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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】欠陥検査装置および欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
G01N29/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021514724
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2019016519
(87)【国際公開番号】W WO2020213101
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康紀
(72)【発明者】
【氏名】畠堀 貴秀
(72)【発明者】
【氏名】田窪 健二
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221324(WO,A1)
【文献】特開2012-24196(JP,A)
【文献】特開2019-2714(JP,A)
【文献】特開2018-169204(JP,A)
【文献】特開2017-219318(JP,A)
【文献】米国特許第6717681(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01N 21/84 - G01N 21/958
A61B 8/00 - A61B 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に弾性波を励起する励振部と、
前記検査対象にレーザ光を照射するレーザ照明と、
前記励振部により励振された前記検査対象の互いに異なる位置で反射されたレーザ光を干渉させる干渉部と、
干渉されたレーザ光による像を取得する撮像部と、
前記撮像部により取得した複数の静止画像に基づいて振動状態を取得し、前記検査対象の弾性波の伝播に関する動画像を生成する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記撮像部による撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域を特定するとともに、前記動画像において、前記測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行うように構成されており、
前記制御部は、前記撮像部によって取得される干渉されたレーザ光の光量が、前記制御部によって振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、前記測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている、欠陥検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記静止画像の各々における輝度値が第1閾値よりも小さい領域、または、複数の前記静止画像の各々における輝度値が前記第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい領域を、前記測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている、請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記静止画像に基づいて、複数の前記静止画像の各画素における平均輝度に対する輝度変化率が低下しているか否かを判別し、前記輝度変化率が低下している領域を、前記測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記輝度変化率が所定の閾値よりも小さい領域を、前記測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている、請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記輝度変化率が低下している領域の大きさに基づいて、前記測定不良領域と前記測定良好領域とを判別する制御を行うように構成されている、請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記輝度変化率が低下している領域の大きさが、所定の大きさよりも大きい場合に、前記測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている、請求項に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記測定不良領域を、前記測定良好領域とは異なる色によって表示することにより、前記測定不良領域と前記測定良好領域とを識別可能に表示するように構成されている、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記制御部は、撮像領域全体に対する前記測定不良領域の割合が所定値を超えた場合、測定自体が成立していないことを表示する制御をおこなうように構成されている、請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
検査対象に弾性波を励起し、
前記検査対象にレーザ光を照射し、
励振された前記検査対象の互いに異なる位置で反射されたレーザ光を干渉させ、
干渉されたレーザ光による像を取得し、
撮像した静止画像に基づいて振動状態を取得し、前記検査対象の弾性波の伝播に関する動画像を生成し、
撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域を特定し、
前記動画像において、前記測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行い、
前記測定不良領域を特定する際に、干渉されたレーザ光の光量が、振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、前記測定不良領域として特定する制御を行う、欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、欠陥検査装置が知られている。欠陥検査装置は、たとえば、特開2017-219318号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2017-219318号公報には、測定対象(検査対象)に弾性波を励起する励振部と、測定対象(検査対象)の表面の測定領域にストロボ照明の照射を行う照明部と、変位測定部と、を備える欠陥検査装置が開示されている。変位測定部は、弾性波の位相とストロボ照明のタイミングとを制御することにより、弾性波の互いに異なる少なくとも3つの位相において測定領域各点の前後方向の変位を一括測定するように構成されている。また、上記特開2017-219318号公報には、欠陥検査装置が、弾性波の各位相においてスペックル・シェアリング干渉法を用いて測定領域各点の前後方向の変位を一括測定する構成や、測定領域各点の振動状態(振幅および位相)に基づいて、振動による変位の相違を画像の明暗の相違で表した画像を作成し、作成された画像を検査者が目視で確認することにより、振動状態の不連続部を欠陥として検出する構成が開示されている。ここで、スペックル・シェアリング干渉法とは、レーザ光を照射し、測定領域の互いに異なる2点で反射された光を干渉させ、その干渉光の位相を求めることで2点間の相対的変位を検出する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-219318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開2017-219318号公報に記載されている欠陥検査装置では、測定対象(検査対象)に弾性波を励起し、ストロボ照明を照射し、弾性波の各位相において測定領域内の異なる2点で反射された光を干渉させ、その干渉光による像を静止画像として取得する。ここで、干渉するレーザ光の片方の位相をシフトさせながら、干渉光による像を複数の静止画像として取得し、複数の静止画像の輝度変化から干渉光の位相を算出し、この干渉光の位相から2点間の相対的変位を取得する。測定領域各点で前記処理を行うことで、測定領域の振動状態(振幅および位相)を取得している。この一連の工程において、干渉光の光量が不足または過大となる事で複数の静止画像における輝度変化が捉えられない場合や、前記弾性波による振動ではない外乱振動によって静止画像の取得中に測定対象が動いている場合は、干渉光の位相を正しく算出できず、測定領域内で振動状態(振幅および位相)を正しく取得できない領域が生じる場合がある。
【0006】
上記特開2017-219318号公報に記載されている欠陥検査装置が作成する画像は、振動による変位の相違を画像の明暗の相違で表した画像である。この画像においては、測定対象(検査対象)の測定領域各点の振動状態(振幅および位相)を観察することができるものの、測定対象(検査対象)の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを一見して把握することが困難である。測定対象(検査対象)の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されていない場合には、欠陥部分と正常部分とを誤判定する事につながる。そこで、測定対象(検査対象)の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを容易に把握することが可能な欠陥検査装置が望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検査対象の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを容易に把握することが可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における欠陥検査装置は、検査対象に弾性波を励起する励振部と、検査対象にレーザ光を照射するレーザ照明と、励振部により励振された検査対象の互いに異なる位置で反射されたレーザ光を干渉させる干渉部と、干渉されたレーザ光による像を取得する撮像部と、撮像部により取得した複数の静止画像に基づいて振動状態を取得し、検査対象の弾性波の伝播に関する動画像を生成する制御部と、を備え、制御部は、撮像部による撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域を特定するとともに、上記動画像において、測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行うように構成されており、制御部は、撮像部によって取得される干渉されたレーザ光の光量が、制御部によって振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面による欠陥検査装置では、上記のように、動画像において、測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行う制御部を設け、制御部は、撮像部によって取得される干渉されたレーザ光の光量が、制御部によって振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。これにより、ユーザは、測定不良領域と測定良好領域とが識別可能に表示された動画像を確認することが可能となるので、上記動画像において測定不良領域と測定良好領域とを容易に識別して把握することができる。その結果、検査対象の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを容易に把握することができる。また、撮像結果に基づいて、測定不良領域を容易に特定することができる。これにより、測定不良領域と測定良好領域とを識別することができるので、弾性波の伝播が観測されない測定不良領域を欠陥部分として誤認することを抑制することができる。また、ユーザは、測定不良領域の大きさなどに応じて、測定をやり直すか否かの判断を行うことができる。
また、検査対象の形状や表面の状態などに起因して、測定領域において上記領域が生じた場合に、上記領域を測定不良領域として特定することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の静止画像の各々における輝度値が第1閾値よりも小さい領域、または、複数の静止画像の各々における輝度値が第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい領域を、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、複数の静止画像の各々の輝度値が第1閾値よりも小さい領域を、レーザ光の光量が不足している領域として測定不良領域であると容易に特定することができる。また、複数の静止画像の各々の輝度値が第2閾値よりも大きい領域を、レーザ光の光量が飽和している領域として測定不良領域であると容易に特定することができる。
【0012】
上記第1の局面による欠陥検査装置において、好ましくは、制御部は、複数の静止画像に基づいて、複数の静止画像の各画素における平均輝度に対する輝度変化率が低下しているか否かを判別し、上記輝度変化率が低下している領域を、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、検査対象に対して励振部以外からの振動が付与されたことに起因して、測定領域において上記輝度変化率が低い領域が生じた場合、制御部は、上記輝度変化率が低い領域を測定不良領域として特定することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、制御部は、上記輝度変化率が所定の閾値よりも小さい領域を、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、上記輝度変化率が所定の閾値よりも低い領域を測定不良領域であると容易に特定することができる。
【0014】
上記輝度変化率が低下している領域を測定不良領域として特定する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、上記輝度変化率が低下している領域の大きさに基づいて、前記測定不良領域と前記測定良好領域とを判別する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、局所的に輝度変化率が低下している領域が測定不良領域として判別されることを抑制することが可能となるので、欠陥部分を見落とすことを抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、制御部は、上記輝度変化率が低下している領域の大きさが、所定の大きさよりも大きい場合に、測定不良領域として特定する制御を行うように構成されている。励振部以外からの振動が付与されたことに起因して上記輝度変化率が低下する領域は、欠陥部の大きさよりも通常大きいため、このように構成すれば、上記輝度変化率が低下している領域の大きさと所定の大きさとを比較することにより、測定不良領域を容易に特定することができる。その結果、検査対象に励起された振動による欠陥部分での振幅増加によって上記輝度変化率が低下している場合、欠陥部分が測定不良領域として判別されることを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による欠陥検査装置において、好ましくは、制御部は、測定不良領域を、測定良好領域とは異なる色によって表示することにより、測定不良領域と測定良好領域とを識別可能に表示するように構成されている。このように構成すれば、測定不良領域と測定良好領域とが異なる色によって表示されるので、ユーザは、測定不良領域と測定良好領域とを視覚的に容易に識別することができる。
【0017】
上記第1の局面による欠陥検査装置において、好ましくは、制御部は、撮像領域全体に対する測定不良領域の割合が所定値を超えた場合、測定自体が成立していないことを表示する制御をおこなうように構成されている。このように構成すれば、測定自体が成立していないことが表示されるので、ユーザは、測定が成立していないことを容易に把握することができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0018】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における欠陥検査方法は、検査対象に弾性波を励起し、検査対象にレーザ光を照射し、励振された検査対象の互いに異なる位置で反射されたレーザ光を干渉させ、干渉されたレーザ光による像を取得し、取得した複数の静止画像に基づいて、検査対象の弾性波の伝播に関する動画像を生成し、撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域を特定し、上記動画像において、測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行い、測定不良領域を特定する際に、干渉されたレーザ光の光量が、振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、測定不良領域として特定する制御を行う。
【0019】
この発明の第2の局面による欠陥検査方法では、上記のように、動画像において、測定不良領域を、振動状態が正しく取得された測定良好領域と識別可能に表示する制御を行い、測定不良領域を特定する際に、干渉されたレーザ光の光量が、振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域を、測定不良領域として特定する制御を行う。これにより、上記第1の局面における欠陥検査装置と同様に、検査対象の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを容易に把握することが可能な欠陥検査方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明によれば、検査対象の各測定領域に対して振動状態が正しく取得されているかを容易に把握することが可能な欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態による欠陥検査装置の構成を示したブロック図である。
図2】第1実施形態による欠陥検査装置の測定不良領域の表示を説明するための図である。
図3】第1実施形態による欠陥検査装置の制御部による測定不良領域表示処理を説明するためのフローチャートである。
図4】第1実施形態による欠陥検査装置の制御部による測定不良領域特定処理を説明するためのフローチャートである。
図5】第2実施形態による欠陥検査装置の測定不良領域の表示を説明するための図である。
図6】第2実施形態による欠陥検査装置の制御部による測定不良領域特定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、第1実施形態による欠陥検査装置100の構成について説明する。欠陥検査装置100は、検査対象7の欠陥を検査する装置である。
【0024】
(欠陥検査装置の構成)
第1実施形態による欠陥検査装置100は、振動子1と、レーザ照明2と、スペックル・シェアリング干渉計3と、制御部4と、信号発生器5と、表示部6と、を備えている。なお、振動子1は、請求の範囲の「励起部」の一例である。また、スペックル・シェアリング干渉計3は、請求の範囲の「干渉部」の一例である。
【0025】
振動子1およびレーザ照明2は、信号発生器5にケーブルを介して接続されている。振動子1は、検査対象7に弾性波を励起する。具体的には、振動子1は、検査対象7に接触するように配置され、信号発生器5からの交流電気信号を機械的振動に変換し、検査対象7に弾性波を励起する。
【0026】
レーザ照明2は、検査対象7にレーザ光を照射する。レーザ照明2は、図示しないレーザ光源と照明光レンズとを含んでいる。照明光レンズは、レーザ光源から照射されたレーザ光を検査対象7の表面の測定領域全体に拡げて照射する。また、レーザ照明2は、信号発生器5からの電気信号に基づいて、所定のタイミングにおいてレーザ光を照射する。つまり、レーザ照明2は、振動子1による弾性波に対応して、レーザ光を検査対象7に照射する。
【0027】
スペックル・シェアリング干渉計3は、振動子1により励振された検査対象7の互いに異なる位置で反射されたレーザ光を干渉させるように構成されている。また、スペックル・シェアリング干渉計3は、ビームスプリッタ31、位相シフタ32、第1反射鏡331、第2反射鏡332、集光レンズ34およびイメージセンサ35を含む。なお、イメージセンサ35は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0028】
ビームスプリッタ31は、ハーフミラーを含む。また、ビームスプリッタ31は、検査対象7の表面で反射されたレーザ光が入射される位置に配置されている。また、ビームスプリッタ31は、入射するレーザ光を位相シフタ32側に反射させるとともに、第2反射鏡332側に透過させる。また、ビームスプリッタ31は、第2反射鏡332により反射されて入射するレーザ光を集光レンズ34側に反射させるとともに、第1反射鏡331により反射されて入射するレーザ光を集光レンズ34側に透過させる。
【0029】
第1反射鏡331は、ビームスプリッタ31で反射されるレーザ光の光路上において、ビームスプリッタ31の反射面に対して、45度の角度となるように配置されている。第1反射鏡331は、ビームスプリッタ31により反射されて入射するレーザ光をビームスプリッタ31側に反射させる。
【0030】
第2反射鏡332は、ビームスプリッタ31を透過するレーザ光の光路上において、ビームスプリッタ31の反射面に対して、45度の角度からわずかに傾斜した角度になるように配置されている。第2反射鏡332は、ビームスプリッタ31により反射されて入射するレーザ光をビームスプリッタ31側に反射させる。
【0031】
位相シフタ32は、ビームスプリッタ31と第1反射鏡331との間に配置され、制御部4の制御により、透過するレーザ光の位相を変化(シフト)させる。具体的には、位相シフタ32は、透過するレーザ光の光路長を変化させるように構成されている。
【0032】
イメージセンサ35は検出素子を多数有し、ビームスプリッタ31で反射された後に第1反射鏡331で反射されてビームスプリッタ31を透過するレーザ光(図1中の直線)、およびビームスプリッタ31を透過した後に第2反射鏡332で反射されてビームスプリッタ31で反射されるレーザ光(図1中の破線)の光路上に配置される。イメージセンサ35は、たとえば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ、または、CCD(Charged-Coupled Devices)イメージセンサなどを含む。イメージセンサ35は、入射するレーザ光を撮像するように構成されている。また、イメージセンサ35は、レーザ光による像を取得するように構成されている。具体的には、スペックル・シェアリング干渉計3において干渉するレーザ光の片方の位相をシフトさせながら、干渉光による像を複数の静止画像60として取得するように構成されている。
【0033】
集光レンズ34は、ビームスプリッタ31とイメージセンサ35との間に配置され、ビームスプリッタ31を透過したレーザ光(図1中の直線)とビームスプリッタ31で反射されたレーザ光(図1中の破線)とを集光させる。
【0034】
検査対象7の表面上の位置741および第1反射鏡331で反射されるレーザ光(図1中の直線)と、検査対象7の表面上の位置742および第2反射鏡332で反射されるレーザ光(図1中の破線)とは、互いに干渉し、イメージセンサ35の同一箇所に入射する。位置741および位置742は、微小距離分だけ互いに離間した位置である。また、同様にして、検査対象7の各領域の位置における、互いに異なる位置から反射されたレーザ光は、スペックル・シェアリング干渉計3により導光されて、それぞれ、イメージセンサ35に入射する。
【0035】
制御部4は、スペックル・シェアリング干渉計3内に配置された位相シフタ32を図示しないアクチュエータで稼働させ、透過するレーザ光の位相を変化させる。これにより、位置741で反射されたレーザ光と位置742で反射されたレーザ光との位相差が変化する。これら2つのレーザ光が干渉した干渉光の強度をイメージセンサ35の各検出素子は検出する。
【0036】
制御部4は、信号発生器5を介して、振動子1の振動とレーザ照明2のレーザ光の照射のタイミングとを制御し、位相シフト量を変化させながら、複数の静止画像60(図2参照)を撮影する。たとえば、制御部4は、位相シフト量はλ/4ずつ変化させる。また、たとえば、制御部4は、レーザ光の照射のタイミングをT/8とする。Tは、振動子1の振動の周期である。制御部4は、各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)において、レーザ照射のタイミング j(j=0~7)分の32枚の静止画像60と各位相シフト量(0、λ/4、λ/2、3λ/4)前後の5枚の消灯時の静止画像60との合計37枚の静止画像60を撮影する。なお、λは、レーザ光の波長である。
【0037】
制御部4は、各検出素子からの検出信号を下記の手順で処理し、振動の状態を表す動画像61(図2参照)を取得する。つまり、制御部4は、イメージセンサ35により撮像した複数の静止画像60に基づいて振動状態を取得し、検査対象7の弾性波の伝播に関する動画像61を生成する。具体的には、制御部4は、複数の静止画像60に基づいて干渉光の位相を算出する。制御部4は、算出した干渉光の位相に基づき、検査対象7の振動状態を取得することにより、検査対象7の弾性波の伝播に関する動画像61を生成する。
【0038】
制御部4は、レーザ照射のタイミング j(j=0~7)が同じで位相シフト量がλ/4ずつ異なる静止画像60(4枚ずつ)の輝度値Ij0~Ij3から、式(1)により、光位相(位相シフト量ゼロの時の、2光路間の位相差)Φjを求める。
Φj=-arctan{(Ij3-Ij1)/(Ij2-Ij0)}・・・(1)
また、制御部4は、光位相Φjに対して、最小二乗法により正弦波近似を行い、式(2)における近似係数A、θ、Cを求める。
Φj=Acos(θ+jπ/4)+C=Bexp(jπ/4)+C・・・(2)
ただし、Bは、複素振幅であり、式(3)のように、表される。
B=Aexp(iθ):複素振幅・・・(3)
ここで、複素振幅Bは、振動状態を表す動画像61を出力するための基となる画像情報(複素振幅の2次元空間情報)である。また、制御部4は、式(2)から定数項Cを除いた近似式より、振動の各位相時刻 ξ(0≦ξ<2π)における光位相変化を表示する動画像(30~60フレーム)を構成し、振動状態を表す動画像61として出力する。なお、上記過程において、ノイズ除去のため複素振幅Bについて適宜空間フィルタが適用されても良い。
【0039】
制御部4は、上記の動画像61における振動状態の不連続領域を検査対象7の欠陥部分73として検出する。また、制御部4は、振動状態の不連続部を抽出し強調する空間フィルタを適用し、検査対象7の弾性波の伝播に関する動画像61に基づいて、振動状態の不連続部を抽出するように構成されている。
【0040】
ここで、検査対象7の形状、表面状態によって、レーザ光が遮られたり反射されたレーザ光の光量にばらつきが生じることにより、干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となる領域82が生じる場合や、外乱光によって相対的に干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となる領域82が生じる場合がある。このような領域82では、検査対象7における振動状態が正しく取得されない。そこで、第1実施形態では、図2に示すように、制御部4は、イメージセンサ35による撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域80を特定するとともに、動画像61において、測定不良領域80を、振動状態が正しく取得された測定良好領域81と識別可能に表示する制御を行うように構成されている。
【0041】
具体的には、制御部4は、イメージセンサ35によって取得される干渉されたレーザ光の光量が、制御部4によって振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となる領域82を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。より具体的には、制御部4は、複数の静止画像60の各々における輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、複数の静止画像60の各々における輝度値が第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい領域82を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。なお、複数の静止画像60の各々における輝度値が第1閾値よりも小さい領域82が、レーザ光の光量が不足している領域82である。また、複数の静止画像60の各々における輝度値が第2閾値よりも大きい領域82が、レーザ光の光量が飽和している領域82である。
【0042】
また、第1実施形態では、図2に示すように、制御部4は、測定不良領域80を、測定良好領域81とは異なる色によって表示することにより、測定不良領域80と測定良好領域81とを識別可能に表示するように構成されている。なお、図2に示す例では、測定不良領域80にハッチングを付すことにより、測定不良領域80と測定良好領域81との色の違いを表している。
【0043】
表示部6は、制御部4で作成された検査対象7の振動状態を表す動画像61、を表示する。表示部6は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含む。
【0044】
検査対象7は、鋼板71の表面に塗膜72が塗装された塗装鋼板である。欠陥部分73は、亀裂や剥離などを含む。
【0045】
(測定不良領域表示処理)
次に、図3を参照して、第1実施形態の欠陥検査装置100による測定不良領域表示処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、測定不良領域表示処理は、制御部4により、行われる。
【0046】
図3のステップ101において、振動子1から検査対象7への振動付与が開始される。これにより、検査対象7に弾性波が励起される。ステップ102において、レーザ照明2からレーザ光が検査対象7の測定領域に照射される。
【0047】
ステップ103において、位相シフタ32のシフト量を変化させつつ、干渉光による像のデータが取得される。つまり、位相を異ならせて干渉させた干渉光による像が複数の静止画像60として撮像される。これにより、レーザ光の位相がλ/4ずつ変化するように、スペックル・シェアリング干渉計3の位相シフタ32が稼働させられ、各位相でのレーザ光の干渉光の強度がイメージセンサ35で検出(撮像)される。
【0048】
ステップ104において、振動子1から検査対象7への振動付与が終了する。ステップ105において、検査対象7の弾性波の伝播に関する動画像61が作成される。
【0049】
ステップ106において、複数の静止画像60に基づいて、測定不良領域80が特定される。ステップ107において、動画像61に測定不良領域80が重ねて表示される。その後、測定不良領域表示処理が終了される。
【0050】
(測定不良領域特定処理)
次に、図4を参照して、第1実施形態の欠陥検査装置100による測定不良領域特定処理(図3のステップ106における処理)をフローチャートに基づいて説明する。なお、測定不良領域特定処理は、制御部4により、行われる。
【0051】
図4のステップ201において、複数の静止画像60の輝度値が取得される。ステップ202において、輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、輝度値が第2閾値よりも大きい領域82があるか否かが判断される。複数の静止画像60において、輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、輝度値が第2閾値よりも大きい領域82がある場合、処理は、ステップ203へ進む。複数の静止画像60において、輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、輝度値が第2閾値よりも大きい領域82がない場合、処理は、ステップ107へと進み、測定不良領域特定処理が終了される。なお、ステップ202の処理では、判断に用いる輝度値として、複数の静止画像60の各々の輝度値を用いる。
【0052】
ステップ203において、輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、輝度値が第2閾値よりも大きい領域82が、測定不良領域80として特定される。その後、処理は、ステップ107へ進み、測定不良領域特定処理が終了される。
【0053】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0054】
第1実施形態では、上記のように、検査対象7に弾性波を励起する振動子1と、検査対象7にレーザ光を照射するレーザ照明2と、振動子1により励振された検査対象7の互いに異なる位置で反射されるレーザ光を干渉させるスペックル・シェアリング干渉計3と、干渉されたレーザ光による像を取得するイメージセンサ35と、イメージセンサ35により取得した複数の静止画像60に基づいて、振動状態を取得し、検査対象7の弾性波の伝播に関する動画像61を生成する制御部4と、を備え、制御部4は、イメージセンサ35による撮像結果に基づいて、振動状態が正しく取得されなかった測定不良領域80を特定するとともに、動画像61において、測定不良領域80を、振動状態が正しく取得された測定良好領域81と識別可能に表示する制御を行うように構成されている。これにより、ユーザは、測定不良領域80と測定良好領域81とが識別可能に表示された動画像61を確認することが可能となるので、動画像61において測定不良領域80と測定良好領域81とを容易に識別して把握することができる。その結果、検査対象7の各測定領域に対する測定が正しく行われているかを容易に把握することができる。また、イメージセンサ35による撮像結果に基づいて、測定不良領域80を容易に特定することができる。これにより、測定不良領域80と測定良好領域81とを識別することができるので、測定不良領域80において、弾性波の伝播が正しく観測されない部分を、欠陥部分73と正常部分とを誤判別することを抑制することができる。また、ユーザは、測定不良領域80の大きさなどに応じて、測定をやり直すか否かの判断を行うことができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部4は、イメージセンサ35によって取得される干渉されたレーザ光の光量が、制御部4によって振動状態を正しく取得できないほど不足または過大となっている領域82を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。これにより、検査対象7の形状や表面の状態などに起因して、測定領域において干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となっている領域82が生じた場合に、干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となっている領域82を測定不良領域80として特定することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部4は、複数の静止画像60の各々における輝度値が第1閾値よりも小さい領域82、または、複数の静止画像60の各々における輝度値が第1閾値よりも大きい第2閾値よりも大きい領域82を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。これにより、複数の静止画像60の各々の輝度値が第1閾値よりも小さい領域82を、レーザ光の光量が不足している領域82として測定不良領域80であると容易に特定することができる。また、複数の静止画像60の各々の輝度値が第2閾値よりも大きい領域82を、レーザ光の光量が飽和している領域82として測定不良領域80であると容易に特定することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部4は、測定不良領域80を、測定良好領域81とは異なる色によって表示することにより、測定不良領域80と測定良好領域81とを識別可能に表示するように構成されている。これにより、測定不良領域80と測定良好領域81とが異なる色によって表示されるので、ユーザは、測定不良領域80と測定良好領域81とを視覚的に容易に識別することができる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、図1、および、図5を参照して、第2実施形態による欠陥検査装置100(図1参照)について説明する。制御部4が干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となっている領域82を測定不良領域80として特定する上記第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、制御部4は、振動子1以外からの振動などに起因して振動状態が正しく取得されない領域83(図5参照)を、測定不良領域80として特定するように構成されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
ここで、振動子1以外からの振動などに起因して、振動状態が正しく取得されない領域83が生じる場合がある。そこで、図5に示すように、第2実施形態では、振動状態が正しく取得されない領域83を、測定不良領域80として特定するように構成されている。具体的には、制御部4は、複数の静止画像60に基づいて、複数の静止画像60の各画素における平均輝度に対する輝度変化率が低下しているか否かを判別し、複数の静止画像60の各画素における平均輝度に対する輝度変化率が低下している領域83を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。
【0060】
制御部4は、レーザ照射のタイミング j(j=0~7)が同じで位相シフト量がλ/4ずつ異なる静止画像60(4枚ずつ)の輝度値Ij0~Ij3から、下記の式(4)および式(5)に示す背景光の強度D(平均輝度)および干渉光の強度の振幅Eを取得する。また、制御部4は、背景光の強度Dおよび干渉光の振幅Eより、以下の式(6)に示す干渉度F(=E/D)を求める。
D=(Ij0+Ij1+Ij2+Ij3)/4・・・(4)
E=1/2×{(Ij2-Ij1)+(Ij0-Ij3)}1/2・・・(5)
F=2×{(Ij2-Ij1)+(Ij0-Ij3)}1/2/(Ij0+Ij1+Ij2+Ij3)・・・(6)
なお、上記式(6)に示す干渉度Fが低くなる場合、位相シフタ32によって透過するレーザ光の位相を変化させても干渉光の強度に変化がなく、振動状態は正しく取得されない。そこで、制御部4は、干渉度Fの大きさに基づいて、測定不良領域80を特定する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部4は、干渉度Fが所定の第3閾値よりも小さい領域83を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。また、干渉度Fは振動子1以外からの振動に起因して低下する場合と、振動子1によって励振された検査対象7において欠陥部分73での振幅増大に起因して低下する場合がある。なお、干渉度Fとは、複数の静止画像60の各画素における平均輝度に対する輝度変化率のことである。
【0061】
また、第2実施形態では、制御部4は、干渉度Fが低下している領域83の大きさに基づいて、測定不良領域80と欠陥部分73とを判別する制御を行うように構成されていている。また、制御部4は、干渉度Fが低下している領域83の大きさが、所定の大きさよりも大きい場合に、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。図5に示す例では、干渉度Fが低下している領域83a、干渉度Fが低下している領域83b、および、干渉度Fが低下している領域83cのうち、干渉度Fが低下している領域83bの大きさが欠陥部分73の大きさよりも小さい。そこで、制御部4は、干渉度Fが低下している領域83a、および、干渉度Fが低下している領域83cを、測定不良領域80として特定する。
【0062】
また、第2実施形態では、制御部4は、撮像領域全体に対する測定不良領域80の割合が所定値を超えた場合、測定自体が成立していないことを表示する制御をおこなうように構成されている。
【0063】
図6を参照して、第2実施形態の欠陥検査装置100による測定不良領域特定処理(図3のステップ106における処理)をフローチャートに基づいて説明する。なお、測定不良領域特定処理は、制御部4により、行われる。
【0064】
図6のステップ301において、複数の静止画像60の輝度値に基づき、上記式(6)に示される干渉度Fが取得される。ステップ302において、干渉度Fが所定の第3閾値よりも低い領域83があるか否かが判断される。干渉度Fが所定の第3閾値よりも低い領域83がある場合、処理は、ステップ303へ進む。干渉度Fが第3閾値よりも低い領域83がない場合、処理は、ステップ107へと進み、測定不良領域特定処理が終了される。
【0065】
ステップ303において、干渉度Fの大きさが第3閾値よりも小さい領域83の大きさが、所定の大きさよりも大きいか否かの判断が行われる。干渉度Fの大きさが第3閾値よりも小さい領域83の大きさが所定の大きさよりも大きい場合、処理は、ステップ304へ進む。干渉度Fの大きさが第3閾値よりも小さい領域83の大きさが所定の大きさよりも小さい場合、処理は、ステップ107へ進み、測定不良領域特定処理が終了される。
【0066】
ステップ304において、干渉度Fが第3閾値よりも低い領域83が、測定不良領域80として特定される。その後、処理は、ステップ107へ進み、測定不良領域特定処理が終了される。
【0067】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第2実施形態では、上記のように、制御部4は、複数の静止画像60に基づいて、干渉度Fが低下しているか否かを判別し、干渉度Fが低下している領域83を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。これにより、検査対象7に対して振動子1以外からの振動が付与されたことに起因して、干渉度Fが低下し、測定領域において振動状態が正しく取得されない領域83が生じた場合、制御部4は、振動状態が正しく取得されない領域83を測定不良領域80として特定することができる。
【0070】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部4は、干渉度Fが所定の第3閾値よりも小さい領域を、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。これにより、干渉度Fが所定の第3閾値よりも低い領域を測定不良領域80であると容易に特定することができる。
【0071】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部4は、干渉度Fが低下している領域83の大きさに基づいて、測定不良領域80と測定良好領域81とを判別する制御を行うように構成されている。これにより、局所的に干渉度Fが低下している領域83が測定不良領域80として判別されることを抑制することが可能となるので、欠陥部分73を見落とすことを抑制することができる。
【0072】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部4は、干渉度Fが低下している領域83の大きさが、所定の大きさよりも大きい場合に、測定不良領域80として特定する制御を行うように構成されている。振動子1以外からの振動が付与されたことに起因して干渉度が低下する領域は、欠陥部分73の大きさよりも通常大きいため、上記のように構成することにより、干渉度Fが低下している領域83の大きさと所定の大きさとを比較することにより、測定不良領域80を容易に特定することができる。その結果、検査対象7に励起された振動による欠陥部分73での振幅増加によって干渉度Fが低下している場合、欠陥部分73が測定不良領域80として判別されることを抑制することができる。
【0073】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部4は、撮像領域全体に対する測定不良領域80の割合が所定値を超えた場合、測定自体が成立していないことを表示する制御をおこなうように構成されている。これにより、測定自体が成立していないことが表示されるので、ユーザは、測定が成立していないことを容易に把握することができる。その結果、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0074】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記第1実施形態では、制御部が複数の静止画像のうち、輝度値が第1閾値よりも小さい領域、または、第2閾値よりも大きい領域を有する静止画が1枚でもあれば、測定不良領域として特定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の静止画像のうち、輝度値が第1閾値よりも小さい領域、または、第2閾値よりも大きい領域を有する静止画像があった場合でも、輝度値が第1閾値よりも小さい領域、または、第2閾値よりも大きい領域を有する静止画像が所定枚数以下であれば、測定不良領域として特定しなくてもよい。すなわち、複数の静止画像のうち、全ての静止画像において、輝度値が第1閾値以上、第2閾値以下の範囲に収まっていない場合でも、測定不良領域として特定されなくてもよい。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、制御部が複数の静止画像の各々の輝度値を用いて測定不良領域の特定処理を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、複数の静止画像から平均輝度値を取得し、取得した平均輝度値を用いて測定不良領域の特定処理を行うように構成されていてもよい。
【0078】
また、上記第1および第2実施形態では、制御部が欠陥部分を抽出する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。制御部は、測定不良領域を特定すれば、欠陥部分を抽出しなくてもよい。
【0079】
また、上記第1および第2実施形態では、信号発生器と、振動子(励振部)およびレーザ照明とをそれぞれケーブル(有線)を介して接続している構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、信号発生器と、励振部およびレーザ照明とをそれぞれ無線により接続してもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、干渉部としてスペックル・シェアリング干渉計を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、干渉部として、他の光干渉計を用いてもよい。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、検査対象の表面に振動子(励振部)を接触させて用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検査対象の表面から離間させて励振部を用いてもよい。たとえば、励振部として強力なスピーカ等を用いてもよい。
【0082】
また、上記第1および第2実施形態では、位相シフト量をλ/4ずつ変化され、レーザ照射タイミングのステップをT/8とする構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。位相シフト量およびレーザ光の照射タイミングのステップは、ことなる値でもよい。この場合、計算式は上記式(1)~式(3)とは異なる式になる。
【0083】
また、本発明では、検査対象からの反射光が撮像部(イメージセンサ)へ入射するまでの光路上に、光学部品の保護や装置のSN比の向上等を目的として、ウィンドウや、種々の光学フィルタを配置してもよい。
【0084】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部4による処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 振動子(励振部)
2 レーザ照明
3 スペックル・シェアリング干渉計(干渉部)
4 制御部
7 検査対象
35 イメージセンサ(撮像部)
60 静止画像
61 動画像
73 欠陥部分
80 測定不良領域
81 測定良好領域
82、82a、82b、82c 干渉されたレーザ光の光量が不足または過大となっている領域
83、83a、83b、83c 振動の状態が正しく取得されていない領域
100 欠陥検査装置
F 干渉度(複数の静止画像の各画素における平均輝度に対する輝度変化率)
図1
図2
図3
図4
図5
図6