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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】口腔内測定器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0531 20210101AFI20220817BHJP
   A61B 5/0537 20210101ALI20220817BHJP
【FI】
A61B5/0531
A61B5/0537 200
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021504058
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008400
(87)【国際公開番号】W WO2020179691
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019037292
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 純
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智紀
(72)【発明者】
【氏名】富樫 浩明
(72)【発明者】
【氏名】田中 堅志
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/027377(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/042878(WO,A1)
【文献】特開2018-191717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
先端のヘッド部と、前記ヘッド部を前記本体部に接続するアーム部とを有するプローブ部と、
を備え、
前記ヘッド部は、前記アーム部の先端に接続された支持部と、
センサの測定面が露出する第1面と、前記第1面を基準として厚みを有する測定部と、
前記測定部と前記支持部との間に配置され前記測定部を前記支持部に連結する連結部であって、前記測定部と接続される第1接続部と、前記支持部と接続される第2接続部と、貫通孔とを有し、軟質材料からなる前記連結部と、
を有する口腔内測定器。
【請求項2】
前記貫通孔は前記軟質材料の中に有する、前記請求項1に記載の口腔内測定器。
【請求項3】
前記軟質材料の外形寸法は、前記測定面の外形寸法と、同じ、もしくは、それより大きい、請求項1又は請求項2に記載の口腔内測定器。
【請求項4】
前記支持部は前記測定部よりも柔らかい、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項5】
前記測定部は、前記第1面とは反対側の第2面を有し、
前記連結部の前記第1接続部及び前記第2接続部は、面で構成されている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項6】
前記連結部は、複数の前記貫通孔を有する、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項7】
前記連結部は、前記測定面と直交する方向から視て線対称または点対称に形成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項8】
前記連結部は、前記貫通孔を除き、前記測定面と直交する方向における厚さが均一である、請求項1から請求項の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項9】
前記連結部は、内部に複数の空隙を有する多孔質体である、請求項1から請求項の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項10】
前記連結部は、前記支持部から前記測定部に向けて外形寸法が大きくなるように形成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項11】
前記連結部は、前記支持部から前記測定部に向けて外形寸法が小さくなるように形成されている、請求項1から請求項の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項12】
前記連結部は、上下、または左右に距離をおいて設けられた2つ以上の電極を有し、前記連結部の伸縮に伴う静電容量と抵抗値と磁性の少なくとも1つの変化により、前記測定面が測定対象に押し当てた際の荷重を検出する機能を有する、請求項1から請求項11の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項13】
前記連結部は、上下、または左右に距離をおいて設けられた2つ以上の電極を有し、前記連結部の伸縮に伴う静電容量と抵抗値と磁性の少なくとも1つの変化により、前記測定面が測定対象に押し当てた際の荷重を検出し、その出力値に応じて、測定の開始と測定値の補正の少なくとも1つを実施する、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項14】
前記測定部は側面を有し、前記測定部の前記側面の少なくとも一部は前記連結部と接している、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の口腔内測定器。
【請求項15】
前記連結部は、前記支持部に接する側面を有する、請求項14に記載の口腔内測定器。
【請求項16】
前記支持部は凹部を有し、
前記測定部は、前記測定部の厚み方向において、前記第1面とは反対側に固定部を有し、前記固定部は前記支持部の前記凹部に嵌め込まれている、請求項14または15に記載の口腔内測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、測定者が手で保持して対象物を測定する測定器として例えば口腔内水分測定器がある(例えば、特許文献1参照)。この口腔内水分測定器は、プローブの先端に静電容量式のセンサを有し、対象物となる舌粘膜等の被測定面に対して平行にセンサの測定面を押し当て、対象物の水分量を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2004/028359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象物となる被測定者では、舌が出しにくかったりする場合がある。このような被測定者に対して、上記の測定器では、プローブの先端を口腔内に挿入し難かったり、口腔内でセンサの測定面を舌に対して平行に押し当てることが難しかったりする虞がある。センサの測定面と対象物の表面とに角度が生じると、測定結果の値にばらつきが生じる虞がある。
【0005】
本開示の目的は、対象物の表面に対するセンサの測定面の接触性を向上できる測定器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である測定器は、本体部と、先端のヘッド部と、前記ヘッド部を前記本体部に接続するアーム部とを有するプローブ部と、を備え、前記ヘッド部は、前記アーム部の先端に接続された支持部と、センサの測定面が露出する第1面と、前記第1面を基準として厚みを有する測定部と、前記測定部と前記支持部との間に配置され前記測定部を前記支持部に連結する連結部であって、前記測定部と接続される第1接続部と、前記支持部と接続される第2接続部と、貫通孔とを有し、軟質材料からなる連結部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、軟質材料からなる連結部によって支持部に対して測定部が傾き易く、対象物の被測定面に対する測定部の第1面の接触性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様である測定器によれば、対象物の表面に対するセンサの測定面の接触性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は一実施形態の測定器の概略側面図、(b)はプローブ部の一部断面図、(c)はプローブ部をセンサ面から見た一部平面図、(d)は軟質部材の平面図。
図2】(a)(b)は、測定器の作用を示すプローブ部の一部拡大図。
図3】(a)~(e)は、変更例の軟質部材を示す平面図。
図4】変更例の軟質部材を示すプローブ部の一部断面図。
図5】変更例の軟質部材を示すプローブ部の一部断面図。
図6】変更例の軟質部材を示すプローブ部の一部断面図。
図7】変更例のプローブ部の一部断面図。
図8】(a)は、変更例のプローブ部の一部断面図、(b)は(a)の8b-8b線に沿った断面図。
図9図8のプローブ部の模式的分解斜視図。
図10図8のプローブ部の模式的分解斜視図。
図11】電気回路のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を説明する。
【0011】
図1(a)に示す測定器1は、測定対象として例えば口腔内の水分量を測定する口腔内水分測定器である。
【0012】
測定器1は、概略棒状であり、長手方向に本体部11とプローブ部12とを有している。
【0013】
本体部11は、例えば概略直方体状を成している。なお、本体部11の形状は、長手方向と直交する断面の外形形状が、多角形状、円形状、楕円形状、またはそれらの組み合わせた形状とすることができる。また、本体部11は、長手方向と直交する断面において外形寸法が異なるように形成することもできる。
【0014】
プローブ部12は、先端のヘッド部21と、ヘッド部21を本体部11に接続するアーム部22とを有している。
【0015】
ヘッド部21は、支持部31、連結部32、測定部33を有し、支持部31と連結部32と測定部33の順で配設されている。
【0016】
支持部31は、概略矩形の板状である。支持部31はアーム部22の先端に接続されている。なお、支持部31とアーム部22とは別々に形成されていてもよく、支持部31とアーム部22とが一体に形成されていてもよい。なお、図1(c)では、アーム部22を測定部33よりも幅狭にて示しているが、アーム部22は測定部33と同じ幅でもよく、または測定部33よりも幅広であってもよい。
【0017】
図1(b)に示すように、測定部33は、第1面33aを有し、第1面33aを基準として厚み33hを有する。測定部33は、例えば概略矩形の板状である。測定部33は、第1面33aとは反対側の第2面33bを有している。測定部33には、センサ40が設けられている。センサ40は、平板状である。センサ40は、平面状の測定面40aを有している。センサ40は、例えば静電容量式のセンサである。図1(b)に示すように、センサ40の測定面40aは、測定部33の第1面33aと面一である。また、図1(b)及び図1(c)に示すように、センサ40の測定面40aは、測定部33の第1面33aから露出している。
【0018】
図1(c)に示すように、センサ40の測定面40aには、一対の電極41a,41bが設けられている。一対の電極41a,41bは、例えば櫛歯状に形成されている。一対の電極41a,41bは、コンデンサの電極として機能する。つまり、測定面40aと対向する測定対象及びその表面の液体は、一対の電極41a,41bに対する誘電体として機能する。一対の電極41a,41bの容量値は、測定対象及びその表面の水分量に応じた値となる。
【0019】
図1(a)及び図1(b)に示すように、連結部32は、測定部33の第2面33bと支持部31の第1面31aとの間に介在し、測定部33を支持部31に連結する。図1(d)に示すように、本実施形態の連結部32は、外形形状が概略四角形の枠状であり、測定部33に接続される第1接続部32aと、支持部31に接続される第2接続部32bとを有している。第1接続部32aは測定部33の第2面33bに接続され、例えば面で構成される。第2接続部32bは支持部31の第1面31aに接続され、例えば面で構成される。第1接続部32a及び第2接続部32bは、第1接続面及び第2接続面と呼称することがある。図1(b)の例では、第1接続部32a及び第2接続部32bは、平坦面である。
【0020】
連結部32は、貫通孔32cを有する。貫通孔32cは、測定部33の第1面33aと垂直な方向に、第1接続部32aから第2接続面32bまで連結部32を厚さ方向に貫通する。連結部32は、貫通孔32cを除き、測定部33の第1面33aと垂直な方向における厚さが均一である。本実施形態において、貫通孔32cは、ヘッド部21における測定部33と連結部32と支持部31との積層方向にから視て、四角形状である。なお、ヘッド部21における積層方向は、測定部33の第1面33aと垂直な方向、つまりセンサ40の測定面40aと垂直な方向である。
【0021】
貫通孔32cは、測定部33の第1面33aの中心を通り、第1面33aと垂直な線分を連結部32が囲むように形成されている。例えば、連結部32は、測定部33の中心と連結部32の中心とが第1面33aと垂直な方向において一致する、又は測定部33の重心と連結部32の重心とが第1面33aと垂直な方向において一致するように形成されている。
【0022】
本実施形態において、連結部32は、測定部33の第1面33aと垂直な方向から視て対称な形状である。対称な形状としては、例えば、測定部33の中心を対称の中心とする点対称な形状、測定部33の中心を通り第1面33aと平行な軸を軸とする線対称な形状とすることができる。
【0023】
連結部32は、測定部33及び支持部31よりも軟らかな軟質材料からなる。軟質材料としては、シリコーン、アクリル、ウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、テフロン系(「テフロン」は登録商標)の樹脂、等を用いることができる。軟質材料としては、硬度E5以上、A50以下のものが好ましく、例えば硬度A30のものがより好ましい。なお、支持部31は、測定部33よりも軟らかい材料からなることが好ましい。なお、硬度の測定方法としては、ISO(国際標準化機構)や新JIS規格に基づいたデュロメータを計測器として用いて評価を行う。針状の圧子に荷重を付加して、バルーンに対する圧子の押し込み深さから硬さを定量化する。
【0024】
貫通孔32cには、図示しない配線が挿通される。センサ40は、配線を介して回路基板と接続される。回路基板には、発振回路、制御回路、等の構成部材が搭載される。発振回路は、例えばセンサ40の容量値に応じた周波数の信号を出力する。制御回路は、発振回路の出力信号により、測定対象の水分量を検出する。そして、制御回路は、検出した水分量を本体部11に設けられた図示しない表示部に表示する。回路基板は、例えば本体部11に内装される。なお、測定器1に複数の回路基板が設けられても良い。複数の回路基板は、ヘッド部21、アーム部22、又はヘッド部21及びアーム部22に配設される。
【0025】
(作用)
次に、上記の測定器1の作用を説明する。
【0026】
測定者は、測定器1の本体部11を把持する。図2(a)に示すように、測定者は、プローブ部12の先端の測定部33の第1面33aを対象物TGの被測定面TGaに押し当てる。対象物TGは、例えば舌である。このとき、測定部33と支持部31との間の連結部32は、軟質材料からなる。この連結部32が容易に変形するため、支持部31に対して測定部33が傾く。その結果、対象物TGの被測定面TGaに対して測定部33の第1面33aの全体が接触し易い。例えば、図2(b)に示すように、硬い材質からなる連結部80を用いた場合、その連結部80が変形しない場合、測定部33が対象物TGに対して斜めに当ると、測定部33の第1面33aと対象物TGの被測定面TGaとの間に隙間ができ、測定精度が低下する。なお、支持部31に測定部33を直接接続した場合も同様である。これに対し、本実施形態の測定器1では、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上する。この結果、測定精度を向上できる。
【0027】
連結部32は貫通孔32cを有している。従って、四角形状の測定部33の各辺において連結部32の変形が均等になり易い。このため、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0028】
貫通孔32cは、測定部33の第1面33aの中心を通り、第1面33aと垂直な線分を連結部32が囲むように形成されている。この場合、測定部33の第1面33aに加わる力が軟質材料からなる連結部32に効率よく分散されるため、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0029】
支持部31は、測定部33よりも軟らかい材料からなることが好ましく、測定精度を向上できる。例えば、測定部33が軟らかいと、センサ40の電極41a,41bの間の距離が変化し、測定ばらつきが大きくなる。支持部31が測定部33より硬いと、第1面33aに対して均等に押圧力が加わり難くなり、測定ばらつきが大きくなる。
【0030】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
【0031】
(1)測定器1は、本体部11と、先端のヘッド部21と、ヘッド部21を本体部11に接続するアーム部22とを有するプローブ部12と、を備える。ヘッド部21は、支持部31と、測定部33と、連結部32とを有している。支持部31は、アーム部22の先端に接続されている。測定部33は、センサ40の測定面40aが露出する第1面33aを有する。測定部33は、第1面33aを基準として厚み33hを有する。連結部32は、測定部33と支持部31との間に配置され、測定部33と支持部31とを連結する。連結部32は、測定部33と接続される第1接続部32aと、支持部31と接続される第2接続部32bとを有する。連結部32は、貫通孔32cを有し、軟質材料からなる。
【0032】
この構成によれば、プローブ部12の先端の測定部33の第1面33aを対象物TGの被測定面TGaに押し当てるとき、軟質材料からなる連結部32が容易に変形するため、測定部33の第1面33aと被測定面TGaとの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0033】
(2)測定部33は、第1面33aを基準として厚み33hを有するため、測定部33は、被測定面TGaからの押圧反力の大きさ及びその押圧反力の方向を、連結部32に伝達するのに有利である。連結部32は、被測定面TGaからのからの押圧反力の大きさ及びその押圧反力の方向に応じて弾性変形し、被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの追従性を向上できる。
【0034】
(3)測定部33の厚み33hは、測定部33の第1面33aが対象物TGの被測定面TGaに押し当てられたときの測定部33の弾性変形、例えば測定部33の撓み及び不均一な圧縮を低減または抑制するように設定することができる。測定部33の弾性変形が低減または抑制されていると、センサ40の測定面40aの撓み及び捻じれを抑制するのに有利である。
【0035】
(4)連結部32は貫通孔32cを有している。従って、四角形状の測定部33の各辺において連結部32の変形が均等になり易い。このため、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0036】
(5)貫通孔32cは、測定部33の第1面33aの中心を通り、第1面33aと垂直な線分を連結部32が囲むように形成されている。この場合、測定部33の第1面33aに加わる力が軟質材料からなる連結部32に効率よく分散されるため、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0037】
(変更例)
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
【0038】
・上記実施形態に対し、連結部32の形状を適宜変更してもよい。
【0039】
図3(a)に示すように、貫通孔32cを円形状としてもよく、また図3(b)に示すように貫通孔32cの大きさを適宜変更してもよい。
【0040】
図3(c),図3(d),図3(e)に示すように、複数の貫通孔32cを設けてもよい。複数の貫通孔32cの配置位置は、例えば、図3(c)及び図3(e)に示すように連結部32の中心における点対称の位置、図3(c)から図3(e)に示すように中心を通る線分を軸とする線対称の位置、等とすることができる。
【0041】
貫通孔32cの数や配置位置によって連結部32の変形具合を設定でき、支持部31に対する測定部33の傾き易さ等を調整できる。
【0042】
図4に示すように、連結部32を、内部に空隙32dを有する多孔質体としてもよい。これにより、連結部32の変形を容易にできる。このため、測定部33の第1面33aに対する接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0043】
図5に示すように、連結部32を、支持部31から測定部33に向けて外形寸法が大きくなるように形成することができる。また、図6に示すように、連結部32を、支持部31から測定部33に向けて外形寸法が小さくなるように形成することができる。測定部33を対象物TGに押し当てる押圧力によって連結部32の変形が大きくなり、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性が向上し、測定精度を向上できる。
【0044】
図7を参照して変更例を説明する。図中の直交座標系で示すZ方向は、ヘッド部21のまたは測定部33の厚さ方向を指す。X方向は、ヘッド部21のまたは測定部33の長さ方向を指す。Y方向は、ヘッド部21のまたは測定部33の幅方向を指す。XY面は、測定部33のまたは測定面40aの面内方向の一例である。X方向及びY方向は、測定部33の横方向と呼称することがある。
【0045】
図7の例では、測定部33は、測定部33の第1面33aに交差または直交して広がる側面33cを有する。測定部33の側面33cは、測定部33の外周面または横方向外向き面として構成される。測定部33の側面33cは、例えば段差面として構成されてよい。
【0046】
連結部32の第1接続部32aは、測定部33の側面33cの少なくとも一部と接するように構成される。連結部32の第1接続部32aは、測定部33の側面33cに対応するまたは一致する段差面を含むことができる。例えば、連結部32は、環状または筒状に構成され、貫通孔32cの内周面または横方向内向き面と、外周面または横方向外向き面とを有する。連結部32の内周面は、測定部33の側面33cの少なくとも一部と例えば全周にわたって接するように構成される。測定部33の側面33cが連結部32と接することにより、測定部33と連結部32との接触面積が増加する。測定時において、連結部32の横方向の弾性復元力が測定部33の側面33cに作用し、測定時における横方向への測定部33の位置ずれを抑制できる。
【0047】
測定部33は、センサ40と、センサ40を支持又は保持するセンサマウント部品とを有することができる。センサマウント部品は、センサマウント部品はセンサ40が取り付けられるセンサ座面を有し、例えば合成樹脂モールド部品として構成される。
【0048】
図7の例では、支持部31は、連結部32の側面32e(例えば連結部32の外周面)を囲むように構成される。例えば、支持部31は、厚さ方向における連結部32の一部または全部を収容するように構成される収容部または第1凹部31bを有してよい。第1凹部31bは、厚さ方向における連結部32の投影形状に対応または一致する開口と、当該開口からの深さとを有してよい。連結部32の側面32eは支持部31に接している。連結部32の側面32eは、支持部31の第1凹部31bの内周面と全周にわたって接するように構成されてよい。連結部32の側面32eが連結部32よりも硬いまたは弾性変形しにくい支持部31と接することにより、横方向への測定部33の移動を抑制でき、測定時における横方向への測定部33の位置ずれを抑制できる。
【0049】
連結部32の第2接続部32bは、連結部32の上面32fを含むことができる。第2接続部32bに含まれる連結部32の上面32fは、支持部31の第1凹部31bの底と接するように構成される。連結部32の上面32fは、例えば、環状の平坦面として構成されてよい。連結部32が、厚さ方向及び横方向において、測定部33と支持部31との間に配置される。この構成によれば、測定部33を対象物TGに押し当てたときの押圧反力の大きさ及びその押圧反力の方向に応じて連結部32が厚さ方向および/または横方向へ弾性変形でき、測定部33の変位の追従性を向上でき、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性を向上できる。
【0050】
図8~10の変更例について、図7との相違点を中心に説明する。図8の例では、測定部33及び支持部31の形状が図7のものと相違している。
【0051】
図8に示すように、測定部33は、測定部33の厚み方向において第1面33aとは反対側に固定部33dを有する。支持部31は、測定部33の固定部33dが嵌め込まれる第2凹部31cを有する。連結部32は、測定部33の固定部33dが支持部31の第2凹部31cに嵌め込まれた状態で、測定部33と支持部31との間に配置される。支持部31の第2凹部31cへの固定部33dの嵌め込みにより、固定部33dが支持部31の第2凹部31c内で横方向に移動するのが抑制され、横方向への測定部33の移動を抑制できる。
【0052】
固定部33dと第2凹部31cとは、測定部33が支持部31に対して少なくとも厚さ方向に移動可能であるように構成することができる。図8の例では、固定部33dは、支持部31の第2凹部31cに収容され、支持部31と係合するフックとして構成される。支持部31の第1凹部31bと第2凹部31cとは連続又は連通してよい。支持部31は、第1凹部31bと第2凹部31cとの間に形成される段差または被係合面を有してよい。測定部33の固定部33dは、支持部31の被係合面と係合してよい。固定部33dと支持部31との係合によって、測定部33が支持部31から脱落するのを抑制できる。
【0053】
測定部33を対象物TGに押し当てない状態で、連結部32は、測定部33と支持部31との間で、圧縮状態でまたは非圧縮状態で挟まれる。測定部33を対象物TGに押し当てたとき、測定部33の固定部33dは支持部31の第2凹部31c内で少なくとも厚さ方向に変位し、連結部32は、測定部33と支持部31との間で圧縮される。測定部33を対象物TGに押し当てたときの押圧反力の方向に応じて測定部33の向きは変化し、対象物TGの被測定面TGaに対する測定部33の第1面33aの接触性を向上できる。
【0054】
・上記実施形態及び各変更例において、連結部32は、上下又は左右に距離をおいて設けられた2つ以上の電極を有してもよい。2つ以上の電極は、連結部32の伸縮に伴う静電容量と抵抗値と磁性のうちの少なくとも1つに応じた出力値、または、連結部32の伸縮に伴う静電容量と抵抗値と磁性のうちの少なくとも1つの変化に応じた出力値を出力するように構成されてよい。例えば、図1に示すように、連結部32の電極群55は、発振回路51及び制御回路52等の構成部材を搭載した回路基板50に接続される。制御回路52は、連結部32の2つ以上の電極55の出力値により、測定面40aを測定対象に押し当てた際の荷重を検出するように構成されてよい。制御回路52は、連結部32の2つ以上の電極55の検出した出力値に応じて、センサ40の信号に基づく測定の開始、測定値の補正の少なくとも1つを実施するように構成されてもよい。例えば、制御回路5は、コンピュータ可読命令を格納した1つ以上のメモリと、そのコンピュータ可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサとを備えてもよい。制御回路5は、特定用途向けIC等の集積回路であってもよい。
【0055】
・センサ40が測定部33の第1面33aから突出していてもよい。
【0056】
・上記各実施形態及び各変更例は、口腔内において水分量を測定する測定器について説明したが、口腔外において水分量を測定するようにしてもよい。
【0057】
・上記各実施形態及び各変更例は、水分量を測定する測定器としたが、その他を測定する測定器としてもよい。例えば、pH測定器や口腔細菌測定器等の測定器としてもよい。また、血流や血中酸素を測定する測定器としてもよい。また、複数種類の測定値を測定する測定器としてもよい。その際、上記実施形態の静電容量式のセンサを測定対象に対応するセンサとすることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1…測定器、11…本体部、12…プローブ部、21…ヘッド部、22…アーム部、31…支持部、32…連結部、32a…第1接続部、32b…第2接続面、32c…貫通孔、32d…空隙、33…測定部、33a…第1面、33b…第2面、40…センサ、40a…測定面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11