(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220817BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20220817BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K3/28 G
H01L23/12 J
(21)【出願番号】P 2020539559
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033789
(87)【国際公開番号】W WO2020045528
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2018163758
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将太
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-062051(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215586(US,A1)
【文献】国際公開第2011/024790(WO,A1)
【文献】特開平06-029666(JP,A)
【文献】特開2003-198213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/28
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に配置された電子部品と、
前記電子部品および前記配線基板を覆うように設けられた封止樹脂とを備え、
前記配線基板は、
主面を有する基板と、
前記主面に配置された導体柱とを備え、
前記導体柱は、導体柱本体と、前記導体柱本体の高さ方向の途中において、前記導体柱本体の外周から張り出す張出部とを含
み、
前記張出部は、環状をなし、前記導体柱本体から径方向の外側に向かうにつれて前記基板に近づくように傾斜しており、
前記導体柱の一端が前記封止樹脂から露出している、モジュール。
【請求項2】
前記導体柱は、高さ方向の両端である第1端および第2端を有し、前記第1端から最も近い前記張出部までの高さ方向の距離は、前記第2端から最も近い前記張出部までの高さ方向の距離と異なる、請求項
1に記載の
モジュール。
【請求項3】
前記導体柱本体は、高さ方向に積み重ねられた複数の導体部を含み、前記張出部は導体部同士の境目に設けられている、請求項1
または2に記載の
モジュール。
【請求項4】
前記複数の導体部は、第1のテーパ形状を有する第1導体部と、前記第1のテーパ形状とは逆向きである第2のテーパ形状を有する第2導体部とを含む、請求項
3に記載の
モジュール。
【請求項5】
前記複数の導体部は、ストレート形状の1以上の導体部を含む、請求項
3に記載の
モジュール。
【請求項6】
前記電子部品は、前記基板の前記主面に配置された第1部品と、前記基板の前記主面とは反対側の面に配置された第2部品とを含む、請求項
1から5のいずれか1項に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許第4706929号(特許文献1)には、セラミック基板本体の両面に樹脂層部を形成した複合配線基板が記載されている。樹脂層部は、複数の樹脂層を含む構造である。樹脂層部の内部を貫通するように柱状導体が形成されている。柱状導体は、複数の導体部が重なり合った多段構造を有している。各導体部は、略円錐台形状を有している。特許文献1には、この柱状導体を放熱のために用いることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柱状導体を放熱のために用いる場合、放熱性は柱状導体の表面積に依存する。したがって、柱状導体の寸法によっては、放熱性が十分に得られない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、モジュールにおいて、放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に基づく配線基板は、主面を有する基板と、上記主面に配置された導体柱とを備え、上記導体柱は、導体柱本体と、上記導体柱本体の高さ方向の途中において、上記導体柱本体の外周から張り出す張出部とを含む。
【0007】
また、本発明に基づくモジュールは、上記配線基板を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導体柱が張出部を含んでいるので、導体柱に伝わってきた熱を効率良く周囲に逃がすことができ、モジュールの放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの断面図である。
【
図2】
図1に示した導体柱およびその近傍を取り出した部分拡大図である。
【
図3】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールに備わる導体柱の斜視図である。
【
図4】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールに備わる導体柱の平面図である。
【
図5】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの第1の変形例の部分拡大断面図である。
【
図6】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの第2の変形例の部分拡大断面図である。
【
図7】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図8】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図9】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの製造方法の第3の工程の説明図である。
【
図10】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの製造方法の第4の工程の説明図である。
【
図11】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの製造方法の第5の工程の説明図である。
【
図12】本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールの第3の変形例の部分拡大断面図である。
【
図13】本発明に基づく実施の形態2におけるモジュールの部分拡大図である。
【
図14】本発明に基づく実施の形態2におけるモジュールの製造方法の説明図である。
【
図15】本発明に基づく実施の形態2におけるモジュールの変形例の部分拡大図である。
【
図16】本発明に基づく実施の形態3におけるモジュールの部分拡大図である。
【
図17】本発明に基づく実施の形態3におけるモジュールの製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図18】本発明に基づく実施の形態3におけるモジュールの製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図19】本発明に基づく実施の形態3におけるモジュールの製造方法の第3の工程の説明図である。
【
図20】本発明に基づく実施の形態4におけるモジュールの部分拡大図である。
【
図21】本発明に基づく実施の形態4におけるモジュールの変形例の部分拡大図である。
【
図22】本発明に基づく実施の形態5におけるモジュールの部分拡大図である。
【
図23】本発明に基づく実施の形態5におけるモジュールの製造方法の第1の工程の説明図である。
【
図24】本発明に基づく実施の形態5におけるモジュールの製造方法の第2の工程の説明図である。
【
図25】本発明に基づく実施の形態6におけるモジュールに備わる導体柱の断面図である。
【
図26】本発明に基づく実施の形態7におけるモジュールに備わる導体柱の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面において示す寸法比は、必ずしも忠実に現実のとおりを表しているとは限らず、説明の便宜のために寸法比を誇張して示している場合がある。以下の説明において、上または下の概念に言及する際には、絶対的な上または下を意味するとは限らず、図示された姿勢の中での相対的な上または下を意味する場合がある。
【0011】
(実施の形態1)
図1~
図4を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュール101の断面図を
図1に示す。モジュール101の一部を拡大したところを
図2に示す。
図2では、
図1に示される導体柱4およびその近傍を取り出すと共に、上下を逆にして表示している。以下、モジュールの一部分を「配線基板」と呼ぶ。配線基板に電子部品および封止樹脂を組み合わせたものを「モジュール」と呼ぶ。
【0012】
モジュール101は配線基板を含む。この配線基板は、主面1aを有する基板1と、主面1aから突出するように主面1aに配置された導体柱4とを備える。導体柱4は、導体柱本体4aと、導体柱本体4aの高さ方向の途中において、導体柱本体4aの外周から外に向かって張り出す張出部4bとを含む。ここで例示した導体柱本体4aは、2つの導体部5を含む。2つの導体部5は間に導体シート8を挟み込むようにして積み重ねられている。導体柱本体4aは、導体シート8のうち張出部4b以外の部分と、2つの導体部5とを含む。導体柱4のみを取り出したときの斜視図を
図3に示す。
図3に示したもののうち下側の導体部5およびその上に載せられた導体シート8を取り出した状態の平面図を、
図4に示す。個々の導体部5は円錐台形状を有する。導体シート8は平面図で見たときに円形を有する。ただし、必ずしも円形である必要はなく、略円形となっていればよい。平面図で見たときには、導体シート8と導体部5とは同心状に配置されている。導体シート8はたとえば金属箔であってよい。導体部5はたとえば金属で形成されていてよい。導体部5はたとえば銅、銀などで形成されていてよい。
【0013】
図1に示すように、基板1は、主面1aとは反対側の面として主面1bを有する。主面1aには部品11が実装されている。主面1bには部品12,13,14が実装されている。部品11はたとえばコンデンサである。部品12はたとえばインダクタである。部品13はたとえばICである。部品14はたとえばコンデンサである。部品11,12,13,14の種類、大きさ、形状、個数は、あくまで一例として示したものであって、ここで示したものに限らない。主面1aに実装された各部品および導体柱4を覆うように封止樹脂3が配置されている。主面1bにおいても実装された各部品を覆うように封止樹脂3が配置されている。封止樹脂3の存在は必須ではない。また、封止樹脂3を覆うようにシールド膜が設けられていてもよい。
【0014】
基板1は、セラミック多層基板である。なお、基板1は、樹脂多層基板であってもよい。基板1は、内部に配線を備えていてもよい。
図1では、基板1の内部に設けられた配線は図示されていない。ここでは、基板1の両面に何らかの部品が実装されている例を示したが、片面のみに部品が実装されている構成であってもよい。
【0015】
導体柱4は、モジュール101の外にある他の部材と電気的に接続するためのものであってもよい。ここでいう「他の部材」とは、たとえばマザー基板であってよい。
【0016】
モジュール101は、上述の配線基板と、前記配線基板に配置された電子部品と、前記電子部品および前記配線基板を覆うように設けられた封止樹脂3とを備え、導体柱4の一端が封止樹脂3から露出している。ここでいう電子部品とは、たとえば部品12,13,14のようなものである。
【0017】
本実施の形態では、配線基板は導体柱4を備え、かつ、導体柱4は、導体柱本体4aの高さ方向の途中において、導体柱本体4aの外周から外に向かって環状に張り出す張出部4bを含んでいるので、放熱するための部材の面積を大きくすることができる。その結果、導体柱4に伝わってきた熱を効率良く周囲に逃がすことができる。したがって、放熱性を向上させることができる。
【0018】
張出部4bは、環状をなし、導体柱本体4aから径方向の外側に向かうにつれて基板1に近づくように傾斜していることが好ましい。言い換えれば、
図2のように基板1を下側に配置した向きの断面図で見たときに、張出部4bは先端が垂れ下がるように形成されていることが好ましい。この構成を採用することにより、張出部4bを形成しやすくなる。
【0019】
なお、
図5に示すように、張出部4bが、平坦な構成であってもよい。この配線基板は、導体柱4iを備え、導体柱4iは平坦な張出部4bを備える。張出部4bは、主面1aとほぼ平行に延在する。
【0020】
また、
図2とは逆に、張出部4bが導体柱本体4aから径方向の外側に向かうにつれて基板1から遠ざかるように傾斜している構成であってもよい。
【0021】
図6に示すように、張出部4bが導体柱本体4aから径方向の外側に向かうにつれて基板1に近づいていくように傾斜しつつ湾曲している構成であってもよい。この配線基板は、導体柱4jを備え、導体柱4jは、傾斜しつつ湾曲する張出部4bを備える。
図6では、導体柱4jが下に凸の湾曲形状となっているが、上に凸の湾曲形状であってもよい。
【0022】
図1に示したように、モジュールは、電子部品を基板1の両面に実装したものであってもよい。たとえば電子部品は、基板1の前記主面に配置された第1部品と、前記基板の前記主面とは反対側の面に配置された第2部品とを含む。第1部品とは、たとえば部品12,13,14である。第2部品とは、たとえば部品11である。
【0023】
(製造方法)
図7~
図11を参照して、実施の形態1におけるモジュール101を得るための製造方法について説明する。
【0024】
図7に示すように、基板1の主面1aに対して導体柱形成シート6を重ねる。導体柱形成シート6は、たとえば樹脂や非金属を材料とするシートである。導体柱形成シート6には予め貫通孔9があけられており、貫通孔9の内部には導体ペースト7が充填されている。導体ペースト7はまだ硬化していなくてもよい。導体ペースト7はまだ焼成されていなくてもよい。貫通孔9の形状は円錐台である。貫通孔9は基板1から遠い側の端で径が大きく、基板1に近い側の端で径が小さくなっている。そして、導体柱形成シート6の上面の導体ペースト7が露出している部分を覆うように円形の導体シート8を重ねる。導体柱形成シート6を基板1に載置してから導体シート8を載せてもよい。あるいは、導体シート8を予め導体柱形成シート6に重ねた状態で用意しておいて、この導体柱形成シート6を基板1に載せてもよい。いずれにしても
図8に示す状態となる。
【0025】
さらに、もう1枚の導体柱形成シート6を上側に重ねる。こうすることで、
図9に示す状態となる。導体シート8の外縁部は、貫通孔9より外側に環状にはみ出している。これを加熱することで、導体ペースト7が硬化し、あるいは焼成されて導体部5となる。こうすることで、
図10に示す状態となる。導体シート8の外縁部は、図中下側の導体部5より外側に環状にはみ出している。導体柱形成シート6の除去には、切削などの機械的な加工を用いる。こうすることで、
図11に示す状態となる。加工によって導体柱形成シート6は除去されるが、導体部5および導体シート8は残る。ただし、導体シート8の導体部5より外側にはみ出した部分は、加工の衝撃によって
図11における下向きに曲がっている。この後、封止樹脂3を周囲に配置することによって、
図2に示す状態となる。封止樹脂3を配置するためには、たとえばモールド成形を行なえばよい。全体としては、
図1に示すようなモジュール101が得られる。
【0026】
なお、ここでは、導体部5を積み重ねる数は2であったが、3以上であってもよい。たとえば、モジュールは
図12に示す導体柱4kを備えてもよい。導体柱4kは3つの導体部5と2つの導体シート8とを備える。このように、導体部5の積み重ねる数を適宜増やすことによって、封止樹脂3の厚みが大きい場合にも対応することができる。
【0027】
(実施の形態2)
図13~
図14を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールは、
図13に示すような導体柱4nを備える。導体柱4nは2つの導体部5を含んでいるが、図中上側の導体部5は図中下側の導体部に比べて高さが小さいものとなっている。ここでいう「高さ」とは、主面1aに垂直な方向の寸法である。このような構成は、
図14に示すように、同じ高さの導体部5を積み重ねた構造をまず作製して、封止樹脂3を配置し、その後で、必要な高さHだけを残すように、封止樹脂3の不要部分および上側の導体部5の不要部分を除去すればよい。この除去加工には、たとえば研削加工または研磨加工などの機械加工を用いることができる。
【0028】
導体部5を積み重ねたものの高さは、導体部5の高さのほぼ整数倍となるが、実際にモジュールとして必要な高さが導体部5の高さの整数倍と一致しない場合が往々にしてある。そのような場合には、本実施の形態で説明したように、導体部5を多めに積み上げて封止樹脂3を厚めに形成しておいてから、除去加工により上面の一部を削り取ることとすれば、所望の高さのモジュールを的確に得ることができる。
【0029】
たとえば
図15に示すように、3つの導体部5を含む導体柱4k2も考えられる。積み重ねられた3つの導体部5のうち最も上にある1つの導体部5は、高さの調整のために削られた結果、他の導体部5に比べて高さが小さくなっている。
【0030】
本実施の形態における配線基板の構成は、以下のように表現することもできる。前記導体柱は、高さ方向の両端である第1端および第2端を有し、前記第1端から最も近い前記張出部までの高さ方向の距離は、前記第2端から最も近い前記張出部までの高さ方向の距離と異なる。第1端を導体柱の下端とし、第2端を導体柱の上端とすると、
図13に示した例では、第1端から最も近い張出部4bまでの高さ方向の距離Aと、第2端から最も近い張出部4bまでの高さ方向の距離Bとが異なっている。
図15に示した例では、第1端から最も近い張出部4bまでの高さ方向の距離Cと、第2端から最も近い張出部4bまでの高さ方向の距離Dとが異なっている。
【0031】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、放熱性を向上させることができる。さらに本実施の形態では、上下方向の端に位置する導体部の高さを削るなどして調整することによって、配線基板全体の高さを所望の値に調整することができる。
【0032】
ここまでの実施の形態で示したように、導体柱本体4aは、高さ方向に積み重ねられた複数の導体部5を含み、張出部4bは導体部5同士の境目に設けられていることが好ましい。この構成を採用することにより、容易に作製可能であり、放熱を促進することができる。
【0033】
なお、複数箇所にある導体部5同士の境目には、必ず張出部4bが設けられていなければならないわけではない。導体部5同士の境目であっても張出部4bが設けられていない部分があってもよい。
【0034】
(実施の形態3)
図16を参照して、本発明に基づく実施の形態3におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールでは、配線基板は、
図16に示すような導体柱4rを備える。導体柱4rは複数の導体部5を含んでいる。一例として導体柱4rは2つの導体部5を含んでいる。実施の形態1,2では、各導体部5は基板1から遠ざかるほど径が大きくなる円錐台形状を有していたが、本実施の形態では、逆に、各導体部5は基板1から遠ざかるほど径が小さくなる円錐台形状を有している。本実施の形態では、導体シート8のうち上側の導体部5の下端よりも外側に張り出した部分が張出部4bとして下側に折れ曲がっている。
【0035】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。本実施の形態におけるモジュールを作製するためには、
図17に示すように、導体柱形成シート6を積み重ねればよい。積み重ねる時点で、貫通孔9のテーパ形状の勾配の向きが
図7などに示した実施の形態1と逆向きになっている。導体柱形成シート6のいずれの側の面から貫通孔9を形成するかで、貫通孔9のテーパ形状の勾配の向きを選ぶことができる。
【0036】
図17に示すように、基板1の主面1uに、導体柱形成シート6と、導体シート8とを積み重ねる。こうして積み重ねたのちに加熱することによって、導体ペースト7が硬化して導体部5となる。こうすることで、
図18に示す状態となる。導体シート8の外縁部は、図中上側の導体部5より外側に環状にはみ出している。さらに、機械的な加工を施すことによって、導体柱形成シート6を除去する。こうすることで、
図19に示す状態となる。導体シート8の導体部5より外側にはみ出した部分は、加工の衝撃によって
図19における下向きに曲がっている。この後、封止樹脂3を周囲に配置することによって、
図16に示す状態となる。
【0037】
(実施の形態4)
図20を参照して、本発明に基づく実施の形態4におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールでは、配線基板は、
図20に示すような導体柱4sを備える。導体柱4sは複数の導体部5を含んでいる。一例として導体柱4sは2つの導体部5を含んでいる。
【0038】
本実施の形態では、前記複数の導体部5は、第1のテーパ形状を有する第1導体部と、前記第1のテーパ形状とは逆向きである第2のテーパ形状を有する第2導体部とを含む。たとえば
図20に示す導体柱4sにおいて、下側の導体部5が第1導体部であり、上側の導体部5が第2導体部である。第1導体部は、基板1から遠ざかるにつれて径が大きくなるテーパ形状を有する。第2導体部は、基板1から遠ざかるにつれて径が小さくなるテーパ形状を有する。複数の導体部5を含む1つの導体柱の中でいずれの導体部5を第1導体部とみなすかは、ここで示した例の通りとは限らない。第2導体部についても同様である。
【0039】
本実施の形態においても、実施の形態1で説明したような効果を得ることができる。
導体柱4sの変形例として、
図21に示す導体柱4tのようなものであってもよい。たとえば
図21に示す導体柱4tにおいて、下側の導体部5が第1導体部であり、上側の導体部5が第2導体部である。第1導体部は、基板1から遠ざかるにつれて径が小さくなるテーパ形状を有する。第2導体部は、基板1から遠ざかるにつれて径が大きくなるテーパ形状を有する。
【0040】
(実施の形態5)
図22を参照して、本発明に基づく実施の形態5におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールでは、配線基板は、
図22に示すような導体柱4vを備える。導体柱4vは複数の導体部5を備える。一例として導体柱4vは2つの導体部5を備える。
【0041】
本実施の形態では、前記複数の導体部5は、ストレート形状の1以上の導体部5を含む。ストレート形状の複数の導体部5が積み重ねられており、その導体部5同士の境界から張出部4bが外に向かって張り出している。
図22に示すような導体柱4vは、
図23に示すようにして作製することができる。
図23では、導体柱形成シート6にはストレート形状の貫通孔9が形成されており、この貫通孔9の内部に導体ペースト7が充填されている。加熱することによって導体ペースト7を硬化させ、あるいは焼成して導体部5とし、加工を施すことにより、
図24に示すようにストレート形状の導体部5が積み重なって張出部4bが基板1側に垂れ下がった構造を得ることができる。この後、封止樹脂3を周囲に配置することによって、
図22に示す状態となる。
【0042】
本実施の形態においても、実施の形態1で説明したような効果を得ることができる。ここでは、導体柱4vが2つの導体部5を含む例を示したが、含まれる導体部5の数は3以上であってもよい。
【0043】
(実施の形態6)
図25を参照して、本発明に基づく実施の形態6におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールに備わる配線基板は、導体柱4wを含む。
図25に示すように断面図で見たとき、導体柱4wの張出部4bは片側にのみ張り出している。このように、張出部4bは、断面図で見たときに左右対称でない配置であってもよい。張出部4bは、導体柱本体4aの周りに環状に存在するとは限らず、導体柱本体4aの周りのうちの一部のみに存在する構成であってもよい。
図25に示したものは、あくまで一例である。ある1つの断面で切って見たときには張出部4bが片側にのみ張り出しているが他の断面で切って見たときには張出部4bが両側に張り出しているという構成であってもよい。
【0044】
(実施の形態7)
図26を参照して、本発明に基づく実施の形態
7におけるモジュールについて説明する。本実施の形態におけるモジュールは、全体の基本的構成としては、実施の形態1で
図1を参照して説明したものと共通するが、実施の形態1に比べて導体柱の構成が異なる。本実施の形態におけるモジュールに備わる配線基板は、導体柱4xを含む。
図26に示すように断面図で見たとき、導体柱4xに含まれる複数の導体部5の中心線は一致していない。上側の導体部5は下側の導体部5に対して中心線がずれた状態で積み重なっている。このような構成であってもよい。ここでは、1つの導体柱が2つの導体部5の積み重ねを含む例を示したが、1つの導体柱が3つ以上の導体部5の積み重ねを含む場合も同様である。導体柱に含まれるうちの一部または全部の導体部5の中心線がずれていてもよい。
【0045】
なお、上記実施の形態のうち複数を適宜組み合わせて採用してもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0046】
1 基板、1a,1b 主面、3 封止樹脂、4,4i,4j,4k,4k2,4n,4r,4s,4t,4v,4w,4x 導体柱、4a 導体柱本体、4b 張出部、5 導体部、6 導体柱形成シート、7 導体ペースト、8 導体シート、9 貫通孔、11,12,13,14 部品、101 モジュール。