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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】レーダ装置、車両および不要点除去方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20220817BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220817BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20220817BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20220817BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20220817BHJP
   H01Q 3/04 20060101ALI20220817BHJP
   H01Q 3/24 20060101ALN20220817BHJP
【FI】
G01S7/02 216
G01S13/931
H01Q21/08
H01Q3/36
H01Q3/26 Z
H01Q3/04
H01Q3/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021525974
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2020020757
(87)【国際公開番号】W WO2020250666
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2019107873
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 拓也
(72)【発明者】
【氏名】荒川 暢哉
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227510(JP,A)
【文献】特開2012-185029(JP,A)
【文献】特開2019-070565(JP,A)
【文献】特開2015-117961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0168139(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
H01Q 3/00- 3/46
H01Q 21/00-25/04
G08G 1/16
B60R 21/0134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナを備えた送信部と、
受信アンテナおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置であって、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、
前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、
前記受信部は、
前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する記憶部と、
前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去する検出結果比較部と、を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
前記送信部または前記受信部は、移相器によって電波の指向性を調整するアナログビームフォーミングを実行することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記受信部は、複数の前記受信アンテナから受信した電波のデジタルデータに基づいて電波の指向性を調整するデジタルビームフォーミングを実行することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記送信アンテナの向きを機械的に変えることによって前記第1のビームパターンと前記第2のビームパターンとを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載のレーダ装置を備えた車両。
【請求項6】
送信アンテナを備えた送信部と、受信アンテナおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置に適用される不要点除去方法であって、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、
前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、
前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、
前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶し、
前記受信部は、前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去することを特徴とする不要点除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体の位置を特定するレーダ装置、車両および不要点除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、虚像領域内の同一方向に物標(対象物)とみなされる映像が複数個存在するか否かを判別するレーダ装置が開示されている。特許文献1に開示されたレーダ装置は、信号処理により、複数個の映像のうち最も近距離の映像を実像として表示させ、その他の映像は多重反射による虚像とみなして表示から除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-82671号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、最も近距離で検出した反射波が実際の物標ではない場合もある。この場合、特許文献1に開示されたレーダ装置では、実際の物標による実像と、物標以外による虚像との区別が難しいという問題がある。
【0005】
本発明の一実施形態の目的は、実像と虚像とを精度よく判別することができるレーダ装置、車両および不要点除去方法を提供することにある。
【0006】
本発明の一実施形態は、送信アンテナを備えた送信部と、受信アンテナおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、前記受信部は、前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する記憶部と、前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去する検出結果比較部と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明の一実施形態は、送信アンテナを備えた送信部と、受信アンテナおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置に適用される不要点除去方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶し、前記受信部は、前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去することを特徴としている。

【0008】
本発明の一実施形態によれば、実像と虚像とを精度よく判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態によるレーダ装置を搭載した車両を示す平面図である。
図2図1中のレーダ装置を示すブロック図である。
図3】不要点除去処理を示す流れ図である。
図4】MIMOレーダとして動作したときの角度と信号強度との関係を示す特性線図である。
図5】アナログビームフォーミングを実行したときの角度と信号強度との関係を示す特性線図である。
図6】第1のビームパターンを用いて目標を検知したときの検知結果の一例を示す説明図である。
図7】第2のビームパターンを用いて目標を検知したときの検知結果の一例を示す説明図である。
図8】本発明の第2の実施形態によるレーダ装置を示すブロック図である。
図9】本発明の第3の実施形態によるレーダ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態によるレーダ装置と不要点除去方法を、自動車等の車両に適用した場合を例に挙げて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、車両1を示している。車両1は、車体2と、車体2に開閉可能に取り付けられたドア3と、ドア3に取り付けられたドアノブ4とを備えている。
【0012】
車両1は、本発明の第1の実施形態によるレーダ装置10を備えている。レーダ装置10は、例えばFMCW方式で目標を探知するレーダ装置である。レーダ装置10は、例えば車両1のドアノブ4に設置されている。レーダ装置10は、車両1の進行方向(X方向)に対して直交するY方向に向けて、電波を放射し、目標(物標)を探知する。
【0013】
なお、図1は、レーダ装置10が車両1の左側のドア3に取り付けられた状態を例示している。本発明はこれに限らず、レーダ装置10は右側のドア3に取り付けられてもよく、車両1の複数個所に取り付けられてもよい。
【0014】
図2に示すように、レーダ装置10は、送信部12と、受信部18と、を備えている。送信部12の送信アンテナ13~13Mと、受信部18の受信アンテナ19~19Nとは、レドーム11によって覆われている。レドーム11は、電波が透過可能な誘電体材料(非導電性材料)によって形成されている。レドーム11は、例えば長さ寸法Lの外形寸法を有している。
【0015】
送信部12は、例えば周波数変調された送信信号St(図1参照)を送信する。図2に示すように、送信部12は、複数個(例えばM個、Mは自然数)の送信アンテナ13~13Mと、分配器14と、発振器15と、を備えている。送信アンテナ13~13Mには、移相器16~16Mと、スイッチ17~17Mと、が接続されている。送信アンテナ13~13Mは、例えば無指向性のアンテナによって構成されている。送信アンテナ13~13Mは、例えば等間隔にX方向に並んで配置されている。
【0016】
発振器15は、ローカル信号SLを発振する。具体的には、発振器15は、時間と共に周波数が線形に増加するチャープ信号からなるローカル信号SLを出力する。分配器14は、ローカル信号SLを2つに分配する。分配器14は、送信アンテナ13~13Mにローカル信号SLを供給すると共に、ミキサ20にローカル信号SLを供給する。これにより、ローカル信号SLは、分配器14、スイッチ17~17Mおよび移相器16~16Mを通じて送信アンテナ13~13Mに供給される。また、ローカル信号SLは、分配器14を通じて受信部18のミキサ20に供給される。
【0017】
移相器16~16Mは、制御部24からの制御信号に基づいて、送信アンテナ13~13Mに供給するローカル信号SLの位相を調整する。図4に示すように、送信アンテナ13~13Mのうち1つを選択して電波を放射した場合には、広い角度範囲に亘って電波を放射することができる。一方、図5に示すように、隣り合う2つの送信アンテナ13i,13i+1間の位相差が異なる場合には、ビームパターンも異なる。このため、移相器16~16Mおよびスイッチ17~17Mは、送信アンテナ13~13Mから放射する電波(送信信号St)のビームパターン(指向性)を制御する。なお、移相器16~16Mと送信アンテナ13~13Mとの間には、電力増幅器(図示せず)が接続されている。
【0018】
スイッチ17~17Mは、分配器14と移相器16~16Mとの間に設けられている。スイッチ17~17Mは、制御部24からの制御信号に基づいて、オン、オフする。これにより、スイッチ17~17Mは、電波を放射する送信アンテナ13~13Mを選択する。
【0019】
受信部18は、送信信号Stの目標(物標)での反射波を受信信号Sr(図1参照)として受信し、送信信号Stと受信信号Srとの差分信号であるビート信号Sbを生成する。図2に示すように、受信部18は、複数個(例えばN個、Nは自然数)の受信アンテナ19~19Nと、ミキサ20と、処理部22と、を備えている。受信アンテナ19~19Nは、例えば無指向性のアンテナによって構成されている。受信アンテナ19~19Nは、例えば等間隔にX方向に並んで配置されている。受信アンテナ19~19Nの個数は、送信アンテナ13~13Mの個数と同じでもよく、異なってもよい。受信アンテナ19~19Nは、目標が送信信号Stを反射したときに、目標から反射して戻ってくる反射波(エコー信号)からなる受信信号Srを受信する。
【0020】
受信アンテナ19~19Nには、移相器21~21Nが接続されている。なお、受信アンテナ19~19Nと移相器21~21Nとの間には、低雑音増幅器(図示せず)が接続されている。
【0021】
移相器21~21Nは、制御部24からの制御信号に基づいて、受信アンテナ19~19Nが受信した受信信号Srの位相を調整する。これにより、移相器21~21Nは、受信アンテナ19~19Nから受信する電波のビームパターン(指向性)を制御する。
【0022】
ミキサ20は、受信アンテナ19~19Nが受信した、送信信号Stの目標での反射による受信信号Srと、ローカル信号SLとから、ビート信号Sbを出力する。具体的には、ミキサ20は、受信アンテナ19~19Nが受信した受信信号Srと、送信アンテナ13~13Mが出力した送信信号Stと同じローカル信号SLとを乗算してビート信号Sbを生成する。ミキサ20は、ADC(図示せず)を介して処理部22に接続されている。ADC(アナログ-デジタル変換器)は、ビート信号Sbをアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0023】
処理部22は、マイクロコンピュータ等によって構成されている。処理部22には、記憶部23が接続されている。記憶部23は、例えばRAMのような書き換え可能なメモリである。
【0024】
処理部22は、FFT計算部22Aと、到来方向計算部22Bと、検出結果比較部22Cと、を備えている。FFT計算部22Aは、高速フーリエ変換を行い、ビート信号Sbを周波数信号に変換する。このとき、ビート信号Sbの周波数は、送信信号Stが物標で反射して戻ってくるまでの往復時間に比例する。このため、FFT計算部22Aは、周波数信号に基づいて目標までの距離測定(測距)を行う。
【0025】
到来方向計算部22Bは、例えば隣り合う2つの受信アンテナ19i,19i+1で受信した受信信号Srの位相を検出することによって、目標の方位角(方向)を検知する。これにより、処理部22は、目標毎に距離と方位角を取得し、複数の目標の位置を検出する。処理部22は、検出した目標の位置を記憶部23に記憶する。
【0026】
第1のビームパターンで検知を実施したときに、受信部18は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶する。具体的には、送信部12が第1のビームパターンの電波を放射したときに、受信部18は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶部23に記憶する。第1のビームパターンは、例えば送信アンテナ13~13Mのうちいずれか1つから無指向性の電波を放射したときのビームパターンである(図4参照)。
【0027】
また、第2のビームパターンで検知を実施したときに、受信部18は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する。具体的には、送信部12が第2のビームパターンの電波を放射したときに、受信部18は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶部23に記憶する。第2のビームパターンは、例えば送信アンテナ13~13Mから位相が調整された電波を一緒に放射したときの、所定の指向性を有するビームパターンである(図5参照)。
【0028】
なお、第1のビームパターンと第2のビームパターンは、送信側のビームパターンに限らず、受信側のビームパターンでもよい。即ち、送信部12の移相器16~16Mおよびスイッチ17~17Mによるビームパターンの調整に限らず、受信部18の移相器21~21Nによるビームパターンの調整でもよい。
【0029】
検出結果比較部22Cは、第1結果と第2結果とを比較して、第1結果の反射点の位置と第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点(不要点)を除去する。
【0030】
制御部24は、図3に示す不要点除去処理のプログラムを実行する。具体的には、制御部24は、送信部12を制御して第1のビームパターンの電波を放射させる。このとき、制御部24は、受信部18を制御して第1のビームパターンによる第1結果を記憶部23に記憶させる。また、制御部24は、送信部12を制御して第2のビームパターンの電波を放射させる。このとき、制御部24は、受信部18を制御して第2のビームパターンによる第2結果を記憶部23に記憶させる。第1結果と第2結果が記憶された後に、制御部24は、検出結果比較部22Cを用いて、第1結果と第2結果とを比較し、不要点を除去する。
【0031】
次に、制御部24による不要点除去処理について、図3を参照して説明する。
【0032】
図3中のステップS1では、制御部24は、レーダ装置10をMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)レーダとして動作させ、物標を検知する。具体的には、制御部24は、送信部12のスイッチ17~17Mを制御し、送信アンテナ13~13Mのうち1つから送信信号Stを放射させる。このとき、送信部12は、第1のビームパターンとして、無指向性の電波を放射する。この状態で、受信部18は、受信アンテナ19~19Nによって受信した受信信号Srに基づいて、目標の位置を検知する。このような位置検知の動作を、送信アンテナ13~13Mを順次切り替えて、繰り返す。
【0033】
ステップS2では、受信部18は、最終的に得られた目標の位置を、第1結果として、記憶部23に記憶する。このとき、第1結果には、第1のビームパターンで検出した電波の反射点の位置が含まれる。
【0034】
ステップS3では、制御部24は、第1結果に含まれる目標(反射点)の位置に、近距離のものがあるか否かを判定する。具体的には、目標までの距離が、例えばレドーム11の長さ寸法L以内か否かを判定する。反射点の位置に近距離のものが含まれない場合には、ステップS3で「NO」と判定し、処理を終了する。一方、反射点の位置に近距離のものが含まれる場合には、ステップS3で「YES」と判定し、ステップS4に移行する。
【0035】
ステップS4では、制御部24は、レーダ装置10をアナログビームフォーミングによるレーダとして動作させ、物標を検知する。具体的には、制御部24は、送信部12の移相器16~16Mを制御し、送信アンテナ13~13Mから第1結果で記憶した目標(反射点)の位置に向けて指向性を有する電波を放射させる。このとき、送信部12は、第2のビームパターンとして、指向性を有する電波を放射する。この状態で、受信部18は、受信アンテナ19~19Nによって受信した受信信号Srに基づいて、目標の位置を検知する。
【0036】
ステップS5では、受信部18は、得られた目標の位置を、第2結果として、記憶部23に記憶する。このとき、第2結果には、第2のビームパターンで検出した電波の反射点の位置が含まれる。
【0037】
続くステップS6では、受信部18の検出結果比較部22Cは、第1結果と第2結果とを比較して、第1結果に含まれる反射点の位置と、第2結果に含まれる反射点の位置とが異なるか否かを判定する。第1結果と第2結果とで、反射点の位置が同じ場合には、ステップS6で「NO」と判定し、処理を終了する。第1結果と第2結果とで、反射点の位置が異なる場合には、ステップS6で「YES」と判定し、ステップS7に移行する。
【0038】
ステップS7では、第1結果と第2結果とで、異なる位置の反射点(不要点)を除去する。即ち、第1結果の反射点の位置と第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、レドーム11に基づく不要な反射点であると考えられる。例えば、レドーム11と送信アンテナ13~13Mや受信アンテナ19~19Nとの間は、多重反射波が発生することがある。また、レドーム11内を電波が伝搬することもある。これらの複数の合成波によって、受信部18は、不要な反射点を検出することがある。しかしながら、ビームパターンが異なると、合成波の重畳の仕方が変化するため、反射点の位置が変化する傾向がある。このため、第1結果と第2結果とで、異なる位置の反射点を除去することによって、不要な反射点を除くことができる。
【0039】
このように、不要点除去処理では、制御部24は、MIMOによる第1のビームパターンと、アナログビームフォーミングによる第2のビームパターンとを切り替える。第2のビームパターンは、MIMOレーダによって推定した反射点の方向に、アナログビームフォーミングによってメインビームを向ける。そして、第1のビームパターンによる第1結果と、第2のビームパターンによる第2結果とを記憶し、第1結果と第2結果とを比較する。
【0040】
第1のビームパターンで推定した反射点が物標(ターゲット)からの反射波に基づく場合には、第1結果と第2結果との間で、反射点の位置が一致する。これに対し、第1のビームパターンで推定した反射点がレドーム11からの反射波に基づく場合には、第1結果と第2結果との間で、反射点の位置が異なる。この理由は、レドーム11からの反射波の伝搬モードが、第1のビームパターンと第2のビームパターンとの間で、相互に異なるためである。
【0041】
具体的に説明すると、レーダ装置10の送信アンテナ13~13M(または受信アンテナ19~19N)のビームパターンが異なる場合は、レドーム11による近接反射波の伝搬モードも異なる。このため、ターゲットによる反射の場合は、異なるビームパターンで検知したときに、同じ位置に反射点が表示される。これに対し、レドーム11による近接反射の場合は、異なるビームパターンで検知したときに、異なる位置に反射点が表示される。
【0042】
このような特性を考慮して、不要点除去処理では、第1結果と第2結果との比較結果に基づいて、反射点が不要点か否かを判別する。
【0043】
本発明による不要点除去の効果を確認するために、MIMOによる第1のビームパターンで検出した場合と、アナログビームフォーミングによる第2のビームパターンで検出した場合とについて、レーダ装置10を用いて相対角度60°の方向に設置したポールを検知した。この結果を、図6および図7に示す。図6および図7に示すように、第1のビームパターンと第2のビームパターンのいずれの検知結果でも、ポールによる反射点の位置は同じである。これに対し、レドーム11の近接反射による反射点の位置は、第1のビームパターンによる検知結果と、第2のビームパターンによる検知結果とで、異なる。この理由は、送信アンテナ13~13Mのビームパターンを変えることで、レドーム11による反射波の伝搬モードが変化したためである。
【0044】
ポールのようなターゲットからの反射波は、基本的に単一である。これに対し、不要点からの波は、レドーム11と送信アンテナ13~13Mや受信アンテナ19~19Nとの間の多重反射波やレドーム11内を伝搬する電波のような複数の電波の合成波となっている。このような合成波が反射点として検知される。しかしながら、ビームパターンが異なる場合には、このような複数の電波の伝搬モードが変化するため、その結果として反射点の検知位置も異なるようになる。
【0045】
そこで、不要点除去処理では、第1のビームパターンによる第1結果と第2のビームパターンによる第2結果とを比較して、反射点が不要点か否かを判別する。これにより、レーダ装置10は、レドーム11の反射に基づく不要点(虚像)を除去することができ、ターゲットからの反射点(実像)を確実に検出することができる。
【0046】
かくして、本実施形態によるレーダ装置10では、受信部18の記憶部23は、第1のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶する。受信部18の記憶部23は、第2のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する。受信部18の検出結果比較部22Cは、第1結果と第2結果とを比較して、第1結果の反射点の位置と第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去する。
【0047】
送信アンテナ13~13Mの指向性パターン(ビームパターン)を移相器16~16Mによって離散的に制御し、それぞれの結果を比較することで、レドーム11による不要点の検知を判別して、除去することができる。
【0048】
ターゲットの反射による反射点は、ターゲットからの反射波によって検出される。このとき、ターゲットからの反射波の伝搬モードは、単一である。このため、ビームパターンが変わっても、反射点の位置が変わることはない。
【0049】
一方、レドーム11の反射による不要点は、レドーム11とアンテナとの間の多重反射波やレドーム11内を伝搬する電波が合成された合成波に基づいて検出される。即ち、レドーム11の反射による不要点は、複数の伝搬モードの合成波によって現れる。アンテナのビームパターンを変えると、レドーム11による多重反射波の強度や位相が変化する。これらの反射波の特性が変わると、合成波の特性(強度、位相)も変化する。レーダ装置10は、反射波源の相対角度を位相から求めるため、位相が変われば検知角度も変化する。このため、異なるビームパターンに対して検知位置を比較することで、レドーム11の反射に基づく不要点か、ターゲットの反射に基づく反射点かを見分けることができる。
【0050】
また、送信部12は、移相器16~16Mによって電波の指向性を調整するアナログビームフォーミングを実行する。このため、レーダ装置10は、MIMOによる無指向性の電波からなる第1のビームパターンで物標を検出した後に、反射点が推定された方向にメインビームが向くように第2のビームパターンを形成することができる。この結果、1つの反射点を少なくとも2つのビームパターンを用いて検出することができる。これにより、物標の反射による反射点か、レドーム11の反射による不要点かを、精度良く判別することできる。
【0051】
なお、第1の実施形態では、送信部12が移相器16~16Mを備えるのに加え、受信部18も移相器21~21Nを備えるものとした。本発明はこれに限らず、送信側で第1のビームパターンと第2のビームパターンを切り替える場合には、受信側の移相器は省いてもよい。この場合、受信アンテナは1個でもよい。
【0052】
また、受信側で第1のビームパターンと第2のビームパターンを切り替える場合には、送信側の移相器は省いてもよい。この場合、送信アンテナは1個でもよい。
【0053】
第1の実施形態では、MIMOによる第1のビームパターンと、アナログビームフォーミングによる第2のビームパターンとを用いる。本発明はこれに限らず、第1のビームパターンと第2のビームパターンは、いずれもアナログビームフォーミングによって形成されてもよい。この場合、第1のビームパターンと第2のビームパターンは、例えばメインビームの向きが異なるビームパターンになる。
【0054】
また、レドーム11の反射に基づく反射点(不要点)は、主としてレーダ装置10に近い位置に配置される。このため、第1の実施形態による不要点除去処理では、近距離に位置する反射点の中で不要点を判別し、除去した。本発明はこれに限らず、近距離以外(遠距離)に位置する反射点についても、不要点を判定し、除去してもよい。
【0055】
次に、図8は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、受信部は、複数の受信アンテナから受信した電波のデジタルデータに基づいて電波の指向性を調整するデジタルビームフォーミングを実行することにある。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0056】
図8に示すように、本発明の第2の実施形態によるレーダ装置30は、送信部31と、受信部32と、を備えている。
【0057】
送信部31は、第1の実施形態による送信部12と同様に、複数個(例えばM個、Mは自然数)の送信アンテナ13~13Mと、分配器14と、発振器15と、を備えている。送信アンテナ13~13Mには、スイッチ17~17Mが接続されている。但し、送信部31は、移相器を備えていない。この点で、送信部31は、第1の実施形態による送信部12とは異なる。
【0058】
受信部32は、第1の実施形態による受信部18と同様に、複数個(例えばN個、Nは自然数)の受信アンテナ19~19Nと、ミキサ20と、処理部33と、を備えている。但し、受信部32は、移相器を備えていない。この点で、受信部32は、第1の実施形態による受信部18とは異なる。
【0059】
また、処理部33は、マイクロコンピュータ等によって構成されている。処理部33には、記憶部23が接続されている。処理部33は、FFT計算部33Aと、信号処理部33Bと、検出結果比較部33Cと、を備えている。FFT計算部33Aは、第1の実施形態によるFFT計算部22Aと同様に構成されている。検出結果比較部33Cは、第1の実施形態による検出結果比較部22Cと同様に構成されている。FFT計算部33Aは、目標までの距離測定(測距)を行うと共に、ビート信号Sbのパワースペクトルを出力する。
【0060】
信号処理部33Bには、FFT計算部33Aから出力されたビート信号Sbのパワースペクトルが入力される。信号処理部33Bは、ビート信号Sbのパワースペクトルを用いてデジタルビームフォーミングを行う。これにより、信号処理部33Bは、受信アンテナ19~19Nに基づくデジタルデータの位相を調整し、受信アンテナ19~19Nのビームパターンを変化させる。信号処理部33Bは、ビームパターンに応じて目標の方位角を検知する。これにより、処理部33は、目標毎に距離と方位角を取得し、複数の目標の位置を検出する。処理部33は、検出した目標の位置を記憶部23に記憶する。
【0061】
第1のビームパターンで検知を実施したときに、受信部32は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶する。具体的には、例えば送信アンテナ13~13Mのうちいずれか1つから無指向性の電波を放射したときに、受信部32は、第1のビームパターンに基づいて電波の反射点の位置を検出する。このとき、受信部32は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶部23に記憶する。第1のビームパターンは、例えば受信アンテナ19~19Nが無指向性を有する状態で電波を受信するときのビームパターンである。
【0062】
また、第2のビームパターンで検知を実施したときに、受信部32は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する。具体的には、例えば送信アンテナ13~13Mのうちいずれか1つから無指向性の電波を放射したときに、受信部32は、第2のビームパターンに基づいて電波の反射点の位置を検出する。このとき、受信部32は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶部23に記憶する。第2のビームパターンは、例えば受信アンテナ19~19Nが所定の指向性を有する状態で電波を受信するときのビームパターンである。
【0063】
検出結果比較部33Cは、第1結果と第2結果とを比較して、第1結果の反射点の位置と第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点(不要点)を除去する。
【0064】
制御部34は、第1の実施形態による制御部24と同様に構成されている。制御部34は、受信部32を制御して、第1のビームパターンに基づく第1結果を記憶部23に記憶させる。また、制御部24は、受信部32を制御して、第2のビームパターンに基づく第2結果を記憶部23に記憶させる。第1結果と第2結果が記憶された後に、制御部34は、検出結果比較部33Cを用いて、第1結果と第2結果とを比較し、不要点を除去する。
【0065】
かくして、このように構成された第2の実施形態においても、物標の反射による反射点か、レドーム11の反射による不要点かを、精度良く判別することできる。また、第2の実施形態では、受信部はデジタルビームフォーミングを実行するから、複数の受信アンテナ19~19Nによるデジタルデータの位相を調整し、これらのデジタルデータを合成することによって、容易に複数のビームパターンを形成することができる。このため、レーダ装置30は、複数のビームパターンに対する検知結果を容易に取得することができる。
【0066】
なお、第2の実施形態では、受信側で第1のビームパターンと第2のビームパターンを切り替える。このため、送信アンテナは1個でもよい。
【0067】
第2の実施形態では、MIMOによる第1のビームパターンと、デジタルビームフォーミングによる第2のビームパターンとを用いる。本発明はこれに限らず、第1のビームパターンと第2のビームパターンは、いずれもデジタルビームフォーミングによって形成されてもよい。この場合、第1のビームパターンと第2のビームパターンは、例えばメインビームの向きが異なるビームパターンになる。
【0068】
次に、図9は本発明の第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、送信部は、送信アンテナの向きを機械的に変えることによって第1のビームパターンと第2のビームパターンとを切り替えることにある。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0069】
図9に示すように、本発明の第3の実施形態によるレーダ装置40は、送信部41と、受信部44と、を備えている。
【0070】
送信部41は、単一の送信アンテナ42と、分配器14と、発振器15と、を備えている。送信アンテナ42および受信アンテナ19~19Nは、レドーム11によって覆われている。送信アンテナ42は、所定の指向性を有している。送信アンテナ42は、走査機構43に取り付けられている。このため、走査機構43を駆動することによって、送信アンテナ42は、電波の放射方向を切り替えることができる。これにより、送信部41は、第1のビームパターンと第2のビームパターンとを切り替える。
【0071】
受信部44は、第1の実施形態による受信部18と同様に、複数個(例えばN個、Nは自然数)の受信アンテナ19~19Nと、ミキサ20と、処理部22と、を備えている。処理部22には、記憶部23が接続されている。但し、受信部44は、移相器を備えていない。この点で、受信部44は、第1の実施形態による受信部18とは異なる。
【0072】
第1のビームパターンで検知を実施したときに、受信部44は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶する。具体的には、送信部41が第1のビームパターンの電波を放射したときに、受信部44は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶部23に記憶する。第1のビームパターンは、例えばメインビームが正面方向として、車両の進行方向と直交する方向を向くときのビームパターンである。
【0073】
また、第2のビームパターンで検知を実施したときに、受信部44は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する。具体的には、送信部41が第2のビームパターンの電波を放射したときに、受信部44は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶部23に記憶する。第2のビームパターンは、例えばメインビームが正面方向から傾斜した方向を向くときのビームパターンである。具体的には、第2のビームパターンは、第1のビームパターンで物標を検知して近距離に反射点がある場合に、この近距離の反射点の方向にメインビームが向くときのビームパターンである。
【0074】
検出結果比較部22Cは、第1結果と第2結果とを比較して、第1結果の反射点の位置と第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点(不要点)を除去する。
【0075】
制御部45は、送信部41を制御して第1のビームパターンの電波を放射させる。このとき、制御部45は、受信部44を制御して第1のビームパターンによる第1結果を記憶部23に記憶させる。また、制御部45は、送信部41を制御して第2のビームパターンの電波を放射させる。このとき、制御部45は、受信部44を制御して第2のビームパターンによる第2結果を記憶部23に記憶させる。第1結果と第2結果が記憶された後に、制御部45は、検出結果比較部22Cを用いて、第1結果と第2結果とを比較し、不要点を除去する。
【0076】
かくして、このように構成された第3の実施形態においても、物標の反射による反射点か、レドーム11の反射による不要点かを、精度良く判別することできる。また、第3の実施形態では、送信部41は、送信アンテナ42の向きを機械的に変えるから、送信アンテナ42の指向性を調整して、第1のビームパターンと第2のビームパターンとを切り替えることができる。これにより、レーダ装置40は、複数のビームパターンに対する検知結果を容易に取得することができる。
【0077】
なお、前記各実施形態では、送信信号Stは、周波数が線形に増加するチャープ信号を用いるものとしたが、周波数が線形に減少するチャープ信号を用いてもよい。
【0078】
前記各実施形態では、レーダ装置10,30,40は、FMCW方式で目標を探知する場合を例示した。本発明はこれに限らず、レーダ装置は、例えばパルス波を用いて目標を探知するパルスレーダでもよい。
【0079】
前記各実施形態では、2つのビームパターンで検知を実施したときの検知結果を比較して、異なる位置の反射点を不要点と判定して除去した。本発明はこれに限らず、3つ以上のビームパターンで検知を実施したときの検知結果を比較して、異なる位置の反射点を不要点と判定して除去してもよい。
【0080】
前記各実施形態では、2次元平面における目標の位置を推定するレーダ装置10,30,40を例に挙げて説明したが、3次元空間における目標の位置を推定するレーダ装置に適用してもよい。
【0081】
以上説明した実施形態に基づくレーダ装置、車両および不要点除去方法として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0082】
第1の態様としては、送信アンテナ、分配器および発振器を備えた送信部と、受信アンテナ、ミキサおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、前記受信部は、前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶する記憶部と、前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去する検出結果比較部と、を備えたことを特徴としている。これにより、レーダ装置は、例えばレドームの反射に基づく不要点を除去することができ、ターゲットからの反射点を確実に検出することができる。
【0083】
第2の態様としては、第1の態様において、前記送信部または前記受信部は、移相器によって電波の指向性を調整するアナログビームフォーミングを実行する。これにより、ビームパターンを切り替えることができるから、少なくとも2つのビームパターンに対する反射点の位置を検知することができる。
【0084】
第3の態様としては、第1の態様において、前記受信部は、複数の前記受信アンテナから受信した電波のデジタルデータに基づいて電波の指向性を調整するデジタルビームフォーミングを実行する。これにより、ビームパターンを切り替えることができるから、少なくとも2つのビームパターンに対する反射点の位置を検知することができる。
【0085】
第4の態様としては、第1の態様において、前記送信部は、前記送信アンテナの向きを機械的に変えることによって前記第1のビームパターンと前記第2のビームパターンとを切り替える。これにより、第1のビームパターンに対する反射点の位置と、第2のビームパターンに対する反射点の位置と、を検知することができる。
【0086】
第5の態様としては、第1ないし第4のいずれかの態様のレーダ装置を備えた車両である。これにより、不要点を除去した状態で、車両の周囲の物標を検知することができる。
【0087】
第6の態様としては、送信アンテナ、分配器および発振器を備えた送信部と、受信アンテナ、ミキサおよび処理部を備えた受信部と、から構成されるレーダ装置に適用される不要点除去方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとのうち少なくとも一方は、複数個備えられており、前記送信部または前記受信部は、第1のビームパターンと、前記第1のビームパターンと異なる第2のビームパターンとが使用可能であり、前記第1のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第1結果として記憶し、前記第2のビームパターンで検知を実施したときに、前記受信部は、電波の反射点の位置からなる検知結果を第2結果として記憶し、前記受信部は、前記第1結果と前記第2結果とを比較して、前記第1結果の反射点の位置と前記第2結果の反射点の位置とが異なる場合には、異なる位置の反射点を除去することを特徴としている。これにより、レーダ装置は、例えばレドームの反射に基づく不要点を除去することができ、ターゲットからの反射点を確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 車両
10,30,40 レーダ装置
11 レドーム
12,31,41 送信部
13~13M,42 送信アンテナ
14 分配器
15 発振器
18,32,44 受信部
19~19N 受信アンテナ
20 ミキサ
22,33 処理部
22C,33C 検出結果比較部
23 記憶部
24,34,45 制御部
43 走査機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9