c回りに位置決めして固定する。
【0024】
図4に示すように、パイプ本体31への先端部40の組み付けプロセスでは、開閉弁47の回動軸47bを弁体支持腕48に軸支するプロセスP20と、第1先端部42をパイプ接続部41の貫通孔41cに圧入・固定するプロセスP21と、第1先端部42が固定済みのパイプ接続部41をパイプ本体31のパイプ流路31aに圧入・固定するプロセスP22とが実行される。
【0025】
プロセスP21では、既述したように、係合凸部44がパイプ接続部41の係合凹部41fに係合するように、第1先端部42がパイプ接続部41に圧入・固定される。これにより、第1先端部42とこれに連続した第2先端部43、および排液孔46を有する弁座形成部45は、パイプ接続部41のパイプ埋没部41dに対して腕部位貫通孔41e回りに位置決めされて、パイプ接続部41に固定される。また、プロセスP22では、第1先端部42と第2先端部43および弁座形成部45が位置決めして固定済みのパイプ接続部41は、パイプ埋没部41dがブリーザパイプ30のパイプ本体31のパイプ壁を拡張させてその拡張部に埋没することで、パイプ本体31のパイプ流路軸31bの軸回りに位置決めされる。こうして、第1先端部42を含む先端部40が、ブリーザパイプ30に位置決めして組み付けられることになる。この場合、ブリーザパイプ30のパイプ本体31を、パイプ埋没部41dの組み込み箇所周辺において蛇腹形状とし、この蛇腹形状の部位にパイプ埋没部41dを係合させることで、パイプ接続部41をパイプ本体31に固定するようにしてもよい。そして、パイプ本体31は、フィラーパイプ20の流路軸21c回りに逆止弁保持部60により位置決め済みであることから、先端部40の各部位は、フィラーパイプ20の流路軸21c回りに位置決めされて、フィラーパイプ20と一体となる。つまり、プロセスP22により、先端部40をパイプ端部に有するブリーザパイプ30がフィラーパイプ20に収容されてフィラーパイプ20とブリーザパイプ30とが一体化した燃料給油機構10が得られる。こうして得られた燃料給油機構10は、完成品として取り扱われ、管接続体50を用いて燃料タンクFTに組み付けられる。
【0026】
図5は燃料給油機構10の要部構成を燃料タンクFTに装着した状態で拡大視して示す断面図である。なお、図5においては、適宜な箇所につき端面視で示している。
【0027】
燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付けに用いる管接続体50は、接続フランジ51と、溶着脚52と、パイプ保持管53とを有する。接続フランジ51等の各部は、熱溶着が可能な耐油性樹脂を用いて一体成形されている。溶着脚52は、接続フランジ51の下面から突出した環状体であり、燃料タンクFTの壁面に当接した状態で、燃料タンクFTに熱溶着される。また、この溶着脚52は、一部部位、例えば図5に示す鉛直方向の上方側に、脚凸部54を有する。脚凸部54は、燃料タンクFTのタンク外壁に陥没形成された有底孔FThに、燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付けに伴い入り込む。脚凸部54は、有底孔FThに入り込むことにより燃料給油機構10を燃料タンクFTに対して位置決めする。この位置決めの様子については、燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付けと関連付けて後述する。
【0028】
パイプ保持管53は、接続フランジ51から突出した筒状体であり、燃料給油機構10を、フィラーパイプ20のパイプ収容管体部22において液密に保持する。このパイプ保持管53は、壁面に係合孔55を有する。係合孔55は、フィラーパイプ20がパイプ収容管体部22に有する係合突起23の形成ピッチと合致するように形成されている。よって、燃料給油機構10のフィラーパイプ20が先端部40の側からパイプ保持管53に挿入され、フィラーパイプ20のパイプ収容管体部22の係合突起23がパイプ保持管53の係合孔55に係合することで、ブリーザパイプ30が収容済みのフィラーパイプ20は、管接続体50に対して流路軸21c回りに位置決めされると共に、流路軸21cの軸方向に沿っても位置決めされる。この場合、先端部40は、既述したようにブリーザパイプ30に位置決めして組み付け済みである。よって、パイプ保持管53の係合孔55への係合突起23の係合に伴い、先端部40は、管接続体50に対して流路軸21c回りに位置決めされる。なお、パイプ収容管体部22の外周には、パイプ保持管53へのフィラーパイプ20の挿入前に、Oリング25が装着済みである。よって、フィラーパイプ20は、既述したように位置決めされた上で、液密に管接続体50に組み付けられることになる。このフィラーパイプ20の組み付けにより、燃料給油機構10は、管接続体50と一体となって、タンク装着の作業者やタンク装着機器に取り扱われる。
【0029】
燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付けは、管接続体50と一体となった燃料給油機構10を取り扱って行うことが可能なほか、管接続体50と燃料給油機構10とを個別に取り扱って行うことも可能である。管接続体50と一体となった燃料給油機構10を取り扱う場合の組み付けは、以下のようになされる。まず、管接続体50に既述したように位置決めして組み付け済みの燃料給油機構10を、先端部40の側からタンク開口FTaに挿入する。この挿入は、管接続体50の脚凸部54が燃料タンクFTの有底孔FThに入り込み、管接続体50の溶着脚52が燃料タンクFTの壁面に当接するまで、なされる。そして、溶着脚52が燃料タンクFTの壁面に当接した状態で、溶着脚52を燃料タンクFTに熱溶着する。この熱溶着により、燃料タンクFTへの燃料給油機構10の組み付けが完了する。この場合、有底孔FThへの脚凸部54の入り込みにより、管接続体50は、燃料タンクFTに対して位置決めされる。また、管接続体50に対して既述したように位置決め済みの燃料給油機構10も、燃料タンクFTに対して位置決めされる。
【0030】
管接続体50と燃料給油機構10とを個別に取り扱う場合の組み付けは、以下のようになされる。まず、管接続体50のパイプ保持管53を、タンク開口FTaに挿入する。この挿入は、脚凸部54が燃料タンクFTの有底孔FThに入り込み、溶着脚52が燃料タンクFTの壁面に当接するまで、なされる。そして、溶着脚52が燃料タンクFTの壁面に当接した状態で、溶着脚52を燃料タンクFTに熱溶着する。有底孔FThへの脚凸部54の入り込みにより、管接続体50は、燃料タンクFTに対して位置決めされる。次いで、位置決めと熱溶着が済んだ管接続体50のパイプ保持管53に、燃料給油機構10を先端部40の側から挿入し、フィラーパイプ20のパイプ収容管体部22の係合突起23をパイプ保持管53の係合孔55に係合させる。係合孔55への係合突起23の係合により、燃料給油機構10は、既に燃料タンクFTに対して位置決め済みの管接続体50を介して、燃料タンクFTに対して位置決めされる。
【0031】
こうして位置決めされた燃料給油機構10では、図5に示すように、先端部40における第1先端部42の第1ブリーザ流路42aは、燃料流路21のタンク内側開口から燃料タンクFT内において鉛直方向に交差する方向に沿って下方側に延びる。また、第1先端部42に連続した第2先端部43の第2ブリーザ流路43aは、第1ブリーザ流路42aの末端から燃料タンクFT内において鉛直方向に交差する方向に沿って上方側に延びる。そして、燃料給油機構10は、既述した各部位の位置決めにより、第1先端部42を含む先端部40の姿勢を保持する。その上で、最下端部位49は、第1ブリーザ流路42aから第2ブリーザ流路43aに掛けてのブリーザ流路40aにおける鉛直下方向の最下端部位49に、位置する。本実施形態の燃料給油機構10では、最下端部位49は、第1ブリーザ流路42aと第2ブリーザ流路43aの接続箇所となる。なお、第2ブリーザ流路43aを、第1ブリーザ流路42aの末端から鉛直方向に沿って上方側に延びるようにしてもよい。
【0032】
燃料給油機構10は、燃料タンクFT内において鉛直方向に交差する方向に沿って上方側に延びる第2ブリーザ流路43aの開口端の高さを、燃料タンクFTの満タン液位FL1と一致させている。よって、燃料タンクFTの燃料液位FLが満タン液位FL1より低い給油過程において、燃料給油機構10は、タンク内の蒸気を、第2ブリーザ流路43aからブリーザ流路40aを経てブリーザパイプ30のパイプ流路31aに流し込み、このパイプ流路31aから燃料流路21に導く。また、給油過程において、逆止弁63の弁体63aは、燃料流路21を通過する燃料によりタンク内側に押される。よって、弁体63aは、回動軸63bを中心に回動し、図中に二点鎖線で示すように燃料流路21を全開放し、これにより、燃料は支障なく燃料タンクFTに送り込まれる。この他、燃料液位FLが最下端部位49に達するまでの給油過程において、開閉弁47の弁体47aは、自重により、回動軸47bを中心に回動して、図中に二点鎖線で示すように垂れ下がり、排液孔46を開放している。
【0033】
給油が進んで燃料液位FLが垂れ下がった弁体47aまで達すると、それ以降の給油過程において、開閉弁47の弁体47aは、燃料から浮力を受けて、回動軸47bを中心に弁座形成部45の弁座45aの側に回動する。そして、燃料液位FLが最下端部位49に達すると、開閉弁47の弁体47aは、弁座45aに当接して、排液孔46を閉鎖する。
【0034】
更に給油が進んで燃料液位FLが満タン液位FL1に達すると、給油された燃料に先端部40における第2先端部43が液没して、ブリーザ流路40aが第2ブリーザ流路43aにおいて塞がれる。これにより、燃料タンクFTの内圧が上昇し、この内圧上昇により、給油ガンのオートストップが作動して、給油が停止される。
【0035】
以上説明した本実施形態の燃料給油機構10において、給油された燃料を燃料タンクFTに導く燃料流路21を有するフィラーパイプ20に、給油過程においてタンク内蒸気を燃料流路21に導くブリーザパイプ30が収容され、両部材が一体化する。このため、本実施形態の燃料給油機構10によれば、燃料タンクFTへの装着作業を含めた取扱いの便を高めることができる。
【0036】
本実施形態の燃料給油機構10において、燃料流路21の開口領域のうち、燃料の通過域となるのは、流路開口から燃料タンクFTの内部に突出するブリーザパイプ30の収容領域を除いた残余の領域である。本実施形態の燃料給油機構10では、流路開口を開閉する逆止弁63の弁体63aに設けた切欠凹所63cが燃料タンクFT内にブリーザパイプ30を開口から突出させるので、弁体63aとブリーザパイプ30の先端部40、詳しくはパイプ接続腕部41bとの干渉は起きない。このため、本実施形態の燃料給油機構10によれば、ブリーザパイプ30の収容領域を除いた残余の領域のほぼ全域を燃料の通過域として確保できるので、給油性の低下を抑制できる。また、本実施形態の燃料給油機構10によれば、ブリーザパイプ30の収容領域を除いた残余の領域である燃料の通過域において、逆止弁63により燃料の逆流を抑制できる。
【0037】
本実施形態の燃料給油機構10において、逆止弁63の弁体63aを、燃料流路21の流路軸21cより上方側で軸支された回動軸63bを中心に回動するようにした。よって、本実施形態の燃料給油機構10によれば、弁体63aが燃料流路21の流路軸21cより上方側に位置する回動軸63bを中心に回動するという簡便な弁構成で、燃料の逆流を抑制できる。
【0038】
本実施形態の燃料給油機構10において、ブリーザパイプ30を、流路軸21cの流路軸より上方側の開口上端で燃料タンクFT内部に突出させ、逆止弁63を、切欠凹所63cが、流路軸21cの流路軸より上方側の回動軸63bで軸支する。よって、本実施形態の燃料給油機構10によれば、回動軸63bの軸支側とブリーザパイプ30の収容側が流路軸より共に上方側となるので、回動軸63bの軸支作業とブリーザパイプ30の収容作業を同じ側ででき、簡便となる。
【0039】
本実施形態の燃料給油機構10において、ブリーザパイプ30の先端部40が燃料タンクFTの内部に突出しているので、給油済みの燃料が先端部40におけるブリーザ流路40aに残留し得る。しかしながら、燃料の消費が進んで燃料液位FLがブリーザ流路40aにおける最下端部位49より下がると、本実施形態の燃料給油機構10では、最下端部位49に設けた開閉弁47の弁体47aが自重により回動軸47bを中心に回動して、排液孔46を開放する。このため、ブリーザ流路40aに燃料が残留しても、この残留していた燃料は、全て、排液孔46からタンク内に落下する。この場合、第1ブリーザ流路42aが排液孔46に向けて下方側に傾斜しているので、第1ブリーザ流路42aからも残留燃料はタンク内に落下する。よって、新たな給油は、先端部40のブリーザ流路40aに燃料が全くない状態でなされるので、本実施形態の燃料給油機構10によれば、給油過程における蒸気排出を確保することができる。
【0040】
本実施形態の燃料給油機構10では、給油過程において燃料液位FLが最下端部位49に達すると、それまで排液孔46を開放していた開閉弁47の弁体47aは、この最下端部位49に到達した燃料から受ける浮力により駆動されて、排液孔46を閉鎖する。よって、本実施形態の燃料給油機構10によれば、給油過程において燃料を排液孔46からブリーザ流路40aに入り込まないようにできるので、給油過程における蒸気排出をより確実に確保できる。
【0041】
本実施形態の燃料給油機構10においては、先端部40が、タンク内蒸気を燃料流路21に導くパイプ本体31とは別体に用意された上で、この別体の先端部40がパイプ本体31に組み付けられる。図5に示すように、先端部40における第2先端部43は、第1先端部42から連続して鉛直方向に交差する方向に沿って上方側に傾斜して延び、給油燃料の満タン液位FL1を規定する。このため、第2先端部43の長さや第1先端部42に対する傾斜程度を変えれば、満タン液位FL1の調整が可能となる。こうしたことから、第2ブリーザ流路43aの流路長や傾斜程度が異なる先端部40を準備し、準備した先端部40を満タン液位FL1に応じて使い分ければ、各種タンク仕様の燃料タンクに本実施形態の燃料給油機構10を適用でき、汎用性が高まる。
【0042】
他の実施形態:
上記の実施形態では、排液孔46をブリーザ流路40aにおける鉛直下方向の最下端部位49に設けたが、排液孔46を最下端部位49以外としてもよい。例えば、図5に示した第1先端部42の第1ブリーザ流路42aにおいて、流路の略中央付近に排液孔46と開閉弁47を設けてもよい。第1ブリーザ流路42aの略中央付近に設けた排液孔46は、最下端部位49ではないものの、ブリーザ流路40aにおける鉛直下方向の下端部位であることから、ブリーザ流路40aに燃料が残留しても、この残留していた燃料のほとんどを排液孔46からタンク内に落下させる。よって、第1ブリーザ流路42aの略中央付近に排液孔46と開閉弁47を設けた形態の燃料給油機構10では、第1先端部42と第2先端部43との連続箇所に若干の燃料しか残留し得ず、この残留燃料によりブリーザ流路40aが塞がれるようなことはない。この結果、第1ブリーザ流路42aの略中央付近に排液孔46と開閉弁47を設けた形態の燃料給油機構10によっても、新たな給油を、先端部40のブリーザ流路40aに燃料がほぼない状態で実行でき、給油過程における蒸気排出を確保することができる。
【0043】
上記の実施形態では、排液孔46を開閉弁47により開閉するが、開閉弁47を設けずに、排液孔46のみを有する形態としてもよい。この形態の燃料給油機構10においても、給油済みの燃料が先端部40におけるブリーザ流路40aに残留していれば、その残留した燃料を、燃料の消費が進んで燃料液位FLが最下端部位49より下がると、排液孔46からタンク内に落下させる。よって、新たな給油は、先端部40のブリーザ流路40aに燃料がほとんどない状態でなされるので、排液孔46のみを有する形態の燃料給油機構10によっても、給油過程における蒸気排出を確保することができる。
【0044】
排液孔46のみを有する形態の燃料給油機構10では、給油過程において排液孔46から燃料がブリーザ流路40aに入り込み得る。ところが、フィラーパイプ20の燃料流路21から燃料タンクFTへの燃料の入り込み量は、排液孔46からブリーザ流路40aへの燃料の入り込み量より格段に大きい。よって、給油された燃料は、排液孔46からブリーザ流路40aに入り込んだ燃料がブリーザ流路40aを塞ぐように貯まる前に、先端部40における第2先端部43を液没させる。この液没により、燃料タンクFTの内圧が上昇し、この内圧上昇により、給油ガンのオートストップが作動して、給油が停止される。この給油停止により、それ以降において燃料が給油されないので、燃料が第2ブリーザ流路43aからブリーザ流路40aに流れ込まず、ブリーザ流路40aが燃料で塞がれない。この結果、排液孔46のみを有する形態の燃料給油機構10によっても、給油過程における蒸気排出に支障を起こさない。
【0045】
上記の形態の燃料給油機構10では、ブリーザパイプ30を、燃料流路21において、流路軸21cより上方側の開口上端で燃料タンクFT内部に突出させたが、ブリーザパイプ30を流路軸21cより下方側の開口下端で燃料タンクFT内部に突出させてもよい。この場合には、切欠凹所63cを、流路軸21cに対して回動軸63bと対称となる側に形成すれば良い。
【0046】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
10…燃料給油機構、20…フィラーパイプ、21…燃料流路、21c…流路軸、22…パイプ収容管体部、23…係合突起、25…Oリング、30…ブリーザパイプ、31…パイプ本体、31a…パイプ流路、31b…パイプ流路軸、32…リキッドシール、33…上流端、40…先端部、40a…ブリーザ流路、41…パイプ接続部、41a…接続部本体、41b…パイプ接続腕部、41c…貫通孔、41d…パイプ埋没部、41e…腕部位貫通孔、41f…係合凹部、42…第1先端部、42a…第1ブリーザ流路、43…第2先端部、43a…第2ブリーザ流路、44…係合凸部、45…弁座形成部、45a…弁座、46…排液孔、47…開閉弁、47a…弁体、47b…回動軸、48…弁体支持腕、49…最下端部位、50…管接続体、51…接続フランジ、52…溶着脚、53…パイプ保持管、54…脚凸部、55…係合孔、60…逆止弁保持部、61…パイプ保持筒、61b…リング保持環、62…弁体保持リング、62a…外輪環、62b…弁座環、62c…弁体支持腕、62d…弁座凹壁部、62e…パイプ保持凹所、62f…弁座、63…逆止弁、63a…弁体、63b…回動軸、63c…切欠凹所、FL…燃料液位、FL1…満タン液位、FT…燃料タンク、FTa…タンク開口、FTh…有底孔
図1
図2
図3
図4
図5