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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20220817BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220817BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20220817BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220817BHJP
   B65H 3/00 20060101ALI20220817BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20220817BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220817BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B65H1/26 312H
B41J29/00 Z
B41J29/13 103
B41J29/38 204
B65H3/00 310G
B65H3/44 340Z
G03G21/00 390
G03G21/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021503432
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2020000394
(87)【国際公開番号】W WO2020179212
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2019040429
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 友浩
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-53718(JP,A)
【文献】特開2004-21049(JP,A)
【文献】特開2001-265172(JP,A)
【文献】特開平7-157138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B41J 29/00
B41J 29/13
B41J 29/38
B65H 3/00
B65H 3/44
G03G 21/00
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収納する給紙カセットと、
前記給紙カセットをロックして、前記給紙カセットからの用紙の取り出しを規制するロック部と、
識別情報の入力を受け付ける入力部と、
正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを判定する制御部と、を備え、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを前記制御部が判定し、
正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたと前記制御部が判定した場合には、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を許容し、
または、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定した場合には、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を規制し、
前記給紙カセット及び前記ロック部は、複数設けられ、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定すると、ロックされた前記給紙カセットの用紙サイズとロックされていない前記給紙カセットの用紙サイズが一致していることを条件に、ロックされていない前記給紙カセットから自動的に給紙することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙カセットを引き出し可能に保持する装置本体を更に備え、
前記給紙カセットが前記装置本体に挿入されると、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、
前記識別情報が前記入力部に入力された場合には、前記給紙カセットをロックし、
または、前記識別情報が前記入力部に入力されない場合には、前記給紙カセットをロックしないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記給紙カセットが前記装置本体に挿入された際に前記入力部に入力された前記識別情報を記憶する記憶部を更に備え、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、前記制御部は、前記入力部に入力された前記識別情報と前記記憶部に記憶された前記識別情報を照合することで、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、ロックされた前記給紙カセットごとに個別の前記識別情報を記憶することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画面を表示する表示部を更に備え、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定すると、ロックされていない前記給紙カセットを選択可能な選択画面を前記表示部が表示することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自動解除モードと判定解除モードとを選択可能であり、
前記自動解除モードが選択されているとき、ロックされた前記給紙カセットの用紙が無くなった場合に、前記給紙カセットのロックを自動的に解除し、
または、前記判定解除モードが選択されているとき、ロックされた前記給紙カセットの用紙が無くなった場合に、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを前記制御部が判定し、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたと前記制御部が判定した場合には、前記給紙カセットのロックを解除し、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定した場合には、前記給紙カセットのロックを解除しないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記給紙カセットは、フックを備え、
前記ロック部は、支軸と、前記支軸に揺動可能に支持されるロック片と、前記ロック片に接続されるソレノイドと、を備え、
前記ロック片は、ロック位置とロック解除位置との間で支軸を中心に揺動可能であり、前記ロック解除位置から前記ロック位置まで揺動すると、前記給紙カセットの前記フックに係合することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
用紙を収納する給紙カセットと、
前記給紙カセットをロックして、前記給紙カセットからの用紙の取り出しを規制するロック部と、
識別情報の入力を受け付ける入力部と、
正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを判定する制御部と、を備え、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを前記制御部が判定し、
正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたと前記制御部が判定した場合には、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を許容し、
または、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定した場合には、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を規制し、
自動解除モードと判定解除モードとを選択可能であり、
前記自動解除モードが選択されているとき、ロックされた前記給紙カセットの用紙が無くなった場合に、前記給紙カセットのロックを自動的に解除し、
または、前記判定解除モードが選択されているとき、ロックされた前記給紙カセットの用紙が無くなった場合に、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを前記制御部が判定し、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたと前記制御部が判定した場合には、前記給紙カセットのロックを解除し、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定した場合には、前記給紙カセットのロックを解除しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記給紙カセットを引き出し可能に保持する装置本体を更に備え、
前記給紙カセットが前記装置本体に挿入されると、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、
前記識別情報が前記入力部に入力された場合には、前記給紙カセットをロックし、
または、前記識別情報が前記入力部に入力されない場合には、前記給紙カセットをロックしないことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記給紙カセットが前記装置本体に挿入された際に前記入力部に入力された前記識別情報を記憶する記憶部を更に備え、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、前記制御部は、前記入力部に入力された前記識別情報と前記記憶部に記憶された前記識別情報を照合することで、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを判定することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記給紙カセット及び前記ロック部は、複数設けられ、
前記記憶部は、ロックされた前記給紙カセットごとに個別の前記識別情報を記憶することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
画面を表示する表示部を更に備え、
前記給紙カセット及び前記ロック部は、複数設けられ、
ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定すると、ロックされていない前記給紙カセットを選択可能な選択画面を前記表示部が表示することを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記給紙カセットは、フックを備え、
前記ロック部は、支軸と、前記支軸に揺動可能に支持されるロック片と、前記ロック片に接続されるソレノイドと、を備え、
前記ロック片は、ロック位置とロック解除位置との間で支軸を中心に揺動可能であり、前記ロック解除位置から前記ロック位置まで揺動すると、前記給紙カセットの前記フックに係合することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置にネットワークを介して接続される端末装置と、を備え、
前記端末装置は、前記識別情報の入力を受け付ける入力デバイスを備えていることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、用紙を収納する給紙カセットを備えている。この給紙カセットからの用紙の取り出しが全てのユーザーによって自由に行われると、用紙の紛失や盗難につながる恐れがある。そこで、給紙カセットをロックして、給紙カセットからの用紙の取り出しを規制するように構成された画像形成装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-265172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように給紙カセットをロックしても、ロックされた給紙カセットからの給紙が自由に実行されると、用紙が機内の搬送路を通過して機外に排出されることがある。その結果、用紙が機外に持ち出されることになり、用紙の紛失や盗難を確実に抑制することができなくなる。一方で、ロックされた給紙カセットからの給紙を完全に制限してしまうと、ロックされた給紙カセットの用紙に対する印字処理を実行できなくなり、画像形成装置の利便性が損なわれる。
【0005】
そこで、本発明は、画像形成装置の利便性を保ちつつ、用紙の紛失や盗難を確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、給紙カセットと、ロック部と、入力部と、制御部と、を備える。給紙カセットは、用紙を収納する。ロック部は、前記給紙カセットをロックして、前記給紙カセットからの用紙の取り出しを規制する。入力部は、識別情報の入力を受け付ける。制御部は、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを判定する。画像形成装置は、ロックされた前記給紙カセットが選択された状態で前記制御部が印字処理の指示を受け付けた場合に、前記入力部が前記識別情報の入力を受け付け、正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたか否かを前記制御部が判定する。正しい前記識別情報が前記入力部に入力されたと前記制御部が判定した場合には、画像形成装置は、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を許容する。正しい前記識別情報が前記入力部に入力されていないと前記制御部が判定した場合には、画像形成装置は、ロックされた前記給紙カセットからの給紙を規制する。
【0007】
本発明の一態様に係る画像形成システムは、前記画像形成装置と、前記画像形成装置にネットワークを介して接続される端末装置と、を備える。前記端末装置は、前記識別情報の入力を受け付ける入力デバイスを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の利便性を保ちつつ、用紙の紛失や盗難を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式的な正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の下部を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムを示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成システムにおいて、ロック制御の一実施例を示すフロー図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成システムにおいて、コピー制御の第1実施例を示すフロー図である。
図6】本発明の一実施形態に係る画像形成システムにおいて、コピー制御の第2実施例を示すフロー図である。
図7】本発明の一実施形態に係る画像形成システムにおいて、ロック解除制御の一実施例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図2を参照して、本発明の一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置1について説明する。図1図2に付される矢印L、R、U、Lo、Fr、Rrは、それぞれ、画像形成装置1の左側、右側、上側、下側、前側、後側を示している。
【0011】
まず、図1を参照して、画像形成装置1の構成について説明する。画像形成装置1は、例えば、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機である。
【0012】
画像形成装置1は、箱型の装置本体2を備えている。装置本体2の上端部には、原稿画像を読み取るための画像読取装置3が設けられている。装置本体2の上部には、画像読取装置3の下方に排紙トレイ4が設けられている。装置本体2の上部には、排紙トレイ4の下方に4個のトナー容器5が収容されている。
【0013】
装置本体2の上下方向中央部には、中間転写ベルト6と4個の画像形成部7が設けられている。各画像形成部7は、感光体ドラム8と現像装置9を備えている。装置本体2の上下方向中央部には、各画像形成部7の下方に露光装置10が設けられている。
【0014】
装置本体2の下部には、3個の給紙カセット11が設けられている。各給紙カセット11は、用紙Sを収容している。装置本体2の下部には、各給紙カセット11の後方に3個のロック部12が設けられている。装置本体2の下部には、各給紙カセット11の右上方に3個の給紙部13が設けられている。
【0015】
装置本体2の右側部には、用紙Sの搬送路20が設けられている。搬送路20の給紙カセット11側を上流部として中流部には、二次転写部21が設けられている。搬送路20の下流部には、定着装置22が設けられている。
【0016】
次に、図1を参照して、画像形成装置1の動作について説明する。
【0017】
まず、露光装置10からの光(図1の点線矢印参照)によって、各画像形成部7の感光体ドラム8に静電潜像が形成される。各画像形成部7の現像装置9は、上記の静電潜像を現像する。これにより、各画像形成部7の感光体ドラム8にトナー像が担持される。このトナー像は、各画像形成部7の感光体ドラム8から中間転写ベルト6に一次転写される。これにより、中間転写ベルト6上にトナー像が形成される。
【0018】
一方で、各給紙部13によって各給紙カセット11から搬送路20へと送り出された用紙Sは、搬送路20を下流側へと搬送されて、二次転写部21に進入する。この二次転写部21において、中間転写ベルト6上に形成されたトナー像が用紙Sに二次転写される。トナー像を二次転写された用紙Sは、搬送路20を更に下流側へと搬送されて、定着装置22に進入する。この定着装置22において、用紙Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、排紙トレイ4上に排出される。
【0019】
次に、図2を参照して、各給紙カセット11及び各ロック部12の構成について説明する。
【0020】
各給紙カセット11は、装置本体2に挿入される挿入位置(図2の実線参照)と、装置本体2から引き出される引き出し位置(図2の二点鎖線参照)と、の間で前後方向に移動可能となるように装置本体2に保持されている。即ち、各給紙カセット11は、装置本体2に引き出し可能に保持されている。各給紙カセット11の後面には、フック24が突出している。
【0021】
各ロック部12は、左右方向に延びる支軸26と、支軸26に揺動可能に支持されるロック片27と、ロック片27に接続されるソレノイド28と、を備えている。ロック片27は、ロック位置(図2の実線参照)とロック解除位置(図2の二点鎖線参照)との間で支軸26を中心に揺動可能となっている。
【0022】
次に、図2を参照して、各ロック部12の動作について説明する。
【0023】
各給紙カセット11が挿入位置(図2の実線参照)にある状態で、各ロック部12のソレノイド28が作動すると、各ロック部12のロック片27がロック解除位置(図2の二点鎖線参照)からロック位置(図2の実線参照)まで揺動する。これに伴って、各ロック部12のロック片27が各給紙カセット11のフック24に係合し、挿入位置(図2の実線参照)から引き出し位置(図2の二点鎖線参照)への各給紙カセット11の移動が規制される。即ち、各ロック部12が各給紙カセット11をロックする。これに伴って、ユーザーによる各給紙カセット11からの用紙Sの取り出しが規制される。
【0024】
一方で、各給紙カセット11が挿入位置(図2の実線参照)にある状態で、各ロック部12のソレノイド28の作動が解除されると、各ロック部12のロック片27がロック位置(図2の実線参照)からロック解除位置(図2の二点鎖線参照)まで揺動する。これに伴って、各ロック部12のロック片27と各給紙カセット11のフック24の係合が解除され、挿入位置(図2の実線参照)から引き出し位置(図2の二点鎖線参照)への各給紙カセット11の移動が許容される。即ち、各ロック部12による各給紙カセット11に対するロックが解除される。これに伴って、ユーザーによる各給紙カセット11からの用紙Sの取り出しが許容される。
【0025】
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態に係る画像形成システム30について説明する。
【0026】
画像形成システム30は、上述の画像形成装置1と、画像形成装置1にネットワークNを介して接続される端末装置31と、を備えている。
【0027】
画像形成装置1は、制御部34を備えている。制御部34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。制御部34は、画像形成装置1の各部(例えば、各画像形成部7)に接続されており、画像形成装置1の各部を制御している。
【0028】
制御部34は、各ロック部12に接続されていてソレノイド28を制御する。各ロック部12は、制御部34からの信号に基づいて各給紙カセット11をロックし、制御部34からの信号に基づいて各給紙カセット11に対するロックを解除する。
【0029】
制御部34は、各給紙部13に接続されている。各給紙部13は、制御部34からの信号に基づいて各給紙カセット11から搬送路20へ用紙Sを送り出す。即ち、各給紙部13は、制御部34からの信号に基づいて各給紙カセット11からの給紙を実行する。
【0030】
画像形成装置1は、入力部35と表示部36を備えている。入力部35及び表示部36は、それぞれ制御部34に接続されている。入力部35は、例えば、各種操作キー(例えば、電源キーやテンキー)を含んでいる。入力部35は、ユーザーによる各種入力(例えば、文字入力や数字入力)を受け付ける。表示部36は、例えば、タッチパネルでもよく、あるいは、タッチパネル付きの視覚的ユーザインタフェースでもよい。表示部36は、各種画面(例えば、エラーメッセージ画面)を表示し、更に、キーボード等をソフトウェアで表示して入力部35を兼ねる構成としても機能し得る。
【0031】
画像形成装置1は、記憶部37を備えている。記憶部37は、制御部34に接続されている。記憶部37は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでいる。
【0032】
画像形成装置1は、通信部38を備えている。通信部38は、制御部34に接続されている。通信部38は、例えば、WA(Wide Area Network)やLA(Local Area Network)等のネットワークNを介して端末装置31と通信を行う。
【0033】
端末装置31は、例えば、パーソナルコンピューターによって構成されている。端末装置31は、入力デバイス41と表示デバイス42を備えている。入力デバイス41は、例えば、キーボードやマウスを含んでいる。入力デバイス41は、ユーザーによる各種入力(例えば、文字入力や数字入力)を受け付ける。表示デバイス42は、例えば、ディスプレイでもよく、あるいは、タッチパネル、若しくはタッチパネル付きの視覚的ユーザインタフェースでもよい。表示デバイス42は、各種画面(例えば、エラーメッセージ画面)を表示し、更に、キーボード等をソフトウェアで表示して入力部35を兼ねる構成としても機能し得る。
【0034】
次に、図4を参照して、給紙カセット11をロックするか否かを決定するための制御(以下、「ロック制御」と称する)の一実施例について説明する。
【0035】
給紙カセット11が装置本体2に挿入されると(ステップS101)、表示部36がパスワード入力画面を表示し、ユーザーによるパスワード(識別情報の一例)の入力を入力部35が受け付ける(ステップS102)。
【0036】
ステップS102が終了すると、パスワードが入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定する(ステップS103)。
【0037】
ステップS103の判定がYesの場合には、ロック部12が給紙カセット11をロックし、入力部35に入力されたパスワードを記憶部37が記憶する(ステップS104)。これにより、ロック制御が終了する。
【0038】
一方で、ステップS103の判定がNoの場合には、ロック部12が給紙カセット11をロックせずに(ステップS105)、ロック制御が終了する。
【0039】
なお、上記のようなロック制御が複数の給紙カセット11についてそれぞれ実行され、複数の給紙カセット11がそれぞれロックされる場合、ロックされた給紙カセット11ごとに個別のパスワードを記憶部37が記憶する。例えば、ロックされた第1の給紙カセット11に関しては「1111」というパスワードを記憶部37が記憶し、ロックされた第2の給紙カセット11に関しては「2222」というパスワードを記憶部37が記憶する。以下、ロック部12によってロックされた給紙カセット11のことを「ロックカセット11」と称し、ロック部12によってロックされていない給紙カセット11のことを「非ロックカセット11」と称する。
【0040】
次に、図5を参照して、画像形成装置1の入力部35への入力によってコピー(用紙Sに対する印字処理の一例)を実行するための制御(以下、「コピー制御」と称する)の第1実施例について説明する。
【0041】
画像形成装置1の入力部35にコピー指示が入力され、制御部34がコピー指示を受け付けると(ステップS201)、ロックカセット11が選択されているか否かを制御部34が判定する(ステップS202)。
【0042】
ステップS202の判定がNoの場合には、選択されている非ロックカセット11から給紙部13が給紙し、画像形成装置1がコピーを実行する(ステップS203)。これにより、コピー制御が終了する。
【0043】
一方で、ステップS202の判定がYesの場合には、表示部36がパスワード入力画面を表示し、ユーザーによるパスワードの入力を入力部35が受け付ける(ステップS204)。
【0044】
ステップS204が終了すると、正しいパスワードが入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定する(ステップS205)。具体的には、入力部35に入力されたパスワードと記憶部37に記憶されたパスワードを制御部34が照合する。両パスワードが一致する場合は正しいパスワードが入力部35に入力されたと制御部34が判定し、両パスワードが一致しない場合は正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定する。
【0045】
ステップS205の判定がYesの場合には、選択されているロックカセット11から給紙部13が給紙し、画像形成装置1がコピーを実行する(ステップS206)。これにより、コピー制御が終了する。
【0046】
一方で、ステップS205の判定がNoの場合には、パスワードが誤っていることを通知するエラー画面を表示部36が表示する(ステップS207)。
【0047】
ステップS207が終了すると、パスワードの再入力を行うか否かを選択する画面を表示部36が表示し、パスワードの再入力を行うことが入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定する(ステップS208)。
【0048】
ステップS208の判定がYesの場合には、ステップS204に戻って、表示部36がパスワード入力画面を表示し、ユーザーによるパスワードの入力を入力部35が受け付ける。
【0049】
一方で、ステップS208の判定がNoの場合には、非ロックカセット11を選択可能な選択画面を表示部36が表示し(ステップS209)、非ロックカセット11の選択が入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定する(ステップS210)。なお、上記の選択画面には、例えば、非ロックカセット11ごとに用紙Sの有無や用紙サイズが表示される。
【0050】
ステップS210の判定がYesの場合には、ステップS210で選択された非ロックカセット11から給紙部13が給紙し、画像形成装置1がコピーを実行する(ステップS203)。これにより、コピー制御が終了する。
【0051】
一方で、ステップS210の判定がNoの場合には、画像形成装置1がコピーを実行せずに(ステップS211)、コピー制御が終了する。
【0052】
なお、ステップS205の判定が複数回繰り返しNoになる場合には、正しいパスワードを保持していないユーザーによってパスワードが入力されている可能性が高い。そこで、このような場合には、ステップS205の判定が所定回数(例えば、3回)繰り返しNoになった段階で、画像形成装置1がコピーを実行せずに(ステップS211)、コピー制御が終了する。このとき、画像形成装置1は、ステップS205の判定回数等の設定を初期状態に戻してもよく、あるいは、設定を維持したままエラー画面を表示部36または端末装置31の表示デバイス42に表示させて、このエラー画面に対する入力部35または入力デバイス41の操作によって非ロックカセット11からの給紙を選択できるようにしてもよい。
【0053】
次に、図6を参照して、コピー制御の第2実施例について説明する。なお、コピー制御の第2実施例のステップS301~ステップS308は、コピー制御の第1実施例のステップS201~ステップS208と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
コピー制御の第2実施例では、ステップS308の判定がNoの場合には、選択されているロックカセット11の用紙サイズと非ロックカセット11の用紙サイズが一致しているか否かを制御部34が判定する(ステップS309)。
【0055】
ステップS309の判定がYesの場合には、非ロックカセット11から給紙部13が自動的に給紙し、コピーが実行される(ステップS303)。これにより、コピー制御が終了する。
【0056】
一方で、ステップS309の判定がNoの場合には、画像形成装置1がコピーを実行せずに(ステップS310)、コピー制御が終了する。このとき、画像形成装置1は、用紙サイズの変更によってコピーを実行できることを、表示部36または端末装置31の表示デバイス42等によってユーザーにアナウンスしてよく、例えば、コピー指示で入力された用紙サイズ、または選択されているロックカセット11の用紙サイズを、非ロックカセット11と同じに設定し直すとコピーを実行できることをアナウンスする。
【0057】
なお、端末装置31の入力デバイス41への入力によってプリント(用紙Sに対する印字処理の一例)を実行するための制御(以下、「プリント制御」と称する)は、上述のコピー制御において画像形成装置1の入力部35と表示部36を用いて実行した処理を端末装置31の入力デバイス41と表示デバイス42を用いて実行することで、コピー制御と同様に実行される。そのため、プリント制御については説明を省略する。
【0058】
次に、図7を参照して、給紙カセット11のロックを解除するか否かを決定するための制御(以下、「ロック解除制御」と称する)の一実施例について説明する。画像形成装置1は、給紙カセット11のロックを解除するモードとして、各給紙カセット11について自動解除モードと判定解除モードとを選択可能に構成される。例えば、このような各給紙カセット11のモードは、入力部35または端末装置31の入力デバイス41を介してユーザーに選択されてよく、あるいは、画像形成装置1の初期設定として、自動解除モードまたは判定解除モードが自動的に選択されてよく、選択されたモードは、記憶部37に記憶される。
【0059】
給紙カセット11の用紙Sが無くなると(ステップS401)、その給紙カセット11がロックカセット11であるか否かを制御部34が判定する(ステップS402)。
【0060】
ステップS402の判定がNoの場合には、給紙カセット11のロックを解除する必要が無いため、そのままロック解除制御が終了する。
【0061】
一方で、ステップS402の判定がYesの場合には、自動解除モードが選択されているか否かを制御部34が判定する(ステップS403)。
【0062】
ステップS403の判定がYesの場合には、自動解除モードが選択されているため、ロック部12が給紙カセット11のロックを自動的に解除し、記憶部37に記憶されたパスワードを制御部34が削除する(ステップS404)。これにより、ロック解除制御が終了する。
【0063】
一方で、ステップS403の判定がNoの場合には、選択解除モードが選択されているため、表示部36がパスワード入力画面を表示し、ユーザーによるパスワードの入力を入力部35が受け付ける(ステップS405)。
【0064】
ステップS405が終了すると、コピー制御の第1実施例のステップS205と同様の方法により、正しいパスワードが入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定する(ステップS406)。
【0065】
ステップS406の判定がYesの場合には、ロック部12が給紙カセット11のロックを解除し、記憶部37に記憶されたパスワードを制御部34が削除する(ステップS404)。これにより、ロック解除制御が終了する。
【0066】
一方で、ステップS406の判定がNoの場合には、パスワードが誤っていることを通知するエラー画面を表示部36が表示する(ステップS407)。
【0067】
ステップS407が終了すると、ステップS405に戻って、表示部36がパスワード入力画面を表示し、ユーザーによるパスワードの入力を入力部35が受け付ける(ステップS405)。なお、ステップS406の判定が所定回数(例えば、3回)繰り返しNoになると、ロック解除制御が終了する。
【0068】
上述のコピー制御の第1、第2実施例では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されたと制御部34が判定した場合には、ロックカセット11からの給紙が許容され、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定した場合には、ロックカセット11からの給紙が規制されている。このような制御を実行することで、正しいパスワードを保持するユーザーがロックカセット11の用紙Sを使用するのを許容しつつ、正しいパスワードを保持していないユーザーがロックカセット11の用紙Sを使用するのを規制することができる。そのため、画像形成装置1の利便性を保ちつつ、用紙Sの紛失や盗難を確実に抑制することができる。
【0069】
また、上述のコピー制御の第1、第2実施例では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、制御部34は、入力部35に入力されたパスワードと記憶部37に記憶されたパスワードを照合することで、正しいパスワードが入力部35に入力されたか否かを判定している。このような制御を実行することで、正しいパスワードが入力されたか否かを正確に判定することができる。
【0070】
また、上述のコピー制御の第1実施例では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定すると、非ロックカセット11を選択可能な選択画面を表示部36が表示している。このような制御を実行することで、正しいパスワードを保持していないユーザーに使用可能な用紙Sがあることを気付かせることができ、画像形成装置1の利便性を高めることができる。
【0071】
また、上述のコピー制御の第2実施例では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定すると、ロックカセット11の用紙サイズと非ロックカセット11の用紙サイズが一致していることを条件に、非ロックカセット11から自動的に給紙している。このような制御を実行することで、正しいパスワードを保持していないユーザーでも速やかに印字処理を実行することができ、画像形成装置1の利便性を高めることができる。
【0072】
なお、以上のようなコピー制御による技術的効果は、画像形成装置1の入力部35と表示部36を端末装置31の入力デバイス41と表示デバイス42に置き換えることで、プリント制御においても同様に発揮される。
【0073】
また、上述のロック制御の一実施例では、給紙カセット11が装置本体2に挿入されると、入力部35がパスワードの入力を受け付け、パスワードが入力部35に入力される場合には、給紙カセット11がロックされ、パスワードが入力部35に入力されない場合には、給紙カセット11がロックされない。このような制御を実行することで、給紙カセット11をロックするか否かを適切なタイミングで決定することができる。
【0074】
また、上述のロック制御の一実施例では、記憶部37は、ロックカセット11ごとに個別のパスワードを記憶している。そのため、複数のユーザーが複数の給紙カセット11に対して個別のパスワードを設定することが可能となり、画像形成装置1の利便性を高めることができる。
【0075】
また、上述のロック解除制御の一実施例では、ロックカセット11の用紙Sが無くなった場合に、給紙カセット11のロックを自動的に解除する自動解除モードと、ロックカセット11の用紙Sが無くなった場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されたか否かを制御部34が判定した上で給紙カセット11のロックを解除する判定解除モードと、を選択可能である。そのため、ユーザーの要求に応じて給紙カセット11のロックの解除方法を選択することが可能となり、画像形成装置1の利便性を高めることができる。
【0076】
また、端末装置31は、パスワードの入力を受け付ける入力デバイス41を備えている。このような構成を採用することで、画像形成装置1の入力部35を用いて実行した処理を端末装置31の入力デバイス41を用いて実行することが可能となる。
【0077】
本実施形態では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定すると、非ロックカセット11を選択可能な選択画面を表示部36が表示している(コピー制御の第1実施例参照)。一方で、他の異なる実施形態では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定すると、選択されてないロックカセット11を選択可能な選択画面を表示部36が表示しても良い。また、更に他の異なる実施例では、ロックカセット11が選択された状態で制御部34が印字処理の指示を受け付けた場合に、正しいパスワードが入力部35に入力されていないと制御部34が判定すると、選択されていないロックカセット11又は非ロックカセット11を選択可能な選択画面を表示部36が表示しても良い。
【0078】
上記した実施形態では、ロックカセット11毎に個別のパスワードを設定して記憶部37に記憶する例を説明したが、他の実施形態では、画像形成装置1は、複数のロックカセット11に共通のパスワードを予め設定し、1つのパスワードを入力部35に入力すると、複数サイズ(例えば、A4カセット、A3カセット)のロックカセット11を利用可能にしてもよい。
【0079】
本実施形態では、給紙カセット11及びロック部12が複数設けられている。一方で、他の異なる実施形態では、給紙カセット11及びロック部12が1個ずつ設けられていても良い。
【0080】
本実施形態では、パーソナルコンピューターによって端末装置31が構成されている。一方で、他の異なる実施形態では、スマートフォン等のパーソナルコンピューター以外の機器によって端末装置31が構成されていても良い。
【0081】
本実施形態では、パスワードを識別情報として用いている。一方で、他の異なる実施形態では、指紋認証、カード認証、QRコード(登録商標)等のパスワード以外の情報を識別情報として用いても良い。
【0082】
本実施形態では、画像形成装置1が複合機である。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1がプリンター、コピー機、ファクシミリ等であっても良い。本実施形態では、画像形成装置1が電子写真方式を採用している。一方で、他の異なる実施形態では、画像形成装置1がインクジェット方式を採用していても良い。
【0083】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置及び画像形成システムにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7