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特許7124795電子部品モジュール、電子部品ユニット、および、電子部品モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】電子部品モジュール、電子部品ユニット、および、電子部品モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220817BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20220817BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20220817BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20220817BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220817BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20220817BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20220817BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220817BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220817BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220817BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01G2/08 A
H01G4/40 A
H01G17/00
H01G2/02 101E
H01G2/10 K
H01G4/224 100
H05K7/20 F
H01L25/04 C
H01L25/00 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019119677
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021005674
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠輝
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227472(JP,A)
【文献】特開2012-028560(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181708(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/235715(WO,A1)
【文献】特開2017-143227(JP,A)
【文献】特開2015-176942(JP,A)
【文献】特開2008-211043(JP,A)
【文献】特開2012-028484(JP,A)
【文献】特開2005-203633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/00-2/12
H01G 2/22-4/10
H01G 4/14-4/22
H01G 4/224
H01G 4/255-4/40
H01G 13/00-17/00
H01L 21/54
H01L 23/00-23/04
H01L 23/06-23/10
H01L 23/16-23/31
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H01L 25/00-25/07
H01L 25/10-25/11
H01L 25/16-25/18
H05K 1/00-1/02
H05K 7/20-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に実装され、発熱素子である第1電子部品と、
第1面および該第1面とは反対側に位置する第2面を有する素体、前記第1面から前記第2面に連続して設けられた第1端子電極、並びに、前記第1面から前記第2面に連続して設けられ、前記第1端子電極とは電位的に独立した第2端子電極を含み、前記第1面が前記基板に対向した状態で前記基板に実装された第2電子部品と、
前記第1端子電極および前記第2端子電極の両方に接続されるように前記第2電子部品の前記第2面に設けられた伝熱部と、
前記第1端子電極および前記第2端子電極並びに前記伝熱部を介して前記基板に接続された放熱部と、
を備え
前記伝熱部は、平板状の部材で構成されており、
前記放熱部は、前記第1端子電極および前記第2端子電極の各々の前記第2面上に位置する部分に前記伝熱部を介して接続された導電膜で構成されている、電子部品モジュール。
【請求項2】
前記第1電子部品および前記第2電子部品を埋め込むように前記基板上に設けられた樹脂部をさらに備え、
前記伝熱部は、前記樹脂部より熱伝導率が高い高熱伝導部材を含み、
前記放熱部は、前記樹脂部より熱伝導率が高い、請求項1に記載の電子部品モジュール。
【請求項3】
前記第1電子部品および前記第2電子部品の各々は、前記基板の一方の主面上に実装されている、請求項1または請求項2に記載の電子部品モジュール。
【請求項4】
前記第2電子部品は、前記基板の一方の主面上に実装されており、
前記第1電子部品は、前記基板の他方の主面上に実装されている、請求項1または請求項2に記載の電子部品モジュール。
【請求項5】
前記第1電子部品と前記第2電子部品とは、前記基板の表面および内部の少なくとも一方に設けられた配線パターンによって互いに電気的に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項6】
前記第1電子部品は、能動部品であり、
前記第2電子部品は、受動部品である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項7】
前記第2電子部品は、積層セラミックコンデンサである、請求項6に記載の電子部品モジュール。
【請求項8】
前記伝熱部は、前記第2電子部品の第2面側において、前記第1端子電極、前記第2端子電極、および、前記第1端子電極と前記第2端子電極との間に位置する部分の前記素体の各々と接している、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項9】
前記高熱伝導部材は、平板状の絶縁性部材で構成されており、かつ、接着層を介して前記第1端子電極および前記第2端子電極の各々に接続されている、請求項2に記載の電子部品モジュール。
【請求項10】
前記高熱伝導部材は、平板状の金属部材で構成されており、かつ、絶縁性接着層を介して前記第1端子電極および前記第2端子電極の各々に接続されている、請求項2に記載の電子部品モジュール。
【請求項11】
前記第2電子部品として、複数の第2電子部品を備え、
前記複数の第2電子部品のうちの2つ以上の第2電子部品における、前記第1端子電極および前記第2端子電極の各々は、1つの前記伝熱部に接続されている、請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の電子部品モジュール。
【請求項12】
発熱素子である第1電子部品を基板に実装する工程と、
第1面および該第1面とは反対側に位置する第2面を有する素体、前記第1面から前記第2面に連続して設けられた第1端子電極、並びに、前記第1面から前記第2面に連続して設けられ、前記第1端子電極と電位的に独立した第2端子電極を含み、かつ、前記第1端子電極および前記第2端子電極の両方に接続されるように伝熱部が前記第2面に設けられた第2電子部品を、前記第1面が前記基板に対向した状態で前記基板に実装する工程と、
前記第1端子電極および前記第2端子電極並びに前記伝熱部を介して前記基板に接続される放熱部を設ける工程と、
を備え
前記伝熱部は、平板状の部材で構成されており、
前記放熱部は、前記第1端子電極および前記第2端子電極の各々の前記第2面上に位置する部分に前記伝熱部を介して接続された導電膜で構成されている、電子部品モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記第1電子部品を前記基板に実装する工程、および、前記第2電子部品を前記基板に実装する工程の後に、前記第1電子部品および前記第2電子部品を埋め込むように樹脂部を設ける工程をさらに備える、請求項1に記載の電子部品モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記樹脂部を設ける工程において、前記伝熱部の高さ寸法よりも高くなるように設けられた前記樹脂部とともに前記伝熱部の一部を研削することによって、前記伝熱部を前記樹脂部の表面に露出させる、請求項1に記載の電子部品モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品モジュール、電子部品ユニット、および、電子部品モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品モジュールの構成を開示した先行文献として、特開2018-88460号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された電子部品モジュールは、配線基板と、電子部品と、封止樹脂層と、外部端子電極と、第1のシールド層と、第2のシールド層とを備える。
【0003】
配線基板は、一方主面と他方主面とを有する。電子部品は、一方主面に実装されている。封止樹脂層は、一方主面と電子部品とを封止している。第1のシールド層は、配線基板および封止樹脂層における外部端子電極の配置面以外の面を被覆している。第2のシールド層は、外部端子電極を隔離するように外部端子電極の配置面を被覆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-88460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線基板に実装された電子部品である実装部品にCPU(Central Processing Unit)またはパワーアンプなどの発熱素子が含まれている場合、発熱素子自体または発熱素子の近くに配置された他の電子部品の電気特性が、発熱素子にて発生した熱の影響を受けて劣化する場合がある。特に、これらの実装部品が樹脂層に封止されている場合は、熱の影響が大きくなる。発熱素子からの熱を伝熱して放熱させるために、発熱素子の天面にヒートシンクが設けられる場合がある。この場合、発熱素子の発熱量が大きいこと、または、電子部品モジュールが薄型化されることにより、ヒートシンクによって十分に放熱できないことがある。また、発熱素子の種類によっては、発熱素子の天面にヒートシンクを設けられない場合もある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、発熱素子の発熱量が大きい場合、電子部品モジュールが薄型化された場合、または、発熱素子の天面にヒートシンクを設けられない場合においても、発熱素子にて発生した熱を効果的に放熱させて、発熱素子自体または発熱素子の近くに配置された他の電子部品の電気特性の劣化を抑制することができる、電子部品モジュールおよび、その製造方法を提供することを目的とする。また、この電子部品モジュールおよびその製造方法に利用可能な電子部品ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面に基づく電子部品モジュールは、基板と、第1電子部品と、第2電子部品と、伝熱部と、放熱部とを備える。第1電子部品は、発熱素子であり、基板に実装されている。第2電子部品は、素体、第1端子電極並びに第2端子電極を含む。素体は、第1面および上記第1面とは反対側に位置する第2面を有する。第1端子電極は、上記第1面から上記第2面に連続して設けられている。第2端子電極は、上記第1面から上記第2面に連続して設けられ、第1端子電極とは電位的に独立している。第2電子部品は、上記第1面が基板に対向した状態で基板に実装されている。伝熱部は、第1端子電極および第2端子電極の両方に接続されるように第2電子部品の第2面に設けられている。放熱部は、第1端子電極および第2端子電極並びに伝熱部を介して基板に接続されている。
【0008】
本発明の第2局面に基づく電子部品ユニットは、電子部品と、伝熱部とを備える。電子部品は、素体、第1端子電極並びに第2端子電極を含む。素体は、第1面および上記第1面とは反対側に位置する第2面を有する。第1端子電極は、上記第1面から上記第2面に連続して設けられている。第2端子電極は、上記第1面から上記第2面に連続して設けられ、第1端子電極とは電位的に独立している。伝熱部は、第1端子電極と第2端子電極とが互いに電位的に独立した状態を保持しつつ第1端子電極および第2端子電極の両方に接続されるように、電子部品の第2面に設けられている。
【0009】
本発明の第3局面に基づく電子部品モジュールの製造方法は、発熱素子である第1電子部品を基板に実装する工程と、第1面および上記第1面とは反対側に位置する第2面を有する素体、上記第1面から上記第2面に連続して設けられた第1端子電極、並びに、上記第1面から上記第2面に連続して設けられ、第1端子電極と電位的に独立した第2端子電極を含み、かつ、第1端子電極および第2端子電極の両方に接続されるように伝熱部が第2面に設けられた第2電子部品を、第1面が基板に対向した状態で基板に実装する工程と、第1端子電極および第2端子電極並びに伝熱部を介して基板に接続される放熱部を設ける工程とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発熱素子の発熱量が大きい場合、電子部品モジュールが薄型化された場合、または、発熱素子の天面にヒートシンクを設けられない場合においても、発熱素子自体または発熱素子の近くに配置された他の電子部品の電気特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの構成を示す平面図である。
図2図1の電子部品モジュールのII-II線矢印方向から見た断面図である。
図3】本発明の実施形態1に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に、第1電子部品および第2電子部品の各々を実装している状態を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に、第1電子部品および第2電子部品の各々が実装された状態を示す側面図である。
図6】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に樹脂部が設けられた状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、樹脂部を基板側とは反対側から研削した状態を示す側面図である。
図8】本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールにおける伝熱経路を示す断面図である。
図9図8のIX部を拡大して示す断面図である。
図10】伝熱部が設けられていない比較例1に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図11】第1電子部品の近傍に1つの実施形態1に係る電子部品ユニットが配置された、実施例1に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図12図11の電子部品モジュールのXII部を拡大して示す斜視図である。
図13】第1電子部品の近傍に2つの実施形態1に係る電子部品ユニットが伝熱部の長手方向に並ぶように配置された、実施例2に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図14】第1電子部品の近傍に2つの実施形態1に係る電子部品ユニットが伝熱部の短手方向に並ぶように配置された、実施例3に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図15】第1電子部品の近傍に3つの実施形態1に係る電子部品ユニットが配置された、実施例4に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図16】第1電子部品の近傍に1つの第1変形例に係る電子部品ユニットが配置された、実施例5に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図17図16の電子部品モジュールのXVII部を拡大して示す斜視図である。
図18】第1変形例に係る電子部品ユニットを製造する際に、第2電子部品上に伝熱部が搭載される状態を示す正面図である。
図19】第1変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図20】直径が250μmのピンが設けられた比較例2に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図21】直径が300μmのピンが設けられた比較例3に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。
図22】第2変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
図23】第3変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
図24】第4変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
図25】第5変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図26】第6変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図27】第7変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図28】第8変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図29】第9変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図30】第10変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図31】第11変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図32】第12変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図33】第13変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す斜視図である。
図34】第14変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す斜視図である。
図35】第14変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図36】第15変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
図37】第16変形例に係る電子部品ユニットの構成を伝熱部側から見て示す分解斜視図である。
図38】第16変形例に係る電子部品ユニットの構成を第2電子部品側から見て示す分解斜視図である。
図39】本発明の実施形態2に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態に係る、電子部品モジュール、電子部品ユニット、および、電子部品モジュールの製造方法について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの構成を示す平面図である。図2は、図1の電子部品モジュールのII-II線矢印方向から見た断面図である。図3は、本発明の実施形態1に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100は、基板110と、第1電子部品120と、第2電子部品130,130bと、樹脂部150と、伝熱部140,140b,140pと、放熱部160とを備える。図1においては、樹脂部150および放熱部160は図示していない。また、図1においては、基板110に実装されている複数の電子部品のうちの一部の電子部品のみを図示している。
【0015】
基板110は、たとえば、低温同時焼成セラミックスまたはガラスエポキシ樹脂などで形成されている多層プリント基板である。基板110の一方の主面には、複数の表面電極111が形成されている。基板110の他方の主面には、複数の裏面電極112が形成されている。基板110の内部には、図示しない、グランド電極、複数種類の配線電極、および、複数のビア導体が形成されている。グランド電極は、基板110の側面から露出するように形成されており、放熱部160と電気的に接続されている。
【0016】
表面電極111、裏面電極112、グランド電極および配線電極の各々は、CuまたはAlなどの電気伝導率の高い金属で形成されている。ビア導体は、AgまたはCuなどの電気伝導率の高い金属で形成されている。表面電極111および裏面電極112の各々には、NiめっきおよびAuめっきの2層めっきなどのめっき処理が施されていてもよい。
【0017】
本実施形態においては、第1電子部品120および第2電子部品130,130bの各々は、基板110の一方の主面上に実装されている。すなわち、第1電子部品120および第2電子部品130,130bの各々は、導電性接合部170によって対応する表面電極111に接続されている。導電性接合部170は、たとえば、鉛フリーはんだである。
【0018】
図2に示すように、本実施形態においては、第1電子部品120と第2電子部品130とは、基板110の表面に設けられた配線パターンによって互いに電気的に接続されている。基板110の表面に設けられた配線パターンには、表面電極111が含まれる。第1電子部品120と第2電子部品130とは、基板110の内部に設けられた配線パターンによって互いに電気的に接続されていてもよい。基板110の内部に設けられた配線パターンには、グランド電極、複数種類の配線電極、および、複数のビア導体が含まれる。
【0019】
すなわち、第1電子部品120と第2電子部品130とは、基板110の表面および内部の少なくとも一方に設けられた配線パターンによって互いに電気的に接続されていてもよい。この配線パターンは、伝熱経路としても機能する。
【0020】
第1電子部品120は、自身の動作により発熱する発熱素子であり、基板110に実装されている。本実施形態においては、第1電子部品120は、能動部品である。第1電子部品120は、たとえば、パワーマネジメントIC(Integrated Circuit)などの半導体ICチップである。電子部品モジュール100は、複数の第1電子部品120を備えていてもよい。
【0021】
図3に示すように、第2電子部品130は、素体131、第1端子電極132および第2端子電極133を含む。素体131は、第1面131m1および第1面131m1とは反対側に位置する第2面131m2を有する。
【0022】
第1端子電極132は、第1面131m1から第2面131m2に連続して設けられている。第1端子電極132は、素体131の長手方向の一方側の端部の外表面を覆うように設けられている。第2端子電極133は、第1面131m1から第2面131m2に連続して設けられている。第2端子電極133は、素体131の長手方向の他方側の端部の外表面を覆うように設けられている。
【0023】
なお、第1端子電極132および第2端子電極133の各々は、第1面131m1から第2面131m2に電気的に連続して設けられて第1面131m1側と第2面131m2側とが同電位になる構成であればよく、必ずしも断面C字状の形状である必要はない。たとえば、第1端子電極132および第2端子電極133の各々は、第1面131m1に設けられた表面電極と第2面131m2に設けられた表面電極とが素体131内を通るビア導体によって互いに接続された構成であってもよい。ただし、伝熱経路としての特性に優れることから、第1端子電極132および第2端子電極133の各々は、本実施形態で示したような端面電極型の端子電極であることが好ましい。
【0024】
図2および図3に示すように、第2電子部品130は、第1面131m1が基板110に対向した状態で基板110に実装されている。
【0025】
本実施形態においては、第2電子部品130は、受動部品である。第2電子部品130は、チップインダクタ、チップコンデンサまたはチップ抵抗などのチップ部品であり、たとえば、積層セラミックコンデンサである。電子部品モジュール100は、複数の第2電子部品130を備えている。
【0026】
第2電子部品130においては、インダクタ、コンデンサまたは抵抗などの電子部品要素が素体131に内蔵されている。電子部品要素の一端が第1端子電極132に接続され、電子部品要素の他端が第2端子電極133に接続されていることにより、電子部品要素が第1端子電極132と第2端子電極133との間に直列に接続されている。よって、後述するように伝熱部140が第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続された際に、第1端子電極132と第2端子電極133とが伝熱部140を介して短絡しない限り、第1端子電極132と第2端子電極133とは、互いに電位的に独立した状態を保持することができる。
【0027】
第2電子部品130bは、第2電子部品130よりチップサイズが小さい点のみ異なり、第2電子部品130と同様の構成を有している。よって、第2電子部品130について説明した構成は、第2電子部品130bにも同様に適用することができる。
【0028】
図2に示すように、樹脂部150は、少なくとも第1電子部品120が埋め込まれるように基板110上に設けられている。本実施形態においては、樹脂部150は、基板110の一方の主面上に設けられている。第1電子部品120および第2電子部品130,130bの各々は、樹脂部150中に埋設されている。樹脂部150は、エポキシ樹脂などの封止樹脂として一般的に使用される樹脂で形成されている。樹脂部150の熱伝導率は、たとえば、0.3W/m・Kであり、0.4W/m・K以下である。なお、電子部品モジュール100が、基板110と、第1電子部品120と、第2電子部品130,130bと、伝熱部140,140b,140pと、放熱部160とを収容する、金属製の収容ケースを備えている場合には、必ずしも樹脂部150は設けられていなくてもよい。
【0029】
図2および図3に示すように、伝熱部140は、樹脂部150より熱伝導率が高い高熱伝導部材を含み、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続されるように設けられている。なお、電子部品モジュール100が樹脂部150を備えていない場合には、高熱伝導部材の熱伝導率は、一般的な封止樹脂の熱伝導率が含まれる範囲の上限である0.4W/m・Kより高ければよい。すなわち、高熱伝導部材は、一般的な封止樹脂よりも高い熱伝導性を有していればよい。
【0030】
本実施形態においては、伝熱部140は、熱伝導率が高く電気絶縁性を有するフィラーが添加された電気絶縁性を有する樹脂で形成されている。フィラーは、SiO、BaTiO、Alなどの酸化物、または、AlNなどの窒化物で構成されている。これらのフィラーは絶縁性フィラーであるが、第1端子電極132と第2端子電極133との間の絶縁性を確保できる範囲内の含有量の、銀または銅などの導電性フィラーが含まれていてもよい。樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂である。伝熱部140の熱伝導率は、たとえば、0.8W/m・Kである。本実施形態においては、上記フィラーが高熱伝導部材となる。
【0031】
伝熱部140は、上述したフィラーを含む樹脂ペーストを第2電子部品130上に塗布して硬化させることにより形成されている。その結果、図2および図3に示すように、伝熱部140は、第2電子部品130の基板110側とは反対側において、すなわち、第2電子部品130の第2面131m2側において、第1端子電極132、第2端子電極133、および、第1端子電極132と第2端子電極133との間に位置する部分の素体131の各々と接している。すなわち、伝熱部140は、第1端子電極132、第2端子電極133、および、素体131の第2面131m2の各々と接している。
【0032】
図3に示すように、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、すなわち、第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電位的に独立した状態を保持しつつ、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続されるように第2電子部品130の第2面131m2に伝熱部140が設けられることにより、電子部品ユニット10が構成されている。
【0033】
伝熱部140b,140pは、伝熱部140とは形状およびサイズのみ異なり、伝熱部140と同様の構成を有している。よって、伝熱部140について説明した構成は、伝熱部140b,140pにも同様に適用することができる。
【0034】
具体的には、伝熱部140は、1つの第2電子部品130に対応した形状およびサイズを有している。伝熱部140は、平面寸法が第2電子部品130と略同等の直方体形状を有している。伝熱部140bは、1つの第2電子部品130bに対応した形状およびサイズを有している。第2電子部品130および第2電子部品130bのサイズについては、たとえば、長手方向の長さが0.4mm以上1.6mm以下であり、短手方向の幅が0.2mm以上0.8mm以下であり、高さ方向の高さが0.2mm以上0.8mm以下である。
【0035】
伝熱部140pは、複数の第2電子部品130に対応した形状およびサイズを有している。図2に示すように、1つの伝熱部140pに、2つの第2電子部品130における、第1端子電極132および第2端子電極133の各々が接続されている。このように、複数の第2電子部品130のうちの2つ以上の第2電子部品130における、第1端子電極132および第2端子電極133の各々が、1つの伝熱部140pに接続されていることにより、電子部品ユニット10pが構成されている。
【0036】
たとえば、長手方向の長さが0.6mm以下であり、短手方向の幅が0.3mm以下であり、高さ方向の高さが0.3mm以下である、複数の小型サイズの第2電子部品130を1つの伝熱部140pに接続して電子部品ユニット10pを構成することにより、小型サイズの第2電子部品130を基板110に実装する際のハンドリングを容易にすることができる。
【0037】
図1および図2に示すように、伝熱部付き電子部品である電子部品ユニット10,10pが、第1電子部品120の近傍に配置されていることにより、発熱素子の近くに伝熱経路を設けることができるため、電子部品モジュール100の放熱性を向上することができる。また、第1電子部品120の近くに配置されている電子部品ユニット10,10pの方が、第1電子部品120の遠くに配置されている電子部品ユニット10,10pよりサイズが大きければ、発熱素子の近くに大きな伝熱経路を確保することができるため、電子部品モジュール100の放熱性をより向上させることができる。すなわち、伝熱性の同じあるいは異なる電子部品ユニットの配置位置および配列方向を調整することによって、伝熱経路の長さおよび方向を制御することができる。
【0038】
図2に示すように、放熱部160は、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140,140pを介して基板110に接続されている。放熱部160は、樹脂部150および伝熱部140,140b,140pを覆うように設けられている。本実施形態においては、樹脂部150の天面に伝熱部140,140b,140pが露出しており、伝熱部140,140b,140pと放熱部160とは、直接的に接している。
【0039】
本実施形態においては、放熱部160は、導電膜で構成されている。放熱部160は、樹脂部150より熱伝導率が高い。放熱部160は、Cu、AgまたはAlなどの導電性材料で形成されている。
【0040】
上記のように、放熱部160は、基板110のグランド電極と電気的に接続されている。放熱部160は、外部機器から放射される電磁波が電子部品モジュール100の第1電子部品120、第2電子部品130および配線電極などへ影響することを抑制するとともに、電子部品モジュール100から電磁波が外部へ漏洩することを抑制するための電磁シールドとしても機能する。なお、放熱部160は、シールドまたはグランドのような面積の広い金属薄膜に限られるものではなく、たとえば、金属フィン、ヒートシンク、ヒートパイプまたは放熱ファンといった放熱素子、もしくはその組み合わせを含む。
【0041】
ここで、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100の製造方法について説明する。
【0042】
まず、一方の主面に複数の表面電極111が形成され、他方の主面に複数の裏面電極112が形成されるとともに、内部に、グランド電極、複数種類の配線電極および複数のビア導体などが形成された基板110を準備する。表面電極111、裏面電極112、グランド電極および配線電極の各々は、CuまたはAlなどの金属を含有する導電性ペーストがスクリーン印刷などによって基板110上に印刷されることにより形成される。また、ビア導体は、レーザなどを用いて基板110にビアホールが形成された後、周知の方法によりビアホール内に導体が充填されることにより形成される。
【0043】
次に、基板110の一方の主面上に、第1電子部品120および伝熱部140付きの第2電子部品130の各々を実装する。図4は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に、第1電子部品および第2電子部品の各々を実装している状態を示す側面図である。図4においては、1つの電子部品モジュール100に相当する部分のみを図示しているが、同一基板に複数の電子部品モジュール100の構成部材が設けられた後、各々の電子部品モジュール100に個片化されてもよい。
【0044】
図4に示すように、複数の表面電極111の各々の上面には、クリームはんだなどの導電性接合部170が設けられている。第1電子部品120は、第1電子部品120における基板110側とは反対側の面をマウンタの吸着ノズル1に吸着保持された状態で、対応する表面電極111上に配置される。
【0045】
第2電子部品130には、基板110に実装される前に、高熱伝導部材を含む伝熱部140が設けられている。伝熱部140は、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続されている。図3に示すように、伝熱部140は、素体131の第2面131m2と面するように設けられている。
【0046】
図4に示すように、1つの第2電子部品130に1つの伝熱部140が設けられて、電子部品ユニット10が構成される。複数の第2電子部品130に亘って1つの伝熱部140pが設けられて、電子部品ユニット10pが構成される。
【0047】
電子部品ユニット10は、伝熱部140における第2電子部品130側とは反対側の面をマウンタの吸着ノズル1に吸着保持された状態で、対応する表面電極111上に配置される。電子部品ユニット10pは、伝熱部140pにおける第2電子部品130側とは反対側の面をマウンタの吸着ノズル1に吸着保持された状態で、対応する表面電極111上に配置される。これにより、図3および図4に示すように、第2電子部品130においては、素体131の第1面131m1が基板110に対向した状態で、基板110に実装される。
【0048】
図5は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に、第1電子部品および第2電子部品の各々が実装された状態を示す側面図である。リフローなどの加熱工程が行なわれることにより、図5に示すように、第1電子部品120および第2電子部品130の各々が基板110の一方の主面上に実装される。
【0049】
図6は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、基板の一方の主面上に樹脂部が設けられた状態を示す側面図である。基板110の一方の主面上に、液状、粉状またはシート状の、たとえばエポキシ樹脂などの樹脂を配置して硬化させることにより、樹脂部150を設ける。樹脂部150の形成方法として、塗布方式、印刷方式、コンプレッションモールド方式またはトランスファモールド方式などを用いることができる。
【0050】
なお、樹脂部150の熱膨張係数を、第1電子部品120および第2電子部品130の各々の熱膨張係数に近づけるために、シリカなどの無機フィラーが上記樹脂に含まれていてもよい。これにより、第1電子部品120および第2電子部品130の各々と樹脂部150との剥離の発生を抑制することができる。この無機フィラーは、樹脂部150の熱伝導率の向上にも寄与する。ただし、無機フィラーによって樹脂部150の伝熱性を大きく向上させるためには、無機フィラーの含有率を極めて高くする必要があるが、樹脂部150の流動性などの他の特性とのバランスを維持する観点から、無機フィラーの含有率を高めることにより樹脂部150の伝熱性を十分に大きくすることは困難である。
【0051】
図6に示すように、基板110に実装された第1電子部品120が埋め込まれるように、樹脂部150が設けられる。本実施形態においては、電子部品ユニット10および電子部品ユニット10pの各々も樹脂部150に埋め込まれるように、樹脂部150が設けられる。樹脂部150の熱伝導率は、伝熱部140に含まれる高熱伝導部材の熱伝導率より低い。本実施形態においては、樹脂部150は、一旦、伝熱部140の高さ寸法よりも高くなるように設けられる。
【0052】
図7は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法において、樹脂部を基板側とは反対側から研削した状態を示す側面図である。図7に示すように、樹脂部150を基板110側とは反対側からグラインダなどを用いて研削する。本実施形態においては、樹脂部150とともに伝熱部140,140pの一部を研削する。
【0053】
伝熱部140の高さ寸法よりも高くなるように設けられた樹脂部150を基板110側とは反対側から研削することにより、電子部品ユニット10の伝熱部140、および、電子部品ユニット10pの伝熱部140pの各々が、樹脂部150から露出する。樹脂部150とともに伝熱部140,140pの一部を研削することにより、伝熱部140,140pをより確実に樹脂部150から露出させることができるとともに、伝熱部140,140pを薄くして伝熱部140,140pの熱抵抗を低下させることができる。
【0054】
次に、ダイシングなどにより基板110が切断されることによって、各々の電子部品モジュール100に対応するように個片化される。
【0055】
その後、樹脂部150および伝熱部140,140pを覆うように、導電性ペーストを塗布、導電性材料を蒸着、または、導電性材料をスパッタリングすることにより、放熱部160を形成する。その結果、図2に示すように、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140,140pを介して基板110に接続されるように放熱部160が形成される。放熱部160の熱伝導率は、樹脂部150の熱伝導率より高い。
【0056】
上記の工程により、図2に示すように、電子部品モジュール100が製造される。
【0057】
図8は、本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールにおける伝熱経路を示す断面図である。図9は、図8のIX部を拡大して示す断面図である。図8においては、図2と同一の断面視にて示している。また、電子部品モジュール100の一部の構成を図示していない。図8および図9に示す矢印は熱の伝わる経路を示しており、矢印の太さは伝わる熱の大きさを示している。
【0058】
図8および図9に示すように、発熱素子である第1電子部品120から発生した熱は、基板110の表面に設けられた配線パターン、および、基板110の内部に設けられた配線パターン113を通じて、第2電子部品130に伝わる。なお、この熱の一部は、基板110の内部に設けられた配線パターン113を通じて、裏面電極112に伝えられる。第2電子部品130に伝わった熱は、主に、素体131に比べて熱伝導率の高い第1端子電極132および第2端子電極133を介して、伝熱部140,140pに伝わる。伝熱部140,140pに伝わった熱は、放熱部160に伝わって放熱部160から空気中に放熱される。なお、第2電子部品130に伝わった熱の一部は、素体131を介して伝熱部140,140pに伝えられる。
【0059】
ここで、伝熱部を設けたことによる電子部品モジュールの放熱特性を検証したシミュレーション解析結果について説明する。
【0060】
図10は、伝熱部が設けられていない比較例1に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図11は、第1電子部品の近傍に1つの実施形態1に係る電子部品ユニットが配置された、実施例1に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図12は、図11の電子部品モジュールのXII部を拡大して示す斜視図である。
【0061】
図13は、第1電子部品の近傍に2つの実施形態1に係る電子部品ユニットが伝熱部の長手方向に並ぶように配置された、実施例2に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図14は、第1電子部品の近傍に2つの実施形態1に係る電子部品ユニットが伝熱部の短手方向に並ぶように配置された、実施例3に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図15は、第1電子部品の近傍に3つの実施形態1に係る電子部品ユニットが配置された、実施例4に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図10図15においては、樹脂部150および放熱部160は図示していない。
【0062】
シミュレーション解析条件は、下記の通りとした。基板110は、1辺の長さが12mmの正方形の外形を有し、厚さが0.8mmである、FR4(Flame Retardant Type 4)とした。表面電極111を含む配線パターンは、Cuで構成されており、厚さを35μmとした。
【0063】
第1電子部品120は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータとした。PTCヒータのサイズについては、長さが1.6mm、幅が0.8mm、高さが0.68mmとした。PTCヒータへの投入電力は、0.2Wとした。
【0064】
第2電子部品130については、長さが1.0mm、幅が0.5mm、高さが0.5mmである、積層セラミックコンデンサとした。基板110上の第2電子部品130の実装数を80個とした。第1電子部品120の近傍に配置されている第2電子部品130が接続されている一方の表面電極111を、第1電子部品120が接続されている表面電極111と接続した。第1電子部品120の最も近傍に配置されている第2電子部品130と、第1電子部品120との最短距離を100μmとした。
【0065】
図15に示すように、実施例4に係る電子部品モジュールにおいては、第1電子部品120の最も近傍に位置する電子部品ユニット10に対して、伝熱部140の長手方向に並ぶように他の電子部品ユニット10を配置するとともに、伝熱部140の短手方向に並ぶようにさらに他の電子部品ユニット10を配置した。
【0066】
図11図15に示すように、伝熱部140は、アルミナで構成されている、直方体状のブロックとした。樹脂部150は、エポキシ樹脂で構成されており、熱伝導率を0.8W/m・Kとした。シミュレーション解析は、図10,11,13~15に示すように、上記の電子部品モジュールの1/4対称モデルを用いて行なった。
【0067】
さらに、電子部品ユニット10の構成が実施形態1とは異なる第1変形例、並びに、電子部品ユニット10の代わりに円柱状のピンが設けられた、比較例2および比較例3に係る電子部品モジュールについても同様にシミュレーション解析を行なった。
【0068】
図16は、第1電子部品の近傍に1つの第1変形例に係る電子部品ユニットが配置された、実施例5に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図17は、図16の電子部品モジュールのXVII部を拡大して示す斜視図である。図18は、第1変形例に係る電子部品ユニットを製造する際に、第2電子部品上に伝熱部が搭載される状態を示す正面図である。図19は、第1変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図16および図17においては、樹脂部150および放熱部160は図示していない。
【0069】
図16図19に示すように、第1変形例に係る電子部品ユニット10aは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140aが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0070】
伝熱部140aは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、および、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に形成された2つの接続電極142を含む。2つの接続電極142のうちの一方を第1端子電極132と接続し、2つの接続電極142のうちの他方を第2端子電極133と接続した。高熱伝導部材141は、アルミナで構成した。接続電極142は、Cuで構成した。導電性接合部171は、鉛フリーはんだとした。
【0071】
図20は、直径が250μmのピンが設けられた比較例2に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図21は、直径が300μmのピンが設けられた比較例3に係る電子部品モジュールの構成を示す斜視図である。図20および図21においては、樹脂部150および放熱部160は図示していない。
【0072】
図20に示すように、比較例2に係る電子部品モジュールにおいては、第1電子部品120の近傍において、Cuで構成された、直径が250μmのピン2を表面電極111上に設けた。ピン2が接続されている表面電極111を、第1電子部品120が接続されている表面電極111と接続した。
【0073】
図21に示すように、比較例3に係る電子部品モジュールにおいては、第1電子部品120の近傍において、Cuで構成された、直径が300μmのピン2aを表面電極111上に設けた。ピン2aが接続されている表面電極111を、第1電子部品120が接続されている表面電極111と接続した。
【0074】
上記の実施例1~実施例5および比較例1~比較例3に係る電子部品モジュールにおいて、第1電子部品120の中心温度T1(℃)、および、第1電子部品120の最も近傍に配置された第2電子部品130の中心温度T2(℃)の、各々をシミュレーション解析した結果を下記の表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、実施例1~実施例5に係る電子部品モジュールは、比較例1に係る電子部品モジュールに対して、第1電子部品120の中心温度T1および第2電子部品130の中心温度T2の両方を低減できていることが確認できた。また、実施例1~実施例5に係る電子部品モジュールは、第1電子部品120の中心温度T1および第2電子部品130の中心温度T2の両方を、比較例2および比較例3に係る電子部品モジュールと同等以上に低減できていることが確認できた。
【0077】
上記のシミュレーション解析結果から、実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120の近傍に配置された電子部品ユニット10によって、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができることが確認できた。また、第1電子部品120の近傍に配置された電子部品ユニット10に含まれる第2電子部品130の中心温度T2も低減することが確認できた。すなわち、実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができるとともに、第1電子部品120の近傍に配置されている第2電子部品130を伝熱経路として機能させることができる。
【0078】
同様に、第1変形例に係る電子部品モジュールにおいては、第1電子部品120の近傍に配置された電子部品ユニット10aによって、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができることが確認できた。また、第1電子部品120の近傍に配置された電子部品ユニット10aに含まれる第2電子部品130の中心温度T2も低減することが確認できた。すなわち、第1変形例に係る電子部品モジュールにおいても、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができるとともに、第1電子部品120の近傍に配置されている第2電子部品130を伝熱経路として機能させることができる。
【0079】
実施形態1および第1変形例に係る電子部品モジュールにおいては、比較例2および比較例3に係る電子部品モジュールのように、高熱伝導部材であるピン2,2aを基板110上に実装する必要がないため、基板110を小型化して電子部品を高密度実装することが可能となる。
【0080】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、伝熱部140,140pは、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続されるように第2電子部品130の第2面に設けられている。放熱部160は、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140,140pを介して基板110に接続されている。
【0081】
これにより、発熱素子の発熱量が大きい場合、電子部品モジュールが薄型化された場合、または、発熱素子の天面にヒートシンクを設けられない場合においても、発熱素子自体または発熱素子の近くに配置された他の電子部品の電気特性の劣化を抑制することができる。
【0082】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120および第2電子部品130を埋め込むように基板110上に設けられた樹脂部150をさらに備え、伝熱部140,140pは、樹脂部150より熱伝導率が高い高熱伝導部材を含み、放熱部160は、樹脂部150より熱伝導率が高い。これにより、樹脂部150によってこもりやすくなっている発熱素子の熱を効果的に放熱させて、発熱素子自体または発熱素子の近くに配置された他の電子部品の電気特性の劣化を抑制することができる。
【0083】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120および第2電子部品130の各々は、基板110の一方の主面上に実装されている。これにより、電子部品モジュール100を薄型化することができる。
【0084】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120と第2電子部品130とは、基板110の表面および内部の少なくとも一方に設けられた配線パターンによって互いに電気的に接続されている。これにより、第1電子部品120にて発生した熱を、配線パターンによって第1電子部品120と電気的に接続されている第2電子部品130および伝熱部140を通じて効果的に放熱することができる。
【0085】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第1電子部品120は、能動部品であり、第2電子部品130は、受動部品である。これにより、能動部品にて発生した熱を効果的に放熱させて受動部品の劣化を抑制することができる。
【0086】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、第2電子部品130は、積層セラミックコンデンサである。これにより、基板110に実装されている積層セラミックコンデンサを伝熱経路として用いることができる。
【0087】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、伝熱部140は、第2電子部品130の基板110側とは反対側において、第1端子電極132、第2端子電極133、および、第1端子電極132と第2端子電極133との間に位置する部分の素体131の各々と接している。これにより、第1端子電極132および第2端子電極133を介して伝熱部140に熱を伝えつつ、素体131を介して伝熱部140に熱を伝えることができるため、放熱部160に伝えられる熱を増やして放熱部160から効果的に放熱することができる。
【0088】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、放熱部160は、導電膜で構成されている。これにより、電子部品モジュール100を薄型化することができる。
【0089】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュール100においては、複数の第2電子部品130を備え、複数の第2電子部品130のうちの2つ以上の第2電子部品130における、第1端子電極132および第2端子電極133の各々は、1つの伝熱部140pに接続されている。これにより、小型サイズの第2電子部品130を基板110に実装する際のハンドリングを容易にすることができる。
【0090】
本発明の実施形態1に係る電子部品ユニット10においては、伝熱部140は、樹脂部150より熱伝導率が高い高熱伝導部材を含み、第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電位的に独立した状態を保持するように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続されている。これにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止しつつ、第1端子電極132および第2端子電極133を介して伝熱部140に熱を伝えることができる。
【0091】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法においては、基板110に実装された第1電子部品120が埋め込まれるように、伝熱部140より熱伝導率が低い樹脂部150を設ける工程と、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140を介して基板110に接続されるように、樹脂部150より熱伝導率が高い放熱部160を設ける工程とを備える。これにより、第1電子部品120にて発生した熱が樹脂部150内にこもることを抑制して、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140を介して放熱部160から効果的に放熱することができる。
【0092】
本発明の実施形態1に係る電子部品モジュールの製造方法においては、上記樹脂部150を設ける工程において、伝熱部140の高さ寸法よりも高くなるように設けられた樹脂部150とともに伝熱部140の一部を研削することによって、伝熱部140を樹脂部150の表面に露出させる。これにより、伝熱部140をより確実に樹脂部150から露出させて放熱部160と伝熱部140とを直接的に接触させることができる。その結果、伝熱部140を介して放熱部160から効果的に放熱することができる。
【0093】
第1変形例に係る電子部品ユニット10aにおいては、伝熱部140aは、平板状の絶縁性部材で構成されている。これにより、伝熱部140aの第2電子部品130側とは反対側の面が平坦面であるため、電子部品ユニット10aをマウンタの吸着ノズル1で安定して吸着保持することができる。
【0094】
以下、電子部品モジュールおよび電子部品ユニットの他の変形例について説明する。
【0095】
図22は、第2変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。図22においては、図2と同一の断面視にて示している。図22に示すように、第2変形例に係る電子部品モジュール100bにおいては、第1電子部品120の隣に配置されている第2電子部品130のみに伝熱部140を設けている。図22においては、2つの伝熱部140が示されているが、設けられる伝熱部140の数は、1つのみでもよい。
【0096】
第1電子部品120の隣に配置されている第2電子部品130のみに伝熱部140を設けることにより、放熱効果を大きく損なうことなく、電子部品モジュール100bを低廉化することができる。
【0097】
また、電子部品ユニットの配置位置は、第1電子部品120の隣接領域に限られるものではなく、たとえば、熱に弱い電子部品と第1電子部品120との間に、電子部品ユニット10を配置することにより、熱に弱い電子部品に伝わる熱を低減して、熱に弱い電子部品を効果的に保護することができる。
【0098】
図23は、第3変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。図23においては、図2と同一の断面視にて示している。図23に示すように、第3変形例に係る電子部品モジュール100cにおいては、第2電子部品130,130b,130cは、基板110の一方の主面上に実装されている。第1電子部品120は、基板110の他方の主面上に実装されている。第2電子部品130cは、第2電子部品130bよりチップサイズが小さい点のみ異なり、第2電子部品130bと同様の構成を有している。
【0099】
基板110の一方の主面上には、電子部品ユニット10c,10p,10pbが実装されている。電子部品ユニット10cは、第2電子部品130cと伝熱部140cとを含む。第2電子部品130cは、素体131c、第1端子電極132c並びに第2端子電極133cを含む。電子部品ユニット10cは、第2電子部品130cの第1端子電極132cと第2端子電極133cとが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132cおよび第2端子電極133cの両方に伝熱部140cが接続されることにより構成されている。
【0100】
電子部品ユニット10pbは、2つの第2電子部品130bと1つの伝熱部140pbとを含む。電子部品ユニット10pbは、1つの伝熱部140pbに、2つの第2電子部品130bにおける、第1端子電極132bおよび第2端子電極133bの各々が接続されることにより構成されている。
【0101】
基板110の他方の主面上には、第1電子部品120および複数のピン114が実装されている。複数のピン114の各々は、導電性接合部170によって裏面電極112上に接続されている。複数のピン114の各々の基板110側とは反対側の端面には、樹脂部150から露出した端子115が設けられている。ピン114および端子115の各々は、AgまたはCuなどの金属で形成されている。
【0102】
樹脂部150は、基板110の一方の主面上および他方の主面上に設けられている。第1電子部品120および第2電子部品130,130b,130cの各々は、樹脂部150中に埋設されている。
【0103】
伝熱部140c,140p,140pbが樹脂部150とともに研削されることにより、伝熱部140cの厚さと第2電子部品130cの厚さとの合計、伝熱部140pの厚さと第2電子部品130の厚さとの合計、および、伝熱部140pbの厚さと第2電子部品130bの厚さとの合計が、全て略等しくなる。これにより、伝熱部140c,140p,140pbは、第2電子部品130c,130,130bの厚さに対応した厚さを有する。
【0104】
放熱部160は、第1端子電極132cおよび第2端子電極133c並びに伝熱部140cを介して基板110に接続されている。また、放熱部160は、第1端子電極132および第2端子電極133並びに伝熱部140pを介して基板110に接続されている。さらに、放熱部160は、第1端子電極132bおよび第2端子電極133b並びに伝熱部140pbを介して基板110に接続されている。
【0105】
放熱部160は、樹脂部150および伝熱部140c,140p,140pbを覆うように設けられている。本実施形態においては、伝熱部140c,140p,140pbと放熱部160とは、直接的に接している。
【0106】
基板110に直交する方向から見て、電子部品ユニット10c,10p,10pbのいずれかと、第1電子部品120とは、互いに重なるように配置されていることが好ましい。これにより、第1電子部品120にて発生した熱を、基板110を通じて、第1電子部品120と重なっている電子部品ユニット10c,10p,10pbのいずれかに、主に伝えることができる。当該電子部品ユニット10c,10p,10pbに伝わった熱は、放熱部160に伝わって放熱部160から放熱される。よって、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができる。
【0107】
第3変形例に係る電子部品モジュール100cにおいては、基板110に電子部品を両面実装することにより、基板110を小型化して電子部品を高密度実装することができる。
【0108】
図24は、第4変形例に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。図24においては、図2と同一の断面視にて示している。図24に示すように、第4変形例に係る電子部品モジュール100dにおいては、伝熱部140,140pと放熱部160とは、間接的に接している。すなわち、電子部品ユニット10の伝熱部140、および、電子部品ユニット10pの伝熱部140pの各々は、樹脂部150から露出していない。
【0109】
伝熱部140,140pの厚さをH、第2電子部品130上に位置する樹脂部150の厚さをHとすると、H>H/2の関係を満たす。これにより、伝熱部140,140pと放熱部160との間に位置する樹脂部150の熱抵抗が高くなりすぎることを抑制して、伝熱部140,140pを設けたことによる放熱性向上の効果を確保することができる。
【0110】
第4変形例に係る電子部品モジュール100dにおいては、伝熱部140,140pが樹脂部150から露出していないため、電子部品ユニット10,10pの耐湿性を向上することができる。
【0111】
図25は、第5変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図25に示すように、第5変形例に係る電子部品ユニット10dは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部である高熱伝導部材141が接着層180によって接続されることにより構成されている。
【0112】
第1変形例において説明したとおり、高熱伝導部材141は、平板状の絶縁性部材で構成されている。高熱伝導部材141は、SiO、BaTiO、Alなどの酸化物、または、AlNなどの窒化物で構成されている。高熱伝導部材141は、ブロック状に硬化させたフィラー含有シリコーン樹脂などで構成されていてもよい。
【0113】
接着層180は、公知の接着剤で構成されている。接着層180は、第2電子部品130の基板110側とは反対側において、第1端子電極132、第2端子電極133、および、第1端子電極132と第2端子電極133との間に位置する部分の素体131の各々と接している。
【0114】
第5変形例に係る電子部品ユニット10dにおいては、伝熱部である高熱伝導部材141は、平板状の絶縁性部材で構成されている。これにより、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面が平坦面であるため、電子部品ユニット10dをマウンタの吸着ノズル1で安定して吸着保持することができる。
【0115】
図26は、第6変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図26に示すように、第6変形例に係る電子部品ユニット10eは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部である高熱伝導部材143が絶縁性接着層181によって接続されることにより構成されている。
【0116】
高熱伝導部材143は、平板状の金属部材で構成されている。高熱伝導部材143は、CuまたはAlなどの電気伝導率の高い金属で構成されている。
【0117】
絶縁性接着層181は、エポキシ樹脂系接着剤などの公知の絶縁性接着剤で構成されている。絶縁性接着層181は、第2電子部品130の基板110側とは反対側において、第1端子電極132、第2端子電極133、および、第1端子電極132と第2端子電極133との間に位置する部分の素体131の各々と接している。
【0118】
第6変形例に係る電子部品ユニット10eにおいては、伝熱部である高熱伝導部材143は、平板状の金属部材で構成されている。これにより、高熱伝導部材143の第2電子部品130側とは反対側の面が平坦面であるため、電子部品ユニット10eをマウンタの吸着ノズル1で安定して吸着保持することができる。
【0119】
また、高熱伝導部材143が金属部材で構成されていることにより、高熱伝導部材143の熱伝導率を高めることができ、電子部品ユニット10eを通じて発熱素子にて発生した熱を放熱部に効果的に伝えて放熱させることができる。
【0120】
さらに、絶縁性接着層181によって高熱伝導部材143を第1端子電極132および第2端子電極133に接続することにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止しつつ、第1端子電極132および第2端子電極133を介して高熱伝導部材143に熱を伝えることができる。
【0121】
図27は、第7変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図27に示すように、第7変形例に係る電子部品ユニット10fは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140fが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0122】
伝熱部140fは、平板状の金属部材で構成されている高熱伝導部材143、高熱伝導部材143の第2電子部品130側の面に形成された2つのセラミック下地層148、および、セラミック下地層148上に形成された接続電極142を含む。セラミック下地層148は、電気絶縁性を有するセラミックで構成されている。
【0123】
2つの接続電極142のうちの一方は、第1端子電極132と接続され、2つの接続電極142のうちの他方は、第2端子電極133と接続されている。
【0124】
第7変形例に係る電子部品ユニット10fにおいては、伝熱部である高熱伝導部材143は、平板状の金属部材で構成されている。これにより、高熱伝導部材143の第2電子部品130側とは反対側の面が平坦面であるため、電子部品ユニット10fをマウンタの吸着ノズル1で安定して吸着保持することができる。
【0125】
また、高熱伝導部材143が金属部材で構成されていることにより、高熱伝導部材143の熱伝導率を高めることができ、電子部品ユニット10fを通じて発熱素子にて発生した熱を放熱部に効果的に伝えて放熱させることができる。
【0126】
さらに、セラミック下地層148を介して高熱伝導部材143を第1端子電極132および第2端子電極133に接続することにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止しつつ、第1端子電極132および第2端子電極133を介して高熱伝導部材143に熱を伝えることができる。
【0127】
図28は、第8変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図28に示すように、第8変形例に係る電子部品ユニット10gは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140gが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0128】
伝熱部140gは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、高熱伝導部材141の内部に設けられた1つの補助熱伝導部材144、および、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に形成された2つの接続電極142を含む。
【0129】
補助熱伝導部材144は、CuまたはAlなどの電気伝導率の高い金属で構成されている。補助熱伝導部材144は、高熱伝導部材141の厚さ方向に延在している。
【0130】
第8変形例に係る電子部品ユニット10gにおいては、補助熱伝導部材144の一端は、2つの接続電極142のうちの一方の接続電極142と接続されており、補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面にて露出している。
【0131】
補助熱伝導部材144が設けられていることにより、伝熱部140gの熱伝導性を向上することができる。また、補助熱伝導部材144が、2つの接続電極142のうちの一方の接続電極142とのみ接続されていることにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止できる。
【0132】
図29は、第9変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図29に示すように、第9変形例に係る電子部品ユニット10hは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140hが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0133】
伝熱部140hは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、高熱伝導部材141の内部に設けられた2つの補助熱伝導部材144、および、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に形成された2つの接続電極142を含む。
【0134】
第9変形例に係る電子部品ユニット10hにおいては、2つの補助熱伝導部材144のうちの一方の補助熱伝導部材144の一端は、2つの接続電極142のうちの一方の接続電極142と接続されており、上記一方の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出していない。
【0135】
2つの補助熱伝導部材144のうちの他方の補助熱伝導部材144の一端は、2つの接続電極142のうちの他方の接続電極142と接続されており、上記他方の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出していない。
【0136】
2つの補助熱伝導部材144が設けられていることにより、伝熱部140hの熱伝導性を向上することができる。また、2つの補助熱伝導部材144の各々の他端が、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出していないことにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止できる。
【0137】
図30は、第10変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図30に示すように、第10変形例に係る電子部品ユニット10iは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140iが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0138】
伝熱部140iは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、高熱伝導部材141の内部に設けられた4つの補助熱伝導部材144、および、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に形成された2つの接続電極142を含む。
【0139】
第10変形例に係る電子部品ユニット10iにおいては、4つの補助熱伝導部材144のうちの一の補助熱伝導部材144の一端は、2つの接続電極142のうちの一方の接続電極142と接続されており、上記一の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出していない。
【0140】
つの補助熱伝導部材144のうちの二の補助熱伝導部材144の一端は、2つの接続電極142のうちの他方の接続電極142と接続されており、上記二の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出していない。
【0141】
4つの補助熱伝導部材144のうちの三の補助熱伝導部材144の一端は、一の補助熱伝導部材144の他端と間隔をあけて対向しており、上記三の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出している。
【0142】
4つの補助熱伝導部材144のうちの四の補助熱伝導部材144の一端は、二の補助熱伝導部材144の他端と間隔をあけて対向しており、上記四の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出している。
【0143】
4つの補助熱伝導部材144が設けられていることにより、伝熱部140iの熱伝導性を向上することができる。また、三の補助熱伝導部材144の一端が、一の補助熱伝導部材144の他端と間隔をあけて対向しており、四の補助熱伝導部材144の一端が、二の補助熱伝導部材144の他端と間隔をあけて対向していることにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止できる。
【0144】
図31は、第11変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図31に示すように、第11変形例に係る電子部品ユニット10jは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140jが接着層180によって接続されることにより構成されている。
【0145】
伝熱部140jは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、および、高熱伝導部材141の内部に設けられた2つの補助熱伝導部材144を含む。
【0146】
第11変形例に係る電子部品ユニット10jにおいては、2つの補助熱伝導部材144のうちの一方の補助熱伝導部材144の一端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に露出しておらず、上記一方の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出している。
【0147】
2つの補助熱伝導部材144のうちの他方の補助熱伝導部材144の一端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に露出しておらず、上記他方の補助熱伝導部材144の他端は、高熱伝導部材141の第2電子部品130側とは反対側の面に露出している。
【0148】
2つの補助熱伝導部材144が設けられていることにより、伝熱部140jの熱伝導性を向上することができる。また、2つの補助熱伝導部材144の各々の一端が、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に露出していないことにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止できる。
【0149】
図32は、第12変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図32に示すように、第12変形例に係る電子部品ユニット10kは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140kが接着層180によって接続されることにより構成されている。
【0150】
伝熱部140kは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、平板状の金属部材で構成されている高熱伝導部材143、および、高熱伝導部材141と高熱伝導部材143とを互いに接続する接着層149を含む。
【0151】
第12変形例に係る電子部品ユニット10kにおいては、高熱伝導部材141が接着層180によって第1端子電極132および第2端子電極133の両方に接続され、高熱伝導部材143が接着層149によって高熱伝導部材141に接続されている。
【0152】
高熱伝導部材143は、高熱伝導部材141に比較して、被研削性がよい材料で構成されている。これにより、電子部品ユニット10kの製造を容易にすることができる。
【0153】
また、高熱伝導部材143が設けられていることにより、伝熱部140kの熱伝導性を向上することができる。さらに、接着層180によって高熱伝導部材141を第1端子電極132および第2端子電極133に接続することにより、第1端子電極132と第2端子電極133とが短絡することを防止できる。
【0154】
図33は、第13変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す斜視図である。図33においては、図12と同一方向から見て図示している。
【0155】
図33に示すように、第13変形例に係る電子部品ユニット10mは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140mが設けられることにより構成されている。
【0156】
伝熱部140mは、実施形態1に係る伝熱部140とは、形状のみ異なる。伝熱部140mは、長円柱形状を有している。
【0157】
第13変形例に係る電子部品ユニット10mにおいては、伝熱部140mが長円柱形状を有していることにより、樹脂部150を設ける際の樹脂部150の流動性を良好にすることができる。これにより、樹脂部150内にボイドなどが形成されることを抑制することができる。
【0158】
図34は、第14変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す斜視図である。図35は、第14変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図34においては、図12と同一方向から見て図示している。
【0159】
図34および図35に示すように、第14変形例に係る電子部品ユニット10nは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140nが導電性接合部171によって接続されることにより構成されている。
【0160】
伝熱部140nは、高熱伝導部材141nの長さおよび幅の寸法が第2電子部品130に比較して大きい点のみ、第1変形例に係る伝熱部140aとは異なる。伝熱部140nは、基板110に直交する方向から見て、伝熱部140nの内側に第2電子部品130が位置するように配置されている。
【0161】
第14変形例に係る電子部品ユニット10nにおいては、基板110に直交する方向から見て、伝熱部140nの内側に第2電子部品130が位置するように伝熱部140nが配置されていることにより、電子部品ユニット10nの隣に配置される電子部品と第2電子部品130とが接触して短絡することを抑制することができる。
【0162】
図36は、第15変形例に係る電子部品ユニットの構成を示す正面図である。図36に示すように、第15変形例に係る電子部品ユニット10qは、第2電子部品130の第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部である高熱伝導部材141nが接着層180によって接続されることにより構成されている。
【0163】
第15変形例に係る電子部品ユニット10qにおいては、基板110に直交する方向から見て、伝熱部140nの内側に第2電子部品130が位置するように伝熱部である高熱伝導部材141nが配置されていることにより、電子部品ユニット10qの隣に配置される電子部品と第2電子部品130とが接触して短絡することを抑制することができる。
【0164】
図37は、第16変形例に係る電子部品ユニットの構成を伝熱部側から見て示す分解斜視図である。図38は、第16変形例に係る電子部品ユニットの構成を第2電子部品側から見て示す分解斜視図である。
【0165】
図37および図38に示すように、第16変形例に係る電子部品ユニット10rは、第2電子部品130rと伝熱部140rとを含む。
【0166】
第2電子部品130rは、受動部品である。第2電子部品130rは、たとえば、LCフィルタである。第2電子部品130rは、素体131、第1端子電極132、第2端子電極133、第1GND端子134および第2GND端子135を含む。
【0167】
第1端子電極132、第2端子電極133、第1GND端子134および第2GND端子135の各々は、第1面131m1から第2面131m2に連続して設けられている。第1端子電極132および第1GND端子134の各々は、第1面131m1から素体131の一方の側面を経て第2面131m2に連続して設けられている。第2端子電極133および第2GND端子135の各々は、第1面131m1から素体131の他方の側面を経て第2面131m2に連続して設けられている。
【0168】
伝熱部140rは、平板状の絶縁性部材で構成されている高熱伝導部材141、および、高熱伝導部材141の第2電子部品130側の面に形成された、第1接続電極142a、第2接続電極142b並びに第3接続電極142cを含む。
【0169】
第16変形例に係る電子部品ユニット10rは、第2電子部品130rの第1端子電極132と第2端子電極133とが互いに電気的に絶縁されるように、第1端子電極132および第2端子電極133の両方に伝熱部140rが図示しない導電性接合部によって接続されることにより構成されている。
【0170】
具体的には、第1接続電極142aが第1端子電極132に接続され、第2接続電極142bが第2端子電極133に接続され、第3接続電極142cが第1GND端子134および第2GND端子135の両方に接続される。
【0171】
第16変形例に係る電子部品ユニット10rにおいては、第1端子電極132、第2端子電極133、第1GND端子134および第2GND端子135を通じて伝熱部140rに熱を伝えることができるため、伝熱経路の数を増やして電子部品ユニット10rの熱伝導性を向上することができる。
【0172】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る電子部品モジュールについて図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る電子部品モジュールは、放熱部がマザー基板の配線パターンで構成されている点が主に、本発明の実施形態1の第3変形例に係る電子部品モジュール100cと異なるため、本発明の実施形態1の第3変形例に係る電子部品モジュール100cと同様である構成については説明を繰り返さない。
【0173】
図39は、本発明の実施形態2に係る電子部品モジュールの構成を示す断面図である。図39においては、図2と同一の断面視にて示している。
【0174】
図39に示すように、本発明の実施形態2に係る電子部品モジュール200においては、放熱部は、電子部品モジュール200が搭載されるマザー基板900の表面および内部の少なくとも一方に設けられた配線パターン991,992,993で構成されている。具体的には、マザー基板900の一方の主面に配線パターン991が設けられている。マザー基板900の他方の主面に配線パターン992が設けられている。マザー基板900の内部に配線パターン993が設けられている。
【0175】
配線パターン991は、図示しない接合剤によって、伝熱部140c,140p,140pbと接続されている。
【0176】
本発明の実施形態2に係る電子部品モジュール200においては、第1電子部品120にて発生した熱を、基板110を通じて、第1電子部品120と重なっている電子部品ユニット10c,10p,10pbのいずれかに、主に伝えることができる。当該電子部品ユニット10c,10p,10pbに伝わった熱は、放熱部である配線パターン991,992,993に伝わって放熱部から放熱される。よって、第1電子部品120にて発生した熱を効果的に放熱させることができる。
【0177】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0178】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0179】
1 吸着ノズル、2,2a,114 ピン、10,10a,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10i,10j,10k,10m,10n,10p,10pb,10q,10r 電子部品ユニット、100,100b,100c,100d,200 電子部品モジュール、110 基板、111 表面電極、112 裏面電極、113,991,992,993 配線パターン、115 端子、120 第1電子部品、130,130b,130c,130r 第2電子部品、131,131c 素体、131m1 第1面、132,132b,132c 第1端子電極、133,133b,133c 第2端子電極、134 第1GND端子、135 第2GND端子、140,140a,140b,140c,140f,140g,140h,140i,140j,140k,140m,140n,140p,140pb,140r 伝熱部、141,141n,143 高熱伝導部材、142 接続電極、142a 第1接続電極、142b 第2接続電極、142c 第3接続電極、144 補助熱伝導部材、148 セラミック下地層、149,180 接着層、150 樹脂部、160 放熱部、170,171 導電性接合部、181 絶縁性接着層、900 マザー基板。
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